JP2021169395A - 陶磁器およびその製造方法 - Google Patents

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Hiroyuki Otsuka
嘉夫 神谷
Yoshio Kamiya
兼護 小川
Kanemori Ogawa
修助 弘部
Shusuke HIROBE
敏明 曽我部
Toshiaki Sogabe
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MARUMI TORYO KK
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MARUMI TORYO
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Abstract

【課題】黒色系の陶磁器およびその製造方法を提供する。【解決手段】坏土を成形してなる成形品を焼成して陶磁器となす焼成工程を備え、焼成工程は、成形品を周囲に炭素が存在する条件で1125℃以上の温度で焼成する工程である。好ましくは、焼成工程は、(1)炭素粉末を含んだ炭素系粒子中に成形品を配置し、(2)炭素材料を含んで構成された容器内に成形品を配置し、あるいは(3)炭素粉末を含んだ炭素系粒子が配置された容器内に、成形品と炭素系粒子とが接触しないように成形品を配置して、焼成する。【選択図】図11

Description

本発明は、陶磁器およびその製造方法に関し、詳しくは黒色系の陶磁器に関する。
陶磁器は、皿、湯飲み、椀などの食器に加え、置物、タイル、花器など、様々な分野で使用されている。
陶磁器の色調は、使用する粘土の種類や添加する顔料、釉薬の材料、焼成雰囲気などによって決定される。例えば、鉄が含まれる材料を酸化雰囲気で焼成した場合には、その量に応じて薄い黄色〜赤褐色となる。
特許文献1は、焼成後、窯炉内温度が低下したのちに、内部に燃料ガスを供給し還元カーボンを生じさせることにより、燻し瓦のようなくすんだ色調の陶器製品を得る技術を提案している。
特開平2−248355
しかしながら、この技術では複雑な製造工程を必要とし、コスト高になるという問題があった。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、簡便な手法で黒色系(灰、いぶし銀〜黒)の陶磁器を実現することを目的とする。
上記課題を解決するための陶磁器の製造方法にかかる本発明は、次のように構成されている。
坏土を成形してなる成形品を焼成して陶磁器となす焼成工程を備え、前記焼成工程は、周囲に炭素が存在する環境で、前記成形品を、1125℃以上の温度で焼成する工程である、陶磁器の製造方法。
この製造方法によれば、炭素材料が周囲に存在する状態で、1125℃以上の温度での焼成を行っている。この製造方法を採用すると、周囲に存在する炭素が成形品内部に浸透しつつ焼成される。このため、簡便な手法で炭素による黒色系の発色を有する陶磁器が得られる。なお、炭素は成形品の外部から内部に侵入するため、陶磁器における炭素量は、炭素が浸透してくる表面側で最も多く(最も黒く)、中心に向かうに従いその量が減って(黒色が薄くなって)いくこととなる。
なお、1125℃未満の温度で焼成を行う場合には、この炭素が成形品内部に十分に浸透しないため、炭素による黒色系の発色は得られない。
また、炭素系粒子などの配置量に偏りを持たせたり、成形品にかかる温度にムラを生じさせたりすると、黒色の程度が様々に変化した陶磁器が得られるようになる。
このように周囲に炭素が存在する雰囲気で焼成する方法としては、次の3つの方法のうちのいずれかを採用することが好ましい。
(第1の方法)
前記焼成工程は、炭素粉末を含んだ炭素系粒子中に前記成形品を配置して焼成する工程である。
(第2の方法)
前記焼成工程は、炭素材料を含んで構成された容器内に前記成形品を配置して焼成する工程である。
(第3の方法)
前記焼成工程は、炭素粉末を含んだ炭素系粒子が配置された容器内に、前記成形品と前記炭素系粒子とが接触しないように前記成形品を配置して焼成する工程である。
これら第1〜第3の方法を採用することにより、簡便な構成で成形品内部に炭素を浸透させながら焼成を行うことができる。
また、炭素系粒子などの配置量に偏りを持たせたり、成形品にかかる温度にムラを生じさせたりすると、黒色系(灰、いぶし銀〜黒)の程度が様々に変化した陶磁器が得られる。
上記炭素系粒子として、黒鉛粒子、炭素粒子などの炭素粉末そのものを使用することができる。この構成であると低コストで炭素系粒子を準備できる。
炭素系粒子として、黒鉛粒子と、カオリンを主体とする粘土と、を造粒してなる顆粒を用いることができる。
このような顆粒を使用することにより、一定割合の炭素系粒子を均一に配置することができる、狙った通りの量の炭素系粒子を配置することができる、粉塵の発生が抑制される、計量がしやすくなる、粉の流れが良くなる、作業性が向上する、などの効果が得られる。
また、カオリンを主体とする粘土とは、粘土全質量に含まれるカオリナイト(Al[Si10](OH))の量が50質量%以上のものをいう。好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上とする。
また、カオリンを主体とする粘土に含まれるカオリナイト以外の成分は陶磁器に使用される粘土であれば特に限定されず、例えば坏土に用いる粘土と同様でよい。
造粒工程は、特に限定されず公知の造粒法を採用でき、たとえばスプレードライヤーによる噴霧乾燥造粒方法、市販の造粒機やミキサーを用いる方法などを採用できる、なかでも、黒鉛粒子と、カオリンを主体とする粘土と、水と、を含んだ泥しょうを、スプレードライヤーを用いて造粒する方法を採用することが好ましい。
上記第2、第3の方法では、成形品に炭素系粒子が直接接触することがないので、釉薬をかけた成形品の焼成に適している。釉薬は、公知の材料、公知の方法により施すことができ、例えば焼成工程の前に行うことができる。もちろん、釉薬をかけていない成形品の焼成にも利用可能であるとともに、焼成後の素地に釉薬や絵付けなどを施して再度焼成してもよい。
また、上記第3の方法において、成形品に炭素系粒子を直接接触させない方法として、炭素系粒子を敷いたものの上に炭素材料製の板を置き、この板上に成形品を置く方法、大小2つの容器を用い、小容器の中に成形品を置き、この小容器を炭素系粒子が収容された大容器内に入れる方法などを採用できる。
周囲に存在させる炭素の量は、所望とする色あいに合わせて適宜選択すればよいが、良好な黒色発色を得るためには、成形品100gあたり好ましくは炭素1g以上、より好ましくは20g以上、さらに好ましくは50g以上とする。また、多量に用いるとコスト高になるので、成形品100gあたり好ましくは炭素300g以下、より好ましくは200g以下、さらに好ましくは150g以下とする。
なお、焼成時間は、低温の場合には高温の場合よりも長時間焼成することが好ましい。例えば、1200℃以上での焼成の場合には1.5時間以上、1125℃での焼成の場合には5時間以上、などとすることが好ましい。なお、焼成時間は、最高温度で焼成される時間を意味し、炉内温度を上昇させているときの時間は含まない。なお、焼成温度や時間は、目的とする色合いや焼き締まりの程度、石粉や釉薬の有無などによって適宜決定すればよい。
上記課題を解決するための陶磁器にかかる本発明は、次のように構成されている。
坏土を成形してなる成形品を焼成した陶磁器であって、前記陶磁器は炭素を含み、前記炭素は、表面側から中心側に向かって含有量が少なくなるような濃度勾配を有する陶磁器。
前記成形焼成物に含まれる前記黒鉛粒子の質量割合が、2.5〜6質量%であることが好ましく、3〜6質量%であることがより好ましく、3.5〜6質量%であることがさらに好ましい。
ここで陶磁器とは広義のものを意味し、陶磁器用粘土に、必要に応じて水、顔料、石粉、添加剤などを混合した坏土を成形した成形品を焼成してなるもの全般を意味する。したがって、使用用途は限定されず、皿、椀、湯飲みなどの食器に加えて、鍋、陶板などの加熱調理器、花瓶、壺、傘立て、置物、タイル等に使用できる。また、陶磁器は、完成品としてのものだけではなく、色付け前や釉薬を施す前の素地も含まれる。なお、焼成を行っていないものは、本明細書では成形品などと称し、陶磁器には含まれない。
以上に説明したように、本発明によると、黒色系(灰、いぶし銀〜黒)で様々な色調の陶磁器を簡便な手法で実現することができる。
図1は、実施例1−1、1−2にかかる陶磁器の外観写真である。 図2は、実施例2−1、2−2にかかる陶磁器の外観写真である。 図3は、実施例2−3、2−4にかかる陶磁器の外観写真である。 図4は、実施例3−1、3−2にかかる陶磁器の外観写真である。 図5は、実施例3−3、3−4にかかる陶磁器の外観写真である。 図6は、実施例4−1、4−2にかかる陶磁器の外観写真である。 図7は、実施例4−3、4−4にかかる陶磁器の外観写真である。 図8は、実施例5−1、5−2にかかる陶磁器の外観写真である。 図9は、実施例6にかかる陶磁器の外観写真である。 図10は、実施例7−1、7−2にかかる陶磁器の外観写真である。 図11は、陶磁器の断面の色を説明する写真であって、(a)は実施例2−4、(b)は実施例3−4、(c)は実施例4−4、(d)は実施例3−2、(e)は実施例4−2、(f)は実施例5−2、をそれぞれ示す。 図12は、比較例1にかかる陶磁器の外観写真である。 図13は、比較例2−1、2−2にかかる陶磁器の外観写真である。
(実施の形態1)
以下に、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(陶磁器)
本実施の形態にかかる陶磁器は、表面が黒色系(灰、いぶし銀〜黒)であり、その内部に向かって黒色が薄くなるようにグラデーションがかかっている。この黒色系の発色は炭素によるもので、炭素の量が内部に向かって少なくなっているため、このようなグラデーションが得られる。この黒色系の発色は、炭素によるものである。
(製造方法)
まず、坏土を成形して所望の形状に成形して成形品を得る。この坏土は、公知の粘土に、必要に応じて水、顔料、石粉、添加剤(例えばカルボキシメチルセルロースなどの糊剤)などを加えて得ることができる。
粘土としては、カオリン、モンモリロナイト、セリサイト、クロライト、タルクなどを使用することができ、複数種を混合して用いてもよい。中でも、可塑性を付与できる粘土を使用することが好ましい。この観点から、カオリン、モンモリロナイト、セリサイトがより好ましく、複数種を混合して利用することができる。また、信楽粘土のような地産の粘土を用いてもよい。また、石粉としては、長石、陶石、硅石などの粉を使用できる。
(成形工程)
成形方法は特に限定されず、ローラーマシン成形、水ごて成形、プレス成形、鋳込み成形、押出成形などを適宜採用することができる。この成形により、皿、マグカップなどの食器、土鍋、陶板焼きの陶板などの加熱調理器、タイル、置物など様々な形状の成形品を得ることができる。また、成形品の表面には公知の方法に従い、各種の釉薬や絵付け、削りなどを施してもよい。
(焼成工程)
本発明の製造方法の特徴は、周囲に炭素が存在する環境で、成形品を、1125℃以上の温度で焼成する焼成工程にある。これを以下に3つの方法に分けてそれぞれ詳細に説明する。なお、陶磁器の一般的な焼成温度の上限は、およそ1300℃であり、実質的な最高温度はこの温度となる。また、焼成温度が高くなるほど、また焼成時間が長くなるほど、黒の色味が強くなりやすい。
(第1の方法)
炭素粉末を含んだ炭素系粒子中に成形品を配置して焼成する。例えば、炭素系粒子を匣鉢に収め、その炭素系粒子内に成形品が埋まるようにして、焼成する。
(第2の方法)
炭素材料を含んで構成された容器内に成形品を配置して焼成する。例えば炭素材料製の小さな匣鉢内に成形品を配置し、この小さな匣鉢を大きな匣鉢内に配置し、この状態で焼成を行う。
(第3の方法)
炭素粉末を含んだ炭素系粒子が配置された容器内に、成形品と炭素系粒子とが接触しないように成形品を配置して焼成する。例えば、小さな匣鉢の底部に炭素系粒子を敷き、この上に炭素材料製の板を置く。この板上に成形品を配置し、この小さな匣鉢を大きな匣鉢内に配置する。この状態で焼成を行う。
(匣鉢)
匣鉢やその蓋の種類や材料などは、特に限定されず、一般に市販されているものを用いることができる。例えば、ムライト・コージライト質耐火物製のものや炭化ケイ素などが挙げられる。また、炭素材料製の匣鉢や蓋についても、公知のものを用いればよい。
第2の方法において、炭素材料製の匣鉢を用いる場合、その一部が炭素材料、残りが炭素材料以外の素材、例えば、炭化ケイ素などのセラミックであってもよい。或いは、匣鉢の本体がムライト・コージライト質耐火物製のもので、上蓋が炭素材料とすることができる。このように炭素材料の配置を偏在化(不均一化)させることで、黒色系の発色の程度を場所によって異なるようにすることができる。
また、匣鉢を二重にして用いると、成形品が炭素系粒子に直接触れることを防止することが容易となる。このため、表面に釉薬を施した場合など、その表面に粉末がその表面に炭素粉末が付着したり、表面が荒れたりするのを回避したい用途に適している。
(炭素粉末)
炭素系粒子を構成する炭素粉末は、主たる成分が炭素から構成されるものであれば、特に限定されない。例えば、天然黒鉛粉末(鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛など)、人造黒鉛粉末、合成樹脂炭粉末、炭素繊維粉末、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどのフラーレン類などが上げられる。また、それらの混合物であってもよい。成形品への熱の伝わりやすさの観点から、炭素粉末は熱伝導性の良いカーボン粉末が好ましく、入手性も考慮すると、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末が好ましい。また、黒鉛を製品化加工した際に得られた黒鉛の加工粉を利用すると、資源の再利用につながるため、好ましい。また、炭素粉末の粒径は、例えば10メッシュ以下とし、好ましくは40メッシュ以下、70メッシュ以下などとする。メッシュサイズは、ASTM規格による。
(炭素系粒子)
また、成形品の周囲に存在させる炭素系粒子の量は、完成品である陶磁器が所望の色調が得られる量を選定すればよい。炭素粉末とカオリンを主体とする粘土の質量比は、97:3〜70:30であることが好ましく、95:5〜75:25であることがより好ましく、85:15〜80:20であることがさらに好ましい。
さらに、炭素系粒子として、炭素粉末とカオリンを主体とする粘土と造粒し顆粒にしたものを用いることができる。顆粒における炭素系粒子と粘土との混合比率は、それぞれの使用する炭素系粒子と粘土とが好適に嵌合され顆粒になれば良く、特に限定されないが、炭素系粒子と粘土との質量比で、60:40〜90:10程度が好ましい。より好ましくは、70:30〜85:15である。
カオリンは、カオリナイト(Al[Si10](OH))を主成分とする粘土である。カオリンは作製される顆粒に可塑性を付与し成形性を向上させることができるため、好ましい。
カオリンを主体とする粘土は、カオリナイトの質量が50質量%以上の粘土である。カオリンを主体とする粘土の粒径は40メッシュ以下とし、100メッシュ以下であることがより好ましく、200メッシュ以下であることがさらに好ましい。
また、一度、1125℃以上で焼成した素地は、炭素が周囲に存在する雰囲気で焼成しても炭素が内部に入っていくことがない。したがって、炭素が周囲に存在する雰囲気での焼成工程は最初の焼成工程である必要がある。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
(実施例1)
(炭素系粒子の準備)
炭素粉末として、市販の人造黒鉛を製品化加工した際に得られた人造黒鉛の加工粉を用いた。この加工粉(黒鉛粉)は、40メッシュの篩に掛けて、篩を通過したものを用いた。セラミックボールを用いたボールミル内に、適量の水と、この黒鉛粒子とカオリンとを8:2の割合で投入し混合・細磨した泥しょうを、スプレードライヤーを用いて、黒鉛粒子とカオリン合計質量に対して2質量%の水になるよう乾燥させながら顆粒状に造粒した。この顆粒の直径は0.5mm程度であった。
(成形品の作製)
市販の素地(坏土を棒状などにしたもの)をプレス成形して成形品としたもの(実施例1−1)と、土練機を用いて成形品したもの(実施例1−2)を作製した。坏土を構成する粘土としては、カオリナイト系の粘土(カオリン、蛙目粘土、木節粘土など)を用いた。
(焼成工程)
炭素系顆粒をムライト・コージライト質耐火物製の略直方体の匣鉢(大きさは外表面での長さ285mm×285mm×高さ160mm)に収め、その顆粒内に成形品が埋まるように配置した。その後、匣鉢の上部は、炭化ケイ素の板で蓋をした。成形品の焼成は、市販の電気炉を用いて1125℃で5時間保持する条件で行った。焼成後の陶磁器の大きさは、実施例1−1が77×77×9(mm)であり、実施例1−2が63×32×14(mm)であった。図1に示すように、いずれも、くすんだ銀色の色調を有する陶磁器が得られた。
(実施例2)
焼成温度が1150℃であり、この温度での保持時間が1.5時間(実施例2−1、2)及び5時間(実施例2−3、4)であること以外は、実施例1と同様の方法で行った。
焼成後の陶磁器の大きさは、実施例2−1が77×77×8(mm)であり、実施例2−2が63×32×15(mm)、実施例2−3が77×77×8(mm)であり、土実施例2−4が63×32×15(mm)であった。図2,3に示すように、いずれも、くすんだ銀色の色調を有する陶磁器が得られた。
(実施例3)
焼成温度が1175℃であり、この温度での保持時間が1.5時間(実施例3−1、2)及び5時間(実施例3−3、4)であること以外は、実施例1と同様の方法で行った。
焼成後の陶磁器の大きさは、実施例3−1が77×77×9(mm)であり、実施例3−2が65×32×14(mm)、実施例3−3が76×76×9(mm)であり、実施例3−4が67×31×14(mm)であった。図4,5に示すように、いずれも、くすんだ銀色の色調を有する陶磁器が得られた。
(実施例4)
焼成温度が1200℃であり、この温度での保持時間が1.5時間(実施例4−1、2)及び5時間(実施例4−3、4)であること以外は、実施例1と同様の方法で行った。
焼成後の陶磁器の大きさは、実施例4−1が76×77×9(mm)、実施例4−2が65×32×14(mm)、実施例4−3が76×75×9(mm)、実施例4−4が65×31×14(mm)であった。図6,7に示すように、いずれも、くすんだ銀色の色調を有する陶磁器が得られた。
(実施例5)
焼成温度が1300℃であり、この温度での保持時間が1.5時間(実施例5−1、2)であること以外は、実施例1と同様の方法で行った。
焼成後の陶磁器の大きさは、実施例5−1が77×77×9(mm)であり、実施例5−2が63×32×14(mm)であった。図8に示すように、いずれも、黒色系のくすんだ銀色の色調を有する陶磁器が得られた。
(実施例6)
実施例1で使用した市販の素地を用いて、水ごて成形によりコーヒーカップ状の成形品を成形した。実施例1で使用した顆粒状の炭素系粒子を、ムライト・コージライト質耐火物製の略直方体の匣鉢(大きさは外表面での長さ285mm×285mm×高さ160mm)に収め、その炭素系粒子に成形品が埋まるようにした。その後、匣鉢の上部は、炭化ケイ素の板で蓋をした。成形品の焼成は、市販の電気炉を用いて1300℃で行った。1300℃での保持時間は1.5時間とした。
焼成後の陶磁器(コーヒーカップ)は、直径約76mm、高さ約76mm、厚み約5mmであった。図9に示すように、くすんだ銀色の色調を有する陶磁器(コーヒーカップ)が得られた。
(実施例7)
市販の素地をローラーマシン成形し、湯呑形状の成形品を二つ作製した。一つの湯呑形状の成形品の表面には、市販のペタライト系の釉薬を施した(実施例7−1)。もう一つは、何も表面に施さなかった(実施例7−2)。
成形品は、底に実施例1での炭素系粒子を厚み約10mmで配置し、その上に人造黒鉛製の板(厚み8mm)を敷いた略直方体のムライト・コージライト質耐火物製の小さな匣鉢(大きさは外表面での長さ150mm×150mm×高さ100mm)に収め、人造黒鉛製の板で蓋をした。この匣鉢をムライト・コージライト質耐火物製の略直方体の匣鉢(大きさは外表面での長さ250mm×250mm×高さ160mm)に収め、小さい匣鉢の周りにさらに炭素系粒子を配置した。その後、大きい匣鉢の上部は、炭化ケイ素の板で蓋をした。成形品の焼成は、市販の電気炉を用いて1300℃で行った。1300℃での保持時間は1.5時間とした。
湯のみの大きさは上部外径80mm、高さ45mmであり、厚み5.5mm程度であった。図10に示すように、何れも、くすんだ銀色の色調を有する陶磁器(湯呑)が得られた。釉薬を施した方は、釉薬による光沢が見られ、その内側でくすんだ銀色となっていた。
(比較例1)
焼成温度が1100℃、保持時間が1.5時間である以外は、実施例1−1と同様の方法で行った。市販の素地(坏土を棒状などにしたもの)をプレス成形して成形品とし、この温度での保持時間を1.5時間とした。そして、焼成後の陶磁器の大きさは、約75×25×7(mm)であった。図12に示すように、白色系の色調を有する陶磁器が得られた。
(比較例2)
実施例7と同様に、湯呑形状の成形品を二つ作製した。一つの湯呑形状の成形品の表面には、釉薬を施し(比較例2−1)、もう一方には何も表面に施さなかった(比較例2−2)。これらを通常の陶磁器の焼成方法、すなわちムライト・コージライト質耐火物製の略直方体の匣鉢(大きさは外表面での長さ250mm×250mm×高さ160mm)に成形品を収め、酸化雰囲気下、1300℃、保持時間が1.5時間で焼成した。図13に示すように、いずれも白色の陶磁器が得られた。
(比較例3)
また、市販の素地(坏土を棒状などにしたもの)をプレス成形して成形品とし、比較例2と同様の条件で焼成した。焼成後の陶磁器の大きさは、約75×25×7(mm)であった。比較例2と同様に白色の陶磁器が得られた。
(外観観察)
実施例1〜7、比較例1、2の外観写真である図1〜13を用いて、その外観を対比しつつ考察する。
また、焼成時間が1.5時間と5時間とであることのみが相違する図2と図3、図4と図5、図6と7(実施例の枝番が1,2と、3,4)をそれぞれ比較すると、同じ焼成温度では焼成時間が長いほう(枝番3,4の図3,5,7)がより黒色となることがわかる。
また、焼成温度のみが異なる実施例1〜5、比較例1(図1,図2,図4,図6,図8、図12)をそれぞれ比較し、実施例2〜4(図3,図5,図7)をそれぞれ比較すると、同じ焼成時間では焼成温度が高いほうがより黒色となることがわかる。このことから、目的とする色に応じて、焼成温度や時間を決定すればよい。また、プレス成形(枝番が奇数)と土練機(枝番が偶数)とでは、色合いに大きな違いがないことがわかる。
また、炭素系粒子の配置の仕方のみが異なる実施例6,7(図9,図10)を比較すると、炭素系粒子に埋まった状態で焼成された実施例6のほうが、炭素系粒子の上の黒鉛板上に置かれた実施例7よりもわずかに黒色度が強いことがわかる。このため、黒色度を強くするには成形品と炭素との距離を小さくすることが好ましい。
また、釉薬の有無のみで異なる実施例7−1,7−2(図10)を比較すると、釉薬の有無によって色合いに大きな差はないことがわかる。
図11は、陶磁器の断面の色を説明する写真であって、(a)は実施例2−4、(b)は実施例3−4、(c)は実施例4−4、(d)は実施例3−2、(e)は実施例4−2、(f)は実施例5−2、をそれぞれ示す。この図から明らかなように、いずれの実施例も、表面で最も黒く内部に向かって黒色が薄くなるようになっていることがわかる。
また、図11(a)〜(c)、(d)〜(f)をそれぞれ比較すると、焼成時間が同じ場合、焼成温度が高くなるほど黒色度が高い傾向にあることがわかる。また、図11(b)と(d)、(c)と(e)とをそれぞれ比較すると、焼成温度が同じ場合、焼成時間が長くなるほど黒色度が高い傾向にあることがわかる。また、焼成時間が長いと、内部への炭素の浸透量が多い(内部の黒色度が高い)傾向にあることがわかる。
以上のことから、成形品周囲に炭素系粒子などの炭素材料を配置した状態で、1125℃以上で焼成することにより、焼成されてなる陶磁器に黒色系(灰、いぶし銀〜黒)の色味を付与できることが分かった。
波長分散型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製 ZSX PrimusII)を用いて、実施例6、比較例1、3にかかる陶磁器の元素組成を分析した。この際、サンプルは、約25×25×8(mm)の大きさとした。なお、本分析では、酸素と窒素は計測されないため、炭素濃度は酸素と窒素を除いた値となる。
この結果、1質量%以上観察された元素を合計すると、いずれの場合も97質量%以上となった。このため、酸素量は、炭素(C)以外の元素が化学量論比からなる酸化物であると仮定して、炭素(C)を推定した。この結果を下記表1に示す。また、窒素は、ゼロと仮定した。
Figure 2021169395
この結果から、同じ種類の粘土を使用しているにもかかわらず、実施例6では比較例1,3のおよそ3倍の炭素が含まれていることがわかる。これは、高温での焼成によって炭素が、陶磁器の表面からその内部に浸透したためと考えられる。そして、この炭素が、黒色系の発色の要因となっていることもわかった。
また、炭素以外の元素(Si,Al,K,B,Fe,Ca)は、カオリナイトや長石など、粘土鉱物に含まれる典型的な元素であり、粘土由来の元素が適切に検出されていることがわかる。
また、比較例1,3はほぼ同程度の炭素が含まれており、比較例1の1100℃での焼成では、炭素が内部にほとんど浸透しないことがわかる。
本発明によると、炭素による黒色系の発色の陶磁器を簡便な方法で得ることができる。よって、その産業上の意義は大きい。
1,2,3,4 実施例の枝番号

Claims (8)

  1. 坏土を成形してなる成形品を焼成して陶磁器となす焼成工程を備え、
    前記焼成工程は、周囲に炭素が存在する環境で、前記成形品を、1125℃以上の温度で焼成する工程である、陶磁器の製造方法。
  2. 前記焼成工程は、炭素粉末を含んだ炭素系粒子中に前記成形品を配置して焼成する工程である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の陶磁器の製造方法。
  3. 前記焼成工程は、炭素材料を含んで構成された容器内に前記成形品を配置して焼成する工程である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の陶磁器の製造方法。
  4. 前記焼成工程は、炭素粉末を含んだ炭素系粒子が配置された容器内に、前記成形品と前記炭素系粒子とが接触しないように前記成形品を配置して焼成する工程である、
    ことを特徴とする請求項1に陶磁器の製造方法。
  5. 前記炭素系粒子が、黒鉛粒子と、カオリンを主体とする粘土と、を造粒してなる顆粒である、
    ことを特徴とする請求項2又は4に記載の陶磁器の製造方法。
  6. 前記炭素は、前記成形品100gあたり、1g以上存在する、
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の陶磁器の製造方法。
  7. 坏土を成形してなる成形品を焼成した陶磁器であって、
    前記陶磁器は炭素を含み、
    前記炭素は、表面側から中心側に向かって含有量が少なくなるような濃度勾配を有する、陶磁器。
  8. 前記陶磁器に含まれる前記炭素の質量割合が、3〜6質量%である、
    ことを特徴とする請求項7に記載の陶磁器。
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