JP6899687B2 - 医療用織物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医療用織物及びその製造方法に関する。
従来、医療用織物はポリエステル繊維などを使用し、工業的に生産されている。
医療分野等で使用される織物には、生地の初期の引裂強力、通気性、耐水圧に加え、洗濯、滅菌処理後の各々の物性も要求される。織物に高引裂強力、低通気性、高耐水圧、および耐滅菌性の性能を持たせるために、原糸の強度を上げること、織物を高密度化することが知られている。なかでも、織物の耐水圧を高める手段としては、織物を高密度化することに加え、樹脂コーティング、防水フィルムのラミネート等が知られている。また、滅菌処理による物性低下を抑制する方法としては、樹脂に耐加水分解剤を添加したり、加水分解の無い樹脂を使用する等が数多く提案されている。
例えば、特許文献1では、熱可塑性合成繊維のマルチフィラメント糸からなる織物であって、該織物のカバーファクターが1600〜3800の範囲にあり、かつ、該織物の通気度が10cc/cm/sec以下である高密度織物にシリコン系ポリマー樹脂を用いてコーティング加工することを特徴とするペンキ衣料用織物の製造法が開示されている。
特許文献2では、固有粘度〔η〕が0.62以上0.95以下の芳香族ポリエステル系マルチフィラメント糸が経糸及び緯糸に用いられてなる織物であって、前記経糸がフラットヤーンであり、前記緯糸が高圧流体攪乱処理を施された嵩高加工糸であり、経糸及び/又は緯糸の他の一部として制電性ポリエステルフィラメント糸条が5〜25mm間隔に配されてなり、織物一完全組織を構成する経糸浮き本数及び緯糸浮き本数の最大値が1本以上3本以下で、且つ経糸浮き本数の最大値が緯糸浮き本数の最大値以上であることを特徴とする織物が開示されている。
特許文献3では、3500m/分以上の紡糸引取速度で得られる複屈折率が0.035〜0.045、切断伸度が40〜70%、沸騰水収縮率が10%以下、最大熱応力値が0.1g/d以下の低収縮ナイロン6マルチフィラメントと、沸騰水収縮率が20%以上、最大熱応力値が0.4g/d以上の特性を有する共重合ポリエステルからなる高収縮ポリエステルマルチフィラメントとを、高収縮ポリエステルマルチフィラメントのトータル繊度を低収縮ナイロン6マルチフィラメントのトータル繊度の60%以下となるように混繊交絡および/または合撚した複合糸として用い、製織または製編して布帛とした後、熱処理することを特徴とする高密度布帛の製造方法が開示されている。
特開昭63−120177号公報 特開2005−290575号公報 特許第3058892号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたコーティング剤により製造されたコーティング高密度織物では、防水性に優れているが、適度な通気性が得られない。
また特許文献2記載の織物は、引裂強力が十分でない。また、特許文献3記載の高密度織物は、引裂強力が十分でないうえ、洗濯・滅菌処理を繰り返すことにより、耐水圧や引裂強力が極端に低下する問題がある。
また樹脂コーティングや防水フィルムをラミネートした織物も、洗濯・滅菌処理を繰り返すと耐水性、引裂強力が低下し、低通気性も損なわれ、洗濯・滅菌処理を繰り返した後も、十分な物性が保てるものが得られていないのが現状である。
したがって、本発明は、洗濯・滅菌処理を繰り返しても、引裂強力及び耐水性が高く、低通気性も保つことができる医療用織物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、単糸繊度2.0dtex以下、強度5.5cN/dtex以上、伸度20〜40%のポリエステル原糸を75質量%以上用いて得た織物であり、ポリエステル原糸は極限粘度(IV)が0.65〜1.0のポリエチレンテレフタレートを用いてなり、式1に示すカバーファクター(CF)が2600以上である医療用織物を第1の要旨とする。
カバーファクター(CF) =T×(DT)1/2+W×(DW)1/2・・・式1
ここで、T及びWはそれぞれ織物の経密度及び緯密度(本/2.54cm)を示し、DT及びDWはそれぞれ織物を構成する経糸および緯糸の太さ(dtex)を示す。
また、上記医療用織物において、織物の引裂強力が40N以上、洗濯・滅菌処理75回後の織物の引裂強力が10N以上 、織物の耐水圧が7500kPa以上、洗濯・滅菌処理75回後の織物の耐水圧が4900kPa以上、通気性が、1cm/cm・sec以下、洗濯・滅菌処理75回後の織物の通気性が、4cm/cm・sec未満である上記医療用織物を第2の要旨とする。
織物組織が、平織又は綾織である上記医療用織物を第3の要旨とする。
また、経糸として、前記ポリエステル原糸とポリエステル系導電糸に前記ポリエステル原糸をカバリングしたカバリング糸とを用い、緯糸として、前記ポリエステル原糸の双糸を用いる上記医療用織物を第4の要旨とする。
ポリエステル原糸が生糸である上記医療用織物を第5の要旨とする。
単糸繊度2.0dtex以下、強度5.5cN/dtex以上のポリエステル原糸からなる糸を75質量%以上用いて製織した後、カレンダー加工を施して製造する上記医療用織物の製造方法を第の要旨とする。
単糸繊度2.0dtex以下、強度5.5cN/dtex以上のポリエステル原糸からなる糸を75質量%以上用いて製織した後、撥水処理を施して製造する上記医療用織物の製造方法を第の要旨とする。
本発明によれば、引裂強力、耐水圧が高く、低通気性であり、洗濯・滅菌処理を繰り返しても、引裂強力及び耐水性が高く、低通気性を良好に保つことができる医療用途に用いるのに好適な医療用織物を提供できる。
図1は、本発明の織物の一完全組織図の一例である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の医療用織物は、単糸繊度2.0dtex以下、強度5.5cN/dtex以上、伸度20〜40%のポリエステル原糸を75質量%以上使用して得た医療用織物である。
本発明において、原糸とは、溶融紡糸して延伸して得られる延伸糸であり、いわゆる生糸を示す。
前記ポリエステル原糸に使用されるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラチレンテレフタレート(PTT)などの芳香族ポリエステル樹脂が好適に挙げられる。コスト等の点からは、PETが特に好適である。
尚、ポリエステル原糸に用いるポリエステル樹脂としては、ホモポリエステル、第3成分を共重合した共重合ポリエステルのいずれでもよいが、好ましくは、ホモポリエステルである。
好適な共重合成分としては、5スルホイソフタル酸塩やポリエチレングリコール、ビスフェノールA等が挙げられる。
本発明におけるポリエステル原糸の特に好適な樹脂としては、エチレンテレフタレート単位を95%以上繰り返すPETが挙げられる。
本発明において、PETを用いる場合、PETの極限粘度(IV)は、0.65〜1.0が好ましい。極限粘度(IV)が、0.65未満では、繊維強度が低くなる傾向があり、織物の引裂強力が低下する傾向がある。また製糸性やコストの点からは、1.0以下であることが好ましい。
前記ポリエステル原糸は、紡糸及び延伸操業性、製織等に支障がない限り、酸化チタン、カーボンブラック、制電剤、帯電防止剤、耐光剤などを樹脂に添加したものを用いても良い。
前記ポリエステル原糸は、単糸繊度が2dtex以下である。単糸繊度が2dtexを超える場合、織物の通気性が高くなり、良好な耐水性が得られない。好ましくは、1.5dtex以下であり、より好ましくは、1.2dtex以下である。単糸繊度の下限は、0.8dtexが好ましい。
前記ポリエステル原糸は、引裂強力、耐水圧及び通気性を良好に保つ点から、総繊度が50dtex以上、200dtex以下が好ましく、より好ましくは、総繊度が70dtex以上、140dtex以下である。
前記ポリエステル原糸の強度は5.5cN/dtex以上である。強度が5.5cN/dtex未満では、織物の引裂強力が低くなり医療用織物として好適な織物が得られない。より好ましくは、5.7cN/dtex以上である。伸度とのバランスと製織工程での取扱い易さの点から、強度の上限は、8cN/dtex以下が好ましい。
前記ポリエステル原糸の伸度は20%以上、40%以下である。伸度が20%未満である場合、医療用織物として、原糸由来の毛羽の混入や、布帛製作時の単糸切れの発生などの点で問題がある。伸度が40%を超える場合は、医療用織物の滅菌処理時に引裂強力等の物性が大きく低下する。これは、繊維内の非晶部が多くなることにより、滅菌処理時の耐加水分解による引裂強力などの物性低下を促進されるためと推測できる。
前記ポリエステル原糸の繊維横断面は、特に限定するものではないが、通常の真円に近い丸断面、三角断面、扁平断面等の異型断面等が挙げられる。高強度の糸の紡糸等安定性の点からは、単糸繊度2dtex以下の丸断面であることが好ましい。
前記ポリエステル原糸の製法は、特に限定するものではなく、未延伸糸を採取し、その後延伸を行うコンベンショナル法(二工程法)、直接延伸法(SPD法)など、常法を採用することができる。
前記ポリエステル原糸は、生糸としてそのまま用いてもよいし、撚糸、双糸、カバリング糸等として用いてもよく、仮撚加工糸、タスラン加工糸等の加工糸として用いてもよい。
本発明の医療用織物は、前記ポリエステル原糸のみを用いて得た織物でもよいし、前記ポリエステル原糸を一部に用いて得た織物であってもよい。
本発明の医療用織物は、前記ポリエステル原糸を、75質量%以上用いて得た織物である。前記ポリエステル原糸が、75質量%未満である場合、織物の耐水圧、低通気性、引裂強力が十分なものとならず、医療用織物としては不適なものとなる。好ましくは、90質量%以上含むものである。
本発明の医療用織物は、前記ポリエステル原糸を経糸及び緯糸に含むものであることが好ましい。
本発明の医療用織物は、前記ポリエステル原糸と、導電糸、制電糸等の機能糸や意匠糸を交織して含む織物であってもよい。医療用織物は、通常、静電気や埃などを嫌うため、前記ポリエステル原糸以外を含む場合、導電糸及び制電糸の少なくとも1つを含む機能糸を含むものであることが好ましい。
本発明の医療用織物の織物組織は、特に限定するものではなく、例えば、平織、朱子織、綾織等が挙げられる。高密度化し易く、組織安定性に優れた組織になる点で、斜子織等の変化平織や綾織等が好適に挙げられる。
本発明における医療用織物の経糸及び緯糸の合計値のカバーファクター(CF)は、2600以上であり、好ましくは2800以上である。このようなCFとすることにより、経糸と緯糸との交点の隙間を非常に小さくでき、織物組織が緻密化し、経糸と緯糸との交点における糸ずれ等による隙間構造の変化が抑制される。本発明における上記のポリエステル原糸を75質量%以上用い、このようなCFとすることにより、医療用織物として、緻密な組織となり、隙間構造が変化しにくくなり、高引裂強力、低通気性、高耐水圧といった医療用織物に好適な物性を備え、洗濯・滅菌処理をしたり、繰り返し使用したりした場合も、十分使用に耐え得る医療用織物とすることができる。
本発明の医療用織物の初期の引裂強力は、経、緯とも、40N以上であることが好ましい。さらに好ましくは50N以上である。40N未満である場合、滅菌処理回数が増えるごとに、ポリエステルの加水分解、可逆反応が進行し、引裂強力が0Nに近くなり、織物としての形状や性能を保つことができなくなる傾向がある。
本発明の医療用織物は、後述する洗濯・滅菌処理75回後の織物の引裂強力が10N以上であることが好ましい。より好ましくは15N以上である。この範囲であると、医療用途に使用した繊維製品を、繰り返し、洗濯・滅菌処理しても、使用できるものとなり、耐久性の高い優れた実用的なものとなる。尚、10N未満である場合、織物としての形状や性能を保つことが難しくなる傾向がある。またメスなどの刃物で容易に切断、破れなどが生じ、手術着等に用いるとウイルスの感染等二次感染の要因となるおそれがある。
本発明の医療用織物の初期の耐水圧は、7500kPa以上であることが好ましい。より好ましくは、9000kPa以上である。耐水圧が7500kPa未満である場合、滅菌処理回数が増えるごとに、ポリエステルの加水分解が進行し、洗濯により揉まれることにより、織物の経糸と緯糸との交点の空隙が少しずつ大きくなる。これにより、ウイルスや病原菌で汚れた血液や液体の浸透を抑える効果が低減される可能性がある。尚、上限は、15000kPa程度であることが好ましい。
本発明の医療用織物は、後述する洗濯・滅菌処理75回後の織物の耐水圧が4900kPa以上あることが好ましい。より好ましくは、5400以上である。この耐水圧が4900kPa未満である場合、ウイルスや病原菌で汚れた血液や液体の浸透を抑えられなくなり、ウイルスの感染など二次感染の要因となるおそれがある。尚、上限は、7500kPaであることが好ましい。この範囲であると、実際に、医療用途の繊維製品に用いて、洗濯・滅菌を繰り返し使用しても、十分使用できるものとなり、耐久性の優れた実用的なものとなる。
本発明の医療用織物の初期の通気性は、1cm/cm・sec以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5cm/cm・sec以下である。このように通気性を低くすることで、空気内に存在する、埃、花粉、PM2.5、微粒子、ウイルスの浸透を予防できる。また洗濯・滅菌処理を繰り返すことによる、目開きの発生等を抑制することもできる。尚、通気性が1cm/cm・secを超える場合、上記の浸透の予防がしにくくなる上に、洗濯・滅菌処理を繰り返すことによる目開きも大きくなる傾向にある。尚、医療用織物の初期の通気性は、0.1cm/cm・sec以上であることが好ましい。
本発明の医療用織物は、ウイルス・菌等の浸透を防止する点から、洗濯・滅菌処理75回後の織物の通気性が4cm/cm・sec未満であることが好ましい。より好ましくは、2cm/cm・sec未満である。
本発明の医療用織物の好適な製造方法について、例示して、説明する。
単糸繊度が2.0dtex以下、強度が5.5cN/dtex以上、伸度が20%〜40%である、前記ポリエステル原糸を準備する。
経糸及び緯糸の少なくとも一方に、前記ポリエステル原糸からなる糸を用いて、製織して生機を得る。前記ポリエステル原糸からなる糸は、生糸をそのまま用いても良いし、撚糸、双糸、カバリング糸等として用いても、仮撚加工糸、タスラン加工糸等の加工糸として用いてもよい。また、経糸及び緯糸の少なくとも一方に、導電糸や制電糸を配してもよい。
得られた生機を、常法により、精練、リラックス、プレセット、染色する。得られた生地に、必要に応じて、撥水剤を付与して、撥水加工を行い、次いで、カレンダー加工等の加工を行うことにより、本発明の医療用織物を得ることができる。加工について、上記では、撥水加工及びカレンダー加工を例示したが、防汚加工、制電加工、消臭加工等を、適宜、行ってもよい。
本発明の医療用織物の製造方法において、撥水加工を行うことが好ましい。
撥水加工を行う場合、フッ素系,シリコン系の撥水剤で低粘度(約100cps以下)の撥水剤を付与して、撥水処理することが好ましい。撥水処理としては、得られた生機を、浸漬法により撥水剤に含浸させた後、パディング,マングル絞り,ナイフしごき等を行う方法が挙げられる。
本発明の医療用織物の製造方法において、カレンダー加工を行うことが好ましい。カレンダー加工を行うと、経糸と緯糸との交点の空隙を小さくできるため、織物の引裂強度、耐水圧、低通気性を良好に保ちやすくなる。カレンダー加工は、片面カレンダーでも、両面カレンダーでもよいが、より本発明の効果を得る点からは、両面カレンダーの方が好ましい。カレンダー加工の加工温度は、特に限定するものではないが、通常、150℃以上、200℃以下程度で行うことが好ましい。この範囲の加工温度であれば、特に表面が平滑となり易く、織物の引裂強力及び耐水圧が高く、通気性が低い医療用に好適な織物を得られ易い。また、カレンダー加工の圧力は、0.9MPa以上、5.5MPa以下の範囲が好ましい。この範囲の圧力であれば、特に表面が平滑となり易く、織物の引裂強力及び耐水圧が高く、通気性が低い医療用に好適な織物を得られ易い。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の測定方法及び評価は以下の通りとした。
A.破断強度、破断伸度
JIS L 1013に準じ、島津製作所製のAGS−1KNGオートグラフ引張試験機を用い、試料糸長20cm、定速引張速度20cm/minの条件で測定する。荷重−伸び曲線での荷重の最高値を繊度で除した値を破断強度(cN/dtex)とし、そのときの伸び率を破断伸度(%)とする。
B.極限粘度(IV)
ウベローデ型粘度管を使用し、サンプルをフェノール:テトラクロロエタン=6:4の混合溶媒、溶解時間80℃×1時間で溶解し、測定温度20℃の下で測定し、極限粘度IV(dl/g)を得た。
B.引裂強力
織物の引裂き強力は、JIS L 1096 8.17.4に規定されている引裂強さD法(ペンジュラム法)に準拠して、経緯の両方向において測定した。
C.耐水圧
織物の耐水圧は、JIS L 1092 7.1.1に規定されている耐水度試験(静水圧)A法(低水圧法)に準拠して測定した。
D.通気性
織物の通気性は、JIS L 1096 8.26.1に規定されている通気性A法(フラジール形法)に準拠して測定した。
E.洗濯・滅菌耐久性
洗濯・滅菌処理75回後の織物の通気性、耐水圧及び引裂強力を測定し耐久性を評価した。
洗濯・滅菌処理75回後とは、洗濯−脱水−撥水加工−脱水−滅菌処理−脱水−乾燥の工程を洗濯・滅菌処理の1サイクルとし、75サイクル実施後である。
尚、洗濯は、JIS L 1096 8.39.5に規定されているF−3法(高温ワッシャ法)に準拠して実施する。撥水加工は、4質量%フッ素系撥水剤(旭ガラス(株)製アサヒガードLS380K)、浸透剤無しで5分間浸漬し脱水する。滅菌処理は134℃、18分間のオートクレーブにより実施する。乾燥は130℃で、タンブラー乾燥機により実施する。
〔実施例1〕
極限粘度IV=0.85dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を紡糸温度300℃にて、エクストーダーにて溶融させ、72H×2の口金よりポリマーを押し出して、未延伸ボビンを採取し、延伸工程にて、予熱ヒーター78℃、熱セット温度172℃にて延伸し、84dtex/72fの延伸糸(原糸A)を得た。
経糸は、原糸Aと、22dtex/6fのポリエステル系導電糸に原糸Aをカバリングしたカバリング糸とを19本:1本の割合で使用し、緯糸は原糸Aの2本双糸を使用し、経密度185本/2.54cm、緯密度80本/2.54cmで、図1に示す組織で製織し、生機を得た。得られた生機を、精練、リラックス、プレセット、染色(分散染料)した。次いで、得られた生地に、フッ素の撥水剤4質量%(旭ガラス株式会社製アサヒガードLS380K)を浸透剤としイソプロピルアルコール3質量%を用いて、浸漬法にて撥水処理を行なった後、180℃、4.5MPaの条件で片面カレンダー加工を行い、医療用織物(経密度:200本/2.54cm、緯密度:86本/2.54cm、CF:2959)を得た。
〔実施例2〕
緯糸に、実施例1で得られた原糸Aをピン仮撚にて加工した仮撚加工糸を2本双糸した糸を用いた以外は、実施例1と同様に医療用織物を得た。
〔実施例3〕
原糸Aの繊度を84dtex/48fに変更以外は、実施例1と同様に医療用織物を得た。
〔実施例4〕
極限粘度IVが0.68dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を紡糸温度285℃にて、エクストーダーにて溶融させ、48H×2の口金よりポリマーを押し出して、未延伸ボビンを採取し、延伸工程にて、予熱ヒーター78℃、熱セット温度172℃にて延伸し、74dtex/48fの延伸糸(原糸B)を得た。経糸は、原糸Bと、22dtex/6fのポリエステル系導電糸に原糸Bをカバリングしたカバリング糸とを19本:1本の割合で使用し、緯糸は原糸Aの2本双糸を使用し、経密度192本/2.54cm、緯密度82本/2.54cmで、図1に示す組織で製織し、生機を得た。これ以降は実施例1と同様に加工を実施し、医療用織物(経密度:206本/2.54cm、緯密度:86本/2.54cm、CF:2831)を得た。
〔実施例5〕
緯糸を、実施例4にて得られた原糸Bをピン仮撚にて加工した仮撚加工糸を2本双糸とした糸と変更する以外は、実施例4と同様に医療用織物を得た。
〔比較例1〕
極限粘度IVが0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を紡糸温度280℃にて、エクストーダーにて溶融させ、72H×2の口金よりポリマーを押し出して、未延伸ボビンを採取し、延伸工程にて、予熱ヒーター78℃、熱セット温度172℃にて延伸し、84dtex/72fの延伸糸(原糸C)を得た。
原糸Aを原糸Cとする以外は実施例1と同様に医療用織物を得た。
〔比較例2〕
原糸Aに代えて、比較例1にて得られた原糸Cをピン仮撚にて加工した仮撚加工糸を用いる以外は、実施例1と同様に医療用織物を得た。
〔比較例3〕
原糸Aの繊度を、84dtex/24fにする以外は、実施例1と同様に医療用織物を得た。
〔比較例4〕
原糸Aの伸度を表1記載のようにする以外は、実施例1と同様に医療用織物を得た。
〔比較例5〕
製織時の経糸密度を150本/2.54cm、緯糸密度を64本/2.54cmとする以外は、実施例1と同様に医療用織物(経密度163本/2.54cm、緯密度70本/2.54cm(CF:2410)の)を得た。
実施例及び比較例から得られた医療用織物に対し、洗濯・滅菌耐久性の評価を行った。
実施例及び比較例の織物の構成及び評価結果について、表1に示す。
Figure 0006899687
実施例1〜5から得られた医療用織物は、ポリエステル原糸を75質量%以上用い、ポリエステル原糸を、単糸繊度2dtex以下、強度5.5cN/dtex以上、伸度20〜40%に調整し、原糸を生糸、仮撚加工糸、カバリング糸などの形態にして、経糸及び緯糸に使用し、撥水加工及びカレンダー加工を施したCFが2600以上の織物であり、引裂強力及び耐水圧が高く、低通気性を有するものであった。また、医療用織物は、引裂強力が40N以上、耐水圧が7500kPa以上、通気性が1cm/cm・sec未満の優れた物性であった。洗濯・滅菌耐久性評価において、洗濯・滅菌処理75回後の織物においても、引裂強力が10N以上、耐水圧が4900kPa以上、通気性が4cm/cm・sec未満と、良好な物性を有し、高い洗濯・滅菌耐久性があった。
また実施例から得られた医療用織物を用いて手術着を作製したところ、50回洗濯して使用した後も、空気内に存在する、埃、花粉、PM2.5、微粒子、雑菌、血液、薬品が手術着内に浸透や侵入を抑制・予防し、メスなどの刃物に対する耐刃性にも優れていた。
比較例1及び2から得られた医療用織物は、原糸の強度が低いものであり、医療用織物の引裂強力及び耐水圧が低かった。洗濯・滅菌耐久性評価において、洗濯・滅菌処理75回後の織物も、引裂強力及び耐水圧が低く、通気性も高いものであり、洗濯・滅菌耐久性のないものとなった。この耐久性試験において、反復洗濯による目ずれが生じていた。
得られた医療用織物を用いて手術着を作製したところ、50回洗濯して使用した後も、空気内に存在する、埃、花粉、PM2.5、微粒子、雑菌、血液、薬品が手術着内に浸透や侵入し、メスなどの刃物に対する耐刃性も不良であった。
原糸の単糸繊度が3.5dtexである比較例3から得られた医療用織物は、織物の初期の耐水圧は低い値となった。これは、単糸が少なく、太い分、経糸と緯糸との交点の空隙を大きくなるが起因すると推測される。洗濯・滅菌耐久性評価において、洗濯・滅菌処理75回後の織物は、洗濯による揉み等で、織物の目ずれ、空隙が大きくなり、通気性も高く、耐水圧も低いものであった。
得られた医療用織物を用いて手術着を作製したところ、刃物などの耐刃性はあったが、50回洗濯後において、薬品の浸透が生じた。
比較例4から得られた医療用織物は、引裂強力が低く、洗濯・滅菌耐久性評価において、洗濯・滅菌処理75回後の織物は、引裂強力も低く、耐水圧が低いものであった。これは、構成糸の伸度が高いことによる、加水分解の促進と繰り返し洗濯による揉みによるものと推測される。得られた医療用織物を用いて手術着を作製したところ、50回洗濯後は、耐刃性が不良で、血液の浸透が生じた。
比較例5から得られた医療用織物は、引裂強力及び耐水圧が低かった。CFを下げたことで、織物の目開きが大きくなり、耐水圧と引裂強力が低くなったと推測される。洗濯・滅菌耐久性評価において、洗濯・滅菌処理75回後の織物は、通気性が悪化し、品位の悪いものとなった。得られた医療用織物を用いて手術着を作製したところ、洗濯50回を超えると、血液等の浸透が生じた。
このように、実施例1〜5から得られた医療用織物は、医療現場での工業洗濯を繰り返した後も、花粉、PM2.5、微粒子、ウイルスの侵入を予防、汚れた血液、液体、薬品等への浸透耐久性が良好であり、耐刃性も良好な医療用途で使用するのに適した織物であった。

Claims (7)

  1. 単糸繊度2.0dtex以下、強度5.5cN/dtex以上、伸度20〜40%のポリエステル原糸を75質量%以上用いて得た織物であり、ポリエステル原糸は極限粘度(IV)が0.65〜1.0のポリエチレンテレフタレートを用いてなり、式1に示すカバーファクターが2600以上である医療用織物。
    カバーファクター(CF) =T×(DT)1/2+W×(DW)1/2・・・式1
    ここで、T及びWはそれぞれ織物の経密度及び緯密度(本/2.54cm)を示し、DT及びDWはそれぞれ織物を構成する経糸および緯糸の太さ(dtex)を示す。
  2. 下記の(1)から(6)を満たす請求項1に記載の医療用織物。
    (1)織物の引裂強力が40N以上
    (2)洗濯・滅菌処理75回後の織物の引裂強力が10N以上
    (3)織物の耐水圧が7500kPa以上
    (4)洗濯・滅菌処理75回後の織物の耐水圧が4900kPa以上
    (5)通気性が、cm/cm・sec以下
    (6)洗濯・滅菌処理75回後の織物の通気性が、4cm/cm・sec未満
  3. 織物が、平織又は綾織である請求項1又は2に記載の医療用織物。
  4. 経糸として、前記ポリエステル原糸とポリエステル系導電糸に前記ポリエステル原糸をカバリングしたカバリング糸とを用い、緯糸として、前記ポリエステル原糸の双糸を用いる請求項1〜3いずれか1項に記載の医療用織物。
  5. ポリエステル原糸が生糸である請求項1〜4いずれか1項に記載の医療用織物。
  6. 単糸繊度2.0dtex以下、強度5.5cN/dtex以上のポリエステル原糸からなる糸を75質量%以上用いて製織した後、カレンダー加工施すことを特徴とする請求項1〜いずれか1項に記載の医療用織物を製造方法。
  7. 単糸繊度2.0dtex以下、強度5.5cN/dtex以上のポリエステル原糸からなる糸を75質量%以上用いて製織した後、撥水処理を施すことを特徴とする請求項1〜いずれか1項に記載の医療用織物の製造方法。
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