JP2021165363A - 付加硬化型シリコーン組成物、シリコーン硬化物、及び、光学素子 - Google Patents

付加硬化型シリコーン組成物、シリコーン硬化物、及び、光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱衝撃性及び耐硫化性に優れる硬化物を与える付加硬化型シリコーン樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】(A)シルフェニレン構造を骨格中に有する分岐状オルガノポリシロキサンレジン(B)フェニル基を持つ直鎖状オルガノポリシロキサン、(C)1分子中に少なくとも2個以上のケイ素原子結合水素原子を有する化合物:前記(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対して前記(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の数が、0.1〜5.0個となる量、及び、(D)白金族金属を含むヒドロシリル化触媒、を含むものであることを特徴とする付加硬化型シリコーン組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、付加硬化型シリコーン組成物、そのシリコーン硬化物、及び該シリコーン硬化物で封止された光学素子に関する。
光半導体素子として発光ダイオード(LED)を有するデバイスは、一般的に、基板に実装されたLEDを透明な樹脂からなる封止材料で封止した構成である。この封止材料としては、従来からエポキシ樹脂が使用されていたが、近年の半導体パッケージの小型化や、LEDの高輝度化に伴う発熱量の増大や光の短波長化によって、樹脂にクラッキングや黄変が発生し、信頼性の低下を招いていた。
そこで、耐熱性・耐熱変色性の観点から、封止材料としてシリコーン樹脂組成物が着目され、また、付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物は加熱により短時間で硬化可能であるため生産性が高く、LEDの封止材料として使用されている(特許文献1)。
LEDの封止材料には高い屈折率と耐硫化性が求められ、このような用途に対して、主骨格にフェニルシロキサンを有するシリコーン樹脂組成物(特許文献2、3)が、高い屈折率及び耐硫化性を有する硬化物を提供できることが知られている。
しかし、従来のフェニルシロキサン単位を用いた封止材料では熱衝撃への耐性が十分では無く、パッケージからの剥離や樹脂のクラック発生が問題となっている。
特開2004−292714号公報 特開2005−105217号公報 特開2010−132795号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、耐熱衝撃性及び耐硫化性に優れる硬化物を与える付加硬化型シリコーン樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、
(A)下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンレジン
(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2(O2/2Si(R)−X−Si(R)O2/2(O3/2Si−X−SiO3/2y (1)
(式中、Rはそれぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、全Rのうち少なくとも10モル%はアリール基であり、Rはアルケニル基である。Xは下記一般式(2)で表される2価の基であり、a、b、c、d、e、f、g、x及びyは、それぞれ、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、e≧0、f≧0、g≧0、x≧0、y≧0を満たす数であり、但し、b+c+e>0、e+f+g+y>0、x+y>0であり、かつ、a+b+c+d+e+f+g+x+y=1を満たす数である。)
Figure 2021165363
(式中、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、破線は結合手を表す。)
(B)下記一般式(3)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン、
Figure 2021165363
(式中、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、Rはメチル基又はフェニル基であり、hは0〜50の数であり、iは0〜100の数である。但し、hが0の時、Rはフェニル基であり、かつ、iは1〜100の数である。hが付された括弧内にあるシロキサン単位及びiが付された括弧内のシロキサン単位は、互いにランダムに配列していても、ブロックで配列していてもよい。)
(C)1分子中に少なくとも2個以上のケイ素原子結合水素原子を有する化合物:前記(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対して前記(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の数が、0.1〜5.0個となる量、
及び、
(D)白金族金属を含むヒドロシリル化触媒、
を含む付加硬化型シリコーン組成物を提供する。
このような付加硬化型シリコーン組成物であれば、耐熱衝撃性及び耐硫化性に優れた硬化物を与えることができるものとなる。
また、前記(A)成分における前記Xが、下記式(4)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2021165363
(式中、破線は結合手を表す。)
このようなものであれば、シリコーン組成物の硬化物の耐熱衝撃性及び耐硫化性を高めることができる。
また、前記一般式(1)及び前記一般式(3)において、R及びRがフェニル基又はメチル基であることが好ましい。
このようなものであれば、(A)成分及び(B)成分としてより好適に用いることができる。
また、前記一般式(1)において、R SiO1/2単位が下記式(5)で表されるシロキサン単位を含むことが好ましい。
Figure 2021165363
このようなものであれば、シリコーン組成物の硬化物の強度、屈折率、耐硫化性を高めることができる。
また、前記(B)成分が、前記式(5)で表されるシロキサン単位を含むものであることが好ましい。
このようなものであれば、シリコーン組成物の硬化物の強度、屈折率、耐硫化性を高めることができる。
さらに、本発明は、上記付加硬化型シリコーン組成物の硬化物であるシリコーン硬化物を提供する。
このようなシリコーン硬化物であれば、耐熱衝撃性と耐硫化性に優れることから、半導体素子、特に光学用途の半導体素子のコーティング材や封止材料、電気・電子用の保護コーティング材として使用することができる。
さらに、本発明は、上記シリコーン硬化物で封止されたものである光学素子を提供する。
本発明のシリコーン硬化物は、熱衝撃に対してパッケージからの剥離やクラックが少なく、かつ耐硫化性に優れる。従って、このようなシリコーン硬化物で封止された光学素子は、信頼性の高いものとなる。
以上のように、本発明の付加硬化型シリコーン組成物であれば、熱衝撃に対してパッケージからの剥離やクラックが少なく、かつ耐硫化性に優れる硬化物を与えることができる。従って、このような付加硬化型シリコーン組成物から得られる硬化物は、光学素子封止材料等に好適に使用することができる。
上述のように、熱衝撃に対してパッケージからの剥離やクラックが少なく、かつ耐硫化性に優れる硬化物を与える付加硬化型シリコーン組成物、及びその硬化物によって封止された信頼性の高い光学素子の開発が求められていた。
本発明者は、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、後述する(A)、(B)、(C)および(D)成分を含む付加硬化型シリコーン組成物であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(A)下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンレジン
(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2(O2/2Si(R)−X−Si(R)O2/2(O3/2Si−X−SiO3/2y (1)
(式中、Rはそれぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、全Rのうち少なくとも10モル%はアリール基であり、Rはアルケニル基である。Xは下記一般式(2)で表される2価の基であり、a、b、c、d、e、f、g、x及びyは、それぞれ、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、e≧0、f≧0、g≧0、x≧0、y≧0を満たす数であり、但し、b+c+e>0、e+f+g+y>0、x+y>0であり、かつ、a+b+c+d+e+f+g+x+y=1を満たす数である。)
Figure 2021165363
(式中、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、破線は結合手を表す。)
(B)下記一般式(3)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン、
Figure 2021165363
(式中、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、Rはメチル基又はフェニル基であり、hは0〜50の数であり、iは0〜100の数である。但し、hが0の時、Rはフェニル基であり、かつ、iは1〜100の数である。hが付された括弧内にあるシロキサン単位及びiが付された括弧内のシロキサン単位は、互いにランダムに配列していても、ブロックで配列していてもよい。)
(C)1分子中に少なくとも2個以上のケイ素原子結合水素原子を有する化合物:前記(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対して前記(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の数が、0.1〜5.0個となる量、
及び、
(D)白金族金属を含むヒドロシリル化触媒、
を含む付加硬化型シリコーン組成物である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[付加硬化型シリコーン組成物]
本発明の付加硬化型シリコーン組成物は、シルフェニレン構造を骨格中に有する分岐状オルガノシロキサンを含む付加硬化型シリコーン組成物であって、下記の(A)、(B)、(C)及び、(D)成分を含有するものである。以下、各成分について詳細に説明する。
<(A)成分>
本発明の付加硬化型シリコーン組成物における(A)成分は下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンレジンである。
(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2(O2/2Si(R)−X−Si(R)O2/2(O3/2Si−X−SiO3/2y (1)
(式中、Rはそれぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、全Rのうち少なくとも10モル%はアリール基であり、Rはアルケニル基である。Xは下記一般式(2)で表される2価の基であり、a、b、c、d、e、f、g、x及びyは、それぞれ、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、e≧0、f≧0、g≧0、x≧0、y≧0を満たす数であり、但し、b+c+e>0、e+f+g+y>0、x+y>0であり、かつ、a+b+c+d+e+f+g+x+y=1を満たす数である。)
Figure 2021165363
(式中、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、破線は結合手を表す。)
(A)成分はシリコーン組成物の硬化物の補強性を得るために必要な成分であり、SiO3/2単位及びSiO4/2単位のいずれか又はその両方を含有する。
上記Rとしては、アルケニル基を含まないものであれば特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の、通常、炭素原子数が1〜12、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜8の、非置換又はハロゲン置換の一価炭化水素基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
全R中の少なくとも10モル%がアリール基である。全R中のアリール基が10モル%より少ないと、屈折率の向上や、LEDパッケージにおける光取り出し効率の向上、銀基板の硫化を抑制するための耐硫化性を付与することができない。アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
また、Rがフェニル基又はメチル基であることが好ましく、このようなものであれば、(A)成分としてより好適に用いることができる。
上記Rはアルケニル基であり、ビニル基、アリル基、エチニル基等の炭素数2〜10のものが好ましく、より好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基であり、特にビニル基が好ましい。
また、Xは上記一般式(2)で表される2価の基であり、上記Rは炭素原子数1〜8のアルキレン基であり、エチレン基、トリメチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
上記Rは、上記Rと同じものが例示され、メチル基であることが好ましい。
即ち、Xは、下記式(4)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2021165363
(式中、破線は結合手を表す。)
(A)成分は、上記一般式(1)において、R SiO1/2単位が下記式(5)で表されるシロキサン単位を含むことが好ましく、該シロキサン単位を一分子中に二つ以上有することがより好ましい。これを有することで、シリコーン組成物の硬化物の強度、耐硫化性を高めることができる。
Figure 2021165363
また、一般式(1)中のa、b、c、d、e、f、g、x及びyが上記範囲外であると、本発明のシリコーン組成物の硬化物に高い硬度と耐硫化性を付与することができない。
(A)成分は、23℃において蝋状もしくは固体である三次元網状のオルガノポリシロキサン樹脂であることが好ましい。「蝋状」とは、23℃において、10,000Pa・s以上、特に100,000Pa・s以上の、自己流動性を示さないガム状(生ゴム状)であることを意味する。
(A)成分は一種単独でも二種以上を併用してもよい。
<(B)成分>
(B)成分は、下記一般式(3)で表される直鎖状オルガノポリシロキサンである。
Figure 2021165363
(式中、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、Rはメチル基又はフェニル基であり、hは0〜50の数であり、iは0〜100の数である。但し、hが0の時、Rはフェニル基であり、かつ、iは1〜100の数である。hが付された括弧内にあるシロキサン単位及びiが付された括弧内のシロキサン単位は、互いにランダムに配列していても、ブロックで配列していてもよい。)
(B)成分は、1分子中に2つのビニル基を有し、シリコーン組成物の硬化後に応力緩和をもたらす成分である。
は、上記(A)成分中のRと同じものが例示される。
一般式(3)中のhは、0〜50の整数であり、iは0〜100の整数であり、hが0の時Rはフェニル基で、iは1〜100である。h及びiが上記範囲外であると、本発明のシリコーン組成物の硬化物に高い硬度と耐硫化性を付与することができない。
(B)成分の25℃における粘度は10〜100,000mPa・sが好ましく、より好ましくは10〜10,000mPa・sの範囲内である。粘度が上記範囲内であれば、本成分が必要以上にソフトセグメントとして働くおそれがなく、目標とする高硬度を得ることができる。また、組成物の粘度が著しく高くなり作業性に劣るといった問題が生じるおそれがない。なお、以下において特に断らない限り、粘度は25℃における回転粘度計による測定値である。回転粘度計としては特に限定されないが、例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型を用いることができる。
(B)成分の分子末端は下記式(5)で表されるシロキサン単位を有することが好ましく、該シロキサン単位を分子両末端に有することがより好ましい。これを有することで、シリコーン組成物の硬化物の強度、屈折率、耐硫化性を高めることができる。
Figure 2021165363
(B)成分の具体例としては、両末端メチルフェニルビニル基封鎖ジフェニルシロキサン、片末端メチルフェニルビニル基片末端ジフェニルビニル基封鎖ジフェニルシロキサン、両末端ジフェニルビニル基封鎖ジフェニルシロキサン、両末端ジフェニルビニル基封鎖ジフェニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニル基封鎖ジフェニルシロキサン、片末端ジメチルビニル基片末端メチルフェニルビニル基封鎖ジフェニルシロキサン、両末端ジメチルビニル基封鎖メチルフェニルシロキサン、片末端ジメチルビニル基片末端メチルフェニルビニル基封鎖メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。(B)成分は一種単独でも二種以上を併用してもよい。
(A)及び(B)成分の配合比率は、(A):(B)が20:80〜80:20の範囲内であることが好ましい。この範囲内であると、硬化物の強度や耐硫化性などの物性バランスに優れる硬化物を得ることができる。
<(C)成分>
(C)成分は、(A)及び(B)成分とヒドロシリル化反応を起こし、架橋剤として作用する、1分子中に少なくとも2個以上のケイ素原子結合水素原子を有する化合物である。
(C)成分の分子構造に特に制限はなく、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状構造等の、従来製造されている各種のオルガノハイドロジェンポリシロキサン及びケイ素原子結合水素原子を有する化合物を使用する事ができる。更に、(C)成分は23℃で液状であっても蝋状または固体であってもよい。
(C)成分は(A)及び(B)成分に対する相溶性の観点から、アリール基またはアリーレン基を少なくとも1つ以上有することが好ましい。アリール基は(A)成分において例示されたものと同様のものが挙げられ、アリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
(C)成分としては、例えば、下記平均組成式(7)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができる。
SiO(4−j−k)/2 (7)
(式中、Rは、アルケニル基を含まない、互いに同一又は異種の、非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜12、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜8の、ケイ素原子に結合した一価炭化水素基であり、(A)成分中のR及び(B)成分中のRと同様のものが例示される。また、j及びkは、好ましくは0.7≦j≦2.1、0.001≦k≦1.0であり、かつ0.8≦j+k≦3.0を満たす正数であり、より好ましくは1.0≦j≦2.0、0.01≦k≦1.0であり、かつ1.55≦j+k≦2.5を満足する正数である。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3〜300個、特に好ましくは3〜100個のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、ヒドロシリル基(SiH基))を有する。オルガノハイドロジェンポリシロキサンが直鎖状構造を有する場合、これらのSiH基は、分子鎖末端及び分子鎖途中(分子鎖非末端)のどちらか一方にのみ位置していても、その両方に位置していてもよい。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは下記式(6)で表されるシロキサン単位を有することが好ましく、該シロキサン単位を一分子中に二つ以上有することがより好ましい。これを有することで、シリコーン組成物の硬化物に高硬度と高い耐硫化性を付与することが可能となる。
Figure 2021165363
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの1分子中のケイ素原子の数(重合度)は、好ましくは2〜300個、より好ましくは3〜200個、更に好ましくは4〜150個である。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、トリス(ハイドロジェンメチルフェニルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンメチルフェニルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端ハイドロジェンメチルフェニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン、両末端ハイドロジェンメチルフェニルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端ハイドロジェンメチルフェニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ハイドロジェンメチルフェニルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ハイドロジェンメチルフェニルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CSiO1/2単位とから成る共重合体等が挙げられる。
また、ケイ素原子結合水素原子を有する化合物としては、下記構造式で表される化合物等を使用する事ができる。
Figure 2021165363
(C)成分の配合量は、(A)及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対して(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の数が、0.1〜5.0個、好ましくは0.5〜3.0の範囲内となる量であり、より好ましくは0.5〜2.0の範囲内となる量である。(C)成分の配合量が上記範囲外であると、シリコーン組成物の硬化物に高い硬度を付与することができない。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
<(D)成分>
(D)成分の白金族金属を含むヒドロシリル化触媒は、(A)及び(B)成分中のアルケニル基と(C)成分中のケイ素原子結合水素原子との付加反応を促進するものであればいかなる触媒であってもよい。その具体例としては、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属や塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の、白金族金属化合物が挙げられるが、特に好ましくは白金化合物である。
(D)成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
(D)成分の配合量は、触媒としての有効量でよいが、(A)、(B)成分及び(C)成分の合計量に対して、触媒金属元素に換算して質量基準で1〜500ppmの範囲内であることが好ましく、1〜100ppmの範囲内であることがより好ましい。かかる範囲内であれば、付加反応の反応速度が適切なものとなり、高い強度を有する硬化物を得ることができる。
<その他の成分>
本発明の付加硬化型シリコーン組成物には、目的に応じて、接着性向上剤や反応抑制剤などの成分を添加してもよい。
接着性向上剤としては、付加反応硬化型である本発明の組成物に自己接着性を付与する観点から、接着性を付与する官能基を含有するシラン、シロキサン等の有機ケイ素化合物、非シリコーン系有機化合物等が用いられる。
接着性を付与する官能基の具体例としては、ケイ素原子に結合したビニル基、アリル基等のアルケニル基又は水素原子;炭素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基(例えば、γ−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等)、アクリロキシ基(例えば、γ−アクリロキシプロピル基等)、又はメタクリロキシ基(例えば、γ−メタクリロキシプロピル基等);アルコキシシリル基(例えば、エステル構造、ウレタン構造、エーテル構造を1〜2個含有してもよいアルキレン基を介してケイ素原子に結合したトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルコキシシリル基等)が挙げられる。
接着性を付与する官能基を含有する有機ケイ素化合物としては、シランカップリング剤、アルコキシシリル基と有機官能性基を有するシロキサン、反応性有機基を有する有機化合物にアルコキシシリル基を導入した化合物等が例示される。
また、非シリコーン系有機化合物としては、例えば、有機酸アリルエステル、エポキシ基開環触媒、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物等が挙げられる。
反応抑制剤としては、トリフェニルホスフィン等のリン含有化合物;トリブチルアミンやテトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール等の窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレン系化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体;1−エチニルシクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、エチニルメチルデシルカルビノール、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等の、上記(D)成分のヒドロシリル化触媒に対して硬化抑制効果を持つ公知の化合物が例示される。
反応抑制剤による硬化抑制効果の度合いは、反応抑制剤の化学構造によって異なるため、反応抑制剤の配合量は、使用する反応抑制剤ごとに最適な量に調整することが望ましい。好ましくは、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計100質量部に対して0.001〜5質量部である。配合量が0.001質量部以上であれば、室温での組成物の長期貯蔵安定性を十分に得ることができる。配合量が5質量部以下であれば、組成物の硬化が阻害されるおそれがない。
また、本発明の組成物には、補強性を向上させるために、例えば、微粉末シリカ、結晶性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン等の無機質充填剤、及びこれらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した充填剤等;シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー等を配合してもよい。
微粉末シリカとしては、比表面積(BET法)が50m/g以上のものが好ましく、より好ましくは50〜400m/g、特に好ましくは100〜300m/gである。比表面積が50m/g以上であれば、硬化物に十分な補強性を付与できる。
このような微粉末シリカとしては、従来からシリコーンゴムの補強性充填剤として使用されている公知のものを用いることができ、例えば、煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)等が挙げられる。微粉末シリカはそのまま使用してもよいが、組成物に良好な流動性を付与するため、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のメチルクロロシラン類、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザン等のヘキサオルガノジシラザン等の有機ケイ素化合物で処理したものを使用することが好ましい。このような補強性シリカは一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[シリコーン硬化物]
さらに、本発明は、上記付加硬化型シリコーン組成物を硬化させて得られる硬化物(シリコーン硬化物)を提供する。
本発明のシリコーン組成物の硬化方法、条件としては、公知の硬化方法、条件を採用することができる。一例としては100〜180℃において10分〜5時間の条件で硬化させることができる。
本発明の付加硬化型シリコーン組成物を硬化させて得られる上記シリコーン硬化物は、光に対してクラックや反りが発生せず、光透過率の低下が少なく、光透過率、耐熱性、及び、耐光性、耐硫化性に優れることから、半導体素子、特に光学用途の半導体素子のコーティング材や封止材料、電気・電子用の保護コーティング材として使用することができる。
[光学素子]
さらに、本発明は、上記シリコーン硬化物で封止されたものである光学素子を提供する。
上述のように、本発明のシリコーン硬化物は、熱衝撃に対してパッケージからの剥離やクラックが少なく、かつ耐硫化性に優れる。従って、このようなシリコーン硬化物で封止された光学素子は、信頼性の高いものとなる。
以下、合成例、実施例、及び、比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)における標準ポリスチレン換算の数平均分子量であり、粘度は回転粘度計を用いて測定した25℃での値である。
また、各シロキサン単位の略号の意味は下記のとおりである。
ViΦ:(CH)(CH=CH)(C)SiO1/2
Φ:(CSiO2/2
Q:SiO4/2
:下記構造式(8)で表されるシロキサン単位
Figure 2021165363
:下記構造式(9)で表されるシロキサン単位
Figure 2021165363
[合成例1]
1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン97gとビニルメチルジメトキシシラン264gをトルエン40gに溶解し、5%Pt−C触媒0.17gを加え、80℃で5時間撹拌した。反応後、活性炭2.3gを加え、25℃で1時間撹拌したのち、濾過を行った。濾液を100℃、10mmHg以下の条件で2時間減圧留去してトルエンおよび未反応物を取り除き、下記構造式(10)で表される化合物を得た。
Figure 2021165363
[合成例2]
1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン97gとビニルトリメトキシシラン272gをトルエン40gに溶解し、5%Pt−C触媒0.17gを加え、80℃で5時間撹拌した。反応後、活性炭2.3gを加え、25℃で1時間撹拌したのち、濾過を行った。濾液を100℃、10mmHg以下の条件で2時間減圧留去してトルエンおよび未反応物を取り除き、下記構造式(11)で表される化合物を得た。
Figure 2021165363
[合成例3]
合成例1で得られた化合物48.5g、ジフェニルジメトキシシラン91.5g、1,3−ジメチル−1,3−ジフェニル−1,3−ジビニルジシロキサン31.0gおよび[(OCHSiO1/2[(OCHSiO]で表されるポリシロキサン37.5gをイソプロパノール20gに溶解させ、撹拌しながら、メタンスルホン酸2.6gを添加し、水23.5gを滴下した。次いで、キシレン100gを加え、70℃で5時間撹拌した。50%水酸化カリウム水溶液6gを添加し、120℃でアルコールを留去しながら5時間反応を行った後、メタンスルホン酸1.5gを加え、100℃で2時間撹拌後、濾過を行い、濾液を100℃、10mmHg以下の条件で2時間減圧留去してキシレンおよび未反応物を取り除き、23℃において固体のオルガノポリシロキサンレジン(分子量:1,750、構成単位比:MViΦ 0.2Φ 0.370.33 0.1、ビニル基量:0.091mol/100g)を得た。
[合成例4]
合成例3において、合成例1で得られた化合物の使用量を24.3gに変更した以外は、合成例3と同様の手順で、23℃において固体のオルガノポリシロキサンレジン(分子量:1,250、構成単位比:MViΦ 0.21Φ 0.390.35 0.05、ビニル基量:0.086mol/100g)を得た。
[合成例5]
合成例3において、合成例1で得られた化合物に代えて合成例2で得られた化合物26.4gを用いた以外は、合成例3と同様の手順で、23℃において固体のオルガノポリシロキサンレジン(分子量:2,600、構成単位比:MViΦ 0.21Φ 0.390.35 0.05、ビニル基量:0.085mol/100g)を得た。
[合成例6]
六塩化白金酸と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとの反応生成物を、白金含有量1.0質量%となるように、フェニル基を30モル%含有する粘度700mPa・sのメチルフェニルオルガノポリシロキサンで稀釈し、白金触媒を調製した。
[実施例1〜4、比較例1〜2]
表1に示す配合量で下記の各成分を混合し、付加硬化型シリコーン組成物を調製した。なお、表1における各成分の数値は質量部を表す。[Si−H]/[Si−Vi]値は、(A)成分及び(B)成分中の全ケイ素原子結合アルケニル基に対する(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子のモル比を表す。
(A−1)成分:
合成例3で得られたオルガノポリシロキサンレジン
(A−2)成分:
合成例4で得られたオルガノポリシロキサンレジン
(A−3)成分:
合成例5で得られたオルガノポリシロキサンレジン
(A−4)成分:
構成単位比:MViΦ 0.20Φ 0.380.42、ビニル基量:0.16mol/100gであるオルガノポリシロキサンレジン
(B)成分:
ViΦ Φ で表され、粘度:2,000mPa・s、ビニル基量:0.22mol/100gである直鎖状オルガノポリシロキサン
(C−1)成分:
(H(CH)(C)SiO1/2((C)SiO3/2で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C−2)成分:下記構造式(12)で表される化合物
Figure 2021165363
(D)成分:合成例6で得られた白金触媒
その他の成分:
(E)反応抑制剤:エチニルシクロヘキサノール
(F−1)接着性向上剤:下記構造式(13)で表される化合物
Figure 2021165363
(F−2)接着性向上剤:下記構造式(14)で表される化合物
Figure 2021165363
実施例1〜4、比較例1〜2で得られた付加硬化型シリコーン組成物について、下記の評価を行い、結果を表2に示した。
[外観]
各組成物を150℃で4時間加熱して硬化させ、得られた硬化物の外観を目視にて確認した。
[硬さ]
各組成物を2mm厚になるよう型に流し込み、150℃×4時間の条件で硬化させた。その硬化物のTypeD硬度をJIS K6253−3:2012に準拠して測定した。TypeD硬度50以上であれば、硬度が十分に高い材料と判断できる。
[光半導体パッケージ(PKG)の作製]
LED用パッケージ基板として、光半導体素子を載置する凹部を有し、その底部に銀メッキされた第1のリードと第2のリードが設けられたLED用パッケージ基板[SMD5050(I−CHIUN PRECISION INDUSTRY CO.,社製)]、光半導体素子として、EV−B35A(SemiLEDs社製)を、それぞれ用意した。
ダイボンダー(ASM社製 AD−830)を用いて、パッケージ基板の銀メッキされた第1のリードに、信越化学工業社製のダイボンド材KER−3000−M2をスタンピングにより定量転写し、その上に光半導体素子を搭載した。次にパッケージ基板をオーブンに投入し、ダイボンド材を加熱硬化させ(150℃、2時間)、光半導体素子の下部電極と第1のリードを電気的に接続した。次いでワイヤーボンダーを用いて、該光半導体素子が搭載された該LED用パッケージ基板を光半導体素子の上部電極と第2のリードに対して金ワイヤー(田中電子工業社製 FA 25μm)を用いて電気的に接続し、光半導体素子が搭載されたLED用パッケージ基板各1枚を得た。
[耐熱衝撃性]
組成物を所定のPKGに封入し、150℃×4時間の条件で硬化させた。液相冷熱衝撃試験機(エスペック製、TSB−21)を用いて、−40⇔125℃、各温度5分間の試験条件にて行った。一定サイクル数繰り返し、PKGからの樹脂剥離・樹脂クラック・ワイヤー断線のいずれかの不良が発生した時点までのサイクル数を示した。サイクル数が多いほど、熱衝撃性に優れた組成物になる。
[耐硫化性]
組成物を所定のPKGに封入し、150℃×4時間の条件で硬化させた。次に100g瓶に硫黄粉末0.1gを入れ、樹脂を封入したPKGを入れたのちに密閉した。70℃×48時間後にPKGを取り出し、銀基板の色を目視観察することにより、耐硫化性とした。PKGの銀基板が黒く変色していれば×、変色していなければ○とし、○であれば耐硫化性が優れていることを示す。
Figure 2021165363
Figure 2021165363
表2に示すように、実施例1〜4のシリコーン硬化物は良好な光学特性及び機械特性を有していることがわかる。また、耐硫化性に優れていながら、耐熱衝撃性は1,000サイクル以上不良が無く、比較例と比較して優れていることがわかる。すなわち、耐硫化性と耐熱衝撃性を両立できることが確かめられた。
比較例1では(A)成分において本発明の必須成分であるシルフェニレンを含まないため、耐硫化性に優れるものの、耐熱衝撃性は実施例の耐久サイクルよりも非常に短いものであった。比較例2では、比較例1よりも耐熱衝撃性の耐久サイクル数が高い結果が得られたものの、耐硫化性試験で銀基板が変色して耐硫化性に劣る結果となった。
以上のことから、本発明の付加硬化型シリコーン組成物であれば、従来よりも耐硫化性および耐熱衝撃性に優れる、LED用封止材や、光学半導体素子のコーティング材、電気・電子用の保護コーティング材として好適なものとなることが実証された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (7)

  1. (A)下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンレジン
    (R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2(O2/2Si(R)−X−Si(R)O2/2(O3/2Si−X−SiO3/2y (1)
    (式中、Rはそれぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、全Rのうち少なくとも10モル%はアリール基であり、Rはアルケニル基である。Xは下記一般式(2)で表される2価の基であり、a、b、c、d、e、f、g、x及びyは、それぞれ、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、e≧0、f≧0、g≧0、x≧0、y≧0を満たす数であり、但し、b+c+e>0、e+f+g+y>0、x+y>0であり、かつ、a+b+c+d+e+f+g+x+y=1を満たす数である。)
    Figure 2021165363
    (式中、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、破線は結合手を表す。)
    (B)下記一般式(3)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン、
    Figure 2021165363
    (式中、Rは、それぞれ同一又は異なっていてもよい、アルケニル基を含まない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、Rはメチル基又はフェニル基であり、hは0〜50の数であり、iは0〜100の数である。但し、hが0の時、Rはフェニル基であり、かつ、iは1〜100の数である。hが付された括弧内にあるシロキサン単位及びiが付された括弧内のシロキサン単位は、互いにランダムに配列していても、ブロックで配列していてもよい。)
    (C)1分子中に少なくとも2個以上のケイ素原子結合水素原子を有する化合物:前記(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対して前記(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の数が、0.1〜5.0個となる量、
    及び、
    (D)白金族金属を含むヒドロシリル化触媒、
    を含むものであることを特徴とする付加硬化型シリコーン組成物。
  2. 前記Xが、下記式(4)で表される2価の基であることを特徴とする請求項1に記載の付加硬化型シリコーン組成物。
    Figure 2021165363
    (式中、破線は結合手を表す。)
  3. 前記一般式(1)及び前記一般式(3)において、R及びRがフェニル基又はメチル基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の付加硬化型シリコーン組成物。
  4. 前記一般式(1)において、R SiO1/2単位が下記式(5)で表されるシロキサン単位を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の付加硬化型シリコーン組成物。
    Figure 2021165363
  5. 前記(B)成分が、下記式(5)で表されるシロキサン単位を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の付加硬化型シリコーン組成物。
    Figure 2021165363
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の付加硬化型シリコーン組成物の硬化物であることを特徴とするシリコーン硬化物。
  7. 請求項6に記載のシリコーン硬化物で封止されたものであることを特徴とする光学素子。
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