JP2021152233A - マルチフィラメント糸及びこれを用いた熱成形体の製造方法 - Google Patents

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浩紀 室谷
こゆ 田代
Koyu Tashiro
こゆ 田代
弘平 池田
Kohei Ikeda
弘平 池田
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Mariko Honda
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Abstract

【課題】 加工性が良好で、機械的にも熱的にも両者において寸法安定性に優れるマルチフィラメント糸を提供することにある。【解決手段】 芯成分がポリエチレンテレフタレートで、鞘成分がポリオレフィン系重合体である芯鞘型複合長繊維よりなるマルチフィラメント糸であり、マルチフィラメント糸の総繊度が150〜2000デシテックス、マルチフィラメント糸の中間伸度(X)と、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和が20%以下であることを特徴とするマルチフィラメント糸。【選択図】 なし

Description

本発明は、芯鞘型複合長繊維よりなるマルチフィラメント糸に関し、さらには、マルチフィラメント糸を用いて種々の繊維製品を製造する際や熱処理を施す際の寸法安定性に優れた芯鞘型複合長繊維に関するものである。
従来より、芯成分が高融点のポリエチレンテレフタレートで、鞘成分がポリエチレンよりなる芯鞘型複合長繊維が集束されてなるマルチフィラメント糸は知られている(特許文献1)。特許文献1には、上記構成とすることにより、メッシュシートやネット等として使用した際に、耐アルカリ環境下で十分な強力を維持しうるものであることが記載されている。また、メッシュシートやネットは、製編織したものであって、熱処理により、交点部を固定したものであることが開示されている。
特開2009−299209号公報
本発明は、特許文献1記載に記載された芯鞘複合繊維を改良したものであって、加工性が良好で、機械的にも熱的にも寸法安定性に優れるマルチフィラメント糸を提供することにある。
本発明は、芯成分がポリエチレンテレフタレートで、鞘成分がポリオレフィン系重合体である芯鞘型複合長繊維よりなるマルチフィラメント糸であり、マルチフィラメント糸の総繊度が150〜2000デシテックス、マルチフィラメント糸の中間伸度(X)と、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和が20%以下であることを特徴とするマルチフィラメント糸に関するものである。
本発明で用いられる芯鞘型複合長繊維は、芯成分がポリエチレンテレフタレートで、鞘成分がポリオレフィン系重合体である。芯成分と鞘成分の質量比は、芯成分:鞘成分=3〜0.5:1であるのが好ましい。鞘成分の質量比がこの範囲より低いと、熱融着一体化するための鞘成分の量が少なくなるため、芯鞘型複合長繊維相互間が融着によって一体化しにくく融着力が低下する傾向となる。また、鞘成分の質量比がこの範囲より高いと、強力を担う芯成分の量が少なくなり、また、熱処理して得られる熱成形体中において当初の繊維形態を維持している芯成分の径が小さくなり、マルチフィラメント糸や熱成形体の引張強度が低下する傾向となる。芯成分の比率が鞘成分の比率より高いと、より機械的強度が高いものとなる。また、一方で、芯成分のポリエチレンテレフタレートは、アルカリに対する耐久性が劣ることから、鞘成分の比率が芯成分の比率より高いと、アルカリに対する耐久性を維持できることから、耐アルカリ性が求められる用途には好適である。
芯鞘型複合長繊維の単繊維繊度は任意であるが、4〜20デシテックス程度がよい。
芯成分はポリエチレンテレフタレートで構成されている。ポリエチレンテレフタレートは、耐候性や機械的強度に優れているからである。なお、芯成分を構成するポリエチレンテレフタレートにおいて、本発明の効果を達成する範囲であれば、他の共重合成分が少量含まれていてもよく、また顔料、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の添加剤を含有してもよい。
一方、鞘成分を構成するポリオレフィン系重合体は、芯成分であるポリエチレンテレフタレート(融点約260℃)よりも融点が低いものであり、熱処理により溶融して、構成繊維同士を融着固化する機能を担う。ポリオレフィン系重合体としては、ポリプロピレンや、ポリエチレンが挙げられる。また、プロピレンとエチレンが共重合した共重合体であってもよい。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられる。ポリエチレンの融点は、120〜130℃であり、芯成分のポリエチレンテレフタレートとの融点差が大きく、熱処理を施して、鞘成分を溶融融着させる際の加工性が良好であり、芯成分が熱の影響を受けないため好ましい。なお、鞘成分のポリオレフィン系重合体には、本発明の効果を達成する範囲であれば、他の共重合成分が少量含まれていてもよく、また顔料、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の添加剤を含有してもよい。
マルチフィラメント糸の総繊度は、衣料等のテキスタイル用途ではなく、土木・建築・農業・水産・林業等の産業分野において適用することを想定すると、150〜2000デシテックスである。また、マルチフィラメント糸を構成する長繊維数は、50〜300本程度である。
本発明のマルチフィラメント糸は、中間伸度(X)と、(鞘成分の融点−10℃)×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和が20%以下である。本発明において、中間伸度(X)とは、マルチフィラメント糸の引張試験の応力−伸び曲線における引張強力値の2分の1の荷重時の伸度をいう。中間伸度の値が小さいと、荷重を負荷した際の寸法変化が小さく、機械的な寸法変化に優れているといえる。より具体的には、中間伸度(X)は、2〜6%が好ましい。中間伸度(X)が2%未満となると、寸法変化は小さくなって、より機械的な寸法変化に優れるといえるが、マルチフィラメント糸を用いて繊維製品とする際の製造工程や加工工程において、例えば、編み機における針の高速挙動に対して追従しにくくなることもあり、下限は2%以上がよい。上限は、6%以下とすることにより、機械的な寸法変化に優れたものといえる。
中間伸度(X)は、JIS L 1013(2010)8.5.1引張強さ及び伸び率 標準時試験 に準じて、定速伸長形引張試験機を用い、つかみ間隔25cm、引張速度30cm/分の条件で測定した際に描かれる応力−伸び曲線において、最大荷重が引張強力であり、その最大荷重(引張強力)の値の2分の1の荷重時の伸度(%)を求め、10個の平均値を中間伸度(X)とする。
本発明のマルチフィラメント糸は、中間伸度(X)と、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和が20%以下であり、外力を与えた際の機械的寸法変化と加熱した際の熱的寸法変化の両者に優れる。(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)とは、熱処理前後での糸長の変化率であり、JIS L 1013(2010)8.18.2乾熱寸法変化率b)フィラメント寸法変化率(B法)に基づき、(鞘成分の融点−10)℃に設定した乾燥機中に吊り下げた状態で15分間放置し、乾燥寸法変化率(%)を算出し、5個の平均値を、(鞘成分の融点−10)×15分の条件での乾熱収縮率(Y)とした。芯鞘型複合繊維であって、鞘部がバインダー成分として機能する、いわゆる熱バインダー繊維は、熱に対する収縮は生じるものであるが、本発明においては、(鞘成分の融点−10)×15分の条件での乾熱収縮率が好ましくは15%以下、より好ましくは13%以下であることにより、熱を与えた際の寸法変化に優れるものとなり、繊維製品を製造する工程や、得られた繊維製品に熱処理を施す熱処理工程における取り扱い性に優れる。なお、乾熱収縮率の下限は小さいほどよいが、10%程度であればよい。したがって、中間伸度(X)と、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和の下限は、12%程度がよい。
本発明のマルチフィラメント糸は、複合溶融紡糸法により製造され、これを集束してマルチフィラメント糸とする。得られたマルチフィラメント糸は、そのまま繊維製品として、鞘成分の融点以上で芯成分の融点未満の温度に加熱し、芯鞘型複合長繊維相互間を融着させて、モノフィラメント糸状の熱成形体としてもよい。本発明に用いる繊維製品としては、マルチフィラメント糸を編組して紐とするか、製網して網とするか、又は製編織して織物あるいは編物にするのが好ましい。編物としては、目の大きい網も含まれ、特に養殖網等の漁網として使用する場合に用いられる。この繊維製品を、鞘成分の融点以上で芯成分の融点未満の温度に加熱し、芯鞘型複合長繊維相互間を融着させて、外観上はプラスチック様の紐、撚糸、コード、ロープ、網、織物又は編物よりなる熱成形体を得る。本発明における熱成形体は、剛性と機械的強度が優れる。
本発明における熱成形体は、比較的広い現場で用いられる資材として好適である。たとえば、メッシュシート等の建築工事用シート、剥落防止シート等の土木工事用又は建築工事用シート、養殖網等の漁網として好適に用いることができる。
本発明に係るマルチフィラメント糸は、芯成分がポリエチレンテレフタレートで、鞘成分がポリオレフィン系重合体よりなる芯鞘型複合長繊維で構成され、機械的および熱的に寸法安定性に優れることから、加工性が良好で、取り扱い性に優れ、産業資材として種々の幅広い用途において好適に用いることができる。
実施例1
芯成分として、融点256℃で極限粘度[η]0.75のポリエチレンテレフタレートを準備した。また、鞘成分として、融点126℃、メルトフローレート(190℃ 荷重2.16kg)が5g/10分のポリエチレン(日本ポリエチレン社製 品番UJ960)を準備した。
孔径0.6mmで孔数192個の芯鞘型複合紡糸口金を備えた複合溶融紡糸装置に、上記したポリエチレンテレフタレートとポリエチレンを供給し、口金温度を280℃とし、ポリエチレンテレフタレート:ポリエチレン=3:1(質量比)として、複合溶融紡糸を行い、芯鞘型複合長繊維を得た。得られた芯鞘型複合熱接着性繊維192本が収束した糸条に、常法により冷却し、油剤を付与して、速度370m/分で引き取った。引き続き、引き取り速度が1.02倍、温度100℃に設定された引き取りローラにより引き取った後、ヒーター設定温度300℃のスチームを糸条に吹き付けて、105℃の延伸ローラで5.2倍の延伸熱処理を施し、次いで、3.5%の弛緩処理を施して、1670デシテックス/192本のマルチフィラメント糸を得た。
得られたマルチフィラメント糸の中間伸度は4.4%、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率は8.7%、中間伸度(X)と(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和は13.1%であった。
得られたマルチフィラメント糸をボビンに巻取り、このボビンを8打角打製紐機に設置して、8本組紐を得た。この8本組紐を温度180℃で1分間の条件で加熱して、熱成形を行い、棒状の熱成形体を得た。
<耐屈曲疲労性>
実施例1で得られた棒状の熱成形体を試料とし、マイズ試験機製MIT耐折度試験機を用いて試料を角度±120°、試験速度175r/minで屈曲処理をおこなった。その後、試料はJIS L 1013(2010)8.5.1引張強さ 標準時試験 に準じて、定速伸長形引張試験機(島津製作所製オートグラフAG−1)を用い、つかみ間隔25cm、引張速度30cm/分の条件で測定した。得られた結果を下記式により強力保持率を算出した。その結果を表1に示した。
強力保持率(%)=試験後の強力(N)/試験前の強力(N)×100
表1の結果からも分かるように、耐屈曲疲労試験では、熱成形体は、5000回の屈曲後であっても、初期の強力の8割を超える値を保持し、熱成形体であるにもかかわらず、柔軟性も有し、屈曲に対して優れた耐久性を有するものであった。
Figure 2021152233

実施例2
実施例1において、溶融紡糸の際に、孔径0.6mmで孔数128個の芯鞘型複合紡糸口金に変更したこと、単孔吐出量を変更したこと以外は、実施例1と同様にし、1830デシテックス/128本のマルチフィラメント糸を得た。
得られたマルチフィラメント糸の毛羽立ちを確認したところ(春日電機社製毛羽発見器F9−AN型を用いて、引取速度300m/分の条件で行った。)、1万メートルあたりの毛羽数が20個であり、マルチフィラメント糸の毛羽発生やフィラメント切れが少ないものであった。
また、得られたマルチフィラメント糸の中間伸度は3.9%、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率は12.4%、中間伸度(X)と(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和は16.3%であった。
得られた実施例2のマルチフィラメント糸をボビンに巻取り、このボビンを8打角打製紐機に設置して、8本組紐を得た。この8本組紐を温度180℃で1分間の条件で加熱して、熱成形を行い、棒状の熱成形体を得た。
上記で得られた実施例2の8本組紐と熱成形体を試料とし、以下の方法により酸性に対する耐久試験を行った。また、比較として、ポリエチレンテレフタレートのみからなるマルチフィラメント糸(ユニチカ製 品番:E223 1670デシテックス/192本)を、8打角打製紐機に設置して8本組紐を作成し、酸性に対する耐久試験を行った。
(1)酸性に対する耐久試験
硫酸(98% 特級 関東化学株式会社製)を使用し、5Nの硫酸水溶液を作製した。次いで、試料(8本組紐、熱成形体、比較の8本組紐)を、試料の質量に対し10倍以上の質量の酸性水溶液中に浸漬し、一定時間(480時間、960時間)放置した。一定時間経過後、試料を酸性水溶液から引き上げて、純水で10秒間×2回すすいだ後、流水で1分間洗った。その後2日間風乾させて、試料に含まれる水分を除去した乾燥試料を、前記した耐屈曲疲労性の試験の場合と同一条件で引張強さ(N1)を測定した。そして、酸性水溶液に浸漬する前の試料(8本組紐、熱成形体、比較の8本組紐)の引張強さ(N0)も、同一条件で測定し、強力保持率(%)=(N1/N0)×100を算出した。
(2)減量率の試験
酸性水溶液に浸漬する前の試料(8本組紐、熱成形体、比較の8本組紐)を、50℃の乾燥機中に24時間入れた後、乾燥剤の入ったデシケータ中に1時間以上入れた。その後、常温で質量を測定した(W0)。一方、上記(1)の試験を行った後の乾燥試料を、50℃の乾燥機に24時間入れた後、乾燥剤の入ったデシケータの中で1時間以上入れた。その後、常温で質量を測定した(W1)。そして、減量率(%)=[(W0−W1)/W0]×100を算出した。
結果を表2に示す。
Figure 2021152233



(3)アルカリ性に対する耐久試験
5Nの硫酸水溶液に代えて、水酸化ナトリウム(99% マルゼン株式会社製)を用いて3Nの水酸化ナトリウム水溶液としたこと以外は、上記した(1)酸性に対する耐久試験と同一の方法で、アルカリ性に対する耐久試験を行い、強力保持率(%)および減量率(%)を算出した。
結果を表3に示す。
Figure 2021152233


実施例3
芯成分として、融点256℃で極限粘度[η]0.75のポリエチレンテレフタレートを準備した。また、鞘成分として、融点165℃、メルトフローレート(230℃ 荷重2.16kg)が13g/10分のポリプロピレン(サンアロマー社製 品番PL801C)を準備した。
孔径0.6mmで孔数192個の芯鞘型複合紡糸口金を備えた複合溶融紡糸装置に、上記したポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンを供給し、口金温度を280℃とし、ポリエチレンテレフタレート:ポリプロピレン=2:1(質量比)として、複合溶融紡糸を行い、芯鞘型複合長繊維を得た。得られた芯鞘型複合熱接着性繊維192本が収束した糸条に、常法により冷却し、油剤を付与して、速度355m/分で引き取った。引き続き、引き取り速度が1.02倍、温度105℃に設定された引き取りローラにより引き取った後、ヒーター設定温度400℃のスチームを糸条に吹き付けて、105℃の延伸ローラで5.5倍の延伸熱処理を施し、次いで、3.5%の弛緩処理を施して、1670デシテックス/192本のマルチフィラメント糸を得た。
得られたマルチフィラメント糸の中間伸度は5.1%、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率は10.5%、中間伸度(X)と(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和は15.6%であった。
得られたマルチフィラメント糸をボビンに巻取り、このボビンを8打角打製紐機に設置して、8本組紐を得た。この8本組紐を温度180℃で1分間の条件で加熱して、熱成形を行い、棒状の熱成形体を得た。
実施例4
実施例3において、ポリエチレンテレフタレート:ポリプロピレンの質量比を、ポリエチレンテレフタレート:ポリプロピレン=1:1としたこと以外は、実施例3と同様にしてマルチフィラメント糸を得た。
得られたマルチフィラメント糸の中間伸度は5.7%、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率は10.1%、中間伸度(X)と(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和は15.8%であった。
得られたマルチフィラメント糸をボビンに巻取り、このボビンを8打角打製紐機に設置して、8本組紐を得た。この8本組紐を温度180℃で1分間の条件で加熱して、熱成形を行い、棒状の熱成形体を得た。
実施例3、4で得られた棒状の熱成形体を試料とし、上記した耐屈曲疲労性を評価する測定試験を行った。また、耐屈曲疲労性の試験の場合と同一条件で、耐屈曲疲労性の試験前後における試料の引張強さを測定し、強力保持率を算出した。その結果を表4に示した。
Figure 2021152233
実施例5
芯成分として、融点256℃で極限粘度[η]0.75のポリエチレンテレフタレートを準備した。また、鞘成分として、融点165℃、メルトフローレート(230℃ 荷重2.16kg)が13g/10分のポリプロピレン(サンアロマー社製 品番PL801C)を準備した。
孔径0.6mmで孔数192個の芯鞘型複合紡糸口金を備えた複合溶融紡糸装置に、上記したポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンを供給し、口金温度を280℃とし、ポリエチレンテレフタレート:ポリプロピレン=2:1(質量比)として、複合溶融紡糸を行い、芯鞘型複合長繊維を得た。得られた芯鞘型複合熱接着性繊維192本が収束した糸条に、常法により冷却し、油剤を付与して、速度375m/分で引き取った。引き続き、引き取り速度が1.01倍、温度105℃に設定された引き取りローラにより引き取った後、ヒーター設定温度250℃のスチームを糸条に吹き付けて、110℃の延伸ローラで5.5倍の延伸熱処理を施し、次いで、3.5%の弛緩処理を施して、1670デシテックス/192本のマルチフィラメント糸を得た。
得られたマルチフィラメント糸の中間伸度は5.4%、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率は13.4%、中間伸度(X)と(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和は18.8%であった。
得られたマルチフィラメント糸をボビンに巻取り、このボビンを8打角打製紐機に設置して、8本組紐を得た。この8本組紐を温度170℃で1分間の条件で加熱して、熱成形を行い、棒状の熱成形体を得た。
実施例6
実施例5において、ポリエチレンテレフタレート:ポリプロピレンの質量比を、ポリエチレンテレフタレート:ポリプロピレン=1:1としたこと以外は、実施例5と同様にしてマルチフィラメント糸を得た。
得られたマルチフィラメント糸の中間伸度は5.8%、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率は13.0%、中間伸度(X)と(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和は18.8%であった。
得られたマルチフィラメント糸をボビンに巻取り、このボビンを8打角打製紐機に設置して、8本組紐を得た。この8本組紐を温度170℃で1分間の条件で加熱して、熱成形を行い、棒状の熱成形体を得た。
実施例7
実施例5において、ポリエチレンテレフタレート:ポリプロピレンの質量比を、ポリエチレンテレフタレート:ポリプロピレン=1:2としたこと以外は、実施例5と同様にしてマルチフィラメント糸を得た。
得られたマルチフィラメント糸の中間伸度は6.2%、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率は11.7%、中間伸度(X)と(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和は17.9%であった。
得られたマルチフィラメント糸をボビンに巻取り、このボビンを8打角打製紐機に設置して、8本組紐を得た。この8本組紐を温度170℃で1分間の条件で加熱して、熱成形を行い、棒状の熱成形体を得た。
得られた実施例5〜7の8本組紐と熱成形体について、上記した(1)酸性に対する耐久試験および(2)減量率試験を行った。結果を表5に示す。
Figure 2021152233


得られた実施例5〜7の8本組紐と熱成形体について、上記した(3)アルカリ性に対する耐久試験を行った。結果を表6に示す。
Figure 2021152233
ポリエステル系樹脂は、アルカリに対する耐久性に劣るが、実施例5〜7の結果から、芯成分:鞘成分の比率2:1である実施例5に比べて、鞘成分の比率が高い実施例6(芯成分:鞘成分=1:1)、実施例7(芯成分:鞘成分=1:2)は、鞘成分の比率が高くなるにつれて、強力保持率が高く、減量率が小さかった。

Claims (5)

  1. 芯成分がポリエチレンテレフタレートで、鞘成分がポリオレフィン系重合体である芯鞘型複合長繊維よりなるマルチフィラメント糸であり、
    マルチフィラメント糸の総繊度が150〜2000デシテックス、マルチフィラメント糸の中間伸度(X)と、(鞘成分の融点−10)℃×15分の条件での乾熱収縮率(Y)との和が20%以下であることを特徴とするマルチフィラメント糸。
  2. 鞘成分が、ポリエチレンであることを特徴とする請求項1記載のマルチフィラメント糸。
  3. 鞘成分が、ポリプロピレンであることを特徴とする請求項1記載のマルチフィラメント糸。
  4. 請求項1から3のいずれか1項記載のマルチフィラメント糸によって構成される繊維製品であって、繊維製品が紐、撚糸、コード、ロープ、網、織物または編物であることを特徴とする繊維製品。
  5. 請求項4記載の繊維製品を、芯鞘型複合長繊維の鞘成分が溶融する温度でかつ芯成分の融点未満の温度で加熱し、芯鞘型複合長繊維同士を鞘成分が融着固化することによって一体化させることを特徴とする熱成形体の製造方法。
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