JP2021152560A - ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】移動体に搭載され、S偏光又はP偏光の投影部での反射像に基づく虚像表示を前記移動体の乗員に視認させる、HUD装置を提供する。【解決手段】へッドアップディスプレイ装置1であって、P偏光と、S偏光とを含む映像光を照射する映像部3と、前記映像光が投影される投影部4と前記映像部3と前記投影部4との間に配置される偏光制御部51と、を備え、前記偏光制御部51は、偏光子50と、前記映像部3から照射されたP偏光とS偏光のいずれかを通過させる機構を備え、前記投影部4にP偏光からなる第一映像光81が入射するときの強度は、前記投影部4にS偏光からなる第二映像光が入射するときの強度よりも大きいものと設定される。【選択図】図1

Description

本発明は、車両や航空機などの移動体に搭載されて、乗員の前方視野内の投影部に映像を投影して乗員に視認させるようにしたヘッドアップディスプレイ(以降、HUDと表記する場合がある)装置に関する。
HUDの前記投影部として、移動体の前方部に設置されるウィンドシールドが用いられている。乗員は、前記投影部におけるS偏光又はP偏光の投影光の反射像に基づく虚像表示を視認する。ここで、S偏光は入射面に対して、偏光の方向が垂直方向に配置されている投影光、他方、P偏光とは、入射面に対して偏光の方向が平行方向に配置されている投影光のことを言う。
このHUD装置では、前記反射像の二重像、すなわち前記虚像表示の二重像の抑制は、次のような機構でなされている。前記投影部を、室内側に配置されるガラス等からなる第一透光板と、室外側に配置される第二透光板と、前記第一透光板と前記第二透光板との間に配置される半波長板とを備え、前記積層部材の各材料は、可視光領域での屈折率が同等なるように調整されたものとする。そして、前記投影部に対して、映像光がブリュースター角で入射される。
入射される映像光がS偏光からなる場合、前記第一透光板の室内側主面に前記反射像が形成される。そして、前記投影部を通過する映像光はP偏光に変換される。該P偏光は、前記第二透光板の室外側主面に達したときは、該主面で反射されることなく、室外側へと出射される。前記乗員は、前記第一透光板の室内側主面に形成された、S偏光の反射像に基づく虚像表示を視認する。この場合を、S−HUDと表記する。
他方で、入射される映像光がP偏光からなる場合、前記第一透光板の室内側主面では反射は生じない。前記投影部を透過する映像光はS偏光に変換される。S偏光に変換された映像光は、前記第二透光板の室外側主面に達したとき、一部は該主面で反射像を形成し、残部は該主面を透過する。この反射像を形成した映像光は前記投影部を再度透過するので、P偏光へと変換される。前記乗員は、前記第二透光板の室内側主面に形成された反射像に基づく、P偏光による虚像表示を視認する。この場合を、P−HUDと表記する。
特許文献1には、前記投影部に入射される映像光がS偏光又はP偏光とする、S−HUDとP−HUDに係るHUD装置が開示されている。また、乗員が偏光サングラスを使用した場合でのS−HUDでの映像の視認性低下の対策として、特許文献2、3は、前記直線偏光からなる映像光を、半波長板を通過させる/させない機構を設けて、前記投影部に入射される映像光を、S偏光とP偏光とに可変できるようにして、S−HUDとP−HUDの双方に対応できるHUD装置を開示している。これら装置では、乗員が偏光サングラスを使用した場合は、P−HUDによる映像視認がなされる。
HUD装置の使用において、乗員が偏光サングラスを使用する場合、通常、S偏光成分をカットするように構成されている偏光サングラスをかけた状態で視認すると、虚像表示が見え難くなり、偏光サングラスとHUD装置の併用が困難になる。特許文献2、3に開示されたHUD装置は、前記乗員の偏光サングラス使用有無に対応して、S−HUDとP−HUDと可変する装置となっている。また、前記乗員の偏光サングラスの使用に対応できるように、特許文献4に開示されたHUD装置は、映像光をS偏光成分とP偏光成分の両方を含んだものとしている。
特開平2−141720号公報 特開2013−057897号公報 実用新案登録第3210996号明細書 特開2015−225236号公報
前記S−HUDは、前記虚像表示を偏光サングラス越しに視認し難いものである。他方で、前記P−HUDは、室外側主面に形成された反射像に基づくので、室外側主面に雨滴などによって水滴が付着した場合には、像が歪んで表示され、または、像が表示されないなどの不具合が生じやすくなる。偏光サングラス越しに、前記虚像表示を視認するときのHUD装置の使用タイミングは晴天時であることが多いので、S−HUDとP−HUDの可変性を備えるHUD装置は、前記乗員にとって、有益性が高い。
しかしながら、P−HUDで表示される映像輝度は、S−HUDによるものよりも、低いものとなりやすい。なぜなら、S−HUDは、空気側に反射される反射像に基づくのに対し、P−HUDは、媒体(第二透光板)側に反射される反射像に基づくからである。
可変性を備えるHUD装置は、P−HUDの使用は、晴天時に乗員が偏光サングラス越しに映像を視認することを想定しているので、表示された映像を乗員に視認させる点では不利な方向に作用する。そのため、そのようなHUD装置では、両方式の切り替え時に、乗員に違和感を与えやすいものとなる。
本発明は、HUD装置において、S−HUDとP−HUDとを可変でき、両方式での映像輝度の違いによる乗員が認識する違和感を改善する、新たな構造のHUD装置を提供する。
本発明の第一HUD装置は、移動体に搭載され、P偏光又はS偏光の投影部での反射像に基づく虚像表示を前記移動体の乗員に視認させる、装置であって、
前記HUD装置は、
P偏光と、S偏光とを含む映像光を照射する映像部と、
前記映像光が投影される投影部と
前記映像装置と前記投影部との間に配置される偏光制御部と、を備え、
前記投影部は、
前記映像光の入射側となる、前記映像光の偏光状態を維持する第一透光板と、
前記映像光の出射側となる、前記映像光の偏光状態を維持する第二透光板と、
前記第一透光板と、前記第二透光板との間に配置される、第一半波長板とを、備え、
前記偏光制御部は、偏光子と、前記映像部から照射されたP偏光とS偏光のいずれかを通過させる機構を備え、
前記投影部にP偏光からなる第一映像光が入射するときの強度は、前記投影部にS偏光からなる第二映像光が入射するときの強度よりも大きいものと設定される、
ものである。
また、本発明の第二HUD装置は、移動体に搭載され、P偏光又はS偏光の投影部での反射像に基づく虚像表示を前記移動体の乗員に視認させる、装置であって、
前記HUD装置は、
直線偏光からなる映像光を照射する映像部と、
前記映像光が投影される投影部と
前記映像装置と前記投影部との間に配置される偏光制御部と、を備え、
前記投影部は、
前記映像光の入射側となる、前記映像光の偏光状態を維持する第一透光板と、
前記映像光の出射側となる、前記映像光の偏光状態を維持する第二透光板と、
前記第一透光板と、前記第二透光板との間に配置される、第一半波長板とを、備え、
前記偏光制御部は、第二半波長板と、前記映像部から照射された直線偏光をP偏光、又はS偏光とする機構を備え、
前記投影部にP偏光からなる第一映像光が入射するときの強度は、前記投影部にS偏光からなる第二映像光が入射するときの強度よりも大きいものと設定される、
ものである。
前記第一HUD装置と、前記第二HUD装置において、前記投影部に入射されるP偏光からなる第一映像光の強度は、前記投影部にS偏光からなる第二映像光が入射するときの強度よりも大きいものと設定される。S偏光又はP偏光の投影部での反射像に基づく虚像表示を前記移動体の乗員に視認させる、HUD装置では、前記第一映像光と、第二映像光とは、前記投影部に対して、ブリュースター角を形成して入射されるので、P偏光が前記投影部の界面での反射が抑制される。そのため、本発明のHUD装置は、二重像が抑制された虚像表示を、P−HUDと、S−HUDとの両方方式の映像輝度に違いによる乗員が認識する違和感を改善することができる。
また、本発明は、前記第一HUD装置、前記第二HUD装置の使用方法であって、
前記乗員が偏光サングラス越しに前記鏡像表示を視認する場合は、
前記投影部に入射される映像光は、P偏光からなるものとし、
前記乗員が前記偏光サングラスの未使用時に前記鏡像表示を視認する場合は、前記投影部に入射する映像光はS偏光からなるものとする、
ことを特徴とするものである。
本発明のHUD装置は、S−HUDとP−HUDとを可変でき、両方式での映像輝度に違いによる乗員が認識する違和感を改善する。
第一HUD装置の第一使用形態の映像光の光路の模式図である。 第一HUD装置の第二使用形態の映像光の光路の模式図である。 第二HUD装置の第三使用形態の映像光の光路の模式図である。 第二HUD装置の第四使用形態の映像光の光路の模式図である。 第一HUD装置のための偏光制御部の機構を模式的に説明する図である。 第一HUD装置のための偏光制御部の機構を模式的に説明する図である。 第二HUD装置のための偏光制御部の機構を模式的に説明する図である。
前記第一HUD装置1、前記第二HUD装置2の具体例と使用例を、図面を用いて説明する。図1は、第一HUD装置1において、P偏光からなる映像光81が投影部4に入射される第一使用形態での、映像光の光路の模式図を示すものである。図2は、第一HUD装置1において、S偏光からなる映像光82が投影部4に入射される第一使用形態での、映像光の光路の模式図を示すものである。そして、図3は、第二HUD装置2において、P偏光からなる映像光81が投影部4に入射される第一使用形態での、映像光の光路の模式図を示すものである。図4は、第一HUD装置1において、S偏光からなる映像光82が投影部4に入射される第一使用形態での、映像光の光路の模式図を示すものである。図1〜図4では、光路は太めの実線で示され、該実線の傍に付されたSはS偏光、PはP偏光を示している。
<第一HUD装置について>
第一HUD装置1については、図1、2を参照されたい。映像部3から照射された、P偏光とS偏光とを含む映像光80は、偏光子50を備える偏光制御部51内の偏光子50を通過する。前記偏光子50は、一つの直線偏光に対する透過窓を有し、該透過窓を前記映像光80の進行方向に面するように配置される。例えば、偏光制御部51に備えられた回転機構(図示せず)によって、該偏光子50を、図5のように回転させる。このように操作することで、映像光80は、P偏光、または、S偏光となる。かくして、投影部4に照射される映像光が、P偏光からなる映像光81、S偏光からなる映像光82のいずれかに調整されて、P−HUDとS−HUDとの切り替えが行われる。図5の例の他に、図6のように、2つの偏光子50を配置し、スライド機構(図示せず)によって、いずれかの偏光子50が、前記映像光80の進行方向に面するようにすることで、P−HUDとS−HUDとの切り替えを行ってもよい。
前記映像光81、82は、投影部4に対して、ブリュースター角を形成するような入射光角度で、投影部に入射される。第一使用形態では、投影部の室内側主面414では、映像光の反射は生じない。そして、投影部4内を進行した映像光は、第一半波長板43で、S偏光に変換され、投影部4の室外側主面421で反射像を形成しつつ、主面421を透過した映像光はS偏光のまま室外側へ放出される。主面421での反射像を形成した映像光は、再度、第一半波長板43を通過し、P偏光に変換される。移動体の乗員6は、主面421での反射像に基づく虚像表示を視認する。この虚像表示は、P偏光からなるので、乗員6は、偏光サングラス越しでも、該虚像表示を視認することができる。
尚、本発明では、移動体において、乗員6は室内に所在するものであるから、投影部4の主面に関する表記として、乗員6に最近接の主面が室内側主面414、乗員6から最も離れている主面が、室外側主面421と表記されている。
第二使用形態では、投影部の室内側主面414で、反射像が形成され、移動体の乗員6は、主面414での反射像に基づく虚像表示を視認する。主面414を透過し、投影部4内を進行した映像光は、第一半波長板43で、P偏光に変換され、投影部4の室外側主面421で反射が生じることなく、映像光はP偏光のまま室外側へ放出される。
P偏光とS偏光とを含む映像光の例としては、あらゆる偏光をランダムに含んだもの(無偏光)、円偏光や楕円偏光、P偏光とS偏光との混合光、P偏光、S偏光でもない直線偏光などが挙げられる。第一HUD装置1の映像輝度の観点から、前記映像光80は無偏光のものが好ましい。前記映像部3としては、P偏光とS偏光とを含む映像光80を照射できるプロジェクターが好適に使用される。そのようなプロジェクターの例としては、DMD投影システム方式プロジェクター、レーザー走査型MEMS投影システム方式プロジェクター、または、反射型液晶方式プロジェクターからなるものが挙げられる。
また、偏光子50としては、消光比の高いものが好ましく、例えば、400nm〜700nmの波長領域において、消光比が10〜10のものが好適に用いられる。また、前記偏光子50は、400nm〜700nmの波長領域において透過率が30%以上であるものとしてもよい。偏光子50の例としては、ヨウ素ポリビニルアルコール型偏光子、染料系偏光子、ワイヤーグリッド型偏光子、プリズム型偏光子(偏光プリズム)等などがある。
前記第一映像光81を投影部4に照射するときの照射強度は、前記第二映像光82を投影部4に照射するときの照射強度よりも高いものとなるよう映像光の強度の可変機構によって設定される。この設定は、前記第二映像光82が投影部4に到達するまでに、前記第二映像光82をNDフィルター(図示せず)に透過させて、照射光強度を下げることによって成してもよい。または、映像部3を構成するプロジェクターのランプ強度を調整するなどの方法によって、映像光80の強度の調整がなされてもよい。虚像表示の輝度改善の観点からは、後者の方が好ましい。また、P−HUDでの虚像表示の輝度改善と、P−HUDとS−HUDの切り替え時の乗員にとっての違和感の改善の観点からは、前記第一映像光81の前記投影部4への照射光強度81は、前記第二映像光82の強度の2倍〜10倍、好ましくは3倍〜5倍となるように調整されてもよい。
第一HUD装置の主要構成である前記投影部4は、後段にて詳述される。
<第二HUD装置について>
第二HUD装置2については、図3、4を参照されたい。第三、第四使用形態に係る第二HUD装置では、前記映像部3から照射される映像光は、P偏光、又はS偏光の直線偏光とされる。この場合、偏光制御部52における、前記映像部3から照射された直線偏光をP偏光、又はS偏光とする機構は、例えば、前記映像部3から照射される映像光を、第二半長板53を通過させる/させない、を制御できるものであることが好ましい。図7の例示では、前記第三使用形態とする場合には、映像部3から照射されたS偏光からなる映像光は、偏光制御部52内の第二半波長板53を通過して、P偏光からなる映像光81へと変換される。また、第四使用形態とする場合は、映像部3から照射されたS偏光からなる映像光は、第二半波長板53を通過せずに、そのまま、S偏光からなる映像光82とされる。
第二HUD装置2では、偏光制御部52に設けられたスライド機構(図示せず)などによって、第二半波長板53をスライドさせるなどして、映像部3からのS偏光をS偏光のまま、または、P偏光に変換することによって、P−HUDとS−HUDとの切り替えが行われる。第三、第四使用形態では、映像部3から照射される映像光は、S偏光からなるものが例示されたが、P偏光からなるものが映像部3から照射され、前記偏光制御部52によって、映像光81、82の切り替えがなされてもよい。図7の例示では、映像部3から照射された偏光がS偏光の場合が例示されたが、映像部3から照射された偏光がP偏光の場合でも、図7の例と同様のことができる。
第二HUD装置2において、第三、第四使用形態の派生として、前記映像部3から照射される映像光は、P偏光、S偏光でもない直線偏光で、振動方向が角度φ°である直線偏光(このような直線偏光は、P偏光とS偏光とを含む映像光でもある)としてもよい。この場合、偏光制御部52における、前記映像部3から照射された直線偏光をP偏光、又はS偏光とする機構は、前記映像光が第二半長板53を通過するものとし、第二半長板53の光学軸を前記角度φ°を基準にして調整できる機構であることが好ましい。このような機構は、図5で例示された偏光制御部の偏光子50を、第二半長板53とすることで成すことができる。尚、直線偏光が、第二半長板53を通じて、P偏光、又はS偏光とされる機構については、次の偏光に関する説明を参照されたい。
偏光は、光のX軸方向の進行波と、Y軸方向の進行波との合成波であり、その合成波の振動方向による偏光のタイプが決まる。前記第二半波長板53は、入射光のX軸方向の進行波の位相と、Y軸方向の進行波の位相とを、波長の半分ずらすものである。直線偏光を、その電界振動方向(偏光面)が半波長板の光学軸に対してθ°の方位角で入射した場合、入射光の振動方向を基準として光軸側に2θ°回転した直線偏光となって出射される。例えば、半波長板の光学軸に対して、振動方向が45°となる直線偏光を入射すると、入射光の振動方向が90°回転した直線偏光となる。そのため、S偏光を、その振動方向に対して半波長板の光学軸を45°として入射すると、S偏光の振動方向が90°回転してP偏光となる。反対に、P偏光を、その振動方向に対して半波長板の光学軸を45°として入射すると、P偏光の振動方向が90°回転してS偏光となる。さらに、振動方向がX軸方向に対してφ°の直線偏光に対して、半波長板の光学軸をX軸方向に対して(1/2)φ°とすると、入射光はS偏光に変換され、半波長板の光学軸をX軸方向に対して(1/2)φ°+45°とすると入射光はP偏光に変換される。そのため、映像部3から照射される映像光は、S偏光であってもP偏光であっても良く、さらに、振動方向が角度φ°である直線偏光であっても良い。
前記映像光81、82は、投影部4に対して、ブリュースター角を形成するような入射光角度で、投影部に入射される。第三使用形態では、投影部の室内側主面414では、映像光の反射は生じない。そして、投影部4内を進行した映像光は、第一半波長板43で、S偏光に変換され、投影部4の室外側主面421で反射像を形成しつつ、主面421を透過した映像光はS偏光のまま室外側へ放出される。主面421での反射像を形成した映像光は、再度、第一半波長板43を通過し、P偏光に変換される。移動体の乗員6は、主面421での反射像に基づく虚像表示を視認する。この虚像表示は、P偏光からなるので、乗員6は、偏光サングラス越しでも、該虚像表示を視認することができる。
第四使用形態では、投影部の室内側主面414で、反射像が形成され、移動体の乗員6は、主面414での反射像に基づく虚像表示を視認する。主面414を透過し、投影部4内を進行した映像光は、第一半波長板43で、P偏光に変換され、投影部4の室外側主面421で反射が生じることなく、映像光はP偏光のまま室外側へ放出される。
前記映像部3としては、P偏光からなる映像光、または、S偏光からなる映像光を照射できるプロジェクターが使用される。そのようなプロジェクターの例としては、液晶方式プロジェクターからなるものが挙げられる。
前記第一映像光81を投影部4に照射するときの照射強度は、前記第二映像光82を投影部4に照射するときの照射強度よりも高いものとなるよう映像光の強度の可変機構によって設定される。この設定は、前記第二映像光82が投影部4に到達するまでに、前記第二映像光82をNDフィルタに透過させて、照射光強度を下げることによって成してもよいし、映像部3から照射される映像光80の強度の調整によって成してもよい。虚像表示の輝度改善の観点からは、後者の方が好ましい。
第一HUD装置の主要構成である前記投影部4は、後段にて詳述される。
<投影部4について>
前記投影部4は、
前記映像光の入射側となる、前記映像光の偏光状態を維持する第一透光板41と、
前記映像光の出射側となる、前記映像光の偏光状態を維持する第二透光板42と、
前記第一透光板と、前記第二透光板との間に配置される、第一半波長板43と、を備える。
前記投影部4は、前記第一透光板41と、前記第二透光板42とが、中間膜44を介して接合され、一体構造となっていることが好ましい。前記中間膜44は、中間膜を構成するポリマーが軟化する温度で、加熱することで、前記第一透光板41と、前記第二透光板42とを合せ化するもので、前記ポリマーとして、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、アクリル樹脂(PMMA)、ウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)等を使用することができる。なお、中間膜44は複数の樹脂層で構成されていても良い。
図1から4で例示された投影部4では、前記第一半波長板43は、第一透光板41に接した位置に配置されているが、第一半波長板43は、前記投影部4の光路内に配置されていればよく、例えば、前記中間膜44の内部に配置されていてもよいし、第二透光板42に接する位置に配置されてもよい。
前記第一半波長板43の機能は、前記第二半波長板53と同じである。前記第一半波長板43、前記第二半波長板53としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー等のプラスチックフィルムを一軸又は二軸延伸した位相差素子や、液晶性ポリマーを特定方向に配向させて配向状態を固定化した位相差素子を用いることができる。後者としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明プラスチックフィルムなどの透明基板上に液晶ポリマーを塗布し、せん断力をかけた後、熱処理、冷却して液晶配向を固定化したものを使用できる。前記液晶ポリマーの例としては、液晶状態でねじれネマティック配向し、液晶転移点以下ではガラス状態となるものは使用することができ、光学活性なポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミドなどの主鎖型液晶ポリマー、光学活性なポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロート、ポリシロキサンなどの側鎖型液晶ポリマーなどが挙げられる。また、光学活性でないこれらの主鎖型あるいは側鎖型ポリマーに、他の低分子あるいは高分子の光学活性化合物を加えたポリマー組成物などを例示することができる。
前記第一、第二透光板41、42は、入射された偏光の状態が維持されるように光学的に等方な材料からなるものが使用される。そのような材料としては、ガラス材料が挙げられ、特には、平板状のガラス板が湾曲形状に加工されたものを好適に使用することができる。ガラス板の材質としては、ISO16293−1で規定されているようなソーダ石灰珪酸塩ガラスの他、アルミノシリケートガラスやホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等の公知のガラス組成のものを使用することができる。前記第一、第二透光板41、42の、それぞれの厚みは、例えば、0.4mm〜3mmとしてもよい。また、前記第一透光板41と、第二透光板42との間隔は、0.05mm〜1mmとしてもよい。
自動車などの車両のフロントガラス部を前記投影部とすると、車両にS−HUDとP−HUDとを可変できるHUD装置を提供することができる。
1 第一HUD装置
2 第二HUD装置
3 映像部
4 投影部
41 第一透光板
414 投影部の室内側主面
42 第二透光板
421 投影部の室外側主面
43 第一半波長板
44 中間膜
50 偏光子
51 第一HUD装置のための偏光制御部
52 第二HUD装置のための偏光制御部
53 第二半波長板
6 移動体の乗員
7 偏光サングラス
80 P偏光とS偏光とを含む映像光
81 P偏光からなる第一映像光
82 S偏光からなる第二映像光

Claims (6)

  1. 移動体に搭載され、P偏光又はS偏光の投影部での反射像に基づく虚像表示を前記移動体の乗員に視認させる、へッドアップディスプレイ装置であって、
    前記ヘッドアップディスプレイ装置は、
    P偏光と、S偏光とを含む映像光を照射する映像部と、
    前記映像光が投影される投影部と
    前記映像部と前記投影部との間に配置される偏光制御部と、を備え、
    前記投影部は、
    前記映像光の入射側となる、前記映像光の偏光状態を維持する第一透光板と、
    前記映像光の出射側となる、前記映像光の偏光状態を維持する第二透光板と、
    前記第一透光板と、前記第二透光板との間に配置される、第一半波長板とを、備え、
    前記偏光制御部は、偏光子と、前記映像部から照射されたP偏光とS偏光のいずれかを通過させる機構を備え、
    前記ヘッドアップディスプレイ装置は、前記投影部に入射される映像光の強度の可変機構を前記映像部、又は、前記第一透光板と前記映像部との間の光学系との間に備え、
    前記可変機構によって、前記投影部にP偏光からなる第一映像光が入射するときの強度は、前記投影部にS偏光からなる第二映像光が入射するときの強度よりも大きいものと設定される、
    前記ヘッドアップディスプレイ装置。
  2. 移動体に搭載され、P偏光又はS偏光の投影部での反射像に基づく虚像表示を前記移動体の乗員に視認させる、へッドアップディスプレイ装置であって、
    前記ヘッドアップディスプレイ装置は、
    直線偏光からなる映像光を照射する映像部と、
    前記映像光が投影される投影部と
    前記映像装置と前記投影部との間に配置される偏光制御部と、を備え、
    前記投影部は、
    前記映像光の入射側となる、前記映像光の偏光状態を維持する第一透光板と、
    前記映像光の出射側となる、前記映像光の偏光状態を維持する第二透光板と、
    前記第一透光板と、前記第二透光板との間に配置される、第一半波長板とを、備え、
    前記偏光制御部は、第二半波長板と、前記映像部から照射された直線偏光をP偏光、又はS偏光とする機構を備え、
    前記ヘッドアップディスプレイ装置は、前記投影部に入射される映像光の強度の可変機構を前記映像部、又は、前記第一透光板と前記映像部との間の光学系との間に備え、
    前記可変機構によって、前記投影部にP偏光からなる第一映像光が入射するときの強度は、前記投影部にS偏光からなる第二映像光が入射するときの強度よりも大きいものと設定される、
    前記ヘッドアップディスプレイ装置。
  3. 前記第一映像光が入射するときの強度が、前記第二映像光が入射するときの強度の2倍〜10倍である、請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  4. 映像部から照射される映像光の強度の調整によって、前記第一映像光が入射するときの強度が、前記第二映像光が入射するときの強度よりも大きいものと設定される、請求項1乃至3のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  5. 前記映像部が、DMD投影システム方式プロジェクター、レーザー走査型MEMS投影システム方式プロジェクター、または、反射型液晶方式プロジェクターからなる、請求項1、3、4のいずれかに記載のプディスプレイ装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置の使用方法であって、
    前記乗員が偏光サングラス越しに前記鏡像表示を視認する場合は、
    前記投影部に入射される映像光は、P偏光からなるものとし、
    前記乗員が前記偏光サングラスの未使用時に前記鏡像表示を視認する場合は、前記投影部に入射する映像光はS偏光からなるものとする、前記ヘッドアップディスプレイ装置の使用方法。



































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