JP2003329679A - Dnaチップ用基板、dnaチップ、及びそれらの製造方法、並びに解析システム - Google Patents

Dnaチップ用基板、dnaチップ、及びそれらの製造方法、並びに解析システム

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JP2003329679A
JP2003329679A JP2002133818A JP2002133818A JP2003329679A JP 2003329679 A JP2003329679 A JP 2003329679A JP 2002133818 A JP2002133818 A JP 2002133818A JP 2002133818 A JP2002133818 A JP 2002133818A JP 2003329679 A JP2003329679 A JP 2003329679A
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dna chip
dna
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JP2002133818A
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Akira Iwabuchi
明 岩渕
Yoichi Akagami
陽一 赤上
Tokuji Umehara
徳次 梅原
Takashi Matsumura
隆 松村
Masahiko Yoshino
雅彦 吉野
Tomokazu Konishi
智一 小西
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Akita Prefecture
Original Assignee
Akita Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メディカルサイエンス、バイオサイエンスの
分野での研究促進を図ることができるDNAチップ用基
板、DNAチップ、及びそれらの製造方法、並びに解析
システムを提案する。 【解決手段】 本発明のDNAチップは、基板上に、凹
部底面から隆起する複数の山状スポット部を設け、該山
状スポット部の頂部平面のみが親水性で且つnmスケー
ルの凹凸を備え、その他の部分は疎水性である基板の頂
部平面上に既知のDNAを定着させてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メディカルサイエ
ンス、バイオサイエンスの分野での研究促進を図ること
ができるDNAチップ用基板、DNAチップ、及びそれ
らの製造方法、並びに解析システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、DNAチップを用いた解析システ
ムは、培養された構造が既知のDNAが多数ポイント定
着されたDNAチップを用い、該DNAチップ上に、未
知のDNAを滴下して既知のDNAと反応(ハイブリダ
イゼーション)させてDNA同士が結合したものと、結
合しないものとを洗浄して選別し、その反応の具合を発
色させる等させて読み取る方法である。尚、DNAチッ
プは、培養された構造が既知のDNAを、スポッターと
呼ばれる塗布装置を用いて平面状のガラスやシリコンの
基板上に、1,000〜10,000ポイントも塗布され
て高密度にDNA分子を定着させたものであり、市販さ
れている。また、反応(ハイブリダイゼーション)は、
DNAチップ上のDNA分子と試料中のDNAとが結合
するか否かを調べることで、試料中に目的のDNAが存
在するかを調べることができ、例えば病気等によりDN
Aの一部が損傷しているとDNA間の相補性が損なわれ
ることを検知することができる。そして、このような解
析システムは、メディカルサイエンス、バイオサイエン
スと広範に適用されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の解析システムには、以下の〜に示すような課題
があった。 既知のDNAを定着させたDNAチップは、極めて高
価であり、また解析装置も高価であるため、研究の進展
を抑制するものであった。 未知のDNAを、多数の既知のDNAの定着ポイント
に、正確に且つ均一に塗布することは極めて困難であ
り、その精度とバラツキによって解析データの品質低下
を招くものであった。 DNAチップは、基体が平面ガラスであり、極めて接
近して隣接するポイントと混じらないように反応(ハイ
ブリダイゼーション)させるには高度なテクニックが必
要であった。そして、反応させる環境を均一にすること
は困難であり、得られる反応にバラツキが生じ易かっ
た。 DNAチップに定着させた既知のDNAは、定着ポイ
ント数は多いが、1ポイント当たりの定着量が少ないた
め、解析感度が低かった。 反応時間が16〜24時間と長いため、臨床への適用
が困難であった。これらの課題を解決し、DNAチップ
の早期臨床現場への適用が実現するための研究を進展さ
せる必要がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記を鑑み提案
されたもので、臨床現場において採用可能な高い信頼性
を有し、検出能力が高く、解析システムにおける取り扱
い及び処理が容易であり、迅速且つ高感度な解析システ
ムを実施することができるDNAチップの開発を目的と
し、基板上に、凹部底面から隆起する複数の山状スポッ
ト部を設け、該山状スポット部の頂部平面のみが親水性
で且つnmスケールの凹凸を備え、その他の部分は疎水
性であるDNAチップ用基板、及び該基板の頂部平面上
に既知のDNAを定着させたDNAチップに関するもの
である。
【0005】また、本発明は、前記DNAチップ用基板
及びDNAチップの製造方法をも提案するものであり、
基板の製造方法は、先端が球形状を有する微細工具を電
極とし、他方の電極を被加工物下部に配置し、微細工具
の先端と被加工物とを接近した非接触状に配置した間
に、溶媒の主成分が20℃にて1〜1,000cStの粘度
を有するシリコーンオイルで、この溶媒に粒子径が0.
1〜30μmの電気的誘電性を持つ砥粒を分散させた液
状組成物を配設し、電界強度±0.3〜5kV/mm,周波
数0.1〜100Hzの交流電界を印加しながら砥粒が配
向した状態で微細工具を高速回転させて加工する微細加
工方法により金属金型を作成し、該金属金型を用いて前
記DNAチップ用基板を作成する。また、得られた基板
上に過剰量のDNAを滴下して頂部平面にDNAを定着
させてDNAチップを作成する。
【0006】さらに本発明は、前記DNAを用いた解析
システムをも提案するものであり、未知のDNAを滴下
した後、低周波交流高電圧を与える。
【0007】
【発明の実施の形態】前述のように従来のDNAチップ
は、平板状の基板上における既知のDNAの定着ポイン
ト数が1,000〜10,000ポイントもの多数である
ため、未知のDNA(試料)を滴下する作業が困難であ
ったり、解析感度が低いため反応後の解析・読み取りに
高価な共焦点レーザを用いた顕微鏡による解析装置が必
要であった。また、極めて接近して隣接するポイントと
混じらないように反応(ハイブリダイゼーション)させ
るには高度なテクニックが必要で、反応させる環境を均
一にすることは困難であり、得られる反応にバラツキが
生じ易かった。そこで、本発明におけるDNAチップで
は解析症例を限定して既知のDNAの滴下ポイント数を
数十〜数百、例えば100ポイント程度とする。また、
凹部底面から隆起する複数の山状スポット部を設け、該
山状スポット部の頂部平面のみが親水性で且つnmスケ
ールの凹凸を備え、その他の部分(溝部分)は疎水性と
した構成の基板の頂部平面上に既知のDNAを定着させ
た。
【0008】前記構成の本発明のDNAチップは、図1
に示すような表面形状を有し、山状スポット部(断面略
台形状)の頂部平面ではDNAがより多く定着し、過剰
量のDNAを滴下すると頂部平面に広がり、余剰量は排
水効果で溝部分へと流れ落ちる。尚、未知のDNA(試
料)を滴下する際にもポイントが混じり合うことはあり
得ず、正確に且つ均一に塗布することができ、高度なテ
クニックも必要なく、再現性に富む反応を実施すること
ができる。そのため、従来のDNAチップに比べて10
倍以上もの大幅に感度が向上し、高価な共焦点レーザを
用いた顕微鏡による解析装置も必要としない。このよう
に本発明のDNAチップは、前述の課題〜を解決で
きるものであって、反応検出能力が従来に比べて極めて
高いものとなる。
【0009】本発明のDNAチップ(DNAチップ用基
板)における凹部深さや山状スポット部のピッチ間隔、
頂部平面の寸法及び形状等については特に限定するもの
ではない。例えば図1では頂部平面は正方形状とした
が、例えば頂部平面は円形状としても良く、その他どの
ような形状でも良い。また、1枚あたりの定着ポイント
数を100ポイント程度とするため、ピッチ間隔や頂部
平面の寸法は自ずと数十〜数百μm程度となり、凹部深
さは数十μm程度となる。また、このDNAチップ(D
NAチップ用基板)の基板素材としては、ガラスや硬質
プラスチックなどを用いることができる。
【0010】上述のような形状特性を有するDNAチッ
プ(DNAチップ用基板)は、前述のような微細加工方
法により容易に作成することができる。
【0011】微細加工方法に用いる液状組成物は、以下
の溶媒と砥粒からなる。溶媒は、20℃において1〜
1,000cStの粘度を有するシリコーンオイルを主成
分として用いる。砥粒は、粒子径が0.1〜30μmの電
気的誘電性を持つ絶縁性粒子、半導体粒子、金属粒子で
あり、加工幅(1〜50μm)に応じてそれ以下の粒子
径のものを用いる。この砥粒の電気的誘電性について
は、砥粒の比誘電率が前記溶媒の比誘電率より1以上大
きいものが望ましい。それにより砥粒は液状組成物中に
与えられた電界勾配によって砥粒に力が発現(誘発)さ
れる。そして、前記溶媒中に、前記砥粒を混合して超音
波分散機などにて均一に分散させて液状組成物とする。
印加する交流電界は、電界強度±0.3〜5kV/mm,周
波数0.1〜100Hz、波形は立ち上がりが30〜50
0V/μsecの繰り返しでプラス、マイナスに振れる方
形波や正弦波である。印加周波数が0.1Hz未満では砥
粒が沈降する可能性があり、100Hzを超えると砥粒が
周波数に対して応答できず動けなくなる。用いる微細工
具は、その先端が回転電極として用いられるものであっ
て、特に材質を限定するものではないが、例えばタング
ステン合金系やcBN材などの超硬材や導電性を有する
脆性材、プラスチックさらに砥粒を保持しながら加工を
進める銅合金さらに焼入れ鋼などを用いることができ
る。また、この微細工具の先端は、球形状を有するよう
に成形している。また、この微細工具を回転電極として
用いるのであるが、具体的には例えばエアースピンドル
などの設備機構を付帯させ、その際の回転速度を5,0
00〜100,000rpm程度とすることが望ましい。上
記微細工具が兼ねる回転電極に対する他方の電極は、被
加工物の下部に配置するが、この電極をX−Y軸テーブ
ルとし、それに対して垂直方向をZ軸として微細工具の
移動を制御するようにしても良い。また、このX−Y軸
テーブルは、固定電極としても良いし、回転可能な電極
としても良い。
【0012】このような材料及び設備を用いて本発明の
微細加工方法を実施するには、微細工具と被加工物と
を、接近した非接触状に配置するのであるが、具体的に
その距離(Z軸方向の距離)は加工幅(1〜50μm)
に応じて調整すれば良く、その調整には例えば拡大鏡を
CCDカメラ(100〜300倍)に取り付けて微細工
具の側方から撮影し、モニターに写し出しながら微細工
具を一体的に取り付けたZ軸テーブルの微動調整で設定
距離に調整すれば良い。勿論、微細工具と被加工物との
間には前記組成の液状組成物が配置される。そして、ま
ず20Hz以上100Hz以下の高い周波数の交流高電圧を
印加して液状組成物中の砥粒を共振させ、電極間(上方
の回転電極と下方の電極との間)においてそれらの動き
は微振動を呈し、配向状態となり、微細工具の先端に砥
粒が保持されて加工準備が整う。ここでさらに微細工具
を一体的に取り付けたZ軸テーブルを微動調整して電極
間の距離を狭める。次に、微細工具を高速回転させると
共に印加周波数を0.1〜20Hzに変更すると、液状組
成物中の砥粒は電極間にて活発に運動する。すなわち回
転電極である微細工具の先端は砥粒を保持しながら微細
加工することができるものである。この微細加工におい
て、微細工具の回転によって発生する遠心力にて砥粒が
飛散する力も与えられるが、電界により砥粒は飛散せず
に加工により生じた加工屑のみを遠心力にて電界の外へ
弾き出すことができる。また、この微細加工において、
微細工具の先端は常に被加工物と非接触状態を維持し、
加工は砥粒によってなされるので、工具を被加工物に接
触させて加工する場合のように摩擦による発熱を生ずる
ことがないし、より精微な加工を実施することができ
る。
【0013】このような微細加工方法により金属金型を
作成し、該金属金型を用いて前記DNAチップ用基板を
作成することにより、前述の課題を解決できる。山状
スポット部の頂部平面を親水性化するには、ポリアミド
系樹脂等の親水性膜を形成する樹脂などをコーティング
すれば良いし、溝部分を疎水性化するには、ポリエチレ
ン系樹脂等の疎水性膜を形成する樹脂などをコーティン
グすれば良い。頂部平面と溝部分とで差が生ずればよい
ので、少なくとも何れか一方の処理を施すようにすれば
良い。望ましくは、基板素材が親水性のガラスである場
合には溝部分を疎水化処理すれば良く、基板素材が疎水
性の硬質プラスチックである場合には頂部平面を親水化
処理すれば良い。尚、上述の親水化処理及び疎水化処理
については樹脂膜の形成に限定するものではなく、公知
のどのような処理を施すようにしても良い。また、頂部
平面にnmスケールの凹凸を形成するには、ナノフォー
ミングにより微細な凹みを与えれば良く、これによりD
NAの補足定着性を向上することができる。
【0014】作成したDNAチップに未知のDNA(試
料)を滴下して反応(ハイブリダイゼーション)させる
に際し、従来のDNAチップを用いた解析システムでは
前述のように16〜24時間もの時間を要していたが、
本発明では、低周波交流高電圧を与えることにより既知
のDNA及び未知のDNAを撹拌させることができ、反
応時間を1時間以内(1/20)に大幅に短縮すること
ができ、前述の課題を解決できる。尚、前述のよう
に、本発明におけるDNAチップでは解析症例を限定し
たが、それ以外の基本的な解析システムについては同様
であり、未知のDNAを含む試料を滴下して既知のDN
Aとの反応(ハイブリダイゼーション)させ、未反応と
なるものを水などにて洗浄することにより、未知のDN
Aの一部が壊れていることを検出するものである。図2
に本発明のDNAチップの製造及びそれを用いた解析シ
ステムの概略についてのフローチャートを示した。
【0015】以下に、前述の頂部平面を親水性化するた
めにポリアミド系樹脂の親水化膜を形成する手法につい
て説明する。DNAは吸水性のあるナイロン6(R)やナ
イロン66(R)に強く定着することが知られている。そ
のため、山状スポット部の頂部平面上に、ナイロン(R)
微小スポット(0.1mm半径の円形領域)を製作するこ
とにより、そのナイロン(R)スポットに選択的にDNA
を定着させることが可能である。ナイロン(R)微小スポ
ットを作成するには、磁場或いは電場をナイロン(R)微
小粒子に印加して定着させれば良い。具体的には、磁性
流体中にナイロン(R)粒子を分散させ、磁場をかけた場
合に、作用するナイロン(R)粒子上に発現する極同士の
反発力を利用するか、或いは電場中においては分極した
ナイロン(R)球同士の反発力を利用する。そのような反
発力がマイクロ粒子に作用することで、粒子が平面上に
均一に分布し、その粒子の分布を光学顕微鏡で観察した
後、基板を200℃程度に加熱することにより、ナイロ
ン(R)微小球が溶融して定着し、頂部平面上にナイロン
(R)微小スポットが製作される。
【0016】既に本発明のDNAチップ(DNAチップ
用基板)を製造するのに好適な微細加工方法について説
明したが、それ以外の製造方法の例を説明する。前述の
ように本発明のDNAチップ(DNAチップ用基板)
は、基板上に、凹部底面から隆起する複数の山状スポッ
ト部を設けた形状構成であるから、山状スポット部の頂
部平面の周囲の溝部分を掘削して成形することができ
る。例えば油圧や死荷重及びバネ荷重で接触圧力を制御
する方式では困難であるが、磁場などの場により流体中
の微小粒子に自在に場により力を与え、また場により微
小粒子の分布をコントロールする事でガラスのような脆
性材料であっても容易に研削、研磨することができる。
例えば既に1994年に登録された特許第183531
0号や特許第1835317号、米国特許第48214
66号などにより、磁性流体と磁場で柔軟に加工圧力を
印可することで、割れやすい材料を従来法の40倍から
100倍の高能率で研磨仕上げすることができる。さら
に、磁性流体中の砥粒の分布と砥粒の長手方向の向きが
磁場によりコントロールできることを応用して3次元非
球面ガラスレンズの局所領域の微小研磨法、米国特許第
5076026号もある。
【0017】DNAチップ用基板の山状スポット部の頂
部平面にnmスケールの凹凸を形成するためのナノフォ
ーミングについては、走査イオン顕微鏡を用いてタング
ステンカーバイド材等の圧子材に径10〜100nmの針
状形状を形成させ、該圧子材を用いて孔を規則的に設け
ることが可能である
【0018】
【実施例】〔DNAチップ用基板の作成(その1)〕D
NAチップ用基板を製作するための金型を、以下のよう
な手順にて微細加工を行って作製した。微細工具として
は、タングステンカーバイド系超硬材(超硬WC)を用
い、先端形状はボールエンドミルとし、その径はR0.
2(直径0.4mm)とした。ここで加工面とボールエン
ドミルとは30度の角度を持たせ、切りこみ量を100
nmづつ追いこみながらさらにX軸テーブルを微動させ
た。ここで被削材と工具との非接触は、CCDカメラと
レーザー変位計を共用して確認を取るようにした。さら
に加工面の表面粗さを改善するために、工具を先端が球
状の超硬材工具(径:R0.15)に付け換えて、加工
面との距離を0.005mmとし、試料である超硬材の下
部にはX-Yテーブルを配置して下方の固定電極とし
た。液状組成物としては平均粒径1μm以下のダイヤモ
ンド砥粒をシリコーンオイル濃度20wt%に調整し分散
させた流体を用いた。溶媒には粘度が50から100cS
tのシリコーンオイルを用いた。印加電界として上部の
微細工具と下部の固定電極に波形が繰り返し方形波で周
波数 1Hz、電圧は±1.5kV/mmとする交流高電圧を印
加して精密Z軸テーブルの微動送りで微細工具と試料間
を0.001mmづつ狭めつつX軸テーブルを微動送りし
ながら微細工具を20,000rpm(5000〜100,
000rpm)で回転させた。加工後の評価は倒立顕微鏡
で実施した。本加工により得られた金型は、凹部底面か
ら隆起する複数の山状スポット部を設けた形状の基板を
製作するための金型として微細な凹凸形状を有するもの
となった。この金型を用いて、基板寸法が5×5mm、厚
み70μmであって、凹部深さ50μm、山状スポット部
のピッチ260μm、頂部平面200×200μmの山状
スポット部が10×10個形成されたDNAチップ用基
板を製作した。
【0019】〔DNAチップ用基板の作成(その2)〕
ガラスに直径5μmの微小ディンプルを30μm間隔に製
作し、縦横0.3mmの中に100個の微小ディンプルア
レイを製作する手法先端が鋭利な単結晶ダインモンド工
具を20,000回転で回転させ、金型表面に対して1
μm以下のディンプルを与えた。NC制御により、前記
ダイヤモンド工具を30μm間隔で上下左右の100ポ
イントに移動させ、100個のディンプルアレイを製作
した。前記ダイヤモンド工具の接触位置決めは、CCD
カメラで目視により設定した。尚、加工時には水を供給
し、加工力を低下させ、前記ダイヤモンド工具の長寿命
化を図った。続いて前記微細加工方法を用い、各ディン
プルの中央に円盤状の平坦部(頂部平面を形成する)を
作製して金型とした。この金型を用いて、縦横0.3mm
の中に100個の略円錐状の山状スポット部が形成され
たDNAチップ用基板を製作した。
【0020】〔親水化、疎水化処理〕前記作成(その
1)により得られたDNAチップ用基板に対し、山状ス
ポット部の頂部平面にはナイロン(R)微小スポットを形
成した。
【0021】〔ナノフォーミング〕走査イオン顕微鏡を
用い、ビーム径50nmでイオン銃にはGa液体金属を用
いて加速電圧を20kVにて超硬材WC(ナノフォーミ
ングの圧子材)に格子状にイオンビームを当てて50nm
の角柱を形成した。作製された圧子材を用い、親水化、
疎水化処理したDNAチップ用基板の頂部平面に50nm
程度の孔を形成した。
【0022】〔DNAチップの作製;DNAチップ用基
板への既知のDNAの定着〕現行の平坦状スライドガラ
ス基板を用いたDNAチップの製造業者に依頼し、同様
に既知のDNA液を前記本件DNAチップ用基板の頂部
平面に滴下し、DNAを前記50nm程度の孔に定着させ
て固定化した。超微細な孔を設けることで相乗的にDN
Aの定着性並びに固定化が促進され、ハイブリダイゼー
ション時の短縮並びに解析感度が向上したことが実験終
了後、報告された。
【0023】〔解析システム〕現行の平坦状スライドガ
ラス基板を用いたDNAチップを使用している医療研究
業者に依頼し、同様に被検出DNAを前記本件DNAチ
ップに塗布した後、DNAチップを上下に電極で挟みこ
み、交流電界強度1.5kV/mm、周波数1Hzを印加して
撹拌した。撹拌により反応が現行のスライドガラスを用
いたDNAチップを使用した場合に比べて約100倍程
度促進し、数十分程度で反応が終了したことが報告され
た。イネをサンプルに用いて評価し、既存のcy3、やcy5
をつかった蛍光を用いて検出するシステムにおいて、測
定面積の直径が50μmから200μmであるとおよそ1
5倍の面積となり、低倍の顕微鏡でも容易に観察可能と
なり、装置コストが低減できること、解析スピードが上
がったことが報告された。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明のDNAチッ
プ及びそれを用いた解析システムは、従来のDNAチッ
プが有する数々の課題を全て解消できるものであり、反
応検出能力が従来に比べて極めて高いものである。その
ため、従来不可能であった臨床現場でのDNAチップを
用いる医療への導入が加速する。特に、安価で且つ反応
検出能力に優れ、高度なテクニックを必要とすることな
く再現性に優れた解析データを得ることができるため、
メディカルサイエンス、バイオサイエンスの分野で飛躍
的な研究促進が図られ、それによる研究成果により、健
康な高齢化社会の到来や医療現場に大きな変革がもたら
すことが期待される。さらに製薬メーカーでは個人個人
の体質を考慮した創薬の研究開発用に採用され、適切な
処方によって回復が速くなるとともに拒否反応が抑えら
れ、不要な薬の投与が回避されることが期待される。ま
た、本発明のDNAチップ用基板、DNAチップの製造
方法は、電界によって砥粒の配置を微細工具の先端に制
御かつ保持することができる微細加工方法を適用したも
のであり、工具の回転によって発生する遠心力による砥
粒の飛散を電界によって抑え、保持することができ、さ
らに砥粒の電界極性の切り替わる時に生じる砥粒の運動
によってセルフドレッシングや衝撃力加工を促進するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDNAチップの一実施例を示す斜視図
である。
【図2】本発明のDNAチップの製造及びそれを用いた
解析システムの概略についてのフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松村 隆 神奈川県横浜市港北区高田西1−14−3− 505 (72)発明者 吉野 雅彦 東京都大田区北千束1−13−18 (72)発明者 小西 智一 秋田県秋田市千秋矢留町7−34 県公舎5 号 Fターム(参考) 4B024 AA11 CA01 HA14 4B029 AA07 CC04 FA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、凹部底面から隆起する複数の
    山状スポット部を設け、該山状スポット部の頂部平面の
    みが親水性で且つnmスケールの凹凸を備え、その他の
    部分は疎水性であることを特徴とするDNAチップ用基
    板。
  2. 【請求項2】 請求項1の基板の頂部平面上に既知のD
    NAを定着させてなることを特徴とするDNAチップ。
  3. 【請求項3】 先端が球形状を有する微細工具を電極と
    し、他方の電極を被加工物下部に配置し、微細工具の先
    端と被加工物とを接近した非接触状に配置した間に、溶
    媒の主成分が20℃にて1〜1,000cStの粘度を有す
    るシリコーンオイルで、この溶媒に粒子径が0.1〜3
    0μmの電気的誘電性を持つ砥粒を分散させた液状組成
    物を配設し、電界強度±0.3〜5kV/mm,周波数0.
    1〜100Hzの交流電界を印加しながら砥粒が配向した
    状態で微細工具を高速回転させて加工する微細加工方法
    により金属金型を作成し、該金属金型を用いて請求項1
    の基板を作成することを特徴とするDNAチップ用基板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3にて得られた基板上に過剰量の
    DNAを滴下して頂部平面にDNAを定着させることを
    特徴とするDNAチップの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載のDNAチップを用いた
    解析システムであって、未知のDNAを滴下した後、低
    周波交流高電圧を与えるようにしたことを特徴とする解
    析システム。
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