JP2021163691A - 除電装置及び除電方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間でイオンバランスを小さくできる除電装置および除電方法を提供すること。【解決手段】除電装置1は、イオン50を発生させる放電電極12と、放電電極12を支持するホルダー13と、発生したイオン50にエアを吹きかけ除電対象物にイオン50を供給する送風ユニット20と、制御部30と、を備える。制御部30は、除電開始時は送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を大きくして急速に除電し、除電開始から所定時間経過すると、除電開始時より送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を小さくして、除電対象物に供給されるイオンの量を減らし、イオンバランスを小さく整えるよう制御する。【選択図】図2
Description
本発明は、除電装置及び除電方法に関する。
半導体デバイス等のデバイスのワークを保持テーブルで保持したり、保持テーブルから搬出したり、等の処理を行う過程に、ワークの表面に静電気が帯電することがある。近年はデバイスの省電力化に伴い、小さな電力でもデバイスが機能するようになっているため、デバイスに不良をもたらす電圧レベルも下がっている。また、配線の微細化に伴っても、デバイスに不良をもたらす電圧レベルが下がっている。
これらのことから、ワークの表面に帯電する静電気によりデバイスが破壊されてしまう問題が起きやすくなっている。この問題に対応するため、イオナイザ等の除電装置でワークの静電気を除去する方法が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、微細な電圧でも破壊されるようなデバイスの場合、より小さいイオンバランスにおさえることが必要となるが、イオンバランスを小さくするために供給するイオンの量を少なくすると、ワーク上の静電気を除電するのに時間がかかり、生産性を悪化させるおそれがあった。またイオナイザ等の除電装置とワークとの距離を離せばイオンバランスはよくなるが、加工装置内に設置スペースがないという問題があった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、短時間でイオンバランスを小さくできる除電装置および除電方法を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の除電装置は、除電装置であって、該除電装置は、イオンを発生させる放電電極と、該放電電極を支持するホルダーと、発生した該イオンにエアを吹きかけ除電対象物に該イオンを供給する送風ユニットと、制御部と、を備え、該制御部は、除電開始時は該送風ユニットから吹き出されるエアの圧力または流量または流速を大きくして急速に除電し、除電開始から所定時間経過すると、除電開始時より該送風ユニットから吹き出されるエアの圧力または流量または流速を小さくして、該除電対象物に供給されるイオンの量を減らし、イオンバランスを小さく整えるよう制御することを特徴とする。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の除電装置は、除電装置であって、該除電装置は、イオンを発生させる放電電極と、該放電電極を支持するホルダーと、発生した該イオンにエアを吹きかけ除電対象物に該イオンを供給する送風ユニットと、制御部と、を備え、該制御部は、除電開始時は該放電電極に印加する電圧の周波数を小さくして急速に除電し、除電開始から所定時間経過すると、除電開始時より該放電電極に印加する電圧の周波数を大きくして、該除電対象物に供給されるイオンの量を減らし、イオンバランスを小さく整えるよう制御することを特徴とする。
該除電装置は、除電中の除電対象物のイオンバランスを測定する測定ユニットをさらに備え、該イオンバランスが所定のしきい値を超えると、該エアの圧力または流量または流速を少なくする処理を行ってもよい。
該除電装置は、被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された加工する加工ユニットと、を有する加工装置に設置され、該加工装置内で被加工物を除電してもよい。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の除電方法は、除電装置による除電方法であって、該除電装置は、イオンを発生させる放電電極と、該放電電極を支持するホルダーと、発生した該イオンにエアを吹きかけ除電対象物に該イオンを供給する送風ユニットと、制御部と、を備え、該除電方法は、該送風ユニットによって発生したイオンにエアを吹きかけ、除電対象物に供給する第一の除電ステップと、除電開始から所定時間経過後に、該第一の除電ステップより該送風ユニットから吹き出されるエアの圧力または流量または流速を少なくして、該除電対象物に供給されるイオンの量を減らし、イオンバランスを小さく整える第二の除電ステップと、を備えることを特徴とする。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の除電方法は、除電装置による除電方法であって、該除電装置は、イオンを発生させる放電電極と、該放電電極を支持するホルダーと、発生した該イオンにエアを吹きかけ除電対象物に該イオンを供給する送風ユニットと、制御部と、を備え、該除電方法は、該送風ユニットによって発生したイオンにエアを吹きかけ、除電対象物に供給する第一の除電ステップと、除電開始から所定時間経過後に、該第一の除電ステップより該放電電極に印加する電圧の周波数を大きくして、該除電対象物に供給されるイオンの量を減らし、イオンバランスを小さく整える第二の除電ステップと、を備えることを特徴とする。
測定ユニットによって、除電中の除電対象物のイオンバランスを測定する測定ステップをさらに備え、測定されたイオンバランスが所定のしきい値を超えると、該第一の除電ステップから該第二の除電ステップに移行してもよい。
該第一の除電ステップおよび該第二の除電ステップの前後に、該除電対象物を加工する加工ステップをさらに備えてもよい。
本発明は、短時間でイオンバランスを小さくできる。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る除電装置1及び除電方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る除電装置1が設置される加工装置100の構成例を示す斜視図である。実施形態1に係る除電装置1が設置される加工装置100は、図1に示すように、保持テーブル110と、加工ユニット120と、搬送ユニット130と、カセット140と、洗浄ユニット150と、を備える。
本発明の実施形態1に係る除電装置1及び除電方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る除電装置1が設置される加工装置100の構成例を示す斜視図である。実施形態1に係る除電装置1が設置される加工装置100は、図1に示すように、保持テーブル110と、加工ユニット120と、搬送ユニット130と、カセット140と、洗浄ユニット150と、を備える。
加工装置100は、加工ユニット120で保持テーブル110に保持された被加工物200を加工し、被加工物200を加工する前後に、除電装置1で本発明の除電対象物の一例である被加工物200を除電する装置である。
実施形態1において、加工装置100が加工する加工対象であり、除電装置1が除電する除電対象である被加工物200は、図1に示すように、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素などを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどのウエーハである。被加工物200は、平坦な表面201の格子状に形成される複数の分割予定ライン202によって区画された領域にデバイス203が形成されている。被加工物200は、表面201の裏側の裏面204に粘着テープ205が貼着され、粘着テープ205の外縁部に環状フレーム206が装着されている。また、本発明では、被加工物200は、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
保持テーブル110は、保持面111で被加工物200を、表面201側を上側に向けて、裏面204側を保持する。保持テーブル110は、被加工物200を保持する平坦な保持面111が上面に形成されかつ多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から構成された円盤形状の吸着部と、吸着部を上面中央部の窪み部に嵌め込んで固定する枠体とを備えた円盤形状である。保持面111は、水平面であるXY平面に平行に形成されている。保持テーブル110は、X軸移動ユニットにより水平方向の一方向であるX軸方向に移動自在に、不図示の回転駆動源によりZ軸回りに回転自在に設けられている。保持テーブル110は、吸着部が、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、保持面111全体で、被加工物200を吸引保持する。
加工ユニット120は、保持テーブル110に保持された被加工物200を加工する。加工ユニット120は、実施形態1では切削加工ユニットであり、切削ブレード121を含む。切削ブレード121は、水平方向の別の一方向でありX軸方向に直交するY軸方向と平行な軸心周りの回転動作が加えられて、保持テーブル110に保持された被加工物200を切削する。加工ユニット120は、保持テーブル110に保持された被加工物200に対して、Y軸移動ユニットによりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニットにより鉛直方向であるZ軸方向に移動自在に設けられている。
加工装置100は、切削ブレード121を回転させながら、X軸移動ユニット、Y軸移動ユニット及びZ軸移動ユニットにより、それぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に沿って、切削ブレード121を保持テーブル110に保持された被加工物200に対して相対的に移動させることにより、被加工物200を分割予定ライン202に沿って切削加工して、分割予定ライン202に沿って切削溝を形成する。
なお、加工装置100が備える加工ユニット120は、切削ブレード121で被加工物200を切削加工する切削ユニットに限定されない。他には、加工ユニット120は、例えば、研削砥石等で同様の被加工物200を研削加工する研削ユニットや、研磨パッド等で同様の被加工物200を研磨加工する研磨ユニットや、同様の被加工物200にレーザービームを照射してレーザー加工するレーザー加工ユニットなどでもよい。
カセット140は、複数の被加工物200を収容する。搬送ユニット130は、第1搬送部131と、互いに接近及び離間可能に設けられた一対のガイドレール132と、第2搬送部133とを備える。第1搬送部131は、カセット140に収容された被加工物200を把持してY軸方向に沿って搬出して、一対のガイドレール132上に搬送する。また、第1搬送部131は、一対のガイドレール132上の被加工物200を把持してカセット140にY軸方向に沿って搬入する。また、第1搬送部131は、一対のガイドレール132と保持テーブル110との間で被加工物200を搬送する。第2搬送部133は、一対のガイドレール132と洗浄ユニット150との間で被加工物200を搬送する。洗浄ユニット150は、切削加工後の被加工物200を洗浄し、被加工物200に付着した切削屑等の異物を除去する。
実施形態1に係る除電装置1は、加工装置100の3箇所に設置されている。実施形態1に係る除電装置1は、1箇所目は、図1に示すように、カセット140と一対のガイドレール132との間の被加工物200の搬送経路に向けて設置されている。実施形態1に係る除電装置1は、2箇所目は、図1では図示が省略されているが、一対のガイドレール132の間の被加工物200の載置位置に向けて設置されている。実施形態1に係る除電装置1は、3箇所目は、図1に示すように、洗浄ユニット150における被加工物200の保持位置に向けて設置されている。なお、除電装置1は、本発明ではこれに限定されず、除電対象物である被加工物200のいかなる移動経路、載置位置、保持位置に向けて設置されてもよいし、2箇所以下しか設置されなくてもよいし、4箇所以上設置されてもよい。
なお、除電装置1が設置される加工装置は、図1に示す加工装置100に限らず、被加工物200の一方の面に粘着テープ205を貼着する図7及び図8に示すテープマウンター160や、被加工物200に貼着された粘着テープ205を拡張することで被加工物100を個片化する図9及び図10に示すテープ拡張装置170などであっても良い。また、除電装置1が設置される加工装置は、レーザー加工装置や研削研磨装置、プラズマ加工装置など、保持テーブル110に保持された被加工物100を加工するその他の加工装置であっても良い。
図2は、実施形態1に係る除電装置1の機能構成の一例を模式的に示す図である。実施形態1に係る除電装置1は、図2に示すように、イオン発生部10と、送風ユニット20と、制御部30と、測定ユニット40と、を備える。除電装置1は、実施形態1では測定ユニット40を備えているが、本発明ではこれに限定されず、測定ユニット40を省略してもよい。
イオン発生部10は、イオン50を発生する装置であり、図2に示すように、筐体11と、放電電極12と、ホルダー13と、高圧電源14と、を備える。イオン発生部10は、以下に説明するように、コロナ放電方式のものが好適に使用されるが、本発明ではこれに限定されず、その他の放電方式のものであってもよい。
筐体11は、一方側に送風ユニット20からエアが供給される開口11−1が設けられており、他方側に発生したイオン50を含んだエアを噴出する開口11−2が設けられている。筐体11は、開口11−1に送風ユニット20が接続されており、開口11−2が除電対象物である被加工物200に向けられて配置される。
放電電極12は、先端部12−1が、筐体11内の空間の開口11−1と開口11−2との間の領域にくるように設置される。ホルダー13は、筐体11の上側の内周面に設置され、放電電極12を上方から筐体11内で支持する。高圧電源14は、高圧で、所定の周波数のプラスとマイナスの電圧を放電電極12に印加する。ここで、高圧は、実施形態1では、電圧が3kV以上であることを指す。
高圧電源14が放電電極12にプラスとマイナスの電圧を印加する方式は、実施形態1では、1本の電極針で交流でプラスとマイナスをそのまま出す方式(AC方式)、1本の電極針でプラスの直流電圧とマイナスの直流電圧をスイッチングして交互に出す方式(ACパルス方式)2本の電極針でプラスの直流電圧とマイナスの直流電圧を同時に出す方式(DC方式)、2本の電極針でプラスの直流電圧とマイナスの直流電圧を交互に出す方式(DCパルス方式)のいずれの方法を採用してもよい。なお、ACパルス方式は、直流電圧が印加されるが、スイッチングで交流電圧が印加されているかのように見えるため、このように呼称されている。
放電電極12は、高圧電源14から高圧が印加されることで、先端部12−1の周囲のエアを電離して、先端部12−1の周囲にイオン50を発生させる。また、放電電極12は、高圧電源14から所定の周波数の電圧が印加されることで、当該周波数に基づく周期で、プラスに帯電したイオン50と、マイナスに帯電したイオン50とを交互に発生させる。
送風ユニット20は、図2に示すように、イオン発生部10の開口11−1に接続されている。送風ユニット20は、エアを開口11−1からイオン発生部10の筐体11内に供給することで、イオン発生部10で発生したイオン50に開口11−1側からエアを吹きかけ、開口11−2側が向けられた除電対象物である被加工物200にイオン50を含んだエアを供給する。
送風ユニット20は、実施形態1では、図2に示すように、エア源21と、2本のエア供給管22−1,22−2と、2つの絞り弁23−1,23−2と、2つの圧力計24−1,24−2と、2つの流量計25−1,25−2と、切替弁29と、を備える。
エア源21は、エアの供給源であり、例えば、圧縮空気を供給する。2本のエア供給管22−1,22−2は、エア源21とイオン発生部10の開口11−1との間で並列に配されており、それぞれ個別にエア源21から供給されるエアをイオン発生部10の開口11−1に供給する。切替弁29は、エア源21からのエア供給先をエア供給管22−1とエア供給管22−2との間で切り替えることで、イオン発生部10の開口11−1にエアを供給する際に使用するエアの経路をエア供給管22−1とエア供給管22−2との間で切り替える。
絞り弁23−1、圧力計24−1及び流量計25−1は、一方のエア供給管22−1に設置されている。絞り弁23−1は、エア供給管22−1からイオン発生部10に供給するエアの圧力、流量、流速等を制御する。圧力計24−1は、エア供給管22−1内を流れるエアの圧力を測定することで、エア供給管22−1からイオン発生部10に供給するエアの圧力を測定する。流量計25−1は、エア供給管22−1内を流れるエアの流量を測定することで、エア供給管22−1からイオン発生部10に供給するエアの流量を測定する。
絞り弁23−2、圧力計24−2及び流量計25−2は、他方のエア供給管22−2に設置されている。絞り弁23−2、圧力計24−2及び流量計25−2は、上記した絞り弁23−1、圧力計24−1及び流量計25−1と同じ機能を有し、絞り弁23−1、圧力計24−1及び流量計25−1が一方のエア供給管22−1内を流れるエアに対してする作用と同様の作用を、エア供給管22−2内を流れるエアに対してもたらすものである。
制御部30は、除電装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、除電対象物である被加工物200に対する実施形態1に係る除電方法の各処理等に関する各動作を除電装置1に実施させるものである。制御部30は、イオン発生部10の高圧電源14を制御して、高圧電源14が放電電極12に印加するプラスとマイナスの電圧の大きさ及び切替え周波数を制御する。制御部30は、絞り弁23−1,23−2を制御することで、それぞれのエア供給管22−1,22−2内を流れるエアの圧力、流量、流速等を制御する。制御部30は、圧力計24−1,24−2からそれぞれのエア供給管22−1,22−2内を流れるエアの圧力の測定値の情報を取得する。制御部30は、流量計25−1,25−2からそれぞれのエア供給管22−1,22−2内を流れるエアの流量の測定値の情報を取得する。
制御部30は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、除電装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して除電装置1の各構成要素に出力する。
測定ユニット40は、除電対象物である被加工物200のイオンバランスを測定する。ここで、本明細書では、イオンバランスとは、帯電電圧の大きさことであり、その値が大きくなるに従ってプラスまたはマイナスに偏って大きく帯電していることを示し、その値が小さくなるに従って帯電が小さいことを示す。
測定ユニット40は、測定部41を有し、測定部41が除電対象物である被加工物200に向けて配置されている。測定部41は、向けられた除電対象物のある方向から、除電対象物の表面で帯電に寄与するイオンを検出することで、イオンバランスを測定する。測定ユニット40は、測定部41によるイオンバランスの測定値の情報を制御部30に送信する。なお、実施形態1において測定ユニット40は省略されても良い。
図3は、図2の除電装置1の制御部30が記憶する処理順序データ35の一例を示す図である。制御部30の記憶装置は、除電対象物である被加工物200を除電する実施形態1に係る除電方法を実施する際に制御部30の演算処理装置が実行する演算処理に使用する情報を、図3に示す処理順序データ35として格納する。処理順序データ35は、除電装置1が除電方法を実施する前に、オペレータが不図示の入力ユニットに入力した情報に基づいて、予め制御部30の記憶装置に記憶される。
制御部30の記憶装置は、図3に示すように、除電装置1が除電方法を実施する際の各処理の処理順序と、各処理において送風ユニット20から供給するエアの圧力、エアの流量及びエアの流速のそれぞれの目安と、各処理においてイオン発生部10の高圧電源14が印加するプラスとマイナスの電圧の切替え周波数と、各処理の処理時間と、を1対1で対応付けて処理順序データ35として記憶している。なお、エアの圧力と流量と流速と切替え周波数とは処理順序1及び2ですべて変える必要は無く、少なくともいずれか一つを変更すれば良い。
処理順序データ35は、実施形態1では、処理順序が1番目の処理の方が処理順序が2番目の処理よりも、エアの圧力、エアの流量及びエアの流速の少なくともいずれか1つを大きく設定することで、除電対象物である被加工物200の除電速度、すなわちイオンバランスの減少速度を早く設定している。また、処理順序データ35は、このように設定することで、処理順序が2番目の処理の方が処理順序が1番目の処理よりも、到達できるイオンバランスを低く設定している。
また、処理順序データ35は、実施形態1では、オペレータが予め実験等により調査しておくことで、処理順序が1番目の処理で、イオンバランスが所定の数値まで到達する時間を時間1として設定している。なお、処理順序データ35が設定する処理順序が1番目の処理の時間は、本発明に係る所定時間に相当する。また、イオンバランスの所定の数値は、実施形態1では、例えば30Vに設定される。
制御部30は、このように除電方法を実施する際の各処理を予め設定した処理順序データ35を参照して、処理順序が1番目の処理と2番目の処理とを順次実行することで、本発明に係る、除電開始時は送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を大きくして急速に除電し、除電開始から所定時間経過すると、除電開始時より送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を小さくして、除電対象物に供給されるイオン50の量を減らし、イオンバランスを小さく整えるよう制御することを、実現している。ここで、所定時間は、実施形態1では、処理順序が1番目の処理の処理時間である時間1である。
除電装置1は、実施形態1では、例えば、制御部30が、絞り弁23−1,23−2を予め調整して、エア供給管22−1を使用して供給するときの方がエア供給管22−2を使用して供給するときの方よりも、エアの圧力、エアの流量及びエアの流速の少なくともいずれか1つを大きく設定しておき、処理順序が1番目の処理でエア供給管22−1側からイオン発生部10にエアを供給し、処理順序が2番目の処理でエア供給管22−2側からイオン発生部10にエアを供給するように切替弁29により切り替える。除電装置1は、このようにすることで、本発明に係る、除電開始時は送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を大きくして急速に除電し、除電開始から所定時間経過すると、除電開始時より送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を小さくして、除電対象物に供給されるイオン50の量を減らし、イオンバランスを小さく整えるよう制御することを、実現している。
なお、除電装置1は、実施形態1では、制御部30が、処理順序データ35を参照して、圧力計24−1,24−2及び流量計25−1,25−2の各測定値を確認しながら、絞り弁23−1,23−2の調整をすべて自動で実施しているが、本発明ではこれに限定されず、オペレータが適宜部分的に、絞り弁23−1,23−2を手動で調整してもよい。また、除電装置1は、実施形態1では、制御部30が、自動で切替弁29を切り替えることで、エアの供給に使用するエア供給管22−1,22−2を切り替えているが、本発明ではこれに限定されず、オペレータが手動で切替弁29を切り替えてもよい。
除電装置1は、実施形態1では、エア供給管22−1,22−2に圧力計24−1,24−2及び流量計25−1,25−2が設置されているが、本発明ではこれに限定されず、圧力計、流量計及び流速計のうちいずれか1つが設けられていてもよいし、実施形態1と異なる組み合わせでこれらの2種類が設けられていてもよいし、これらの3種類全てが設けられていてもよい。
次に、本明細書は、実施形態1に係る除電装置1の動作の一例である実施形態1に係る除電方法の一例を図面に基づいて説明する。図4は、実施形態1に係る除電方法の処理の手順の一例を示すフローチャートである。実施形態1に係る除電方法は、図4に示すように、第一の除電ステップ1001と、第二の除電ステップ1002と、を備える。
第一の除電ステップ1001は、送風ユニット20によって、イオン発生部10で発生したイオン50にエアを吹きかけ、除電対象物である被加工物200に供給するステップである。第一の除電ステップ1001では、実施形態1では、制御部30が、予めエアの圧力、エアの流量及びエアの流速の少なくともいずれか1つを大きく設定したエア供給管22−1側を使用することで、除電対象物である被加工物200に向けてイオン50を含み、圧力、流量及び流速の少なくともいずれかが大きいエアを供給して、急速に除電対象物である被加工物200を急速に除電する。第一の除電ステップ1001では、実施形態1では、制御部30が、処理順序データ35で設定した時間分だけ実行するので、短時間でイオンバランスを所定の数値まで到達させることができる。
制御部30は、第一の除電ステップ1001の処理を終了後、切替弁29を切り替えることで、エアの供給に使用するエア供給管22−1,22−2を切り替えて、第二の除電ステップ1002の処理を開始する。
第二の除電ステップ1002は、除電開始から所定時間経過後に、第一の除電ステップ1001より送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を少なくして、除電対象物である被加工物200に供給されるイオン50の量を減らし、イオンバランスを小さく整えるステップである。第一の除電ステップ1001では、実施形態1では、制御部30が、予めエアの圧力、エアの流量及びエアの流速の少なくともいずれか1つをエア供給管22−1側よりも小さく設定したエア供給管22−2側を使用することで、除電対象物である被加工物200に向けて供給するイオン50の量を減らすことで、除電対象物である被加工物200のイオンバランスを小さく整える。
なお、実施形態1に係る除電方法は、加工装置100のどの位置に設置された除電装置1で実施してもよい。実施形態1に係る除電方法は、加工装置100が除電対象物である被加工物200を加工する加工ステップの前に実施されてもよいし、加工ステップの後に実施されてもよい。加工装置100が実施する加工ステップは、実施形態1では、加工ユニット120により保持テーブル110に保持された除電対象物である被加工物200を加工するものである。加工ステップでは、具体的には、加工装置100が、切削ブレード121を回転させながら、切削ブレード121を保持テーブル110に保持された被加工物200に対して相対的に移動させることにより、被加工物200を分割予定ライン202に沿って切削加工して、分割予定ライン202に沿って切削溝を形成する。
以上のような構成を有する実施形態1に係る除電装置1及び除電方法は、制御部30が、除電開始時は送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を大きくして急速に除電し、除電開始から所定時間経過すると、除電開始時より送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を小さくして、除電対象物に供給されるイオン50の量を減らし、イオンバランスを小さく整えるよう制御する。このため、実施形態1に係る除電装置1及び除電方法は、このように送風ユニット20からのエアの供給を制御することで除電対象物に供給するイオン50を段階的に変更するため、イオン発生部10と除電対象物との距離を変更する必要がないので、設置スペースが小さくても、除電対象物のイオンバランスを小さくする時間を低減できるという作用効果を奏する。
また、実施形態1に係る除電装置1は、保持テーブル110と加工ユニット120とを有する加工装置100に設置され、加工装置100内で被加工物200を除電する。また、実施形態1に係る除電方法は、第一の除電ステップ1001及び第二の除電ステップ1002の前後に、除電対象物である被加工物200を加工する加工ステップや洗浄ユニット150や保持テーブル110からの着脱ステップをさらに備える。実施形態1に係る除電装置1及び除電方法は、スペースの少ない加工装置100にも設置することができ、加工前後または搬送前後の被加工物200のイオンバランスを小さくする時間を低減できるという作用効果を奏する。また、実施形態1に係る除電装置1及び除電方法は、加工装置100内で被加工物200を除電するので、被加工物200の表面201に静電気が帯電してデバイス203に不良をもたらす可能性を低減することができるという作用効果を奏する。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る除電装置1及び除電方法を説明する。以下において、実施形態2に係る除電装置1の説明では、実施形態1に係る除電装置1と異なる部分のみ説明し、実施形態1に係る除電装置1と同一部分の説明を省略する。
本発明の実施形態2に係る除電装置1及び除電方法を説明する。以下において、実施形態2に係る除電装置1の説明では、実施形態1に係る除電装置1と異なる部分のみ説明し、実施形態1に係る除電装置1と同一部分の説明を省略する。
実施形態2に係る除電装置1は、実施形態1において、処理順序データ35の設定を変更したものである。処理順序データ35は、実施形態2では、処理順序が1番目の処理の方が処理順序が2番目の処理よりも、イオン発生部10の高圧電源14が放電電極12に印加するプラスとマイナスの電圧の切替え周波数を小さく設定することで、除電対象物である被加工物200の除電速度を早く設定している。また、処理順序データ35は、このように設定することで、処理順序が2番目の処理の方が処理順序が1番目の処理よりも、到達できるイオンバランスを低く設定している。また、処理順序データ35は、実施形態2では、処理順序が1番目の処理と2番目の処理とで、除電開始時は送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を、同じに設定している。
制御部30は、このように除電方法を実施する際の各処理を予め設定した処理順序データ35を参照して、処理順序が1番目の処理と2番目の処理とを順次実行することで、本発明に係る、除電開始時は放電電極12に印加する電圧の周波数を小さくして急速に除電し、除電開始から所定時間経過すると、除電開始時より放電電極12に印加する電圧の周波数を大きくして、除電対象物に供給されるイオン50の量を減らし、イオンバランスを小さく整えるよう制御することを、実現している。
次に、本明細書は、実施形態2に係る除電装置1の動作の一例である実施形態2に係る除電方法の一例を説明する。以下において、実施形態2に係る除電方法の説明では、実施形態1に係る除電方法と異なる部分のみ説明し、実施形態1に係る除電方法と同一部分の説明を省略する。
実施形態2に係る第一の除電ステップ1001では、高圧電源14が放電電極12に印加するプラスとマイナスの電圧の切替え周波数を、予め処理順序データ35で設定されたように小さくすることで、除電対象物である被加工物200に向けてより大きい量のイオン50を含むエアを供給して、急速に除電対象物である被加工物200を急速に除電する。
実施形態2に係る第二の除電ステップ1002は、除電開始から所定時間経過後に、第一の除電ステップ1001より放電電極12に印加する電圧の周波数を大きくして、除電対象物である被加工物200に供給されるイオン50の量を減らし、イオンバランスを小さく整えるステップである。
以上のような構成を有する実施形態2に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1に係る除電装置1及び除電方法において、制御部30が、第一の除電ステップ1001から第二の除電ステップ1002に移行する際に、除電途中で送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を小さく変更することに代えて、除電途中でイオン発生部10の高圧電源14が放電電極12に印加するプラスとマイナスの電圧の切替え周波数を大きく変更するようにしたものである。このため、実施形態2に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1に係る除電装置1及び除電方法と同様の作用効果を奏するものとなる。
なお、送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速の方が、イオン発生部10の高圧電源14が放電電極12に印加するプラスとマイナスの電圧の切替え周波数よりも制御が容易であるため、実施形態1に係る除電装置1及び除電方法の方が容易に実現しやすいので、好ましい形態である。
また、本発明では、実施形態1と実施形態2とを組み合わせて、制御部30が、第一の除電ステップ1001から第二の除電ステップ1002に移行する際に、除電途中で送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を小さく変更するとともに、送風ユニット20から吹き出されるエアの圧力または流量または流速を小さく変更するようにしてもよい。この場合にも、実施形態1及び実施形態2と同様の作用効果を奏するものとなる。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る除電装置1及び除電方法を図面に基づいて説明する。図5は、実施形態3に係る除電方法の処理の手順の一例を示すフローチャートである。図5は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
本発明の実施形態3に係る除電装置1及び除電方法を図面に基づいて説明する。図5は、実施形態3に係る除電方法の処理の手順の一例を示すフローチャートである。図5は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1及び実施形態2のそれぞれにおいて、制御部30が予め処理順序データ35で設定された処理時間分の第一の除電ステップ1001及び第二の除電ステップ1002を実施することに代えて、制御部30が、測定ユニット40の測定部41で測定する除電中の除電対象物である被加工物200のイオンバランスの測定値に基づいて、第一の除電ステップ1001から第二の除電ステップ1002に移行するようにしたものである。
図5は、実施形態3に係る除電方法の処理の手順の一例を示すフローチャートである。実施形態3に係る除電方法は、図5に示すように、実施形態1及び実施形態2に係る除電方法において、測定ステップ1011と、イオンバランス判定ステップ1012とをさらに備える。
測定ステップ1011は、第一の除電ステップ1001を実行中に実行され、測定ユニット40の測定部41が、第一の除電ステップ1001で除電中の除電対象物である被加工物200のイオンバランスを測定し、このイオンバランスの測定値を制御部30に送信するステップである。
イオンバランス判定ステップ1012は、制御部30が、直前の測定ステップ1011で得られたイオンバランスの測定値が所定のしきい値を超えたか否かを判定するステップである。なお、所定のしきい値は、実施形態3では、実施形態1におけるイオンバランスの所定の数値と同様であり、例えば30Vに設定される。
イオンバランス判定ステップ1012では、制御部30が、直前の測定ステップ1011で得られたイオンバランスの測定値が所定のしきい値を超えた、すなわちこのイオンバランスの測定値が所定のしきい値未満に到達したと判定した場合(イオンバランス判定ステップ1012でYes)、切替弁29を切り替えて、実施形態3に係る除電方法の処理を第一の除電ステップ1001から第二の除電ステップ1002に移行する。
イオンバランス判定ステップ1012では、制御部30が、直前の測定ステップ1011で得られたイオンバランスの測定値が所定のしきい値を超えていない、すなわちこのイオンバランスの測定値がまだ所定のしきい値以上であると判定した場合(イオンバランス判定ステップ1012でNo)、イオンバランスの測定値が所定のしきい値未満に到達するまで、第一の除電ステップ1001を実行しながら、測定ステップ1011及びイオンバランス判定ステップ1012を繰り返し実行する。
以上のような構成を有する実施形態3に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1及び実施形態2に係る除電装置1及び除電方法において、測定ユニット40によって、除電中の除電対象物のイオンバランスを測定し、測定されたイオンバランスが所定のしきい値を超えると、第一の除電ステップ1001から第二の除電ステップ1002に移行するように変更したものである。このため、以上のような構成を有する実施形態3に係る除電装置1及び除電方法は、さらに、除電中の除電対象物である被加工物200のイオンバランスが所定のしきい値となったタイミングで、より確実に、第一の除電ステップ1001から第二の除電ステップ1002に移行することができるので、除電対象物である被加工物200のイオンバランスを小さくする時間をより低減できるという作用効果を奏する。
〔変形例1〕
本発明の実施形態1の変形例1に係る除電装置1及び除電方法を図面に基づいて説明する。図6は、変形例1に係る除電装置1の送風ユニット20−3の機能構成の一例を模式的に示す図である。図6は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
本発明の実施形態1の変形例1に係る除電装置1及び除電方法を図面に基づいて説明する。図6は、変形例1に係る除電装置1の送風ユニット20−3の機能構成の一例を模式的に示す図である。図6は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例1に係る除電装置1は、実施形態1に係る除電装置1において、送風ユニット20を送風ユニット20−3に変更したものであり、その他の構成は同じである。
送風ユニット20−3は、変形例1では、図6に示すように、実施形態1〜実施形態3と同様のエア源21と、1本のエア供給管22−3と、電空レギュレータ26−3と、圧力計24−3と、流量計25−3と、を備える。エア供給管22−3は、エア源21から供給されるエアをイオン発生部10の開口11−1に供給する。
電空レギュレータ26−3、圧力計24−3及び流量計25−3は、いずれもエア供給管22−3に設置されている。電空レギュレータ26−3は、制御部30により、絞り弁23−1,23−2よりも精度よく、エア供給管22−3からイオン発生部10に供給するエアの圧力、流量、流速等を制御する。圧力計24−3及び流量計25−3は、圧力計24−1,24−2及び流量計25−1,25−2と同じ機能を有し、圧力計24−1,24−2及び流量計25−1,25−2がエア供給管22−1,22−2内を流れるエアに対してする作用と同様の作用を、エア供給管22−3内を流れるエアに対してもたらすものである。
変形例1では、制御部30は、電空レギュレータ26−3を制御してエア供給管22−3からイオン発生部10に供給するエアの圧力、流量、流速等を変更することで、第一の除電ステップ1001から第二の除電ステップ1002に移行させる。
以上のような構成を有する実施形態1の変形例1に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1〜実施形態3に係る除電装置1及び除電方法において、送風ユニット20を送風ユニット20−3に変更し、送風ユニット20−3に設置した電空レギュレータ26−3を制御することで、送風ユニット20−3からイオン発生部10に供給するエアの圧力、流量、流速等を変更するようにしたものである。このため、変形例1に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1に係る除電装置1及び除電方法と同様の作用効果を奏するものとなる。
なお、実施形態1の変形例1に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態3と同様に、制御部30が、測定ユニット40の測定部41で測定する除電中の除電対象物である被加工物200のイオンバランスの測定値に基づいて、第一の除電ステップ1001から第二の除電ステップ1002に移行するように変更されてもよい。
〔変形例2〕
本発明の実施形態1〜実施形態3の変形例2に係る除電装置1及び除電方法を図面に基づいて説明する。図7及び図8は、変形例2に係る除電装置1が設置される加工装置であるテープマウンター160の構成例を示す断面図である。図7及び図8は、実施形態1〜実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。変形例2に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1〜実施形態3に係る除電装置1及び除電方法において、除電装置1を設置する対象を加工装置100からテープマウンター160に変更したものである。
本発明の実施形態1〜実施形態3の変形例2に係る除電装置1及び除電方法を図面に基づいて説明する。図7及び図8は、変形例2に係る除電装置1が設置される加工装置であるテープマウンター160の構成例を示す断面図である。図7及び図8は、実施形態1〜実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。変形例2に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1〜実施形態3に係る除電装置1及び除電方法において、除電装置1を設置する対象を加工装置100からテープマウンター160に変更したものである。
変形例2に係る除電装置1が設置される加工装置であるテープマウンター160は、図7及び図8に示すように、送り出しロール161と、巻き取りロール162と、固定ローラ163と、貼着ローラ164と、一対の剥離ローラ165と、テープカッター166と、保持テーブル169と、を備える。送り出しロール161は、ロール状に旋回された粘着テープ205を送り出す。巻き取りロール162は、使用済みの粘着テープ205をロール状に巻き取る。送り出しロール161から送り出される粘着テープ205は、固定ローラ163、貼着ローラ164、一対の剥離ローラ165の間を通って、巻き取りロール162により巻き取られる。テープカッター166は、カッター刃167を有し、カッター刃167を回転軸168周りに回転移動させる。保持テーブル169は、被加工物200及び環状フレーム206を下方から吸引保持する。
テープマウンター160は、図7に示すように、保持テーブル169上に載置されて吸引保持された被加工物200及び環状フレーム206の裏面側に、送り出しロール161により粘着テープ205を供給し、貼着ローラ164を図7の左右方向に往復移動させることで、粘着テープ205を被加工物200及び環状フレーム206の裏面204側に貼着する。そして、テープマウンター160は、図8に示すように、テープカッター166を下降させてカッター刃167を粘着テープ205越しに被加工物200及び環状フレーム206の裏面204側に接触させ、カッター刃167を回転軸168周りに回転移動させることで、粘着テープ205を円形に切断する。そして、テープマウンター160は、一対の剥離ローラ165を先ほどの貼着ローラ164とは反対の方向に往復移動させることで、テープカッター166により切断された粘着テープ205を環状フレーム206から剥離し、剥離した粘着テープ205を巻き取りロール162で巻き取る。テープマウンター160は、このようにして、被加工物200の裏面204に粘着テープ205を貼着し、粘着テープ205の外縁部に環状フレーム206を装着する。
変形例2では、除電装置1は、図7及び図8に示すように、テープマウンター160のテープカッター166の側方に設置されている。除電装置1は、テープマウンター160が被加工物200及び環状フレーム206の裏面204側に貼着する粘着テープ205を除電する。また、除電装置1は、粘着テープ205を介して、被加工物200及び環状フレーム206を除電する。
以上のような構成を有する変形例2に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1〜実施形態3に係る除電装置1及び除電方法において、除電装置1を設置する対象を加工装置100からテープマウンター160に変更したものである。このため、変形例2に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1〜実施形態3に係る除電装置1及び除電方法と同様の作用効果を奏するものとなる。変形例2に係る除電装置1及び除電方法は、テープマウンター160が静電気を発生させやすい性質を有するので、実施形態1〜実施形態3よりもより効果的である。また、変形例2に係る除電装置1及び除電方法は、上記した変形例1の送風ユニット20−3を採用してもよい。
〔変形例3〕
本発明の実施形態1〜実施形態3の変形例3に係る除電装置1及び除電方法を図面に基づいて説明する。図9及び図10は、変形例3に係る除電装置1が設置される加工装置であるテープ拡張装置170の構成例を示す断面図である。図9及び図10は、実施形態1〜実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。変形例3に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1〜実施形態3に係る除電装置1及び除電方法において、除電装置1を設置する対象を加工装置100からテープ拡張装置170に変更したものである。
本発明の実施形態1〜実施形態3の変形例3に係る除電装置1及び除電方法を図面に基づいて説明する。図9及び図10は、変形例3に係る除電装置1が設置される加工装置であるテープ拡張装置170の構成例を示す断面図である。図9及び図10は、実施形態1〜実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。変形例3に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1〜実施形態3に係る除電装置1及び除電方法において、除電装置1を設置する対象を加工装置100からテープ拡張装置170に変更したものである。
変形例3に係る除電装置1が設置される加工装置であるテープ拡張装置170は、図9及び図10に示すように、環状のフレーム保持部171と、複数のクランプ部172と、円盤状の保持テーブル173と、円筒状の拡張ドラム174と、複数のエアシリンダ175と、を備える。フレーム保持部171は、載置された環状フレーム206を保持する。クランプ部172は、フレーム保持部171上に載置された環状フレーム206を挟み込んで、被加工物200を固定する。保持テーブル173は、フレーム保持部171よりも小径の拡張ドラム174の上端に取り付けられており、エキスパンドテープである粘着テープ205を介して被加工物200を吸引保持する。拡張ドラム174は、上端で当接している粘着テープ205を拡張する。エアシリンダ175は、保持テーブル173及び拡張ドラム174に対してフレーム保持部171及びクランプ部172を下降させる。
テープ拡張装置170は、図9及び図10に示すように、環状フレーム206がフレーム保持部171に保持されてクランプ部172に挟み込まれ、保持テーブル173に吸引保持された被加工物200に貼着された粘着テープ205を、エアシリンダ175が保持テーブル173及び拡張ドラム174に対してフレーム保持部171及びクランプ部172を下降させることで拡張することで、被加工物200を分割予定ライン202に沿った改質層を破断起点にして個々のデバイス203に分割する。
変形例3では、除電装置1は、図9及び図10に示すように、テープ拡張装置170のフレーム保持部171及びクランプ部172と保持テーブル173及び拡張ドラム174との間の粘着テープ205に向けられた位置に設置されている。除電装置1は、テープ拡張装置170が拡張する粘着テープ205を除電する。また、除電装置1は、粘着テープ205を介して、被加工物200、個々のデバイス203及び環状フレーム206を除電する。
以上のような構成を有する変形例3に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1〜実施形態3に係る除電装置1及び除電方法において、除電装置1を設置する対象を加工装置100からテープ拡張装置170に変更したものである。このため、変形例3に係る除電装置1及び除電方法は、実施形態1〜実施形態3に係る除電装置1及び除電方法と同様の作用効果を奏するものとなる。変形例3に係る除電装置1及び除電方法は、テープ拡張装置170が静電気を発生させやすい性質を有するので、実施形態1〜実施形態3よりもより効果的である。また、変形例3に係る除電装置1及び除電方法は、上記した変形例1の送風ユニット20−3を採用してもよい。
なお、本発明は上記実施形態(変形例)に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
1 除電装置
12 放電電極
13 ホルダー
20 送風ユニット
30 制御部
40 測定ユニット
100 加工装置
110 保持テーブル
120 加工ユニット
200 被加工物
12 放電電極
13 ホルダー
20 送風ユニット
30 制御部
40 測定ユニット
100 加工装置
110 保持テーブル
120 加工ユニット
200 被加工物
Claims (8)
- 除電装置であって、
該除電装置は、
イオンを発生させる放電電極と、
該放電電極を支持するホルダーと、
発生した該イオンにエアを吹きかけ除電対象物に該イオンを供給する送風ユニットと、
制御部と、を備え、
該制御部は、
除電開始時は該送風ユニットから吹き出されるエアの圧力または流量または流速を大きくして急速に除電し、
除電開始から所定時間経過すると、除電開始時より該送風ユニットから吹き出されるエアの圧力または流量または流速を小さくして、該除電対象物に供給されるイオンの量を減らし、イオンバランスを小さく整えるよう制御することを特徴とする除電装置。 - 除電装置であって、
該除電装置は、
イオンを発生させる放電電極と、
該放電電極を支持するホルダーと、
発生した該イオンにエアを吹きかけ除電対象物に該イオンを供給する送風ユニットと、
制御部と、を備え、
該制御部は、
除電開始時は該放電電極に印加する電圧の周波数を小さくして急速に除電し、
除電開始から所定時間経過すると、除電開始時より該放電電極に印加する電圧の周波数を大きくして、該除電対象物に供給されるイオンの量を減らし、イオンバランスを小さく整えるよう制御することを特徴とする除電装置。 - 該除電装置は、
除電中の除電対象物のイオンバランスを測定する測定ユニットをさらに備え、
該イオンバランスが所定のしきい値を超えると、該エアの圧力または流量または流速を少なくする処理を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の除電装置。 - 該除電装置は、
被加工物を保持する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された加工する加工ユニットと、
を有する加工装置に設置され、
該加工装置内で被加工物を除電することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の除電装置。 - 除電装置による除電方法であって、
該除電装置は、
イオンを発生させる放電電極と、
該放電電極を支持するホルダーと、
発生した該イオンにエアを吹きかけ除電対象物に該イオンを供給する送風ユニットと、
制御部と、を備え、
該除電方法は、
該送風ユニットによって発生したイオンにエアを吹きかけ、除電対象物に供給する第一の除電ステップと、
除電開始から所定時間経過後に、該第一の除電ステップより該送風ユニットから吹き出されるエアの圧力または流量または流速を少なくして、該除電対象物に供給されるイオンの量を減らし、イオンバランスを小さく整える第二の除電ステップと、
を備えることを特徴とする除電方法。 - 除電装置による除電方法であって、
該除電装置は、
イオンを発生させる放電電極と、
該放電電極を支持するホルダーと、
発生した該イオンにエアを吹きかけ除電対象物に該イオンを供給する送風ユニットと、
制御部と、を備え、
該除電方法は、
該送風ユニットによって発生したイオンにエアを吹きかけ、除電対象物に供給する第一の除電ステップと、
除電開始から所定時間経過後に、該第一の除電ステップより該放電電極に印加する電圧の周波数を大きくして、該除電対象物に供給されるイオンの量を減らし、イオンバランスを小さく整える第二の除電ステップと、
を備えることを特徴とする除電方法。 - 測定ユニットによって、除電中の除電対象物のイオンバランスを測定する測定ステップをさらに備え、
測定されたイオンバランスが所定のしきい値を超えると、該第一の除電ステップから該第二の除電ステップに移行することを特徴とする、請求項5または6に記載の除電方法。 - 該第一の除電ステップおよび該第二の除電ステップの前後に、該除電対象物を加工する加工ステップをさらに備える事を特徴とする、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の除電方法。
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JP2020066626A JP2021163691A (ja) | 2020-04-02 | 2020-04-02 | 除電装置及び除電方法 |
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