以下に、本開示の現金払出装置、プログラム、現金払出方法、現金払出システム及びサーバについて、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は現金払出装置の外観を示す斜視図、図2は現金払出装置の内部構成例を示すブロック図である。本実施形態の現金払出装置10は、個人住宅、集合住宅の共用エリア、医療施設、福祉施設等に設置されて利用される。また、本実施形態の現金払出装置10では、現金の払い出しを受けるユーザ(現金の受取者)は1人であっても複数人であってもよく、各ユーザの入出金を管理する管理者も1人であっても複数人であってもよい。以下では、現金払出装置10が、複数人の管理者で複数人のユーザを管理する状況の施設に設置された場合を例に説明する。
本実施形態の現金払出装置10は、例えば四角柱状の筐体を有し、筐体の内部には、紙幣及び貨幣(現金)が金種(金額)毎に収納される現金収納部(図示せず)が設けられている。また現金払出装置10の一面にはタッチパネル13が設けられており、タッチパネル13が設けられた一面を現金払出装置10の正面とする。現金払出装置10の正面には、紙幣及び貨幣を投入するための現金投入口10b(第1投入口)が設けられており、現金投入口10bから投入された現金は金種判別部16aによって金種(金額)が判別された後、判別された金種毎に現金収納部に収納される。また現金払出装置10の正面には、現金払出部15によって払い出された現金が排出される払出口及び払出トレイ15aが設けられている。更に現金払出装置10の正面にはスピーカ17が設けられている。タッチパネル13、現金投入口10b、払出トレイ15a及びスピーカ17の配置位置は、図1に示す例に限定されず、またこれらのいずれかが現金払出装置10の正面以外の面に設けられていてもよい。例えばタッチパネル13は現金払出装置10を操作する操作者が操作し易い位置に設けてあればよく、スピーカ17は操作者に出力音声が届く位置に設けてあればよい。また現金投入口10bは現金払出装置10に現金を投入し易い位置に設けてあればよく、払出口及び払出トレイ15aは現金払出装置10から払い出された現金を取り易い位置に設けてあればよい。
また、現金払出装置10の上面には生体認証センサ14が設けられている。本実施形態の生体認証センサ14(生体情報受付部)は、手のひらの静脈を読み取る静脈センサであり、本実施形態の現金払出装置10は、手のひらの静脈を用いた生体認証を行う構成を有する。しかし、現金払出装置10による生体認証は、手のひらの静脈認証に限定されず、指の静脈、指紋、瞳の虹彩、声紋、顔形等による生体認証であってもよく、複数の生体情報を組み合わせて認証を行う構成でもよい。生体認証センサ14は現金払出装置10の上面以外の面に設けられていてもよく、生体認証の種類に応じて、操作者が生体認証に必要な操作(例えば手のひらをかざす操作)をし易い位置に設けてあればよい。更に、現金払出装置10の側面には、紙幣及び貨幣をまとめて投入するための一括投入口10a(第2投入口)が設けられており、一括投入口10aには鍵付きの蓋が取り付けてある。一括投入口10aから投入された現金も金種判別部16aによって金種(金額)が判別された後、判別された金種毎に現金収納部に収納される。一括投入口10aは現金払出装置10の側面以外の面に設けられていてもよく、操作者が現金をまとめて投入し易い位置に設けてあればよい。上述した構成の現金払出装置10は、例えば水平な載置台上に載置され、取付金具10cにて載置台、壁又は柱等に固定されて使用される。
現金払出装置10は、制御部11、記憶部12、タッチパネル13、生体認証センサ14、現金払出部15、現金受付部16、スピーカ17、通信部18等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含む。制御部11は、記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pを適宜実行することにより、現金払出装置10が行うべき種々の情報処理及び制御処理を実行する。
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等を含む。記憶部12は、制御部11が実行する制御プログラム12P及び制御プログラム12Pの実行に必要な各種のデータ等を予め記憶している。また記憶部12は、制御部11が制御プログラム12Pを実行する際に発生するデータ等を一時的に記憶する。また記憶部12は、後述する管理者情報DB(データベース)12a及びユーザ情報DB12b等を記憶する。管理者情報DB12a及びユーザ情報DB12bは、現金払出装置10に接続された他の記憶装置に記憶されてもよく、現金払出装置10が通信可能な他の記憶装置に記憶されてもよい。
タッチパネル13は表示部13a及び入力部13bを有する。表示部13aは液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部11からの指示に従って各種の情報を表示する。入力部13bはタッチセンサであり、現金払出装置10を操作する操作者による操作入力を受け付け、操作内容に対応した制御信号を制御部11へ送出する。なお、表示部13a及び入力部13bは各別に設けられていてもよく、入力部13bはタッチセンサ以外に、押圧式等の操作ボタンを含んでいてもよい。
生体認証センサ14は、所定の検知範囲内でかざされた手のひらの静脈を読み取って静脈データを取得し、取得した静脈データを制御部11へ送出する。生体認証センサ14は、例えば近赤外光を出射する発光部と、発光部が出射した近赤外光の手のひらによる反射光を受光する受光部とを有し、受光した反射光に基づいて静脈データ(静脈画像)を取得する。生体認証センサ14は、図1に示すように現金払出装置10と一体に構成された内蔵型のセンサであってもよく、現金払出装置10に外付けされるセンサであってもよい。生体認証センサ14が外付けされる場合、現金払出装置10は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して外部センサとの接続が可能な接続部、又は外部センサとの無線通信が可能な無線通信部を備え、外部センサが取得した静脈データを接続部又は無線通信部を介して取得するように構成される。
現金払出部15は例えば、現金収納部に収納されている現金を金種毎に払出トレイ15aまで搬送する搬送路、各搬送路を開閉する開閉部を有する。現金払出部15は、制御部11からの指示に従って開閉部にて各搬送路を開閉させることにより、制御部11からの指示に従った金額の現金を払出トレイ15aまで搬送する(払い出す)。現金受付部16は例えば、一括投入口10a又は現金投入口10bから投入された紙幣及び貨幣(現金)の金種(金額)を判別する金種判別部16a、投入された現金を金種毎に現金収納部まで搬送する搬送路、投入された現金を金種毎に各搬送路に誘導するガイド部を有する。現金受付部16は、金種判別部16aが判別した金種に応じて、投入された現金をガイド部によって各搬送路に誘導することにより、投入された現金が金額(金種)に応じた搬送路にて現金収納部まで搬送される。金種判別部16aは、一括投入口10a又は現金投入口10bから投入された現金の金種を判別した場合、判別した金種を制御部11に通知する。
スピーカ17は、制御部11からの指示に従って音声出力する音声出力部であり、制御部11が指示するメッセージを音声出力する。通信部18は、有線通信又は無線通信によって、インターネット又はLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続するためのインタフェースを有し、ネットワークを介して他の装置との間で情報の送受信を行う。
図3は、現金払出装置10に記憶されるDB12a,12bの構成例を示す模式図である。図3Aは管理者情報DB12aを、図3Bはユーザ情報DB12bをそれぞれ示す。管理者情報DB12aは、現金払出装置10を利用するユーザの現金及び入出金状況を管理する管理者に関する情報を記憶する。ここで管理者とは、例えば現金払出装置10が設置された施設の従業員であり、現金払出装置10を利用するユーザの入出金を管理する業務を行う担当者である。図3Aに示す管理者情報DB12aは、管理者ID列、認証用データ列、担当するユーザ情報列、作業履歴列等を含み、管理者IDに対応付けて管理者に関する各情報を記憶する。管理者ID列は、各管理者に割り当てられた識別情報(管理者ID)を記憶し、認証用データ列は、各管理者を認証する際に用いるデータを記憶する。なお、管理者の認証用データは例えば管理者が指定したパスワード(文字列データ)であってもよく、生体認証センサ14にて読み取り可能な生体データ(本実施形態では手のひらの静脈データ)であってもよい。本実施形態では、パスワード及び生体データの両方が管理者情報DB12aに記憶されている構成を例に説明するが、いずれか一方のみが管理者情報DB12aに記憶されている構成でもよい。担当するユーザ情報列は、各管理者に割り振られたユーザの情報を記憶し、具体的には各管理者が担当するユーザに割り当てられたユーザ識別情報(ユーザID)を記憶する。作業履歴列は、各管理者が現金払出装置10に対して行った作業の内容及び日時を含む履歴情報を記憶する。なお、作業履歴情報は、例えば管理者が現金払出装置10に対してログインした日時、管理者が担当するユーザに対して各種の設定処理を行った日時、管理者が担当するユーザの入出金履歴を確認した日時等、管理者が現金払出装置10に対して行う全ての作業についての履歴情報を含む。認証用データ及び作業履歴は、管理者情報DB12aに記憶されるほかに、記憶部12の所定領域又は他の記憶装置に記憶されてもよく、この場合、認証用データ列及び作業履歴列は、各データを読み出すための情報(例えばデータの記憶場所を示すファイル名)を記憶する。
管理者情報DB12aに記憶される管理者IDは、新たな管理者が追加された場合に制御部11によって発行されて記憶される。管理者情報DB12aに記憶される認証用データ及び担当するユーザ情報は、新たな管理者が追加される際に入力部13b又は通信部18を介して入力された場合に制御部11によって記憶され、入力部13b又は通信部18を介して変更指示が入力された場合に制御部11によって変更される。なお、認証用データに手のひらの静脈データを用いる場合、認証用データは生体認証センサ14を介して入力される。管理者情報DB12aに記憶される作業履歴は、入力部13bを介して管理者が現金払出装置10に対する操作(作業)を行った場合に、制御部11によって作業日時及び作業内容が対応付けて記憶される。管理者情報DB12aの記憶内容は図3Aに示す例に限定されず、管理者に関する各種の情報を記憶することができる。例えば、管理者の氏名、所属部署等が記憶される構成でもよい。
ユーザ情報DB12bは、現金払出装置10に現金を預けて定期的に払い出しを受けるユーザに関する情報を記憶する。ユーザは例えば、現金払出装置10が設置された施設の利用者又は居住者である。図3Bに示すユーザ情報DB12bは、ユーザID列、生体認証用データ列、氏名列、出金スケジュール列、入出金履歴列等を含み、ユーザIDに対応付けて、ユーザに関する各情報を記憶する。ユーザID列は、各ユーザに割り当てられた識別情報(ユーザID)を記憶し、生体認証用データ列は、各ユーザに対して生体認証を行う際に用いる生体データ(静脈データ)を記憶し、氏名列は各ユーザの氏名を記憶する。出金スケジュール列は、各ユーザに対して設定された出金予定を示す出金スケジュールを記憶し、入出金履歴列は、各ユーザに対応して行われた入出金の内容及び日時を含む履歴情報を記憶する。なお、入出金履歴情報は、例えば管理者が入金した日時及び入金額、ユーザが出金した日時及び出金額等の履歴情報を含む。生体認証用データ及び入出金履歴は、ユーザ情報DB12bに記憶されるほかに、記憶部12の所定領域又は他の記憶装置に記憶されてもよく、この場合、生体認証用データ列及び入出金履歴列は、各データを読み出すための情報(例えばデータの記憶場所を示すファイル名)を記憶する。
ユーザ情報DB12bに記憶されるユーザIDは、新たなユーザが追加された場合に制御部11によって発行されて記憶される。ユーザ情報DB12bに記憶される生体認証用データは、新たなユーザが追加される際に生体認証センサ14を介して入力された場合に制御部11によって記憶され、入力部13b又は通信部18を介して変更が指示された際に生体認証センサ14を介して入力された場合に制御部11によって変更される。ユーザ情報DB12bに記憶される氏名は、新たなユーザが追加される際に入力部13b又は通信部18を介して入力された場合に、制御部11によって記憶される。ユーザ情報DB12bに記憶される出金スケジュールは、新たなユーザが追加される際に入力部13b又は通信部18を介して入力された場合に、制御部11によって記憶され、入力部13b又は通信部18を介して変更指示が入力された場合に制御部11によって変更される。ユーザ情報DB12bに記憶される入出金履歴は、ユーザに対応付けて入金が行われた場合に制御部11によって入金日時及び入金額が対応付けて記憶され、ユーザによる出金が行われた場合に制御部11によって出金日時及び出金額が対応付けて記憶される。ユーザ情報DB12bの記憶内容は図3Bに示す例に限定されず、ユーザに関する各種の情報を記憶することができる。例えば、ユーザの年齢、性別、医療機関における診察券番号及び入院している場合の病室番号、福祉施設に居住している場合の部屋番号、住所、電話番号、家族等の連絡先(電話番号等)等の個人情報が記憶される構成でもよい。
以下に、本実施形態において、管理者が現金払出装置10を操作してユーザに対する各種の情報を設定する処理、ユーザの入出金履歴を確認する処理、ユーザに対する入金を登録する処理を行う際に現金払出装置10が行う処理について説明する。図4は現金払出装置10による設定処理手順の一例を示すフローチャート、図5〜図7は画面例を示す模式図である。以下の処理は、現金払出装置10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現されるが、処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
本実施形態の現金払出装置10は、待機状態である場合、例えば図5Aに示すような初期画面(ログイン画面)をタッチパネル13(表示部13a)に表示している。ログイン画面は、ログインID及びパスワードをそれぞれ入力するための入力欄と、入力されたログインID及びパスワードに基づくログイン処理の実行を指示するためのログインボタンと、生体データの読み取りを指示するための生体データ読み取りボタンとを有する。管理者は現金払出装置10に対する操作を行う場合、ログイン画面においてログインID及びパスワードを入力してログインボタンを操作するか、生体データ読み取りボタンを操作することにより、ログイン処理の実行を指示する。なお、ログインIDには例えば各管理者に割り当てられている管理者IDが用いられる。
図5Aに示すようなログイン画面を表示している現金払出装置10において、制御部11は、ログイン処理に必要な管理者の認証用データを取得したか否かを判断する(S11)。例えば管理者がログイン画面においてログインID及びパスワードを入力してログインボタンを操作した場合、制御部11は、認証用データとしてログインID及びパスワードを取得する。ログインID及びパスワードは、例えばタッチパネル13(表示部13a)に表示されたキーボード又はテンキーを介して入力される。また現金払出装置10が例えばIC(Integrated Circuit)カードに記憶されているカード情報を読み取るカードリーダを有する場合、各管理者の管理者ID及びパスワードが記憶してあるICカードからカードリーダにて管理者ID及びパスワードを読み取ってもよい。また管理者がログイン画面において生体データ読み取りボタンを操作した場合、制御部11は、静脈データの読み取りを促すメッセージをタッチパネル13に表示又はスピーカ17から音声出力した後、生体認証センサ14によって管理者の静脈データを取得する。静脈データの読み取りを促すメッセージは例えば「手のひらを生体認証センサにかざして下さい」、「手のひらを装置の上面にかざして下さい」等であってもよい。また、生体認証センサ14の近傍にライトを設けておき、制御部11は、ライトを点灯又は点滅させることによって、生体認証センサ14の場所を通知すると共に静脈データの読み取りを促してもよい。
制御部11は、管理者の認証用データを取得していないと判断した場合(S11:NO)、取得するまで待機する。管理者の認証用データを取得したと判断した場合(S11:YES)、制御部11(管理者認証部)は、取得した認証用データに基づいて管理者を認証する(S12)。具体的には、制御部11は、認証用データとして管理者ID及びパスワードを取得した場合、取得した管理者IDに対応付けて管理者情報DB12aに記憶してある認証用データ(パスワード)に、取得したパスワードが一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合、認証成功と判断する。また制御部11は、認証用データとして静脈データを取得した場合、取得した静脈データが、管理者情報DB12aに記憶してある認証用データ(静脈データ)のいずれかに一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合、認証成功と判断する。このとき制御部11は、取得した静脈データに一致する認証用データに対応する管理者(管理者ID)を特定し、特定した管理者に対して認証が成功したと判断する。
制御部11は、取得した認証用データに基づく管理者の認証が成功したか否かを判断し(S13)、失敗したと判断した場合(S13:NO)、ステップS11の処理に戻る。このとき制御部11は、認証に失敗したことを示すメッセージを表示又は音声出力してもよく、メッセージを表示又は音声出力した後に図5Aに示すログイン画面の表示に戻る。取得した認証用データに基づく管理者の認証が成功したと判断した場合(S13:YES)、制御部11は、図5Bに示すように、認証した管理者が担当するユーザの一覧画面を生成してタッチパネル13に表示する(S14)。図5Bに示す画面は、ログインした(認証された)管理者の管理者IDと、この管理者が担当するユーザの氏名及びユーザIDの一覧(担当ユーザ一覧)とを表示する。なお、担当ユーザ一覧において各ユーザの氏名及びユーザIDはそれぞれ選択できるように構成されている。また図5Bに示す画面は、この管理者による操作の終了を指示するための終了ボタンを有する。制御部11は、認証した管理者の管理者IDに対応付けて管理者情報DB12aに記憶してある担当するユーザ情報(ユーザID)を読み出し、読み出したユーザIDのユーザの氏名をユーザ情報DB12bから読み出し、担当するユーザの氏名及びユーザIDを表示した担当ユーザ一覧を生成する。そして制御部11は、生成した担当ユーザ一覧に、ログイン中の管理者の管理者ID及び終了ボタンを付加することにより、図5Bに示す画面を生成する。なお、管理者の認証が成功した後、制御部11は、認証した管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時を含み、ログイン処理が行われたことを示すログイン履歴情報を管理者情報DB12aに記憶しておく。
図5Bに示す画面において、管理者は担当ユーザ一覧に表示されたユーザのうちで、操作対象としたいユーザを入力部13bを介して選択する。制御部11は、担当ユーザ一覧を介していずれかのユーザに対する選択を受け付けたか否かを判断し(S15)、受け付けていないと判断した場合(S15:NO)、受け付けるまで待機する。なお、制御部11は、担当ユーザ一覧において終了ボタンが操作された場合、担当ユーザ一覧の表示を終了し、図5Aに示すログイン画面の表示に戻す。
担当ユーザ一覧においていずれかのユーザに対する選択を受け付けたと判断した場合(S15:YES)、制御部11は、図5Cに示すように、選択されたユーザに対応するメニュー画面を生成してタッチパネル13に表示する(S16)。図5Cに示すメニュー画面は、ログイン中の管理者の管理者IDと、選択されたユーザの氏名及びユーザIDと、このユーザの現在の残高(残りの金額)と、このユーザが最後に現金の払出を行った最終払出実行日時とを表示する。また図5Cに示すメニュー画面は、ユーザに対して管理者が操作可能な処理(オペレーション)の実行を指示するためのメニューボタンと、このユーザに対する操作の終了を指示するための終了ボタンとを有する。メニューボタンは、オペレーションメニューとしてユーザの出金スケジュールの設定処理の実行を指示するための出金スケジュール設定ボタンと、ユーザに対する入出金履歴の表示を指示するための入出金履歴確認ボタンと、ユーザに対応付けて入金するための入金ボタンとを有する。また、管理メニューとしてユーザに関する情報の設定変更を指示するためのユーザ情報変更ボタンと、管理者に関する情報の設定変更を指示するための管理者情報変更ボタンとを有する。制御部11は、予め記憶部12に記憶してあるメニュー画面の情報を読み出し、選択されたユーザのユーザIDに対応付けてユーザ情報DB12bに記憶してある入出金履歴から現在の残高及び最終払出実行日時を読み出す。そして制御部11は、読み出した画面情報に、管理者の管理者ID、ユーザの氏名及びユーザID、ユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を付加することにより、図5Cに示すメニュー画面を生成する。メニュー画面は図5Cに示した構成に限定されない。
図5Cに示すメニュー画面において、管理者は出金スケジュール設定ボタンを操作することにより、ユーザに対する出金スケジュールの設定処理の実行を指示し、入出金履歴確認ボタンを操作することにより、ユーザに対する入出金履歴の表示を指示し、入金ボタンを操作することにより、ユーザに対する入金の受付を指示する。また管理者は、ユーザ情報変更ボタンを操作することにより、ユーザに関する登録情報の設定変更を指示し、管理者情報変更ボタンを操作することにより、管理者自身に関する登録情報の設定変更を指示する。制御部11は、メニュー画面を介してユーザに対する出金スケジュールの設定処理の実行指示を受け付けたか否かを判断しており(S17)、受け付けたと判断した場合(S17:YES)、図6に示すような出金スケジュール設定画面をタッチパネル13に表示する(S18)。
図6に示す出金スケジュール設定画面は、現金払出装置10がユーザに対応して現金を払い出すスケジュール(条件)を設定するための画面である。具体的には、出金スケジュール設定画面は、出金スケジュールとして、1日あたりの出金回数を設定する回数設定、出金する曜日を設定する曜日設定、出金されなかった金額を繰り越すか否かを設定する繰越設定、金額を設定する金額設定に関する情報を入力するための入力欄を有する。回数設定の入力欄は、1日あたり1回又は複数回のいずれかを選択するためのチェックボックスと、現金の払出を可能とする払出時間帯の入力欄とを有し、払出時間帯の入力欄には、払出時間帯の開始時刻及び終了時刻として任意の時刻を選択できるプルダウンメニューが設けられている。曜日設定の入力欄は、毎日、毎週、周期のいずれかを選択するためのチェックボックスと、毎週が選択された場合に選択可能な曜日として、月曜日から日曜日までの各曜日から任意の曜日を選択できるチェックボックスと、周期が選択された場合に出金の周期(例えば2日に1回又は3日に1回)を入力できる入力欄とを有する。繰越設定の入力欄は、出金可能な時間帯に出金されなかった金額(未払い金額)を次回以降の出金時に合わせて出金する(繰り越す)か否かを選択するためのチェックボックスと、「未払い金額を繰り越して払出できる」が選択された場合に繰越可能な限度として繰越可能日数又は繰越可能金額(繰越上限金額)を入力できる入力欄とを有する。金額設定の入力欄は、1回あたりに出金される金額を入力できる入力欄を有する。また、出金スケジュール設定画面は、例えば日付毎に払出時間帯及び金額の設定が可能な詳細設定の実行を指示するための詳細設定ボタンと、出金スケジュール設定画面を介して入力された内容での出金スケジュールの設定を指示するための設定ボタンとを有する。制御部11は、予め記憶部12に記憶してある出金スケジュール設定画面の情報を読み出し、読み出した画面情報に、管理者ID、ユーザの氏名及びユーザID、ユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を付加することにより、図6に示す出金スケジュール設定画面を生成する。なお、操作対象のユーザに対して既に出金スケジュールが設定されている場合、制御部11は、このユーザの出金スケジュールをユーザ情報DB12bから読み出し、読み出した出金スケジュールに応じた情報を各入力欄に入力した状態の出金スケジュール設定画面を生成して表示してもよい。出金スケジュール設定画面は図6に示した構成に限定されない。
図6に示す出金スケジュール設定画面において、管理者はユーザ又はユーザの家族等から依頼された出金スケジュールに従って、タッチパネル13(入力部13b)を介して各入力欄に設定内容を入力する。例えば、1日あたり1回で払出時間帯が午前8時から午後6時までで出金額が500円の出金スケジュールを設定する場合、管理者は、回数設定の入力欄において、1日あたり1回のチェックボックスを選択し、払出時間帯として8:00〜18:00を入力し、金額設定の入力欄に500円を入力する。そして管理者は、入力した内容での出金スケジュールの設定(登録)を指示する場合、設定ボタンを操作する。
制御部11は、出金スケジュール設定画面を介して出金スケジュールに関する設定内容(出金条件)を受け付けた場合、受け付けた設定内容を各入力欄に表示する(S19)。そして制御部11は、出金スケジュール設定画面の設定ボタンが操作されることによって、入力された内容での出金スケジュールの設定指示を受け付けたか否かを判断し(S20)、受け付けていないと判断した場合(S20:NO)、ステップS19の処理を繰り返す。入力内容での設定指示を受け付けたと判断した場合(S20:YES)、制御部11(設定部)は、出金スケジュール設定画面を介して入力された設定内容での出金スケジュールを記憶する(S21)。具体的には、制御部11は、設定対象のユーザのユーザIDに対応する出金スケジュールとして、入力された設定内容をユーザ情報DB12bに記憶する。出金スケジュールを記憶した後、制御部11は、ここでの管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時及びユーザのユーザIDを含み、出金スケジュールの設定が行われたことを示す履歴情報を管理者情報DB12aに記憶しておく。また制御部11は、ステップS21の処理後、図5Cに示すメニュー画面の表示に戻してもよい。
なお、図示は省略するが、出金スケジュール設定画面において詳細設定ボタンが操作された場合、制御部11は、詳細スケジュール設定画面をタッチパネル13に表示し、詳細スケジュール設定画面を介して出金スケジュールに関する詳細な設定内容を受け付ける。詳細スケジュール設定画面は、例えば1ヶ月分のカレンダーを表示し、日付毎に払出時間帯及び払出金額の入力を受け付ける入力欄を有する。制御部11は、詳細スケジュール設定画面を介して日付毎の設定内容を受け付け、受け付けた日付毎の設定内容での出金スケジュールをユーザ情報DB12bに記憶する。
ステップS17で出金スケジュールの設定指示を受け付けていないと判断した場合(S17:NO)、制御部11は、メニュー画面の入出金履歴確認ボタンが操作されることによって、ユーザに対する入出金履歴の確認処理の実行指示を受け付けたか否かを判断する(S22)。入出金履歴の確認処理の実行指示を受け付けたと判断した場合(S22:YES)、制御部11(管理者用の履歴表示部)は、図7Aに示すような入出金履歴画面を生成してタッチパネル13に表示する(S23)。図7Aに示す入出金履歴画面は、処理対象のユーザが現金払出装置10から現金を払い出した日時及び金額(出金履歴)と、ユーザに対応して現金払出装置10に入金された日時及び金額(入金履歴)と、各日時での残高とを表示する。制御部11は、処理対象のユーザのユーザIDに対応付けてユーザ情報DB12bに記憶してある入出金履歴を読み出して入出金履歴一覧を生成し、入出金履歴一覧に、管理者ID、ユーザの氏名及びユーザID、ユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を付加することにより、図7Aに示す入出金履歴画面を生成する。入出金履歴画面は図7Aに示した構成に限定されない。入出金履歴画面を表示した後、制御部11は、ここでの管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時及びユーザのユーザIDを含み、入出金履歴画面の表示が行われたことを示す履歴情報を管理者情報DB12aに記憶しておく。
図7Aに示す入出金履歴画面は、画面の表示終了を指示するための閉じるボタンを有しており、制御部11は、入出金履歴画面の閉じるボタンが操作された場合、入出金履歴画面の表示を終了し、例えば図5Cに示すメニュー画面の表示に戻す。制御部11は、入出金履歴画面を、例えば通信部18を介してプリンタへ送信できるように構成されていてもよく、通信部18を介して他の装置へ送信できるように構成されていてもよい。このような構成により、入出金履歴画面は、現金払出装置10の表示部13aに表示されるだけでなく、プリンタによって用紙に印刷され、又は他の装置へ送信されることができる。この場合、入出金履歴画面は、画面の印刷を指示するための印刷ボタンと、画面の送信を指示するための送信ボタンとを有していてもよい。
メニュー画面を介して入出金履歴の確認指示を受け付けていないと判断した場合(S22:NO)、制御部11は、メニュー画面の入金ボタンが操作されることによって、ユーザに対する入金の受付指示を受け付けたか否かを判断する(S24)。入金の受付指示を受け付けたと判断した場合(S24:YES)、制御部11は、図7Bに示すような金額受付画面をタッチパネル13に表示する(S25)。図7Bに示す金額受付画面は、処理対象のユーザに対応付けて現金払出装置10に入金する金額を入力するための入力欄と、入力欄に入力された金額を登録するためのOKボタンとを有する。管理者は、ユーザ又はユーザの家族等から預かった現金の金額を入力欄に入力し、入力した金額の登録を指示する場合、OKボタンを操作する。制御部11は、金額受付画面を介して入金額を受け付け(S26)、OKボタンが操作された場合、処理対象のユーザのユーザIDに対応する入金履歴として、この時点の日時及び受け付けた金額を含む入金履歴情報をユーザ情報DB12bに記憶する(S27)。入金履歴を記憶した後、制御部11は、ここでの管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時及びユーザのユーザIDを含み、入金が行われたことを示す履歴情報を管理者情報DB12aに記憶しておく。また管理者は、各ユーザに対する入金額の登録を行った場合に、又は複数のユーザに対する入金額の登録を行った場合にまとめて、現金払出装置10に現金を収納してもよく、このとき一括投入口10aから現金収納部に現金を投入してもよい。一括投入口10aから現金が投入された場合、制御部11は、投入された現金の金額を金種判別部16aにて判別し、判別した金額が、管理者が入金処理によって登録した入金額に一致するか否かを判断し、一致した場合に入金処理を完了する。一方、金種判別部16aにて判別した金額が入金額に一致しない場合、制御部11は、タッチパネル13にエラーメッセージを表示して管理者に確認を促してもよい。また制御部11は、金種判別部16aにて判別した金額を投入金額としてタッチパネル13に表示して管理者に投入金額の確認を促し、管理者が入金処理によって登録した入金額と、表示された投入金額とが一致することを確認した後に入力処理を完了してもよい。
メニュー画面を介して入金の受付指示を受け付けていないと判断した場合(S24:NO)、制御部11は、ステップS25〜S27の処理をスキップして処理を終了する。なお、メニュー画面中の管理メニューにおいてユーザ情報変更ボタンが操作された場合、制御部11は、ユーザ情報変更画面(図示せず)を表示し、ユーザ情報変更画面を介して操作対象のユーザに関する設定情報の変更指示を受け付ける。例えばユーザ情報変更画面は、ユーザの静脈データの変更指示を受け付けるように構成されており、制御部11は、ユーザ情報変更画面を介して静脈データの変更指示を受け付けた場合、ユーザ情報DB12bに記憶してある生体認証用データを、受け付けた静脈データに更新する。なお、ユーザ情報変更画面は、ユーザ情報DB12bに記憶してあるユーザの情報に対する変更指示を受け付けるように構成されている。また、管理者情報変更ボタンが操作された場合、制御部11は、管理者情報変更画面(図示せず)を表示し、管理者情報変更画面を介して操作中の管理者に関する設定情報の変更指示を受け付ける。例えば管理者情報変更画面は、パスワード又は静脈データ等の管理者の認証用データ、或いは担当するユーザの変更指示を受け付けるように構成されている。制御部11は、管理者情報変更画面を介して認証用データ又は担当するユーザの変更指示を受け付けた場合、管理者情報DB12aに記憶してある認証用データ及び担当するユーザ情報を、受け付けた認証用データ及び担当するユーザのユーザIDに更新する。なお、管理者情報変更画面は、管理者情報DB12aに記憶してある管理者の情報に対する変更指示を受け付けるように構成されている。上述したようにユーザ情報及び管理者情報の変更処理を行った場合にも、制御部11は、管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時を含み、行われた処理内容を示す履歴情報を管理者情報DB12aに記憶しておく。
上述した処理により、管理者は、自身が担当するユーザの出金スケジュールをタッチパネル13を介して設定及び変更することができ、各ユーザの入出金履歴を確認することができ、各ユーザの現金を入金登録することができる。なお、管理者は、自身の認証用データに基づく認証処理によって適切な権限を有する管理者であることが認証された後に、現金払出装置10の操作が可能となるので、現金払出装置10に対する安全性を確保できる。
次に、ユーザが現金払出装置10から現金の払い出しを受ける際に現金払出装置10が行う処理について説明する。図8は現金払出装置10による出金処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の処理は、現金払出装置10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現されるが、処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
待機状態の現金払出装置10において、制御部11は、生体認証センサ14によって生体データ(ここでは静脈データ)を取得したか否かを判断しており(S31)、取得していないと判断した場合(S31:NO)、取得するまで待機する。なお、待機状態において、制御部11は、図5Aに示すログイン画面をタッチパネル13に表示すると共に、静脈データの読み取りを促すメッセージを表示又は音声出力していてもよい。また、生体認証センサ14の近傍にライトが設けてある場合、制御部11は、ライトを点灯又は点滅させることによって、生体認証センサ14の場所を通知すると共に静脈データの読み取りを促してもよい。
生体認証センサ14によって静脈データを取得したと判断した場合(S31:YES)、制御部11(ユーザ認証部)は、取得した静脈データに基づいてユーザを認証する(S32)。ここでは制御部11は、取得した静脈データが、ユーザ情報DB12bに記憶してある生体認証用データのいずれかに一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合、静脈データが一致したユーザを特定し、特定したユーザに対して認証が成功したと判断する。制御部11は、静脈データに基づくユーザ認証が成功したか否かを判断し(S33)、失敗したと判断した場合(S33:NO)、ステップS31の処理に戻る。このとき制御部11は、ユーザ認証に失敗したことを示すメッセージを表示又は音声出力してもよい。静脈データに基づくユーザ認証が成功したと判断した場合(S33:YES)、制御部11は、認証されたユーザの出金スケジュールに基づいて、この時点での現金の払い出し(出金)が可能であるか否かを判断する(S34)。ここでは、制御部11は、認証されたユーザの出金スケジュールをユーザ情報DB12bから読み出し、この時点での出金が、読み出した出金スケジュールに沿ったタイミングに合致するか否かを判断し、合致する場合、出金可能であると判断する。例えば、出金スケジュールが1日あたり1回で登録してあり、既に今日の分の現金が払い出されている場合、この時点での出金が出金スケジュールに合致しないので、制御部11は出金可能でないと判断する。また制御部11は、ユーザの現在の残高を、ユーザ情報DB12bに記憶してある入出金履歴から読み出し、読み出した残高が出金予定の金額未満であるか否かを判断し、残高が出金予定の金額未満である場合に出金可能でないと判断してもよい。
この時点での出金が可能であると判断した場合(S34:YES)、制御部11(出金部)は、出金スケジュールで設定されている金額の現金を、現金払出部15にて払い出す(出金する)(S35)。なお、前回の出金タイミングまでに未出金(払い出されていない現金)がある場合、制御部11は、未出金の金額と、設定された繰越上限金額とに基づいて、出金可能な金額を算出し、算出した金額の現金を現金払出部15にて払い出す。そして制御部11は、現金を払い出したユーザ、即ちステップS32で認証されたユーザのユーザIDに対応する出金履歴として、この時点の日時及び出金した金額を含む出金履歴情報をユーザ情報DB12bに記憶する(S36)。この時点での出金が可能でないと判断した場合(S34:NO)、制御部11は、現時点では出金できないことを示すメッセージをタッチパネル13に表示又はスピーカ17から音声出力することによって、出金不可をユーザに通知する(S37)。なお、制御部11は、出金不可を通知する際に、ユーザの出金スケジュールから次に出金可能な日時を特定し、特定した日時を通知してもよい。例えば制御部11は、「今日の午後1時になれば出金できます」、「次回は明日の朝8時です」等のメッセージを表示又は音声出力してもよい。
現金払出装置10の制御部11は、生体認証センサ14が静脈データを取得する都度、上述した処理を行うことにより、ユーザの静脈データに基づく認証処理によって適切なユーザであることが認証された場合に、ユーザに対して現金の払い出しが行われる。よって、現金払出装置10に収納されている現金に対する安全性を確保できると共に、ユーザは自身が欲しいタイミングで現金を取得することができ、取得した現金で所望の商品を購入することができる。また、各ユーザに対して行われる現金の払出処理は、ユーザ毎に設定してある出金スケジュールに従って行われるので、出金スケジュールに設定されている金額以上の現金が払い出されない。よって、ユーザによる浪費が発生しない。また、ユーザ毎に出金スケジュールを設定できるので、現金払出装置10を複数人のユーザで共用することができる。更に、ユーザの金銭を管理する管理者は、各ユーザの出金スケジュールを設定しておけばよいので、金銭管理に関する業務負担の軽減を図ることができる。
(実施形態2)
管理者に加えてユーザが自身の現金を入金できる現金払出装置10について説明する。本実施形態の現金払出装置10は、実施形態1の現金払出装置10と同様の構成を有するので、構成についての説明は省略する。また、本実施形態の現金払出装置10は、図4に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、本実施形態の現金払出装置10においても、認証用データに基づいて認証された管理者が、各ユーザの出金スケジュールを設定及び変更し、各ユーザの入出金履歴を確認し、各ユーザの現金を入金することができる。また本実施形態の現金払出装置10は、図8に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、本実施形態の現金払出装置10においても、ユーザが自身の静脈データに基づいて認証された場合に現金の払い出しを受けることができる。本実施形態の現金払出装置10は、図4及び図8に示す処理を行いつつ、以下の処理を行う。
図9は、ユーザによる入金処理手順の一例を示すフローチャート、図10は画面例を示す模式図である。待機状態の現金払出装置10において、制御部11は、現金投入口10bから投入された現金を現金受付部16にて受け付けたか否かを判断しており(S41)、受け付けていないと判断した場合(S41:NO)、受け付けるまで他の処理を行いつつ待機する。なお、待機状態において、制御部11は、図5Aに示すログイン画面をタッチパネル13に表示すると共に、入金が可能であることを示すメッセージをタッチパネル13に表示してもよく、スピーカ17から音声出力してもよい。
現金投入口10bから投入された現金を受け付けたと判断した場合(S41:YES)、制御部11は、現金投入口10bから投入された現金の金額を金種判別部16aにて判別し(S42)、図10に示すように、判別した金額を投入金額としてタッチパネル13に表示する(S43)。また制御部11は、現金投入口10bから投入された現金を受け付けた場合、投入された現金を入金登録する際に必要なユーザ認証を要求する認証要求情報を出力する(S44)。例えば制御部11は、図10に示す画面において、現在の投入金額を表示すると共に、ユーザ認証を促すメッセージとして「手のひらを装置の上面にかざして下さい」のように手のひらの静脈データの読み取りを促すメッセージを表示する。なお、制御部11は、ユーザ認証を要求する情報として、静脈データの読み取りを促すメッセージを音声出力してもよい。またここでも、生体認証センサ14の近傍にライトが設けてある場合、制御部11は、ライトを点灯又は点滅させることによって、生体認証センサ14の場所を通知すると共に静脈データの読み取りを促してもよい。
制御部11は、生体認証センサ14によって生体データ(手のひらの静脈データ)を取得したか否かを判断しており(S45)、取得したと判断した場合(S45:YES)、制御部11(ユーザ認証部)は、取得した静脈データに基づいてユーザを認証する(S46)。制御部11は、静脈データに基づくユーザ認証が成功したか否かを判断し(S47)、成功したと判断した場合(S47:YES)、認証されたユーザのユーザIDに対応する入金履歴として、この時点の日時及び投入された現金の金額を含む入金履歴情報をユーザ情報DB12bに記憶する(S48)。これにより、制御部11(加算部)は、投入された金額を操作中のユーザに対応する残高に加算することができる。
図10に示す画面は、現金投入口10bから投入された現金に対する入金処理の終了(中止)を指示するための中止ボタンを有しており、現金を投入したユーザは、入金処理を中止したい場合、入力部13bを介して中止ボタンを操作する。制御部11は、生体データを取得していないと判断した場合(S45:NO)、例えば図10に示す画面中の中止ボタンが操作された場合、又は、取得した静脈データに基づくユーザ認証が失敗したと判断した場合(S47:NO)、現金投入口10bから投入された現金をそのまま現金払出部15にて払出トレイ15aへ排出し(S49)、処理を終了する。なお、ユーザ認証が失敗した場合、制御部11は、投入された現金を排出すると共に、ユーザ認証に失敗したことを示すメッセージを表示又は音声出力してもよい。
上述した処理により、本実施形態の現金払出装置10では、静脈データに基づいて認証されたユーザが出金処理だけでなく入金処理を行うことができる。また、本実施形態の現金払出装置10は、静脈データに基づいて認証されたユーザが、自身の現金に対する入出金履歴の確認を行えるように構成されていてもよい。例えば、図9中のステップS48の処理後、制御部11は、静脈データに基づいて認証したユーザの入出金履歴の表示を指示するための操作ボタンをタッチパネル13に表示し、この操作ボタンが操作された場合に、認証したユーザの入出金履歴画面を生成してタッチパネル13に表示してもよい。この場合、静脈データに基づいて認証されたユーザは、入出金処理に加えて入出金履歴の確認を行うことができる。
本実施形態では、上述した実施形態1と同様の効果が得られる。また本実施形態では、ユーザは、現金払出装置10から現金の払い出しを受けるだけでなく、入金処理も行うことができる。これにより、例えば現金払出装置10から払い出された現金を用いて商品を購入した釣り銭を現金払出装置10に戻すことができる。また、現金払出装置10に対する現金の入出金履歴がユーザ情報DB12bに蓄積されるので、各ユーザの入出金履歴を確認することができる。なお、ユーザ自身が入出金履歴の確認を行えるように現金払出装置10を構成した場合には、ユーザは自身が行った入出金履歴を確認することができる。本実施形態においても、上述した実施形態1で適宜説明した変形例の適用が可能である。
(実施形態3)
管理者に加えてユーザの家族等がユーザの現金を入金できる現金払出装置10について説明する。なお、現金払出装置10に入金する人は、ユーザの家族、ユーザ又はユーザの家族から依頼された依頼者等を含み、ユーザに対応付けられている保護者である。本実施形態では、現金払出装置10に入金する人をまとめてユーザの家族という。本実施形態の現金払出装置10は、実施形態1の現金払出装置10と同様の構成を有するので、構成についての説明は省略する。なお、本実施形態の現金払出装置10に記憶してあるユーザ情報DB12bは、図3Bに示す実施形態1の構成と若干異なるので、異なる箇所についてのみ説明する。
図11は、実施形態3のユーザ情報DB12bの構成例を示す模式図である。本実施形態のユーザ情報DB12bは、図3Bに示すユーザ情報DB12bの構成に加えて家族の生体認証用データ列を有する。家族の生体認証用データ列は、各ユーザの家族に対して生体認証を行う際に用いる生体データ(静脈データ)を記憶する。よって、本実施形態のユーザ情報DB12bは、ユーザIDに対応付けて、ユーザに関する情報に加えてユーザの家族の認証用データを記憶する。家族の生体認証用データは、ユーザに対応して新たな家族が追加される際に生体認証センサ14を介して入力された場合に制御部11によって記憶され、入力部13b又は通信部18を介して変更が指示された際に生体認証センサ14を介して入力された場合に制御部11によって変更される。また、家族の生体認証用データは、ユーザ情報DB12bに記憶されるほかに、記憶部12の所定領域又は他の記憶装置に記憶されてもよく、この場合、家族の生体認証用データ列は、各データを読み出すための情報(例えばファイル名)を記憶する。
上述した構成の本実施形態の現金払出装置10は、図4に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、本実施形態の現金払出装置10においても、認証用データに基づいて認証された管理者が、各ユーザの出金スケジュールを設定及び変更し、各ユーザの入出金履歴を確認し、各ユーザの現金を入金することができる。また本実施形態の現金払出装置10は、図8に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、本実施形態の現金払出装置10においても、ユーザが自身の静脈データに基づいて認証された場合に現金の払い出しを受けることができる。本実施形態の現金払出装置10は、図4及び図8に示す処理を行いつつ、以下の処理を行う。
図12は、実施形態3における入金処理手順の一例を示すフローチャート、図13は画面例を示す模式図である。図12に示す処理は、図9に示す処理において、ステップS47のNOとステップS49との間にステップS61〜S66を追加したものである。図9と同じステップについては説明を省略する。本実施形態の現金払出装置10において、制御部11は、図9中のステップS41〜S47と同様の処理を行う。ステップS47でユーザ認証が成功したと判断した場合(S47:YES)、制御部11は、ステップS48の処理に移行し、認証されたユーザのユーザIDに対応する入金履歴情報をユーザ情報DB12bに記憶する(S48)。
ステップS47でユーザ認証が失敗したと判断した場合(S47:NO)、制御部11(保護者認証部)は、ステップS45で取得した静脈データに基づいてユーザの家族を認証する(S61)。ここでは制御部11は、取得した静脈データが、ユーザ情報DB12bに記憶してある家族の生体認証用データのいずれかに一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合、静脈データが一致したユーザの家族を特定し、特定したユーザの家族に対して認証が成功したと判断する。制御部11は、静脈データに基づく家族の認証が成功したか否かを判断し(S62)、失敗したと判断した場合(S62:NO)、ステップS49の処理に移行し、現金投入口10bから投入された現金をそのまま現金払出部15にて払出トレイ15aへ排出する(S49)。このとき制御部11は、ユーザ認証及び家族認証の両方が失敗したことを示すメッセージを表示又は音声出力してもよい。
静脈データに基づく家族の認証が成功したと判断した場合(S62:YES)、制御部11は、家族が認証されたユーザのユーザIDに対応する入金履歴として、この時点の日時、投入された現金の金額、認証された家族の情報(例えば氏名)を含む入金履歴情報をユーザ情報DB12bに記憶する(S63)。これにより、制御部11(加算部)は、家族が投入した現金の金額を、この家族に対応するユーザに対する残高に加算することができる。その後、制御部11は、図13に示すような家族用の操作画面をタッチパネル13に表示する(S64)。図13に示す家族用の操作画面は、家族が認証されたユーザのユーザID及び氏名を表示し、ユーザに対応する入出金履歴の表示を指示するための入出金履歴確認ボタンと、ユーザの出金スケジュールの変更処理の実行を指示するための出金スケジュール変更ボタンとを有する。制御部11は、家族が認証されたユーザのユーザID及び氏名をユーザ情報DB12bから読み出し、予め記憶部12に記憶してある家族用の操作画面の情報を読み出す。そして制御部11は、読み出した画面情報にユーザのユーザID及び氏名を付加することにより、図13に示す家族用の操作画面を生成する。家族用の操作画面は図13に示す構成に限定されない。
制御部11は、家族用の操作画面を介して入出金履歴の表示指示を受け付けたか否かを判断する(S65)。入出金履歴の表示指示を受け付けたと判断した場合(S65:YES)、制御部11(保護者用の履歴表示部)は、図7Aに示す入出金履歴画面と同様の構成を有する入出金履歴画面を生成してタッチパネル13に表示する(S66)。なお、ここでの入出金履歴画面は、図7Aに示す入出金履歴画面から管理者IDが削除された構成とすることができ、更に、入金履歴に入金者の情報(例えば入金した家族の氏名)が含まれる構成としてもよい。また、入金者が管理者又はユーザ自身である場合、管理者の氏名又はユーザの氏名を入金者の情報として入金履歴に含めてもよい。家族用の操作画面を介して入出金履歴の表示指示を受け付けていないと判断した場合(S65:NO)、制御部11はステップS66の処理をスキップして処理を終了する。なお、家族用の操作画面中の出金スケジュール変更ボタンが操作された場合、制御部11は、図6に示すような出金スケジュール変更画面をタッチパネル13に表示し、出金スケジュール変更画面を介して出金スケジュールの変更指示を受け付け、ユーザ情報DB12bに記憶してある出金スケジュールを変更してもよい。上述した処理により、本実施形態の現金払出装置10では、静脈データに基づいて認証されたユーザの家族が、ユーザに対する現金の入金及び入出金履歴の確認を行うことができる。
本実施形態では、上述した各実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態では、ユーザの家族が、現金払出装置10に対する入金及び現金払出装置10による入出金処理の履歴を確認することができる。よって、各ユーザに対応する入金処理及び入出金履歴の確認処理を各ユーザの家族が行うことにより、現金払出装置10が設置してある施設の従業員及び職員による業務負担を軽減できると共に金銭トラブルの発生を抑制することが可能となる。本実施形態においても、上述した各実施形態で適宜説明した変形例の適用が可能である。
本実施形態の現金払出装置10は、ユーザの家族に対して静脈認証が成功した場合に入金を受け付ける構成であるので、予め静脈データを登録している家族のみが入金可能であり、現金払出装置10における安全性を確保できる。また、入金する家族は自身の手のひらを生体認証センサ14にかざすことによって、入金対象のユーザを指定できるので、現金の投入後に手のひらをかざせばよく操作が簡単である。また、家族の静脈データの代わりに家族用のID及びパスワードを認証用データとして用いる構成としてもよい。
(実施形態4)
現金払出装置10に対する各ユーザの出金スケジュールの設定処理、各ユーザに対応する入出金履歴の確認処理、各ユーザに対応する入金の登録処理を他の装置を介して行うことができる現金払出装置10について説明する。現金払出装置10に対する処理を行うことができる装置には、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成された端末装置を用いることができる。図14は現金払出装置10及び端末装置の内部構成例を示すブロック図である。本実施形態の現金払出装置10は、実施形態1の現金払出装置10と同様の構成を有するので、現金払出装置10についての説明は省略する。なお、図14では図示を省略しているが、本実施形態の現金払出装置10においても、記憶部12は制御プログラム12P、管理者情報DB12a及びユーザ情報DB12bを記憶し、タッチパネル13は表示部13a及び入力部13bを有し、現金受付部16は金種判別部16aを有する。
端末装置20は、制御部21、記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。端末装置20の制御部21、記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25の各部は、現金払出装置10の制御部11、記憶部12、通信部18、表示部13a、入力部13bの各部と同様の構成で実現できるので詳細な説明は省略する。なお、端末装置20の表示部24及び入力部25は、各別に設けられていてもよく、一体として構成されたタッチパネルであってもよい。また、端末装置20の記憶部22は、制御プログラム22Pのほかに、現金払出装置10を操作するための操作用アプリケーションプログラム22AP(以下では操作用アプリ22APという)を記憶する。
本実施形態では、現金払出装置10及び端末装置20はネットワークN経由で情報の送受信を行う構成を例に説明するが、現金払出装置10及び端末装置20は、例えばUSBケーブルを介して直接接続できる構成でもよく、例えばブルートゥース(登録商標)による無線通信によって情報を送受信する構成でもよい。なお、USBケーブルを介して直接接続できる構成の場合、現金払出装置10及び端末装置20のそれぞれは、USBケーブルを接続するための接続部を有する。そして管理者は、現金払出装置10に対してUSBケーブルを介して端末装置20を接続することによって、端末装置20を介して現金払出装置10に対する操作を行うことが可能となる。また、ブルートゥースによる無線通信を行う構成の場合、現金払出装置10及び端末装置20のそれぞれは、無線通信を行うためのインタフェースを有する。そして管理者は、現金払出装置10及び端末装置20の間でペアリング設定を行うことによって、端末装置20を介して現金払出装置10に対する操作を行うことが可能となる。
以下に、本実施形態において、管理者が端末装置20を操作して、ユーザに対する各種の情報を現金払出装置10に設定する処理、ユーザの入出金履歴を確認する処理、ユーザに対する入金を登録する処理を行う際に現金払出装置10及び端末装置20が行う処理について説明する。図15及び図16は現金払出装置10に対する設定処理手順の一例を示すフローチャートである。図15及び図16では左側に端末装置20が行う処理を、右側に現金払出装置10が行う処理をそれぞれ示す。以下の処理は、現金払出装置10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現され、端末装置20の記憶部22に記憶してある制御プログラム22P及び操作用アプリ22APに従って制御部21によって実現される。なお、図15中の現金払出装置10による処理のうちで、図4に示す現金払出装置10による処理と同様の処理については詳細な説明は省略する。以下の処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
なお、現金払出装置10及び端末装置20がUSBケーブルを介して直接接続される構成の場合、管理者は、現金払出装置10に対してUSBケーブルを介して端末装置20を接続した後に以下の処理を行う。また、現金払出装置10及び端末装置20がブルートゥースによる無線通信を行う構成の場合、管理者は、現金払出装置10及び端末装置20に対してペアリングモードをONに設定することにより、現金払出装置10及び端末装置20の間でペアリング処理を行った後に以下の処理を行う。
本実施形態では、管理者は操作用アプリ22APを端末装置20に起動させることによって、操作用アプリ22APを介して現金払出装置10に対する各種の操作を行うことができる。端末装置20の制御部21は、入力部25を介して操作用アプリ22APの実行指示を受け付けた場合、操作用アプリ22APを実行し、初期画面として図5Aに示すようなログイン画面を表示部24に表示する(S81)。なお、ここでのログイン画面は、図5Aに示すログイン画面から生体データ読み取りボタンが削除された構成を有する。管理者は、端末装置20に表示されたログイン画面において自身のログインID(管理者ID)及びパスワードを入力部25から入力してログインボタンを操作することにより、端末装置20を介して現金払出装置10に対するログイン処理の実行を指示する。
端末装置20の制御部21は、ログイン画面を介してログインID及びパスワード(管理者の認証用データ)を取得したか否かを判断しており(S82)、取得していないと判断した場合(S82:NO)、取得するまで待機する。制御部21は、管理者の認証用データを取得したと判断した場合(S82:YES)、取得した認証用データを通信部23から現金払出装置10へ送信する(S83)。現金払出装置10の制御部11は、通信部18を介して管理者の認証用データを受信した場合、受信した認証用データに基づいて管理者を認証する(S84)。ここでは制御部11は、図4中のステップS12と同様の処理を行う。具体的には、制御部11は、受信したログインID(管理者ID)に対応付けて管理者情報DB12aに記憶してある認証用データ(パスワード)に、受信したパスワードが一致する場合、認証成功と判断する。
制御部11は、端末装置20から受信した管理者の認証用データに基づく管理者認証が成功したか否かを判断し(S85)、失敗したと判断した場合(S85:NO)、認証に失敗したことを示す情報(認証失敗)を通信部18から端末装置20へ送信する(S86)。端末装置20の制御部21は、通信部23を介して現金払出装置10から認証失敗を示す情報を受信した場合、受信した情報を例えば表示部24に表示することにより管理者に通知する(S87)。現金払出装置10の制御部11は、管理者認証が成功したと判断した場合(S85:YES)、例えば図5Bに示すように、認証した管理者が担当するユーザの一覧画面を生成し(S88)、生成したユーザの一覧画面を通信部18から端末装置20へ送信する(S89)。
端末装置20の制御部21は、通信部23を介して現金払出装置10からユーザの一覧画面を受信した場合、受信したユーザの一覧画面を表示部24に表示する(S90)。これにより、図5Bに示すようなユーザ一覧画面が端末装置20の表示部24に表示される。制御部21は、表示中のユーザ一覧画面において、いずれかのユーザに対する選択を受け付けたか否かを判断し(S91)、受け付けていないと判断した場合(S91:NO)、受け付けるまで待機する。いずれかのユーザに対する選択を受け付けたと判断した場合(S91:YES)、制御部21は、選択されたユーザに対応して、図5Cに示すようなメニュー画面を表示部24に表示する(S92)。ここでのメニュー画面は、図5Cに示すメニュー画面からユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を削除した構成であってもよい。また制御部21は、ユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を現金払出装置10から取得することにより、図5Cに示すメニュー画面を生成してもよい。
制御部21は、表示中のメニュー画面を介してユーザに対する出金スケジュールの設定処理の実行指示を受け付けたか否かを判断し(S93)、受け付けたと判断した場合(S93:YES)、図6に示すような出金スケジュール設定画面を表示部24に表示する(S94)。ここでの出金スケジュール設定画面は、図6に示す出金スケジュール設定画面からユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を削除した構成であってもよい。また制御部21は、ユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を現金払出装置10から取得することにより、図6に示す出金スケジュール設定画面を生成してもよい。
制御部21は、出金スケジュール設定画面を介して出金スケジュールに関する設定内容を入力部25から受け付けた場合、受け付けた設定内容を各入力欄に表示する(S95)。そして制御部21は、出金スケジュール設定画面の設定ボタンが操作されることによって、入力された内容での出金スケジュールの設定指示を受け付けたか否かを判断し(S96)、受け付けていないと判断した場合(S96:NO)、ステップS95の処理を繰り返す。入力内容での設定指示を受け付けたと判断した場合(S96:YES)、制御部21は、出金スケジュール設定画面を介して受け付けた設定内容が示す出金スケジュールを通信部23から現金払出装置10へ送信する(S97)。現金払出装置10の制御部11は、端末装置20から出金スケジュールを受信した場合、受信した出金スケジュール(設定内容)を、設定対象のユーザのユーザIDに対応付けてユーザ情報DB12bに記憶する(S98)。これにより、端末装置20を介して入力されたユーザに対する出金スケジュールを現金払出装置10に登録することができる。ここでも制御部11は、出金スケジュールを記憶した後、出金スケジュールを設定した管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時及び設定対象のユーザのユーザIDを含み、出金スケジュールの設定が行われたことを示す履歴情報を管理者情報DB12aに記憶しておく。
ステップS93で出金スケジュールの設定指示を受け付けていないと判断した場合(S93:NO)、制御部11は、メニュー画面を介して入出金履歴の確認処理の実行指示を受け付けたか否かを判断する(S99)。入出金履歴の確認処理の実行指示を受け付けたと判断した場合(S99:YES)、制御部11は、処理対象のユーザの入出金履歴画面を現金払出装置10に要求する(S100)。現金払出装置10の制御部11は、端末装置20から入出金履歴画面の要求を受け付けた場合、要求されたユーザの入出金履歴をユーザ情報DB12bから読み出し、図7Aに示すような入出金履歴画面を生成する(S101)。そして制御部11は、生成した入出金履歴画面を通信部18から端末装置20へ送信する(S102)。端末装置20の制御部21は、現金払出装置10から入出金履歴画面を受信した場合、受信した入出金履歴画面を表示部24に表示する(S103)。これにより、現金払出装置10で行われたユーザに対する入出金処理の履歴を端末装置20で確認することができる。
メニュー画面を介して入出金履歴の確認指示を受け付けていないと判断した場合(S99:NO)、制御部21は、ユーザに対する入金の受付指示を受け付けたか否かを判断する(S104)。入金の受付指示を受け付けたと判断した場合(S104:YES)、制御部21は、図7Bに示すような金額受付画面を表示部24に表示する(S105)。ここでの金額受付画面は、図7Bに示す金額受付画面からユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を削除した構成であってもよい。また制御部21は、ユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を現金払出装置10から取得することにより、図7Bに示す金額受付画面を生成してもよい。
制御部21は、金額受付画面において入力部25を介して入金額を受け付け(S106)、金額受付画面中のOKボタンが操作された場合、処理対象のユーザの入金情報として、受け付けた金額及びユーザIDを現金払出装置10へ送信する(S107)。現金払出装置10の制御部11は、通信部18を介して端末装置20から入金情報を受信した場合、受信したユーザIDに対応する入金履歴として、この時点の日時及び受信した金額を含む入金履歴情報をユーザ情報DB12bに記憶する(S108)。これにより、端末装置20を介して入力されたユーザに対する入金金額を現金払出装置10に登録することができる。ここでも制御部11は、入金履歴を記憶した後、入金処理を行った管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時及びユーザのユーザIDを含み、入金が行われたことを示す履歴情報を管理者情報DB12aに記憶しておく。なお、管理者は、上述した処理によって各ユーザに対する入金額の登録を行った場合に、又は複数のユーザに対する入金額の登録を行った場合にまとめて現金払出装置10に現金を収納してもよく、このとき一括投入口10aから現金収納部に現金を投入してもよい。ここでも、一括投入口10aから現金が投入された場合、制御部11は、投入された現金の金額を金種判別部16aにて判別し、判別した金額が、端末装置20を介して入金が指示された入金額に一致するか否かを判断し、一致した場合に入金処理を完了する。一方、金種判別部16aにて判別した金額が入金額に一致しない場合、制御部11は、タッチパネル13にエラーメッセージを表示、又は端末装置20へエラーメッセージを送信して管理者に確認を促してもよい。また制御部11は、金種判別部16aにて判別した金額を投入金額としてタッチパネル13に表示又は端末装置20へ送信して管理者に投入金額の確認を促し、管理者が入金処理によって登録した入金額と、表示された投入金額とが一致することを確認した後に入力処理を完了してもよい。
メニュー画面を介して入金の受付指示を受け付けていないと判断した場合(S104:NO)、制御部21は、ステップS105〜S107の処理をスキップして処理を終了する。上述した処理により、管理者は、自身が担当するユーザの出金スケジュールの設定及び変更、各ユーザの入出金履歴の確認、各ユーザへの入金の登録を端末装置20から行うことができる。本実施形態においても、管理者は、自身の認証用データに基づいて適切な権限を有することが認証された後に、現金払出装置10の操作が可能となるので、現金払出装置10に対する安全性を確保できる。
上述した構成の本実施形態の現金払出装置10は、図8に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、本実施形態の現金払出装置10においても、ユーザが、自身の静脈データに基づいて認証された場合に、ユーザに対して現金の払い出しが行われる。よって、本実施形態では、上述した各実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態では、現金払出装置10に対する各種の設定処理、各ユーザに対応する入出金履歴の確認処理、各ユーザに対応する入金の登録処理を端末装置20にて行うことができる。これにより、管理者はこれらの処理を行う場合に現金払出装置10の設置場所まで行く必要がなく、業務負担を軽減できる。また、大規模な施設に現金払出装置10が設置されており、複数の管理者が複数の作業場所に分散している場合であっても、それぞれの管理者は自身の作業場所から端末装置20を介して現金払出装置10に対する処理を行うことができるので、業務の効率化が可能となる。本実施形態においても、上述した各実施形態で適宜説明した変形例の適用が可能である。また、本実施形態の構成は実施形態2〜3の現金払出装置10にも適用用可能であり、実施形態2〜3の現金払出装置10に適用した場合であっても同様の効果が得られる。
(実施形態5)
現金払出装置10の状態を監視し、異常が発生した場合に通知する構成を有する現金払出装置10について説明する。図17は実施形態5の現金払出装置10の内部構成例を示すブロック図である。本実施形態の現金払出装置10は、図2に示す実施形態1の構成に加え、センサ31、通知部32及びカメラ33を有する。なお、実施形態1と同様の構成については説明を省略する。
センサ31は、例えば加速度センサ、地磁気センサ、傾斜センサ、振動センサ、GPS(Global Positioning System )等のいずれかのセンサ、又は複数のセンサの組合せであり、現金払出装置10に加えられる衝撃及び振動等を検知する。センサ31は、常時検知処理を行っており、検知処理を行う都度、検知結果を示す検知信号を制御部11へ送出してもよく、検知結果に変化が生じた場合に、検知信号を制御部11へ送出してもよい。
通知部32は、ランプ、回転灯、ブザー等を含み、ランプの点灯又は点滅、回転灯の点灯、ブザーの鳴動等を行うことにより、現金払出装置10の周囲にいる人に所定の状況(例えば異常の発生)を通知する。なお、通知部32は、制御部11からの指示に従って、所定の処理を行うことによって通知処理を実現する。また通知部32は、表示部13a又はスピーカ17を用いて通知処理を行ってもよく、表示部13aへの通知メッセージの表示、スピーカ17による通知メッセージの音声出力によって通知処理を行う構成でもよい。
カメラ33は、レンズ及び撮像素子等を有する撮像装置であり、レンズを介して被写体像の画像データを取得する。カメラ33は、例えば現金払出装置10の正面側を撮影できるように設けられていてもよく、広角レンズ等を用いて現金払出装置10の周囲を撮影できるように構成されていてもよい。カメラ33は、制御部11からの指示に従って撮影処理を行い、取得した画像データ(撮影画像)を逐次記憶部12へ送出して記憶させる。カメラ33は、現金払出装置10に内蔵された構成のほかに、現金払出装置10に外付けされる構成でもよい。この場合、現金払出装置10は、外部カメラの接続が可能な接続部又は外部カメラとの無線通信が可能な無線通信部を備え、外部カメラが撮影した画像データを接続部又は無線通信部を介して取得する。なお、カメラ33はセンサ31(画像センサ)として設けられていてもよい。
本実施形態の現金払出装置10は、図4及び図8に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、本実施形態の現金払出装置10においても、管理者が各ユーザの出金スケジュールを設定及び変更し、各ユーザの入出金履歴を確認し、各ユーザの現金を入金することができる。また、ユーザが自身の静脈データに基づいて認証された場合に現金の払い出しを受けることができる。本実施形態の現金払出装置10は、図4及び図8に示す処理を行いつつ、以下の処理を行う。
図18は現金払出装置10による監視処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の処理は、現金払出装置10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現されるが、処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。本実施形態の現金払出装置10において、制御部11(検知部)は、センサ31から送出されてくる検知信号に基づいて、現金払出装置10に何らかの衝撃及び振動等が加わったこと、又は現金払出装置10が移動していること等、異常が発生しているか否かを判断する(S111)。制御部11は、異常が発生していないと判断した場合(S111:NO)、ステップS111の処理を繰り返す。
異常が発生したと判断した場合(S111:YES)、制御部11は、通知部32による通知処理を行う(S112)。例えば制御部11は、通知部32がランプを有する場合、ランプの点灯又は点滅を行い、通知部32が回転灯を有する場合、回転灯の点灯を行い、通知部32がブザーを有する場合、ブザーの鳴動を行う。これにより、現金払出装置10に異常が発生した場合に、周囲の人に異常の発生を通知できる。また制御部11は、表示部13aへの通知メッセージの表示、又はスピーカ17による通知メッセージの音声出力を行うことによって異常の発生を通知してもよい。
また制御部11は、カメラ33による撮影処理を行う(S113)。これにより、現金払出装置10に異常が発生した場合に、現金払出装置10の周囲の状態を撮影して記録することができる。更に制御部11は、センサ31から送出されてくる検知信号を記憶部12に記憶する処理を行う(S114)。これにより、現金払出装置10に異常が発生した場合に、センサ31によって検知された現金払出装置10の状態を記録することができる。なお、制御部11は、現金払出装置10に異常が発生した場合だけでなく、検知信号を記憶部12に記憶する処理を常時行う構成でもよい。上述した処理により、本実施形態の現金払出装置10では、何らかの異常が発生した場合に、周囲の人に通知することができ、現金払出装置10の周囲を録画することができ、現金払出装置10の状態の検知結果を記録することができる。
本実施形態では、上述した各実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態では、現金払出装置10に異常が発生したことを周囲の人に通知できるので、管理者等が異常の発生を早期に把握できる。よって、現金払出装置10に発生した異常を早期に解決することが可能となる。現金払出装置10に発生する異常とは、例えば現金払出装置10に対する盗難又は損壊等のほかに、例えばユーザ等が現金払出装置10を操作中に倒れた場合、又は現金払出装置10の近くの通行人が倒れた場合に現金払出装置10に衝撃が加わった場合も含まれる。よって、このような場合には、倒れたユーザ等の対応を早期に行うことが可能となる。また本実施形態では、現金払出装置10に異常が発生した後の周囲の映像及びセンサ31による検知信号が蓄積されるので、これらの情報を用いて、現金払出装置10に発生した異常の状況を把握することが可能となる。よって、現金払出装置10に発生した異常を円滑に解決することが可能となる。
本実施形態において、現金払出装置10は、異常が発生した場合に、所定の装置へ異常の発生を通知するように構成されていてもよい。例えば所定の装置の宛先情報を記憶部12に記憶しておき、制御部11は、異常が発生したと判断した場合に、記憶してある宛先情報を用いて、異常の発生を示すメッセージを所定の装置へ送信してもよい。このような構成では、現金払出装置10に異常が発生した場合に、センサ31のGPSによって測位した現在地の情報(経度及び緯度の情報)を所定の装置へ送信することが可能となる。よって、例えば現金払出装置10が盗難されて運び出されている場合に、現金払出装置10の追跡が可能となり、盗難事件の早期解決に寄与することができる。本実施形態においても、上述した各実施形態で適宜説明した変形例の適用が可能である。また、本実施形態の構成は実施形態2〜4の現金払出装置10にも適用用可能であり、実施形態2〜4の現金払出装置10に適用した場合であっても同様の効果が得られる。
(実施形態6)
上述した実施形態1〜5の現金払出装置10において、更に他の機能を有する現金払出装置10について説明する。本実施形態の現金払出装置10は、装置内部に収納されている金種毎の収納残高と、各ユーザの出金スケジュールに基づく金種毎の払出予定額とに基づいて、装置内部の現金を両替する必要があるか否かを判定する両替要否判定機能を有する。また本実施形態の現金払出装置10は、装置内部に収納されている現金の収納残高と、各ユーザの入出金履歴に基づいて算出される各ユーザの残高(以下では帳簿残高という)の合計額とが一致しているか否かを確認する残高照合機能を有する。本実施形態の現金払出装置10は、実施形態1の現金払出装置10と同様の構成を有するので、構成についての説明は省略する。また、本実施形態の現金払出装置10は、図4及び図8に示す処理と同様の処理の実行が可能であり、図4及び図8に示す処理を行いつつ、以下の処理を行う。
図19は、両替要否判定処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の現金払出装置10において、制御部11は、現金収納部に収納されている現金の金種毎の総額(収納残高)を管理しており、金種毎の収納残高を記憶部12に記憶している。また制御部11は、各ユーザに設定されている出金スケジュールに基づいて、例えば3日間又は1週間等の所定期間内に各ユーザに対して払い出される予定の現金について金種毎の合計額(払出予定額)を管理しており、金種毎の払出予定額を記憶部12に記憶している。なお、制御部11は、1日分の金種毎の払出予定額を管理していてもよい。
制御部11は、例えば管理者、ユーザ自身又はユーザの家族が入金処理を行うことによって一括投入口10a又は現金投入口10bから投入された現金を現金収納部に収納したか否かを判断している(S121)。投入された現金を収納したと判断した場合(S121:YES)、制御部11(算出部)は、収納した現金の金種毎の金額(投入額)を、この時点での金種毎の収納残高に加算する(S122)。制御部11は、加算後の金種毎の収納残高を記憶部12に記憶する。これにより、制御部11は、現金払出装置10に現金が収納される都度、装置内部に収納されている現金の金種毎の収納残高(合計額)を更新できる。金種毎の収納残高を更新した後、制御部11は、更新後の金種毎の収納残高と、この時点で記憶部12に記憶してある金種毎の払出予定額とに基づいて、払出予定額の払い出しが可能であるか否かを判定する(S123)。ここでは、制御部11は、金種毎に収納残高が払出予定額以上であるか否かを判断し、収納残高が払出予定額以上である金種は、払い出し可能であると判定し、収納残高が払出予定額未満である金種は、払い出し可能でなく両替が必要であると判定する。即ち、制御部11(特定部)は、金種毎の収納残高及び払出予定額に基づいて、両替が必要な金種を特定する。
制御部11は、全ての金種について払い出し可能であると判断した場合(S123:YES)、処理を終了し、いずれかの金種について払い出し可能でないと判断した場合(S123:NO)、両替が必要であることを通知する(S124)。例えば制御部11は、両替が必要な金種があることを示すメッセージをタッチパネル13に表示又はスピーカ17から音声出力することによって通知する。また制御部11は、通知部32による通知処理によって両替が必要であることを通知してもよい。更に、現金払出装置10が所定の装置へ通知情報を送信するように構成されている場合、制御部11は、両替が必要な金種があることを示すメッセージを所定の装置へ送信してもよい。
現金を収納していないと判断した場合(S121:NO)、制御部11は、ユーザが出金処理を行うことによって現金払出部15にて現金を払い出したか否かを判断する(S125)。現金を払い出したと判断した場合(S125:YES)、制御部11(算出部)は、払い出された現金の金種毎の金額(出金額)を、この時点での金種毎の収納残高から減算し(S126)、減算後の金種毎の収納残高を記憶部12に記憶する。これにより、制御部11は、現金払出装置10が現金を払い出す都度、装置内部に収納されている現金の金種毎の収納残高(合計額)を更新できる。金種毎の収納残高を更新した後、制御部11は、ステップS123の処理に移行し、更新後の金種毎の収納残高と、この時点で記憶部12に記憶してある金種毎の払出予定額とに基づいて、払出予定額の払い出しが可能であるか否かを判定する(S123)。
現金を払い出していないと判断した場合(S125:NO)、制御部11は、例えば管理者又はユーザの家族がユーザの出金スケジュールの設定処理又は変更処理を行うことによっていずれかのユーザの出金スケジュールが変更されたか否かを判断している(S127)。いずれかのユーザの出金スケジュールが変更されたと判断した場合(S127:YES)、制御部11(払出予定額算出部)は、変更された出金スケジュールに基づいて、所定期間内における金種毎の払出予定額を算出する(S128)。例えば制御部11は、この時点での金種毎の払出予定額に対して、出金スケジュールの変更による、所定期間内における払い出し予定の金種毎の増減額を加算又は減算することにより、金種毎の払出予定額を更新する。制御部11は、加算後の金種毎の払出予定額を記憶部12に記憶する。これにより、制御部11は、各ユーザの出金スケジュールが変更される都度、所定期間内に払い出される予定の金種毎の払出予定額を更新できる。金種毎の払出予定額を更新した後、制御部11は、ステップS123の処理に移行し、更新後の金種毎の払出予定額と、この時点で記憶部12に記憶してある金種毎の収納残高とに基づいて、払出予定額の払い出しが可能であるか否かを判定する(S123)。なお、いずれのユーザの出金スケジュールも変更されていないと判断した場合(S127:NO)、制御部11はステップS121の処理に戻る。
上述した処理により、本実施形態の現金払出装置10では、現金払出装置10内に収納される現金が増加(入金)又は減少(払い出し)する都度、金種毎の収納残高が算出され、各ユーザの出金スケジュールが変更される都度、所定期間に払い出される予定の金種毎の払出予定額が算出される。このように算出した金種毎の収納残高と、所定期間における金種毎の払出予定額とに基づいて、所定期間内に払い出される予定の金種毎の払出予定額が不足しているか否かを管理でき、不足している場合には両替が必要であることを通知できる。
本実施形態の現金払出装置10において、制御部11は、金種毎の収納残高と、1日分の金種毎の払出予定額とに基づいて、何日後に払い出しができなくなるかを算出して通知してもよい。この場合、管理者は、両替が必要なタイミングを把握することができる。また、本実施形態の現金払出装置10において両替モードを設けておき、両替モードが選択された場合に、現金収納部に収納されている紙幣を現金投入口10bから排出するように構成されていてもよい。このような構成によれば、例えば管理者が100円硬貨を現金投入口10bから10枚投入して1000円紙幣への両替実行を指示した場合に、制御部11は、現金収納部に収納してある1000円紙幣を現金払出部15にて現金投入口10bから排出することにより、両替処理が完了する。この場合、現金払出装置10の正面側の現金投入口10bを介して両替処理が可能となるので、管理者は一括投入口10aの鍵を開閉することなく手軽に両替することが可能となる。
図20は、残高照合処理手順の一例を示すフローチャートである。図20に示す処理において、現金払出装置10の制御部11は、現金収納部に収納されている現金の総額(収納残高)を管理しており、収納残高(収納総額)を記憶部12に記憶している。また制御部11は、各ユーザに対する入出金処理の履歴に基づいて各ユーザの残高(帳簿残高)を管理しており、各ユーザの帳簿残高の合計額を記憶部12に記憶している。なお、制御部11は、ユーザ毎の帳簿残高を記憶部12に記憶してもよい。
制御部11は、図19中のステップS121と同様に、一括投入口10a又は現金投入口10bから投入された現金を現金収納部に収納したか否かを判断する(S131)。投入された現金を収納したと判断した場合(S131:YES)、制御部11(収納額算出部)は、収納した現金の金額(投入額)を、この時点での収納残高(収納総額)に加算する(S132)。制御部11は、加算後の収納残高を記憶部12に記憶することにより、現金払出装置10に現金が収納される都度、装置内部に収納されている現金の合計額(収納残高)を更新できる。収納残高を更新した後、制御部11(判断部)は、更新後の収納残高と、この時点で記憶部12に記憶してある各ユーザの帳簿残高の合計額とが一致するか否かを判断する(S133)。
制御部11は、更新後の収納残高と各ユーザの帳簿残高の合計額とが一致すると判断した場合(S133:YES)、処理を終了し、一致しないと判断した場合(S133:NO)、この時点の日時と、収納残高と帳簿残高の合計額との差額を含む不一致情報を記憶部12に記憶する(S134)。そして制御部11は、収納残高と帳簿残高の合計額とが一致しないことを通知する(S135)。例えば制御部11は、収納残高と帳簿残高の合計額とが一致しないことを示すメッセージをタッチパネル13に表示又はスピーカ17から音声出力することによって通知する。また制御部11は、通知部32による通知処理によって収納残高と帳簿残高の合計額とが一致しないことを通知してもよい。更に、現金払出装置10が所定の装置へ通知情報を送信するように構成されている場合、制御部11は、収納残高と帳簿残高の合計額とが一致しないことを示すメッセージを所定の装置へ送信してもよい。
現金を収納していないと判断した場合(S131:NO)、制御部11は、ユーザが出金処理を行うことによって現金払出部15にて現金を払い出したか否かを判断する(S136)。現金を払い出したと判断した場合(S136:YES)、制御部11(収納額算出部)は、払い出された現金の金額(出金額)を、この時点での収納残高から減算し(S137)、減算後の収納残高を記憶部12に記憶する。これにより、制御部11は、現金払出装置10が現金を払い出す都度、装置内部に収納されている現金の収納残高(合計額)を更新できる。また制御部11(残高算出部)は、払い出された現金の金額(出金額)を、この時点での帳簿残高の合計額から減算し(S138)、減算後の帳簿残高を記憶部12に記憶する。これにより、制御部11は、現金払出装置10が現金を払い出す都度、各ユーザの出金処理に基づいて変化する帳簿残高の合計額を更新できる。帳簿残高の合計額を更新した後、制御部11は、ステップS133の処理に移行し、更新後の帳簿残高の合計額と、この時点で記憶部12に記憶してある収納残高とが一致するか否かを判断する(S133)。
現金を払い出していないと判断した場合(S136:NO)、制御部11は、例えば管理者又はユーザの家族によってユーザの入金処理(入金登録)が行われたか否かを判断する(S139)。いずれかのユーザの入金処理が行われたと判断した場合(S139:YES)、制御部11(残高算出部)は、入金処理によって入金された金額(入金額)を、この時点での帳簿残高の合計額に加算し(S140)、加算後の帳簿残高を記憶部12に記憶する。これにより、制御部11は、いずれかのユーザに対する入金登録が行われる都度、各ユーザの入金処理に基づいて変化する帳簿残高の合計額を更新できる。帳簿残高の合計額を更新した後、制御部11は、ステップS133の処理に移行し、更新後の帳簿残高の合計額と、この時点で記憶部12に記憶してある収納残高とが一致するか否かを判断する(S133)。なお、いずれのユーザに対する入金登録も行われていないと判断した場合(S139:NO)、制御部11はステップS131の処理に戻る。
上述した処理により、本実施形態の現金払出装置10では、現金払出装置10内に収納される現金が増加(入金)する都度、収納残高が算出され、収納される現金が減少(払い出し)する都度、収納残高及び各ユーザの帳簿残高の合計額が算出され、各ユーザの入金処理が行われる都度、各ユーザの帳簿残高の合計額が算出される。このように算出した収納残高と帳簿残高の合計額とに基づいて、現金払出装置10内に実際に収納されている現金の残高と、各ユーザの入出金処理に基づく帳簿上の残高とが一致するか否かを管理でき、一致しない場合には一致しないことを通知できる。
本実施形態の現金払出装置10において、制御部11は、ステップS133で更新後の収納残高と各ユーザの帳簿残高の合計額とが一致すると判断した場合に(S133:YES)、この時点の日時と、収納残高と帳簿残高の合計額とが一致することを示す一致情報を記憶部12に記憶してもよい。この場合、一致情報及び不一致情報を蓄積することができ、どの時点で不一致となったか等の解析を行うことが可能となる。また、制御部11は、記憶部12に記憶してある現在の収納残高と、現在の帳簿残高の合計額とに基づく残高照合処理を定期的に行い、処理結果を随時蓄積するように構成されていてもよい。
また、本実施形態の現金払出装置10において、制御部11は、図19の処理と図20の処理とをまとめて実行してもよい。例えば、制御部11は、投入された現金を現金収納部に収納したと判断した場合(S121,S131:YES)、ステップS122の処理とステップS132の処理とを行い、その後、ステップS123の処理とステップS133の処理とを行ってもよい。また、制御部11は、現金を払い出したと判断した場合(S125,S136:YES)、ステップS126の処理とステップS137〜S138の処理とを行い、その後、ステップS123の処理とステップS133の処理とを行ってもよい。更に、制御部11は、ステップS127でいずれのユーザの出金スケジュールも変更されていないと判断した場合に(S127:NO)、ステップS139以降の処理を行ってもよい。
本実施形態では、上述した各実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態では、装置内部の現金を両替する必要がある場合に通知できるので、管理者は装置内部の金種毎の残高を把握できる。よって、管理者は、装置内部に収納されている金種毎の残高を確認する必要がなく、両替が必要であることを通知された場合に両替を行えばよい。また本実施形態では、装置内部に実際に収納されている現金の収納残高と、各ユーザの帳簿上の残高の合計額とが一致しているか否かを照合し、一致しない場合に通知できるので、管理者は、残高の不一致を早期に把握できる。よって、管理者は、装置内部に収納されている残高と、各ユーザの帳簿上の残高の合計額とが一致するか否かを確認する必要がない。このように、本実施形態の現金払出装置10では、管理者の業務負担を軽減することができる。本実施形態においても、上述した各実施形態で適宜説明した変形例の適用が可能である。また、本実施形態の構成は実施形態2〜5の現金払出装置10にも適用用可能であり、実施形態2〜5の現金払出装置10に適用した場合であっても同様の効果が得られる。
上述した各実施形態において、現金払出装置10に対して行われた各種の設定処理及び入金処理、現金払出装置10が行った出金処理及び各ユーザの入出金履歴の出力処理等、現金払出装置10における各種処理の履歴情報を定期的に所定の装置へ送信するように構成されていてもよい。例えば1日に1回、現金払出装置10に行われた出金スケジュールの設定処理の履歴(設定時刻、設定対象のユーザ及び設定内容の情報)、現金払出装置10に行われた入金処理の履歴(入金時刻、入金対象のユーザ及び入金額の情報)、現金払出装置10が行った出金処理の履歴(出金時刻及び出金したユーザの情報)、現金払出装置10に行われた各種の設定処理の履歴(設定時刻及び設定内容の情報)等を所定の装置へ送信するように構成されていてもよい。この場合、現金払出装置10の管理者は、現金払出装置10における各種の処理内容を定期的に所定の装置にて確認することができる。
また、上述した各実施形態において、ユーザ毎に予め通知先装置を登録しておき、ユーザ毎に行われた各種の設定処理の履歴及び各ユーザの入出金履歴を定期的に通知先装置へ送信するように構成されていてもよい。例えば1ヶ月に1回、ユーザが行った出金処理の履歴、ユーザに対応して行われた入金処理の履歴、ユーザに対して設定されている設定内容等を通知先装置へ送信するように構成されていてもよい。この場合、ユーザの家族は、予め登録した通知先装置を介して、ユーザによる現金払出装置10からの出金状況及び入金状況、ユーザに対して設定された各種の設定内容を確認することができる。よって、ユーザの家族は、ユーザによる出金状況及び残高を、現金払出装置10を操作することなく確認できるので、高い利便性を実現できる。特にユーザと別居している家族は、定期的に現金をユーザに手渡しする手間が解消されるだけでなく、ユーザによる出金状況を遠隔から把握できるので、より利便性を向上させることができる。
(実施形態7)
上述した実施形態1〜6の現金払出装置10を複数設け、それぞれの現金払出装置10で行われた出金処理及び入金処理に基づく各ユーザの残高及び各現金払出装置10の収納残高をサーバで管理する現金払出システムについて説明する。本実施形態の現金払出システムでは、管理者又はユーザの家族がいずれかの現金払出装置10を用いて、ユーザの出金スケジュールを含む各種情報の設定処理を行った場合に、設定内容がサーバに登録される。図21は現金払出システムの構成例を示すブロック図である。本実施形態では、現金払出装置10は、実施形態1の現金払出装置10と同様の装置として説明する。本実施形態の現金払出システムは、複数の現金払出装置10と、サーバ40とを有し、それぞれの現金払出装置10及びサーバ40は例えばLANに接続されている。なお、現金払出装置10及びサーバ40がインターネット等のネットワークを介して接続される構成でもよい。複数の現金払出装置10は、例えば医療施設、福祉施設、特定感染症の感染防止のための隔離用の宿泊施設等、各種施設の各フロア又は各エリアに設置されて利用される。サーバ40は、各施設に設けられていてもよく、複数の施設で共用されてもよい。
サーバ40は、種々の情報処理及び情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータを用いて構成される。サーバ40は、複数台設けられて分散処理する構成でもよいし、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されていてもよいし、クラウドサーバを用いて実現されていてもよい。サーバ40は、制御部41、記憶部42、通信部43、表示部44、入力部45等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。サーバ40の制御部41、記憶部42、通信部43、表示部44、入力部45のそれぞれは、現金払出装置10の制御部11、記憶部12、通信部18、表示部13a、入力部13bと同様の構成であるので詳細な説明は省略する。なお、サーバ40の記憶部42は、制御部41が実行する制御プログラム42Pに加え、装置情報DB42a、管理者情報DB42b及びユーザ情報DB42cを記憶している。
図22は装置情報DB42aの構成例を示す模式図である。装置情報DB42aは、1つの施設内に設置された現金払出装置10に関する情報を記憶する。図22に示す装置情報DB42aは、装置ID列、管理者ID列、ユーザID列、残高情報列等を含み、装置IDに対応付けて現金払出装置10の各情報を記憶する。装置ID列は、各現金払出装置10に割り当てられた識別情報(装置ID)を記憶する。管理者ID列は、各現金払出装置10の管理業務を担当する管理者の管理者IDを記憶し、ユーザID列は、各現金払出装置10を利用するユーザのユーザIDを記憶する。残高情報列は、現金払出装置10に収納されている現金の収納残高を記憶し、具体的には、金種毎の収納枚数を記憶する。図22に示す装置情報DB42aは、100円硬貨、500円硬貨、1000円札の各金種の枚数を記憶する構成であるが、現金払出装置10で使用可能な硬貨及び紙幣の各金種の収納枚数又は収納金額が記憶される構成であればよい。なお、残高情報は、各金種に対する入金履歴情報及び出金履歴情報を含んでいてもよい。例えば入金履歴情報は、入金日時、入金額(入金枚数)及び入金対象のユーザのユーザIDを含んでもよく、出金履歴情報は、出金日時、出金額(出金枚数)、出金したユーザのユーザID等を含んでもよい。このような残高情報を装置情報DB42a(装置残高記憶部)に記憶することにより、それぞれの現金払出装置10に収納されている現金の収納残高を管理できる。
装置情報DB42aに記憶される装置IDは、新たな現金払出装置10が設置された場合に制御部41によって発行されて記憶される。装置情報DB42aに記憶される残高情報は、現金払出装置10で入金処理又は出金処理が行われた場合に、処理内容に応じて制御部41によって更新される。装置情報DB42aの記憶内容は図22に示す例に限定されず、現金払出装置10に関する各種の情報を記憶することができる。なお、各現金払出装置10を担当する管理者が割り当てられていなくてもよく、この場合、管理者ID列が設けられていなくてもよい。また、各ユーザは、例えば入居又は入院しているフロアに設置されている現金払出装置10を基本的に使用するものとするが、他のフロアに設置されている現金払出装置10、具体的には、ユーザに対応付けられていない現金払出装置10を使用して出金処理を行ってもよい。よって、ユーザID列が設けられていなくてもよい。
管理者情報DB42bは、図3Aに示す実施形態1の現金払出装置10が記憶する管理者情報DB12aと同様の構成を有する。なお、本実施形態の管理者情報DB42bは、例えば各管理者に、管理業務を担当する現金払出装置10が割り当てられている場合、装置ID列を有し、装置IDに対応付けて各管理者の情報を記憶する構成でもよい。また、本実施形態のユーザ情報DB42cは、図3Bに示す実施形態1の現金払出装置10が記憶するユーザ情報DB12bと同様の構成を有する。なお、本実施形態のユーザ情報DB42cは、例えば各ユーザに対して、使用する現金払出装置10が割り当てられている場合、装置ID列を有し、装置IDに対応付けて各ユーザの情報を記憶する構成でもよい。また、ユーザ情報DB42cに記憶される入出金履歴情報は、入出金した日時及び金額と、入出金した時点での残高とを含み、このような入出金履歴情報をユーザ情報DB42c(ユーザ残高記憶部)に蓄積することにより、各ユーザの残高(帳簿残高)を管理できる。
本実施形態において、管理者に関する情報及びユーザに関する情報は、サーバ40のみで管理される構成でもよい。例えばサーバ40が管理者情報DB42b及びユーザ情報DB42cを記憶し、各現金払出装置10は管理者情報DB12a及びユーザ情報DB12bを記憶しない構成としてもよい。この場合、例えば現金払出装置10は、管理者の情報又はユーザの情報を、必要に応じてサーバ40から取得するように構成されていればよい。以下では、各現金払出装置10が管理者情報DB12a及びユーザ情報DB12bを記憶する構成とする。この構成では、サーバ40又はいずれかの現金払出装置10を用いて、管理者に関する情報又はユーザに関する情報が更新された場合に、各現金払出装置10における管理者情報DB12a又はユーザ情報DB12bの記憶内容と、サーバ40における管理者情報DB42b又はユーザ情報DB42cの記憶内容とが一致するように各DBの更新処理を行う。
次に、本実施形態の現金払出システムにおいて、いずれかの現金払出装置10でユーザの出金スケジュールの設定処理、出金処理(払い出し処理)又は入金処理が行われた場合に、サーバ40がユーザの出金スケジュール及び残高、並びに、現金払出装置10における収納残高を管理する処理について説明する。なお、本実施形態の現金払出装置10は、図4及び図8に示す処理と同様の処理の実行が可能であり、図4及び図8に示す処理を行いつつ、以下の処理を行うものとする。
図23及び図24は、サーバ40による管理処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の現金払出装置10において、制御部11は、いずれかのユーザに対する出金スケジュールの設定処理を実行したか否かを判断する(S151)。例えば制御部11は、図4中のステップS20で、出金スケジュール設定画面を介して出金スケジュールの設定指示を受け付けたと判断した場合(S20:YES)、出金スケジュールの設定処理を実行したと判断する。なお、現金払出装置10がユーザ情報DB12bを記憶する構成の場合、制御部11は、図4中のステップS21で、ユーザの出金スケジュールをユーザ情報DB12bに記憶した場合に、出金スケジュールの設定処理を実行したと判断してもよい。制御部11(条件出力部)は、出金スケジュールの設定処理を実行したと判断した場合(S151:YES)、この時点の日時(設定日時)、自装置の装置ID、設定処理を行った管理者の管理者ID、設定対象のユーザのユーザID、及び設定内容(出金条件)を含む設定情報をサーバ40へ送信する(S152)。なお、装置IDは現金払出装置10の記憶部12に記憶してあるものとする。
サーバ40の制御部41(設定部)は、現金払出装置10が送信した設定情報を取得し、設定情報に含まれるユーザIDに対応する出金スケジュールとして、設定情報に含まれる設定内容をユーザ情報DB42cに記憶する(S153)。その後、制御部41は、設定情報に含まれる管理者IDに対応する作業履歴として、設定情報に含まれる設定日時、装置ID及びユーザIDを含み、出金スケジュールの設定が行われたことを示す履歴情報を管理者情報DB42bに記憶しておく。これにより、管理者が行った出金スケジュールの設定処理の作業履歴をサーバ40で管理することができる。
ステップS151で制御部11は、出金スケジュールの設定処理を実行していないと判断した場合(S151:NO)、ステップS154に処理を移行し、現金の払い出し(出金処理)を実行したか否かを判断する(S154)。例えば制御部11は、図8中のステップS35で、出金スケジュールで設定されている金額の現金を払い出した(出金した)場合、現金の払い出しを実行したと判断する。なお、現金払出装置10がユーザ情報DB12bを記憶する構成の場合、制御部11は、図8中のステップS36で、ユーザの出金履歴情報をユーザ情報DB12bに記憶した場合に、現金の払い出しを実行したと判断してもよい。制御部11(出力部、払い出し情報出力部)は、現金の払い出しを実行したと判断した場合(S154:YES)、この時点の日時(出金日時)、自装置の装置ID、出金したユーザのユーザID(ユーザに関する情報)、及び出金した金額を含む払い出し情報をサーバ40へ送信する(S155)。なお、払い出し情報に含まれる金額は、金種毎の払い出し金額又は払い出し枚数である。
サーバ40の制御部41(取得部)は、現金払出装置10が送信した払い出し情報を取得する。そして、制御部41は、払い出し情報に含まれるユーザIDに対応する出金履歴として、払い出し情報に含まれる出金日時及び出金した金額を含む出金履歴情報をユーザ情報DB42cに記憶する(S156)。なお、制御部41は、払い出し情報に含まれる装置IDも出金履歴情報に含めてユーザ情報DB42cに記憶してもよい。また制御部41は、出金履歴情報をユーザ情報DB42cに記憶する際に、このユーザの残高を算出し、算出した残高も出金履歴情報に含めて記憶する。このようにユーザの出金履歴と共に残高をユーザ情報DB42cに蓄積することにより、制御部41(ユーザ残高更新部)は、現金払出装置10から取得する払い出し情報に基づいて、ユーザ情報DB42cに記憶してある各ユーザの残高(帳簿残高)を更新することができる。
制御部41は、算出したユーザの残高に基づいて、この残高をユーザ又はユーザの家族に通知する必要があるか否かを判断する(S157)。例えば、ユーザ毎に、通知すべき残高を登録しておき、制御部41は、各ユーザの残高を算出した場合に、このユーザの残高が、登録されている通知すべき残高未満であるか否かに応じて、残高を通知する必要があるか否かを判断する。残高を通知する必要があると判断した場合(S157:YES)、即ち、ユーザの残高が、登録されている通知すべき残高未満である場合、制御部41(送信部)は、ユーザ又はユーザの家族が使用する端末(ユーザに対応付けられている端末)に、残高が所定残高未満となったことを通知する処理を実行する(S158)。ここでの通知処理は、例えば電子メール、SMS(Short Message Service)、LINE(登録商標)等、メッセージを送受信するためのアプリケーションを使用して行うことが可能である。また、通知先はユーザの家族であることが好ましい。残高を通知する必要がないと判断した場合(S157:NO)、制御部41は、ステップS158の処理をスキップする。
次に、制御部41(装置残高更新部)は、払い出し情報を送信してきた現金払出装置10における収納残高(残高情報)を更新する(S159)。具体的には、制御部41は、装置情報DB42aに記憶してある残高情報のうちで、払い出し情報に含まれる装置IDに対応する残高情報を、払い出し情報に含まれる出金額(金種毎の払い出し金額又は払い出し枚数)に基づいて更新する。より具体的には、制御部41は、装置情報DB42aに記憶してある残高情報において、各金種の枚数から、払い出し枚数を減算し、減算後の各金種の枚数を装置情報DB42aに記憶する。なお、制御部41は、各金種について、出金日時及び払い出し枚数を含む出金履歴情報を装置情報DB42aに記憶してもよく、更に出金したユーザのユーザIDも含む出金履歴情報を記憶してもよい。
制御部41は、更新した現金払出装置10の収納残高に基づいて、この残高情報を管理者に通知する必要があるか否かを判断する(S160)。例えば、金種毎に、通知すべき残りの枚数を登録しておき、制御部41は、各金種の枚数が、登録されている通知すべき枚数未満であるか否かに応じて、収納残高を通知する必要があるか否かを判断する。なお、金種毎の通知すべき残りの枚数は、現金払出装置10毎に設定されてもよく、この場合、現金払出装置10の使用状況(払い出し状況)に応じた枚数の設定が可能となる。収納残高を通知する必要があると判断した場合(S160:YES)、即ち、現金払出装置10の収納残高が、登録されている通知すべき残りの枚数未満である場合、制御部41(残高通知部)は、管理者が使用する端末(管理者に対応付けられている端末)に、当該現金払出装置10の収納残高が所定枚数未満となったことを通知する処理を実行する(S161)。これにより、管理者は、収納残高が少ない現金払出装置10を早期に把握することができる。ここでも、メッセージを送受信するための各種のアプリケーションを使用して通知処理を行うことが可能である。収納残高を通知する必要がないと判断した場合(S160:NO)、制御部41は、ステップS161の処理をスキップする。
ステップS154で制御部11は、現金の払い出しを実行していないと判断した場合(S154:NO)、ステップS162に処理を移行し、入金処理を実行したか否かを判断する(S162)。例えば制御部11は、図4中のステップS27でユーザの入金履歴情報をユーザ情報DB12bに記憶した場合、入金処理を実行したと判断する。また、制御部11は、図4中のステップS26で金額受付画面を介して入金額を受け付け、一括投入口10a又は現金投入口10bから投入された現金の金額(金種毎の金額)を判別した場合に、入金処理を実行したと判断してもよい。更に、本実施形態の現金払出装置10が、実施形態2の現金払出装置10の構成を有する場合、制御部11は、図9中のステップS48でユーザの入金履歴情報をユーザ情報DB12bに記憶した場合に、入金処理を実行したと判断してもよい。また、本実施形態の現金払出装置10が、実施形態3の現金払出装置10の構成を有する場合、制御部11は、図12中のステップS63でユーザの入金履歴情報をユーザ情報DB12bに記憶した場合に、入金処理を実行したと判断してもよい。
制御部11は、入金処理を実行したと判断した場合(S162:YES)、この時点の日時(入金日時)、自装置の装置ID、入金対象のユーザのユーザID、及び入金額を含む入金情報をサーバ40へ送信する(S163)。なお、入金情報に含まれる金額は、金種毎の金額又は金種毎に投入された枚数である。サーバ40の制御部41は、現金払出装置10が送信した入金情報を取得する。そして、制御部41は、入金情報に含まれるユーザIDに対応する入金履歴として、入金情報に含まれる入金日時及び入金額を含む入金履歴情報をユーザ情報DB42cに記憶する(S164)。なお、制御部41は、入金情報に含まれる装置IDも入金履歴情報に含めてユーザ情報DB42cに記憶してもよい。また制御部41は、入金履歴情報をユーザ情報DB42cに記憶する際に、このユーザの残高を算出し、算出した残高も入金履歴情報に含めて記憶する。これにより、制御部41は、現金払出装置10から取得する入金情報に基づいて、ユーザ情報DB42cに記憶してある各ユーザの残高(帳簿残高)を更新することができる。
次に、制御部41は、入金情報を送信してきた現金払出装置10における収納残高(残高情報)を更新する(S165)。具体的には、制御部41は、装置情報DB42aに記憶してある残高情報のうちで、入金情報に含まれる装置IDに対応する残高情報を、入金情報に含まれる入金額(金種毎の入金額又は投入枚数)に基づいて更新する。より具体的には、制御部41は、装置情報DB42aに記憶してある残高情報において、各金種の枚数に投入枚数を加算し、加算後の各金種の枚数を装置情報DB42aに記憶する。なお、制御部41は、各金種について、入金日時及び投入枚数を含む入金履歴情報を装置情報DB42aに記憶してもよく、更に入金対象のユーザのユーザIDも含む入金履歴情報を記憶してもよい。
制御部11は、入金処理を実行していないと判断した場合(S162:NO)、一連の処理を終了する。なお、制御部11は、いずれかのユーザに対する設定処理(出金スケジュールの設定)を実行したと判断する都度、現金の払い出しを実行したと判断する都度、又は、入金処理を実行したと判断する都度、上述し処理を繰り返す。これにより、ユーザ情報DB42cに登録されているユーザの出金スケジュールが更新され、また、ユーザに対する入出金履歴がユーザ情報DB42cに蓄積されると共に、装置情報DB42aに記憶してある現金払出装置10の収納残高が更新される。よって、本実施形態では、施設内に設置された複数の現金払出装置10のそれぞれで設定処理、入金処理又は出金処理が行われた場合に、各ユーザに対する設定内容又は入出金履歴情報がサーバ40のユーザ情報DB42cに記憶され、各現金払出装置10に対する入出金履歴情報(残高情報)がサーバ40の装置情報DB42aに記憶される。従って、各ユーザの出金スケジュール、各ユーザの残高及び各現金払出装置10の収納残高がサーバ40で一括管理されるので、出金処理を行うユーザは、施設内のどの現金払出装置10から出金してもよく、入金処理を行う管理者又はユーザの家族等は、施設内のどの現金払出装置10に対して入金を行ってもよい。よって、現金払出装置10を利用する利用者(ユーザ、管理者、ユーザの家族等)は、利用し易い場所に設置してある現金払出装置10を利用することができる。
本実施形態では、出金スケジュール等の設定、現金の入金(投入)及び出金(払い出し)の実行が可能な現金払出装置10を複数設け、それぞれの現金払出装置10で行われた設定内容での設定、入出金に応じたユーザの残高(入出金履歴)及び現金払出装置10の収納残高(入出金履歴)の管理をサーバ40で行う構成であるが、このような構成に限定されない。例えば、サーバ40が行うユーザの各種条件の設定、ユーザの残高(入出金履歴)及び現金払出装置10の収納残高(入出金履歴)の管理を、複数の現金払出装置10のうちの1つの現金払出装置10(管理用の現金払出装置10)で行うように構成されていてもよい。この場合、各現金払出装置10は、いずれかのユーザに対する設定処理を行った場合に設定情報を管理用の現金払出装置10へ送信し、出金処理を行った場合に払い出し情報を管理用の現金払出装置10へ送信し、更に、入金処理を行った場合に入金情報を管理用の現金払出装置10へ送信する。そして、管理用の現金払出装置10は、他の現金払出装置10から取得する設定情報、払い出し情報及び入金情報に基づいて、各ユーザの出金スケジュール等の設定、各ユーザの残高及び各現金払出装置10の収納残高の管理を行う。このような構成においても、本実施形態と同様の処理が可能であり、同様の効果が得られる。
本実施形態では、それぞれの現金払出装置10は、ユーザに対する設定処理及び入金処理、ユーザによる出金処理、ユーザの入出金履歴の確認処理を実行するように構成されている。このような構成の現金払出装置10において、例えば、出金処理のみを実行する出金モード、入金処理及び入出金履歴の確認処理を実行する家族用モード、設定処理及び入金処理を実行する管理者用モード等を設け、これらのモードを切り替えて使用できるように構成されていてもよい。この場合、各現金払出装置10の設置場所に応じたモードを設定しておくことにより、各現金払出装置10が行う処理を削減することができ、現金払出装置10による処理負担を軽減できる。例えば、医療機関の病室フロアに設置され、入院患者であるユーザが出金のためだけに利用する現金払出装置10に対して出金モードが設定されてもよい。また、医療機関のエントランスに設置され、ユーザの家族等が入金及び履歴確認に利用する現金払出装置10に対して家族用モードが設定されてもよい。更に、医療機関のナースステーション又はスタッフステーションの近傍に設置され、管理者が設定処理及び入金に利用する現金払出装置10に対して管理者用モードが設定されてもよい。
本実施形態において、管理者に関する情報(管理者情報DB42b)及びユーザに関する情報(ユーザ情報DB42c)はサーバ40のみで管理されていてもよく、この場合、現金払出装置10はサーバ40との間で必要な情報を送受信する。例えば現金払出装置10が出金処理を行う場合、図8中のステップS32で、制御部11は、ユーザから取得した生体データ(静脈データ)をサーバ40へ送信し、サーバ40にユーザ認証の実行を要求する。サーバ40は、取得した静脈データを、ユーザ情報DB42cに記憶してある生体認証用データと照合してユーザ認証を行い、認証結果を現金払出装置10へ送信する。これにより、現金払出装置10は、サーバ40による認証結果を取得し、取得した認証結果に基づいて認証が成功したか否かを判断できる。また、制御部11は、図8中のステップS34で、認証したユーザの出金スケジュールをサーバ40から取得し、これにより、各ユーザに設定してある出金スケジュールに基づいて、出金が可能であるか否かを判断することができる。また、制御部11は、図4中のステップS12で、管理者から取得した認証用データをサーバ40へ送信し、サーバ40に管理者認証の実行を要求する。そして制御部11は、サーバ40から認証結果を取得することにより、管理者の認証が成功したか否かを判断できる。また、制御部11は、図4中のステップS23で、処理対象のユーザに対応付けてユーザ情報DB42cに記憶してある入出金履歴をサーバ40から取得することにより、ユーザの入出金履歴一覧を生成することができる。
上述した各実施形態の現金払出装置10は、各種の施設に設置され、施設に入居するユーザ又は施設を利用するユーザが出金処理を行い、ユーザの家族等が入金処理を行う使用形態に限定されない。例えば現金で賃金が支払われる雇用形態の会社に設けられ、賃金を支払う雇用主が入金処理を行い、被雇用者が出金処理を行って賃金の支払いを受ける使用形態でも利用可能である。この場合、被雇用者の生体認証用データを登録しておくことにより、被雇用者は、自身が所望するタイミングで賃金を取得することが可能となる。また、出金スケジュールとして出金可能な金額を設定しておくことにより、被雇用者が賃金を浪費することを抑制できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。