以下、波形表示装置および波形表示用プログラムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す測定システム100は、測定装置1および波形表示装置2を備え、測定対象についての測定処理、および測定結果に基づく信号波形の表示処理を実行することができるように構成されている。
測定装置1は、予め規定された被測定量(一例として、入力信号についての電流値、電圧値、抵抗値および位相などの電気的パラメータ)を測定して測定値データDw(「波形データ」の一例)を生成する測定処理を実行し、生成した測定値データDwを波形表示装置2に送信することができるように構成されている。この場合、本例の測定装置1では、一例として、ブルートゥース(Bluetooth :登録商標)規格などの近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な通信アダプタで構成された通信部を備え、各種の制御信号や測定値データDwを無線通信によって送受信することができるように構成されている。
波形表示装置2は、「波形表示装置」に相当し、一例として、「波形表示用プログラム」に相当するプログラムデータDpがインストールされたタブレット端末、スマートフォン、またはパーソナルコンピュータなどで構成されている。具体的には、この波形表示装置2は、通信部11、操作部12、表示部13、処理部14および記憶部15を備えている。なお、本例では、一例として、タブレット端末で波形表示装置2が構成されているものとして説明するが、「波形表示装置」の構成、および「波形表示用プログラム」の処理手順についての理解を容易とするために、タブレット端末における上記の各構成要素11〜15以外の構成要素についての図示および説明を省略する。
通信部11は、前述した測定装置1の通信部と同様にしてブルートゥース等の近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な通信アダプタで構成されている。この通信部11は、後述するように、処理部14の制御に従い、測定装置1などの各種無線通信機器との間で各種のデータを送受信する。操作部12は、「波形表示画面内の任意の位置を指定する位置指定操作が可能なポインティングデバイス」の一例であるタッチパネルや、電源スイッチ、ボリュームスイッチ等の各種操作スイッチを備え、これらに対する操作に応じた操作信号を処理部14に出力する。表示部13は、後述するように、処理部14の制御に従って表示条件設定画面20(図2参照)や波形表示画面30(「波形表示画面」の一例:図4〜15参照)などの各種表示画面を表示する。
処理部14は、「処理部」の一例であって、波形表示装置2を総括的に制御する。具体的には、処理部14は、プログラムデータDpに従い、通信部11を介して測定装置1を制御して測定処理を実行させると共に、測定装置1から送信された測定値データDwが通信部11によって受信されたときに、その測定値データDwを記憶部15に記憶させる。また、処理部14は、プログラムデータDpに従い、図2に示す表示条件設定画面20を表示部13に表示させて、後述するように、波形表示画面30内でカーソル表示31,31a(図4〜15参照)を表示させる条件を設定させる。なお、本例では、カーソル表示31,31aが「カーソル表示」に相当する。
さらに、処理部14は、プログラムデータDpに従い、図4〜15に示すように波形表示画面30を表示部13に表示させ、測定値データDwに基づく信号波形W1〜W6(以下、これらを区別しないときには「信号波形W」ともいう)や、信号波形W上の任意の一点を指定するカーソル表示31,31aを波形表示画面30内に表示させる。なお、本例では、上記の各信号波形Wが「信号波形」に相当する。記憶部15は、波形表示装置2をタブレット端末として動作させるためのシステムプログラム、「波形表示用プログラム」に相当するプログラムデータDp、および測定装置1から送信された測定値データDwなどを記憶する。
次に、測定システム100(波形表示装置2:プログラムデータDp)による信号波形Wの表示処理について、添付図面を参照して説明する。なお、波形表示装置2へのプログラムデータDpのインストール、および測定装置1の通信部と波形表示装置2の通信部11との間におけるブルートゥースのペアリングなどについては既に完了しているものとする。
まず、波形表示装置2の操作部12を操作してプログラムデータDpを起動させる。次いで、図示しない測定条件設定画面を表示部13に表示させて測定装置1に実行させる測定処理の条件を設定すると共に、図2に示す表示条件設定画面20を表示させて、後述の波形表示画面30におけるカーソル表示31の表示に関する条件を設定する。
この場合、本例の波形表示装置2(プログラムデータDp)では、後述するように、信号波形Wを波形表示画面30内に表示させている状態において操作部12(タッチパネル)による「位置指定操作」が行なわれたときに、「位置指定操作」によって指定された位置を基準とする予め規定された「検索範囲」を特定すると共に、信号波形Wにおいて「予め規定された条件を満たす特異点」が「検索範囲」内に存在するときに、その特異点の位置を基準とする「予め規定された表示位置」にカーソル表示31(またはカーソル表示31a)を表示させる構成・方法が採用されている。
また、本例の波形表示装置2(プログラムデータDp)では、上記の「予め規定された条件を満たす特異点」として、図2に示す表示条件設定画面20の例のように、「最大値:検索範囲内の最大値の位置」、「最小値:検索範囲内の最小値の位置」、「ゼロクロス:検索範囲内において信号波形がゼロクロスしている位置」、「立上り:検索範囲内において信号波形が立ち上がっている位置」、「立下り:検索範囲内において信号波形が立ち下がっている位置」、「変化点・ノイズ:信号波形が急激に変化している位置」、および「波形の交点:2つの信号波形が交差している位置」などの複数種類の「条件候補」が用意されており、これらの「条件候補」のなかから「予め規定された条件を満たす特異点」として規定する条件の候補を任意に選択することができるように構成されている。なお、同図では、「ゼロクロス」、「変化点・ノイズ」および「波形の交点」の3つの条件を「予め規定された条件を満たす特異点」とする設定が行なわれた状態を図示している(「予め規定された条件として規定する条件の条件候補を複数選択可能に構成され」との構成の一例)。
さらに、本例の波形表示装置2(プログラムデータDp)では、選択した「条件候補」が複数存在するときに、各「条件候補」の条件の優先順位を設定することで、優先順位が異なる複数の「条件候補」の条件を満たす複数種類の「特異点」が「検索範囲」内に存在するときに、最も高い優先順位が設定されている「条件候補」の条件を「予め規定された条件」として処理する構成が採用されている。なお、図2では、「変化点・ノイズ」、「ゼロクロス」および「波形の交点」の順で優先順位が設定された状態を図示している。
また、本例の波形表示装置2(プログラムデータDp)では、上記の「位置指定操作」として、操作部12(タッチパネル)に対するタップ操作(タッチ操作)による任意の一点の指定だけでなく、ドラッグ操作によって任意の一点の指定することが可能となっている。
この場合、タッチパネル等のポインティングデバイスによって高精度な位置指定操作を行うことは容易ではない。このため、図3に示すように、例えば、位置P0を指定するタップ操作を行おうとしたときに、位置P0から離れた位置P1に指が触れてしまうことがある。この際には、「ドラッグ操作の終点の位置を[指定位置]とする」との設定を予め行っておくことにより、位置P1から矢印Aの向きでタッチパネル上で指を滑らせ(ドラッグ操作の実行)、位置P0に十分に近い位置P2でタッチパネルから指を離すことで位置P0の極く近傍の位置P2を指定することができる。
また、例えば、位置P0を指定するタップ操作を行おうとしたときに、位置P0の極く近傍の位置P2に指が触れたにも拘わらず、タッチパネルから指を離す前にタッチパネル上で指が矢印Bの向きに滑り(ドラッグ操作の実行)、位置P3でタッチパネルから指が離れることがある。この際には、「ドラッグ操作の始点の位置を[指定位置]とする」との設定を予め行っておくことにより、タッチパネル上で位置P2から位置P3に向かって矢印Bの向きで指が滑ったとしても、位置P0の極く近傍の位置P2を指定することができる。
したがって、利用者の好みや操作の傾向に応じて、ドラッグ操作の始点および終点のいずれを「指定位置」とするかを選択する。なお、図2では「ドラッグ操作の終点」を「指定位置」とするように設定された状態を図示している。
次いで、測定装置1を測定対象に接続すると共に、波形表示装置2の操作部12を操作して図示しない測定処理画面を表示部13に表示させ、測定装置1による測定処理を開始させる操作を行う。この際に、処理部14は、測定開始を指示する制御信号を通信部11から測定装置1に送信させ、これに応じて、測定装置1では、測定処理を実行して測定値データDwを生成する。また、測定装置1は、生成した測定値データDwを測定装置1に送信し、波形表示装置2では、測定装置1から送信された測定値データDwが通信部11によって受信されたときに、処理部14が、その測定値データDwを記憶部15に記憶させる。
一方、測定装置1による測定処理が完了して所定時間分の測定値データDwが記憶部15に記憶されたときには、波形表示装置2の操作部12を操作することにより、図4に示すように、波形表示画面30を表示部13に表示させる。この場合、この波形表示画面30には、測定値データDwに基づく信号波形W1と共に、信号波形W1における任意の一点を指定するカーソル表示31が表示される。このカーソル表示31は、信号波形W1などの各信号波形Wにおける時間軸方向における任意の一点を指定するための指標として機能する表示であって、本例の波形表示装置2(プログラムデータDp)では、表示部13に波形表示画面30を表示させた時点において、同図に示すように、波形表示画面30における時間軸方向(同図における左右方向)の中心部にカーソル表示31が表示される。
この場合、例えば、同図に示す信号波形W1がゼロクロスした時点の測定時刻(経過時間)を特定したいときには、特異点Pb1にカーソル表示31を合わせる必要がある。この際に、本例の波形表示装置2(プログラムデータDp)では、特異点Pb1を正確に指定することができなくても、特異点Pb1の近傍の任意の位置を指定することにより、カーソル表示31を特異点Pb1に合わせて表示させることができる。
具体的には、特異点Pb1を「波形表示画面内の任意の位置(目標位置)」とする「位置指定操作」を行う。この際に、特異点Pb1の近傍の位置Pa1が指定されたとき、すなわち、位置Pa1に対するタップ操作が行なわれたとき、または、位置Pa1を終点とするドラッグ操作が行なわれたときに、処理部14は、プログラムデータDpに従い、まず、位置Pa1を中心とする予め規定された広さの円形の「検索範囲」を特定し、特定した「検索範囲」を示す検索範囲表示32(「検索範囲表示」の一例)を波形表示画面30に表示させる。
なお、本例の波形表示装置2(プログラムデータDp)では、検索範囲表示32によって示される円形の範囲が「位置指定操作によって指定された位置を基準とする予め規定された検索範囲」に相当する。また、本例の波形表示装置2(プログラムデータDp)では、一例として、タップ操作およびドラッグ操作のいずれが行なわれたときであっても、タッチパネルに指が触れてから離れるまで、指が触れている部位の中心を「指定位置」として、その「指定位置」を中心とする円形の範囲を「検索範囲」として特定して検索範囲表示32を表示させる構成が採用されている。
したがって、この例では、検索範囲表示32の内側に特異点Pb1が含まれている場合には、その時点においてタッチパネルから指を離し、検索範囲表示32の内側に特異点Pb1が含まれていない場合(特異点Pb1が検索範囲表示32の外側に位置している場合)には、検索範囲表示32内に特異点Pbが含まれる位置までドラッグ操作を行ってからタッチパネルから指を離すことで、特異点Pb1が「検索範囲」に含まれる位置を「指定位置」として確実に指定することができる。
次いで、処理部14は、プログラムデータDpに従い、特定した「検索範囲」内に、表示条件設定画面20において選択された「条件候補」の条件を満たす「特異点」が存在するか否かを判別する。この際に、「ゼロクロス」との条件が選択されているときに、処理部14は、と特定した「検索範囲」内に「ゼロクロス」との条件を満たす特異点Pb1が存在すると判別する(「予め規定された条件を満たす特異点が検索範囲内に存在するとき」の一例)。
続いて、処理部14は、プログラムデータDpに従い、特異点Pb1の位置そのものを「特異点の位置を基準とする予め規定された表示位置」として、図5に示すように、特異点Pb1に重ねてカーソル表示31を表示させる。これにより、カーソル表示31によって特異点Pb1が指定された状態となり、特異点Pb1の測定値や測定時刻(経過時間)が信号波形W1と共に波形表示画面30に表示される。
また、図4に示す信号波形W1の最小値の値および測定時刻(経過時間)を特定したいときには、特異点Pb2にカーソル表示31を合わせる必要がある。この際には、特異点Pb2そのもの、または、特異点Pb2の近傍(例えば位置Pa2)を「指定位置」として指定することで、前述した特異点Pb1にカーソル表示31を合わせて表示させたときと同様にして、図6に示すように、特異点Pb2にカーソル表示31を合わせて表示させることができる。これにより、カーソル表示31によって特異点Pb2が指定された状態となり、特異点Pb2の測定値や測定時刻(経過時間)が信号波形W1と共に波形表示画面30に表示される。
さらに、図4に示す信号波形W1におけるノイズの発生箇所の測定値および測定時刻(経過時間)を特定したいときには、特異点Pb3にカーソル表示31を合わせる必要がある。この際には、特異点Pb3そのもの、または、特異点Pb3の近傍(例えば位置Pa3)を「指定位置」として指定することで、前述した特異点Pb1,Pb2にカーソル表示31を合わせて表示させたときと同様にして、図7に示すように、特異点Pb3にカーソル表示31を合わせて表示させることができる。これにより、カーソル表示31によって特異点Pb3が指定された状態となり、特異点Pb3の測定値や測定時刻(経過時間)が信号波形W1と共に波形表示画面30に表示される。
一方、図8に示す信号波形W2におけるノイズの発生箇所の測定値および測定時刻(経過時間)を特定したいときには、特異点Pb4aにカーソル表示31を合わせる必要がある。この際に、例えば、「変化点・ノイズ」および「ゼロクロス」との2つの「条件候補」が選択されている(有効となっている)状態において、位置Pa4が「指定位置」として指定されたときに、「変化点・ノイズ」との条件を満たす特異点Pb4aだけではなく、「ゼロクロス」との条件を満たす特異点Pb4bが位置Pa4を基準とする「検索範囲」内に存在することとなる。
このような状態において、位置Pa4を「指定位置」とする「位置指定操作」が行なわれたときに、処理部14は、プログラムデータDpに従い、まず、位置Pa4を中心とする予め規定された広さの円形の「検索範囲」を特定し、特定した「検索範囲」を示す検索範囲表示32を波形表示画面30に表示させる。次いで、処理部14は、プログラムデータDpに従い、特定した「検索範囲」内に特異点Pb4a,Pb4bの2つが存在すると判別する。
この際に、処理部14は、「変化点・ノイズ」との「条件候補」、および「ゼロクロス」との「条件候補」のいずれの「優先順位」が高いかを判別する。この場合、図2に示すように、「変化点・ノイズ」との「条件候補」の「優先順位」が「ゼロクロス」との「条件候補」の「優先順位」よりも高く設定されている。したがって、処理部14は、「変化点・ノイズ」との「条件候補」の条件を満たす特異点Pb4aを「予め規定された条件を満たす特異点」と特定する。
次いで、処理部14は、プログラムデータDpに従い、特異点Pb4aの位置そのものを「特異点の位置を基準とする予め規定された表示位置」として、図9に示すように、特異点Pb4aに重ねてカーソル表示31を表示させる。これにより、カーソル表示31によって特異点Pb4aが指定された状態となり、特異点Pb4aの測定値や測定時刻(経過時間)が信号波形W2と共に波形表示画面30に表示される。
また、図10に示す信号波形W3,W4が交差する箇所の測定値および測定時刻(経過時間)を特定したいときには、特異点Pb5にカーソル表示31を合わせる必要がある。この際には、特異点Pb5そのもの、または、特異点Pb5の近傍(例えば位置Pa5)を「指定位置」として指定することで、前述した特異点Pb1〜Pb3,Pb4aにカーソル表示31を合わせて表示させたときと同様にして、図11に示すように、特異点Pb5にカーソル表示31を合わせて表示させることができる。これにより、カーソル表示31によって特異点Pb5が指定された状態となり、特異点Pb5の測定値や測定時刻(経過時間)が信号波形W3,W4と共に波形表示画面30に表示される。
さらに、図12に示す信号波形W5の立上り位置の測定値および測定時刻(経過時間)を特定したいときには、特異点Pb6にカーソル表示31を合わせる必要がある。この際には、特異点Pb6そのもの、または、特異点Pb6の近傍(例えば位置Pa6)を「指定位置」として指定することで、前述した特異点Pb1〜Pb3,Pb4a,Pb5にカーソル表示31を合わせて表示させたときと同様にして、図13に示すように、特異点Pb6にカーソル表示31を合わせて表示させることができる。これにより、カーソル表示31によって特異点Pb6が指定された状態となり、特異点Pb6の測定値や測定時刻(経過時間)が信号波形W5と共に波形表示画面30に表示される。
一方、本例の波形表示装置2(プログラムデータDp)では、各信号波形Wにおける時間軸方向における任意の一点を指定するための指標として機能するカーソル表示31に代えて、図14に示すように、各信号波形Wにおける信号レベル方向における任意の一点を指定するための指標として機能するカーソル表示31aを信号波形Wと共に波形表示画面30に表示させることができる。なお、同図では、波形表示画面30にカーソル表示31aを表示させた直後において、波形表示画面30における信号レベル方向(同図における上下方向)の中心部(信号レベルが「0」の部位)にカーソル表示31aが表示された状態を図示している。
この場合、例えば、同図に示す信号波形W6における最大値の値および測定時刻(経過時間)を特定したいときには、特異点Pb7にカーソル表示31aを合わせる必要がある。この際には、特異点Pb7そのもの、または、特異点Pb7の近傍(例えば位置Pa7)を「指定位置」として指定することで、図15に示すように、特異点Pb7にカーソル表示31aを合わせて表示させることができる。これにより、カーソル表示31aによって特異点Pb7が指定された状態となり、特異点Pb7の測定値や測定時刻(経過時間)が信号波形W6と共に波形表示画面30に表示される。
なお、上記のいずれの例とも相違するが、波形表示画面30内に信号波形Wが表示されている状態において「位置指定操作」が行なわれ、その「位置指定操作」によって指定された位置を基準とする「検索範囲」内に、予め選択された「条件候補」の条件を満たす得点が存在しなかったときには、処理部14は、一例として、「位置指定操作」によって指定された位置に合わせてカーソル表示31を表示させる。これにより、特異点以外の任意の一点についての測定値や測定時刻(経過時間)が信号波形Wと共に波形表示画面30に表示される。
このように、この波形表示装置2では、処理部14が、信号波形Wを波形表示画面30内に表示させている状態においてポインティングデバイス(本例では、操作部12のタッチパネル)による「位置指定操作」が行なわれたときに、「位置指定操作」によって指定された位置を基準とする予め規定された「検索範囲」を特定すると共に、信号波形Wにおいて予め規定された条件を満たす特異点が「検索範囲」内に存在するときに、特異点の位置を基準とする予め規定された表示位置(本例では、特異点そのものの位置)にカーソル表示31,31aを表示させる。また、このプログラムデータDpでは、波形表示装置2の処理部14に上記のような処理を実行させる。
したがって、この波形表示装置2およびプログラムデータDpによれば、カーソル表示31,31aを対応させて表示させるべき特異点そのものを正確に指定できたときは、その特異点に対応させてカーソル表示31,31aを表示させることができることは当然として、カーソル表示31,31aを対応させて表示させるべき特異点の近傍の任意の位置を「指定位置」として指定するだけでも、その「指定位置」を基準とする「検索範囲」内の特異点が自動的に検索されて、カーソル表示31,31aが特異点に対応する位置に自動的に表示される。このため、この種の装置の操作に不慣れな者であっても、任意の特異点を指定する位置にカーソル表示31,31aを確実かつ容易に表示させることができる。
また、この波形表示装置2およびプログラムデータDpによれば、処理部14が、「位置指定操作」の終了時点においてポインティングデバイスによって指定された位置を基準として「検索範囲」を特定することにより、「位置指定操作」の開始時点において「特異点」が含まれない「検索範囲」が特定される位置(特異点から離れた位置)を指定してしまったとしても、「特異点」が含まれる「検索範囲」が特定される位置(特異点の近傍の位置)に向かってドラッグ操作を行うことで、所望の特異点を確実に検出させることができる。
また、この波形表示装置2およびプログラムデータDpによれば、処理部14が、「位置指定操作」の開始時点においてポインティングデバイスによって指定された位置を基準として「検索範囲」を特定することにより、「位置指定操作」の開始時点において「特異点」が含まれる「検索範囲」が特定される位置(特異点の近傍の位置)を指定していたにも拘わらず、「位置指定操作」の終了時点において「特異点」が含まれない「検索範囲」が特定される位置(特異点から離れた位置)を指定してしまったとしても、最初に指定していた位置に基づき、所望の特異点が検出される「検索範囲」を特定させてその特異点を確実に検出させることができる。
さらに、この波形表示装置2およびプログラムデータDpによれば、処理部14が、「位置指定操作」が行なわれているときに予め規定された「検索範囲」を示す検索範囲表示32を波形表示画面30に表示させることにより、「位置指定操作」によって指定している位置が、「特異点」が含まれる「検索範囲」が特定される位置であるか、「特異点」が含まれない「検索範囲」が特定される位置であるかを確実かつ容易に認識させることができる。これにより、所望の特異点を一層確実に検出させることができる。
また、この波形表示装置2およびプログラムデータDpによれば、処理部14が、複数の「条件候補」のなかから選択された「条件候補」の条件を「予め規定された条件」として、対応する特異点が「検索範囲」内に存在するか否かを判別することにより、各種の条件を満たす特異点に対応させてカーソル表示31,31aを所望の表示位置に容易に表示させることができる。
さらに、この波形表示装置2およびプログラムデータDpによれば、処理部14が、「優先順位」が異なる複数の「条件候補」の条件を満たす複数種類の特異点が「検索範囲」内に存在するときに、最も高い「優先順位」が設定されている「条件候補」の条件を「予め規定された条件」として、対応する特異点の位置を基準とする予め規定された表示位置(本例では、特異点そのものの位置)にカーソル表示31,31aを表示させることにより、複数種類の特異点が波形表示画面30内の極く狭い範囲内に混在するようなときに、事前に設定した優先順位の高い特異点に対応させてカーソル表示31,31aを確実かつ容易に表示させることができる。
なお、「波形表示装置」の構成、および「波形表示用プログラム」の処理手順については、上記の波形表示装置2の構成、および波形表示用プログラムによる処理手順の例に限定されない。例えば、ポインティングデバイスとしてのタッチパネルを有する操作部12を備えた構成を例に挙げて説明したが、タッチパネルに代えて(または、タッチパネルに加えて)、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチペンなどの各種のポインティングデバイスを備えて構成することもできる。
また、「位置指定操作によって指定された位置(位置Pa1〜Pa7)」を中心として「検索範囲」を特定する構成および方法について説明したが、「位置指定操作によって指定された位置」を時間軸方向の両端部のいずれか、または信号レベル方向の両端部のいずれかとして「検索範囲」を特定する構成および方法を採用することもできる。さらに、「指定された位置(位置Pa1〜Pa7)」を中心として円形の「検索範囲」を特定する構成および方法を例に挙げて説明したが、「検索範囲」の形状は円形に限定されず、「指定された位置」を基準とする矩形(正方形、または長方形)、三角形、多角形および楕円形などの「検索範囲」を特定する構成および方法を採用することもできる。また、「検索範囲表示」についても、上記の例における検索範囲表示32のように線(本例では、破線)によって「検索範囲」を示すような表示態様に限定されず、「検索範囲内」と「検索範囲外」とを区別可能に表示色や背景模様を異ならせて「検索範囲表示」とすることもできる(図示せず)。
また、「信号波形において予め規定された条件を満たす特異点」は、前述した例の「最大値」、「最小値」、「ゼロクロス」、「立上り」、「立下り」、「変化点・ノイズ」および「波形の交点」との条件を満たす特異点に限定されない。例えば、「測定開始からの経過時間が○○秒おきの各時点(○○秒は任意に設定される時間)」、「何らかの処理を開始する[予め規定された条件]を満たした時点:トリガポイント」および「測定処理中などに利用者が任意に指定した時点(任意の時点を示すマークが付与された時点):イベントマーク」などの条件を満たす特異点に対応させて「カーソル表示」を表示させる構成および方法を採用することができる。さらに、特定した特異点(特異点Pb1〜Pb3,Pb4a,Pb5〜Pb7)の位置そのものを「特異点の位置を基準とする予め規定された表示位置」としてカーソル表示31,31aを表示させる構成および方法を例に挙げて説明したが、「特定した特異点の○○秒後」や「特定した特異点の○○秒前」との位置(「○○秒」は任意に設定される時間)に「カーソル表示」を表示させる構成および方法を採用することもできる。
また、「位置指定操作」の開始前に波形表示画面30に表示されているカーソル表示31,31aを、「位置指定操作」によって指定した位置を基準とする「検索範囲」内の特異点に対応する位置(特異点そのものの位置)に表示させる処理、すなわち、「位置指定操作」の前後においてカーソル表示31,31aを波形表示画面30内で移動させる処理を実行する構成および方法を例に挙げて説明したが、このような構成および方法に代えて、「位置指定操作」の開始前に「カーソル表示」を「波形表示画面」内に表示させずに、「位置指定操作」によって指定した位置を基準とする「検索範囲」内に特異点が存在するときに、その特異点に対応する位置(例えば、特異点そのものの位置)に「カーソル表示」を表示させる構成および方法を採用することもできる。
加えて、測定値データDwを生成する測定装置1と、測定値データDwに基づく信号波形Wの表示を行う波形表示装置2とを別体に構成した例について説明したが、「波形データ」の生成、および「波形データ」に基づく「信号波形」の表示を単一の装置で実行可能に構成することもできる。具体的には、図16に示す測定装置200は、「波形表示装置」の他の一例であって、測定部201、操作部202、表示部203、処理部204および記憶部205を備え、測定対象についての測定処理、および測定結果に基づく信号波形の表示処理を単独で実行することができるように構成されている。なお、この測定装置200に関して前述した測定システム100と同様の要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
この場合、測定部201は、前述した測定システム100における測定装置1と同様に予め規定された被測定量を測定して測定値データDwを生成する測定処理を実行可能に構成されている。また、操作部202は、測定装置200を動作させるための各種の操作スイッチを備えると共に、前述した測定システム100における波形表示装置2の操作部12と同様にして「波形表示画面内の任意の位置を指定する位置指定操作が可能なポインティングデバイス」の一例であるタッチパネル等を備えて構成されている。さらに、表示部203は、測定システム100における波形表示装置2の表示部13と同様にして、処理部24の制御に従って表示条件設定画面20や波形表示画面30などの各種表示画面を表示する。
また、処理部204は、「処理部」の他の一例であって、測定装置200を総括的に制御する。この処理部204は、前述した測定システム100における波形表示装置2の処理部14と同様にして、測定部201から送信された測定値データDwを記憶部205に記憶させると共に、表示条件設定画面20を表示部203に表示させて波形表示画面30内でカーソル表示31,31aを表示させる条件を設定させる。また、処理部204は、波形表示画面30を表示部203に表示させ、測定値データDwに基づく信号波形Wや、信号波形W上の任意の一点を指定するカーソル表示31,31aを波形表示画面30内に表示させる。さらに、記憶部205は、前述した測定システム100における波形表示装置2の記憶部15と同様にして、測定部201から送信された測定値データDwなどを記憶する。
この測定装置200では、測定システム100における測定装置1による各処理および波形表示装置2による各処理が前述した例と同様の手順で実行される。したがって、この測定装置200によれば、測定システム100と同様にして、カーソル表示31,31aを対応させて表示させるべき特異点そのものを正確に指定できたときは、その特異点に対応させてカーソル表示31,31aを表示させることができることは当然として、カーソル表示31,31aを対応させて表示させるべき特異点の近傍の任意の位置を「指定位置」として指定するだけでも、その「指定位置」を基準とする「検索範囲」内の特異点が自動的に検索されて、カーソル表示31,31aが特異点に対応する位置に自動的に表示される。このため、この種の装置の操作に不慣れな者であっても、任意の特異点を指定する位置にカーソル表示31,31aを確実かつ容易に表示させることができる。
上記目的を達成すべく、請求項1記載の波形表示装置は、波形データに基づく信号波形を波形表示画面に表示させ、かつ当該信号波形における任意の一点を指定するためのカーソル表示を当該信号波形と共に当該波形表示画面に表示させる処理部を備えた波形表示装置であって、前記波形表示画面内の任意の位置を指定する位置指定操作が可能なポインティングデバイスを備え、前記処理部は、前記信号波形を前記波形表示画面内に表示させている状態において前記ポインティングデバイスによる前記位置指定操作が行なわれたときに、当該位置指定操作によって指定された位置を中心とする予め規定された広さの円形の検索範囲を特定すると共に、前記信号波形において予め規定された条件を満たす特異点が前記検索範囲内に存在するときに、当該特異点の位置を基準とする予め規定された表示位置に前記カーソル表示を表示させる。
また、請求項2記載の波形表示装置は、請求項1記載の波形表示装置において、前記処理部は、前記位置指定操作の終了時点において前記ポインティングデバイスによって指定された位置を中心として前記検索範囲を特定する。
また、請求項3記載の波形表示装置は、請求項1記載の波形表示装置において、前記処理部は、前記位置指定操作の開始時点において前記ポインティングデバイスによって指定された位置を中心として前記検索範囲を特定する。
請求項1記載の波形表示装置では、処理部が、信号波形を波形表示画面内に表示させている状態においてポインティングデバイスによる位置指定操作が行なわれたときに、位置指定操作によって指定された位置を中心とする予め規定された広さの円形の検索範囲を特定すると共に、信号波形において予め規定された条件を満たす特異点が検索範囲内に存在するときに、特異点の位置を基準とする予め規定された表示位置にカーソル表示を表示させる。また、請求項5記載の波形表示用プログラムでは、波形表示装置の処理部に上記のような処理を実行させる。
請求項2記載の波形表示装置、およびその処理部に信号波形およびカーソル表示を表示させる処理を実行させる波形表示用プログラムによれば、処理部が、位置指定操作の終了時点においてポインティングデバイスによって指定された位置を中心として検索範囲を特定することにより、位置指定操作の開始時点において特異点が含まれない検索範囲が特定される位置(特異点から離れた位置)を指定してしまったとしても、特異点が含まれる検索範囲が特定される位置(特異点の近傍の位置)に向かってドラッグ操作を行うことで、所望の特異点を確実に検出させることができる。
請求項3記載の波形表示装置、およびその処理部に信号波形およびカーソル表示を表示させる処理を実行させる波形表示用プログラムによれば、処理部が、位置指定操作の開始時点においてポインティングデバイスによって指定された位置を中心として検索範囲を特定することにより、位置指定操作の開始時点において特異点が含まれる検索範囲が特定される位置(特異点の近傍の位置)を指定していたにも拘わらず、位置指定操作の終了時点において特異点が含まれない検索範囲が特定される位置(特異点から離れた位置)を指定してしまったとしても、最初に指定していた位置に基づき、所望の特異点が検出される検索範囲を特定させてその特異点を確実に検出させることができる。
一方、図8に示す信号波形W2におけるノイズの発生箇所の測定値および測定時刻(経過時間)を特定したいときには、特異点Pb4aにカーソル表示31を合わせる必要がある。この際に、例えば、「変化点・ノイズ」および「ゼロクロス」との2つの「条件候補」が選択されている(有効となっている)状態において、位置Pa4が「指定位置」として指定されたときに、「変化点・ノイズ」との条件を満たす特異点Pb4aだけではなく、「ゼロクロス」との条件を満たす特異点Pb4bが位置Pa4を中心とする「検索範囲」内に存在することとなる。
なお、上記のいずれの例とも相違するが、波形表示画面30内に信号波形Wが表示されている状態において「位置指定操作」が行なわれ、その「位置指定操作」によって指定された位置を中心とする予め規定された広さの円形の「検索範囲」内に、予め選択された「条件候補」の条件を満たす得点が存在しなかったときには、処理部14は、一例として、「位置指定操作」によって指定された位置に合わせてカーソル表示31を表示させる。これにより、特異点以外の任意の一点についての測定値や測定時刻(経過時間)が信号波形Wと共に波形表示画面30に表示される。
このように、この波形表示装置2では、処理部14が、信号波形Wを波形表示画面30内に表示させている状態においてポインティングデバイス(本例では、操作部12のタッチパネル)による「位置指定操作」が行なわれたときに、「位置指定操作」によって指定された位置を中心とする予め規定された広さの円形の「検索範囲」を特定すると共に、信号波形Wにおいて予め規定された条件を満たす特異点が「検索範囲」内に存在するときに、特異点の位置を基準とする予め規定された表示位置(本例では、特異点そのものの位置)にカーソル表示31,31aを表示させる。また、このプログラムデータDpでは、波形表示装置2の処理部14に上記のような処理を実行させる。
したがって、この波形表示装置2およびプログラムデータDpによれば、カーソル表示31,31aを対応させて表示させるべき特異点そのものを正確に指定できたときは、その特異点に対応させてカーソル表示31,31aを表示させることができることは当然として、カーソル表示31,31aを対応させて表示させるべき特異点の近傍の任意の位置を「指定位置」として指定するだけでも、その「指定位置」を中心とする「検索範囲」内の特異点が自動的に検索されて、カーソル表示31,31aが特異点に対応する位置に自動的に表示される。このため、この種の装置の操作に不慣れな者であっても、任意の特異点を指定する位置にカーソル表示31,31aを確実かつ容易に表示させることができる。
この測定装置200では、測定システム100における測定装置1による各処理および波形表示装置2による各処理が前述した例と同様の手順で実行される。したがって、この測定装置200によれば、測定システム100と同様にして、カーソル表示31,31aを対応させて表示させるべき特異点そのものを正確に指定できたときは、その特異点に対応させてカーソル表示31,31aを表示させることができることは当然として、カーソル表示31,31aを対応させて表示させるべき特異点の近傍の任意の位置を「指定位置」として指定するだけでも、その「指定位置」を中心とする予め規定された広さの円形の「検索範囲」内の特異点が自動的に検索されて、カーソル表示31,31aが特異点に対応する位置に自動的に表示される。このため、この種の装置の操作に不慣れな者であっても、任意の特異点を指定する位置にカーソル表示31,31aを確実かつ容易に表示させることができる。