JP2021170322A - 安定化電源回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】出力電流の少ない軽負荷時を含めて、位相補償特性を改善可能にする。【解決手段】基準電圧と出力電圧を分圧して得られた電圧との差が零となるようにして安定化された出力電圧を出力する安定化電源回路であって、ソースが第1電源端子1に接続され、ドレインより出力電圧を得るPMOS型のトランジスタMP1と、トランジスタMP1とソースが相互に接続されたPMOS型のトランジスタMP2と、トランジスタMP2のドレインとグランドとの間に設けられた位相補償用の抵抗R3と、抵抗R3のトランジスタMP2側に接続された位相補償用のコンデンサC1と、トランジスタMP2のゲートにバイアス電圧を供給するバイアス回路9と、を備え、抵抗R3の電圧がコンデンサC1を介して、出力電圧を分圧した電圧に重畳される。【選択図】図1
Description
本発明は、安定化された出力電圧を供給可能な安定化電源回路に関する。
レギュレータ回路等により構成された安定化電源回路の従来例として、例えば特許文献1には、出力トランジスタの出力端と安定化電源回路の出力端との間に位相補償用抵抗を設けた安定化電源回路が開示されている。この安定化電源回路では、位相補償用抵抗にて生成した位相補償用信号を比較増幅手段に帰還することにより、ESRと等価的な抵抗を挿入することなく、低ESRコンデンサを出力安定化コンデンサに使用できるようになっている。
安定化電源回路では、出力の安定化を図るため位相補償回路を有しているが、特に、出力電流が少ない領域でも安定した出力電圧を得ることが課題となっている。最近では、安定化電源回路を搭載したバッテリー駆動機器等の機器の動作時間を延ばすために、安定化電源回路の消費電流の低減化が年々進んでいる。このような状況で、特に出力電流の少ない軽負荷時において、位相補償特性の改善が求められている。
本発明は、出力電流の少ない軽負荷時を含めて、位相補償特性を改善することが可能な安定化電源回路を提供することを目的とする。
本発明は、基準電圧と出力電圧を分圧して得られた電圧との差が零となるようにして安定化された出力電圧を出力する安定化電源回路であって、ソースが第1電源に接続され、ドレインより前記出力電圧を得る第1導電型の第1トランジスタと、前記第1トランジスタとソースが相互に接続された第1導電型の第2トランジスタと、前記第2トランジスタのドレインとグランド又は第2電源との間に設けられた位相補償用抵抗素子と、前記位相補償用抵抗素子の前記第2トランジスタ側に接続された位相補償用キャパシタと、前記第2トランジスタのゲートにバイアス電圧を供給するバイアス回路と、を備え、前記位相補償用抵抗素子の電圧が前記位相補償用キャパシタを介して、前記出力電圧を分圧した電圧に重畳される、安定化電源回路を提供する。
また、本発明は、上記の安定化電源回路であって、前記第1トランジスタのドレインに一端が接続され、前記出力電圧を分圧する分圧回路と、前記出力電圧を分圧した電圧と前記基準電圧との差に比例する電圧を前記第1トランジスタのゲートに供給する誤差増幅器と、を有し、前記位相補償用キャパシタは、一端が前記第2トランジスタのドレインと前記位相補償用抵抗素子に接続され、他端が前記分圧回路の共通接続点に接続される、安定化電源回路を提供する。
また、本発明は、上記の安定化電源回路であって、前記バイアス回路は、第2導電型の第3トランジスタと、定電流源とを有し、前記第3トランジスタは、ゲートが前記第1トランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記第1トランジスタのソースに接続され、ソースが前記第2トランジスタのゲートと前記定電流源とに接続される、安定化電源回路を提供する。
また、本発明は、上記の安定化電源回路であって、前記バイアス回路が供給する前記バイアス電圧は、前記第1トランジスタの前記出力電流の増加に応じて増加する、安定化電源回路を提供する。
また、本発明は、上記の安定化電源回路であって、前記バイアス回路は、第2導電型の第3トランジスタと、定電流源と、前記定電流源に並列接続され、前記出力電流に比例した電流を供給する電流源と、を有し、前記第3トランジスタは、ゲートが前記第1トランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記第1トランジスタのソースに接続され、ソースが前記第2トランジスタのゲートと、前記定電流源及び前記電流源とに接続される、安定化電源回路を提供する。
本発明によれば、出力電流の少ない軽負荷時を含めて、位相補償特性を改善することが可能な安定化電源回路を提供できる。
以下、本発明に係る安定化電源回路を具体的に開示した実施形態(以下、「本実施形態」という)について、図面を参照して詳細に説明する。
(本実施形態に至る背景)
まず、比較例として従来より用いられる安定化電源回路の一例を説明する。
まず、比較例として従来より用いられる安定化電源回路の一例を説明する。
図10は、比較例の安定化電源回路の構成を示す回路図である。図6では、低飽和動作(LDO(Low Drop-Out))が可能で安定化電圧を出力するよう構成された電源回路(以下「LDOレギュレータ回路」という)の構成例を示している。
安定化電源回路50は、電源端子51、出力端子53、基準電圧源55、誤差増幅器56を有する。電源端子51には電源電圧VDDが印加され、出力端子53より電源回路の出力として出力電圧VOUTを出力する。誤差増幅器56は、反転入力端に基準電圧VREFを供給する基準電圧源55が接続され、出力端に出力用のPMOS型のトランジスタTr1のゲートが接続される。トランジスタTr1は、ソースが電源端子51に接続され、ドレインが出力端子53及び分圧回路57に接続されている。分圧回路57は、出力端子53とグランドとの間に直列接続された分圧抵抗R1,R2により構成され、分圧抵抗R1,R2の共通接続点が誤差増幅器56の非反転入力端に接続される。
安定化電源回路50は、基準電圧源55の基準電圧VREFと、出力電圧VOUTが分圧抵抗R1,R2により抵抗分圧されて得られた帰還信号電圧との差が誤差増幅器56により増幅され、出力用のトランジスタTr1へ印加されることで、出力電圧VOUTが所定値となるような構成となっている。
誤差増幅器56の出力端は、出力用のトランジスタTr1及び位相補償用のトランジスタTr2のゲートに接続されている。トランジスタTr2のドレインは、位相補償用の抵抗R3を介してグランドに接続される。位相補償用のトランジスタTr2は、出力用のトランジスタTr1のドレイン電流をミラーする。トランジスタTr2のドレインと抵抗R3との接続点と、分圧抵抗R1,R2の接続点との間に、位相補償用のコンデンサC1が接続されている。そして、分圧抵抗R1,R2とコンデンサC1との接続点は、誤差増幅器56の非反転入力端に接続されている。出力端子53とグランドとの間には、等価直列抵抗ESRを有する安定化用コンデンサCLが接続される。また、出力端子53には、安定化電源回路50の回路負荷としての負荷抵抗RLが接続される。
安定化電源回路50において、位相補償用のコンデンサC1の容量を安定化用コンデンサCLに比して充分小さな値とすることにより、高い周波数まで位相遅れの発生が回避される。また、誤差増幅器56の非反転入力端には、出力電圧VOUTを分圧した帰還信号電圧とともに、位相補償用の抵抗R3により発生された位相補償信号がコンデンサC1を介して印加される。これにより、誤差増幅器56の非反転入力端における周波数特性により位相の遅れを打ち消し、出力端子53に接続された安定化用コンデンサCLによって発生する極を打ち消すよう作用する。このため、安定化用コンデンサCLの等価直列抵抗ESRが小さくて安定化用コンデンサCLの容量値と等価直列抵抗ESRの抵抗値により決まるゼロ点周波数が高い周波数となっても、安定化電源回路の出力電圧VOUTが不安定になることが抑止される。
上記比較例の構成では、通常負荷時には出力電圧の安定化用コンデンサCLとして低い等価直列抵抗ESRをもつセラミックコンデンサを用いることができる。しかし、出力電流が少ない軽負荷時には、出力用のトランジスタTr1のドレイン電流が少なくなり、位相補償用のトランジスタTr2はトランジスタTr1よりも小さなアスペクト比を有するため、トランジスタTr2はサブスレッショルド領域での動作となる。位相補償用のトランジスタTr2がサブスレッショルド動作中は、位相補償用の抵抗R3に電流を供給できず十分な位相補償信号が加えられないため、位相補償の効果が不十分となり発振する場合が生じ得るという課題がある。
本実施形態では、上記事情に鑑み、出力電流が少ない軽負荷時においても十分な位相補償を行うことが可能な安定化電源回路の構成例を示す。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の安定化電源回路の構成を示す回路図である。本実施形態では、安定化された電圧を出力するよう構成された電源回路において、出力電圧安定化用のコンデンサとして低い等価直列抵抗のコンデンサの使用を可能とした構成を示す。
図1は、第1の実施形態の安定化電源回路の構成を示す回路図である。本実施形態では、安定化された電圧を出力するよう構成された電源回路において、出力電圧安定化用のコンデンサとして低い等価直列抵抗のコンデンサの使用を可能とした構成を示す。
安定化電源回路10は、第1電源端子(VDD)1、出力端子(VOUT)3、基準電圧源(VREF)5、誤差増幅器(OP)6を有する。第1電源端子1は、第1電源である高電位電源としての電源電圧VDDが印加される。出力端子3は、電源回路の出力として出力電圧VOUTを出力する。誤差増幅器6は、反転入力端に基準電圧VREFを供給する基準電圧源5が接続され、出力端に出力用のトランジスタであるPMOS型のトランジスタMP1のゲートが接続される。トランジスタMP1は、第1導電型の第1トランジスタに相当し、ソースが第1電源端子1に接続され、ドレインが出力端子3及び分圧回路7に接続され、ドレインより所定の出力電圧を得る。分圧回路7は、出力端子3とグランドとの間に直列接続された分圧抵抗R1,R2により構成され、分圧抵抗R1,R2の共通接続点が誤差増幅器6の非反転入力端に接続され、出力電圧VOUTを分圧する。
安定化電源回路10では、出力電圧VOUTが分圧抵抗R1,R2により抵抗分圧されて帰還信号電圧として誤差増幅器6の非反転入力端へ印加される。そして、誤差増幅器6により反転入力端の基準電圧VREFと帰還信号電圧との差が増幅出力され、出力用のトランジスタMP1のゲートへ印加される。これにより、基準電圧と帰還信号電圧との差が零となるように制御され、出力電圧VOUTが安定化された所定値となるように構成される。
安定化電源回路10は、出力用のトランジスタMP1とソースが相互に接続された位相補償用のPMOS型のトランジスタMP2が設けられ、トランジスタMP2がトランジスタMP1のドレイン電流をミラーするような構成となっている。トランジスタMP2は、第1導電型の第2トランジスタに相当する。誤差増幅器6の出力端は、出力用のトランジスタMP1のゲートと、後述するバイアス回路9を介して位相補償用のトランジスタMP2のゲートとに接続される。位相補償用のトランジスタMP2は、出力用のトランジスタMP1よりも小さなアスペクト比を有し、例えばトランジスタMP1,MP2のゲート長が等しく、ゲート幅の比はMP1:MP2=n:1に設定されている(n>1)。トランジスタMP2にバイアス電圧を印加しない場合、トランジスタMP1,MP2のゲート−ソース間電圧は共通であるため、トランジスタMP2のドレイン電流は、トランジスタMP1のドレイン電流の1/nとなる。
トランジスタMP2のドレインは、位相補償用抵抗素子としての抵抗R3を介してグランドに接続される。トランジスタMP2のドレインと抵抗R3との接続点と、分圧抵抗R1,R2の接続点との間に、位相補償用キャパシタとしてのコンデンサC1が接続されている。そして、分圧抵抗R1,R2とコンデンサC1との接続点は、誤差増幅器6の非反転入力端に接続されている。出力端子3とグランドとの間には、等価直列抵抗ESRを有する安定化用コンデンサCLが接続される。また、出力端子3には、安定化電源回路10の回路負荷としての負荷抵抗RLが接続される。
LDOレギュレータ回路を構成する安定化電源回路10では、出力端子において発生する極の周波数fp1、ゼロ点の周波数fz1は、以下の式で表される。
fp1=1/(2π×CL×RL) …(1)
fz1=1/(2π×CL×ESR) …(2)
fp1=1/(2π×CL×RL) …(1)
fz1=1/(2π×CL×ESR) …(2)
上記式において、CL:安定化用コンデンサCLの容量値、RL:負荷抵抗RLの抵抗値、ESR:安定化用コンデンサCLの等価直列抵抗値である。
式(1)に示す通り、出力端子において発生する極の周波数fp1は、負荷抵抗RLの値により変化し、負荷抵抗RLの抵抗値が大きい場合には低い周波数に移動する。一方で、誤差増幅器6と出力用のトランジスタMP1とにおいて発生する極があるため、これら二つの極が近くなった場合、帰還電圧の位相が180°遅れて発振する場合がある。この現象は、二つの極が低い周波数帯であり、かつ安定化用コンデンサCLとして等価直列抵抗ESRが小さいセラミックコンデンサを使用した場合に、ゼロ点の周波数fz1が高周波帯となることによって生じる傾向にある。
第1の実施形態の安定化電源回路10では、位相補償用のトランジスタMP2のドレイン電流に応じて、抵抗R3の両端に発生する電圧が位相補償信号として作用し、位相補償が行われる。位相補償用の抵抗R3による位相補償信号は、コンデンサC1を介して、出力電圧VOUTを分圧抵抗R1,R2で分圧した帰還信号電圧に重畳され、誤差増幅器6の非反転入力端へ印加される。
第1の実施形態の安定化電源回路10は、位相補償用のトランジスタMP2のゲートと誤差増幅器6の出力端との間に、バイアス電圧VBを印加するバイアス回路9を有する。バイアス回路9は定電圧源として機能し、バイアス回路9より位相補償用のトランジスタMP2のゲートにバイアス電圧VBを印加して順方向にバイアスすることによって、トランジスタMP2に所定量以上のドレイン電流を流すことが可能となる。
図2は、トランジスタMP2におけるバイアス電圧の有無によるドレイン電流特性の変化の一例を示す特性図である。図2において、安定化電源回路10の出力電流に対するトランジスタMP2のドレイン電流の変化を示している。バイアス電圧を印加しない場合、トランジスタMP2は、破線で示す特性のように出力電流に比例してドレイン電流が流れる。バイアス電圧を印加すると、トランジスタMP2は、実線で示す特性のように出力電流が少ない領域で多くのドレイン電流が流れるようになる。
図1の構成において、トランジスタMP1のゲート−ソース間電圧をVgs1、トランジスタMP2のゲート−ソース間電圧をVgs2とする。バイアス回路9を設けてバイアス電圧VBを印加することによって、位相補償用のトランジスタMP2のゲートの電圧が誤差増幅器6の出力端の電圧より低くなる。具体的には、トランジスタMP2のゲート−ソース間電圧Vgs2はVgs2=Vgs1+VBとバイアス電圧VB分大きくなり、Vgs2>Vgs1となるので、トランジスタMP1のゲート電圧に比べてトランジスタMP2のゲート電圧の方が低くなる。このため、位相補償用のトランジスタMP2のドレイン電流は、バイアス電圧を印加しない場合に比べて増加する。
位相補償用の抵抗R3における電圧は、位相補償用のトランジスタMP2のドレイン電流と抵抗R3の抵抗値により設定される。トランジスタMP2のゲート−ソース間電圧Vgs2がトランジスタMP1のゲート−ソース間電圧Vgs1より大きくなるようにバイアス電圧VBを印加することで、トランジスタMP1のドレイン電流が少ない領域においても、トランジスタMP2は十分なゲート−ソース間電圧が確保され、サブスレッショルド動作にならない。
本実施形態では、バイアス電圧を印加しない場合に比べて、位相補償用の抵抗R3における電圧が増加することになり、出力端子で発生する極(上記式(1))を打ち消すように作用する。このとき、出力電流が少ない領域でも位相補償用のコンデンサC1によるゼロ点を生成することが可能になり、位相の遅れを打ち消すことができる。これにより、出力用のトランジスタMP1のドレイン電流が少ない軽負荷時においても、誤差増幅器6の非反転入力端→誤差増幅器6の出力端→出力用のトランジスタMP1→出力端子3→抵抗R1→誤差増幅器6の非反転入力端のループにおける周波数特性が改善する。この場合、バイアス電圧を印加しない場合と異なり、低い周波数において位相が180°遅れることが抑止され、安定化用コンデンサCLの等価直列抵抗ESRが小さいものであっても、出力電圧VOUTが安定して出力される。
なお、位相補償用のコンデンサC1、抵抗R3、分圧回路7の分圧抵抗R1,R2の値は、安定した出力電圧が得られるように適切な値に設定する。
図3は、第1の実施形態の安定化電源回路の具体的な構成例を示す回路図である。図3の安定化電源回路10Aは、安定化電源回路10及びバイアス回路9の具体的な回路構成例を示したものである。ここでは、図1に示した安定化電源回路10の構成と異なる部分を中心に説明し、同様の構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
安定化電源回路10Aは、第1電源端子(VDD)1、第2電源端子(VSS)2、出力端子(VOUT)3、電流源(IS)4、基準電圧源(VREF)5、誤差増幅器(OP)6を有する。第1電源端子1は、第1電源である高電位電源としての第1の電源電圧VDDが印加される。第2電源端子2は、第2電源である低電位電源としての第2の電源電圧VSS(VSS<VDD)が印加される。電流源4は、第1電源端子1に接続され、電流ISを供給する電流源である。
安定化電源回路10Aは、NMOS型のトランジスタ(NMOSトランジスタ)MN2,MN3,MN5と、PMOS型のトランジスタ(PMOSトランジスタ)MP3,MP4とを含んで構成される誤差増幅器6を有する。トランジスタMN2,MN3,MN5は、差動回路を構成する。トランジスタMP3,MP4は、カレントミラー接続され、トランジスタMN2,MN3,MN5による差動回路の能動負荷を構成する。また、トランジスタMN5とカレントミラー接続されたNMOS型のトランジスタMN4を有する。トランジスタMN4は、ゲートとドレインが電流源4に接続され、電流源4の電流ISをトランジスタMN5にバイアス電流として供給する。
誤差増幅器6は、反転入力端61(トランジスタMN2のゲート)に基準電圧源5が接続され、非反転入力端62(トランジスタMN3のゲート)に分圧回路7の分圧抵抗R1,R2の共通接続点が接続される。誤差増幅器6の出力端63(トランジスタMN2とトランジスタMP3のドレインの共通接続点)には、出力用のPMOS型のトランジスタMP1のゲートが接続される。トランジスタMP1は、ソースが第1電源端子1に接続され、ドレインが出力端子3及び分圧回路7に接続されている。分圧回路7は、出力端子3と第2電源端子2との間に接続されている。
安定化電源回路10Aは、出力用のトランジスタMP1とソースが相互に接続された位相補償用のPMOS型のトランジスタMP2を有する。トランジスタMP2は、ソースが第1電源端子1に接続され、ゲートがバイアス回路9を介して誤差増幅器6の出力端63に接続される。トランジスタMP2のドレインは、位相補償用の抵抗R3を介して第2電源端子2に接続されるとともに、位相補償用のコンデンサC1の一端に接続される。コンデンサC1の他端は誤差増幅器6の非反転入力端62に接続される。
バイアス回路9は、NMOS型のトランジスタMN1,MN6を有して構成される。トランジスタMN6は、定電流源として機能し、トランジスタMN4,MN5とカレントミラー接続され、電流源4の電流ISをトランジスタMN1に供給する。トランジスタMN1は、第2導電型の第3トランジスタに相当し、トランジスタMP2のゲートと誤差増幅器6の出力端63との間に設けられる。具体的には、トランジスタMN1のゲートが誤差増幅器6の出力端63に接続され、ドレインが第1電源端子1に接続され、トランジスタMN1のソースとトランジスタMN6のドレインとが相互に接続される。トランジスタMN1のソースとトランジスタMN6のドレインとの接続点に、位相補償用のトランジスタMP2のゲートが接続される。
図3の構成において、バイアス回路9のトランジスタMN1のゲート−ソース間電圧が図1のバイアス電圧VBに相当する。上述したように、位相補償用のトランジスタMP2のゲート−ソース間電圧Vgs2は、出力用のトランジスタMP1のゲート−ソース間電圧Vgs1よりもトランジスタMN1のゲート−ソース間電圧VB分大きくなる。このとき、トランジスタMP2のドレイン電流は、トランジスタMP1のドレイン電流の1/n+αとなる。このため、出力用のトランジスタMP1のドレイン電流が少なくなる軽負荷時においても、位相補償用のトランジスタMP2のドレイン電流は所定量以上の電流が確保され、位相補償用の抵抗R3において発生する電圧により、出力端子3で発生する極を打ち消して出力電圧VOUTが安定して出力される。
図4は、第1の実施形態の安定化電源回路におけるゲイン及び位相特性の一例を示す特性図である。図4において、図1及び図3に示す第1の実施形態の構成における位相特性を実線、ゲイン特性を一点鎖線で示し、図10に示した比較例の構成における位相特性を破線、ゲイン特性を二点鎖線で示している。
図示例において、実施形態の構成では、ゲイン0dBのときの位相余裕は96degであり、比較例の位相余裕3.6degと比べて大きく改善できている。位相補償用のトランジスタMP2のゲートにバイアス電圧を印加することにより、出力電流が少ない領域においても、位相補償用のコンデンサC1により生成されたゼロ点によって位相の遅れを打ち消すことができ、位相余裕を確保することができる。
図5は、第1の実施形態の安定化電源回路における出力電流に対する位相余裕特性の一例を示す特性図である。実施形態の構成では、出力用のトランジスタMP1のドレイン電流が少ない領域において、位相余裕を大きく確保できている。本実施形態では、出力電流が少ない領域においても、位相補償用抵抗に十分な電流を流して位相遅れを打ち消し、位相補償の効果を得ることができる。このため、軽負荷時においても位相余裕を確保し、位相補償効果を高めることができ、電源回路の安定性向上を図ることができる。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態の安定化電源回路の構成を示す回路図である。第2の実施形態の安定化電源回路10Bは、第1の実施形態の安定化電源回路10を構成するバイアス回路9に代えてバイアス回路9Bが設けられている。第2の実施形態のバイアス回路9Bは、出力電流が増加するに従ってバイアス電圧VBも増加するように構成されている。具体的には、トランジスタMP1とソース、ゲートが相互に接続され、ドレインがカレントミラー回路11に接続されるトランジスタMP5を設ける。トランジスタMP5には、トランジスタMP1のドレインに流れる出力電流に比例するドレイン電流が流れる。このトランジスタMP5のドレイン電流の増加に応じてバイアス電圧VBが増加する構成となっている。
図6は、第2の実施形態の安定化電源回路の構成を示す回路図である。第2の実施形態の安定化電源回路10Bは、第1の実施形態の安定化電源回路10を構成するバイアス回路9に代えてバイアス回路9Bが設けられている。第2の実施形態のバイアス回路9Bは、出力電流が増加するに従ってバイアス電圧VBも増加するように構成されている。具体的には、トランジスタMP1とソース、ゲートが相互に接続され、ドレインがカレントミラー回路11に接続されるトランジスタMP5を設ける。トランジスタMP5には、トランジスタMP1のドレインに流れる出力電流に比例するドレイン電流が流れる。このトランジスタMP5のドレイン電流の増加に応じてバイアス電圧VBが増加する構成となっている。
上述した第1の実施形態の安定化電源回路10は、出力電流が増加するに従って位相遅れが増加し、これによって出力電圧VOUTが不安定となっていた。第2の実施形態によれば、出力電流が増加するに従って、第1の実施形態よりも位相補償信号を増加することができるため、出力電流VOUTをより一層安定化することができる。
図7は、トランジスタMP2におけるバイアス電圧の有無、増加によるドレイン電流特性の変化の一例を示す特性図である。同図に示すように、バイアス電圧を印加しない場合、トランジスタMP2は、一点鎖線で示す特性のように出力電流に比例してドレイン電流が流れる。一定のバイアス電圧を印加すると、トランジスタMP2は、破線で示す特性のように出力電流が少ない領域で多くのドレイン電流が流れるようになるが、出力電流が多い領域ではバイアスを印加しない場合に比べて出力電流の増加に対するドレイン電流の増加量が少なくなる。出力電流の増加に応じてバイアス電圧を増加させると、トランジスタMP2は、実線で示す特性のように、一定のバイアス電圧を印加する場合と同様に出力電流が少ない領域で多くのドレイン電流が流れるようになる。さらに、出力電流が大きい領域ではバイアスを印加しない場合とほぼ同等に出力電流に比例してドレイン電流が流れる。
図8は、第2の実施形態の安定化電源回路の具体的な構成例を示す回路図である。図8の安定化電源回路10Cは、バイアス回路9Bの具体的な回路例を示したものである。ここでは、図6に示した安定化電源回路10Bと異なる部分を中心に説明し、同様の構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
バイアス回路9Bは、NMOS型のトランジスタMN1,MN6と、PMOS型のトランジスタMP5と、カレントミラー回路11とを有して構成される。トランジスタMN1,MN6の接続については、上述した図3に示す実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
トランジスタMP5とカレントミラー回路11は、トランジスタMN1のドレインに出力電流に比例した電流を供給する電流源として機能する。トランジスタMP5は、トランジスタMP1とソース、ゲートが相互に接続され、トランジスタMP1のドレインに流れる出力電流に比例したドレイン電流が流れる。カレントミラー回路11は、NMOS型のトランジスタMN7,MN8を含んで構成される。トランジスタMN7は、ゲートとドレインがトランジスタMP5のドレインに接続され、ソースが第2の電源電圧VSSに接続されている。トランジスタMN8は、トランジスタMN7とゲートが相互に接続され、ソースが第2の電源電圧VSSに接続され、ドレインがトランジスタMN1のソースとトランジスタMN6のドレインとに接続される。このように、図9のバイアス回路9Bではカレントミラー回路11は定電流源であるトランジスタMN6と並列接続されている。
以上の構成により、トランジスタMP5の出力電流に比例したドレイン電流をトランジスタMN8のドレインにミラーする。そして、トランジスタMN1のドレイン電流は、トランジスタMN6にミラーされた電流ISと、トランジスタMN8にミラーされた出力電流に比例した電流とを合わせた電流となる。結果、バイアス電圧VBであるトランジスタMN1のゲート−ソース間電圧は、電流ISと出力電流との双方に比例した電圧となり、出力電流の増加に応じてバイアス電圧VBも増加することができる。
図9は、第2の実施形態の安定化電源回路における出力電流に対する位相余裕特性の一例を示す特性図である。第1の実施形態及び第2の実施形態の構成では、出力用のトランジスタMP1のドレイン電流が少ない領域において、位相余裕を大きく確保できている。また、第2の実施形態の構成では、出力用のトランジスタMP1のドレイン電流が多い領域において、第1の実施形態よりも、位相余裕を大きく確保できている。
以上説明したように、本実施形態によれば、位相補償用トランジスタのゲートにバイアス電圧を印加することにより、出力用トランジスタのドレイン電流が少ない軽負荷時においても十分な位相補償が可能となる。すなわち、安定化電源回路の出力電流が小さい領域においても、位相余裕を確保して十分な位相補償効果を得ることができ、出力電流の全領域において位相補償特性を改善することができる。このため、全電流領域において安定した出力電圧を得ることができる。したがって、全電流領域において安定性の向上を図りつつ、出力電圧の安定化用コンデンサCLとして低い等価直列抵抗ESRをもつセラミックコンデンサを用いることが可能となる。本実施形態は、低い周波数にゼロ点を生成することが難しい低電圧出力のLDOレギュレータ回路、ボルテージトラッカーなどに有用である。
本実施形態の安定化電源回路において、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタの一方を第1導電型のトランジスタ、反対極性となる他方を第2導電型のトランジスタとも称する。上述した実施形態の構成例では、PMOSトランジスタを第1導電型、NMOSトランジスタを第2導電型としている。
なお、上述した実施形態では、電源電圧がVDD>VSSの条件の場合で説明したが、電源電圧の高低関係が逆になる場合は、PMOSトランジスタをNMOSトランジスタに置き換え、NMOSトランジスタをPMOSトランジスタに置き換えればよい。この場合、NMOSトランジスタが第1導電型、PMOSトランジスタが第2導電型となる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
本発明は、出力電流の少ない軽負荷時を含めて、位相補償特性を改善することができる効果を有し、LDOレギュレータ回路等の安定化電源回路に有用である。
10,10A〜10C:安定化電源回路
1:第1電源端子(VDD)
2:第2電源端子(VSS)
3:出力端子(VOUT)
4:電流源(IS)
5:基準電圧源(VREF)
6:誤差増幅器
61:反転入力端、62:非反転入力端、63:出力端
7:分圧回路
9,9B:バイアス回路
Tr1,MP1:出力用のトランジスタ(PMOSトランジスタ)
Tr2、MP2:位相補償用のトランジスタ(PMOSトランジスタ)
MP3,MP4,MP5:トランジスタ(PMOSトランジスタ)
1:第1電源端子(VDD)
2:第2電源端子(VSS)
3:出力端子(VOUT)
4:電流源(IS)
5:基準電圧源(VREF)
6:誤差増幅器
61:反転入力端、62:非反転入力端、63:出力端
7:分圧回路
9,9B:バイアス回路
Tr1,MP1:出力用のトランジスタ(PMOSトランジスタ)
Tr2、MP2:位相補償用のトランジスタ(PMOSトランジスタ)
MP3,MP4,MP5:トランジスタ(PMOSトランジスタ)
MN1,MN2,MN3,MN4,MN5,MN6,MN7,MN8:トランジスタ(NMOSトランジスタ)
R3:位相補償用の抵抗
C1:位相補償用のコンデンサ
CL:安定化用コンデンサ
ESR:安定化用コンデンサCLの等価直列抵抗
RL:負荷抵抗
R3:位相補償用の抵抗
C1:位相補償用のコンデンサ
CL:安定化用コンデンサ
ESR:安定化用コンデンサCLの等価直列抵抗
RL:負荷抵抗
Claims (5)
- 基準電圧と出力電圧を分圧して得られた電圧との差が零となるようにして安定化された出力電圧を出力する安定化電源回路であって、
ソースが第1電源に接続され、ドレインより前記出力電圧を得る第1導電型の第1トランジスタと、
前記第1トランジスタとソースが相互に接続された第1導電型の第2トランジスタと、
前記第2トランジスタのドレインとグランド又は第2電源との間に設けられた位相補償用抵抗素子と、
前記位相補償用抵抗素子の前記第2トランジスタ側に接続された位相補償用キャパシタと、
前記第2トランジスタのゲートにバイアス電圧を供給するバイアス回路と、を備え、
前記位相補償用抵抗素子の電圧が前記位相補償用キャパシタを介して、前記出力電圧を分圧した電圧に重畳される、
安定化電源回路。 - 請求項1に記載の安定化電源回路であって、
前記第1トランジスタのドレインに一端が接続され、前記出力電圧を分圧する分圧回路と、
前記出力電圧を分圧した電圧と前記基準電圧との差に比例する電圧を前記第1トランジスタのゲートに供給する誤差増幅器と、を有し、
前記位相補償用キャパシタは、一端が前記第2トランジスタのドレインと前記位相補償用抵抗素子に接続され、他端が前記分圧回路の共通接続点に接続される、
安定化電源回路。 - 請求項1又は2に記載の安定化電源回路であって、
前記バイアス回路は、第2導電型の第3トランジスタと、定電流源とを有し、
前記第3トランジスタは、ゲートが前記第1トランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記第1トランジスタのソースに接続され、ソースが前記第2トランジスタのゲートと前記定電流源とに接続される、
安定化電源回路。 - 請求項1又は2に記載の安定化電源回路であって、
前記バイアス回路が供給する前記バイアス電圧は、前記第1トランジスタの前記出力電流の増加に応じて増加する、
安定化電源回路。 - 請求項4に記載の安定化電源回路であって、
前記バイアス回路は、
第2導電型の第3トランジスタと、定電流源と、前記定電流源に並列接続され、前記出力電流に比例した電流を供給する電流源と、を有し、
前記第3トランジスタは、ゲートが前記第1トランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記第1トランジスタのソースに接続され、ソースが前記第2トランジスタのゲートと、前記定電流源及び前記電流源とに接続される、
安定化電源回路。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020071814 | 2020-04-13 | ||
JP2020071814 | 2020-04-13 |
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JP2021170322A true JP2021170322A (ja) | 2021-10-28 |
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ID=78150112
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021043628A Pending JP2021170322A (ja) | 2020-04-13 | 2021-03-17 | 安定化電源回路 |
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JP (1) | JP2021170322A (ja) |
-
2021
- 2021-03-17 JP JP2021043628A patent/JP2021170322A/ja active Pending
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