JP2021161977A - エンジンの燃焼室構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却損失の低減を図りつつ、プリイグニッションの発生要因となるような遮熱層の温度上昇を抑止する。【解決手段】エンジンの燃焼室構造は、シリンダブロック3、シリンダヘッド4及びピストン5によって区画される燃焼室6を備える。ピストン5は、燃焼室6に対向する上面501を有するピストン本体50と、上面501の少なくとも径方向中央領域に配置され、熱伝導率がピストン本体50よりも小さい断熱層71と、上面501を覆うように配置され、熱伝導率がピストン本体50及び断熱層71よりも小さい遮熱層72と、断熱層71と遮熱層72との間に配置され、熱伝導率が断熱層71及び遮熱層72よりも大きい熱拡散層73と、を含む。熱拡散層73は、ピストン本体50に当接する側端縁731及び延出部732を備えている。【選択図】図3

Description

本発明は、冷却損失を抑制する遮熱層を備えたエンジンの燃焼室構造に関する。
車両用のガソリンエンジン等の燃焼室では、燃焼室壁面を通した放熱(冷損)を低減することが求められる。冷損の低減のため、ピストンの冠面などの燃焼室壁面に、低熱伝導率の材料からなる遮熱層をコーティングする技術が知られている。遮熱層を設けることで、燃焼室内で発生する燃焼ガスと燃焼室壁面との温度差を小さくし、冷損を低減することができる。
ガソリンエンジンとして、予め混合された燃料と空気の混合気を燃焼室内で自着火させる、予混合圧縮着火燃焼を実行可能なエンジンが知られている。予混合圧縮着火式のエンジンは、燃焼室内の各所において混合気が同時に燃焼を開始するという特徴がある。このため、燃費の向上、排気ガスのクリーン化などのメリットがある。その一方で、燃焼室内で一気に発生する火炎が燃焼室壁面と接触することから、燃焼室壁面を通した冷損が大きくなる。また、燃焼室内の各所での混合気の同時燃焼に伴い、燃焼室内の圧力、すなわち筒内圧が急激に上昇することが問題となる。大きな筒内圧の発生は、大きな燃焼騒音をもたらし、また、燃焼室やエンジン機構各部に大きな荷重を与える。
この問題に対処すべく、特許文献1には、ピストン冠面に遮熱層及び断熱層を設けてなる燃焼室構造が開示されている。前記遮熱層は、ピストン冠面の全面を覆い、ピストン本体を通した放熱を抑制する。前記断熱層は、前記遮熱層の下方であってピストン冠面の径方向中央領域に配置され、当該中央領域を熱が逃げ難い領域としている。これにより、燃焼室の径方向中央領域で自着火が生じ、当該中央領域で初期燃焼が起こる。その後、比較的低温である燃焼室の径方向外側領域へ火炎が燃え拡がる。従って、予混合圧縮着火式を採用しながらも、燃焼室内において混合気を緩慢に燃焼させることができ、冷損や筒内圧の急上昇を抑制することができる。
特開2018−172997号公報
特許文献1の燃焼室構造は、例えば、比較的エンジン負荷が低い予混合圧縮着火燃焼では有用である。しかし、比較的エンジン負荷が高い状況で行われる予混合圧縮着火燃焼又は火花点火燃焼では、前記断熱層が過度に熱を蓄熱する不具合が生じることが判明した。すなわち、前記遮熱層で遮熱し切れない熱を前記断熱層が蓄熱し、高熱を保有した前記断熱層が前記遮熱層を加温する。この加温によって筒内温度が上昇し、吸気行程で取り入れた空気が過度に熱せられ、圧縮行程において過早着火(プリイグニッション)が生じる。
本発明の目的は、冷却損失の低減を図りつつ、プリイグニッションの発生要因となるような遮熱層の温度上昇を抑止できるエンジンの燃焼室構造を提供することにある。
本発明の一局面に係るエンジンの燃焼室構造は、シリンダブロック、シリンダヘッド及びピストンによって区画される燃焼室を備えるエンジンの燃焼室構造であって、前記ピストンは、前記燃焼室に対向する上面を有するピストン本体と、前記上面の少なくとも径方向中央領域に配置され、熱伝導率が前記ピストン本体よりも小さい断熱層と、前記上面を覆うように配置され、熱伝導率が前記ピストン本体及び前記断熱層よりも小さい遮熱層と、前記断熱層と前記遮熱層との間に配置され、熱伝導率が前記断熱層及び前記遮熱層よりも大きい熱拡散層と、を含み、前記熱拡散層は、前記ピストン本体に当接する当接部を備えていることを特徴とする。
この燃焼室構造によれば、断熱層に伝熱した熱を当該断熱層に蓄熱させず、ピストン本体へ逃がす構造が実現される。すなわち、断熱層と遮熱層との間には、熱拡散層が介在される。前記熱拡散層は、熱伝導率が前記断熱層及び前記遮熱層の双方よりも大きく、前記ピストン本体に当接する当接部を備えている。このため、前記断熱層が蓄熱したとしても、前記熱拡散層を通してその熱を前記ピストン本体に伝熱させることができる。つまり、前記断熱層が蓄熱した熱を、前記遮熱層へは伝熱させず、前記ピストン本体へ放熱させることができる。従って、前記遮熱層の温度上昇は抑制され、プリイグニッションを発生させるような筒内温度の上昇を生じさせないようにすることができる。
上記のエンジンの燃焼室構造において、前記ピストン本体は、前記上面をシリンダ軸方向の下方へ窪ませたキャビティを備え、前記キャビティは、前記径方向中央領域に対応する位置に配置されていることが望ましい。
燃焼室の径方向中央領域に位置するキャビティの形成領域は、燃焼時に高温化する。上記の燃焼室構造によれば、前記キャビティが配置される位置に断熱層が配置される。つまり、ピストンの燃焼時に高温化する領域において、遮熱層の裏面側に断熱層が配置される。このため、燃焼室内の燃焼ガスと遮熱層(ピストン冠面)との温度差を可及的に小さくし、冷損を低減させることができる。他方、前記熱拡散層の介在によって、前記断熱層の熱が前記ピストン本体へ放熱されるので、過剰に前記遮熱層が熱上昇することはない。
上記のエンジンの燃焼室構造において、前記熱拡散層は、前記断熱層の外周縁よりも径方向外側に延出する延出部を備え、当該延出部が前記ピストン本体に当接する前記当接部であることが望ましい。
この燃焼室構造によれば、熱拡散層と断熱層とが同じサイズであって、前記熱拡散層の側縁部がピストン本体に対する当接部である場合に比較して、前記熱拡散層と前記ピストン本体との接触面積を大きくすることができる。従って、より前記断熱層の熱を前記ピストン本体へ逃がし易くすることができる。
上記のエンジンの燃焼室構造において、前記熱拡散層の外周縁は、前記ピストン本体の前記上面の外周縁まで延在していることが望ましい。この構造とすれば、より一層、前記断熱層の熱を前記ピストン本体へ逃がし易くすることができる。
上記のエンジンの燃焼室構造において、冷却用のオイルを噴射するオイルジェット装置をさらに備え、前記ピストン本体は、シリンダ軸方向に貫通する貫通孔を備え、前記熱拡散層は、前記ピストン本体の前記上面付近において前記貫通孔の一部を封止する封止部を備え、前記オイルジェット装置は、前記貫通孔の下方から、前記封止部に向けて前記オイルを噴射する構成とすることができる。
この燃焼室構造によれば、前記封止部において前記熱拡散層と前記ピストン本体との当接部を確保し、前記断熱層の熱の放熱経路を確保することができる。これに加え、オイルジェット装置が前記封止部に向けて前記オイルを噴射することで、前記熱拡散層を冷却することができる。従って、前記遮熱層の過度の熱上昇を抑止することができる。
本発明によれば、冷却損失の低減を図りつつ、プリイグニッションの発生要因となるような遮熱層の温度上昇を抑止することができるエンジンの燃焼室構造を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジンの燃焼室構造が適用されるエンジンを示す概略断面図である。 図2は、ピストンの冠面の平面図である。 図3(A)は、図2のIII−III線断面図、図3(B)は、図3(A)の要部拡大断面図である。 図4は、図2のIV−IV線断面図である。 図5は、他の実施形態に係るピストンの断面図である。 図6は、他の実施形態に係るピストンの断面図である。 図7は、エンジンの燃焼室構造の構成部材に適用可能な材料を示す表形式の図である。 図8は、予混合圧縮着火式のエンジンの燃焼態様を説明するための模式図である。 図9は、比較例の燃焼室構造における、遮熱及び蓄熱作用を説明するための模式図である。 図10は、比較例の燃焼室構造における、ピストン表面温度分布を説明するための模式図である。 図11は、比較例の燃焼室構造において発生し得るプリイグニッションの説明図である。 図12(A)及び(B)は、本実施形態の燃焼室構造における、熱の挙動を説明するための模式図である。 図13は、ピストン表面(冠面)からの深さと壁温との関係を示すグラフである。 図14は、本実施形態の燃焼室構造における、ピストン表面温度分布を説明するための模式図である。 図15は、本実施形態の燃焼室構造における、ピストン表面温度分布を説明するための模式図である。 図16は、本実施形態の燃焼室構造における、ピストン表面温度分布を説明するための模式図である。 図17(A)は、オイルジェット冷却が適用される場合の実施形態を示すピストンの断面図、図17(B)は、オイルがピストンに噴射されている状態を示す断面図である。 図18は、オイルジェット冷却が適用される場合の他の実施形態を示すピストンの断面図である。
[エンジンの全体構成]
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係るエンジンの燃焼室構造を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るエンジンの燃焼室構造が適用されるエンジンを示す概略断面図である。ここに示されるエンジンは、シリンダ及びピストンを含み、自動車等の車両の走行駆動用の動力源として前記車両に搭載される多気筒エンジンである。エンジンは、エンジン本体1と、これに組付けられた図外の吸排気マニホールド及び各種ポンプ等の補機とを含む。
本実施形態のエンジン本体1は、燃焼室内で燃料と空気との混合気に火花で点火する火花点火燃焼(SI燃焼)と、前記混合気を自着火させる予混合圧縮着火燃焼(HCCI燃焼)とを実行させることが可能なエンジンである。エンジン本体1に供給される燃料は、ガソリンを主成分とするものである。大略的に、エンジン本体1では、高負荷又は高回転の運転領域では火花点火燃焼が実行され、中・低負荷で中・低回転の運転領域では予混合圧縮着火燃焼が実行される。なお、本発明は、予混合圧縮着火燃焼を実行することができないエンジンの燃焼室にも適用が可能である。
エンジン本体1は、シリンダブロック3、シリンダヘッド4及びピストン5を備える。シリンダブロック3は、図1の紙面に垂直な方向に並ぶ複数のシリンダ2(図中ではそのうちの1つのみを示す)を有している。シリンダヘッド4は、シリンダブロック3の上面に取り付けられ、シリンダ2の上部開口を塞いでいる。ピストン5は、各シリンダ2に往復摺動可能に収容されており、コネクティングロッド8を介してクランク軸7と連結されている。ピストン5の往復運動に応じて、クランク軸7はその中心軸回りに回転する。
ピストン5の上方には燃焼室6が形成されている。シリンダヘッド4には、燃焼室6と連通する吸気ポート9及び排気ポート10が形成されている。シリンダヘッド4の底面4a(燃焼室天井面6U)には、吸気ポート9の下流端である吸気側開口部41と、排気ポート10の上流端である排気側開口部42とが形成されている。
シリンダヘッド4には、吸気側開口部41を開閉する吸気バルブ11と、排気側開口部42を開閉する排気バルブ12とが組み付けられている。例えば、ダブルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)エンジンである場合、吸気側開口部41と排気側開口部42とは、各シリンダ2につき2つずつ設けられると共に、吸気バルブ11および排気バルブ12も2つずつ設けられる。吸気バルブ11及び排気バルブ12は、いわゆるポペットバルブであって、傘部と軸部とを備える。
本実施形態において、燃焼室6は、シリンダブロック3、シリンダヘッド4及びピストン5によって区画されている。より詳しくは、燃焼室6を区画している燃焼室壁面は、シリンダ2の内壁面、ピストン5の上面である冠面5H、シリンダヘッド4の底面である燃焼室天井面6U、吸気バルブ11及び排気バルブ12の各バルブヘッドからなる。
シリンダヘッド4には、吸気バルブ11、排気バルブ12を各々駆動する吸気側動弁機構13、排気側動弁機構14が配設されている。これら動弁機構13、14によりクランク軸7の回転に連動して、吸気バルブ11及び排気バルブ12の各軸部が駆動される。この駆動により、吸気バルブ11のバルブヘッドが吸気側開口部41を開閉し、排気バルブ12のバルブヘッドが排気側開口部42を開閉する。
吸気側動弁機構13には、吸気側可変バルブタイミング機構(吸気側S−VT)15が組み込まれている。吸気側S−VT15は、吸気カム軸に設けられた電動式のS−VTであり、クランク軸7に対する吸気カム軸の回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更することにより、吸気バルブ11の開閉タイミングを変更する。同様に、排気側動弁機構14には、排気側可変バルブタイミング機構(排気側S−VT)16が組み込まれている。排気側SV−T16は、排気カム軸に設けられた電動式のS−VTであり、クランク軸7に対する排気カム軸の回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更することにより、排気バルブ12の開閉タイミングを変更する。
シリンダヘッド4には、燃焼室6内の混合気に点火エネルギーを供給する点火プラグ17が各シリンダ2につき1つずつ取り付けられている。点火プラグ17は、燃焼室6の径方向中央空間に配置され、その点火点が燃焼室6内に臨む姿勢でシリンダヘッド4に取り付けられている。点火プラグ17は、図外の点火回路からの給電に応じてその先端から火花を放電して、燃焼室6内の混合気に点火する。本実施形態では点火プラグ17は、高負荷・高回転時に火花点火燃焼を実行させる際に使用される。また、予混合圧縮着火燃焼を実行させる際に、エンジンが冷間始動された直後のように自着火が困難な場合や、所定の負荷や速度条件の下で予混合圧縮着火燃焼を補助する場合(スパークアシスト)等に使用される。
シリンダヘッド4には、先端部から燃焼室6内にガソリンを主成分とする燃料を噴射するインジェクタ18が、各シリンダ2につき1つずつ取り付けられている。インジェクタ18には燃料供給管19が接続されている。インジェクタ18は、燃料供給管19を通じて供給された燃料を噴射する。燃料供給管19の上流側には、クランク軸7と連動連結されたプランジャー式のポンプ等からなる高圧燃料ポンプ(図示せず)が接続されている。この高圧燃料ポンプと燃料供給管19との間には、全シリンダ2に共通の蓄圧用のコモンレール(図示せず)が設けられている。このコモンレール内で蓄圧された燃料が各シリンダ2のインジェクタ18に供給されることにより、各インジェクタ18からは、高い圧力の燃料が燃焼室6内に噴射される。
[ピストンの詳細構造]
次に、ピストン5の構造について詳述する。図2は、ピストン5の上面図である。図3(A)は、図2のIII−III線断面図、図3(B)は、図3(A)の要部拡大断面図である。図4は、図2のIV−IV線断面図である。ピストン5は、ピストン本体50、断熱層71、遮熱層72及び熱拡散層73を備えている。図2〜図4には、X、Y、Zの方向表示が付されている。X方向は、クランク軸7の延在方向、Y方向は吸気ポート9と排気ポート10とが対向する方向(図1の断面方向)、Z方向はシリンダ軸方向(上下方向)である。
ピストン本体50は、シリンダ2のボア径に略等しい円柱体からなる。ピストン本体50は、燃焼室6に対向する上面501と、シリンダ2の内壁と対向する外周縁5Eとを有する。外周縁5Eには、ピストンリングが嵌め込まれる複数のリング溝502が設けられている。ピストン本体50の下方には、ピストンボス503及びスカート505が一体的に配置されている。ピストンボス503には、コネクティングロッド8とピストン5とを連結するためのピストンピン孔504が備えられている。ピストン本体50の外周縁5Eの近傍には、下方に向けて開口する冷却凹部506が設けられている。冷却凹部506には、図略のオイルジェットノズルから冷却用オイルが噴射される。
ピストン本体50は、上面501をシリンダ軸方向の下方へ窪ませたキャビティ5Cを有する。キャビティ5Cは、概ね上面501の径方向中央領域に対応する位置に配置されている。燃焼室天井面6Uの径方向中心に配置されたインジェクタ18は、キャビティ5Cに向けて燃料を噴射することになる。図2に示すように、上面視でキャビティ5Cは、X方向に長い楕円型の形状を備え、底面部51、長径側稜線部52及び短径側稜線部53によって形成されている。底面部51は、キャビティ5Cにおいて最も深い位置にある略平坦な円形領域であり、上面501の径方向中央に位置している。
長径側稜線部52は、キャビティ5CのX方向の開口縁であり、上面501において最も高く突出している。径方向外側に向かう方向において、底面部51の周縁から長径側稜線部52までは上りの傾斜面であり、長径側稜線部52から外周縁5Eまでは下りの傾斜面である。短径側稜線部53は、キャビティ5CのY方向の開口縁であり、長径側稜線部52よりも低い突出高さを有している。底面部51の周縁から短径側稜線部53までは、径方向外側に向かう上りの傾斜面である。短径側稜線部53よりも径方向外側には、下りの傾斜面、及びスキッシュ部54が順次連なっている。スキッシュ部54は、上面501のY方向端部に配置された半月型の平面部分である。
本実施形態では、燃焼室6における混合気の燃焼時に、ピストン5の冠面5Hが径方向に温度勾配を持つような燃焼室構造とされる。前記温度勾配は、径方向中央領域が比較的高温で、径方向外側領域が比較的低温となる温度分布である。他方、径方向中央領域がプリイグニッションを引き起すような高温とならないよう、ピストン本体50を通して放熱が可能な燃焼室構造とされる。このような燃焼室構造の実現のため、本実施形態では、ピストン本体50の上面501の径方向中央領域に断熱層71が配置されている。遮熱層72は、断熱層71が配置された上面501の上を完全に覆うように配置されている。熱拡散層73は、断熱層71と遮熱層72との間に配置されている。かかる積層構造が上面501に形成されている結果、ピストン5の燃焼室6への露出面となる冠面5Hには、遮熱層72が表出している。
断熱層71は、Z方向に所定の厚みを有する、上面視で円形の部材である。勿論、断熱層71を上面視で円形とするのは一例であり、多角形や他の形状としても良い。断熱層71は、少なくとも上面501の径方向中央領域に配置される。図3及び図4では、キャビティ5Cの底面部51に対応する位置に、断熱層71が配置されている例を示している。断熱層71は、底面部51の径方向外側に存在する上りの傾斜面に至る範囲まで、長径側稜線部52及び/又は短径側稜線部53に至る範囲まで、或いは、長径側稜線部52及び/又は短径側稜線部53よりもさらに径方向外側の範囲まで延在していても良い。断熱層71のZ方向の厚さは、例えば1mm〜6mmの範囲から選択することができる。
断熱層71としては、燃焼室6からピストン5を通して熱が逃げることを抑止(冷損を抑止)する観点からは、熱伝導率が可及的に小さいことが望ましく、少なくともピストン本体50よりも小さい熱伝導率を有する材料が用いられる。また、冠面5Hの径方向中央領域を高温に維持するという観点からは、断熱層71は、可及的に大きい体積比熱を有していること、すなわち高い蓄熱性を有していることが望ましい。
遮熱層72は、冠面5Hを通した冷損の抑止のため、ピストン本体50の上面501の全域を覆っている。遮熱層72としては、冠面5Hからの放熱を抑止するという観点から、ピストン本体50及び断熱層71よりも熱伝導率が小さいことが望ましい。遮熱層72を設けることで、燃焼室6内で発生する燃焼ガスと冠面5Hとの温度差を小さくし、冷損を低減することができる。また、遮熱層72が断熱層71と同レベルに大きい体積比熱(蓄熱性)を有していると、冠面5Hの径方向中央領域だけでなく外側領域も高温に維持されてしまい、有意な温度分布の形成が困難になる。このため、遮熱層72は、断熱層71よりは小さい体積比熱を具備していることが望ましい。遮熱層72のZ方向の厚さは、例えば0.03mm〜0.25mmの範囲から選択することができる。
熱拡散層73は、その下面が断熱層71に接触すると共に、上面が断熱層71に接触するように、断熱層71と遮熱層72との間に配置されている。熱拡散層73は、断熱層71の配置箇所において冠面5Hが高温化しすぎないよう、断熱層71に蓄熱された熱をピストン本体50へ逃がす機能を持つ層である。断熱層71が保有する熱をピストン本体50へ直ちに伝達する観点から、熱拡散層73は熱伝導率が可及的に大きいことが望ましい。このため、熱拡散層73は、断熱層71及び遮熱層72よりも大きい熱伝導率を具備する層とされる。熱拡散層73のZ方向の厚さは、例えば1mm〜5mmの範囲から選択することができる。なお、熱拡散層73は、「熱伝導率/厚さ」で表される熱抵抗が可及的に小さい層であることが、熱拡散を良好とする点で望ましい。このため、熱拡散層73のZ方向の厚さは、用いる材料の熱伝導率を考慮して設定される。
図3(B)を参照して、熱拡散層73は、断熱層71よりも大きいサイズを有している。すなわち、熱拡散層73は、断熱層71の外周縁711よりも径方向外側に位置する側端縁731を有する。この結果、熱拡散層73は、断熱層71の外周縁711よりも径方向外側に延出する延出部732(当接部)を備えている。側端縁731及び延出部732は、ピストン本体50に直接的に当接する部分である。熱拡散層73は、遮熱層72が遮熱し切れなかった熱を断熱層71に伝熱する。その一方、熱拡散層73は、断熱層71に蓄えられすぎた熱を受け取り、この熱を側端縁731及び延出部732からピストン本体50へ放熱する。
断熱層71及び熱拡散層73は、ピストン本体50の上面501に設けられた凹部501Rに収容されている。つまり、キャビティ5Cの底面部51から突出しない態様で、断熱層71及び熱拡散層73が凹部501R内に配置されている。断熱層71及び熱拡散層73は、予め上面501に凹部501Rを形成した上で断熱層71及び熱拡散層73に相当するシートを圧入する方法、或いは、鋳ぐるみ成型によって底面部51に溶着させる方法などで製作することができる。
シリンダブロック3の基材及びシリンダヘッド4の基材としては、例えば、アルミニウム合金AC4B(熱伝導率=96W/mK、体積比熱=2667kJ/mK)などの金属製母材の鋳造品を用いることができる。また、ピストン5の基材(ピストン本体50)については、アルミニウム合金AC8A(熱伝導率=125W/mK、体積比熱=2600kJ/mK)を用いることができる。
ピストン5の冠面5Hに表出する遮熱層72は、ピストン5の構成部材(ピストン本体50、断熱層71、遮熱層72及び熱拡散層73)の中で、最も小さい熱伝導率及び体積比熱を有する材料が選ばれる。つまり、熱を拡散させ難く、熱を溜め込み難い層となるように、遮熱層72の構成材料が選ばれる。遮熱層72としての好ましい熱伝導率の範囲は、0.05〜1.50W/mK、好ましい体積比熱の範囲は500〜1500kJ/mK程度である。
上記の要件を満たす遮熱層72の材料としては、例えば耐熱性のシリコーン樹脂を例示することができる。シリコーン樹脂としては、メチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂に代表される、分岐度の高い3次元ポリマからなるシリコーン樹脂を例示することができ、例えば、ポリアルキルフェニルシロキサンなどが好適である。このようなシリコーン樹脂に、シラスバルーンのような中空粒子が含まれていても良い。遮熱層72は、例えば断熱層71及び熱拡散層73が形成された上面501に、上記のシリコーン樹脂にてコーティング処理を施すことによって形成することができる。
断熱層71は、熱を拡散させ難い一方で、熱を溜め込み易い層とされる。熱拡散の抑制のため、断熱層71は、遮熱層72よりも大きいものの、ピストン本体50よりも極めて小さい熱伝導率を持つ材料が選ばれる。また、良好な蓄熱性を具備させるため、断熱層71は、遮熱層72よりも大きい体積比熱及び熱抵抗を持つ材料が選ばれる。断熱層71としての好ましい熱伝導率の範囲は、0.2〜10W/mK、好ましい体積比熱の範囲は1800〜3500kJ/mK程度である。
上記の要件を満たす断熱層71の材料としては、例えばセラミックス材料を例示することができる。一般に、セラミックス材料は、熱伝導率が低い一方で体積比熱が大きく、また耐熱性にも優れるので、断熱層71として好適である。具体的に、好ましいセラミックス材料は、ジルコニア(熱伝導率=3W/mK、体積比熱=2576kJ/mK)である。この他、窒化ケイ素、シリカ、コージライト、ムライト等のセラミックス材料、或いは、ポーラスなSUS系材料やケイ酸カルシウム等も、断熱層71の形成材料として用いることができる。
熱拡散層73は、断熱層71に蓄熱された熱をピストン本体50へ逃がす役目を担うので、熱を拡散させ易い層とされる。このため熱拡散層73は、ピストン5の構成部材の中で最も大きい熱伝導率を持つ層とされる。熱拡散層73として好ましい熱伝導率の範囲は、35〜600W/mK程度である。また、熱拡散層73は、熱抵抗が0.002〜0.06mK/Wの範囲となるように、Z方向厚さを設定することが望ましい。上記の要件を満たす熱拡散層73の材料としては、例えば銅系材料(熱伝導率=400W/mK、体積比熱=3500kJ/mK)や、コルソン合金、ベリリウム銅、繊維強化アルミ合金、チタンアルミ等を用いることができる。前記銅系材料を用いる場合、厚さを2mmに設定した場合でも、熱拡散層73の熱抵抗=0.005mK/Wに抑制できるので特に好ましい。
熱拡散層73は、ピストン本体50に当接する当接部を具備していることが必須であるが、その当接の態様は種々選択することができる。図5は、他の実施形態に係るピストン5−1の断面図である。図5のピストン5−1の断熱層71及び遮熱層72については、図3及び図4のピストン5と同様である。しかし、ピストン5−1が備える熱拡散層73Aは、径方向幅が断熱層71と同じサイズに設定されている。すなわち、断熱層71の外周縁711と熱拡散層73Aの側端縁731Aとが、径方向の同じ位置にある。このような熱拡散層73Aでは、先述の熱拡散層73が備える延出部732は存在しないものの、側端縁731Aがピストン本体50への当接部として機能する。つまり、側端縁731Aを通して、断熱層71の熱がピストン本体50へ放熱される。但し、延出部732を具備させる方が、熱拡散層73とピストン本体50との接触面積を大きくすることができ、より断熱層71の熱をピストン本体50へ逃がし易くすることができるので好ましい。
図6は、さらに他の実施形態に係るピストン5−2の断面図である。ピストン5−2の断熱層71及び遮熱層72については、図3及び図4のピストン5と同様である。一方、ピストン5−2が備える熱拡散層73Bは、径方向幅が遮熱層72と同じサイズに設定されている。すなわち、熱拡散層73Bの側端縁731Bは、ピストン本体50の外周縁5Eまで延在している。これにより、熱拡散層73Bの上面は、遮熱層72の下面と全域に亘って接触している。また、熱拡散層73Bの下面は、断熱層71の配置部分を除いて、ピストン本体50の上面501の全域と接触している。このような熱拡散層73Bでは、ピストン本体50に対する接触面積を最も大きくすることができ、断熱層71の熱を上面501の全域に配分して放熱させることができる。従って、より一層、断熱層71の熱をピストン本体50へ逃がし易くすることができる。
図7に、ピストン5のピストン本体50、断熱層71、遮熱層72及び熱拡散層73の好ましい材料選定例を示す。図7では、これらの材料の熱伝導率λ、体積比熱ρc、熱拡散率(λ/ρc)、Z方向厚さt、熱抵抗(t/λ)及び熱浸透率(√λρc)を示している。なお、熱拡散率の右側の小欄は、遮熱層72の熱拡散率を「1」とした場合の、各層の比率を示している。
[断熱層の意義]
続いて、上述の断熱層71及び熱拡散層73が果たす意義について説明する。ここでは、予混合圧縮着火燃焼を実行可能なエンジンを取り上げて説明する。図8は、予混合圧縮着火式のエンジンの燃焼態様を説明するための模式図である。図8では、ペントルーフ型の燃焼室60を模式的に示し、キャビティ5Cの記載を省いている。
予混合圧縮着火式のエンジンでは、燃料と空気の混合気をピストン5による圧縮に伴い燃焼室60内で自着火させる。このため、火花着火燃焼のように強制着火点から燃焼が始まるのではなく、図8に示すように、燃焼室60の各所に着火点IPが生じ、前記混合気が同時に燃焼を開始する。このような同時燃焼により、燃焼室60内の圧力(筒内圧)が急上昇する。このため、大きな燃焼騒音が生じたり、コネクティングロッド8とクランク軸7との接続部等のエンジン機構各部に大きな荷重を与えたりする。前記燃焼騒音への対策や、エンジン機構各部の強度向上策を要することは、予混合圧縮着火式のエンジンの実用化の阻害要因となる。さらに、前記同時燃焼によって燃焼室6内で火炎が一気に発生することから、前記燃焼室壁面を通した放熱(冷却損失)、とりわけ比較的低温のシリンダ2の内壁を通した冷却損失が大きくなる。従って、エンジンの熱効率が低下する。
燃焼室60の各所においてマルチプルに着火点IPが生じるのは、燃焼室60(燃焼室壁面)の温度が均質であることが原因であると言える。すなわち、温度が均質であるがゆえ、圧縮行程において混合気が圧縮され一定の圧力条件に至ると、燃焼室60の各所において着火条件が整ってしまう。この点に鑑み、本実施形態では、燃焼室60の径方向、つまりピストン5の冠面5Hに積極的に温度勾配を形成する。具体的には、冠面5Hの径方向中央領域については比較的高温で、径方向外側領域が比較的低温となる温度分布を具備させる。
図9は、遮熱層72及び断熱層71を備えたピストン5を用いた燃焼室構造における、遮熱及び蓄熱作用を説明するための模式図である。上述の通り遮熱層72は、極めて熱伝導率が小さい層であり、燃焼室6の室内温度に依存して温度変化する。このため、燃焼室6の内の燃焼ガスの温度と冠面5Hの温度との間の温度差を小さくし、ピストン本体50への熱伝達を相当程度は遮断することができる。つまり、図9の矢印D1に示すように、燃焼室6から冠面5Hを通した熱の逃げ出しを阻止することができる。これにより、冷熱損失を低減できる。但し、遮熱層72は完全には熱伝達を遮断することはできないので、図9の矢印D2に示すように、ある程度は熱を通過させる。
断熱層71が配置された領域については、ピストン5において熱伝導率が小さい領域となる。つまり、断熱層71が燃焼室6側からピストン5への熱伝達をブロックし、放熱が抑止される。一方、断熱層71が配置されていない領域については、ピストン5の熱伝導率に応じて燃焼室6側からピストン5への熱伝達が生じてしまう。遮熱層72を設けることで前記熱伝達はある程度抑制されるが、断熱層71の配置領域よりは大きい熱伝達が生じる。さらに、本実施形態では断熱層71が体積比熱の大きい部材からなるため、優れた蓄熱機能を発揮する。このため、遮熱層72を通過した熱(矢印D2)や、周囲の熱(矢印D3)が断熱層71に蓄熱される。
すると、熱を保有した断熱層71が、上層の遮熱層72を加熱するようになる。従って、断熱層71が配置された冠面5Hの径方向中央領域を外側領域に比べて高温に維持することができる。このような温度勾配が径方向に形成されることで、燃焼室6内における予混合圧縮着火燃焼を、径方向内側空間から外側空間へ順次シフトしてゆく燃焼とすることができる。すなわち、図8に示したように燃焼室60の各所で同時着火及び同時燃焼は起きず、燃焼室6の径方向中央領域から径方向外側領域へ向けての緩慢な燃焼が生じるものである。従って、予混合圧縮着火燃焼において、燃焼騒音及び機械荷重の低減、冷熱損失の改善を図ることができる。
[熱拡散層の意義]
熱拡散層73を断熱層71と遮熱層72との間に介在させることで、中負荷及び高負荷運転時に、冠面5Hにおける断熱層71の配置領域が過剰に高温化することを防止できる。図10は、比較例における冠面5Hの温度分布(ピストン表面温度)を説明するための模式図である。比較例の燃焼室構造は、冠面5Hの径方向中央領域に断熱層71が埋め込まれ、冠面5Hの全体が遮熱層72で覆われている点は上掲の実施形態と同一であるが、熱拡散層73が存在しない点で相違している。
図10の温度分布L1は、低負荷運転時におけるピストン表面温度を示している。既述の通り、本実施形態のエンジン本体1は、低負荷の運転領域ではリーンな混合気を用いた予混合圧縮着火燃焼が実行される。低負荷運転時はインジェクタ18からの燃料噴射量も比較的少ないため、燃焼室6内の燃焼ガスの温度も比較的低い。このため、ピストン表面温度も全体的に低いものとなる。但し、冠面5Hの径方向中央領域には断熱層71が埋め込まれているので、当該中央領域についてはピストン表面温度が高くなることは上述した通りである。従って、温度分布L1は、断熱層71の配置領域に相当する径方向中央領域が高く、断熱層71の非配置領域に相当する径方向外側領域が低い温度分布となる。
図10の温度分布L2は、中負荷・高負荷運転時におけるピストン表面温度を示している。エンジン本体1は、中負荷の運転領域ではリーンな混合気を用いた予混合圧縮着火燃焼が実行され、高負荷の運転領域ではλ=1の火花点火燃焼が実行される。温度分布L2の分布傾向は温度分布L1と同じであり、径方向中央領域が高く、径方向外側領域が低い温度分布である。しかし、中負荷・高負荷運転時には燃料噴射量が比較的多くなるため、燃焼室6内の燃焼ガスの温度が比較的高くなる。このため、ピストン表面温度も全体的に高くなり、断熱層71も高温の熱を蓄熱することになる。このような断熱層71によって遮熱層72が加温されることから、温度分布L2は、断熱層71が配置された径方向中央領域の温度がとりわけ高い温度分布となる。
図11は、比較例の燃焼室構造において中負荷・高負荷運転時に発生し得る現象を示す図である。図10の温度分布L2のように、冠面5H(遮熱層72)の径方向中央領域が極端に高い温度を持つようになると、筒内温度を過剰に高くしてしまう。すると、吸気行程中において燃焼室6内に取り入れられた空気の温度が上昇し、圧縮行程でその加温された空気が圧縮されると、プリイグニッションPIGが発生する。つまり、本来の圧縮着火時期よりも早い時期に、混合気の一部に着火してしまう現象が生じる。この場合、エンジン本体1のトルク変動や出力低下が生じることがある。
図12(A)及び(B)は、本実施形態の燃焼室構造における、熱の挙動を説明するための模式図である。図12(A)は、低負荷運転時の熱の挙動を示す。比較例と同様に、遮熱層72は、燃焼室6から冠面5Hを通した熱の逃げ出しを阻止する(矢印D1)。但し、遮熱層72は完全に熱伝達を遮断できないので、ある程度は熱を通過させる(矢印D2)。遮熱層72を通過した熱は熱拡散層73に進入するが、当該遮熱層72は高い熱伝導率を有するので、その熱は断熱層71へ伝熱される。また、熱拡散層73は、ピストン本体50の熱も断熱層71へ伝熱することになる(矢印D4)。ピストン本体50の熱は、直接的にも断熱層71へ伝熱する(矢印D3)。これらの熱を断熱層71は蓄熱し、結果として、断熱層71の配置領域に相当する冠面5Hの径方向中央領域が高く、断熱層71の非配置領域に相当する径方向外側領域が低い温度分布が形成される。
図12(B)は、中・高負荷運転時の熱の挙動を示す。中・高負荷運転時には、燃焼室6の燃焼ガス温度が上がり、遮熱層72は熱を遮断するものの(矢印D1)、より高温でより多くの熱量を伴う熱が遮熱層72を通過する(矢印D2)。断熱層71の配置位置において、遮熱層72を通過した熱は熱拡散層73に進入し、断熱層71へ伝熱される。このため、断熱層71は高温化する。しかし、断熱層71がピストン本体50よりも高温になると、熱拡散層73が断熱層71の熱をピストン本体50へ伝熱するようになる(矢印D5)。つまり、断熱層71の熱をピストン本体50へ放熱させる役目を、熱拡散層73が果たす。これにより、断熱層71の配置領域に相当する冠面5Hの径方向中央領域の、過度の高温化を抑止することができる。
図13は、ピストン表面(冠面5H)からの深さと壁温との関係を示すグラフである。ピストン表面からの深さ=0mmの壁温が冠面5Hの壁温であり、各種の燃焼室構造に基づく温度特性H1〜H10の径方向中央領域の壁温がプロットされている。図13のグラフは、低負荷運転時において、熱拡散層73が断熱層71と遮熱層72との間に介在されていても、冠面5Hの径方向中央領域の温度を、熱拡散層73を介在させない場合(図10)と同等に高温化できることを示すグラフである。なお、測定条件は、エンジン本体1の圧縮比=17、エンジンン回転数=2000rpm、1/4負荷である。
図13の温度特性H1(106℃)は、断熱層71、遮熱層72及び熱拡散層73を備えないピストン(ピストン本体50の上面501が剥き出し)についての温度特性である。温度特性H2(243℃)は、上面501に75μm厚の遮熱層72のみを備えたピストンの温度特性である。これら温度特性H1、H2は壁温が低く、低負荷運転時において冠面5Hの径方向中央領域を高温化する温度分布を形成できないことが判る。
温度特性H3、H4は、上面501に断熱層71のみを設けた場合の温度特性である。温度特性H3は、断熱層71の厚さが2mmの場合、温度特性H4は、断熱層71の厚さが3mmの場合である。温度特性H5、H6は、上面501に断熱層71及び遮熱層72を設けた場合(図9の比較例の構造)の温度特性である。温度特性H5は、遮熱層72の厚さが75μm、断熱層71の厚さが2mmの場合、温度特性H6は、遮熱層72の厚さが75μm、断熱層71の厚さが3mmである。温度特性H3、H5の壁温は424℃であり、温度特性H4、H6の壁温は452℃であって、低負荷運転時において冠面5Hの径方向中央領域を十分に高温化する温度分布を形成できることが判る。
温度特性H7〜H10は、上面501に断熱層71、遮熱層72及び熱拡散層73を設ける本実施形態に係るピストンの温度特性である。温度特性H7は、遮熱層72の厚さが75μm、断熱層71の厚さが2mm、厚さが2mmのアルミ合金からなる熱拡散層73の場合の温度特性である。温度特性H8は、断熱層71の厚さが3mmで有る他は、温度特性H7の場合と同じ構成を備えるピストンの温度特性である。温度特性H9は、遮熱層72の厚さが75μm、断熱層71の厚さが2mm、厚さが2mmのSUS系材料からなる熱拡散層73の場合の温度特性である。温度特性H10は、断熱層71の厚さが3mmで有る他は、温度特性H9の場合と同じ構成を備えるピストンの温度特性である。
温度特性H7、H9(断熱層71の厚さが2mm)の壁温は427℃であり、温度特性H8、H10(断熱層71の厚さが2mm)の壁温は455℃である。温度特性H7、H9の壁温は、断熱層71の厚さが2mmの場合の温度特性H3、H5の壁温(424℃)とほぼ同一である。また、温度特性H8、H10の壁温も、断熱層71の厚さが3mmの場合の温度特性H4、H6の壁温(452℃)とほぼ同一である。従って、断熱層71と遮熱層72との間に熱拡散層73を介在させた場合でも、低負荷運転時において冠面5Hの径方向中央領域を十分に高温化する温度分布を形成できる。
図14〜図16は、本実施形態の燃焼室構造における、ピストン表面温度分布を説明するための模式図である。図14〜図16の燃焼室構造は、冠面5Hの径方向中央領域に断熱層71が埋め込まれ、冠面5Hの全体が遮熱層72で覆われている点において、共通の構造を備えている一方、熱拡散層73の径方向幅が異なる例を示している。
図14は、図5に示すピストン5−1に対応する燃焼室構造であり、その熱拡散層73Aの径方向幅が断熱層71と同じサイズである。先述の通りこの態様では、熱拡散層73Aの側端縁731Aから、断熱層71の熱がピストン本体50へ放熱される。図14に示された温度分布L11は、低負荷運転時におけるピストン5−1の表面温度(冠面5Hの温度)を示している。この温度分布は、比較例として示した図10の温度分布L1と同等である。温度分布L11は、断熱層71の配置領域に相当する冠面5Hの径方向中央領域が高く、断熱層71の非配置領域に相当する径方向外側領域が低い温度分布となっている。従って、低負荷運転時の燃焼室6内において、径方向中央領域から径方向外側領域へ向かう緩慢な燃焼が生じさせることができる。
図14の温度分布L21は、中負荷・高負荷運転時におけるピストン5−1の表面温度を示している。比較のため、比較例における中負荷・高負荷運転時の温度分布L2が点線で書き加えられている。中負荷・高負荷運転時には燃焼室6内の燃焼ガスの温度が比較的高くなるため、温度分布L21のピストン表面温度は、低負荷の温度分布L11に比べて全体的に高くなっている。
しかし、温度分布L21の径方向中央領域のピストン表面温度については、比較例の温度分布L2に比べて相当程度低減されている。これは、断熱層71に溜め込まれた熱を、熱拡散層73Aがピストン本体50へ放熱したことによる。前記放熱によって断熱層71の直上の遮熱層72の加熱の程度が低下し、ピストン表面温度が低下するものである。なお、ピストン本体50への放熱によって、径方向外側領域のピストン表面温度は、比較例の温度分布L2に比べて温度分布L21の方が若干上昇している。しかし、冠面5H全体の表面温度でみると、比較例の温度分布L2に比べて温度分布L21の方が下がっていると評価できる。従って、吸気が過剰に加熱されることはなく、上述のプリイグニッションの発生を抑止することができる。
図15は、図3及び図4に示すピストン5に対応する燃焼室構造であり、熱拡散層73は、断熱層71よりもやや大きいサイズを有している。先述の通りこの態様では、熱拡散層73の側端縁731及び延出部732から、断熱層71の熱がピストン本体50へ放熱される。図15に示された温度分布L12は、低負荷運転時におけるピストン5の表面温度を示している。この温度分布L12は、図14の温度分布L11と同等であり、径方向中央領域が高く、径方向外側領域が低い温度分布である。
図15の温度分布L22は、中負荷・高負荷運転時におけるピストン5の表面温度を示している。ここでも、比較例の温度分布L2が点線で書き加えられている。温度分布L22の径方向中央領域のピストン表面温度については、比較例の温度分布L2に比べて相当程度低減されている。また、図14の温度分布L21と比較しても、温度分布L22の径方向中央領域のピストン表面温度は低減されている。これは、ピストン本体50と接触面として、熱拡散層73は側端縁731だけでなく延出部732も備えていることから、断熱層71に溜め込まれた熱がより多くピストン本体50へ放熱されたことによる。
図16は、図6に示すピストン5−2に対応する燃焼室構造であり、その熱拡散層73Bの径方向幅は遮熱層72と同じサイズである。この態様では、熱拡散層73Bは、断熱層71の配置部分を除いて、ピストン本体50の全域と接触するので、断熱層71の熱をピストン本体50の全域に配分するように放熱する。図16に示された温度分布L13は、低負荷運転時におけるピストン5−2の表面温度を示している。この温度分布L13は、図14、図15の温度分布L11、L12と同等であり、径方向中央領域が高く、径方向外側領域が低い温度分布である。
図16の温度分布L23は、中負荷・高負荷運転時におけるピストン5−2の表面温度を示している。ここでも、比較例の温度分布L2が点線で書き加えられている。温度分布L23の径方向中央領域のピストン表面温度は、比較例の温度分布L2に比べてより一層低減されている。また、図14、図15の温度分布L21、L22と比較しても、温度分布L23の径方向中央領域のピストン表面温度は低減されている。これは、断熱層71の配置部分を除くピストン本体50の全域に、断熱層71に溜め込まれた熱が放熱されたことによる。
以上の通り、本実施形態のいずれの燃焼室構造によっても、低負荷運転時においては、ピストンの表面温度を、緩慢な燃焼に適した温度分布とすることができる。一方、中負荷・高負荷運転時においては、径方向中央領域のピストン表面温度が過剰に上昇しないようにすることができる。従って、プリイグニッションPIG(図11)を発生させるような筒内温度の上昇を発生させないようにすることができる。
[オイルジェット冷却を伴う実施形態]
本発明の他の実施形態を説明する。図17(A)は、オイルジェット冷却が適用される場合の実施形態を示すピストン5−3の断面図である。ピストン5−3のピストン本体50は、冷却凹部506に連なるように配置された一対の開口507を備えている。冷却凹部506と開口507とが連なることで、ピストン本体50をシリンダ軸方向に貫通する一対の貫通孔が備えられている。
断熱層71Aは、一対の開口507の間の領域において、ピストン本体50の上面501の上に配置されている。開口507は、キャビティ5Cの長径側稜線部52に配置されている。このため、断熱層71Aはキャビティ5Cの配置位置に対応して設けられることになる。熱拡散層73Cは、上面501の全域を覆うように配置されている。また、熱拡散層73Cは、開口507を埋める封止部733を備えている。封止部733は、ピストン本体50の上面501付近において、冷却凹部506及び開口507により形成された前記貫通孔の一部を封止している。遮熱層72は、このような熱拡散層73Cの径方向全域を覆うように配置されている。
図17(B)は、冷却用オイル81がピストン5−3に噴射されている状態を示す断面図である。ピストン5−3の下方には、冷却用オイル81を噴射するオイルジェットノズル80(オイルジェット装置)が配置されている。オイルジェットノズル80は、冷却凹部506(貫通孔)の下方から、熱拡散層73Cの封止部733に向けて冷却用オイル81を噴射する。
このピストン5−3を用いた燃焼室構造によれば、開口507の内周面と封止部733との接触部分において、熱拡散層73Cとピストン本体50との当接部を確保することができる。つまり、断熱層71Aの熱のピストン本体50への放熱経路を確保することができる。これに加え、オイルジェットノズル80が封止部733に向けて冷却用オイル81を噴射することで、熱拡散層73Cを冷却することができる。従って、遮熱層72の過度の熱上昇を抑止することができる。さらに、インジェクタ18から燃料が噴射され高温化するキャビティ5Cの領域において、遮熱層72の裏面側に断熱層71Aが存在するので、冷損を効果的に抑止することができる。
図18は、オイルジェット冷却が適用される場合の他の実施形態を示すピストン5−4の断面図である。図17(A)のピストン5−3と相違する点は、開口507よりも径方向外側に位置する延長部712を有する断熱層71Bが用いられている点である。この態様でも、熱拡散層73Cとピストン本体50との当接部は、開口507の内周面と封止部733との接触部分である。このピストン5−4によれば、冠面5Hの径方向全域において、遮熱層72の裏面側に断熱層71Aが存在するので、より一層、冷損を抑止することができる。なお、図示は省いているが、冷却凹部506の下方から、熱拡散層73Cの封止部733に向けて冷却用オイル81を噴射される点は、先のピストン5−3と同じである。
[作用効果]
以上説明した本実施形態に係るエンジンの燃焼室構造によれば、断熱層71に伝熱した熱を当該断熱層71に蓄熱させず、ピストン本体50へ逃がす構造が実現される。すなわち、断熱層71と遮熱層72との間には、熱拡散層73が介在される。熱拡散層73は、熱伝導率が断熱層71及び遮熱層72の双方よりも大きく、ピストン本体50に当接する当接部(側端縁731又は延出部732)を備えている。このため、断熱層71が蓄熱したとしても、熱拡散層73を通してその熱をピストン本体50に伝熱させることができる。つまり、断熱層71が蓄熱した熱を、遮熱層72へは伝熱させず、ピストン本体50へ放熱させることができる。従って、例えば高負荷・中負荷運転時における遮熱層72の過剰な温度上昇は抑制され、プリイグニッションを発生させる程に筒内温度を上昇させないようにすることができる。
また、断熱層71は、キャビティ5Cが形成されるピストン本体50の径方向中央領域に対応する位置に配置されている。つまり、ピストン5のうち、燃焼時にとりわけ高温化する領域に、遮熱層72の裏面側に断熱層71が配置される。このため、燃焼室6内の燃焼ガスと遮熱層72(冠面5H)との温度差を可及的に小さくし、冷損を低減させることができる。他方、熱拡散層73の介在によって、断熱層71の熱がピストン本体50へ放熱されるので、過剰に遮熱層72が熱上昇することはない。
1 エンジン本体
2 シリンダ
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 ピストン
5C キャビティ
5E 外周縁
5H 冠面
50 ピストン本体
501 上面
507 開口(貫通孔)
6 燃焼室
71 断熱層
72 遮熱層
73 熱拡散層
731 側端縁(当接部)
732 延出部(当接部)
733 封止部
80 オイルジェットノズル
81 冷却用オイル

Claims (5)

  1. シリンダブロック、シリンダヘッド及びピストンによって区画される燃焼室を備えるエンジンの燃焼室構造であって、
    前記ピストンは、
    前記燃焼室に対向する上面を有するピストン本体と、
    前記上面の少なくとも径方向中央領域に配置され、熱伝導率が前記ピストン本体よりも小さい断熱層と、
    前記上面を覆うように配置され、熱伝導率が前記ピストン本体及び前記断熱層よりも小さい遮熱層と、
    前記断熱層と前記遮熱層との間に配置され、熱伝導率が前記断熱層及び前記遮熱層よりも大きい熱拡散層と、を含み、
    前記熱拡散層は、前記ピストン本体に当接する当接部を備えている、
    エンジンの燃焼室構造。
  2. 請求項1に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    前記ピストン本体は、前記上面をシリンダ軸方向の下方へ窪ませたキャビティを備え、
    前記キャビティは、前記径方向中央領域に対応する位置に配置されている、エンジンの燃焼室構造。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    前記熱拡散層は、前記断熱層の外周縁よりも径方向外側に延出する延出部を備え、当該延出部が前記ピストン本体に当接する前記当接部である、エンジンの燃焼室構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    前記熱拡散層の外周縁は、前記ピストン本体の前記上面の外周縁まで延在している、エンジンの燃焼室構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    冷却用のオイルを噴射するオイルジェット装置をさらに備え、
    前記ピストン本体は、シリンダ軸方向に貫通する貫通孔を備え、
    前記熱拡散層は、前記ピストン本体の前記上面付近において前記貫通孔の一部を封止する封止部を備え、
    前記オイルジェット装置は、前記貫通孔の下方から、前記封止部に向けて前記オイルを噴射する、エンジンの燃焼室構造。
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