JP2021156880A - シンチレータパネル、x線検出器およびx線透視装置 - Google Patents

シンチレータパネル、x線検出器およびx線透視装置 Download PDF

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将 宮尾
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Abstract

【課題】得られる画像の高い鮮鋭度を維持しつつ、感度にも優れたシンチレータパネルを提供する。【解決手段】基板、および、バインダー樹脂と蛍光体とを含有するシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、前記シンチレータ層に、さらに下記一般式(1)で表される化合物および/またはその塩を含む、シンチレータパネル。【化1】(上記一般式(1)中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。jは1〜10の整数を表す。XおよびZはそれぞれ二価の有機基を表す。kおよびlはそれぞれ0〜1の整数を表す。Yはカルボキシル基またはスルホン基を表す。)【選択図】図1

Description

本発明は、シンチレータパネル、X線検出器およびX線透視装置に関する。
従来、医療現場において、フィルムを用いたX線画像が広く用いられてきた。しかし、フィルムを用いたX線画像はアナログ画像情報であるため、近年、フラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPD)等のデジタル方式の放射線検出装置が開発されている。
間接変換方式のFPDにおいては、X線を可視光に変換するために、シンチレータパネルが使用される。シンチレータパネルは、酸硫化ガドリニウム(GOS)等の蛍光体を含むシンチレータ層を有し、X線の照射により該蛍光体が発光する。シンチレータパネルから発光された光を薄膜トランジスタ(TFT)や電荷結合素子(CCD)を有するセンサ(光電変換層)を用いて電気信号に変換することにより、X線の情報をデジタル画像情報に変換する。
放射線としてX線を利用する放射線検出装置であるX線検出器には、低い放射線量でも感度が高く、さらに得られる画像の鮮鋭度が高いことが望まれる。例えば、医療現場においては、X線診断等による被験者の被爆量をできるだけ低減することが求められている。しかし、X線検出器に照射する放射線量、すなわち入射X線量、を低減すると、相対的にシンチレータパネルの蛍光体の発光輝度が低くなる。そのため、シンチレータパネルにおいては、低い放射線量においても輝度が高い、すなわち感度が高いことが求められる。
ここで、一般的には、単位照射面積あたりのシンチレータ層中の蛍光体の含有量が多いほどシンチレータパネルの感度は高くなる。しかしながら、蛍光体の含有量を単純に多くした場合、含有量に比例してシンチレータ層の厚みが厚くなるため、シンチレータ層において発光した光がセンサに到達するまでに散乱されやすくなり、得られる画像の鮮鋭度が低下してしまう。そのため、可能な限り厚みを厚くすることなく蛍光体の含有量を多くすること、すなわち蛍光体を高密度に充填することが、感度と得られる画像の鮮鋭度が共に高いシンチレータパネルを得るために重要である。
蛍光体を高密度に充填する技術として、シンチレータ層にカップリング剤や界面活性剤を添加する方法が提案されている。例えば、リン酸系カップリング剤や、フッ素系界面活性剤を含有することで、蛍光体の充填密度を高めることができ、感度と得られる画像の鮮鋭度の高い放射線像変換パネルが得られることが報告されている(特許文献1、2参照)。
特開2000−105299号公報 特開2000−121799号公報
一般的に、シンチレータパネルの感度を向上させると得られる画像の鮮鋭度が低下し、得られる画像の鮮鋭度を向上させると感度が低下するという傾向がある。
そのため、これらの文献に記載の技術を用いても、得られる画像の鮮鋭度を維持しつつ、シンチレータパネルの感度を向上させることが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑み、得られる画像の高い鮮鋭度を維持しつつ、感度にも優れたシンチレータパネルを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は主として以下の構成を有する。すなわち、
基板、および、バインダー樹脂と蛍光体とを含有するシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、前記シンチレータ層に、さらに下記一般式(1)で表される化合物および/またはその塩を含む、シンチレータパネルである。
Figure 2021156880
(上記一般式(1)中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。jは1〜10の整数を表す。XおよびZはそれぞれ二価の有機基を表す。kおよびlはそれぞれ0〜1の整数を表す。Yはカルボキシル基またはスルホン基を表す。)
本発明のシンチレータパネルは、得られる画像の高い鮮鋭度を維持しつつ、感度にも優れる。
本発明のシンチレータパネルを含むX線検出器の一態様を模式的に表した断面図である。 隔壁で区画されたシンチレータ層を有するシンチレータパネルを含むX線検出器の一態様を模式的に表した断面図である。
本発明のシンチレータパネルは、少なくとも基板およびシンチレータ層を有する。シンチレータ層は、入射されたX線等の放射線のエネルギーを吸収して、例えば波長300nm〜800nmの範囲の電磁波、すなわち、可視光を中心に紫外光から赤外光にわたる範囲の光を発する。シンチレータ層は、少なくともバインダー樹脂、蛍光体ならびに後述する一般式(1)で表される化合物および/またはその塩を含有する。バインダー樹脂は、複数の蛍光体粒子を繋ぎ止め、シンチレータ層における蛍光体粒子の相対的な位置を固定する作用を有する。蛍光体は、X線等の放射線のエネルギーを吸収し、光を発する作用を有する。
図1に、本発明のシンチレータパネルを含むX線検出器の一態様を模式的に表す。X線検出器1は、シンチレータパネル2、出力基板3および電源部12を有する。
図1において、シンチレータパネル2は、基板5とシンチレータ層4とを有している。シンチレータ層4は、蛍光体6とバインダー樹脂7と、図示しない一般式(1)で表される化合物および/またはその塩を含有している。
出力基板3は、基板11上に、光電変換層9および出力層10を有する。光電変換層9は、図示しないフォトセンサとTFTを有する画素を2次元状に形成したもの、例えば光電変換層内において、シンチレータ層4に面して、画素がマトリクス状に配列されているもの、が一般的である。光電変換層9上に隔膜層8を有してもよい。シンチレータパネル2の出光面と出力基板3の光電変換層9を、隔膜層8を介して接着または密着させることが好ましい。
図2に、隔壁を有するシンチレータパネルを含むX線検出器1の一態様を模式的に表す。X線検出器1は、シンチレータパネル2、出力基板3および電源部12を有する。シンチレータパネル2は、基板5と、シンチレータ層4とを有し、シンチレータ層4は、隔壁13によって区画されている。シンチレータ層4は、蛍光体6とバインダー樹脂7と、図示しない一般式(1)で表される化合物および/またはその塩を含有する。出力基板3は、基板11上に、光電変換層9および出力層10を有する。光電変換層9は、図示しないフォトセンサとTFTを有する画素を2次元状に形成したものが一般的である。光電変換層9上に隔膜層8を有してもよい。
シンチレータ層4で発光した光は、光電変換層9に到達して光電変換され、出力される。
本発明のシンチレータパネルに用いられる基板を構成する材料としては、放射線透過性を有するものが好ましく、例えば、各種のガラス、高分子材料、金属等が挙げられる。ガラスとしては、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどが挙げられる。高分子材料としては、例えば、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネート、炭素繊維強化樹脂などが挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅などが挙げられる。これを2種以上用いてもよい。これらの中でも、特に放射線の透過性が高い高分子材料が好ましい。また、平坦性および耐熱性に優れる材料が好ましい。
基板の厚みは、シンチレータパネルの軽量化の観点から、例えば、ガラス基板の場合は2.0mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましい。また、高分子材料からなる基板の場合は、3.0mm以下が好ましい。
本発明のシンチレータパネルは、シンチレータ層を区画する隔壁を有することが好ましい。
隔壁は、強度や耐久性、耐熱性を高めるため、無機物からなることが好ましい。無機物とは、単純な一部の炭素化合物(グラファイト若しくはダイヤモンド等炭素の同素体等)及び炭素以外の元素で構成される化合物をいう。なお、「無機物からなる」とは、厳密な意味で無機物以外の成分の存在を排除するものではなく、原料となる無機物自体が含有する不純物や、隔壁の製造の過程において混入する不純物程度の無機物以外の成分の存在は、許容される。
隔壁は、ガラスを主成分とすることが好ましい。ガラスとは、ケイ酸塩を含有する、無機非晶質固体をいう。隔壁の主成分がガラスであると、隔壁は、強度や耐久性、耐熱性が高まり、後述する反射層の形成工程や蛍光体の充填工程における変形や損壊が発生しにくくなる。なお、「ガラスを主成分とする」とは、隔壁を構成する材料の50〜100質量%が、ガラスであることをいう。
特には、隔壁は、軟化点650℃以下のガラスである低軟化点ガラスの占める割合が、隔壁部分の体積を100体積%としたとき、95体積%以上とすることが好ましく、98体積%以上とすることがより好ましい。低軟化点ガラスの含有率が95体積%以上であることにより、隔壁は、焼成工程において隔壁の表面が平坦化しやすくなる。これにより、シンチレータパネルは、隔壁の表面に均一に反射層を形成しやすくなる。その結果、反射率が高くなり、輝度をより高めることができる。
低軟化点ガラス以外の成分として用いうる成分としては、軟化点650℃を超えるガラスである高軟化点ガラス粉末やセラミック粉末等が挙げられる。これらの粉末は、隔壁形成工程において隔壁の形状を調整しやすくする。低軟化点ガラスの含有率を高めるために、低軟化点ガラス以外の成分の含有量は、5体積%未満であることが好ましい。
隔壁およびシンチレータパネルの基板の表面には、反射層、特には金属反射層、を有することが好ましい。反射層を有することで、放射線の照射によってセル内で発光した光が、効率的に光電変換層まで到達し、輝度が向上しやすい。
反射層を構成する材料は、蛍光体から発光した電磁波を反射する機能があれば、特に限定されない。例えば、酸化チタンや酸化アルミニウム等の金属酸化物、銀やアルミニウム等の金属が挙げられる。反射層を構成する材料は、薄膜でも反射率が高いものが好ましい。薄膜にすることにより、セルの内容積の減少を抑え、充填される蛍光体量を多くできるので、シンチレータパネルの輝度が向上しやすい。そのため、反射層は金属でできていることが好ましく、銀、アルミニウム、およびこれらの合金であることがより好ましい。
反射層の厚みは、必要な反射特性に応じて適宜設定でき、特に限定されない。例えば、反射層の厚みは、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、反射層の厚みは、500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。隔壁に設けられた反射層の厚みが10nm以上であることにより、シンチレータパネルは、隔壁を透過して光が漏れ出すことを抑制して充分な光の遮蔽性が得られ、その結果、得られる画像の鮮鋭度が向上する。反射層の厚みが500nm以下であることにより、反射層の表面の凹凸が大きくなりにくく、反射率が低下しにくい。
本発明のシンチレータパネルに用いられるシンチレータ層は、少なくともバインダー樹脂と蛍光体を含有し、さらに後述する一般式(1)で表される化合物および/またはその塩を含有する。シンチレータ層に含まれるバインダー樹脂の量は蛍光体粒子を繋ぎ止めてシンチレータ層を形成するに十分な量が用いられる。
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられる。より具体的には、例えば、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリフェニルベンゼンなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、アクリル樹脂、ブチラール樹脂から選ばれた樹脂が好ましい。
バインダー樹脂は、シンチレータ層からの光の取り出しに影響することから、透明性の高い樹脂が、光の取り出し効率をより向上させることができるので好ましい。
蛍光体としては、例えば、無機蛍光体としては、硫化物系蛍光体、ゲルマン酸塩系蛍光体、ハロゲン化物系蛍光体、硫酸バリウム系蛍光体、リン酸ハフニウム系蛍光体、タンタル酸塩系蛍光体、タングステン酸塩系蛍光体、希土類ケイ酸塩系蛍光体、希土類酸硫化物系蛍光体、希土類リン酸塩系蛍光体、希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、アルカリ土類金属リン酸塩系蛍光体、アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体が挙げられる。希土類ケイ酸塩系蛍光体としては、セリウム賦活希土類ケイ酸塩系蛍光体が挙げられ、希土類酸流化物系蛍光体としては、プラセオジム賦活希土類酸硫化物系蛍光体、テルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体、ユウロピウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体が挙げられ、希土類リン酸塩系蛍光体としては、テルビウム賦活希土類リン酸塩系蛍光体が挙げられ、希土類オキシハロゲン蛍光体としては、テルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、ツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体が挙げられ、アルカリ土類金属リン酸塩系蛍光体としては、ユウロピウム賦活アルカリ土類金属リン酸塩系蛍光体が挙げられ、アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体としては、ユウロピウム賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体が挙げられる。有機蛍光体としては、p−ターフェニル、p−クアテルフェニル、2,5−ジフェニルオキサゾール、2,5−ジフェニル−1,3,4−オキソジアゾール、ナフタレン、ジフェニルアセチレン、スチルベンなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、ハロゲン化物系蛍光体、希土類酸硫化物系蛍光体から選ばれた蛍光体が好ましく、高密度に充填されやすいことから希土類酸硫化物系蛍光体を用いることがより好ましい。また、希土類酸硫化物の中ではいっそう高密度に充填されやすいことから酸硫化ガドリニウムを用いることが好ましい。酸硫化ガドリニウムはテルビウム賦活またはユウロピウム賦活されたものであることが好ましい。
蛍光体の形状としては、例えば、粒子状、柱状、鱗片状などが挙げられる。これらの中でも、粒子状の蛍光体が好ましい。蛍光体の形状を粒子状にすることにより、シンチレータ層中において蛍光体がより均一に分散されることから、シンチレータ層中における蛍光体の発光の偏りを抑制し、均一に発光させることができる。
シンチレータ層に含まれる蛍光体、好ましくX線蛍光体、の平均粒子径は、0.5〜50μmが好ましい。蛍光体の平均粒子径が0.5μm以上であると、放射線から可視光への変換効率がより向上し、感度をより向上させることができる。また、蛍光体の凝集を抑制することができる。蛍光体の平均粒子径は、3μm以上がより好ましく、4μm以上がさらに好ましい。一方、蛍光体の平均粒子径が50μm以下であると、シンチレータ層表面の平滑性に優れ、画像への輝点の発生を抑制することができる。蛍光体の平均粒子径は、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、18μm以下がまたさらに好ましい。
ここで、本発明における蛍光体の平均粒子径とは、粒度の累積分布に対して50%となる粒子径を言い、粒度分布測定装置(例えば、MT3300;日機装(株)製)を用いて測定することができる。より具体的には、水を満たした試料室にX線蛍光体を投入し、300秒間超音波処理を行った後に粒度分布を測定し、累積分布に対して50%となる粒子径を平均粒子径とする。
本発明のシンチレータパネルは、シンチレータ層中に下記一般式(1)で表される化合物および/またはその塩を含有することを特徴とする。一般式(1)で表される化合物および/またはその塩を含有することにより、シンチレータ層中に蛍光体を高密度に充填することができる。蛍光体が高密度に充填可能なことで、蛍光体の使用量が同じであってもシンチレータ層の厚みを小さくすることができるため、一般式(1)で表される化合物および/またはその塩を含有しない系に比べて、得られる画像の鮮鋭度を維持した状態での感度の向上が可能である。
Figure 2021156880
上記一般式(1)中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。jは1〜10の整数を表す。XおよびZはそれぞれ二価の有機基を表す。kおよびlはそれぞれ0〜1の整数を表す。Yはカルボキシル基またはスルホン基を表す。
上記一般式(1)で表される化合物は、カルボキシル基またはスルホン基において塩を形成していても構わない。
上記一般式(1)中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基である。ここで「炭素数」は、Rが置換基を有する場合は置換基が有する炭素を含めた炭素数を示す。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基は直鎖であっても分岐していてもよく、一部または全体が環状であってもよい。また、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は水素の少なくとも一部が芳香族炭化水素基などにより置換されていてもよい。また、鎖中にフェニレン基などの芳香族炭化水素基などを有していてもよい。芳香族炭化水素基は水素の少なくとも一部が脂肪族炭化水素基などにより置換されていてもよい。これらの中でも、Rは、飽和または不飽和の鎖状炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基の炭素数は8以上が好ましく、10以上がより好ましい。また、炭化水素基の炭素数は27以下が好ましく、24以下がより好ましい。
一般式(1)中、Xは二価の有機基である。Xとしては、例えば、置換もしくは無置換の炭化水素基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、カルボニル基、スルホニル基、イミノ基又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。炭化水素基は脂肪族でも芳香族でもよく、鎖状でも環状でもよい。Xが炭化水素基を有する場合、一価の置換基を有していてもよい。一価の置換基としては例えば、アシル基、シリル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン基またはその塩が挙げられる。Xは合成の容易さの点から、置換もしくは無置換の二価の炭化水素基、又は、置換もしくは無置換の二価の炭化水素基とカルボニル基とが組み合わされてなる基であることが好ましい。
一般式(1)中、Yはカルボキシル基またはスルホン基である。
一般式(1)で表される化合物の塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
一般式(1)中、Zは二価の有機基である。Zとしては、例えば、置換もしくは無置換の炭化水素基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、カルボニル基、スルホニル基、イミノ基又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。炭化水素基は脂肪族でも芳香族でもよく、鎖状でも環状でもよい。Zが炭化水素基を有する場合、一価の置換基を有していてもよい。一価の置換基としては例えば、アシル基、シリル基が挙げられる。Zは合成の容易さの点から、カルボニル基、イミノ基、アミド基、置換もしくは無置換の二価の炭化水素基、又はこれらのうち二種以上が組み合わされてなる基であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物および/またはその塩は、シンチレータ層中において、蛍光体表面に物理的に吸着されていてもよい。また、蛍光体表面と反応して化学吸着されていてもよく、蛍光体表面から溶出した塩基と反応して塩を形成していてもよい。
一般式(1)中、jは1〜10である。jが0の場合、シンチレータ層中の蛍光体の密度が低下する。シンチレータ層中の蛍光体の密度が向上しやすいことから、jは2以上が好ましく、3以上がより好ましい。
一般式(1)中、kおよびlはそれぞれ0〜1である。
一般式(1)で表される化合物またはその塩としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸カリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルコハク酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルコハク酸一ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルコハク酸一カリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルコハク酸二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルコハク酸二カリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸一ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸一カリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二カリウム、コハク酸ポリオキシエチレンアルキロイル―エタノールアミド、スルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキロイル―エタノールアミド、スルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキロイル―エタノールアミド二ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキロイル―エタノールアミド二カリウムなどが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物および/またはその塩は、一般的な有機化合物の分析により検出できる。例えば、シンチレータパネルのシンチレータ層を、ベンジルアルコールなどの有機溶媒に溶解・分散し、遠心分離により蛍光体を沈降させたのち、有機溶媒中の溶出成分を、液体クロマトグラフィー質量分析法などの方法で検出し、結果を既存のデータベースのデータと照合することにより構造を同定できる。
シンチレータ層中の、一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量は、0.0001〜1重量%が好ましい。ここで、シンチレータ層中の、一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量とは、シンチレータ層の総重量に対する、一般式(1)で表される化合物およびその塩の重量分率をいう。なお、念のために補足すると、シンチレータ層の重量に隔壁の重量は含まれない。また、一般式(1)で表される化合物またはその塩のどちらか一方を含有する場合はその含有量を、一般式(1)で表される化合物およびその塩の両方を含有する場合は一般式(1)で表される化合物およびその塩の総含有量に基づいて含有量は求められる。一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量が0.0001重量%以上の場合、シンチレータ層中の蛍光体の密度の向上が認められやすい。一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量は、好ましくは0.001重量%以上であり、より好ましくは0.003重量%以上であり、さらに好ましくは0.005重量%以上である。また、一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量が1重量%以下の場合、蛍光体の密度がより向上する。一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量は、好ましくは0.5重量%以下であり、より好ましくは0.3重量%以下であり、さらに好ましくは0.2重量%以下である。
一般式(1)で表される化合物および/またはその塩をシンチレータ層中に複数種含有してもよい。例えば、一般式(1)におけるjが1の化合物と、jが2の化合物を含有していてもよい。この場合、シンチレータ層中の、一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量は、シンチレータ層の総重量に対する、一般式(1)で表される複数種の化合物およびその塩の総含有量をいう。
本発明において、シンチレータパネルの製造方法は特に限定されないが、例えば、基板上に、蛍光体、バインダー樹脂、一般式(1)で表される化合物および/またはその塩、ならびに必要に応じてその他成分を含む蛍光体ペーストを塗布し、必要に応じて加熱乾燥や露光を行うことによりシンチレータ層を形成する方法などが挙げられる。
蛍光体ペーストの塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどを用いた塗布方法などが挙げられる。これらの中でも、厚膜であってもシンチレータ層の膜厚が均一となるよう塗布しやすいことから、ロールコーターやダイコーターを用いて塗布することが好ましい。ダイコーターの中でも、スリットダイコーターを用いた塗布方法は、シンチレータ層厚みを吐出量により調整可能であり、シンチレータ層の厚みを高精度に調整することができる。
蛍光体ペーストは、シンチレータ層を形成する成分として先に説明した成分に加えて、有機溶媒を含んでも構わない。有機溶媒は、バインダー樹脂、一般式(1)で表される化合物および/またはその塩ならびに必要に応じて含まれる可塑剤や分散剤などに対して、良溶媒であることが好ましい。そのような有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テルピネオール、ベンジルアルコール、テトラヒドロフラン、ジヒドロターピネオール、γ−ブチロラクトン、ジヒドロターピニルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキシレングリコールなどが挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。これらの中でも、ベンジルアルコールなどのアルコール系の溶剤が好ましい。
蛍光体ペーストを用いてシンチレータパネルを製造する場合、シンチレータ層中の、一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量は、蛍光体ペースト中における一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量により調整することができる。蛍光体ペースト中に溶媒等の揮発性成分が含まれ、蛍光体ペースト塗布後に乾燥を行って揮発性成分が除去される場合は、蛍光体ペースト中の、揮発性成分以外の総量に対する、一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量により調整することができる。
次に、本発明のX線検出器について説明する。本発明のX線検出器は、光電変換層を有する出力基板上に、前述のシンチレータパネルを設置することにより得ることができる。出力基板は、基板上に、光電変換層および出力層を有する。光電変換層としては、フォトセンサとTFTを有する画素を2次元状に形成したものが一般的である。
次に、本発明のX線透視装置について説明する。本発明のX線透視装置は、X線を発生させるX線発生部と前述のX線検出器を有する。X線透視装置は、被写体に対してX線発生部からX線を照射し、被写体を透過したX線をX線検出器によって検出する装置である。そのX線検出部に本発明のX線検出器を搭載することにより、高感度、得られる画像の鮮鋭度の高いX線透視装置を得ることができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではなく、また、これらの例に限定して解釈されるものではない。
各実施例および比較例において用いた材料を以下に示す。また、各材料の特性は以下の方法により測定した。
(X線蛍光体の平均粒子径)
粒度分布測定装置(MT3300;日機装(株)製)の水を満たした試料室にX線蛍光体を投入し、300秒間超音波処理を行った後に粒度分布を測定し、累積分布に対して50%となる粒子径を平均粒子径とした。
(蛍光体ペーストの原料)
蛍光体粉末1:GdS:Tb(日亜化学工業(株)製:平均粒子径11μm)
バインダー樹脂1:“エスレック”(登録商標)BL−1(積水化学工業(株)製)ポリビニルブチラール
溶媒1:ベンジルアルコール
界面活性剤1:“ビューライト”(登録商標)LCA(三洋化成工業(株)製)。一般式(1)で表される化合物であり、Rは炭素数12の脂肪族炭化水素基。jは3。kは1。lは0。Xはメチレン基。Yはカルボキシル基のナトリウム塩。94%水溶液
界面活性剤2:“ビューライト”(登録商標)LCA−H(三洋化成工業(株)製)。一般式(1)で表される化合物であり、Rは炭素数12の脂肪族炭化水素基。jは4。kは1。lは0。Xはメチレン基。Yはカルボキシル基。96%水溶液
界面活性剤3:“サンデット”(登録商標)EN(三洋化成工業(株)製)。一般式(1)で表される化合物であり、Rは炭素数12の脂肪族炭化水素基。jは2。kは0。lは0。Yはスルホン基のナトリウム塩。25%水溶液
界面活性剤4:“ビューライト”(登録商標)LSS(三洋化成工業(株)製)。一般式(1)で表される化合物であり、Rは炭素数12の脂肪族炭化水素基。jは2。kは1。Xはスルホン基のナトリウム塩を置換基に有するエチレン基とカルボニル基の組合せ。lは0。Yはカルボキシル基のナトリウム塩。34%水溶液
界面活性剤5:“サンデット”(登録商標)ONA(三洋化成工業(株)製)。エチレンオキサイド基を有しない化合物
界面活性剤6:“メガファック”(登録商標)F−563(DIC(株)製)。含フッ素基・親油性基オリゴマー。ノニオン性
界面活性剤7:“エマルゲン”(登録商標)404(花王(株)製)
界面活性剤8:“ビューライト”(登録商標)ECA(三洋化成工業(株)製)。一般式(1)で表される化合物であり、Rは炭素数13の脂肪族炭化水素基。jは3。kは1。lは0。Xはメチレン基。Yはカルボキシル基のナトリウム塩。94%水溶液
界面活性剤9:“ビューライト”(登録商標)A−5000(三洋化成工業(株)製)。一般式(1)で表される化合物であり、Rは炭素数11の脂肪族炭化水素基。jは5。kは1。Xはスルホン基のナトリウム塩を置換基に有するエチレン基とカルボニル基の組合せ。lは1。Yはカルボキシル基のナトリウム塩。Zはアミド基とエチレン基の組み合わせ。34%水溶液
デカン酸:デカン酸(富士フィルム和光純薬(株)製)。
(バインダー樹脂溶液1の調製)
20gのバインダー樹脂1と、80gの溶媒1を撹拌用容器に入れ、60℃で8時間加熱撹拌してバインダー樹脂溶液1を得た。
(ガラス粉末含有ペーストの原料)
感光性モノマーM−1 : トリメチロールプロパントリアクリレート
感光性モノマーM−2 : テトラプロピレングリコールジメタクリレート
感光性ポリマー1 : メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン=40/40/30の質量比からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応させたもの(重量平均分子量43000;酸価100)
光重合開始剤1 : 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(BASF社製)
重合禁止剤1 : 1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])
紫外線吸収剤溶液1 : スダンIV(東京応化工業株式会社製)のγ−ブチロラクトン0.3質量%溶液
粘度調整剤1 : “フローノン”(登録商標)EC121(共栄社化学社製)
溶媒2 : γ−ブチロラクトン
低軟化点ガラス粉末1:
SiO 27質量%、B 31質量%、ZnO 6質量%、LiO 7質量%、MgO 2質量%、CaO 2質量%、BaO 2質量%、Al 23質量%、屈折率(ng)1.56、ガラス軟化温度588℃、熱膨張係数70×10−7(K−1)、平均粒子径2.3μm。
(ガラス粉末含有ペーストの作製)
4質量部の感光性モノマーM−1、6質量部の感光性モノマーM−2、24質量部の感光性ポリマー1、6質量部の光重合開始剤1、0.2質量部の重合禁止剤1及び12.8質量部の紫外線吸収剤溶液1を、38質量部の溶媒2に添加し、温度80℃で加熱溶解した。得られた溶液を冷却した後、9質量部の粘度調整剤1を添加して、有機溶液1を得た。50質量部の有機溶液1に、50質量部の低軟化点ガラス粉末を添加した後、3本ローラー混練機にて混練し、ガラス粉末含有ペースト1を得た。
(基板上への隔壁の作製)
基板として、125mm×125mm×0.7mmのソーダガラス板を用いた。基板の表面に、ガラス粉末含有ペースト1を、乾燥後の厚さが220μmになるようにダイコーターで塗布して乾燥し、ガラス粉末含有ペースト1の塗布膜を得た。次に、所望のパターンに対応する開口部を有するフォトマスク(ピッチ127μm、線幅15μmの、格子状開口部を有するクロムマスク)を介して、ガラス粉末含有ペースト1の塗布膜を、超高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの露光量で露光した。露光後の塗布膜は、0.5質量%のエタノールアミン水溶液中で現像し、未露光部分を除去して、格子状のパターンを得た。得られた格子状のパターンを、空気中580℃で15分間焼成して、ガラスを主成分とする、格子状の隔壁を形成した。
(反射層の形成)
市販のスパッタ装置、およびスパッタターゲットを用い、隔壁が形成された基板に対して反射層としての金属膜の形成を行った。金属膜の厚みは、隔壁が形成された基板の近傍にガラス平板を配置して、該ガラス平板上における金属膜の厚みが300nmとなる条件でスパッタを実施した。スパッタターゲットには、パラジウムおよび銅を含有する銀合金であるAPC(フルヤ金属社製)を用いた。以下、この反射層が形成された隔壁付きの基板を反射層付き隔壁基板ともいう。
(シンチレータ層の密度の評価)
各実施例および比較例において作製したシンチレータパネルの重量からあらかじめ測定しておいた基板(反射層および隔壁が形成されている場合はこれらを含む)の重量を減算することにより求めたシンチレータ層の重量を、シンチレータ層の基板側の面とは反対側の面の面積と膜厚を積算して求めた体積で除算することにより算出した。実施例1〜7、12、13および比較例2〜5は比較例1のシンチレータパネルのシンチレータ層の密度を100%として相対値を求め、相対比較を行い、実施例8〜11および比較例7〜9は、比較例6のシンチレータパネルのシンチレータ層の密度を100%として相対値を求め、相対比較を行った。
(感度・鮮鋭度の評価)
各実施例および比較例において作製したシンチレータパネルを、市販のFPD(Paxscan2520V(Varian社)製)に設置して、X線検出器を作製した。国際電気標準会議(IEC)で定める規格IEC62220−1において、デジタル画像システムの画質を評価する線質RQA5に準拠した管電圧70kVpの放射線を、シンチレータパネルの基板側から照射して、シンチレータパネルの感度、鮮鋭度をFPDで検出した。感度は、入射線量と画像のデジタル値のグラフの傾きから算出した。また、鮮鋭度はエッジ法により算出し、2cycles/mmの値を用いた。実施例1〜7、12、13および比較例2〜5は比較例1の感度、鮮鋭度をそれぞれ100%として、相対比較を行い、実施例8〜11および比較例7〜9は、比較例6の感度、鮮鋭度をそれぞれ100%として、相対比較を行った。
(実施例1)
蛍光体粉末1を97.97重量部、界面活性剤1を0.032重量部、バインダー樹脂溶液1を10重量部、溶媒1を6重量部加えて混合し、遊星式撹拌脱泡装置(“マゼルスター”(登録商標)KK−400;倉敷紡績(株)製)を用いて、回転数1000rpmで20分間撹拌脱泡して、蛍光体ペースト1を得た。得られた蛍光体ペースト1を、ダイコーターを用いて、乾燥後の膜厚が200μmになるように基板のPETフィルム上に塗布し、80℃で4時間乾燥し、PETフィルム上にシンチレータ層が形成されたシンチレータパネルを得た。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は103%であった。また、感度は103%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例2)
実施例1において、界面活性剤1の代わりに界面活性剤2を用いた以外は、実施例1と同様に蛍光体ペースト2を得た後、シンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は102%であった。また、感度は102%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例3)
実施例1において、界面活性剤1の代わりに界面活性剤3を用い、界面活性剤3を0.12重量部とした以外は、実施例1と同様に蛍光体ペースト3を得た後、シンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は102%であった。また、感度は102%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例4)
実施例1において、界面活性剤1の代わりに界面活性剤4を用い、界面活性剤4を0.088重量部とした以外は、実施例1と同様に蛍光体ペースト4を得た後、シンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は102%であった。また、感度は102%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例5)
実施例1において、乾燥後の膜厚が195μmになるように基板のPETフィルム上に蛍光体ペースト1を塗布した以外は、実施例1と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は103%であった。また、感度は102%、鮮鋭度は102%であった。
(実施例6)
実施例1において、蛍光体粉末1を97.7重量部、界面活性剤1を0.32重量部、バインダー樹脂溶液1を10重量部、溶媒1を6重量部加えて混合して蛍光体ペースト5を調製した以外は、実施例1と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.3重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は102%であった。また、感度は102%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例7)
実施例1において、蛍光体粉末1を97.997重量部、界面活性剤1を0.0032重量部、バインダー樹脂溶液1を10重量部、溶媒1を6重量部加えて混合して蛍光体ペースト6を調製した以外は、実施例1と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.003重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は102%であった。また、感度は102%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例12)
実施例1において、界面活性剤1の代わりに界面活性剤8を用い、界面活性剤8を0.033重量部とした以外は、実施例1と同様に蛍光体ペースト12を得た後、シンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は103%であった。また、感度は103%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例13)
実施例1において、界面活性剤1の代わりに界面活性剤9を用い、界面活性剤9を0.085重量部とした以外は、実施例1と同様に蛍光体ペースト13を得た後、シンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は102%であった。また、感度は102%、鮮鋭度は100%であった。
(比較例1)
実施例1において、界面活性剤1を用いず、蛍光体粉末1を98重量部、バインダー樹脂溶液1を10重量部、溶媒1を6重量部加えて混合して蛍光体ペースト7を調製した以外は、実施例1と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は100%であった。また、感度は100%、鮮鋭度は100%であった。
(比較例2)
実施例1において、界面活性剤1の代わりに界面活性剤5を用い、界面活性剤5を0.075重量部とした以外は、実施例1と同様に蛍光体ペースト8を得た後、シンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は98%であった。また、感度は98%、鮮鋭度は100%であった。
(比較例3)
実施例1において、界面活性剤1の代わりに界面活性剤6を用い、界面活性剤6を0.03重量部とした以外は、実施例1と同様に蛍光体ペースト9を得た後、シンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は99%であった。また、感度は99%、鮮鋭度は100%であった。
(比較例4)
実施例1において、界面活性剤1の代わりに界面活性剤7を用い、界面活性剤6を0.03重量部とした以外は、実施例1と同様に蛍光体ペースト10を得た後、シンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は97%であった。また、感度は97%、鮮鋭度は100%であった。
(比較例5)
実施例1において、界面活性剤1の代わりにデカン酸を用い、デカン酸を0.03重量部とした以外は、実施例1と同様に蛍光体ペースト11を得た後、シンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中のデカン酸の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は98%であった。また、感度は98%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例8)
実施例1と同様に蛍光体ペースト1を作製し、得られた蛍光体ペースト1を、反射層付き隔壁基板に真空印刷により充填し、150℃で15分乾燥し、シンチレータ層を形成した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は104%であった。また、感度は104%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例9)
実施例8において、蛍光体ペースト2を用いた以外は、実施例8と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は103%であった。また、感度は103%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例10)
実施例8において、蛍光体ペースト3を用いた以外は、実施例8と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は103%であった。また、感度は103%、鮮鋭度は100%であった。
(実施例11)
実施例8において、蛍光体ペースト4を用いた以外は、実施例8と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は103%であった。また、感度は103%、鮮鋭度は100%であった。
(比較例6)
実施例8において、界面活性剤1を用いず、蛍光体粉末1を98重量部、バインダー樹脂溶液1を10重量部、溶媒1を6重量部加えて混合して蛍光体ペースト7を調製した以外は、実施例8と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は100%であった。また、感度は100%、鮮鋭度は100%であった。
(比較例7)
実施例8において、蛍光体ペースト8を用いた以外は、実施例8と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は98%であった。また、感度は98%、鮮鋭度は100%であった。
(比較例8)
実施例8において、蛍光体ペースト10を用いた以外は、実施例8と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中の界面活性剤の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は96%であった。また、感度は96%、鮮鋭度は100%であった。
(比較例9)
実施例8において、蛍光体ペースト11を用いた以外は、実施例8と同様にシンチレータパネルを作製し、評価した。シンチレータ層中のデカン酸の含有量は0.03重量%であった。
得られたシンチレータパネルにおけるシンチレータ層の密度は97%であった。また、感度は97%、鮮鋭度は100%であった。
評価結果を、表1〜2に示す。
Figure 2021156880
Figure 2021156880
1 X線検出器
2 シンチレータパネル
3 出力基板
4 シンチレータ層
5 基板
6 蛍光体
7 バインダー樹脂
8 隔膜層
9 光電変換層
10 出力層
11 基板
12 電源部
13 隔壁

Claims (8)

  1. 基板、および、バインダー樹脂と蛍光体とを含有するシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、前記シンチレータ層に、さらに下記一般式(1)で表される化合物および/またはその塩を含む、シンチレータパネル。
    Figure 2021156880
    (上記一般式(1)中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。jは1〜10の整数を表す。XおよびZはそれぞれ二価の有機基を表す。kおよびlはそれぞれ0〜1の整数を表す。Yはカルボキシル基またはスルホン基を表す。)
  2. Xが、置換もしくは無置換の二価の炭化水素基、又は、置換もしくは無置換の二価の炭化水素基とカルボニル基とが組み合わされてなる基である、請求項1記載のシンチレータパネル。
  3. Zが、カルボニル基、イミノ基、アミド基、置換もしくは無置換の二価の炭化水素基、又はこれらのうち二種以上が組み合わされてなる基である、請求項1又は2に記載のシンチレータパネル。
  4. 前記シンチレータ層中の、前記一般式(1)で表される化合物およびその塩の含有量が、0.0001〜1重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
  5. 前記蛍光体が、酸硫化ガドリニウムを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
  6. 前記シンチレータ層を区画する隔壁を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載のシンチレータパネルおよび光電変換層を有する出力基板を有するX線検出器。
  8. 請求項7に記載のX線検出器を搭載したX線透視装置。
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