JP2021154252A - シート化粧板材の製造方法及び製造装置 - Google Patents

シート化粧板材の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布する。【解決手段】タンク23に貯留された水系接着剤11を容積式ポンプ22で圧力を加えながらスロットダイ20に供給し、その供給された水系接着剤11を化粧シート12の裏面にスロットダイ20から吐出して塗布する塗布工程と、塗布工程で水系接着剤11が塗布された化粧シート12の裏面に板状基材10を貼付する貼付工程と、貼付工程で貼付された化粧シート12及び板状基材10を平板状にプレスして一体化する一体化工程とを備えるシート化粧板材15の製造方法であって、塗布工程は、水系接着剤11をスロットダイ20に供給する前にその水系接着剤11に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、シート化粧板材の製造方法及び製造装置に関するものである。
例えば、板状の木質基材の表面に化粧シートを貼り付けた化粧シートタイプの床材は、近年、商品バリエーションが充実し、注目されている。ここで、化粧シートと木質基材との間には、化粧シートの裏面又は木質基材の表面に塗布された接着剤が介在している。そして、接着剤には、安価な水系接着剤や高価なホットメルト系接着剤等があり、ホットメルト系接着剤では、短時間で安定した接着力を実現することができるものの、コストアップを招くので、水系接着剤を用いたシート化粧板材の製造が見直されている。
例えば、特許文献1には、ロールコーターを用いて、長尺の帯状体に連続して塗布処理を行う塗布方法が開示されている。
特許第5200650号公報
ところで、上記特許文献1に開示されたロールコーターで水系接着剤を塗布する他の方法として、本発明者らは、ダイコーターで水系接着剤を塗布する方法を検討している。このダイコーターでは、一定時間に一定量を送り出し続ける容積式ポンプを用いて、一定圧力を加えながら水系接着剤をスロットダイに供給し、そのスロットダイの隙間から一定量の水系接着剤を押し出し、その押し出された水系接着剤をシートの裏面等の被塗布面に塗布する。ここで、水系接着剤に気泡が含まれていると、そのスロットダイの隙間から押し出された瞬間に気泡が圧力から解放されて破泡し易い。そうなると、被塗布面に塗布された水系接着剤に膜切れが発生するので、水系接着剤を均一な膜厚で塗布することが難しい。特に、水系接着剤では、使用可能な時間を長くするために、使用する直前に主剤と硬化剤とを撹拌機で均一に混合することが多いので、水系接着剤中に多量の気泡が含まれるおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るシート化粧板材の製造方法は、タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプで圧力を加えながらスロットダイに供給し、該供給された水系接着剤を化粧シートの裏面に上記スロットダイから吐出して塗布する塗布工程と、上記塗布工程で水系接着剤が塗布された化粧シートの裏面に板状基材を貼付する貼付工程と、上記貼付工程で貼付された化粧シート及び板状基材を平板状にプレスして一体化する一体化工程とを備えるシート化粧板材の製造方法であって、上記塗布工程は、上記水系接着剤をスロットダイに供給する前に該水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を含むことを特徴とする。
上記の方法によれば、タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプで圧力を加えながらスロットダイに供給し、その供給された水系接着剤を化粧シートの裏面にスロットダイから吐出して塗布する塗布工程は、水系接着剤をスロットダイに供給する前に水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を含む。これにより、内部に含まれる空気の少なくとも一部が除去された水系接着剤をスロットダイに供給することになり、スロットダイから吐出された瞬間に起こる破泡を抑制することができるので、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布することができる。
上記脱気工程では、上記容積式ポンプと上記スロットダイとを接続する接続配管の経路中に設けられ、該接続配管の内断面積よりも大きい内断面積を有し、上記スロットダイに接続された接着剤第1出口、上記タンクに接続された接着剤第2出口、及び上記容積式ポンプに接続された接着剤入口を備え、上記接着剤第2出口が上記接着剤第1出口及び接着剤入口よりも上側に配置された脱気部において、上記接着剤入口から流入させた上記水系接着剤のうち、相対的に多量の空気が含まれるものを上記接着剤第2出口から上記タンクに流出させ、相対的に少量の空気を含まれるものを上記接着剤第1出口から上記スロットダイに流出させてもよい。
上記の方法によれば、容積式ポンプとスロットダイとを接続する接続配管の経路中にはその接続配管の内断面積よりも大きい内断面積を有する脱気部が設けられ、脱気部には、スロットダイに接続された接着剤第1出口、タンクに接続された接着剤第2出口、及び容積式ポンプに接続された接着剤入口がそれぞれ設けられている。そして、脱気部では、接着剤第2出口が接着剤第1出口及び接着剤入口よりも上側に配置されている。そのため、容積式ポンプ、及び相対的に小さい内断面積の接続配管を介して、脱気部の相対的に下側に設けられた接着剤入口から流入させた水系接着剤は、相対的に大きい内断面積の脱気部内で滞留し、その滞留している間に水系接着剤に含まれる空気が脱気部内を浮力で上側に移動する。これにより、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤を脱気部の相対的に上側に設けられた接着剤第2出口からタンクに流出させ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を脱気部の相対的に下側に設けられた接着剤第1出口からスロットダイに流出させることになり、スロットダイには、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を供給することができる。
上記脱気部は、上記接続配管の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管を備え、上記接着剤第1出口は、上記脱気配管の高さ方向の下部に設けられ、上記接着剤第2出口は、上記脱気配管の高さ方向の上部に設けられ、上記接着剤入口は、上記脱気配管の高さ方向の中間部に設けられていてもよい。
上記の方法によれば、容積式ポンプとスロットダイとを接続する接続配管の経路中にはその接続配管の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管が脱気部として設けられ、その縦型の脱気配管には、スロットダイに接続された接着剤第1出口、タンクに接続された接着剤第2出口、及び容積式ポンプに接続された接着剤入口がそれぞれ設けられている。そのため、容積式ポンプ、及び相対的に小さい内径の接続配管を介して、脱気配管の高さ方向の中間部に設けられた接着剤入口から流入させた水系接着剤は、相対的に大きい内径の脱気配管内で滞留し、その滞留している間に水系接着剤に含まれる空気が脱気配管内を浮力で上側に移動する。これにより、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤を脱気配管の高さ方向の上部に設けられた接着剤第2出口からタンクに流出させ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を脱気配管の高さ方向の下部に設けられた接着剤第1出口からスロットダイに流出させることになり、スロットダイには、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を供給することができる。
上記脱気工程を行った後に、上記スロットダイには、該スロットダイで上記水系接着剤を吐出する隙間よりも小さい目のフィルターを通して上記水系接着剤が供給されてもよい。
上記の方法によれば、脱気工程を行った後に、スロットダイには、そのスロットダイで水系接着剤を吐出する隙間よりも小さい目のフィルターを通して水系接着剤が供給されるので、水系接着剤を製造する際、工場で製造、保管及び調整する際に水系接着剤に混入され得るカスや凝集物等のゴミをフィルターで取り除くことができる。これにより、水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部が除去されるだけでなく、スロットダイの隙間に水系接着剤に混入され得るゴミが詰まり難くなるので、化粧シートの裏面に水系接着剤を塗布する際に、ゴミの詰まりによる膜切れの発生を抑制することができる。
上記塗布工程では、上記水系接着剤を長尺の化粧シートの裏面に塗布し、上記貼付工程では、上記塗布工程で水系接着剤が塗布された長尺の化粧シートの裏面に一方向に並んだ複数の板状基材を貼付し、上記貼付工程及び一体化工程の間に、上記長尺の化粧シートを上記板状基材毎に個片化する個片化工程を備え、上記一体化工程では、上記個片化工程で個片化された化粧シートと該化粧シートに貼付された板状基材とを複数個積み重ねた状態で平板状にプレスして積層一体化してもよい。
上記の方法によれば、まず、塗布工程において、タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプでスロットダイに供給し、その供給された水系接着剤を長尺の化粧シートの裏面にスロットダイから吐出して塗布する。続いて、貼付工程において、塗布工程で水系接着剤が塗布された長尺の化粧シートの裏面に一方向に並んだ複数の板状基材を貼付する。その後、個片化工程において、貼付工程で貼付された長尺の化粧シートを板状基材毎に個片化する。さらに、一体化工程では、個片化工程で個片化された化粧シートと化粧シートに貼付された板状基材とを複数個積み重ねた状態で平板状にプレスして積層一体化する。このようにして、シート化粧板材を連続的に製造することができる。
上記タンクに貯留された水系接着剤は、主剤及び硬化剤を含み、上記タンクに貯留される前に、少なくとも上記主剤及び硬化剤を撹拌混合したものであってもよい。
上記の方法によれば、タンクに貯留された水系接着剤は、主剤及び硬化剤を含み、タンクに貯留される前に、少なくとも主剤及び硬化剤を撹拌混合したものであるので、タンクに貯留された水系接着剤は、多量の気泡を含み易いものの、塗布工程が脱気工程を含むので、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を効果的に抑制することができ、破泡により膜切れの発生を効果的に抑制することができる。
上記塗布工程では、上記長尺の化粧シートの裏面に上記水系接着剤を塗布した後に、該塗布された水系接着剤の塗布量を非接触式の膜厚計で測定してもよい。
上記の方法によれば、長尺の化粧シートの裏面に塗布された水系接着剤の塗布量を非接触式の膜厚計で測定するので、化粧シートの長さ方向において、水系接着剤の塗布量の変化を連続的に検知することができる。
上記板状基材は、木質基材であってもよい。
上記の方法によれば、板状基材が木質基材であるので、木質のシート化粧板材を製造することができる。ここで、板状基材に木質基材を用いると、水系接着剤に含まれる水分により、板状基材の寸法変化が大きくなり易いものの、本発明によれば、仮に、比較的に水分量が少なく、高い樹脂含有率で高粘度の水系接着剤を用いた場合であっても、その水系接着剤を木質基材の表面に均一な膜厚で薄く連続的に塗布することができるので、板状基材の寸法変化を小さくすることができる。これにより、寸法変化の小さい木質のシート化粧板材を高い製造歩留まりで連続的に製造することができる。
また、本発明に係るシート化粧板材の製造装置は、上流から下流に向けて順に設けられたタンク、容積式ポンプ及びスロットダイを有し、上記タンクに貯留された水系接着剤を上記容積式ポンプで圧力を加えながら上記スロットダイに供給し、該供給された水系接着剤を化粧シートの裏面に上記スロットダイから吐出して塗布するダイコーターと、上記ダイコーターで水系接着剤が塗布された化粧シートの裏面に板状基材を貼付する貼付部とを備え、上記貼付部で貼付された化粧シート及び板状基材を平板状にプレスして一体化するシート化粧板材の製造装置であって、上記ダイコーターは、上記容積式ポンプから上記スロットダイに上記水系接着剤を供給する前に該水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気部を備えていることを特徴とする。
上記の構成によれば、タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプで圧力を加えながらスロットダイに供給し、その供給された水系接着剤を化粧シートの裏面にスロットダイから吐出して塗布するダイコーターは、水系接着剤をスロットダイに供給する前に水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気部を備えている。これにより、内部に含まれる空気の少なくとも一部が除去された水系接着剤をスロットダイに供給することになり、スロットダイから吐出された瞬間に起こる破泡を抑制することができるので、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布することができる。
上記脱気部は、上記容積式ポンプと上記スロットダイとを接続する接続配管の経路中に設けられ、該接続配管の内断面積よりも大きい内断面積を有し、上記スロットダイに接続された接着剤第1出口、上記タンクに接続された接着剤第2出口、及び上記容積式ポンプに接続された接着剤入口を備え、上記接着剤第2出口が上記接着剤第1出口及び接着剤入口よりも上側に配置され、上記接着剤入口から流入させた上記水系接着剤のうち、相対的に多量の空気が含まれるものを上記接着剤第2出口から上記タンクに流出させ、相対的に少量の空気を含まれるものを上記接着剤第1出口から上記スロットダイに流出させるように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、容積式ポンプとスロットダイとを接続する接続配管の経路中にはその接続配管の内断面積よりも大きい内断面積を有する脱気部が設けられ、脱気部には、スロットダイに接続された接着剤第1出口、タンクに接続された接着剤第2出口、及び容積式ポンプに接続された接着剤入口がそれぞれ設けられている。そして、脱気部では、接着剤第2出口が接着剤第1出口及び接着剤入口よりも上側に配置されている。そのため、容積式ポンプ、及び相対的に小さい内断面積の接続配管を介して、脱気部の相対的に下側に設けられた接着剤入口から流入させた水系接着剤は、相対的に大きい内断面積の脱気部内で滞留し、その滞留している間に水系接着剤に含まれる空気が脱気部内を浮力で上側に移動する。これにより、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤を脱気部の相対的に上側に設けられた接着剤第2出口からタンクに流出させ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を脱気部の相対的に下側に設けられた接着剤第1出口からスロットダイに流出させることになり、スロットダイには、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を供給することができる。
上記脱気部は、上記接続配管の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管を備え、上記接着剤第1出口は、上記脱気配管の高さ方向の下部に設けられ、上記接着剤第2出口は、上記脱気配管の高さ方向の上部に設けられ、上記接着剤入口は、上記脱気配管の高さ方向の中間部に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、容積式ポンプとスロットダイとを接続する接続配管の経路中にはその接続配管の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管が脱気部として設けられ、その縦型の脱気配管には、スロットダイに接続された接着剤第1出口、タンクに接続された接着剤第2出口、及び容積式ポンプに接続された接着剤入口がそれぞれ設けられている。そのため、容積式ポンプ、及び相対的に小さい内径の接続配管を介して、脱気配管の高さ方向の中間部に設けられた接着剤入口から流入させた水系接着剤は、相対的に大きい内径の脱気配管内で滞留し、その滞留している間に水系接着剤に含まれる空気が脱気配管内を浮力で上側に移動する。これにより、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤を脱気配管の高さ方向の上部に設けられた接着剤第2出口からタンクに流出させ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を脱気配管の高さ方向の下部に設けられた接着剤第1出口からスロットダイに流出させることになり、スロットダイには、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を供給することができる。
上記接着剤第2出口及びタンクの間には、上記相対的に多量の空気が含まれるものを上記接着剤第2出口から上記タンクに流出させる戻し配管が設けられ、上記戻し配管の経路中には、該経路を開度自在に開閉するコックが設けられていてもよい。
上記の構成によれば、接着剤第2出口及びタンクの間には、相対的に多量の空気が含まれるものを接着剤第2出口からタンクに流出させる戻し配管が設けられ、その戻し配管の経路中には、その経路を開度自在に開閉するコックが設けられている。これにより、スロットダイから吐出して塗布された水系接着剤の塗膜において、破泡が確認されない場合には、コックにより戻し配管の経路を閉じ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤をスロットダイに供給し続け、破泡が確認される場合には、コックにより戻し配管の経路を少し開いて、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤をタンクに戻すことができる。
上記スロットダイ及び脱気部の間には、該スロットダイで上記水系接着剤を吐出する隙間よりも小さい目のフィルターが設けられていてもよい。
上記の構成によれば、スロットダイ及び脱気部の間には、スロットダイで水系接着剤を吐出する隙間よりも小さい目のフィルターが設けられているので、水系接着剤を製造する際、工場で製造、保管及び調整する際に水系接着剤に混入され得るカスや凝集物等のゴミをフィルターで取り除くことができる。これにより、水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部が除去されるだけでなく、スロットダイの隙間に水系接着剤に混入され得るゴミが詰まり難くなるので、化粧シートの裏面に水系接着剤を塗布する際に、ゴミの詰まりによる膜切れの発生を抑制することができる。
上記ダイコーターは、上記水系接着剤を長尺の化粧シートの裏面に塗布するように構成され、上記貼付部は、上記ダイコーターで水系接着剤が塗布された長尺の化粧シートの裏面に一方向に並んだ複数の板状基材を貼付するように構成され、上記貼付部で貼付された長尺の化粧シートを上記板状基材毎に個片化する個片化部を備え、上記個片化部で個片化された化粧シートと該化粧シートに貼付された板状基材とを複数個積み重ねた状態で平板状にプレスして積層一体化するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、まず、ダイコートにより、タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプでスロットダイに供給し、その供給された水系接着剤を長尺の化粧シートの裏面にスロットダイから吐出して塗布する。続いて、貼付部により、ダイコーターで水系接着剤が塗布された長尺の化粧シートの裏面に一方向に並んだ複数の板状基材を貼付する。その後、個片化部により、貼付部で貼付された長尺の化粧シートを板状基材毎に個片化する。さらに、個片化部で個片化された化粧シートと化粧シートに貼付された板状基材とを複数個積み重ねた状態で平板状にプレスして積層一体化する。このようにして、シート化粧板材を連続的に製造することができる。
本発明によれば、塗布工程は、水系接着剤をスロットダイに供給する前に水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を含むので、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布することができる。
本発明の第1の実施形態に係るシート化粧板材の製造方法に用いる板材製造装置の概略構成図である。 本発明の第1の実施形態に係るシート化粧板材の製造方法に用いる板材製造装置を構成する脱気配管の変形例の概略図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1は、本発明に係るシート化粧板材の製造方法及び製造装置の第1の実施形態を示している。なお、本実施形態では、シート化粧板材として、シート化粧床材を例示する。ここで、図1は、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法に用いる床材製造装置50の概略構成図である。また、図2は、床材製造装置50を構成する脱気配管26の変形例である脱気槽29の概略図である。
シート化粧床材15は、図1に示すように、板状基材として設けられた木質基材10と、木質基材10上に接着剤層11aを介して設けられた(短尺の)化粧シート12aとを備えている。
木質基材10は、例えば、LVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)、合板、集成材、無垢材、パーティクルボード、繊維板等の木質材料により構成されている。ここで、板状基材としては、吸水性を有していれば、木質基材10の他に、火山性ガラス質複層板、ケイ酸カルシウム板、石膏ボード等の無機基材であってもよい。
接着剤層11aは、例えば、酢酸ビニル系、水性ビニルウレタン系、アクリル系、イソシアネート系、ユリア系、エチレン酢酸ビニル共重合体系、ポリビニルアルコール系等の水系接着剤11により構成されている。ここで、接着剤層11aには、必要に応じて、例えば、イソシアネート系やメラミン系等の硬化剤が添加されていてもよい。
化粧シート12aは、樹脂製であり、例えば、厚さ0.1mm〜0.4mm程度のオレフィン樹脂、PET(polyethylene terephthalate)樹脂、塩化ビニル樹脂等の水分を殆ど含まない樹脂フィルムにより形成されている。ここで、化粧シート12aとしては、樹脂シートの他に、コート紙、樹脂含浸紙等の化粧紙、不織布、織布、木質薄化粧突き板、畳表等の薄いシート材であってもよい。また、化粧シート12aの厚さとしては、後述する長尺の化粧シート12を巻き出す巻出ロール35との兼ね合いで決定すればよく、紙であれば、例えば0.05mm〜0.3mm程度のもの、樹脂シートであれば、例えば、0.15mm〜0.3mm程度のものが好適に用いられる。なお、化粧シート12aには、例えば、木目、石目、抽象柄等が印刷されている。
次に、シート化粧床材15を製造する床材製造装置50について説明する。
床材製造装置50は、図1に示すように、ダイコーター30と、ダイコーター30の後述するバックアップロール25の図中右側に設けられた巻出ロール35と、バックアップロール25の図中下側に設けられた貼付ロール40と、バックアップロール25の図中左側に設けられた膜厚計41と、貼付ロール40の図中右側に設けられた裁断機45とを備えている。なお、床材製造装置50において、貼付ロール40の図1中下側には、複数の木質基材10を図1中左側から図中1右側に一枚ずつ連続的に搬送するように搬送コンベヤーや搬送ロール等の搬送手段(不図示)が設けられている。
ダイコーター30は、図1に示すように、スロットダイとして設けられたTダイ20と、Tダイ20に接続配管24を介して接続されたタンク23と、接続配管24の経路中にTダイ20側から順に設けられたフィルター21、脱気配管26及び容積式ポンプ22と、Tダイ20の図中下側にTダイ20に対向するようにバックアップ部として設けられたバックアップロール25とを備えている。
Tダイ20は、図1に示すように、容積式ポンプ22、脱気配管26及びフィルター21を介して、タンク23から供給された水系接着剤11を、例えば、0.3mm程度の幅の細長い隙間Cから定量的にバックアップロール25側に吐出するように設けられている。
フィルター21は、図1に示すように、Tダイ20及び脱気配管26の間に設けられ、例えば、スチール製の金網等により構成され、Tダイ20の隙間よりも小さい目(例えば、100メッシュ程度)を有している。ここで、100メッシュのフィルター21は、例えば、その線径が0.11mmの場合、その目開きの大きさが0.144mmであり、その線径が0.10mmの場合、その目開きの大きさは、0.154mmである。
容積式ポンプ22は、図1に示すように、脱気配管26及びフィルター21を介して、タンク23に貯留された水系接着剤11をTダイ20に一定時間に一定量で送り出すように設けられている。
脱気配管26は、図1に示すように、容積式ポンプ22からTダイ20に水系接着剤11を供給する前に水系接着剤11に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気部として設けられている。また、脱気配管26は、図1に示すように、縦型をしており、接続配管24の内径(例えば、30mm程度)よりも大きい内径(例えば、300mm程度)を有している。また、脱気配管26には、図1に示すように、その底部にTダイ20に接続された接着剤第1出口26aが設けられ、その頂部にタンク28に接続された接着剤第2出口26bが設けられ、その高さ方向の中間部に容積式ポンプ22に接続された接着剤入口26cが設けられている。これにより、脱気配管26は、接着剤入口26cから流入させた水系接着剤11を内部に滞留させ、その滞留中に水系接着剤11に含まれる空気が配管内を浮力で上側に移動し、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11を接着剤第2出口26bからタンク23に流出させ、相対的に少量の空気を含まれる水系接着剤11を接着剤第1出口26aからTダイ20に流出させるように構成されている。また、接着剤第2出口26bに繋がる脱気配管26の上部の内面は、例えば、上方に向かって小径となる半球面、円錐や多角錐の側面等のように形成され、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11の流れを滞らせないように構成されている。ここで、脱気配管26の接着剤第2出口26b及びタンク23の間には、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11を接着剤第2出口26bからタンク23に流出させる戻し配管27が設けられ、戻し配管27の経路中には、その経路を開度自在に開閉するコック28が設けられている。
なお、本実施形態では、脱気部として脱気配管26を例示したが、脱気部は、図2に示すような脱気槽29であってもよい。具体的に、脱気槽29は、図2に示すように、接続配管24の内断面積よりも大きい内断面積を有し、Tダイ20に接続された接着剤第1出口29a、タンク23に接続された接着剤第2出口29b、及び容積式ポンプに接続された接着剤入口29cを備えている。ここで、脱気槽29では、図2に示すように、接着剤第2出口29bが接着剤第1出口29a及び接着剤入口29cよりも上側に配置されている。そして、脱気槽29は、接着剤入口29cから流入させた水系接着剤11のうち、相対的に多量の空気が含まれるものを接着剤第2出口29bからタンク23に流出させ、相対的に少量の空気を含まれるものを接着剤第1出口29aからTダイ20に流出させるように構成されている。また、接着剤第2出口29bに繋がる脱気槽29の上部の内面は、例えば、上方に向かって小径となる半球面、円錐や多角錐の側面等のように形成され、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11の流れを滞らせないように構成されている。
また、本実施形態(及びその変形例)では、接着剤入口26c(29c)から流入させた水系接着剤11のうち、相対的に多量の空気が含まれるものを接着剤第2出口26b(29b)からタンク23に流出させて還流させる構成を好ましい形態として例示したが、相対的に多量の空気が含まれた水系接着剤11を還流させずに廃棄してもよい。
バックアップロール25は、その回転駆動により、巻出ロール35から供給された化粧シート12を貼付ロール40に搬送すると共に、その搬送中の化粧シート12の裏面にTダイ20からの水系接着剤11が塗布されるように設けられている。
巻出ロール35は、その回転駆動により、ロール状に巻かれた長尺の化粧シート12を巻き出してダイコーター30のバックアップロール25の周面に供給するように設けられている。
貼付ロール40は、その回転駆動により、搬送中の木質基材10の表面に水系接着剤11を介して化粧シート12を貼り付ける、言い換えれば、ダイコーター30で水系接着剤11が塗布された化粧シート12の裏面に搬送中の木質基材10を貼り付ける貼付部として設けられている。
裁断機45は、木質基材10に貼付した長尺の化粧シート12を木質基材10毎に裁断して短尺の化粧シート12aに個片化するように個片化部として設けられている。
次に、上記構成の床材製造装置50を用いたシート化粧床材15の製造方法について説明する。
まず、タンク23内に水系接着剤11を貯留し、巻出ロール35にロール状の化粧シート12を設置し、搬送手段に複数の木質基材10をセットする。ここで、水系接着剤11は、例えば、酢酸ビニル系接着剤等の主剤と、イソシアネート系硬化剤等の硬化剤とを含み、タンク23内に貯留する直前に、主剤及び硬化剤を撹拌混合したものである。
続いて、巻出ロール35から化粧シート12を巻き出して、化粧シート12をバックアップロール25及び貼付ロール40に順に送った後に、巻出ロール35、バックアップロール25及び貼付ロール40を駆動させながら容積式ポンプ22を作動させることにより、化粧シート12の裏面にTダイ20から吐出された水系接着剤11を塗布する(塗布工程)。ここで、水系接着剤11の塗布量は、例えば、50g/m〜150g/m程度(好ましくは、50g/m〜100g/m)である。また、水系接着剤11の塗布量(膜厚)は、非接触式の膜厚計41により測定される。なお、水系接着剤11の塗布量(膜厚)が所定の範囲内に入らない場合や膜切れが発生する場合には、製造ラインを一旦止め、Tダイ20の隙間Cや容積式ポンプ22の送り量等を確認及び調整する。また、塗布工程は、水系接着剤11をTダイ20に供給する前に水系接着剤11に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を含み、塗布工程中には、水系接着剤11が脱気配管26を通すことにより、脱気工程が常に行われる。なお、Tダイ20から吐出して塗布された水系接着剤11の塗膜において、気泡の発生が確認されない場合には、コック28の回動により戻し配管27の経路を閉じ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤11をTダイ20に供給し続け、気泡の発生が確認される場合には、コック28の回動により戻し配管27の経路を少し開いて、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11をタンク23に戻すように操作する。
その後、搬送手段を作動させることにより、木質基材10を搬送しながら木質基材10の表面に水系接着剤11を塗布した化粧シート12を介して貼付ロール40の周壁を接触させて、木質基材10に水系接着剤11を介して化粧シート12を連続的に貼付する(貼付工程)。
さらに、木質基材10に貼付された長尺の化粧シート12を木質基材10毎に裁断機45で裁断することにより、個片化する(個片化工程)。
最後に、複数個を積み重ねた状態で平板状にプレスし、木質基材10と短尺の化粧シート12aとの間の水系接着剤11を乾燥して、木質基材10の表面に化粧シート12aを固着させて、積層一体化する(一体化工程)。
以上のようにして、本実施形態のシート化粧床材15を製造することができる。
以上説明したように、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、タンク23に貯留された水系接着剤11を容積式ポンプ22でTダイ20に供給し、その供給された水系接着剤11を化粧シート12の裏面にTダイ20から吐出して塗布する塗布工程を行うダイコーター30は、水系接着剤11をTダイ20に供給する前に水系接着剤11に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を行う脱気配管26(脱気部)を備えている。具体的に、容積式ポンプ22とTダイ20とを接続する接続配管24の経路中には、接続配管24の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管26が設けられ、その縦型の脱気配管26には、Tダイ20に接続された接着剤第1出口26a、タンク23に接続された接着剤第2出口26b、及び容積式ポンプ22に接続された接着剤入口26cがそれぞれ設けられている。そのため、容積式ポンプ22、及び相対的に小さい内径の接続配管24を介して、脱気配管26の高さ方向の中間部に設けられた接着剤入口26cから流入させた水系接着剤11は、相対的に大きい内径の脱気配管26内で滞留し、その滞留している間に水系接着剤11に含まれる空気が脱気配管26内を浮力で上側に移動する。これにより、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11を脱気配管26の上部に設けられた接着剤第2出口26bからタンク23に流出させ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤11を脱気配管26の下部に設けられた接着剤第1出口26aからTダイ20に流出させることになり、Tダイ20には、相対的に少量の空気が含まれる(気泡が殆ど含まれない)水系接着剤11を供給することができる。これにより、内部に含まれる空気の少なくとも一部が除去された水系接着剤11をTダイ20に供給することになり、Tダイ20から吐出された瞬間に起こる破泡を抑制することができるので、Tダイ20から吐出して塗布された膜における破泡を抑制して膜切れによる生産ロスを軽減し、均一な膜厚で連続的に水系接着剤11を塗布することができる。
また、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、脱気工程を行った後に、Tダイ20には、Tダイ20で水系接着剤11を吐出する隙間Cよりも小さい目のフィルター21を通して水系接着剤11が供給されるので、水系接着剤11を製造する際、工場で製造、保管及び調整する際に水系接着剤11に混入され得るカスや凝集物等のゴミをフィルターで取り除くことができる。これにより、水系接着剤11に含まれる空気の少なくとも一部が除去されるだけでなく、Tダイ20の隙間Cに水系接着剤11に混入され得るゴミが詰まり難くなるので、化粧シート12の裏面に水系接着剤11を塗布する際に、ゴミの詰まりによる膜切れの発生を抑制することができる。
また、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、長尺の化粧シート12の裏面に塗布された水系接着剤11の塗布量を非接触式の膜厚計41で測定するので、化粧シート12の長さ方向において、水系接着剤11の塗布量の変化を連続的に検知することができる。
また、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、脱気配管26の接着剤第2出口26b及びタンク23の間には、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11を接着剤第2出口26bからタンク23に流出させる戻し配管27が設けられ、戻し配管27の経路中には、その経路を開度自在に開閉するコック28が設けられている。これにより、Tダイ20から吐出して塗布された水系接着剤11の塗膜において、気泡の発生が確認されない場合には、コック28により戻し配管27の経路を閉じ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤11をTダイ20に供給し続け、気泡の発生が確認される場合には、コック28により戻し配管27の経路を少し開いて、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11をタンク23に戻すことができる。
また、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、化粧シート12の表面に当接するバックアップロール25と、化粧シート12を介してバックアップロール25に対向するように設けられ、化粧シート12の裏面に水系接着剤11を塗布するTダイ20とを備え、Tダイ20により形成される隙間Cに応じて水系接着剤11の塗布量を調整するダイコーター30により、一方向に並んだ複数の木質基材10に貼付する化粧シート12の裏面に水系接着剤11を塗布するので、ロールコーターを用いた塗布方法で懸念されるローピングの発生を抑制することができる。これにより、化粧シート12の幅方向において、均一な膜厚で水系接着剤11を塗布することができる。また、長尺の化粧シート12の裏面に塗布された水系接着剤11の塗布量を非接触式の膜厚計41で測定するので、化粧シート12の長さ方向において、水系接着剤11の塗布量の変化を連続的に検知することができる。これにより、長尺の化粧シート12に対して、幅方向に均一な水系接着剤11の膜厚を長さ方向に維持することができるので、長尺の化粧シート12の裏面に対して、ローピングの発生を抑制して、安定的に且つ連続的に均一な膜厚で水系接着剤11を塗布することができる。さらに、長尺の化粧シート12の裏面に、安定的に且つ連続的に均一な膜厚で水系接着剤11を塗布することができるので、平滑性に優れた美麗なシート化粧床材15を製造することができる。
ここで、シート化粧床材15を製造する際には、例えば、水系接着剤11の粘度の異常、フィルター21の目詰まり等によって、水系接着剤11の膜厚が薄すぎたり厚すぎたりすると様々な不具合が発生するので、水系接着剤11の塗布量が所定の範囲を超える場合、製造ラインを一旦止めて、水系接着剤11の塗布状況を確認する必要がある。このような場合にも、ローピングの発生が抑制されているので、連続的な塗布量の監視により不具合に対する速やかな対応を行うことができるだけでなく、不良品の発生を抑制することができ、より品質の安定した安価なシート化粧床材15を製造することができる。
また、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、膜厚計41が化粧シート12の幅方向に沿って移動可能に設けられているので、化粧シート12の裏面に塗布された水系接着剤11の塗布量を化粧シート12の幅方向の任意の位置で測定することができる。また、化粧シート12の裏面に塗布された水系接着剤11において、ローピングの発生が抑制されているので、水系接着剤11の塗布量を化粧シート12の幅方向の任意の位置で測定するだけで、水系接着剤11の塗布量を正確に把握することができる。
《その他の実施形態》
上記第1の実施形態では、シート化粧板材として、床材を例示したが、本発明は、壁材や天井材等にも適用することができる。
また、上記第1の実施形態では、一列に並んだ複数の板状基材に長尺の化粧シートを連続的に貼付するシート化粧板材の製造方法を例示したが、本発明は、複数列に並んだ複数の板状基材に長尺の化粧シートを連続的に貼付するシート化粧板材の製造方法、1つの板状基材にそれに対応する短尺の化粧シートを貼付するシート化粧板材の製造方法等にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布することができるので、極めて有用である。
10 木質基材(板状基材)
11 水系接着剤
12 (長尺の)化粧シート
12a (個片化した)化粧シート
15 シート化粧床材(シート化粧板材)
20 Tダイ(スロットダイ)
21 フィルター
22 容積式ポンプ
23 タンク
24 接続配管
26 脱気配管(脱気部)
26a,29a 接着剤第1出口
26b,29b 接着剤第2出口
26c,29c 接着剤入口
27 戻し配管
28 コック
29 脱気槽(脱気部)
30 ダイコーター
41 膜厚計
45 裁断機(個片化部)
50 床材製造装置(シート化粧板材の製造装置)
本発明は、シート化粧板材の製造方法及び製造装置に関するものである。
例えば、板状の木質基材の表面に化粧シートを貼り付けた化粧シートタイプの床材は、近年、商品バリエーションが充実し、注目されている。ここで、化粧シートと木質基材との間には、化粧シートの裏面又は木質基材の表面に塗布された接着剤が介在している。そして、接着剤には、安価な水系接着剤や高価なホットメルト系接着剤等があり、ホットメルト系接着剤では、短時間で安定した接着力を実現することができるものの、コストアップを招くので、水系接着剤を用いたシート化粧板材の製造が見直されている。
例えば、特許文献1には、ロールコーターを用いて、長尺の帯状体に連続して塗布処理を行う塗布方法が開示されている。
特許第5200650号公報
ところで、上記特許文献1に開示されたロールコーターで水系接着剤を塗布する他の方法として、本発明者らは、ダイコーターで水系接着剤を塗布する方法を検討している。このダイコーターでは、一定時間に一定量を送り出し続ける容積式ポンプを用いて、一定圧力を加えながら水系接着剤をスロットダイに供給し、そのスロットダイの隙間から一定量の水系接着剤を押し出し、その押し出された水系接着剤をシートの裏面等の被塗布面に塗布する。ここで、水系接着剤に気泡が含まれていると、そのスロットダイの隙間から押し出された瞬間に気泡が圧力から解放されて破泡し易い。そうなると、被塗布面に塗布された水系接着剤に膜切れが発生するので、水系接着剤を均一な膜厚で塗布することが難しい。特に、水系接着剤では、使用可能な時間を長くするために、使用する直前に主剤と硬化剤とを撹拌機で均一に混合することが多いので、水系接着剤中に多量の気泡が含まれるおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るシート化粧板材の製造方法は、タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプで圧力を加えながらスロットダイに供給し、該供給された水系接着剤を化粧シートの裏面に上記スロットダイの隙間から吐出して塗布する塗布工程と、上記塗布工程で水系接着剤が塗布された化粧シートの裏面に板状基材を貼付する貼付工程と、上記貼付工程で貼付された化粧シート及び板状基材を平板状にプレスして一体化する一体化工程とを備えるシート化粧板材の製造方法であって、上記塗布工程は、上記水系接着剤をスロットダイに供給する前に該水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を含むことを特徴とする。
上記の方法によれば、タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプで圧力を加えながらスロットダイに供給し、その供給された水系接着剤を化粧シートの裏面にスロットダイから吐出して塗布する塗布工程は、水系接着剤をスロットダイに供給する前に水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を含む。これにより、内部に含まれる空気の少なくとも一部が除去された水系接着剤をスロットダイに供給することになり、スロットダイから吐出された瞬間に起こる破泡を抑制することができるので、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布することができる。
上記脱気工程では、上記容積式ポンプと上記スロットダイとを接続する接続配管の経路中に設けられ、該接続配管の内断面積よりも大きい内断面積を有し、上記スロットダイに接続された接着剤第1出口、上記タンクに接続された接着剤第2出口、及び上記容積式ポンプに接続された接着剤入口を備え、上記接着剤第2出口が上記接着剤第1出口及び接着剤入口よりも上側に配置された脱気部において、上記接着剤入口から流入させた上記水系接着剤のうち、相対的に多量の空気が含まれるものを上記接着剤第2出口から上記タンクに流出させ、相対的に少量の空気を含まれるものを上記接着剤第1出口から上記スロットダイに流出させてもよい。
上記の方法によれば、容積式ポンプとスロットダイとを接続する接続配管の経路中にはその接続配管の内断面積よりも大きい内断面積を有する脱気部が設けられ、脱気部には、スロットダイに接続された接着剤第1出口、タンクに接続された接着剤第2出口、及び容積式ポンプに接続された接着剤入口がそれぞれ設けられている。そして、脱気部では、接着剤第2出口が接着剤第1出口及び接着剤入口よりも上側に配置されている。そのため、容積式ポンプ、及び相対的に小さい内断面積の接続配管を介して、脱気部の相対的に下側に設けられた接着剤入口から流入させた水系接着剤は、相対的に大きい内断面積の脱気部内で滞留し、その滞留している間に水系接着剤に含まれる空気が脱気部内を浮力で上側に移動する。これにより、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤を脱気部の相対的に上側に設けられた接着剤第2出口からタンクに流出させ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を脱気部の相対的に下側に設けられた接着剤第1出口からスロットダイに流出させることになり、スロットダイには、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を供給することができる。
上記脱気部は、上記接続配管の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管を備え、上記接着剤第1出口は、上記脱気配管の高さ方向の下部に設けられ、上記接着剤第2出口は、上記脱気配管の高さ方向の上部に設けられ、上記接着剤入口は、上記脱気配管の高さ方向の中間部に設けられていてもよい。
上記の方法によれば、容積式ポンプとスロットダイとを接続する接続配管の経路中にはその接続配管の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管が脱気部として設けられ、その縦型の脱気配管には、スロットダイに接続された接着剤第1出口、タンクに接続された接着剤第2出口、及び容積式ポンプに接続された接着剤入口がそれぞれ設けられている。そのため、容積式ポンプ、及び相対的に小さい内径の接続配管を介して、脱気配管の高さ方向の中間部に設けられた接着剤入口から流入させた水系接着剤は、相対的に大きい内径の脱気配管内で滞留し、その滞留している間に水系接着剤に含まれる空気が脱気配管内を浮力で上側に移動する。これにより、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤を脱気配管の高さ方向の上部に設けられた接着剤第2出口からタンクに流出させ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を脱気配管の高さ方向の下部に設けられた接着剤第1出口からスロットダイに流出させることになり、スロットダイには、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を供給することができる。
上記脱気配管の上部の内面は、上方に向かって小径となる半球面、又は円錐若しくは多角錐の側面のように形成されていてもよい。
上記脱気工程を行った後に、上記スロットダイには、該スロットダイで上記水系接着剤を吐出する隙間よりも小さい目のフィルターを通して上記水系接着剤が供給されてもよい。
上記の方法によれば、脱気工程を行った後に、スロットダイには、そのスロットダイで水系接着剤を吐出する隙間よりも小さい目のフィルターを通して水系接着剤が供給されるので、水系接着剤を製造する際、工場で製造、保管及び調整する際に水系接着剤に混入され得るカスや凝集物等のゴミをフィルターで取り除くことができる。これにより、水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部が除去されるだけでなく、スロットダイの隙間に水系接着剤に混入され得るゴミが詰まり難くなるので、化粧シートの裏面に水系接着剤を塗布する際に、ゴミの詰まりによる膜切れの発生を抑制することができる。
上記塗布工程では、上記水系接着剤を長尺の化粧シートの裏面に塗布し、上記貼付工程では、上記塗布工程で水系接着剤が塗布された長尺の化粧シートの裏面に一方向に並んだ複数の板状基材を貼付し、上記貼付工程及び一体化工程の間に、上記長尺の化粧シートを上記板状基材毎に個片化する個片化工程を備え、上記一体化工程では、上記個片化工程で個片化された化粧シートと該化粧シートに貼付された板状基材とを複数個積み重ねた状態で平板状にプレスして積層一体化してもよい。
上記の方法によれば、まず、塗布工程において、タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプでスロットダイに供給し、その供給された水系接着剤を長尺の化粧シートの裏面にスロットダイから吐出して塗布する。続いて、貼付工程において、塗布工程で水系接着剤が塗布された長尺の化粧シートの裏面に一方向に並んだ複数の板状基材を貼付する。その後、個片化工程において、貼付工程で貼付された長尺の化粧シートを板状基材毎に個片化する。さらに、一体化工程では、個片化工程で個片化された化粧シートと化粧シートに貼付された板状基材とを複数個積み重ねた状態で平板状にプレスして積層一体化する。このようにして、シート化粧板材を連続的に製造することができる。
上記タンクに貯留された水系接着剤は、主剤及び硬化剤を含み、上記タンクに貯留される前に、少なくとも上記主剤及び硬化剤を撹拌混合したものであってもよい。
上記の方法によれば、タンクに貯留された水系接着剤は、主剤及び硬化剤を含み、タンクに貯留される前に、少なくとも主剤及び硬化剤を撹拌混合したものであるので、タンクに貯留された水系接着剤は、多量の気泡を含み易いものの、塗布工程が脱気工程を含むので、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を効果的に抑制することができ、破泡により膜切れの発生を効果的に抑制することができる。
上記塗布工程では、上記長尺の化粧シートの裏面に上記水系接着剤を塗布した後に、該塗布された水系接着剤の塗布量を非接触式の膜厚計で測定してもよい。
上記の方法によれば、長尺の化粧シートの裏面に塗布された水系接着剤の塗布量を非接触式の膜厚計で測定するので、化粧シートの長さ方向において、水系接着剤の塗布量の変化を連続的に検知することができる。
上記板状基材は、木質基材であってもよい。
上記の方法によれば、板状基材が木質基材であるので、木質のシート化粧板材を製造することができる。ここで、板状基材に木質基材を用いると、水系接着剤に含まれる水分により、板状基材の寸法変化が大きくなり易いものの、本発明によれば、仮に、比較的に水分量が少なく、高い樹脂含有率で高粘度の水系接着剤を用いた場合であっても、その水系接着剤を木質基材の表面に均一な膜厚で薄く連続的に塗布することができるので、板状基材の寸法変化を小さくすることができる。これにより、寸法変化の小さい木質のシート化粧板材を高い製造歩留まりで連続的に製造することができる。
また、本発明に係るシート化粧板材の製造装置は、上流から下流に向けて順に設けられたタンク、容積式ポンプ及びスロットダイを有し、上記タンクに貯留された水系接着剤を上記容積式ポンプで圧力を加えながら上記スロットダイに供給し、該供給された水系接着剤を化粧シートの裏面に上記スロットダイの隙間から吐出して塗布するダイコーターと、上記ダイコーターで水系接着剤が塗布された化粧シートの裏面に板状基材を貼付する貼付部とを備え、上記貼付部で貼付された化粧シート及び板状基材を平板状にプレスして一体化するシート化粧板材の製造装置であって、上記ダイコーターは、上記容積式ポンプから上記スロットダイに上記水系接着剤を供給する前に該水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気部を備えていることを特徴とする。
上記の構成によれば、タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプで圧力を加えながらスロットダイに供給し、その供給された水系接着剤を化粧シートの裏面にスロットダイから吐出して塗布するダイコーターは、水系接着剤をスロットダイに供給する前に水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気部を備えている。これにより、内部に含まれる空気の少なくとも一部が除去された水系接着剤をスロットダイに供給することになり、スロットダイから吐出された瞬間に起こる破泡を抑制することができるので、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布することができる。
上記脱気部は、上記容積式ポンプと上記スロットダイとを接続する接続配管の経路中に設けられ、該接続配管の内断面積よりも大きい内断面積を有し、上記スロットダイに接続された接着剤第1出口、上記タンクに接続された接着剤第2出口、及び上記容積式ポンプに接続された接着剤入口を備え、上記接着剤第2出口が上記接着剤第1出口及び接着剤入口よりも上側に配置され、上記接着剤入口から流入させた上記水系接着剤のうち、相対的に多量の空気が含まれるものを上記接着剤第2出口から上記タンクに流出させ、相対的に少量の空気を含まれるものを上記接着剤第1出口から上記スロットダイに流出させるように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、容積式ポンプとスロットダイとを接続する接続配管の経路中にはその接続配管の内断面積よりも大きい内断面積を有する脱気部が設けられ、脱気部には、スロットダイに接続された接着剤第1出口、タンクに接続された接着剤第2出口、及び容積式ポンプに接続された接着剤入口がそれぞれ設けられている。そして、脱気部では、接着剤第2出口が接着剤第1出口及び接着剤入口よりも上側に配置されている。そのため、容積式ポンプ、及び相対的に小さい内断面積の接続配管を介して、脱気部の相対的に下側に設けられた接着剤入口から流入させた水系接着剤は、相対的に大きい内断面積の脱気部内で滞留し、その滞留している間に水系接着剤に含まれる空気が脱気部内を浮力で上側に移動する。これにより、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤を脱気部の相対的に上側に設けられた接着剤第2出口からタンクに流出させ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を脱気部の相対的に下側に設けられた接着剤第1出口からスロットダイに流出させることになり、スロットダイには、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を供給することができる。
上記脱気部は、上記接続配管の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管を備え、上記接着剤第1出口は、上記脱気配管の高さ方向の下部に設けられ、上記接着剤第2出口は、上記脱気配管の高さ方向の上部に設けられ、上記接着剤入口は、上記脱気配管の高さ方向の中間部に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、容積式ポンプとスロットダイとを接続する接続配管の経路中にはその接続配管の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管が脱気部として設けられ、その縦型の脱気配管には、スロットダイに接続された接着剤第1出口、タンクに接続された接着剤第2出口、及び容積式ポンプに接続された接着剤入口がそれぞれ設けられている。そのため、容積式ポンプ、及び相対的に小さい内径の接続配管を介して、脱気配管の高さ方向の中間部に設けられた接着剤入口から流入させた水系接着剤は、相対的に大きい内径の脱気配管内で滞留し、その滞留している間に水系接着剤に含まれる空気が脱気配管内を浮力で上側に移動する。これにより、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤を脱気配管の高さ方向の上部に設けられた接着剤第2出口からタンクに流出させ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を脱気配管の高さ方向の下部に設けられた接着剤第1出口からスロットダイに流出させることになり、スロットダイには、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤を供給することができる。
上記脱気配管の上部の内面は、上方に向かって小径となる半球面、又は円錐若しくは多角錐の側面のように形成されていてもよい。
上記接着剤第2出口及びタンクの間には、上記相対的に多量の空気が含まれるものを上記接着剤第2出口から上記タンクに流出させる戻し配管が設けられ、上記戻し配管の経路中には、該経路を開度自在に開閉するコックが設けられていてもよい。
上記の構成によれば、接着剤第2出口及びタンクの間には、相対的に多量の空気が含まれるものを接着剤第2出口からタンクに流出させる戻し配管が設けられ、その戻し配管の経路中には、その経路を開度自在に開閉するコックが設けられている。これにより、スロットダイから吐出して塗布された水系接着剤の塗膜において、破泡が確認されない場合には、コックにより戻し配管の経路を閉じ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤をスロットダイに供給し続け、破泡が確認される場合には、コックにより戻し配管の経路を少し開いて、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤をタンクに戻すことができる。
上記スロットダイ及び脱気部の間には、該スロットダイで上記水系接着剤を吐出する隙間よりも小さい目のフィルターが設けられていてもよい。
上記の構成によれば、スロットダイ及び脱気部の間には、スロットダイで水系接着剤を吐出する隙間よりも小さい目のフィルターが設けられているので、水系接着剤を製造する際、工場で製造、保管及び調整する際に水系接着剤に混入され得るカスや凝集物等のゴミをフィルターで取り除くことができる。これにより、水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部が除去されるだけでなく、スロットダイの隙間に水系接着剤に混入され得るゴミが詰まり難くなるので、化粧シートの裏面に水系接着剤を塗布する際に、ゴミの詰まりによる膜切れの発生を抑制することができる。
上記ダイコーターは、上記水系接着剤を長尺の化粧シートの裏面に塗布するように構成され、上記貼付部は、上記ダイコーターで水系接着剤が塗布された長尺の化粧シートの裏面に一方向に並んだ複数の板状基材を貼付するように構成され、上記貼付部で貼付された長尺の化粧シートを上記板状基材毎に個片化する個片化部を備え、上記個片化部で個片化された化粧シートと該化粧シートに貼付された板状基材とを複数個積み重ねた状態で平板状にプレスして積層一体化するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、まず、ダイコートにより、タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプでスロットダイに供給し、その供給された水系接着剤を長尺の化粧シートの裏面にスロットダイから吐出して塗布する。続いて、貼付部により、ダイコーターで水系接着剤が塗布された長尺の化粧シートの裏面に一方向に並んだ複数の板状基材を貼付する。その後、個片化部により、貼付部で貼付された長尺の化粧シートを板状基材毎に個片化する。さらに、個片化部で個片化された化粧シートと化粧シートに貼付された板状基材とを複数個積み重ねた状態で平板状にプレスして積層一体化する。このようにして、シート化粧板材を連続的に製造することができる。
本発明によれば、塗布工程は、水系接着剤をスロットダイに供給する前に水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を含むので、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布することができる。
本発明の第1の実施形態に係るシート化粧板材の製造方法に用いる板材製造装置の概略構成図である。 本発明の第1の実施形態に係るシート化粧板材の製造方法に用いる板材製造装置を構成する脱気配管の変形例の概略図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1は、本発明に係るシート化粧板材の製造方法及び製造装置の第1の実施形態を示している。なお、本実施形態では、シート化粧板材として、シート化粧床材を例示する。ここで、図1は、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法に用いる床材製造装置50の概略構成図である。また、図2は、床材製造装置50を構成する脱気配管26の変形例である脱気槽29の概略図である。
シート化粧床材15は、図1に示すように、板状基材として設けられた木質基材10と、木質基材10上に接着剤層11aを介して設けられた(短尺の)化粧シート12aとを備えている。
木質基材10は、例えば、LVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)、合板、集成材、無垢材、パーティクルボード、繊維板等の木質材料により構成されている。ここで、板状基材としては、吸水性を有していれば、木質基材10の他に、火山性ガラス質複層板、ケイ酸カルシウム板、石膏ボード等の無機基材であってもよい。
接着剤層11aは、例えば、酢酸ビニル系、水性ビニルウレタン系、アクリル系、イソシアネート系、ユリア系、エチレン酢酸ビニル共重合体系、ポリビニルアルコール系等の水系接着剤11により構成されている。ここで、接着剤層11aには、必要に応じて、例えば、イソシアネート系やメラミン系等の硬化剤が添加されていてもよい。
化粧シート12aは、樹脂製であり、例えば、厚さ0.1mm〜0.4mm程度のオレフィン樹脂、PET(polyethylene terephthalate)樹脂、塩化ビニル樹脂等の水分を殆ど含まない樹脂フィルムにより形成されている。ここで、化粧シート12aとしては、樹脂シートの他に、コート紙、樹脂含浸紙等の化粧紙、不織布、織布、木質薄化粧突き板、畳表等の薄いシート材であってもよい。また、化粧シート12aの厚さとしては、後述する長尺の化粧シート12を巻き出す巻出ロール35との兼ね合いで決定すればよく、紙であれば、例えば0.05mm〜0.3mm程度のもの、樹脂シートであれば、例えば、0.15mm〜0.3mm程度のものが好適に用いられる。なお、化粧シート12aには、例えば、木目、石目、抽象柄等が印刷されている。
次に、シート化粧床材15を製造する床材製造装置50について説明する。
床材製造装置50は、図1に示すように、ダイコーター30と、ダイコーター30の後述するバックアップロール25の図中右側に設けられた巻出ロール35と、バックアップロール25の図中下側に設けられた貼付ロール40と、バックアップロール25の図中左側に設けられた膜厚計41と、貼付ロール40の図中右側に設けられた裁断機45とを備えている。なお、床材製造装置50において、貼付ロール40の図1中下側には、複数の木質基材10を図1中左側から図中1右側に一枚ずつ連続的に搬送するように搬送コンベヤーや搬送ロール等の搬送手段(不図示)が設けられている。
ダイコーター30は、図1に示すように、スロットダイとして設けられたTダイ20と、Tダイ20に接続配管24を介して接続されたタンク23と、接続配管24の経路中にTダイ20側から順に設けられたフィルター21、脱気配管26及び容積式ポンプ22と、Tダイ20の図中下側にTダイ20に対向するようにバックアップ部として設けられたバックアップロール25とを備えている。
Tダイ20は、図1に示すように、容積式ポンプ22、脱気配管26及びフィルター21を介して、タンク23から供給された水系接着剤11を、例えば、0.3mm程度の幅の細長い隙間Cから定量的にバックアップロール25側に吐出するように設けられている。
フィルター21は、図1に示すように、Tダイ20及び脱気配管26の間に設けられ、例えば、スチール製の金網等により構成され、Tダイ20の隙間よりも小さい目(例えば、100メッシュ程度)を有している。ここで、100メッシュのフィルター21は、例えば、その線径が0.11mmの場合、その目開きの大きさが0.144mmであり、その線径が0.10mmの場合、その目開きの大きさは、0.154mmである。
容積式ポンプ22は、図1に示すように、脱気配管26及びフィルター21を介して、タンク23に貯留された水系接着剤11をTダイ20に一定時間に一定量で送り出すように設けられている。
脱気配管26は、図1に示すように、容積式ポンプ22からTダイ20に水系接着剤11を供給する前に水系接着剤11に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気部として設けられている。また、脱気配管26は、図1に示すように、縦型をしており、接続配管24の内径(例えば、30mm程度)よりも大きい内径(例えば、300mm程度)を有している。また、脱気配管26には、図1に示すように、その底部にTダイ20に接続された接着剤第1出口26aが設けられ、その頂部にタンク28に接続された接着剤第2出口26bが設けられ、その高さ方向の中間部に容積式ポンプ22に接続された接着剤入口26cが設けられている。これにより、脱気配管26は、接着剤入口26cから流入させた水系接着剤11を内部に滞留させ、その滞留中に水系接着剤11に含まれる空気が配管内を浮力で上側に移動し、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11を接着剤第2出口26bからタンク23に流出させ、相対的に少量の空気を含まれる水系接着剤11を接着剤第1出口26aからTダイ20に流出させるように構成されている。また、接着剤第2出口26bに繋がる脱気配管26の上部の内面は、例えば、上方に向かって小径となる半球面、円錐や多角錐の側面等のように形成され、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11の流れを滞らせないように構成されている。ここで、脱気配管26の接着剤第2出口26b及びタンク23の間には、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11を接着剤第2出口26bからタンク23に流出させる戻し配管27が設けられ、戻し配管27の経路中には、その経路を開度自在に開閉するコック28が設けられている。
なお、本実施形態では、脱気部として脱気配管26を例示したが、脱気部は、図2に示すような脱気槽29であってもよい。具体的に、脱気槽29は、図2に示すように、接続配管24の内断面積よりも大きい内断面積を有し、Tダイ20に接続された接着剤第1出口29a、タンク23に接続された接着剤第2出口29b、及び容積式ポンプに接続された接着剤入口29cを備えている。ここで、脱気槽29では、図2に示すように、接着剤第2出口29bが接着剤第1出口29a及び接着剤入口29cよりも上側に配置されている。そして、脱気槽29は、接着剤入口29cから流入させた水系接着剤11のうち、相対的に多量の空気が含まれるものを接着剤第2出口29bからタンク23に流出させ、相対的に少量の空気を含まれるものを接着剤第1出口29aからTダイ20に流出させるように構成されている。また、接着剤第2出口29bに繋がる脱気槽29の上部の内面は、例えば、上方に向かって小径となる半球面、円錐や多角錐の側面等のように形成され、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11の流れを滞らせないように構成されている。
また、本実施形態(及びその変形例)では、接着剤入口26c(29c)から流入させた水系接着剤11のうち、相対的に多量の空気が含まれるものを接着剤第2出口26b(29b)からタンク23に流出させて還流させる構成を好ましい形態として例示したが、相対的に多量の空気が含まれた水系接着剤11を還流させずに廃棄してもよい。
バックアップロール25は、その回転駆動により、巻出ロール35から供給された化粧シート12を貼付ロール40に搬送すると共に、その搬送中の化粧シート12の裏面にTダイ20からの水系接着剤11が塗布されるように設けられている。
巻出ロール35は、その回転駆動により、ロール状に巻かれた長尺の化粧シート12を巻き出してダイコーター30のバックアップロール25の周面に供給するように設けられている。
貼付ロール40は、その回転駆動により、搬送中の木質基材10の表面に水系接着剤11を介して化粧シート12を貼り付ける、言い換えれば、ダイコーター30で水系接着剤11が塗布された化粧シート12の裏面に搬送中の木質基材10を貼り付ける貼付部として設けられている。
裁断機45は、木質基材10に貼付した長尺の化粧シート12を木質基材10毎に裁断して短尺の化粧シート12aに個片化するように個片化部として設けられている。
次に、上記構成の床材製造装置50を用いたシート化粧床材15の製造方法について説明する。
まず、タンク23内に水系接着剤11を貯留し、巻出ロール35にロール状の化粧シート12を設置し、搬送手段に複数の木質基材10をセットする。ここで、水系接着剤11は、例えば、酢酸ビニル系接着剤等の主剤と、イソシアネート系硬化剤等の硬化剤とを含み、タンク23内に貯留する直前に、主剤及び硬化剤を撹拌混合したものである。
続いて、巻出ロール35から化粧シート12を巻き出して、化粧シート12をバックアップロール25及び貼付ロール40に順に送った後に、巻出ロール35、バックアップロール25及び貼付ロール40を駆動させながら容積式ポンプ22を作動させることにより、化粧シート12の裏面にTダイ20から吐出された水系接着剤11を塗布する(塗布工程)。ここで、水系接着剤11の塗布量は、例えば、50g/m〜150g/m程度(好ましくは、50g/m〜100g/m)である。また、水系接着剤11の塗布量(膜厚)は、非接触式の膜厚計41により測定される。なお、水系接着剤11の塗布量(膜厚)が所定の範囲内に入らない場合や膜切れが発生する場合には、製造ラインを一旦止め、Tダイ20の隙間Cや容積式ポンプ22の送り量等を確認及び調整する。また、塗布工程は、水系接着剤11をTダイ20に供給する前に水系接着剤11に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を含み、塗布工程中には、水系接着剤11が脱気配管26を通すことにより、脱気工程が常に行われる。なお、Tダイ20から吐出して塗布された水系接着剤11の塗膜において、気泡の発生が確認されない場合には、コック28の回動により戻し配管27の経路を閉じ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤11をTダイ20に供給し続け、気泡の発生が確認される場合には、コック28の回動により戻し配管27の経路を少し開いて、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11をタンク23に戻すように操作する。
その後、搬送手段を作動させることにより、木質基材10を搬送しながら木質基材10の表面に水系接着剤11を塗布した化粧シート12を介して貼付ロール40の周壁を接触させて、木質基材10に水系接着剤11を介して化粧シート12を連続的に貼付する(貼付工程)。
さらに、木質基材10に貼付された長尺の化粧シート12を木質基材10毎に裁断機45で裁断することにより、個片化する(個片化工程)。
最後に、複数個を積み重ねた状態で平板状にプレスし、木質基材10と短尺の化粧シート12aとの間の水系接着剤11を乾燥して、木質基材10の表面に化粧シート12aを固着させて、積層一体化する(一体化工程)。
以上のようにして、本実施形態のシート化粧床材15を製造することができる。
以上説明したように、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、タンク23に貯留された水系接着剤11を容積式ポンプ22でTダイ20に供給し、その供給された水系接着剤11を化粧シート12の裏面にTダイ20から吐出して塗布する塗布工程を行うダイコーター30は、水系接着剤11をTダイ20に供給する前に水系接着剤11に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を行う脱気配管26(脱気部)を備えている。具体的に、容積式ポンプ22とTダイ20とを接続する接続配管24の経路中には、接続配管24の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管26が設けられ、その縦型の脱気配管26には、Tダイ20に接続された接着剤第1出口26a、タンク23に接続された接着剤第2出口26b、及び容積式ポンプ22に接続された接着剤入口26cがそれぞれ設けられている。そのため、容積式ポンプ22、及び相対的に小さい内径の接続配管24を介して、脱気配管26の高さ方向の中間部に設けられた接着剤入口26cから流入させた水系接着剤11は、相対的に大きい内径の脱気配管26内で滞留し、その滞留している間に水系接着剤11に含まれる空気が脱気配管26内を浮力で上側に移動する。これにより、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11を脱気配管26の上部に設けられた接着剤第2出口26bからタンク23に流出させ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤11を脱気配管26の下部に設けられた接着剤第1出口26aからTダイ20に流出させることになり、Tダイ20には、相対的に少量の空気が含まれる(気泡が殆ど含まれない)水系接着剤11を供給することができる。これにより、内部に含まれる空気の少なくとも一部が除去された水系接着剤11をTダイ20に供給することになり、Tダイ20から吐出された瞬間に起こる破泡を抑制することができるので、Tダイ20から吐出して塗布された膜における破泡を抑制して膜切れによる生産ロスを軽減し、均一な膜厚で連続的に水系接着剤11を塗布することができる。
また、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、脱気工程を行った後に、Tダイ20には、Tダイ20で水系接着剤11を吐出する隙間Cよりも小さい目のフィルター21を通して水系接着剤11が供給されるので、水系接着剤11を製造する際、工場で製造、保管及び調整する際に水系接着剤11に混入され得るカスや凝集物等のゴミをフィルターで取り除くことができる。これにより、水系接着剤11に含まれる空気の少なくとも一部が除去されるだけでなく、Tダイ20の隙間Cに水系接着剤11に混入され得るゴミが詰まり難くなるので、化粧シート12の裏面に水系接着剤11を塗布する際に、ゴミの詰まりによる膜切れの発生を抑制することができる。
また、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、長尺の化粧シート12の裏面に塗布された水系接着剤11の塗布量を非接触式の膜厚計41で測定するので、化粧シート12の長さ方向において、水系接着剤11の塗布量の変化を連続的に検知することができる。
また、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、脱気配管26の接着剤第2出口26b及びタンク23の間には、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11を接着剤第2出口26bからタンク23に流出させる戻し配管27が設けられ、戻し配管27の経路中には、その経路を開度自在に開閉するコック28が設けられている。これにより、Tダイ20から吐出して塗布された水系接着剤11の塗膜において、気泡の発生が確認されない場合には、コック28により戻し配管27の経路を閉じ、相対的に少量の空気が含まれる水系接着剤11をTダイ20に供給し続け、気泡の発生が確認される場合には、コック28により戻し配管27の経路を少し開いて、相対的に多量の空気が含まれる水系接着剤11をタンク23に戻すことができる。
また、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、化粧シート12の表面に当接するバックアップロール25と、化粧シート12を介してバックアップロール25に対向するように設けられ、化粧シート12の裏面に水系接着剤11を塗布するTダイ20とを備え、Tダイ20により形成される隙間Cに応じて水系接着剤11の塗布量を調整するダイコーター30により、一方向に並んだ複数の木質基材10に貼付する化粧シート12の裏面に水系接着剤11を塗布するので、ロールコーターを用いた塗布方法で懸念されるローピングの発生を抑制することができる。これにより、化粧シート12の幅方向において、均一な膜厚で水系接着剤11を塗布することができる。また、長尺の化粧シート12の裏面に塗布された水系接着剤11の塗布量を非接触式の膜厚計41で測定するので、化粧シート12の長さ方向において、水系接着剤11の塗布量の変化を連続的に検知することができる。これにより、長尺の化粧シート12に対して、幅方向に均一な水系接着剤11の膜厚を長さ方向に維持することができるので、長尺の化粧シート12の裏面に対して、ローピングの発生を抑制して、安定的に且つ連続的に均一な膜厚で水系接着剤11を塗布することができる。さらに、長尺の化粧シート12の裏面に、安定的に且つ連続的に均一な膜厚で水系接着剤11を塗布することができるので、平滑性に優れた美麗なシート化粧床材15を製造することができる。
ここで、シート化粧床材15を製造する際には、例えば、水系接着剤11の粘度の異常、フィルター21の目詰まり等によって、水系接着剤11の膜厚が薄すぎたり厚すぎたりすると様々な不具合が発生するので、水系接着剤11の塗布量が所定の範囲を超える場合、製造ラインを一旦止めて、水系接着剤11の塗布状況を確認する必要がある。このような場合にも、ローピングの発生が抑制されているので、連続的な塗布量の監視により不具合に対する速やかな対応を行うことができるだけでなく、不良品の発生を抑制することができ、より品質の安定した安価なシート化粧床材15を製造することができる。
また、本実施形態のシート化粧床材15の製造方法及び床材製造装置50によれば、膜厚計41が化粧シート12の幅方向に沿って移動可能に設けられているので、化粧シート12の裏面に塗布された水系接着剤11の塗布量を化粧シート12の幅方向の任意の位置で測定することができる。また、化粧シート12の裏面に塗布された水系接着剤11において、ローピングの発生が抑制されているので、水系接着剤11の塗布量を化粧シート12の幅方向の任意の位置で測定するだけで、水系接着剤11の塗布量を正確に把握することができる。
《その他の実施形態》
上記第1の実施形態では、シート化粧板材として、床材を例示したが、本発明は、壁材や天井材等にも適用することができる。
また、上記第1の実施形態では、一列に並んだ複数の板状基材に長尺の化粧シートを連続的に貼付するシート化粧板材の製造方法を例示したが、本発明は、複数列に並んだ複数の板状基材に長尺の化粧シートを連続的に貼付するシート化粧板材の製造方法、1つの板状基材にそれに対応する短尺の化粧シートを貼付するシート化粧板材の製造方法等にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、スロットダイから吐出して塗布された膜における破泡を抑制して、均一な膜厚で連続的に水系接着剤を塗布することができるので、極めて有用である。
10 木質基材(板状基材)
11 水系接着剤
12 (長尺の)化粧シート
12a (個片化した)化粧シート
15 シート化粧床材(シート化粧板材)
20 Tダイ(スロットダイ)
21 フィルター
22 容積式ポンプ
23 タンク
24 接続配管
26 脱気配管(脱気部)
26a,29a 接着剤第1出口
26b,29b 接着剤第2出口
26c,29c 接着剤入口
27 戻し配管
28 コック
29 脱気槽(脱気部)
30 ダイコーター
41 膜厚計
45 裁断機(個片化部)
50 床材製造装置(シート化粧板材の製造装置)

Claims (13)

  1. タンクに貯留された水系接着剤を容積式ポンプで圧力を加えながらスロットダイに供給し、該供給された水系接着剤を化粧シートの裏面に上記スロットダイから吐出して塗布する塗布工程と、
    上記塗布工程で水系接着剤が塗布された化粧シートの裏面に板状基材を貼付する貼付工程と、
    上記貼付工程で貼付された化粧シート及び板状基材を平板状にプレスして一体化する一体化工程とを備えるシート化粧板材の製造方法であって、
    上記塗布工程は、上記水系接着剤をスロットダイに供給する前に該水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気工程を含むことを特徴とするシート化粧板材の製造方法。
  2. 請求項1に記載されたシート化粧板材の製造方法において、
    上記脱気工程では、上記容積式ポンプと上記スロットダイとを接続する接続配管の経路中に設けられ、該接続配管の内断面積よりも大きい内断面積を有し、上記スロットダイに接続された接着剤第1出口、上記タンクに接続された接着剤第2出口、及び上記容積式ポンプに接続された接着剤入口を備え、上記接着剤第2出口が上記接着剤第1出口及び接着剤入口よりも上側に配置された脱気部において、上記接着剤入口から流入させた上記水系接着剤のうち、相対的に多量の空気が含まれるものを上記接着剤第2出口から上記タンクに流出させ、相対的に少量の空気を含まれるものを上記接着剤第1出口から上記スロットダイに流出させることを特徴とするシート化粧板材の製造方法。
  3. 請求項2に記載されたシート化粧板材の製造方法において、
    上記脱気部は、上記接続配管の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管を備え、
    上記接着剤第1出口は、上記脱気配管の高さ方向の下部に設けられ、
    上記接着剤第2出口は、上記脱気配管の高さ方向の上部に設けられ、
    上記接着剤入口は、上記脱気配管の高さ方向の中間部に設けられていることを特徴とするシート化粧板材の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1つに記載されたシート化粧板材の製造方法において、
    上記脱気工程を行った後に、上記スロットダイには、該スロットダイで上記水系接着剤を吐出する隙間よりも小さい目のフィルターを通して上記水系接着剤が供給されることを特徴とするシート化粧板材の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れか1つに記載されたシート化粧板材の製造方法において、
    上記塗布工程では、上記水系接着剤を長尺の化粧シートの裏面に塗布し、
    上記貼付工程では、上記塗布工程で水系接着剤が塗布された長尺の化粧シートの裏面に一方向に並んだ複数の板状基材を貼付し、
    上記貼付工程及び一体化工程の間に、上記長尺の化粧シートを上記板状基材毎に個片化する個片化工程を備え、
    上記一体化工程では、上記個片化工程で個片化された化粧シートと該化粧シートに貼付された板状基材とを複数個積み重ねた状態で平板状にプレスして積層一体化することを特徴とするシート化粧板材の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか1つに記載されたシート化粧板材の製造方法において、
    上記タンクに貯留された水系接着剤は、主剤及び硬化剤を含み、上記タンクに貯留される前に、少なくとも上記主剤及び硬化剤を撹拌混合したものであることを特徴とするシート化粧板材の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れか1つに記載されたシート化粧板材の製造方法において、
    上記板状基材は、木質基材であることを特徴とするシート化粧板材の製造方法。
  8. 上流から下流に向けて順に設けられたタンク、容積式ポンプ及びスロットダイを有し、上記タンクに貯留された水系接着剤を上記容積式ポンプで圧力を加えながら上記スロットダイに供給し、該供給された水系接着剤を化粧シートの裏面に上記スロットダイから吐出して塗布するダイコーターと、
    上記ダイコーターで水系接着剤が塗布された化粧シートの裏面に板状基材を貼付する貼付部とを備え、
    上記貼付部で貼付された化粧シート及び板状基材を平板状にプレスして一体化するシート化粧板材の製造装置であって、
    上記ダイコーターは、上記容積式ポンプから上記スロットダイに上記水系接着剤を供給する前に該水系接着剤に含まれる空気の少なくとも一部を除去する脱気部を備えていることを特徴とするシート化粧板材の製造装置。
  9. 請求項8に記載されたシート化粧板材の製造装置において、
    上記脱気部は、上記容積式ポンプと上記スロットダイとを接続する接続配管の経路中に設けられ、該接続配管の内断面積よりも大きい内断面積を有し、上記スロットダイに接続された接着剤第1出口、上記タンクに接続された接着剤第2出口、及び上記容積式ポンプに接続された接着剤入口を備え、上記接着剤第2出口が上記接着剤第1出口及び接着剤入口よりも上側に配置され、上記接着剤入口から流入させた上記水系接着剤のうち、相対的に多量の空気が含まれるものを上記接着剤第2出口から上記タンクに流出させ、相対的に少量の空気を含まれるものを上記接着剤第1出口から上記スロットダイに流出させるように構成されていることを特徴とするシート化粧板材の製造装置。
  10. 請求項9に記載されたシート化粧板材の製造装置において、
    上記脱気部は、上記接続配管の内径よりも大きい内径を有する縦型の脱気配管を備え、
    上記接着剤第1出口は、上記脱気配管の高さ方向の下部に設けられ、
    上記接着剤第2出口は、上記脱気配管の高さ方向の上部に設けられ、
    上記接着剤入口は、上記脱気配管の高さ方向の中間部に設けられていることを特徴とするシート化粧板材の製造装置。
  11. 請求項9又は10に記載されたシート化粧板材の製造装置において、
    上記接着剤第2出口及びタンクの間には、上記相対的に多量の空気が含まれるものを上記接着剤第2出口から上記タンクに流出させる戻し配管が設けられ、
    上記戻し配管の経路中には、該経路を開度自在に開閉するコックが設けられていることを特徴とするシート化粧板材の製造装置。
  12. 請求項8〜11の何れか1つに記載されたシート化粧板材の製造装置において、
    上記スロットダイ及び脱気部の間には、該スロットダイで上記水系接着剤を吐出する隙間よりも小さい目のフィルターが設けられていることを特徴とするシート化粧板材の製造装置。
  13. 請求項8〜12の何れか1つに記載されたシート化粧板材の製造装置において、
    上記ダイコーターは、上記水系接着剤を長尺の化粧シートの裏面に塗布するように構成され、
    上記貼付部は、上記ダイコーターで水系接着剤が塗布された長尺の化粧シートの裏面に一方向に並んだ複数の板状基材を貼付するように構成され、
    上記貼付部で貼付された長尺の化粧シートを上記板状基材毎に個片化する個片化部を備え、
    上記個片化部で個片化された化粧シートと該化粧シートに貼付された板状基材とを複数個積み重ねた状態で平板状にプレスして積層一体化するように構成されていることを特徴とするシート化粧板材の製造装置。
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