JP2021169588A - 水性感圧式接着剤及び接着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】100℃以上の高温で使用された後の再剥離性(高温再剥離性)と、耐久性との両立、および高速剥離での汚染を抑制し、表面基材として中性紙を使用した場合でも、長期保存の前後で凝集力が大きくならず、粘着力が低下しない接着シ−トが得られる再剥離型水性感圧式接着剤を提供すること。【解決手段】カルボニル基を有する水分散性重合体(A)、およびカルボニル基と反応し得る官能基を有する反応性化合物(C)を含み、 前記水分散性重合体(A)は、エチレン性不飽和化合物(a1)〜(a3)を含む混合物の共重合体であり、 前記水分散性重合体(A)100質量部に対し、前記反応性化合物(C)を0.01〜20質量部含み、芳香環を有する化合物を含まない水性感圧式接着剤により解決される。【選択図】 なし

Description

本発明は、水性感圧接着剤と、それを用いた接着シートに関する。
感圧式接着剤は、包装、建築、建材、自動車、電子部品などの産業分野から一般家庭まで幅広く使用されている。接着シートの最も一般的な積層構成は、「支持体(別名:基材シート)/接着剤層/剥離ライナー」(片面感圧式接着シート)、あるいは、「剥離ライナー/接着剤層/支持体(別名:基材シート)/接着剤層/剥離ライナー」(両面感圧式接着シート)である。使用時には、剥離ライナーが剥がされ、接着剤層が被着体に貼付される。接着シート(以下、感圧式接着シートを接着シートと略称する。)は、様々な用途に用いられ、要求される接着力も様々である。
感圧式接着剤の成分としては天然ゴム、合成ゴム等の弾性体またはアクリル系樹脂が使用されている。これらの感圧式接着剤よりなる層を紙、プラスチックフィルム、布、金属板等の支持体面に形成してなる接着ラベル、接着シート、接着テープ等は、常温において指圧程度の圧力で被着体面に容易に接着できるため、各種分野において様々な用途に幅広く用いられている。このような接着ラベル類には、被着体に張り付けた場合に容易に脱落しないことが要求されるのは当然であるが、被着体に貼付された後、一定期間経過後に容易に剥離できることが要求される場合が多い。
例えば各種容器に貼り付けられた接着ラベルや、電気機器における部品を固定するために使用された接着テープは、被着体のリサイクル及びリユース等のために剥離されることがある。また、例えば塗装及びシーリング材の形成等のために被着体に貼り付けられたマスキングテープ等の接着テープは、塗膜やシーリング材が乾燥して形成された後に、被着体から剥離される。さらに、例えばディスプレイ等の製品の製造段階で被着体に貼り付けられた表面保護フィルム等の接着シートは、当該製品の使用時に剥離されることがある。
このような場合、被着体の素材、被着体への貼付後の経時変化、温度・湿度等の環境の変化等によりその接着力が大きく変動するが、これら様々な要因による接着力の変化を抑えることは非常に困難である。特に、接着ラベル等と被着体の接着力が高すぎると、剥離しようとする場合に被着体上に感圧式接着剤が残ったり、また支持体が紙であるような場合には支持体が破壊(別名:基材破断)され、いわゆる紙破れがおきたりして再剥離が困難となる。また、接着ラベル等と被着体の接着力が低すぎると、再剥離は容易にできるものの、被着体との接着が十分になされず、接着ラベル等に本来期待される目的を果たすことが困難となる。
近年では、地球環境の保護や作業環境等を考慮して、水系の感圧式接着剤が多くなり始めている。中でも、接着性や耐候性に優れているアクリル系樹脂を主成分とする水性感圧式接着剤(以下、単に接着剤とも称する場合がある)が広く普及してきている。
水性感圧式接着剤の表面基材は、プラスチックフィルム、合成紙、紙、金属ホイル等が用いられている。その中で主流である紙基材を用いる接着シートは、食品や製品の物流管理用ラベル、配送用の宛名表示ラベル、控え表等のフォーム印刷用原反、接着テープ等に幅広く用いられている。接着シートの基材として用いられる紙は、従来、溶剤型ロジンサイズ剤の定着に硫酸アルミニウムを使用して酸性抄紙した紙(以下、酸性紙とする)が主流であった。しかし、硫酸アルミニウムは弱酸性を示すので、繊維の主成分であるセルロースを加水分解し、紙が経時的に劣化してしまう問題があった。そのため最近では保存性を意識して、アルキルケテンダイマー(AKD)やアルケニル無水コハク酸(ASA)などの中性サイズ剤を使用して抄紙した紙(以下、中性紙とする)が広く使用されている。
ところで、炭酸カルシウムは、粒子径、粒度分布、粒子形状を制御しやすく、白色度や不透明度も高く、コストも安い。しかし、酸性下では溶解してしまうので、これまでの酸性紙には使用されてはいなかったのであるが、中性紙の場合、このような炭酸カルシウムを填料として使用できるようになった。
また、最近の環境問題意識の高まりや、森林資源の保護のため、印刷用紙や複写用紙などでは原料に古紙を含有した再生紙が幅広く流通している。これらの再生紙を抄造する場合、古紙原料中には炭酸カルシウムを含有する中性紙が非常に多く含まれる。しかし、上記した炭酸カルシウムは酸性下で溶解するので酸性抄紙できないため、再生紙の抄造は必然的に中性抄紙となり、紙全体に占める中性紙の割合はますます多くなっている。
接着シートにおいても、表面基材として酸性紙から中性紙を使用することへの転換は避けられず、特に再生紙である中性紙を表面基材や剥離ライナーの基材として使用することが必要となっている。
しかしながら、従来の水性感圧式接着剤は、これらを炭酸カルシウムの含有する中性紙や光沢紙を表面基材や剥離ライナーの基材に使用した場合には、中性紙や光沢紙に含まれる炭酸カルシウムからカルシウムイオンが遊離し、感圧式接着剤中に含まれるカルボキシル基と架橋反応してしまうため、接着シートの保管中や、剥離ライナーを剥がして被着体に貼着した後など、経時的に接着剤層の凝集力の変化を生じ、酸性紙を用いた場合に比べて、接着力が大きく低下したり、曲面接着性が著し低下したりするという問題があった。
しかしながら、従来の水性感圧式接着剤は、これらを炭酸カルシウムの含有する中性紙特に、炭酸カルシウムの含有紙である中性紙や光沢紙を表面基材として使用した接着シートを高温高湿度下に放置した場合には顕著に表れる。このような、中性紙による感圧式接着剤の接着性へ悪影響を示す現象を「中性紙劣化」と称する。
このような環境の中で、上記した様々な特性を満足させるべく様々な試みがなされている。
例えば、紙層にカルシウム成分を含む表面基材と、アクリル系共重合体を主成分とする接着剤層と、剥離ライナーとを順次積層してなる接着シートにおいて、表面基材中のカルシウム成分と、接着剤層中のアクリル系共重合体のカルボン酸成分が、イオン化することを抑制した接着シートが検討されている。そして、イオン化抑制手段としては、具体的には下記(1)〜(3)等に示す手段が開示されている。
(1)架橋の原因となるカルボキシル基を極力減らす(特許文献1参照)。
(2)カルシウムイオンよりもイオン化傾向が大きく、従ってカルシウムイオンよりもカルボン酸と反応しやすいカリウムイオンの供給源として、硫酸カリウムやピロリン酸カリウム等を粘着剤中に含有する。
(3)EDTA(エチレンジアミン四酢酸)のアンモニウム塩のようなキレート剤を接着剤中に含有する。
例えば、炭素数4〜12のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)50〜99.8重量%、カルボキシル基含有不飽和化合物(a2)0.1〜20重量%、多官能性不飽和化合物(a3)0.1〜20重量%、その他の不飽和化合物(a4)0〜49.8重量%を含む混合物を、アニオン性反応性界面活性剤の存在下に、乳化重合させて得られる水分散性重合体[A]と、架橋剤[B]とを含有してなる再剥離型水性感圧式接着剤が開示されている。(特許文献2参照)。
例えば、スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物(a1)を含有するエチレン性不飽和化合物(A)を、粘着付与樹脂(B)の存在下に乳化重合してなる水分散性重合体を含有してなることを特徴とする水性感圧式接着剤が開示されている(特許文献3参照)。
例えば、水性溶媒と該水性溶媒に分散したアクリル系樹脂とを含む感圧式接着剤であって、 前記感圧式接着剤は、ポリイソシアネート系架橋剤と、中和剤としての第3級アミンとをさらに含み、 その液相について測定されるpHが10未満である、水性感圧式接着剤が開示されている(特許文献4参照)。
例えば、(A)(a)炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル40〜99重量%、(b)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物1〜20重量%及び(c)上記各成分以外のエチレン性不飽和化合物0〜59重量%からなる混合物を水性媒体中で共重合して得られるアクリル系共重合体の水分散性重合体、及び(B)式M(Z)Anion(式中MはCr・Cu・Zn・Ti・Zr・Mn・Fe・Co等の多価金属であり、Anionがカルボン酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、クロム酸イオン、酢酸イオンの1種又は2種以上であり、Zがアンモニア又は、揮発性アミンである)で表わされる錯塩からなる組成物を主成分とする再剥離型水性感圧式接着剤が開示されている(特許文献5参照)。
特開2002−338909号公報 特開2004−256789号公報 特開2009−256481号公報 特開2013−056983号公報 特開昭58−176284号公報
しかし、特許文献1記載の水性感圧式接着剤としては、上記(1)の方法が最も直接的かつ効果的な方法ではある。しかし、溶剤型および水性いずれの接着剤の場合も、カルボキシル基は接着剤層の保持力(凝集力)確保のためには必要不可欠な官能基である。特に水性、即ち水性媒体中で(メタ)アクリル系化合物を乳化重合してなる重合体の水性分散体を主たる成分とする場合、カルボキシル基を有する化合物を全く使用しないで乳化重合しようとすると、重合安定性が極めて悪く、凝集物が多量に発生する。凝集物を分離したとしても接着剤の粘度が経時で大きく変化する。さらに接着剤としての性能も極めて不十分である。
カルボキシル基を有する不飽和化合物を全く使用しないか、または多くとも1重量%以下程度の極めて少量しか使用しない場合において、重合開始剤の量や連鎖移動剤の量等を制御することによって、得られる重合体の分子量を小さくすると、接着剤は保持力(凝集力)が低下するため、接着シートは見かけ上、ある程度の接着力を示すが、保持力(凝集力)の小さいが故に接着シートを被着体から剥離する際に被着体に接着剤層が転移する、いわゆる「糊残り」現象が顕著となる。つまり、再剥離型感圧式接着剤に要求される基本的な性能を満たさない。
またこの場合、表面基材として中性紙を用いた場合、常態における保存後に比して、高温高湿度下における保存後は、保持力(凝集力)が著しく大きくなり、反面接着力が大幅に低下するため、中性紙劣化を抑制することは極めて困難である。
また、カリウムの方がカルシウムよりもイオン化しやすく、生じたカリウムイオンはカルシウムイオンとは異なりカルボキシル基と架橋構造を形成しない。しかも、カルシウムイオンはカルボキシル基と難溶性の塩を形成するので架橋反応は非可逆的である。従って、上記(2)の方法のように接着剤中に硫酸カリウムやピロリン酸カリウム等を含有させても、いずれカルシウムイオンの架橋が生成してしまうため、中性紙劣化対策としては有効な手段ではない。
また上記(3)の方法は、中性紙劣化対策としては有効ではあるが、反面、EDTA等の金属イオン封鎖剤を接着剤に配合すると、接着剤の粘度が低下してしまい、塗工性を確保することが困難となるだけでなく、感圧式接着剤層と基材との密着性が不足してしまい、被着体表面に金属イオン封鎖剤に由来する被着体汚染(曇り、糊残り)がみられる場合がある。
また、特許文献2記載の水性感圧式接着剤は、多官能性不飽和単量体とアニオン性界面活性剤を用いることで、経時での接着力上昇が少なく、かつ、再剥離時における被着体への糊残りや貼り跡などの汚染が少ないといった耐汚染性に優れることが記載されているが、高温・高湿度下では中性紙劣化が起こり、接着力の低下を抑制できない傾向があるため、有効な方法とは言い難い
また、特許文献3記載の水性感圧式接着剤は、接着剤を構成するエチレン性不飽和単量体に、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸またはその塩を含有させているが、スルホン酸基が強酸のために塗工機の金属部位を著しく腐食したり、高温・高湿度下では中性紙劣化が起こり、接着力の低下を抑制できない傾向があり、有効な方法とは言い難い。
また、特許文献4記載の水性感圧式接着剤は、中和剤として3級アミンを添加しているが、揮発性の高いアミンのために塗工時に揮発し易く、表面基材に中性紙を用いた場合には中性紙劣化が起こり得る。また、3級アミンが接着層に残留すると、高温・高湿度下では著しく再剥離性が低下するため有効な方法とは言い難い。
また、特許文献5記載の水性感圧式接着剤は、金属錯塩を接着剤層に分散させて接着性を低減させて再剥離性を付与しているが、高温・高湿度下では分散粒子が凝集したりして塗工性を著しく悪化させたり、また被着体へ転移することで再剥離性の低下を引き起こしたりする場合がある。
本発明が解決しようとする課題は、基材に中性紙等の炭酸カリウム含有紙を使用した場合でも、中性紙劣化による接着性の低下が抑制された接着剤層の形成を可能にでき、かつ100℃以上の高温で使用された後の再剥離性(以下、高温再剥離性)と、耐久性との両立、および高速剥離での汚染を抑制した接着シ−トが得られる水性感圧式接着剤を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す再剥離型水性感圧式接着剤により、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の実施態様は、カルボニル基を有する水分散性重合体(A)、およびカルボニル基と反応し得る官能基を有する反応性化合物(C)を含み、前記水分散性重合体(A)は、下記エチレン性不飽和化合物(a1)〜(a3)を含む混合物の共重合体であり、前記水分散性重合体(A)100質量部に対し、前記反応性化合物(C)を0.01〜20質量部含み、芳香環を有する化合物を含まない水性感圧式接着剤である。

(a1)炭素数4〜24のアルキル基を有するエチレン性不飽和化合物
(a2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の、カルボキシル基が二価以上の金属イオンで中和されたエチレン性不飽和化合物
(a3)カルボニル基を有するエチレン性不飽和化合物(但し、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、および化合物(a2)を除く)
本発明の水性感圧式接着剤により、従来の感圧式接着剤では実現することができなかった各種被着体に対する良好な接着性、再剥離性を有する再剥離型接着ラベル等の製造が可能となった。また、得られた接着シ−トは、接着剤層の凝集力が向上したため高温再剥離性と、耐久性とを両立できる。
さらに上記水性分散体樹脂水分散性重合体中のカルボキシル基の一部または全部が金属イオンで中和された部位は、表面基材として中性紙等の炭酸カルシウム含有紙に対して接着性の低下を抑制することが可能となり、また高速剥離での汚染を抑制できるようになった。
以下、本発明の実施形態について説明する。
尚、本明細書では、水分散性重合体(A)、重合体(A)と反応し得る反応性化合物(C)、(a1)炭素数4〜24のアルキル基を有するエチレン性不飽和化合物、(a2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の、カルボキシル基が二価以上の金属イオンで中和されたエチレン性不飽和化合物、(a3)カルボニル基を有するエチレン性不飽和化合物、および(a4)芳香環を有しないその他エチレン性不飽和化合物を、それぞれ、重合体(A)、反応性化合物(C)、エチレン性不飽和化合物(a1)、エチレン性不飽和化合物(a2)、エチレン性不飽和化合物(a3)、およびエチレン性不飽和化合物(a4)と略記することがある。
また、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイルオキシ」、及び「(メタ)アリル」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリルまたはメタクリル」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシ」、及び「アリルまたはメタリル」を表すものとする。
≪水性感圧式接着剤≫
まず、水性感圧式接着剤について、説明する。
本発明の水性感圧式接着剤は、カルボニル基を有する水分散性重合体(A)、およびカルボニル基と反応し得る官能基を有する反応性化合物(C)を含み、
前記水分散性重合体(A)は、下記エチレン性不飽和化合物(a1)〜(a3)を含む混合物の共重合体であり、
前記水分散性重合体(A)100質量部に対し、前記反応性化合物(C)を0.01〜20質量部含む。また、本発明の水性感圧式接着剤は、芳香環を有する化合物を含まない。

(a1)炭素数4〜24のアルキル基を有するエチレン性不飽和化合物
(a2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の、カルボキシル基が二価以上の金属イオンで中和されたエチレン性不飽和化合物
(a3)カルボニル基を有するエチレン性不飽和化合物(但し、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、および化合物(a2)を除く)
このように、カルボキシル基が二価以上の金属イオンで中和された部位を有する水分散性重合体を用い、かつ芳香環を有する化合物を含まないことで、各種被着体に対する良好な接着性、再剥離性を有する再剥離型接着ラベル等の製造が可能となったものである。
以下、水性感圧式接着剤を構成する各成分について具体的に説明する。
<水分散性重合体(A)>
水分散性重合体(A)は、カルボニル基を有する水分散性重合体であって、(a1)炭素数4〜24のアルキル基を有するエチレン性不飽和化合物、(a2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の、カルボキシル基が二価以上の金属イオンで中和されたエチレン性不飽和化合物、および(a3)カルボニル基を有するエチレン性不飽和化合物の混合物の共重合体である。
水分散性重合体(A)は、さらに必要に応じてカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物等の、その他芳香環を有さないエチレン性不飽和化合物(a4)、または反応性界面活性剤(B)を含んでいてもよく、これら単量体の混合物の乳化重合により得られる。
すなわち、水分散性重合体(A)は、芳香環を有さないエチレン性不飽和化合物(a)と、必要に応じて反応性界面活性剤(B)を含む単量体の混合物を重合することにより得られ、エチレン性不飽和化合物(a)は、(a1)炭素数4〜24のアルキル基を有するエチレン性不飽和化合物、(a2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の、カルボキシル基が二価以上の金属イオンで中和されたエチレン性不飽和化合物、(a3)カルボニル基を有するエチレン性不飽和化合物、および芳香環を有さないその他エチレン性不飽和化合物(a4)に分類される。
水分散性重合体(A)が芳香環を有しないことで、柔軟性や曲面接着性維持が可能となる。
<<エチレン性不飽和化合物(a1)>>
エチレン性不飽和化合物(a1)は、分子内にエチレン性不飽和二重結合基と炭素数4〜24の、直鎖状または分岐状のアルキル基を有し、芳香環を有しない化合物である。炭素数4〜24のアルキル基を有することで、塗膜の柔軟性と適度な接着性を制御することが可能となる。
化合物(a1)としては、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸3,4−ジメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸3,4−ジメチルへプチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸テトラコシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
例えば、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;
例えば、ブチル(メタ)アリルエーテル、ヘキシル(メタ)アリルエーテル、2−エチルヘキシル(メタ)アリルエーテル、オクチル(メタ)アリルエーテル、ノニル(メタ)アリルエーテル、デシル(メタ)アリルエーテル、ラウリル(メタ)アリルエーテル、ステアリル(メタ)アリルエーテル等のアルキル(メタ)アリルエーテル類等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよいが、接着性と柔軟性の観点から、炭素数8〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
<<エチレン性不飽和化合物(a2)>>
エチレン性不飽和化合物(a2)は、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の、カルボキシル基が二価以上の金属イオンで中和されたエチレン性不飽和化合物である。すなわち、カルボキシル基が二価以上の金属イオンで中和されたエチレン性不飽和化合物を含み、カルボキシル基を有するエチレン不飽和化合物に含まれるカルボキシル基が、カチオンである二価以上の金属イオンで中和したイオン架橋性化合物として定義される。また、芳香環を有しない化合物である。
このようなエチレン性不飽和化合物(a2)を含有した水分散性重合体(A)は、分子量や中和前のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物のカルボキシル基濃度、金属イオン種、中和度などによって変化するが、一般に透明性が高く、塗加工性、高弾性、柔軟性、柔軟性、耐熱性および低温耐性に富み、接着性が高いという特色を有している。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、分子内にカルボキシル基、またはその酸無水物基((−C=O)−O−(C=O)−))を有し、芳香環を有しないエチレン性不飽和化合物である。
このようなエチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−カルボキシブチル、(メタ)アクリル酸ダイマー、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、モノメチルフマル酸、アコニチン酸、ソルビン酸、ケイ皮酸、α−クロロソルビン酸、グルタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、セネシオ酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ムコブロム酸、ムコクロル酸、ムコン酸、アコニット酸、ペニシル酸、ゲラン酸、シトロネル酸、4−アクリルアミドブタン酸、6−アクリルアミドヘキサン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、モノ(メタ)アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトンエステル等の、ラクトン環の開環付加によるカルボキシル基を末端に有する、ポリラクトン系(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが繰り返し付加している、末端にカルボキシル基を有するアルキレンオキサイド付加系コハク酸と、(メタ)アクリル酸とのエステル等のカルボキシル基含有の脂肪族系エチレン性不飽和二重結合基含有カルボン酸類やその酸無水物類が挙げられ、これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
この中でも、アクリル酸、またはメタクリル酸が後述の金属イオンとの反応性や工業的に入手可能な点、および接着性の点で好ましい。
エチレン性不飽和化合物(a2)が有する金属イオンとしては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛、銅、マンガン、コバルト、ニッケル、ストロンチウム、アルミニウム、ネオジウムなどの遷移金属よりイオン化された二価以上の金属イオンが挙げられ、二価または三価の金属イオンが好ましい。これらの金属イオン種は、単独で、あるいは2種類以上組み合せて使用できる。
この中でも、金属がカルシウム、マグネシウム、アルミニウムもしくは亜鉛の少なくともいずれか1つまたはそれらの混合物であることが、再剥離性に加え、適度な接着強度や耐久性を維持することが可能となるため好ましい。
エチレン性不飽和化合物のカルボキシル基の中和度は、特に限定されないが、平均中和度が70モル%以上、好ましくは80〜100モル%程度である。より詳しくは、金属イオン1.0モル当量に対し、中和前のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物のカルボキシル基が0.7〜1.0モル当量の比率で中和されてなることが好ましく、0.8〜1.0モル当量の比率の範囲がより好ましく、0.9〜1.0モル当量の比率の範囲がもっとも好ましい。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の中和度が上記の範囲であると、水分散性重合体(A)を構成する他の化合物との親和性が低いため、接着剤層中で、接着剤層と被着体の界面に配向し、表面極性を変化させる。そのため高温高湿の過酷な雰囲気に貼着して長期間曝露しても、接着剤層の凝集力を低下させず、かつ接着力が良好でありながら接着剤層と被着体とを過度に密着させないため容易に剥離することができる。また、剥離した際に、被着体表面に曇りや糊残りなどの汚染のないことに加え、紙基材等の基材破断もなく良好な再剥離性を示すことが可能となる。さらに芳香環を有しないことで、良好な風合いの付与など種々の性能に優れたものにすることができる。
また、エチレン性不飽和化合物(a2)は、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物とアルカリ土類金属または遷移金属を含む無機金属化合物(金属の酸化物、水酸化物、塩化物等)とを、有機溶剤および水の存在下で、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の分解温度以下で加熱・撹拝する等、公知の方法により調製することができる。またその際、界面活性剤や重合禁止剤を共存させても良い
エチレン性不飽和化合物(a2)として、市販品を用いることもでき、具体的には、例えば、Dynalink 636(ジアクリル酸カルシウム)、Dynalink 705(ジアクリル酸亜鉛)、Dynalink 708(ジメタクリル酸亜鉛)、Dynalink 709(ヒドロキシメタクリロイルオキシ亜鉛)〔以上、Cray valley社製〕、
例えば、SR−709(ヒドロキシメタクリロイルオキシ亜鉛)〔以上、Sartomer社製〕、
例えば、サンエステル SK−13(ジメタクリル酸マグネシウム)、サンエステル SK−30(ジメタクリル酸亜鉛)〔以上、三新化学工業社製〕、
例えば、ZN−DA100(ジアクリル酸亜鉛)〔以上、日本触媒社製〕、
例えば、ZDA−100(ジアクリル酸亜鉛)、M−CP(ジメタクリル酸亜鉛)、R−MMA2(ジメタクリル酸マグネシウム)、ND−MA(トリメタクリル酸ネオジウム)、ZA30(ジアクリル酸亜鉛、29.8%水溶液)、MA35(ジアクリル酸マグネシウム、36.3%水溶液)、CA25(ジアクリル酸カルシウム、25.5%水溶液)、P−3(トリアクリル酸アルミニウム、16.5%水溶液)〔以上、浅田化学工業社製〕等が挙げられる。
<<エチレン性不飽和化合物(a3)>>
エチレン性不飽和化合物(a3)は、カルボニル基を有するエチレン性不飽和化合物であり、芳香環を有しない化合物である。但し、化合物(a3)は、水酸基を有さず、上述の化合物(a1)、化合物(a2)、およびカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物以外の化合物である。また、エチレン性不飽和化合物のうち、(メタ)アクリロイル基等に代表される炭素−炭素二重結合に直接結合した炭素−酸素二重結合は、上記「カルボニル基」には包含されないものとする。さらに、カルボニル基がアシル基由来であるが、カルボキシル基、酸無水物基(−C(=O)OC(=O)−)、アミド基およびエステル基に含まれる炭素−酸素二重結合も、上記「カルボニル基」には包含されないものとする。
エチレン性不飽和化合物(a3)としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−オキソブタノイルエチル、(メタ)アクリル酸2−オキソブタノイルプロピル、(メタ)アクリル酸2−オキソブタノイルブチル、(メタ)アクリル酸2−オキソブタノイルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−オキソブタノイルオクチル、(メタ)アクリル酸2−オキソブタノイルデシル、(メタ)アクリル酸2−オキソブタノイルドデシル、(メタ)アクリル酸3−オキソブタノイルエチル、(メタ)アクリル酸3−オキソブタノイルプロピル、(メタ)アクリル酸3−オキソブタノイルブチル、(メタ)アクリル酸3−オキソブタノイルヘキシル、(メタ)アクリル酸3−オキソブタノイルオクチル、(メタ)アクリル酸3−オキソブタノイルデシル、(メタ)アクリル酸3−オキソブタノイルドデシル、(メタ)アクリル酸4−シアノオキソブタノイルエチル、(メタ)アクリル酸4−シアノオキソブタノイルプロピル、(メタ)アクリル酸4−シアノオキソブタノイルブチル、(メタ)アクリル酸4−シアノオキソブタノイルヘキシル、(メタ)アクリル酸4−シアノオキソブタノイルオクチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジ(オキソブタノイル)プロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジ(オキソブタノイル)ブチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジ(オキソブタノイル)ヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3−ジ(オキソブタノイル)オクチル等のカルボニル基を2つ有する脂肪族系の(メタ)アクリル酸エステル類;
例えば、N−(2−オキソブタノイルエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−オキソブタノイルプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−オキソブタノイルブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−オキソブタノイルヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−オキソブタノイルオクチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基を有する(メタ)アクリルアミド類挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
上述のように、エチレン性不飽和化合物(a3)を、水分散性重合体(A)を構成する単量体単位として使用することにより、水分散性重合体(A)に導入することができる。このようにカルボニル基を有することで、後述の反応性化合物(C)に含有されるアミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基等の活性水素を有する含窒素置換基からなる群より選ばれる1種以上の置換基とがマイケル付加反応等の相互作用により、架橋構造を形成することが可能である。そのため、水分散性重合体(A)と後述の反応性化合物(C)を含有した本発明の水性感圧式接着剤を使用して、塗工形成された接着シートを後述の基材に貼着して加熱、加湿熱条件下に長期間曝露しても、発泡や浮き・剥がれ等の劣化現象の発生が著しく抑制され、耐熱性や耐湿熱性等の耐久性が著しく向上するとともに、接着シートを被着体から剥離した際に、被着体表面に曇りや糊残り等の被着体汚染が防止できる利点がある。
上記、エチレン性不飽和化合物(a3)のなかでも、マイケル付加反応性や価格、工業的に入手可能な点を踏まえると、アクリル酸2−オキソブタノイルエチル、メタクリル酸2−オキソブタノイルエチル等のカルボニル基を2つ有する脂肪族系の(メタ)アクリル酸エステル類、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド等のカルボニル基を1つ有する脂肪族系の(メタ)アクリルアミド類が特に好ましい。
<<エチレン性不飽和化合物(a4)>>
エチレン性不飽和化合物(a4)は、上記エチレン性不飽和化合物(a1)、エチレン性不飽和化合物(a2)、およびエチレン性不飽和化合物(a3)以外の、芳香環を有しないその他エチレン性不飽和化合物である。ただし、後述する反応性界面活性剤(B)である場合は除く。
エチレン性不飽和化合物(a4)を構成単量体の一部として、必要に応じて使用することにより、水分散性重合体(A)を構成する単量体であるエチレン性不飽和化合物(a1)、エチレン性不飽和化合物(a2)、またはエチレン性不飽和化合物(a3)との共重合反応の効率化を図ることが容易となることがある。また、水分散性重合体(A)の粘度を制御できるとともに、水分散性重合体(A)の乳化時の作業性を向上させることが容易となるだけでなく、良好な接着強度、各種耐性、および可撓性等の諸物性を適宜制御することが可能となる場合がある。
エチレン性不飽和化合物(a4)としては、例えば、エチレン性不飽和化合物(a2)の説明に記載した、中和前のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシエステル類;(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリオキシエチレン(EO付加モル数:3〜20)、(メタ)アクリル酸メトキシポリオキシプロピレン(PO付加モル数:2〜20)等のアルキレンオキサイドを有する(メタ)アクリル酸エステル類;その他、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられ、これらは1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよいが、再剥離性、基材との密着性および曲面接着性維持の観点から、芳香環を有しない。
<<水分散性重合体(A)の製造方法>>
水分散性重合体(A)は、上記エチレン性不飽和化合物(a1)、エチレン性不飽和化合物(a2)およびエチレン性不飽和化合物(a3)と、必要に応じてエチレン性不飽和化合物(a4)を共重合して得ることができる。上記各単量体のなかでも、反応性の観点から(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。種々のエチレン性不飽和化合物において、このように、水分散性重合体(A)の粘度や乳化性の制御、また粒子径や貯蔵安定性、接着シートの接着性や再剥離性あるいは、耐久性、塗工適性等を踏まえて、適宜、上記エチレン性不飽和化合物(a1)、エチレン性不飽和化合物(a2)およびエチレン性不飽和化合物(a3)と必要に応じてエチレン性不飽和化合物(a4)を選択することが可能である。
水分散性重合体(A)は、定法に従い、上記したような種々のエチレン性不飽和化合物の混合物を、塊状重合、溶液重合、乳化重合または懸濁重合などの方法により合成される。これらの重合方法及び反応操作において特に制限されるものではないが、乳化重合が好ましい。乳化重合の場合は、上記したような種々のエチレン性不飽和化合物の単量体混合物、重合開始剤、および界面活性剤を主成分として、水を媒体として重合される。
通常の乳化重合法は水中に種々のエチレン性不飽和化合物の単量体混合物を界面活性剤により乳化させ、この系に水溶性の重合開始剤を添加して行う(プレ乳化法とも称する)。重合は界面活性剤により形成されるミセル内で進行するため、他の重合方法では得ることができないほどの高分子量の樹脂を製造することができる。また、有機溶剤をまったく使用しないので、高い重合反応率が望める他、粒子径や粘度の制御が可能となる。
乳化重合に使用する重合開始剤は、上記したような種々のエチレン性不飽和化合物の混合物の合計100質量部に対して、通常0.001〜5.0質量部使用されるが、特に制限されず、水溶性重合開始剤、油溶性重合開始剤から適宜選択して使用できる。
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩等が挙げられる。
油溶性重合開始剤としては、例えば、アルキルパ−オキサイド、t−ブチルヒドロパ−オキサイド、クメンヒドロパ−オキサイド、p−メタンヒドロパ−オキサイド、ラウロイルパ−オキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパ−オキサイド、オクタノイルパ−オキサイド、t−ブチルクミルパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキサイド、ジクロルベンゾイルパ−オキサイド、ジクミルパ−オキサイド、ジ−t−ブチルパ−オキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパ−オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパ−オキサイド、メチルシクロヘキサノンパ−オキサイド、ジ−イソブチルパ−オキシジカ−ボネ−ト、ジ−2−エチルヘキシルパ−オキシジカ−ボネ−ト、t−ブチルパ−オキシイソブチレート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕等のアゾ化合物等が挙げられる。
また、重合開始剤として、酸化剤と還元剤を併用したレドックス開始剤も好ましく使用できる。
酸化剤は、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキサイド等が挙げられる。
還元剤は、例えば亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物(別名:ロンガリット)、アスコルビン酸等が挙げられる。
また、乳化重合の際、必要に応じてpHを調整するため、緩衝剤を使用できる。緩衝剤としては、乳化重合の反応溶液のpH緩衝作用を有するものであれば特に制限されない。緩衝剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、蟻酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、クエン酸三ナトリウム等が挙げられる。
緩衝剤は、上記したような種々のエチレン性不飽和化合物の単量体混合物の合計100質量部に対して、5質量部未満使用することが好ましく、3質量部未満がより好ましい。
また、乳化重合の際、連鎖移動剤を使用して水分散性重合体(A)の分子量を適宜調整することも可能である。連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン系化合物、チオグリコール系化合物、βメルカプトプロピオン酸等のチオ−ル系化合物を使用しても良い。
水分散性重合体(A)を重合反応する際の重合条件は、重合方法に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。重合温度は、好ましくは20〜150℃、より好ましくは40〜120℃ である。反応時間は、エチレン性不飽和化合物の各成分の重合反応が完結するように適宜設定すればよい。
それぞれの化合物の含有率は、水分散性重合体(A)を構成するエチレン性不飽和化合物の混合物100質量%中、エチレン性不飽和化合物(a1)85〜99.98質量%、エチレン性不飽和化合物(a2)0.01〜10質量%、およびエチレン性不飽和化合物(a3)0.01〜5質量%であることが好ましく、エチレン性不飽和化合物(a1)92〜99.85質量%、エチレン性不飽和化合物(a2)0.1〜5質量%、およびエチレン性不飽和化合物(a3)0.05〜3質量%の範囲内であることがより好ましい。
また、必要に応じて、エチレン性不飽和化合物(a4)を含有する場合、水分散性重合体(A)を構成するエチレン性不飽和化合物の混合物100質量%中、エチレン性不飽和化合物(a1)45〜99.97質量%、エチレン性不飽和化合物(a2)0.01〜10質量%、エチレン性不飽和化合物(a3)0.01〜5質量%、およびエチレン性不飽和化合物(a4)0.01〜40質量%であることが好ましく、エチレン性不飽和化合物(a1)62〜99.84質量%、エチレン性不飽和化合物(a2)0.1〜5質量%、エチレン性不飽和化合物(a3)0.05〜3質量%、およびエチレン性不飽和化合物(a4)0.01〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。
各エチレン性不飽和化合物の含有率が上記の範囲内であると、接着剤層内の金属部位が被着体表面に配向し、接着剤層の表面極性を変化させることが可能となり、さらに芳香環を有しないために柔軟性もあり、適度な接着性を示しながらも、剥離した場合には被着体に曇りや糊残り等の汚染が抑制され、また表面基材に炭酸カルシウムを含む中性紙や光沢紙を使用した場合でも長期保存で接着性や曲面接着性の低下がないので、水分散性共重合体(A)のガラス転移温度(以下、「Tg」と略記する場合がある)、接着強度、曲面接着性、各種耐性、可撓性、相溶性、乳化性および再剥離性等の諸物性を適宜制御することが可能となる。
水分散性重合体(A)は、良好な接着性と再剥離性を十分に発揮し得るように、水分散性重合体(A)のガラス転移点(Tg)が−80〜10℃、より好ましくは−70〜−10℃となるように、水分散性重合体の構成成分である各単量体の構成比率を選択することが好ましい。Tgが上記の範囲内であると、水分散性重合体(A)の乳化が容易となるだけでなく、概水分散性重合体(A)を含有した水性感圧式接着剤から得られた接着シートの柔軟性を維持したまま、打ち抜きや裁断等の加工性を維持することが可能となる。本発明における水分散性重合体(A)のTgは、後述の示差走査熱量計(DSC)を用いて決定したものである。ガラス転移温度(Tg)の測定法の詳細は、実施例に記載する。
<反応性界面活性剤(B)>
次に、反応性界面活性剤(B)について説明する。
水分散性重合体(A)は、上記単量体の混合物を乳化重合して得ることができる。乳化重合で使用する界面活性剤は、アニオン性の界面活性剤および/またはノニオン性の界面活性剤から適宜選択することが好ましいが、その中でも界面活性剤に由来する被着体汚染の抑制に効果のある反応性界面活性剤が好ましく使用される。
反応性界面活性剤(B)は、上記水分散性重合体(A)を構成する上記エチレン性不飽和化合物(a)と共重合可能な反応基を有し、芳香環を有しない界面活性剤である。
反応性界面活性剤(B)を含むことで、接着シートを被着体から剥がす際に、界面活性剤に由来する曇りや糊残りを防止することが可能となり、再剥離性は向上する。
反応性界面活性剤(B)は、特に制限されることなく、アニオン性および/またはノニオン性の各種公知の反応性界面活性剤が使用できるが、アニオン性の反応性界面活性剤を必須として、単独またはノニオン性の界面活性剤を併用して含有することが好ましい。また、その含有量は、水分散性重合体(A)100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部であることが好ましい。反応性界面活性剤(B)を上記の範囲で含有すると、接着剤層の耐水・耐湿熱性を損なうことなく、また、良好な再剥離性を示し、さらに水性感圧式接着剤の貯蔵安定性を確保することが可能となる。
水分散性重合体(A)を製造する際の乳化重合時に反応性界面活性剤(B)を使用する場合には、反応性界面活性剤(B)は重合体(A)の構成単位となり、それぞれの化合物の含有率は、水分散性重合体(A)を構成するエチレン性不飽和化合物の混合物100質量%中、エチレン性不飽和化合物の混合物100質量%中、エチレン性不飽和化合物(a1)75〜99.88質量%、エチレン性不飽和化合物(a2)0.01〜10質量%、エチレン性不飽和化合物(a3)0.01〜5質量%、および反応性界面活性剤(B)0.1〜10質量%であることが好ましく、エチレン性不飽和化合物(a1)87〜99.35質量%、エチレン性不飽和化合物(a2)0.1〜5質量%、エチレン性不飽和化合物(a3)0.05〜3質量%、および反応性界面活性剤(B)0.5〜5質量%の範囲内であることがより好ましい。
また、必要に応じて、エチレン性不飽和化合物(a4)を構成単位として含有する場合は、水分散性重合体(A)を構成するエチレン性不飽和化合物の混合物100質量%中、エチレン性不飽和化合物(a1)35〜99.87質量%、エチレン性不飽和化合物(a2)0.01〜10質量%、エチレン性不飽和化合物(a3)0.01〜5質量%、エチレン性不飽和化合物(a4)00.01〜40質量%、および反応性界面活性剤(B)0.1〜10質量%であることが好ましく、エチレン性不飽和化合物(a1)57〜99.34質量%、エチレン性不飽和化合物(a2)0.1〜5質量%、エチレン性不飽和化合物(a3)0.05〜3質量%、エチレン性不飽和化合物(a4)0.01〜30質量%、および反応性界面活性剤(B)0.5〜5質量%の範囲内であることがより好ましい。
アニオン性の反応性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸エステルアンモニウム、ポリオキシエチレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム、α−スルホ−ω−{1−(ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ}−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム、多環フェニルエーテルメタクリレート硫酸エステルアンモニウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル・メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル等のポリオキシエチレンアルキルアルケニルフェニルエーテル硫酸エステル塩;
例えば、α−スルホ−ω−{1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ}−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、メタクリロイルオキシポリオキシプロピレン硫酸エステルナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアルケニルエーテル硫酸エステル塩;
例えば、アルキルスルホコハク酸アルケニルエーテル、アルキルアルケニルコハク酸エステル、アルキルアルケニルリン酸エステル等のコハク酸やリン酸系の界面活性剤が挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
ノニオン性の反応性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、アルコキシポリエチレングリコールメタクリレート、アルコキシポリエチレングリコールマレイン酸エステル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
反応性界面活性剤(B)は、支持体である基材との密着性の点で、上記したようにアニオン性の反応性界面活性剤を含むことが好ましく、さらに芳香環を有しないポリオキシエチレンアルキルアルケニルエーテル硫酸エステル塩を含むことが好ましい
<反応性化合物(C)>
反応性化合物(C)は、カルボニル基と反応し得る官能基を有する反応性化合物である。
反応性化合物(C)は、水分散性重合体(A)の粒子間を架橋するための水分散性重合体用の架橋剤として用いることができる。化合物(C)は、水分散性重合体(A)と反応し得る化合物である。また、反応性界面活性剤(B)である場合は除く。
水分散性重合体用の架橋剤とは、本質的に水分散体液中の水分散体粒子に対して非反応性であるが、乾燥によって水分散体液から水分を除去すると、水分散性重合体に含まれる官能基と水分散性重合体用の架橋剤に含まれる官能基との間で化学反応がおこり、粒子間に共有結合が形成される。この反応は周囲条件下で高速に進行し、水分散体粒子は粒子間架橋、すなわち外部的に架橋(別名:外部架橋)されているとみなすことができる。すなわち、本発明における反応性化合物(C)は、水分を除去すると短時間のうちに粒子間に粒子間架橋を形成する化合物である。このように反応性化合物(C)を用いて、粒子間架橋を施すことにより、接着シートの剥離の際に、接着層から被着体への転移を防ぐことができ、糊残りや曇りなどが起きにくくなり、再剥離性は向上する。
反応性化合物(C)が有する、カルボニル基と反応し得る官能基としては、水酸基、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、および活性水素を有する含窒素ヘテロ環基からなる群より選ばれる1種以上の置換基が挙げられ、水分散性重合体(A)のカルボニル基と反応し得る官能基を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。特にヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体は、架橋反応後の接着性や後述の基材への密着性に優れていることから好ましく用いられる。
ヒドラジン誘導体としては、ヒドラジノ基(−NHNH)を分子内に1つ以上有する化合物であれば制限なく好適に使用できる。例えばカルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のジカルボン酸ジヒドラジド類;
例えば、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、1,8−ジヒドラジド−4−ヒドラジドメチルオクタン等のトリカルボン酸トリヒドラジド類;
例えば、ピロメリット酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド等のテトラカルボン酸テトラヒドラジド類が挙げられ、これらは1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよいが、再剥離性、基材との密着性および曲面接着性維持の観点から、芳香環を有しないことが好ましい。これらの中でも、水分散性重合体の安定性や反応性の点でアジピン酸ジヒドラジドがより好ましい。
反応性化合物(C)は、水分散性重合体(A)100質量部に対し、0.01〜20質量部含有することが好ましいが、0.01〜5質量部がより好ましく、0.01〜1質量部が更に好ましい。反応性化合物(C)がこの範囲にあると、架橋反応により耐熱性や耐湿熱性が向上するだけでなく、過酷な環境下での接着層の浮き、剥がれ、あるいは発泡をより抑えることができ、さらに再剥離性もより向上する。
<その他化合物(F)>
次に、その他化合物(F)について説明する。
本発明の水性感圧式接着剤の一実施形態において、水分散性重合体は、上記成分に加えて、課題を解決できる範囲であれば、さらにその他化合物(F)を含んでもよい。
その他化合物(F)は、上記水分散性重合体(A)、反応性界面活性剤(B)および反応性化合物(C)以外の化合物であり、少量の成分を加えることにより、その素材の安定性や物理性状を改善する機能をもつ化合物である。例えば、非反応性界面活性剤、増粘剤、可塑剤、防腐剤、防錆剤、凍結溶融安定剤、着色剤、充填剤、濡れ剤、酸化防止剤、難燃剤、保存安定剤、紫外線吸収剤、チクソトロピー付与剤、分散安定剤、流動性付与剤、造膜助剤、保湿剤、pH調整剤、レベリング剤、消泡剤、粘度調整剤、その他添加剤等が挙げられる。
<水性感圧式接着剤>
次に水性感圧式接着剤について説明する。
本発明の水性感圧式接着剤は、上記したように、水分散性重合体(A)と反応性化合物(C)に加え、必要に応じて反応性界面活性剤(B)および、その他化合物(F)を共存させることで得られる。
また、水性感圧式接着剤の不揮発分濃度は特に限定されないが、その使用形態に応じて通常40〜70質量%程度となるように適宜に調整して用いる。また、必要に応じて、粘度を調整するために、水分を追加使用してよい。さらに、追加水分を使用することなく、水性感圧式接着剤を加熱することによって粘度を低下させることもできる。
また、本発明の水性感圧式水性接着剤を使用して接着剤層を形成する場合、塗膜形成の観点から、水分散性重合体(A)が主剤となるため、水性感圧式接着剤の平均粒子径は、水分散性重合体(A)の不揮発分濃度約55質量%の平均粒子径と大きな相違はなく、通常0.05〜10μm程度であり、大部分は1μm以下の粒子として均一に乳化分散している。また、該水性感圧式接着剤は白色ないし乳白色の外観を呈し、pH値は5〜11程度である。
本発明の水性感圧式接着剤を使用して接着剤層を形成する場合、接着剤層の膜厚は、0.5〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。膜厚が上記範囲であると、十分な接着力を得ることが可能となる。
したがって、塗膜形成と性能発揮の観点から、水性感圧式接着剤の粘度は、25℃にてB型粘度計で測定した際の粘度が、500〜30,000mPa・sの範囲であることが好ましく、1,000〜15,000mPa・sの範囲であることがより好ましい。粘度が30,000mPa・s以下の場合、塗工によって基材上に0.5〜100μmの薄膜を容易に形成することができ、タック、接着力および保持力等の接着物性を高めることも容易である。一方、粘度が1,000mPa・s以上の場合、水性感圧式接着剤から形成する接着剤層の膜厚を制御することが容易である。本実施形態において、接着剤層の膜厚、粘度、あるいは不揮発分濃度は、積層体の用途に応じて設定される。
また、水性感圧式接着剤は、良好な再剥離性を示すために、乾燥塗膜の酢酸エチルに対するゲル分率(Gel%)が85%以上であることが好ましく、90%以上95%未満であることがより好ましい。Gel%がこの範囲であると、概水性感圧式接着剤より形成された接着シートを高温雰囲気に放置した場合、接着剤層の凝集力を低下させず、かつ接着力が良好でありながらも接着剤層と被着体とを過度に密着させることがないため再剥離性が向上する。なお、乾燥塗膜の酢酸エチルに対するゲル分率(Gel%)の測定法の詳細は、実施例に記載する。
<接着シート>
次に接着シートについて、説明する。
本発明の接着シート(接着フィルムとも称す)は、後述の支持体である基材と、上記の水性感圧式接着剤から形成される接着剤層とを備えたものである。接着剤層は、更に表面を剥離処理したシート状基材(剥離ライナーとも称す)等によって積層されていても良い。
接着シートを製造する方法としては、基材に水性感圧式接着剤を塗工した後、加熱等の方法により水分を除去して、基材の上に接着剤層を形成する方法や、剥離ライナーの剥離処理面に水性感圧式接着剤を塗工、乾燥し、基材を貼り合わせて作成する方法等が挙げられる。
水性感圧式接着剤を塗工する方法としては、特に制限はない。例えば、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、キスコーター、リップコーター、コンマコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター、ディップコーター等の、周知の様々な方法を適用することができる。また、薄膜塗工または厚膜塗工等の形態についても、用途に応じて、特に制限なく、選択することができる。
接着シートの基本的積層構成は、基材/接着剤層/剥離ライナーのような片面接着シート、あるいは剥離ライナー/接着剤層/基材/接着剤層/剥離ライナーのような両面接着シートである。このように、剥離ライナーに積層された積層体を接着シートという。使用時に、剥離ライナーが剥がされ、接着剤層が被着体に貼着される。水性感圧式接着剤は、接着の際、被着体に接着剤層が触れるその瞬間に接着剤層が粘着性を有するのみならず、感圧式接着剤以外の接着剤(以下、単に接着剤という)とは異なり、貼着中も完全に固化することなく、タックと適度な固さを有しつつ、貼着状態を維持するための凝集力を有することが必要である。凝集力は分子量や架橋密度に大きく依存する。このように、基材/接着剤層/被着体の構成に積層された積層体を貼着積層体という。
本発明の水性感圧式接着剤を用いた接着シートは、例えば、各種公知の接着製品(ラベル、シール、テープ、ステッカー等)の広範な用途に使用され、水性感圧式接着剤は2つ以上の基材(基材の一方が接着シートのベース基材、基材のもう一方が貼着される基材(被着体と称す))を貼り合わせる接着剤層を形成する。本発明の水性感圧式接着剤は、一般的には、一般紙、クラフト紙、金属、ガラス、プラスチック、ゴム、木材、塗装面等の各種ラベル用、マスキングテ−プ用途やプロテクトフィルム用途、コンクリート、セメントモルタル、各種金属、皮革、ガラス、塩ビシート、化粧紙、合板パネル、石膏ボード等の材料の接着に使用される建材用途、天井材、加飾部品、ドアリム、座席シート、インスツルメントパネル、ダッシュサイレンサー、センターコンソール、ピラートリム、リアパーセルなどの自動車内装部材用途、電線用の結束テープなどの電線の被覆材用途に使用される。
この中でも用途は特に限定されないが、各種ラベル用、マスキングテ−プ用途やプロテクトフィルム用途等に好適に使用できる。
基材としては、紙、セロハン、プラスチックシ−ト、ゴム、発泡体、布帛、ゴムびき布、樹脂含浸布、ガラス板、金属板、木材、偏光板などの光学フィルム等の板材またはシ−トが挙げられる。また、基材は、単独または積層体であっても良い。また、基材は、裏面(接着剤層を直接貼り合わせた面の反対面)に剥離処理、または帯電防止処理をすることができる。また上記基材は、公知のアンカ−剤で塗工処理することで接着剤層との密着性の向上を施すこともできる。
上記基材のうち、紙が多く使用されており、キャスト紙、アート紙、上質紙等の印刷用紙、これらの紙に機能性の層を設けた感熱紙、インクジェット紙等の情報用紙が広く使用されている。従来の紙は、サイズ剤(インクのにじみ止め)としてロジンが使用されているが(酸性紙とも称す)、中性紙は中性から弱アルカリ性域で製造された紙で、てん料(充填剤)として炭酸カルシウムが主に使用されているため、酸性紙とは異なる。中性紙は今日では書籍や資料に主に用いられている。
本発明の水性感圧式接着剤は、基材にこのような中性紙等を使用した場合でも、劣化による接着性の低下を抑制することが可能であり、かつ高温再剥離性および耐久性との両立、および高速剥離での汚染の抑制が可能である。
上記したように、剥離ライナーとしては、セロハン、各種プラスチックシート、紙、金属フォイル等のシート状基材の表面を剥離処理したものが挙げられる。また、シート状基材としては、単層のものであってもよいし、複数の基材を積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。
以下に、この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
<エチレン性不飽和化合物(a2)の製造>
(合成例1)
反応槽、滴下装置、攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び空気導入管を備えた反応装置の反応槽及び滴下装置に、下記化合物、有機溶剤、及びイオン交換水をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[反応槽]
酸化亜鉛(金属化合物) 53.0部
トルエン(有機溶剤) 125部
メチルエチルケトン(有機溶剤) 20部
[滴下装置]
アクリル酸(a4) 47.0部
OTP(非反応性界面活性剤) 0.02部
SD30(非反応性界面活性剤) 0.01部
イオン交換水(W) 5部
次に、反応槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら酸素濃度が10%程度になるように窒素と空気を導入し、50℃まで昇温した。続いて滴下装置から上記混合物を3時間かけて等速滴下して反応を開始した。滴下終了後、さらに4時間攪拌し、反応を継続した。
続いて、反応槽の温度を50℃に保ったまま、約20Torrの条件で水分と有機溶剤(トルエン、メチルエチルケトン)を反応系外に放出しながら6時間反応を行った。さらに3時間減圧蒸留を行い、未反応の化合物を除去した。
その後、常温まで冷却し、酸価(AV)0(mgKOH/g)の白色固体である表1に示す化合物(a2)を得た。1H−NMR測定を行い、カルボン酸の化学シフト(σ)=10〜15ppm(アクリル酸:約12ppm、メタクリル酸:約12.6ppm、2−アクリロイロキシエチル-フタル酸:約13.3ppm)の一重線(シングレット)の消失で目的物が生成していることを確認し、中和度を算出した。
(合成例2〜25)
化合物(a2)を構成する化合物の種類および配合量をそれぞれ表1に従って変更した以外は、合成例1と同様に反応させることで、それぞれ合成例2〜25の化合物を合成した。これらのうち、合成例12、23および24で得られた化合物は、化合物(a2)ではない化合物(比較例用)である。得られた化合物の外観、中和度および酸価(AV)を、後述の方法に従って求め、結果を表1に示した。
《外観》
合成例1〜25で得られた化合物(a2)(実施例用)および化合物(a2)ではない化合物(比較例用)の外観を、それぞれ25℃の条件下で、目視にて観察した。極端に黒っぽく無ければ良好である。
《中和度》
合成例1〜25で得られた化合物(a2)(実施例用)および化合物(a2)ではない化合物(比較例用)のエチレン性不飽和二重結合基末端プロトン(1−エチレン)の化学シフト(σ)=5.5〜7.0ppmのピーク面積割合で次式より算出した(単位:%)。

中和度(%)=(合成例1〜25のピーク面積/完全中和した場合のピーク面積)×100

(アクリル酸完全中和の場合(1−エチレン):5.83ppm,6.41ppm、メタクリル酸完全中和の場合(1−エチレン):6.40ppm、6.48ppm、2−アクリロイロキシエチル-フタル酸完全中和の場合(1−エチレン):5.83ppm,6.41ppm)
《酸価(AV)》
合成例1〜25で得られた化合物(a2)(実施例用)および化合物(a2)ではない化合物(比較例用)について、共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容積比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。
酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
合成例1〜25で使用した材料の略号を以下に示す。尚、特に断りのない限り、表中の数値は部を表し、空欄は配合なしを表す。
<表1−1、1−2の略号>
・エチレン性不飽和化合物(a4)(カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物)
AA:アクリル酸、MAA:メタクリル酸
・芳香族COOH(芳香環とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物)
PHA:2−アクリロイロキシエチル-フタル酸
・金属化合物(金属イオンを含有する化合物)
ZnO:酸化亜鉛、ZnCl:塩化亜鉛、CaO:酸化カルシウム、MgO:酸化マグネシウム、BaO:酸化バリウム、CuO:酸化銅、Al:酸化アルミニウム、Nd:酸化ネオジウム
・1価金属化合物(1価の金属イオンを含有する化合物)
KOH:水酸化カリウム
・非反応性界面活性剤
OTP:アニオン性界面活性剤 ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム [花王社製「ペレックス OT−P」] 不揮発分濃度:70%、SD30:ノニオン性界面活性剤 ポリオキシエチレンイソデシルエーテル [第一工業製薬社製「ノイゲン SD−30」] 不揮発分濃度:100% HLB:10.1
・有機溶剤
TOL:トルエン、MEK:メチルエチルケトン
・水
W:イオン交換水
<水分散性重合体(A)の製造>
(合成例101)
攪拌槽、攪拌機、温度計を備えた攪拌装置の攪拌槽に、下記エチレン性不飽和化合物、界面活性剤及びイオン交換水をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[攪拌槽]
合成例1のエチレン性不飽和化合物(a2) 0.37部
アクリル酸2−エチルヘキシルアクリレート(a1) 99.88部
アクリル酸 (a4) 0.20部
メタクリル酸2−アセトアセトキシエチル(a3) 0.35部
KH10(反応性界面活性剤) 0.2部
イオン交換水 32.71部
攪拌槽内を攪拌しながら上記化合物を混合してプレ乳化品を得た。次に、重合槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた重合反応装置の反応槽及び滴下装置に、上記化合物のプレ乳化品、重合開始剤およびイオン交換水をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
イオン交換水 49.07部
[滴下装置]
上記単量体のプレ乳化品 133.71部
過硫酸カリウム(重合開始剤) 0.02部
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、窒素雰囲気下、攪拌しながら、温度を80℃まで昇温し、過硫酸カリウムを0.01部添加した。
5分後、上記滴下装置から上記単量体のプレ乳化品と過硫酸カリウムとの混合液を3時間かけて滴下した。
反応温度を80℃に保持したまま、さらに攪拌しながら、過硫酸カリウムを滴下終了後0.5時間ごとに0.005部ずつ2回添加し、その後2時間熟成し、反応を継続した。その後、25℃になるまで冷却し、不揮発分濃度約55%の水分散性重合体(A)の水性分散体を得た。この際、生産性として濾過性および釜汚れ性を後述の方法に従って評価し、結果を表2−3、4に示した。
また、得られた水性分散体の不揮発分濃度(NV)、溶液粘度(Vis)、平均粒子径(Dm)、水素イオン指数(pH)およびガラス転移温度(Tg)を、後述の方法に従って求め、結果を表2−3、4に示した。
(合成例102〜162)
表2−1に記載した材料および配合量に変更した以外は、合成例101と同様に、それぞれ水分散性重合体の水性分散体を合成した。なお、表2−1および表2−2に記載した数値は、特に断りがない限り「部」を表し、空欄および「−」表記は、使用していないか、あるいは未評価であることを表す。
これらのうち、合成例113、121、130〜132、148、157、158で得られた水性分散体が水分散性重合体(A)ではない水性分散体である。
また、101〜112、114〜120、122〜129、133〜147、149〜156および159〜162で得られた水性分散体が水分散性重合体(A)の水性分散体である。
なお、合成例158は濾過不能であったため、未評価とした。
なお、表2−1中の重合開始剤の欄に記載した質量は、重合槽では添加した質量を、滴下中に滴下した質量の総和、及び後添加は滴下終了後に2回添加した質量の総和を意味する。また、界面活性剤は、不揮発分濃度換算の質量をあらわす。
《濾過性の評価》
合成例101〜162で得られた水分散性重合体の水性分散体を180メッシュの炉布で濾過して、3段階の評価をした。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:速やかに濾過でき、残渣が全くない。良好。
△:若干濾過に時間を要し、不揮発分濃度に影響しない程度の残渣が多少残る。実用上使用可能。
×:濾過時間が長く、また残渣がかなり多い。不揮発分濃度が減少している。実用不可。
《釜汚れ性の評価》
合成例101〜162で得られた水分散性重合体の水性分散体の製造後における重合槽璧への固形物付着状況と、水による洗浄性について、3段階の評価をした。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:付着が全くなく、また洗浄性も良好
△:固形物の付着は若干あるが、洗浄性が良い。実用上使用可能。
×:固形物の付着が多く、洗浄してもとれない。実用不可。
《不揮発分濃度(NV)》
合成例101〜162で得られた水分散性重合体の水性分散体、約1gを金属容器に秤量し、150℃オーブン中にて20分間乾燥して、残分を秤量して残率計算をし、不揮発分濃度(固形分)とした(単位:%)。
《液体粘度(Vis)》
合成例101〜162で得られた水分散性重合体の水性分散体を、それぞれを25℃でB型粘度計(東機産業社製 TV−22)にて、ローターNo2〜4、回転速度0.5〜100rpm、1分間回転の条件で測定し、液体の粘度(mPa・s)とした。
《平均粒子径(Dm)》
合成例101〜162で得られた水分散性重合体の水性分散体における平均粒子径は、日機装社製「マイクロトラック」を使用して測定した。平均粒子径は、累積百分率の50%の値を適用した。
《ガラス転移温度(Tg)》
合成例101〜162で得られた水分散性重合体のガラス転移温度(Tg)は、ロボットDSC(示差走査熱量計、セイコーインスツルメンツ社製「RDC220」)に「SSC5200ディスクステーション」(セイコーインスツルメンツ社製)を接続して、測定した。 試料約10mgをアルミニウムパンに入れ、秤量して示差走査熱量計にセットし、試料を入れない同タイプのアルミニウムパンをリファレンスとして、100℃の温度で5分間保持した後、液体窒素を用いて−120℃まで急冷した。その後、昇温速度10℃/分で昇温し、得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg、単位:℃)を決定した。
《水素イオン指数(pH)》
合成例101〜162で得られた水分散性重合体の水性分散体におけるpHは、HORIBA製F−52S,電極:型式6377−10Dを用いて測定した。
<表2−1、表2−2の略号>
・エチレン性不飽和化合物(a1)
BA:アクリル酸ブチル、2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル、LMA:メタクリル酸ラウリル、BEA:アクリル酸ベヘニル、OVE:n−オクチルビニルエーテル
・エチレン性不飽和化合物(a2)
合成例:表1−1,1−2記載の各合成例で得られた化合物(a2)(合成例1〜25)、ZNDMA:ジメタクリル酸亜鉛 Cray valley社製「Dynalink 708」] 不揮発分濃度:99%<、ZNMA:ヒドロキシメタクリロイルオキシ亜鉛 [Sartomer社製「SR−709」] 不揮発分濃度:99%<、CADA:ジアクリル酸カルシウム [浅田化学工業社製「CA25」] 不揮発分濃度:25.5%
・エチレン性不飽和化合物(a3)
AAEM:メタクリル酸2−アセトアセトキシエチル、DAAM:ジアセトンアクリルアミド
・エチレン性不飽和化合物(a4)
AA:アクリル酸、EA:アクリル酸エチル、MMA:メタクリル酸メチル、2HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
・芳香環A(芳香環を有するエチレン性不飽和化合物)
PHEA:アクリル酸フェノキシエチル
・反応性界面活性剤(B)
KH10:アニオン性反応性界面活性剤 ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシエチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム [第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」] 不揮発分濃度:99%、PD104:アニオン性反応性界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルアルケニルエーテル硫酸アンモニウム [花王社製「ラテムル PD−104」] 不揮発分濃度:20%、MS60:アニオン性反応性界面活性剤 メチレンビスポリオキシエチレンアルキルフェニルアルケニルエーテルル硫酸アンモニウム [日本乳化剤社製「アントックス MS−60」] 不揮発分濃度:90%、ER20:ノニオン性反応性界面活性剤 アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン [アデカ社製「アデカリアソープ ER−20」] 不揮発分濃度:75%
・非反応性界面活性剤
WX:アニオン性非反応性界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム [花王社製「ラテムル WX」] 不揮発分濃度:26%
・重合開始剤
APS:過硫酸アンモニウム
・水
W:イオン交換水
<水性感圧式接着剤>
上記合成例101〜162で得られた水分散性重合体の水性分散体を用い、それぞれ以下の方法で水性感圧式接着剤を作製した。
(実施例1)
攪拌槽、攪拌機、温度計を備えた攪拌装置の攪拌槽に、下記水分散性重合体(A)、反応性化合物(C)およびその他化合物(F){粘度調整剤、消泡剤、防腐剤および可塑剤}をそれぞれ下記の比率(いずれも不揮発分)で仕込んだ。
[攪拌槽]
合成例101の水分散性重合体(A) 100部
アジピン酸ジヒドラジド(C)の15%水溶液 0.5部
アデカノール UH−420(粘度調節剤) 0.4部
SNデフォーマー154(消泡剤) 0.3部
デルトップ100N(防腐剤) 0.05部
攪拌機としてホモミキサー〔中央理化社製「LZB46−HM−3」〕を使用して、回転数5,000rpmで、0.5時間攪拌した。次に、攪拌しながら、アクリゾル ASE−60(粘度調節剤)0.1部、アンモニア水1.8部及びイオン交換水5.5部を加えて調整し、水性感圧式接着剤を得た。得られた水性感圧式接着剤の不揮発分濃度(NV)、溶液粘度(Vis)、水素イオン指数(pH)およびゲル分率(Gel%)を、上記した方法に従って求め、結果を表3−1、2に示した。
(実施例2〜59、比較例1〜10)
表3−1、2に記載した材料のうち、水分散性重合体(A)、反応性化合物(C)、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤および可塑剤を表3−1、2の記載に従い配合し撹拌混合を行い、それぞれ水性感圧式接着剤を得た。
得られた各水性感圧式接着剤を各基材に塗工、乾燥および貼り合わせを施し、接着シートを作製し、以下の方法で評価した。それぞれの結果を表4に示す。なお、比較例8においては、水分散性重合体(合成例158)の濾過性が著しく不良のため、水性感圧式接着剤の製造及び塗工は行わなかった。
なお、表3−1、2に記載した水分散性重合体(A)、反応性化合物(C)およびその他化合物(F)の数値は、不揮発分を表し、空欄は使用していないことを表す。
《不揮発分濃度(NV)》
各実施例および比較例で得られた水性感圧式接着剤を上記同様、約1gを金属容器に秤量し、150℃オーブン中にて20分間乾燥して、残分を秤量して残率計算をし、不揮発分濃度(固形分)とした(単位:%)。
《液体粘度(Vis)》
各実施例および比較例で得られた水性感圧式接着剤を上記同様、それぞれを25℃でB型粘度計(東機産業社製 TV−22)にて、ローターNo2〜4、回転速度0.5〜100rpm、1分間回転の条件で測定し、液体の粘度(mPa・s)とした。
《水素イオン指数(pH)》
各実施例および比較例で得られた水性感圧式接着剤におけるpHは、上記同様、HORIBA製F−52S,電極:型式6377−10Dを用いて測定した。
《ゲル分率(Gel%)》
各実施例および比較例で得られた水性感圧式接着剤を、剥離ライナー(厚さ38μmの剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム、セラピールMF:東レフィルム加工社製)上に、乾燥後の厚さが20μmになるように塗工し、100℃で2分間熱風乾燥することで接着剤層を形成した。次いで、上記接着層に50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を貼り合せて、50μm厚PETフィルム/接着剤層/剥離ライナーで構成された接着シ−トを作製した。
作製した各接着シートを、23℃相対湿度50%の環境下で1日間養生した。その後、幅100mm×長さ200mmに裁断し、接着シート端部から剥離ライナーを剥がした後の接着剤層表面を、予め秤量してある200メッシュのステンレス網で包み込み、次いで、それを酢酸エチル中、23℃で72時間浸漬した後、乾燥して溶剤を除去した。そして浸漬前の乾燥塗膜の質量に対する、浸漬後の乾燥塗膜の質量の割合をゲル分率としてを算出し、不溶分の割合をゲル分率(Gel%)とし、3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
ゲル分率(Gel%)は、下記の方法で算出した。
(Gel%)=(浸漬後の乾燥塗膜質量−PETフィルムの質量)/(浸漬前の乾燥塗膜質量−PETフィルムの質量)×100
[評価基準]
○:ゲル分率が、90%以上95%以下の範囲である。良好。
△:ゲル分率が、85%以上90%未満の範囲である。実用上使用可能。
×:ゲル分率が、85%未満、または95%を超える。実用不可。
《貯蔵安定性の評価》
各実施例および比較例において得られた水性感圧式接着剤を、上記同様、225mlのマヨネーズ瓶に採取し、蓋をした状態で、25℃にて1ヶ月間貯蔵後、水性感圧式接着剤の分散質と液層(分散媒)の分離の状態を3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:1ヶ月間貯蔵しても水性分散体は分離しない。良好。
△:2週間以上の貯蔵で分離するが、振とうにより均一な水性分散体に戻る。実用上使用可能。
×:2週間未満の貯蔵で分離するか、振とうしても均一な水性分散体に戻らない。実用不可。
《機械的安定性の評価》
各実施例および比較例において得られた水性感圧式接着剤を、上記同様、50g採取して水を5g添加して希釈して300メッシュの金網で濾過し、そのうちの50gを試験試料とした。マロン式機械的安定性試験機[テスター産業社製]を用いて、温度25℃、荷重15kg、回転速度1,000rpmの条件で10分間機械的負荷を与えた後、生成する凝集物を300メッシュの金網で濾過し、初期の水性感圧式接着剤の乾燥質量に対する凝集物の乾燥質量を算出し、凝集物の生成割合(%)により機械安定性を3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
凝集物の生成割合は、下記の方法で算出した。
凝集物の生成割合(%)=100×(凝集物の質量)/(試験試料初期の質量)
[評価基準]
○:凝集物の生成割合が、0.1%未満。良好。
△:凝集物の生成割合が、0.1〜1.0%の範囲である。実用上使用可能。
×:凝集物の生成割合が、1.0%を超えている。実用不可。
《塗工性の評価》
得られた水性感圧式接着剤を、剥離ライナーとして剥離処理された市販のグラシン紙(以下、「グラシンセパレーター」とも称す。)上に、乾燥後の接着剤層の厚さが18μmになるように塗工し、100℃で2分間熱風乾燥することで接着剤層を形成した。次いで、上記塗工面に60μm厚の市販上質紙を貼り合せて、上質紙/接着剤層/グラシンセパレーター(剥離ライナーで構成された接着シートを作製した。そしてグラシンセパレーターを剥がした後の接着剤層表面(塗工面)の状態を目視にて観察し、3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:塗工面にハジキ、発泡やスジ引きが認められず、平滑な塗工面である。良好。
△:塗工面の端部に若干のハジキや発泡が認められる。実用上使用可。
×:塗工面全体にハジキ、発泡やスジ引きが認められた。不良。
《加工性の評価》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各接着シートを、23℃相対湿度50%の環境下で3日間養生した。その後、幅100mm×長さ100mmに裁断し、これを20枚重ね、40℃−60Kg/cmの条件で1時間プレスした際の接着シート端部からの接着層のはみ出しの様子を以下のように3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:接着剤層のはみ出しが観測されない。良好。
△:0.3mm未満の接着剤層のはみ出しが観測されるが、実用上使用可能。
×:0.3mm以上の接着剤層のはみ出しが観測される。不良。
《剥離強度の測定》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各接着シートを、幅25mm×長さ100mmに裁断し、剥離ライナーを剥がし、露出した接着剤層を厚さ3mmの表面を研磨したステンレス鋼板に23℃、相対湿度50%の環境下で貼着し、質量2kgのロールを1往復して測定試料を得た。その直後の接着力を同環境下で、引張試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180度の条件で剥離強度を測定した(貼り合わせ直後の剥離強度測定)。
また上記同様に、この測定試料を23℃、相対湿度50%の環境下で1日間放置した後に、同環境下同条件で剥離強度を測定した(貼り合わせ1日後の剥離強度測定)。
さらに、上記測定試料を、70℃の環境下で72時間放置した後に、さらに23℃、相対湿度50%の環境下に1時間放置して、同様の方法で剥離強度を測定した(加熱経時72時間後の剥離強度測定)。この剥離強度を接着力として3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:接着力が5.0〜8.0(N/25mm)以内。良好。
△:接着力が3.0(N/25mm)以上5.0(mN/25mm)未満、
または、8.0(N/25mm)を超え10.0(mN/25mm)未満。実用可。
×:接着力が3.0(N/25mm)未満、または、10.0(N/25mm)以上。不良で実用不可。
《高温再剥離性の評価》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各接着シートを、幅25mm×長さ100mmに裁断し、剥離ライナーを剥がし、露出した接着剤層を厚さ3mmの表面を研磨したステンレス鋼板に23℃、相対湿度50%の環境下で貼着し、質量2kgのロールを1往復して測定試料を得た。
次いで、この測定試料を120℃雰囲気下で24時間放置した後に、同環境下で1時間放置した後、引張試験機を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180度の条件で剥離し、剥離後のステンレス鋼板表面の汚染性を目視で3段階評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:基材破断が無く、ステンレス板にほとんど汚染が確認できない。良好。
△:基材破断は無いが、ステンレス板をわずかに汚染した。実用可。
×:基材が破断する、またはステンレス板に顕著な汚染が残った。実用不可。
《高速再剥離性の評価》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各接着シートを、幅25mm×長さ100mmに裁断し、剥離ライナーを剥がし、露出した接着剤層を厚さ3mmの市販のべニア板に23℃、相対湿度50%の環境下で貼着し、質量2kgのロールを1往復して測定試料を得た。次いで、この測定試料を40℃雰囲気下で78時間放置した後に、同環境下で1時間放置した後、引張試験機を用いて、剥離速度1,500mm/分、剥離角度180度の条件で剥離し、べニア板表面の汚染性を目視で3段階評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:基材破断が無く、べニア板にほとんど汚染が確認できない。良好。
△:基材破断は無いが、べニア板をわずかに汚染した。実用可。
×:基材が破断する、またはべニア板に顕著な汚染が残った。実用不可。
《保持力の測定》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各接着シートを、幅25mm×長さ100mmに裁断し、貼り合わせ部分が25mm×25mmとなるように剥離ライナーを剥がし、露出した接着剤層を厚さ3mmのステンレス(SUS)板に23℃、相対湿度50%の環境下で貼着し、質量2kgのロールを1往復して測定試料を得た。
この測定試料を、40℃の環境下で20分間放置した後に、40℃環境下で1kgの荷重をかけ、保持力試験機[テスター産業社製]を用いて、40℃の条件で7万秒測定を行い、荷重が落下するまでの時間、または落下しない場合には、初期の貼り付け時からずれた長さを測定し、次の3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:荷重の落下もなく、ズレが0.5mm未満。良好。
△:荷重の落下はないが、ズレが0.5mm以上。実用可。
×:7万秒未満で落下。不良で実用不可。
《定荷重剥離性試験の評価》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各接着シートを、幅10mm×長さ100mmに裁断し、貼り合わせ部分が10mm×80mmとなるように剥離ライナーを剥がし、露出した接着剤層を厚さ3mmのステンレス(SUS)板に23℃、相対湿度50%の環境下で貼着し、質量2kgのロールを1往復して測定試料を得た。
得られた測定試料を23℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置し、さらにその後、80℃の環境下で1時間放置した後に、貼付け面が下側となるようにしてステンレス板を水平に保ち、貼付けられていない部分の接着シートの端部に50gの錘を吊り下げ、10分間放置し、ステンレス板から剥がれた部分の長さを計測した。10分間以内にステンレス板からすべて剥がれ落ちた場合は、それまでの時間を測定し、下記基準で3段階評価した。なお、試験は80℃の環境下で行った。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:落下せず、ズレ20mm未満。良好で実用上問題ない。
△:落下せず、ズレ20mm以上80mm未満。実用可。
×:10分未満で落下。不良で実用不可。
《曲面接着性の評価》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各粘着シートを、幅20mm×長さ22mmに裁断し、20mmφのガラス円筒の曲面に、試料の長さ方向が円周方向に沿うように貼り付け、2kgゴムローラーで圧着し、23℃−50%の雰囲気下で24時間放置した。その後、試料の長さ方向の末端部分の剥がれ状態を目視で観察し、下記基準で3段階評価した。
[評価基準]
○:全く剥離していないか、または試料末端の0.1mm未満の部分が剥離している。良好
△:試料末端の0.1mm以上0.5mm以下の部分が剥離している。実用可。
×:試料末端の0.5mmを超える部分が剥離している。不良で実用不可。
《基材密着性の評価》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各接着シートから剥離ライナーを剥がして露出した接着剤層を指でこすり、接着剤層が基材である上質紙から脱落するかどうかを下記基準で3段階評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:15往復回を超えてこすっても基材から脱落しない。良好で実用上問題ない。
△:5〜15往復回で基材から脱落する。実用可。
×:5往復回未満で感圧式接着剤が脱落する。不良で実用不可。
《剥離強度保持率の評価》
得られた水性感圧式接着剤を、グラシンセパレーター(剥離ライナー)上に、乾燥後の接着剤層の厚さが20μmになるように塗工し、100℃で3分間熱風乾燥することで接着剤層を形成した。次いで、上記塗工面に60μm厚の市販中性紙(坪量80g/m2、炭酸カルシウムを約15%含有)を貼り合せて、中性紙/接着剤層/グラシンセパレーター(剥離ライナー)で構成された接着シートを作製した。
作製した各接着シートを幅25mm×長さ100mmに裁断し、グラシンセパレーター(剥離ライナー)を剥がし、露出した接着剤層を厚さ3mmの表面を研磨したステンレス鋼板に23℃、相対湿度50%の環境下で貼着し、質量2kgのロールを1往復して測定試料を得た。この測定試料を23℃、相対湿度50%の環境下で1日間放置した後に、接着力を同環境下で、引張試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180度の条件で剥離強度を測定した(貼り合わせ1日後の剥離強度測定)。
さらに、作製した各接着シートを60℃、相対湿度95%の環境下で3日間放置した後に、さらに23℃、相対湿度50%の環境下に1時間放置して、同様の方法で剥離強度を測定した(湿熱経時3日後の剥離強度測定)。
得られた接着シートを60℃−95%RH環境下で3日間静置した。次いで前記接着シートを23℃、50%RH環境下で5時間静置した。その後幅25mm、縦100mmの大きさに準備し試験片とした。そして上記同様の方法で被着体の粘着力を測定し経時後粘着力とした。この剥離強度を接着力として3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
[評価基準]
○:接着力が5.0〜8.0(N/25mm)以内。良好。
△:接着力が3.0(N/25mm)以上5.0(mN/25mm)未満、
または、8.0(N/25mm)を超え10.0(mN/25mm)未満。実用可。
×:接着力が3.0(N/25mm)未満、または、10.0(N/25mm)以上。不良で実用不可。
また、貼り合わせ1日後の剥離強度に対する湿熱経時3日後の剥離強度の保持率を以下の式を用いて算出し、中性紙による接着層の経時劣化の判定とし、3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。
剥離力保持率(%)=(湿熱経時3日後の剥離強度/貼り合わせ1日後の剥離強度)×100
[評価基準]
○:剥離力保持率90%以上。良好。
△:剥離力保持率が85%以上、90%未満。実用可。
×:剥離力保持率が85%未満。不良で実用不可。
実施例、比較例および参考例で使用した材料を以下に示す。尚、表3および表4において、空欄は配合なしを、「−」表示は未塗工を意味している。
・水分散性重合体
合成例:表2−1、2−2記載の各合成例で得られた水分散性重合体(合成例101〜162)
・反応性化合物(C)
ADH:アジピン酸ジヒドラジドの15%水溶液
・粘度調整剤(F)
UH420:アデカ社製「アデカノール UH−420」、NV=30%、ASE60:ダウケミカル社製「アクリゾル ASE−60」、NV=28%
・消泡剤(F)
SN154:サンノプコ社製「SNデフォーマー154」
・防腐剤(F)
100N:大阪ガスケミカル社製「デルトップ100N」
・可塑剤(F)
ML240:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸[東邦化学社製、商品名「フォスファノール ML−240」]
・アンモニア水
AN:25%アンモニア水
・水
W:イオン交換水
以上のように、本発明の水性感圧式接着剤は、実施例2〜6、8〜15、18、21〜27、29〜32、34、35、38、39、41、42、48〜50および48〜59では、貯蔵安定性、機械的安定性、塗工性、加工性、剥離強度(直後、1日後、加熱72時間後)、再剥離性(高温、高速)、保持力、定荷重剥離、曲面接着性、基材密着性および剥離強度(1日後、湿熱経時3日後、保持率)のいずれにおいても、「△」評価(実用可能レベル)が16項目中3個以下であり、他は全て「○」評価(良好レベル)のため、優れていることが分かる。
また、実施例1、7、16、17、19、20、28、33、36、37、40、43および47においては、各評価の「△」評価(実用可能レベル)が16項目中4〜16個であり、「×」評価(不良レベル)が一つもないため、実用上支障なく使用することが可能である。
これに対して、比較例1〜10では、貯蔵安定性、機械的安定性、塗工性、加工性、剥離強度(直後、1日後、加熱72時間後)、再剥離性(高温、高速)、保持力、定荷重剥離、曲面接着、基材密着性および剥離強度(1日後、湿熱経時3日後、保持率)のいずれかが極端に劣ることがわかる。
本発明に係る水性感圧式接着剤は、優れた貯蔵安定性、機械的安定性、塗工性、加工性、接着性、再剥離性、曲面接着性、定荷重剥離性、基材密着性、中性紙劣化抑制等を与えることから、ラベル・シートの一般分野以外に、建築分野(例えば、外装、内装、設備など)、電気機器分野(例えば、家電、厨房設備、空調など)、輸送器機分野(例えば、船舶、自動車など)、家具分野、雑貨分野などの光学分野以外の各種産業分野においても使用することが可能である。
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Claims (9)

  1. カルボニル基を有する水分散性重合体(A)、およびカルボニル基と反応し得る官能基を有する反応性化合物(C)を含み、
    前記水分散性重合体(A)は、下記エチレン性不飽和化合物(a1)〜(a3)を含む混合物の共重合体であり、
    前記水分散性重合体(A)100質量部に対し、前記反応性化合物(C)を0.01〜20質量部含み、芳香環を有する化合物を含まない水性感圧式接着剤。

    (a1)炭素数4〜24のアルキル基を有するエチレン性不飽和化合物
    (a2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の、カルボキシル基が二価以上の金属イオンで中和されたエチレン性不飽和化合物
    (a3)カルボニル基を有するエチレン性不飽和化合物(但し、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、および化合物(a2)を除く)
  2. 水分散性重合体(A)を構成するエチレン性不飽和化合物の混合物100質量%中、
    エチレン性不飽和化合物(a1)85〜99.98質量%、
    エチレン性不飽和化合物(a2)0.01〜10質量%および、
    エチレン性不飽和化合物(a3)0.01〜5質量%、
    であることを特徴とする請求項1記載の水性感圧式接着剤。
  3. エチレン性不飽和化合物(a2)の二価以上の金属イオンは、アルカリ土類金属イオンまたは遷移金属イオンであることを特徴とする請求項1または2記載の水性感圧式接着剤。
  4. エチレン性不飽和化合物(a2)は、アクリル酸またはメタアクリル酸の有するカルボキシル基が二価以上の金属イオンで中和されたエチレン性不飽和化合物であり、
    前記二価以上の金属イオンは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛の少なくともいずれか1つまたはそれらの混合物のイオンであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の水性感圧式接着剤。
  5. エチレン性不飽和化合物(a2)は、金属イオン1.0モル当量に対し、中和前のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物のカルボキシル基が0.7〜1.0モル当量の比率で中和されたエチレン性不飽和化合物であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の水性感圧式接着剤。
  6. 水分散性重合体(A)は、反応性界面活性剤(B)(但し、反応性化合物(C)を除く)の存在下で、エチレン性不飽和化合物の混合物を乳化重合してなる、請求項1〜5いずれか1項記載の水性感圧式接着剤。
  7. 反応性界面活性剤(B)は、アニオン性反応性界面活性剤およびノニオン性反応性界面活性剤の少なくともいずれかを含む、請求項6記載の水性感圧式接着剤。
  8. 反応性化合物(C)が有する、カルボニル基と反応し得る官能基は、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、および活性水素を有する含窒素ヘテロ環基からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載の水性感圧式接着剤。
  9. 基材と、請求項1〜8いずれか1項記載の水性感圧式接着剤から形成されてなる接着剤層とを備えた、接着シ−ト。
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