JP2021162533A - 微小試料片採取具及び採取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体組織に限らず多種の被解析対象物に対応可能であり、被解析対象物から微小試料片を採取する過程において汚染物質が被解析対象物に混入することを排除し、解析に適する状態の微小試料片を提供すること。【解決手段】微小試料片採取具10は、無機個体材料からなる基部11と、基部11と一体で形成され、かつ、基部11の一面側に突出し、粘弾性体の被解析対象物に先端部を突き刺した状態又は押し当てた状態で、被解析対象物に対し相対的に移動することにより、被解析対象物の一部を掻き取る突起部12と、を有する。採取装置55は、微小試料片採取具10と、微小試料片採取具10を保持するホルダー50と、突起部12を、被解析対象物に突き刺し又は押し当てる位置まで移動し、かつ被解析対象物に沿って移動させる駆動機構57を有している。【選択図】図1
Description
本発明は、微小試料片採取具及び採取装置に関する。
従来、物体の元素解析や生体組織のゲノム解析に供する微小試料片の採取方法は、ピンセット又は探針のような先端が尖った金属棒、或いは鋭匙のような採取具を人が掴んで物体や生体組織から削り取るようにして微小試料片を採取するのが一般的であった。しかし、このような採取方法では、採取した微小切片に汚染物質が混入し易く、解析・分析に適さないという課題があった。
そこで、例えば被解析対象物である生体組織の薄切片から特定の細胞が存在する微小試料片を採取し、各種分析及び解析に供する採取装置が提案されている。例えば、特許文献1においては、互いに所定の距離(隙間部分)をおくようにして配置された複数の微小チップを準備し、この複数の微小チップの上面(載置面)の表面全体を覆うように、生体組織の薄切片を配設し、温度を上げることにより薄切片を載置面に溶融添着させ、さらに加熱することにより薄切片を瞬間的に収縮させて微小チップ間の隙間部分で薄切片を切断し、可動ピンで微小チップ1個ずつ押上げて薄切片から微小試料片を分離し、採取する採取装置が提案されている。
また、特許文献2においては、複数の小片に分割可能な基板の表面に生体組織の薄切片を貼り付け、この薄切片が貼り付けられた基板をシート状の伸展部材に接着し、伸展部材を全方位方向に伸展させて基板の小片間の隙間を広げることによって、薄切片から微小試料片を切り離して採取する採取装置が提案されている。
上記特許文献1及び特許文献2に記載の採取装置は、被解析対象物が生体組織であるために、生体組織の熱収縮によって薄切片から微小試料片を分離することが可能となっており、或いは、薄切片を小片に切り離す方向に移動することによって薄切片から微小試料片を採取することが可能となっている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の採取装置は、生体組織以外の被解析対象物から微小試料片を採取することは困難である。
また、特許文献1に記載の採取装置は、複数の微小チップ上に薄切片を貼り付け、微小チップごとに対応する可動ピンで微小チップを押し上げ、微小試料片を分離する構成によるものであり、一方、特許文献2に記載の採取装置は、薄切片を伸展部材に貼り付けた後、この伸展部材を伸展させ微小試料片を分離する構成によるものとなっている。従って、特許文献1及び特許文献2の採取装置は共に、機構を構成する構成部品を製造したり、採取装置を組み立てたりする過程で、埃、部材の摩耗による粉塵、加工用の油、作業者の油脂、体液などが何らかの形で採取装置に付着、残留している可能性が高い。また、採取の過程でこれらの採取装置によれば、微小試料片を採取するまでに複数の工程が必要となることから、採取の過程で微小試料片に汚染物質が混入する機会が少なからずあり、解析に適する微小試料片の提供ができなくなる虞がある。
そこで、本発明は、このような課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、生体組織に限らず多種の被解析対象物から微小試料片を採取することが可能であり、微小試料片を採取する過程で汚染物質が微小試料片に混入することを排除し、解析に適する状態の微小試料片を提供することが可能な微小試料片採取具及び採取装置を実現しようとするものである。
[1]本発明の微小試料片採取具は、被解析対象物の一部を微小試料片として採取するための微小試料片採取具であって、無機個体材料からなる基部と、前記基部と一体で形成し、かつ、前記基部の一面側に突出し、粘弾性体の前記被解析対象物に先端部を突き刺した状態又は押し当てた状態で、前記被解析対象物に対し相対的に移動することにより、被解析対象物の一部を掻き取る突起部と、を有することを特徴とする。
[2]本発明の微小試料片採取具においては、前記無機個体材料はシリコン基板であり、前記突起部は、フォトリソグラフィ技術を用いて形成されたものであることが好ましい。
[3]本発明の微小試料片採取具においては、前記突起部は、錐体、推台又は柱体で構成されていることが好ましい。
[4]本発明の微小試料片採取具においては、前記突起部が柱体で構成されている場合、前記突起部は、前記柱体の底面の面積が頂面の面積よりも小さいテーパ形状を有していることが好ましい。
[5]本発明の微小試料片採取具においては、前記基部の高さに前記突起部の高さを加えた高さのばらつきは、20μmの範囲内に管理されていることが好ましい。
[6]上記[1]から[5]に記載の微小試料片採取具を備える採取装置であって、前記微小試料片採取具を保持する保持部を有し、前記被解析対象物に前記突起部を突き刺した状態又は押し当てることが可能な位置まで前記微小試料片採取具を移動し、かつ、前記微小試料片採取具を前記被解析対象物に沿って移動させる駆動機構を有し、微小試料片採取時に、前記微小試料片採取具の保持部は前記被解析対象物の接触しない離れた位置に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、生体組織に限らず多種の被解析対象物から微小試料片を採取することが可能であり、被解析対象物から微小試料片を採取する過程において汚染物質が微小試料片に混入することを排除し、解析に適する状態の微小試料片を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態に係る微小試料片採取具10及び採取装置55について、図1〜図17を参照して説明する。なお、以下に説明する各図は、実際の形状及び構成を簡略化して表す模式図である。
図1は、微小試料片採取具10で微小試料片S(図16参照)を採取する状況の1例を示す説明図である。微小試料片採取具10は、無機個体材料であるシリコンからなり、例えばシリコン基板で形成され、平面形状が矩形の微小デバイスである。微小試料片採取具10には、基部11の一面側に突出する複数の突起部12が基部11と一体で形成されている。突起部12は、フォトリソグラフィ技術を用いてシリコン基板を加工することによって形成された部位である。換言すると、突起部12は、エッチ溝によって囲まれ、エッチ溝の底部となる基部11の上面(一面)から上方に突出した部分である。微小試料片採取具10は、例えば、6インチウエハに多数の突起部12の群を形成した後に、ダイシングによって個片化することによって、多数個を1バッチ処理によって製造することが可能である。
微小試料片採取具10の材質としては、シリコン以外にガラス、セラミック又は金属なども採用可能である。しかし、機械的強度に優れ、化学的に安定した材料であって、被解析対象物に接触しても何ら影響を与えることがないこと、採取工程中に汚染物質が発生しないこと、さらには、採取した微小試料片Sを微小試料片採取具10から分離し易いこと、などからシリコンを選択することが好ましい。本例においては、シリコン基板の総厚みを640μm、突起部12の高さを10μm、平面サイズを2mm×2mmの正方形とした。但し、これらの形状や寸法は1例であって、被解析対象物の種類、状態、厚み及び採取量などによって任意に変更することが可能である。なお、複数の突起部12の基部11を含む高さのばらつきは、20μmの範囲内に収まるよう管理されることが好ましい。
採取対象となる被解析対象物には、有機物又は無機物であってどの粘弾性体のものに適用することができる。有機物としては、ヒト、ヒト以外の動物や植物などの組織、物品に付着した有機組織やペースト状又は固化したオイルなどの有機物が採取対象となり得る。微小試料片採取具10は、被解析対象物が粘弾性体であれば無機物にも対応可能である。例えば、採取した微小試料片は、被解析対象物が生体組織などであればゲノム解析に供することが可能であり、他の有機物及び無機物であれば元素分析などに供することが可能である。微小試料片Sの採取方法としては、スライドガラス13に貼り付けられた被解析対象物の薄切片14に突起部12を突き刺し又は押し当てた状態で突起部12を薄切片14に沿って相対的に移動し、又は旋回する。このようにすることによって、粘弾性体の微小試料片Sは突起部12に付着する。その後、微小試料片採取具10に微小試料片Sが付着した状態で分離液などに浸漬すれば、微小試料片採取具10から微小試料片Sを分離することが可能である。薄切片14は、例えば、被解析対象物の塊をスライスして作成したものであってもよい。また、スライスせず、被解析対象物の塊に対して突起部12を直接押し当て、上記と同様な操作をすることで、微小試料片Sを分離することも可能である。なお、以降の説明においては、被採取対象が薄切片14に限定されない場合には被解析対象物と記載して説明する。
突起部12の形状、個数及び配列などは様々に応用可能である。以下に突起部12の形状及び配列の具体例をあげ説明する。なお、以降の説明において微小試料片採取具の各形態を総称して微小試料片採取具10と記載し、突起部の各形態を総称して突起部12と記載することがある。
(微小試料片採取具10の第1例)
図2は、第1例に係る微小試料片採取具10Aを示す図であって、突起部12Aが円錐体又は円錐台で構成された例を示す図である。図2(a)は、微小試料片採取具10Aを示す斜視図、図2(b)は、突起部12Aを拡大して示す平面図、図2(c)は、突起部12Aを示す側面図、図2(d)は突起部12Aが円錐体の場合を示す側面図である。微小試料片採取具10Aは、基部11の一面側に複数の突起部12Aを有している。本例では、突起部12AはX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。図2(a),(b),(c)に示す突起部12Aは、円錐体の頂部を底面15に対して平行な面で切断したような頂面16を有する円錐台である。
図2は、第1例に係る微小試料片採取具10Aを示す図であって、突起部12Aが円錐体又は円錐台で構成された例を示す図である。図2(a)は、微小試料片採取具10Aを示す斜視図、図2(b)は、突起部12Aを拡大して示す平面図、図2(c)は、突起部12Aを示す側面図、図2(d)は突起部12Aが円錐体の場合を示す側面図である。微小試料片採取具10Aは、基部11の一面側に複数の突起部12Aを有している。本例では、突起部12AはX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。図2(a),(b),(c)に示す突起部12Aは、円錐体の頂部を底面15に対して平行な面で切断したような頂面16を有する円錐台である。
頂面16の面積、底面15の面積及び頂面16の基部11からの高さは、被解析対象物の種類や状態及びエッチング条件によって任意に設定することが可能である。突起部12Aの側面17を上下方向に湾曲させることも可能である。図2(d)に示す例は、突起部12Aは頂点18を有する円錐体である。突起部12Aが円錐体の場合には、被解析対象物に頂点18を突き刺した状態で、微小試料片採取具10AをX方向又はY方向の一方向に移動させたり、往復移動させたり、X軸に対して斜め方向に移動させたり、さらには旋回させたりして微小試料片S(図16参照)を掻き取るようにして採取することが可能となる。
突起部12Aが円錐台の場合には、被解析対象物に頂面16を押し当てた状態で、微小試料片採取具10Aを被解析対象物に対して移動させることによって、微小試料片Sを掻き取るようにして採取することが可能となる。突起部12Aは、円錐体又は円錐台のどちらでも同じように微小試料片Sを採取することが可能である。突起部12Aが円錐体の場合には頂点18を被解析対象物に突き刺して微小試料片Sを採取することが可能であるが、頂部が欠けることが考えられる。しかし、突起部12Aを円錐台とすることで頂部の強度を増し、欠けの発生を防止できる。微小試料片Sは粘弾性体であることから、微小試料片Sは突起部12Aの周囲に付着する。
なお、突起部12Aの配置密度及び配列方法は、図2(a)に示す例に限らず自在に設定することが可能である。その例を図3及び図4を参照して説明する。なお、図3及び図4は、突起部12Aの形状が円錐台の例を示している。
図3は、図2(a)に示す例に対して突起部12Aの配置密度を高めて配置した例を示す平面図である。基部11上に配置される突起部12Aの数は、図2(a)に示す例においてはX方向及びY方向に13×13個としているが、図3に示す例においてはX方向及びY方向それぞれに24×24個配置している。つまり、突起部12Aの配置密度は、約3.4倍となる。このように、配置密度を高めることによって、微小試料片Sを細分化して採取することが可能となる。
図4は、突起部12Aを基部11の中央部に集合させた微小試料片採取具10Aの例を示す平面図である。図4は、突起部12AをX方向及びY方向にそれぞれ7列ずつ配置し、図2に示す例よりも配置密度を疎にした例を示す図である。突起部12Aの一つひとつの採取機能は、図2及び図3に示した例と同じであるが、被解析対象物の採取対象部分の平面サイズによって、或いは微小試料片Sの採取量などによって配置密度を適宜選択することが可能である。なお、突起部12Aの配置密度に対応して底面面積や側面の傾斜角度を変えることが可能である。
(微小試料片採取具10の第2例)
図5は、第2例に係る微小試料片採取具10Bを示す図であって、突起部12Bが四角錐体又は四角錐台で構成された例を示す図である。図5(a)は、微小試料片採取具10Bを示す斜視図、図5(b)は、突起部12Bを拡大して示す平面図、図5(c)は側面図、図5(d)は突起部12Bが四角錐体の場合を示す側面図である。微小試料片採取具10Bは、基部11の一面側に複数の突起部12Bを有している。本例では、突起部12BはX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。図5(a)、図5(b)、図5(c)に示す突起部12Bは、四角錐体の頂部を底面20に対して平行な面で切断したような頂面21を有する四角錐台である。
図5は、第2例に係る微小試料片採取具10Bを示す図であって、突起部12Bが四角錐体又は四角錐台で構成された例を示す図である。図5(a)は、微小試料片採取具10Bを示す斜視図、図5(b)は、突起部12Bを拡大して示す平面図、図5(c)は側面図、図5(d)は突起部12Bが四角錐体の場合を示す側面図である。微小試料片採取具10Bは、基部11の一面側に複数の突起部12Bを有している。本例では、突起部12BはX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。図5(a)、図5(b)、図5(c)に示す突起部12Bは、四角錐体の頂部を底面20に対して平行な面で切断したような頂面21を有する四角錐台である。
頂面21の面積、底面20の面積及び頂面21の基部11からの高さは、被解析対象物の種類や状態及びエッチング条件によって任意に設定することが可能である。図5(d)に示す例は、突起部12Bが頂点22を有する四角錐体である。突起部12Bが四角錐体の場合には、被解析対象物に頂点22を突き刺した状態で、微小試料片採取具10BをX方向又はY方向の一方向に移動させたり、往復移動させたり、X軸に対して斜め方向に移動させたり、さらには旋回させたりして微小試料片S(図16参照)を掻き取るようにして採取することが可能となる。
突起部12Bが四角錐台の場合には、被解析対象物に頂面21を押し当てた状態で、微小試料片採取具10Bを移動させることによって、微小試料片Sを掻き取るようにして採取することが可能となる。突起部12Bは、四角錐体又は四角錐台のどちらでも同じように微小試料片Sを採取することが可能である。突起部12Bが円錐体の場合には頂点22を被解析対象物に突き刺して微小試料片Sを採取することが可能であるが、頂部が欠けることが考えられる。しかし、突起部12Bを四角錐台とすることで頂部の強度を増し、欠けの発生を防止できる。
突起部12Bは、四角錐体又は四角錐台であっても4辺の稜線23を有していることから、微小試料片採取具10Bの移動方向によって微小試料片Sの採取状況に差が出る。例えば、微小試料片採取具10Bを、X方向又はY方向に移動すれば微小試料片Sを掻き取るように採取することができる。微小試料片採取具10BをX軸又はY軸に対して斜め方向に移動すれば稜線23によって被解析対象物を掻き分けつつ掻き取るようにして微小試料片Sを採取することができる。微小試料片Sは粘弾性体であることから、微小試料片Sは突起部12Bの周囲に付着する。
なお、突起部12Bの配置密度及び配置方法は、図5(a)に示す例に限らず自在に設定することが可能である。例えば、図示は省略するが、図3に示す例と同様に、突起部12Bの配置数を増やして配置密度を高めることが可能である。また、突起部12Bを基部11の中央部に集合させたり、図5(a)に示す突起部12Bの配置角度(姿勢)に対して、突起部12Bを90度回転させて配置させたりすることが可能である。
図6は、突起部12Bを基部11の中央部に集合させた微小試料片採取具10Bの例を示す平面図である。図6は、突起部12BをX方向及びY方向それぞれ6列ずつ列配置した例を示している。突起部12Bの一つひとつの採取機能は、図5に示した例と同じであるが、被解析対象物の採取対象部分の平面サイズによって、或いは微小試料片S(図16参照)の採取量などによって、突起部12Bの配置数や配置レイアウトを適宜選択することが可能である。なお、突起部12Bの配置密度に対応して底面の面積や側面の傾斜角度を変えることが可能である。
図7は、図5に示す突起部12Bに対して突起部12Bの配置角度(姿勢)を変えた微小試料片採取具10Bを示す平面図である。図7に示す突起部12Bは、図5において頂点22を通り底面20に垂直な中心軸線24を軸に90度回転して突起部12Bを配置したものである。突起部12Bをこのように配置することによって、微小試料片採取具10BをX方向又はY方向に移動する際に、稜線23で被解析対象物を掻き分けつつ掻き取るようにして微小試料片Sを採取することが可能となる。微小試料片採取具10Bを旋回したり、不規則方向に移動させたりする場合には、突起部12Bの配置角度を適宜設定することが可能である。
なお、図6に示すような突起部12Bを中央部に集合して配置する場合においても、突起部12Bの配置角度を、図7に示す突起部12Bの配置角度と同じように配置することが可能であり、突起部12Bの配置角度を任意に設定することが可能である。
(微小試料片採取具10の第3例)
図8は、第3例に係る微小試料片採取具10Cを示す図であって、突起部12Cが三角錐体又は三角錐台で構成された例を示す図である。図8(a)は、微小試料片採取具10Cを示す斜視図、図8(b)は、突起部12Cを拡大して示す平面図、図8(c)は側面図、図8(d)は突起部12Cが三角錐体の場合を示す側面図である。微小試料片採取具10Cは、基部11の一面側に複数の突起部12Cを有している。突起部12Cは、3本の稜線のうちの1本の稜線26が基部11の辺11aに直交する方向に向いて配置されている。図8(a)、図8(b)、図8(c)に示す突起部12Cは、三角錐体の頂部を底面27に対して平行な面で切断したような頂面28を有する三角錐台である。なお、突起部12Cは、底面27の形状が正三角形の例を示しているが、底面27の形状は正三角形に限らない。
図8は、第3例に係る微小試料片採取具10Cを示す図であって、突起部12Cが三角錐体又は三角錐台で構成された例を示す図である。図8(a)は、微小試料片採取具10Cを示す斜視図、図8(b)は、突起部12Cを拡大して示す平面図、図8(c)は側面図、図8(d)は突起部12Cが三角錐体の場合を示す側面図である。微小試料片採取具10Cは、基部11の一面側に複数の突起部12Cを有している。突起部12Cは、3本の稜線のうちの1本の稜線26が基部11の辺11aに直交する方向に向いて配置されている。図8(a)、図8(b)、図8(c)に示す突起部12Cは、三角錐体の頂部を底面27に対して平行な面で切断したような頂面28を有する三角錐台である。なお、突起部12Cは、底面27の形状が正三角形の例を示しているが、底面27の形状は正三角形に限らない。
頂面28の面積、底面27の面積及び頂面28の高さは、被解析対象物の種類や状態及びエッチング条件によって任意に設定することが可能である。図8(d)に示す例は、突起部12Cが頂点29を有する三角錐体である。
図8(a)に示す例は、突起部12CがX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。突起部12Cが3辺の稜線26を有していることから、被解析対象物に対する移動方向によって微小試料片Sの採取状況に差が出る。例えば、微小試料片採取具10Cを、稜線26の延長方向に移動すれば稜線26によって微小試料片Sを掻き分けつつ掻き取るようにして微小試料片Sを採取することができる。その反対方向に移動すれば微小試料片Sを掻き取るように採取することができる。図8(d)に示すように、突起部12Cが円錐体の場合には、被解析対象物に頂点29を突き刺した状態で、被解析対象物に対して、X方向又はY方向の一方向に移動させたり、往復移動させたり、X軸に対して斜め方向に移動させたり、さらには旋回させたりして微小試料片Sを掻き取るように採取することが可能となる。
突起部12Cが三角錐台の場合には、被解析対象物に頂面28を押し当てた状態で、微小試料片採取具10Cを移動させることによって、微小試料片Sを掻き取るようにして採取することが可能となる。突起部12Aは、円錐体又は円錐台のどちらでも同じように微小試料片Sを採取することが可能である。突起部12Cが円錐体の場合には頂点18を被解析対象物に突き刺して微小試料片Sを採取することが可能であるが、頂部が欠けることが考えられる。しかし、突起部12Cを三角錐台とすることで頂部の強度を増し、欠けの発生を防止できる。微小試料片Sは粘弾性体であることから、微小試料片Sは突起部12Cの周囲に付着する。
図9は、図8に示す微小試料片採取具10Cに対して突起部12Cの配列を変えた例を示す平面図である。図9に示す例においては、X方向の1列毎に突起部12Cの配置角度(姿勢)を変えて配置している。最も左側の第1列に配置される突起部12C−1は、稜線26の1本の延長線がX方向の辺11aに直交する方向に向いて配置され、左側から第2列に配置される突起部12C−2は、底面27の辺の1本が辺11aに平行になるように、さらに1列目に対して半ピッチずらして配置されている。1個の突起部12C−2は、4個の突起部12C−1の中央部に配置されている。
突起部12C−1,12C−2をこのように配置することによって、微小試料片採取具12CをX方向、Y方向又は任意方向に移動し、或いは旋回させても各突起部が同じような条件で微小試料片Sを採取することが可能となる。
図10は、突起部12Cを基部11の中央部に集合させた微小試料片採取具10Cの例を示す平面図である。突起部12Cは、その平面姿勢がそれぞれに設定されており(特段の規則の下に姿勢が設定されていなくてもよい)、略サークル状に配置されている。なお、図10の例は、同心円上に配置された各突起部は、円周に対して所定の角度をなすように配置されている。突起部12Cの一つひとつの採取機能は同じであるが、被解析対象物の採取対象部分の平面サイズによって、或いは微小試料片Sの採取量などによって突起部12Cの姿勢及び配置を適宜選択することが可能である。また、突起部12Cの配置密度を変えることも可能である。突起部12Cをこのように配置することによって、微小試料片採取具12CをX方向、Y方向又は任意方向に移動し、或いは旋回させても同じ条件で微小試料片Sを採取することが可能となる。
(微小試料片採取具10の第4例)
図11は、第4例に係る微小試料片採取具10Dを示す図であって、突起部12Dが台形体で構成された例を示す図である。図11(a)は、微小試料片採取具10Dの斜視図、図11(b)は突起部12Dの一つを拡大して示す斜視図、図11(c)は、第4例の変形例である。微小試料片採取具10Dは、基部11の一面側に複数の突起部12Dを有している。突起部12Dは、底面32及び頂面33が長方形であり、頂面33は底面32に平行である。突起部12Dは、基部11の辺11aに底面32の長辺34が平行となるように配列される。
図11は、第4例に係る微小試料片採取具10Dを示す図であって、突起部12Dが台形体で構成された例を示す図である。図11(a)は、微小試料片採取具10Dの斜視図、図11(b)は突起部12Dの一つを拡大して示す斜視図、図11(c)は、第4例の変形例である。微小試料片採取具10Dは、基部11の一面側に複数の突起部12Dを有している。突起部12Dは、底面32及び頂面33が長方形であり、頂面33は底面32に平行である。突起部12Dは、基部11の辺11aに底面32の長辺34が平行となるように配列される。
突起部12Dの形状は、頂面33の面積、底面33の面積、頂面33の基部11からの高さ、側面の傾斜角度など、被解析対象物の種類や状態及びエッチング条件によって任意に設定することが可能である。図11(c)に示すように、4本の稜線35を延長して2組の稜線の交点を結んだ直線部36を有する形状とすることも可能である。図11に示す微小試料片採取具10Dは、X方向に移動させて微小試料片Sを採取するのに適した形状である。
なお、図示は省略するが、第4例においても、突起部12Dの配置密度を高めたり、突起部12Dを基部11の中央部に集合させたりすることが可能である。或いは、Y方向に延びる列において、突起部12Dの隙間を広げ、隣の列の突起部12Dをその隙間の間に配列するようにすることが可能であり、突起部12Dの配置角度(姿勢)を任意方向に変えて配置することも可能である。図11に示す例においては、微小試料片採取具10DをX方向に移動することによって、被解析対象物を頂面33の角部分や直線部36で掻き取るようにして微小試料片Sを採取することが可能となる。
(微小試料片採取具10の第5例)
図12は、第5例に係る微小試料片採取具10Eを示す図であって、突起部12Eが円柱で構成された例を示す図である。図12(a)は、微小試料片採取具10Eを示す斜視図、図2(b)は、突起部12Eを示す側面図、図2(c)は、突起部12Eが逆テーパ形状を有する例を示す側面図である。図12(a)に示す例においては、突起部12EはX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。
図12は、第5例に係る微小試料片採取具10Eを示す図であって、突起部12Eが円柱で構成された例を示す図である。図12(a)は、微小試料片採取具10Eを示す斜視図、図2(b)は、突起部12Eを示す側面図、図2(c)は、突起部12Eが逆テーパ形状を有する例を示す側面図である。図12(a)に示す例においては、突起部12EはX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。
図12(C)は、突起部12Eの底面38の面積が頂面37の面積よりも小さいテーパ形状を有している。いわゆる逆テーパ形状である。微小試料片採取具10Eにおいては、頂面37を被解析対象物に押し当てて移動させることによって、頂面37と側面39との角によって掻き取るようにして微小試料片Sを採取する。図12(C)に示すように、突起部12Eが逆テーパ形状を有する場合には、頂面37と側面39とがなす角度が単純な円柱の場合よりも鋭角になることから、微小試料片採取具10Eの微小片採取能力を高めることが可能となる。
なお、図示は省略するが、第5例においても、突起部12Eの配置密度を高めたり、突起部12Eを基部11の中央部に集合させたりすることが可能である。或いは、基部11の辺11a側の突起部11Eの配列に対して2列目の突起部11EをY方向に半ピッチずらして配置することも可能である。すなわち、X方向の1列毎に突起部12Eの配置を変えて配置することが可能である。
(微小試料片採取具10の第6例)
図13は、第6例に係る微小試料片採取具10Fを示す図であって、突起部12Fが四角柱で構成された例を示す図である。微小試料片採取具10Fは、基部11の一面側に複数の突起部12Fを有している。突起部12FはX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。突起部12Fは、頂面41が正方形の正四角柱であるが、頂面41を長方形としてもよい。突起部12Fは、4本の稜線40(高さを構成する線)のうちの1本が、基部11の辺11aに向かうように配置されている。突起部12Fの頂面41の面積及び基部11からの高さは、被解析対象物の種類や状態及びエッチング条件によって任意に設定することが可能である。
図13は、第6例に係る微小試料片採取具10Fを示す図であって、突起部12Fが四角柱で構成された例を示す図である。微小試料片採取具10Fは、基部11の一面側に複数の突起部12Fを有している。突起部12FはX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。突起部12Fは、頂面41が正方形の正四角柱であるが、頂面41を長方形としてもよい。突起部12Fは、4本の稜線40(高さを構成する線)のうちの1本が、基部11の辺11aに向かうように配置されている。突起部12Fの頂面41の面積及び基部11からの高さは、被解析対象物の種類や状態及びエッチング条件によって任意に設定することが可能である。
微小試料片採取具10FをX方向又はY方向に移動すれば、稜線40で微小試料片を掻き分けつつ掻き取るようにして微小試料片Sを採取することが可能となる。微小試料片採取具10Fは、被解析対象物に対して、X方向又はY方向の一方向に移動させたり、往復移動させたり、X軸に対して斜め方向に移動させたり、さらには旋回させることによって微小試料片Sを採取することが可能である。但し、突起部12Fの配列は図13に示す例に限らない。
図示は省略するが、第6例においても、突起部12Fの配置密度を高めたり、突起部12Fを基部11の中央部に集合させたりすることが可能である。或いは、基部11の辺11a側の突起部12Fの配列に対して2列目の突起部12FをY方向に半ピッチずらして配置することも可能である。また、半ピッチずらした2列目の突起部12Fの底面の1辺を基部11の辺11aに対して平行となるように配置することも可能である。すなわち、X方向の1列毎に突起部12Eの配置角度(姿勢)を変えて配置することが可能である。
なお、図示は省略するが、突起部12Fにおいても側面42を、図12(a)に示す例と同じように逆テーパ形状にすることが可能である。突起部12Eが逆テーパ形状を有する場合には、頂面41と側面42とがなす角度が単純な四角柱の場合よりも鋭角になることから、微小試料片採取具10Fの微小片採取能力を高めることが可能となる。
(微小試料片採取具10の第7例)
図14は、第7例に係る微小試料片採取具10Gを示す図であって、突起部12Gが三角柱で構成された例を示す図である。微小試料片採取具10Gは、基部11の一面側に複数の突起部12Gを有している。突起部12GはX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。突起部12Gは、頂面45が正三角形の正三角柱であるが、頂面形状は正三角形に限らない。図14に示す突起部12Gは、頂面45の一辺が基部11の辺11aに対して平行となるように配置されている。
図14は、第7例に係る微小試料片採取具10Gを示す図であって、突起部12Gが三角柱で構成された例を示す図である。微小試料片採取具10Gは、基部11の一面側に複数の突起部12Gを有している。突起部12GはX方向及びY方向に延びる格子状に配列されている。突起部12Gは、頂面45が正三角形の正三角柱であるが、頂面形状は正三角形に限らない。図14に示す突起部12Gは、頂面45の一辺が基部11の辺11aに対して平行となるように配置されている。
頂面45の面積及び基部11からの高さは、被解析対象物の種類や状態及びエッチング条件によって任意に設定することが可能である。微小試料片採取具10Gは、被解析対象物に対して、X方向又はY方向の一方向に移動させたり、往復移動させたり、X軸に対して斜め方向に移動させたり、さらには旋回させたりして微小試料片Sを採取することが可能となる。但し、突起部12Gの配列は図14に示す例に限らない。
図示は省略するが、第7例においても、突起部12Gの配置密度を高めたり、突起部12Gを基部11の中央部に集合させたりすることが可能である。或いは、基部11の辺11aから1列目の突起部12Gの配列に対して2列目の突起部12GをY方向に半ピッチずらして配置することも可能である。また、半ピッチすらした2列目の突起部12Gを1列目に対して180度回転して配置することも可能である。すなわち、X方向の列の1列毎に突起部12Gの配置角度(姿勢)を変えて配置することが可能である。
図示は省略するが、突起部12Gにおいても側面46を、図12(a)に示す例と同じように逆テーパ形状にすることが可能である。突起部12Gを逆テーパ形状にする場合には、頂面45と側面46とがなす角度が単純な三角柱の場合よりも鋭角になることから、微小試料片採取具10Gの微小試料片採取能力を高めることが可能となる。
以上説明した微小試料片採取具10A〜10Gは、基部11の一面側に錐体、推台や柱体などの形状を有する突起部12A〜12Gを配設したものであるが、突起部の形状や配置などはこれに限らず任意に設定することが可能である。例えば、基部11に複数種類の突起部を混在させることが可能である。また、突起部12A〜12Gは、基部11の表裏両面に形成することも可能であり、表裏面で突起部12A〜12Gの構成を変えることも可能である。
また、微小試料片採取具10A〜10Gは、フォトリソグラフィ技術を用いてシリコン基板を加工して製造するものであることから、シリコン基板の微小試料片採取具形成領域毎に突起部12A〜12Gのいずれかを形成し、ダイシングによって複数種類の微小試料片採取具を作成することも可能である。微小試料片採取具10A〜10Gの突起部を含む総厚みは、シリコン基板の総厚みに相当することから、シリコン基板毎の突起部12A〜12Gの各頂面及び各頂点の基部11からの高さのばらつきを小さく抑えることが可能である。
なお、第1例〜第7例に例示した微小試料片採取具10A〜10Gは、半導体製造プロセスの一部であるフォトエッチングによって各突起部を形成するものであるから、形成工程中に被解析対象物の解析に影響を与えるような汚染物質を含まないクリーンな微小デバイスである。
(微小試料片採取方法の具体例)
微小試料片採取具10A〜10Gは、被解析対象物が粘弾性体であれば有機物又は無機物に限定されずに微小試料片S(図16参照)を採取することが可能である。以下に、被解析対象物がゲノム診療用病理組織検体であって、具体例として、この被解析対象物から微小試料片採取具10Aを使用して微小試料片Sを採取することについて説明する。
微小試料片採取具10A〜10Gは、被解析対象物が粘弾性体であれば有機物又は無機物に限定されずに微小試料片S(図16参照)を採取することが可能である。以下に、被解析対象物がゲノム診療用病理組織検体であって、具体例として、この被解析対象物から微小試料片採取具10Aを使用して微小試料片Sを採取することについて説明する。
図15は、微小試料片採取具10Aにより被解析対象物の薄切片14から微小試料片Sを採取する状況の1例を示す説明図である。薄切片14は、手術などで得た臓器などの組織をパラフィン包埋処理した後に3μm〜4μmの厚みに薄切りしたものである。薄切片14はHE染色によって組織の採取対象領域(例えば、癌組織領域など)を特定した後、スライドガラス13に貼り付けられる。微小試料片Sの採取方法としては、薄切片14の採取対象領域に突起部12Aを突き刺し又は押し当てた状態で薄切片14に沿って移動し、又は旋回し微小試料片Sを掻き取る。粘弾性体の微小試料片Sは突起部12A及び突起部12Aの周辺に付着する。図中の矢印は、微小試料片採取具10Aの移動方向を表している。なお、微小試料片採取具10Aを固定し、薄切片14を移動させてもよい。
微小試料片採取具10Aは辺面サイズが2mm×2mm、厚みが640μmというような微小デバイスであることから、微小試料片採取具10Aをホルダー50に装着して微小試料片Sの採取を行う。微小試料片採取具10Aはホルダー50に対して着脱可能である。微小試料片Sの採取時に、ホルダー50には、微小試料片Sが付着することがあるため、ホルダー50は、微小試料片採取具10Aと共に廃却処理することが好ましい。つまり、微小試料片採取具10A及びホルダー50は、使い捨てとすることが好ましい。微小試料片採取時においては、ホルダー50を手で掴んで採取作業をすることも可能である。また、ホルダー50を介して駆動手段に取り付けて、微小試料片採取具1を自動又は半自動で駆動し、微小試料片Sを採取することが可能である。なお、ピンセットやクランプなどを用いて微小試料片採取具10を採取することも可能である。この採取作業は、汚染物質が微小試料片Sに付着しないようにチャンバー内において行われる。
図16は、微小試料片採取具10Aにより微小試料片Sを採取した後の状態を示す顕微鏡写真である。図16に示すように、突起部12Aの周囲には、薄切片14から掻き取られた微小試料片Sが付着している。試験採取において、微小試料片採取具1個当たり平均0.05mgの微小試料片Sを採取することができた。ゲノム診療のために必要なDNA量が0.01mg以上とされていることから、微小試料片採取具1個、1回の採取動作で十分な採取量が得られることになる。採取された微小試料片Sは、不定形に微小化されているが、ゲノム診療用病理組織検体として解析可能である。
(採取装置55の構成)
図17は、採取装置55の概略構成の1例をする説明図である。微小試料片採取具10Aを用いる場合を例示している。微小試料片採取具10は、採取装置55は、スライドガラス13を載置するステージ56と、微小試料片採取具10Aを保持し、微小試料片採取具10Aを被解析対象物に突起部12Aを突き刺した状態又は押し当てた状態で、X方向、Y方向、Z方向及び回転・旋回させる駆動手段としての駆動機構57と、を有している。微小試料片採取具10Aは、ホルダー50を介して駆動機構57の一部である連結部58に取り付けられる。ホルダー50は、連結機構58に対して着脱自在である。なお、微小試料片採取具10Aを連結部58に直接取り付けることが可能であり、微小試料片採取具10は、連結部58に対して着脱自在な構成とする。
図17は、採取装置55の概略構成の1例をする説明図である。微小試料片採取具10Aを用いる場合を例示している。微小試料片採取具10は、採取装置55は、スライドガラス13を載置するステージ56と、微小試料片採取具10Aを保持し、微小試料片採取具10Aを被解析対象物に突起部12Aを突き刺した状態又は押し当てた状態で、X方向、Y方向、Z方向及び回転・旋回させる駆動手段としての駆動機構57と、を有している。微小試料片採取具10Aは、ホルダー50を介して駆動機構57の一部である連結部58に取り付けられる。ホルダー50は、連結機構58に対して着脱自在である。なお、微小試料片採取具10Aを連結部58に直接取り付けることが可能であり、微小試料片採取具10は、連結部58に対して着脱自在な構成とする。
薄切片14が貼り付けられたスライドガラス13はステージ56に載置され、微小試料片Sを採取する際に動かない程度に固定される。駆動機構57は、微小試料片採取具10Aを突起部12Aが薄切片14から微小試料片Sを採取することが可能な位置まで下降し、高さ位置を保ったままで微小試料片採取具10Aを薄切片14に沿ってX方向及びY方向に移動させ、或いは、その位置で回転させ、又は旋回させる。次いで、所定動作の経過後に微小試料片採取具10Aを上昇させ、ホルダー50から微小試料片採取具10Aを分離し、連結部58からホルダー50を分離する。このとき、微小試料片採取具12Aには、図16で説明したような状態で微小試料片Sが付着することとなる。
なお、本例においては、被解析対象物の塊をスライスして作成した薄切片14から微小試料片Sを採取することについて説明したが、塊の状態の被解析対象物から直接微小試料片を採取することも可能である。そのような場合においては、微小試料片採取具10の被解析対象物との距離を適宜調整し、突起部12の高さを含む形状を適宜選択することによって微小試料片Sの採取が可能となる。なお、ステージに駆動機構を備え、微小試料片採取具10Aに対し、薄切片14を移動させることも可能である。
以上説明した微小試料片採取具10は、被解析対象物の一部を微小試料片Sとして採取するための微小試料片採取具である。微小試料片採取具10は、無機個体材料からなる基部11と、基部11と一体で形成し、かつ、基部11の一面側に突出し、粘弾性体の被解析対象物に先端部を突き刺した状態又は押し当てた状態で、被解析対象物に対し相対的に移動することにより、被解析対象物の一部を掻き取る突起部12と、を有している。
前述した特許文献1及び特許文献2に記載の採取装置は、被採取対象物が生体組織の薄切片の採取に限定されていること、採取装置の製造や、稼働に伴う埃や摩耗粉、加工油などの汚染源となり得る要素が多いこと、微小試料片を採取するまでに複数の工程が必要となることなどから、被解析対象物に汚染物質が混入する機会が少なからずあり、解析に適する微小試料片の提供ができない虞があった。
しかしながら、本実施の形態に係る微小試料片採取具10(微小試料片採取具10A〜10G)は、無機個体材料で形成され、突起部12(突起部12A〜12G)を被解析対象物に突き刺すか押し当てて移動させることによって突起部12で掻き取るようにして小試料片Sを採取するものである。従って、被解析対象物が、有機物や無機物であっても粘弾性体であれば、微小試料片採取具10で微小試料片Sを採取することが可能である。
このことから、微小試料片採取具10によれば、生体組織に限らず多種の被解析対象物から微小試料片Sを採取することが可能であり、微小試料片Sを採取する過程で汚染物質が被解析対象物に混入することを排除し、解析に適する状態の微小試料片Sを提供することが可能となる。
また、微小試料片採取具10A〜10Gにおいては、無機個体材料はシリコン基板であって、突起部12A〜12Gは、フォトリソグラフィ技術を用いて形成されたものである。換言すると、突起部12A〜12Dは、エッチ溝によって囲まれ、エッチ溝の底部となる基部11の上面(一面)から上方に突出した部分である。
シリコンは、機械的強度に優れ、化学的に安定した材料であって、被解析対象物に接触しても何ら影響を与えることがない。また、微小試料片採取具10A〜10Gは、半導体製造プロセスの一部であるフォトリソグラフィ技術(自動化が進んだクリーンな環境で実施される)を用いて形成されることから、機構を構成する構成部品を製造したり、採取装置を組み立てたりする過程で、埃、部材の摩耗による粉塵、加工用の油、作業者の油脂、体液が付着、残留することはない。また、微小試料片採取具10A〜10Gから微小試料片Sを分離し易いことなどの効果がある。また、シリコン基板の厚みを選択したり、エッチング条件を変えたりすることによって、突起部12の形状や高さを容易に制御することが可能となる。
また、突起部12A〜12Cは、錐体、推台又は柱体で構成されている。突起部形状が錐体の場合においては頂部を被解析対象物に突き刺し、推台又は柱体の場合には頂面を被解析対象物に押し当てた状態で移動することによって、微小試料片Sを掻き取るようにして採取することができる。突起部形状が錐体の場合には、頂部欠けることが考えられるが、推台又は柱体にすることによって強度を増すことが可能となる。
また、突起部12E,12F,12Gは柱体で構成されている。突起部12E,12F,12Gは、柱体の底面の面積が頂面の面積よりも小さいテーパ形状を有している。円柱の突起部12Eを例にとると、「底面38の面積<頂面37の面積」の関係となる。つまり、突起部12Eは逆テーパ形状を有していることになる。突起部が四角柱及び三角柱においても円柱と同様に逆テーパ形状を形成することが可能である。突起部12E,12F,12Gにおいて、側面を逆テーパ形状にすることによって、頂面と側面とがなす角度が単純な柱体の場合よりも鋭角になることから、微小試料片採取能力を高めることが可能となる。
また、基部11の厚みに前記突起部の高さを加えた高さのばらつきは、20μmの範囲内に管理されている。被解析対象物から微小試料片Sを採取する際に、各微小試料片採取具は突起部高さ位置を一定の範囲内にすることによって、各突起部における微小試料片Sの採取量や採取状況のばらつきを抑えることが可能となる。なお、微小試料片採取具12A〜12Gは、シリコン基板からフォトリソグラフィ技術で作成されることから、突起部12A〜12Gそれぞれの頂点又は頂面は、シリコン基板の一面に相当することになることから、高さのばらつきは極めて小さく抑えることが可能である。
また、採取装置55は、微小試料片採取具10を保持する保持部を有し、被解析対象物に突起部12を突き刺した状態又は押し当てることが可能な位置まで移動し、かつ、微小試料片採取具10を被解析対象物に沿って移動させる駆動機構57を有し、微小試料片採取時に、微小試料片採取具10の保持部(ホルダー50又は連結部58)は被解析対象物から離れた位置に配置されている。
このような採取装置55を使用することによって、被解析対象物に微小試料片採取具10A〜10Gを押し当てる荷重及び採取時の移動方向及び移動速度を適切に管理することが可能となり、一定の条件の下で微小試料片Sを効率よく採取することが可能となる。
このような採取装置55による採取作業においては、クリーンな微小試料片採取具10を取り付ければ、即、採取作業が行えることから、被解析対象物から微小試料片を採取する過程において汚染物質が被解析対象物に混入することがなく、解析に適する状態の微小試料片を提供することが可能となる。
このような採取装置55による採取作業においては、クリーンな微小試料片採取具10を取り付ければ、即、採取作業が行えることから、被解析対象物から微小試料片を採取する過程において汚染物質が被解析対象物に混入することがなく、解析に適する状態の微小試料片を提供することが可能となる。
10,10A〜10G…微小試料片採取具、11…基部、12,12A〜12G…突起部、13…スライドガラス、14…被解析対象物の薄切片、15,20,27,32,38…突起部の底面、16,21,28,33,37,41,45…突起部の頂面、18,22,29…突起部の頂点、17,39,42,46…突起部の側面、23,26,35,40…突起部の稜線、50…ホルダー、55…採取装置、56…ステージ、57…駆動機構、58…連結機構、S…微小試料片
Claims (6)
- 被解析対象物の一部を微小試料片として採取するための微小試料片採取具であって、
無機個体材料からなる基部と、
前記基部と一体で形成され、かつ、前記基部の一面側に突出し、粘弾性体の前記被解析対象物に先端部を突き刺した状態又は押し当てた状態で、前記被解析対象物に対し相対的に移動することにより、被解析対象物の一部を掻き取る突起部と、
を有する、
ことを特徴とする微小試料片採取具。 - 請求項1に記載の微小試料片採取具において、
前記無機個体材料はシリコン基板であり、
前記突起部は、フォトリソグラフィ技術を用いて形成されたものである、
ことを特徴とする微小試料片採取具。 - 請求項1または請求項2に記載の微小試料片採取具において、
前記突起部は、錐体、推台又は柱体で構成されている、
ことを特徴とする微小試料片採取具。 - 請求項3に記載の微小試料片採取具において、
前記突起部が柱体で構成されている場合、前記突起部は、柱体の底面の面積が頂面の面積よりも小さいテーパ形状を有している、
ことを特徴とする微小試料片採取具。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の微小試料片採取具において、
前記基部の厚みに前記突起部の高さを加えた高さのばらつきは、20μmの範囲内に管理されている、
ことを特徴とする微小試料片採取具。 - 請求項1から請求項5に記載の微小試料片採取具を備える採取装置であって、
前記微小試料片採取具を保持する保持部を有し、前記被解析対象物に前記突起部を突き刺し又は押し当てることが可能な位置まで前記微小試料片採取具を移動し、かつ、前記微小試料片採取具を前記被解析対象物に沿って移動させる駆動機構を有し、
微小試料片採取時に、前記微小試料片採取具の保持部は前記被解析対象物から離れた位置に配置されている、
ことを特徴とする採取装置。
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