JP2021155547A - 樹脂層接着用ゾル組成物 - Google Patents

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千典 藤原
Kazunori Fujiwara
千典 藤原
正義 森
Masayoshi Mori
正義 森
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Abstract

【課題】優れた接着強度を有する樹脂層接着用ゾル組成物、及びこれを用いて製造した成形体を提供すること。【解決手段】ペースト加工用塩化ビニル系樹脂50〜90質量%、及びサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂10〜50質量%を含む塩化ビニル系樹脂と、可塑剤とを含有し、サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂が、平均重合度が400〜1100であり、ポロシティが0.05〜0.25ml/gある樹脂層接着用ゾル組成物、及びこれを用いて製造した成形体である。【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ビニル系樹脂を含有する樹脂層接着用ゾル組成物、及びこれを用いて製造した成形体に関する。
塩化ビニル系樹脂シートは、屋根の防水シート等、様々な用途に使用されている。この塩化ビニル系樹脂シートは、通常、塩化ビニル系シート材を重畳した多層構造となっており、これを構成する塩化ビニル系シート材同士の接着には、通常、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂を含有するゾル組成物が用いられる。
また、このペースト加工用塩化ビニル系樹脂を含有するゾル組成物は、上記のような塩化ビニル系樹脂シート製造時の接着剤としての他、タイルカーペットを構成する樹脂層同士を接着する接着剤としても用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2020−014561号公報
しかしながら、従来のペースト加工用塩化ビニル系樹脂を用いたゾル組成物による接着強度は必ずしも十分なものとはいえなかった。
本発明の課題は、優れた接着強度を有する樹脂層接着用ゾル組成物を提供することにある。
本発明者らは、樹脂層の接着方法について鋭意研究した結果、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂と、所定の重合度及び多孔構造を有するサスペンジョン系塩化ビニル系樹脂とを混合することにより、非常に優れた接着強度が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]ペースト加工用塩化ビニル系樹脂50〜90質量%、及びサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂10〜50質量%を含む塩化ビニル系樹脂と、可塑剤とを含有する、樹脂層を接着するためのゾル組成物であって、
前記サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂が、
(1)平均重合度が400〜1100であり、
(2)ポロシティが0.05〜0.25ml/gである
ことを特徴とする樹脂層接着用ゾル組成物。
[2]前記ペースト加工用塩化ビニル系樹脂の平均粒子径(D50)が0.1〜10μmであり、前記サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂の平均粒子径(D50)が50〜200μmであることを特徴とする上記[1]記載の樹脂層接着用ゾル組成物。
[3]SP値が7〜13の樹脂層Aと、該樹脂層Aに隣接する請求項1又は2記載の樹脂層接着用ゾル組成物の乾燥物からなる接着層と、該接着層に隣接するSP値が7〜13の樹脂層Bとを備えることを特徴とする成形体。
[4]前記樹脂層A及び樹脂層Bが、塩化ビニル系樹脂層であることを特徴とする上記[3]記載の成形体。
[5]シートであることを特徴とする上記[3]又は[4]記載の成形体。
本発明の樹脂層接着用ゾル組成物は、優れた接着強度を有する。
[樹脂層接着用ゾル組成物]
本発明の樹脂層接着用ゾル組成物は、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂50〜90質量%、及びサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂10〜50質量%を含む塩化ビニル系樹脂と、可塑剤とを含有し、サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂が、以下の条件(1)及び(2)を満足する。
(1)平均重合度が400〜1100である。
(2)ポロシティ(細孔容積)が0.05〜0.25ml/gである。
本発明の樹脂層接着用ゾル組成物は、従来のペースト加工用塩化ビニル系樹脂のみを含有する接着剤に比して、優れた接着力を発揮する。
すなわち、本発明の樹脂層接着用ゾル組成物は、比較的大きな粒子であるサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂を含有することにより、加熱接着時の溶融状態の樹脂層接着面との接触面積増大及びアンカー効果により、接着強度の向上を図ることができる。特に、サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂が、所定の平均重合度及び比較的小さいポロシティを有することにより、低粘度となり、均一で強力な接着が可能となる。
(塩化ビニル系樹脂)
本発明の樹脂層接着用ゾル組成物に含まれる塩化ビニル系樹脂は、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂を50〜90質量%、及びサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂を10〜50質量%含む。
ペースト加工用塩化ビニル系樹脂が50質量%未満(サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂が50%超)であると、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂による本来の接着機能が低下して全体として接着性が低下する。一方、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂が90質量%超(サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂が10%未満)であると、混合するサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂の効果を十分に得られず、接着性の向上がみられない。
塩化ビニル系樹脂は、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂を60〜80質量%、及びサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂を20〜40質量%含むことが好ましく、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂を65〜75質量%、及びサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂を25〜35質量%含むことがより好ましい。
以下、本発明の塩化ビニル系樹脂を構成するペースト加工用塩化ビニル系樹脂、及びサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂についてより詳細に説明する。
(ペースト加工用塩化ビニル系樹脂)
本発明のペースト加工用塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルのホモポリマーの他、塩化ビニルを主体とするコポリマーが含まれる。塩化ビニルを主体とするとは、例えば、塩化ビニルが全体の50質量%以上であることをいい、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
塩化ビニルと共重合し得る単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル等の不飽和モノカルボン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和アミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸;これらのエステルおよびこれらの無水物;N−置換マレイミド類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニリデン等のビニリデン化合物等を挙げることができる。
本発明のペースト加工用塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独で、又は塩化ビニルとこれと共重合可能な不飽和単量体とからなる単量体混合物を従来公知の方法で重合することにより得ることができる。例えば、乳化重合(播種乳化重合を含む)により得ることができる。
ペースト加工用塩化ビニル系樹脂は、通常、一次粒子の平均粒子径(D50)が0.1〜10μmの微粒子である。平均粒子径(D50)は、0.1〜5.0μmであることが好ましく、0.5〜3.0μmであることがより好ましい。
この平均粒子径(D50)は、体積基準で求めた粒度分布の全体積を100%とした累積体積分布曲線において50%となる点の粒子径、すなわち体積基準累積50%径を意味する。粒度分布は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば(株)堀場製作所製LA−960)により求めることができる。
ペースト加工用塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、600〜1700であることが好ましく、900〜1500であることがより好ましい。
平均重合度は、塩化ビニル樹脂試験法(2003年4月 塩ビ工業・環境協会発行)の測定方法に従い、JIS K7367−2に準拠して測定した還元粘度(K値)を、近似式:K値=20.42*Ln(重合度)−74.93で換算する。
(サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂)
本発明におけるサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂としては、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂と同様、塩化ビニルのホモポリマーの他、塩化ビニルを主体とするコポリマーであってもよい。
サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂は、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂よりも粒子径が大きく、通常、平均粒子径(D50)が50〜200μmの粒子である。平均粒子径(D50)は、70〜180μmであることが好ましく、100〜150μmであることがより好ましい。この平均粒子径(D50)は、JIS Z8815(乾式ふるい分け試験法)により、JIS Z8801のふるいを用いた50%通過径として示す。
サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、上記のように400〜1100である。平均重合度が400未満であると、接着層の強度が足りず、1100を超えると、ゾル組成物がゲル化しにくく粘度が高くなり、十分な接着性を得ることができない。平均重合度は、500〜1000であることが好ましく、600〜800であることがより好ましい。この平均重合度は、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂の場合と同様に算出したものである。
サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂のポロシティ(細孔容積)は、上記のように0.05〜0.25ml/gである。ポロシティが0.05ml/g未満であると、サスペンション系多孔質塩化ビニル系樹脂の溶融が不十分となり、接着性の向上がみられず、0.25ml/gを超えると、各粒子の可塑剤含有量が不均一となって、接着性が不均一なものとなる。ポロシティは、0.07〜0.20ml/gであることが好ましく、0.09〜0.16ml/gであることがより好ましい。
ポロシティは、水銀圧入法(ポロシメーター)により求めることができる。
このようにペースト加工用塩化ビニル系樹脂に混合するサスペンジョン系塩化ビニル系樹脂が、上記特定のポロシティの範囲で適度な多孔構造であるため、含まれる可塑剤が、サスペンジョン系塩化ビニル系樹脂の粒子に均一に吸収されるようになり、得られるゾル組成物では、可塑性が安定的に発現し接着性が向上する。また、上記適度な多孔構造により、樹脂層の接着に際して、加熱時に樹脂層接着用ゾル組成物のゲル化性が向上し、同様に接着性が向上する。
本発明のサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独で、又は塩化ビニルとこれと共重合可能な不飽和単量体とからなる単量体混合物を従来公知の方法で重合することにより得ることができる。例えば、懸濁重合により得ることができる。温度、分散剤の種類や量、撹拌速度等の各種反応条件を適宜設定して、所望の重合度やポロシティの樹脂を得ることができる。
(可塑剤)
本発明の樹脂層接着用ゾル組成物においては、従来塩化ビニル系プラスチゾルの可塑剤として公知のものを使用することができる。
本発明においては、例えば、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレートなどのフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸誘導体;ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケートなどのセバシン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエートなどのマレイン酸誘導体;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸誘導体;トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテートなどのトリメリット酸誘導体;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテートなどのピロメリット酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレートなどのクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸誘導体;ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエートなどのオレイン酸誘導体;グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体;グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェートなどのリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体;アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤;あるいは部分水添ターフェニル、接着性可塑剤;さらにはジアリルフタレート、アクリル系モノマーやオリゴマーなどの重合性可塑剤などを用いることができる。
可塑剤は、これらの中でもフタル酸エステル系のものが好適である。なお、これらの可塑剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の配合量は、用途等に応じて適宜選択すればよいが、塩化ビニル系樹脂100質量部当たり、10〜100質量部であることが好ましく、30〜90質量部であることがより好ましい。
(その他の成分)
本発明の樹脂層接着用ゾル組成物においては、塩化ビニル系樹脂及び可塑剤に加えて、その他の各種成分を配合してもよい。その他の成分としては、例えば、熱安定剤、充填剤、発泡剤、発泡促進剤、粘度調節剤、接着性付与剤、着色剤、希釈剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、補強剤を挙げることができる。
本発明の樹脂層接着用ゾル組成物は、比較的低粘度のゾルであり、粘度としては、取り扱いや接着性の観点から、2000〜4000mPa・sであることが好ましく、2300〜3700Pa・sであることがより好ましい。この粘度は、実施例で示した測定方法により測定されたものをいう。
[樹脂層接着用ゾル組成物の製造方法]
本発明の樹脂層接着用ゾル組成物は、上記塩化ビニル系樹脂と、可塑剤と、必要に応じて他の成分とを混合することにより製造することができる。なお、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂、サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂、及び可塑剤の混合順序は問わない。すなわち、3成分を同時に混合してもよいし、2成分を混合した後、残りの成分を混合してもよい。
[成形体]
本発明の成形体は、SP値が7〜13の樹脂層Aと、該樹脂層Aに隣接する上記説明した本発明の樹脂層接着用ゾル組成物の乾燥物からなる接着層と、接着層に隣接するSP値が7〜13の樹脂層Bとを備えることを特徴とする。すなわち、本発明の成形体は、樹脂層A及び樹脂層Bを備えた材料(接着材料)を上記説明した本発明の樹脂層接着用ゾル組成物で接着してなる。また、本発明の成形体は、その他の層を有していてもよい。
本発明の成形体の形状としては、各種形状のものが挙げられるが、シートを好適に例示することができる。シートの場合、樹脂層A及び樹脂層Bをそれぞれ備えたシート材料を用いることができ、樹脂層A及び樹脂層B自体がそれぞれシート材料を構成していてもよい。シートとしては、具体的に、防水シート、タイルカーペット、壁材、床材、レザー等を挙げることができる。
樹脂層A及び樹脂層Bは、SP値が7〜13の樹脂から構成される。このようなSP値が7〜13の樹脂としては、例えば、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン単独重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-α-オレフィン-ジエン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン-ジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム等を挙げることができる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂が好ましい。なお、SP値とは、溶解度パラメータであり、塩化ビニル系樹脂では、9.3〜9.6程度である。
本発明の成形体は、樹脂層A及び樹脂層Bを備えた材料(接着材料)を上記説明した樹脂層接着用ゾル組成物で接着して製造する。樹脂層A及び樹脂層Bの接着は、加熱により、樹脂層A及び樹脂層Bを軟化させるとともに、本発明の樹脂層接着ゾル組成物をゲル化させ、次いで、冷却(乾燥)することにより行われる。加熱温度としては、樹脂層A及び樹脂層Bの軟化点を超え、その融点より低い領域での温度であり、かつ本発明の樹脂層接着用ゾル組成物がゲル化して接着できる温度であり、例えば、120〜250℃であり、150〜200℃であることが好ましい。
また、接着材料(樹脂層)の間にメッシュシートを挟設する場合があるが、このようなメッシュシートを挟設して樹脂層を接着する場合には、例えば、下層となる樹脂層上にメッシュシートを配置し、本発明の樹脂層接着用ゾル組成物を塗布した後、上層となる樹脂層を重ねて接着する。メッシュシートの材質としては、樹脂層A及び樹脂層Bと同様の素材を挙げることができる。また、メッシュシートのメッシュ目開きは、50〜10000μm程度であることが好ましい。
本発明の樹脂層接着用ゾル組成物は、メッシュシートを介して接着する場合、より優れた接着力を発揮する。メッシュシート上に粒子の大きなサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂が残存し、上層の樹脂層との接触面積が増加することにより、接着性が向上すると考えられる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ペースト加工用塩化ビニル系樹脂として、平均重合度1350、平均粒子径(D50)が1.0μmの塩化ビニル樹脂微粒子(新第一塩ビ(株)ZEST PQ135)を用いた。
サスペンション系多孔質塩化ビニル系樹脂として、平均重合度680、ポロシティ0.09ml/g、平均粒子径(D50)が125μmの塩化ビニル樹脂粒子を用いた。
可塑剤として、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート((株)ジェイ・プラス製DOP)を用いた。
ペースト加工用塩化ビニル樹脂90質量部と、サスペンション系多孔質塩化ビニル樹脂10質量部と、可塑剤70質量部を、ディゾルバーを用いて2000rpmで5分間撹拌して、実施例1に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[実施例2]
実施例1において、ペースト加工用塩化ビニル樹脂を70質量部、サスペンション系多孔質塩化ビニル樹脂を30質量部に変更した以外は同様にして、実施例2に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[実施例3]
実施例1において、ペースト加工用塩化ビニル樹脂を50質量部、サスペンション系多孔質塩化ビニル樹脂を50質量部に変更した以外は同様にして、実施例3に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[実施例4]
実施例2において、サスペンション系多孔質塩化ビニル系樹脂として、平均重合度420、ポロシティ0.12ml/g、平均粒子径(D50)が120μmの塩化ビニル樹脂粒子を用いた以外は同様にして、実施例4に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[実施例5]
実施例2において、サスペンション系多孔質塩化ビニル系樹脂として、平均重合度1020、ポロシティ0.25ml/g、平均粒子径(D50)が150μmの塩化ビニル樹脂粒子を用いた以外は同様にして、実施例5に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[実施例6]
実施例2において、サスペンション系多孔質塩化ビニル系樹脂として、平均重合度680、ポロシティ0.15ml/g、平均粒子径(D50)が120μmの塩化ビニル樹脂粒子を用いた以外は同様にして、実施例6に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[比較例1]
実施例1において、ペースト加工用塩化ビニル樹脂を100質量部(サスペンション系多孔質塩化ビニル樹脂無配合)に変更した以外は同様にして、比較例1に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[比較例2]
実施例1において、ペースト加工用塩化ビニル樹脂を40質量部、サスペンション系多孔質塩化ビニル樹脂を60質量部に変更した以外は同様にして、比較例2に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[比較例3]
実施例2において、サスペンション系多孔質塩化ビニル系樹脂として、平均重合度360、ポロシティ0.09ml/g、平均粒子径(D50)が120μmの塩化ビニル樹脂粒子を用いた以外は同様にして、比較例3に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[比較例4]
実施例2において、サスペンション系多孔質塩化ビニル系樹脂として、平均重合度1320、ポロシティ0.32ml/g、平均粒子径(D50)が120μmの塩化ビニル樹脂粒子を用いた以外は同様にして、比較例4に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[比較例5]
実施例2において、サスペンション系多孔質塩化ビニル系樹脂として、平均重合度330、ポロシティ0.04ml/g、平均粒子径(D50)が120μmの塩化ビニル樹脂粒子を用いた以外は同様にして、比較例5に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
[比較例6]
実施例2において、サスペンション系多孔質塩化ビニル系樹脂として、平均重合度1030、ポロシティ0.31ml/g、平均粒子径(D50)が115μmの塩化ビニル樹脂粒子を用いた以外は同様にして、比較例6に係る樹脂層接着用ゾル組成物を製造した。
上記実施例1〜6及び比較例1〜6に係る樹脂層接着用ゾル組成物について、(1)粘度、(2)剥離強度を以下の方法で評価した。
(1)粘度
プラスチゾル組成物を気温23℃、湿度50%RHの雰囲気下で1時間静置後、プラスチゾルをよく掻き混ぜ、ブルックフィールド粘度計(英弘精機(株)製LVDV−3T)ローターNo.4、60rpmの粘度を測定した。
(2)剥離強度
5×15cmの下層塩化ビニル樹脂シート材(厚さ400μm)に、ポリメッシュシートを上から重ね、片方の所定区画(5×5cm)に、実施例及び比較例に係る樹脂層接着用ゾル組成物を塗布した。塗布厚さは100μmとした。その上に、上層塩化ビニル樹脂シート材(厚さ400μm)を重ね、所定区画をギアオーブンで170〜190℃で3分間加熱して接着部を作製した。
なお、上層及び下層の塩化ビニル樹脂シート材のSP値は、9.4であった。また、ポリメッシュシートとしては、メッシュ目開き120M(165μm)のポリエステルシート(厚さ100μm)を用いた。
接着されていない上層塩化ビニル樹脂シート材と、接着されていないポリメッシュシートをそれぞれ上下のチャックで挟持して固定し、上層塩化ビニル樹脂シート材(上側チャック)を上方に引っ張り、上層塩化ビニル樹脂シート材及びポリメッシュシートの剥離強度を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2021155547
表1に示すように、実施例1〜6に係る樹脂層接着用ゾル組成物は、高い剥離強度(接着強度)を示した。また、粘度も低く、取り扱いやすいものであった。
実施例1〜3及び比較例1を比較すると、所定量のサスペンション系塩化ビニル樹脂を配合することによる接着強度の向上が確認できる。なお、比較例3のように、サスペンション系塩化ビニル樹脂の配合量が多すぎると、逆に接着強度は低下する。
また、実施例2、4〜5、比較例3〜4に示すように、サスペンション系塩化ビニル樹脂の平均重合度が所定範囲(400〜1100)の実施例では良好な結果が得られたが、平均重合度が所定範囲を外れる比較例3及び4では十分な接着力が得られなかった。
さらに、実施例2、5〜6、比較例5〜6に示すように、サスペンション系塩化ビニル樹脂のポロシティが所定範囲(0.09〜0.25)の実施例では良好な結果が得られたが、ポロシティが所定範囲を外れる比較例5及び6では十分な接着力の向上がみられなかった。
続いて、本発明の樹脂層接着用ゾル組成物の各種樹脂層に対する接着性の確認を行った。
具体的には、上記実施例2に係る樹脂層接着用ゾル組成物を用いて、上層及び下層の樹脂シート材(樹脂層)の種類を変更して、上記剥離強度試験と同様にして、剥離強度を測定した。
樹脂シート材として、SP値7.3のフッ素ゴムシート材(実施例A)、SP値9.4の塩化樹脂シート材(実施例B)、SP値12.6のポリ塩化ビニリデン樹脂シート材(実施例C)、SP値6.2のポリテトラフルオロエチレン樹脂シート材(実施例D)、SP値13.6のポリアミド樹脂シート材(実施例E)を用いた。
その結果を表2に示す。
Figure 2021155547
表2に示すように、本発明の樹脂層接着用ゾル組成物を用いて接着する樹脂層を構成する樹脂としては、SP値が7〜13程度の樹脂が好ましいことがわかる。
本発明の樹脂層接着用ゾル組成物は、多層構造の塩化ビニル樹脂シートの製造時の接着剤等として用いることができることから、産業上有用である。

Claims (5)

  1. ペースト加工用塩化ビニル系樹脂50〜90質量%、及びサスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂10〜50質量%を含む塩化ビニル系樹脂と、可塑剤とを含有する、樹脂層を接着するためのゾル組成物であって、
    前記サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂が、
    (1)平均重合度が400〜1100であり、
    (2)ポロシティが0.05〜0.25ml/gである
    ことを特徴とする樹脂層接着用ゾル組成物。
  2. 前記ペースト加工用塩化ビニル系樹脂の平均粒子径(D50)が0.1〜10μmであり、前記サスペンジョン系多孔質塩化ビニル系樹脂の平均粒子径(D50)が50〜200μmであることを特徴とする請求項1記載の樹脂層接着用ゾル組成物。
  3. SP値が7〜13の樹脂層Aと、該樹脂層Aに隣接する請求項1又は2記載の樹脂層接着用ゾル組成物の乾燥物からなる接着層と、該接着層に隣接するSP値が7〜13の樹脂層Bとを備えることを特徴とする成形体。
  4. 前記樹脂層A及び樹脂層Bが、塩化ビニル系樹脂層であることを特徴とする請求項3記載の成形体。
  5. シートであることを特徴とする請求項3又は4記載の成形体。

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