JP2021165250A - タンパク質分解物、ならびにそれを用いた飲食品用品質改良剤および飲食品 - Google Patents

タンパク質分解物、ならびにそれを用いた飲食品用品質改良剤および飲食品 Download PDF

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Abstract

【課題】 低アレルゲンまたはアレルゲンフリーの状態で飲食品の品質の改良を行うことができるタンパク質分解物、ならびにそれを用いた飲食品用品質改良剤および飲食品を提供すること。【解決手段】 本発明のタンパク質分解物は雑豆由来であり、0.1重量%の濃度を有する水溶液に調製した際に、該水溶液の表面張力が20℃で60mN/m以下である成分から構成されている。なお、本発明において当該雑豆がエンドウである場合は除かれている。本発明のタンパク質分解物は、例えば飲食品の味や風味をこれを加えない場合と比較して向上させることができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、タンパク質分解物、ならびにそれを用いた飲食品用品質改良剤および飲食品に関する。
飲食店、食料品店、スーパーマーケットまたは百貨店のバックヤード、食品加工工場棟現場において調理または製造される飲食品の品質を改良するために様々な対応が行われている。例えば、飲食品の味、風味、硬さ、柔らかさ、保存性等の品質を高めるために、例えば、小麦タンパク質分解物や大豆タンパク質分解物のような植物由来のタンパク質分解物がこれらの飲食品の原材料に添加されて使用されることがある。
しかし、小麦および大豆は、飲食品に用いる場合、アレルギー物質としての表示が義務付けられているか、または当該表示が推奨されているような原材料である。ここで、小麦および大豆の分解物(例えば上記タンパク質分解物)もまた、摂取によりアレルギー症状を引き起こす懸念がある原材料であり、表示の義務または推奨が求められている。
こうした飲食品におけるアレルギー物質の表示は、消費者にとっては極めて有用な情報である。しかし、その一方で、アレルギー体質の者は当該飲食品自体の購入や摂取を敬遠することになる。このことから、アレルギー物質としての煩雑な表示を行う必要がなく、かつアレルギー体質の有無に関わらず、より広範な者が購入および摂取可能な飲食品として、当該飲食品の品質を一層高めることが所望されている。
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、低アレルゲンまたはアレルゲンフリーの状態で飲食品の品質の改良を行うことができるタンパク質分解物、ならびにそれを用いた飲食品用品質改良剤および飲食品を提供することにある。
本発明は、雑豆由来のタンパク質分解物であって、0.1重量%の濃度を有する水溶液に調製した際に、該水溶液の表面張力が20℃で60mN/m以下である成分から構成されている、タンパク質分解物(ただし、該雑豆がエンドウである場合を除く)である。
1つの実施形態では、上記成分は、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーによる重量平均分子量基準の分子量分布測定により得られるクロマトグラム曲線が、1,000〜70,000の分子量範囲内のうち、12,000以下に分子量分布のピークを有するものである。
1つの実施形態では、上記成分は、上記雑豆をエンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質分解酵素で処理したものである。
1つの実施形態では、上記雑豆はソラマメである。
本発明はまた、タンパク質分解物の製造方法であって、
雑豆を含む懸濁液を調製する工程、
該懸濁液にタンパク質分解酵素を作用させる工程、
を包含し、
該タンパク質分解酵素がエンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼからなる群から選択される少なくとも1つの酵素であり、
該雑豆がエンドウである場合を除く、方法である。
1つの実施形態では、上記タンパク質分解酵素を作用させる工程は、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーによる重量平均分子量基準の分子量分布測定により得られるクロマトグラム曲線が1,000〜70,000の分子量範囲内のうち、12,000以下に分子量分布のピークを有する成分を生じるまで行われる。
本発明はまた、上記タンパク質分解物を含有する、飲食品用品質改良剤である。
本発明はまた、飲食品原材料と上記飲食品用品質改良剤とを含有する、飲食品である。
本発明はまた、飲食品の品質を改良するための方法であって、上記飲食品用品質改良剤を飲食品原材料に添加する工程を含む、方法である。
本発明によれば、アレルギー物質としての表示が求められる原材料を用いることなく、飲食品の品質を改良することができる。これにより、当該品質が改良された飲食品を低アレルゲンまたはアレルゲンフリーの製品として、アレルギー体質であるか否かに関わらず、より広範な消費者に向けて提供することができる。
実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物と比較例1〜3の植物由来タンパク質分解物、比較例4の界面活性剤について、0.1重量%水溶液で測定した表面張力を示すグラフである。 実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物についての、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のクロマトグラムを示す。 比較例1で得られた大豆タンパク質分解物についての、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーにより得られたクロマトグラムを示す。 比較例5、比較例6および実施例2で得られた麺つゆの官能評価結果を示すレーダーチャートである。 比較例7、比較例8および実施例3で得られたゴマ塩ふりかけの官能評価結果を示すレーダーチャートである。 比較例9、比較例10および実施例4で得られた生クリームの官能評価結果を示すレーダーチャートである。 比較例11、比較例12および実施例5で得られたラクトアイスの官能評価結果を示すレーダーチャートである。
(タンパク質分解物)
本発明のタンパク質分解物は、例えば雑豆に由来する成分から構成されている。このような成分は、例えば雑豆に由来するタンパク質の加水分解物である。
雑豆とは、マメ科に属する植物のうち、大豆、落花生以外の植物の豆類(例えば粒またはマメの部分)を包含する。さらに豆類は、乾燥穀物向けに収穫される作物のみを指し、例えば同じマメ科であっても野菜に分類されるサヤインゲンなどのさや部分は除外される。豆類には、所定の植物性タンパク質が含まれている。
本発明のタンパク質分解物を構成する「雑豆」としては、例えば、ソラマメ属、ササゲ属、インゲンマメ属、ヒヨコマメ属、ヒラマメ属、エンドウ属に属するマメが挙げられ、上記属の種としては、ソラマメ、アズキ、ササゲ、リョクトウ、ケツルアズキ、ツルアズキ、インゲンマメ、ベニバナインゲン、ライマメ、ヒヨコマメ、ヒラマメ(レンズマメ)、エンドウなどが挙げられる。汎用性に優れかつ良質な植物性タンパク質を豊富に含有していることから、雑豆はソラマメであることが好ましい。
本発明のタンパク質分解物を構成する雑豆由来のタンパク質の加水分解物は、アミノ酸および/またはその改変物を主成分として含有する成分(物質)から構成されている。このような成分は、例えば、1種またはそれ以上のアミノ酸またはその改変物が重合したペプチドである。本発明のタンパク質分解物は、種々の分子量(重量平均分子量)を有するペプチドを含むことができる。当該タンパク質分解物は、例えば、一群の種々の分子量の分解物(例えば、ペプチド群)から構成されている。
本発明のタンパク質分解物は、その構成成分によって後述する飲食品の中で所定の界面活性作用を提供することができ、それにより得られる飲食品の品質を改良することができる。こうした界面活性作用の程度は、当該タンパク質分解物の水溶液を調製し、その表面張力の測定することにより把握することができる。
本発明のタンパク質分解物は、0.1重量%の濃度を有する水溶液に調製した際に、当該水溶液が20℃で60mN/m以下、好ましくは45mN/m以上60mN/m以下、より好ましくは50mN/m以上60mN/m以下である表面張力を有する成分から構成されている。ここで、上記水溶液を調製する際に使用する水は特に限定されないが、例えば、蒸留水が挙げられる。水溶液の表面張力が60mN/mを上回る場合、そのような表面張力を有する成分で構成されるタンパク質分解物は、両親媒性分子でなくなり、界面活性作用がなくなるため、飲食品を構成する他の原材料(以降、飲食品原材料ということがある)との親和性に影響を及ぼし、それにより飲食品に対して所望の品質改良の効果(例えば、味や風味の改良)を奏することが難しい。
さらに、本発明のタンパク質分解物を構成する成分は、例えば、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による重量平均分子量基準の分子量分布測定により得られるクロマトグラム曲線が、好ましくは1,000〜70,000の分子量範囲内、より好ましくは1,200〜68,000の分子量範囲内に分子量分布のピークを有する。後述するような様々な飲食品の品質改良剤として良好に機能することができるという理由から、本発明のタンパク質分解物を構成する成分はまた、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーによる重量平均分子量基準の分子量分布測定により得られるクロマトグラム曲線が、1,000〜70,000の分子量範囲内のうち、好ましくは12,000以下、より好ましくは11,000以下、さらにより好ましくは10,000以下に分子量分布のピークを有する。こうした分子量分布の測定にあたり、採用され得るHPLCの測定条件は、例えば以下の通りである:
カラム:Superdex75 10/300GL
溶離液:0.05M Na−Pi(pH6.4)(0.15M NaCl含有)
温度:室温
流速:0.5ml/分
検出:UV214nm
注入:100μl
試料:0.1mg/ml。
本発明のタンパク質分解物は、例えば、上記ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーで観察されるピーク全面積に対して、分子量1,355〜35,000の範囲のピーク面積が好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の割合で含有される。本発明のタンパク質分解物は、例えば、上記ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーで観察されるピーク全面積に対して、分子量1,355〜12,000の範囲のピーク面積が好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上の割合で含有される。ピーク面積の算定は、例えば、「Image J」(米国国立衛生研究所(NIH)で開発されたオープンソースでパブリックドメインの画像処理ソフトウェア)を用いて行われ得る。タンパク質分解物は、上記ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーにおいて、分子量1,355未満のペプチドまたはアミノ酸をさらに含むものであってもよい。このような分子量分布を有する成分から構成されていることにより、本発明のタンパク質分解物はそれ自体が界面活性作用を示すことができ、飲食品の原材料に対する品質改良、例えば風味改良をより効果的に行うことができる。
上記タンパク質分解物を構成する成分は、雑豆を所定の酵素で処理したものである。このような酵素の例としては、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)、ペプチド分解酵素(ペプチダーゼ)などが挙げられる。さらに、飲食品の品質を効率よく改良することができるという理由から、本発明のタンパク質分解物を構成する成分は、上記雑豆をタンパク質分解酵素で処理したものであることが好ましい。タンパク質分解酵素の例としては、エンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼ、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。タンパク質分解酵素としては、細菌由来プロテアーゼ、カビ由来プロテアーゼ、パパイン、ブロメライン、トリプシン等が挙げられ、バチルス(Bacillus)属菌、アスペルギルス(Aspergillus)属菌由来のプロテアーゼが好ましい。
雑豆をタンパク質分解酵素で処理する場合、例えば以下のようにして行われる。
まず、タンパク質分解酵素が良好に作用するために雑豆を含む懸濁液が調製される。雑豆は当業者に公知の手段を用いて所定の大きさに粉砕等がなされ、これを所定量の水(例えば、蒸留水、イオン交換水、RO水、および水道水、ならびにそれらの組み合わせ)と合わせて懸濁液の形態に調製される。
次いで、この懸濁液に上記タンパク質分解酵素を添加することにより、当該懸濁液にタンパク質分解酵素が作用させられる。タンパク質分解酵素として、例えば、エンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼの両方が用いられる場合、懸濁液に添加される各プロテアーゼの順序は特に限定されない。例えば懸濁液に対して、エンド型プロテアーゼが添加された後にエキソ型プロテアーゼが添加されてもよい。あるいは、懸濁液に対して、エキソ型プロテアーゼが添加された後にエンド型プロテアーゼが添加されてもよい。あるいは、懸濁液に対して、エンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼの混合物(予め混合したもの)が一緒に添加されてもよい。
懸濁液へのタンパク質分解酵素の作用は、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーによる重量平均分子量基準の分子量分布測定により得られるクロマトグラム曲線が好ましくは1,000〜70,000の分子量範囲内、より好ましくは1,200〜68,000の分子量範囲内に分子量分布のピークを有する成分を生じるまで行われる。特に後述するような様々な飲食品の品質改良剤として良好に機能することができるという理由から、上記懸濁液へのタンパク質分解酵素の作用は、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーによる重量平均分子量基準の分子量分布測定により得られるクロマトグラム曲線が、1,000〜70,000の分子量範囲内のうち、好ましくは12,000以下、より好ましくは11,000以下、さらにより好ましくは10,000以下に分子量分布のピークを有する成分を生じるまで行われる。
あるいは、上記懸濁液へのタンパク質分解酵素の作用にあたり、酵素処理の条件(例えば、使用酵素の種類および加水分解のための酵素処理時間、処理温度、処理pH)は当業者によって任意に設定され得る。酵素処理のために設定され得る温度は例えば40℃〜70℃であり、酵素処理のために設定され得る時間は例えば1時間〜6時間である。処理pHは使用酵素の種類に依存するが、例えば4.0〜9.0である。
本発明のタンパク質分解物は、例えば、飲食品の品質を改良するための製剤(飲食品用品質改良剤)の主成分として有用である。
(飲食品用品質改良剤)
本発明の飲食品用品質改良剤は、上述したタンパク質分解物を含有する。
ここで、本明細書で用いられる用語「飲食品用品質改良剤」とは、飲食品の品質を改変または向上させるために、飲食品原材料と配合(飲食品原材料への混合や付与を包含する)して使用される製剤をいう。本発明の飲食品用品質改良剤は、ヒトが摂取した際に口腔および鼻腔を通じて触覚、味覚および/または嗅覚により知覚することができる飲食品の品質を(当該改良剤を含有しない場合と比較して)改変または向上させるために使用することができる。より具体的には、本発明の飲食品用品質改良剤は、例えば、当該改良剤を含有するまたは含有しない同一の飲食品との対比において、呈味、臭気などの主に口腔および/または鼻腔内の味覚および/または嗅覚を通じて感知することができる飲食品の品質を改変または向上させるために使用され得る。
本発明の飲食品用品質改良剤は、固形剤または液剤の剤形で調製され得、必要に応じて、製剤化助剤および賦形剤などの食品添加製剤の製造上許容され得る他の成分をさらに含有してもよい。固形剤は、好ましくは粉末剤である。例えば、上記タンパク質分解物を、水またはエタノール水溶液などの適切な媒体を用いて液状の形態に調製した後、例えばスプレードライによって粉末化したものであってもよい。本発明の飲食品用品質改良剤における上記他の成分の含有量は特に限定されず、上記タンパク質分解物が有する飲食品への品質改良効果を阻害しない程度の適切な量が当業者によって適宜選択され得る。
(飲食品)
本発明の飲食品は、飲食品原材料および上記飲食品用品質改良剤を含有する。
ここで、本明細書中に用いられる用語「飲食品」とは、ヒトが摂取することのできる食品および飲料、ならびにゼリー飲料のようなそれらの中間製品を包含して言う。また、本明細書で用いられる用語「飲食品原材料」とは、飲食品を構成し得る原材料全般を包含し、例えば、素材、原料などを包含して言う。飲食品原材料は、例えば、生鮮食品(例えば、野菜、果実)のようにそれ自体が単独でもヒトにより摂取され得るもの、ならびに小麦粉、精米のようにそれ自体では通常ヒトにより摂取されることはないものの、調理または加工を通じて摂取可能となるもののいずれをも包含する。
飲食品に含まれる上記飲食品用品質改良剤の含有量は、共存する飲食品原材料の種類、飲食品に求められる品質の内容とその改変または改良の程度などによって変動するため、必ずしも限定されないが、例えば飲食品原材料100重量部(混合等が行われる前の最初の重量)に対して、例えば0.001重量部〜10重量部、好ましくは0.01重量部〜5重量部である。飲食品原材料に対して飲食品用品質改良剤が上記範囲内で含有されていることにより、得られる飲食品は、当該飲食品用品質改良剤を含有しないものと比較して効果的に改良効果を発揮し得る。
本発明の飲食品において、食品用品質改良剤は、得られる飲食品全体に対して略均質の品質改良を行うために飲食品原材料と例えば略均一となるように混合されていてもよい。混合の方法については、例えば、共存する飲食品原材料の種類、飲食品の製造手順などの要因に依存するが、混和、混捏、練り込む、まぶす、溶解、予め調製した水溶液の添加等の任意の操作を通じて行われる。より具体的には、混合は、例えば、ミキサーを用いる撹拌またはホイッパーを用いるホイップ(撹拌して泡立て)によって行われてもよく、あるいはへらなどを用いた撹拌によって行われてもよい。この混合を行う際の温度は、使用する飲食品原材料の種類に応じて、室温、加熱下、冷却下のいずれかが選択され得る。なお、撹拌、ホイップなどは、起泡性の向上に関与し得る。
本発明の飲食品は、例えば、その製造過程に撹拌を含む食品であり、さらに加熱を通じて製造される食品(本明細書中では、「加熱食品」ともいう)であってもよい。「加熱」とは、材料に熱が加わる任意の方法、例えば、フライ(油調)、焼成、煮るなどの調理による加熱を包含する。
本発明の飲食品としては、菓子類(例えば、洋菓子、和菓子、中華菓子、氷菓子など)、パン類、フライ食品類、水産練り製品、畜肉加工品、米飯加工品、麺類、乳製品・チーズ製品、スープ類(例えば、麺つゆを包含する)、アルコール飲料(例えば、ビール、発泡酒、ワイン、ウイスキー、ブランデー、リキュール飲料など)、清涼飲料水、乳性飲料、コーヒー飲料、乳、乳飲料、乳酸菌飲料、香辛料系製品(例えば、唐辛子系食品、カレー系食品)、調味料(例えば、わさび、おろししょうが、からし、生にんにく))、ソース類なども挙げられる。あるいは、本発明の飲食品は、製造された飲食品またはその生地などが冷凍または半冷凍の状態であってもよく、そのような冷凍または半冷凍食品も包含する。具体的な例としては、フライ食品に用いられるバッターミックス、および例えば、アメリカンドックミックス粉、ホットケーキミックス粉などの食品ミックス粉もまた挙げられる。例えば、フライ食品のためのバッター、またはアメリカンドックミックス粉を用いたバッターの調製の際には、その原材料の撹拌混合がなされ得る。例えば、ホットケーキミックス粉を用いて生地を調製する際に、その材料の撹拌混合がなされ得る。
本発明の飲食品は、飲食品用品質改良剤を含有しない同一種類の飲食品と比較して、例えば、飲食品の味質(例えば、甘味、塩味、酸味、苦味、辛味、旨味)、香気、または風味を改良し得る。改良され得る品質の例としては、味の濃厚感、風味の持続性、より強い香気の発生および持続等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1:ソラマメタンパク質分解物粉末および各種画分の調製)
水道水に分散させたソラマメタンパク質粉末をプロペラミキサーにセットして撹拌しながら、ウォーターバスで加温して、ソラマメタンパク質の懸濁液を得た。液温が45℃に達したとき、この懸濁液中のソラマメタンパク質に対して、エンド型プロテアーゼとエキソ型プロテアーゼとの混合製剤(アスペルギルス属由来プロテアーゼ)を1重量%の量となるように投入し、45℃にて3時間分解した。分解後、液温を90℃まで昇温し、90℃にて15分間プロペラミキサーで攪拌しながら酵素を失活させた。失活後、液温を50℃まで冷却してから活性炭を投入し、精製した。精製終了後、珪藻土濾過し、水溶性部分を回収した。回収後、90℃で15分間加熱殺菌してから、スプレードライにより粉末化して、ソラマメタンパク質分解物の粉末を得た。
(検討例1:表面張力測定)
下記試験区の試験品について、蒸留水を用いて0.1重量%水溶液を調製した。調製後、自動表面張力計(協和界面科学株式会社製DY−300)にて20℃で表面張力を3回ずつ測定し、それらの平均値を算出した。なお、ブランクには蒸留水のみを用いた。
(試験区)
・実施例1:ソラマメタンパク質分解物 0.1重量%水溶液
・比較例1:大豆タンパク質分解物 0.1重量%水溶液
・比較例2:小麦タンパク質分解物 0.1重量%水溶液
・比較例3:とうもろこしタンパク質分解物 0.1重量%水溶液
・比較例4:ショ糖脂肪酸エステル(構成脂肪酸:ステアリン酸70重量%+パルミチン酸30重量%、モノエステル体含量70重量%、HLB15の界面活性剤) 0.1重量%水溶液
比較例1、2および3の大豆タンパク質分解物、小麦タンパク質分解物およびとうもろこしタンパク質分解物として、天然調味料として上市されている低分子量(分子量6,500以下)の植物性タンパク質分解物品を用いた。
表面張力測定結果を以下の表1および図1に示す。
Figure 2021165250
表1および図1に示されるように、実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物について、比較例4の界面活性剤と同様に表面張力が低下することが確認できた。これに対し、比較例1〜3の他の植物性タンパク質分解物はブランクと数値に差が見られなかった。このことから、実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物は比較例4の界面活性剤と同等の表面張力低下作用を有することが確認できた。
(検討例2:分子量分布)
実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物粉末について、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Waters社製(型番)2695 Separation Modul)により、分子量分布(重量平均分子量(Mw)基準)を測定した。分子量(Mw)マーカーとして、ウシ血清アルブミン(BSA)(分子量66,338)、オボアルブミン(分子量45,000)、β−ラクトグロブリン(分子量35,000)、ミオグロビン(分子量17,000)、シトクロームC(分子量12,000)、アプロチニン(分子量6,511)、ビタミンB12(分子量1,355)の7種類を使用した。HPLCの測定条件は以下の通りであった:
カラム:Superdex75 10/300GL
溶離液:0.05M Na−Pi(pH6.4)(0.15M NaCl含有)
温度:室温
流速:0.5ml/分
検出:UV214nm
注入:100μl
試料:0.1mg/ml。
なお、比較例1の大豆タンパク質分解物粉末についても、同様に分子量分布(重量平均分子量(Mw)基準)を測定した。
図2は、実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物について、上記HPLCにより得られたクロマトグラムを示す。クロマトグラムより、実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物については、分子量分布において分子量1,355〜分子量35,000の範囲の分布が見られた。実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物では、NIHのImage Jによれば、上記HPLCのクロマトグラフィーで観察されるピーク全面積に対して、分子量1,355〜35,000の範囲のピーク面積が86%の割合で含まれていた。
図3は、比較例1の大豆タンパク質分解物粉末について、上記HPLCにより得られたクロマトグラムを示す。クロマトグラムより、比較例1の大豆タンパク質分解物粉末については、分子量分布において分子量1,355〜分子量6,511の範囲の分布が見られた。また、クロマトグラムより、比較例1の大豆タンパク質分解物粉末では、より小さな分子量(分子量1,355未満)の分子量分布も見られた。
(検討例3:食品における風味向上効果)
実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物を配合した種々の食品の効果を調べた。
具体的には、まず、以下の(3−1)〜(3−4)のようにして作製した食品(配合後の麺つゆ、ゴマ塩ふりかけ、生クリームおよびラクトアイス)うち、実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物または比較例1の大豆タンパク質分解物のいずれをも添加しなかったもの(比較例5、7、9および11)をコントロールに設定した。次いで、各食品のコントロールをパネラー10名が実際に喫食し、「基本五味」(甘味、塩味、酸味、苦味およびうま味)、「風味の広がり」ならびに「乳風味」のそれぞれについて感じた結果(評価得点)を4.0点にすることにした。その後、他の実施例および比較例の食品を喫食し、JIS Z 9080:2004(官能評価分析−方法)に準拠して、マグニチュード推定による比率尺度を用いる7段階尺度(表2)からそれぞれの評価得点を決定し、各パネラーによる評価点数の平均点(小数点以下は四捨五入した)を算出した。
Figure 2021165250
(3−1:麺つゆにおける風味向上確認試験)
下記表3の配合にて麺つゆを調製し、官能評価を行った。「基本五味」と「風味の広がり」を指標とし、比較例5を4点として表2の評価基準をもとに評価した。評価結果を表4および図4に示す。
Figure 2021165250
Figure 2021165250
表4および図4に示されるように、実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物を添加することにより(実施例2)、甘味や塩味、うま味、風味の広がりが向上し、麺つゆの風味向上が確認できた。実施例2では、中でも、塩味や風味の広がりが特に向上することが確認できた。
(3−2:ゴマ塩ふりかけにおける風味向上確認試験)
下記表5の配合にてゴマ塩ふりかけを調製し、官能評価を行った。「基本五味」と「風味の広がり」を指標とし、比較例7を4点として表2の評価基準をもとに評価した。評価結果を表6および図5に示す。
Figure 2021165250
Figure 2021165250
表6および図5に示されるように、実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物を添加することにより(実施例3)、塩味や風味の広がりが向上し、ゴマ塩ふりかけの風味向上効果が確認できた。実施例3では、その中でも、塩味や風味の広がりが特に向上することが確認できた。
(3−3:生クリームにおける風味向上確認試験)
下記表7の配合の市販生クリーム(純乳脂35%)にグラニュー糖を加え、ハンドミキサーで6分間泡立てた。ホイップしたクリームのタンパク質分解物を添加、混合した後、官能評価を行った。「基本五味」と「乳風味」を指標とし、比較例9を4点として表2の評価基準をもとに評価した。評価結果を表8および図6に示す。
Figure 2021165250
Figure 2021165250
表8および図6に示されるように、実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物を添加することにより(実施例4)、甘味や乳風味が向上し、生クリームの風味向上効果が確認できた。実施例4では、その中でも、甘味や乳風味が特に向上することが確認できた。
(3−4:ラクトアイスにおける風味向上確認試験)
下記表9の配合の市販のラクトアイスを5℃にてスパーテルで混ぜられる程度まで溶解し、タンパク質分解物を添加、混合した。混合後、プラスチックカップに充填して−35℃にて3時間冷凍した。凍らせた試料について官能評価を行い、「基本五味」と「乳風味」を指標とし、比較例11を4点として表2の評価基準をもとに評価した。評価結果を表10および図7に示す。
Figure 2021165250
Figure 2021165250
表10および図7に示されるように、実施例1で得られたソラマメタンパク質分解物を添加することにより(実施例5)、甘味や乳風味が向上し、ラクトアイスの風味向上効果が確認できた。実施例5では、その中でも、その中で特に、甘味や乳風味が特に向上することが確認できた。
本発明は、例えば、食品添加剤および食品の製造分野、ならびに食品加工分野において有用である。

Claims (9)

  1. 雑豆由来のタンパク質分解物であって、0.1重量%の濃度を有する水溶液に調製した際に、該水溶液の表面張力が20℃で60mN/m以下である成分から構成されている、タンパク質分解物(ただし、該雑豆がエンドウである場合を除く)。
  2. 前記成分が、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーによる重量平均分子量基準の分子量分布測定により得られるクロマトグラム曲線が、1,000〜70,000の分子量範囲内のうち、12,000以下に分子量分布のピークを有するものである、請求項1に記載のタンパク質分解物。
  3. 前記成分が、前記雑豆をエンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質分解酵素で処理したものである、請求項1または2に記載のタンパク質分解物。
  4. 前記雑豆がソラマメである、請求項1から3のいずれかに記載のタンパク質分解物。
  5. タンパク質分解物の製造方法であって、
    雑豆を含む懸濁液を調製する工程、
    該懸濁液にタンパク質分解酵素を作用させる工程、
    を包含し、
    該タンパク質分解酵素がエンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼからなる群から選択される少なくとも1つの酵素であり、
    該雑豆がエンドウである場合を除く、方法。
  6. 前記タンパク質分解酵素を作用させる工程が、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィーによる重量平均分子量基準の分子量分布測定により得られるクロマトグラム曲線が1,000〜70,000の分子量範囲内のうち、12,000以下に分子量分布のピークを有する成分を生じるまで行われる、請求項4に記載の方法。
  7. 請求項1から4のいずれかに記載のタンパク質分解物を含有する、飲食品用品質改良剤。
  8. 飲食品原材料と請求項7に記載の飲食品用品質改良剤とを含有する、飲食品。
  9. 飲食品の品質を改良するための方法であって、請求項7に記載の飲食品用品質改良剤を飲食品原材料に添加する工程を含む、方法。
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