JP2021165657A - 微粒子測定方法、微粒子測定システム及び試料前処理装置 - Google Patents

微粒子測定方法、微粒子測定システム及び試料前処理装置 Download PDF

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Satoru Akai
信雄 飯田
Nobuo Iida
伸治 中野田
Shinji Nakanoda
義和 佐々木
Yoshikazu Sasaki
真樹 菊地
Maki Kikuchi
明 黒河
Akira Kurokawa
和博 熊谷
Kazuhiro Kumagai
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Abstract

【課題】液体に分散した微粒子の個数を客観的に正確に測定する。【解決手段】試料前処理装置10において、基材上に液滴が滴下される。液滴の凍結及び乾燥により、基材上に液滴痕が生じる。一方、試料前処理装置10では、液滴の質量又は体積が物理量として測定される。電子顕微鏡232により液滴痕を観察することにより得られた画像が解析され、液滴痕像に含まれる微粒子像の個数が微粒子数として演算される。微粒子像を物理量で割ることにより個数濃度が演算される。複数の微粒子サイズに対応した複数の個数濃度から個数濃度分布236が生成される。【選択図】図1

Description

本発明は、微粒子測定方法、微粒子測定システム、及び、試料前処理装置に関し、特に、液体に含まれる微粒子の計数に関する。
試料前処理装置、顕微鏡、画像解析装置等を組み合わせて、液体試料である微粒子分散液に含まれる微粒子(特にナノ粒子)を計数する方法の開発及び実用化が期待されている。微粒子分散液は、通常、溶液及びそれに添加された微粒子を含む液体である。微粒子分散液の例として、工業材料、化学品、医薬品、化粧品、自然界に存在する液体、等が挙げられる。
特許文献1,2には、微粒子の測定で利用される試料前処理装置が記載されている。試料前処理装置は、微粒子分散液を液滴として基材上に滴下するノズル、基材上に付着及び展開した液滴を凍結及び乾燥して液滴痕を生じさせる設備、等を備える。ノズルは、インクジェット方式に従うノズルであり、微小量の液滴を基材に向けて噴射するものである。基材上での液滴の凍結及び乾燥によれば、液滴痕の周縁に微粒子が密集してしまうコーヒーリング現象(Coffee ring effect)の発生を効果的に防止できる(特許文献1を参照)。
試料前処理後の基材が顕微鏡(例えば電子顕微鏡)にセットされ、顕微鏡により基材上の試料痕が観察される。これにより顕微鏡画像が生成される。顕微鏡画像が画像解析装置により解析される。具体的には、顕微鏡画像に含まれる液滴痕像が抽出された上で、液滴痕像に含まれる微粒子像の個数が計数される。あるいは、液滴痕像に含まれる個々の微粒子像のサイズが識別された上で、サイズごとに微粒子像の個数が計数される。
特開2015−141083号公報 特開2018−116025号公報
微粒子の測定において、ノズルから噴射される液滴の量には、ばらつきが不可避に生じる。そのようなばらつきが測定結果に影響を与えないようにすることが望まれる。
特に、単位質量当たりの微粒子数又は単位体積当たりの微粒子数を個数濃度(number concentration)として測定する場合に、個数濃度の演算精度を高めることが望まれる。
本発明は、微粒子測定結果の客観性又は信頼性を高めることにある。
本発明に係る微粒子測定方法は、ノズルから基材に対して液滴を噴射する噴射工程と、前記基材上に付着した液滴の処理により前記基材上に液滴痕を生じさせる処理工程と、前記ノズルから噴射される液滴についての質量又は体積を物理量として測定する測定工程と、前記液滴痕の観察により画像を取得する観察工程と、前記画像に含まれる液滴痕像に属する微粒子像の個数を微粒子数として計数する計数工程と、前記微粒子数及び前記物理量に基づいて個数濃度を演算する演算工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る微粒子測定システムは、基材に対して試料としての液滴を噴射するノズルと前記ノズルから噴射される液滴についての質量又は体積を物理量として測定する測定器とを備え前記基材上に付着した液滴の処理により前記基材上に液滴痕を生じさせる試料前処理装置と、前記液滴痕の観察により画像を取得する観察装置と、前記画像に含まれる液滴痕像に属する微粒子像の個数を微粒子数として計数し前記微粒子数及び前記物理量に基づいて個数濃度を演算する情報処理装置と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る試料前処理装置は、液滴を噴射するノズルと、前記液滴が付着する基材を保持する基材保持器と、前記基材上に付着した液滴を凍結及び乾燥させて前記基材上に液滴痕を生じさせる設備と、前記ノズルから噴射される液滴についての質量又は体積を物理量として測定する測定器と、を含み、前記液滴痕は前記液滴に含まれる微粒子の個数を計数するための顕微鏡観察用試料であり、前記物理量は前記微粒子の個数から個数濃度を演算するためのものである、ことを特徴とする。
本発明によれば、微粒子測定結果の客観性又は信頼性を高められる。
実施形態に係る微粒子測定システムを示すブロック図である。 2つの個数濃度分布を示す図である。 実施形態に係る微粒子測定方法を示すフローチャートである。 基材の一例を示す図である。 コーヒーリング現象を示す図である。 第1の実験結果を示す図である。 第2の実験結果を示す図である。 第3の実験結果を示す図である。 実施形態に係る試料前処理装置を示す概念図である。 基材保持器の斜視図である。 基材保持器本体の斜視図である。 台座上に基材保持器を配置した状態を示す図である。 基材の断面図である。 基材におけるグリッドを示す図である。 電子顕微鏡の試料室内に配置された基材保持器を示す図である。 位置補正の際に利用可能な複数の試射位置を示す図である。 複数の試射位置に対応する複数の付着面レベルを示す図である。 スケール付き試射エリアを備えた基材保持器を示す図である。 スケール柱を有する基材保持器の第1例を示す図である。 スケール柱を有する基材保持器の第2例を示す図である。 位置誤差の演算方法の一例を説明するための図である。 落下速度の演算方法の一例を説明するための図である。 試料前処理方法を示す流れ図である。 位置補正工程の詳細を示す流れ図である。 蒸発を考慮した総質量の補正を説明するための図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)実施形態の概要
(1−1)微粒子測定方法
実施形態に係る微粒子測定方法は、噴射工程、処理工程、測定工程、観察工程、計数工程、及び、演算工程を含む。噴射工程は、ノズルから基材に対して液滴を噴射する工程である。処理工程は、基材上に付着した液滴の処理により基材上に液滴痕を生じさせる工程である。測定工程は、ノズルから噴射される液滴についての質量又は体積を物理量として測定する工程である。観察工程は、液滴痕の観察により画像を取得する工程である。計数工程は、画像に含まれる液滴痕像に属する微粒子像の個数を微粒子数として計数する工程である。演算工程は、微粒子数及び物理量に基づいて個数濃度を演算する工程である。
上記構成によれば、液滴について測定された物理量を用いて正確な個数濃度を演算できる。液滴ごとにその液量にばらつきがあっても、液滴の物理量つまり液滴の質量又は体積が実測されるので、そのようなばらつきによる測定精度の低下を防止又は軽減できる。複数の液滴について総物理量を求め、それを液滴数で割って、液滴1個当たりの平均物理量を求めれば、上記ばらつきの影響をより防止又は低減できる。
より正確に物理量を求めるために、基材への液滴の噴射の前及び後に物理量の測定を行ってもよい。更に、物理量の測定に際して複数の液滴の噴射を行う場合、その過程で生じる蒸発を考慮して物理量(例えば、総物理量、平均物理量)を補正してもよい。
本願明細書において、個数濃度の概念には、単位質量当たりの微粒子数、及び、単位体積当たりの微粒子数が含まれる。通常、噴射工程と測定工程とで同一のノズル動作条件(特に同一の液滴量)が定められる。実施形態において、微粒子は、マイクロ粒子以下の大きさ(例えば100μm以下の粒子径)をもった粒子であり、特に、ナノオーダーの粒子径をもったナノ粒子である。
実施形態においては、計数工程では、微粒子サイズごとに微粒子数が計数され、演算工程では、微粒子サイズごとに個数濃度が演算される。複数の微粒子サイズに対応する複数の個数濃度により個数濃度分布が作成される。指定された一定のサイズ範囲にわたって個数濃度分布が求められてもよい。
実施形態においては、測定工程は、容器に対してノズルから複数の液滴を噴射させる工程と、容器に収容された複数の液滴についての総物理量を測定する工程と、容器に対して噴射した液滴の個数で総物理量を割ることにより物理量を求める工程と、を含む。この構成によれば、個々の液滴の量にばらつきがあっても、上記物理量として、平均物理量を求めることが可能となる。よって、個数濃度の測定誤差を低減できる。
実施形態において、容器に対する複数の液滴の噴射は、基材に対する液滴の噴射の前、基材に対する液滴の噴射の後、又は、基材に対する液滴の噴射の前後両方、において実行される。
実施形態において、液滴の処理には凍結及び乾燥が含まれる。基材は凍結及び乾燥が実施される第1空間内に設けられる。容器は第1空間とは異なる第2空間内に設けられる。第2空間は第1空間よりも液滴の蒸発が生じ難い空間である。この構成によれば、液滴の蒸発を抑制して、物理量の測定精度を高められる。
実施形態に係る微粒子測定方法は、更に、排出工程を含む。排出工程は、基材に対する液滴の噴射(及び容器に対する液滴の噴射)よりも前に、ノズル内の滞留液及びノズルに連なる配管内の滞留液をノズルの先端から排出させる工程である。滞留液を超える量の微粒子分散液が排出されてもよい。
上記構成によれば、試料容器内の微粒子分散液における個数濃度分布に対して、ノズル内及び配管内の微粒子分散液における個数濃度分布が異なっていても、後者の個数濃度分布に影響されずに、前者の個数濃度分布を正しく求めることが可能となる。実施形態においては、物理量として、蒸発分が補填された補正後の総物理量が求められる。補正後の総物理量を用いることにより、個数濃度の演算精度を高められる。
(1−2)微粒子測定システム
実施形態に係る微粒子測定システムは、試料前処理装置、観察装置、及び、情報処理装置を含む。試料前処理装置は、基材に対して試料としての液滴を噴射するノズルと、ノズルから噴射される液滴についての質量又は体積を物理量として測定する測定器と、を備え、基材上に付着した液滴の処理により基材上に液滴痕を生じさせるものである。観察装置は、液滴痕の観察により画像を取得する装置である。情報処理装置は、画像に含まれる液滴痕像に属する微粒子像の個数を微粒子数として計数し、微粒子数及び物理量に基づいて個数濃度を演算する装置である。
(1−3)試料前処理装置
実施形態に係る試料前処理装置は、ノズル、基材保持器、設備、及び、測定器を含む。ノズルは、液滴を噴射するものである。基材保持器は、液滴が付着する基材を保持する部材である。設備は、基材上に付着した液滴を凍結及び乾燥させて基材上に液滴痕を生じさせるものである。測定器は、ノズルから噴射される液滴についての質量又は体積を物理量として測定するものである。液滴痕は、液滴に含まれる微粒子の個数を計数するための顕微鏡観察用の試料である。物理量は、微粒子の個数から個数濃度を演算するためのものである。
上記構成によれば、液滴についての物理量を測定、測定された物理量を用いて個数濃度を演算し得る。測定器の概念には質量計が含まれる。質量計は重さを測る測定器であり、質量計として重量計が用いられてもよい。液滴の体積を直接的又は間接的に測定する機器が用いられてもよい。液滴の質量から液滴の体積が算出されてもよい。
実施形態において、測定器は、容器を有する質量計である。物理量の測定時に、ノズルは、容器に対して複数の液滴を噴射する。測定後に容器を洗浄する設備等を設けてもよい。その洗浄が手作業により実施されてもよい。
実施形態においては、基材への液滴の噴射に先立ってノズル内の滞留液及びノズルに連なる配管内の滞留液をノズルの先端から排出させる制御部が設けられる。また、ノズルの先端から排出した排出液を収容する排出液容器が設けられる。この構成によれば、配管内やノズル内において個数濃度に変化があっても、その変化に影響されずに、正しく個数濃度を演算し得る。
実施形態においては、液滴の噴射を制御する制御部が設けられる。制御部は、位置補正データを得るためにノズルによる試料の試射を制御する試射制御部と、位置補正データに従ってノズルによる試料の実射を制御する実射制御部と、を含む。
上記構成によれば、試料の試射により位置補正データが得られ、その位置補正データに従って試料の実射を行えるから、実射時において正しい位置に液滴を付着させることが可能となる。例えば、何らかの誤差要因が存在し、それにより付着位置に誤差が生じてしまうような場合でも、その誤差を事前に特定し、その誤差が解消されるように実射が制御される。特にノズルが乾燥ガス雰囲気中で使用される場合には、ノズル先端孔の状態が変化し易いので、実射に先立って試射による位置補正を行うことが望まれる。上記構成はそのような要請に応えるものである。
液滴は、典型的には、下方へ噴射(つまり滴下)されるが、他の方向への噴射がなされてもよい。基材保持器において、1つの基材が保持されてもよいし、複数の基材が同時に保持されてもよい。試料(電子顕微鏡での観察対象)の汚染や誤認等の問題を回避するために、実射対象となる基材が存在するエリア以外のエリアを利用して試射を行うのが望ましい。実施形態においては、試射時においても、実射時と同様に、基材保持器が乾燥ガス雰囲気中において冷却される。試射後の液滴が凍結乾燥処理されれば、それを撮像した場合に液滴位置を特定し易い。また、試射後の残留物が電子顕微鏡での観察時に悪影響を及ぼすことが防止又は軽減される。
実施形態において、試射エリアは、実射において利用される実射エリア以外のエリアである。基材保持器に複数の収容部が設けられ、一部の収容部が不使用である場合、その不使用の収容部を試射エリアとして利用してもよい。その場合、不使用の収容部にダミー基材をセットし、そのダミー基材に対して試射を行うようにしてもよい。実射対象となる基材と同種の基材をダミー基材として利用してもよい。実射エリアが基材の一部である場合、基材の他の一部を試射エリアとして利用することも考えられる。
実施形態において、試射エリアは、実射エリアに隣接しているエリアである。そのようなエリアに対して試射を行えば、試射時の状態を実射時の状態に近づけることができ、より正しい位置補正を行うことが可能となる。例えば、ノズルへ試料を輸送する配管の形態に応じて噴射結果に微妙な差が生じることもあるが、実射エリアに隣接しているエリアを利用して試射を行えば、そのような差が生じることを防止できあるいはそのような差が生じてもそれを小さくできる。実射エリアごとにそれに隣接した位置に試射エリアを設定してもよい。例えば、実射エリアと試射エリアの間の距離が収容部のサイズよりも小さい場合に、隣接の条件が満たされる。
実施形態において、試射エリアのレベルは、基材保持器に保持された基材の表面レベル以下且つ基材保持器の底面レベル以上である。望ましくは、試射エリアは、基材を収容した収容部の底面レベル以上である。この構成によれば、試射時の付着面レベルを実射時の付着面レベルに近付けることができるので、より正しい位置補正データを演算することが可能となる。実施形態において、試射エリアは撮像可能な水平スケールを有する。水平スケールは例えば格子状のスケールである。画像内に水平スケールが現れれば、それを基準として滴下位置を正しく演算又は視認することが可能となる。そのような水平スケールに代えて、撮像器の光学系に含まれるマイクロメーター等のスケールを使用してもよい。画像における画素数から距離を演算することも可能である。
実施形態に係る試料前処理装置は、更に、撮像器、解析部、及び、演算部を有する。撮像器は、試射後に試射エリアを撮像して試射後画像を取得する。解析部は、試射後画像の解析により試射後の液滴の到達位置を特定する。演算部は、液滴の到達位置に基づいて位置補正データを演算する。
実施形態に係る試料前処理装置は、撮像器、解析部、及び、演算部を有する。撮像器は、試射の際に落下中の液滴を撮像して液滴画像を取得する。解析部は、液滴画像を解析する。演算部は、液滴画像の解析の結果に基づく液滴の速度から速度補正データを演算する。実射制御部は、速度補正データに従って噴射器による試料の実射を制御する。
一般に、噴射速度によって液滴軌道が変化する。このため、噴射速度の補正が位置誤差低減のために有効となる。試射時の噴射器の高さを実射時の噴射器の高さに合わせるのが望ましいが、画像撮影上、必要であれば、試射時において、より高い位置に噴射器を位置決めるようにしてもよい。
実施形態に係る試料前処理システムは、落下中の液滴の撮像時において背景となる垂直スケールを有する垂直スケール部材を含む。この構成によれば、液滴画像の解析又は液滴像の視認が容易となる。そのような垂直スケールに代えて、撮像器の光学系に含まれるマイクロメーター等のスケールを使用してもよい。画像における画素数から距離を演算することも可能である。
実施形態において、制御部は、試射前において、噴射器のクリーニング及びウォーミングアップの少なくとも一方を制御する。クリーニングにおいては、例えば、試料の連続的吐出が実施される。クリーニングの概念には、ノズル及び配管内の残留液の排出が含まれ得る。ウォーミングアップにおいては、例えば、液滴の連射が実施される。
(1−4)基材保持器
実施形態に係る基材保持器は、基材保持器本体と、カバーと、からなる。基材保持器本体は、電子顕微鏡用の試料の実射の際に当該試料が液滴として付着する基材を収容した収容部と、基材上の実射エリア以外のエリアであって試料の試射において利用される試射エリアと、を含む。カバーは、実射エリア及び試射エリアを露出させつつ基材保持器本体を覆う。実施形態において、カバーは、収容部に収容された基材を押さえる押さえ構造を有する。カバーは、例えば、薄板により構成される。
(2)実施形態の詳細
(2−1)はじめに
実施形態に係る微粒子測定方法は、液体に含まれる微粒子の個数を計数する方法であり、特に、微粒子サイズごとに、単位物理量(単位質量又は単位体積)当たりの微粒子の個数つまり個数濃度を求めるものである。複数の微粒子サイズ(実際には、複数の微粒子サイズ区間)に対応する複数の個数濃度から、ヒストグラムとしての個数濃度分布が生成される。
具体的には、最初に、試料である微粒子分散液からなる液滴が基材上に噴射されて基材上に液滴痕を生じさせる前処理が実行される。その際には、基材上に付着及び展開した液滴を凍結及び乾燥させる処理が実行される。続いて、電子顕微鏡により液滴痕が観察される。これにより取得された画像の解析により、微粒子サイズごとに微粒子数が計数される。実施形態においては、以下に説明する方法により、試料前処理過程で液滴の質量又は体積が実測される。
(2−2)微粒子測定システム
図1には、実施形態に係る微粒子測定システムが模式的に示されている。図示された微粒子測定システム230は、試料前処理装置10、電子顕微鏡232、及び、情報処理装置234を有する。
試料前処理装置10において、冷却機能を有する台座18上に基材保持器20が配置される。基材保持器20は、1又は複数の基材を保持する部材である。基材は、後述に示すディスクであり、それはグリッド又はグリッドメッシュ等とも称される。
タンク38には、元試料としての微粒子分散液が収容されている。そこから送り出された微粒子分散液が配管を介してノズル32に送られている。ノズル32は、搬送機構22により三次元搬送される。ノズル32から微量の微粒子分散液が液滴として滴下される。
滴下された液滴は、基材上に付着及び展開する。付着及び展開の直後に液滴の温度がその凝固点以下になり、また液滴が乾燥されて、基材上に液滴痕が生じる。液滴痕が電子顕微鏡232での観察対象であり、その観点から見て液滴痕それ自体は試料である。通常、1つの基材上に複数の液滴痕が形成される。
実施形態に係る試料前処理装置10は、物理量測定器としての質量計59を備えている。質量計59として重量計が利用されてもよい。実施形態においては、基材へ複数の液滴を順次滴下する工程の前後で、質量計59を利用して所定数の液滴の質量が測定される。具体的には、試料前処理装置10は、所定位置に配置される容器58を有している。容器58内へノズルから所定個の液滴が噴射される。その後、所定個の液滴からなる液体を収容した容器58が質量計59にセットされ、容器58の内部に存在する液体の質量が測定される。容器58はユーザーにより搬送される。容器58が質量計59と一体化されてもよい。質量に代えて体積が測定されてもよい。
例えば、容器58に対して、ノズル32から所定個(例えば、千個、一万個又は十万個)の液滴が連続的に噴射される。その場合、所定個の液滴の総質量が測定される。その総質量を液滴数で割ることにより、液滴1個当たりの質量が平均質量として演算される。所定個の液滴の総体積が測定されてもよい。その場合、総体積を液滴数で割ることにより、液滴1個当たりの体積が平均体積として演算される。所定個の液滴の噴射を行っている期間においては容器58内の試料が蒸発する。その蒸発分が無視し得ない量である場合、蒸発分を考慮して補正された総質量が求められる。
実施形態では、平均質量を示す情報が、符号242で示されるように、試料前処理装置10から情報処理装置234へ伝送される。平均質量がユーザーにより計算され、その後、ユーザーにより平均質量が情報処理装置へ入力されてもよい。
符号238で示すように、前処理後の基材を備える基材保持器20が、電子顕微鏡232の試料室内にセットされる。図1において、セット後の基材保持器が符号20Aで示されている。基材保持器20の移動はユーザーにより行われる。その移動が自動化されてもよい。
電子顕微鏡232は、例えば、走査電子顕微鏡である。透過電子顕微鏡が用いられてもよい。光学顕微鏡が用いられてもよい。電子顕微鏡232により、液滴痕像を含む電子顕微鏡画像が取得される。通常、複数の液滴痕像を含む電子顕微鏡画像が取得される。
情報処理装置234はコンピュータにより構成される。情報処理装置234はプログラムを実行するCPUを含む。実施形態においては、情報処理装置234が液滴痕ごとに微粒子数を計数する画像解析プログラムを備えている。画像解析プログラムは、具体的には、個々の微粒子のサイズを識別し、微粒子のサイズごとに微粒子数を計数する。
また、画像解析プログラムは、実施形態において、微粒子サイズごとの微粒子数を上記平均質量(又は上記平均体積)で割って個数濃度を演算する機能を備えている。複数の微粒子サイズに対応する複数の個数濃度に基づいて、ヒストグラムとしての個数濃度分布236が作成される。それは表示器244に表示され、また、必要に応じて、個数濃度分布236を示すデータが外部へ出力される。
個数濃度分布236の横軸は、微粒子サイズ、具体的には粒子径を示しており、その縦軸は単位質量当たりの微粒子数つまり個数濃度を示している。粒子径は、例えば、粒子像の外縁を円で近似した場合の直径であり、あるいは、液滴痕像の面積から求められる円の直径である。他の方法により粒子径が定義されてもよい。図1に示された試料前処理装置10及び基材保持器20の詳細な構成については後に説明する。
図2には、2つの個数濃度分布248,250が示されている。個数濃度分布248は、希釈前の微粒子分散液から求められた個数濃度分布である。個数濃度分布250は、希釈後の微粒子分散液から求められた個数濃度分布である。実施形態に係る微粒子測定システムによれば、2つの個数濃度分布248,250を互いに区別して正確に測定することが可能である。
(2−3)微粒子測定方法
図3には、実施形態に係る微粒子測定方法がフローチャートとして示されている。微粒子の測定に際しては、例えば、図4に示される基材252が用いられる。基材252はグリッドメッシュと称されているものである。基材252は、銅からなるメッシュと、メッシュの表面に貼付されたフォルムバール支持膜と、を有する。基材252の直径は例えば3mmである。基材252は、複数の透過窓254を有し、個々の透過窓254が液滴付着領域として機能する。複数の透過窓254の周囲はフレーム部256である。
図3において、S10では、必要に応じて、微粒子分散液に対して分級が実施される。すなわち、微粒子分散液中の微粒子が複数のサイズ区分に仕分けられる。あるいは、微粒子分散液中の所定のサイズ範囲内の微粒子が選択的に抽出される。また、S10では、必要に応じて、使用する基材に対する表面処理が適用される。符号246は、試料前処理装置で実行される複数の工程(S12〜S22)を示している。
S12では、基材保持器に基材がセットされる。その後、基材を保持持した基材保持器が試料前処理装置内の台座上に配置される。台座上に基材保持器を配置した後に、基材保持器に対して基材がセットされてもよい。
S14では、基材保持器を収容する空間内への乾燥ガスの送り込みにより、その空間内に存在していた空気が外部へ追い出される。すなわち、ガス置換が実施される。乾燥ガスとして、窒素ガス、乾燥エア等が挙げられる。S16では、台座の冷却が開始される。これにより、基材保持器に保持された基材が冷却される。
S18は準備工程である。S18では、まず、ノズルからノズル内及び配管内に含まれていた滞留液が排液容器へ排出される。これによりノズルから滴下される微粒子分散液の性状が適正化される。その後、ウォーミングアップ(動作を安定させるための連続的な試射)が実施され、それに続いて、位置補正のための試射及び速度補正のための試射が実施される。それらについては後に詳述する。
S18では、一回目の計量も実施される。すなわち、ノズルから噴射される液滴についての物理量が測定される。具体的には、質量測定用の容器に向けてノズルから所定個の液滴が連続的に滴下される。その後、所定個の液滴を収容した容器が質量計にセットされ、所定個の液滴の総質量が測定される。総質量から1滴当たりの平均質量が演算される。その演算が自動的に行われてもよいし、手計算で行われてもよい。その演算が情報処理装置において実行されてもよい。計量時の液滴量の設定値と液滴痕形成時の液滴量の設定値は同じである。既に説明したように、物理量の測定に際して重量計が用いられてもよい。
S20では、基材上の複数の位置に向けてノズルから複数の液滴が順次滴下される。その際には、個々の液滴痕が重ならないように、複数の液滴の滴下位置が制御される。基材上に到達した各液滴は基材上に展開し、その後、直ちに液滴は凍結する。
S22では、基材に付着した複数の液滴が乾燥される。それと並行して、2回目の計量が実施される。1回目の軽量と同様、容器に向けてノズルから所定個の液滴が連続的に滴下される。その後、質量計を用いて、所定個の液滴の総質量が演算される。総質量から1滴当たりの平均質量が演算される。基材への液滴の滴下前に測定された総質量と、基材への液滴の滴下後に測定された総質量とが合計された上で、その合計値から1滴当たりの平均質量が求められてもよい。計量後に容器が洗浄される。その洗浄はユーザーにより行われ、あるいは、自動的に実施される。
S24では、前処理を得た基材を保持する基材保持器が、試料前処理装置から電子顕微鏡へ移送される。その移送はユーザーによって実施される。その移送がロボットより行われてもよい。
S26では、電子顕微鏡によって基材が観察される。電子顕微鏡として走査電子顕微鏡が用いられる場合、電子ビームの二次元走査により、電子顕微鏡画像が生成される。その電子顕微鏡画像には、1又は複数の基材像が含まれる。各基材像には、複数の液滴痕像が含まれる。
S28では、電子顕微鏡により生成された電子顕微鏡画像が解析される。具体的には、画像解析ソフトウエアにより、個々の液滴痕像に含まれる各微粒子像が抽出され、個々の微粒子像ごとにサイズ(具体的には粒子径)が計測される。また、サイズごとに(具体的にはサイズ区分ごとに)微粒子像の個数が計数される。これによりサイズごとに微粒子数が求められる。各微粒子数が平均質量で除算され、これによりサイズごとに個数濃度が演算される。複数のサイズに対応する複数の個数濃度から個数濃度分布が生成される。S30では、個数濃度分布が表示される。
以上説明した各工程及び各要素について、更に以下に詳しく説明する。
実施形態においては、微量の微粒子分散液を液滴として取り出すために、インクジェット方式が用いられている。液滴量の設定値は、例えば1μL以下である。インクジェット方式は、微量の液体の噴射に適している。その方式によれば、液滴の体積や射出速度を調整し易い。具体的なインクジェット方式として、サーマル方式、ピエゾ方式、静電方式等、などが挙げられる。いずれにしても、インクジェット方式によれば、数fLから数μLの範囲内において指定された液量をもった液滴を容易に噴射でき、しかも、複数の液滴間において液滴量を揃え易い。
微粒子分散液に含まれる溶媒は、常温常圧で液相を呈する液体である。溶媒として、水、水溶性溶剤、有機溶剤、又は、混合溶剤が挙げられる。例えば、分散剤が添加された水、水で希釈されたエタノール等を溶媒として使用してもよい。
水溶性溶剤に対して、微粒子凝集を防ぐ分散剤、ゼータ電位調製剤、電気伝導度調整剤、PH調整剤等を添加してもよい。有機溶剤として、エタノール、メタノール、イソプロパノールなどのアルコールが挙げられる。また、有機溶剤として、アセトン、エチルエーテル、キシレン、シクロヘキサン、トルエンが挙げられる。
実施形態においては、基材、ノズル、又は、基材・ノズルの両方、を移動させる搬送機構が利用される。搬送機構により、ノズルと基材の相対的な位置を変更し得る。滴下位置を異ならせながら、複数の位置に液滴が滴下される。基材上の複数の位置に複数の液滴を順次に付着させる過程における時間間隔は短く設定され、例えば、5秒以内に設定される。物理量の測定時、及び、滞留液の排出時にも、搬送機構が機能する。
基本的に、基材上の1つの領域内に1つの液滴が滴下される。もっとも、複数の液滴痕を分離できる限りにおいて、基材上の1つの領域内に複数の液滴が滴下されてもよい。基材は、微粒子分散液の凝固点温度以下に冷却される。そのような基材に液滴を滴下した場合、液滴は直ちに凝固点以下に冷却され、それが凍結する。凍結状態のまま溶媒を乾燥させると、基材上の微粒子の展開状態が固定され、それが液滴痕となる。
なお、滴下した液滴を常温下で自然乾燥させる場合、液滴辺縁部での溶媒蒸発速度が液滴中心部での溶媒蒸発速度よりも相対的に大きくなり、液滴中心部から液滴辺縁部に向かう溶媒の流れが発生し、微粒子が辺縁部へ輸送される。その結果、基材上における液滴辺縁部に、微粒子の大多数が集積してしまう。すなわち、コーヒーリング現象が生じる。液滴辺縁部に集積した微粒子は積層体となる。積層体における下部の微粒子の観測は困難である。これに対して、実施形態に係る凍結乾燥法によれば、コーヒーリング現象を防止して、微粒子数を正確に計数することが可能となる。
個々の微粒子の外形として、様々な形が挙げられる。例えば、真球、球状、楕円球状、柱状、直方体状、多面体状が挙げられる。個々の微粒子の一部分がそのような形状を有していてもよく、あるいは、個々の微粒子がそれらの形状を組み合わせた外形を有していてもよい。個々の微粒子が内部構造を有していてもよい。例えば、個々の微粒子が、球殻、同心球といった内部構造を備えていてもよく、他の内部構造を備えていてもよい。
微粒子分散液は、微粒子を溶媒に混入させてなる液体である。溶液中で微粒子が完全な分散状態にあることが望ましいが、それに限定されるものではない。微粒子分散液において、一部の微粒子が分散していなくともよい。微粒子分散液においては、微粒子の分散状態が長時間にわたって保持され、微粒子サイズごとの個数濃度が時間的に不変であることが望まれる。少なくとも、前処理を行っている期間において、必要とする測定精度との関係で、凝集等による個数濃度の増減が十分に小さいことが望まれる。
良好な熱伝導率を有する材料で基材を構成することが望まれる。基材をシリコン等で構成してもよい。基材に対して、シリコン酸化膜、ゲルマニウム膜、BN膜、SiC膜、金薄膜、銅薄膜、銅合金薄膜、プラチナ薄膜、オスニウム酸化膜、カーボン膜、カーボンナノチューブ膜、グラフェン膜、ダイヤモンド膜、シリコン窒化膜、銅製メッシュ、ステンレスメッシュ、酸化アルミニウム膜、アルミメッシュ、モリブデンメッシュ、等を設けてもよい。基材上に絶縁性被膜を形成してもよい。
基材の材料として、上記の他、ガラス繊維、硝酸セルロース、トリアセチルセルロース、ナイロン、フォルムバール(ポリビニルフォルマール)、アクリル、ポリビニルブチラール、トリアフォール、酢酸酪酸セルロース、ビニロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、レーヨン、ポリエチレン、コロジオン、が挙げられる。そのような材料で構成される薄膜を基材上に形成してもよい。薄膜の厚みは、例えば5nm〜50nmの範囲内に設定される。
基材の表面に対して処理を施してもよい。例えば、基材における、液滴が滴下される領域に対して、親水性処理、撥水性処理等を施してもよい。常に一定の表面状態を確保することにより、液滴の広がりの再現性を高められる。すなわち、電子顕微鏡により観察される液滴痕の品質を高められる。基材の表面処理の他の例として、浸透性をもたせる処理、表面電荷を調整する処理、が挙げられる。基材の表面がアミノ基を有するように、基材の表面を処理してもよい。その場合、表面処理に際して、アミノ基を有する表面改質剤が用いられる。
例えば、マイカ基板、シリコン基板、ガラス基板、石英基板等の基板は、アミノシランと反応するOH基を表面にもつ。そのOH基に対して、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3―アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシランを反応させることにより、アミノ基を有する表面を備えた基板を生成し得る。その基板をシリカ微粒子測定用の基材として用いることが可能である。
基材の冷却に際しては、例えば、液体窒素等の冷媒を入れたデュワー瓶、低温に冷やされた金属塊、ペルチェ素子等を利用し得る。ヘリウム冷凍機を備える冷却設備を用いてもよい。基材の温度は、例えば、−10℃以下に維持される。
乾燥工程では、低湿度雰囲気による乾燥法、送風による乾燥法、減圧乾燥法、等を利用し得る。乾燥効率を上げるために、いくつかの方法を組み合わせてもよい。低湿度雰囲気は、基材周りの雰囲気に含まれる水分の濃度を低くすることにより形成され得る。気体の露点を基材温度よりも低くした方がよい。減圧乾燥法は、液滴が付着した基材の周りを、減圧又は真空にすることで、基材上の溶媒の蒸発を促進させる方法である。基材の周囲を、溶媒の蒸気圧よりも減圧した方がよい。望ましい基材周りの雰囲気として、窒素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気、10℃未満の露点を有する乾燥空気雰囲気、が挙げられる。乾燥雰囲気を形成することにより、基材周囲に存在する水分が基材表面に付着することを抑制できる。
微粒子数の計数に際しては、電子顕微鏡による観察が行われる。それにより生成された画像において、液滴痕像ごとに、そこに含まれる個々の微粒子像が特定され、これにより微粒子像の個数が計数される。
基材には、例えば、i(i=1〜N)個の液滴痕が含まれる。個々の液滴痕ごとに、微粒子数Niが計数される。i個の微粒子数Niに基づいて演算される平均微粒子数Navが個数濃度の演算において用いられる。微粒子サイズを区別することなく、平均微粒子数Navが演算されてもよいし、微粒子サイズ(微粒子サイズ区間)ごとに平均微粒子数Navが演算されてもよい。特定の微粒子サイズ範囲内において平均微粒子数Navが演算されてもよい。
観察工程で用いるプローブとして、電子ビーム、イオンビーム、光等が挙げられる。観察工程において、先鋭針を備える顕微鏡が用いられてもよい。顕微鏡の例として、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、透過型走査電子顕微鏡(T−SEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、原子力間顕微鏡(AFM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、走査型トンネル電子顕微鏡(STM)、ヘリウムイオン顕微鏡(HIM)、光学顕微鏡、が挙げられる。それらを組み合わせてもよい。
液滴についての質量の測定に際しては、容器に対してk個の液滴を噴射し、k個の液滴の総質量Mtotalが測定される。総質量Mtotalを液滴数kで割ることにより、液滴1個当たりの質量(平均質量)Mshotが求められる。液滴質量Mshotで微粒子数Navを割る場合、個数濃度Nρの単位は、個数/gとなる。kとして、10、100、1000又は10000が設定されてもよい。
液滴についての体積が測定されてもよい。その場合、噴射されるk個の液滴の総体積Vtotalが測定され、それを液滴数kで割ることにより、液滴1個当たりの体積(平均体積)Vshotが求められる。体積Vshotで微粒子数Navを割る場合、個数濃度Nρの単位は個数/リットルとなる。ここで試料の密度ρが既知の場合、液滴1個当たりの体積VshotはMtotal/k/ρにより演算し得る。
ノズルからの液滴の噴射の間隔(工程間のインターバルを含む)は、例えば5秒以内とされる。ノズル先端での溶媒蒸発により、ノズル先端内部での個数濃度が上昇する。そのような変化に起因する影響を抑制するためには、噴射の間隔を短時間にすることが望まれる。
実施形態においては、基材への液滴の噴射を行う前に、ノズル内及び配管内に滞留している微粒子分散液(滞留液)が外部へ排出される。その際には、基材外に配置された排液容器内へ滞留液が排出される。滞留液の排出により、ノズルから噴射される微粒子分散液の個数濃度を適正化できる。すなわち、ノズル等の内部において、滞留に起因して個数濃度が変化した場合であっても、その変化が測定結果に現れてしまうことを防止できる。換言すれば、測定対象となった微粒子分散液についてその個数濃度を正確に測定できる。なお、個数濃度の変化の要因として、配管の内壁への微粒子の付着、ノズル先端からの溶媒の蒸発、重力又は比重による濃度変化、等が挙げられる。
例えば、ノズル及び配管の内容積以上の液量が排出される。具体的には、ノズル及び配管の内容積の3倍から5倍の範囲内の所定の液量が排出される。微粒子分散液の種類に応じて、排出量を変えてもよい。基材への液滴の滴下の前、特に、物理量を測定するための液滴の滴下の直前に、上記排出を行うのが望ましい。排出場所を基材保持器の近傍に設定してもよい。
(2−4)実験結果
図5〜図8には、実験結果が示されている。それらの内で、図5は、従来法の実施により生じたコーヒーリング現象を示すものである。
実験で使用した微粒子分散液は、ポリスチレンラテックス(PSL)分散液であり、溶液は水であった。微粒子の平均直径は50nm、個数濃度は1.5×1014個/mL、液滴の体積は50fLであった。そのような微粒子分散液をシリコンからなる基材上に滴下し、常温で乾燥させた。乾燥後、基材上の液滴痕を走査電子顕微鏡で観測した。
図5には、その観測により得られた画像260が示されている。符号264で示す部分を拡大したものが拡大画像266である。拡大画像266において、符号268は、1つの微粒子像を示している。符号270で示すように、液滴痕の辺縁部に多数の微粒子が堆積している。実験では、液滴痕の辺縁部に、全微粒子の中の85%以上の微粒子が集積していた。
これに対し、実施形態に係る方法では、基材上の液滴を凍結し、その状態を維持しつつ溶媒を蒸発させるので、溶媒の流動を抑制でき、すなわち、コーヒーリング現象が生じることを効果的に抑制できる。換言すれば、液滴痕内において微粒子が均等に分散された状態を生じさせることが可能となる。
図6に示す実験結果の説明に先立って、実験条件について説明する。その実験では、微粒子分散液として、炭酸カルシウム微粒子分散液(白石工業製、一次粒子径100nm、水分散)を用いた。なお、実験では事前分級を行わなかったが、事前分級を行ってもよい。その場合、例えば、元試料における粒径範囲が10nm〜3μmにわたる場合、分級区画として、10〜30nm、30〜90nm、及び、90nm〜3μmを設けてもよい。
実験では、図4に示した各透過窓内において、異なる2箇所に大小2つの液滴を付着させた。それらの液滴の凍結及び乾燥により複数の液滴痕が生じ、複数の液滴痕が走査電子顕微鏡(日本電子製JSM−7100F、加速電圧7kV)で観察された。滴下間隔は1秒であった。溶媒である水に関し、20℃の水の蒸気圧は約23Paであるので、試料を含む空間の圧力を減圧装置により20Pa以下とした。
図6には、その実験の結果が示されている。画像272内には、複数の透過窓像274A,274B,274Cが含まれる。各透過窓像274A,274B,274Cには、それぞれ、第1液滴痕像276A,276B,276Cと、第2液滴痕像278A,278B,278Cとが含まれる。いずれにおいても、コーヒーリング現象は生じていない。
物理量の測定の実験では、1回の噴射量が公称30pLのインクジェットノズルを用いた。微粒子分散液として、金ナノ粒子分散液(個数濃度1.8×1011個/g)を用いた。それを183,600回射出し、その総質量から、液滴1個当たりの平均質量として2.5×10−8gが求められた。電子天秤の最小表示値は、0.01mgであった。質量測定の不確かさ(uncertainty)の要因を検討したところ、電子天秤の校正証明書に記載された質量測定の不確かさ(1.4%)、及び、5回の繰り返し測定の不確かさ(1.3%)が支配的であった。その他の不確かさの要因として、大気相対湿度測定、温度測定及び大気圧測定における浮力補正に伴う不確かさが挙げられる。
次の実験では、試料製作条件として、コーヒーリングを明瞭化させる条件が採用された。その条件に従って製作されたシリカ粒子分散液が使用され、ノズル内にその液体を長時間射出しない状態を意図的に作出した上で、複数の透過窓に対して複数の液滴が順次噴射され、これにより複数の透過窓内に複数の液滴痕が形成された。
図7に示す走査電子顕微鏡画像280は、その実験結果を示すものである。図中には、複数の透過窓像に対して複数の番号(701から731)が付されている。その番号順で複数の液滴痕が順番に形成された。図示されるように、1番目の液滴痕(符号701を参照)には、最も多くの微粒子が含まれており、全体として黒い液滴痕が生じている。噴射回数の増大に伴って、個数濃度が減少している。およそ15番目の噴射以降、個数濃度の変化が少なくなっている。
上記実験結果は、噴射していない期間の増大により、ノズル内において個数濃度が上昇してしまうことを示している。また、基材への液滴の噴射前に微粒子分散液を十分に排出すべきことを示している(例えば15滴以上の、望ましくはより多くの排出を行うべきことを示している)。例えば、排出量を、ノズル及び配管の内容積の3倍以上としてもよい。基材への液滴の噴射前に微粒子分散液の排出を十分に行えば、ノズル内及び配管内の滞留液をタンク内の微粒子分散液で置換することが可能となる。
図8には、他の実験結果が示されている。この実験では、試料製作条件として、コーヒーリングを抑制する条件が採用された。その条件に従って製作されたシリカ粒子分散液が使用され、ノズル内にその液体を長時間射出しない状態を意図的に生じさせた上で、シリコン基板における複数の位置に複数の液滴が順次噴射され、これにより複数の液滴痕が形成された。具体的には、図8に示す複数の番号(801から818)の順で、複数の液滴痕が形成された。1番目の液滴痕(符号801を参照)において最も粒子数(白い部分)が多い。10番目以降の液滴痕において、粒子数が比較的に安定している(但し図8においてはそれを鮮明に表現できていない)。この実験結果は、基材に対する液滴の噴射の前に、少なくとも10回以上の噴射を行うべきことを示している。
(2−5)不確かさの検討
Mshotの不確かさは、測定の繰り返し性(measurement repeatability)、電子天秤の校正の不確かさ、計量中の溶媒の蒸発、及び、液滴の浮力の測定精度、から求まる。浮力の測定精度は、大気圧、湿度、気圧のそれぞれの測定精度を考慮することにより求められる。Vshotは、Mshotと密度ρとから算出され得るところ、その場合におけるVshotの不確かさは、Mshotの不確かさと、密度ρの不確かさを合成することにより求まる。
個数濃度(N/Mshot)の相対標準不確かさ(relative standard uncertainty)は、Nの測定における相対標準不確かさと、Mshotの測定における相対標準不確かさの二乗平均平方根で与えられる。個数濃度は、個数/グラムの次元をもつ。一方、個数濃度(N/Vshot)の相対標準不確かさは、Nの測定における相対標準不確かさと、Vshotの測定の相対標準不確かさの二乗平均平方根で与えられる。個数濃度は、個数/リットルの次元をもつ。
実施形態に係る手法によると、測定した微粒子数Nの不確かさを評価することができる。観察工程において、境界識別が不十分であることを原因として、識別した個数に、−aから+aまでの幅が生じる場合がある。その場合、Nが−aから+aまでの幅をもつ一様な分布であるとみなして、計数の不確かさuNcountをa/√3と定めてもよい。境界識別が不十分となる場合は、例えば、孤立した微粒子像が1個の微粒子の像なのか、あるいは、複数の微粒子の凝集体なのかを明瞭には判別できないような場合である。微粒子以外の夾雑物が試料に混入し顕微鏡ではその識別が困難であって、Nにある分布幅をもたせることが適切な場合には、分布幅に基づいて、計数の不確かさuNcountを定めてもよい。
微粒子数Nの測定の繰り返しによる不確かさも評価し得る。微粒子分散液をm回滴下し、それぞれに含まれる微粒子数Ni(i=1〜m)を測定し、それらの平均値(平均微粒子数)Navと標本標準偏差σNを求め、標本平均の標本標準偏差σN/√mを平均値の不確かさuNavとして求めてもよい。微粒子分散液の滴下回数mが例えば5以上であり、望ましくは10以上である。上記で算出されたuNavとuNcountの不確かさを合成し、その合成結果をNの標準不確かさとしてもよい。
Nの不確かさを小さくし、測定の精度を向上させるには、微粒子の材料、微粒子のサイズなどを適宜選択するのが望ましい。測定条件に従って顕微鏡法を選択してもよい。測定条件に従って微粒子分散液を事前調製してもよい。例えば、微粒子分散液を、複数の狭い粒径範囲に分級してもよい。分級後の各微粒子分散液を顕微鏡分析して、それぞれの粒径個数分布を得て、最後にそれらの結果を合成することにより、微粒子分散液の粒径個数分布を再現することができる。
分級に際しては、粒子における最も短い辺の寸法Sが1nm〜100μmの範囲にあり、かつ、寸法Sの中での最大値Smaxと最小値Sminの比Smax/Sminが0.001以上で10以下(望ましくは1.001以上で3以下)となるように、粒子径範囲を定めてもよい。分級により、大きな粒子の下に小さな粒子が潜り込んでしまい、数え落としが生じる可能性を低減できる。また、各微粒子の輪郭を明瞭に識別するために必要となる倍率を選択することが容易になる。
Vshotは、既に説明したように、Mtotal/k/ρで与えられる。この測定は、高精度で行うことができるため、これより求められるVshotの不確かさを過小評価してしまう可能性が高い。Vshotの不確かさを求めるため、液滴量のばらつきを評価する必要がある。
液滴量の不確かさは、次のように評価し得る。まず基材上にm個の液滴を順次滴下する。溶媒蒸発後に各液滴痕に含まれる微粒子の個数(微粒子数)Nを計数する。微粒子数Nの平均値の不確かさuNavを前述の手順で求める。微粒子分散液の個数濃度が十分に一定であるときは、液滴に含まれる微粒子の数Nは、液滴の体積Vshotに比例する。よって、Vshotの相対標準不確かさは、微粒子数Nの相対平均標準不確かさと等しくなり、uN/Navとして求め得る。
微粒子分散液の個数濃度が十分に一定であるときは、MshotはVshotに比例する。液滴質量Mshotの相対標準不確かさは、上記液滴体積の相対標準不確かさの導出の例と同様に、uN/Navにより求められる。
(2−6)前処理装置
図9には、実施形態に係る試料前処理装置10が示されている。この試料前処理装置10は、電子顕微鏡での試料の観察に先立って、試料に対して前処理を施すものである。前処理には、実施形態において、滴下処理及び凍結乾燥処理が含まれ、また、液滴についての物理量の測定が含まれる。
図9において、試料前処理装置10は、滴下装置12及び制御装置14を有する。滴下装置12は、基材に対して試料の液滴を付着させ、その後、その液滴を凍結乾燥処理する装置である。制御装置14は、滴下装置12の動作を制御し、また、滴下装置12で取得された画像を解析する装置である。制御装置14は、図示の構成例において、制御部45と、駆動回路46,47と、を有している。なお、図9には、試料前処理装置10における主要な構成のみが図示されており、細部の構成についてはその図示が省略されている。
滴下装置12は、ベース16上に設置された台座18を有する。台座18の中には冷却器19が設けられている。冷却器19は例えばペルチェ素子によって構成される。台座18上に基材保持器20が配置される。基材保持器20は、基材を保持するものである。その機能から見て、基材保持器20をホルダ又はリテーナと称してもよい。基材は、例えば、円形を有する小さなプレート(ディスク)である。基材保持器20の具体的構成については後に図10等を用いて説明する。基材の具体的構成については後に図13等を用いて説明する。なお、図9において、x方向が第1水平方向であり、z方向が垂直方向である。それらに直交するy方向が第2水平方向である(図9においてy方向は紙面貫通方向である)。
ベース16上には、搬送機構22が設けられている。搬送機構22は、ノズル32及び上方カメラ34を移動させるものであり、すなわち、ノズル32及び上方カメラ34の三次元位置を定めるものである。上方カメラ34は撮像器である。搬送機構22は、図示の例では、支柱24、水平アーム26、垂直アーム28、取り付け台30等を有する。搬送機構22として、多関節型ロボットが利用されてもよい。
基材上に試料を滴下する際には、ノズル32が基材保持器20に近接するところまで引き下ろされる。図9においては、基材保持器20の上面レベル(高さ)がh1で示されており、引き下ろされたノズル32aの下端(先端)レベルがh2で示されている。それらのレベル差がワーキングディスタンス(WD)であり、それは、例えば0.5〜3.0mmの範囲内に設定される。
ノズル32として、インクジェットタイプのノズルが利用される。その場合、ピエゾ方式、サーマル方式等のノズルが利用され得る。液滴を噴射する他のタイプの噴射器が利用されてもよい。1つの液滴の量は、例えば1fl〜1μlの範囲内にあり、より詳しくは、数十plである。z方向以外の方向に液滴を噴射する構成が採用されてもよい。
上方カメラ34は、後述する試射の際に基材保持器20に設けられた試射エリアを撮像し、また、実射後において基材保持器(具体的には実射後の液滴)を撮像するものである。上方カメラ34は、撮像時において、撮像対象の直上に位置決められる。
実施形態において、落下中の液滴をストロボ撮影するために、ストロボ照射器42及び側方カメラ40が設けられている。ストロボ照射器42が間欠的照射を行っている過程で側方カメラ40によって、静止画像が高速度で繰り返し取得され、あるいは、複数の液滴像を含む1つの静止画像が取得される。側方カメラ40の位置や姿勢を可変できるように構成するのが望ましい。ストロボ照射器42及び側方カメラ40を、基材保持器20から見て、同じ側に設けてもよい。
タンク38には、微粒子分散液である試料が収容されている。タンク38から、配管としてのチューブ39を介して、ノズル32へ試料が供給される。ノズル32の近傍にタンク38が設置されてもよい。
以上説明した各構成要素の動作が制御装置14により制御される。制御装置14における制御部45は、制御プログラムに従って機能しあるいは制御プログラムを実行するプロセッサ、制御デバイス、パーソナルコンピュータ等によって構成される。制御部45は複数の機能を有しており、図9においては、制御部45が有する代表的な幾つかの機能が複数のブロックにより表現されている。具体的には、制御部45は、解析部48、演算部49、及び、動作制御部50を有する。
解析部48は、試射時に取得された画像を解析するモジュールである。上方カメラからの信号が符号34Aで示されている。側方カメラからの信号が符号40Aで示されている。位置補正時においては、上方カメラ34により試射エリアが撮像され、これにより第1画像が取得される。解析部48は、その第1画像を解析する。これにより試射された液滴の到達位置(付着位置、着弾位置)が特定される。速度補正時においては、側方カメラ40により落下中の液滴が撮像され、これにより第2画像が取得される。解析部48は、その第2画像を解析する。これによりストロボ時間間隔での液滴の落下距離が特定される。
演算部49は、第1画像の解析結果に基づいて目標位置からの到達位置のずれ(誤差)を演算し、その誤差に基づいて位置補正データを生成する。位置補正データは、例えば、ノズル32の位置(実射時の液滴噴射位置)を補正するためのデータである。また、演算部49は、第2画像の解析結果に基づいて、ストロボ時間間隔及び落下距離から液滴の落下速度(噴射速度)を演算し、それに基づいて速度補正データを生成する。速度補正データは、例えば、ノズル32に与える駆動パルスの電圧やパルス幅等を補正するためのデータである。
動作制御部50は、クリーニング制御部、ウォームアップ制御部、試射制御部、実射制御部等として機能する。また、動作制御部50は、物理量の測定、滞留液の排出、等を制御する。動作制御部50は、駆動回路47を介して、ノズル32の動作を制御する(符号32Aを参照)。また、動作制御部50は、駆動回路46を介して、搬送機構22Aの動作を制御する。駆動回路46,47は、それぞれ、ドライバ又はデバイスコントローラとして機能するものである。動作制御部50は、上方カメラ34、側方カメラ40、ストロボ照射器42、冷却器19等の動作も制御する。なお、滴下装置12には、複数のセンサが配置されており、それらの検出信号が制御部45に入力されている。それらの検出信号に基づいて各要素の動作が制御されている。
図9に示した構成例では、台座18、基材保持器20の他、ノズル32、上方カメラ34等がハウジング15内に収容されている。図示に構成例において、ハウジング15の上部は、ノズル搬送に伴って自在に変形する柔軟な部材で構成される。ハウジング15の下部は、硬質の隔壁52により構成されている。
隔壁52の上部にはシャッタ51が設けられている。シャッタ51は、ゲート機構53を有する。ゲート機構53により、隔壁52が有する上部開口が開閉される。具体的には、試料室54とその上側の隣接室17との間にゲート機構53が設けられている。ゲート機構53が閉動作した場合、試料室54と隣接室17が仕切られ、ゲート機構53が開動作した場合、試料室54と隣接室17とが連通する。試料室54の内部には、乾燥ガスが送られており、そこには乾燥ガスが充満している。乾燥ガスは、乾燥エア、乾燥された不活性ガス(例えば窒素ガス)、等である。乾燥ガスにより、滴下後の液滴の乾燥が促進される。試料室54内からガスを排気するための排気ポンプ55が設けられている。
凍結乾燥処理に際しては、ノズル32を含む可動部分が隣接室17へ退避した状態において、シャッタ51が閉じられる。その状態で、試料室54内に乾燥ガスが送り込まれ、乾燥ガスの濃度が高められる。シャッタ51が開いている期間においても、試料室54内へ乾燥ガスを供給し続けるのが望ましい。符号56は乾燥ガスを試料室54へ送り込む配管を示している。
凍結乾燥処理において、基材上の液滴の状態の変化を動画像として観察するために、側方カメラ40が利用され得る。その場合、側方カメラ40の高さを引き上げ、斜め上方から基材を撮像できるようにしてもよい。あるいは、凍結乾燥処理で利用する専用カメラを配置するようにしてもよい。カメラの視野を確保するため隔壁52に透明板からなる窓55が設けられる。あるいは、隔壁52それ自体を透明板によって構成してもよい。
なお、滴下装置に複数のノズルを設けてもよい。その場合、ノズル単位で補正及び物理量測定を行うのが望ましい。複数のノズルを利用して複数の基材に対して同時に実射が行われてもよい。
図示の構成例では、隔壁52の天井壁上に排液容器57及び質量計59が設けられている。ノズル32及びチューブ39の内部に存在する滞留液を排出してその内部を新しい試料で満たす際には、ノズル32が排液容器57の上方に位置決められ、その状態で、ノズル32の先端から滞留液が排出される。滞留液は排液容器57内に収容される。排液容器57内の液体を吸引、排出する設備を付加してもよい。実際には、ノズル32及びチューブ39の内溶液の例えば3倍以上の量をもった試料が排出される。
質量計59は質量測定器であり、それは受け皿としての容器58を備えている。液滴についての質量を測定する際には、容器58の上方にノズル32が位置決められ、その状態で所定個の液滴が容器58内に滴下される。質量計59により、所定個の液滴の総質量が測定される。試料室54から仕切られた隣接室17内に容器58が配置されているので、容器58内に収容された液体の蒸発が抑制される。同様に、隣接室17内に排液容器57が設けられているので、排液の蒸発を抑制できる。
質量計59と容器58とを別体化してもよい。すなわち、容器58のみを隣接室17内に配置し、容器58に対する所定個の液滴の噴射後に、容器58を取り外して、質量計59にセットしてもよい。その場合、質量計59を隔壁52の外部であってその近傍に配置してもよい。質量計59として、電子天秤等の重量計が設けられてもよい。所定個の液滴の体積を測定する測定器が設けられてもよい。試料の密度が既知の場合、重量及び密度から体積を算出し得る。上記の支柱24として回転式支柱を採用すればノズル32を旋回させ得る。その構成を前提として、ノズル32の運動空間内における別の場所に質量計59を設けてもよい。
容器58は必要に応じて洗浄される。洗浄作業を手作業で行ってもよいし、それを自動化してもよい。なお、容器58を試料室54内に配置することも考えられる。その場合、液滴の蒸発を抑制する対策を施すことが望まれる。
実施形態において、前処理の対象となる試料は、多数の微粒子を含有した試料である。個々の微粒子のサイズ(粒径)は、例えば、1nmから100μmの範囲内にある。複数のサイズをもった複数種類の微粒子を含有する試料が前処理の対象となってもよい。
前処理後において、基材保持器20から基材が取り出されて、その基材が電子顕微鏡の試料室内にセットされ、あるいは、基材を保持したままの基材保持器が電子顕微鏡の試料室内にセットされる。その後、個々の液滴痕内の微粒子集団が観察される。
実施形態に係る試料前処理装置10は、試料の実射の前に試料の試射を行い、その試射の結果に基づいて噴射条件の補正(位置補正及び速度補正)を行う機能を有する。このために試射エリアを有する基材保持器20が利用され、また、制御部45は試射制御及び条件補正を行う機能を備えている。以下において、それらについて順次詳述する。
(2−7)基材保持器
図10には、実施形態に係る基材保持器20が例示されている。基材保持器20は、基材保持器本体60及びカバー61により構成される。図10には、x方向及びy方向が示されているが、それらは図9におけるx方向及びy方向に必ずしも一致しない。
基材保持器本体60は、良好な熱伝導性を有する金属により構成され、例えば、銅により構成される。基材保持器本体60は、例えば、x方向に10〜30mm、y方向に10〜30mm、z方向に数mm〜1cmのサイズをもった金属ブロックである。
基材保持器本体60には、3つの収容部62,64,66が形成されている。各収容部62,64,66は、円形で浅い凹部であり、各凹部内に基材が収容される。各基材は液滴の担体として機能し、具体的には、後に示すように小さな円形の基板である。基材保持器20において、1つ又は2つの収容部が設けられてもよいし、4つ以上の収容部が設けられてもよい。
基材保持器本体60は、比較的に大きな窪みとしての槽68を有する。槽68は、各凹部よりもかなり深くしかもかなり大きな広がりをもって構成されており、槽68を試料受けとして利用しつつ、ノズルのクリーニング、ウォームアップ等を行い得る。槽68を排液容器として機能させてもよい。
クリーニングは、例えば、試料交換後又はシステム起動後に実施され、ノズル内の通路を比較的に多量の試料によって洗い流すものである。ノズルから流出した試料が槽68に入れられる。実施形態においては、クリーニング後において、槽68内の試料は、凍結乾燥処理される。凍結乾燥処理によることなく、槽68から外部へ試料を排出するようにしてもよい。
ウォームアップは、例えば、試射及び実射の前に、試料状態及び液滴軌道を安定化させるために、行われる。その際には、例えば、数十回の液滴噴射(連射)が実施される。それらの液滴も槽68に入れられる。後に詳述するように、槽68を利用して試射が行われてもよい。実施形態においては、ウォームアップ後において、基材保持器本体60に滴下された試料が凍結乾燥処理される。
カバー61は、基材保持器本体60と同じく、良好な熱伝導性を有する金属により構成され、例えば、銅により構成される。それは薄板により構成されており、例えば、その厚みは数百μm〜数mmの範囲内である。カバー61を薄く構成すれば、基材保持器本体60にノズルを近接させることが容易となる。基材保持器本体60に対して回転軸69を介してカバー61が開閉自在に設けられている。その閉状態において、カバー61に設けられたフック90が基材保持器本体60の端部に係合する。フック90はレバー90aを有している。
カバー61は、図示の構成例において、3つの押さえ構造を有する。具体的には、3つの押さえ片74,76,78を有する。3つの押さえ片74,76,78は、3つの収容部62、64,66に配置された3つの基材を上方から押さえ込んで、それらの飛び出しや位置変化を防止するものである。もっとも、3つの収容部62、64,66の内の一部の収容部にしか基材がセットされない場合、3つの押さえ片74,76,78の内で、セットされた基材に対応する一部の押さえ片だけが機能する。
各押さえ片74,76,78は、基材の周縁部を上方から押さえるリング82と、リング82に連なるアーム84と、を有する。アーム84は、片持ち方式でカバー本体70に取り付けられた板バネである。具体的には、アーム84の一端がカバー本体70に連なっており、アーム84の他端がリング82に連なっている。押さえ片74,76,78の周囲には隙間88が形成されており、押さえ片74,76,78は、その自然状態において、収容部62、64,66側へやや傾斜している。押さえ片74,76,78が基材を押さえ込んだ状態では、弾性付勢力が基材に及ぶ。リング82には円形の開口86が形成されている。その開口86を通じて、基材が露出し、その開口86を通じて実射が行われる。開口86は実射エリアを画定する。
カバー61は、その閉状態において、槽68を露出させる開口80を有する。開口80は、矩形状の形態を有している。クリーニング、ウォーミングアップ等において支障ない限り、槽68の一部分だけを露出させるように開口80を形成してもよい。後述するように、基材保持器本体60における上面に試射エリアを定める場合、その試射エリアが露出するように、カバー61に開口が設けられる。開口として切欠きが設けられてもよい。
基材保持器本体60の上面がカバー61によって覆われているので、換言すれば、基材保持器本体60とカバー61との間に基材が挟み込まれているので、基材の動きを規制でき、また、基材を効率的に冷却することが可能である。特に、基材上面の周縁部がリング82に密着するので、基材の下面のみならず上面に対しても直接的な冷却を行える。なお、押さえ片の形態として、上記に示したもの以外を採用してもよい。例えば、押さえ片として、基材上面の周縁部における複数の箇所を押さえる複数の小片を採用してもよい。他の作用(例えば磁気作用)を利用して基材を押さえ込んでもよい。
図11には、基材保持器本体60が示されている。図11においては、カバーの図示が省略されている。x方向を左右方向とし、y方向を前後方向とした場合、収容部62は基材保持器本体60の右後の位置に形成されている。収容部62は凹部92によって構成されている。収容部64は、収容部64の手前側の位置に形成されており、それは凹部98によって構成されている。収容部66は、基材保持器本体60における左奥の位置又は左右方向中央付近で奥側の位置に形成されており、それは凹部104によって構成されている。各凹部92,98,104の直径は基材の直径に対応しており、その深さは基材の厚みに相当している。基材の直径は、例えば1mmから1cmの範囲内であり、望ましくは3mmである。
各凹部92,98,104に連なる窪み94,100,106は押さえ片のアームを収容するものである。凹部92に連なる溝96は基材をピンセットで摘む際にピンセットの先端が差し込まれる空間である。溝102,108も同様の機能を有する。槽68は、基材保持器本体60における左手前の位置に形成された窪みである。
図12には、滴下装置の台座18に対して基材保持器20をセットした状態が例示されている。図示の例では、3つの凹部(収容部)に3つの基材120,122,124が収容されている。基材保持器20が有するカバーについては図示省略されている。
台座18の上面が載置面18Aを構成しており、その載置面18A上に基材保持器20が配置される。載置面18A上には、図示の例では、フレーム110が設けられており、フレーム110の内部空間に基材保持器20が落とし込まれ、これにより基材保持器20が位置決められる。
フレーム110は、例えば、2つのクリップ114,116を有しており、それらのクリップ114,116によって基材保持器20の一端部が押さえ込まれる。図12に示した配置は例示であってこれ以外の構成を採用してもよい。図12に示したセット状態において、例えば、3つの収容部及び槽の右上部分をカバーする矩形範囲が、ノズル可動範囲である。もちろん、槽の全体又は基材保持器の全体がノズル可動範囲に含まれてもよい。
図13には、基材120の断面が例示されている。基材120は、積層構造を有し、具体的には、グリッド130、支持層132及び表層134からなる積層体である。グリッド130は、格子状のパターンを有し、それは例えば銅などの金属により構成される。グリッド130はメッシュとも称される。図14はグリッド130の平面図(基材裏面に相当する)である。複数の空隙136によって二次元の空隙パターン146が構成されている。なお、リング82による基材上面の押圧状態において、リング82が有する開口が実射エリア147を画定する。
図13に戻って、支持層132は、高分子膜等によって構成される。表層134はカーボン蒸着層等として構成される。電子顕微鏡での観察時において表層134が帯電防止層として機能する。基材120は、液滴の担体として機能し、図示された基材以外にも多様な基材が存在する。
符号138は、空隙136に対応した有効エリアを示しており、その有効エリア138内に液滴が付着するように、液滴の噴射が制御される(符号144参照)。有効エリア138内に複数の液滴を付着させてもよい。符号140はグリッド130の実質部に対応した無効エリアを示している。
図15には、試料前処理装置における試料室150の一部が示されている。試料台152上に、前処理を経た基材保持器154が固定されている。一定条件が満たされれば、基材を保持した基材保持器154を、電子顕微鏡の試料室内にそのままセットすることが可能である。
図16には、幾つかの試射位置候補が示されている。試射は位置補正を行う場合に実施され、また、速度補正を行う場合に実施される。それ以外の目的から試射が実施されてもよい。
基材保持器20は、既に説明したように、基材保持器本体60とカバー61とにより構成される。図16においてはカバー61が二点鎖線で表現されている。基材保持器本体60は、3つの収容部をなす3つの凹部92,98,104を有し、図16に示す例では、凹部92だけに基材120が配置されている。基材120の上面が実射エリアである(より厳密には、上記リングを除いた部分が実射エリアである)。図16に示す例では、凹部98,104の内部エリアは実射エリアを構成していない。
上記態様において、例えば、槽68の底面68Aの全部又は一部を試射エリアとして利用し得る。例えば、符号160で示す位置が第1試射位置候補となり得る。試射が複数の位置で又は面状に広がる範囲にわたって行われてもよいが、ここでは、説明の都合上、特定の位置で試射が行われるものとする。
槽68内に部材を配置し、又は、その一部を嵩上げし、これにより、槽68の内部であって底面68Aよりも高い面162を試射エリアとして利用してもよい。例えば、符号164で示す位置が第2試射位置候補となり得る。不使用の凹部104の内部(底面)を試射エリアとして利用してもよい。例えば、符号166で示す位置が第3試射位置候補となり得る。不使用の凹部98内にダミー基材を配置し、その上面エリアを試射エリアとして利用してもよい。例えば、符号170で示す位置が第4試射位置候補となり得る。その場合、ダミー基材として正規の基材を利用してもよい。
また、基材保持器本体60の上面60Aの一部を試射エリア174として利用してもよい。例えば、符号172で示す位置が第4試射位置候補となり得る。その場合、カバーに対して、試射エリア174を露出させる開口を形成する必要がある。実射エリアに隣接したところに試射エリアを設けるのが望ましい。例えば、実射エリアと試射エリアとの間の隙間の長さが基材の半径以内となるように、試射エリアを設けてもよい。
上記構成によれば、実射条件に試射条件を近付けることが可能となり、位置補正をより正確に行える。複数の実射エリアが定められる場合、個々の実射エリアごとにそれに隣接した位置に試射エリアを定めてもよい。実射が行われる面レベルに対して試射が行われる面レベルを近接させ、望ましくは、それらを一致させるのが望ましい。これに関して、以下に説明する。
図17には、基材保持器本体60の断面が示されている。基材保持器本体60の底面のレベルがh0で示されている。槽の底面68Aのレベルがh3で示されている。槽に配置された部材の表面162Aのレベルがh4で示されている。凹部の底面104Aのレベルがh5で示されている。凹部に配置されたダミー基材の表面168Aのレベルがh1である。そのレベルh1は基材保持器本体60の表面のレベルh1と等しい。符号160Aは第1試射位置候補を示しており、符号164Aは第2試射位置候補を示しており、符号166Aは第3試射位置候補を示しており、符号170Aは第4試射位置候補を示しており、符号172Aは第5試射位置候補を示している。
第1試射位置候補160Aを採用した場合、試射位置が実射エリアから離れてしまう可能性が高まるが、試射後の試料をクリーニング後又はウォームアップ後の試料と一緒に取り扱える利点を得られる。第2試射位置候補164Aを採用した場合、第1試射位置候補160Aに比べて、試射位置のレベルを実照射エリアのレベルに近付けられる。第3試射位置候補166Aを採用した場合、実射エリアに対して試射位置を水平方向且つ垂直方向に近付けられる。また、カバーに対して追加的に開口を形成する必要がないという利点を得られる。
第4試射位置候補170Aは理想的なものであり、それを採用した場合、試射位置のレベルを実射エリアのレベルに一致させることが可能であり、かつ容易である。第3試射位置候補166Aと同様に、カバーに対して追加的に開口を形成する必要がないという利点も得られる。ダミー基材として実際の基材を利用すれば、試射後の液滴状態を実射前に確認できるという利点も得られる。第5試射位置候補172Aを採用した場合、カバーに対して追加的に開口を形成する必要があるものの、試射位置のレベルを実射エリアのレベルを近接させることが容易となり、しかも実射エリアごとに試射エリアを設けることが容易となる。また、その場合、例えば、3つの凹部に実射対象となる3つの基材が配置されている場合でも、試射を行える。
目的や状況に応じて試射エリア又は試射位置を選択するのが望ましい。試射エリアに対しては撮像時において液滴位置を明確化するための疎水加工を施してもよい。試射後において、試射後の液滴が凍結乾燥処理されため、試射された液滴の飛散等の問題は生じない。なお、槽に連なる排出路を設けてもよい。
図18には、他の基材保持器本体176が示されている。図示の例では、基材保持器本体176が1つの凹部178を有し、そこには基材180が配置されている。凹部178に隣接して試射エリア182が設けられている。試射エリア182は基材保持器本体176の上面176Aの一部であり、そこには格子状の水平スケールが描かれている。水平スケールを構成する各線は、塗料により構成され又は形状(溝又は突条)として構成される。できるだけ液滴に影響を与えないように水平スケールを形成するのが望ましい。
このような構成によれば、試射後に取得される画像において、液滴が到達して付着した位置をスケールから容易に読み取れる。また、試射エリア182が実射エリアに隣接しているため、試射時の動作条件を実射時の動作条件に近付けることが可能となる。符号184で示すように、槽181の底面上に水平スケールを形成し、その部分を試射エリアとして機能させてもよい。
図19には、速度補正時に利用される構成が示されている。基材保持器本体186には槽188が形成されている。また、基材保持器本体186にはスケール柱190が設けられている。スケール柱190はその使用時において垂直姿勢とされる。その不使用時にはスケール柱190が横倒し姿勢とされる(符号195参照)。それに代えて、スケール柱190が取り外されてもよい。スケール柱190は、そこに形成された垂直スケールが側方カメラの方に向くように設けられる。
符号194は側方カメラによる撮像エリアを例示している。撮像エリア194内には、試射時の液滴192の軌道が含まれ、その軌道は側方カメラから見てスケール柱190の幅内にある。ストロボ照射中において落下途中の液滴が撮像される。ストロボ照射間隔に対応する液滴の落下距離から落下速度が演算される。ノズルの直近での落下速度は噴射速度に相当する。落下速度に基づいて液滴噴射時のノズル動作条件等が補正される。
速度補正のための試射において、ノズルの高さを実射時のノズルの高さと同じにするのが望ましいが、ワーキングディスタンスが小さすぎて、落下距離の計測に支障が生じる場合には、より高いレベルにノズルを配置して試射を行わせるのが望ましい。
なお、図19に示す構成ではスケール柱190が基材保持器本体186に取り付けられていたが、スケール柱190が他の部材に取り付けられてもよい。あるいは、垂直スケールが設けられた背景板を滴下装置に設置するようにしてもよい。速度補正時において、垂直スケールの代わりに、撮像器の光学系に含まれるマイクロメーター等のスケールを使用することもできる。画像における画素数から距離を演算してもよい。動作制御部におけるノズルの高さ情報が使用されてもよい。
図20には、変形例が示されている。この変形例では、槽188における側方カメラ側の壁が除去されており、側方カメラから見て槽188の内部が観察可能となっている。基材保持器本体186にスケール柱196が設けられ、槽188の内面(側方カメラに対向する面)にもスケール198が設けられている。スケール柱196上のスケールと内面上のスケール198がそれら全体として垂直スケールを構成している。符号200で示すように側方カメラの撮像エリアが槽188の内部にまで及んでいる。つまり、液滴を撮像可能な範囲が上下方向に広げられている。これにより、ノズルを基材保持器本体186に近接させた状態で実射を行うことを前提とした場合、試射においてノズルを上方へ引き上げることなく落下距離を計測できる。換言すれば、試射の際のノズル高さを実射の際のノズル高さに合わせることが可能となる。
(2−8)位置及び速度の補正
図21を用いて位置補正データの演算方法について説明する。試射エリア202において、例えば、その中心位置が目標位置206である。試射前に撮影された画像(試射前画像)と試射後に撮影された画像(試射後画像)の比較により、試射による液滴の付着位置(到達位置、着弾位置)204が特定される。付着位置204から目標位置206へのベクトルが位置補正量となり、それは位置補正データの実体をなす。位置補正量は、例えば、x方向及びy方向ごとに求められ、例えば、位置補正量は、x方向においてΔxであり、y方向においてΔyである。位置補正量を考慮してノズル位置等が補正された上で、実射が実行される。
実際には、位置補正量を考慮した動作条件で再び試射を行って誤差が一定値以内であることが確認された上で、実射が実行される。試射後画像だけから液滴の付着位置を特定できる場合には、試射前画像の取得は不要となる。試射エリアに水平スケールが設けられていれば、それを基準として位置補正量を求めることが可能となる。その場合、画像の拡大率等の誤差の影響を受けずに、位置補正量を正確に求められる。視覚的に位置補正量を特定したい場合にも、試射エリアに水平スケールを設けるのが望ましい。照射前画像と照射後画像とのマッチングのために水平スケールが利用されてもよい。
位置補正に際して、水平スケールの代わりに、撮像器の光学系に含まれるマイクロメーター等のスケールを使用することもできる。画像における画素数から距離を演算してもよい。動作制御部におけるノズルの位置情報が使用されてもよい。
図22を用いて速度補正データの演算方法について説明する。側方カメラの撮像エリア208内には、液滴の落下軌道が含まれる。図示の例では、ストロボ照射により、複数の液滴像が1つの画像内に含まれている。第1の液滴像210と第2の液滴像212が特定され、それらの間の距離Δzが演算される。その距離Δをストロボ照射間隔Δtで割ることにより、落下速度(噴射速度)が演算される。それを規定の落下速度(噴射速度)と比較することにより、速度補正量が求まる。それが速度補正データの実体をなす。
実際には、速度補正データは、ノズルへ供給するパルスの幅、波高値、その他からなるものである。速度補正データに基づいて噴射条件が補正された上で、実射が実行される。実際には、速度補正後の落下速度の誤差が一定値以内であることが確認された上で、実射が実行される。
一般に、速度補正を行った後に、位置補正を行うのが望ましい。液滴軌道が落下速度に依存する傾向が認められるためである。実射の都度、その直前に補正(速度補正及び位置補正)を行えば、実射時の付着位置の精度を高められる。その場合に、位置補正及び速度補正の内のいずれか一方のみを行うようにしてもよい。位置ずれがないことを確認するための試射を行うようにしてもよい。例えば、1回の実射単位、n(n>1)回の実射単位、基材単位、前処理単位、試料単位等の様々な単位で補正を実行し得る。
(2−9)試料前処理装置の動作
図23には、試料前処理方法が流れ図として示されている。そこには試料前処理装置の動作の内容も含まれる。
S110では、基材保持器に対して所定個の基材がセットされる。ここでは、1個の基材が基材保持器における所定の収容部にセットされるものとする。S112では、基材保持器が台座上に配置される。この配置に先立って、また、その配置後に冷却状態が形成される。また、基材保持器の周囲に乾燥ガス雰囲気状態が形成される。
S114では、必要に応じて、ノズルのクリーニングが実施される。クリーニング時においてはノズルが基材保持器における槽の直上であって基材保持器に近接した高さに位置決められる。その状態で、ノズルから試料又は洗浄液を吐出させることにより、ノズル内の流路がクリーニングされる。
また、S114では、ノズルのウォームアップが実施される。例えば、槽の直上であって基材保持器に近接した高さにノズルが位置決められている状態において、例えば、数十回にわたって液滴の噴射が繰り返される。この連射により、試料の状態が安定化し、あるいは、噴射された液滴の軌道が安定化する。そのような安定化の後に以下のように速度補正及び位置補正が順次実施される。
S110の前、S110とS112との間、S112からS116までの間の任意のタイミング、及び、S124の後、において、必要に応じて、ノズルのクリーニングが実施され得る。また、S118からS120までの間の任意のタイミングにおいて、必要に応じて、ノズルのウォームアップが実施され得る。
S116では、試射エリアの中心位置の直上であって、基材保持器に近接した高さにノズル位置が定められる。そのレベルは落下距離を計測可能なレベルである。落下距離を計測可能な限りにおいて、そのレベルを実射時のノズルのレベルに合わせるのが望ましい。使用する試射エリアが、幾つかの候補エリアの中から選択され得る。例えば、槽の底面の一部が試射エリアとして利用されてもよい。その場合、後の位置補正用の試射で利用する試射エリアと同じ試射エリアが利用されるのが望ましい。
試射の際に落下する液滴が撮像され、それにより得られた画像の解析により、ストロボ時間間隔での落下距離が求まる。その落下距離から落下速度が演算され、その落下速度と規定速度とを比較することにより、速度補正量が求まる。その速度補正量に基づいて、後の実射の際のノズル動作条件が補正される。
S118では、試射エリアの中心位置の直上であって、基材保持器に近接した高さにノズル位置が定められる。その高さは実射時のノズルの高さと同じである。S116の試射時におけるノズル位置とS118の試射時におけるノズル位置とを一致させれば、それらの工程間でのノズル移動を省略できる。使用する試射エリアは、速度補正時に使用した試射エリアと同じエリアであるのが望ましいが、それとは異なるエリアであってもよい。例えば、不使用の凹部に配置されたダミー基材の上面が試射エリアとして利用されてもよい。
試射前後において試射エリアが撮像され、それにより取得された2つの画像を比較することにより液滴の到達位置が特定される。目標位置からの到達位置のずれから位置補正量が定まる。その位置補正量に基づいて実射時の噴射位置が補正される。試射目標は試射エリアの中心であってもよいし、それ以外の任意の位置であってもよい。S118の工程の具体的内容については後に図24を用いて説明する。
S120では、基材に対する実射が実行される。その場合、基材上における目標位置の直上であって基材保持器に近接した位置にノズルが位置決められ、その後に液滴の噴射が実行される。ノズル先端と基材保持器上面との間の距離、つまりワーキングディスタンスは事前に設定される。通常、ノズルを移動させながら、基材上の複数の箇所に対して複数の液滴が順次噴射される。
実射の前後において、液滴についての物理量が測定される。その物理量は、個数濃度の演算において利用される。
S122では、実射後の液滴状態が画像として観察される。その場合、上方カメラが利用されてもよいし、それとは別のカメラが利用されてもよい。画像として、動画像、ストロボ撮影画像、その他の画像があげられる。液滴配列や凍結乾燥処理の完了が確認された上で、S124において、台座上から基材保持器が取り外される。これにより前処理が完了する。
図24には、図23に示したS118の具体的内容が流れ図として示されている。S130では、位置補正の要否が判断される。位置補正不要であり、つまり過去の動作条件をそのまま利用可能な場合にはS148が実行される。
位置補正が必要な場合、S132において、上方カメラの位置が試射エリアの直上の所定高さに定められ、その状態において試射エリアが撮像される。これにより試射前画像が取得される。S134では、試射エリアの直上であって、上記ワーキングディスタンスに従う高さにノズルの位置が定められる。S136では、液滴の試射が実行される。位置補正開始後の最初の試射の際には、目標位置の直上にノズルの位置が定められる。2回目以降の試射においては、補正された試射位置にノズルの位置が定められる。S138では、上方カメラにより試射後画像が取得される。その場合、必要に応じて、上方カメラの位置が試射エリアの直上に定められる。
S142では、試射前画像と試射後画像とが比較され、つまり差分画像が演算され、これにより液滴像が抽出される。その中心位置が到達位置として特定される。目標位置から到達位置を引くことにより、位置誤差が演算される。位置誤差が所定量以上であれば、S144が実行される。S144では、位置誤差が解消されるように、位置補正データが演算される。S146では、その位置補正データに基づいて動作条件(試射位置)が補正される。その後、S142において誤差なしと判断されるまで、S134以降の各工程が繰り返し実行される。S142において誤差なしと判断された場合、S149において、現在の動作条件が登録される。つまり、位置補正量が登録される。その後の実射に際しては、目標位置に対して位置補正量が加えられ、これにより実射位置が特定される。位置補正に際して、ノズル位置補正に加えて、又は、それに代えて、噴射条件(駆動パルスの電圧、パルス幅等)が補正されてもよい。
位置補正後に実射を行うならば、実射に際して、狙った位置に液滴を付着させることが可能である。上記実施形態においては、位置補正に先立って速度補正がなされており、より高精度な補正を行える。また、試射及び実射に先立って、ノズルのクリーニングやウォームアップが実施されているので、試射及び実射の前提として、安定したノズル状態を形成することが可能である。基材保持器には試射エリアが定められているので、それを利用して試射を行える。また、基材保持器には槽が形成されており、それを利用してノズルのクリーニングやウォーミングアップを行える。
(2−10)蒸発対策
物理量の測定時に、容器に対して所定個の液滴を連続的に滴下する際に、個々の液滴ごとに滴下後の時間経過に伴う蒸発により減少する質量(液滴ごとの蒸発減少量)が無視し得ない場合、個々の液滴ごとに蒸発減少量を推定してそれを補う補正を適用すればよい。その場合には、滴下時からの経過時間に応じた蒸発減少量を示すグラフを作成し、そのグラフに基づいて液滴ごとの蒸発減少量を特定してもよい。それに関して以下に具体的に説明する。
図25には、実験結果が示されている。横軸は時間軸であり、縦軸は質量軸である。t0は液滴噴射開始タイミングを示しており、t1は液滴噴射終了タイミングを示している。期間taが所定個の液滴を連続的に噴射している期間である。所定個は例えば75000個である。期間taは例えば150秒である。期間tbが期間taに続く期間である。期間ta及び期間tbにおいて、容器内の試料が蒸発する。質量グラフ290は、容器内の試料の質量の変化を示すものである。期間ta内におけるグラフ部分292は単調増加関数に相当し、期間tb内におけるグラフ部分294は単調減少関数に相当する。期間tbとして例えば300〜500秒の中から観測期間が指定されてもよい。
液滴噴射終了タイミングでの容器内の試料の質量m1には蒸発の影響が及んでいる。蒸発減少分を補填するため、グラフ部分294が外挿される。外挿線296に基づいて、蒸発がなかったとした場合に液滴噴射終了タイミングt1において測定されるであろう質量m2が推定される。換言すれば、蒸発減少量Δm(=m1−m2)が推定される。液滴噴射終了タイミングで測定された実測総質量mに対して蒸発減少量Δmを加えることにより、蒸発分が補填された補正後の総質量が求められる。補正後の総質量を液滴数で割ることにより、蒸発による影響が除外された、液滴1個当たりの平均質量が求められる。
上記のグラフを事前に用意しておいてもよいし、実際に試料を測定している過程で上記のグラフを作成してもよい。いずれにしても蒸発減少量を特定し、それを考慮して物理量を補正することにより、個数濃度の演算精度を高められる。
10 試料前処理装置、12 滴下装置、14 制御装置、18 台座、20 基材保持器、22 搬送機構、32 ノズル、52 解析部、54 演算部、56 動作制御部、60 基材保持器本体、61 カバー、58 容器、59 質量計、232 電子顕微鏡、234 情報処理装置、236 個数濃度分布。

Claims (14)

  1. ノズルから基材に対して液滴を噴射する噴射工程と、
    前記基材上に付着した液滴の処理により前記基材上に液滴痕を生じさせる処理工程と、
    前記ノズルから噴射される液滴についての質量又は体積を物理量として測定する測定工程と、
    前記液滴痕の観察により画像を取得する観察工程と、
    前記画像に含まれる液滴痕像に属する微粒子像の個数を微粒子数として計数する計数工程と、
    前記微粒子数及び前記物理量に基づいて個数濃度を演算する演算工程と、
    を含むことを特徴とする微粒子測定方法。
  2. 請求項1記載の微粒子測定方法において、
    前記計数工程では、微粒子サイズごとに前記微粒子数が計数され、
    前記演算工程では、前記微粒子サイズごとに前記個数濃度が演算され、
    複数の微粒子サイズに対応する複数の個数濃度により個数濃度分布が作成される、
    ことを特徴とする微粒子測定方法。
  3. 請求項1記載の微粒子測定方法において、
    前記測定工程は、
    容器に対して前記ノズルから複数の液滴を噴射させる工程と、
    前記容器に収容された複数の液滴についての総物理量を測定する工程と、
    前記容器に対して噴射した液滴の個数で前記総物理量を割ることにより前記物理量を求める工程と、
    を含むことを特徴とする微粒子測定方法。
  4. 請求項3記載の微粒子測定方法において、
    前記容器に対する複数の液滴の噴射は、前記基材に対する液滴の噴射の前、前記基材に対する液滴の噴射の後、又は、前記基材に対する液滴の噴射の前後両方、において実行される、
    ことを特徴とする微粒子測定方法。
  5. 請求項3記載の微粒子測定方法において、
    前記液滴の処理には凍結及び乾燥が含まれ、
    前記基材は前記凍結及び乾燥が実施される第1空間内に設けられ、
    前記容器は前記第1空間とは異なる第2空間内に設けられている、
    ことを特徴とする微粒子測定方法。
  6. 請求項3記載の微粒子測定方法において、
    更に、前記基材に対する液滴の噴射及び前記容器に対する液滴の噴射よりも前に、前記ノズル内の滞留液及び前記ノズルに連なる配管内の滞留液を前記ノズルの先端から排出させる排出工程を含む、
    ことを特徴とする微粒子測定方法。
  7. 請求項3記載の微粒子測定方法において、
    前記総物理量として、蒸発分が補填された補正後の総物理量が求められる、
    ことを特徴とする微粒子測定方法。
  8. 基材に対して試料としての液滴を噴射するノズルと、前記ノズルから噴射される液滴についての質量又は体積を物理量として測定する測定器と、を備え、前記基材上に付着した液滴の処理により前記基材上に液滴痕を生じさせる試料前処理装置と、
    前記液滴痕の観察により画像を取得する観察装置と、
    前記画像に含まれる液滴痕像に属する微粒子像の個数を微粒子数として計数し、前記微粒子数及び前記物理量に基づいて個数濃度を演算する情報処理装置と、
    を含むことを特徴とする微粒子測定システム。
  9. 液滴を噴射するノズルと、
    前記液滴が付着する基材を保持する基材保持器と、
    前記基材上に付着した液滴を凍結及び乾燥させて前記基材上に液滴痕を生じさせる設備と、
    前記ノズルから噴射される液滴についての質量又は体積を物理量として測定する測定器と、
    を含み、
    前記液滴痕は前記液滴に含まれる微粒子の個数を計数するための顕微鏡観察用試料であり、
    前記物理量は前記微粒子の個数から個数濃度を演算するためのものである、
    ことを特徴とする試料前処理装置。
  10. 請求項9記載の試料前処理装置において、
    前記測定器は、容器内の液体の質量を測定する質量計であり、
    前記ノズルは、前記物理量の測定時に前記容器に対して複数の液滴を噴射する、
    ことを特徴とする試料前処理装置。
  11. 請求項9記載の試料前処理装置において、
    前記基材への前記液滴の噴射に先立って、前記ノズル内の滞留液及び前記ノズルに連なる配管内の滞留液を前記ノズルの先端から排出させる制御部を含み、
    前記ノズルの先端から排出した排出液を収容する排出液容器が設けられた、
    ことを特徴とする試料前処理装置。
  12. 請求項9記載の試料前処理装置において、
    前記液滴の噴射を制御する制御部を含み、
    前記制御部は、
    位置補正データを得るために前記ノズルによる試料の試射を制御する試射制御部と、
    前記位置補正データに従って前記ノズルによる試料の実射を制御する実射制御部と、
    を含む、
    ことを特徴とする試料前処理装置。
  13. 請求項12記載の試料前処理装置において、
    前記試射後に試射エリアを撮像して試射後画像を取得する撮像器と、
    前記試射後画像の解析により前記試射後の液滴の到達位置を特定する解析部と、
    前記液滴の到達位置に基づいて前記位置補正データを演算する演算部と、
    を含むことを特徴とする試料前処理装置。
  14. 請求項12記載の試料前処理装置において、
    前記試射の際に落下中の液滴を撮像して液滴画像を取得する撮像器と、
    前記液滴画像を解析する解析部と、
    前記液滴画像の解析の結果に基づく前記液滴の速度から速度補正データを演算する演算部と、
    を含み、
    前記実射制御部は、前記速度補正データに従って前記ノズルによる試料の実射を制御する、
    ことを特徴とする試料前処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023135888A1 (ja) * 2022-01-14 2023-07-20 株式会社島津製作所 分注器の吐出量測定方法

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