JP2021158910A - Fe基軟磁性非晶質合金の薄板、それを用いた積層鉄心および回転電機、並びにFe基軟磁性非晶質合金の薄板の製造方法 - Google Patents

Fe基軟磁性非晶質合金の薄板、それを用いた積層鉄心および回転電機、並びにFe基軟磁性非晶質合金の薄板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 容易に積層鉄心の損失を低減できるFe基軟磁性非晶質合金の薄板と、それを用いた積層鉄心および回転電機、並びにFe基軟磁性非晶質合金の薄板の製造方法を提供する。【解決手段】積層鉄心用のFe基軟磁性非晶質合金の薄板であって、前記薄板は相対する表裏面と側面を有し、厚みが10〜50μmであり、前記側面は、表裏面側のそれぞれから薄板の厚さ方向に対して傾斜する破断面を有し、薄板の厚さ方向の断面にて端部に向かって先細ったV字形状である、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板、および、それを用いた積層鉄心および回転電機、並びにFe基軟磁性非晶質合金の薄板の製造方法に関するものである。
電気自動車やハイブリッド電気自動車の電動機として使用される回転電機は、出力確保のために高速回転化に起因する交番磁束の高周波化による損失を低減し、高効率で動作することが求められている。これまでに、インバータの使用、希土類磁石の適用、構造設計の最適化等により回転電機の高効率化が進められているが、更なる高効率化の為には、磁極に使用する積層鉄心の鉄損を低減する必要がある。そのため従来積層鉄心に使用されている電磁鋼板に代えて、Fe基軟磁性非晶質合金や、微細なbcc構造のFe結晶相やFeSi結晶相と非晶質相を含むFe基ナノ結晶軟磁性合金といった低損失の磁性材料の適用の要請が高まっている。
Fe基軟磁性非晶質合金は、例えばFe−Si−B系の軟磁性合金が知られていて、単ロール液体急冷法などの方法で、所定の組成に調整された溶湯を超急冷して非晶質化することにより作製される。METGLAS,Inc.のMETGLAS(登録商標)2605HB1M、2605SA1やFe−Si−B−Cr系の2605SA3が市販され入手可能である。
またFe基ナノ結晶軟磁性合金は、Fe基軟磁性非晶質合金と同様にして得られた非晶質薄帯を熱処理によりFe結晶相やFeSi結晶相を析出(ナノ結晶化)させたものである。例えば、Fe−Si−B−Cu−Nb系の日立金属株式会社のファインメット(登録商標)FT−3MやVACUUMSCHMELZE GmbH&Co.KG.のVITROPERM(登録商標)800、Fe−B−Zr−Cu系のMAGNETEC Gesellschaft fur Magnettechnologie mbHのNANOPERM(登録商標)が知られている。
いずれもストリップ、リボン、フィルムあるいは箔とも呼ばれる形態で、通常、十〜数十μmの厚みで、長尺の薄帯にて供給される。このようなFe基軟磁性非晶質合金やFe基ナノ結晶軟磁性合金の薄帯は、電磁鋼板に対して板厚が薄く、渦電流損を小さくすることが出来る。また、Fe基軟磁性非晶質合金やFe基ナノ結晶軟磁性合金は、電磁鋼板と比べてヒステリシス損失が小さく、それらの薄帯を用いた積層鉄心は軟磁性に優れる等の利点を有する。
一方で、Fe基ナノ結晶軟磁性合金の前駆体を含むFe基軟磁性非晶質合金は、一般に歪硬化を起こさない理想的な弾塑性材料で、大きな塑性変形能と強靭性の性質を有するが、引張試験のような一軸応力の条件では、見かけ上、伸びが生じにくいことが知られている。このようなFe基軟磁性非晶質合金の薄帯は非常に硬く、結晶質の電磁鋼板と比べて加工性に劣るという欠点を有していて、薄帯を所定の形状に加工することが必要な積層鉄心への適用が進まない要因となっている。そのためプレス装置を使ったパンチとダイで構成される金型による打抜き(以下、単に打抜きとして示し、他の加工技術と区別する)の他に、化学エッチング、レーザー加工、ワイヤー放電加工等、薄帯から所定形状の薄板を得る加工技術が種々検討されてきた。
特許文献1には非晶質金属箔の打抜き加工について記載されている。サーボプレスを使用し、非晶質金属箔の打抜きを所定の打抜き速度で行うことで、塑性変形に伴うバリの発生を抑制している。また特許文献2には、非晶質合金材料の薄帯のエッチング加工について記載されている。薄帯に予め所定の形状に結晶化領域を形成し、前記結晶化領域をエッチングすることで、エッチング速度を早めている。それによりエッチング加工における生産性を改善している。
特開昭62−9898号公報 特開昭55−145174号公報
図5に積層鉄心に用いる薄板の一例を斜視図として示す。図示した例では薄板1は矩形で、相対する表裏面20と、表裏面20を繋ぐ4つの側面25を有している。薄帯から得られた薄板1は容易に撓むが、定盤に乗せた状態では、薄板1の表裏面20は実質的に平坦で、折り曲げ等の塑性変形を生じていなければ図示したような形態となる。薄板1の表裏面20は、薄帯作製時の面状体のままであり、側面25は加工よる断面となっている。図6は複数の薄板を重ねて構成される積層鉄心の一例を示す斜視図である。積層鉄心5では数枚から数千枚の薄板1が積み重ねられていて、それらはスポット溶接、カシメ、接着等の手段で層間固定され一体化されている。
図15に打抜き工程を説明するためのプレス装置の一部を簡略化して示す。また、打抜き加工で作製される薄板の側面の状態を拡大斜視図として図16に示す。典型的には、薄板1の側面25には打抜きによるせん断応力で、せん断面135や破断面138とともに、薄板1の厚み方向にダレ131や塑性変形に伴うバリ120が形成される。打抜き法では、打抜き孔を有するダイ19の上に薄帯(図示せず)を配置し押さえつつ、打抜き孔の上方からパンチ18を下降させ、薄帯の厚みにもよるが、数μm〜100μm程度の間隔をもってパンチ18をダイ19の打抜き孔に通して、パンチ18の先端側の縁に設けた刃先とダイ19の打抜き孔の縁に設けた刃先とで薄帯をせん断加工する。せん断加工によって薄帯から打抜かれた薄板1には、その厚み方向にパンチ18の外周に沿ったバリ120が形成される。
特許文献1に記載の方法によれば、薄板の厚み方向に生じるバリの程度を抑えることが出来るものの、ダイやパンチの摩耗等の継時的変化によってバリの高さが増加することは避けられない。そもそも打抜き加工の機構からして、薄板の厚み方向に生じるバリの発生自体を無くすることは困難である。
またエッチングによる方法では、打抜きにおいて薄板に現れる厚み方向のバリは生じ無いものの、レジスト塗布やエッチングといった複数の工程が必要であり、打抜きに比べて生産性に乏しく、大量の薄板を生産するには不向きである。レーザー加工や放電加工も打抜きに比べて加工速度が遅く生産性に乏しい。
図17にバリを有する薄板を積み重ねて構成された積層鉄心の断面を拡大して示す。薄板1は、層間を接着する樹脂層200を介して、面方向にズレをもって積み重ねられている。薄板1の側面側で生じるバリ120は表裏面20から突き出ているため、積み重ねの際に薄板1同士を接触させ電気的短絡を引き起こす場合がある。薄板1同士の短絡は渦電流損を増大させる要因となり、積層鉄心5の損失を低減するのに障害となる。またバリ120は薄板1の縁に生じるので、薄板1の積層数が多くなるに従い積層鉄心5の中央部よりも側面側が厚くなって嵩張り、積層鉄心5の寸法精度にも影響する。また、積層鉄心5の占積率(積層鉄心体積に対する薄板の体積の割合)が高められない場合もある。
そこで本発明は、容易に積層鉄心の損失を低減できるFe基軟磁性非晶質合金の薄板と、それを用いた積層鉄心および回転電機、並びにFe基軟磁性非晶質合金の薄板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態によれば、積層鉄心用のFe基軟磁性非晶質合金の薄板であって、前記薄板は相対する表裏面と側面を有し、厚みが10〜50μmであり、前記側面は、表裏面側のそれぞれから薄板の厚さ方向に対して傾斜する破断面を有し、薄板の厚さ方向の断面にて端部に向かって先細ったV字形状である、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板を提供することが出来る。
本発明の一形態によれば、前記破断面は延性破壊による破断面であるのが好ましい。
本発明の一形態によれば、前記薄板の全ての側面がV字形状であるのが好ましい。
本発明の一形態によれば、前記薄板の外縁となるV字形状の端部から内側に5μm以上の距離Lの間の領域が破断面であるのが好ましい。
また本発明の一形態によれば、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板を重ねた積層鉄心を提供することが出来る。
また本発明の一形態によれば、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板を重ねて固定した積層鉄心を固定子または回転子に用いた回転電機を提供することが出来る。
また本発明のFe基軟磁性非晶質合金の薄板は、Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯と厚みが10〜150μmの非金属の薄帯とを重ね、 前記Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯を非金属の薄帯とともに、ロータリーダイカッターまたはトムソン刃で押切る、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板の製造方法により提供することが出来る。
本発明によれば、容易に積層鉄心の損失を低減できるFe基軟磁性非晶質合金の薄板と、それを用いた積層鉄心および回転電機、並びにFe基軟磁性非晶質合金の薄板の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るFe基軟磁性非晶質合金の薄板の側面を拡大した斜視図である。 本発明の一実施形態に係るFe基軟磁性非晶質合金の薄板を厚さ方向に切断した断面図である Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯の加工装置の一実施形態を示す構成図である。 図3の加工装置に使用するダイカットロールの一実施形態を示す斜視図である。 積層鉄心に用いる薄板の一実施形態を示す斜視図である。 複数の薄板を重ねて構成される積層鉄心の一実施形態を示す斜視図である。 複数の薄板を重ねて構成される積層鉄心の断面の一実施形態を示す断面図である。 Fe基軟磁性非晶質合金の薄板の他の実施形態を示す斜視図である。 図8で示したFe基軟磁性非晶質合金の薄板の部分拡大斜視図である。 複数の薄板を重ねて構成される積層鉄心の他の実施形態を示す斜視図である。 本発明の積層鉄心を使った回転電機の一実施形態を示す模式図である。 実施例1の薄板の表裏面の側面側を観察したレーザー顕微鏡写真である。 実施例1の薄板の断面の側面側を観察したレーザー顕微鏡写真である。 実施例1の薄板の表面プロファイル観察したレーザー顕微鏡写真である。 薄帯を打抜き加工するためのプレス装置の一部を簡略化した断面図である。 打抜き加工で作製される薄板の側面の拡大斜視図である。 バリを有する薄板を積み重ねて構成された積層鉄心の断面図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また図の一部又は全部において、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にするために拡大又は縮小等して図示した部分がある。本明細書中において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本明細書中において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
図1に本発明の一実施形態に係るFe基軟磁性非晶質合金の薄板の側面の拡大斜視図を示す。本発明の一実施形態に係る薄板は例えば図5と同じ形態であって良い。薄板1の側面25は、表裏面20側のそれぞれから薄板1の厚さ方向(図面ではz方向)に対して傾斜する傾斜面30の加工断面である。図2は薄板1を厚さ方向に切断した断面図である。薄板1の厚さ方向の断面(xz面)で、薄板1の側面25は端部に向かって先細ったV字形状となっている。傾斜面30はV字形状の端部から表裏面20に向かう距離Lの範囲が延性破壊による破断面85となっている。ここで延性破壊とは、塑性変形を伴う破壊であって、電子顕微鏡による破断面の組織観察によれば、その破断面には微細な変形の痕が観察され、脆性破壊や疲労破壊といったモードとは異なる破面を呈している。傾斜面は相対する表裏面20のそれぞれから連続しているので、積層鉄心とするのに薄板1の表裏面20を区別して重ねる必要が無く、取り扱いが容易である。
傾斜面30のほとんどは破断面85となっている。破断面85は微視的には傾斜の異なる面で構成される不連続な面であるが、巨視的に平坦な表裏面20から薄板の縁に向かい表裏面20から離れていくような面であれば良い。側面25は薄板1の厚み方向の断面を見て図示したような直線的に傾斜する傾斜面だけでなく、曲線的に傾斜する傾斜面や波打つ(うねり)形態も含む。また一方の表裏面から連続する傾斜面と、他方の表裏面から連続する傾斜面とで、傾斜面の形態や、V字形状の端部から距離Lの間の破断面85の領域が異なっていても良い。また、破断面が脈状組織となっている場合もある。脈状組織は非晶質合金に特徴的な組織であって、引張による破断面にも観察されることが知られている。脈状組織は、断熱による局部的温度上昇が生じて、粘性流動的に変形した結果により生じたものとされる。
前述の通り打抜きで形成した薄板1では、バリ120によって表裏面20と側面25(破断面138)とがなす角は鋭角となって表裏面20側に突出する。一方、本発明の薄板1では表裏面20側に突出するようなバリが無く、表裏面20と側面25(傾斜面30)とがなす角は鈍角となっている。このような薄板1を積み重ねて構成した積層鉄心5の断面を図7に示す。図示したように、積層鉄心5においてバリによる薄板1間の接触などの干渉が生じることなく、短絡による渦電流損の増加が抑えられた積層鉄心5とすることが出来る。なお薄板1の側面25においては、V字形状となっている部分は一部でも良いが、V字形状となっている部分が側面の周長に対して50%以上であるのが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
打抜き加工では薄板の縁に生じる厚み方向に突出したバリの発生を無くすることは困難である。そこで本発明者等は薄帯から所定形状の薄板を得る加工技術を種々検討した。その中で、トムソン刃やロータリーダイカッターを使って薄帯を押し切ることで、薄板の厚み方向に突出したバリの発生を防ぐことが出来ることを知見した。トムソン刃と後述する受け台の組み合わせや、ダイカットロールとアンビルロールの組み合わせで、刃先で薄帯を押し潰して塑性変形させ破断することで、得られる薄板にはせん断加工で生じる厚み方向に突出したバリが生じることがなく、またその側面25は、破断面85を有する傾斜面30で構成され、図1で示したような先細りのV字形状となる。
積層鉄心では、渦電流損を低減するのに薄板の板厚は薄いのが好ましい。一方、薄板の板厚が薄くなるほど表面の粗さ、凹凸等の影響を受けて占積率が低下する傾向がある。このため、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板(薄帯)の厚みは10μm以上50μm以下であることが好ましい。より好ましくは12μm以上であり、15μm以上であるのが一層好ましい。また45μm以下であることがより好ましく、40μm以下であるのが一層好ましい。またFe基軟磁性非晶質合金の薄帯は、市販され入手可能な前述のMETGLAS(登録商標)2605SA1等を適宜用いることが出来る。
以下、本発明のFe基軟磁性非晶質合金の薄板の製造方法について図面を参照しながら具体的に説明する。図3はロータリーダイカッターを含む薄帯の加工装置の構成図である。ロータリーダイカッターは、円柱状のダイカットロール350とアンビルロール355とから構成され、これらダイカットロール350とアンビルロール355とを回転させながら、その間にシート状の被加工物を挿通する。被加工物はFe基軟磁性非晶質合金の薄帯と非金属の薄帯とを重ねたものであり、スプール300から巻き出したFe基軟磁性非晶質合金の薄帯301の表裏面に、それぞれスプール305から巻き出した非金属の薄帯306を重ね、Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯301を非金属の薄帯306で挟んだ状態でロータリーダイカッターへ供給する。図4にダイカットロールの外観斜視図を示す。ダイカットロール350の表面には複数の押切刃351を備える。押切刃351の刃先は、数μmから数十μmの幅で平坦となっていて、ロータリーダイカッターに供給された被加工物を押切刃351でアンビルロール355の表面に押圧することで、Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯301を押し潰して破断させる。被加工物から抜かれた薄板1は、被加工物から抜かれた非金属の端材とともに容器370に回収される。ロータリーダイカッターを通過した被加工物はスプール360に巻き取られる。
非金属の薄帯306は緩衝材として機能し、例えば厚みが10〜150μmのフィルム状の樹脂や和紙や洋紙であれば良い。樹脂はポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートが好ましい。
ダイカットロールの押切刃が摩耗しても、薄板の厚さ方向に突出するバリの発生が無いため、安定してV字形状の側面を有する薄板を作製することが出来る。また押切刃の摩耗が進むと、薄板の抜きが行われず、端部の一部がFe基軟磁性非晶質合金の薄帯と繋がった状態となり易い。このような分離の状態を見て押切刃の摩耗の程度の指標とし、押切刃の修正を行うことが出来るので、薄帯の加工装置の保守管理が容易となる。なお本発明はこれに限定されるものではなく、トムソン刃を使った押切方法でも良い。
Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯にある形状を付与する工程を経て得られた薄板は、積み重ねて接着剤などにより積層一体化することができる。積層工程では、薄板の形状に応じた整列治具と押え板を準備し、整列治具内に所望の積層枚数の薄板を重ね、その上下に押え板を重ねて積層一体化する方法が好ましい。Fe基非晶質合金の薄板間の接着では、樹脂層を均一にむらなく形成するのが好ましいが、必要となる接着強度が得られる場合に樹脂層を部分的に形成しても良い。Fe基非晶質合金の薄板への樹脂の付与は、液状の樹脂を薄板へ滴下させたり、吹き付けたり、あるいは液状の樹脂中に浸漬するなどの方法を用いることが出来る。また、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板を加工する前にコータ(コーティング装置)を用いて樹脂を付与したり、薄帯を液状の樹脂中に浸漬したりする等の方法を取った後に形状を付与する工程を経て積層一体化してもよい。
薄板間の接着に使用する樹脂は、エポキシ系、アクリル系のものが好ましい。また、それらの中でも耐熱性の高い樹脂がより好ましい。
薄板間の樹脂層の厚さが薄いほど、積層鉄心の占積率を高くできるため好ましい。所望の接着力を得ながら高い占積率(80%〜98%)とするには、1μmから5μm程度が好ましく、より好ましくは1μmから3μmの範囲内である。薄板の縁に厚み方向に突出したバリの発生が無いので樹脂層の厚さを薄くすることが出来、また樹脂層の厚さを薄くしても積層鉄心の縁部での嵩張りを抑えることが出来る。
図8にFe基軟磁性非晶質合金の薄板の他の実施形態を斜視図として示す。図示した薄板1は回転電機の積層鉄心用であって、円環部7を有し、その内周に沿って回転対称に設けられた複数の凸部6を有している。図9は薄板の部分拡大斜視図である。図示した薄板1は内径側に複数の側面25を有する形状となっている。このような薄板1も図5で示した薄板と同様な手段で作製することで、薄板1の縁に厚み方向に突出したバリの発生が無く、薄板1の側面25を、図1に示すような表裏面20側のそれぞれから薄板1の厚さ方向に対して傾斜する傾斜面とし、端部に向かって先細ったV字形状とすることが出来る。本発明における薄板は特に形状の制約はなく、様々な形態とすることが可能である。
図10に、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板を積み重ねて構成した積層鉄心の斜視図を示す。図示した積層鉄心10は回転電機の固定子として用いられ、薄板1が数百枚〜数千枚重ねられている。円環部7は固定子のバックヨークとして使用され、凸部6はティースとなる。得られた積層鉄心10もまた、薄板1間の短絡による渦電流損の増加が抑えられた積層鉄心とすることが出来る。
図11は本発明の積層鉄心10を使った回転電機の一例を示す模式図である。図11に示すように、本発明の回転電機280は、固定子(積層鉄心)10の内径側に空隙を介して回転子が設けられている。回転子の外周には複数の永久磁石290が配置されている。永久磁石290は、固定子10と対向する側をN極またはS極となるように磁化されているとともに、隣り合う永久磁石290の極性が交互に逆になるように等角度で配置されている。なお 図11に示す形態では回転子は8極であるが、磁極数をそれに限定するものではない。
固定子10のティース6には固定子巻線260が設けられていて、回転子の磁極の位置に基づく3相交流電流が固定子巻線260に供給されて、固定子は回転磁界を発生させる。回転電機は回転子の永久磁石260と回転磁界とにより、回転電動機として動作する。本発明では、厚みが10〜50μmと薄く、厚み方向にバリを有さないFe基軟磁性非晶質合金の薄板を用いた積層鉄心を固定子とすることで、高効率で動作可能な回転電機を実現することができる。
Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯として、日立金属株式会社製Metglas(登録商標)2605SA1を準備した。薄帯は長尺で、その厚みは25μmと32μmであり、幅は30mmである。Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯をトムソン刃やダイカットロールを使って破断させ、図8で示した形状の薄板を作製した。薄板の外形寸法は外径22mm、内径10mmである。
(実施例1)
前述したロータリーダイカッターにより、Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯を薄板とした。厚みは25μmのFe基軟磁性非晶質合金の薄帯を、緩衝材として厚さ13μmのポリエチレンフィルムで挟んだ被加工物とし、アンビルロールとダイカットロールを近接させ、被加工物を通過させ薄板を作製した。ダイカットロールの押切刃の刃先は幅15〜30μmで平坦となっていて、刃先角度は30°である。
(実施例2)
厚みが32μmのFe基軟磁性非晶質合金の薄帯を使った以外は実施例1と同様として薄板を作製した。
(実施例3)
厚み25μmのFe基軟磁性非晶質合金の薄帯を、トムソン刃により破断して薄板を作製した。トムソン刃を取り付ける裁断装置は、トムソン刃を上下に往復運動させる駆動機構と、薄帯を配置する平坦な裁断面を有する受け台を有し、トムソン刃を裁断面に向かって移動して薄板を破断可能なものである。Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯を、緩衝材として厚さ100μmのポリエチレンフィルムで挟んだ被加工物とし、トムソン刃で150Nの圧力を加えて、薄帯を破断させて薄板を作製した。トムソン刃も刃先は幅20μmで平坦となっていて、刃先角度は45°である。
実施例1から3で得られた薄板の側面を表裏面側からキーエンス製レーザー顕微鏡VK−X1000により観察した。図12に実施例1の薄板の表裏面の側面側を観察したレーザー顕微鏡写真を示す。またそれぞれの薄板を切断し、樹脂に埋め込んでその切断面の側面側を研磨により露出させ、観察した。図13に実施例1の薄板の断面の側面側を観察したレーザー顕微鏡写真を示す。得られた観察写真から、いずれもその側面は、表裏面から連続する傾斜面を有し、傾斜面の全体が延性破壊による破断面で構成され、断面形状は先細りのV字形状となっていた。またいずれにも、せん断加工で生じる厚み方向に突出したバリは確認されなかった。薄板の表裏面側の観察で、破断面について側面のV字形状の端部から距離Lを計測し、最小最大となる距離を破断面距離Lとして表1に示す。
Figure 2021158910
本発明のFe基軟磁性非晶質合金の薄板は、その側面が10〜100μmほどの領域において破断面となっていて、その断面は端部に向かって細くなっていた。実施例1の薄板を、表裏面と傾斜面を含む270μm×202μmの領域を評価領域として、キーエンス製レーザー顕微鏡VK−X1000を用い、倍率は50倍として観察した。図14に薄板の表面プロファイルを示す。表裏面20と傾斜面30とがなす角部に厚み方向に突出したバリは確認されず、このことから、本発明による薄板を積層した積層鉄心では、層間での電気的短絡が発生しにくく、容易に積層鉄心の損失を低減できることが分かる。
1 Fe基軟磁性非晶質合金の薄板
5、10 積層鉄心
6 凸部
7 円環部
18 パンチ
19 ダイ
20 薄板の表裏面
25 薄板の側面
30 薄板の傾斜面
85 延性破壊による破断面
120 バリ
131 ダレ
135 せん断面
138 破断面
200 樹脂層
260 固定子巻線
280 回転電機
290 永久磁石
300 Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯が巻かれたスプール
301 Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯
305 非金属の薄帯の巻かれたスプール
306 非金属の薄帯
350 ダイカットロール
351 押切刃
355 アンビルロール
360 加工後のFe基軟磁性非晶質合金の薄帯が巻かれたスプール
370 加工後の薄板を回収する容器

Claims (7)

  1. 積層鉄心用のFe基軟磁性非晶質合金の薄板であって、
    前記薄板は相対する表裏面と側面を有し、厚みが10〜50μmであり、
    前記側面は、表裏面側のそれぞれから薄板の厚さ方向に対して傾斜する破断面を有し、薄板の厚さ方向の断面にて端部に向かって先細ったV字形状である、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板。
  2. 請求項1に記載のFe基軟磁性非晶質合金の薄板であって、
    前記破断面は延性破壊による破断面である、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板。
  3. 請求項1または2に記載のFe基軟磁性非晶質合金の薄板であって、
    前記薄板の全ての側面がV字形状である、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のFe基軟磁性非晶質合金の薄板であって、
    前記薄板の外縁となるV字形状の端部から内側に5μm以上の距離Lの間の領域が破断面である、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のFe基軟磁性非晶質合金の薄板が重ねられた、積層鉄心。
  6. 請求項5に記載の積層鉄心を固定子または回転子に用いた回転電機。
  7. 請求項1から3のいずれかに記載のFe基軟磁性非晶質合金の薄板の製造方法であって、
    Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯と厚みが10〜150μmの非金属の薄帯とを重ね、
    前記Fe基軟磁性非晶質合金の薄帯を非金属の薄帯とともに、ロータリーダイカッターまたはトムソン刃で押切る、Fe基軟磁性非晶質合金の薄板の製造方法。


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