JP2021167349A - 水性医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】花粉外壁の破裂を強く抑制することにより、より強い薬効が期待できるエピナスチン又はその塩を含有する水性医薬組成物の提供。【解決手段】エピナスチン又はその塩と、トロメタモールとを含有する水性医薬組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、エピナスチン又はその塩と、トロメタモールとを含有する水性医薬組成物(以下、「本発明の水性医薬組成物」ともいう)に関する。
アレルギー性結膜炎は、眼の表面に外部からのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こす症状であり、主に一年中症状がみられる通年性アレルギー性結膜炎と、特定の季節のみ症状があらわれる季節性アレルギー性結膜炎とがある。季節性アレルギー性結膜炎の場合、その主要な原因の一つは花粉に因るものであり、特に春先に飛ぶスギ花粉によるアレルギー性結膜炎は毎年非常に多くの人が発症すると言われている。
非特許文献1および非特許文献2によると、スギ花粉によるアレルギー性結膜炎は、飛散した花粉粒子が結膜嚢内に侵入した後、涙液によって花粉外壁が破裂し、溶出したアレルゲンが結膜組織に移行して肥満細胞上の抗体へ結合することにより発症すると考えられる。涙液中では花粉外壁の破裂は起こりやすく、花粉外壁の破裂に影響を及ぼす因子には、pHや温度といった物理化学的な影響に加えて、涙液中の成分(リゾチームやタンパク質、さまざまな分解酵素など)による影響があることが示唆されている。また種々の抗アレルギー点眼液においても、その種類によっては、従来の薬理作用の他にも花粉外壁の破裂やアレルゲンの溶出に影響を及ぼす可能性があることが示唆されている。非特許文献3によると、点眼液に含まれる添加剤についても、花粉外壁の破裂やアレルゲンの溶出に影響を及ぼす可能性がある。例えば、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)は花粉外壁の破裂を促進する可能性が示唆されている。
従って、種々の抗アレルギー点眼液で発現する薬効には、薬理作用の他に、花粉外壁の破裂やアレルゲンの溶出に影響を及ぼす点眼液の物理化学的な性質に基づく作用が関与する可能性が示唆されている。
非特許文献4には、現在、アレルギー性結膜炎治療剤として日本で上市されている、エピナスチン塩酸塩を有効成分とするアレジオン(登録商標)点眼液0.05%について記載されており、その点眼液はベンザルコニウム塩化物を含まない(BAKフリー)製剤である。エピナスチン塩酸塩点眼液のBAKフリー製剤は、従来製剤(ベンザルコニウム塩化物を含む)に比べて、花粉外壁の破裂やアレルゲンの溶出を抑制する傾向にあることが記載されている(非特許文献3)。しかしながら、これらの文献では花粉外壁の破裂やアレルゲンの溶出に影響を及ぼす影響因子については明らかにされておらず、当然のことながら、有効成分であるエピナスチン塩酸塩自体に花粉外壁の破裂を抑制する作用がある可能性については触れられていない。
また、緩衝剤として使用されるトロメタモールを用いた場合における花粉外壁の破裂に及ぼす影響については何ら記載されていない。
アレルギー・免疫 2010,Vol.17,No.2,124−129 アレルギー・免疫 2011,Vol.18,No.2,82−87 アレルギー・免疫 2016,Vol.23,No.2,124−130 アレジオン(登録商標)点眼液0.05%添付文書
したがって、花粉外壁の破裂を強く抑制することにより、より強い薬効が期待できるエピナスチン又はその塩を含有する水性医薬組成物を提供することは興味深い課題である。
本発明者らは、花粉外壁の破裂を強く抑制し、より強い薬効をもたらす、エピナスチン又はその塩を含有する水性医薬組成物を見出すために鋭意研究を行ったところ、点眼液に通常添加される緩衝剤に花粉外壁の破裂を促進する作用があること、有効成分であるエピナスチン又はその塩自体に花粉外壁の破裂を抑制する作用があること、さらにはトロメタモールにはエピナスチン又はその塩自体が有する花粉外壁の破裂抑制作用を増強する作用があることを見出し、エピナスチン又はその塩とトロメタモールを配合することによって本発明に至った。具体的に、本発明は以下を提供する。
(1)エピナスチン又はその塩と、トロメタモールとを含有する水性医薬組成物。
(2)エピナスチン又はその塩が、エピナスチン塩酸塩である、(1)に記載の水性医薬組成物。
(3)0.01〜5%(w/v)の濃度のエピナスチン又はその塩を含有する、(1)または(2)に記載の水性医薬組成物。
(4)0.01〜5%(w/v)の濃度のトロメタモールを含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の水性医薬組成物。
(5)トロメタモールの含有量に対するエピナスチン又はその塩の含有量の質量比が0.05〜50である、(1)〜(4)のいずれかに記載の水性医薬組成物。
(6)pHが4.0〜8.5である、(1)〜(5)のいずれかに記載の水性医薬組成物。
(7)さらに等張化剤を含有する、(1)〜(6)のいずれかに記載の水性医薬組成物。
(8)エピナスチン又はその塩と、トロメタモールとを含有する、pH4.0〜8.5の点眼用水性医薬組成物。
(9)塩化ベンザルコニウムを含有しない、(8)に記載の水性医薬組成物。
(10)エピナスチン又はその塩とトロメタモールとを含有する水性医薬組成物を、花粉と接触させることによって、花粉の破裂を抑制する方法。
(11)エピナスチン又はその塩とトロメタモールとを含有する水性医薬組成物を眼に投与することによって、眼表面またはその近傍に付着した花粉の破裂を抑制する方法。
(12)スギ花粉である、(10)または(11)のいずれかに記載の方法。
なお、前記(1)から(12)の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
さらに、本発明は以下も提供する。
(13)治療が必要な患者に、治療上の有効量の(1)〜(9)のいずれかに記載の水性医薬組成物を患者の眼に投与することを特徴とする、アレルギー性結膜炎を治療および/または予防する方法。
(14)アレルギー性結膜炎の治療および/または予防に使用する、(1)〜(9)のいずれかに記載の水性医薬組成物。
(15)トロメタモールを配合することにより、エピナスチン又はその塩を含有する水性医薬組成物の花粉外壁の破裂抑制作用を増強する方法。
本発明は、トロメタモールを配合することにより、エピナスチン又はその塩自体が有する花粉外壁の破裂抑制作用を増強して、優れた薬効をもたらすエピナスチン又はその塩を含有する水性医薬組成物を得ることができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明において、「エピナスチン」とは、化学名(±)−3−Amino−9,13b−dihydro−1H−dibenz[c,f]imidazo[1,5−a]azepineで表される化合物であり、また下記式:
Figure 2021167349
で表される化合物である。
本発明の水性医薬組成物において、含有されるエピナスチンはラセミ体であってもよく、光学異性体であってもよい。
本発明の水性医薬組成物において、含有されるエピナスチンは塩であってもよく、医薬として許容される塩であれば特に制限はない。塩としては例えば、無機酸との塩、有機酸との塩等が挙げられる。
無機酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩としては、酢酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、アラニン、乳酸、馬尿酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、没食子酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ラウリル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸等との塩が挙げられる。
エピナスチンの塩としては、一塩酸塩(エピナスチン塩酸塩)が特に好ましい。
本発明の水性医薬組成物において、含有されるエピナスチン又はその塩は、水和物又は溶媒和物の形態をとってもよい。
本発明の水性医薬組成物において、エピナスチン又はその塩の含有量は、0.01%(w/v)以上が好ましく、0.05%(w/v)以上がより好ましく、0.1%(w/v)以上がさらに好ましく、その上限は眼科製剤として許容される濃度であればよく、例えば5%(w/v)である。エピナスチン又はその塩の含有量としては、0.01〜5.0%(w/v)が好ましく、0.05〜1.0%(w/v)がより好ましく、0.1〜0.4%(w/v)がさらに好ましい。特に好ましくは、0.08〜0.15%(w/v)であるが、0.08%(w/v)、0.09%(w/v)、0.1%(w/v)、0.11%(w/v)、0.12%(w/v)、0.13%(w/v)、0.14%(w/v)、0.15%(w/v)もさらにより好ましい。
なお、本発明においてエピナスチンの塩が含有される場合、これらの値はエピナスチンの塩の含有量である。本発明においてエピナスチン又はその塩が、水和物又は溶媒和物の形態をとって配合される場合、これらの値はエピナスチン又はその塩の、水和物又は溶媒和物の含有量である。「%(w/v)」は、本発明の水性医薬組成物100mL中に含まれる対象成分(ここでは、エピナスチン又はその塩)の質量(g)を意味する。以下、特に断りがない限り同様とする。
本発明の水性医薬組成物において、含有されるトロメタモールは、化学名2−Amino−2−(hydroxymethyl)propane−1,3−diolで表される化合物である。本発明の水性医薬組成物において、トロメタモールの含有量は、0.01〜5%(w/v)が好ましく、0.05〜3%(w/v)がより好ましく、0.1〜1%(w/v)がさらに好ましい。特に好ましくは、0.1%(w/v)、0.2%(w/v)、0.3%(w/v)、0.4%(w/v)、0.5%(w/v)、0.6%(w/v)、0.7%(w/v)、0.8%(w/v)、0.9%(w/v)、1%(w/v)である。
本発明の水性医薬組成物において、トロメタモールの含有量に対するエピナスチン又はその塩の含有量の質量比は、花粉外壁の破裂を抑制する作用を奏する観点で、0.05〜50であることが好ましく、0.1〜10であることがより好ましく、0.1〜1であることがさらに好ましい。
本発明の水性医薬組成物には、眼科用製剤としての要件を満たすために必要に応じて医薬品の添加剤を用いることができる。具体的には緩衝剤、防腐剤、粘稠剤、界面活性化剤、等張化剤、安定化剤、抗酸化剤、pH調節剤等を加えることができる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよく、適量を配合することができる。
本発明の水性医薬組成物に緩衝剤を配合する場合の緩衝剤は、医薬品の添加剤として使用可能な緩衝剤を適宜配合することができるが、例えば、リン酸又はその塩、ホウ酸又はその塩、ホウ砂、炭酸又はその塩或いは有機酸又はその塩等が挙げられ、これらの水和物又は溶媒和物であってもよい。
リン酸又はその塩としては、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
ホウ酸又はその塩としては、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
炭酸又はその塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
有機酸又はその塩としては、クエン酸、酢酸、ε−アミノカプロン酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アミノ酸類又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
本発明の水性医薬組成物に緩衝剤を配合する場合の緩衝剤の含有量は、緩衝剤の種類などにより適宜調整することができるが、花粉外壁の破裂に影響を及ぼさない程度の量がよく、その上限は例えば10%(w/v)以下であり、5%(w/v)以下が好ましく、1%(w/v)以下がより好ましく、0.5%(w/v)以下がさらに好ましく、0.1%(w/v)以下が特に好ましい。また緩衝作用が発揮できる量があればよく、その下限は0.001%(w/v)以上が好ましく、0.01%(w/v)以上がより好ましく、0.1%(w/v)以上がさらに好ましい。緩衝剤の含有量としては、0.001〜10%(w/v)が好ましく、0.01〜5%(w/v)がより好ましく、0.1〜5%(w/v)がさらに好ましく、0.1〜1%(w/v)が特に好ましい。
また本発明の水性医薬組成物に含有されるトロメタモールには緩衝作用があることが知られていることから、緩衝剤は用いても用いなくてもよい。本発明の水性医薬組成物に緩衝剤を配合する場合には、トロメタモールとは別に、緩衝剤を1種または2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の水性医薬組成物に防腐剤を配合する場合の防腐剤は、医薬品の添加剤として使用可能な防腐剤を適宜配合することができるが、例えば、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン又はその塩、ソルビン酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール等が挙げられる。
クロルヘキシジン又はその塩としては、クロルヘキシジン、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸、クロルヘキシジン酢酸等が挙げられる。
ソルビン酸又はその塩としては、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等が挙げられる。
本発明の水性医薬組成物に防腐剤を配合する場合の防腐剤の含有量は、防腐剤の種類などにより適宜調整することができるが、安全性に悪影響を及ぼさない程度の量であればよく、その上限は例えば1%(w/v)以下であり、0.5%(w/v)以下が好ましく、0.1%(w/v)以下がより好ましく、0.05%(w/v)以下がさらに好ましく、0.01%(w/v)以下が特に好ましい。また防腐作用が発揮できる量があればよく、その下限は0.0001%(w/v)以上が好ましく、0.001%(w/v)以上がより好ましい。防腐剤の含有量としては、0.0001〜1%(w/v)が好ましく、0.001〜0.5%(w/v)がより好ましく、0.001〜0.1%(w/v)がさらに好ましい。
なお、水性医薬組成物に防腐剤を配合する場合に塩化ベンザルコニウムが汎用的に使用されるが、その曝露量が増えると安全性に悪影響を及ぼすことが知られていることから、本発明の水性医薬組成物において、防腐剤として塩化ベンザルコニウムを配合しないことが好ましい。
本発明の水性医薬組成物に粘稠剤を配合する場合の粘稠剤は、医薬品の添加剤として使用可能な粘稠剤を適宜配合することができるが、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の水性医薬組成物に粘稠剤を配合する場合の粘稠剤の含有量は、粘稠剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜5%(w/v)が好ましく、0.01%〜3%(w/v)がより好ましく、0.1〜2%(w/v)がさらに好ましい。
本発明の水性医薬組成物に界面活性化剤を配合する場合の界面活性化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な界面活性化剤を適宜配合することができるが、例えば、カチオン性界面活性化剤、アニオン性界面活性化剤、非イオン性界面活性化剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性化剤としては、アルキルアミン塩、アルキルアミンポリオキシエチレン付加物、脂肪酸トリエタノールアミンモノエステル塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、脂肪酸ポリアミン縮合物、アルキルイミダゾリン、1−アシルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシルエチル−2−アルキルイミダゾリン等が挙げられる。なお、塩化ベンザルコニウム等の第四級アンモニウムカチオンは、カチオン性界面活性化剤の性質を有しているが、これらは本発明におけるカチオン性界面活性化剤には含まれない。
アニオン性界面活性化剤としては、レシチン等のリン酸脂質等が挙げられる。
非イオン性界面活性化剤としては、ステアリン酸ポリオキシル40等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリソルベート65等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシル5ヒマシ油、ポリオキシル9ヒマシ油、ポリオキシル15ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40ヒマシ油等のポリオキシルヒマシ油;ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸エステル(ビタミンE TPGS)等が挙げられる。
本発明の水性医薬組成物に界面活性化剤を配合する場合の界面活性化剤の含有量は、界面活性化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.01〜1%(w/v)が好ましく、0.05〜0.5%(w/v)がより好ましく、0.05%〜0.2%(w/v)がさらに好ましい。
本発明の水性医薬組成物に等張化剤を配合する場合の等張化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な等張化剤を適宜配合することができるが、例えば、イオン性等張化剤や非イオン性等張化剤等が挙げられる。
イオン性等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。
非イオン性等張化剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、マルトース、スクロース、キシリトール等が挙げられる。
本発明の水性医薬組成物に等張化剤を配合する場合の等張化剤として、イオン性等張化剤がより好ましく、塩化ナトリウムが特に好ましい。また、等張化剤を2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の水性医薬組成物に等張化剤を配合する場合の等張化剤の含有量は、等張化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜10%(w/v)が好ましく、0.01%〜5%(w/v)がより好ましく、0.1〜3%(w/v)がさらに好ましく、0.5〜2%(w/v)が特に好ましい。
本発明の水性医薬組成物に安定化剤を配合する場合の安定化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な安定化剤を適宜配合することができるが、例えば、エデト酸又はその塩等が挙げられる。
エデト酸又はその塩としては、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム等が挙げられる。
本発明の水性医薬組成物に安定化剤を配合する場合の安定化剤の含有量は、安定化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜5%(w/v)が好ましく、0.01%〜3%(w/v)がより好ましく、0.1〜2%(w/v)がさらに好ましい。
本発明の水性医薬組成物に抗酸化剤を配合する場合の抗酸化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な抗酸化剤を適宜配合することができるが、例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の水性医薬組成物に抗酸化剤を配合する場合の抗酸化剤の含有量は、抗酸化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜5%(w/v)が好ましく、0.01%〜3%(w/v)がより好ましく、0.1〜2%(w/v)がさらに好ましい。
本発明の水性医薬組成物にpH調節剤を配合する場合のpH調節剤は、医薬品の添加剤として使用可能なpH調節剤を適宜配合することができるが、例えば、酸又は塩基であり、酸としては例えば、塩酸、リン酸、クエン酸、酢酸等、塩基としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明の水性医薬組成物のpHは、医薬品として許容される範囲内にあればよく、例えば4.0〜8.5又は4.0〜8.0の範囲内であり、6.0〜8.0が好ましく、6.5〜7.5がより好ましい。特に好ましいpHは、6.7〜7.3であるが、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3もさらにより好ましい。
本発明の水性医薬組成物の浸透圧比は、医薬品として許容される範囲内にあればよく、例えば0.5〜2.0であり、0.7〜1.6が好ましく、0.8〜1.4がより好ましく、0.9〜1.2がさらに好ましい。
本発明の水性医薬組成物において、その構成成分が全て溶解または一部懸濁していてもよいが、構成成分が全て溶解している液状がより好ましい。
本発明の水性医薬組成物の剤形は、医薬品として使用可能なものであれば特に制限されないが、特に点眼剤が好ましく、当該技術分野における通常の方法に従って製造することができる。
本発明の水性医薬組成物を点眼剤として使用する場合は、特にアレルギー性結膜炎の治療剤として有用である。また、本発明の水性医薬組成物は、特に断りのない限り、エピナスチン又はその塩以外の点眼剤に用いられる有効成分を含んでいてもよい。
本発明の水性医薬組成物を点眼剤として眼に投与する場合、所望の薬効を奏するのに十分であれば用法用量に特に制限はないが、1回1滴、1日1〜10回、好ましくは1日2〜6回、より好ましくは1日2〜4回、さらに好ましくは1日2回、1日4回に分けて点眼することができる。また、コンタクトレンズ装用時においても使用することができる。
本発明の水性医薬組成物を点眼剤として使用する場合、マルチドーズ型容器、1回使い切りのユニットドーズ型容器またはPFMD(Preservative Free Multi Dose)容器のいずれに収容されていてもよい。なお、容器の素材に特に制限はなく、一般に汎用される容器、例えば、ポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製、ポリエチレンテレフタレート(PET)製等の容器を用いることができる。
以下に、製剤例および花粉外壁の破裂抑制試験の結果を示すが、これらは本発明をより良く理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
製剤例
以下に本発明の代表的な製剤例を示す。なお、下記製剤例において各成分の配合量は製剤1mL中の含量である。
製剤例1
エピナスチン塩酸塩 1mg
トロメタモール 1mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
花粉外壁破裂抑制試験
(1)被験製剤の調製
エピナスチン塩酸塩(10mg)、トロメタモール(100mg)、塩化ナトリウム(50mg)を水に溶解し、pH調節剤(塩酸および/または水酸化ナトリウム)と水を加えて全量を10mLとし、濾過滅菌を行うことにより、実施例1の被験製剤を調製した。
実施例1
1mL中
エピナスチン塩酸塩 1mg
トロメタモール 10mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
実施例1の調製方法と同様の方法にて、実施例2〜5および比較例1〜3の被験製剤を調製した。
実施例2
1mL中
エピナスチン塩酸塩 1mg
トロメタモール 1mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
実施例3
1mL中
エピナスチン塩酸塩 1mg
トロメタモール 2.5mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
実施例4
1mL中
エピナスチン塩酸塩 1mg
トロメタモール 5mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
実施例5
1mL中
エピナスチン塩酸塩 4mg
トロメタモール 10mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
比較例1
1mL中
トロメタモール 10mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
比較例2
1mL中
エピナスチン塩酸塩 1mg
ε−アミノカプロン酸 5mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
比較例3
1mL中
エピナスチン塩酸塩 1mg
リン酸二水素ナトリウム 3.8mg
リン酸水素二ナトリウム水和物 18.3mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
(2)試験方法
スギ花粉粒子を約3μLずつ採取し、96ウェルマイクロプレートに播種した。その後、各ウェルに被験製剤50μLを滴下し、直後に血球計算盤を用いて光学顕微鏡下でトータルの花粉数を計測した。さらに、経時的に滴下5分後および10分後に破裂した花粉数を同様に顕微鏡下で計測した。
花粉破裂率は以下の計算式より算出した。
花粉破裂率(%)=(滴下5分後または10分後までに破裂した花粉数)/(被験製剤滴下直後のトータル花粉数)×100
(3)試験結果及び考察
試験結果を表1および表2に示す。
Figure 2021167349
表1に示されるように、エピナスチン又はその塩を含有しない比較例1は花粉外壁の破裂が進行するのに対して、エピナスチン又はその塩を含有する実施例1は花粉外壁の破裂を抑制する効果を示した。さらに実施例1に対して、含有するトロメタモールの濃度が小さい実施例1〜4、またはエピナスチン又はその塩の濃度が大きい実施例5においても花粉外壁の破裂を抑制する効果の増強を示したことから、エピナスチン又はその塩自体に花粉外壁の破裂を抑制する作用があることが示唆された。
Figure 2021167349
表2に示されるように、一定濃度下のエピナスチン又はその塩を含有する被験製剤において、トロメタモールを含有する実施例4は、他の緩衝剤を含有する比較例2および比較例3よりも、花粉外壁の破裂を抑制する効果を示した。
従って、表1および表2より、エピナスチン又はその塩とトロメタモールとを含有する水性医薬組成物は、花粉外壁の破裂を強く抑制する作用があることが示唆された。
本発明は、エピナスチン又はその塩と、トロメタモールとを含有する水性医薬組成物を提供する。

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