JP2021162759A - 修飾色材、色材分散液、着色硬化性組成物、カラーフィルタ、表示装置 - Google Patents

修飾色材、色材分散液、着色硬化性組成物、カラーフィルタ、表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた輝度、及び耐熱性を有する色材、当該色材を用いた優れた輝度、及び耐熱性を有する着色層を形成可能な色材分散液、着色硬化性組成物を提供する。【解決手段】最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物を、色材100質量部あたり、0.01〜30質量部含有する、修飾色材であって、塩基性複素環式化合物は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、トリエチレンジアミン、2−メチルイミダゾール、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、及び7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンからなる群から選択される1種以上である、修飾色材。【選択図】なし

Description

本発明は、修飾色材、色材分散液、着色硬化性組成物、カラーフィルタ、及び表示装置に関する。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、液晶ディスプレイの需要が増加している。モバイルディスプレイ(携帯電話、スマートフォン、タブレットPC)の普及率も高まっており、益々液晶ディスプレイの市場は拡大する状況にある。また、最近においては、自発光により視認性が高い有機ELディスプレイのような有機発光表示装置も、次世代画像表示装置として注目されている。これらの画像表示装置の性能においては、コントラストや輝度や色再現性の向上といったさらなる高画質化や消費電力の低減が強く望まれている。
これらの液晶表示装置や有機発光表示装置には、カラーフィルタが用いられる。例えば液晶表示装置のカラー画像の形成は、カラーフィルタを通過した光がそのままカラーフィルタを構成する各画素の色に着色されて、それらの色の光が合成されてカラー画像を形成する。その際の光源としては、従来の冷陰極管のほか、白色発光の有機発光素子や白色発光の無機発光素子が利用される場合がある。また、有機発光表示装置では、色調整などのためにカラーフィルタを用いる。
このような状況下、カラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。
ここで、カラーフィルタは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
カラーフィルタにおける画素の形成方法としては、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。顔料分散法を用いて形成された画素を有するカラーフィルタにおいては、高輝度、高コントラストの要求によって、色材として、顔料の微細化や単分子である染料が求められている。しかし、微細化した顔料や染料は耐熱性が弱く、カラーフィルタ製造工程の高温加熱により、退色を引き起こしやすい。
特許文献1には、高い顔料分散性と分散安定性に優れ、コントラストに優れた着色膜を形成しうる顔料分散組成物として、ジケトピロロピロール系顔料に、フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールとフタルイミドアルキル化キナクリドンを添加した顔料分散組成物が開示されている。しかしながら、ジケトピロロピロール系顔料に、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を用いるため、透過スペクトルの形状が悪くなって透過率が低くなり、輝度が低下する問題があった。
また、特許文献2には、ポリハロゲノ亜鉛フタロシアニン顔料の耐溶剤性や耐熱性などの問題に起因する色調の変化や鮮明性の低下や安定性の低下の課題を解決することを目的として、平均ハロゲン基置換数が12〜16であるポリハロゲノ亜鉛フタロシアニンと、平均ハロゲン基置換数が12〜16であるポリハロゲノ非亜鉛金属フタロシアニンとの複合重積物が開示されている。しかしながら、ポリハロゲノ亜鉛フタロシアニンに、ポリハロゲノ非亜鉛金属フタロシアニンを組み合わせるため、透過スペクトルの形状が悪くなって透過率が低くなり、輝度が低下する問題があった。
特開2009−251586号公報 国際公開2010/140519号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、優れた輝度、及び耐熱性を有する色材、当該色材を用いた優れた輝度、及び耐熱性を有する着色層を形成可能な色材分散液、着色硬化性組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、当該着色硬化性組成物を用いて形成されたカラーフィルタ及び表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る色材は、最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物を、色材100質量部あたり、0.01〜30質量部含有する、修飾色材である。
本発明に係る色材分散液は、前記本発明に係る修飾色材と、分散剤と、溶剤とを含有する。
本発明に係る着色硬化性組成物は、前記本発明に係る修飾色材と、重合性化合物と、開始剤と、溶剤とを含有する。
本発明に係るカラーフィルタは、基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが前記本発明に係る着色硬化性組成物の硬化物である。
本発明に係る表示装置は、前記本発明に係るカラーフィルタを有する。
本発明によれば、優れた輝度、及び耐熱性を有する色材、当該色材を用いた優れた輝度、及び耐熱性を有する着色層を形成可能な色材分散液、着色硬化性組成物を提供することができる。また、本発明によれば、当該着色硬化性組成物を用いて形成されたカラーフィルタ及び表示装置を提供することができる。
図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。 図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係る修飾色材、色材分散液、着色硬化性組成物、カラーフィルタ、及び表示装置について、順に詳細に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの各々を表し、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
本明細書において、特に断りのない限り、色度座標x、yは、C光源を使用して測色したJIS Z8701:1999のXYZ表色系におけるものである。
また、本明細書において数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
I.修飾色材
本発明に係る色材は、最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物を、色材100質量部あたり、0.01〜30質量部含有する、修飾色材である。
本発明の修飾色材は、最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物が、色材と酸塩基相互作用、π−π相互作用、水素結合等することによって色材を修飾しているため、色材の安定性が向上し、耐熱性が向上する。
また、本発明の修飾色材に含まれる塩基性複素環式化合物は、最大吸収波長が400nm以下である化合物であって、顔料誘導体の様な有色骨格を有しないものであるため、着色が非常に少なく、添加によって輝度を低下しないことから、修飾色材は高輝度となる。
<塩基性複素環式化合物>
本発明に用いられる塩基性複素環式化合物としては、添加によって色材を着色することを抑制するために、最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物を選択する。
すなわち、本発明に用いられる塩基性複素環式化合物としては、顔料誘導体のような色材誘導体とは異なることが好ましい。
最大吸収波長とは、200nm〜700nmの範囲内の波長領域における吸収スペクトルを紫外可視分光光度計により測定した際、得られる吸収波長のうち、最大の吸収波長をいう。
塩基性複素環式化合物の最大吸収波長は、塩基性複素環式化合物を紫外可視分光光度計(例えば、島津製作所製 UV−2500PC)で、少なくとも測定波長範囲を200nm〜700nmとして測定することができる。
塩基性を示すことから、本発明に用いられる塩基性複素環式化合物の第1段階目の酸解離定数(pKa)は、7.5以上が挙げられ、耐熱性が向上しやすい点から、8.5以上が好ましく、9.5以上がより好ましく、10.5以上がさらに好ましく、11.5以上がよりさらに好ましい。一方、酸解離定数の上限値は本発明の効果が損なわれない限り特に限定されるものではないが、30以下が挙げられる。ここで、pKaは、25℃の水中における酸解離定数の値である。
本発明における酸解離定数の測定方法としては、丸善(株)刊 実験化学講座第2版の215ページ〜217ページに記載のアルカリ滴定法を用いることができる。
塩基性複素環式化合物は、耐熱性の点から、分子量が60以上であることが好ましく、80以上がより好ましく、120以上がよりさらに好ましい。一方、塩基性複素環式化合物は、着色力の点から、分子量が800以下であることが好ましく、650以下がより好ましく、500以下がより更に好ましく、350以下がより更に好ましい。
最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(pKa:12.5)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(pKa:12.7)、2−メチルイミダゾール(pKa:7.8)、トリエチレンジアミン(pKa:8.8)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(pKa:14.7)、及び7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(pKa:14.4)等が酸解離定数7.5以上の例として挙げられる。
色材の耐熱性が良好になりやすい点から、中でも、酸解離定数(pKa)が9.5以上、さらに10.5以上の塩基性複素環式化合物であることが好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、及び7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンからなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。
最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物としては、後述する色材分散液に用いられる有機溶剤に対して、23℃における溶解度が0.1g/100g溶剤以上であることが好ましく、0.5g/100g溶剤以上であることがより好ましく、1.0g/100g溶剤以上であることが更に好ましい。上記範囲のものを選択することで、少量の塩基性複素環式化合物の添加で本願発明の効果が得られ、修飾色材の着色力の低下を抑制できる。
本発明の修飾色材は、最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物を、色材100質量部あたり、0.01〜30質量部含有する。中でも耐熱性向上効果の点から、本発明の修飾色材は、最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物を、色材100質量部あたり、0.1質量部以上含有することが好ましく、更に1.0質量部以上含有することがより好ましい。一方、着色力の点から、本発明の修飾色材は、最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物を、色材100質量部あたり、20質量部以下含有することが好ましく、更に10質量部以下含有することがより好ましい。
なお、最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物は、修飾色材において、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。2種以上を組み合わせる場合は、その合計の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
<色材>
本発明において、色材は、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、種々の有機顔料、無機顔料、染料、染料の造塩化合物(レーキ色材)等を、単独で又は2種以上混合して用いることができる。中でも有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、15、16、17、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、60、61、62、62:1、63、65、71、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、98、100、101、104、105、106、108、109、110、111、113、114、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、173、175、185、194、211、214、215、231、及びC.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料;
C.I.ピグメントオレンジ1、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38;
C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60、60:1、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、150、151、166、168、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、215、216、220、221、224、226、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、291;
C.I.ピグメントブルー1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60、61、79、80;
C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、59、62、63;
C.I.ピグメントブラウン23、25;
C.I.ピグメントブラック1、7。
また、前記無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
また、遮光性の高い黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックや四三酸化鉄などの無機顔料、或いは、シアニンブラックなどの有機顔料を使用できる。
染料としては、溶剤に溶解する染料であってもよいし、分散可能な染料であってもよい。分散可能な染料としては、染料に各種置換基を付与したり、溶解度の低い溶剤と組み合わせて用いることにより分散可能となった染料が挙げられる。
染料の造塩化合物とは、染料がカウンターイオンと塩を形成した化合物をいい、本発明においてレーキ色材ともいう。レーキ色材としては、例えば、塩基性染料と酸との造塩化合物、酸性染料と塩基との造塩化合物が挙げられ、溶剤に可溶性の染料を公知のレーキ化(造塩化)手法を用いて、溶剤に不溶化したレーキ顔料も包含する。
前記染料としては、従来公知の染料の中から適宜選択することができる。このような染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、クマリン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、フタロシアニン染料などを挙げることができる。
なお、目安として、10gの溶剤(又は混合溶剤)に対して染料の溶解量が10mg以下であれば、当該溶剤(又は混合溶剤)において、当該染料が分散可能であると判定することができる。
中でも、色材が、金属フタロシアニン系色材、ジケトピロロピロール系色材、レーキ色材、及び酸性染料からなる群から選択される少なくとも1種である場合、下記のように、前記塩基性複素環式化合物と複数の機構により相互作用する、もしくは酸塩基相互作用のように強い結合力で相互作用するため、修飾されやすく耐熱性向上効果が得られやすい点から好ましい。
金属フタロシアニン系色材は、塩基性複素環式化合物の窒素の中心金属への配位、及びπ−π相互作用によって、塩基性複素環式化合物と強く相互作用し、耐熱性向上効果が得られやすい点から好ましい。
金属フタロシアニン系色材としては、銅フタロシアニン顔料、亜鉛フタロシアニン顔料、アルミニウムフタロシアニン顔料、及びフタロシアニン染料等が挙げられる。
銅フタロシアニン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、C.I.ピグメントグリーン7、36等が挙げられ、中でも、C.I.ピグメントブルー15:6が好ましい。
亜鉛フタロシアニン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン58、59等が挙げられる。
アルミニウムフタロシアニン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン62、63等が挙げられる。
フタロシアニン染料としては、 C.I.ベーシックブルー140等が挙げられる。
金属フタロシアニン系色材としては、中でも耐熱性要求の点から、亜鉛フタロシアニン顔料、アルミニウムフタロシアニン顔料、及びフタロシアニン染料からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、金属フタロシアニン系色材としては、中でも輝度の点から、緑色色材であることが好ましく、C.I.ピグメントグリーン58、59、62、及び63、亜鉛フタロシアニン染料からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ジケトピロロピロール系色材は、π−π相互作用、及び水素結合によって、塩基性複素環式化合物と強く相互作用し、耐熱性向上効果が得られやすい点から好ましい。
ジケトピロロピロール顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド254、255、264、272、291、及び下記一般式(i)で表されるジケトピロロピロール顔料が挙げられ、中でもC.I.ピグメントレッド254、272、291、及び下記一般式(i)においてR21及びR22がそれぞれ4−ブロモフェニル基であるジケトピロロピロール顔料から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(i)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、4−クロロフェニル基、又は4−ブロモフェニル基である。)
レーキ色材は、染料又はカウンターイオンのいずれかが酸性であるため、酸塩基相互作用によって、塩基性複素環式化合物と強く相互作用し、耐熱性向上効果が得られやすい点から好ましい。
レーキ色材としては、塩基性染料のカチオン部とレーキ化剤のアニオン部から構成される塩基性染料のレーキ色材と、酸性染料のアニオン部とレーキ化剤のカチオン部から構成される酸性染料のレーキ色材とが挙げられる。
前記塩基性染料とは、カチオン部が発色団となるイオン性染料であり、例えば、アジン系染料、オキサジン系染料、チアジン系染料、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、フタロシアニン系染料、オーラミン系染料、アクリジン系染料、メチン系染料等を挙げることができる。具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
C.I.ベーシックレッド2、5、6、10、C.I.ベーシックバイオレット5、6、8、12、C.I.ベーシックイエロー14等のアジン系染料;
C.I.ベーシックブルー3、6、10、12、74、122等のオキサジン系染料;
C.I.ベーシックブルー9、17、24、C.I.ベーシックグリーン5等のチアジン系染料;
C.I.ベーシックレッド18、22、23、24、29、30、31、32、34、38、39、46、51、53、54、55、62、64、76、94、111、118、C.I.ベーシックブルー41、53、54、55、64、65、66、67、162、C.I.ベーシックバイオレット15、16、18、21、22、36、C.I.ベーシックイエロー15、19、24、25、28、29、38、39、49、51、52、53、57、62、73、C.I.ベーシックオレンジ1、2、24、25、29、30、33、54、69等のアゾ系染料;
C.I.ベーシックブルー22、44、47、72等のアントラキノン系染料;
C.I.ベーシックレッド1、1:1、3、4、8、11、C.I.ベーシックバイオレット10、11、11:1等のキサンテン系染料;
C.I.ベーシックレッド9、C.I.ベーシックブルー1、2、5、7、8、11、15、18、20、23、26、35、81、C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、4、14、23、C.I.ベーシックグリーン1、4等のトリアリールメタン系染料;
C.I.ベーシックブルー140等のフタロシアニン系染料;
C.I.ベーシックイエロー2、3、37等のオーラミン系染料;
C.I.ベーシックイエロー5、6、7、9、C.I.ベーシックオレンジ4、5、14、15、16、17、18、19、2等のアクリジン系染料;
C.I.ベーシックレッド12、13、14、15、27、28、37、52、90、C.I.ベーシックブルー62、63、C.I.ベーシックイエロー11、13、21、22、28、29、49、51、52、53、C.I.ベーシックバイオレット7、15、16、20、21、22等のメチン系染料。
前記塩基性染料のレーキ化剤としては、色材の耐熱性が高くなる点から、金属原子を含むレーキ化剤を用いることが好ましい。前記塩基性染料のレーキ化剤としては、例えば、クロム酸イオン、タングステン酸イオン(WO 2−)、モリブデン酸イオン(MoO 2−)等のオキソ酸のアニオンやポリ酸アニオンが挙げられる。中でもポリ酸アニオンが耐熱性及び耐光性を向上する点から好ましい。なお、ポリ酸とは、複数のオキソ酸が縮合した酸である。ポリ酸アニオンは、イソポリ酸イオン(Md−であってもヘテロポリ酸イオン(Xd−であってもよい。前記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。また、一部にNaやH等の対カチオンが含まれていてもよい。
中でも、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸アニオンが好適に用いられる。このようなポリ酸アニオンの具体例としては、タングステン酸イオン[W10324−、リンタングステン酸イオン[PW12403−、[P18626−、ケイタングステン酸イオン[SiW12404−、ケイモリブデン酸イオン[SiMo12404−、リンタングストモリブデン酸イオン[PW12−xMo403−(xは1〜11の整数)、[P18−yMo626−(yは1〜17の整数)、ケイタングストモリブデン酸イオン[SiW12−xMo404−(xは1〜11の整数)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。中でも、耐熱性の点から、更にP(リン)を含むヘテロポリ酸であることが好ましい。
前記塩基性染料のレーキ色材としては、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド81:2、C.I.ピグメントレッド81:3、C.I.ピグメントレッド81:4、C.I.ピグメントレッド81:5、C.I.ピグメントレッド82、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット2:1等のキサンテン系金属レーキ色材;
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー1:2、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー8、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー11、C.I.ピグメントブルー12、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー53、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン2、C.I.ピグメントグリーン3、C.I.ピグメントグリーン4等のトリアリールメタン系金属レーキ色材。
また、塩基性染料のレーキ色材としては、下記一般式(ii)で表されるレーキ色材も、高輝度化、及び耐熱性の観点から好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(ii)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にヘテロ原子が含まれていてもよい。Bc−はc価のポリ酸アニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RiiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成してもよい。Rvi及びRviiは各々独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜Rvii及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。f及びgは0以上4以下の整数を表し、f+e及びg+eは0以上4以下である。複数あるe、f及びgはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
前記一般式(ii)におけるAは、N(窒素原子)と直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO(酸素原子)、S(硫黄原子)、N(窒素原子)等のヘテロ原子が含まれていてもよいものである。すなわち、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有し、炭素鎖中にO、S、N等のヘテロ原子が含まれてもよい脂肪族炭化水素基、又は、Nと直接結合する末端に脂肪族炭化水素基を有し、炭素鎖中にO、S、N等のヘテロ原子が含まれてもよい芳香族基を表す。Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Aや他の発色部位の影響を受けず、単量体と同様の色を保持することができる。
Aにおいて、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基は、Nと直接結合する末端の炭素原子がπ結合を有しなければ、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよく、末端以外の炭素原子が不飽和結合を有していてもよく、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、Nが含まれていてもよい。例えば、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていてもよく、水素原子が更にハロゲン原子等に置換されていてもよい。
また、Aにおいて上記脂肪族炭化水素基を有する芳香族基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基を有する、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していてもよく、O、S、Nが含まれる複素環であってもよい。
中でも、骨格の堅牢性の点から、Aは、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、ノルボルナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、アダマンタンを含む基等が挙げられる。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基等が挙げられる。例えば、Aが2価の有機基の場合、炭素数1〜20の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
本発明においては、堅牢性と、分子運動の自由度を両立して、耐熱性を向上する点から、Aが、2個以上の環状脂肪族炭化水素基を有し、Nと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれてもよい脂肪族炭化水素基であることが好ましい。Aは、2個以上のシクロアルキレン基を有し、Nと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれてもよい脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、中でも、2個以上の環状脂肪族炭化水素基が直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基で連結した構造を有することが更に好ましい。
2個以上ある環状脂肪族炭化水素基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、例えば、前記環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられ、中でもシクロヘキサン、シクロペンタンが好ましい。
本発明においては、耐熱性の点から、中でも、前記Aが、下記一般式(1a)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(1a)中、Rxiは置換基として炭素数1以上4以下のアルキル基、又は炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有してもよい炭素数1以上3以下のアルキレン基を表し、Rxii及びRxiiiは各々独立に炭素数1以上4以下のアルキル基、又は炭素数1以上4以下のアルコキシ基を表し、pは1以上3以下の整数を、q及びrは各々独立に0以上4以下の整数を表す。Rxi、Rxii、Rxiii及びrが複数ある場合、当該複数あるRxi、Rxii、Rxiii及びrは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
堅牢性と、発色部位の熱運動との両立に優れ、耐熱性が向上する点から、Rxiにおける炭素数1以上3以下のアルキレン基であることが好ましい。このようなアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、中でもメチレン基又はエチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
炭素数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
また、炭素数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
xii及びRxiiiにおける、炭素数1以上4以下のアルキル基、及び、炭素数1以上4以下のアルコキシ基は、前記Rxiが有してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(1a)において、シクロヘキサン(シクロヘキシレン基)は2個以上4個以下、即ち、pが1以上3以下であることが、耐熱性の点から好ましく、中でもpが1以上2以下であることがより好ましい。
またシクロヘキシレン基が有する置換基Rxii及びRxiiiの置換数は、特に限定されないが、耐熱性の点から、1個以上3個以下であることが好ましく、1個以上2個以下であることがより好ましい。即ちq及びrが1以上3以下の整数であることが好ましく、q及びrが1以上2以下の整数であることが好ましい。
〜Rにおけるアルキル基は、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20の直鎖、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが挙げられ、炭素数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが、輝度及び耐熱性の点から挙げられ、R〜Rにおけるアルキル基がエチル基又はメチル基であることが挙げられる。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等が挙げられ、置換されたアルキル基としては、ベンジル基のようなアラルキル基等が挙げられる。
〜Rにおけるアリール基は、特に限定されない。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
中でも化学的安定性の点からR〜Rとしては、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は、RiiとRiii、RivとRが結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成していることが好ましい。
耐熱性の点からは、Rii〜Rのうち少なくとも一つが、置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましい。Rii〜Rのうち少なくとも一つが、シクロアルキル基、又は、アリール基を有することにより、立体障害による分子間相互作用が低減するため、発色部位の熱に対する影響を抑制できるため、耐熱性に優れていると考えられる。
耐熱性の点からは、Rii〜Rのうち少なくとも一つが、下記一般式(1b)又は、下記一般式(1c)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(1b)中、Rxiv、Rxv、及びRxviは各々独立に水素原子、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基を表す。)
Figure 2021162759
(一般式(1c)中、Rxvii、Rxviii、及びRxixは各々独立に水素原子、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基を表す。)
xiv、Rxv、Rxvi、Rxvii、Rxviii、及びRxixにおける炭素数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。また、炭素数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
前記アルキル基及びアルコキシ基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。
前記一般式(1b)で表される置換基を有する場合、耐熱性の点から、Rxiv、Rxv、及びRxviの少なくとも一つが、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基であることが好ましく、Rxiv及びRxvの少なくとも一つが、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基であることがより好ましい。
また前記一般式(1c)で表される置換基を有する場合、耐熱性の点から、Rxvii、Rxviii、及びRxixの少なくとも一つが、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基であることが好ましく、Rxvii及びRxviiiの少なくとも一つが、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基であることがより好ましい。
vi及びRviiは各々独立に置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Rvi及びRviiにおけるアルキル基としては、特に限定されないが、炭素数が1以上8以下の直鎖、又は分岐を有するアルキル基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下のアルキル基であることがより好ましい。炭素数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。
また、Rvi及びRviiにおけるアルコキシ基としては、特に限定されないが、炭素数が1以上8以下の直鎖、又は分岐を有するアルコキシ基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基であることがより好ましい。炭素数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。アルコキシ基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。
vi及びRviiにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
vi及びRviiの置換数、即ち、f及びgはそれぞれ独立に0以上4以下の整数を表し、中でも0以上2以下であることが好ましく、0以上1以下であることがより好ましい。複数あるf及びgはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、Rvi及びRviiは、トリアリールメタン骨格、又は、キサンテン骨格内の共鳴構造を有する芳香環のいずれの部位に置換されていてもよいが、中でも、−NRiiiii又は−NRivで表されるアミノ基の置換位置を基準にメタ位に置換されていることが好ましい。
Arにおける2価の芳香族基は特に限定されない。Arにおける芳香族基は、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環基であってもよい。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S、Nを有していてもよい。一方、複素環基における複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は更に置換基として、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、及び、これらで置換されていても良いフェニル基等を有していてもよい。
1分子内に複数あるR〜Rvii及びArは、同一であっても異なっていてもよい。R〜Rvii及びArの組み合わせにより、所望の色に調整することができる。
Aにおける価数aは、カチオンを構成する発色性カチオン部位の数であり、aは2以上の整数である。このレーキ色材においては、カチオンの価数aが2以上であるため、耐熱性に優れており、中でも、カチオンの価数aが3以上であることが好ましい。aの上限は特に限定されないが、製造の容易性の点から、aが4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
一般式(ii)で表されるレーキ色材において、カチオン部は、耐熱性に優れ、加熱時の色変化が抑制され易い点から、分子量が1200以上であることが好ましく、1300以上であることが好ましい。
一般式(ii)で表される色材において、アニオン部(Bc−)は、高輝度で耐熱性に優れる点から、c価のポリ酸アニオンであって、2価以上のアニオンである。
複数のオキソ酸が縮合したポリ酸アニオンとしては、イソポリ酸アニオン(Mc−であってもヘテロポリ酸アニオン(Xc−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。また、一部にNaやH等の対カチオンが含まれていてもよい。
中でも、耐熱性に優れる点から、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)より選択される1種以上の元素を有するポリ酸であることが好ましい。
このようなポリ酸としては、例えば、イソポリ酸である、タングステン酸イオン[W10324−、モリブデン酸イオン[Mo192−や、ヘテロポリ酸である、リンタングステン酸イオン[PW12403−、[P18626−、ケイタングステン酸イオン[SiW12404−、リンモリブデン酸イオン[PMo12403−、ケイモリブデン酸イオン[SiMo12404−、リンタングストモリブデン酸イオン[PW12−sMo403−(sは1以上11以下の整数)、[P18−tMo626−(tは1以上17以下の整数)、ケイタングストモリブデン酸イオン[SiW12−uMo404−(uは1以上11以下の整数)等が挙げられる。タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸としては、耐熱性の点、及び原料入手の容易さの点から、上記の中でもヘテロポリ酸であることが好ましく、更にリン(P)を含むヘテロポリ酸であることがより好ましい。
さらに、リンタングストモリブデン酸イオン[PW10Mo403−、[PW11Mo403−、リンタングステン酸イオン[PW12403−、のいずれかであることが耐熱性の点からさらに好ましい。
一般式(ii)におけるbはカチオンの数を、dは分子会合体中のアニオンの数を示し、b及びdは1以上の整数を表す。bが2以上の場合、分子会合体中に複数あるカチオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。また、dが2以上の場合、分子会合体中に複数あるアニオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。
一般式(ii)におけるeは、0又は1の整数であり、eが0のとき結合は存在しない。e=0はトリアリールメタン骨格を表し、e=1はキサンテン骨格を表す。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。本発明に用いられる一般式(ii)で表されるレーキ色材においては、少なくともトリアリールメタン骨格を含むものが好適に用いられる。
なお、前記一般式(ii)で表される色材の部分構造やその他構造の例示は、例えば、国際公開2018/003706号、国際公開2012/144521号等に記載の構造が挙げられ、これらを参考にして、調製することができる。
一方、酸性染料のレーキ色材において、酸性染料とは、アニオン部が発色団となるイオン性染料であり、例えば、ローダミン系酸性染料、フルオレセイン系酸性染料、アントラキノン系酸性染料、インジゴ系酸性染料、トリアリールメタン系酸性染料、フタロシアニン系酸性染料、アゾ系酸性染料等が挙げられる。具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
C.I.アシッドレッド50,52,289,388、アシッドバイオレット9,30、アシッドブルー19等のローダミン系酸性染料;
C.I.アシッドレッド51,87,91,92,93,94,98、C.I.アシッドオレンジ11、C.I.アシッドイエロー73,74等のフルオレセイン系酸性染料等のキサンテン系酸性染料;
C.I.アシッドバイオレット34,36,39,41,42,43,47,51,63,126、C.I.アシッドブルー25,27,35,40,41,43,45,46,47,49,51,55,56,62,68,69,78,80,81,96,111,124,127,127:1,129,138,145,150,175,183,215,225,230,258,260,264,271,277,281,290,324,344,350、C.I.アシッドグリーン25,27,36,37,38,40,41,42,44,54,95,等のアントラキノン系酸性染料;
C.I.アシッドブルー74等のインジゴ系酸性染料;
C.I.アシッドバイオレット15,16,17,19,21,23,24,25,38,49,72、C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、19、22、83、90、93、100、103、104、109、C.I.アシッドグリーン3,5,6,7,8,9,11,15,16,22,50,等のトリアリールメタン系酸性染料;
C.I.アシッドブルー249、C.I.ダイレクトブルー86等のフタロシアニン系酸性染料;
C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37,180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28,83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7、C.I.ダイレクトグリーン28等のアゾ系酸性染料;
などが挙げられる。
前記酸性染料のレーキ化剤としても、色材の耐熱性が高くなる点から、金属原子を含むレーキ化剤を用いることが好ましい。このようなレーキ化剤としては、2価以上の金属カチオンとなる金属原子を含むレーキ化剤が好ましく、具体的には、塩化バリウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、酢酸鉛、硫酸マグネシウム、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム等が挙げられ、中でも、3価以上の金属カチオンとなる金属原子を含むレーキ化剤がより好ましい。
また、本発明の修飾色材に用いられる色材としては、酸性染料も、酸塩基相互作用によって、塩基性複素環式化合物と強く相互作用し、耐熱性向上効果が得られやすい点から好ましい。
酸性染料としては、前述のものを用いることができる。
本発明の修飾色材を調製する方法としては、例えば、前記塩基性複素環式化合物と、色材とを混合後、乾式粉砕する方法が挙げられる。この場合乾式粉砕機としてはボールミル、振動ミル、アトライター等が使用でき、粉砕温度は20〜130℃で自由に設定できる。
また、本発明の修飾色材を調製する方法としては、前記塩基性複素環式化合物と、色材と、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム等の水溶性の無機塩と、グリコール系有機溶剤等の水溶性の有機溶剤を混合し、ソルベントソルトミリング法でニーダータイプの研磨機により混練りする方法等が挙げられる。
また、本発明の修飾色材を調製する方法としては、前記塩基性複素環式化合物と、染料と、レーキ化剤を混合し、レーキ化することで得た修飾色材を各種方法で粉砕する方法が挙げられる。
また、本発明の修飾色材を調製する方法としては、前記塩基性複素環式化合物と、染料を溶剤に混合し溶解させた後、乾燥し、各種方法で粉砕する方法が挙げられる。
本発明の修飾色材の平均一次粒径としては、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる色材の種類によっても異なるが、修飾色材が顔料の場合は、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、15〜60nmであることがより好ましい。色材の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明に係る修飾色材を用いて製造された着色層を高輝度で、かつ高品質なものとすることができる。
平均一次粒径は、体積分布メジアン径(D50)を表している。修飾色材の粒径は、(株)日立ハイテクノロジーズ社製、電界放射型走査電子顕微鏡(S−4800)に、専用の明視野STEM試料台とオプション検出器を取り付けることで、走査透過電子顕微鏡(以下、「STEM」と略記する)として使用できるようにし、20万倍のSTEM写真を撮り、下記のソフトウェアに取り込み、写真上で顔料を任意に100個選び、それぞれの直径(差し渡し長さ)を測定し、体積基準の分布から体積で50%累積粒子径として求める。
STEMに供する測定試料は、修飾色材とトルエンを混合し、コロジオン膜貼付メッシュに滴下して調製する。また、STEM写真から体積基準の粒径分布や体積分布メジアン径(D50)を求めるときには、(株)マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「Mac−View Ver.4」を用いることにより測定することができる。
なお、本発明の修飾色材が、色材と塩基性複素環式化合物を含有すること、及びその割合は、例えば質量分析、元素分析、表面分析、電位差滴定、及びこれらの組み合わせを用いて適宜分析することができる。より具体的には例えば、修飾色材を、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤やN−メチルピロリドン等の溶剤で洗浄した後に、洗浄後の色材を質量分析し、塩基性複素環式化合物に由来する構造由来のピークと、色材のピークが検出されることにより確認できる。
II.色材分散液
本発明の色材分散液は、前記本発明の修飾色材と、分散剤と、溶剤とを含むことを特徴とする。
本発明の色材分散液は、前記本発明の修飾色材を含むことから、優れた輝度、及び耐熱性を有する着色層を形成可能である。
本発明に係る色材分散液は、少なくとも前記本発明の修飾色材と、分散剤と、溶剤とを含有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の成分を含有してもよいものである。
以下、このような本発明に係る色材分散液の各成分について、順に詳細に説明する。
<色材>
本発明に係る色材分散液に用いられる色材は、前記本発明の修飾色材を必須成分として含む。
前記本発明の修飾色材は、前記と同様であって良いので、ここでの説明を省略する。
本発明に係る色材分散液において、前記本発明の修飾色材は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明に係る色材分散液における色材には、前記本発明の修飾色材に加えて、他の色材が含まれていてもよい。
他の色材としては、前記本発明の修飾色材の調製に用いられる色材と同様のものが挙げられる。
本発明に係る色材分散液に用いられる色材は、前記本発明の修飾色材を色材全量に対して、25質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することがより好ましく、前記本発明の修飾色材が色材全量に対して100質量%であって良い。
色材分散液中の色材の平均分散粒径は、用いる色材の種類によっても異なるが、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、15〜60nmの範囲内であることがより好ましい。
色材分散液中の色材の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散液に用いられている溶剤で、色材分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分布粒径は、体積平均粒径である。
本発明に係る色材分散液において、色材の含有量は、特に限定されない。色材の含有量は、分散性及び分散安定性の点から、色材分散液中の固形分全量に対して、5質量%以上80質量%以下、より好ましくは8質量%以上70質量%以下の割合で配合することが好ましい。
特に色材濃度が高い塗膜乃至着色層を形成する場合には、色材分散液中の固形分全量に対して、30質量%以上80質量%以下、より好ましくは40質量%以上75質量%以下の割合で配合することが好ましい。
<分散剤>
分散剤としては、従来、分散剤として用いられているものの中から適宜選択して用いることができる。分散剤の具体例としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。これらの分散剤は1種で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリエチレンイミン誘導体(ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩基);ポリアリルアミン誘導体(ポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られる反応生成物)等が挙げられる。
本発明に用いられる分散剤としては、色材吸着基が酸性基である酸性分散剤と、色材吸着基が塩基性基である塩基性分散剤のいずれでも用いることができる。
本発明に用いられる分散剤としては、前記修飾色材が塩基性複素環式化合物を含有するため、色材吸着性が高まり、色材の分散性及び分散安定性が向上してコントラストと輝度が向上し、溶剤再溶解性も向上する点から、酸性分散剤を用いることが好ましい。
[一般式(I)で表される構成単位を有する重合体]
酸性分散剤としては、中でも、下記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Aは、直接結合又は2価の連結基を表し、Qは、酸性基である。)
一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Aは、直接結合又は2価の連結基を表し、Qは、酸性基である。
Aにおいて、2価の連結基としては、例えば、直鎖、分岐若しくは環状の、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、水酸基を有する、直鎖、分岐又は環状の、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、−CONH−基、−COO−基、−NHCOO−基、エーテル基(−O−基)、チオエーテル基(−S−基)、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。なお、本発明において、2価の連結基の結合の向きは任意である。すなわち、2価の連結基に−CONH−が含まれる場合、−COが主鎖の炭素原子側で−NHが側鎖の窒素原子側であっても良いし、反対に、−NHが主鎖の炭素原子側で−COが側鎖の窒素原子側であっても良い。
前記脂肪族炭化水素基としては、具体的には例えば、メチレン基、ジメチレン基(エチレン基)、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基が挙げられる。
前記脂肪族炭化水素基の炭素数としては、1〜20が挙げられ、分散安定性の点から、1〜16が好ましく、1〜12がより好ましく、2〜8がよりさらに好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、具体的には例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
中でも、分散性の点から、一般式(I)におけるAは、−CONH−基及び−COO−基の少なくとも1種を含む2価の連結基であることが好ましく、−CONH−基及び−COO−基の少なくとも1種と、酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜12の脂肪族炭化水素基とを含む2価の連結基であることがより好ましい。
Qで表される酸性基としては、例えば、カルボキシ基(−COOH)、スルホン酸基(SOH)、ホスホン酸基(−P(=O)(OH))、リン酸基(−O−P(=O)(OH))等が挙げられる。
Qで表される酸性基としては、中でも、分散安定性の点から、カルボキシ基(−COOH)、スルホン酸基(SOH)、及びリン酸基(−O−P(=O)(OH))からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
リン酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スルホン酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリロイロキシエチルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
Qで表される酸性基としては、中でも、輝度の点から、カルボキシ基が好ましく、前記一般式(I)で表される構成単位が、下記一般式(II)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(II)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Aは、直接結合又は2価の連結基を表す。)
前記一般式(II)におけるR及びAは、前記一般式(I)と同様であってよい。
前記一般式(II)で表される構成単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸由来の構成単位、ビニル安息香酸由来の構成単位、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位等が挙げられる。
前記一般式(II)としては、分散性及び分散安定性の点から、中でも下記一般式(II−1)で表される構成単位、及び下記一般式(II−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(II−1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、
一般式(II−2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは、酸素原子を含んでもよい脂肪族炭化水素基を表し、Rは、炭化水素基を表す。)
一般式(II−1)で表される構成単位は、(メタ)アクリル酸由来の構成単位である。
一般式(II−2)で表される構成単位において、Rは、酸素原子を含んでもよい脂肪族炭化水素基を表す。
における脂肪族炭化水素基としては、前記と同様であって良い。
における酸素原子を含む脂肪族炭化水素基とは、前記脂肪族炭化水素基中の炭素原子が酸素原子で置き換えられた構造を有するか、上記脂肪族炭化水素基中の水素原子が酸素原子を含む置換基で置き換えられた構造を有する。酸素原子を含んでもよい脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭化水素基の炭素鎖中に、−O−、−COO−、−OCO−等の連結基が含まれる構造が挙げられる。酸素原子を含む脂肪族炭化水素基としては、具体的には例えば、−R20−(O−R21)s−(ここで、R20及びR21はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、sは1〜80の数を表す)、−R22−(OCO−R23)t−(ここで、R22及びR23はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、tは1〜40の数を表す)が挙げられる。R20、R21、R22及びR23の脂肪族炭化水素基は、前記脂肪族炭化水素基と同様であって良い。分散安定性の点から、前記R20は炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、前記R21は炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、sは1〜40、更に2〜25、より更に2〜10の数であることが好ましい。また、分散安定性の点から、前記R22は炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、前記R23は炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、tは1〜30、更に1〜20、より更に1〜10の数であることが好ましい。
前記R20及び前記R22はそれぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキレン基であることがより好ましい。
前記R21は炭素数2〜8のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基又はプロピレン基であることがより好ましい。
前記R23は炭素数2〜8のアルキレン基であることが好ましく、炭素数3〜7のアルキレン基であることがより好ましい。
また、酸素原子を含む置換基としては、例えば、水酸基やアルコキシ基等が挙げられる。
一般式(II−2)で表される構成単位において、Rとしては、中でも溶剤再溶解性の点から、脂肪族炭化水素基であってよく、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であってよい。
一般式(II−2)で表される構成単位において、Rは、炭化水素基を表す。Rにおける炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの組み合わせが挙げられ、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、前記と同様であって良い。
の炭化水素基の炭素数としては、1〜20が挙げられ、分散安定性の点から、1〜16が好ましく、2〜12がより好ましく2〜6がよりさらに好ましい。
一般式(II−2)で表される構成単位は、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートとジカルボン酸又はジカルボン酸無水物との付加反応物であるモノマーから誘導することができる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン等が挙げられる。
また、脂肪族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸無水物としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、コハク酸無水物、アジピン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、無水マレイン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸無水物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、無水フタル酸、無水ナフタル酸等が挙げられる。
重合体において、一般式(I)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体は、分散性及び分散安定性の点から、共重合体であることが好ましく、前記一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体、及び、前記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックを有するブロック共重合体、の少なくとも1種であることがより好ましい。
{グラフト共重合体}
本発明に用いられるグラフト共重合体は、主鎖に、色材に対する吸着部位として機能する、前記一般式(I)で表される構成単位を有し、側鎖に、溶剤親和性部位として機能するグラフトポリマー鎖を有する共重合体であることが好ましい。
(グラフトポリマー鎖を有する構成単位)
前記グラフト共重合体は、側鎖に、溶剤親和性部位として機能するグラフトポリマー鎖を有する。
前記ポリマー鎖は、目安として、組み合わせて用いられる有機溶剤に対して、23℃における溶解度が20(g/100g溶剤)以上であることが好ましい。
当該ポリマー鎖の溶解性は、グラフト共重合体を調製する際のポリマー鎖を導入する原料が前記溶解度を有することを目安にすることができる。例えば、グラフト共重合体にポリマー鎖を導入するために、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含む重合性オリゴマー(マクロモノマー)を用いる場合、当該重合性オリゴマーが前記溶解度を有すれば良い。また、エチレン性不飽和二重結合を有する基を含むモノマーにより共重合体が形成された後に、共重合体中に含まれる反応性基と反応可能な反応性基を含むポリマー鎖を用いて、ポリマー鎖を導入する場合、当該反応性基を含むポリマー鎖が前記溶解度を有すれば良い。
本発明に用いられるグラフト共重合体は、主鎖に、色材に対する吸着部位として機能する、前記一般式(I)で表される構成単位を有し、更に側鎖に、溶剤親和性部位として機能するポリマー鎖を有する、下記一般式(III)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(III)中、R1”は水素原子又はメチル基、Aは直接結合又は2価の連結基、Polymerはポリマー鎖を表す。)
前記一般式(III)において、Aは、直接結合又は2価の連結基である。Aにおける2価の連結基としては、エチレン性不飽和二重結合由来の炭素原子とポリマー鎖を連結可能であれば、特に制限はない。2価の連結基としては、一般式(I)におけるAと同様であって良い。
中でも、分散性及び分散安定性の点から、一般式(III)におけるAは、−CONH−基又は−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましく、−CONH−基又は−COO−基と、酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜12の脂肪族炭化水素基とを含む2価の連結基であることがより好ましい。
前記ポリマー鎖は、下記一般式(IV)で表される構成単位を少なくとも1種含むことが、色材の分散性及び分散安定性の点から好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(IV)中、R11は水素原子又はメチル基、Aは2価の連結基、Rは、置換基を有してもよく、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基である。)
一般式(IV)において、Aは、2価の連結基である。Aにおける2価の連結基としては、例えば、前記Aにおける2価の連結基と同様のものが挙げられる。
中でも、色材の分散性及び分散安定性の点から、一般式(IV)におけるAは、−CONH−基又は−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましく、−CONH−基又は−COO−基であることがより好ましい。
における、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基における炭化水素基は、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基やアルキル置換アリール基等のこれらの組み合わせが挙げられる。
前記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ノニル基、n−ラウリル基、n−ステアリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。アルキル基の炭素数は、1〜12が好ましく、更に1〜6が好ましい。
前記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。アルケニル基の炭素数は、2〜12が好ましく、更に2〜8が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられ、更に置換基を有していてもよい。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
また、前記アリール基やアラルキル基等の芳香環には、置換基として炭素数1〜30の直鎖状、分岐状のアルキル基が結合していても良い。
における炭化水素基としては、中でも、分散性及び分散安定性の点から、炭素数1〜18のアルキル基、アルキル基が置換されていても良い炭素数6〜12のアリール基、及び、アルキル基が置換されていても良い炭素数7〜14のアラルキル基からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ノニル基、n−ラウリル基、n−ステアリル基、アルキル基が置換されていても良いフェニル基及びベンジル基からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
におけるヘテロ原子を含む炭化水素基とは、上記炭化水素基中の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた構造を有するか、上記炭化水素基中の水素原子がヘテロ原子を含む置換基で置き換えられた構造を有する。炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基としては、例えば、炭化水素基の炭素鎖中に、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−等の連結基が含まれる構造が挙げられる。
また、当該炭化水素基は、前記グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、置換基を有しても良く、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基等が挙げられる。
また、Rにおけるヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基としては、炭化水素基においてヘテロ原子を含む連結基を介して末端にアルケニル基等の重合性基が付加された構造であっても良い。例えば、一般式(IV)で表される構成単位が(メタ)アクリル酸由来の構成単位にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたような構造であっても良い。すなわち、一般式(IV)における−A−Rの構造が、−COO−CHCH(OH)CH−OCO−CR=CH(ここで、Rは水素原子又はメチル基)で示される構造であっても良い。また、一般式(IV)で表される構成単位がヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位に2−イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートを反応させたような構造であっても良い。すなわち、一般式(IV)におけるRが、−R’−OCONH−R”−OCO−CR=CH(ここで、R’及びR”はそれぞれ独立にアルキレン基、Rは水素原子又はメチル基)で示される構造であっても良い。
一般式(IV)で表される構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン等由来の構成単位を有するものが好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではない。
本発明において、前記Rとしては、中でも、後述する有機溶剤との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、色材分散液に使用する有機溶剤に合わせて適宜選択されれば良い。具体的には、例えば前記有機溶剤が、色材分散液の有機溶剤として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系、アルコール系などの有機溶剤を用いる場合には、メチル基、エチル基、イソブチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基、ヒドロキシエチル基、フェノキシエチル基、アダマンチル基、メトキシポリエチレングリコール基、メトキシポリプロピレングリコール基、ポリエチレングリコール基等が好ましい。
前記ポリマー鎖において、前記一般式(IV)で表される構成単位は、1種単独でも良いが、2種以上混合されていても良い。
色材の分散性及び分散安定性の点から、前記ポリマー鎖において、前記一般式(IV)で表される構成単位の合計割合は、当該ポリマー鎖の全構成単位(100質量%)に対して、100質量%であってもよい。色材の分散性及び分散安定性の点から、前記ポリマー鎖において、前記一般式(IV)で表される構成単位の合計割合は、当該ポリマー鎖の全構成単位に対して、40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
またマクロモノマーのポリマー鎖は、前記一般式(IV)で表される構成単位の中でも、下記一般式(V)で表される構成単位及び下記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位を含むことが、基材密着性が向上し、現像時間が短縮する点から好ましい。基材密着性が悪いとレジストパターンが基材から剥がれ落ち、表示不良の原因となる恐れがある。
Figure 2021162759
(一般式(V)中、R11’は水素原子又はメチル基、A2’は2価の連結基、Rはエチレン基又はプロピレン基、Rは、水素原子、又は炭化水素基であり、mは2以上80以下の数を表す。
一般式(V’)中、R11”は水素原子又はメチル基、A2”は2価の連結基、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基、Rは炭素数が3〜7のアルキレン基、Rは、水素原子、又は炭化水素基であり、nは1以上40以下の数を表す。)
前記一般式(V)で表される構成単位及び一般式(V’)で表される構成単位において、A2’、及びA2”はそれぞれ独立に、2価の連結基である。A2’及びA2”における2価の連結基としては、例えば、前記Aにおける2価の連結基と同様のものが挙げられる。
中でも、カラーフィルタ用途に使用される有機溶剤への溶解性の点から、A2’、及びA2”はそれぞれ独立に、−CONH−基又は−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましく、−CONH−基又は−COO−基であることがより好ましい。
前記一般式(V)における前記mは、エチレンオキシド鎖又はプロピレンオキシド鎖の繰り返し単位数を表し、2以上の数を表すが、中でも基材密着性の点から、3以上であることが好ましく、更に4以上であることが好ましい。
一方、mの上限値は80以下であるが、カラーフィルタ用途に使用される有機溶剤への溶解性の点から、50以下であることが好ましい。
は、水素原子、又は炭化水素基であるが、前記Rにおける炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基やアルキル置換アリール基等のこれらの組み合わせが挙げられる。
前記Rにおける炭化水素基としては、前記Rにおける炭化水素基と同様のものが挙げられる。
における炭化水素基としては、中でも、分散安定性の点から、炭素数1〜18のアルキル基、アルキル基が置換されていても良い炭素数6〜12のアリール基、及び、アルキル基が置換されていても良い炭素数7〜14のアラルキル基からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ノニル基、n−ラウリル基、n−ステアリル基、アルキル基が置換されていても良いフェニル基及びベンジル基からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
前記一般式(V’)において、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基であるが、中でも炭素数が
2〜8のアルキレン基であることが、溶剤再溶解性の点から好ましい。
は炭素数が3〜7のアルキレン基であるが、中でも炭素数が3〜5のアルキレン基、更に炭素数が5のアルキレン基であることが基材密着性の点から好ましい。
は、水素原子、又は炭化水素基であり、前記Rにおける炭化水素基としては、前記Rにおける炭化水素基と同様であって良い。
前記一般式(V’)における前記nはラクトン鎖の繰り返し単位数を表し、1以上の数を表すが、中でも基材密着性の点から、2以上であることが好ましく、更に3以上であることが好ましい。
一方、nの上限値は40以下であるが、カラーフィルタ用途に使用される有機溶剤への溶解性の点から、20以下であることが好ましい。
前記ポリマー鎖において、前記一般式(V)で表される構成単位及び下記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位は、1種単独でも良いが、2種以上混合されていても良い。
基材密着性が向上し、現像時間が短縮する点から、前記グラフト共重合体のマクロモノマーにおける前記ポリマー鎖の全構成単位に対して、前記一般式(V)で表される構成単位及び下記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位の合計割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがより更に好ましい。前記一般式(V)で表される構成単位及び下記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位の合計割合は、溶剤再溶解性の点から、前記ポリマー鎖の全構成単位に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがより更に好ましい。
前記グラフト共重合体の前記一般式(III)で表される構成単位中のポリマー鎖の構成単位には、前記一般式(V)で表される構成単位及び下記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位が包含される前記一般式(IV)で表される構成単位の他に、その他の構成単位を含んでいても良い。
その他の構成単位としては、前記一般式(IV)で表される構成単位を誘導するエチレン性不飽和モノマー等と共重合可能な、エチレン性不飽和モノマー由来の構成単位を挙げることができる。
その他の構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。
前記グラフト共重合体の前記一般式(III)で表される構成単位中のポリマー鎖において、その他の構成単位の合計割合は、本発明の効果の点から、当該ポリマー鎖の全構成単位に対して、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
また、前記ポリマー鎖の質量平均分子量Mwは、色材の分散性及び分散安定性の点から、2000以上であることが好ましく、3000以上であることがより好ましく、4000以上であることがより更に好ましく、15000以下であることがより好ましく、12000以下であることがより更に好ましい。
前記範囲であることにより、分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、分散剤の溶剤親和性部の比表面積が大きくなることによる、上述のような作用を良好にすることができる。
前記ポリマー鎖の質量平均分子量Mwは、前記重合性オリゴマーか前記反応性基を含むポリマー鎖について、後述の重合体の分子量と同様に測定することができる。
また、前記ポリマー鎖は、酸価が10mgKOH/g以下であることが、更に0mgKOH/gであることが分散安定性の点から好ましい。ここで酸価は、前記重合性オリゴマーか前記反応性基を含むポリマー鎖について、後述の重合体の酸価と同様に測定することができる。
前記ポリマー鎖は、本発明の効果が損なわれない限り、前記一般式(I)で表される構成単位を含有していても良いが分散安定性の点から、前記ポリマー鎖の全構成単位に対して、酸性基を含有する構成単位の合計割合が5質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
また、前記ポリマー鎖は、アミン価が10mgKOH/g以下であることが、更に0mgKOH/gであることが、分散性及び分散安定性の点から好ましい。ここでポリマー鎖のアミン価は、前記重合性オリゴマーか前記反応性基を含むポリマー鎖の固形分1gを中和するのに必要な塩酸量に対して当量となる水酸化カリウムの質量(mg)を表し、JIS K 7237:1995に記載の方法により測定される値である。
前記ポリマー鎖は、本発明の効果が損なわれない限り、窒素原子含有構成単位を含有していても良いが、分散安定性の点から、前記ポリマー鎖の全構成単位に対して、窒素原子含有構成単位の合計割合が5質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
前記グラフト共重合体において、前記一般式(I)で表される構成単位の含有割合は、グラフト共重合体の主鎖の全構成単位に対して、3質量%以上60質量%以下が好ましく、6質量%以上45質量%以下がより好ましく、9質量%以上35質量%以下がさらに好ましい。グラフト共重合体中の前記一般式(I)で表される構成単位の含有割合が前記範囲内にあれば、グラフト共重合体中の色材との親和性部の割合が適切になり、かつ有機溶剤に対する溶解性の低下を抑制できるので、色材に対する吸着性が良好となり、優れた分散性、分散安定性及び溶剤再溶解性が得られる。
一方、前記グラフト共重合体において、グラフトポリマー鎖を含む構成単位や前記一般式(III)で表される構成単位の合計含有割合は、グラフト共重合体の主鎖の全構成単位に対して、40質量%以上97質量%以下が好ましく、55質量%以上94質量%以下がより好ましく、65質量%以上91質量%以下がさらに好ましい。グラフト共重合体中のグラフトポリマー鎖を含む構成単位や前記一般式(III)で表される構成単位の合計含有割合が前記範囲内にあれば、グラフト共重合体中の溶剤親和性部の割合が適切になって、分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、分散剤の溶剤親和性部の比表面積が大きくなることによる、前記効果に対する作用を良好にすることができる。
なお、前記構成単位の含有割合は、グラフト共重合体を合成する際の、前記一般式(I)で表される構成単位、及び前記一般式(III)で表される構成単位等を誘導するモノマーの仕込み量から算出される。
本発明に用いられる前記グラフト共重合体は、本発明の効果が損なわれない範囲内で、前記一般式(I)で表される構成単位、及び前記一般式(III)で表される構成単位以外に、更に他の構成単位を有していても良い。他の構成単位としては、前記一般式(I)で表される構成単位等を誘導するエチレン性不飽和モノマー等と共重合可能な、エチレン性不飽和モノマーを適宜選択して共重合し、他の構成単位を導入することができる。
主鎖に、前記一般式(I)で表される構成単位と共重合されている他の構成単位としては、例えば、前記一般式(IV)で表される構成単位や、前記一般式(I)で表される構成単位とは異なる酸性基を含有する構成単位等が挙げられる。
前記一般式(I)で表される構成単位とは異なる酸性基を含有する構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。
前記グラフト共重合体において、主鎖に共重合されている他の構成単位の合計含有割合は、グラフト共重合体の主鎖の全構成単位に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、0質量%であってよい。
(グラフト共重合体の製造方法)
本発明において、前記グラフト共重合体の製造方法としては、前記一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体を製造することができる方法であればよく、特に限定されない。前記一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体を製造する場合、例えば、下記一般式(Ia)で表されるモノマーと、前記ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマー(マクロモノマー)とを共重合成分として含有して共重合し、グラフト共重合体を製造する方法が挙げられる。
必要に応じて更にその他のモノマーも用い、公知の重合手段を用いてグラフト共重合体を製造することができる。
Figure 2021162759
(一般式(Ia)中、R、A及びQは、一般式(I)と同様である。)
また、前記一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体を製造する場合、前記一般式(Ia)で表されるモノマーと、その他のエチレン性不飽和モノマーとを付加重合して共重合体が形成された後に、共重合体中に含まれる反応性基と反応可能な反応性基を含むポリマー鎖を用いて、ポリマー鎖を導入しても良い。具体的には例えば、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基を有する共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基を含むポリマー鎖とを反応させて、ポリマー鎖を導入したものであっても良い。
例えば、側鎖にグリシジル基を有する共重合体に、末端にカルボキシル基を有するポリマー鎖を反応させたり、側鎖にイソシアネート基を有する共重合体に、末端にヒドロキシ基を有するポリマー鎖を反応させたりして、ポリマー鎖を導入することができる。
なお、前記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
{ブロック共重合体}
本発明に用いられるブロック共重合体は、色材に対する吸着部位として機能する、前記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックを有する。
本発明に用いられるブロック共重合体は、更に、溶剤親和性部位として機能するBブロックを有することが好ましい。
(Aブロック)
Aブロックにおいて、前記一般式(I)で表される構成単位については、前述と同様なので、ここでの説明は省略する。
Aブロックにおいて、一般式(I)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
Aブロックにおいて、本発明の効果が損なわれない範囲内で、前記一般式(I)で表される構成単位以外に、更に他の構成単位を有していても良い。他の構成単位としては、前記一般式(I)で表される構成単位等を誘導するエチレン性不飽和モノマー等と共重合可能な、エチレン性不飽和モノマーを適宜選択して共重合し、他の構成単位を導入することができる。
Aブロックに本発明の効果が損なわれない範囲内で含まれる他の構成単位としては、例えば、前記一般式(IV)で表される構成単位や、前記一般式(I)で表される構成単位とは異なる酸性基を含有する構成単位等が挙げられる。
前記一般式(IV)で表される構成単位や、前記一般式(I)で表される構成単位とは異なる酸性基を含有する構成単位については、グラフト共重合体において記載したものと同様であって良いので、ここでの説明は省略する。
Aブロックに含まれる他の構成単位の合計含有割合は、本発明の効果が損なわれない範囲内であれば特に限定されないが、分散性、分散安定性の点から、Aブロックの全構成単位に対して20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、0質量%であってよい。
すなわち、Aブロックに含まれる一般式(I)で表される構成単位の含有割合は、分散性、分散安定性の点から、Aブロックの全構成単位に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってよい。
(Bブロック)
本発明に用いられるブロック共重合体において、Bブロックは、溶剤親和性部位として機能するブロックである。前記Bブロックは、前記一般式(I)で表される構成単位を誘導するエチレン性不飽和モノマーと共重合可能な、エチレン性不飽和モノマーの中から、溶剤親和性を有するように溶剤に応じて適宜選択して用いられることが好ましい。目安として、組み合わせて用いられる溶剤に対して、ブロック共重合体の23℃における溶解度が20(g/100g溶剤)以上となるように、Bブロックを導入することが好ましい。
本発明に用いられるブロック共重合体において、溶剤親和性部位として機能するBブロックは、溶剤親和性を良好にし、色材の分散性及び分散安定性が良好となる点から、前記一般式(IV)で表される構成単位を少なくとも1種含むことが好ましい。
Bブロックに含まれる前記一般式(IV)で表される構成単位としては、グラフト共重合体において記載したものと同様であって良いので、ここでの説明は省略する。
前記Bブロックにおいて、前記一般式(IV)で表される構成単位は、1種単独でも良いが、2種以上混合されていても良い。
色材の分散性及び分散安定性の点から、前記Bブロックにおいて、前記一般式(IV)で表される構成単位の合計割合は、当該Bブロックの全構成単位に対して、100質量%であってもよい。色材の分散性及び分散安定性の点から、前記Bブロックにおいて、前記一般式(IV)で表される構成単位の合計割合は、当該Bブロックの全構成単位に対して、40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
また前記Bブロックは、前記一般式(IV)で表される構成単位の中でも、前記一般式(V)で表される構成単位及び前記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位を含むことが、基材密着性が向上し、現像時間が短縮する点から好ましい。
前記Bブロックに含まれる前記一般式(V)で表される構成単位及び前記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位としては、グラフト共重合体において記載したものと同様であって良いので、ここでの説明は省略する。
前記Bブロックにおいて、前記一般式(V)で表される構成単位及び下記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位は、1種単独でも良いが、2種以上混合されていても良い。
基材密着性が向上し、現像時間が短縮する点から、前記一般式(V)で表される構成単位及び下記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位の合計割合は、前記Bブロックの全構成単位に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがより更に好ましい。前記一般式(V)で表される構成単位及び下記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位の合計割合は、溶剤再溶解性の点から、前記Bブロックの全構成単位に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがより更に好ましい。
前記Bブロックには、前記一般式(V)で表される構成単位及び下記一般式(V’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位が包含される前記一般式(IV)で表される構成単位の他に、その他の構成単位を含んでいても良い。
その他の構成単位としては、前記一般式(IV)で表される構成単位を誘導するエチレン性不飽和モノマー等と共重合可能な、エチレン性不飽和モノマー由来の構成単位を挙げることができる。
その他の構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。
前記Bブロックにおいて、その他の構成単位の合計割合は、本発明の効果の点から、当該Bブロックの全構成単位に対して、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
前記Bブロックの質量平均分子量Mwは、色材の分散性及び分散安定性の点から、2000以上であることが好ましく、3000以上であることがより好ましく、4000以上であることがより更に好ましく、15000以下であることがより好ましく、12000以下であることがより更に好ましい。
前記範囲であることにより、分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、分散剤の溶剤親和性部の比表面積が大きくなることによる、上述のような作用を良好にすることができる。
前記Bブロックのみの質量平均分子量Mwは、Bブロックのみの重合体について、後述の重合体と同様に測定することができる。
また、前記Bブロックは、酸価が10mgKOH/g以下であることが、更に0mgKOH/gであることが分散安定性の点から好ましい。ここで酸価は、Bブロックのみの重合体について、後述の重合体の酸価と同様に測定することができる。
前記Bブロックは、本発明の効果が損なわれない限り、前記一般式(I)で表される構成単位、及び前記一般式(II)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位等の酸性基を含有する構成単位を含有していても良いが、分散安定性の点から、前記Bブロックの全構成単位に対して、酸性基を含有する構成単位の合計割合が5質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
また、前記Bブロックは、アミン価が10mgKOH/g以下であることが、更に0mgKOH/gであることが分散安定性の点から好ましい。ここでBブロックのアミン価は、Bブロックのみの重合体について、前述のポリマー鎖のアミン価と同様に測定することができる。
前記Bブロックは、本発明の効果が損なわれない限り、窒素原子含有構成単位を含有していても良いが、分散安定性及び多官能チオール化合物混合時の経時安定性の点から、前記Bブロックの全構成単位に対して、窒素原子含有構成単位の合計割合が5質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
また、前記Bブロックは、溶剤親和性部位として機能するように選択されれば良く、構成単位は1種からなるものであっても良いが、2種以上混合されていても良い。前記Bブロックは、2種以上の構成単位を含む場合に、Bブロック内で、2種以上の構成単位がランダム共重合されていてもよい。
前記ブロック共重合体の結合順としては、色材を安定に分散することができるものであればよく、特に限定されないが、前記Aブロックが前記ブロック共重合体の一端に結合したものであることが、色材との相互作用に優れ、分散剤同士の凝集を効果的に抑えることができる点から好ましく、AB型ブロック共重合体又はABA型ブロック共重合体、BAB型ブロック共重合体であることが好ましく、中でもAB型ブロック共重合体、BAB型ブロック共重合体であることが好ましい。
前記ブロック共重合体において、Aブロックの合計含有割合は、ブロック共重合体の主鎖の全構成単位に対して、3質量%以上60質量%以下が好ましく、6質量%以上45質量%以下がより好ましく、9質量%以上35質量%以下がさらに好ましい。ブロック共重合体中のAブロックの合計含有割合が前記範囲内にあれば、ブロック共重合体中の色材との親和性部の割合が適切になり、かつ有機溶剤に対する溶解性の低下を抑制できるので、色材に対する吸着性が良好となり、優れた分散性、分散安定性及び溶剤再溶解性が得られる。
前記ブロック共重合体において、前記一般式(I)で表される構成単位の含有割合は、ブロック共重合体の主鎖の全構成単位に対して、3質量%以上60質量%以下が好ましく、6質量%以上45質量%以下がより好ましく、9質量%以上35質量%以下がさらに好ましい。ブロック共重合体中の前記一般式(I)で表される構成単位の含有割合が前記範囲内にあれば、ブロック共重合体中の色材との親和性部の割合が適切になり、かつ有機溶剤に対する溶解性の低下を抑制できるので、色材に対する吸着性が良好となり、優れた分散性、分散安定性及び溶剤再溶解性が得られる。
一方、前記ブロック共重合体において、Bブロックの合計含有割合は、ブロック共重合体の主鎖の全構成単位に対して、40質量%以上97質量%以下が好ましく、55質量%以上94質量%以下がより好ましく、65質量%以上91質量%以下がさらに好ましい。ブロック共重合体中のBブロックの合計含有割合が前記範囲内にあれば、ブロック共重合体中の溶剤親和性部の割合が適切になって、分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、分散剤の溶剤親和性部の比表面積が大きくなることによる、前記効果に対する作用を良好にすることができる。
なお、前記構成単位の含有割合は、ブロック共重合体を合成する際の、前記一般式(I)で表される構成単位、及び前記一般式(IV)で表される構成単位等を誘導するモノマーの仕込み量から算出される。
(ブロック共重合体の製造方法)
前記ブロック共重合体の製造方法は、特に限定されない。公知の方法によってブロック共重合体を製造することができるが、中でもリビング重合法で製造することが好ましい。連鎖移動や失活が起こりにくく、分子量の揃った共重合体を製造することができ、分散性等を向上できるからである。リビング重合法としては、リビングラジカル重合法、グループトランスファー重合法等のリビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法等を挙げることができる。これらの方法によりモノマーを順次重合することによって共重合体を製造することができる。例えば、Aブロックを先に製造し、AブロックにBブロックを構成する構成単位を重合することにより、ブロック共重合体を製造することができる。また上記の製造方法においてAブロックとBブロックの重合の順番を逆にすることもできる。また、AブロックとBブロックを別々に製造し、その後、AブロックとBブロックをカップリングすることもできる。
{一般式(I)で表される構成単位を有する重合体の特性}
前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体の質量平均分子量Mwは、分散性及び分散安定性の点から、4000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、6000以上であることがより更に好ましい。一方、溶剤再溶解性の点から、50000以下であることが好ましく、30000以下であることがより好ましい。
また、前記グラフト共重合体である分散剤の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)は、分散安定性の点から、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、3.0以下であることがより好ましい。
また、前記ブロック共重合体である分散剤の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)は、分散安定性の点から、1.8以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.4以下であることがより好ましい。
なお、本発明において質量平均分子量Mw、及び数平均分子量Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、20650、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー製)として行われたものである。
前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体の酸価は、分散安定性の点から、20mgKOH/g以上であることが好ましく、30mgKOH/g以上であることがより好ましく、40mgKOH/g以上であることがより更に好ましい。
一方、前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体の酸価は、溶剤再溶解性の点から、250mgKOH/g以下であることが好ましく、180mgKOH/g以下であることがより好ましく、160mgKOH/g以下であることがより更に好ましい。
前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体の酸価は、共重合体の固形分1g中に含まれる酸性成分を中和するために要する水酸化カリウムの質量(mg)を表し、JIS K 0070:1992に記載の方法により測定される値である。
[一般式(VI)で表される構成単位を有する重合体]
一方、塩基性分散剤としては、中でも、下記一般式(VI)で表される構成単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(VI)中、R31は水素原子又はメチル基、Aは、2価の連結基、R32及びR33は、それぞれ独立して、水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R32及びR33が互いに結合して環構造を形成してもよい。)
一般式(VI)において、Aは、2価の連結基である。Aにおける2価の連結基としては、前記一般式(I)におけるAと同様であって良い。
32及びR33における、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基における炭化水素基は、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルキル基の炭素原子数は、1〜18が好ましく、中でも、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
また、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素原子数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。なお、上記好ましい炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
ヘテロ原子を含む炭化水素基とは、上記炭化水素基中の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた構造を有する。炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。
また、炭化水素基中の水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
32及びR33が互いに結合して環構造を形成しているとは、R32及びR33が窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。R32及びR33が形成する環構造にヘテロ原子が含まれていても良い。環構造は特に限定されないが、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環等が挙げられる。
本発明においては、中でも、R32及びR33が各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、フェニル基であるか、又は、R32及びR33が結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環を形成していることが好ましく、中でもR32及びR33の少なくとも1つが炭素原子数1〜5のアルキル基、フェニル基であるか、又は、R32及びR33が結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環を形成していることが好ましい。
上記一般式(VI)で表される構成単位としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアルキル基置換アミノ基含有(メタ)アクリレート等、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアルキル基置換アミノ基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。中でも分散性、及び分散安定性が向上する点でジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを好ましく用いることができる。
一般式(VI)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
前記一般式(VI)で表される構成単位を有する重合体は、分散性及び分散安定性の点から、共重合体であることが好ましく、前記一般式(VI)で表される構成単位を有するグラフト共重合体、及び、前記一般式(VI)で表される構成単位を含むAブロックを有するブロック共重合体、の少なくとも1種であることがより好ましい。
前記一般式(VI)で表される構成単位を有するグラフト共重合体において、溶剤親和性部位として機能するグラフトポリマー鎖を有する構成単位は、前記一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体におけるグラフトポリマー鎖を有する構成単位や前記一般式(III)で表される構成単位と同様であって良い。
また、前記一般式(VI)で表される構成単位を有するグラフト共重合体において、グラフト共重合体の主鎖の全構成単位に対する、前記一般式(VI)で表される構成単位の含有割合は、前記一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体における前記一般式(I)で表される構成単位の含有割合と同様であって良い。
また、前記一般式(VI)で表される構成単位を有するグラフト共重合体において、グラフト共重合体の主鎖の全構成単位に対する、グラフトポリマー鎖を含む構成単位や前記一般式(III)で表される構成単位の合計含有割合は、前記一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体におけるグラフトポリマー鎖を含む構成単位や前記一般式(III)で表される構成単位の合計含有割合と同様であって良い。
更に、前記一般式(VI)で表される構成単位を有するグラフト共重合体の製造方法は、前記前記一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体の製造方法と同様であって良い。
また、前記一般式(VI)で表される構成単位を含むAブロックを有するブロック共重合体において、溶剤親和性部位として機能するBブロックは、前記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックを有するブロック共重合体におけるBブロックと同様であって良い。
また、前記ブロック共重合体の結合順としても、前記一般式(I)で表される構成単位を含むブロック共重合体と同様であって良い。
前記一般式(VI)で表される構成単位を有するブロック共重合体において、ブロック共重合体の主鎖の全構成単位に対する、Aブロックの合計含有割合や、前記一般式(VI)で表される構成単位の含有割合は、前記一般式(I)で表される構成単位を有するブロック共重合体におけるAブロックの合計含有割合や、前記一般式(I)で表される構成単位の含有割合と同様であって良い。
また、前記一般式(VI)で表される構成単位を有するブロック共重合体において、ブロック共重合体の主鎖の全構成単位に対する、Bブロックの合計含有割合は、前記一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体におけるBブロックの合計含有割合と同様であって良い。
更に、前記一般式(VI)で表される構成単位を有するブロック共重合体の製造方法は、前記前記一般式(I)で表される構成単位を有するブロック共重合体の製造方法と同様であって良い。
{一般式(VI)で表される構成単位を有する重合体の特性}
前記一般式(VI)で表される構成単位を有する重合体の質量平均分子量Mwは、分散性及び分散安定性の点から、4000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、6000以上であることがより更に好ましい。一方、溶剤再溶解性の点から、50000以下であることが好ましく、30000以下であることがより好ましい。
また、前記グラフト共重合体である分散剤の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)は、分散安定性の点から、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、3.0以下であることがより好ましい。
また、前記ブロック共重合体である分散剤の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)は、分散安定性の点から、1.8以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.4以下であることがより好ましい。
なお、質量平均分子量Mw、及び数平均分子量Mnは、前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体と同様に測定することができる。
前記一般式(VI)で表される構成単位を有する重合体のアミン価は、特に限定されないが、色材分散性及び分散安定性の点から、下限としては、40mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることがより好ましく、60mgKOH/g以上であることがさらにより好ましい。また、上限としては、130mgKOH/g以下であることがより好ましく、120mgKOH/g以下であることがさらにより好ましい。上記下限値以上であれば、分散安定性がより優れている。また、上記上限値以下であれば、他の成分との相溶性に優れ、溶剤再溶解性が良好になる。
なお、本発明において前記一般式(VI)で表される構成単位を有する重合体のアミン価とは、前記一般式(VI)で表される構成単位を有する重合体の固形分1gを中和するのに必要な塩酸量に対して当量となる水酸化カリウムの質量(mg)を表し、JIS K 7237に記載の方法により測定される値である。
{前記一般式(VI)で表される構成単位を有する重合体の塩型重合体}
分散剤としては、分散性及び分散安定性の点から、前記一般式(VI)で表される構成単位を有する重合体の前記一般式(I)で表される構成単位が有する末端の窒素部位の少なくとも一部と、下記一般式(1)〜(3)よりなる群から選択される1種以上の化合物とが塩を形成した塩型重合体を用いても良い。
当該塩型重合体としては、前記一般式(VI)で表される構成単位を有するグラフト共重合体、又は、前記一般式(VI)で表される構成単位を含むAブロックを有するブロック共重合体における、前記一般式(VI)で表される構成単位が有する末端の窒素部位の少なくとも一部と下記一般式(1)〜(3)で表される化合物よりなる群から選択される1種以上の化合物とが塩を形成した塩型グラフト共重合体又は塩型ブロック共重合体であることが好ましい。
Figure 2021162759
(一般式(1)において、Rは、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは−O−Rを表し、Rは、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。一般式(2)において、R、Rb’、及びRb”はそれぞれ独立に、水素原子、酸性基又はそのエステル基、置換基を有してもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、置換基を有してもよいビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは−O−Rを表し、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、置換基を有してもよいビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表し、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。一般式(3)において、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは−O−Rを表し、Rは、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。但し、R及びRの少なくとも一つは炭素原子を含む。)
前記一般式(1)〜(3)よりなる群から選択される1種以上の化合物の各符号の説明としては、国際公開2016/104493号に記載の一般式(1)〜(3)の対応する箇所の符号の説明を参照することができる。前記一般式(1)〜(3)よりなる群から選択される1種以上の化合物の構造や例示は、国際公開2016/104493号に記載の構造が挙げられる。
塩型重合体において、前記一般式(1)〜(3)よりなる群から選択される1種以上の化合物の含有量は、一般式(VI)で表される構成単位が有する末端の窒素部位と塩形成しているものであることから、一般式(VI)で表される構成単位が有する末端の窒素部位1モルに対して、前記一般式(1)〜(3)よりなる群から選択される1種以上の化合物を0.01モル以上とすることが好ましく、0.1モル以上とすることがより好ましく、0.2モル以上とすることがさらに好ましく、0.3モル以上とすることが特に好ましい。上記下限値以上であると、塩形成による色材分散性向上の効果が得られやすい。同様に、1モル以下とすることが好ましく、0.8モル以下とすることがより好ましく、0.7モル以下とすることがさらに好ましく、0.6モル以下とすることが特に好ましい。上記上限値以下であると現像密着性や溶剤再溶解性に優れたものとすることができる。
なお、前記一般式(1)〜(3)よりなる群から選択される1種以上の化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。2種以上を組み合わせる場合は、その合計の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
本発明において、分散剤の各構成単位の含有割合や構造は、各種質量分析、NMR等を用いて行うことができる。また、分散剤を必要に応じて熱分解等により分解し、得られた分解物について、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ質量分析計、NMR、元素分析、XPS/ESCA及びTOF−SIMS等を用いて求めることができる。
本発明に係る色材分散液において、分散剤の含有量は、用いる色材の種類、更に後述する着色硬化性組成物中の固形分濃度等に応じて適宜選定される。
分散剤の含有量は、色材分散液中の固形分全量に対して、3質量%以上60質量%以下の割合で配合することが好ましく、5質量%以上45質量%以下の割合で配合することがより好ましい。上記下限値以上であれば、色材の分散性及び分散安定性に優れ、着色硬化性組成物の保存安定性により優れている。また、上記上限値以下であれば、現像残渣が良好なものとなる。
尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、溶剤中に溶解しているモノマー等も含まれる。
<溶剤>
本発明に用いられる溶剤としては、色材分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されない。溶剤は単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
溶剤の具体例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、ヒドロキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシプロピオン酸エチル、n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、酪酸イソブチル、酪酸n−ブチル、乳酸エチル、シクロヘキサノールアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶剤;プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のジアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;テトラヒドロフランなどの環状エーテル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中ではグリコールエーテルアセテート系溶剤、カルビトールアセテート系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤が他の成分の溶解性の点で好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、及び、3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
本発明に係る色材分散液は、以上のような溶剤を、当該溶剤を含む色材分散液全量に対して、通常、55質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましく、中でも65質量%以上90質量%以下の範囲内であることが好ましく、70質量%以上88質量%以下の範囲内であることがより好ましい。溶剤が少なすぎると、粘度が上昇し、分散性が低下しやすい。また、溶剤が多すぎると、色材濃度が低下し、目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
<その他の成分>
本発明に係る色材分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、更に必要に応じて、分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
分散補助樹脂としては、例えば後述する着色硬化性組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって色材粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明に係る色材分散液は、後述する着色硬化性組成物を調製するための予備調製物として用いられる。すなわち、色材分散液とは、後述の着色硬化性組成物を調製する前段階において予備調製される、(組成物中の色材成分質量)/(組成物中の色材成分以外の固形分質量)比の高い色材分散液である。具体的には、(組成物中の色材成分質量)/(組成物中の色材成分以外の固形分質量)比は通常1.0以上である。色材分散液と、後述する各成分とを混合することにより、分散性に優れたれ着色硬化性組成物を調製することができる。
<色材分散液の製造方法>
本発明において、色材分散液の製造方法は、前記色材が、前記分散剤により、溶剤中に分散された色材分散液が得られる方法であれば特に限定されない。
色材の分散性及び分散安定性に優れる点から、本発明に係る色材分散液の製造方法としては、前記分散剤を準備する工程と、溶剤中、前記分散剤の存在下で、色材を分散する工程とを有するものが挙げられる。
上記製造方法において色材は、従来公知の分散機を用いて分散することができる。
分散機の具体例としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜3.0mmが好ましく、より好ましくは0.05〜2.0mmである。
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2.0mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.5〜2μmのフィルターで濾過することが好ましい。
<用途>
本発明に係る修飾色材及び色材分散液は、優れた輝度と耐熱性を有する着色層を作製可能であることから、中でもカラーフィルタ用途に好適に用いることができる。
また、本発明に係る修飾色材及び色材分散液は、感光性成分が不要な着色樹脂組成物、又は熱硬化性着色樹脂組成物にも用いることができる。
本発明に係る修飾色材及び色材分散液は、輝度と堅牢性が要求されている様々な用途に用いられ、インクジェット用インクや印刷用インク、筆記用具、化粧品等にも用いられる。
III.着色硬化性組成物
本発明に係る着色硬化性組成物は、前記本発明の修飾色材と、重合性化合物と、開始剤と、溶剤とを含有することを特徴とする。
本発明の着色硬化性組成物は、前記本発明に係る修飾色材を用いることにより、優れた輝度と、耐熱性を有する着色層を形成可能である。
本発明の着色硬化性組成物は、前記本発明の修飾色材と、重合性化合物と、開始剤と、溶剤とを少なくとも含有するものであり、分散剤を更に含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の成分を含有してもよいものである。
以下、本発明の着色硬化性組成物に含まれる各成分について説明するが、前記本発明の修飾色材を含む色材と、溶剤、さらに含まれていてもよい分散剤については、上記本発明に係る色材分散液において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
<重合性化合物>
重合性化合物は、後述する開始剤によって重合可能なものであれば、特に限定されず、例えば、光重合性化合物や熱重合性化合物を用いることができる。熱重合性化合物としては、分子内に、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、水酸基、グリシジル基、イソシアネート基、及びアルコキシル基等の熱重合性官能基を有する化合物を用いることができる。また、エチレン性不飽和基を有する化合物を、熱ラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることにより、熱重合性化合物として用いることもできる。重合性化合物としては、中でも、フォトリソグラフィ法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から、後述する光開始剤により重合可能な光重合性化合物が好ましい。
着色硬化性組成物において用いられる光重合性化合物は、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、特開2013−029832号公報に記載のもの等が挙げられる。
これらの光重合性化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の着色硬化性組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、光重合性化合物が、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
着色硬化性組成物中の重合性化合物の含有量は、着色硬化性組成物の固形分全量に対して5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより更に好ましい。重合性化合物の含有量が上記下限値以上であると、硬化不良を抑制できるので、露光した部分が現像時に溶出することを抑制でき、また重合性化合物の含有量が上記上限値以下であると、現像不良を抑制でき、また熱収縮を抑制できるので、着色層の表面全体に微小な皺が生じにくい。
<開始剤>
本発明の着色硬化性組成物において用いられる開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。開始剤としては、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤等の重合開始剤が挙げられ、具体的には、例えば、特開2013−029832号公報に記載のもの等が挙げられる。
光開始剤としては、芳香族ケトン類、ベンゾインエーテル類、ハロメチルオキサジアゾール化合物、α−アミノケトン、ビイミダゾール類、N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ハロメチル−S−トリアジン系化合物、チオキサントン等を挙げることができる。光開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体等のビイミダゾール類、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−,、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノン、1−(9,9−ジブチル−9H−フルオレン−2−イル)−2−メチル−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。
中でも、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントンが好ましく用いられる。更に2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンのようなα−アミノアセトフェノン系開始剤とジエチルチオキサントンのようなチオキサントン系開始剤を組み合わせることが感度調整、水染みを抑制し、現像耐性が向上する点から好ましい。
α−アミノアセトフェノン系開始剤とチオキサントン系開始剤を用いる場合のこれらの合計含有量は、着色硬化性組成物の固形分全量に対して、5質量%質量%以上15質量以下%が好ましい。開始剤量が15質量%以下だと製造プロセス中の昇華物が低減するため好ましい。開始剤量が5質量%以上であると水染み等、現像耐性が向上する。
本発明において、光開始剤は、中でも、感度を向上させることができる点から、オキシムエステル系光開始剤を含むことが好ましい。また、オキシムエステル系光開始剤を用いることにより、細線パターンを形成する際に、面内の線幅のばらつきが抑制され易い。更に、オキシムエステル系光開始剤を用いることにより、残膜率が向上し、水染み発生抑制効果が高くなる傾向がある。
当該オキシムエステル系光開始剤としては、分解物による着色硬化性組成物の汚染や装置の汚染を低減する点から、中でも、芳香環を有するものが好ましく、芳香環を含む縮合環を有するものがより好ましく、ベンゼン環とヘテロ環を含む縮合環を有することがさらに好ましい。
オキシムエステル系光開始剤としては、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−、2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2010−527339、特表2010−527338、特開2013−041153等に記載のオキシムエステル系光開始剤の中から適宜選択できる。市販品として、ジフェニルスルフィド骨格を有するイルガキュアOXE−01、アデカアークルズNCI−930、TR−PBG−345、カルバゾール骨格を有するTR−PBG−304、フルオレン骨格を有するイルガキュアOXE−02、アデカアークルズNCI−831、TR−PBG−365、ジフェニルスルフィド骨格を有するTR−PBG−3057(以上、常州強力電子新材料社製)などを用いても良い。特にジフェニルスルフィド骨格又はフルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を用いることが輝度の点から好ましい。またカルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を用いることが感度の高い点から好ましい。
また、オキシムエステル系光開始剤に、3級アミン構造を有する光開始剤を組み合わせて用いることが、水染みを抑制し、また、感度向上の点から、好ましい。3級アミン構造を有する光開始剤は、分子内に酸素クエンチャーである3級アミン構造を有するため、開始剤から発生したラジカルが酸素により失活し難く、感度を向上させることができるからである。上記3級アミン構造を有する光開始剤の市販品としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えばイルガキュア907、BASF社製)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(例えばイルガキュア369、BASF社製)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(例えば、ハイキュアABP、川口薬品製)などが挙げられる。
また、オキシムエステル系光開始剤に、チオキサントン系開始剤を組み合わせることが感度調整、水染みを抑制し、現像耐性が向上する点から好ましく、オキシムエステル系光開始剤を2種類以上と、チオキサントン系開始剤を組み合わせることが輝度、残膜率が向上し、感度調整をしやすく、水染み発生抑制効果が高く、現像耐性が向上する点で好ましい。
着色硬化性組成物中の開始剤の含有量は、着色硬化性組成物の固形分全量に対して0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。開始剤の含有量が上記下限値以上であると、十分に硬化が進み、また開始剤の含有量が上記上限値以下であると、副反応を抑制でき、経時安定性を維持することができる。
<その他の成分>
本発明の着色硬化性組成物には、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂等のポリマー、酸化防止剤、更に各種添加剤を含むものであってもよい。
(ポリマー)
ポリマーとしては、着色層を形成する際にフォトリソグラフィ工程を用いる場合には、アルカリ現像液に可溶性のあるアルカリ可溶性樹脂が好適に用いられる。本発明においては、分散剤が酸性基を有することからアルカリ可溶性樹脂としても機能し得るため、フォトリソグラフィ工程を用いる場合にも、前記分散剤とは異なるアルカリ可溶性樹脂は必須成分ではない。
本発明の着色硬化性組成物が感光性着色樹脂組成物である場合、アルカリ可溶性を調整し易い点から、前記分散剤とは異なるアルカリ可溶性樹脂を更に含有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は酸性基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられるアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明において、アルカリ可溶性樹脂とは、酸価が30mgKOH/g以上であることを目安にすることができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、従来公知のアルカリ可溶性樹脂を適宜選択して用いることができ、例えば、WO2016/104493号公報に記載のアルカリ可溶性樹脂を適宜選択して用いることができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、酸性基、通常カルボキシ基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシ基を有するアクリル系共重合体及びカルボキシ基を有するスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂、カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシ基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂、並びにエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
着色硬化性組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、特に制限はないが、着色硬化性組成物の固形分全量に対して、好ましくは1質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上40質量%以下の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が上記下限値以上であると、充分なアルカリ現像性が得られやすく、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が上記上限値以下であると、現像時に膜荒れやパターンの欠けを抑制しやすい。
なお、本発明において固形分は、溶剤以外のもの全てであり、溶剤中に溶解しているモノマー等も含まれる。
また、本発明に係る着色硬化性組成物は、前記ポリマーとして、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等の熱硬化性ポリマーを含有していてもよい。
なお、前記ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色硬化性組成物中のポリマーの含有量は、特に限定はされないが、着色硬化性組成物の固形分全量に対して1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。ポリマーの含有量が上記下限値以上であると、膜強度の低下を抑制することができ、またポリマーの含有量が上記上限値以下であると、ポリマー以外の成分を十分に含有させることができる。
(酸化防止剤)
本発明の着色硬化性組成物は、更に酸化防止剤を含有することが、耐熱性が向上し、色材の退色が抑制され、輝度が向上する点から好ましい。酸化防止剤は従来公知のものの中から適宜選択すればよい。酸化防止剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられ、耐熱性の点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることが好ましい。国際公開第2014/021023号に記載されているような潜在性酸化防止剤であっても良い。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:商品名:IRGANOX1010、BASF社製)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(商品名:イルガノックス3114、BASF製)、2,4,6−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)メシチレン(商品名:イルガノックス1330、BASF製)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(商品名:スミライザーMDP−S、住友化学製)、6,6’−チオビス(2−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(商品名:イルガノックス1081、BASF製)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル(商品名:イルガモド195、BASF製)等が挙げられる。中でも、耐熱性及び耐光性の点から、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:商品名:IRGANOX1010、BASF社製)が好ましい。
本発明の着色硬化性組成物は、前記オキシムエステル系光開始剤と、酸化防止剤とを組み合わせて含有すると、相乗効果で輝度が向上する点、マスク線幅の設計通りに細線パターンを形成する能力が向上する点から好ましい。
酸化防止剤の配合量としては、着色硬化性組成物中の固形分全量に対して、酸化防止剤が0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。上記下限値以上であれば、耐熱性及び耐光性に優れている。一方、上記上限値以下であれば、本発明の着色硬化性組成物を高感度の感光性樹脂組成物とすることができる。
酸化防止剤を前記オキシムエステル系光開始剤と組み合わせて用いる場合、酸化防止剤の配合量としては、前記オキシムエステル系光開始剤の合計量100質量部に対して、酸化防止剤が1質量部以上250質量部以下であることが好ましく、3質量部以上80質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上45質量部以下であることがより更に好ましい。上記範囲内であれば、上記組み合わせの効果に優れている。
(各種添加剤)
本発明の着色硬化性組成物には、各種添加剤を含むものであってもよい。
添加剤としては、例えば、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
界面活性剤及び可塑剤の具体例としては、例えば、特開2013−029832号公報に記載のものが挙げられる。
またシランカップリング剤としては、例えばKBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103、KBM−903、KBE−903、KBM573、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−303、KBM−802、KBM−803、KBE−9007、X−12−967C(信越シリコーン社製)などが挙げられる。中でもSiN基板の密着性の点からメタクリル基、アクリル基を有するKBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103が好ましい。
シランカップリング剤の含有量としては、着色硬化性組成物中の固形分全量に対して、シランカップリング剤が0.05質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。上記下限値以上、上記上限値以下であれば、基材密着性に優れている。
<着色硬化性組成物における各成分の配合割合>
色材の合計の含有量は、着色硬化性組成物の固形分全量に対して、3質量%以上65質量%以下、より好ましくは4質量%以上60質量%以下の割合で配合することが好ましい。上記下限値以上であれば、着色硬化性組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の着色層が充分な色濃度を有する。また、上記上限値以下であれば、保存安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。特に色材濃度が高い着色層を形成する場合には、色材の含有量は、着色硬化性組成物の固形分全量に対して、15質量%以上75質量%以下、より好ましくは25質量%以上70質量%以下の割合で配合することが好ましい。
なお、本発明の着色硬化性組成物に用いられる色材においては、調色の点から、前記本発明の修飾色材が主成分(色材全量に対して50質量%以上)でない場合もある。本発明の着色硬化性組成物に用いられる色材において、前記本発明の修飾色材は、色材全量に対して、25質量%以上含有であってよく、更に50質量%以上含有であってよく、100質量%であっても良い。
また、溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含む着色硬化性組成物の全量に対して、通常、55質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましく、中でも、65質量%以上88質量%以下の範囲内であることがより好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
また、分散剤を含有する場合の分散剤の含有量としては、色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、着色硬化性組成物の固形分全量に対して1質量%以上40質量%以下の割合で用いることができる。更に、着色硬化性組成物の固形分全量に対して2質量%以上30質量%以下の割合で配合するのが好ましく、特に3質量%以上25質量%以下の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、色材の分散性及び分散安定性に優れ、着色硬化性組成物の保存安定性により優れている。また、上記上限値以下であれば、アルカリ現像性が良好なものとなる。特に色材濃度が高い着色層を形成する場合には、分散剤の含有量は、着色硬化性組成物の固形分全量に対して、2質量%以上25質量%以下、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
<着色硬化性組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、前記本発明に係る色材分散液に、重合性化合物と、開始剤と、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂等のポリマーと、その他の成分を添加し、公知の混合手段を用いて混合することにより得ることができる。或いは、色材と、必要に応じて分散剤と、重合性化合物と、開始剤と、溶剤と、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂等のポリマーと、その他の成分を添加し、公知の混合手段を用いて混合することにより得ることができる。
<用途>
本発明に係る着色硬化性組成物は、優れた輝度と耐熱性を有する着色層を作製可能であることから、中でもカラーフィルタ用途に好適に用いることができる。
本発明に係る着色硬化性組成物は、輝度と堅牢性が要求されている様々な用途に用いられ、インクジェット用インクや印刷用インクにも用いられる。
IV.カラーフィルタ
本発明に係るカラーフィルタは、基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、前記本発明に係る着色硬化性組成物の硬化物である。
このような本発明に係るカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
<着色層>
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、少なくとも1つが、前記本発明に係る着色硬化性組成物の硬化物である着色層である。
着色層は、通常、後述する基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、着色硬化性組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
当該着色層は、例えば、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明の着色硬化性組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ダイコート法などの塗布手段を用いて後述する基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。なかでもスピンコート法、ダイコート法を好ましく用いることができる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて硬化塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用する着色硬化性組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶剤にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、着色硬化性組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
<遮光部>
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。遮光部は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、遮光部は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法、感光性レジストを熱転写する方法等がある。
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
<基板>
基板としては、後述する透明基板、シリコン基板、及び、透明基板又はシリコン基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、TFT等のトランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、フレキシブルガラス等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
V.表示装置
本発明に係る表示装置は、前記本発明に係るカラーフィルタを有することを特徴とする。本発明において表示装置の構成は特に限定されず、従来公知の表示装置の中から適宜選択することができ、例えば、液晶表示装置や、有機発光表示装置などが挙げられる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置としては、例えば、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有する液晶表示装置が挙げられる。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。前記方法によって液晶層を形成後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
[有機発光表示装置]
本発明の有機発光表示装置としては、例えば、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有する有機発光表示装置が挙げられる。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
分散剤に用いられる共重合体の酸価及びアミン価は、前述の本発明の明細書に記載した測定方法に従って求めた。
分散剤に用いられる共重合体の重量平均分子量(Mw)、及びMw/Mnは、前述の本発明の明細書に記載した測定方法に従って、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算値として求めた。
修飾色材に用いられた塩基性複素環式化合物の最大吸収波長は、有機溶剤で希釈した塩基性複素環式化合物を光路長1cmで光路幅1cmの石英セルを用いて、紫外可視分光光度計(島津製作所製 UV−2500PC)で、測定波長範囲を190−700nmとして測定した。なお、測定結果中のベースラインは、測定に用いられた有機溶剤の吸収スペクトルとした。
(合成例1:レーキ色材1の合成)
(1)中間体1の合成
特開2018−3013号に記載の中間体A−2、中間体B−1、及び化合物1−3の製造方法を参照して、下記化学式(a)で示される中間体1を得た(収率87%)。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):677(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (81.81%、7.31%、5.85%);理論値(81.77%、7.36%、5.90%)
Figure 2021162759
(2)レーキ色材1の合成
関東化学製12タングストリン酸・n水和物2.59g(0.76mmol)をメタノール40mL、水40mLの混合液に加熱溶解させ、前記中間体1 1.6g(1.19mmol)を加え、1時間攪拌した。沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られた沈殿物を減圧乾燥して下記化学式(b)で示されるレーキ色材1を(収率95%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):1355(M)、2879(MH
・元素分析値:CHN実測値 (35.55%、3.24%、2.61%);理論値(35.61%、3.20%、2.57%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100%)
Figure 2021162759
(合成例2:ブロック共重合体Aの製造)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA150.0質量部、ヨウ素を3.0部、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2 ,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V−70、和光純薬社製)11.0質量部、メタクリル酸メチル(MMA)50.2質量部、メタクリル酸ブチル(BMA)8.4質量部、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名;ブレンマーPME−200、エチレンオキシ基繰り返し数=4)(PME−200)25.1質量部、コハク酸イミド0.04質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、40℃で5時間攪拌し、Bブロックの共重合体を製造した。
続けて、メタクリル酸(MAA)9.9質量部、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(2−MOES)6.4質量部加えて、40℃で5時間攪拌した。固形分を測定し、不揮発分から換算したところ重合転化率は99%であった。この反応溶液をヘキサン3000質量部で再沈澱することで、ブロック共重合体A99.0質量部を得た。このようにして得られたブロック共重合体Aは、重量平均分子量(Mw)が8300、Mw/Mnが1.2であり、酸価が80mgKOH/gであった。
(合成例3:グラフト共重合体Bの製造)
(1)マクロモノマーm1の製造
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)30.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル(MMA)45.0質量部、メタクリル酸ブチル(BMA)10.0質量部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)10.0質量部、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン(PCL−FM5)(商品名;プラクセルFM5、株式会社ダイセル製、カプロラクトン鎖繰り返し数=5)35.0質量部、メルカプトプロピオン酸7.0質量部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。冷却後、この反応溶液をテトラヒドロフラン(THF)200質量部で希釈し、ヘキサン3000質量部で再沈澱することで、白色粉末106.0質量部を得た。次に、この白色粉末100.0質量部に、PGMEA50.0質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)7.4質量部、N,N−ジメチルドデシルアミン0.30質量部及びp−メトキシフェノール0.2質量部を加え、空気バブリングを行いながら110℃にて、24時間攪拌した。冷却後、この反応溶液を、ヘキサン3000質量部で再沈澱することで、マクロモノマーm1を106.0質量部得た。
得られたマクロモノマーm1を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、重量平均分子量(Mw)4500、分子量分布(Mw/Mn)は1.6であった。
(2)グラフト共重合体Bの製造
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA100.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例1のマクロモノマーm1を87.5質量部、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート(商品名;ライトエステルP−1M、共栄社化学株式会社)12.5質量部、n−ドデシルメルカプタン1.3質量部、PGMEA50.0質量部、AIBN1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA6.0質量部の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成した。冷却後、この反応溶液を、ヘキサン3000質量部で再沈澱することで、グラフト共重合体Bを99.1質量部得た。得られたグラフト共重合体Bは、重量平均分子量(Mw)が14800、Mw/Mnが2.6であり、酸価が59mgKOH/gであった。
(合成例4:ブロック共重合体Cの製造)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA150.0質量部、ヨウ素を3.0部、V−70を11.0質量部、MMA28.6質量部、BzMA11.2質量部、PME−200を35.1質量部、コハク酸イミド0.04質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、40℃で5時間攪拌し、Bブロックの共重合体を製造した。
続けて、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(DMMA)25.0質量部加えて、40℃で5時間攪拌した。固形分を測定し、不揮発分から換算したところ重合転化率は99%であった。この反応溶液をヘキサン3000質量部で再沈澱することで、ブロック共重合体C99.0質量部を得た。このようにして得られたブロック共重合体Cは、重量平均分子量(Mw)が9800、Mw/Mnが1.2であり、アミン価が89mgKOH/gであった。
(調製例1:アルカリ可溶性樹脂αの調製)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEAを300質量部仕込み、窒素雰囲気下で100℃に昇温した後、メタクリル酸2−フェノキシエチル(PhEMA)90質量部、MMA54質量部、メタクリル酸(MAA)36質量部及びパーブチルO(日油株式会社製)6質量部、連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)2質量部を1.5時間かけて連続的に滴下した。その後、100℃を保持して反応を続け、上記主鎖形成用混合物の滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.1質量部を添加して重合を停止した。
次に、空気を吹き込みながら、エポキシ基含有化合物としてメタクリル酸グリシジル(GMA)20質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.8質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、アルカリ可溶性樹脂α溶液(重量平均分子量(Mw)8500、酸価75mgKOH/g、固形分40質量%)を得た。
(実施例1)
(1)修飾色材1の製造
C.I.ピグメントグリーン58(PG58、商品名:FASTOGEN GREEN A110、DIC株式会社製)を100質量部、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU、サンアプロ製、最大吸収波長255nm付近)を0.1質量部、PGMEA39.9質量部を、双腕型ニーダー装置に仕込み、25℃で3時間混練することで、修飾色材1を得た。
(2)色材分散液G−1の製造
分散剤として合成例2で得られたブロック共重合体Aを5.2質量部、色材として前記修飾色材1を18.2質量部、PGMEAを76.6質量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ100質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ200質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、色材分散液G−1を得た。
(2)着色硬化性組成物G−1の製造
上記(1)で得られた色材分散液G−1を7.47質量部、調製例1で得られたアルカリ可溶性樹脂α溶液を0.46質量部、多官能モノマー(商品名アロニックスM−403、東亞合成(株)社製)を1.65質量部、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(光開始剤:商品名イルガキュア907、(株)BASFジャパン製)を0.08質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(光開始剤:商品名イルガキュア369、BASFジャパン製)を0.08質量部、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](光開始剤:商品名イルガキュアOXE01、(株)BASFジャパン製)を0.04質量部、フッ素系界面活性剤(商品名メガファックR−08MH、DIC(株)製)を0.07質量部、PGMEAを10.15質量部加え、着色硬化性組成物G−1を得た。
(実施例2〜4)
(1)修飾色材2〜4の製造
実施例1の修飾色材1の製造において、色材(PG58)100質量部あたりのDBUの量を、0.1質量部から、表1に示す量にそれぞれ変更し、色材とDBUとPGMEAの合計量が140質量部になるようにPGMEAの量を調整した以外は、実施例1と同様にして、修飾色材2〜4を製造した。
(2)色材分散液G−2〜G−4の製造
実施例1の(2)において、修飾色材1の代わりに、それぞれ修飾色材2〜4を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、色材分散液G−2〜G−4を製造した。
(3)着色硬化性組成物G−2〜G−4の製造
実施例1の(3)において、色材分散液G−1の代わりに、それぞれ上記色材分散液G−2〜G−4を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色硬化性組成物G−2〜G−4を得た。
(実施例5)
(1)修飾色材5の製造
実施例1の修飾色材1の製造において、色材としてPG58の代わりに、C.I.ピグメントレッド291(PR291)を用い、更に色材100質量部あたりのDBUの量を、0.1質量部から、7質量部に変更し、色材とDBUとPGMEAの合計量が140質量部になるようにPGMEAの量を調整した以外は、実施例1と同様にして、修飾色材5を製造した。
(2)色材分散液R−1の製造
実施例1の(2)において、修飾色材1の代わりに、修飾色材5を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、色材分散液R−1を製造した。
(3)着色硬化性組成物R−1の製造
実施例1の(3)において、色材分散液G−1の代わりに、上記色材分散液R−1を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色硬化性組成物R−1を得た。
(比較例1)
(1)比較色材分散液CG−1の製造
実施例1の(1)において、DBUを用いずに、色材(PG58)100質量部とPGMEA40質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較色材1を製造した。
実施例1の(2)において、色材として、修飾色材1の代わりに、比較色材1を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、比較色材分散液CG−1を得た。
(2)比較着色硬化性組成物CG−1の製造
実施例1の(3)において、色材分散液G−1の代わりに、上記比較色材分散液CG−1を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、比較着色硬化性組成物CG−1を得た。
(比較例2)
(1)比較色材分散液CR−1の製造
実施例5の(1)において、DBUを用いずに、色材(PR291)100質量部とPGMEA40質量部に変更した以外は、実施例5と同様にして、比較色材2を製造した。
実施例5の(2)において、色材として、修飾色材5の代わりに、比較色材2を用いた以外は実施例5の(2)と同様にして、比較色材分散液CR−1を得た。
(2)比較着色硬化性組成物CR−1の製造
実施例5の(3)において、色材分散液R−1の代わりに、上記比較色材分散液CR−1を用いた以外は、実施例5の(3)と同様にして、比較着色硬化性組成物CR−1を得た。
(実施例6)
(1)修飾色材6の製造
実施例1の修飾色材1の製造において、色材としてPG58の代わりに、合成例1で得られた青色レーキ色材1を用い、更に色材100質量部あたりのDBUの量を、0.1質量部から、7質量部に変更し、色材とDBUとPGMEAの合計量が140質量部になるようにPGMEAの量を調整した以外は、実施例1と同様にして、修飾色材6を製造した。
(2)色材分散液B−1の製造
実施例1の(2)において、修飾色材1の代わりに、修飾色材6を用い、分散剤としてブロック共重合体Aの代わりに、合成例3で得られたグラフト共重合体Bを用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、色材分散液B−1を製造した。
(3)着色硬化性組成物B−1の製造
実施例1の(3)において、色材分散液G−1の代わりに、上記色材分散液B−1を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色硬化性組成物B−1を得た。
(比較例3)
(1)比較色材分散液CB−1の製造
実施例6の(1)において、DBUを用いずに、合成例1で得られた青色レーキ色材1を100質量部とPGMEAを40質量部に変更した以外は、実施例6と同様にして、比較色材3を製造した。
実施例6の(2)において、色材として、修飾色材6の代わりに、比較色材3を用いた以外は実施例6の(2)と同様にして、比較色材分散液CB−1を得た。
(2)比較着色硬化性組成物CB−1の製造
実施例6の(3)において、色材分散液B−1の代わりに、上記比較色材分散液CB−1を用いた以外は、実施例6の(3)と同様にして、比較着色硬化性組成物CB−1を得た。
(実施例7)
(1)修飾色材7の製造
実施例1の修飾色材1の製造において、色材としてPG58を100質量部の代わりに、PB15:6を30質量部とローダミン系酸性染料(アシッドレッド289、東京化成製)を70質量部用い、更に色材100質量部あたりのDBUの量を、0.1質量部から、7質量部に変更し、色材とDBUとPGMEAの合計量が140質量部になるようにPGMEAの量を調整した以外は、実施例1と同様にして、修飾色材7を製造した。
(2)色材分散液B−2の製造
実施例1の(2)において、修飾色材1の代わりに、修飾色材7を用い、分散剤としてブロック共重合体Aの代わりにグラフト共重合体Bを用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、色材分散液B−2を製造した。
(3)着色硬化性組成物B−2の製造
実施例1の(3)において、色材分散液G−1の代わりに、上記色材分散液B−2を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色硬化性組成物B−2を得た。
(比較例4)
(1)比較色材分散液CB−2の製造
実施例7の(1)において、DBUを用いずに、PB15:6を30質量部とローダミン系酸性染料(アシッドレッド289、東京化成製)を70質量部とPGMEAを40質量部に変更した以外は、実施例7と同様にして、比較色材4を製造した。
実施例7の(2)において、色材として、修飾色材7の代わりに、比較色材4を用いた以外は実施例7の(2)と同様にして、比較色材分散液CB−2を得た。
(2)比較着色硬化性組成物CB−2の製造
実施例7の(3)において、色材分散液B−2の代わりに、上記比較色材分散液CB−2を用いた以外は、実施例7の(3)と同様にして、比較着色硬化性組成物CB−2を得た。
(実施例8〜12)
(1)修飾色材8〜12の製造
実施例1の修飾色材1の製造において、塩基性複素環式化合物を、DBUから表3に記載した塩基性複素環式化合物に変更し、色材(PG58)100質量部あたりの塩基性複素環式化合物の量を、0.1質量部から、7に質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、修飾色材8〜12を製造した。
(2)色材分散液G−8〜G−12の製造
実施例1の(2)において、修飾色材1の代わりに、それぞれ修飾色材8〜12を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、色材分散液G−8〜G−12を製造した。
(3)着色硬化性組成物G−8〜G−12の製造
実施例1の(3)において、色材分散液G−1の代わりに、それぞれ上記色材分散液G−8〜G−12を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色硬化性組成物G−8〜G−12を得た。
(実施例13)
(1)色材分散液G−13の製造
実施例1の(2)において、分散剤としてブロック共重合体Aの代わりに、合成例4で得られた塩基性分散剤のブロック共重合体Cを用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、色材分散液G−13を製造した。
(3)着色硬化性組成物G−13の製造
実施例1の(3)において、色材分散液G−1の代わりに、上記色材分散液G−13を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色硬化性組成物G−13を得た。
[評価方法]
<光学性能、輝度>
実施例及び比較例で得られた着色硬化性組成物を、それぞれガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いてポストベーク後に、PB58はy=0.520、PR291はx=0.650、青色レーキ色材1はy=0.095、PB15:6/アシッドレッド289はy=0.080となる着色層を形成する膜厚で塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥することにより、ガラス基板上に着色層を形成した。この着色層に超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を照射した。次に、当該着色基板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、着色基板を作成した。
ポストベーク後の各着色層について、色度(x、y)、輝度(Y)をオリンパス製顕微分光測定装置OSP−SP200を用いて測定した。
PB58はy=0.520、PR291はx=0.650、青色レーキ色材1はy=0.095、PB15:6/アシッドレッド289はy=0.080のときの輝度を求めた。値が大きいほど、輝度が高いことを示す。
<耐熱性>
実施例及び比較例で得られた着色硬化性組成物を、それぞれガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いてポストベーク後に、PB58はy=0.520、PR291はx=0.650、青色レーキ色材1はy=0.095、PB15:6/アシッドレッド289はy=0.080となる着色層を形成する膜厚で塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥することにより、ガラス基板上に着色層を形成した。この着色層に超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を照射した。
次に、当該着色基板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、着色基板を作成した。
ポストベーク前後の各着色層について、ポストベーク前の色度(L、a、b)、ポストベーク後の色度(L、a、b)をオリンパス製顕微分光測定装置OSP−SP200を用いて測定した。
下記式により、ポストベーク前後の着色膜の色度変化を評価した。結果を表に示す。
ΔEab={(L−L)2+(a−a)2+(b−b1/2
ΔEabの値が小さいほど、耐熱性に優れると評価される。
上記で得られた実施例及び比較例で得られた修飾色材、色材分散液及び着色硬化性組成物について、上記評価を行った。評価結果を表1〜表3に示す。
Figure 2021162759
Figure 2021162759
Figure 2021162759
表3において、略称は以下のとおりである。
DBN:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(サンアプロ製、最大吸収波長255nm付近)
DABCO:トリエチレンジアミン(東京化成工業製、最大吸収波長260nm付近)
2−MIDZ:2−メチルイミダゾール(東京化成工業製、最大吸収波長210nm付近)
TBD:1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(東京化成工業製)
MTBD:7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(東京化成工業製)
[結果のまとめ]
実施例及び比較例の比較により、本発明の修飾色材は、修飾によって輝度が低下することなく良好で、且つ耐熱性に優れることが明らかにされた。
実施例の中で比較すると、前記化合物(B)のpKaが一定以上大きい方が耐熱性により優れる傾向があることが示された。
1 基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置

Claims (8)

  1. 最大吸収波長が400nm以下である塩基性複素環式化合物を、色材100質量部あたり、0.01〜30質量部含有する、修飾色材。
  2. 前記塩基性複素環式化合物が、顔料誘導体とは異なる、請求項1に記載の修飾色材。
  3. 前記塩基性複素環式化合物は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、トリエチレンジアミン、2−メチルイミダゾール、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、及び7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンからなる群から選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の修飾色材。
  4. 前記色材は、金属フタロシアニン系色材、ジケトピロロピロール系色材、レーキ色材、及び酸性染料からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の修飾色材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の修飾色材と、分散剤と、溶剤とを含有する、色材分散液。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の修飾色材と、重合性化合物と、開始剤と、溶剤とを含有する、着色硬化性組成物。
  7. 基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが請求項6に記載の着色硬化性組成物の硬化物である、カラーフィルタ。
  8. 前記請求項7に記載のカラーフィルタを有する、表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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