JP2021161426A - 樹脂組成物及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】伸縮性デバイスを構成可能な樹脂シートを製造するための樹脂組成物であって、硬化反応を行うことなく前記樹脂シートを製造できる樹脂組成物と、前記樹脂シートを備えた積層体と、を提供する。【解決手段】樹脂組成物であって、前記樹脂組成物中の樹脂成分は、下記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基と、ウレタン結合と、を有し、前記樹脂組成物の濃度が15質量%である、前記樹脂組成物のブチルカルビトールアセテート溶液を、25℃に温度調節して、撹拌速度10rpmで撹拌しながら、前記溶液の粘度を測定したとき、前記粘度が0.07〜22.35Pa・sである、樹脂組成物。前記樹脂組成物を、乾燥により固化させて得られた樹脂シートを備えた、積層体。[化1]【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び積層体に関する。
近年、フレキシブルセンサーの発展とともに、体調管理可能なウエアラブルデバイスが注目を集めている。ウエアラブルデバイスは、スポーツ科学やヘルスケアの分野において、洋服に内蔵するものや皮膚に直接貼り付けるものなど、体の特定部位の測定及びモニタリングが想定されたもので、幅広い用途での応用が期待されている。人の肌は、日常、伸び縮みを繰り返しているので、ウエアラブルデバイスにストレスのない装着性を求める場合、ウエアラブルデバイスは、装着対象物に対応して伸縮性を有することが望ましい。また、ウエアラブルデバイスは、その取り扱いや人の動きを想定し、その折り曲げ時や捲回時に発生する応力に対して、一定以上の強度を有することが望ましい。このような特性を有するデバイスを、本明細書においては、その用途をウエアラブルデバイスに限らず、伸縮性デバイスと称する。
伸縮性デバイスとしては、伸縮性素体の中に、電極、デバイス、電子部品、薄膜センサー等を含むものが想定され、それらは伸び縮みを繰り返す使用環境下でも、その品質が保たれることが必要である。しかし、従来の薄膜樹脂基板で使用されるポリイミド製シートでは、このような伸縮性デバイスを実現するのは困難である。このような理由から、伸縮性デバイスのうち、素体及び電極には、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン又はポリオレフィン等の、伸縮性に対応した樹脂を主たる構成材料として用いることが想定されている。なかでも、シロキサン結合を有する(メタ)アクリレート化合物、ウレタン結合を有する前記(メタ)アクリレート化合物以外の(メタ)アクリレート化合物、及び大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤を含有する組成物の硬化物であり、前記シロキサン結合を有する(メタ)アクリレート化合物が膜の表面側に偏在する伸縮性膜は、ポリウレタンと同程度の優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面はシリコーンと同程度の優れた撥水性を有する、とされている(特許文献1参照)。
特開2017−206626号公報
しかし、特許文献1に記載のような、樹脂組成物の硬化物を主たる構成材料とする樹脂シート(樹脂膜)の場合、硬化反応が均一に進行しない場合に、樹脂シート中において、組成や硬化度のばらつきを生じ、目的とする伸縮性、強度及び耐経時劣化特性を有しないものになるという問題点があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、伸縮性デバイスを構成可能な樹脂シートを製造するための樹脂組成物であって、硬化反応を行うことなく前記樹脂シートを製造できる樹脂組成物と、前記樹脂シートを備えた積層体と、を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1] 樹脂組成物であって、前記樹脂組成物中の樹脂成分は、下記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基と、ウレタン結合と、を有し、
前記樹脂組成物の濃度が15質量%である、前記樹脂組成物のブチルカルビトールアセテート溶液を、25℃に温度調節して、撹拌速度10rpmで撹拌しながら、前記溶液の粘度を測定したとき、前記粘度が0.07〜22.35Pa・sである、樹脂組成物。
Figure 2021161426
(式中、Zはアルキル基であり、前記アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよく、2個以上の前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。Zはアルキル基である。Zはアリール基である。Rは水素原子又はハロゲン原子である。符号*を付した結合は、前記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基の結合先との間で形成される。)
[2] 前記樹脂組成物が、重量平均分子量が61000〜250000の樹脂成分を含有する、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]に記載の樹脂組成物を、乾燥により固化させて得られた樹脂シートを備えた、積層体。
[4] 前記樹脂シート以外に、さらに、樹脂を含有する基材層を備えた、[3]に記載の積層体。
本発明の樹脂組成物が含有する樹脂成分は、ウレタン結合を有しているため、前記樹脂組成物を用いて形成した樹脂シートは、良好な伸縮性を有している。
本発明の樹脂組成物が含有する樹脂成分は、前記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基の由来となる、可逆的付加−開裂連鎖移動重合(Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer Polymerization)を行うためのRAFT剤を用いて、重合反応を行って得られたものである。このように重合反応を行うことによって、重合中の樹脂が架橋構造を形成する過程でゲル化することが避けられ、目的とする重合度及び架橋状態の樹脂成分が得られる。
本発明の樹脂組成物を用いて得られた樹脂シートは、樹脂組成物を硬化させることなく、乾燥により固化させて製造することで、組成のばらつきが少なく、伸縮性を有している。したがって、前記樹脂シートは、例えば、伸縮性デバイス中の素体、配線又は電極を構成するのに好適であり、特に、配線又は電極を構成するのに好適である。また、前記樹脂シートを備えた本発明の積層体は、伸縮性デバイスとして好適であり、さらに、樹脂シートの効果で、構造的欠陥や界面剥離等が抑制されており、安定性が高い。
本発明の一実施形態に係る積層体の一例を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。以下の説明において例示される材料、寸法等は、一例であって、本発明はそれらに限定されず、その要旨を変更しない範囲で適宜変更できる。
「樹脂組成物」
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂成分(本明細書においては、「樹脂成分(II)」と称することがある)を含有し、前記樹脂成分は、下記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基と、ウレタン結合と、を有し、
前記樹脂組成物の濃度が15質量%である前記樹脂組成物のブチルカルビトールアセテート溶液を、25℃に温度調節して、撹拌速度10rpmで撹拌しながら、前記溶液の粘度を測定したとき、前記粘度が0.07〜22.35Pa・sである。
Figure 2021161426
(式中、Zはアルキル基であり、前記アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよく、2個以上の前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。Zはアルキル基である。Zはアリール基である。Rは水素原子又はハロゲン原子である。符号*を付した結合は、前記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基の結合先との間で形成される。)
本実施形態の樹脂組成物が含有する樹脂成分(II)は、ウレタン結合を有しているため、柔軟性が高い。
また、樹脂成分(II)は、ウレタン結合及び重合性不飽和結合を有する樹脂と、前記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基の由来となる、可逆的付加−開裂連鎖移動重合(Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer Polymerization、本明細書においては、「RAFT重合」と略記することがある)を行うためのRAFT剤とを用いて、重合反応を行って得られたものである。このように重合反応を行うことによって、重合中の樹脂が架橋構造を形成する過程でゲル化することが避けられ、目的とする重合度及び架橋状態の樹脂成分が得られる。すなわち、前記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基を有する樹脂成分(II)は、重合度及び架橋状態の点で、ばらつきが小さい。
また、樹脂成分(II)は、シロキサン結合を有していてもよく、その場合、前記樹脂組成物は適度な撥水性を有しており、樹脂成分(II)が有するウレタン結合の加水分解が抑制される。このような樹脂成分(II)は、さらに、シロキサン結合及び重合性不飽和結合を有する樹脂を用いて、重合反応を行うことで得られる。
なお、RAFT重合を行う樹脂成分(II)の製造方法については、別途詳細に説明する。
樹脂成分(II)の製造に用いる前記ウレタン結合及び重合性不飽和結合を有する樹脂は、オリゴマーであり、本実施形態においては、「樹脂(a)」と称することがある。
また、樹脂成分(II)の製造に用いる前記シロキサン結合及び重合性不飽和結合を有する樹脂は、オリゴマーであり、本実施形態においては、「樹脂(b)」と称することがある。
樹脂成分(II)は、樹脂(a)同士が、その重合性不飽和結合において重合することによって生成した重合体である。樹脂(b)を用いた場合には、樹脂成分(II)は、樹脂(a)及び樹脂(b)が、これらの重合性不飽和結合において重合することによって生成した重合体である。
樹脂(b)を用いた場合の前記樹脂成分(II)は、その1分子中に、ウレタン結合及びシロキサン結合を共に有するものが好ましい。
前記樹脂(a)は、ウレタン結合及び重合性不飽和結合を有していれば、特に限定されない。
樹脂(a)としては、例えば、ウレタン結合を有し、かつ重合性不飽和結合を有する基として、(メタ)アクリロイル基を有するもの等が挙げられ、より具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。(メタ)アクリレートと類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
樹脂(a)の重量平均分子量(Mw)は、3000〜50000であることが好ましく、15000〜50000であることがより好ましい。このような重量平均分子量の樹脂(a)を用いることで、特性がより良好な前記樹脂成分(II)が得られる。
本明細書において、「重量平均分子量」とは、樹脂(a)の場合に限らず、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値を意味する。
前記樹脂(b)は、シロキサン結合及び重合性不飽和結合を有していれば、特に限定されない。
樹脂(b)としては、例えば、重合性不飽和結合を有する基として、(メタ)アクリロイル基を有する、公知の各種シリコーン樹脂等が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリジメチルシロキサン等のポリジアルキルシロキサンの片末端又は両末端に、(メタ)アクリロイル基が結合している、変性ポリジアルキルシロキサン等が挙げられる。
樹脂(b)の数平均分子量(Mn)は、400〜10000であることが好ましく、5000〜10000であることがより好ましい。このような数平均分子量の樹脂(b)を用いることで、特性がより良好な前記樹脂成分(II)が得られる。
前記一般式(11)中、Zはアルキル基である。
における前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
における、直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましく、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
における、直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基の炭素数は、例えば、1〜8、1〜5、及び1〜3のいずれかであってもよい。
における環状の前記アルキル基は、単環状及び多環状のいずれであってもよいが、単環状であることが好ましい。
における、環状の前記アルキル基の炭素数は、3〜6であることが好ましく、このようなアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
における前記アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、シアノ基(−CN)、カルボキシ基(−C(=O)−OH)又はメトキシカルボニル基(−C(=O)−OCH)で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。
における前記アルキル基中の2個以上の水素原子が、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されている場合、2個以上の前記置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記水素原子が、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されている場合、アルキル基中のすべての水素原子が置換されていてもよいが、置換されていない水素原子が存在することが好ましく、水素原子の置換数は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
における、水素原子がシアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されている前記アルキル基としては、例えば、1−カルボキシエチル基(−CH(CH)COOH)、2−カルボキシエチル基(−CHCHCOOH)、4−カルボキシ−2−シアノ−sec−ブチル基(−C(CH)(CN)CHCHCOOH)、2−シアノ−4−メトキシカルボニル−sec−ブチル基(−C(CH)(CN)CHCHCOOCH)、1−シアノ−1−メチルエチル基(−C(CH)(CN)CH)、シアノメチル基(−CHCN)、1−シアノ−1−メチル−n−プロピル基(−C(CH)(CN)CHCH)、2−シアノ−2−プロピル基(−C(CH)(CN)CH)等が挙げられ、2−カルボキシエチル基であることが好ましい。
は、ドデシル基(n−ドデシル基)又は2−カルボキシエチル基であることが好ましい。
前記一般式(21)中、Zはアルキル基である。
における前記アルキル基としては、Zにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
における前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
における、直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基の炭素数は、例えば、1〜12、1〜8、1〜5、及び1〜3のいずれかであってもよい。
は、メチル基であることが好ましい。
前記一般式(21)中、Zはアリール基である。
における前記アリール基は、単環状及び多環状のいずれであってもよいが、単環状であることが好ましい。
における前記アリール基の炭素数は、6〜12であることが好ましく、このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が挙げられる。
は、フェニル基であることが好ましい。
前記一般式(31)中、Rは水素原子又はハロゲン原子である。
における前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子であることが好ましい。
は、水素原子又は塩素原子であることが好ましい。
前記一般式(11)、(21)又は(31)中、符号*を付した結合は、前記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基の結合先、すなわち、樹脂(a)の重合体中の末端部、との間で形成される。
前記一般式(11)で表される基の由来となる、前記RAFT剤としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物(本明細書においては、「RAFT剤(1)」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 2021161426
(式中、Rはアルキル基であり、前記アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよく、2個以上の前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。Zは前記と同じである。)
前記一般式(1)中のRにおける、1個又は2個以上の水素原子が、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよいアルキル基としては、前記Zにおける、1個又は2個以上の水素原子が、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよいアルキル基と同様のものが挙げられ、Rにおける水素原子の置換の態様も、Zにおける水素原子の置換の態様と同様である。
は、1−カルボキシエチル基、4−カルボキシ−2−シアノ−sec−ブチル基、1−シアノ−1−メチルエチル基)、2−シアノ−4−メトキシカルボニル−sec−ブチル基、シアノメチル基、又は2−シアノ−2−プロピル基であることが好ましい。
前記一般式(1)中のZは、前記一般式(11)中のZと同じである。
RAFT剤(1)を用いた場合、重合反応により、樹脂(a)の重合体中の、前記一般式(11)で表される基が結合していない末端部に、前記一般式(1)のRで表される基が結合する。
前記一般式(21)で表される基の由来となる、前記RAFT剤としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物(本明細書においては、「RAFT剤(2)」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 2021161426
(式中、Rはアルキル基であり、前記アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよく、2個以上の前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。Z及びZは前記と同じである。)
前記一般式(2)中のRにおける、1個又は2個以上の水素原子が、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよいアルキル基としては、前記Zにおける、1個又は2個以上の水素原子が、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよいアルキル基と同様のものが挙げられ、Rにおける水素原子の置換の態様も、Zにおける水素原子の置換の態様と同様である。
は、シアノメチル基であることが好ましい。
前記一般式(2)中のZ及びZは、前記一般式(21)中のZ及びZと同じである。
RAFT剤(2)を用いた場合、重合反応により、樹脂(a)の重合体中の、前記一般式(21)で表される基が結合していない末端部に、前記一般式(2)のRで表される基が結合する。
前記一般式(31)で表される基の由来となる、前記RAFT剤としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物(本明細書においては、「RAFT剤(3)」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 2021161426
(式中、Rはアルキル基であり、前記アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよく、2個以上の前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。Rは前記と同じである。)
前記一般式(3)中のRにおける、1個又は2個以上の水素原子が、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよいアルキル基としては、前記Zにおける、1個又は2個以上の水素原子が、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよいアルキル基と同様のものが挙げられ、Rにおける水素原子の置換の態様も、Zにおける水素原子の置換の態様と同様である。
は、シアノメチル基、又は1−シアノ−1−メチル−n−プロピル基であることが好ましい。
前記一般式(3)中のRは、前記一般式(31)中のRと同じである。
RAFT剤(3)を用いた場合、重合反応により、樹脂(a)の重合体中の、前記一般式(31)で表される基が結合していない末端部に、前記一般式(3)のRで表される基が結合する。
樹脂成分(II)の製造時には、樹脂(a)と、必要に応じて樹脂(b)と、を用い、さらに、これらに該当しない他の重合性成分を用いてもよい。
前記他の重合性成分としては、例えば、重合性不飽和結合を有するモノマー又はオリゴマー等が挙げられる。
前記他の重合性成分として、より具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物としては、例えば、樹脂成分(II)と溶媒を含有するものが挙げられ、さらに必要に応じて、これらに該当しない他の非重合性成分を含有するものも挙げられる。
前記溶媒は、後述するように、樹脂成分(II)の製造時に用いるものである。
本実施形態の樹脂組成物としては、樹脂組成物における樹脂成分(II)の含有割合が5〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましい。また、樹脂組成物における溶媒の含有割合が0〜5質量%であることが好ましく、0〜0.5質量%であることがより好ましい。
樹脂成分(II)においては、樹脂(a)の重合成分:100質量部に対して、樹脂(b)の重合成分が0〜25.0質量部含有されることが好ましく、より好ましくは0.35〜15.0質量部、更に好ましくは1.0〜10.0質量部含有される。
樹脂成分(II)においては、樹脂(a)の重合成分:100質量部に対して、一般式(11)、(21)又は(31)で表される基は、0.02〜5.0質量部含有されることが好ましく、より好ましくは0.05〜4.0質量部、更に好ましくは0.37〜3.20質量部含有される。
樹脂成分(II)においては、樹脂(a)の重合成分:100質量部に対して、他の重合性成分が0〜2000質量部含有されることが好ましく、より好ましくは0〜100質量部、更に好ましくは0〜50質量部含有される。
樹脂組成物においては、樹脂(a)の重合成分:100質量部に対して、他の非重合性成分が500〜4000質量部含有されることが好ましく、より好ましくは800〜2000質量部、更に好ましくは800〜1300質量部含有される。
前記他の非重合性成分は、目的に応じて任意に選択でき、例えば、導電性成分及び非導電性成分のいずれであってもよい。より好ましくは、非導電性成分である。
例えば、導電性成分を含有する前記樹脂組成物を用いることで、導電性成分を含有し、伸縮性及び導電性を有する前記樹脂シートが得られる。このような樹脂シートは、例えば、伸縮性デバイス中の電極又は配線を形成するのに好適である。
一方、非導電性成分を含有する(導電性成分を含有しない)前記樹脂組成物を用いて得られた前記樹脂シートは、伸縮性デバイス中の素体を構成するのに好適である。ここで素体としては、例えば、伸縮性デバイスを封止するための封止層、あるいは、配線、電極、金属めっき部材又は電子部品等を設けるための層等が挙げられる。
前記導電性成分としては、例えば、銀、銅等の金属が挙げられ、前記金属は、粒子(例えば、銀粒子、銅粒子等)であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、硬化剤(例えば、熱硬化剤)を含有しないか、又は、含有していても、その含有量が少ないものほど好ましい。このような樹脂組成物は、その硬化反応を行うことなく固化させることにより得られる効果が顕著である点で、有利である。この効果については、別途詳しく説明する。
樹脂成分(II)の重量平均分子量(Mw)は、61000〜250000であることが好ましく、100000〜250000であることがより好ましく、150000〜250000であることがさらに好ましい。このような前記樹脂成分(II)は、その特性がより良好である。
樹脂成分(II)は、その組成により、溶媒への溶解性が高い。したがって、樹脂成分(II)を含有する前記樹脂組成物も、溶媒への溶解性が高い。
このような溶解性が高い樹脂組成物は、例えば、各種印刷法によって、適用対象物に対して印刷することにより、樹脂組成物層を容易に形成できる。そして、この樹脂組成物層を、硬化させずに、乾燥により固化させることで、前記樹脂シートと同様の層(樹脂層、樹脂シート)を製造できる。このような手法は、導電性成分を含有する前記樹脂組成物を用いて、電極又は配線を形成するのに好適である。
このような溶解性が高い樹脂組成物を用いて、伸縮性を有する樹脂シートを形成し、この樹脂シートを用いて構成した伸縮性デバイスは、その伸縮時に破損を抑制できるという大きな利点を有する。
通常の伸縮性デバイスが、その伸縮時に破損する要因として、材料の観点で考えられるのは、(i)熱や硬化反応に伴う収縮等が原因で生じる、空隙等の構造的欠陥及び界面剥離、(ii)組成ムラが原因で生じる硬度ムラ、(iii)光照射、酸化等が原因で生じる、材料の経時劣化等である。
したがって、空隙等の構造的欠陥及び界面剥離、組成ムラ、及び材料の経時劣化を抑制することで、伸縮性デバイスの伸縮時における破損を抑制できる。
伸縮性基板の加工としては、熱溶融による成形、熱又は光硬化反応による架橋が一般的であるが、前記(i)〜(iii)の理由により、微細加工までを考慮すると、伸縮性デバイスの信頼性が低くなることが懸念される。これに対して、例えば、積層工法に対応した、樹脂組成物の塗工及び乾燥のみで成形できる樹脂があれば、良好な結果を得られることが期待される。
伸縮性素体又は電極を構成するための樹脂としては、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン又はポリオレフィン等が用いられている。特にウレタン樹脂は、伸張性及び強度が最良であることから、ストレッチ素材の洋服等に最もよく用いられる伸縮性材料である。一方で、ウレタン樹脂の欠点は、特に前記(iii)の経時劣化であるが、架橋を形成するために硬化反応を行わなければ、光、熱による劣化を抑制できる。
以上のような観点から、樹脂組成物の塗工及び乾燥のみで成形できるウレタン樹脂を用いれば、信頼性が高い伸縮デバイスを実現できる。樹脂成分(II)を含有する前記樹脂組成物は、このような目的を達成するものである。
本実施形態の樹脂組成物の濃度が15質量%である、前記樹脂組成物のブチルカルビトールアセテート溶液(BCA溶液)を、25℃に温度調節して、撹拌速度10rpmで撹拌しながら、前記溶液の粘度(本明細書においては、「粘度(10rpm)」と略記することがある)を測定したとき、粘度(10rpm)は、0.07〜22.35Pa・s(70〜22350cP)である。粘度(10rpm)が22.35Pa・s以下である前記樹脂組成物は、印刷法への適用に好適であり、電極又は配線を形成するのに好適である。粘度(10rpm)が0.07Pa・s以上である前記樹脂組成物は、重合度が高い樹脂を含んでおり、乾燥により良好に固化するため、その取り扱いが良好である。
前記粘度(10rpm)は、例えば、0.235〜12.9Pa・sであってもよく、0.95〜12.9Pa・sであってもよい。このような樹脂組成物も、電極又は配線するためのペーストを作製するのに好適である。
前記溶液(BCA溶液)を、25℃に温度調節して、撹拌速度1rpmで撹拌しながら、前記溶液の粘度(本明細書においては、「粘度(1rpm)」と略記することがある)を測定したとき、粘度(1rpm)は、0〜110Pa・s(0〜110000cP)であることが好ましい。粘度(1rpm)が110Pa・s以下である前記樹脂組成物は、高粘度でありながらゲル化を抑制でき、印刷法への適用に好適であり、電極又は配線するためのペーストを作製するのに好適である。
粘度(10rpm)、粘度(1rpm)はデジタル粘度計(BROOKFIELD viscometer HB DV−1 Prime、スピンドル:S21タイプ)を用いて測定することが出来る。
本実施形態においては、粘度(1rpm)を粘度(10rpm)で除した値(本明細書においては、「粘度比率(1rpm/10rpm)」と略記することがある)が、0〜6であることが好ましく、1.7〜4.8であることがより好ましい。このような粘度比率(1rpm/10rpm)の前記樹脂組成物は、電極又は配線するためのペーストを作製するのに好適である。
「樹脂組成物の製造方法」
前記樹脂組成物は、例えば、樹脂(a)と、RAFT剤(すなわち、RAFT剤(1)、RAFT剤(2)又はRAFT剤(3))と、重合開始剤(本明細書においては、「重合開始剤(c)」と称することがある)と、溶媒と、必要に応じて樹脂(b)と、必要に応じて前記他の重合性成分と、必要に応じて前記他の非重合性成分と、を配合した原料混合物を調製し、前記原料混合物において重合反応を行い、前記樹脂成分(II)を生成させることで製造できる。
前記原料混合物は、樹脂(a)を含有する樹脂組成物の1種であるが、本明細書において、単なる「樹脂組成物」との記載は、重合反応を行う前の前記原料混合物ではなく、樹脂成分(II)を含有する、前記樹脂シートの製造原料である樹脂組成物を意味する。
前記原料混合物が含有する樹脂(a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記原料混合物において、樹脂(a)の含有量は、原料混合物の総量に対して、9.6〜30質量%であることが好ましく、11〜15質量%であることがより好ましい。前記含有量が9.6質量%以上であると、前記樹脂組成物の乾燥及び固化による樹脂シートの製造が、より容易となる。前記含有量が30質量%以下であると、伸縮性、強度及び溶媒を用いて前記樹脂組成物の取り扱い性を向上させることが、より容易となる。
前記原料混合物が含有する樹脂(b)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
樹脂(b)を用いる場合、前記原料混合物において、樹脂(b)の含有量は、樹脂(a)+他の重合性成分=100質量部に対して、例えば、0.2〜16質量部であってもよいが、0.2〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましく、0.2〜3質量部であることがさらに好ましい。前記含有量が0.2質量部以上であると、前記樹脂組成物の撥水性がより明りょうに向上する。前記含有量が10質量部以下であると、樹脂(b)の過剰使用が避けられ、例えば、前記樹脂組成物が白濁したり、前記樹脂組成物の均一性が低下したりすることが避けられる。
前記原料混合物が含有するRAFT剤(RAFT剤(1)〜(3))は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよいが、通常は1種のみで十分である。
前記原料混合物において、RAFT剤の含有量は、樹脂(a)+他の重合性成分=100質量部に対して、0.03〜5質量部であることが好ましく、0.03〜4.5質量部であることがより好ましく、0.03〜4質量部であることがさらに好ましい。前記含有量が0.03質量部以上であると、RAFT剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記含有量が5質量部以下であると、RAFT剤の過剰使用が避けられる。
前記重合開始剤(c)は、公知のものでよく、特に限定されない。
重合開始剤(c)としては、例えば、ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
前記原料混合物が含有する重合開始剤(c)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよいが、通常は1種のみで十分である。
前記原料混合物において、重合開始剤(c)の含有量は、樹脂(a)+他の重合性成分=100質量部に対して、0.5〜5質量部であることが好ましく、0.6〜4質量部であることがより好ましく、0.7〜3質量部であることがさらに好ましい。前記含有量が0.5質量部以上であると、重合反応がより円滑に進行する。前記含有量が5質量部以下であると、重合開始剤(c)の過剰使用が避けられる。
前記溶媒は、原料混合物の調製時に用いる上述の各配合成分や、重合反応物との反応性を示さないものであれば、特に限定されないが、各配合成分の溶解性が、良好なものが好ましい。
溶媒としては、例えば、ブチルカルビトールアセテート、メチルエチルケトン(MEK)、ポリエチレングリコールメチルエチルアセテート、エチルカルビトールアセテート等が挙げられる。
前記原料混合物が含有する溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
原料混合物において、樹脂(a)+他の重合性成分=100質量部が原料混合物の総量に対して5〜30質量%となるように、原料混合物に溶媒が含有されることが好ましい。より好ましくは、樹脂(a)+他の重合性成分=100質量部が原料混合物の総量に対して10〜25質量%となるように、原料混合物に溶媒が含有される。
溶媒の使用量がこのような範囲であることで、特性がより良好な前記樹脂成分(II)が、より円滑に得られる。
前記原料混合物が含有する前記他の重合性成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記他の重合性成分を用いる場合、前記原料混合物において、他の重合性成分の含有量は、樹脂(a)の含有量100質量部に対して、5〜55質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましく、15〜45質量部であることがさらに好ましい。前記含有量が5質量部以上であると、他の重合性成分を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記含有量が55質量部以下であると、前記樹脂組成物の溶媒への溶解性がより向上し、また、前記樹脂組成物を用いて得られた前記樹脂シートの伸縮性がより向上する。
前記原料混合物が含有する前記他の非重合性成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記原料混合物の、前記他の非重合性成分の含有量は、他の非重合性成分の種類に応じて任意に設定できる。
例えば、他の非重合性成分として前記導電性成分を用いる場合には、前記原料混合物において、導電性成分の含有量は、樹脂(a)+他の重合性成分=100質量部に対して、500〜2000質量部であることが好ましく、800〜1600質量部であることがより好ましく、800〜1300質量部であることがさらに好ましい。前記含有量が500質量部以上であると、前記樹脂シートの導電性がより高くなる。前記含有量が2000質量部以下であると、前記樹脂組成物が樹脂成分(II)を含有していることにより得られる効果が、より高くなる。
前記原料混合物において、硬化剤の含有量は、樹脂(a)+他の重合性成分=100質量部に対して、0〜0.01質量部であることが好ましく、0質量部である、すなわち、前記原料混合物が硬化剤を含有していないことが、特に好ましい。このような樹脂組成物は、実質的に又は全く、その硬化反応を行うことが無いため、それにより得られる効果が顕著である点で、有利である。
前記原料混合物において、前記原料混合物の溶媒以外の成分の合計含有量100質量部に対して、樹脂(a)と、RAFT剤と、重合開始剤(c)と、任意に用いる樹脂(b)と、任意に用いる他の重合性成分と、任意に用いる導電性成分と、の合計含有量は、60〜100質量部であることが好ましく、90〜100質量部であることがより好ましく、例えば、60〜70質量部、及び99〜100質量部のいずれかであってもよい。前記含有量が60質量部以上であると、本発明の効果がより顕著に得られる。
重合反応は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
重合反応を行うときの温度(反応温度)は、70〜110℃であることが好ましく、80〜100℃であることがより好ましい。
重合反応の時間(反応時間)は、使用する原料の種類や、反応温度に応じて適宜調節すればよく、例えば、5〜240分とすることができる。
本実施形態においては、RAFT剤(1)、(2)又は(3)を用いて、樹脂(a)の重合反応を行うことにより、重合反応を安定的に進めることができ、その結果、樹脂成分(II)の組成、分子量分布、構造等がある一定範囲内に納まる様に、安定的に樹脂成分(II)が得られる。特に、重合反応中は、反応速度が適度に調節されるため、反応が急激に進行することによって、反応液の粘度が急激に上昇し、架橋構造を形成する過程で、ゲル化してしまうという不具合が抑制され、目的とする重合度及び架橋状態の樹脂成分(II)が安定して得られる。
樹脂(b)を用いる場合も、同様の効果が得られる。
ラジカル重合を行う方法としては、RAFT剤を用いたRAFT重合以外にも、原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)、ニトロキシドを介した重合(Nitroxide−mediated Polymerization:NMP)が知られているが、ATRPには、遷移金属を含む触媒を高濃度にして重合反応を行う必要があるという欠点がり、NMPには、重合反応の制御が難しく、汎用性が低いという欠点がある。これらの方法は、これらの欠点のため、本発明の目的物である樹脂成分(II)の製造には適さない。
これに対して、本実施形態においては、RAFT剤(1)、(2)又は(3)を用いたRAFT重合を選択することにより、目的とする特性を有する樹脂成分(II)を、高い汎用性で安定して製造できる。
本実施形態においては、重合反応後、得られた反応液をそのまま前記樹脂組成物としてもよいし、得られた反応液に対して公知の後処理を行って得られたものを前記樹脂組成物としてもよい。
「積層体」
本実施形態の積層体は、前記樹脂組成物を、乾燥により固化させて得られた樹脂シートを備えている。
前記樹脂シートは、樹脂成分(II)を主成分として含有しているため、良好な伸縮性を有する。樹脂(b)を用いた場合には、前記樹脂シートは、さらに、適度な撥水性を有しているため、加水分解に起因する経時劣化が抑制される。このような特性を有する前記樹脂シートは、ウエアラブルデバイス等をはじめとする各種伸縮性デバイスを構成するのに、特に好適である。
すなわち、本実施形態の積層体は、伸縮性デバイスとして利用するのに、特に好適である。
前記樹脂シートは、樹脂組成物の硬化反応を行うことなく、上記のとおり、乾燥により固化させるだけで形成できる。したがって、硬化反応を行うことに伴う不具合を有しない。
例えば、光硬化反応は、紫外光が透過しないものを均一に硬化することが極めて困難である。例えば、光硬化性の樹脂シートのうち、実装されたデバイス又は電子部品の周辺部に紫外光を照射した場合には、紫外光の透過性がばらつくために、硬化度が異なる部位が生じてしまい、架橋密度が低い部位では、樹脂シートが破損し易い。また、非架橋部位は、酸化により劣化し易い。
一方、熱硬化反応は、硬化時の熱分布によって、樹脂シートにおいて収縮差が生じ易い。このような収縮差が生じると、デバイスとシーリング材の間など、構成材料が異なるもの同士が、これらの界面において剥離し易い。また、熱分布によって、樹脂シートに硬化度が異なる部位が生じてしまうと、伸縮を繰り返すことによって、劣化し易い。
さらに、光硬化反応と熱硬化反応のいずれの場合も、樹脂シート中では均一に進行し難く、その場合、樹脂シート中において、組成や硬化度のばらつきを生じ、硬化後の樹脂シートが、目的とする伸縮性及び強度を有しないものになってしまう。そのうえ、硬化剤を含有するために、熱、光によって経時劣化を生じ易い。
これに対して、本実施形態の樹脂組成物を、乾燥により固化させて得られた前記樹脂シートは、このような不具合を有しない。
前記樹脂シートは、例えば、前記樹脂組成物を目的とする箇所に塗工し、乾燥により固化させることで、硬化反応を行うことなく製造できる。
前記樹脂組成物は、例えば、各種コーター又はワイヤーバー等を用いる公知の方法、又は、インクジェット印刷法をはじめとする各種印刷法で塗工できる。
樹脂シートの製造時において、前記樹脂組成物の乾燥温度は、25〜150℃であることが好ましく、25〜120℃であることがより好ましい。前記乾燥温度が25℃以上であると、樹脂シートをより効率的に製造できる。前記乾燥温度が150℃以下であると、乾燥温度が過剰に高温となることが抑制され、剥離シートの変形、樹脂シートのダメージが起こりづらく、樹脂シートの変質が抑制される。
前記樹脂シートの製造時において、前記樹脂組成物の乾燥時間は、前記乾燥温度に応じて適宜設定すればよいが、10〜120分であることが好ましく、30〜90分であることがより好ましい。前記乾燥時間がこのような範囲であると、良好な特性の樹脂シートを効率的に製造できる。
樹脂組成物の乾燥による固化(樹脂シートの形成)の完了は、例えば、乾燥に供している樹脂組成物の質量に明確な変化が認められなくなったことによって、確認できる。
前記積層体が備える前記樹脂シートは、1層(枚)のみであってもよいし、2層(枚)以上であってもよい。積層体が2層以上の樹脂シートを備えている場合には、これら2層以上の樹脂シートは、互いに同一でも異なっていてもよい。
本明細書においては、樹脂シートの場合に限らず、「2層以上が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「2層以上が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
例えば、2層以上の前記樹脂シートを備えている前記積層体としては、配線、電極、金属めっき部材又は電子部品等が設けられた前記樹脂シートと、これらが設けられていない、封止層として機能する前記樹脂シートと、を備えたものが挙げられる。ただし、これは、前記積層体の一例である。
1層の前記樹脂シートの厚さは、1〜2000μmであることが好ましく、例えば、5〜1000μmであってもよい。樹脂シートの厚さが1μm以上であると、樹脂シートの強度がより向上する。樹脂シートの厚さが2000μm以下であると、樹脂シートを、その屈曲時の応力が低い状態で使用できる。
本実施形態においては、前記樹脂シートの表面にMEKを着摘させ、着摘後の時間が3秒及び13秒の段階での、MEKに対する接触角を測定したとき、着摘後の時間が3秒の段階での前記接触角を、着摘後の時間が13秒の段階での前記接触角で除した値(本明細書においては、「接触角比率(3秒/13秒)」と略記することがある)が、例えば、0.94〜2.03であってもよいが、0.94〜1.83であることが好ましい。前記接触角比率(3秒/13秒)がこのような範囲である樹脂シートは、分子量が大きい樹脂成分を多く含んでおり、耐溶媒性が高い。
このように、単純にMEKに対する接触角を規定するのではなく、前記接触角比率(3秒/13秒)を規定する理由は、MEKが原料混合物中の溶媒として好適なためである。
MEKのような溶媒は、適度な溶解性を有しており、樹脂シートの伸縮、強度、及び経時劣化の抑制に効果的なだけでなく、製造上での取り扱い性がよく、溶媒の作用に起因する樹脂シートの変形等の抑制効果が大きい。
樹脂シートの表面にMEKを着摘させ、着摘後の時間が3秒及び13秒の段階での、MEKに対する接触角は、固液体界面解析装置を用いて測定できる。
本実施形態においては、前記樹脂シートの表面にMEKを着摘させ、着摘後の時間が3秒の段階での、MEKに対する接触角は、上述の接触角比率(3秒/13秒)を満たす角度であることが好ましく、例えば、14〜34°であることが好ましく、15〜34°であることがより好ましい。
本実施形態においては、前記樹脂シートの表面にMEKを着摘させ、着摘後の時間が13秒の段階での、MEKに対する接触角は、上述の接触角比率(3秒/13秒)を満たす角度であることが好ましく、例えば、7〜33°であることが好ましく、8〜33°であることがより好ましい。
MEKに対する接触角を測定するときの、前記樹脂シートへ着摘させるMEKの量は、MEKに対する接触角を高精度に測定できれば、特に限定されないが、1〜3μLであることが好ましく、例えば、2.2μLであってもよい。
図1は、本実施形態の積層体の一例を分解して示す模式図である。
なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す積層体1は、第1シート11と、第2シート12と、第3シート13と、第4シート14と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されている。本明細書においては、これら4層(枚)の樹脂シートをまとめて「第1シート11〜第4シート14」と記載することがある。
第1シート11は、樹脂シート10の第2シート12側の面に、配線とともに電極111が設けられて、構成されている。
第2シート12は、樹脂シート10中に、銅めっき部材121が埋め込まれるか、又は貼付されることで、構成されている。また、第2シート12には、他のシートの配線と接続するためのビア又は接続部が設けられている。
第3シート13は、樹脂シート10中に、電子部品131が埋め込まれるか、又は実装されることで、構成されている。また、第3シート13には、他のシートの配線と接続するためのビア又は接続部が設けられている。
第4シート14は、樹脂シート10のみで構成されている。
第1シート11〜第4シート14における樹脂シート10はすべて、上述の本実施形態の樹脂シートであってもよいし、公知の伸縮性シートであってもよい。
第1シート11に設けられている配線及び電極111は、公知のものであってもよいが、上述の導電性成分を含有する本実施形態の樹脂シートであることが好ましい。
積層体1においては、第1シート11〜第4シート14、並びに、配線及び電極111のいずれかが、上述の本実施形態の樹脂シートであればよく、少なくとも、配線及び電極111が上述の本実施形態の樹脂シートであることが好ましい。
第1シート11〜第4シート14が積層された状態では、第1シート11上の配線及び電極111が、第2シート12中の銅めっき部材121と接触し、銅めっき部材121は、第3シート13中の電子部品131と接触している。第4シート14は、配線及び電極111、銅めっき部材121並びに電子部品131が露出しない様に、第1シート11、第2シート12及び第3シート13上に設けられており、封止層として機能する。
積層体1は、ウエアラブルデバイス等の伸縮性デバイスとして利用可能であり、銅めっき部材121及び電子部品131は、当該分野で公知のものであってよい。
積層体1は、第1シート11と、第2シート12と、第3シート13と、第4シート14とを、これらの配置順がこの順となるように積層することで、製造できる。
積層体1の製造時における、これらシートの積層順は、特に限定されない。
第1シート11は、例えば、樹脂シート10の一方の面に、印刷法によって、配線及び電極111を形成するための導電性組成物(例えば、本実施形態の樹脂組成物)を付着させ、乾燥させて、導電層を形成することで、製造できる。樹脂シート10は、本実施形態の樹脂シートである場合には、上述の製造方法で製造できる。
第2シート12は、例えば、第1シート11の配線及び電極111の形成面に、銅めっき部材121を配置し、この状態で、第1シート11の配線及び電極111の形成面に、第2シート12を形成するための組成物を塗工し、これを固化させることで、製造できる。このとき、銅めっき部材121は、第2シート12中で貫通させる。第2シート12を形成するための組成物が、本実施形態の樹脂組成物である場合には、これを硬化させることなく、乾燥により固化させることで、第2シート12を製造できる。
また、第2シート12は、第1シート11の配線及び電極111の形成面に、前記組成物を塗工し、これを固化させて得られたものに、銅めっき部材121を貼付することでも、製造できる。
第3シート13は、例えば、第2シート12の第1シート11側とは反対側の面に、電子部品131を配置し、この状態で、第2シート12の第1シート11側とは反対側の面(すなわち、電子部品131の配置面)に、第3シート13を形成するための組成物を塗工し、これを固化させることで、製造できる。このとき、電子部品131は、第3シート13中で貫通させる。第3シート13を形成するための組成物が、本実施形態の樹脂組成物である場合には、これを硬化させることなく、乾燥により固化させることで、第3シート13を製造できる。
第4シート14は、第3シート13の第2シート12側とは反対側の面に、第4シート14を形成するための組成物を塗工し、これを固化させることで、製造できる。第4シート14を形成するための組成物が、本実施形態の樹脂組成物である場合には、これを硬化させることなく、乾燥により固化させることで、第4シート14を製造できる。
なお、ここに示すのは、積層体1の製造方法の一例である。
本実施形態の積層体は、図1に示すものに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、積層体を構成するシートは、積層体1中では4層であるが、1層であってもよいし、4層以外の複数層であってもよく、すなわち、1層又は2層以上とすることができる。積層体中の前記シートの数は、積層体の目的に応じて任意に設定できる。ただし、前記シートが1層である場合には、積層体は、前記シート以外の他の層を備えるものとする。
また、積層体を構成するシートは、積層体1においては、配線、電極、銅めっき部材又は電子部品を備えているが、これら以外の構成を備えていてもよい。
好ましい本実施形態の積層体としては、上述の本実施形態の樹脂組成物を用いて形成された樹脂シート以外に、さらに、他のシート(他の層)を備えたものが挙げられる。
前記他の層としては、例えば、樹脂を含有する基材層が挙げられる。
前記基材層は、前記積層体の目的に応じて任意に選択でき、公知のものであってもよく、特に限定されない。
基材層としては、例えば、積層体をその使用対象に対して貼付するための粘着剤層;積層体の一方の面又は両面に貼付することによって、保管中の積層体を保護し、かつ、積層体の使用時には、積層体から容易に剥離できる剥離シート等が挙げられる。ただし、これらは、基材層の一例である。
前記基材層の厚さは、特に限定されないが、通常は、10〜2000μmであることが好ましく、20〜1000μmであることがより好ましい。基材層の厚さが10μm以上であると、基材層の強度がより向上する。基材層の厚さが2000μm以下であると、より容易に基材層を製造できる。
前記基材層を備えた前記積層体としては、例えば、図1に示す積層体1において、第1シート11の露出面、又は、第4シート14の露出面に、基材層が追加で設けられたものが挙げられる。ただし、これは、基材層を備えた積層体の一例である。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
樹脂組成物の製造に用いた原料を以下に示す。
・樹脂(a)
(a)−1:ウレタンアクリレートオリゴマー(製品名:UN−5500、根上工業社製)
・樹脂(b)
(b)−1:片末端がメタクリロイル基で修飾されたメタクリレート変性ポリジメチルシロキサン(製品名:サイラプレーン(登録商標)FM−0721、JNC社製)
・重合開始剤(c)
(c)−1:ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾ重合開始剤(製品名:V601、富士フイルム和光純薬社製)
・RAFT剤
(1)−1:下記式(1)−1で表されるRAFT剤(富士フイルム和光純薬社製)
(3)−1:下記式(3)−1で表されるRAFT剤(富士フイルム和光純薬社製)
・他の重合性成分
MMA:メタクリル酸メチル
・溶媒
BCA:ブチルカルビトールアセテート
Figure 2021161426
[実施例1]
<樹脂組成物の製造>
樹脂(a)−1(100質量部)と、重合開始剤(c)−1(0.8質量部)と、RAFT剤(1)−1(0.245質量部)と、BCAと、をフラスコ内に秤量し、常温下で撹拌機を用いてこれらを混合することにより、原料混合物を得た。
本発明では樹脂(a)+他の重合性成分=100質量部を基準にして、樹脂(b)、重合開始剤(c)、及びRAFT剤の配合量を決定しているが、実施例1においては他の重合性成分を用いないため、樹脂(a):100質量部を基準にして、樹脂(b)、重合開始剤(c)、及びRAFT剤の配合量を決定した。
また、樹脂(a):100質量部が原料混合物の15質量%となるように、溶媒であるBCAを混合した。
次いで、密閉したフラスコ内を真空脱気した。
次いで、窒素雰囲気下で、オイルバスを用いて、前記原料混合物を溶解させ、引き続き撹拌しながら昇温し、90℃で20分間重合反応を行うことにより、樹脂成分(II)を製造するとともに、この樹脂成分(II)を含有する樹脂組成物を製造した。
<樹脂組成物の評価>
(樹脂成分(II)の重量平均分子量の測定)
3本のGPC用カラム(製品名:Shodex(登録商標)LF−404、昭和電工社製)を直列に連結し、分子量測定装置(製品名:Shodex(登録商標)GPC−104、昭和電工社製)を用いて、前記GPC用カラムの温度を40℃に設定し、テトラヒドロフラン(THF)を移動相として用い、上記で得られた樹脂成分(II)の重量平均分子量(Mw)を測定した。前記重量平均分子量は、あらかじめ作成しておいた検量線を用いて算出した。結果を表3に示す。
(樹脂組成物の粘度の測定、粘度比率(1rpm/10rpm)の算出)
上記で得られた樹脂組成物を、ブチルカルビトールアセテート(BCA)に溶解させ、樹脂組成物の濃度が15質量%である、樹脂組成物のブチルカルビトールアセテート溶液(BCA溶液)を調製した。
次いで、デジタル粘度計(BROOKFIELD viscometer HB DV−1 Prime、スピンドル:S21タイプ)を用い、その測定筒に対して、温度25℃の冷却水を循環させた雰囲気下で、上記で得られたBCA溶液を、撹拌速度10rpmで5分間撹拌し、次いで、5分間静置した後、撹拌速度1rpmで撹拌しながら粘度(粘度(1rpm))を測定した。さらに、1分間静置した後、撹拌速度10rpmで撹拌しながら粘度(粘度(10rpm))を測定した。そして、粘度比率(1rpm/10rpm)を算出した。結果を表2に示す。
<樹脂シートの製造>
スプレーコーターを用い、上記で得られた樹脂組成物を剥離フィルム上に塗工し、115℃で60分乾燥させることにより、硬化反応を行うことなく、樹脂シート(試験用樹脂シート、厚さ3μm)を製造した。
さらに、樹脂組成物の塗工量を変更したこと以外は、上記と同様の方法で、樹脂シート(試験用樹脂シート、厚さ80μm)を製造した。
<樹脂シートの評価>
(MEKに対する接触角の測定、接触角比率(3秒/13秒)の算出)
固液体界面解析装置(製品名:DropMaster500 、協和界面科学社製)を用い、さらに、ポリテトラフルオロエチレンでコートされた注射針を備えた注射筒セット22Gを用いて、大気雰囲気下で、上記で得られた樹脂シート(厚さ3μm)の表面に、特級MEK(2.2μL)を着摘させ、22Gモードで、着摘後の時間が3秒及び13秒の段階での接触角を測定し、接触角比率(3秒/13秒)を算出した。結果を表2に示す。
3秒後から13秒後で接触角の値が変化するのはMEKが樹脂膜を溶解させているからである。また、MEKが3秒から13秒の間に少量揮発することも値の変化に多少影響を与えている。
(水に対する接触角の測定)
固液体界面解析装置(製品名:DropMaster500 、協和界面科学社製)を用い、さらに、ポリテトラフルオロエチレンでコートされた注射針を備えた注射筒セット22Gを用いて、上記で得られた樹脂シートの表面に、純水(2μL)を着摘させ、22Gモードで、着摘後の時間が3秒、8秒及び13秒の段階での接触角を測定した。結果を表3に示す。
(樹脂シートの均一性の評価)
上記で得られた厚さ3μmの樹脂シートを、デジタル厚み測定機及びデジタル顕微鏡を用いて観察することにより、厚さの均一性を確認した。結果を表2に示す。
また、上記で得られた厚さ80μmの樹脂シートを目視観察し、その色味と透明性を確認した。結果を表2に示す。
<樹脂組成物の製造及び評価、樹脂シートの製造及び評価>
[実施例2〜13]
樹脂組成物を得るための原料混合物の配合成分の種類及び配合量のいずれか一方又は両方、あるいは重合反応の時間を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、樹脂組成物を製造及び評価し、樹脂シートを製造及び評価した。結果を表2に示す。
表1中、「原料混合物の配合成分(質量部)」の欄の「−」との記載は、その成分が未配合であることを意味する。また、「溶媒」については、その配合量の記載を省略している。
実施例2〜13では、樹脂(a)+他の重合性成分=100質量部を基準にして、表1で示す配合量の樹脂(b)、重合開始剤(c)、及びRAFT剤を混合している。
なお、実施例10及び11では樹脂(a)+他の重合性成分=140質量部と示されているが、これを100質量部に換算して表1で示す配合量の樹脂(b)、重合開始剤(c)、及びRAFT剤を混合している。
また、実施例2〜13では、樹脂(a)+他の重合性成分=100質量部が原料混合物の15質量%になるように溶媒であるBCAを混合した。
Figure 2021161426
Figure 2021161426
Figure 2021161426
表1〜3に示すように、実施例1〜13においては、前記BCA溶液の粘度が0.08〜22.32Pa・sであり、樹脂組成物のBCAに対する溶解性が良好であった。
また、実施例1〜13においては、MEKでの接触角比率(3秒/13秒)が0.943〜2.028であった。
また、実施例1〜7、10〜13においては、厚さ3μmの樹脂シートは、その厚さの均一性が高く、厚さ80μmの樹脂シートは、無色透明度であった。実施例8〜9においては、厚さ3μmの樹脂シートは、その厚さが一部不均一であり、厚さ80μmの樹脂シートは、白濁していた。
このように、実施例1〜13の樹脂組成物は、溶媒への溶解性が良好であり、実施例1〜13の樹脂シートは、樹脂成分(II)がウレタン結合を有していることにより、良好な伸縮性を有していた。すなわち、これら樹脂シートは、伸縮性デバイス中の素体、配線又は電極を構成するのに好適なものであり、特に、配線又は電極を構成するのに好適なものであった。
また、実施例6〜7の樹脂シートは、さらに、適度な撥水性を有しているため、ウレタン結合の加水分解が抑制され、経時劣化の抑制効果が高いものであった。
本発明は、伸縮性デバイスとその製造に利用可能である。
1・・・積層体、10・・・樹脂シート、11・・・第1シート、12・・・第2シート、13・・・第3シート、14・・・第4シート、111・・・電極、121・・・銅めっき部材、131・・・電子部品

Claims (4)

  1. 樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物中の樹脂成分は、下記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基と、ウレタン結合と、を有し、
    前記樹脂組成物の濃度が15質量%である、前記樹脂組成物のブチルカルビトールアセテート溶液を、25℃に温度調節して、撹拌速度10rpmで撹拌しながら、前記溶液の粘度を測定したとき、前記粘度が0.07〜22.35Pa・sである、樹脂組成物。
    Figure 2021161426
    (式中、Zはアルキル基であり、前記アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよく、2個以上の前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。Zはアルキル基である。Zはアリール基である。Rは水素原子又はハロゲン原子である。符号*を付した結合は、前記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基の結合先との間で形成される。)
  2. 前記樹脂組成物が、重量平均分子量が61000〜250000の樹脂成分を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を、乾燥により固化させて得られた樹脂シートを備えた、積層体。
  4. 前記樹脂シート以外に、さらに、樹脂を含有する基材層を備えた、請求項3に記載の積層体。
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