JP2021161331A - 粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法 - Google Patents

粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021161331A
JP2021161331A JP2020066439A JP2020066439A JP2021161331A JP 2021161331 A JP2021161331 A JP 2021161331A JP 2020066439 A JP2020066439 A JP 2020066439A JP 2020066439 A JP2020066439 A JP 2020066439A JP 2021161331 A JP2021161331 A JP 2021161331A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
sensitive adhesive
tire
adhesive
peeling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020066439A
Other languages
English (en)
Inventor
大地 渡部
Daichi Watabe
篤 丹野
Atsushi Tanno
雅公 成瀬
Masakimi Naruse
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2020066439A priority Critical patent/JP2021161331A/ja
Publication of JP2021161331A publication Critical patent/JP2021161331A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】 タイヤ表面に貼り付けられた被粘着物を粘着剤と共に奇麗に剥がすことを可能にした粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法を提供する。【解決手段】 水とアルコールと炭化水素溶剤とを含む混合液である粘着剤剥離液20を用い、タイヤ表面10に粘着剤11を介して貼り付けられた被粘着物12を剥がすにあたって、粘着剤11を粘着剤剥離液20により膨潤させた後、被粘着物12をタイヤ表面10から剥がす。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ表面に粘着剤を介して貼り付けられた被粘着物を剥がすための粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法に関し、更に詳しくは、タイヤ表面に貼り付けられた被粘着物を粘着剤と共に奇麗に剥がすことを可能にした粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法に関する。
吸音材を備えた空気入りタイヤでは、タイヤ内面に粘着剤を介して吸音材が貼り付けられている(例えば、特許文献1,2参照)。このような吸音材を交換する場合や貼り直す場合、吸音材をタイヤ内面から引き剥がす必要がある。その際、粘着剤による粘着性を低下させるために、剥離液として工業用ガソリンやアルコールをそのまま使用すると、吸音材を構成するスポンジが脆化し、引き剥がし時に吸音材が破損し易くなる。その結果、タイヤ内面に破損した吸音材が残存し、吸音材を奇麗に剥がすことができない。
このようにタイヤ表面に粘着剤を介して貼り付けられた吸音材等の被粘着物を剥がすにあたって、特にタイヤ表面を構成するゴム層とそこに貼り付けられた被粘着物の剛性とが大きく異なる場合、両者を非破壊で奇麗に剥離させることが難しい。また、高分子層の剥離方法として、グリコールエーテル類又はケトン類の剥離剤を含む水性剥離液を用いた方法(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、このような剥離液はタイヤ表面に貼り付けられた被粘着物を剥がす上で必ずしも有効ではない。
特開2011−20479号公報 国際公開WO2015/76380号 特開2000−25040号公報
本発明の目的は、タイヤ表面に貼り付けられた被粘着物を粘着剤と共に奇麗に剥がすことを可能にした粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法を提供することにある。
上記目的を解決するための本発明の粘着剤剥離液は、タイヤ表面に粘着剤を介して貼り付けられた被粘着物を剥がすための粘着剤剥離液であって、水とアルコールと炭化水素溶剤とを含む混合液であることを特徴とするものである。
また、上記目的を解決するための本発明の粘着剤剥離方法は、上述の粘着剤剥離液を用いて、タイヤ表面に粘着剤を介して貼り付けられた被粘着物を剥がす粘着剤剥離方法であって、前記粘着剤を前記粘着剤剥離液により膨潤させた後、前記被粘着物を前記タイヤ表面から剥がすことを特徴とするものである。
本発明では、粘着剤剥離液は水とアルコールと炭化水素溶剤とを含む混合液であり、炭化水素溶剤は粘着剤を膨潤させ、水は混合液の揮発を抑えて引火を防ぐと共に樹脂発泡体からなる吸音材のような被粘着物の脆化を防ぎ、アルコールは水と炭化水素溶剤とを混和させる。これにより、3種類の液体が混ざって乳化することで、炭化水素溶剤が粘着剤に効率良く届き、その粘着剤を効果的に膨潤させることが可能になるので、タイヤ表面に貼り付けられた被粘着物を粘着剤と共に奇麗に剥がすことができる。また、混合液の成分は揮発性を有し、被粘着物を剥がした後でタイヤ表面に残留し難いため、タイヤ表面に吸音材等の被粘着物を貼り直す際の障害にはならない。
本発明において、アルコールは水及び炭化水素溶剤のいずれにも混和性を有することが好ましい。このようなアルコールを選択することにより、アルコールが界面活性剤として有効に機能し、粘着剤を剥がし易くなる。
混合液の総量に対して、アルコールの含有量は10重量%〜30重量%の範囲にあり、炭化水素溶剤の含有量は20重量%〜40重量%の範囲にあることが好ましい。アルコール及び炭化水素溶剤の含有量を上記範囲に設定することにより、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)による作業環境の悪化を防止し、VOCへの引火を防ぎ、吸音材等の被粘着物の脆化を抑制すると共に、炭化水素溶剤の分散性を改善し、粘着剤の膨潤を促進することができる。
炭化水素溶剤中には芳香族化合物又は脂環式化合物が20重量%〜100重量%の割合で含まれていることが好ましい。芳香族化合物又は脂環式化合物はミセルを形成し易いので、その含有量を上記範囲に設定することにより、炭化水素溶剤の分散性を改善し、粘着剤の膨潤を促進することができる。
攪拌後における混合液の光の透過率が30%以下であることが好ましい。攪拌後における混合液の光の透過率は乳化度合いの指標であり、この透過率が低いことにより、混合液が十分に乳化していることを意味する。そして、粘着剤剥離液を乳化させた状態で使用することにより、炭化水素溶剤を粘着剤に対して効率良く供給することが可能になり、剥離作業時間を短縮することができる。
攪拌後における混合液の光の透過率の測定方法は、例えば、以下の通りである。容器内に7割程度の容量となるように混合液を収容し、3枚羽スクリューを有する撹拌機を用いて、混合液を300rpmにて10分間攪拌する。攪拌された混合液を10分間放置した後、紫外可視分光光度計(島津製作所製UV−1280、10mm角型の石英セル)を用いて、攪拌された混合液の光の透過率を700nmの波長で測定する。
本発明の粘着剤剥離方法においては、上述した粘着剤剥離液を用いて、タイヤ表面に粘着剤を介して貼り付けられた被粘着物を剥がすにあたって、粘着剤を粘着剤剥離液により膨潤させた後、被粘着物をタイヤ表面から剥がす。これにより、タイヤ表面に貼り付けられた被粘着物を粘着剤と共に奇麗に剥がすことができる。
本発明の粘着剤剥離方法は、タイヤ表面を構成するゴム層の引張強さと被粘着物の引張強さとの倍率が2倍〜1000倍の範囲にある場合に好適である。このようにタイヤ表面を構成するゴム層とそこに貼り付けられた被粘着物との間の剛性差が大きい場合、例えば、樹脂発泡体からなる吸音材のような被粘着物を剥がす際に被粘着物に破損を生じ易いが、上述の粘着剤剥離液を用いて剥離作業を行うことにより、タイヤ表面を構成するゴム層とそこに貼り付けられた被粘着物の剛性とが大きく異なる場合でも、両者を非破壊で奇麗に剥離させることができる。
本発明において、タイヤ表面はタイヤ内表面であり、被粘着物は連続気泡を有する樹脂発泡体(吸音材)であることが好ましい。本発明の粘着剤剥離方法は、タイヤ内表面に粘着剤を介して貼り付けられた連続気泡を有する樹脂発泡体を剥離する場合に好適である。これにより、連続気泡を有する樹脂発泡体の交換や貼り直しを簡単に行うことができる。
本発明の粘着剤剥離方法において、粘着剤剥離液の使用される容積は樹脂発泡体の見掛けの体積に対して3%〜30%の範囲にあることが好ましい。これにより、樹脂発泡体の破損を抑制しながら、粘着剤を効果的に膨潤させ、剥離作業を短縮することができる。
また、被粘着物がタイヤ内表面に貼り付けられた樹脂発泡体である場合、粘着剤剥離液をタイヤ内に流し込み、タイヤを直立させた状態で回転させることが好ましい。このようにタイヤを直立させた状態で回転させることにより、粘着剤剥離液がタイヤ全周にわたって供給されるので、連続気泡を有する樹脂発泡体をタイヤ内表面から容易に剥離することができる。
本発明に係る粘着剤剥離方法が適用される空気入りタイヤを示す子午線断面図である。 本発明に係る粘着剤剥離方法が適用される空気入りタイヤを示す赤道線断面図である。
以下、本発明の構成について詳細に説明する。本発明の粘着剤剥離液は、タイヤ表面に粘着剤を介して貼り付けられた被粘着物を剥がすための粘着剤剥離液であって、水とアルコールと炭化水素溶剤とを含む混合液である。
このような粘着剤剥離液では、炭化水素溶剤が粘着剤を膨潤させる作用を有し、水が混合液の揮発を抑えて引火を防ぐと共に樹脂発泡体からなる吸音材のような被粘着物の脆化を防ぐ役割を果たし、アルコールが水と炭化水素溶剤とを混和させる役割を果たす。3種類の液体が混ざって乳化することで、炭化水素溶剤が粘着剤に効率良く届き、その粘着剤を効果的に膨潤させることが可能になるので、タイヤ表面に貼り付けられた被粘着物を粘着剤と共に奇麗に剥がすことができる。つまり、水とアルコールのみでは粘着剤が残ってしまい、炭化水素溶剤のみでは被粘着物が破損したり、炭化水素溶剤の揮発性に起因して引火したり、VOCによって作業環境が悪化するという懸念があるが、3種類の液体を混合することにより、これらのデメリットを解消することができる。また、混合液の成分は揮発性を有し、被粘着物を剥がした後でタイヤ表面に残留し難いため、タイヤ表面に吸音材等の被粘着物を貼り直す際の障害にはならないというメリットもある。
上記粘着剤剥離液において、水は、超純水、純水、蒸留水、精製水及び水道水のいずれであっても良い。また、アルコールは、特に限定されるものではないが、水及び炭化水素溶剤のいずれにも混和性を有するものであると良い。このようなアルコールは水と炭化水素溶剤の両方に溶解するため、界面活性剤として有効に機能し、粘着剤を剥がし易くなる。このようなアルコールとして、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、2ープロパノール、2-ブタノール等が挙げられる。なお、アルコールが水と炭化水素溶剤の両方に対して混和性を有していないと、粘着剤が剥離するまでの時間が増大する。
炭化水素溶剤は、炭素原子と水素原子とからなる化合物であり、常温常圧(25℃、1013hPa)で液体(沸点が25℃以上)であるものと定義される。炭化水素溶剤としては、トルエン、ベンゼン等の芳香族化合物、及び、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式化合物等が挙げられる。特に、炭化水素溶剤中には芳香族化合物又は脂環式化合物が20重量%〜100重量%の割合で含まれていると良い。鎖状炭化水素は水に分散し難いのに対して、芳香族化合物又は脂環式化合物のような環状化合物はミセルを形成し易いので、その含有量を上記範囲に設定することにより、炭化水素溶剤の分散性を改善し、粘着剤の膨潤を促進することができる。ここで、炭化水素溶剤中における芳香族化合物又は脂環式化合物の含有量が20重量%よりも少ないと、炭化水素溶剤の分散性が低下して、炭化水素溶剤が粘着剤に届き難くなるため処理時間が増加する。
上記粘着剤剥離液において、混合液の総量に対して、アルコールの含有量は10重量%〜30重量%の範囲にあり、炭化水素溶剤の含有量は20重量%〜40重量%の範囲にあると良い。これにより、VOCによる作業環境の悪化を防止し、VOCへの引火を防ぎ、吸音材等の被粘着物の脆化を抑制すると共に、炭化水素溶剤の分散性を改善し、粘着剤の膨潤を促進することができる。
ここで、混合液の総量に対するアルコールの含有量が10重量%未満であると、粘着剤の膨潤が弱くなり、粘着剤が残り易くなるため、剥離可能となるまでの時間が増加し、逆に30重量%超であると、タイヤ表面に貼り付けられた被粘着物へのダメージが大きくなると共に、溶剤の揮発量が多くなり、VOCによる作業環境の悪化や引火し易くなることが懸念される。特に、混合液の総量に対するアルコールの含有量は15重量%〜25重量%の範囲にあることが望ましく、それによって炭化水素溶剤の分散性が向上し、タイヤ表面に貼り付けられた被粘着物へのダメージを更に減らすことができる。
また、混合液の総量に対する炭化水素溶剤の含有量が20重量%未満であると、粘着剤の膨潤が弱くなり、粘着剤が残り易くなるため、剥離可能となるまでの時間が増加し、逆に40重量%超であると、タイヤ表面に貼り付けられた被粘着物へのダメージが大きくなると共に、溶剤の揮発量が多くなり、VOCによる作業環境の悪化や引火し易くなることが懸念される。特に、混合液の総量に対する炭化水素溶剤の含有量は25重量%〜35重量%の範囲にあることが望ましく、それによって炭化水素溶剤の分散性が向上し、タイヤ表面に貼り付けられた被粘着物へのダメージを更に減らすことができる。
なお、粘着剤剥離液は水とアルコールと炭化水素溶剤との3種類の液体を含むことが必要であるが、これら以外の成分を含むことも可能である。いずれにしても、混合液の総量に対して、水の含有量は30重量%〜70重量%の範囲にあることが望ましい。
上記粘着剤剥離液において、攪拌後における混合液の光の透過率は30%以下であると良い。このように攪拌後における混合液の光の透過率が30%以下となるような乳化特性を混合液に付与し、粘着剤剥離液を乳化させた状態で使用することにより、炭化水素溶剤を粘着剤に対して効率良く供給することが可能になり、剥離作業時間を短縮することができる。
ここで、攪拌後における混合液の光の透過率が30%超であると、乳化が不十分であるため、炭化水素溶剤を粘着剤に対して効率良く供給することができず、剥離作業時間が増加する。特に、攪拌後における混合液の光の透過率が20%以下であることが望ましい。
図1及び図2は本発明に係る粘着剤剥離方法が適用される空気入りタイヤを示すものである。図1において、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。また、カーカス層4の内側には、該カーカス層4に沿ってインナーライナー層9が配設されている。
上記空気入りタイヤにおいて、タイヤ表面(内表面)10のトレッド部1に対応する領域には、タイヤ周方向に沿って粘着剤11を介して帯状の被粘着物12が貼り付けられている。この被粘着物12は吸音材である。粘着剤11としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤が使用されている。被粘着物12は、連続気泡を有する樹脂発泡体12Aにより構成されている。連続気泡を有する樹脂発泡体12Aとしては、ポリウレタンフォーム等が挙げられる。
本発明の粘着剤剥離方法では、図1及び図2に示すように、タイヤ表面10に粘着剤11を介して貼り付けられた被粘着物12を剥がすにあたって、前述のように水とアルコールと炭化水素溶剤との混合液からなる粘着剤剥離液20をタイヤ内に流し込み、粘着剤剥離液20により粘着剤11を膨潤させた後、被粘着物12をタイヤ表面10から引き剥がす。これにより、タイヤ表面10に貼り付けられた被粘着物12を粘着剤11と共に奇麗に剥がすことができる。
上述した粘着剤剥離方法は、タイヤ表面10を構成するゴム層(例えば、インナーライナー層9)の引張強さと被粘着物12の引張強さとの倍率が2倍〜1000倍の範囲にある場合に好適である。このようにタイヤ表面10を構成するゴム層とそこに貼り付けられた被粘着物12との間の剛性差が大きい場合、被粘着物12を剥がす際に被粘着物12に破損を生じ易いが、上述の粘着剤剥離液20を用いて剥離作業を行うことにより、タイヤ表面10を構成するゴム層とそこに貼り付けられた被粘着物12の剛性とが大きく異なる場合でも、両者を非破壊で奇麗に剥離させることができる。
ここで、タイヤ表面10を構成するゴム層の引張強さと被粘着物12の引張強さとの倍率が2倍未満であると粘着剤11がタイヤ表面10に残り易くなり、逆に1000倍超であると被粘着物12に破損を生じ易くなる。特に、タイヤ表面10を構成するゴム層の引張強さと被粘着物12の引張強さとの倍率は10倍〜500倍の範囲にあることが望ましい。例えば、インナーライナー層9の引張強さの指数を100としたとき、被粘着物12に使用されるポリウレタンフォームの引張強さは1.2であり、その場合、タイヤ表面10を構成するゴム層の引張強さと被粘着物12の引張強さとの倍率は約83倍である。なお、インナーライナー層(ゴム)は「JIS−K6251(ダンベル状試験片)」に基づいて引張強さが定義され、ポリウレタンフォームは「JIS−K6400」に基づいて引張強さが定義される。
上述した粘着剤剥離方法は、タイヤ表面(内表面)10に粘着剤11を介して貼り付けられた連続気泡を有する樹脂発泡体12Aからなる被粘着物12(吸音材)を剥離する場合に好適である。これにより、連続気泡を有する樹脂発泡体12Aからなる被粘着物12の交換や貼り直しを簡単に行うことができる。特に、連続気泡を有する樹脂発泡体12Aの場合、粘着剤剥離液20が樹脂発泡体12Aを通って粘着剤11に到達し易いという特性を有している。このような特性に鑑みて、連続気泡を有する樹脂発泡体12Aの通気度は1cc/cm2・sec〜1000cc/cm2・secの範囲にあると良い。上記通気度を有する樹脂発泡体12Aを使用することで、粘着剤剥離液20が樹脂発泡体12Aを通って粘着剤11に届きやすくなり、剥離時間の短縮が可能となる。通気度は高いほど好ましいが、1000cc/cm2・sec超であると樹脂発泡体12Aの剛性低下により引き剥がし作業が困難になる。
上述した粘着剤剥離方法において、粘着剤剥離液20の使用される容積は被粘着物12を構成する樹脂発泡体12Aの見掛けの体積に対して3%〜30%の範囲にあることが好ましい。これにより、樹脂発泡体12Aの破損を抑制しながら、粘着剤11を効果的に膨潤させ、剥離作業を短縮することができる。
ここで、粘着剤剥離液20の容積が樹脂発泡体12Aの見掛けの体積に対して3%未満であると粘着剤11の界面に粘着剤剥離液20が必ずしも十分に流れ込まず、逆に30%超であると余分な粘着剤剥離液20により樹脂発泡体12Aが破損する恐れがある。また、剥離作業において、粘着剤剥離液20による浸漬時間は、1分〜60分、より好ましくは、2分〜30分とすることが好ましい。これにより、樹脂発泡体12Aの破損を抑制しながら、粘着剤11を効果的に膨潤させ、樹脂発泡体12Aを奇麗に剥がすことができる。ここで、粘着剤剥離液20による浸漬時間が短過ぎると粘着剤11が十分に膨潤せず、逆に長過ぎると樹脂発泡体12Aが脆化して破損する恐れがある。
また、被粘着物12が樹脂発泡体12Aである場合、図1及び図2に示すように、粘着剤剥離液20をタイヤ内に流し込み、タイヤを直立させた状態(即ち、タイヤ回転軸を水平にした状態)で矢印Rの方向に回転させると良い。このようにタイヤを直立させた状態で回転させることにより、粘着剤剥離液20がタイヤ全周にわたって供給されるので、連続気泡を有する樹脂発泡体12Aをタイヤ表面10から容易に剥離することができる。
上述した実施形態では、タイヤ内表面に粘着剤を介して吸音材が貼り付けられた空気入りタイヤについて説明したが、本発明に係る粘着剤剥離液及び粘着剤剥離方法は、タイヤ内表面又はタイヤ外表面に貼り付けられた各種の被粘着物を剥がす際に適用することができる。そのような被粘着物としては、吸音材の他に、センサ等の電子部品やラベル等の表示物が例示されるが、それらに限定されるものではない。
空気入りタイヤの内表面に粘着剤を介して貼り付けられたポリウレタンフォームからなる帯状の被粘着物(吸音材)を引き剥がすにあたって、使用する粘着剤剥離液を種々異ならせた(従来例及び実施例1〜10)。なお、タイヤ内表面を構成するゴム層の引張強さと被粘着物の引張強さとの倍率は100倍である。
従来例では、炭化水素溶剤(工業用ガソリン)のみで構成される粘着剤剥離液を使用した。実施例1〜10では、水とアルコール(エチルアルコール)と炭化水素溶剤(工業用ガソリン)とを含む混合液で構成された粘着剤剥離液を使用し、その配合を表1のように種々異ならせた。
従来例及び実施例1〜10の粘着剤剥離液を用いて、タイヤ内表面に粘着剤を介して貼り付けられた被粘着物を剥がすにあたって、以下の試験方法により、剥離度合い、必要な処理時間、被粘着物の破損状況について評価し、その結果を表1に示した。
剥離度合い:
タイヤ内表面と被粘着物との間の粘着剤に粘着剤剥離液を含侵させ、10分間放置した後、被粘着物を引き剥がし、引き剥がし前の粘着剤の面積に対するタイヤ内表面から引き剥がされた粘着剤の面積の比率(%)を算出した。つまり、剥離度合いが100%である場合は全ての粘着剤がタイヤ内表面から取り除かれたことを意味し、剥離度合いが90%である場合は10%の粘着剤がタイヤ内表面に残存したことを意味する。
必要な処理時間:
タイヤ内表面と被粘着物との間の粘着剤に粘着剤剥離液を含侵させ、被粘着物を引き剥がすことで、剥離が可能となるまでの時間を計測した。評価結果は従来例を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど処理時間が短いことを意味する。
被粘着物の破損状況:
タイヤ内表面と被粘着物との間の粘着剤に粘着剤剥離液を含侵させ、10分間放置した後、被粘着物を引き剥がした際の被粘着物の破損の有無を観察した。評価結果としては、被粘着物に全く破損がない場合を「○」で示し、被粘着物に亀裂が生じた場合を「△」で示し、被粘着物が破断した場合を「×」で示した。
Figure 2021161331
表1に示すように、実施例1〜10の粘着剤剥離液を用いた場合、従来例との対比において、タイヤ内表面に貼り付けられた被粘着物を(吸音材)粘着剤と共に奇麗に剥がすことができた。
次に、上述した実施例5の粘着剤剥離液を使用し、空気入りタイヤの内表面に粘着剤を介して貼り付けられたポリウレタンフォームからなる帯状の被粘着物(吸音材)を引き剥がすにあたって、ポリウレタンフォームの発泡倍率を変化させることで、被粘着物の引張強さに対するタイヤ内表面を構成するゴム層の引張強さとの倍率を種々異ならせた(実施例11〜16)。
実施例11〜16の粘着剤剥離方法において、上述の試験方法により、剥離度合い、被粘着物の破損状況について評価し、その結果を表2に示した。
Figure 2021161331
表2における実施例11〜16の評価結果から判るように、タイヤ表面を構成するゴム層の引張強さと被粘着物の引張強さとの倍率が2倍〜1000倍の範囲、より好ましくは、10倍〜500倍の範囲にある場合に特に良好な結果が得られた。
1 トレッド部
2 ビード部
3 サイドウォール部
9 インナーライナー層
10 タイヤ表面
11 粘着剤
12 被粘着物
12A 連続気泡を有する樹脂発泡体

Claims (10)

  1. タイヤ表面に粘着剤を介して貼り付けられた被粘着物を剥がすための粘着剤剥離液であって、水とアルコールと炭化水素溶剤とを含む混合液であることを特徴とする粘着剤剥離液。
  2. 前記アルコールが前記水及び前記炭化水素溶剤のいずれにも混和性を有することを特徴とする請求項1に記載の粘着剤剥離液。
  3. 前記混合液の総量に対して、前記アルコールの含有量が10重量%〜30重量%の範囲にあり、前記炭化水素溶剤の含有量が20重量%〜40重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着剤剥離液。
  4. 前記炭化水素溶剤中に芳香族化合物又は脂環式化合物が20重量%〜100重量%の割合で含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤剥離液。
  5. 攪拌後における前記混合液の光の透過率が30%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤剥離液。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤剥離液を用いて、タイヤ表面に粘着剤を介して貼り付けられた被粘着物を剥がす粘着剤剥離方法であって、前記粘着剤を前記粘着剤剥離液により膨潤させた後、前記被粘着物を前記タイヤ表面から剥がすことを特徴とする粘着剤剥離方法。
  7. 前記タイヤ表面を構成するゴム層の引張強さと前記被粘着物の引張強さとの倍率が2倍〜1000倍の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の粘着剤剥離方法。
  8. 前記タイヤ表面がタイヤ内表面であり、前記被粘着物が連続気泡を有する樹脂発泡体であることを特徴とする請求項6又は7に記載の粘着剤剥離方法。
  9. 前記粘着剤剥離液の使用される容積が前記樹脂発泡体の見掛けの体積に対して3%〜30%の範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の粘着剤剥離方法。
  10. 前記粘着剤剥離液をタイヤ内に流し込み、タイヤを直立させた状態で回転させることを特徴とする請求項8又は9に記載の粘着剤剥離方法。
JP2020066439A 2020-04-02 2020-04-02 粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法 Pending JP2021161331A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020066439A JP2021161331A (ja) 2020-04-02 2020-04-02 粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020066439A JP2021161331A (ja) 2020-04-02 2020-04-02 粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021161331A true JP2021161331A (ja) 2021-10-11

Family

ID=78002646

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020066439A Pending JP2021161331A (ja) 2020-04-02 2020-04-02 粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021161331A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024080125A1 (ja) * 2022-10-14 2024-04-18 日東電工株式会社 粘着剤処理液、粘着剤処理液を用いたリサイクル基材の製造方法、および、粘着剤処理液を用いたリサイクルポリマー組成物の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024080125A1 (ja) * 2022-10-14 2024-04-18 日東電工株式会社 粘着剤処理液、粘着剤処理液を用いたリサイクル基材の製造方法、および、粘着剤処理液を用いたリサイクルポリマー組成物の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5946860B2 (ja) 自己密封性能を持つタイヤ用カラーシーラント組成物
JP3372311B2 (ja) ラジアルプライ空気入りタイヤ
JP4520936B2 (ja) 制音具付空気入りタイヤ
JP2016056365A (ja) 後硬化シーラント層を有する空気入りタイヤ
JP2021161331A (ja) 粘着剤剥離液及びそれを用いた粘着剤剥離方法
LU82250A1 (fr) Pneumatique capable d'obturer ses perforations
FR2949998A1 (fr) Bandage pneumatique avec couche auto-obturante integree
FR2948321A1 (fr) Bandage pneumatique avec couche auto-obturante integree.
WO2003027204A1 (fr) Composition caoutchouteuse de pate occlusive anti-crevaison, pneu garni d'une telle couche, et procede de production
EP1150819B1 (en) Anti-tack bladder, anti-tack rubber and method for making and using same
JPS60212445A (ja) 空気保持性内張りを有する空気入りタイヤ
JPS58112808A (ja) 空気入りタイヤ
JP2005219565A (ja) 空気入りタイヤ
US6397910B1 (en) Retreaded tire having tread with oil rich rubber-based adhesive
JP2009035681A (ja) ゴムセメント組成物
US10519301B2 (en) Method of recycling rubber
JP7192865B2 (ja) 空気入りタイヤ及びその製造方法
JPH079807A (ja) 空気入りタイヤ及びその製造法
JP2003183623A (ja) パンク防止シーラント用ゴム組成物ならびに粘着シーラント層を備えた空気入りタイヤおよびその製造方法
EP0643117A1 (en) Rubber based adhesive composite and tire with tread prepared therewith
JP2006241346A (ja) タイヤトレッドスプライス用セメント
WO2004067299A1 (ja) 空気入りタイヤ
US20230234309A1 (en) Repair patch for an elastomer component with an improved connection layer
JP6844888B2 (ja) 空気入りタイヤ
CA1219696A (en) Water-based non-flammable cement for new and retread tires

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240521

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240625