JP2021154450A - セグメント型ブレード - Google Patents

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健一郎 熊本
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浩二 高尾
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邦彦 池尻
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Abstract

【課題】切れ味および耐摩耗性が良好なセグメント型のブレードを提供する。特に、ウォールソーなどのブレードとした場合も、切れ味および耐摩耗性が良好なセグメント型ブレードを提供する。【解決手段】円盤状の台金40と、台金40の外周に沿って所定間隔ごとに複数固着されるセグメントチップ10とを備えたセグメント型ブレード100は、セグメントチップ10が、超砥粒17を含む砥粒層11、12、13が積層された積層構造を有し、かつ、台金40の厚み方向に貫通したスリット16を1個以上有する。また、セグメントチップ10の端面10aから数えて偶数番目に位置する砥粒層12は、端面10aから数えて奇数番目に位置する砥粒層11、13よりも超砥粒17の含有量が少ない。また、スリット16を構成する面16aは、台金40の半径方向を基準として±5°であり、スリット16の面16bは、面16aに対して15°から45°傾斜している。【選択図】 図2

Description

本発明は、土木、建築分野でコンクリート建造物の解体や、老朽化した橋、高速道路の切断などに使用されるセグメント型ブレードに関するものである。
鉄筋コンクリートの切断では、硬質脆性材料であるコンクリートと、延性のある鉄筋を同時に切断することになるが、コンクリートの切断には地球上で一番硬いダイヤモンドで削るのが最も効率がよい。特に、ダイヤの破砕を抑えるため、プロッキーな丸い形状のダイヤモンド粒が最適である。
一方、鉄筋の切断では、ダイヤモンドは、炭素で構成された物質であるため、鉄との親和性が高く、切断中に発熱によって鉄とダイヤモンドが化学反応を起こし、炭素として鉄の中に取り込まれやすく、結果、ダイヤモンドの摩耗が早く、安定した切断を維持するのが難しい。
さらに、鉄の切り粉は、カール状の繊維質の切り粉が発生しやすく、塑性変形しながら切り取られていくため、加工点では発熱が激しく、切り粉が溶融した場合は、ダイヤモンドブレードのチップ外周部に溶着して切断不可能になる場合もある。
このような問題を解決するために、特許文献1では、ダイヤモンド砥粒(51)を結合剤(52)によって結合してなるダイヤモンド砥粒結合体(4)を刃部(3)とするダイヤモンド砥粒において、ダイヤモンド砥粒結合体(4)に孔や溝等でなる切欠部(6)を有すると共に、切欠部(6)に黒鉛(5)を有することを特徴とするダイヤモンド砥石が開示されている。これにより、鉄を切断する際に黒鉛が黒鉛膜を形成し、ダイヤモンドと鉄の反応を抑える効果があると提唱している。
また、石材、鉄筋コンクリート、アスファルトなどの切断作業に使用されるダイヤモンド工具として、特許文献2に記載の「歯車型加工チップ」や特許文献3に記載の「セグメントチップ」などが提案されている。
一方、一般に、アスファルト道路などの切断作業においては、道路面に沿って移動可能な台車に切断ブレードを回転駆動するエンジンを搭載した自走式の切断機(台車式エンジンカッター)が使用されている。ところが、建築構造物の解体作業などでは、垂直面を切断したり、狭いスペースでの床切断で解体する作業につき、高出力の台車式エンジンカッターは使用できず、ワイヤーソーやビット、ウォールソーといった低出力のダイヤモンド工具装置を駆使して、躯体をブロック状に切断している。
特開平11−151674号公報 特許第4282607号公報 特許第6211472号公報
特許文献1に記載のダイヤモンド砥石は、コンクリート切断時に発生する大粒の切り粉により軟質な黒鉛が損耗し、本来の黒鉛膜を形成する前にチップから姿を消してしまいやすい。また、チップ切欠き部に黒鉛が残存していた場合も、ダイヤモンド砥粒の部分と黒鉛では硬度の差が大きくことなるので、摩耗量が大きく異なり、鉄筋切断時には鉄筋に届かず、鉄筋と黒鉛の接触による黒鉛膜の形成は難しい。
特許文献2に記載の歯車型加工チップのように、チップに切欠きがあるとエッジの効果で切れ味は向上するが、過度の切欠きの成形はチップ強度を弱め、チップ破損に繋がる懸念がある。特許文献2に記載の歯車型加工チップは、切断中に鉄筋部に接触した際、チップの全幅で一度に鉄に接触するので抵抗が高く、チップの欠けが起きやすい。
また、上記のように、鉄筋コンクリート建造物の壁面などを切る作業では、高馬力の台車式エンジンカッター車を使用することはできないので、低出力な他の方式での切断を実施している。例えば、ステンレス製のワイヤーに間欠的にダイヤモンド砥粒を焼結して成形したダイヤモンドビーズを固定したワイヤーソーや、コアビットで多数個の穴を一方向に並べて開け続け切り取る方法、ウォールソー工法などがある。
ウォールソー工法は、壁にレールをアンカーボルトで固定し、電動モーター等の駆動設備を取り付け、ダイヤモンドブレードを回転させながら移動させ、壁に切り込みを入れた壁を切り落とす工法である。この工法は、ブレードチップを間欠的に固着したダイヤモンドブレードを用いるもので、ダイヤモンドブレードは、台車式エンジンカッターのブレードと類似の形状である。しかし、台車式エンジンカッターとの一番の大きな違いは、駆動系がモーターのため、出力が低く、高負荷がかけられず、低能率の切断条件で進行することである。台車式エンジンカッターでは10〜15cm/回の切り込みで、2〜3m/minの速度で切断するのに対し、ウォールソーでは3〜5cmの切り込みで、0.3〜0.7m/minの送り速度程度なので、切断能率としては約1/8程度の能率となる。
特許文献3に記載のセグメントチップは、複数層のチップ構造で、集中度を低くし摩耗が多くなる中央層の厚みがチップ厚みの10%〜40%にすることで、発生するコンクリート切り粉が中央溝に集中し排出効率が高く、チップ刃先のクリーニング効果が高まり、目詰まりの起きにくいブレードを得ることができる。しかし、ウォールソーのような低能率な切断条件では発生した切り粉がチップ刃先に取り込まれにくくなり、改良の余地があった。
係る状況下、本発明の目的は、切れ味および耐摩耗性が良好なセグメント型のブレードを提供することである。特に、ウォールソーなどのモーター駆動の切断機用のブレードとして使用した場合も、切れ味および耐摩耗性が良好なセグメント型ブレードを提供することである。
本発明のセグメント型ブレードは、円盤状の台金と、前記台金の外周に沿って所定間隔ごとに複数固着されるセグメントチップとを備えたセグメント型ブレードであって、前記セグメントチップは、超砥粒を含む砥粒層が前記台金の厚み方向に3層以上の奇数個積層された積層構造を有し、かつ、前記台金の厚み方向に貫通したスリットを1個以上有し、前記積層構造において、前記台金の厚み方向の端面側の砥粒層を一番として偶数番目に位置する砥粒層は、前記台金の厚み方向の端面側の砥粒層を一番として奇数番目に位置する砥粒層よりも摩耗しやすく、前記スリットにおいて、前記スリットを構成する2つの対向面の一方の面が、前記台金の円周方向と交わる方向であって前記台金の半径方向を基準として±5°であり、前記対向面の他方の面が、前記一方の面に対して15°から45°傾斜している。
このような構成とすることで、セグメントチップのスリットを構成する傾斜した他方の面がブレードの回転方向に対して逆方向に傾くように、傾斜した他方の面を回転方向の後方側の面とし切断作業を行ったときに、切れ味や耐摩耗性が良好なものとなる。
台金の厚み方向の端面側の砥粒層を一番として奇数番目に位置する砥粒層よりも偶数番目に位置する砥粒層の方が摩耗しやすい構成とすることで、切断作業の進行に伴い、セグメントチップの刃先部が波形状となり、切れ味が向上する。
セグメントチップのスリットを構成する一方の面が、台金の半径方向に対して傾斜しすぎると、砥粒層の根本部分が細くなり強度低下する。このため、セグメントチップのスリットを構成する一方の面は、半径方向を基準として±5°である。
セグメントチップのスリットを構成する一方の面と他方の面とのなす挟角(「傾斜角度θ」と記載する場合がある。)が15°よりも小さい場合、低能率な条件では切断作業により発生する切り粉がセグメントチップの刃先部に取り込まれにくく、セグメントチップの刃先部が波形状となりにくい。このため、切り粉の除去性が低下し、鉄筋切り粉の付着が発生しやすくなる。セグメントチップのスリットを構成する一方の面と他方の面とのなす挟角が45°よりも大きい場合、セグメントチップの耐摩耗性が低下する。
セグメントチップを積層構造とし、かつ、スリットに特定の傾斜をもたせることによって、切れ味がおよび切り粉の除去性が良好になり、摩耗しにくく、寿命も延長する。
このような本発明のセグメント型ブレードは、鉄筋コンクリートの建造物の解体用ブレードとして特に好適である。
本発明のセグメント型ブレードにおいて、前記積層構造において、前記偶数番目に位置する砥粒層の含有量が、前記奇数番目に位置する砥粒層の中で超砥粒の含有量が最も低い砥粒層の超砥粒の含有量よりも少ないことが好ましい。これにより、奇数番目に位置する砥粒層よりも偶数番目に位置する砥粒層の方が摩耗しやすいものとなる。
本発明のセグメント型ブレードにおいて、前記積層構造において、前記偶数番目に位置する砥粒層の超砥粒の粒度が、前記奇数番目に位置する砥粒層の中で最も細かい超砥粒を含む砥粒層の超砥粒の粒度より細かいことが好ましい。これにより、奇数番目に位置する砥粒層よりも偶数番目に位置する砥粒層の方が摩耗しやすいものとなる。
本発明のセグメント型ブレードにおいて、前記セグメントチップは、前記偶数番目に位置する砥粒層の合計の厚みが、前記セグメントチップ全体の厚みの15〜40%であることが好ましい。
台金の厚み方向の端面側の砥粒層を一番として偶数番目に位置する砥粒層の合計の厚みが、セグメントチップ全体の厚みに対して薄すぎると、切れ味が低下する傾向にあり、セグメントチップ全体の厚みに対して厚すぎると、短寿命となる傾向にある。台金の厚み方向の端面側の砥粒層を一番として偶数番目に位置する砥粒層の合計の厚みを、セグメントチップ全体の厚みの15〜40%とすることで、より切れ味が良好なものになり、さらに長寿命となるため好ましい。
本発明のセグメント型ブレードにおいて、前記積層構造が、以下の要件(i)を満たすことが好ましい。
・要件(i):
前記偶数番目に位置する砥粒層中の超砥粒の含有量が、前記奇数番目に位置する砥粒層の中で超砥粒の含有量が最も低い砥粒層の超砥粒の含有量の5〜50%である。
要件(i)を満たす構成とすることで、切断作業時に生じる切り粉により、セグメントチップの刃先部が波形状となりやすく、切り粉の排出効果をさらに高めることができる。
なお、砥粒層中の超砥粒の含有量とは、砥粒層の全体積に対する超砥粒の体積の比である。
また、本発明のセグメント型ブレードにおいて、前記積層構造が、以下の要件(ii)を満たすことが好ましい。
・要件(ii):
前記偶数番目に位置する砥粒層の超砥粒の粒度が、前記奇数番目に位置する砥粒層の中で最も細かい超砥粒を含む砥粒層の超砥粒の粒度より2番手以上細かい粒度である。
要件(ii)を満たす構成とすることで、切断作業時に生じる切り粉により、セグメントチップの刃先部が波形状となりやすく、切り粉の排出効果をさらに高めることができる。
なお、超砥粒の粒度とは、ISO 6106(2013)において定義される粒度である。例えば、2番手以上細かい粒度とは、#35/40(mesh呼称、メッシュサイズによる粒度範囲)である場合、#40/45以上の番手の超砥粒である。このとき、超砥粒大きさとしては、#35/40より#40/45の方が細かい超砥粒となる。
本発明によれば、切れ味および耐摩耗性が良好なセグメント型のブレードが提供される。特に、本発明によれば、ウォールソーなどのモーター駆動の切断機用のブレードとして使用した場合も、良好な切れ味および耐摩耗性を維持できる。
また、鉄筋を切断する場合も、鉄粉切り粉の溶着を防止でき、スムーズな切れ味が長時間にわたり維持できる。
本発明の実施形態であるセグメント型ブレードを示す図である。 (a)は、図1に示すセグメント型ブレードの一部拡大図である。(b)は、(a)のAA線の断面図である。 切断作業における、本発明に係るセグメント型ブレードのセグメントチップの変化を説明するための図である。(a)は、切断作業開始時のセグメントチップの状態を示す図である。(b)は、切断作業進行に伴って変化した状態のセグメントチップを示す図である。(c)は、(b)のB方向から見たセグメントチップを示す図である。 (a)は、その他の実施形態であるセグメント型ブレードの一部を示す図である。(b)は、(a)のCC線の断面図である。 (a)は、その他の実施形態であるセグメント型ブレードの一部を示す図である。(b)は、(a)のDD線の断面図である。 実施例1で使用したセグメント型ブレードを示した表である。 切断試験結果を示す図である。 実施例2で使用したセグメント型ブレードを示した表である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
図1〜図5に基づいて、本発明の実施形態であるセグメント型ブレードについて説明する。
図1および図2に示すセグメント型ブレード100は、台金40の外周に沿って複数のセグメントチップ10を所定間隔ごとに固着することによって形成されている。各セグメントチップ10は、長さLが30〜50mm程度、厚さTが3〜7mm程度、高さXが6〜13mm程度であるが、これらの数値は限定されるものではない。
図2(b)に示すように、各セグメントチップ10は、超砥粒17を含む砥粒層11,12,13が積層された積層構造を有する。当該セグメントチップ10の厚みT方向の一方の端面10aから数えて偶数番目に位置する砥粒層12の厚みが砥粒層全体の厚みTの30%である。
なお、砥粒層12の厚みは、砥粒層全体の厚みTの30%に限定されるものではない。切れ味や寿命の観点からは、砥粒層12の厚みは、砥粒層全体の厚みTに対して15〜40%であることが好ましく、15〜35%であることがより好ましい。
砥粒層11,13は同じ組成であり、端面10aから数えて偶数番目に位置する砥粒層12の超砥粒17の含有量(砥粒層12の全体積に対する超砥粒17の体積の比)は、端面10aから数えて奇数番目に位置する砥粒層11の超砥粒17の含有量(砥粒層11の全体積に対する超砥粒17の体積の比)の20%であり、端面10aから数えて奇数番目に位置する砥粒層13の超砥粒17の含有量(砥粒層13の全体積に対する超砥粒17の体積の比)の20%である。
なお、砥粒層12の超砥粒17の含有量は、砥粒層11、13の超砥粒の含有量の20%に限定されるものではない。切れ味や寿命の観点からは、砥粒層12の超砥粒17の含有量は、砥粒層11、13の超砥粒17の含有量の5〜50%が好ましく、10〜40%がより好ましく、10〜30%がさらに好ましい。
また、砥粒層11の超砥粒17の含有量と砥粒層13の超砥粒17の含有量が異なる場合、砥粒層12の超砥粒17の含有量は、超砥粒17の含有量が低い方の砥粒層の超砥粒17の含有量に対して、上記範囲であることが好ましい。
砥粒層11,13は、超砥粒17とボンドとを含む構成である。超砥粒17は、#30/40〜#60/80のダイヤモンド砥粒などにできる。ボンドは、Co,Sn,Fe,Cuなどの金属を含む組成にできる。また、砥粒層11,13は、超砥粒17やボンド以外にも、耐摩耗粒子である金属コート砥粒などを含んでよい。
砥粒層12の組成は、超砥粒17の含有量を除き、砥粒層11,13と同じである。
また、図2(a)に示すように、セグメントチップ10には、台金40の厚み方向に貫通したスリット16,16が設けられている。当該スリット16を構成する2つの対向面16a、16bの一方の面16aは、台金40の半径方向と一致している(台金40の半径方向を基準として0°である)。また、他の面16bは、面16aに対して30°傾斜しており、面16aと面16bとのなす挟角(傾斜角度θ)が30°である。
なお、傾斜角度θは、30°に限定されるものではない。傾斜角度θの下限は15°以上であるが、好ましくは、20°以上である。また、傾斜角度θの上限は45°以下であるが、好ましくは40°以下であり、より好ましくは35°以下であり、さらに好ましくは30°以下である。
セグメントチップ10は、スリット16を2個有するものであるが、セグメントチップ10の長さLや傾斜角度θ、スリット幅W等に応じて、スリット16の数は任意である。 一方、スリット16の数が多すぎると超砥粒の量が少なくなり、強度も低下するため、1〜3個が好ましく、2個がより好ましい。
当該スリット16のスリット幅Wは、4〜10mmである。スリット幅Wをこのような範囲にすることにより、切断作業の進行により形成されるセグメントチップ10の刃先部の凹状の溝に切り粉が付着しにくくなり、切り粉の排出性がより向上する。
スリット16の切込み深さDは、セグメントチップ10の高さXに対して50〜95%である。セグメントチップ10は、面16aに対して面16bが傾斜していることで、切断作業時にかかる負荷は段階的に大きくなるため、切込み深さDをセグメントチップの高さXに対して大きくしても破損しにくいものとできる。一方で、切込み深さDをセグメントチップの高さXに対して大きくしすぎると、台金40とセグメントチップ10との接着面積が不十分となったり、台金40とセグメントチップ10との接合に熱影響が出たり、台金40に熱が伝わりやすくなり歪が生じやすくなるため、90%以下が好ましい。また、スリット16の切込み深さDを深くした方がより長時間使用することができるため、スリット16の切込み深さDは、セグメントチップの高さXに対して70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
具体的には、接着面積や強度を十分に確保するため、セグメントチップ10の高さT方向の底面からスリット16の底部までの距離(高さX−切込み深さD)が、1〜1.5mm程度が好ましい。
セグメント型ブレード100は、従来公知の方法を利用して製造することができる。
例えば、超砥粒17とボンドとを混合した混合物を所定の形状の金型に充填し、加圧や焼結することで、スリット無しのセグメントチップを作製する。作製したスリット無しのセグメントチップを、ろう付けや溶接などにより、所定の大きさの台金の外周に沿って所定間隔ごとに固着する。次いで、レーザーカットなどにより、スリット無しのセグメントチップに所定の形状のスリットを形成する。これにより、セグメント型ブレード100が製造できる。
次に、セグメント型ブレード100を用いた被削材の切断の例および切断作業時のセグメントチップ10の刃先部の状態について説明する。
セグメント型ブレード100は、セグメントチップ10のスリット16の面16bが、面16aより回転方向の後方側となるように、切断機に取り付けて、切断作業を行う。
ウォールソーを例とすると、セグメントチップ10のスリット16の面16bが回転方向Rの後方側となるように、セグメント型ブレード100をウォールソーに取り付ける。次いで、被削材の切断面に沿って固定されたレールに、セグメント型ブレード100を取り付けたウォールソーをはめ込み、冷却水をかけながら、セグメント型ブレード100を高速回転させ、レール上を左右方向や上下方向に移動させることで、切断面に切り込みを入れ切断する。
図3(a)に示すように、セグメント型ブレード100を用いて鉄筋コンクリートなどの被削材(図示せず)を切断すると、セグメントチップ10の刃先部(セグメントチップ10の外周部)切断作業に伴って発生する被削材の切り粉50が、セグメントチップ10の刃先部の間のスリット16,16に取り込まれる。切り粉50は、回転方向Rの後方側となる面16bの傾斜より、回転方向Rの後方側に位置するセグメントチップ10の刃先部に取り込まれる。
セグメントチップ10の刃先部に切り粉50が取り込まれると、砥粒層11、13より砥粒層12が摩耗しやすいため、図3(b)、図3(c)に示すように、セグメントチップ10の刃先部において凹状の溝(M字溝)が形成される。
凹状の溝が形成された刃先部は、被削材に接触する際には、砥粒層11、13が先行して切断作業に入り、発生した被削材の切り粉50はセグメントチップ10の刃先部の凹状の溝に通り、スリット16,16に留まり排出される。
これにより、セグメントチップ10の刃先部に継続的にM字溝が形成されるとともに、被削材の切り粉が効率的に排出される。
また、切断作業中は、セグメントチップ10の刃先部の凹状の溝に冷却水(切削液)が入るので、冷却性が高まり、切り粉の除去性も良くなり、寿命も延長する。
特に、従来のセグメントチップでは、その刃先部に切り粉が取り込まれにくい条件となる低速の送り速度で鉄筋コンクリートなどを切断した場合にも、セグメントチップ10では、面16bの傾斜による効果により、切り粉50がセグメントチップ10の刃先部に効率的に取り込まれ、M字溝が形成されやすくなる。そのため、切り粉50を効率的に排出することができ、さらに、鉄筋の切り粉がセグメントチップ10の外周に溶着することが防止できる。
セグメントチップ10は、3層の砥粒層11、12、13を備えているが、砥粒層の層数は3層以上の奇数層であれば限定されないので、例えば、5層や7層などとしてもよい。
図4に示すように、砥粒層21、22、23、24、25が積層されたセグメントチップ20が、台金40の外周に沿って所定の間隔ごとに複数固着されたセグメント型ブレード200とすることもできる。当該セグメントチップ20は、傾斜角度が30°であるスリット26を2個有する。また、端面20aから数えて奇数番目に位置する砥粒層21、23、25は同じ構成であり、端面20aから数えて偶数番目に位置する砥粒層22、24は同じ構成である。また、砥粒層22、24の超砥粒の含有量は、砥粒層21、23、25の超砥粒の含有量の5〜50%である。砥粒層22、24の合計の厚みは、砥粒層全体の厚みTに対して15〜40%である。
図5に示すセグメント型ブレード300は、台金40の外周に沿って複数のセグメントチップ30を所定間隔ごとに固着することによって形成されている。当該セグメントチップ30は、傾斜角度が30°であるスリット36を2個有する。また、端面30aから数えて奇数番目に位置する砥粒層31、32の超砥粒37aの粒度は、#35/40である。端面30aから数えて偶数番目に位置する砥粒層32の超砥粒37bの粒度は、#60/80である。#60/80は、#35/40より9番手細かい超砥粒である。
セグメントチップ30の大きさや、砥粒層31、32、33の厚み、スリット形状は、セグメント型ブレード100と同じ構成である。
なお、超砥粒37a、37bは上記に限定されるものではないが、超砥粒37bの粒度は、超砥粒37aの粒度より2番手以上細かいことが好ましい。また、超砥粒37aに比べて超砥粒37bが細かすぎると、耐摩耗性が低下する場合がある。そのため、耐摩耗性を向上させるために、超砥粒37bの粒度は、超砥粒37aの粒度より10番手以下や5番手以下などと上限があってもよい。例えば、超砥粒37aの粒度が#30/40〜#40/50であり、超砥粒37bの粒度が#50/70〜#70/80である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1−1〜実施例1−3、比較例1−1〜比較例1−3に係るセグメントチップ(単に、「チップ」と記載する場合がある)を使用したセグメント型ブレードを用いて、以下に示す切断試験を行い、切断速度とチップの摩耗を評価した。図6に、各セグメントチップの構成を示す。
(ブレード寸法)
「φ600×10X×5T×40L×34N」
ここで、X、T、Lは、図2中のセグメントチップ10の各部分の寸法を示し、Nは台金40外周のセグメントチップ10の配置個数を示す。
(切断試験)
・切断装置:高周波モーターウォールソー
・ブレード周速:2,000m/min
・切込み:4cm
・被削材:コンクリート擁壁(厚さ120mm、鉄筋φ10mm入り)
・試験方法:
擁壁にウォールソー用レールをアンカーボルトで固定し、水平方向に切断して性能を評価した。φ10mmの鉄金が250mmピッチで配置されコンクリートと同時に切断する。冷却水は、水道水を使用し、主軸部より外周方向に向かって供給した。
(評価方法)
・切断速度:水平方向に2m切断したときの平均切断速度
・チップの摩耗:チップ高さ摩耗(M字溝の摩耗は含まず)
・チップの刃先部のM字溝の形成および鉄筋切り粉の付着:目視判定
結果を、表1および図7に示す。
Figure 2021154450
比較例1−1(単層のチップ)は、発生した切り粉は刃の両側面部にしか逃げ場がないため、セグメントチップの両側面部に切り粉が集中し、次第にエッジが丸くなり、かまぼこ状の摩擦形態となる。このため、チップの刃先部にM字溝は形成されなかった。
比較例1−2、1−3、実施例1−1〜実施例1−3は、チップの刃先部にM字溝の形成が確認できたが、比較例1−2のM字溝は低く、切り粉の排出性も低かった。
実施例1−1(3層構造、傾斜角度θ=15°)と比較例1−2(3層構造、傾斜角度θ=0°)との比較より、傾斜角度θを15°以上とすることで、耐摩耗性を維持しつつ、切断速度を向上させることができるということがわかる。
また、実施例1−3(3層構造、傾斜角度θ=45°)と比較例1−3(3層構造、傾斜角度θ=50°)との比較より、傾斜角度θが50°では、傾斜角度θが45°の場合と切断速度は同等だが、耐摩耗性が大きく低下することがわかる。
[実施例2]
実施例2−1〜実施例2−3係るセグメントチップを使用したセグメント型ブレードを用いて、実施例1と同様の切断試験を行い、切断速度とチップの摩耗を評価した。また、初期なじみ(ブレードの切れ味等が安定化するまでの時間)を評価した。
図8に、各セグメントチップの構成を示す。
結果を、表2に示す。
Figure 2021154450
実施例2−1〜実施例2−3の切断速度は、実施例1−1と同程度であった。
実施例2−1は、内層のダイヤモンドを外層と同一粒度を選定したブレードであるが、初期のM字溝の形成に実施例2−2、実施例2−3より時間がかかった。その後の切れ味に問題はなかった。
実施例2−2、2−3は、内層の摩耗が早くなり、M字溝の形成が早く、初期なじみは早かった。特に、内層のダイヤモンド砥粒の粒度が外層のダイヤモンド砥粒の粒度より9番手細粒の実施例2−3は内層の摩耗が早く、溝が深くなった。全体のチップ摩耗も早くなっており、切れ味と寿命を考慮すると内層のダイヤモンド砥粒の粒度は外層のダイヤモンド砥粒の粒度より2番手細かい実施例2−2の方が有効であった。
本発明のセグメント型ブレードは、石材、鉄筋コンクリート、アスファルトなどの切断作業に使用することができる。
10,20,30 セグメントチップ
10a,20a,30a 端面
11,12,13,21,22,23,24,25,31,32,33 砥粒層
16,26,36 スリット
16a,16b 面
17,27,37a,37b 超砥粒
40 台金
50 切り粉
100,200,300 セグメント型ブレード
L 長さ
T 厚み
X 高さ
W スリット幅
D 切込み深さ
R 回転方向
θ 傾斜角度

Claims (5)

  1. 円盤状の台金と、前記台金の外周に沿って所定間隔ごとに複数固着されるセグメントチップとを備えたセグメント型ブレードであって、
    前記セグメントチップは、超砥粒を含む砥粒層が前記台金の厚み方向に3層以上の奇数個積層された積層構造を有し、かつ、前記台金の厚み方向に貫通したスリットを1個以上有し、
    前記積層構造において、前記台金の厚み方向の端面側の砥粒層を一番として偶数番目に位置する砥粒層が、前記台金の厚み方向の端面側の砥粒層を一番目として奇数番目に位置する砥粒層よりも摩耗しやすく、
    前記スリットにおいて、前記スリットを構成する2つの対向面の一方の面が、前記台金の円周方向と交わる方向であって前記台金の半径方向を基準として±5°であり、前記対向面の他方の面が、前記一方の面に対して15°から45°傾斜している、セグメント型ブレード。
  2. 前記積層構造において、前記偶数番目に位置する砥粒層の含有量が、前記奇数番目に位置する砥粒層の中で超砥粒の含有量が最も低い砥粒層の超砥粒の含有量よりも少ない請求項1に記載のセグメント型ブレード。
  3. 前記積層構造において、前記偶数番目に位置する砥粒層の超砥粒の粒度が、前記奇数番目に位置する砥粒層の中で最も細かい超砥粒を含む砥粒層の超砥粒の粒度より細かい請求項1又は2に記載のセグメント型ブレード。
  4. 前記セグメントチップにおいて、前記偶数番目に位置する砥粒層の合計の厚みが、前記セグメントチップ全体の厚みの15〜40%である、請求項1から3のいずれかに記載のセグメント型ブレード。
  5. 前記積層構造が、以下の要件(i)及び要件(ii)の少なくとも一方を満たす請求項2から4のいずれかに記載のセグメント型ブレード。
    ・要件(i):
    前記偶数番目に位置する砥粒層中の超砥粒の含有量が、前記奇数番目に位置する砥粒層の中で超砥粒の含有量が最も低い砥粒層の超砥粒の含有量の5〜50%である。
    ・要件(ii):
    前記偶数番目に位置する砥粒層の超砥粒の粒度が、前記奇数番目に位置する砥粒層の中で最も細かい超砥粒を含む砥粒層の超砥粒の粒度より2番手以上細かい粒度である。
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