(1)実施形態
図1に示す本実施形態の建築板群1は、複数の建築板2を備えている。本実施形態の建築板2は、外壁材であり、複数の建築板2によって外壁が形成される。なお、建築板2は、外壁材に限定されず、例えば、内壁材、床材、天井材等であってもよい。
以下では建築板2を施工した状態における方向を基準にして説明する。具体的には、建築板2が施工された状態において、建築板2から屋外に向かう方向を前方とし、建築板2から屋内に向かう方向を後方とし、また、建築板2を前側から見たときを基準として左右方向を定義する。
建築板2は、窯業系のサイディング材であり、セメントを主成分とする水硬性無機質材料の硬化物(窯業系基板)から形成される。なお、建築板2の材料は限定されず、例えば、金属、プラスチック又は木質材等であってもよい。
建築板2の板厚方向は、前後方向と平行である。建築板2は、前方から見て、矩形状に形成されている。本実施形態の建築板2は、横張り施工される建築板であり、建築板2の左右方向の寸法は、上下方向の寸法よりも長い。建築板2は、長手方向が左右方向と平行な矩形の板状に形成されている。
なお、建築板2の表面には、例えば、木目調、石目調などのデザインが施されていてもよい。また、建築板2の表面には、化粧目地(目地を模した溝)が形成されてもよい。また、建築板2は、例えば、縦張り施工される建築板であってもよく、建築板2の左右方向の寸法は、上下方向の寸法よりも短くてもよいし、上下方向の寸法と同じであってもよい。また、建築板2の形状は、矩形状に限定されない。
建築板2は、例えば、図2及び図3に示すように、下地6に沿って、上下方向及び左右方向に複数枚並べて施工される。下地6は、例えば、胴縁、間柱又は下地ボード等である。各建築板2は、下地6の屋外側に配され、例えば、ねじや釘等の固着具や取付金具5によって下地6に固定される。
建築板2は、上下方向及び左右方向に隣接した状態で、複数施工される。なお、上下方向に隣り合う建築板2同士は、互いに接触してもよいし、目地材等の他の部材を介して配置されてもよい。同様に左右方向に隣り合う建築板2同士は、互いに接触してもよいし、シーリング材7等の他の部材を介して配置されてもよい。また、本発明における「隣接」とは、直接接触した状態で隣り合う態様だけでなく、他の部材を介して隣り合う態様も含む。
図2及び図3に示すように、矩形状の各建築板2の対向する一対の辺は、実部20を有し、他の対向する一対の辺は、実部20を有していない。本実施形態の各建築板2は、上下一対の辺が実部20を有し、左右一対の辺が実部20を有していない。なお、本開示における「接合」は、つぎ合わせることを意味し、実部20同士が直接接触した状態でつぎ合わされる状態だけでなく、実部20同士が目地材等の他の部材を介した状態でつぎ合わされる状態を含む。
図2に示すように、各建築板2の上側の実部20である上実部200は、建築板2の上辺を構成する上側の端縁の全長にわたって形成されており、建築板2における裏側部分から上方に向かって突出している。
上実部200の基端部202の厚み(前後方向の寸法)は、上実部200の基端部202よりも先端側の部分である先部203の厚みよりも大きく、上実部200の表面は、基端部202の表面と、先部203の表面とをつなぐ段差面204を有している。
各建築板2の下側の実部20である下実部201は、建築板2の下辺を構成する下側の端縁の全長にわたって形成されており、建築板2における表側部分から下方に向かって突出している。
上下方向に隣り合う建築板2のうち上段の建築板2の下実部201は、下段の建築板2の上実部200と相じゃくり接合される。実部20同士が接合された状態では、下実部201が上実部200の先部203の表面に沿い、かつ、下実部201の先端面が上実部200の段差面204に対向する。また、上下方向に隣り合う建築板2の間には、下実部201の先端面(下端面)と、上実部200の基端部202の表面と、下段の建築板2の表側部分の上端面とで、前方に開口し、左右方向に延びた凹溝10が形成される。なお、上実部200の厚みは、上下方向にわたって同じであってもよく、上実部200には段差面204がなくてもよい。また、実部20は、相じゃくり接合されるものに限定されず、例えば、本実接合されるものであってもよい。
図3に示すように、各建築板2の左右一対の辺の各々は、左右方向と直交する平坦な面であって、建築板2の厚み方向の全長にわたる端面で構成されている。左右方向に隣り合う建築板2の間には、シーリング材7が設けられる。シーリング材7は、例えば、変性シリコーン等の硬化物である。シーリング材7は、左右方向に隣り合う建築板2の間に充填され、この間をシールする。
なお、各建築板2は、左右一対の辺が実部20を有し、上下一対の辺が実部20を有さなくてもよい。また、各建築板2の全ての辺が、実部20を有してもよいし、実部20を有さなくてもよい。
図1に示すように、建築板群1は、建築板2として、表面外観が互いに異なる、少なくとも2種類の建築板2を備えている。本実施形態の建築板群1は、第1建築板31と、第2建築板32と、第3建築板33との3種類の建築板2を備えている。なお、建築板群1は、表面外観が互いに異なる2種類の建築板2のみを備えてもよいし、表面外観が互いに異なる4種類以上の建築板2を備えてもよい。
第1建築板31、第2建築板32及び第3建築板33の各々の外形形状及び外形寸法は、同じである。なお、第1建築板31、第2建築板32及び第3建築板33の各々の外形形状及び外形寸法は、異なっていてもよい。
第1建築板31の表面には、隣接し、かつ、表面外観が互いに異なる、少なくとも二つの領域311〜313がある。本実施形態の第1建築板31の表面には、少なくとも二つの領域として、第1領域311、第2領域312及び第3領域313の三つの領域がある。第1建築板31の表面は、第1領域311、第2領域312及び第3領域313だけで構成されている。
第1領域311は、第1建築板31の下側の端縁を含む三角形状の領域である。第2領域312は、第1領域311に隣接し、第1建築板31の左側の端縁及び上側の端縁の左側半部を含む三角形状の領域である。第3領域313は、第1領域311に隣接し、第1建築板31の右側の端縁及び上側の端縁の右側半部を含む三角形状の領域である。
第1領域311、第2領域312及び第3領域313の各々は、その領域の全体にわたって一様な表面外観を有している。第1領域311、第2領域312及び第3領域313の各々は、一様な表面外観だけで形成された領域である。
本発明において「表面外観」は、模様、色彩、光沢、表面粗さ、凹凸及び建築板2の板厚の外観要素のうちの少なくとも一つで構成される。例えば、表面外観は、前記外観要素の中の一つだけで構成されてもよいし、前記外観要素の複数の組み合わせによって構成されてもよい。本発明において「一様な表面外観を有する」とは、領域の全体にわたって同じ様子であることを意味する。例えば、表面外観が色彩で構成されている場合、単一の色が領域の全体にわたって施される場合だけでなく、複数の色が領域の全体にわたって規則的に施される場合等も含まれる。
第1建築板31において、第1領域311と第2領域312とは、表面外観が異なっている。第1建築板31において、第2領域312と第3領域313とは、表面外観が同じであり、第1領域311と第3領域313とは、表面外観が異なっている。例えば、第1領域311、第2領域312及び第3領域313の各々が、色彩で構成されている場合、第2領域312及び第3領域313には同じ色彩が施され、第1領域311には、第2領域312及び第3領域313とは異なる色彩が施される。
本発明において、「表面外観が同じである」とは、表面外観を構成する全ての外観要素が同じか又は見分けがつかない程度に近似していることを意味する。
第1領域311と第2領域312との境界は、第1建築板31の一の端縁である上側の端縁から、他の端縁である左側の端縁及び下側の端縁に向かって直線状に延びている。具体的に、第1領域311と第2領域312との境界は、第1建築板31の上側の端縁の中央から、第1建築板31の左下の隅(第1建築板31の左側の端縁と下側の端縁との交点)まで、上下方向及び左右方向の両者に対して傾斜した方向に直線状に延びている。
第1領域311と第3領域313との境界は、第1建築板31の一の端縁である上側の端縁から、他の端縁である右側の端縁及び下側の端縁に向かって直線状に延びている。具体的に、第1領域311と第3領域313との境界は、第1建築板31の上側の端縁の中央から、第1建築板31の右下の隅(第1建築板31の右側の端縁と下側の端縁との交点)まで、上下方向及び左右方向の両者に対して傾斜した方向に直線状に延びている。
第1領域311と第2領域312とは表面外観が異なり、かつ、各領域311,312は一様な表面外観であるため、第1領域311と第2領域312との境界は、外観上明確に現れる。同様の理由により、第1領域311と第3領域313との境界も、外観上明確に現れる。
第2建築板32の表面には、第1建築板31の少なくとも一つの領域と同じ表面外観を有する同一外観領域がある。本実施形態の第2建築板32の表面外観は、第1建築板31の表面外観を上下に反転したものである。第2建築板32の表面には、第1領域321、第2領域322及び第3領域323の三つの領域がある。第1領域321、第2領域322及び第3領域323の各々は、その領域の全体にわたって一様な表面外観を有している。
第1領域321は、第2建築板32の上側の端縁を含む三角形状の領域である。第2領域322は、第1領域321に隣接し、第2建築板32の左側の端縁及び下側の端縁の左側半部を含む三角形状の領域である。第3領域323は、第1領域321に隣接し、第2建築板32の右側の端縁及び下側の端縁の右側半部を含む三角形状の領域である。
第2建築板32の第1領域321は、第1建築板31の第1領域311と表面外観が同じである。すなわち、第2建築板32の第1領域321は、第1建築板31の第1領域311と同じ表面外観を有する同一外観領域である。
第2建築板32の第2領域322及び第3領域323の各々は、第1建築板31の第2領域312と表面外観が同じであり、かつ、第1建築板31の第3領域313と表面外観が同じである。すなわち、第2建築板32の第2領域322及び第3領域323の各々は、第1建築板31の第2領域312及び第3領域313と表面外観が同じ同一外観領域である。
第2建築板32の第1領域321と第2領域322とは、表面外観が異なっている。第2建築板32の第2領域322と第3領域323とは、表面外観が同じであり、第2建築板32の第1領域321と第3領域323とは、表面外観が異なっている。
第2建築板32における第1領域321と第2領域322との境界は、第2建築板32の一の端縁である下側の端縁から、他の端縁である左側の端縁及び上側の端縁に向かって直線状に延びている。具体的に、第1領域321と第2領域322との境界は、第2建築板32の下側の端縁の中央から、第2建築板32の左上の隅(第2建築板32の左側の端縁と上側の端縁との交点)まで、上下方向及び左右方向の両者に対して傾斜した方向に直線状に延びている。
第2建築板32における第1領域321と第3領域323との境界は、第2建築板32の一の端縁である下側の端縁から、他の端縁である右側の端縁及び上側の端縁に向かって直線状に延びている。具体的に、第1領域321と第3領域323との境界は、第2建築板32の下側の端縁の中央から、第2建築板32の右上の隅(第2建築板32の右側の端縁と上側の端縁との交点)まで直線状に延びている。なお、本実施形態の第1建築板31及び第2建築板32の各々における隣り合う領域の境界は、全体として直線状であるが、例えば、一部だけが直線状であってもよいし、全体が非直線状であってもよい。
第3建築板33の表面には、第1建築板31の少なくとも一つの領域と同じ表面外観を有する同一外観領域があり、かつ、第2建築板32の少なくとも一つの領域と同じ表面外観を有する同一外観領域がある。本実施形態の第3建築板33の表面外観は、全体にわたって一様である。
第3建築板33の表面外観は、第1建築板31の第2領域312、第1建築板31の第3領域313、第2建築板32の第2領域322及び第2建築板32の第3領域323の各々の表面外観と同じである。第3建築板33の表面外観は、第1建築板31の第2領域312、第1建築板31の第3領域313、第2建築板32の第2領域322及び第2建築板32の第3領域323の各々と、表面外観が同じ同一外観領域である。
要するに、本実施形態の建築板群1は、少なくとも2枚の建築板2を含み、2枚の建築板2のうちの一方である一方建築板2の表面には、表面外観が互いに異なる少なくとも二つの領域があり、2枚の建築板2のうちの他方である他方建築板2の表面には、一方建築板2の一方の領域の表面外観と同じ表面外観を有する同一外観領域がある。なお、一方建築板2の二つの領域は隣接していてもよいし、隣接していなくてもよい。
上述した建築板群1を施工するにあたり、施工する建築板2の組み合わせや、各建築板2が施工される位置を変更することで、外壁の表面外観を様々な表面外観にすることができる。
図1に示す例では、第1建築板31同士が左右方向に隣り合い、第2建築板32同士が左右方向に隣り合い、第3建築板33同士が左右方向に隣り合い、かつ、第1建築板31、第2建築板32及び第3建築板33が上方から順に並ぶように、建築板群1が施工されている。この例では、第1建築板31の下側の端縁と第2建築板32の上側の端縁とが隣接し、この隣接箇所を挟んで、第1建築板31の第1領域311と第2建築板32の第1領域321とが隣り合う。このため、同じ表面外観を有する、第1建築板31の第1領域311と第2建築板32の第1領域321とで、連続した表面外観(ひし形状の模様)を形成する。また、同じ表面外観を有する、第1建築板31の第2領域312、第1建築板31の第3領域313、第2建築板32の第2領域322、第2建築板32の第3領域323及び第3建築板33の表面が、上下方向に隣り合う第1建築板31と第3建築板33との隣接箇所、上下方向に隣り合う第2建築板32と第3建築板33との隣接箇所、左右方向に隣り合う第1建築板31同士の隣接箇所、左右方向に隣り合う第2建築板32同士の隣接箇所及び左右方向に隣り合う第3建築板33同士の隣接箇所を介して、連続した表面外観を形成する。
図4に示す例では、第3建築板33は施工されておらず、第1建築板31同士が左右方向に隣り合い、第2建築板32同士が左右方向に隣り合い、かつ、第1建築板31及び第2建築板32が上下方向において交互に並ぶように、建築板群1が施工されている。この例では、同じ表面外観を有する、第1建築板31の第1領域311と第2建築板32の第1領域321とが、連続した表面外観(ひし形状の模様)を形成する。また、同じ表面外観を有する、第1建築板31の第2領域312、第1建築板31の第3領域313、第2建築板32の第2領域322及び第2建築板32の第3領域323が、連続した表面外観(ひし形状の模様)を形成する。
図5に示す例では、第1建築板31と第3建築板33とが上下方向において交互に並び、第2建築板32と第3建築板33とが上下方向において交互に並び、第1建築板31と第3建築板33とが左右方向において交互に並び、かつ、第2建築板32と第3建築板33とが左右方向において交互に並ぶように、建築板群1が施工されている。この例では、同じ表面外観を有する、第1建築板31の第2領域312、第1建築板31の第3領域313、第2建築板32の第2領域322、第2建築板32の第3領域323及び第3建築板33の表面外観が、連続した表面外観を形成する。
図6に示す例では、第1建築板31は施工されておらず、第2建築板32と第3建築板33とが上下方向において交互に並び、第2建築板32同士が左右方向に隣り合い、かつ、第3建築板33同士が左右方向に隣り合うように、建築板群1が施工されている。この例では、第2建築板32の第2領域322、第2建築板32の第3領域323及び第3建築板33の表面外観が、連続した表面外観を形成する。
図1、図4、図5及び図6に示す例では、建築板群1が、上下方向に隣り合う建築板2の左右方向の位置が同じになるように施工されたが、建築板群1は、例えば、図7に示すように、上下方向に隣り合う建築板2の左右方向の位置がずれるように千鳥張りで施工されてもよい。図7に示す例では、第3建築板33は施工されておらず、第1建築板31同士が左右方向に隣り合い、第2建築板32同士が左右方向に隣り合い、かつ、第1建築板31と第2建築板32とが上下方向において交互に並ぶように、建築板群1が施工されている。この例では、第1建築板31の第1領域311と第2建築板32の第1領域321とが、連続した表面外観を形成し、第1建築板31の第2領域312、第1建築板31の第3領域313、第2建築板32の第2領域322及び第2建築板32の第3領域323が、連続した表面外観を形成する。
図1、図4〜図7に示すいずれの例においても、端縁同士が隣接する2枚の建築板2において、一方建築板2の一方の領域と他方建築板2の同一外観領域とが、2枚の建築板2の隣接箇所を挟んで隣り合う。このため、一方建築板2の一方の領域と他方建築板2の同一外観領域とで、連続した表面外観を形成することができる。
また、一方建築板2の二つの領域の各々は、全体にわたって一様な表面外観を有するため、一方建築板2の二つの領域の境界が外観上明確に現れる。このため、隣り合う建築板2の隣接箇所を介して連続した表面外観における隣接箇所が、一方建築板2の二つの領域の境界との比較から目立ちにくくなる。したがって、一方建築板2の一方の領域と、他方建築板2の同一外観領域とで形成される表面外観を、一層連続したような表面外観にすることができる。
(2)変形例
以下、上記実施形態の変形例について説明する。
(2―1)変形例1
変形例1について説明する。なお、以下では、変形例1の各要素について、上記実施形態の対応する要素に付した符号の末尾に「A」を付け加えた符号を付し、上記実施形態の対応する要素と共通する事項については説明を省略する。
図8及び図9に変形例1の建築板群1Aを施工した状態を示す。本変形例の建築板群1Aは、建築板2Aとして、表面外観が互いに異なる、第1建築板31Aと第2建築板32Aとの2種類の建築板2Aを備えている。
第1建築板31Aの表面には、第1領域311Aと第2領域312Aとの二つの領域がある。第1建築板31Aの表面は、第1領域311Aと第2領域312Aとだけで構成されている。第1領域311Aは、第1建築板31Aにおける右側端部を除く矩形状の領域である。第2領域312Aは、第1建築板31Aにおける右側端部の矩形状の領域であり、第1領域311Aの右側に隣接している。
第1建築板31Aにおける第1領域311A及び第2領域312Aの各々は、その領域の全体にわたって一様な表面外観を有している。第1領域311Aと第2領域312Aとは、表面外観が異なっている。例えば、第1領域311は、平面であり、第2領域312には、上下方向に延びた突条又は凹溝からなる筋が左右方向に間隔をあけて複数形成されている。
第1領域311Aと第2領域312Aとの境界は、第1建築板31Aの一の端縁である上側の端縁から、他の端縁である下側の端縁に向かって直線状に延びている。具体的に、第1領域311Aと第2領域312Aとの境界は、第1建築板31Aの上側の端縁の右寄りの箇所から、第1建築板31Aの下側の端縁の右寄りの箇所まで直線状に延びており、上下方向と平行である。
第2建築板32Aの表面には、第1建築板31Aの少なくとも一つの領域と同じ表面外観を有する同一外観領域がある。
本変形例の第2建築板32Aの表面外観は、第1建築板31Aの表面外観を左右に反転したものである。第2建築板32Aの表面には、第1領域321Aと第2領域322Aとの二つの領域がある。
第1領域321Aは、第2建築板32Aにおける左側端部を除く矩形状の領域である。第2領域322Aは、第2建築板32Aにおける左側端部の矩形状の領域であり、第1領域321Aの左側に隣接している。
第2建築板32Aにおける第1領域321A及び第2領域322Aの各々は、その領域の全体にわたって一様な表面外観を有している。第2建築板32Aの第1領域321Aは、第1建築板31Aの第1領域311Aと表面外観が同じである。第2建築板32Aの第2領域322Aは、第1建築板31Aの第2領域312Aと表面外観が同じである。第2建築板32Aの第1領域321Aと、第2建築板32Aの第2領域322Aとは、表面外観が異なっている。
第2建築板32Aの第1領域321Aと第2領域322Aとの境界は、第2建築板32Aの一の端縁である上側の端縁から、他の端縁である下側の端縁に向かって直線状に延びている。具体的に、第1領域321Aと第2領域322Aとの境界は、第2建築板32Aの上側の端縁の左寄りの箇所から、第2建築板32Aの下側の端縁の左寄りの箇所まで、上下方向に直線状に延びている。
図8に示す例では、第1建築板31Aと第2建築板32Aとが左右方向において交互に並び、第1建築板31A同士が上下方向に隣り合い、かつ、第2建築板32A同士が上下方向に隣り合うように、建築板群1Aが施工されている。この例では、同じ表面外観を有する、第1建築板31Aの第1領域311Aと第2建築板32Aの第1領域321Aとが、連続した表面外観を形成する。また、同じ表面外観を有する、第1建築板31Aの第2領域312Aと第2建築板32Aの第2領域322Aとが、左右方向に隣り合う第1建築板31Aと第2建築板32Aとの隣接箇所、上下方向に隣り合う第1建築板31A同士の隣接箇所及び上下方向に隣り合う第2建築板32A同士の隣接箇所を介して、連続した表面外観を形成する。
図9に示す例では、第1建築板31Aと第2建築板32Aとが左右方向において交互に並び、かつ、第1建築板31Aと第2建築板32Aとが上下方向において交互に並ぶように、建築板群1Aが施工されている。この例では、同じ表面外観を有する、第1建築板31Aの第1領域311Aと第2建築板32Aの第1領域321Aとが、連続した表面外観を形成する。また、同じ表面外観を有する、第1建築板31Aの第2領域312Aと第2建築板32Aの第2領域322Aとが、左右方向に隣り合う第1建築板31Aと第2建築板32Aとの隣接箇所を介して、連続した表面外観を形成する。
図8及び図9に示す例では、建築板群1Aが、上下方向に隣り合う建築板2Aの左右方向の位置が同じになるように施工されたが、建築板群1Aは、例えば、図10に示すように、上下方向に隣り合う建築板2Aの左右方向の位置がずれるように千鳥張りで施工されてもよい。
図10に示す例では、第1建築板31Aと第2建築板32Aとが左右方向において交互に並ぶように、建築板群1が施工されている。この例では、同じ表面外観を有する、第1建築板31Aの第1領域311Aと第2建築板32Aの第1領域321Aとが、連続した表面外観を形成する。また、同じ表面外観を有する、第1建築板31Aの第2領域312Aと第2建築板32Aの第2領域322Aとが、左右方向に隣り合う第1建築板31Aと第2建築板32Aとの隣接箇所及び上下方向に隣り合う第1建築板31Aと第2建築板32Aとの隣接箇所を介して、連続した表面外観を形成する。
(2―2)変形例2
変形例2について説明する。なお、以下では、変形例2の各要素について、上記実施形態の対応する要素に付した符号の末尾に「B」を付け加えた符号を付し、上記実施形態の対応する要素と共通する事項については説明を省略する。
図11に本変形例の建築板群1Bを施工した状態を示す。建築板群1Bは、建築板2Bとして、表面外観が互いに異なる、第1建築板31B、第2建築板32B及び第3建築板33Bの3種類の建築板2を備えている。
第1建築板31Bの表面には、第1領域311Bと第2領域312Bとの二つの領域がある。第1建築板31Bの表面は、第1領域311Bと第2領域312Bとだけで構成されている。第1領域311Bは、第1建築板31Bにおける上側の矩形状の領域である。第2領域312Bは、第1建築板31Bにおける下側の矩形状の領域であり、第1領域311Bの下側に隣接している。
第1建築板31Bにおいて、第1領域311B及び第2領域312Bの各々は、その領域の全体にわたって一様な表面外観を有している。第1領域311Bと第2領域312Bとは、表面外観が異なっている。例えば、第1領域311Bは、平面であり、第2領域312Bには、左右方向に延びた突条又は凹溝からなる筋が上下方向に複数形成されている。
第1領域311Bと第2領域312Bとの境界は、第1建築板31Bの一の端縁である左側の端縁から、他の端縁である右側の端縁に向かって直線状に延びている。具体的に、第1領域311Bと第2領域312Bとの境界は、第1建築板31Bの左側の端縁の中央から、第1建築板31Bの右側の端縁の中央まで、左右方向に直線状に延びている。
第2建築板32Bの表面には、第1建築板31Bの少なくとも一つの領域と同じ表面外観を有する同一外観領域がある。
本変形例の第2建築板32Bの表面外観は、第1建築板31Bの表面外観を上下に反転したものである。第2建築板32Bの表面には、第1領域321Bと第2領域322Bとの二つの領域がある。
第1領域321Bは、第2建築板32Bにおける下側の矩形状の領域である。第2領域322Bは、第2建築板32Bにおける上側の矩形状の領域であり、第1領域321Bの上側に隣接している。
第2建築板32Bの第1領域321B及び第2領域322Bの各々は、その領域の全体にわたって一様な表面外観を有している。第2建築板32Bの第1領域321Bは、第1建築板31Bの第1領域311Bと表面外観が同じである。第2建築板32Bの第2領域322Bは、第1建築板31Bの第2領域312Bと表面外観が同じである。このため、第1領域321Bと第2領域322Bとは、表面外観が互いに異なっている。
第2建築板32Bの第1領域321Bと第2領域322Bとの境界は、第2建築板32Bの一の端縁である左側の端縁から、他の端縁である右側の端縁に向かって直線状に延びている。具体的に、第1領域321Bと第2領域322Bとの境界は、第2建築板32Bの左側の端縁の中央から、第2建築板32Bの右側の端縁の中央まで、左右方向に直線状に延びている。
第3建築板33Bの表面には、第1建築板31Bの少なくとも一つの領域と同じ表面外観を有する同一外観領域があり、かつ、第2建築板32Bの少なくとも一つの領域と同じ表面外観を有する同一外観領域がある。本変形例の第3建築板33Bの表面外観は、全体にわたって一様である。第3建築板33Bの表面外観は、第1建築板31Bの第1領域311B及び第2建築板32Bの第1領域321Bの各々の表面外観と同じである。すなわち、第3建築板33Bの表面外観は、第1建築板31Bの第1領域311Bと表面外観が同じ同一表面外観であり、かつ、第2建築板32Bの第1領域321Bと表面外観が同じ同一表面外観である。
図11に示す例では、第1建築板31B同士が左右方向に隣り合い、第2建築板32B同士が左右方向に隣り合い、第3建築板33B同士が左右方向に隣り合い、かつ、第1建築板31B、第2建築板32B及び第3建築板33Bが上方から順に並ぶように、建築板群1Bが施工されている。この例では、同じ表面外観を有する、第1建築板31Bの第1領域311B、第2建築板32Bの第1領域321B及び第3建築板33Bの表面が、連続した表面外観を形成する。また、同じ表面外観を有する、第1建築板31Bの第2領域312Bと第2建築板32Bの第2領域322Bとが、連続した表面外観(直線状の模様)を形成する。
また、本変形例の建築板群1Bは、例えば、図11に示す例において、第3建築板33Bを省略したり、上下方向において第1建築板31Bと第2建築板32Bとの間に配置される第3建築板33Bの枚数を変更したりすることで、第1建築板31Bの第2領域312Bと第2建築板32Bの第2領域322Bとで形成される直線状の模様の間隔を変更することもできる。
(2−3)変形例
変形例3について説明する。なお、以下では、変形例3の各要素について、上記実施形態の対応する要素に付した符号の末尾に「C」を付け加えた符号を付し、上記実施形態の対応する要素と共通する事項については説明を省略する。
図12に本変形例の建築板群1Cを施工した状態を示す。建築板群1Cは、表面外観が互いに異なる、第1建築板31Cと、第2建築板32Cとの2種類の建築板2Cを備えている。
第1建築板31Cは、実施形態の第1建築板31と同様に、各々が三角形状の第1領域311C、第2領域312C及び第3領域313Cの三つの領域を有している。ただし、第1領域311Cには、左右方向に延びた溝からなる凹部314Cが上下方向に間隔をあけて複数形成されている。
各凹部314Cは、第1領域311Cの左右方向の全長にわたって形成されている。各凹部314Cは、長さ方向と直交する断面の形状が、第1建築板31Cと第2建築板32Cとの間に形成される凹溝10Cの長さ方向と直交する断面の形状と同じである。本発明において「断面の形状と同じである」とは、断面形状が完全に一致するか、又は見分けがつかない程度に近似していることを意味する。
第2建築板32Cは、実施形態の第2建築板32と同様に、各々が三角形状の第1領域321C、第2領域322C及び第3領域323Cの三つの領域を有している。ただし、第1領域321Cには、左右方向に延びた溝からなる凹部324Cが上下方向に間隔をあけて複数形成されている。各凹部324Cは、第1領域321Cの左右方向の全長にわたって形成されている。各凹部324Cの長さ方向と直交する断面の形状は、第1建築板31Cと第2建築板32Cとの間に形成される凹溝10Cの長さ方向と直交する断面の形状と同じである。
第1建築板31Cが第2建築板32Cの上方に隣接して施工された場合、同じ表面外観を有する、第1建築板31Cの第1領域311Cと第2建築板32Cの第1領域321Cとが、上下方向に隣接する第1建築板31Cと第2建築板32Cとの隣接箇所を挟んで隣り合い、連続した表面外観(ひし形状の模様)を形成する。
第1建築板31Cと第2建築板32Cとの間に形成される凹溝10Cは、第1建築板31Cの凹部314Cと断面形状が略同じであり、かつ、第2建築板32Cの凹部324Cと断面形状が略同じである。このため、実部20C同士を接合した建築板2Cの接合部分が目立ち難く、第1建築板31Cの第1領域311Cと第2建築板32Cの第1領域321Cとで形成される表面外観を、一層連続したような外観にすることができる。
(3)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の建築板群1,1A,1Bは、少なくとも2枚の建築板2,2A,2Bを含む建築板群1,1A,1Bであって、以下に示す構成を有する。2枚の建築板2,2A,2Bのうちの一方である一方建築板2,2A,2Bの表面には、表面外観が互いに異なる少なくとも二つの領域311,312,311A,312A,311B,312Bがある。二つの領域311,312,311A,312A,311B,312Bのうち少なくとも一方の領域311,311A,311Bは、一方建築板2,2A,2Bの端縁を含む。2枚の建築板2,2A,2Bのうちの他方である他方建築板2,2A,2Bの表面には、一方建築板2,2A,2Bの一方の領域311,311A,311Bの表面外観と同じ表面外観を有する同一外観領域がある。同一外観領域は他方建築板2,2A,2Bの端縁を含む。一方建築板2,2A,2Bの一方の領域311,311A,311Bの表面外観と、他方建築板2の同一外観領域とが、一方建築板2,2A,2Bの前記端縁と他方建築板2,2A,2Bの前記端縁とを隣接させた状態で隣接箇所を挟んで隣り合う。
この態様によれば、一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとを隣接させて施工したときに、一方建築板2,2A,2Bの一方の領域311,311A,311Bと、他方建築板2,2A,2Bの同一外観領域とで、一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとの隣接箇所を介して連続した表面外観を形成することができる。したがって、複数の建築板2,2A,2Bの表面で形成される表面外観の設計の自由度が高く、デザイン性に優れる。
第2の態様の建築板群1,1A,1Bは、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、他方建築板2,2A,2Bの表面に、表面外観が異なる少なくとも二つの領域321,322,321A,322A,321B,322Bがあり、これら二つの領域321,322,321A,322A,321B,322Bのうちの一方321,321A,321Bが、同一外観領域である。
この態様によれば、他方建築板2,2A,2Bの表面に、表面外観が異なる二つの領域321,322,321A,322A,321B,322Bがあるため、建築板群1,1A,1Bを施工したときに、より複雑な表面外観を形成することができる。
第3の態様の建築板群1,1A,1Bは、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様の建築板群1,1A,1Bは、以下に示す構成を有する。2枚の建築板2,2A,2Bの各々は、矩形板状をなし、かつ、対向する一対の辺は実部20を有する。一方建築板2,2A,2Bの実部20と他方建築板2,2A,2Bの実部20とを接合した状態で、一方建築板2,2A,2Bの一方の領域311,311A,311Bと、他方建築板2,2A,2Bの同一外観領域とが、隣り合う。
この態様によれば、実部20が接合しあう一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとで、隣接箇所を介して連続した表面外観を形成することができる。
第4の態様の建築板群1,1A,1Bは、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様の建築板群1,1A,1Bは、以下に示す構成を有する。2枚の建築板2,2A,2Bの各々は、矩形板状をなし、対向する一対の辺は実部20を有し、かつ、対向する他の一対の辺は実部20を有さない。一方建築板2,2A,2B及び他方建築板2,2A,2Bを、実部20を有しない端縁同士を隣接させた状態で、一方建築板2,2A,2Bの一方の領域311,311A,311Bと、他方建築板2の同一外観領域とが、隣り合う。
この態様によれば、実部20を有しない端縁同士が隣接する一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとで、隣接箇所を介して連続した表面外観を形成することができる。
第5の態様の建築板群1,1A,1Bは、第1〜第4のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様の建築板群1,1A,1Bは、以下に示す構成を有する。一方建築板2,2A,2Bの二つの領域311,312,311A,312A,311B,312Bの境界は、一方建築板2,2A,2Bの一の端縁から他の端縁に向かって直線状に延びる。
この態様によれば、一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとで、直線状の端縁を有する表面外観を形成することができる。
第6の態様の建築板群1,1A,1Bは、第1〜第5のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様の建築板群1,1A,1Bは、以下に示す構成を有する。前記表面外観は、模様、色彩、光沢、表面粗さ、凹凸及び建築板2,2A,2Bの板厚のうちの少なくとも一つの外観要素で構成される。
第7の態様の建築板群1,1A,1Bの施工構造は、以下に示す構成を有する。建築板群1,1A,1Bの施工構造は、第1〜第6のいずれか一つの態様の建築板群1,1A,1Bを備える。一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとが隣接した状態で施工されている。一方建築板2,2A,2Bの一方の領域311,311A,311Bの表面外観と、他方建築板2の同一外観領域とが、一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとの隣接箇所を挟んで隣り合う。
この態様によれば、一方建築板2,2A,2Bの一方の領域と、他方建築板2,2A,2Bの同一外観領域とで、一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとの隣接箇所を介して連続した表面外観を形成することができる。
第8の態様の建築板群1,1A,1Bの施工方法は、第1〜第6のいずれか一つの態様の建築板群1,1A,1Bの施工方法であって、以下に示す構成を有する。一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとを、一方建築板2,2A,2Bの一方の領域311,311A,311Bの表面外観と、他方建築板2,2A,2Bの同一外観領域とが、一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとの隣接箇所を挟んで隣り合うように施工する。
この態様によれば、一方建築板2,2A,2Bの一方の領域311,311A,311Bと、他方建築板2,2A,2Bの同一外観領域とで、一方建築板2,2A,2Bと他方建築板2,2A,2Bとの隣接箇所を介して連続した表面外観を形成することができる。