JP2021150822A - 車両用窓ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の車両用窓ガラスでは、DABのBand IIIに対応するアンテナの利得を十分に高めることが出来ない問題があった。【解決手段】一実施の形態の車両用窓ガラスは、車体の金属枠に取り付けられる車両用窓ガラスであって、金属枠は多角形状で開口し、金属枠が三角形状であるときにおける、最も長い辺と、2番目に長い辺の組合せ、金属枠が4以上の辺の数からなる多角形状であるときにおける、互いに接しない2つの辺の組合せ、又は、金属枠が4以上の辺の数からなる多角形状であるときにおける、互いに接する2つの辺の組合せ、を、それぞれ、第1金属枠辺FRG1、第2金属枠辺FRG2とするとき、アース導体部20は、第1金属枠辺FRG1の少なくとも一部と、第2金属枠辺FRG2の少なくとも一部と容量結合する。【選択図】図1

Description

本発明は車両用窓ガラスに関し、例えば、放送波等の無線信号を受信するアンテナを備えた車両用窓ガラスに関する。
車両のガラスには、放送波等を受信できるアンテナなど様々な機能部材が備えられている。このような放送波を受信するアンテナとして、欧州規格のDAB(Digital Audio Broadcast)のBand IIIの174MHz〜240MHzの周波数帯の電波を受信できるアンテナ導体が、車両用ガラスに配置されている例がある。例えば、特許文献1にそのようなアンテナが開示されている。
特許文献1には、フロントガラス、リアガラスまたはサイドガラスに、Band IIIおよびL−Band(1452MHz〜1492MHzの周波数帯)を含むDAB放送波用の電波を受信できる車両用ガラスアンテナが、所定パターンで配置されている例が開示されている。
特開2013−131889号公報
しかしながら、特許文献1に記載の車両用ガラスアンテナは、DAB規格のBand IIIの周波数帯で所定の利得は得られるものの十分とは言えず、さらに高い利得を有する車両用ガラスアンテナが求められている。
本発明は、該課題を解決するために、従来の車両用ガラスアンテナよりもDAB規格(特に、Band IIIの周波数帯)の放送波の電波を、高い利得で受信可能なアンテナパターンを有する車両用窓ガラスを提供することを目的とする。
一実施の形態にかかる車両用窓ガラスは、車体の金属枠に取り付けられる車両用窓ガラスであって、ガラス板と、前記ガラス板に設けられるアンテナとを備え、前記アンテナは、給電導体部と、アース導体部と、を有し、前記給電導体部は、給電用の給電電極と、前記給電電極に接続される給電側エレメントと、を有し、前記アース導体部は、アース用のアース電極と、前記アース電極に接続されて第1開放端を有するアース側エレメントと、を有し、前記金属枠は多角形状で開口し、前記金属枠が三角形状であるときにおける、最も長い辺と、2番目に長い辺の組合せ、前記金属枠が4以上の辺の数からなる前記多角形状であるときにおける、互いに接しない2つの辺の組合せ、又は、前記金属枠が4以上の辺の数からなる前記多角形状であるときにおける、互いに接する2つの辺の組合せ、を、それぞれ、第1金属枠辺、第2金属枠辺とするとき、前記アース導体部は、前記第1金属枠辺の少なくとも一部と、前記第2金属枠辺の少なくとも一部と容量結合する。
一実施の形態によれば、DAB規格(特に、Band IIIの周波数帯)の放送波の電波を、高い利得で受信可能なアンテナパターンを有する車両用窓ガラスを提供できる。
実施の形態の第1の例にかかる車両用窓ガラスの概略図である。 実施の形態の第2の例にかかる車両用窓ガラスの概略図である。 実施の形態の第3の例にかかる車両用窓ガラスの概略図である。 実施の形態の第4の例にかかる車両用窓ガラスの概略図である。 実施の形態の第5の例にかかる車両用窓ガラスの概略図である。 実施の形態の第1の例にかかる車両用窓ガラスに設けられたアンテナの垂直偏波に関する特性のグラフである。 実施の形態の第2の例にかかる車両用窓ガラスに設けられたアンテナの垂直偏波に関する特性のグラフである。 実施の形態の第3の例にかかる車両用窓ガラスに設けられたアンテナの垂直偏波に関する特性のグラフである。 実施の形態の第4の例にかかる車両用窓ガラスに設けられたアンテナの垂直偏波に関する特性のグラフである。 実施の形態の第5の例にかかる車両用窓ガラスに設けられたアンテナの垂直偏波に関する特性のグラフである。
実施の形態にかかるアンテナの構成
以下では、本発明にかかる車両用窓ガラスについて説明する。以下の説明では、窓ガラスが車両のボディに取り付けられた状態での実施の形態の説明を行う。窓ガラスは、車両ボディに取り付けられた状態では、金属枠等の枠体(以下、ボディフランジと称す)に囲まれた部分が開口部となっている。なお、ボディフランジは枠体全てが金属の場合に限らず、枠体の一部に樹脂が含まれてもよいが、以降、枠体全てが金属(金属枠)であるとして説明する。ただし、本明細書で「金属枠」とは、開口部を囲う枠体の少なくとも一部が金属である場合も含むものとする。また、窓ガラスとなるガラス板は、ボディフランジ内に埋め込まれる部分を含む。以下の説明では、ボディフランジに囲まれる開口部部分の窓ガラスを車両用窓ガラスと称す。そして、車両用窓ガラスに形成されるアンテナパターンについて説明する。また、以下で説明するアンテナは、給電電極とアース電極とが1対で用いられる、いわゆる双極タイプのアンテナである。
また、以下で説明する図面は、車両にガラス板を取り付けた状態の車両用窓ガラスを示し、図面上下方向が、車両の高さ方向となり、図面左右方向が車両の前後方向または車幅方向とする。また、車両用窓ガラスは、車両のフロントガラス、サイドガラス、リアガラスのいずれに適用してもよい。以下で説明する車両用窓ガラスは、例えば、車両のサイドガラスであり、図面左右方向が車両の前後方向(進行方向)に相当する。そして、本発明にかかる車両用窓ガラスは、非可動式の窓(いわゆる嵌め殺し窓)に採用される。特に、本実施の形態にかかる車両用窓ガラスが車両のサイドガラスである場合、車両の両サイドに同じ仕様の車両用窓ガラスを適用できる。このとき、両サイドガラスに車両用窓ガラスを取り付けた車両は、後述する第1アンテナ(ANT1)を少なくとも2つ有して、2チャンネル(以上)のダイバーシティアンテナを構成できる。
[第1の例]
実施の形態にかかる車両用窓ガラスの第1の例となる車両用窓ガラス1について説明する。図1は、第1の例にかかる車両用窓ガラス1の概略図である。図1に示す車両用窓ガラス1は、三角形状のボディフランジに囲まれた領域にガラス板GLSが設けられる。そして、ガラス板GLSには、第1アンテナANT1として、DAB(Digital Audio Broadcast)規格のBand IIIの周波数帯の放送波の電波を受信するアンテナが配置される。第1アンテナANT1は、給電導体部10及びアース導体部20を有する。そして、給電導体部10は、図1の破線で囲って示すように、給電電極11、給電側エレメント12を有する。また、アース導体部20は、図1の破線で囲って示すように、アース電極21、アース側エレメント22を有する。第1の例にかかる車両用窓ガラス1では、給電電極11、アース電極21、給電側エレメント12、アース側エレメント22は、例えば、導電性金属として銀ペーストをプリントして焼き付けることで形成できる。
また、ガラス板GLSには、標章部MRKが設けられる。標章部MRKには、ガラス板に印刷、刻印または蒸着されるトレードマーク等、所定の安全性等の規格を満たすマークが形成される、或いは、ステッカーが貼られる。なお、ガラス板への刻印は、ガラス面に粒子を吹きかけるサンドブラスト法によりガラス表面をエッチングしてマークを視認させる方法が挙げられる。
そして、図1に示すように、第1の例にかかる車両用窓ガラス1では、給電電極11とアース電極21をボディフランジに沿って上下方向に配置する。より具体的には、給電電極11とアース電極21とは、水平方向に対して略直交方向のボディフランジの辺に沿って、所定の間隔で配置され、給電電極11がアース電極21よりも上方に配置される。なお、給電電極11とアース電極21のいずれが上方に配置されるかは、各電極に接続されるアンテナに接続されるアンプ等の回路に設けられるコネクタの配線により決定される場合がある。車両用窓ガラス1について、給電電極11がアース電極21よりも上方に配置されると、当該第1アンテナに、例えばアンプ等(不図示)を介して、フィーダ線(不図示)を結線する時、車両下側から上側に向かって結線できる。そのため、車内側が結露した場合、水滴が当該フィーダ線を伝わって、当該アンプ及び当該第1アンテナ側への侵入防止の効果が期待できる。また、アース電極21は、フィーダ線(不図示)等によりボディにアースされる。図1に示す給電電極11及びアース電極21は、矩形状の導体パターンであるが、円形や他の多角形などの他の形状でもよい。
給電側エレメント12は、給電電極11に接続される。そして、給電側エレメント12は、給電電極11に最も近いボディフランジの辺(第3金属枠辺FRG3)とは反対側の水平方向に延伸する部分を有するように形成される。給電側エレメント12において給電電極11と接していない側の端部は開放端となる。なお、給電側エレメント12は、少なくとも1つの開放端を有すればよく、1つのみの開放端を有してもよい。給電側エレメント12は、給電電極11から水平方向とは異なる方向で、給電電極11と接続する(不図示の)引出し線を有し、該引出し線の端部から水平方向に延伸する部分を有してもよい。さらに、給電側エレメント12は、水平方向に延伸する給電電極11とは反対側の端部(図1の右端)と接続して、水平方向とは異なる方向に延伸する(不図示の)エレメントが開放端を含んでもよい。また、車両用窓ガラス1において、給電側エレメント12は、ボディフランジと容量結合しないように配置される。つまり、後述するように、給電側エレメント12とボディフランジとの距離は30mm超であるとよい。
ここで、アンテナのパターン(例えば、アース側エレメント22)とボディフランジが容量結合するとは具体的に、アンテナのパターンとボディフランジとの距離が30mm以下となる場合である。アンテナのパターンとボディフランジとの距離が30mm以下であると、アンテナの特性に有効に作用する程度の寄生容量がアンテナのパターンとボディフランジとの間に形成される。また、アンテナパターンとボディフランジとが容量結合する距離は、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。なお、アンテナパターンとボディフランジとが容量結合する距離の下限は、0mm超であればよく、例えば、3mm以上が好ましい。
アース側エレメント22は、アース電極21に接続される。そして、アース側エレメント22は、アース電極21との接続点であるa1点から図面下方に向かって延伸し、ボディフランジの手前のa2点で水平方向に向きを変えるように形成される。アース側エレメント22は、a2点からa3点までボディフランジ(第2金属枠辺FRG2)に沿って水平方向に延伸したあと、a3点で図面上方に向かってa4点まで延伸する。アース側エレメント22は、a4点で向きを変え、ボディフランジ(第1金属枠辺FRG1)に沿ってa5点まで延伸する。そして、アース側エレメント22は、a5点で再び向きを変え、ボディフランジ(第3金属枠辺FRG3)に沿って図面下方向に位置するa6点まで延伸する。a6点は第1の開放端となる。なお、図1に示す車両用窓ガラス1におけるアース側エレメント22は、後述する所定の長さ(全長)を満たせば、例えば、a5点からa6点まで延伸する部分を含まなくてもよい。
ここで、図1に示すように、アース側エレメント22は、アース電極21を起点に給電側エレメント12を囲むように形成される。また、図1に示すように、第1の例にかかる車両用窓ガラス1では、標章部MRKが設けられるが、標章部MRKは、アース側エレメント22により囲まれる領域の外側に配置される。なお、標章部MRKの位置は、アース側エレメント22の内側に配置されてもよい。さらに、アース側エレメント22は、アース電極21を起点に給電側エレメント12を反時計回りに囲む配置であるが、後述する第2の例のように時計回りに囲む配置でもよい。
ここで、給電側エレメント12及びアース側エレメント22の寸法について説明する。まず、給電側エレメント12の長さLは、受信する信号の周波数帯の電波における空気中の中心周波数の波長をλ、ガラス板GLSの波長短縮率をk、としたとき(1a)式の関係を満たす長さに設定するとよい。
≦(1/4)×λ×k ・・・ (1a)
この長さLは、例えば、DABのBand III帯(174MHz〜240MHz)の電波を受信できる長さに設定する。なお、DABのBand III帯の電波における空気中の中心周波数の波長λは、1448mmであり、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64とすると給電側エレメント12の長さLは、約232mm以下に設定するとよい。
また、給電側エレメント12の長さLは、(1b)式を満たすと好ましく、(1c)式を満たすとより好ましい。
≦0.9×(1/4)×λ×k ・・・ (1b)
≦0.8×(1/4)×λ×k ・・・ (1c)
このとき、給電側エレメント12の長さLは、一例としては150mm程度である。
次に、アース側エレメント22の長さについて説明する。まず、アース側エレメント22のa1点からa6点(第1開放端)までの長さLG1は、受信する信号の周波数帯の電波における空気中の中心周波数の波長をλ、ガラス板GLSの波長短縮率をk、としたとき(2a)式の関係を満たす長さに設定するとよい。
(1/2)×λ×k≦LG1≦λ×k×1.3 ・・・ (2a)
この長さLG1は、例えば、DABのBand III帯(174MHz〜240MHz)の電波を受信できる長さに設定する。なお、DABのBand III帯の電波における空気中の中心周波数の波長λは、1448mmであり、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64とするとアース側エレメント22の長さLG1は、約463mm以上、約1206mm以下に設定するとよい。
また、アース側エレメント22の長さLG1は、(2b)式を満たすと好ましく、(2c)式を満たすとより好ましい。
1.1×(1/2)×λ×k≦LG1≦λ×k×1.2 ・・・ (2b)
1.2×(1/2)×λ×k≦LG1≦λ×k×1.1 ・・・ (2c)
このとき、アース側エレメント22の長さLG1は、一例としては725mm程度である。
そして、図1に示すボディフランジは、ガラス板GLSの平面視で三角形状であり、三角形の最も長い辺を第1金属枠辺FRG1、2番目に長い辺を第2金属枠辺FRG2とする。また、図1に示すボディフランジにおいて、三角形の最も短い辺を第3金属枠辺FRG3とする。このとき、アース側エレメント22は、第1金属枠辺FRG1の少なくとも一部と、第2金属枠辺FRG2の少なくとも一部と容量結合するように配置する。さらに、アース側エレメント22は、第3金属枠辺FRG3の少なくとも一部と容量結合するように配置してもよい。図1に示す例では、アース側エレメント22のうち、a2点からa3点までの部分が第2金属枠辺FRG2と容量結合し、a4点からa5点までの部分が第1金属枠辺FRG1と容量結合する。また、アース側エレメント22のうち、a3点からa4点までの部分は、ボディフランジとは容量結合しない。そして、アース側エレメント22のうち、a3点からa4点までの部分は、第2金属枠辺FRG2側に位置するa3点と第1金属枠辺FRG1側に位置するa4点とを接続する接続エレメントとして機能する。
また、アース側エレメント22は、第1金属枠辺FRG1の少なくとも一部と、第2金属枠辺FRG2の少なくとも一部と容量結合して、全長LG1の半分以上がボディフランジと容量結合するように配置されるとよい。つまり、アース側エレメント22は、三角形の最も長い第1金属枠辺FRG1と、2番目に長い第2金属枠辺FRG2に容量結合させるようにすると、全長LG1の半分以上をボディフランジに容量結合できる配置自由度を高められる。また、アース側エレメント22は、第3金属枠辺FRG3の少なくとも一部と容量結合するように配置してもよく、この場合、全長LG1の半分以上をボディフランジに容量結合できる配置自由度をより高められる。さらに、アース側エレメント22は、全長LG1の2/3以上がボディフランジと容量結合する配置が好ましく、全長LG1の3/4以上がボディフランジと容量結合する配置がより好ましい。また、上記のように、アース側エレメント22の全長LG1は、上記(2a)式を満たす長さに設定するとよく、上記(2b)式を満たすと好ましく、上記(2c)式を満たすとより好ましい。なお、アース側エレメント22は、窓ガラスとなるガラス板GLSの視界をより広く見せるために出来るだけボディフランジに沿った部分に配置するとよい。
なお、第1の例にかかる車両用窓ガラス1のガラス板GLSの大きさは、例えば、幅が500mm程度、高さが300mm程度の大きさのものが挙げられる。このようなガラス板GLS、ボディフランジの開口部(ガラス板GLSの平面視において金属枠で囲まれた部分)の大きさの場合、アース側エレメント22の全長LG1よりも金属枠の一辺の長さが短い。また、車両用窓ガラス1、ボディフランジの開口部(金属枠)の形状としては、三角形に限られず、四角形や五角形以上の多角形でもよい。そして、ボディフランジの開口部の面積としては、給電側エレメント12及びアース側エレメント22を十分に配置可能な面積である0.04m以上であればよく、0.05m以上が好ましく、0.06m以上がより好ましい。また、ボディフランジの開口部の面積は、上述した(2a)式の寸法範囲でアース側エレメントを設計する観点の理由から、0.25m以下であればよい。
[第2の例]
第2の例では、第1の例にかかる車両用窓ガラス1とは別の形態のアンテナパターンを有する車両用窓ガラス2について説明する。なお、第2の例の説明において第1の例で説明した構成要素と同じ構成要素については第1の例と同じ符号を付して説明を省略する。
図2は、第2の例にかかる車両用窓ガラス2の概略図である。図2に示すように、第2の例にかかる車両用窓ガラス2は、アース導体部20に代えてアース導体部30を有する。アース導体部30は、アース電極31及びアース側エレメント32を有する。アース電極31は、アース電極21と実質的に同じである。アース側エレメント32は、アース電極を起点として、少なくとも一部が時計回りでボディフランジに沿って形成される。なお、アース側エレメント32においても、一部(例えば、図2のb6点からb7点の部分)は、ボディフランジから離れるように配置してもよい。
より具体的には、アース電極31とアース側エレメント32との接続となるb1点からアース電極31に最も近いボディフランジの辺(第3金属枠辺FRG3)に向かってアース側エレメント32が配置される。そして、アース側エレメント32は、ボディフランジの手前のb2点で向きを変え、上下方向に延伸する第3金属枠辺FRG3に沿って下方から上方(b3点)に向かって配置される。b3点は、給電電極11よりも上方に位置する。続いて、アース側エレメント32は、第3金属枠辺FRG3から離れる方向にb3点からb4点まで配置される。アース側エレメント32は、b4点から第3金属枠辺FRG3に沿って下方から上方に向かってb5点まで配置される。また、アース側エレメント32は、b5点から第1金属枠辺FRG1に沿ってb6点まで配置される。アース側エレメント32は、b6点で向きを変え、上方から下方に向かってb7点まで配置される。そして、アース側エレメント32は、b7点からb8点に向かって第2金属枠辺FRG2に沿って配置される。なお、アース側エレメント32は、b2点からb5点に向かって、b3点およびb4点を経由してクランク状に折れ曲がった経路で配置されているが、b2点からb5点に向かって第3金属枠辺FRG3に沿って(クランク状の形状を有さずに)直線状に延伸したり、曲線状に延伸する部分を含んで延伸したりする配置でもよい。
ここで、第2の例では、アース側エレメント32のうち、b2点からb3点の間のエレメントは、ボディフランジ(図2の第3金属枠辺FRG3)と給電電極11との間を延伸するように配置され、第3金属枠辺FRG3と容量結合してもよい。また、図2に示す例では、b1点からb4点までの導体をアース側エレメント32としたが、この導体はアース電極31と一体に形成されてもよい。例えば、アース電極31が、(四角形状の)給電電極11の3辺方向を囲むように、アース側エレメント32よりも幅広の導体により形成されてもよい。つまり、アース電極31が、b1点からb4点までの部分を含む場合がある。このようなことから、第2の例では、アース電極31とアース側エレメント32とを含むアース導体部30が、給電電極11と第3金属枠辺FRG3との間を延伸する導体を含むと捉えることができる。なお、ここでいう「導体」はアース電極31の少なくとも一部、又は、アース側エレメント32の一部に相当する。
また、第2の例では、給電電極11とボディフランジとの間を延伸するアース導体部30(アース電極31またはアース側エレメント32の一部)は、給電電極11及びボディフランジ(第3金属枠辺FRG3)の両方と容量結合する。車両用窓ガラス2は、第2の例のようにすることで、第1の例と比べると、給電電極11とアース電極31の容量結合が高まり、その結果、給電側エレメント12は、インピーダンス低下の効果を奏し、アンテナが受信する周波数帯の利得を高められる。
さらに、第2の例にかかる車両用窓ガラス2においても、第1の例にかかる車両用窓ガラス1と同様に所定の周波数帯(例えば、DABのBand III)に対応した電波において、高い利得が得られる。また、第2の例にかかる車両用窓ガラス2においてもアース側エレメント32はボディフランジに沿って形成され、アース側エレメント32の全長LG1の半分以上をボディフランジに容量結合できるため、窓ガラスとしてより広い視界を確保できる。また、アース側エレメント32は、全長LG1の2/3以上がボディフランジと容量結合する配置が好ましく、全長LG1の3/4以上がボディフランジと容量結合する配置がより好ましい。
[第3の例]
第3の例では、第1の例にかかる車両用窓ガラス1とは別の形態のアンテナパターンを有する車両用窓ガラス3について説明する。なお、第3の例の説明において第1の例で説明した構成要素と同じ構成要素については第1の例と同じ符号を付して説明を省略する。
図3は、第3の例にかかる車両用窓ガラス3の概略図である。図3に示すように、第3の例にかかる車両用窓ガラス3は、給電導体部10に代えて給電導体部40を有する。給電導体部40は、給電電極41及び給電側エレメント42を有する。給電電極41は、給電電極11と実質的に同じである。給電側エレメント42は、給電電極41に接続される。そして、給電側エレメント42は、ボディフランジから離れる水平方向で、給電電極41との接続点であるd1点からd2点まで延伸する。そして、給電側エレメント42は、d2点で上方に向かって向きを変え開放端となるd3点まで、第3金属枠辺FRG3に沿って延伸する。なお、給電側エレメント42は、ボディフランジと容量結合しない位置に配置される。
また、第3の例にかかる車両用窓ガラス3では、アース導体部20に代えてアース導体部50を有する。アース導体部50は、アース電極51及びアース側エレメント52を有する。アース電極51は、アース電極21と実質的に同じである。アース側エレメント52は、アース電極51に対応するc1点からc5点までのアース側メインエレメント52aに加え、c3点においてアース側メインエレメント52aから分岐し、c6点に至る部分にアース側補助エレメント52bが配置される。
アース側メインエレメント52aは、アース電極51に接続される。そして、アース側メインエレメント52aは、アース電極51との接続点であるc1点から図面下方に向かって第3金属枠辺FRG3に沿って延伸し、第2金属枠辺FRG2の手前のc2点で水平方向に向きを変えるように形成される。アース側メインエレメント52aは、c2点からc3点まで第2金属枠辺FRG2に沿って水平方向に延伸したあと、c3点で図面上方に向かってc4点まで延伸する。アース側メインエレメント52aは、c4点で向きを変え、第1金属枠辺FRG1に沿って第1開放端となるc5点まで延伸する。なお、アース側メインエレメント52aは、第1開放端がc5点に位置する場合に限らず、c5点を起点にFRG1から離れる方向に延伸する(不図示の)エレメントを有して、当該エレメントの(c5点と反対側の)先端を第1開放端としてもよい。
また、アース側エレメント52は、c3点で、c4点方向に延伸するアース側メインエレメント52aと分岐するように設けられるアース側補助エレメント52bを配置する。そして、アース側補助エレメント52bは、第2金属枠辺FRG2に沿って第2開放端となるc6点まで延伸する。言い換えると、c3点は、アース側メインエレメント52aとアース側補助エレメント52bとの分岐点である。ここで、図3に示すように、第3の例にかかる車両用窓ガラス3では、アース側補助エレメント52bと第1金属枠辺FRG1とで囲まれる領域に標章部MRKが設けられるが、これ以外の領域に設けられてもよい。また、アース側メインエレメント52aは、全長LG1の半分以上がボディフランジと容量結合する配置であればよく、全長LG1の2/3以上がボディフランジと容量結合する配置が好ましく、全長LG1の3/4以上がボディフランジと容量結合する配置がより好ましい。
ここで、図3に示した第3の例にかかる車両用窓ガラス3において、この給電側エレメント42の長さ(L)と、アース側メインエレメント52aの長さ(LG1)は、それぞれ、第1の例で説明した(1a)式及び(2a)式を少なくとも満たすように設定するとよい。また、アース側補助エレメント52bの長さLG2(c3点からc6点までの長さ)は、受信する信号の周波数帯の電波における空気中の中心周波数の波長をλ、ガラス板GLSの波長短縮率をk、としたとき(3a)式の関係を満たす長さに設定するとよい。
G2≦(1/2)×λ×k×0.7 ・・・ (3a)
この長さLG2は、例えば、DABのBand III 帯(174MHz〜240MHz)の電波を受信できる長さに設定する。なお、DABのBand III帯の電波における空気中の中心周波数の波長λは、1448mmであり、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64とするとアース側補助エレメント52bの長さLG2は、約324mm以下に設定するとよい。
また、アース側補助エレメント52bの長さLG2は、(3b)式を満たすと好ましく、(3c)式を満たすとより好ましい。
G2≦0.9×(1/2)×λ×k×0.7 ・・・ (3b)
G2≦0.8×(1/2)×λ×k×0.7 ・・・ (3c)
このとき、アース側補助エレメント52bの長さLG2は、一例としては100mm程度である。さらに、アース側補助エレメント52bは、少なくとも一部が、ボディフランジと容量結合していればよく、全長LG2の半分以上がボディフランジと容量結合する配置が好ましく、全長LG2の2/3以上がボディフランジと容量結合する配置がより好ましく、全長LG2の3/4以上がボディフランジと容量結合する配置がさらに好ましく、全長LG2がボディフランジと容量結合する配置が最も好ましい。
[第4の例]
第4の例では、第1の例にかかる車両用窓ガラス1とは別の形態のアンテナパターンを有する車両用窓ガラス4について説明する。なお、第4の例の説明において第1の例で説明した構成要素と同じ構成要素については第1の例と同じ符号を付して説明を省略する。
図4は、第4の例にかかる車両用窓ガラスの概略図である。第4の例にかかる車両用窓ガラス4は、略四角形状の開口部を有するボディフランジにはめ込まれるガラス板GLSを有する。なお、開口部の形状は、四角形状に限られず、五角形状、六角形状などの多角形状でもよい。また、略四角形状とは、例えば、隣り合う辺どうしが接続されてできる角部が曲線であっても概略的に四角形状としてみなせれば、その形状も含む。このことは、前述の三角形状や、五角形状、六角形状にも当てはまる。そして、第4の例では、互いに接しない2つの辺の組合せを第1金属枠辺FRG1及び第2金属枠辺FRG2とする。図4に示す例では、ボディフランジの辺のうち最も長い辺を第1金属枠辺FRG1とし、第1金属枠辺FRG1と対向するとともに2番目に長い辺を第2金属枠辺FRG2とした。さらに、ボディフランジの辺のうち、3番目に長い辺を第3金属枠辺FRG3とし、最も短い辺を第4金属枠辺FRG4とした。
そして、第4の例にかかる車両用窓ガラス4では、給電導体部10に代えて給電導体部60を有する。給電導体部60は、給電電極61及び給電側エレメント62を有する。給電電極61は、給電電極11と実質的に同じである。給電側エレメント62は、給電電極61に接続される。そして、ボディフランジから離れるように、給電電極61から水平方向に延伸してから、下方から上方に向かって第3金属枠辺FRG3に沿って延伸するように配置される。また、給電側エレメント62の開放端側では、第2金属枠辺FRG2に沿って湾曲する部分が配置される。
また、第4の例にかかる車両用窓ガラス4は、アース導体部20に代えてアース導体部70を有する。アース導体部70は、アース電極71及びアース側エレメント72が設けられる。アース側エレメント72は、アース電極71に対応するe1点からe5点までのアース側メインエレメント72aに加え、e4点においてアース側メインエレメント72aから分岐し、e6点に至る部分にアース側補助エレメント72bが配置される。アース側メインエレメント72aは、アース電極71に一端が接続され、他端が第1開放端となる。また、アース側補助エレメント72bの開放端(図4のe6点)が第2開放端となる。
より具体的には、アース側メインエレメント72aは、アース電極71との接続点であるe1点を基点にボディフランジから離れるように水平方向にe2点まで延伸する。アース側メインエレメント72aは、e2点から下方に延伸し、緩やかに向きを変えながら第1金属枠辺FRG1に沿って水平方向にe3点まで延伸する。アース側メインエレメント72aは、e3点で図面上方に向かってe4点まで延伸する。さらに、アース側メインエレメント72aは、e4点で向きを変え、第2金属枠辺FRG2に沿って第1開放端となるe5点まで延伸する。
また、アース側エレメント72は、e4点でe5点方向に延伸するアース側メインエレメント72aと分岐するように設けられるアース側補助エレメント72bを配置する。そして、アース側補助エレメント72bは、第2金属枠辺FRG2及び、第2金属枠辺FRG2と第1金属枠辺FRG1とを接続する第4金属枠辺FRG4及び第1金属枠辺FRG1に沿って、分岐点となるe4点から第2開放端となるe6点まで延伸する。言い換えると、e4点は、アース側メインエレメント72aとアース側補助エレメント72bとの分岐点である。なお、図4に示すように、第4の例にかかる車両用窓ガラス3では、アース側エレメント72に囲まれる領域に標章部MRKが設けられるが、これ以外の領域に設けられてもよい。また、アース側メインエレメント72aは、全長LG1の半分以上がボディフランジと容量結合する配置であればよく、全長LG1の2/3以上がボディフランジと容量結合する配置が好ましく、全長LG1の3/4以上がボディフランジと容量結合する配置がより好ましい。
ここで、図4に示した第4の例にかかる車両用窓ガラス4において、給電側エレメント62の長さL、アース側エレメント72のうち、アース側メインエレメント72aの長さLG1(e1点からe5点までの長さ)、およびアース側補助エレメント72bの長さLG2(e4点からe6点までの長さ)は、それぞれ、前述の(1a)式、(2a)式、および(3a)式を少なくとも満たすように設定するとよい。一例としては、給電側エレメント62の長さLは203mm、アース側メインエレメント72aの長さLG1は788mm、アース側補助エレメント72bの長さLG2は215mmに設定できる。さらに、アース側補助エレメント72bは、少なくとも一部が、ボディフランジと容量結合していればよく、全長LG2の半分以上がボディフランジと容量結合する配置が好ましく、全長LG2の2/3以上がボディフランジと容量結合する配置がより好ましく、全長LG2の3/4以上がボディフランジと容量結合する配置がさらに好ましく、全長LG2がボディフランジと容量結合する配置が最も好ましい。
[第5の例]
第5の例では、第1の例にかかる車両用窓ガラス1とは別の形態のアンテナパターンを有する車両用窓ガラス5について説明する。なお、第5の例の説明において第1の例で説明した構成要素と同じ構成要素については第1の例と同じ符号を付して説明を省略する。
図5は、第5の例にかかる車両用窓ガラス5の概略図である。第5の例にかかる車両用窓ガラス5は、略四角形状の開口部を有するボディフランジにはめ込まれるガラス板GLSを有する。また、第5の例にかかる車両用窓ガラス5では、アース導体部20に代えてアース導体部80を有する。そして、給電導体部10及びアース導体部80により構成されるアンテナを第1アンテナANT1とした上で、第2アンテナANT2として第2アンテナ配置領域90を設ける。なお、第2アンテナ配置領域には、第1アンテナANT1が受信する周波数帯と同じ周波数帯の電波、または異なる周波数帯の電波を受信できる第2アンテナANT2を配置できる。例えば、第2アンテナANT2は、第1アンテナANT1が受信する周波数帯よりも低い周波数帯のうち少なくとも1つを受信できてもよい。この場合、第2アンテナANT2は、例えば、FM放送波の周波数帯やAM放送波の周波数帯のいずれか1つの電波を受信できてもよく、これら両方の周波数帯の電波を受信できてもよい。
また、第5の例では開口部が略四角形を構成する4辺のうち、互いに接する2つの辺の組合せを第1金属枠辺FRG1及び第2金属枠辺FRG2とする。図5に示す例では、下側に水平方向に延伸するボディフランジの辺を第1金属枠辺FRG1とし、図面右側において第1金属枠辺FRG1と接する辺を第2金属枠辺FRG2とした。
そして、第5の例にかかる車両用窓ガラス5では、第1の例にかかる給電導体部10を有する。一方、第5の例にかかる車両用窓ガラス5では、アース導体部20に代えてアース導体部80を有する。アース電極81は、アース電極21と実質的に同じである。アース側エレメント82は、アース電極81に一端が接続され、他端が第1開放端となる。
より具体的には、アース側エレメント82は、アース電極81との接続点であるf1点を基点にボディフランジから離れるように水平方向にf2点まで延伸する。アース側エレメント82は、f2点から下方に延伸し、緩やかに向きを変えながら第1金属枠辺FRG1及び第2金属枠辺FRG2に沿って開放端となるf3点まで延伸する。このように、アース側エレメント82を第1金属枠辺FRG1及び第2金属枠辺FRG2に沿って配置することで、第1アンテナANT1、すなわち、給電側エレメント12及びアース側エレメント82が配置されない連続した広い領域を確保しやすくなる。これにより、当該領域(第2アンテナ配置領域90)には、第2アンテナANT2を配置する自由度が高くなる。なお、第2アンテナANT2は、不図示の、給電電極及び第2アンテナエレメントを有するが、さらに不図示のアース電極を有してもよい。第2アンテナエレメントは、1つまたは複数の周波数帯の電波を受信するようなパターンで第2アンテナ配置領域90に配置するとよい。
ここで、上記実施の形態で説明したアンテナパターンを用いた場合のアンテナ特性の評価結果の一例について図6〜図10を用いて説明する。
(実施例1)
実施例1は、第1の例にかかる車両用窓ガラス1の具体例であり、DAB規格のBand III放送波の電波を受信する仕様とした。なお、以降の実施例(実施例2〜実施例5)についても、DAB規格のBand III放送波の電波を受信する仕様とした。実施例1にかかる車両用窓ガラス1の給電側エレメント12は、給電電極11側にあるボディフランジ(第3金属枠辺FRG3)から離れるように、水平方向に150mmとした。このとき、給電側エレメント12の長さLは、中心周波数の波長λ=1448mm、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64であり、L≒0.16×λ×kの関係であった。また、給電電極11及びアース電極21は、約18mm×約17mmの略四角形状で、給電電極11がアース電極21より上方に約21mm離れて配置した。さらに、ボディフランジの開口部の面積は、0.06mであった。
また、実施例1にかかる車両用窓ガラス1のアース側エレメント22の形状は、a1点からa2点の長さを100mm、a2点からa3点の長さを170mm、a3点からa4点の長さを135mm、a4点からa5点の長さを250mm、a5点からa6点の長さを70mmとした。このとき、アース側エレメント22の長さLG1は、725mmであり、中心周波数の波長λ=1448mm、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64であり、LG1≒0.8×λ×kの関係であった。また、アース側エレメント22の形状の一例として、ボディフランジと容量結合する部分について、アース側エレメント22のうちa2点からa3点の部分と第2金属枠辺FRG2との距離を15mm、a4点からa5点の部分と第1金属枠辺FRG1との距離を15mm、とし、アース側エレメント22は、全長の半分以上の長さでボディフランジと容量結合させた。
実施例1(図6)が示すアンテナ利得(ゲイン)の数値は、水平面内の車両全周範囲において所定の角度毎に測定されたアンテナ利得の平均値を示す。以降の実施例(実施例2〜実施例5)についても同様の条件でアンテナ利得の平均値を測定した。具体的に、図6は、実施例1におけるアンテナの垂直偏波に関して測定したアンテナ利得のグラフである。図6に示すように、実施例1では、所望周波数帯であるDAB規格のBand III(174MHz〜240MHz)の全域の電波にわたって4dBd〜12dBd程度の利得が得られた。また、実施例1では、利得のピークは、228MHz付近で12dBdを超えている。参考として、特許文献1に記載のDAB規格のBand IIIの周波数帯におけるアンテナ利得(図24)を参照すると、0dBd〜5dBdとなっている。つまり、本実施例では、所定周波数帯の全域の電波にわたって良好な利得特性が得られた。
(実施例2)
実施例2は、第2の例にかかる車両用窓ガラス2の具体例である。実施例2にかかる車両用窓ガラス2の給電電極11とアース電極31の形状とこれらの間隔、給電側エレメント12の形状及びボディフランジの開口部の面積は、実施例1と同じである。また、実施例2にかかる車両用窓ガラス2のアース側エレメント32の形状は、b1点からb2点の長さを5mm、b2点からb3点の長さを60mm、b3点からb4点の長さを15mm、b4点からb5点の長さを140mm、b5点からb6点の長さを240mm、b6点からb7点の長さを140mm、b7点からb8点の長さを60mmとした。このとき、アース側エレメント32の長さLG1は、660mmであり、中心周波数の波長λ=1448mm、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64であり、LG1≒0.7×k×λの関係であった。また、アース側エレメント32の形状として、ボディフランジと容量結合する部分について、b5点からb6点のアース側エレメント32と第1金属枠辺FRG1との距離を15mm、b7点からb8点のアース側エレメント32と第2金属枠辺FRG2との距離を15mm、とした。
具体的に、図7は、実施例2におけるアンテナの垂直偏波に関して測定したアンテナ利得のグラフである。図7に示すように、実施例2では、DAB規格のBand IIIにおける低周波数帯域側で実施例1よりも高いアンテナ利得となり、高周波数帯域側で実施例1よりも低いアンテナ利得であった。つまり、実施例2は、実施例1に比べて、所定周波数帯域の電波に対するアンテナ利得がより平坦な特性となった。また、実施例2は、所定周波数帯(174MHz〜240MHz)の全域の電波にわたって6dBd〜10dBd程度の利得が得られた。また、本実施例では、アンテナ利得のピークは、234MHz付近で10dBdを超えた。
(実施例3)
実施例3は、第3の例にかかる車両用窓ガラス3の具体例である。実施例3にかかる車両用窓ガラス3の給電電極41とアース電極51の形状とこれらの間隔、及びボディフランジの開口部の面積は、実施例1と同じである。実施例3にかかる車両用窓ガラス3の給電側エレメント42は、d1点からd2点の長さを20mm、d2点からd3点の長さを150mmとした。このとき、給電側エレメント42の長さLは、170mmであり、中心周波数の波長λ=1448mm、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64であり、L≒0.18×λ×kの関係であった。
また、アース側エレメント52のうち、アース側メインエレメント52aは、c1点からc2点の長さを50mm、c2点からc3点の長さを280mm、c3点からc4点の長さを105mm、c4点からc5点の長さを255mmとした。このとき、アース側メインエレメント52aの長さLG1は、690mmであり、中心周波数の波長λ=1448mm、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64であり、LG1≒0.7×k×λの関係であった。さらに、アース側エレメント52のうち、アース側補助エレメント52bは、c3点からc6点の長さ(LG2)を100mmとした。このとき、アース側補助エレメント52bの長さLG2は、LG2≒0.1×k×λの関係であった。
また、実施例3は、c2点からc3点までのアース側メインエレメント52aと第2金属枠辺FRG2との距離、c3点からc6点までのアース側補助エレメント52bと第2金属枠辺FRG2との距離、及び、c4点からc5点までのアース側メインエレメント52aと第1金属枠辺FRG1との距離を15mmとした。上記構成とすることで、アース側メインエレメント52aは、全長LG1の半分以上の長さでボディフランジと容量結合させ、アース側補助エレメント52bは、全長LG2の全てでボディフランジと容量結合させた。
具体的に、図8は、実施例3におけるアンテナの垂直偏波に関して測定したアンテナ利得のグラフである。なお、図8では、アース側エレメント52のうち、アース側補助エレメント52bの有無の違いによるアンテナ利得の特性の違いを示した。
図8に示すように、実施例3では、アース側エレメント52のアース側補助エレメント52bを設けることでDAB規格のBand IIIにおける低周波数帯域側の電波のアンテナ利得をより高くでき、所定周波数帯域の電波に対するアンテナ利得が平坦な特性となった。また、実施例3は、所定周波数帯(174MHz〜240MHz)の全域の電波にわたって5dBd〜10dBd程度の利得が得られた。また、実施例3では、利得のピークは、225MHz付近で10dBdを超えた。このように、実施例3においても、実施例1と同様にDABのBand IIIに対応した電波において、高い利得が得られた。
(実施例4)
実施例4は、第4の例にかかる車両用窓ガラス4の具体例である。実施例4にかかる車両用窓ガラス4の給電電極61とアース電極71の形状とこれらの間隔は実施例1と同じであり、ボディフランジの開口部の面積は、0.12mであった。実施例4にかかる車両用窓ガラス4の給電側エレメント62の長さLは203mmであり、中心周波数の波長λ=1448mm、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64であり、L≒0.22×λ×kの関係であった。
また、アース側エレメント72のうち、アース側メインエレメント72aは、e1点からe2点の長さを20mm、e2点からe3点の長さを382mm、e3点からe4点の長さを142mm、e4点からe5点の長さを244mmとした。このとき、アース側メインエレメント72aの長さLG1は、788mmであり、中心周波数の波長λ=1448mm、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64であり、LG1≒0.9×k×λの関係であった。さらに、アース側エレメント72のうち、アース側補助エレメント72bのe4点からe6点までの長さ(LG2)を、215mmとした。このとき、アース側補助エレメント72bの長さLG2は、LG2≒0.3×k×λの関係であった。
また、実施例4は、e2点からe3点までのアース側メインエレメント72aのうち第1金属枠辺FRG1と並走する距離、及び、e4点からe5点までのアース側メインエレメント72aと第2金属枠辺FRG2との距離を20mmとした。さらに、実施例4は、e4点からe6点までのアース側補助エレメント72bと、第2金属枠辺FRG2、第4金属枠辺FRG4及び第1金属枠辺FRG1との距離を25mmとした。上記構成とすることで、アース側メインエレメント72aは、全長LG1の半分以上の長さでボディフランジと容量結合させ、アース側補助エレメント72bは、全長LG2の全てでボディフランジと容量結合させた。
具体的に、図9は、実施例3におけるアンテナの垂直偏波に関する特性を測定したアンテナ利得のグラフである。
図9に示すように、実施例4では、DAB規格のBand IIIにおける低周波数帯域側の電波で実施例1よりも高いアンテナ利得となり、高周波数帯域側の電波で実施例1よりも低いアンテナ利得であった。つまり、実施例4は、実施例1に比べて、所定周波数帯域に対するアンテナ利得がより平坦な特性となった。また、実施例4は、所定周波数帯(174MHz〜240MHz)の全域の電波にわたって7dBd〜10dBd程度の範囲の高い利得が得られた。
(実施例5)
実施例5は、第5の例にかかる車両用窓ガラス5の具体例である。実施例5にかかる車両用窓ガラス5の給電電極11とアース電極81の形状とこれらの間隔、及びボディフランジの開口部の面積は、実施例4と同じである。実施例5にかかる車両用窓ガラス5の給電側エレメント12の長さLは155mmであり、中心周波数の波長λ=1448mm、ガラス板GLSの波長短縮率k=0.64であり、L≒0.17×λ×kの関係であった。また、アース側エレメント82の長さ(LG1)を905mmとした。なお、アース側エレメント82は、f1点からf2点の長さを35mm、f2点からf3点の長さを870mmとした。このとき、アース側エレメント82の長さLG1は、LG1≒1.0×k×λの関係であった。
また、実施例5は、f2点からf3点までのアース側エレメント82と第1金属枠辺FRG1と並走する部分及び第2金属枠辺FRG2との距離を15mmとした。上記構成とすることで、アース側エレメント82は、全長の半分以上の長さでボディフランジと容量結合させた。
具体的に、図10は、実施例5におけるアンテナの垂直偏波に関する特性を測定したアンテナ利得のグラフである。
図10に示すように、実施例5では、DABのBand IIIに対応する周波数帯域の全体の電波にわたって2dBd〜10dBd程度の利得が得られた。また、実施例5では、利得のピークは、213MHz付近で10dBdを超えた。このように、実施例5においても、実施例1と同様にDABのBand IIIに対応した周波数帯域の電波において、高い利得が得られた。また、実施例5では、1枚のガラス板GLS上にDABのBand IIIの周波数帯の電波に対応した第1アンテナと、FM放送波の周波数帯(76MHz〜108MHz)の電波に対応した第2アンテナを第2アンテナ配置領域90に配置して、FM放送波の電波を受信できた。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
1〜5 車両用窓ガラス
10 給電導体部
11 給電電極
12 給電側エレメント
20 アース導体部
21 アース電極
22 アース側エレメント
30 アース導体部
31 アース電極
32 アース側エレメント
40 給電導体部
41 給電電極
42 給電側エレメント
50 アース導体部
51 アース電極
52 アース側エレメント
52a アース側メインエレメント
52b アース側補助エレメント
60 給電導体部
61 給電電極
62 給電側エレメント
70 アース導体部
71 アース電極
72 アース側エレメント
72a アース側メインエレメント
72b アース側補助エレメント
80 アース導体部
81 アース電極
82 アース側エレメント
90 第2アンテナ配置領域
FRG1 第1金属枠辺
FRG2 第2金属枠辺
FRG3 第3金属枠辺
FRG4 第4金属枠辺
GLS ガラス板
MRK 標章部
ANT1 第1アンテナ
ANT2 第2アンテナ

Claims (18)

  1. 車体の金属枠に取り付けられる車両用窓ガラスであって、
    ガラス板と、
    前記ガラス板に設けられる第1アンテナと、を備え、
    前記第1アンテナは、給電導体部と、アース導体部と、を有し、
    前記給電導体部は、給電用の給電電極と、前記給電電極に接続される給電側エレメントと、を有し、
    前記アース導体部は、アース用のアース電極と、前記アース電極に接続されて一端に第1開放端を有するアース側エレメントと、を有し、
    前記金属枠は多角形状で開口し、
    前記金属枠が三角形状であるときにおける、最も長い辺と、2番目に長い辺の組合せ、
    前記金属枠が4以上の辺の数からなる前記多角形状であるときにおける、互いに接しない2つの辺の組合せ、
    又は、
    前記金属枠が4以上の辺の数からなる前記多角形状であるときにおける、互いに接する2つの辺の組合せ、
    を、それぞれ、第1金属枠辺、第2金属枠辺とするとき、
    前記アース導体部は、前記第1金属枠辺の少なくとも一部と、前記第2金属枠辺の少なくとも一部と容量結合する、車両用窓ガラス。
  2. 前記アース側エレメントは、前記第1金属枠辺の少なくとも一部と、前記第2金属枠辺の少なくとも一部と容量結合して、全長の半分以上が前記金属枠と容量結合する、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
  3. 前記アース側エレメントは、前記金属枠が三角形状であるときにおける、最も長い辺と、2番目に長い辺の組合せ、又は、前記金属枠が4以上の辺の数からなる前記多角形状であるときにおける、互いに接しない2つの辺の組合せを、それぞれ、前記第1金属枠辺、前記第2金属枠辺とするとき、前記第1金属枠辺側から前記第2金属枠辺側へ接続する接続エレメントを有し、
    前記接続エレメントは、前記金属枠と容量結合しない経路に配置される、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラス。
  4. 前記接続エレメントは、車両の下方から上方に向かう方向に延伸する、請求項3に記載の車両用窓ガラス。
  5. 前記給電電極と前記アース電極は、上下方向に延伸する前記金属枠の辺に沿って、所定の間隔で配置され、前記給電電極が前記アース電極よりも上方に配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  6. 前記アース導体部は、前記給電電極と前記金属枠との間を延伸する導体を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  7. 前記第1アンテナが受信する所定周波数帯の電波における空気中の中心波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、とするとき、
    前記アース側エレメントの、前記アース電極から前記第1開放端までの長さLG1は、(1/2)×k×λ以上、k×λ×1.3以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  8. 前記アース側エレメントは、前記アース電極を始点として延伸して、少なくとも1つの分岐点を有し、前記アース電極から前記第1開放端までのアース側メインエレメントと、前記分岐点から第2開放端までのアース側補助エレメントを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  9. 前記アース側補助エレメントは、少なくとも一部が前記金属枠と容量結合する、請求項8に記載の車両用窓ガラス。
  10. 前記アース側補助エレメントの距離LG2は、(1/2)×k×λ×0.7以下である、請求項8又は9に記載の車両用窓ガラス。
  11. 前記給電側エレメントは、少なくとも1つの開放端を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  12. 前記給電側エレメントは、少なくとも一部が前記アース側エレメントの少なくとも一部と容量結合する、請求項1から11のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  13. 前記第1アンテナが受信する所定周波数帯の電波における空気中の中心波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、とするとき、
    前記給電側エレメントの距離をLは、(1/4)×k×λ以下である、請求項1から12のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  14. 前記多角形状は、四角形状であり、請求項1から13のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  15. 前記金属枠によってできる、前記ガラス板の開口部の面積は、0.04m以上である、請求項1から14のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  16. 前記第1アンテナは、DAB規格のBand III放送波の電波を受信する、請求項1から15のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  17. 前記ガラス板に設けられる第2アンテナとを備え、
    前記第2アンテナは、AM放送波の電波とFM放送波の電波の少なくとも一方を受信する、請求項1から16のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
  18. 前記ガラス板は、前記車体の側部に取り付けられる固定窓ガラスである、請求項1から17のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
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