JP2021165111A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】氷上制動性能、雪上制動性能、及びドライ操縦安定性能をバランス良く改善すること。【解決手段】トレッド表面に少なくとも1つの陸部(10)が区画形成され、陸部に、延在方向に沿った長さが接地幅の5%以下である複数の短サイプ(12)が形成され、短サイプ(12)は陸部(10)内で終端し、最短距離が最も小さい2つの短サイプ(12a、12b)について、2つの短サイプをそれぞれ内包する各最小外接円(14a、14b)の中心間距離(R)が、2つの短サイプの最短距離(r)の1.00倍以上1.15倍以下であり、両接地端間のタイヤ幅方向距離をDとした場合に、上記複数の短サイプは、タイヤ赤道線からタイヤ幅方向各側に向かって0.30×D未満のタイヤ幅方向領域内に形成されている空気入りタイヤ。【選択図】図1

Description

本発明は、氷上制動性能、雪上制動性能、及びドライ操縦安定性能をバランス良く改善した空気入りタイヤに関する。
一般に、スタッドレスタイヤの陸部表面には多数のサイプが形成されており、これによりスタッドレスタイヤは優れた氷上性能や雪上性能を実現するようにされている。しかしながら、陸部表面へのサイプの形成本数を増やすと、接地面積が減少するともに、サイプによって囲まれた陸部部分の剛性が低下するため、操縦安定性が低下するおそれがある。
例えば、特許文献1には、タイヤ赤道面付近に位置する中央周溝を挟んで位置する各陸部に、タイヤ赤道面側に位置し、かつ両端部が各陸部内で終端するサイプと、トレッド端側に位置し、かつ周溝または横溝に開口するサイプとを設けることによって氷上性能を低減させることなく耐偏摩耗性能を向上させた空気入りタイヤが開示されている。
特開2011−162050号公報
しかしながら、特許文献1には、サイプ間の距離については具体的に記載されておらず、サイプの延在方向に沿った長さが長い場合、及び、サイプ間距離が短い場合に、タイヤ赤道面付近に位置するサイプによって囲まれる陸部部分の剛性が不十分となるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、氷上制動性能、雪上制動性能、及びドライ操縦安定性能をバランス良く改善した空気入りタイヤを提供することにある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド表面に少なくとも1つの陸部が区画形成され、上記陸部に、延在方向に沿った長さが接地幅の5%以下である複数の短サイプが形成され、上記短サイプは上記陸部内で終端し、最短距離が最も小さい2つの短サイプについて、上記2つの短サイプをそれぞれ内包する各最小外接円の中心間距離が、上記2つの短サイプの最短距離の1.00倍以上1.15倍以下(すなわち、中心間距離/最短距離=1.00〜1.15)であり、両接地端間のタイヤ幅方向距離をDとした場合に、上記複数の短サイプは、タイヤ赤道線からタイヤ幅方向各側に向かって0.30×D未満のタイヤ幅方向領域内に形成されていることを特徴とする。
本発明に係る空気入りタイヤでは、比較的長さの小さい短サイプを陸部に形成することを前提に、陸部内における短サイプの形成態様、短サイプ同士の位置関係、及び接地端間における短サイプのタイヤ幅方向形成領域について改良を加えている従って、本発明に係る空気入りタイヤによれば、氷上制動性能、雪上制動性能、及びドライ操縦安定性能をバランス良く改善することができる。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤの陸部に形成されたサイプ同士の位置関係の一例を示す平面図である。 図2は、本実施形態の空気入りタイヤの接地端間の短サイプが設けられる領域を示す平面図である。 図3は、本実施形態の空気入りタイヤの1つの陸部における短サイプのタイヤ周方向形成位置を示す平面図である。 図4は、本実施形態の空気入りタイヤに適用可能な陸部の例を示す平面図である。 図5は、本実施形態の空気入りタイヤに適用可能な陸部のさらなる例を示す平面図である。
以下、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態(以下に示す、基本形態及び付加的形態1〜5)を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施形態は、本発明を限定するものではない。また、上記実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記実施形態に含まれる各種形態は、当業者が自明の範囲内で任意に組み合わせることができる。
基本形態
以下に、本発明に係る空気入りタイヤについて、その基本形態を説明する。以下の説明において、「タイヤ径方向」とは、タイヤの回転軸と直交する方向を指し、「タイヤ径方向内側」とは、タイヤ径方向において回転軸に向かう側を指し、「タイヤ径方向外側」とは、タイヤ径方向において回転軸から離れる側を指す。また、「タイヤ周方向(CD)」とは、上記回転軸を中心軸とする周り方向を指す。さらに、「タイヤ幅方向(WD)」とは、上記回転軸と平行な方向を指し、「タイヤ幅方向内側」とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(又はタイヤ赤道線)に対する近位側を指し、「タイヤ幅方向外側」とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に対する遠位側を指す。なお、「タイヤ赤道面(CL)」とは、空気入りタイヤの回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤのタイヤ幅の中心を通る平面を指す。「タイヤ赤道線」とは、タイヤ赤道面上にあって空気入りタイヤのタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤの陸部に形成されたサイプ同士の位置関係の一例を示す平面図である。なお、同図には、陸部を区画形成している溝は示されていない。本実施形態の空気入りタイヤでは、図1に示すように、トレッド表面に少なくとも1つの陸部10が区画形成され、陸部10に、延在方向に沿った長さが接地幅の5%以下である複数(同図では6つ)の短サイプ12(12a、12b、12c、12d、12e、12f)が形成されている。
本明細書において、サイプの延在方向に沿った長さとは、サイプの幅方向中心点を連ねた線分の長さを意味する。実際にサイプの延在方向を定める場合には、サイプの一方の縁部の任意の点(第1の点)を選択し、第1の点からの距離が最短となる他方の縁部における点(第2の点)を定め、第1の点と第2の点との中点を第1の中点とする。このような操作を複数回行って第2の中点、第3の中点、第4の中点等を定め、第1の中点から第2の中点、第3の中点、及び第4の中点等を結んだ線分の方向をサイプの延在方向とする。この場合、サイプの延在方向を定める場合において、用いる中点の数は、サイプの形状に従って適宜決定するものとする。
また、本明細書において、接地幅とは、規定リムに組み込んで規定内圧を付与し、さらに規定荷重を加えた場合に生じる接地面のタイヤ幅方向最大長さを意味する。
ここで、規定リムとは、JATMAに規定される「標準リム」、TRAに規定される「Design Rim」、又はETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAで規定される「最高空気圧」、TRAで規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、又はETRTOで規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。さらに、規定荷重とは、JATMAで規定される「最大負荷能力」、TRAで規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、又はETRTOで規定される「LOAD CAPACITY」をいう。
このような前提の下、本実施形態の空気入りタイヤでは、これらの短サイプ12は陸部10内で終端している。即ち、短サイプ12は陸部10を区画形成する他の溝と連通していない。
さらに、本実施形態の空気入りタイヤでは、最短距離が最も小さい2つのサイプ(図1においては例えば、サイプ12a、12b)について、これら2つの短サイプ12a、12bをそれぞれ内包する各最小外接円14a、14bの中心間距離Rが、2つのサイプ12a、12bの最短距離rの1.00倍以上1.15倍以下である。ここで、2つのサイプの最短距離には、2つのサイプの端部同士間を測定する場合は勿論、一方のサイプの端部ではない部位と他方のサイプの端部との間を測定する場合や、両サイプの端部ではない部位同士間を測定する場合も含まれる。
加えて、本実施形態の空気入りタイヤでは、図2に示すように、両接地端E1、E2間のタイヤ幅方向WDにおける距離をDとした場合に、複数の短サイプは、タイヤ赤道線CLからタイヤ幅方向WDの各側に向かって0.30×D未満のタイヤ幅方向領域(図2において斜線で示された領域であって、以下「接地端間の短サイプ形成領域」ともいう)内に形成されている。なお、図2では、簡略化のために、短サイプは図示されていない。
作用等
従来、スタッドレスタイヤには、優れた氷上性能や雪上性能を実現するために、陸部表面に多数のサイプが形成されてきたが、近年ではこれらの性能に加えて操縦安定性能の改善も要請されている。そのため、本実施形態の空気入りタイヤでは、図1に示すように、延在方向に沿った長さが接地幅の5%以下である短サイプ12を形成し、陸部剛性の低下を抑制することで、操縦安定性能を改善することとしている(作用効果1)。
但し、短サイプ12の延在方向に沿った長さが過度に小さい場合には、スタッドレスタイヤにそもそも必要な性能である氷上性能や雪上性能に影響を及ぼす排水性が劣化するおそれがあるため、短サイプ12の延在方向に沿った長さは接地幅の3%以上であることが望ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤでは、短サイプ12がいずれも陸部10内で終端しており、陸部10を区画形成する他の溝と連通していないことから、陸部剛性の低下を抑制することで、操縦安定性能を改善することができる(作用効果2)。
さらに、本実施形態の空気入りタイヤでは、図1に示すように、最短距離が最も小さい2つの短サイプ12a、12bをそれぞれ内包する各最小外接円14a、14bの中心間距離Rを、2つのサイプ12a、12bの最短距離rの1.00倍以上としている。これにより、サイプ同士の距離を過度に小さくすることなく、サイプが局所的に密となる領域が生じることを避けて優れた剛性を確保するとともに、接地圧の平準化が図られることで、操縦安定性能を改善することができる(作用効果3)。
これに対し、中心間距離Rを最短距離rの1.15倍以下とすることで、サイプ同士の距離を過度に大きくすることなく、サイプが局所的に疎となる領域が生じることを避けて優れた排水性を確保するとともに、接地圧の平準化が図られることで、氷上制動性能、雪上制動性能、及びドライ操縦安定性能のいずれをも改善することができる(作用効果4)。
なお、中心間距離Rを最短距離rの1.02倍以上1.13倍以下とした場合には、上記作用効果3及び4がより高いレベルで奏されるため望ましく、中心間距離Rを最短距離rの1.04倍以上1.11倍以下とした場合には、上記作用効果3及び4が極めて高いレベルで奏されるためさらに望ましい。
加えて、本実施形態の空気入りタイヤでは、図2に示すように、両接地端E1、E2間のタイヤ幅方向WDにおける距離をDとした場合に、短サイプは、タイヤ赤道線CLからタイヤ幅方向WDの各側に向かって0.30×D未満のタイヤ幅方向領域内に形成されている。これにより、タイヤ赤道線を中心とするタイヤ幅方向中央領域に位置する短サイプによって囲まれる陸部部分の剛性の低下を最低限に抑えることができ、氷上制動性能、雪上制動性能、及びドライ操縦安定性能のいずれも改善することができる(作用効果5)。
以上に示すように、基本形態の空気入りタイヤでは、比較的長さの小さい短サイプを陸部に形成することを前提に、陸部内における短サイプの形成態様、短サイプ同士の位置関係、及び接地端間における短サイプのタイヤ幅方向形成領域について改良を加えることで、上記作用効果1から作用効果5が相まって、氷上制動性能、雪上制動性能、及びドライ操縦安定性能をバランス良く改善することができる。
なお、以上に示す基本形態に係る空気入りタイヤは、図示しないが、従来の空気入りタイヤと同様の子午断面形状を有する。ここで、空気入りタイヤの子午断面形状とは、タイヤ赤道面CLと垂直な平面上に現れる空気入りタイヤの断面形状をいう。基本形態に係る空気入りタイヤは、タイヤ子午断面視で、タイヤ径方向内側から外側に向かって、ビード部、サイドウォール部、ショルダー部及びトレッド部を有する。そして、上記空気入りタイヤは、例えば、タイヤ子午断面視で、トレッド部から両側のビード部まで延在して一対のビードコアの周りで巻回されたカーカス層と、カーカス層のタイヤ径方向外側に順次形成された、ベルト層及びベルト補強層とを備える。
また、以上に示す基本形態に係る空気入りタイヤは、通常の各製造工程、即ち、タイヤ材料の混合工程、タイヤ材料の加工工程、グリーンタイヤの成型工程、加硫工程及び加硫後の検査工程等を経て得られるものである。基本形態の空気入りタイヤを製造する場合には、加硫用金型の内壁に、例えば、図1に示すサイプに対応する凸部等を形成し、この金型を用いて加硫を行う。
付加的形態
次に、本発明に係る空気入りタイヤの上記基本形態に対して、任意選択的に実施可能な、付加的形態1〜5を説明する。
付加的形態1
基本形態においては、接地面内におけるサイプの延在方向に沿った長さの合計が、接地幅の3.3倍以上10.0倍以下であること(付加的形態1)が好ましい。なお、本形態におけるサイプとは、接地面内に含まれる全てのサイプを含む概念であり、基本形態において説明した短サイプが含まれることは勿論、短サイプ以外のサイプ(延在方向に沿った長さが接地幅の5%超であるサイプ)をも含む概念である。
接地幅に対する、接地面内におけるサイプの延在方向に沿った長さの合計(サイプ合計長さの接地幅比)を3.3倍以上とすることで、排水性能をさらに高めるとともに、陸部10内にサイプ形成により生じるエッジをさらに多く含むことができる。これにより、特に氷上制動性能と雪上制動性能とをさらに高めることができる。
これに対し、サイプ合計長さの接地幅比を10.0倍以下とすることで、陸部10の剛性を過度に低減することを抑制し、ひいては操縦安定性能をさらに高めることができる。
なお、サイプ合計長さの接地幅比を3.5倍以上7.0倍以下とした場合には、上記効果がそれぞれより高いレベルで奏されるためさらに好ましく、3.7倍以上5.0倍以下とした場合には、上記効果がそれぞれさらに一層高いレベルで奏されるため極めて好ましい。
付加的形態2
図3は、1つの陸部における短サイプのタイヤ周方向形成位置を示す平面図である。図3に示す例では、回転方向が指定されており、周方向溝G1、G2と傾斜溝G3、G4とによって区画形成された陸部20に、上述した形状の短サイプ22、24、26、28、30、32、34、36が形成されているとともに、短サイプ以外の長サイプ42、44、46、48、50、52が形成されている。ここで、長サイプとは、延在方向に沿った長さが接地幅の5%超であるサイプをいい、陸部を区画形成する溝に連通するか否かは問わない。また、長サイプ同士の位置関係については特に限定されない。図3に示すところでは、短サイプ22〜36は陸部の蹴り出し側の領域に、長サイプ42〜52は陸部のそれ以外の領域に、それぞれ形成されている。
基本形態又は基本形態に付加的形態1を加えた形態においては、図3に示すように、陸部20内における短サイプ22〜36のタイヤ周方向形成位置について、タイヤ周方向踏み込み側端部X1を0%の位置とするとともに、タイヤ周方向蹴り出し側端部X2を100%の位置とした場合に、短サイプ22〜36が、陸部20における75%以上100%未満のタイヤ周方向位置に形成されていること(付加的形態2)が好ましい。
短サイプ22〜36のタイヤ周方向形成位置を75%以上100%未満の位置とすることで、延在方向に沿った長さが比較的小さい短サイプを蹴り出し側端部付近に形成し、当該端部付近の剛性を高め、ひいてはヒールアンドトゥ摩耗を抑制することができる。短サイプ22〜36のタイヤ周方向形成位置を80%以上の位置とした場合には、ヒールアンドトゥ摩耗をさらに抑制することができるためより好ましく、85%以上の位置とした場合には、ヒールアンドトゥ摩耗をさらに一層抑制することができるため極めて好ましい。
これに対し、短サイプ22〜36のタイヤ周方向形成位置を100%の位置に近づけ過ぎると、短サイプ22〜28が陸部20を区画形成している溝G3と連通しないまでも、陸部20の蹴り出し側端部近傍の剛性は低下するおそれが高い。このため、短サイプ22〜36のタイヤ周方向形成位置を95%以下の位置とすることがさらに好ましく、93%以下の位置とすることが極めて好ましい。このように短サイプ22〜28を傾斜溝G3からある程度離間させることで、陸部20の蹴り出し側端部近傍の剛性が高めて、ひいては操縦安定性能をさらに高めることができる。
付加的形態3
基本形態又は基本形態に付加的形態1、2の少なくともいずれかを加えた形態においては、図4に示すようにタイヤ幅方向における陸部の幅をLBとした場合に、短サイプ62が、各陸部の幅方向中心線Cからタイヤ幅方向各側に向かって0.15×LB以内のタイヤ幅方向領域(以下、「陸部内の短サイプ形成領域」ともいう)内に存在することが好ましい。ここで、「タイヤ幅方向における陸部の幅」とは、陸部のタイヤ幅方向最外側位置とタイヤ幅方向最内位置との間のタイヤ幅方向距離を指す。また、「各陸部の幅方向中心線」とは、上記2つの位置を結ぶ線分の中点を通り、タイヤ周方向に延びる線を指す。
図4に示す例では、陸部60はY1、Y2、Y3及びY4を頂点とする四角形の形状を有し、頂点Y1と頂点Y2とが陸部60のタイヤ幅方向最外側位置又はタイヤ幅方向最内位置に存在する。図4には、頂点Y1と頂点Y2とを結ぶ線分の中点がYCで示されており、中点YCを通り、タイヤ周方向(CD)に平行な線Cが示されている。陸部60内には、上述した形状の短サイプ62が幅方向中心線Cからタイヤ幅方向(WD)各側に向かって0.15×LB以内の領域内に形成されているとともに、2種類の長サイプ64及び66が形成されている。この例は、特に陸部60のタイヤ幅方向中央部の剛性を高めて、操縦安定性を高めた例である。
付加的形態4
基本形態又は基本形態に付加的形態1〜3の少なくともいずれかを加えた形態においては、上記短サイプが形成された陸部に少なくとも1つの長サイプが形成されていること(付加的形態4)が、排水性をさらに高め、ひいては氷上制動性能及び雪上制動性能を高めることができる点で好ましい。
付加的形態5
基本形態又は基本形態に付加的形態1〜4の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1に示す短サイプ12及び図3に示す短サイプ22〜36が非環状サイプであること(付加的形態5)が好ましい。ここで、非環状サイプとは、短サイプが少なくとも2つの端部を有することを意味する。なお、端部は3つ以上あってもよい。
短サイプ12を非環状サイプとすることで、踏み込み側から蹴り出し側に向かって、かつ、タイヤ幅方向内側から外側に向かって、水の流れを効率的に構築し、1つのサイプの中において水が滞留することを避けることができる。これにより、排水性がさらに高まり、ひいては、氷上制動性能、雪上制動性能をさらに高めることができる。
使用可能な陸部例
以上、基本形態及び付加的形態1〜5について詳述したが、以下に、本実施形態の空気入りタイヤに使用可能な陸部の例を説明する。
図5は、本実施形態の空気入りタイヤに適用可能な陸部のさらなる例を示す平面図である。なお、図示しないが、図5(a)〜(g)では、いずれも、紙面の横方向がタイヤ幅方向であり、紙面の縦方向がタイヤ周方向である。また、いずれの図においても、紙面の下方が踏み込み側であって、上方が蹴り出し側である。
図5(a)に示す例では、陸部70に複数の短サイプ72が形成されており、長サイプは形成されていない。この例は、特に陸部剛性、ひいては操縦安定性能を高めた例である。
図5(b)に示す例では、陸部80に複数の短サイプ82と2種類の長サイプ84、86が形成されており、短サイプ82は蹴り出し側の領域に形成されている。この例は、特に蹴り出し側の剛性を高めて、ヒールアンドトゥ摩耗を抑制した例である。
図5(c)に示す例では、陸部90に複数の短サイプ92と2種類の長サイプ94、96が形成されており、タイヤ周方向において短サイプ92と長サイプ94、96とが交互に形成されている。この例は、特にタイヤ周方向における接地圧を平準化して、操縦安定性能を高めた例である。
図5(d)に示す例では、陸部100に複数の短サイプ102が形成されており、短サイプ102は図5(a)の短サイプ72と全長は同じであるが形状が異なる。この例は、特にサイプの開口量(タイヤ幅方向における存在範囲とタイヤ周方向における存在範囲とにより決定される)を減少させて、サイプ部を起点とする破壊に対する耐久性を向上とした例である。
図5(e)に示す例では、陸部110に複数の短サイプ112が形成されており、短サイプ112は図5(a)の短サイプ72よりも延在方向に沿った長さが大きい。この例は、特に排水性、ひいては氷上制動性能、雪上制動性能を高めた例である。
図5(f)に示す例では、陸部120に複数の短サイプ122が形成されており、短サイプ122の形成数は図5(e)の短サイプ112の形成数の2倍である。この例は、特に排水性、ひいては氷上制動性能、雪上制動性能を極めて高いレベルで高めた例である。
図5(g)に示す例では、陸部130に複数の短サイプ132と2種類の長サイプ134、136が形成されており、短サイプ132は陸部130のタイヤ幅方向中央部に形成されているが、その形成数は図4の陸部60における短サイプ62の形成数の半分である。この例は、特に剛性を高めて操縦安定性能を高めた例である。
タイヤサイズを205/55R16 91Hとし、発明例1〜6に係る空気入りタイヤ、及び従来例の空気入りタイヤを作製した。なお、これらの空気入りタイヤの細部の諸条件については、以下の表1に示すとおりである。但し、いずれの空気入りタイヤについても、トレッド表面に少なくとも1つの陸部が区画形成され、これら陸部に、延在方向に沿った長さが接地幅の5%以下である複数の短サイプが形成されていた。また、発明例1〜6に係るタイヤでは、いずれの短サイプも、接地端間の短サイプ形成領域はタイヤ赤道線からタイヤ幅方向外側に向かって0.30×D未満の領域であった。
表1中、「陸部内における短サイプの形成態様」、「中心間距離/最短距離」、「接地端間の短サイプ形成領域」、「短サイプ合計長さの接地幅比」、「短サイプのタイヤ周方向形成位置」、「陸部内の短サイプ形成領域」、「長サイプの有無」(すなわち、短サイプが形成された陸部に少なくとも1つの長サイプが形成されているか否か)、及び「短サイプが環状サイプ含むか否か」については、いずれも、本明細書中で説明した記載に準拠するものである。
このように作製した、発明例1〜6に係る空気入りタイヤ、及び従来例の空気入りタイヤを、16×6.5Jのアルミニウム製のリムに250kPaで組み付け、各試験タイヤをFR方式の試験車両(排気量:2000cc)に装着し、以下の要領に従い、氷上制動性能、雪上制動性能、ドライ操縦安定性能、耐偏摩耗性能についての評価を行った。
氷上制動性能
試験車両に、2名乗車相当の荷重条件で、氷路面からなるテストコースにおいて速度20km/hでの走行状態からABS制動を行い、その制動距離を測定し、測定値の逆数を算出した。そして、この算出結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価を行った。評価結果を表1に併記する。この評価は、指数が大きいほど、氷上制動性能が高いことを示す。
雪上制動性能
試験車両に、2名乗車相当の荷重条件で、雪路面からなるテストコースにおいて速度20km/hでの走行状態からABS制動を行い、その制動距離を測定し、測定値の逆数を算出した。そして、この算出結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価を行った。評価結果を表1に併記する。この評価は、指数が大きいほど、雪上制動性能が高いことを示す。
操縦安定性能
各試験タイヤを装着した車両で乾燥路面のテストコースを走行した際の、テストドライバーによる官能性評価を実施した。そして、この結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価を行った。評価結果を表1に併記する。この評価は、指数が大きいほど、操縦安定性能が高いことを示す。
耐偏摩耗性能1
試験車両について、40000kmのパターン走行を行った後の陸部の摩耗量(タイヤ赤道面付近の摩耗量に対するタイヤ接地端付近の摩耗量:ショルダー摩耗量/センター摩耗量)を測定し、測定値の逆数を算出した。この算出結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価を行った。評価結果を表1に併記する。この評価は、指数が大きいほど、タイヤ接地端付近の摩耗量が少ないことを示す。
耐偏摩耗性能2
試験車両について、40000kmのパターン走行を行った後の陸部の摩耗量(ヒールアンドトウ摩耗)を測定し、測定値の逆数を算出した。この算出結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価を行った。評価結果を表1に併記する。この評価は、指数が大きいほど、ヒールアンドトウ摩耗が少ないことを示す。
Figure 2021165111
表1によれば、本発明の技術的範囲に属する(即ち、比較的長さの小さい短サイプを陸部に形成することを前提に、陸部内における短サイプの形成態様、短サイプ同士の位置関係、及び接地端間における短サイプのタイヤ幅方向形成領域について改良を加えた)発明例1〜6の空気入りタイヤについては、いずれも、本発明の技術的範囲に属しない従来例の空気入りタイヤに比べて、氷上制動性能、雪上制動性能、及びドライ操縦安定性能がバランス良く改善されていることが判る。
10 陸部
12 短サイプ
14a、14b 最小外接円
R 最小外接円14a、14bの中心間距離
r 2つのサイプ12a、12bの最短距離
E1、E2 接地端
D 両接地端間のタイヤ幅方向距離
B タイヤ幅方向における陸部の幅

Claims (6)

  1. トレッド表面に少なくとも1つの陸部が区画形成され、前記陸部に、延在方向に沿った長さが接地幅の5%以下である複数の短サイプが形成された空気入りタイヤであって、
    前記短サイプは前記陸部内で終端し、
    最短距離が最も小さい2つの短サイプについて、前記2つの短サイプをそれぞれ内包する各最小外接円の中心間距離が、前記2つの短サイプの最短距離の1.00倍以上1.15倍以下であり、
    両接地端間のタイヤ幅方向距離をDとした場合に、前記複数の短サイプは、タイヤ赤道線からタイヤ幅方向各側に向かって0.30×D未満のタイヤ幅方向領域内に形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 接地面内におけるサイプの延在方向に沿った長さの合計が、接地幅の3.3倍以上10.0倍以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 回転方向が指定され、
    前記陸部内における前記短サイプのタイヤ周方向形成位置について、タイヤ周方向踏み込み側端部を0%の位置とするとともに、タイヤ周方向蹴り出し側端部を100%の位置とした場合に、
    前記短サイプが、前記陸部における75%以上100%未満のタイヤ周方向位置に形成されている、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ幅方向における陸部の幅をLとした場合に、前記短サイプが、各陸部の幅方向中心線からタイヤ幅方向各側に向かって0.15×L以内のタイヤ幅方向領域に存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記短サイプが形成された陸部に少なくとも1つの長サイプが形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記短サイプが非環状サイプである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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