JP2021155681A - 含水ゲル - Google Patents

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Abstract

【課題】耐水性に優れ、さらに耐黄変性にも優れる含水ゲルを提供する。【解決手段】活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物からなる含水ゲルであって、JIS K7373反射測定による黄色度(YI)1.0以下、80℃の水に1時間浸漬した後の溶出率が30%以下である含水ゲルとする。【選択図】なし

Description

本発明は、含水ゲルに関するものであり、さらに詳しくは、耐水性と耐黄変性に優れ、活性エネルギー線の照射により硬化可能な官能基を有する変性ポリビニルアルコールを含む含水ゲルに関するものである。
ポリビニルアルコールは水溶性高分子であって、被膜形成性に優れ、低毒性であるが、水に溶解する欠点があり、改良が望まれている。
水に難溶にする試みとして、ポリビニルアルコールに活性エネルギー線硬化可能な官能基を導入した変性ポリビニルアルコールを作製し、上記変性ポリビニルアルコールの水溶液を基材に塗布した後、乾燥させて水を除去し、しかる後に活性エネルギー線を照射して硬化物を得る方法が知られている。
例えば、特許文献1では、ポリビニルアルコールと(メタ)アクリル酸無水物とを、ポリビニルアルコールが不溶かつ(メタ)アクリル酸無水物が可溶な有機溶媒中で反応させて、(メタ)アクリル基変性ポリビニルアルコールを得る方法が開示されている。
また、特許文献2では、ラジカル重合性基を有するポリビニルアルコールを架橋してなるポリビニルアルコール架橋体と、カルボキシ基を有する水溶性ポリマーを金属イオンにより架橋してなる水溶性ポリマー架橋体を含有するゲルが開示されている。
そして、特許文献3では、ジアゾニウム塩基からなる構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体が開示されている。
さらに、特許文献4では、(メタ)アクリロイル構造を1つ有する親水性モノマー、(メタ)アクリロイル構造を2つ以上有する架橋剤、無機紫外線遮蔽剤および光重合開始剤を含む光硬化型組成物を硬化させた硬化物と、水を含むヒドロゲルが開示されている。
特開昭60−13803号公報 特開2019−85521号公報 特開平11−199634号公報 特開2019−44135号公報
しかしながら、上記特許文献1では、変性ポリビニルアルコール水溶液から水を乾燥させた後に紫外線照射して、変性ポリビニルアルコールの硬化物を得る方法は示されているが、水を多く含んだままの状態で紫外線照射したときの硬化物の耐水性については評価されていない。
また、上記特許文献2では、メタクリル基変性ポリビニルアルコールを含む含水ゲルが開示されているが、その耐水性は評価されていない。
上記特許文献3では、耐水性を有する変性ポリビニルアルコールが開示されているが、合成が煩雑であり、しかも保存安定性に劣るためさらなる改善が求められる。
上記特許文献4に開示の技術では、厚みの厚い紫外線硬化物を得る際に、高エネルギーまたは長時間の照射を行う必要があり、さらなる改善が求められる。
また、このようにして得られる硬化物は黄色い着色が認められることが多く、着色を少なくすることが求められている。そして、耐水性の高い含水ゲルを得ようとする場合、活性エネルギー線の照射を強くすればよいが、活性エネルギー線の照射を強くすれば、ゲルがより黄変してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、耐水性に優れ、さらに耐黄変性にも優れる含水ゲルの提供を目的とする。
本発明者は、上記の事情に鑑み鋭意検討した結果、活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性ポリビニルアルコールの変性量を特定のものとすることにより上記課題が解決することを見出した。
すなわち、本発明は、活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物からなる含水ゲルであって、JIS K7373反射測定による黄色度(YI)1.0以下、80℃の水に1時間浸漬した後の溶出率が30重量%以下である含水ゲルをその要旨とする。
本発明の含水ゲルは、上記のとおり、活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物からなる含水ゲルであって、JIS K7373反射測定による黄色度(YI)1.0以下、80℃の水に1時間浸漬した後の溶出率が30重量%以下である。したがって、耐水性が高く、しかも黄色の着色が抑えられているという、相反する物性が高い水準で両立した、優れた品質を備えたゲルである。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」を、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」および「メタクリロイル」をそれぞれ包括する意味である。
本発明の含水ゲルは、活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性ポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」と称する)系樹脂を含む樹脂組成物からなるものである。
〔活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性PVA系樹脂〕
上記活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性PVA系樹脂は、例えば、原料となるPVA系樹脂の側鎖や末端官能基等を介して活性エネルギー線硬化可能な官能基を導入する方法、PVA系樹脂の製造過程で活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する化合物を共重合させて、活性エネルギー線硬化可能な官能基を導入する方法等により得ることができる。なかでも、原料となるPVA系樹脂の側鎖や末端官能基等を介して活性エネルギー線硬化可能な官能基を導入する方法が好ましい。
以下、原料となるPVA系樹脂(以下、「原料PVA系樹脂」と称する)について説明する。
[原料PVA系樹脂]
上記原料PVA系樹脂は、通常、未変性PVA樹脂であることが好ましいが、共重合変性PVA系樹脂を用いてもよい。
上記未変性PVA樹脂は、通常、ビニルエステル系モノマーを重合し、さらにそれをケン化することにより製造することができる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、トリフロロ酢酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられる。なかでも、好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルであり、殊に好ましくは酢酸ビニルである。これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
また、上記共重合変性PVA系樹脂は、上記ビニルエステル系モノマーと他の不飽和単量体との重合体をケン化することにより製造することができる。なお、上記共重合変性PVA系樹脂における他の不飽和単量体の導入量は、通常、20モル%以下、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下である。
上記他の不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステル等、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類、(メタ)アクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、3,4−ジアセトキシブテン等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記原料PVA系樹脂は、公知の任意の重合法、ケン化法及び後変性方法により得ることができる。
上記原料PVA系樹脂の平均ケン化度は、通常50〜99モル%、好ましくは60〜95モル%、特に好ましくは65〜90モル%である。平均ケン化度が低すぎると、水に溶けにくくなる傾向があり、平均ケン化度が高すぎると、含水ゲルを調製する際に粘度が高くなりすぎ、取り扱いづらくなる傾向がある。なお、上記の平均ケン化度は、JIS K 6726に準拠して測定される。
上記原料PVA系樹脂の平均重合度は、通常100〜4000であり、好ましくは200〜3000、特に好ましくは250〜2500である。かかる平均重合度が低すぎると、含水ゲルが脆くなる傾向があり、平均重合度が高すぎると、含水ゲルを調製する際に粘度が高くなりすぎ、取り扱いづらくなる傾向がある。なお、上記平均重合度は、JIS K 6726に準拠して測定される。
また、原料PVA系樹脂としては、変性種、変性量、平均ケン化度、平均重合度等の異なる2種以上のものを併用してもよい。
[活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する化合物]
本発明においては、上述のとおり、原料PVA系樹脂の側鎖や末端官能基等を介して活性エネルギー線硬化可能な官能基を導入する方法が好ましく、より好ましくは原料PVA系樹脂の側鎖の水酸基または1,3−ジオール基に活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する化合物を反応させることが好ましく、特に好ましくは原料PVA系樹脂の側鎖の水酸基に活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する化合物を反応させることである。
上記活性エネルギー線硬化可能な官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニルフェニル基、シクロへキセニル基、シクロペンテニル基、ノルボルネニル基、ジシクロペンテニル基等が挙げられる。なかでも(メタ)アクリロイル基が反応性の点から好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸類が挙げられ、なかでも無水(メタ)アクリル酸が好ましい。
原料PVA系樹脂と(メタ)アクリロイル基を有する化合物との反応は、原料PVA系樹脂が分散された溶媒中で塩基触媒の存在下、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させればよい。これにより原料PVA系樹脂が有する水酸基と、(メタ)アクリロイル基を有する化合物のカルボン酸とでエステル化反応またはエステル交換反応が起こり、(メタ)アクリロイル基を有する変性PVA系樹脂を得ることができる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物の配合量は、原料PVA系樹脂100重量部に対して、通常、60〜140重量部であり、好ましくは70〜130重量部であり、特に好ましくは80〜120重量部である。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の配合量が少なすぎると、充分な量の(メタ)アクリロイル基をPVA系樹脂に導入することができず、含水ゲルとした際に耐水性に劣る傾向があり、配合量が多すぎると、反応中に溶媒に溶解してしまい、(メタ)アクリル基を有する変性PVA系樹脂を分離することが難しくなる傾向がある。
上記溶媒としては、原料PVA系樹脂が溶解せず、活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する化合物が溶解する溶媒が好ましく、例えば、低級ハロゲン化炭化水素、低級脂肪族ケトン、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の溶媒が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
具体的には、例えば、メチレンクロリド、クロロホルム、テトラクロロ炭化水素、トリクロロエタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、アセトン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。なかでもアセトンが好ましい。
上記溶媒の配合量は、特に制限はないが、原料PVA系樹脂と(メタ)アクリロイル基を有する化合物の合計100重量部に対して、通常、30〜100重量部であり、好ましくは40〜70重量部である。
上記塩基触媒としては、例えば、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリブチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、3級アミンが好ましく、N,N−ジメチルベンジルアミンが特に好ましい。
上記塩基性触媒の配合量は、原料PVA系樹脂100重量部に対して、通常0.1〜1重量部であり、好ましくは0.2〜0.7重量部である。
上記反応の温度は特に制限はないが、通常、10〜100℃であり、好ましくは40〜80℃である。
また、反応時間も特に制限はないが、通常2〜40時間、好ましくは4〜20時間である。
反応後の反応液の後処理や反応生成物〔(メタ)アクリロイル基を有する変性PVA系樹脂〕の単離は、公知の方法に従い行えばよい。例えば、上記反応液を濾別することで、(メタ)アクリロイル基を有する変性PVA系樹脂が残渣として得られる。得られた(メタ)アクリロイル基を有する変性PVA系樹脂は、そのまま乾燥して用いてもよいが、純度を高めるために、洗浄やソックスレー抽出等の精製操作を行った後に乾燥を行うことが好ましい。
このようにして得られる(メタ)アクリロイル基を有する変性PVA系樹脂の変性量は、2.5〜10モル%であることが好ましく、より好ましくは3〜8モル%であり、特に好ましくは3.5〜6モル%である。変性量が少なすぎると、含水ゲルとした際に耐水性に劣る傾向があり、変性量が多すぎると、活性エネルギー線照射によるゲルの体積収縮が大きくなりすぎる傾向がある。
活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性PVA系樹脂は、樹脂組成物の主成分であり、その含有量は、樹脂組成物の50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
〔光重合開始剤〕
上記樹脂組成物には、上記活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性PVA系樹脂以外に、光重合開始剤を配合することが好ましい。光重合開始剤を用いることにより、活性エネルギー線照射時の反応を加速させることができる。
上記光重合開始剤としては、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルフォスフィンオキサイド類等の光重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。また、本発明においては樹脂組成物の水溶液に活性エネルギー線照射を行って含水ゲルを得ることから、光重合開始剤は水溶性のものであることが好ましい。
かかる光重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性PVA系樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.5〜5重量部である。かかる配合量が少なすぎると硬化速度が低下したり、硬化が不充分となる傾向があり、多すぎても硬化性はそれ以上は向上せず経済性が低下する傾向がある。
〔その他の任意成分〕
本発明で用いる樹脂組成物としては、上記活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性PVA系樹脂、光重合開始剤の他に、その他の任意成分を含んでもよい。
その他の任意成分としては、例えば、酸化防止剤、可塑剤、粘着付与剤、架橋剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、機能性色素等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。その他の任意成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない範囲であればよく、樹脂組成物中の0.1〜10重量%であることが好ましい。
本発明の含水ゲルは、上記樹脂組成物の水溶液を調製し、活性エネルギー線を照射することにより得ることができる。
上記水溶液における樹脂組成物の濃度としては、5〜30重量%であることが好ましく、10〜20重量%であることが、耐水性と塗工の容易さの点から好ましい。
また、上記樹脂組成物の水溶液は、そのまま活性エネルギー線を照射して含水ゲルとしてもよいが、上記水溶液を塗工し、その後活性エネルギー線を照射して薄膜状の含水ゲルとすることが好ましい。活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性PVAの官能基が分子内および分子間の少なくとも一方で架橋構造を形成し、含水ゲルとすることができる。
また、上記樹脂組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、アプリケーター、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。
上記活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線が好ましい。
紫外線を照射して硬化させる際には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LEDランプ等を用いて、通常30〜3000mJ/cm2、好ましくは100〜1500mJ/cm2の紫外線を照射すればよい。
このようにして得られる本発明の含水ゲルの膜厚は、通常、1〜1000μmであり、好ましくは10〜800μmであり、より好ましくは20〜700μmである。
本発明の含水ゲルの含水率は、30重量%以上であることが好ましく、60〜90重量%であることが特に好ましい。含水率が低すぎると、基材への追従性が低下する傾向があり、含水率が高すぎるとゲルの形状維持が難しい傾向がある。
また、上記含水ゲルのJIS K7373反射測定による黄色度(YI)は、1.0以下であり、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.5以下である。すなわち、本発明の含水ゲルは、硬化後の黄色度が低いものであり、透明性に優れるものである。なお、上記黄色度は、下記の方法により調製される含水ゲルの黄色度である。すなわち、本発明に用いられる樹脂組成物の15重量%水溶液を調製し、これを活性エネルギー線照射後の膜厚が30μmとなるように塗工し、その後200mJ/cm2の紫外線を照射して含水ゲルを調製する。この含水ゲルの黄色度(YI)として求められる値である。
また、本発明の含水ゲルは、80℃の水に1時間浸漬した後の溶出率が、30重量%以下であり、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。本発明の含水ゲルは、80℃の水に1時間浸漬した際でも溶出率が少ないため、優れた耐水性を有するものである。なお、上記溶出率は、下記の方法により求められるものである。すなわち、本発明に用いられる樹脂組成物の15重量%水溶液を調製し、これを液層厚が500μmとなるように塗工し、直ちに200mJ/cm2の紫外線を照射して含水ゲルを調製する。この含水ゲルを、加熱減圧乾燥し、浸漬前の樹脂組成物の量を求める。また、上記含水ゲルを80℃の水に1時間浸漬した後、加熱減圧乾燥を行い、浸漬後の樹脂組成物の量を求める。この浸漬前の樹脂組成物の量と、浸漬後の樹脂組成物の量から下記の式により溶出率を求める。
溶出率(重量%)=(浸漬前の樹脂組成物の量−浸漬後の樹脂組成物の量)
/浸漬前の樹脂組成物の量×100
本発明の含水ゲルは、耐水性と黄変抑制に優れることから、コンタクトレンズ等への利用が期待できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を意味する。
<実施例1>
部分ケン化ポリビニルアルコール樹脂(ケン化度87.5モル%)50gを、無水メタクリル酸50g、アセトン50gおよびN,N−ジメチルベンジルアミン0.2gの混合物に分散させ、還流下で6時間反応させた。
反応終了後、濾別した生成物を、アセトンでソックスレー抽出した後、乾燥させて、メタクリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(I)を得た。
得られたメタクリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(I)の1H−NMRを測定し、積分比から、メタクリル基の導入率(変性量)を求めたところ4モル%であった。
上記メタクリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(I)を水に溶解させ15%水溶液を調製した。この水溶液に、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Omnirad 2959、IGM Resins B.V.社製)をメタクリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(I)100部に対して2部添加して樹脂組成物の水溶液とした。この樹脂組成物水溶液は透明であり、回転レオメーターで測定した粘度は、20℃で220mPa・sであった。また、この水溶液を室温(23℃)で6ヶ月保管した後も外観、粘度に変化はなかった。
〔黄色度測定用含水ゲルの調製〕
上記樹脂組成物の水溶液を基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み100μm)の上にアプリケーターで塗布し、200mJ/cm2の紫外線を照射して、基材上に塗膜を得た。この塗膜の膜厚を測定したところ30μmであった。
〔溶出率測定用含水ゲルの調製〕
また、上記樹脂組成物の水溶液を基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み100μm)の上にアプリケーターで液層厚が500μmとなるように塗布し、塗布後、直ちに200mJ/cm2の紫外線を照射して含水ゲルを調製した。
<比較例1>
実施例1において、無水メタクリル酸を25gにした他は、同様にして、メタクリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(II)を得た。
得られたメタクリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(II)の1H−NMRを測定し、積分比から、メタクリル基の導入率(変性量)を求めたところ2モル%であった。
上記メタクリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(II)を水に溶解させ15%水溶液を調製した。この水溶液に、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Omnirad 2959、IGM Resins B.V.社製)を、メタクリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(II)100部に対して10部添加して樹脂組成物の水溶液とした。
上記樹脂組成物の水溶液を用いて、実施例1と同様の方法で、黄色度測定用含水ゲルおよび溶出率測定用含水ゲルを調製した。
<比較例2>
上記メタクリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(II)を水に溶解させ15%水溶液を調製した。この水溶液に、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Omnirad 2959、IGM Resins B.V.社製)を、メタクリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(II)100部に対して2部添加して樹脂組成物の水溶液とした。
上記樹脂組成物の水溶液を用いて、実施例1と同様の方法で、黄色度測定用含水ゲルおよび溶出率測定用含水ゲルを調製した。
<比較例3>
実施例1において、無水メタクリル酸を150gにした他は、同様にして、反応を行ったが、反応生成物の一部が溶解し、濾別により分離することができなかった。
このようにして得られた実施例1および比較例1、2の黄色度測定用含水ゲルおよび溶出率測定用含水ゲルを用いて、下記の含水率、黄色度および溶出率の測定を行った。結果を後記の表1に示す。
〔含水率〕
実施例および比較例の溶出率測定用含水ゲルの重量を測定し、乾燥前重量(W1)とした。その後、上記含水ゲルを加熱減圧乾燥(95℃、100Pa、8時間)し、乾燥後の重量を測定し、乾燥後重量(W2)とした。得られた乾燥前重量(W1)と乾燥後重量(W2)から、下記の式により含水率(%)を求めた。
含水率(%)=〔乾燥前重量(W1)−乾燥後重量(W2)〕
/乾燥後重量(W2)×100
〔YI値の測定〕
実施例および比較例の黄色度測定用含水ゲルを、分光色差計(日本電色工業社製、SE6000)を用い、JIS K7373反射測定に準拠して黄色度(YI)を測定した。
〔溶出率〕
実施例および比較例の溶出率測定用含水ゲルを加熱減圧乾燥(95℃、100Pa、8時間)し、乾燥後の重量を測定することで浸漬前の樹脂組成物の量を算出した。また、溶出率測定用含水ゲルを80℃の水に1時間浸漬した後、引き上げて、加熱減圧乾燥を行い、乾燥後の重量を測定することで浸漬後の樹脂組成物の量を算出した。得られた浸漬前の樹脂組成物の量と浸漬後の樹脂組成物の量から下記の式により溶出量を算出した。
溶出量(重量%)=(浸漬前の樹脂組成物の量−浸漬後の樹脂組成物の量)
/浸漬前の樹脂組成物の量×100
Figure 2021155681
上記表1の結果から、実施例1の含水ゲルは、黄色度が0.33であり、溶出率が17.3%であることから、耐黄色性と耐水性に優れていた。
一方、比較例1の含水ゲルは、実施例1の含水ゲルと比較して、黄色度、溶出率が高いものであった。また、比較例2の含水ゲルは、黄色度は実施例1の含水ゲルと同等であるが、溶出率が高く、耐水性に劣る物であった。
比較例3では、反応に用いる無水メタクリル酸の量が多く、反応生成物の一部が反応液に溶解してしまって、変性ポリビニルアルコール系樹脂を得ることができなかった。
本発明の含水ゲルは、優れた耐水性と耐黄変性を有するため、例えば、コンタクトレンズ等の使用されることが期待される。

Claims (4)

  1. 活性エネルギー線硬化可能な官能基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物からなる含水ゲルであって、JIS K7373反射測定による黄色度(YI)1.0以下、80℃の水に1時間浸漬した後の溶出率が30重量%以下であることを特徴とする含水ゲル。
  2. 上記活性エネルギー線硬化可能な官能基が、(メタ)アクリロイル基であることを特徴とする請求項1記載の含水ゲル。
  3. 上記変性ポリビニルアルコール系樹脂の変性量が2.5〜10モル%であることを特徴とする1または2記載の含水ゲル。
  4. 上記含水ゲルの含水量が30重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の含水ゲル。
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