JP2021158960A - 多能性幹細胞から外胚葉系細胞を分化誘導する方法及び製造方法 - Google Patents

多能性幹細胞から外胚葉系細胞を分化誘導する方法及び製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021158960A
JP2021158960A JP2020062907A JP2020062907A JP2021158960A JP 2021158960 A JP2021158960 A JP 2021158960A JP 2020062907 A JP2020062907 A JP 2020062907A JP 2020062907 A JP2020062907 A JP 2020062907A JP 2021158960 A JP2021158960 A JP 2021158960A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
cells
differentiation
pluripotent stem
inducing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020062907A
Other languages
English (en)
Inventor
純平 門田
Jumpei Kadota
裕 今泉
Yutaka Imaizumi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2020062907A priority Critical patent/JP2021158960A/ja
Publication of JP2021158960A publication Critical patent/JP2021158960A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】多能性幹細胞から外胚葉細胞への分化誘導効率に優れ、培養操作性に優れる外胚葉細胞への分化誘導方法及び製造方法を提供する。【解決手段】(1)細胞接着性及び細胞増殖性を有する領域と有しない領域を有する細胞培養基材上に、マトリゲル、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン及びコラーゲンからなる群より選択される単一又は複数の物質の被覆、及び多能性幹細胞1の播種を行う工程。(2)播種された多能性幹細胞を未分化性維持培地の存在下、フィーダーフリーで接着培養し、細胞培養基材上に接着した多能性幹細胞凝集体2を形成する工程。(3)形成された多能性幹細胞凝集体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、胚葉体3を形成する工程。(4)形成された胚葉体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、外胚葉系細胞凝集体4を形成する工程。【選択図】図1

Description

本発明は、分化誘導効率及び培養操作性に優れる、多能性幹細胞から外胚葉系細胞への分化誘導方法及び製造方法に関する。
筋委縮性側索硬化症(ALS)等の神経変性疾患に対して、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から分化誘導した神経細胞を用いた創薬への関心が高まっている。疾患患者由来iPS細胞を活用することによって、従来困難であった疾患メカニズムの解明、創薬研究及び再生医療の発展が期待される。一般的に神経細胞への分化誘導においては、胚葉体と呼ばれる多能性幹細胞凝集体の形成工程、ニューロスフェアと呼ばれる神経幹細胞凝集体の形成工程をたどって各末梢神経細胞へ分化誘導される。また、目的細胞への分化誘導過程における胚葉体の状態は、分化経路等の細胞運命に大きく寄与することが知られており、均質な胚葉体をいかに効率良く作製できるかが課題となっている。
従来の方法では、Hanging drop培養(例えば、特許文献1)やNon−adhesive surface培養(例えば、特許文献2)等の浮遊培養法によって胚葉体及びニューロスフェアを作製していた(例えば、特許文献3)。しかしながら、前記培養方法では形成される凝集体サイズが不均一であるため、個体間で分化誘導効率に差異を生じやすいという問題があった。
また、サイズの異なる細胞凝集体が三次元的に配置されるため、局所的に栄養不足になる恐れもある。浮遊培養法を利用した他の方法としては、表面に微細凹凸構造を有する細胞非接着性の基材上に細胞播種し、細胞を沈降させることで凹凸サイズに応じた細胞凝集体の形成を利用するものがある(例えば、特許文献4)。しかし、特許文献4の方法では、細胞凝集体が基材表面に固定化されていないことから、培地交換の際に細胞凝集体の一部が培地と供に除去されてしまう等、培養操作に習熟が必要であるという課題があった。また基材の性質上、培地の全量交換が困難であるため分化誘導因子等の栄養不足が起こりやすく、分化誘導効率に劣ることが懸念される。
国際公開2008/001938号 国際公開2017/123791号 特開2002−291469号公報 国際公開2018/123663号
本発明の目的は、分化誘導効率及び培養操作性に優れる、多能性幹細胞から外胚葉系細胞への分化誘導方法及び製造方法を提供することにある。
本発明者らは、島状に形成された細胞接着領域を有する細胞培養基材に多能性幹細胞を播種することで細胞培養基材上に接着した胚葉体を形成し、接着状態の胚葉体を分化誘導することで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、多能性幹細胞から外胚葉系細胞を分化誘導する方法及び外胚葉系細胞の製造方法であり、以下の(1)〜(4)工程を含む。
<1>多能性幹細胞から外胚葉系細胞を分化誘導する方法であり、以下の(1)〜(4)工程を含むことを特徴とする、分化誘導方法。
(1)下記(A)及び(B)の2つの領域を有する細胞培養基材上に、マトリゲル、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン及びコラーゲンからなる群より選択される単一又は複数の物質の被覆、及び多能性幹細胞の播種を行う工程。
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001〜5mmの島状の領域。
(B)前記(A)領域に隣接し、細胞接着性又は細胞増殖性を有しない領域。
(2)前記(1)工程で播種された多能性幹細胞を未分化性維持培地の存在下、フィーダーフリーで接着培養し、細胞培養基材上に接着した多能性幹細胞凝集体を形成する工程。
(3)前記(2)工程で形成された多能性幹細胞凝集体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、胚葉体を形成する工程。
(4)前記(3)工程で形成された胚葉体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、外胚葉系細胞凝集体を形成する工程。
<2> 前記細胞培養基材が親水性高分子による層を表面に含有し、(A)領域がプラズマ処理、紫外線処理、コロナ放電処理のいずれか、またはこれらの組み合わせによって前記親水性高分子による層の一部を分解又は改質した領域であることを特徴とする、<1>に記載の分化誘導方法。
<3>前記(3)工程における分化誘導因子が、外胚葉誘導因子、中胚葉誘導因子及び内胚葉誘導因子を含有することを特徴とする、<1>または<2>に記載の分化誘導方法。
<4>前記(4)工程で形成された外胚葉系細胞凝集体が、PAX6及びSOX1を有していることを特徴とする、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の分化誘導方法。
<5>外胚葉系細胞が、神経幹細胞又は神経細胞であることを特徴とする、<1>〜<4>のいずれか一項に記載の分化誘導方法。
<6>外胚葉系細胞が、運動神経細胞であることを特徴とする、<1>〜<5>のいずれか一項に記載の分化誘導方法。
<7>多能性幹細胞から外胚葉系細胞に分化誘導された細胞の製造方法であり、以下の(1)〜(4)工程を含むことを特徴とする、細胞の製造方法。
(1)下記(A)及び(B)の2つの領域を有する細胞培養基材上に、マトリゲル、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン及びコラーゲンからなる群より選択される単一又は複数の物質の被覆、及び多能性幹細胞の播種を行う工程。
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001〜5mmの島状の領域。
(B)前記(A)領域に隣接し、細胞接着性又は細胞増殖性を有しない領域。
(2)前記(1)工程で播種された多能性幹細胞を未分化性維持培地の存在下、フィーダーフリーで接着培養し、細胞培養基材上に接着した多能性幹細胞凝集体を形成する工程。
(3)前記(2)工程で形成された多能性幹細胞凝集体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、胚葉体を形成する工程。
(4)前記(3)工程で形成された胚葉体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、外胚葉系細胞凝集体を形成する工程。
本発明によって、分化誘導効率及び培養操作性に優れる、多能性幹細胞から外胚葉系細胞への分化誘導方法を提供することができる。前述の(A)、及び(B)領域を有する細胞培養基材上に固定した培養系で分化誘導される胚葉体は、任意の形状(胚葉体の直径、胚葉体のアスペクト比)を維持でき、また分化誘導因子の濃度勾配の影響も低いため、各細胞の分化進行を同期させることができる。また、細胞凝集体がフィーダーフリー、及び細胞培養基材に固定した培養系で分化誘導することで、夾雑物の混入を低減することができる。
本発明の分化誘導方法の模式図。 細胞培養基材断面の模式図。 実施例1における細胞培養基材上の胚葉体の位相差顕微鏡写真。 実施例1における胚葉体の直径とアスペクト比の経時的変化を示すグラフ。 実施例1及び比較例1における胚葉体外縁部の仮足伸展の様子を示す位相差顕微鏡写真。 比較例2〜4における胚葉体の位相差顕微鏡写真。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本明細書において、「多能性幹細胞」とは、様々な細胞へと分化することが可能な特性(未分化性又は分化多能性)を有する細胞を示す。また、本明細書において「外胚葉系細胞」とは、初期胚が形成する外胚葉に含まれる細胞(外胚葉細胞)又は、外胚葉に由来する組織に含まれる細胞(神経幹細胞や神経細胞を含む)の総称を示す。
さらに、「神経幹細胞」とは、神経外胚葉への分化誘導が進行し、グリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイト)、中枢神経(ドーパミン神経、GABA神経)、末梢神経(運動神経、感覚神経)への分化誘導が可能な状態の細胞を示す。また、本明細書において、「未分化性維持」とは、培養した細胞が分化多能性を有する状態を示す。未分化性維持の評価方法として特に限定はされないが、例えば、アルカリホスファターゼ染色による細胞表面マーカーの解析、免疫染色及びフローサイトメトリーによる細胞表面/細胞核内マーカーの解析、リアルタイムRT−PCRによる遺伝子発現量の解析、多能性幹細胞が形成する特有の構造体である胚葉体形成の確認、In vivoにおける三胚葉分化を病理切片より判断するテラトーマアッセイ等が挙げられる。
また、本明細書において、「分化」とは、多能性幹細胞の分化誘導経路において、多能性幹細胞よりも下流に位置する細胞種特有の膜タンパク質、転写因子等の発現が確認される状態を示す。さらに、「分化誘導」とは、特定のタンパク質又は遺伝子、天然物、合成化学物質等の存在下で細胞を培養することにより、細胞の分化を進行させることを示す。
また、本明細書において、「細胞凝集体」とは、複数の細胞が凝集して形成される三次元構造体を示す。さらに、「胚葉体」とは、胚発生の初期に見られる球状の細胞凝集塊であり、初期胚と同様に外胚葉、中胚葉及び内胚葉の性質を示す。
また、本明細書において、「マーカー」とは、特定の細胞に特有のタンパク質又は遺伝子を示す。多能性幹細胞が有するマーカーを「未分化マーカー」、外胚葉細胞が有するマーカーを「外胚葉マーカー」、中胚葉細胞が有するマーカーを「中胚葉マーカー」、内胚葉細胞が有するマーカーを「内胚葉マーカー」、神経幹細胞が有するマーカーを「神経幹細胞マーカー」、神経細胞が有するマーカーを「神経細胞マーカー」とそれぞれ表記する。多能性幹細胞は外胚葉マーカー、中胚葉マーカー及び内胚葉マーカーを有しない。また、胚葉体は外胚葉マーカー、中胚葉マーカー及び内胚葉マーカーを有する。
また、本明細書において、「細胞接着性」とは、培養温度における細胞培養基材への接着しやすさを示し、「細胞接着性を有する」とは、細胞が培養温度において細胞培養基材に接着可能であることを示す。また、「細胞接着性を有しない」とは、培養温度において細胞が細胞培養基材に接着できないことを示す。
また、本明細書において、「細胞増殖性」とは、培養温度における細胞の増殖しやすさを示し、「細胞増殖性を有する」とは、細胞が培養温度において増殖可能であることを示す。また、「細胞増殖性を有しない」とは、培養温度において細胞が増殖できないことを示す。
本発明の分化誘導方法は、以下2つの領域を有する細胞培養基材を用いる。
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001〜5mmの島状の領域。
(B)前記(A)領域に隣接し、細胞接着性を有しない領域。
細胞培養基材として前記(A)領域を有する細胞培養基材を用いることで、後述する(1)工程において多能性幹細胞を細胞培養基材上で接着培養することができ、また、後述する(2)工程において細胞培養基材に接着した胚葉体を形成することができる。前記(A)領域を有しない場合、多能性幹細胞を細胞培養基材上で接着培養することができず、細胞培養基材に接着した胚葉体を形成することができない。また、細胞培養基材として前記(B)領域を有する細胞培養基材を用いることで、前期(A)領域のみで多能性幹細胞を増殖させることができ、均一サイズの胚葉体を形成することができる。均一サイズの胚葉体を形成することで、分化誘導効率を高めることができる。前記(B)領域を有しない場合、均一サイズの胚葉体を形成することができない。
前記(A)領域の面積としては、外胚葉系細胞への分化誘導に適したサイズの胚葉体を形成するのに好適のため、面積0.005〜3mmがさらに好ましく、面積0.01〜1.0mmが特に好ましく、面積0.03〜0.8mmが最も好ましい。
前記(A)領域の形状としては特に限定はないが、分化誘導効率を高めるのに好適のため、円又は楕円、正多角形が好ましく、円がさらに好ましい。
本発明の分化誘導方法で用いる細胞培養基材は、均一サイズの胚葉体を形成し、分化誘導効率を高めるのに好適のため、親水性高分子による層を表面に含有し、(A)領域がプラズマ処理、紫外線処理、コロナ放電処理のいずれか、またはこれらの組み合わせによって前記親水性高分子による層の一部を分解又は改質した領域であることが好ましい。細胞培養基材が親水性高分子による層を表面に有することにより、(B)領域における基材−細胞間接着に寄与するタンパク質の吸着を抑制し、細胞接着性又は細胞増殖性を有しない領域とすることができる。
また、親水性高分子による層の一部が分解又は改質されていることで、(A)領域に細胞接着性又は細胞増殖性を付与することができる。また、前記(A)領域の細胞接着性及び細胞増殖性を高め、短時間で胚葉体を形成するのに好適のため、(A)領域がプラズマ処理領域であることがさらに好ましい。
前記親水性高分子による層の層厚は、(B)領域を細胞接着性又は細胞増殖性を有しない領域とするのに好適のため、10nm以上が好ましく、50nm以上がさらに好ましく、100nm以上が特に好ましく、500nm以上が最も好ましい。また、(A)領域を細胞接着性及び細胞増殖性を有する領域とするのに好適のため、層厚1000nm以下が好ましく、500nm以下がさらに好ましく、100nm以下が特に好ましく、50nm以下が最も好ましい。
前記親水性高分子による層の形成方法としては、化学的な結合を形成させる方法、及び物理的な相互作用による方法の内、少なくとも一つを用いて行うことができる。化学的な結合を形成させる方法としては、紫外線照射、電子線照射、ガンマ線照射、プラズマ処理、コロナ処理等の反応性官能基を形成させる手法が挙げられる。また、イオンやラジカルを反応源とした有機反応による基材表面への架橋反応も可能である。物理的な相互作用による方法としては、対象とする親水性高分子との相溶性に優れたマトリクスを塗材とした、塗布、はけ塗り、ディップコーティング、スピンコーティング、バーコーディング、流し塗り、スプレー塗装、ロール塗装、エアーナイフコーティング、ブレードコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、スロットダイコーティング等の手法を用いることが可能である。
前記親水性高分子の種類としては特に限定はないが、ヒドロキシ基、アミノ基、ポリエチレングリコール基等の極性基を有するもの、ベタイン構造、ホスホリルコリン基等の両性イオン構造を有するものが挙げられる。(B)領域を細胞接着性及び細胞増殖性を有しない領域とするのに好適のため、ヒドロキシ基、ホスホリルコリン基、又はポリエチレングリコール基が好ましく、ヒドロキシ基又はホスホリルコリン基がさらに好ましく、ホスホリルコリン基が特に好ましい。
前記親水性高分子は、細胞培養基材から親水性高分子が溶出するのを抑制し、細胞凝集体や胚葉体に高分子が混入することによる品質への影響を抑制するのに好適であることから、親水性の単量体単位と疎水性の単量体単位の両方を有するランダム共重合体又はブロック共重合体であることが好ましく、親水性の単量体単位と疎水性の単量体単位の両方を有するランダム共重合体であることがさらに好ましい。また、前記共重合体の組成比としては、(B)領域を細胞接着性及び細胞増殖性を有しない領域とするのに好適のため、親水性の単量体単位が30wt%以上であることが好ましく、40wt%以上がさらに好ましく、50wt%以上が特に好ましく、60wt%以上が最も好ましい。さらに、親水性高分子が溶出するのを抑制するのに好適のため、疎水性の単量体単位が20wt%以上であることが好ましく、30wt%以上がさらに好ましく、40wt%以上が特に好ましく、50wt%以上が最も好ましい。
前記親水性の単量体単位としては、親水性であること以外に特に限定はないが、例えば、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド等のアミノ基を有するもの;N−(3−スルホプロピル)−N−メタクロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N、N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン等のベタインを有するもの;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、3−ブトキシエチルアクリレート、3−ブトキシエチルメタクリレート、3−ブトキシエチルアクリルアミド、フルフリルアクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等のポリエチレングリコール基、メトキシエチル基を有するもの;メトキシメチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、2−エトキシメチルアクリレート、2−エトキシメチルメタクリレート、3−ブトキシメチルアクリレート、3−ブトキシメチルメタクリレート、3−ブトキシメチルアクリルアミド等のアクリレート基を有するもの;2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルホスホリルコリン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルホスホリルコリン、ω−(メタ)アクリロイル(ポリ)オキシエチレンホスホリルコリン、2−アクリルアミドエチルホスホリルコリン、3−アクリルアミドプロピルホスホリルコリン、4−アクリルアミドブチルホスホリルコリン、6−アクリルアミドヘキシルホスホリルコリン、10−アクリルアミドデシルホスホリルコリン、ω−(メタ)アクリルアミド(ポリ)オキシエチレンホスホリルコリン等のホスホリルコリン基を有するものを挙げることができる。
前記疎水性の単量体単位としては、疎水性であること以外に特に限定はないが、例えば、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−テトラデシルアクリレート、n−テトラデシルメタクリレート等を挙げることができる。
前記親水性高分子はまた、親水性高分子の溶出を抑制するのに好適であることから、反応性を有する単量体単位を含んでいることが好ましい。反応性を有する単量体単位としては、短時間の処理で親水性高分子を基材に固定化することが可能であることからUV反応性を有する単量体単位が好ましく、例えば、4−アジドフェニルアクリレート、4−アジドフェニルメタクリレート、2−((4−アジドベンゾイル)オキシ)エチルアクリレート、2−((4−アジドベンゾイル)オキシ)エチルメタクリレート等を挙げることができる。
前記親水性高分子はまた、温度応答性の単量体単位を含んでいてもよく、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物;N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド等のN−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のN,N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体;1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−プロペニル)−モルホリン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)− ピペリジン、4−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−モルホリン等の環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル;N−プロリンメチルエステルアクリルアミド等のプロリン誘導体を挙げることができる。
また、本発明の分化誘導方法で用いる細胞培養基材の別の作製方法としては、フォトリソグラフィー法やインクジェット法により、細胞培養基材上の一部の領域に細胞接着性を促進又は阻害する物質を基材に被覆する方法、細胞培養基材の表面にプラズマ処理、紫外線処理、コロナ放電処理のいずれか、またはこれらの組み合わせによる処理を施した後に、温度応答性高分子を被覆する方法等を挙げることができる。
また、本発明の分化誘導方法で用いる細胞培養基材は、滅菌を施してあってもよい。滅菌の方法に特に限定はないが、高圧蒸気滅菌、UV滅菌、γ線滅菌、エチレンオキシドガス滅菌等を用いることができる。ブロック共重合体の変性を抑制するのに好適であることから、高圧蒸気滅菌、UV滅菌、エチレンオキシドガス滅菌が好ましく、基材の変形を抑制するために好適であることからUV滅菌又はエチレンオキシドガス滅菌がさらに好ましく、細胞培養基材の量産性に優れることからエチレンオキシドガス滅菌が特に好ましい。
本発明において、細胞培養基材の作製に用いられる基材は特に限定されないが、通常用いられるガラス、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンメタクリレート等の高分子化合物、セラミックス、及び金属類を用いることができる。透明性に優れ、また成型加工及び表面改質が容易であることからポリスチレンが最も好ましい。
本発明の分化誘導方法及び製造方法は、下記(1)〜(4)工程を経て分化誘導を行うことを特徴とする。
(1)細胞培養基材上に、マトリゲル、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン及びコラーゲンからなる群より選択される単一又は複数の物質の被覆、及び、多能性幹細胞の播種を行う工程。
(2)前記(1)工程で播種された多能性幹細胞を未分化性維持培地の存在下、フィーダーフリーで接着培養し、細胞培養基材上に接着した多能性幹細胞凝集体を形成する工程。
(3)前記(2)工程で形成された多能性幹細胞凝集体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、胚葉体を形成する工程。
(4)前記(3)工程で形成された胚葉体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、外胚葉系細胞凝集体を形成する工程。
本発明の分化誘導方法における(1)工程は、前記細胞培養基材上にマトリゲル、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン及びコラーゲンからなる群より選択される単一又は複数の物質を被覆し、多能性幹細胞の播種を行う工程である。
前記マトリゲル、ラミニン、ビトロネクチン、フィブロネクチン及びコラーゲンからなる群より選択される単一又は複数の物質を被覆することにより、(A)領域に細胞接着性及び細胞増殖性を付与することができる。マトリゲル、ラミニン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、コラーゲンのいずれも被覆しない場合、細胞接着性及び細胞増殖性を付与することができない。細胞接着性及び細胞増殖性を付与するのに好適であることから、少なくともラミニンを含む4種類の組み合わせであることがさらに好ましく、ラミニンとマトリゲル、ラミニンとフィブロネクチン、又はラミニンとコラーゲンのいずれかの組み合わせであることが特に好ましく、ラミニン単独であることが最も好ましい。
前記マトリゲル、ラミニン、ビトロネクチン、フィブロネクチン及びコラーゲンは、天然物であってもよく、遺伝子組み換え技術等で人工的に合成したものであってもよく、制限酵素等で切断した断片や、これら生体由来物質をベースとした合成タンパク質あるいは合成ペプチドであっても良い。
本発明において、前記マトリゲルとしては、入手容易性から、市販品としては例えば、Matrigel(Corning Incorporated製)やGeltrex(Gibco製)を好適に用いることができる。
前記ラミニンの種類は特に限定されるものではないが、例えば、ヒトiPS細胞の表面に発現しているα6β1インテグリンに対して高活性を示すことが報告されているラミニン511、ラミニン521又はラミニン511−E8フラグメントを用いることができる。前記ラミニンは、天然物であってもよく、遺伝子組み換え技術等で人工的に合成したものであってもよく、また、前記ラミニンをベースとした合成タンパク質あるいは合成ペプチドであっても良い。入手容易性から、市販品としては例えば、iMatrix−511((株)ニッピ製)を好適に用いることができる。
前記ビトロネクチンは、天然物であってもよく、遺伝子組み換え技術等で人工的に合成したものであってもよく、また、前記ビトロネクチンをベースとした合成タンパク質あるいは合成ペプチドであっても良い。入手容易性から、市販品としては例えば、ビトロネクチン,ヒト血漿由来(和光純薬工業(株)製)やsynthemax(Corning Incorporated製)、Vitronectin(VTN−N)(Gibco製)を好適に用いることができる。
前記フィブロネクチンは、天然物であってもよく、遺伝子組み換え技術等で人工的に合成したものであってもよく、また、前記フィブロネクチンをベースとした合成タンパク質あるいは合成ペプチドであっても良い。入手容易性から、市販品としては例えば、フィブロネクチン溶液、ヒト血漿由来(和光純薬工業(株)製)やRetronectin(タカラバイオ(株)製)を好適に用いることができる。
前記コラーゲンの種類は特に限定されるものではないが、例えば、typeIコラーゲンやtypeIVコラーゲンを用いることができる。前記コラーゲンは、天然物であってもよく、遺伝子組み換え技術等で人工的に合成したものであってもよく、また、前記コラーゲンをベースとした合成ペプチドであっても良い。入手容易性から、市販品としては例えば、コラーゲンI,ヒト(Corning Incorporated製)やコラーゲンIV,ヒト(Corning Incorporated製)を好適に用いることができる。
前記(1)工程における細胞の種類としては、ES細胞、iPS細胞等の分化多能性を有する幹細胞から適宜選択することができるが、再生医療や創薬へ本発明の分化誘導方法を適用するのに好適のため、iPS細胞が好ましい。前記(1)工程における細胞播種方法は特に限定されないが、細胞を単分散させた細胞懸濁液を細胞培養基材に添加する、または細胞凝集体を細胞培養基材に添加する方法が挙げられ、前記(A)領域に均一に細胞凝集体が形成するため、単分散させて播種することが好ましい。ヒト由来iPS細胞を単分散させて培養する場合、低細胞密度によるアポトーシスを抑制するために、Rho結合キナーゼ(ROCK)阻害剤を播種時に添加することが好ましい。ROCK阻害剤としては、例えば(R)−(+)−trans−N−(4−pyridyl)−4−(1−aminoethyl)−cyclohexanecarboxamide・2HCl・H2O(富士フィルム和光純薬(株)製、商品名:Y−27632)等を用いることができる。培地に添加されるROCK阻害剤の濃度としては、ヒトの細胞の生存維持に有効な範囲であってヒトの細胞の未分化状態に影響を与えない範囲であり、好ましくは1μM〜50μMであり、より好ましくは3μM〜20μMであり、さらに好ましくは5μM〜15μMであり、最も好ましくは8μM〜12μMである。また、ROCK阻害剤は細胞播種して24時間後に、ROCK阻害剤を含有しない培地に交換する等の方法により、取り除くことが好ましい。
細胞の回収方法は特に限定されないが、例えば、トリプシンやコラゲナーゼ等の酵素処理やエチレンジアミン酢酸(EDTA)によるキレート処理、スクレーパ等の物理処理を単体、または組み合わせて用いることができる。酵素処理を用いる場合、動物由来成分フリーであることが好ましい。入手容易性の観点から、市販品としてTrypLE Select(Gibco製)やTrypLE Express(Gibco)、Accutase(ナカライテスク製)、Accumax(ナカライテスク製)を好適に用いることができる。
前記(1)工程における細胞播種密度としては、短時間で均一な細胞凝集体を形成するのに好適のため、1.0×10cells/cm以上が好ましく、1.2×10cells/cm以上がさらに好ましく、2.0×10cells/cm以上が特に好ましく、3.0×10cells/cm以上が最も好ましい。また、培地の栄養不足による細胞死を抑制するのに好適のため、1.0×10cells/cm以下が好ましく、5.0×10cells/cm以下がさらに好ましく、2.5×10cells/cm以下が特に好ましく、5.0×10cells/cm以下が最も好ましい。
本発明の分化誘導方法における(2)工程は、前記(1)工程で播種された多能性幹細胞を未分化性維持培地の存在下、フィーダーフリーで接着培養し、細胞培養基材上に接着した多能性幹細胞凝集体を形成する。本発明において「フィーダーフリー」とは、ガンマ線照射等で不活化した細胞(フィーダー細胞)を用いることなく、多能性幹細胞を細胞培養基材上に直接播種して培養する手法を示す。前記(1)工程で播種された多能性幹細胞を未分化性維持培地の存在下、フィーダーフリーで接着培養することで、多能性幹細胞が(A)領域内で増殖し、基材面外方向に重層化した細胞凝集体を形成することができる。 未分化性維持培地を用いない場合、細胞凝集体が分化多能性を失い、外胚葉系細胞への分化誘導効率が低下する。また、フィーダーフリーで培養することにより、培養中の培地の栄養を保ちやすく、細胞生存率や未分化維持を高めることができる。また、接着培養であることにより、浮遊培養と比較して培地交換作業が容易であるため培養作業性に優れ、全量培地交換が可能であることから、細胞から排出される老廃物の濃度を低い状態に保つことができる。また、培養系中での濃度勾配の影響も低いため分化誘導効率に優れる。
前記未分化性維持培地としては、多能性幹細胞の未分化性維持に働く因子として、例えば塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、インスリン様増殖因子(IGF)、アクチビンA、Wnt、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、2−メルカプトエタノール、セレン酸、オレイン酸、炭酸水素ナトリウムが挙げられ、これらの内少なくとも一つを含有していることが好ましく、高い未分化性維持に働くbFGFを含むことが最も好ましい。培地の種類は特に限定されないが、例えばDMEM、Ham’s F12、D−MEM/Ham’s F12等の基礎培地に前記未分化性維持に働く因子及び非必須アミノ酸等の培養サプリメントを添加した培養培地、Primate ES Cell Medium((株)REPROCELL製)、StemFit AK02N(味の素(株)製)、StemFit AK03(味の素(株)製)、mTeSR1(STEMCELL TECHNOLOGIES製)、TeSR−E8(STEMCELL TECHNOLOGIES製)、ReproNaive((株)REPROCELL製)、ReproXF((株)REPROCELL製)、ReproFF((株)REPROCELL製)、ReproFF2((株)REPROCELL製)、NutriStem(バイオロジカルインタストリーズ社製)、iSTEM(タカラバイオ(株)製)、GS2−M(タカラバイオ(株)製)、hPSC Growth Medium DXF(PromoCell(株)製)等の市販の未分化維持性培地が挙げられる。細胞の未分化状態を安定的に維持するのに好適であることから、Primate ES Cell Medium、StemFit AK02N、StemFit AK03が好ましく、StemFit AK02N、StemFit AK03がさらに好ましく、StemFit AK02N(味の素(株)製)が最も好ましい。また、一般的に細胞培養培地に用いられる血清には分化誘導因子も含有されていることから、多能性幹細胞の未分化維持性培地は無血清培地であることが好ましい。
また、前記(2)工程において、多能性幹細胞の生存率を高めるために前記(1)工程と同様のROCK阻害剤を添加してもよい。好適なROCK阻害剤の種類や濃度は前述と同様である。
また、前記(2)工程においては、後述する(3)〜(4)工程における分化誘導効率を高めるのに好適のため、(A)領域の単位面積当たりの細胞数が1.0×10cells/cm以上となるまで培養することが好ましく、2.0×10cells/cm以上がさらに好ましく、5.0×10cells/cm以上が特に好ましく、7.5×10cells/cm以上が最も好ましい。また、培地の栄養を保ち(3)〜(4)工程における細胞の生存率を高めるのに好適のため、(A)領域の単位面積当たりの細胞数が5.0×10cells/cm以下で(3)工程に進むことが好ましく、1.0×10cells/cm以下がさらに好ましく、5.0×10cells/cm以下が特に好ましく、1.0×10cells/cm以下が最も好ましい。
前記(A)領域の単位面積当たりの細胞数とするためには、(2)工程において1〜48時間の培養を行うことが好ましく、6〜36時間がさらに好ましく、12〜36時間が特に好ましく、18〜30時間が最も好ましい。
また、後述する(3)〜(4)工程における分化誘導効率を高めるのに好適のため、前記(2)工程で形成された胚葉体の形状が、半球状であることが好ましい。
本発明の分化誘導方法における(3)工程は、前記(2)工程で形成された多能性幹細胞凝集体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、胚葉体を形成する。
胚葉体への分化誘導効率を高めるのに好適のため、前記(3)工程における分化誘導因子が、外胚葉誘導因子、中胚葉誘導因子及び内胚葉誘導因子を含有することが好ましい。前記外胚葉誘導因子としては、胚葉体への分化誘導効率を高めるのに好適のため、Noggin(BMP阻害剤)、dorsomorphin(BMP阻害剤)、SB431542(TGF−β阻害剤)、アクチビン阻害剤、のいずれかを含有することが好ましく、BMP阻害剤及びTGF−β阻害剤を含有することがさらに好ましい。また、前記中胚葉誘導因子としては、胚葉体への分化誘導効率を高めるのに好適のため、アクチビンA、CHIR99021(GSK3β阻害剤)、Bone morphogenetic protein(BMP)4のいずれかを含有することが好ましく、GSK3β阻害剤を含有することがさらに好ましい。さらに、前記内胚葉誘導因子としては、はアクチビンA、CHIR99021等の低分子化合物が挙げられる。
また、前記分化誘導因子の培地への添加濃度については特に限定されないが、胚葉体への分化誘導効率を高めるのに好適のため、好ましくは0.1〜10μMであり、より好ましくは1.0〜7.5μMであり、最も好ましくは2.0〜5.0μMである。
前記分化誘導因子を含む培地は、十分に分化誘導が進行するために、培養中は24時ごとに交換することが好ましい。24時間以内に培地を交換することで、培地中の分化誘導因子が不足することを防ぎ、均一に全ての細胞を分化させることができる。
前記(3)工程で形成された胚葉体が有する外胚葉マーカーとしては、PAX6、Nestin、SOX1、SOX2、SOX10、Notch1、E Cadherin、MAP2が好ましく、PAX6、Nestin、SOX1、SOX2がさらに好ましい。また、中胚葉マーカーとしては、Tbx1、Brachyury、MSX1、Flk−1が好ましく、Tbx1、Brachyuryがさらに好ましい。また、内胚葉マーカーとしては、FOXA2、SOX17、GATA4、GATA6、CXCR4、HNF3β、HNF4α、αFPが好ましく、FOXA2、SOX17がさらに好ましい。また、神経幹細胞マーカーとしては、PAX6、Nestin、Olig2、SOX1、SOX2、DCXが好ましく、PAX6、Nestin、SOX1、Olig2がさらに好ましい。
本発明の分化誘導方法における(4)工程は、前記(3)工程で形成された胚葉体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、外胚葉系細胞凝集体を形成する。前記(3)工程で形成された胚葉体を細胞培養基材上に接着した状態で分化誘導することにより、前述した誘導因子の濃度勾配による影響が少ないため、均一に分化進行することが期待される。培地は特に限定はされないが、例えばDMEM、Ham’s F12、D−MEM/Ham’s F12等の基礎培地に外胚葉誘導に働く因子及び培養サプリメントを添加した培養培地が挙げられる。
前記(4)工程で胚葉体から分化誘導する細胞の種類としては、外胚葉系細胞であること以外に特に限定はないが、例えば表皮外肺葉由来細胞及び神経外胚葉由来細胞が好ましく、再生医療や創薬への利用に適していることから、神経外胚葉由来細胞がさらに好ましい。神経外肺葉由来細胞としては特に限定はないが、例えば、シュワン前駆細胞、ミエリンシュワン細胞、非ミエリンシュワン細胞、放射状グリア細胞、オリゴデンドロサイト前駆細胞、オリゴデンドロサイト及びアストロサイト等の神経膠細胞、グルタミン酸作動性ニューロン、GABA作動性ニューロン、ドーパミン作動性神経細胞、セロトニン作動性神経細胞、コリン作動性神経細胞、運動神経細胞及び感覚神経細胞等の神経細胞が好ましい。外胚葉由来細胞が神経細胞の場合、B27 supplements、TGF−β阻害剤、GSK3β阻害剤、LIF、bFGF、レチノイン酸、Purmorphamineを含有する培地の存在下で5〜14日間培養後、B27 supplements、TGF−β阻害剤、GSK3β阻害剤、LIF、bFGF、レチノイン酸、Purmorphamine、DAPTを含有する培地の存在下で3〜5日間培養することが好ましい。さらに運動神経細胞に分化させる場合、前述した神経細胞の培養後、B27 supplements、rhBDNF、rhGDNF、アスコルビン酸、レチノイン酸、DAPTを含有する培地の存在下で5〜40日間培養することが好ましい。
以下、本発明を実施するための形態を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。また本発明の要旨の範囲内で適宜に変更して実施することができる。なお、断りのない限り、試薬は市販品を用いた。
〈胚葉体の径及びアスペクト比〉
倒立型位相差顕微鏡(オリンパス(株)製、型番:IX73)及びデジタルカメラ(オリンパス(株)製、型番:DP73)を用いて胚葉体を経時的に観察し、長軸・短軸長さを測定した。求めた長軸及び短軸長さより、アスペクト比(長軸/短軸)を算出して胚葉体形態の評価に用いた。なお、本発明における実施例では円状のパターンを形成しており、アスペクト比は理論上1.0となる。
〈分化誘導培地等の組成〉
分化誘導培地1:80%DMEM/F−12(富士フィルム和光純薬(株))、20%KnockOut Serum Replacement XenoFree(サーモフィッシャー製)、0.1mM非必須アミノ酸(シグマ・アルドリッチ製)、0.1mM 2−メルカプトエタノール(シグマ・アルドリッチ製)、4ng/mL 塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、3μM SB431542(富士フィルム和光純薬(株)製)、3μM dorsomorphin(シグマ・アルドリッチ製)、3μM CHIR99021(REPROCELL社製)
分化誘導培地2:98% KBM神経幹細胞培養用無血清培地(富士フィルム和光純薬(株))、2% B27 supplement(Invitrogen社製)、20ng/mL bFGF、10ng/mL リコンビナントヒト由来LIF(hLIF、メルク(株)製)、2μM SB431542、3μM CHIR99021、2μM レチノイン酸(シグマ・アルドリッチ製)、1μM Purmorphamine(メルク(株)製)
分化誘導培地3:98% KBM神経幹細胞培養用無血清培地、2% B27 supplement、2ng/mL bFGF、10ng/mL hLIF、2μM SB431542、3μM CHIR99021、2μM レチノイン酸、1μM Purmorphamine、5μM DAPT(“分化16日目”より添加、シグマ・アルドリッチ製)
細胞剥離液:TrypLE select(Gibco製)と0.5mM EDTA溶液(Invitrogen社製)の1:1混合物
膜透過処理液:0.3%TritonX−100(富士フィルム和光純薬(株))、1%ウシ血清アルブミン含有PBS(−)(富士フィルム和光純薬(株))溶液
ブロッキング液、抗体希釈液、及びフローサイトメトリー解析用バッファー:1%BSA含有PBS(−)溶液
[実施例1]
〈多能性幹細胞凝集体の作製〉
直径35mmの親水性高分子を表面に被覆したディッシュ(住友ベークライト(株)製、商品名:PrimeSurface(登録商標))を直径0.2mmの円形の孔を複数有するメタルマスク(三谷マイクロニクス(株)製)で覆い、プラズマ照射装置((株)真空デバイス製、商品名:プラズマイオンボンバーダPIB−20)を用いてメタルマスク上部からプラズマ処理(20Paガス圧下、導電電流20mA、照射時間30秒間)を行うことで、細胞接着性及び細胞増殖性の領域を有する細胞培養基材を作製した。
前記パターニングした細胞培養基材に未分化性維持培地であるStemFitAK02N(味の素(株)製)を2.0mL/ディッシュ加え、さらにヒトiPS細胞201B7株を3900個/cm、iMatrix−511溶液((株)ニッピ製)を2.5μL/mLの濃度で加えた。37℃、CO濃度5%の環境下で培養した。また、細胞播種から24時間後までは、培地にY−27632(富士フィルム和光純薬(株)製)(濃度10μM)を添加した。位相差顕微鏡観察により、細胞培養基材上に接着した複数の半球状の細胞凝集体を確認した。
〈胚葉体の作製〉
細胞播種から24時間後、分化誘導培地1を2.0mL/ディッシュ加え、分化誘導を開始した。なお、分化誘導培地1を添加した時点を“分化0日目”とした。その後、“分化5日目”まで培養24時間おきに分化誘導培地1を交換した。また、培地交換時に位相差顕微鏡を用いて胚葉体の長軸・短軸を前記手順にしたがって計測し、メタルマスクの孔サイズである直径0.2mmの胚葉体を均一に形成していることを確認した。また、分化5日目までアスペクト比は1.0を維持しており、胚葉体の形状も均一であることから、胚葉体を構成する細胞の分化進行が同期していることが示唆された。
〈外胚葉系細胞凝集体の作製〉
“分化5日目”まで分化誘導させた後、ディッシュから分化誘導培地1を除去し、分化誘導培地2を2.0mL/ディッシュ加えた。その後、“分化12日目”まで培養48時間おきに分化誘導培地2を交換した。“分化10日目”において、基材表面から胚葉体が遊離する様子が観察された。“分化12日目”において、ディッシュ内の分化誘導培地2を除去し、分化誘導培地3を2.0mL/ディッシュ加えた。その後、“分化19日目”まで培養48時間おきに分化誘導培地3を交換した。
〈胚葉体の細胞数計測〉
“分化5日目”において、ディッシュ内の分化誘導培地1を除去し、PBS(−)を2.0mL/ディッシュ加え、洗浄した。洗浄後、ディッシュに細胞剥離液を1.0mL/ディッシュ加え、37℃、CO濃度5%の環境下で3分間静置させた。所定時間静置させた後に、細胞剥離液を除去し、Y−27632(濃度10μM)を含む分化誘導培地1を1.0mL/ディッシュ加え、セルスクレーパー(IWAKI製)を用いて基材上から胚葉体を剥離及び分散させた。得られた細胞懸濁液を回収し、Luna自動細胞計数装置(ロゴスバイオシステムズ製)を用いて細胞数を計測した。
〈外胚葉系細胞凝集体の細胞数計測〉
“分化19日目”において、ディッシュ内の分化誘導培地3を除去し、PBS(−)を2.0mL/ディッシュ加え、洗浄した。洗浄後、ディッシュに細胞剥離液を1.0mL/ディッシュ加え、37℃、CO濃度5%の環境下で3分間静置させた。所定時間静置させた後に、細胞剥離液を除去し、Y−27632(濃度10μM)を含む分化誘導培地1を1.0mL/ディッシュ加え、セルスクレーパー(IWAKI製)を用いて基材上から胚葉体を剥離及び分散させた。得られた細胞懸濁液を回収し、Luna自動細胞計数装置(ロゴスバイオシステムズ製)を用いて細胞数を計測した。
〈フローサイトメトリー解析〉
三胚葉体、神経幹細胞及び神経細胞への分化誘導を評価するために、外胚葉マーカー(PAX6)、内胚葉マーカー(FOXA2)、中胚葉マーカー(TBX1)、神経幹細胞マーカー(SOX1)、神経細胞マーカー(NCAM1及びTUBB3)について評価した。細胞数計測で回収した“分化5日目”及び“分化19日目”の細胞を、1.5mLサンプルチューブにそれぞれ1.0×10個/チューブ分取した。4%パラホルムアルデヒド(富士フィルム和光純薬(株)製)を0.5mL/チューブ加え、分散せた後に室温で20分間静置して固定化処理を行った。固定化処理後、遠心分離(室温、800×g、5分)を行い、上澄み液を除去しPBS(−)を0.5mL/チューブ加え洗浄した。洗浄操作は3回繰り返した。洗浄後、膜透過処理液を0.5mL/チューブ加え、分散させた後に室温で15分間静置して膜透過処理を行った。膜透過処理後、遠心分離を行い、上澄み液を除去しPBS(−)を0.5mL/チューブ加え洗浄した。
洗浄後、1%BSA含有PBS(−)を0.5mL/チューブ加え、分散させた後に室温で1時間静置しブロッキング処理を行った。ブロッキング処理後、遠心分離を行い、上澄み液を除去しPBS(−)を0.5mL/チューブ加え洗浄した。洗浄後、希釈した抗体溶液を0.1mL/チューブ加え、分散した後に室温及び遮光下で1時間反応させた。反応後、遠心分離を行い、染色液を除去しPBS(−)を0.5mL/チューブ加え洗浄した。前記抗体反応で蛍光標識されていない抗体を使用した場合は、続けて希釈した蛍光標識2次抗体を0.1mL/チューブ加え、分散させた後に室温及び遮光下で1時間反応させた。反応後、遠心分離を行い、染色液を除去しPBS(−)を0.5mL/チューブ加え洗浄した。洗浄後、抗体希釈液を0.5mL/チューブ加え、分散させたサンプルをフローサイトメーター(日本ベクトンデッキンソン(株)製、商品名:BD Accuri C6 Plus)によって解析した。
“分化誘導5日目”の細胞のフローサイトメトリー解析結果を表1に、“分化誘導19日目”における細胞のフローサイトメトリー解析結果を表2にそれぞれ示す。“分化誘導5日目”において、20.0%の細胞が外胚葉マーカーであるPAX6を有し、また、26.3%の細胞が中胚葉マーカーであるTBX1、28.3%の細胞が内胚葉マーカーであるFOXA2、20.8%の細胞が内胚葉マーカーであるSOX1を有しており、胚葉体様構造体の作製を確認した。また、“分化誘導19日目”において、11.4%の細胞が神経細胞マーカーであるNCAM1及び46.9%の細胞が神経細胞マーカーであるTUBB3を有していることを確認し、神経細胞への分化誘導効率に優れることを確認した。
Figure 2021158960
Figure 2021158960
[比較例1:細胞培養基材上における未分化性維持培養]
実施例1における培地として、分化誘導培地1〜3の代わりに、未分化性維持培地StemFitAK02N(味の素(株)製)を使用し、その他はすべて実施例1と同条件で培養を行い、6日間(実施例1における“分化誘導5日目”まで)培養を行った。培養2日目(実施例における“分化誘導1日目”)では、実施例1で確認された胚葉体外縁部の仮足伸展が確認されず、未分化性維持に働いていることが確認された。
[比較例2:細胞培養用ポリスチレン基材上における分化誘導]
〈多能性幹細胞凝集体の作製、及び胚葉体の作製〉
市販の培養基材(Tissue culture処理ポリスチレン、eppemdorf社製)、を用いて、実施例1に記載の方法にしたがって胚葉体を作製した。形成された構造体の形態は、全体的に鋭角な形状を示し、大きさも不均一であった。
〈外胚葉系細胞凝集体の作製〉
前記胚葉体を、実施例1に記載の方法にしたがって外胚葉系細胞凝集体へ分化誘導させた。“分化7〜10日目”で、100%コンフルエントに達したことを確認し、“分化16日目”では培地交換時に胚葉体がシート状に剥離する現象が確認された。
〈フローサイトメトリー解析〉
実施例1に記載の方法にしたがってフローサイトメトリー解析を実施した。“分化誘導5日目”の細胞のフローサイトメトリー解析結果を表1に、“分化誘導19日目”における細胞のフローサイトメトリー解析結果を表2にそれぞれ示す。“分化誘導19日目”において、神経細胞マーカーであるNCAM1を有している細胞は10.6%、TUBB3を有している細胞は26.1%であり、神経細胞への分化誘導効率に劣ることが確認された。
[比較例3:細胞培養用ポリスチレン基材上における未分化性維持培養]
実施例1における分化誘導操作を全て行わず、実施例1の播種で使用したヒトiPS細胞をそのまま、実施例1と同様の方法にてフローサイトメトリー解析した。
A:細胞接着領域及び細胞増殖領域
B:細胞接着性を有しない領域
1:多能性幹細胞
2:多能性幹細胞凝集体
3:胚葉体
4:外胚葉系細胞凝集体
5:神経細胞凝集体
10:未分化性維持培地
11:分化誘導培地1
12:分化誘導培地2
13:分化誘導培地3
20:親水性高分子
21:基材

Claims (7)

  1. 多能性幹細胞から外胚葉系細胞を分化誘導する方法であり、以下の(1)〜(4)工程を含むことを特徴とする、分化誘導方法。
    (1)下記(A)及び(B)の2つの領域を有する細胞培養基材上に、マトリゲル、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン及びコラーゲンからなる群より選択される単一又は複数の物質の被覆、及び多能性幹細胞の播種を行う工程。
    (A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001〜5mmの島状の領域。
    (B)前記(A)領域に隣接し、細胞接着性又は細胞増殖性を有しない領域。
    (2)前記(1)工程で播種された多能性幹細胞を未分化性維持培地の存在下、フィーダーフリーで接着培養し、細胞培養基材上に接着した多能性幹細胞凝集体を形成する工程。
    (3)前記(2)工程で形成された多能性幹細胞凝集体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、胚葉体を形成する工程。
    (4)前記(3)工程で形成された胚葉体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、外胚葉系細胞凝集体を形成する工程。
  2. 前記細胞培養基材が親水性高分子による層を表面に含有し、(A)領域がプラズマ処理、紫外線処理、コロナ放電処理のいずれか、またはこれらの組み合わせによって前記親水性高分子による層の一部を分解又は改質した領域であることを特徴とする、請求項1に記載の分化誘導方法。
  3. 前記(3)工程における分化誘導因子が、外胚葉誘導因子、中胚葉誘導因子及び内胚葉誘導因子を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の分化誘導方法。
  4. 前記(4)工程で形成された外胚葉系細胞凝集体が、PAX6及びSOX1を有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分化誘導方法。
  5. 外胚葉系細胞が、神経幹細胞又は神経細胞であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分化誘導方法。
  6. 外胚葉系細胞が、運動神経細胞であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分化誘導方法。
  7. 多能性幹細胞から外胚葉系細胞に分化誘導された細胞の製造方法であり、以下の(1)〜(4)工程を含むことを特徴とする、細胞の製造方法。
    (1)下記(A)及び(B)の2つの領域を有する細胞培養基材上に、マトリゲル、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン及びコラーゲンからなる群より選択される単一又は複数の物質の被覆、及び多能性幹細胞の播種を行う工程。
    (A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001〜5mmの島状の領域。
    (B)前記(A)領域に隣接し、細胞接着性又は細胞増殖性を有しない領域。
    (2)前記(1)工程で播種された多能性幹細胞を未分化性維持培地の存在下、フィーダーフリーで接着培養し、細胞培養基材上に接着した多能性幹細胞凝集体を形成する工程。
    (3)前記(2)工程で形成された多能性幹細胞凝集体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、胚葉体を形成する工程。
    (4)前記(3)工程で形成された胚葉体を、分化誘導因子を含有する培地の存在下、細胞培養基材上に接着した状態で培養し、外胚葉系細胞凝集体を形成する工程。
JP2020062907A 2020-03-31 2020-03-31 多能性幹細胞から外胚葉系細胞を分化誘導する方法及び製造方法 Pending JP2021158960A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020062907A JP2021158960A (ja) 2020-03-31 2020-03-31 多能性幹細胞から外胚葉系細胞を分化誘導する方法及び製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020062907A JP2021158960A (ja) 2020-03-31 2020-03-31 多能性幹細胞から外胚葉系細胞を分化誘導する方法及び製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021158960A true JP2021158960A (ja) 2021-10-11

Family

ID=78001515

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020062907A Pending JP2021158960A (ja) 2020-03-31 2020-03-31 多能性幹細胞から外胚葉系細胞を分化誘導する方法及び製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021158960A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022039165A1 (ja) * 2020-08-18 2022-02-24 東ソー株式会社 多能性幹細胞の外胚葉、中胚葉及び内胚葉系細胞への分化誘導方法
WO2022230734A1 (ja) * 2021-04-27 2022-11-03 東ソー株式会社 細胞培養基材及びその製造方法、多能性幹細胞の分化誘導方法、並びに細胞培養キット
WO2023149566A1 (ja) * 2022-02-07 2023-08-10 国立大学法人大阪大学 多能性幹細胞の分化誘導制御剤および分化誘導安定化剤
CN116731967A (zh) * 2023-08-16 2023-09-12 南京大学 从多能干细胞通过诱导分化制备巨噬细胞的方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022039165A1 (ja) * 2020-08-18 2022-02-24 東ソー株式会社 多能性幹細胞の外胚葉、中胚葉及び内胚葉系細胞への分化誘導方法
WO2022230734A1 (ja) * 2021-04-27 2022-11-03 東ソー株式会社 細胞培養基材及びその製造方法、多能性幹細胞の分化誘導方法、並びに細胞培養キット
WO2023149566A1 (ja) * 2022-02-07 2023-08-10 国立大学法人大阪大学 多能性幹細胞の分化誘導制御剤および分化誘導安定化剤
CN116731967A (zh) * 2023-08-16 2023-09-12 南京大学 从多能干细胞通过诱导分化制备巨噬细胞的方法
CN116731967B (zh) * 2023-08-16 2023-11-17 南京大学 从多能干细胞通过诱导分化制备巨噬细胞的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2021158960A (ja) 多能性幹細胞から外胚葉系細胞を分化誘導する方法及び製造方法
JP5784266B2 (ja) 規定細胞培養表面及び使用方法
Chan et al. Temporal application of topography to increase the rate of neural differentiation from human pluripotent stem cells
WO2020258946A1 (zh) 一种诱导脊髓星形胶质细胞重编程为运动神经元的方法
Soleas et al. Assembly of lung progenitors into developmentally-inspired geometry drives differentiation via cellular tension
US10570374B2 (en) Adhesive signature-based methods for the isolation of stem cells and cells derived therefrom
WO2022039165A1 (ja) 多能性幹細胞の外胚葉、中胚葉及び内胚葉系細胞への分化誘導方法
JP2007228815A (ja) 胚性幹細胞の維持方法
Wen et al. Production of neural stem cells from human pluripotent stem cells
Kim et al. Nanotopographical regulation of pancreatic islet-like cluster formation from human pluripotent stem cells using a gradient-pattern chip
Liu et al. Dynamic behavior and spontaneous differentiation of mouse embryoid bodies on hydrogel substrates of different surface charge and chemical structures
JP2016202172A (ja) 疑似膵島の製造方法
Sadri et al. Neuronal differentiation of PC12 and embryonic stem cells in two-and three-dimensional in vitro culture
Nazbar et al. Molecular imprinting as a simple way for the long-term maintenance of the stemness and proliferation potential of adipose-derived stem cells: An in vitro study
Lach et al. Effect of cellular mass on chondrogenic differentiation during embryoid body formation
US20240218322A1 (en) Cell culture substrate and method for producing same, method for inducing differentiation of pluripotent stem cell, and cell culture kit
EP4317407A1 (en) Cell culture substrate and method for producing same, method for inducing differentiation of pluripotent stem cell, and cell culture kit
Zeevaert Impact of YAP1 knockout on early differentiation of induced pluripotent stem cells and embryoid bodies
Saykali et al. Lineage-specific CDK activity dynamics characterize early mammalian development
CA3199729A1 (en) Induced stem cells
Chowdhury et al. Substrate stiffness facilitates improved induced pluripotent stem cell production through modulation of both early and late phases of cell reprogramming
Dias The influence of cellular patterning on brown adipogenic differentiation from mouse embryonic stem cells
ANKAM Geometry and Size of Substrate Topography Guides the Neural Differentiation of Human Embryonic Stem Cells
YIN-TING APPLICATION OF TOPOGRAPHY TO DIRECT DIFFERENTIATION OF PLURIPOTENT STEM CELLS
KR100856706B1 (ko) 혈관내피 성장인자를 이용한 인간배아 줄기세포로부터도파민 신경세포로의 분화 촉진 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240206

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240321

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20240527