JP2021158039A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】レート特性及びサイクル耐久性に優れるリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池であって、非水電解液が、非水溶媒、電解質、及び添加剤を含み、添加剤が、リチウムイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ジフルオロリン酸イオン、及びエチレンカーボネート分子を含み、かつ、示差走査熱量測定において、単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークAが190℃〜210℃の温度範囲内に発現し、かつ、単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークBが280℃〜300℃の温度範囲内に発現する錯化合物を含む、リチウムイオン二次電池。【選択図】なし

Description

本開示は、リチウムイオン二次電池に関する。
従来より、リチウムイオン二次電池の非水電解液中にジフルオロリン酸リチウムを添加剤として含むリチウムイオン二次電池が知られている。
例えば、特許文献1には、リチウムイオン二次電池を保存する場合に自己放電を抑制し、充電後の保存特性を向上させる優れた非水系電解液として、有機溶媒と溶質とを含有する電解液が開示されている。この電解液は、有機溶媒が、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の添加剤を含有している。
特許第3439085号公報
しかしながら、ジフルオロリン酸リチウムなどのフルオロリン酸系化合物を添加した非水電解液を用いる上記従来のリチウムイオン二次電池にあっても、レート特性やサイクル耐久性の向上には更なる改善の余地があった。
また、非水電解液中のフルオロリン酸系化合物の構造や状態については、未だ十分に解明されているとは言い難かった。
本開示の一態様の目的は、レート特性及びサイクル耐久性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムとエチレンカーボネートを適切に混合使用することにより生成した特定構造を有する錯化合物を添加剤として含む非水電解液を用いることにより、優れた電池特性が実現でき、上記目的が達成できることを見出し、本開示のリチウムイオン二次電池を完成するに至った。
即ち、上記課題を解決するための手段には、以下の態様が包含される。
<1> 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記非水電解液が、非水溶媒、電解質、及び添加剤を含み、
前記添加剤が、リチウムイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ジフルオロリン酸イオン、及びエチレンカーボネート分子を含み、かつ、示差走査熱量測定において、単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークAが190℃〜210℃の温度範囲内に発現し、かつ、単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークBが280℃〜300℃の温度範囲内に発現する錯化合物を含む、
リチウムイオン二次電池。
<2> 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記非水電解液が、非水溶媒、電解質、及び添加剤を含み、
前記非水溶媒が、ジメチルカーボネートであるDMC、エチルメチルカーボネートであるEMC、及びジエチルカーボネートであるDECからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記添加剤が、ヘキサフルオロリン酸リチウムであるLiPFからなるLiPF部位と、ジフルオロリン酸リチウムであるLiDFPからなるLiDFP部位と、エチレンカーボネートであるECからなるEC部位と、を含む錯化合物を含み、
前記非水電解液は、前記錯化合物中の前記LiPF部位、前記LiDFP部位、及び前記EC部位を、それぞれ、LiPF、LiDFP、及びECとして算入した場合に、体積比〔EC:(DMC、EMC及びDEC)〕が30:70となり、LiDFPの含有量が、非水電解液の全量に対して0.4質量%となり、LiPFの濃度が1mol/Lとなるように組成を調整した場合に、電気伝導度が10.55mScm−1以下である、
リチウムイオン二次電池。
本開示の一態様によれば、レート特性及びサイクル耐久性に優れるリチウムイオン二次電池が提供される。
本開示のリチウムイオン二次電池の一実施形態を示す断面図である。 特定添加剤などのDSC測定結果を示すグラフである。 ECの体積比と電気伝導度の関係を示すグラフである。 リチウムイオン二次電池の正極表面と負極表面のXPS分析スペクトルである。 (a)は、実施例4のリチウムイオン二次電池の正極活物質の断面のTEM像、(b)は、比較例7のリチウムイオン二次電池の正極活物質断面のTEM像である。 (a)は、実施例4のリチウムイオン二次電池の正極活物質中の酸素の透過電子エネルギー損失を示すスペクトル図、(b)は、比較例7のリチウムイオン二次電池の正極活物質中の酸素の透過電子エネルギー損失を示すスペクトル図である。 電池のサイクル特性を示すグラフである。 初期のCレートと放電容量維持率の関係を示すグラフである。 サイクル試験後のCレートと放電容量維持率の関係を示すグラフである。 初期とサイクル試験後の電池抵抗増加率を示すグラフである。 初期のナイキストプロットである。 サイクル試験後のナイキストプロットである。
本開示において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
〔リチウムイオン二次電池〕
本開示の第1態様のリチウムイオン二次電池は、
正極と、負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池であって、
非水電解液が、非水溶媒、電解質、及び添加剤を含み、
添加剤が、リチウムイオン(即ち、Li)、ヘキサフルオロリン酸イオン(即ち、PF )、ジフルオロリン酸イオン(即ち、PF )、及びエチレンカーボネート分子(以下、「EC分子」ともいう)を含み、かつ、示差走査熱量測定において、単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークAが190℃〜210℃の温度範囲内に発現し、かつ、単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークBが280℃〜300℃の温度範囲内に発現する錯化合物を含む、
リチウムイオン二次電池である。
本開示の第2態様のリチウムイオン二次電池は、
正極と、負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
非水電解液が、非水溶媒、電解質、及び添加剤を含み、
非水溶媒が、ジメチルカーボネートであるDMC、エチルメチルカーボネートであるEMC、及びジエチルカーボネートであるDECからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
添加剤が、ヘキサフルオロリン酸リチウムであるLiPFからなるLiPF部位と、ジフルオロリン酸リチウムであるLiDFP(即ち、LiPF)からなるLiDFP部位と、エチレンカーボネートであるECからなるEC部位と、を含む錯化合物を含み、
非水電解液は、錯化合物中のLiPF部位、LiDFP部位、及びEC部位を、それぞれ、LiPF、LiDFP、及びECとして算入した場合に、体積比〔EC:(DMC、EMC及びDEC)〕が30:70となり、LiDFPの含有量が、非水電解液の全量に対して0.4質量%となり、LiPFの濃度が1mol/Lとなるように組成を調整した場合に、電気伝導度が10.55mScm−1以下である、
リチウムイオン二次電池である。
本開示の第1態様及び第2態様のリチウムイオン二次電池(以下、単に、「本開示のリチウムイオン二次電池」ともいう)は、レート特性及びサイクル耐久性に優れる。
各態様のリチウムイオン二次電池は、別の態様で規定する要件を満たすものであってもよい。
例えば、第1態様のリチウムイオン二次電池は、第2態様のリチウムイオン二次電池の要件を満たすものであってもよい。
本開示のリチウムイオン二次電池(即ち、第1態様及び第2態様のリチウムイオン二次電池)において、上記効果が奏される理由は明らかではないが、PF を含む錯化合物を非水電解液に添加した場合には、かかる錯化合物の構造が非水電解液中においても安定的に維持され、この錯化合物が、リチウムイオン二次電池の初期及び充放電サイクル後の電池抵抗の低減に寄与すると考えられる。その結果、リチウムイオン二次電池のレート特性及びサイクル特性が向上すると考えられる。
本開示のリチウムイオン二次電池において、非水電解液中における添加剤としての錯化合物は、リチウムイオン二次電池を製造する前の非水電解液に予め添加(即ち、含有)されていたものであってもよい。即ち、上記錯化合物を含有する非水電解液を用い、本開示のリチウムイオン二次電池を製造してもよい
また、本開示のリチウムイオン二次電池において、非水電解液中における添加剤としての錯化合物は、リチウムイオン二次電池を製造した後、リチウムイオン二次電池中の非水電解液に対して添加されたものであってもよい。例えば、まず、本開示の錯化合物を含有しない非水電解液を用いてリチウムイオン二次電池を製造し、次いで、製造されたリチウムイオン二次電池の非水電解液中に上記錯化合物を添加することにより、本開示のリチウムイオン二次電池を製造してもよい。また、まず、上記錯化合物を含有する非水電解液を用いてリチウムイオン二次電池を製造し、次いで、製造されたリチウムイオン二次電池の非水電解液中に対し上記錯化合物を更に添加することにより、本開示のリチウムイオン二次電池を製造してもよい。
以下、本開示の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の一例について、図1を参照しながら説明するが、本開示のリチウムイオン二次電池は、以下の一例には限定されない。
図1は、本開示の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の一例である、リチウムイオン二次電池1を示す概略断面図である。
リチウムイオン二次電池1は、積層型のリチウムイオン二次電池の一例である。
本開示の実施形態に係るリチウムイオン二次電池としては、この積層型のリチウムイオン二次電池以外にも、例えば、正極、セパレータ、負極、及びセパレータをこの順の配置で重ねて層状に捲回させた構造を有する、捲回型のリチウムイオン二次電池も挙げられる。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池1は、正極リード21及び負極リード22が取り付けられた電池素子10を含む。リチウムイオン二次電池1は、電池素子10がラミネートフィルムで形成された外装体30の内部に封入された構造を有している。
このリチウムイオン二次電池1において、正極リード21と負極リード22は、それぞれ外装体30の内部から外部に向かって互いに反対の方向に導出されている。
正極リード21及び負極リード22は、溶接(例えば、超音波溶接、抵抗溶接等)により、正極集電体及び負極集電体に接続され得る。
なお、図示しないが、正極リード及び負極リードが、外装体30の内部から外部に向かって、同一方向に導出されていてもよい。
本一例において、電池素子10は、薄板状の正極集電体11Aの両方の主面(即ち、おもて面及びうら面)上に正極合材層11Bが形成されてなる正極11と、セパレータ13と、薄板状の負極集電体12Aの両方の主面(即ち、おもて面及びうら面)上に負極合材層12Bが形成されてなる負極12と、が積層された構造を有している(図1参照)。
この構造において、正極11の正極集電体11Aの片方の主面上に形成された正極合材層11Bと、正極11に隣接する負極12の負極集電体12Aの片方の主面上に形成された負極合材層12Bと、がセパレータ13を介して向き合っている。
リチウムイオン二次電池1の外装体30の内部には、本開示の非水電解液(不図示)が注入されている。この非水電解液が、正極合材層11B、セパレータ13及び負極合材層12Bに含浸されて、1つの単電池層14が形成されている。
リチウムイオン二次電池1では、この単電池層14が複数積層されることにより、これら複数の単電池層14が電気的に並列接続されている。
以下、本開示のリチウムイオン二次電池の各要素について説明する。
<非水電解液>
上記非水電解液は、非水溶媒と、電解質と、添加剤と、を含む。
(添加剤)
第1態様における添加剤は、Li、PF 、PF 、及びEC分子を含む錯化合物であって、示差走査熱量測定において、単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークAが190℃〜210℃の温度範囲内に発現し、かつ、単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークBが280℃〜300℃の温度範囲内に発現する錯化合物を含む。
第1態様における錯化合物中のEC分子は、錯化合物の構造を安定的に維持することに寄与していると考えられる。
第1態様における錯化合物の一例として、Li及びPF からなるLiPF部位と、Li及びPF からなるLiDFP部位と、複数のEC分子と、を含む錯化合物(即ち、第2態様における錯化合物)が挙げられる。この一例におけるEC分子の好ましい量は、モル比〔EC/PF 〕として後述する。
本一例に係る錯化合物の形態は、乾燥した粉粒体状ではなく、ゾル状であり得る。
−発熱ピークA及び発熱ピークB−
第1態様における錯化合物について示差走査熱量(DSC)測定を実施すると、
単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークAが190℃〜210℃の範囲内で発現し、かつ、
単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークBが280℃〜300℃の範囲内で発現する。
第1態様におけるDSC測定は、熱流速型の示差走査熱量計(例えば、日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC7000X」)を用い、昇温速度5℃/分、測定温度範囲40℃〜340℃の条件で行う示差走査熱量測定を意味する。
発熱ピークAの半値全幅(Full Width Half Maximum;FWHM)は、測定の分解能にもよるが、例えば30℃以下である。
発熱ピークBのFWHMは、分解能にもよるが、例えば50℃以下であり、好ましくは45℃以下である。
発熱ピークAは、主にLiPF部位の熱分解に起因しており、発熱ピークBはLiDFP部位及びEC分子の熱分解に起因していると考えられる。
即ち、発熱ピークA及び発熱ピークBの双方が発現する現象は、LiPF部位とLiDFP部位とEC分子とを含む錯化合物に特有の現象である。
ここで、発熱ピークAは、LiPF部位及びEC分子のみからなる錯化合物においては発現せず、また、LiDFP部位及びEC分子のみからなる錯化合物においても発現しない(例えば、後述の図2参照)。
−モル比〔PF /PF 〕−
第1態様における錯化合物において、モル比〔PF /PF 〕(即ち、ジフルオロリン酸イオンに対するヘキサフルオロリン酸イオンのモル比)は、錯化合物の安定性の観点から、好ましくは0.95〜1.05である。
−モル比〔EC/PF 〕)−
第1態様における錯化合物において、モル比〔EC/PF 〕(即ち、ジフルオロリン酸イオンに対するエチレンカーボネート分子のモル比)は、錯化合物の安定性の観点から、好ましくは10〜50であり、より好ましくは18〜50であり、更に好ましくは20〜40であり、更に好ましくは25〜35である。
モル比〔EC/PF 〕が10以上である場合には、調製された非水電解液において、錯化合物の安定性がより向上し、その結果、リチウムイオン二次電池の初期及び充放電サイクル後の電池抵抗を低減させる効果がより効果的に発現される。
モル比〔EC/PF 〕が50以下である場合には、錯化合物から非水電解液に持ち込まれるEC量がある程度制限されるので、非水電解液中の溶媒組成の制約がより少なくなる。
−モル比〔Li/PF 〕−
第1態様における錯化合物において、モル比〔Li/PF 〕(即ち、ジフルオロリン酸イオンに対するリチウムイオンのモル比)は、錯化合物の安定性の観点から、好ましくは1.95〜2.05である。
以上で説明した第1態様における錯化合物を製造する方法には特に制限はないが、後述する製法Aが好適である。
−第1態様における錯化合物の製造方法の一例(製法A)−
次に、リチウムイオン(Li)と、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )と、ジフルオロリン酸イオン(PF )と、エチレンカーボネート分子(EC分子)と、を含む錯化合物(以下、「錯化合物A」とする)の製造方法の一例(以下、「製法A」とする)について説明する。
錯化合物Aは、Liと、PF と、PF と、EC分子と、を含むこと以外に特に限定はない。
かかる錯化合物Aの範囲には、前述した本開示の錯化合物(即ち、DSC測定において、発熱ピークAが190℃〜210℃の範囲内で発現し、かつ、発熱ピークBが280℃〜300℃の範囲内で発現する錯化合物)も包含される。但し、錯化合物Aは、前述した本開示の錯化合物であることには限定されない(即ち、発熱ピークA及び発熱ピークBを発現することには限定されない)。
製法Aは、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)と、ジフルオロリン酸リチウム(LiDFP)と、エチレンカーボネート(EC)と、沸点150℃以下の有機溶剤Aと、を混合し、錯化合物A及び有機溶剤Aを含む混合物を得る工程と、
混合物から有機溶剤Aを除去して錯化合物Aを得る工程と、
を含む。
製法Aは、必要に応じ、その他の工程を含んでいてもよい。
−混合物を得る工程−
混合物を得る工程は、LiPFと、LiDFPと、ECと、沸点150℃以下の有機溶剤Aと、を混合し、錯化合物A(即ち、Liと、PF と、PF と、EC分子と、を含む錯化合物A)及び有機溶剤Aを含む混合物を得る工程である。
混合物を得る工程において、
LiDFPに対するLiPFの仕込みモル比(即ち、仕込みモル比〔LiPF/LiDFP〕)は、0.95〜1.05であり、
LiDFPに対するに対するECの仕込みモル比(即ち、仕込みモル比〔EC/LiDFP〕)は、10〜50である。
仕込みモル比〔LiPF/LiDFP〕が0.95〜1.05であることにより、安定性に優れた錯化合物Aが形成される。
仕込みモル比〔EC/LiDFP〕が10〜50であることにより、安定性に優れた錯化合物Aが得られ、かつ、非水電解液の溶媒組成の制約がより少なくなる。
仕込みモル比〔EC/LiDFP〕は、好ましくは18〜50であり、より好ましくは20〜40であり、更に好ましくは25〜35である。
有機溶剤Aとしては、沸点150℃以下の有機溶剤であれば特に制限はないが、好ましくはカーボネートであり、より好ましくは鎖状カーボネートである。
有機溶剤Aは、更に好ましくは、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、及びエチルメチルカーボネート(EMC)からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
この場合、有機溶剤Aの全量中に占める、DMC、DEC及びEMCの合計量の割合は、好ましくは50質量%〜100質量%であり、より好ましくは60質量%〜100質量%であり、更に好ましくは80質量%〜100質量%である。
混合物を得る工程において、エチレンカーボネートに対する有機溶剤Aの仕込みモル比(以下、「仕込みモル比〔有機溶剤A/EC〕」ともいう)は、好ましくは0.2〜1.5である。
仕込みモル比〔有機溶剤A/EC〕が0.2以上である場合には、ECがより溶解しやすくなり、その結果、錯化合物Aの形成性がより向上する。
仕込みモル比〔有機溶剤A/EC〕が1.5以下である場合には、後述の錯化合物Aを得る工程において、有機溶剤Aをより除去しやすく、その結果、錯化合物A中に有機溶剤Aが不純物として残存することがより抑制される。
−錯化合物Aを得る工程−
錯化合物Aを得る工程は、上記混合物から有機溶剤Aを除去して錯化合物Aを得る工程である。
上記混合物から有機溶剤Aを除去する方法としては、特に限定されるものではなく、乾燥(凍結乾燥、自然乾燥、加熱乾燥、等)、ろ過、デカンテーションなどの公知の方法を例示できる。この中でも、錯化合物を速やかに且つ安定的に取り出す観点からは凍結乾燥が好ましい。
本開示の非水電解液中における上記錯化合物の含有量は、適宜調整できる。
本開示の非水電解液が上記錯化合物を含む場合、上記錯化合物中のLiDFP部位の含有量(即ち、LiDFP量に換算された錯化合物の含有量)は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.1質量%〜2.0質量%であり、より好ましくは0.2質量%〜1.0質量%である。
LiDFP部位の含有量が0.1質量%以上である場合、錯化合物の効果がより効果的に発揮される。
LiDFP部位の含有量が2.0質量%以下である場合、非水電解液の電気伝導度がより低減される。
(電解質)
電解質としてはリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、例えば;
ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、ヘキサフルオロタンタル酸リチウム(LiTaF)、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl)、リチウムデカクロロデカホウ素酸(Li10Cl10)等の無機酸陰イオン塩;
トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li(CFSON)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(Li(CSON)等の有機酸陰イオン塩;
等が挙げられる。
中でも、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)が好ましい。
本開示における非水電解液は、リチウム塩を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本開示における非水電解液における電解質の濃度は、0.1mol/L〜3mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜2mol/Lがより好ましい。
また、本開示の非水電解液におけるLiPFの濃度は、0.1mol/L〜3mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜2mol/Lがより好ましい。
電解質の濃度が0.1mol/L以上である場合には、電池の性能及び寿命特性がより向上する。
電解質の濃度が3mol/L以下である場合には、低温下での電池の性能がより向上する。
(非水溶媒)
非水溶媒としては、例えば、環状カーボネート類、含フッ素環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、含フッ素鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、含フッ素脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ラクトン類、含フッ素γ−ラクトン類、環状エーテル類、含フッ素環状エーテル類、鎖状エーテル類及び含フッ素鎖状エーテル類からなる群より選ばれる少なくとも1種の非水溶媒を用いることができる。
環状カーボネート類としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)等が挙げられる。
含フッ素環状カーボネート類としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等が挙げられる。
鎖状カーボネート類としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等も挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等が挙げられる。
γ−ラクトン類としては、例えば、γ−ブチロラクトンが挙げられる。
環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが挙げられる。
鎖状エーテル類としては、例えば、1,2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンが挙げられる。
その他にも、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類が挙げられる。
これらの溶剤種は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート類及び鎖状カーボネート類の割合は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート類及び鎖状カーボネート類の割合は、100質量%であってもよい。
本開示における非水電解液中に占める非水溶媒の割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。
本開示における非水電解液中に占める非水溶媒の割合の上限は、他の成分(電解質、添加剤等)の含有量にもよるが、上限は、例えば99質量%であり、好ましくは97質量%であり、更に好ましくは90質量%である。
上述した本開示の非水電解液は、特に、リチウムニッケルコバルトマンガン系酸化物(NCM)である正極活物質を含む正極を備えるリチウムイオン二次電池における非水電解液として、好適に用いることができる。
リチウムニッケルコバルトマンガン系酸化物(NCM)については後述する。
リチウムニッケルコバルトマンガン系酸化物(NCM)である正極活物質を含むリチウムイオン二次電池では、EC等を含む非水電解液の分解に起因してNiが非水電解液中に溶出しやすい。Niの溶出により、正極活物質の結晶構造が変化し、Liの挿入脱離が高抵抗化し、その結果、初期及び充放電サイクル後の電池抵抗が増加しやすい。
かかるリチウムイオン二次電池の非水電解液として、本開示の非水電解液を用いた場合には、上記正極活物質の表面に、上記錯化合物によって良質なSEI(Solid Electrolyte Interface)膜が形成され、その結果、上述した問題(初期及び充放電サイクル後の電池抵抗の増加)が改善される。
(非水電解液の作製)
以上の非水電解液は、原則として、各成分、即ち、非水溶媒、電解質、及び錯化合物(及び、必要に応じてその他の成分)を混合することによって、製造することができる。
なお、上述のように、上記添加剤は、電池に充填する前の非水電解液に混入できるのは勿論であるが、電池作製後に、電池に充填された非水電解液に上記添加剤を混入することも可能である。
<正極>
本開示のリチウムイオン二次電池は、正極を備える。
正極は、正極集電体及び正極合材層を含み得る。
正極合材層は、正極集電体の片面のみに設けられていてもよいし、正極集電体の両面に設けられていてもよい。
例えば、上記一例における正極11は、正極集電体11Aの片面又は両面に、正極合材層11Bが設けられた構成を有する。
正極合材層は、正極活物質及びバインダーを含む。正極合材層は、更に、導電助剤を含むことが好ましい。
正極集電体としては、導電性を有する各種材料を使用することができるが、例えば、金属製又は合金製のものが用いられる。
具体的には、正極集電体として、アルミニウム(即ち、純アルミニウム又はアルミニウム合金)、ニッケル、SUS等が挙げられる。中でも、導電性の高さとコストとのバランスの観点から、アルミニウムが好ましい。
正極集電体として、特に好ましくは、アルミニウム箔である。
アルミニウム箔としては特に限定されないが、A1085材、A3003材、等が挙げられる。
正極合材層の厚みは、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上である。
また、正極合材層の厚みは、200μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。
正極合材層の厚みが上記範囲である場合には、高い充放電レートでの充放電に対し、リチウムの十分な吸蔵・放出機能が実現されやすい。
以下、正極合材層に含有され得る、正極活物質、導電助材、及びバインダーについて説明する。
−正極活物質−
正極活物質としては、リチウムの吸蔵放出が可能な材料であれば特に限定されず、リチウムイオン二次電池に通常用いられる正極活物質を用いることができる。
正極活物質として、好ましくは、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素として含む酸化物である。
上記酸化物は、リチウム及びニッケル以外の金属元素(例えば、遷移金属元素、典型金属元素等)を少なくとも一種含んでいてもよい。この場合、リチウム及びニッケル以外の金属元素の含有割合は、原子数換算で、ニッケルと同程度またはニッケルよりも少ない割合で含むことが好ましい。
Li及びNi以外の金属元素としては、例えば、Co、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ca、Na、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、La及びCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素が挙げられる。
これらの正極活物質は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
好ましい正極活物質としては、下記式(1)で表されるリチウムニッケルコバルトアルミニウム系酸化物(NCA)が挙げられる。
LiNi1−x−yCoAl … 式(1)
〔式(1)中、tは、0.95以上1.15以下であり、xは、0以上0.3以下であり、yは、0以上0.2以下であり、x及びyの合計は、0.5未満である。〕
NCAの具体例としては、LiNi0.8Co0.15Al0.05等が挙げられる。
好ましい正極活物質としては、下記式(2)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン系酸化物(NCM)も挙げられる。
LiNiCoMn … 式(2)
〔式(2)中、a、b及びcは、それぞれ独立に、0超1未満であり、かつ、a、b及びcの合計は、0.99〜1.00である。〕
NCMは体積当たりのエネルギー密度が高く、熱安定性にも優れている。
NCMの具体例としては、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.8Co0.1Mn0.1等が挙げられる。
正極合材層中の正極活物質の含有量は、例えば10質量%以上、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。
また、正極合材層中の正極活物質の含有量は、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。
−導電助剤−
正極合材層は、導電助材を含むことが好ましい。
導電助材としては、公知の導電助材を使用することができる。
正極合材層中に含まれ得る導電助材の具体例及び好ましい態様は、負極合材層中に含まれ得る導電助材の具体例及び好ましい態様と同様である。
−バインダー−
バインダーとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂、及びゴム粒子等が挙げられる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。
ゴム粒子としては、スチレン−ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。
これらの中でも、正極合材層の耐酸化性を向上させる観点から、フッ素樹脂が好ましい。
バインダーは1種を単独で使用でき、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
−その他の成分−
正極合材層には、上記各成分に加えて、その他の成分が含まれていてもよい。
その他の成分としては、増粘剤、界面活性剤、分散剤、濡れ剤、および消泡剤等が挙げられる。
−正極合材層の形成方法−
正極合材層は、例えば、正極活物質及びバインダーを含む正極合材スラリーを正極集電体の表面に塗布し、乾燥させることによって製造することができる。
正極合材スラリーに含まれる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶媒が好ましい。
正極合材層の形成方法の好ましい態様は、前述した、負極合材層の形成方法の好ましい態様と同様である。
<負極>
本開示のリチウムイオン二次電池は、負極を備える。
負極は、負極集電体及び負極合材層を含み得る。
負極合材層は、負極集電体の片面のみに設けられていてもよいし、負極集電体の両面に設けられていてもよい。
例えば、上記一例における負極12は、負極集電体12Aの片面又は両面に、負極合材層12Bが設けられた構成を有する。
負極合材層は、負極活物質及びバインダーを含む。負極合材層は、更に、導電助剤を含むことが好ましい。
負極集電体としては、導電性を有すればよく、各種のものを使用することができるが、例えば、金属製又は合金製のものが用いられる。
具体的には、負極集電体として、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。中でも、導電性の高さとコストとのバランスの観点から、アルミニウム又は銅が好ましい。
ここで、「アルミニウム」は、純アルミニウム及びアルミニウム合金を意味し、「銅」は、純銅又は銅合金を意味する。
負極集電体としては、銅箔が特に好ましく用いられる。銅箔としては特に限定されないが、圧延銅箔、電解銅箔、等が挙げられる。
負極合材層の厚みは、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上である。
また、負極合材層の厚みは、200μm以下とすることが好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。
負極合材層の厚みが上記範囲にすれば、高い充放電レートでの充放電に対し、リチウムの十分な吸蔵・放出機能が実現しやすい。
上述の負極合材層は、負極活物質、導電助材及びバインダーを含み得る。
−負極活物質−
負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、および、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
これらの中でもリチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。
上記炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(例えば、人造黒鉛、天然黒鉛等)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。
上記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状いずれの形態であってもよい。
上記炭素材料の粒径は特に限定されないが、例えば5μm〜50μm、好ましくは20μm〜30μmである。
非晶質炭素材料として、具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)などが例示される。
黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。
人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。
黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができる。
黒鉛材料としては、金、白金、銀、銅、及びスズなどの金属で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
−導電助材−
負極合材層は、導電助材を含むことが好ましい。
導電助材としては、公知の導電助材を使用することができる。
公知の導電助材としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上を併せて使用することができる。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック(登録商標)#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックス(登録商標)L等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven(登録商標)7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex(登録商標) SC ULTRA、Conductex 975ULTRA等、PUER BLACK(登録商標)100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH(商品名)1400、1300、900、Vulcan(登録商標)XC−72R、BlackPearls(登録商標)2000、LITX(登録商標)−50、LITX−200等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco(登録商標)250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラック(登録商標)EC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック(登録商標)、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等が挙げられる。
グラファイトとしては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛(例えば、燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
−バインダー−
バインダーとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロースから選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
負極合材層用のバインダーとしては、スチレンブタジエンゴムとカルボキシメチルセルロースを適宜混合したものを用いることが望ましい。
負極合材層中におけるバインダーの含有量は、負極合材層の物性(電解液浸透性・剥離強度)と電池性能との両立の観点から、負極合材層に対し、0.1質量%〜4質量%であることが好ましい。
バインダーの含有量が0.1質量%以上である場合には、負極集電体に対する負極合材層の接着性、及び、負極活物質同士の結着性がより向上する。
バインダーの含有量が4質量%以下である場合には、負極合材層中における負極活物質の量をより多くすることができるので、電池容量がより向上する。
−その他の成分−
負極合材層には、上記各成分に加えて、その他の成分が含まれていてもよい。
その他の成分としては、増粘剤、界面活性剤、分散剤、濡れ剤、消泡剤等が挙げられる。
−負極合材層の形成方法−
負極合材層は、例えば、負極活物質及びバインダーを含む負極合材スラリーを負極集電体の表面に塗布し、乾燥させることによって製造することができる。
負極合材スラリーに含まれる溶媒としては、水を使用することが好ましいが、必要に応じて、例えば、集電体への塗工性向上のために、水と相溶する液状媒体を使用してもよい。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられる。
負極集電体への負極合剤スラリーの塗布方法及び乾燥方法は特に限定されない。
塗布方法としては、例えば、スロット・ダイコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、グラビアコーティング等が挙げられる。
乾燥方法としては、温風、熱風及び低湿風による乾燥;真空乾燥;赤外線(例えば遠赤外線)照射による乾燥が挙げられる。
乾燥時間及び乾燥温度については、特に限定されないが、乾燥時間は例えば1分〜30分であり、乾燥温度は例えば40℃〜80℃である。
負極合材層の製造方法は、負極集電体上に負極合剤スラリーを塗布し、乾燥させた後、金型プレス、ロールプレス等を用いた加圧処理により、負極活物質層の空隙率を低くする工程を有することが好ましい。
<セパレータ>
本開示のリチウムイオン二次電池は、セパレータを備える。
セパレータ(例えば、上記一例におけるセパレータ13)は、正極と負極との間に配置される。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂を含む多孔質の平板が挙げられる。また、セパレータとしては、上記樹脂を含む不織布も挙げられる。
好適例として、一種または二種以上のポリオレフィン樹脂を主体に構成された単層または多層構造の多孔性樹脂シートが挙げられる。
セパレータの厚みは、例えば15μm〜30μmとすることができる。
好ましい一態様として、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる多孔性樹脂層を備えた、シャットダウン機能を有するセパレータが挙げられる。この態様によれば、セパレータの温度が熱可塑性樹脂の軟化点に達すると熱可塑性樹脂が融解して細孔が目詰まりすることにより電流を遮断することができる。
本開示の実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正極活物質の表面上及び負極活物質の表面上の少なくとも一方に、本開示の錯化合物に由来するSEI被膜を含むことが好ましい。
かかるSEI被膜によって、リチウムイオン二次電池の初期又は充放電サイクル後の電池抵抗の増大を有意に抑制することができる。
<電気伝導度(第2態様)>
本開示の第2態様のリチウムイオン二次電池は、
非水電解液が、非水溶媒、電解質、及び添加剤を含み、
非水溶媒が、ジメチルカーボネートであるDMC、エチルメチルカーボネートであるEMC、及びジエチルカーボネートであるDECからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
添加剤が、ヘキサフルオロリン酸リチウムであるLiPFからなるLiPF部位と、ジフルオロリン酸リチウムであるLiDFP(即ち、LiPF)からなるLiDFP部位と、エチレンカーボネートであるECからなるEC部位と、を含む錯化合物を含み、
錯化合物中のLiPF部位、LiDFP部位、及びEC部位を、それぞれ、LiPF、LiDFP、及びECとして算入した場合に、体積比〔EC:(DMC、EMC及びDEC)〕が30:70となり、LiDFPの含有量が、非水電解液の全量に対して0.4質量%となり、LiPFの濃度が1mol/Lとなるように非水電解液の組成を調整した場合に、電気伝導度が10.55mScm−1以下である、
リチウムイオン二次電池である。
上記電気伝導度が10.55mScm−1以下であることは、上述した錯化合物の構造が非水電解液中においても安定的に維持されていることを意味する。
第2態様のリチウムイオン二次電池は、上記電気伝導度が10.55mScm−1以下であることにより、リチウムイオン二次電池のレート特性及びサイクル特性が向上する。
上記電気伝導度の下限としては、例えば、10.00mScm−1、10.10mScm−1、10.10mScm−1、又は10.30mScm−1である。
第2態様における非水電解液は、体積比〔EC:(DMC、EMC及びDEC)〕が30:70であり、LiDFPの含有量が非水電解液の全量に対して0.4質量%であり、LiPFの濃度が1mol/Lであることには限定されない。
具体的には、第2態様における非水電解液は、体積比〔EC:(DMC、EMC及びDEC)〕が30:70となり、LiDFPの含有量が非水電解液の全量に対して0.4質量%となり、LiPFの濃度が1mol/Lとなるように組成を調整した際に、電気伝導度が10.55mScm−1以下であればよい。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
なお、特記しない限り、「室温」は25℃を意味し、「%」は質量%を意味する。また、「wt%」は「質量%」と同義である。
[実施例1]
<錯化合物(以下、「特定添加剤」ともいう)の作製>
(EC/LiPF/LiDFP=1.2/0.04/0.04(モル比))
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、及び排気ラインを備えた100mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、エチレンカーボネート(EC)(105.672g;1.20mol)と、有機溶剤Aとしてのジメチルカーボネート(DMC)(135.120g;1.50mol)と、を入れ、室温で攪拌することにより、ECを溶解させて溶液を得た。
得られた溶液に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)(6.076g;0.04mol)及びジフルオロリン酸リチウム(LiDFP)(4.316g;0.04mol)を添加し、次いで室温で1時間撹拌することにより、反応液(即ち、特定添加剤及びDMCを含む混合物)を得た。
得られた反応液を、−5℃で12時間凍結乾燥させて有機溶剤A(DMC)を除去することにより、ゾル状物(116.06g)として、EC/LiPF/LiDFP=1.2/0.04/0.04(モル比)の組成を有する特定添加剤(即ち、錯化合物)を得た。
得られた特定添加剤について、日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC7000X」を用い、前述した条件にて示差走査熱量測定を行った。
結果を図2に示す。
[比較例1]
<比較化合物1の作製>
(EC/LiPF=1.2/0.04(モル比))
ジフルオロリン酸リチウム(LiDFP)(4.316g;0.04mol)を用いなかったこと以外は特定添加剤の作製と同様の操作を行い、固体生成物として、EC/LiPF=1.2/0.04(モル比)の組成を有する比較化合物1を得た。
得られた固体生成物について、特定添加剤と同様にして、示差走査熱量測定を行った。結果を図2に示す。
[比較例2]
<比較化合物2の作製>
(EC/LiDFP=1.2/0.04(モル比))
ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)(6.076g;0.04mol)を用いなかったこと以外は特定添加剤の作製と同様の操作を行い、固体生成物として、EC/LiPF=1.2/0.04(モル比)の組成を有する比較化合物2を得た。
得られた固体生成物について、特定添加剤と同様にして、示差走査熱量測定を行った。結果を図2に示す。
図2に示すように、特定添加剤(EC/LiPF/LiDFP=1.2/0.04/0.04)では、単位質量あたりの熱流量(mW/g)の極大値が200℃付近に存在する発熱ピーク(即ち、発熱ピークA)と、単位質量あたりの熱流量(mW/g)の極大値が287℃付近に存在する発熱ピーク(即ち、発熱ピークB)と、が観測された。
発熱ピークAの半値全幅(FWHM)は10℃程度であり、発熱ピークBの半値全幅(FWHM)は40℃程度であった。
発熱ピークAは、比較化合物1(EC/LiPF=1.2/0.04)及び比較化合物2(EC/LiDFP=1.2/0.04(モル比))では観測されなかった。
発熱ピークBは、比較化合物2(EC/LiDFP=1.2/0.04)では観測されなかった。
比較化合物1では、発熱ピークBに類似する293℃付近のピーク(FWHMは30℃程度)が観測された。この比較化合物1の293℃付近のピークと比較して、添加剤の発熱ピークBは、5℃程度低温側にシフトしており、かつ、よりブロードなピークであった。
以上の結果から、特定添加剤(EC/LiPF/LiDFP=1.2/0.04/0.04)は、EC、LiPF、及びLiDFPからなる錯化合物であり、EC、LiPF、及びLiDFPのうちの1つ又は2つからなる化合物とは異なる化学構造を有する化合物であることが示唆された。
<電解液の作製>
[実施例2]
非水溶媒としてのジメチルカーボネート(DMC)に実施例1で得た特定添加剤を加えた後において、電解質であるLiPFが1M−LiPFとなるように、上記特定添加剤から持ち込まれるLiPF量を除いた量のLiPFを溶解させ、且つ上記特定添加剤から持ち込まれるエチレンカーボネート(EC)が、最終電解液の溶媒組成において30vol.%EC[EC量(ml)/総溶媒量(ml)×100(vol.%)]となるように、EC量を除いた量のECを溶解させることにより、電解質と非水溶媒を含む調製用液を得た。
得られた調製用液に、LiPF、EC、及びDMCを加え、LiPFを1M、LiDFPを0.4wt%の割合で含む非水電解液1を作製した。
[実施例3]
上記調製用液に、LiPF、EC、及びDMCを加え、LiPFを1M、LiDFPを0.8wt%の割合で含む非水電解液2を得た。
特定添加剤に代えて比較化合物1を用いる他は実施例2と同様にして比較電解液調製用液を得た。
[比較例3]
得られた比較電解液調製用液に、LiPF、EC、DMC及びLiDFPを加え、LiPFを1M、LiDFPを0.4wt%の割合で含む比較非水電解液1を得た。
[比較例4]
上記比較電解液調製用液に、LiPF、EC、DMC及びLiDFPを加え、LiPF6を1M、LiDFPを0.8wt%の割合で含む比較非水電解液2を得た。
[比較例5]
上記比較電解液調製液に、LiPF、EC、DMCを加え、LiPFを1Mの割合で含む比較非水電解液3を得た。
上記非水電解液1、2、比較非水電解液1〜3について、非水溶媒のECとDMCとの体積比を変え、EC:DMC(体積比)5:95〜50:50の非水電解液とし、それぞれの電気伝導度を測定した。
測定結果を表1に示す。
また、ECの体積比率と電気伝導度との関係を示すグラフを図3に示す。
Figure 2021158039
実施例2と比較例3との比較、また実施例3と比較例4との比較から、非水電解液中においても錯化合物に含まれる過剰のECが解離せず、その構造を保っていることがわかる。
非水溶媒のEC:DMCの体積比が、25:75〜35:65であると電気伝導度が向上することがわかる。
[実施例4]
<リチウムイオン二次電池の作製>
以下の操作により、リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう)を作製した。
(負極の作製)
負極活物質としての天然黒鉛960g及び導電助材としてのSuper−P(導電性カーボン、BET比表面積62m/g)10gに対し、1%−CMC水溶液(即ち、カルボキシメチルセルロース(CMC)の1質量%水溶液)を450g加え、30分間混合した。
得られた混合物に対し、1%−CMC水溶液300gを加えて30分間混練した後、更に、1%−CMC水溶液250gを加えて30分間混練した。
得られた混練物に対し、バインダーとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)(40%乳化液)50gを加えて30分間混合した後、真空脱泡を30分間行った。
以上により、固形分濃度45%の負極合材スラリーを得た。
乾燥後の塗布質量が11.0mg/cmになるように、上記負極合材スラリーを、負極集電体としての銅箔(厚み10μm)の片面の一部に塗布し乾燥させた。次いで、銅箔の反対面(未塗工面)の一部に、塗布質量が11.0mg/cmになるように、上記負極合材スラリーを塗布し乾燥させた。
こうして得た両面塗工(22.0mg/cm)された銅箔を、真空乾燥オーブンで120℃、12時間乾燥させ、次いで、小型プレス機を用い、プレス密度が1.45g/cmとなるように圧縮することにより、負極原反を得た。
この負極原反は、負極集電体としての銅箔と、銅箔の両面に設けられた負極合材層と、を含む。銅箔の両面は、それぞれ、負極合材層が形成された領域と、負極合材層が形成されていない領域(即ち、余白)と、を含む。
上記負極原反をスリットすることにより、おもて面側に、58mm×372mmの負極合材層と、タブ溶接用余白と、を含み、裏面側に、58mm×431mmの負極合材層と、タブ溶接用余白と、を含む、負極A−1を得た。
(正極の作製)
正極活物質としてのNCM523(即ち、LiNi0.5Co0.2Mn0.3)920g、導電助材としてのSuper−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、及び導電助材としてのKS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、ここにN−メチルピロリドン(NMP)を100g加え、更に20分間混合した。
次いで、8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)150gを加えて、30分間混練した後、更に、上記8%−PVDF溶液150gを加えて30分間混練した。その後、上記8%−PVDF溶液200gを加えて30分間混練した。次いで、NMPに溶解した溶液を80g加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP27gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。
以上により、固形分濃度60%の正極合材スラリーを得た。
乾燥後の塗布質量が19.0mg/cmになるように、上記正極合材スラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔(厚み20μm、幅200mm)の片面の一部に塗布し乾燥させた。次いで、反対面(未塗工面)の一部に、同様に塗布質量が19.0mg/cmになるように、上記正極合材スラリーをアルミニウム箔に塗布し乾燥させた。
こうして得た両面塗工(38.0mg/cm)されたアルミニウム箔を、真空乾燥オーブンで130℃、12時間乾燥させ、次いで、小型プレス機を用い、プレス密度が2.9g/cmとなるように圧縮することにより、正極原反を得た。
この正極原反は、正極集電体としてのアルミニウム箔と、このアルミニウム箔の両面に設けられた正極合材層と、を含む。アルミニウム箔の両面は、それぞれ、正極合材層が形成された領域と、正極合材層が形成されていない領域(即ち、余白)と、を含む。
上記正極原反をスリットすることにより、おもて面側に、56mm×334mmの正極合材層と、タブ溶接用余白と、を含み、裏面側に、56mm×408mmの正極合材層と、タブ溶接用余白と、を含む、正極C−1を得た。
(電池の組み立て)
セパレータとしては、空隙率45%、厚み25μmのポリエチレン製多孔質膜(60.5mm×450mm)を用いた。
上記の負極A−1とセパレータと上記の正極C−1とセパレータとを、この順に重ねて捲回し、捲回体を得た。得られた捲回体をプレス成型し、成型体を得た。
次いで、上記成型体における正極C−1の余白部分にアルミニウム製の正極タブを超音波接合機で接合し、上記成型体における負極A−1の余白部分にニッケル製の負極タブを超音波接合機で接合した。正極タブ及び負極タブが接合された成型体をラミネートシートで挟み込み、三辺を加熱シールし、ラミネート体を得た。この際、ラミネート体における加熱シールされた一辺から正極タブ及び負極タブがはみ出すようにした。
次に、真空乾燥機を用い、真空引きを行いながら、上記ラミネート体を、70℃で12時間減圧乾燥させた。次に、真空引きを継続しながら、上記ラミネート体の内部に、残りの一辺から、実施例2の非水電解液1を注入し、次いで上記残りの一辺を加熱シールした。電解液の注入量は、4.7gとした。
以上により、電池(即ち、リチウムイオン二次電池)を得た。
(電池の活性化処理)
上記電池を、大気下、室温で24時間保持し、次いでこの電池に対し、以下の活性化処理を施した。
−活性化処理−
0.05Cで4時間定電流充電(0.05C−CC)し、次いで12時間休止した。
次に、0.1Cで4.2V(SOC100%)まで定電流定電圧充電(0.1C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.1Cで定電流放電(0.1C−CC)した。
次に、充放電サイクル(即ち、0.1C−CCCVで4.2Vまでの充電、及び、0.1C−CCで2.8Vまでの放電)を5回繰り返した。
次に、4.2V(SOC100%)の満充電にした状態で、室温で5日間保存した。
[比較例6]
実施例2の非水電解液1に代えて比較例3の比較非水電解液1を用いる他は実施例4と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。
[比較例7]
実施例2の非水電解液1に代えて比較例5の比較非水電解液3を用いる他は実施例4と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。
<電極活物質表面の解析>
活性化処理後の実施例4、比較例7のリチウムイオン二次電池の正極及び負極の表面をXPSにより元素分析を行った。XPS分析スペクトルを図4、XPS分析結果を表2、表3に示す。
Figure 2021158039
Figure 2021158039
図4から、実施例4のリチウムイオン二次電池は比較例7のリチウムイオン二次電池に比して、正極と負極の表面に低エネルギー側の(結合エネルギーが小さい)フッ素が多く存在していることから、錯化合物のジフルオロリン酸残基が電極表面で分解して皮膜を形成していると推測される。また、表2、3から、実施例4の電池は比較例7の電池に比して、リンを多く含有していることがわかる。
これらの結果から、電極活物質の表面は、ヘキサフルオロリン酸残基、ジフルオロリン酸残基及びエチレンカーボネート(EC)分子を配位子として形成された錯化合物又はその分解物の影響を受けていると推測される。
活性化処理後の実施例4、比較例6,7の電池に対して充放電サイクル処理を行った。
充放電サイクル処理は、室温で、0.1C−CCCVで4.2Vまでの充電、及び、0.1C−CCで2.8Vまでの放電を1サイクルとして100サイクル施し、4.2V(SOC100%)の満充電にした状態で、室温で5日間保存することにより行った。
充放電サイクル処理後の実施例4、比較例7のリチウムイオン二次電池の正極の断面TEM像を撮影し、正極活物質を表面から内部に掘りながらニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、及び酸素(O)の透過電子エネルギー損失分光を測定した。
充放電サイクル処理後の実施例4のリチウムイオン二次電池の正極の断面のTEM像を図5(a)、比較例7のリチウムイオン二次電池の正極の断面のTEM像を図5(b)に示す。
実施例4のリチウムイオン二次電池の正極活物質は、比較例7のリチウムイオン二次電池の正極活物質に比して、充放電サイクル処理による表面の変化部分(TEM像中、点線で示すコントラストが異なる部分)が小さいことがわかる。
また、充放電サイクル処理後の実施例4のリチウムイオン二次電池の正極活物質中の酸素の透過電子エネルギー損失を示すスペクトル図を図6(a)、充放電サイクル処理後の比較例7のリチウムイオン二次電池の正極活物質中の酸素の透過電子エネルギー損失を示すスペクトル図を図6(b)に示す。
図6に示す酸素のスペクトル図中、下側のスペクトルが活物質表面側、上側のスペクトルが活物質の内部側である。
図6に示すスペクトル中、矢印で示す箇所に着目すると、(a)の実施例4では、表面部分(最も下のスペクトル)から内部(上側のスペクトル)にかけて、スペクトルの形状に大きな変化が認められないが、(b)の比較例7においては、表面近傍(最も下と下から2番目)のスペクトルの形状と、内部(下から3番目以降)のスペクトルの形状とが大きく異なっている。
図5、6の結果から、充放電サイクル処理後の実施例4のリチウムイオン二次電池は、電解液の酸化を伴う正極活物質結晶構造からの酸素の脱離や、Ni、Co、Mn等の遷移金属の溶出に伴う正極活物質結晶構造からの脱離等による結晶構造の変化が抑制されていると推測される。
これに対し、充放電サイクル処理後の比較例7のリチウムイオン二次電池では、正極活物質中の酸素の脱離や遷移金属の溶出などによって正極活物質表面の結晶構造が変化していると考えられ、この結晶構造の変化が抵抗増加の原因になっていると推測される。
<性能評価>
活性化処理後の実施例4、比較例6,7のリチウムイオン二次電池について、下記の通り、初期の電池抵抗値とサイクル試験後のレート特性と電池抵抗値を測定した。
(放電容量維持率の測定)
活性化処理後の実施例4、比較例6,7のリチウムイオン二次電池の充放電サイクル数と放電容量維持率との関係(サイクル特性)を図7に示す。
図7より、実施例4のリチウムイオン二次電池は、充放電サイクル後の放電容量の低下が抑止されていることがわかる。
(レート特性の測定)
各例の電池を、室温で定電圧4.2Vまで充電し、次いで室温で0.1C定電流で2.8Vまで放電し、放電容量を測定した。同様に、室温で定電圧4.2Vまで充電し、x=0.2、0.5、1.0として、xCレート定電流で放電し、各Cレートの放電容量を測定した。0.1C定電流の放電容量を基準として、各Cレートで放電した際の放電容量から、放電容量維持率を算出した。
初期のCレートと放電容量維持率の関係を図8、サイクル試験後のCレートと放電容量維持率の関係を図9に示す。
図8,9より、実施例4のリチウムイオン二次電池は、急速充放電が可能であることがわかる。
(電池抵抗(DC−IR)の測定)
各例の電池を、室温で定電圧4.2Vまで充電し、次いで室温で0.1C定電流で放電し、放電開始から10秒間における電位低下を測定した。同様に、室温で定電圧4.2Vまで充電し、x=0.2、0.5、1.0として、xC定電流で放電し、放電開始から10秒間における電位低下を測定した。各電流レートで放電した際の電位低下から、放電初期の電池抵抗(直流抵抗;DC−IR)を算出した。
比較例7のリチウムイオン二次電池を100とした電池抵抗増加率を図10に示す。
図10より、実施例4のリチウムイオン二次電池は、電池抵抗の増加が抑制されていることがわかる。
(インピータンス特性の測定)
各例の電池を、室温で定電圧4.2Vまで充電し、交流インピータンス法により、各周波数におけるインピータンスを測定した。
初期のナイキストプロットを図11、サイクル試験後のナイキストプロットを図12に示す。
ナイキストプロットの左側の半円状の部分は電荷移動過程を表わし、右側の直線状の部分は物質移動過程を表わす。
図11より、実施例4のリチウムイオン二次電池は、電荷移動過程を表わす半円状の部分が小さく、電荷移動抵抗が小さいことがわかる。
また、実施例4のリチウムイオン二次電池は、図11、図12の比較からわかるように、ナイキストプロットの変化が小さく、実施例4のリチウムイオン二次電池は電池の劣化が抑止されていることがわかる。
1 リチウムイオン二次電池
10 電池素子
11 正極
11A 正極集電体
11B 正極合材層
12 負極
12A 負極集電体
12B 負極合材層
13 セパレータ
14 単電池層
21 正極リード
22 負極リード
30 外装体

Claims (2)

  1. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記非水電解液が、非水溶媒、電解質、及び添加剤を含み、
    前記添加剤が、リチウムイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ジフルオロリン酸イオン、及びエチレンカーボネート分子を含み、かつ、示差走査熱量測定において、単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークAが190℃〜210℃の温度範囲内に発現し、かつ、単位質量当たりの熱流量の極大値を示す発熱ピークBが280℃〜300℃の温度範囲内に発現する錯化合物を含む、
    リチウムイオン二次電池。
  2. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記非水電解液が、非水溶媒、電解質、及び添加剤を含み、
    前記非水溶媒が、ジメチルカーボネートであるDMC、エチルメチルカーボネートであるEMC、及びジエチルカーボネートであるDECからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    前記添加剤が、ヘキサフルオロリン酸リチウムであるLiPFからなるLiPF部位と、ジフルオロリン酸リチウムであるLiDFPからなるLiDFP部位と、エチレンカーボネートであるECからなるEC部位と、を含む錯化合物を含み、
    前記非水電解液は、前記錯化合物中の前記LiPF部位、前記LiDFP部位、及び前記EC部位を、それぞれ、LiPF、LiDFP、及びECとして算入した場合に、体積比〔EC:(DMC、EMC及びDEC)〕が30:70となり、LiDFPの含有量が、非水電解液の全量に対して0.4質量%となり、LiPFの濃度が1mol/Lとなるように組成を調整した場合に、電気伝導度が10.55mScm−1以下である、
    リチウムイオン二次電池。
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