JP2021150336A - 窒化物半導体装置の製造方法及び窒化物半導体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、GaN層におけるn型不純物のアニーリングによる活性化率は、低い傾向がある。このため、例えば活性化率が20%より小さい場合は、n型不純物のイオン注入を1E+18/cm3台後半以上の高濃度で行う必要がある。n型不純物のイオン注入を高濃度で行うと、GaN層に注入欠陥が多く生じる可能性がある。注入欠陥による電荷トラップなどが生じるなど、半導体装置の特性が劣化する可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、n型不純物の活性化率を向上できるようにした窒化物半導体装置の製造方法及び窒化物半導体装置を提供することを目的とする。
ΔT/T≧0.25β−0.73…(1)
図1は、本発明の実施形態に係るMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ100の構成例を示す断面図である。本発明の実施形態に係る窒化物半導体装置は、例えばパワー半導体デバイスであり、図1に示す窒化ガリウム系半導体基板1と、窒化ガリウム系半導体基板1に設けられたMOSトランジスタ100と、を備える。図1は、MOSトランジスタ100の単位構造を示している。単位構造は、Y軸方向に延在し、かつ、X軸方向に繰り返し設けられている。複数の単位構造が設けられた領域を活性領域と称する。図示しないが、活性領域の周囲には、活性領域における電界集中を防ぐ機能を有するエッジ終端構造が設けられている。エッジ終端構造は、ガードリング構造、フィールドプレート構造及びJTE(Junction Termination ExtenSiOn)構造の1つ以上を含んでよい。
窒化ガリウム系半導体基板1は、例えば、GaN基板11と、GaN基板11上に設けられたGaN層12(本発明の「窒化ガリウム系半導体層」の一例)とを有する。図1に示すように、GaN層12の表面12a(本発明の「第1面」の一例)は、窒化ガリウム系半導体基板1の表面1aでもある。GaN層12の表面12aの反対側に位置する裏面12b(本発明の「第2面」の一例)は、GaN基板11と接触している。GaN基板11の裏面11bは、窒化ガリウム系半導体基板1の裏面1bでもある。
GaN基板11は、転位密度が1E+7/cm2未満の低転位自立基板であってもよい。GaN基板11が低転位自立基板であることにより、GaN基板11上に形成されるGaN層12の転位密度も低くなる。また、低転位自立基板をGaN基板11に用いることで、GaN基板11に大面積のパワーデバイスが形成される場合でも、パワーデバイスにおけるリーク電流を少なくすることができる。これにより、製造装置は、パワーデバイスを高い良品率で製造することができる。また、熱処理において、イオン注入された不純物が転位に沿って深く拡散することを防止することができる。
ドレイン電極8は、GaN基板11の裏面11b側に設けられており、GaN基板11と電気的に接続している。ドレイン電極8は、例えばAl又はAl−Siの合金からなる。
図2は、本発明の実施形態に係るMOSトランジスタ100の製造工程であって、JFET領域15を形成するためのイオン注入工程を示す断面図である。図2に示すように、イオン注入に際し、GaN層12の表面12aにはレジストパターンRPが形成される。レジストパターンRPは、JFET領域15が形成される予定領域(以下、JFET形成領域)15’の上方を開口し、それ以外の領域を覆う形状を有する。イオン注入装置は、レジストパターンRPをマスクに用いて、GaN層12の表面12a側から、GaN層12にn型不純物をイオン注入する。GaN層12の表面12aと垂直に交わる直線CL(仮想線)に対する、n型不純物の注入角度をチルト角θという。図2に示すイオン注入工程において、チルト角θは任意であるが、一例を挙げると7°である。また、チルト角θは7°に限定されず、例えば0°であってもよい。
(1)第1の例
図3は、図1に示したJFET領域15におけるn型不純物の注入プロファイルの一例(第1の例)を示すグラフである。図3は、図1及び図2に示した直線CLと重なる位置の濃度プロファイルを示している。図3において、縦軸は、n型不純物の一例となる酸素の濃度(酸素濃度)[/cm3]を示す。横軸は、GaN層12の表面12aから裏面12b側への深さ[μm]を示す。図3に示す第1の例において、イオン注入されるn型不純物(ドーパント)の種類は、酸素(O)である。イオン注入のチルト角θは0[°]であり、注入エネルギーは700[keV]であり、ドーズ量は2.28E+13[/cm2]である。
α≧0.25β−0.73…(2)
式(2)は、αとβとの関係を示す関係式である。式(2)において、αはテール長パラメータであり、α=ΔT/Tで示される。また、βはGaN層12の転位密度ρdの常用対数であり、β=log10ρdで示される。常用対数とは、10を底とする対数である。式(2)を満たすとき、GaN層12におけるn型不純物の活性化率は20%以上となる。
(2)第2の例
図4は、図1に示したJFET領域15におけるn型不純物の注入プロファイルの一例(第2の例)を示すグラフである。図4は、図1及び図2に示した直線CLと重なる位置の濃度プロファイルを示している。図4において、縦軸は、n型不純物の一例となる酸素の濃度(酸素濃度)[/cm3]を示す。横軸は、GaN層12の表面12aから裏面12b側への深さ[μm]を示す。図4に示す第2の例において、イオン注入されるn型不純物(ドーパント)の種類は、酸素(O)である。イオン注入のチルト角θは7[°]であり、注入エネルギーは700[keV]であり、ドーズ量は6.03E+13[/cm2]である。
図5は、式(2)を満たすα、βの好適な範囲の一例を示すグラフである。図5において、縦軸はテール長パラメータαを示す。横軸は、GaN層12の転位密度ρdの常用対数であるβを示す。図5において、α=0.25β−0.73を示す直線よりも上側の範囲)が上記の式(2)を満たす範囲であり、例えば、図5に示す範囲Aから範囲Hがそれぞれ、α、βの好適な範囲である。
このように、MOSトランジスタ100Aは、MOSトランジスタ100Bと比べて、オフ耐圧を維持することが容易となり、オフ耐圧を維持しながらオン抵抗を低減することが容易となる。以上が、テール長ΔTが短く、テール長パラメータαが小さいことが好ましい理由である。
次に、αとβとの関係を示す上記の式(2)の導出方法を説明する。図8は、テール長パラメータαと活性化率との関係を示すグラフである。図8において、縦軸は活性化率[%]を示し、縦軸はテール長パラメータを示す。図8に示すように、本発明者は、n型領域におけるn型不純物の活性化率と、テール長パラメータαとの関係について、GaN層の転位密度ρdごとに調査して、活性化率とテール長パラメータαとの間に相関があることを見出した。
活性化率が20%以上となるときの、テール長パラメータαと転位密度ρdとの組み合わせを抽出する。そして、抽出したデータを、縦軸をテール長パラメータαとし、横軸を転位密度の常用対数βとするグラフにプロットする。得られたプロットを、例えば最小二乗法で近似することによって、式(2)を得た。式(2)を導出する過程で得られたデータの一部を表1に示す。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る窒化物半導体装置は、GaN層12と、GaN層12の表面12a側に設けられたJFET領域15と、を備える。GaN層12の転位密度ρdの常用対数をβとし、JFET領域15におけるn型不純物(例えば、酸素(O))の表面12aから注入ピーク位置P1までの深さ(注入ピーク深さ)をTとし、n型不純物の注入ピーク位置P1から裏面12b側へのテール長をΔTとすると、上記の式(2)が成り立つ。
なお、本発明の実施形態では、テール長ΔTを100nm以上に限定してもよい。JFET領域15へのn型不純物のドーピング方法として、イオン注入の他に、エピタキシャル成長時にin−situでドーピングする方法が考えられる。n型不純物をin−situでドーピングする場合、ドープ、アンドープの切り替えは、チャンバに接続する配管のバルブ操作により短時間で行われるため、テール長ΔTは短く、通常は100nm未満である。したがって、テール長ΔTを100nm以上に限定することによって、n型不純物のドーピング方法を、イオン注入に実質限定することができる。
上記のように、本発明は実施形態及び変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、変形例が明らかとなろう。
例えば、上記の実施形態では、JFET領域15を形成する際にn型不純物として酸素(O)をイオン注入することを説明したが、n型不純物は酸素に限定されない。本発明の実施形態において、イオン注入するn型不純物は、酸素、ケイ素(Si)及びゲルマニウム(Ge)のいずれか1種類以上の元素を含んでいてもよい。このような場合であっても、n型不純物の活性率が予め設定した値(例えば、20%)以上となるときの、GaN層12の転位密度ρdと、n型不純物の注入ピーク深さTと、n型不純物のテール長ΔTと、の関係を予め求めておき、この関係を満たすJFET領域15が形成されるように、イオン注入の処理条件を設定する。これにより、イオン注入のドーズ量を低く抑え、結晶欠陥の発生を抑制しつつ、活性化率20%以上を達成することが可能となる。
また、上記の実施形態では、本発明の「窒化ガリウム系半導体層」としてGaN層12を例示したが、「窒化ガリウム系半導体層」はGaN層に限定されない。例えば、「窒化ガリウム系半導体層」は、バルクのGaN基板であってもよい。また、「窒化ガリウム系半導体層」はGaNを主成分とし、アルミニウム(Al)元素及びインジウム(In)元素の いずれか1種類以上の元素をさらに含んでもよい。
1a、12 a 表面
1b、11b、12b 裏面
5 ゲート絶縁膜
6 ゲート電極
7 ソース電極
8 ドレイン電極
11 GaN基板
12 GaN層
13 ウェル領域
14 ソース領域
15 JFET領域
15’ JFET形成領域
15E 底面角部
100、100A、100B MOSトランジスタ
A、B、C、D、E、F、G、H 範囲
P1 注入ピーク位置
P2 位置
RP レジストパターン
α テール長パラメータ
ΔT、ΔT1、ΔT2 テール長
θ チルト角
ρd 転位密度
Claims (9)
- 第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する窒化ガリウム系半導体層を用意し、前記第1面側から前記窒化ガリウム系半導体層にn型不純物をイオン注入してn型領域のドナー濃度を調整する工程、を備え、
前記n型領域における前記n型不純物の活性率が予め設定した値となるときの、前記窒化ガリウム系半導体層の転位密度と、前記n型領域における前記n型不純物の前記第1面から注入ピーク位置までの深さと、前記n型不純物の前記注入ピーク位置から前記第2面側へのテール長と、の関係を予め求めておき、
前記n型不純物をイオン注入する工程では、
前記関係を満たす前記n型領域が形成されるようにイオン注入の処理条件を設定する、窒化物半導体装置の製造方法。 - 前記予め設定した値は20%以上である、請求項1に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
- 前記関係は、下記の式(1)で表され、
ΔT/T≧0.25β−0.73…(1)
前記式(1)において、ΔTはテール長、Tは注入ピーク深さ、βは転移密度の常用対数である、請求項1又は2に記載の窒化物半導体装置の製造方法。 - 前記式(1)において、ΔTは100nm以上である、請求項3に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
- 前記テール長は、前記注入ピーク位置から、前記n型不純物の濃度が前記注入ピーク位置における濃度の1/10となる位置までの長さである、請求項1から4のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
- 前記n型不純物は、酸素、ケイ素及びゲルマニウムのいずれか1つ以上の元素を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
- 第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する窒化ガリウム系半導体層と、
前記窒化ガリウム系半導体層の前記第1面側に設けられたn型領域と、を備え、
前記窒化ガリウム系半導体層の転位密度の常用対数をβとし、
前記n型領域におけるn型不純物の前記第1面から注入ピーク位置までの深さをTとし、
前記n型不純物の前記注入ピーク位置から前記第2面側へのテール長をΔTとすると、
下記の式(2)が成り立つ、窒化物半導体装置。
ΔT/T≧0.25β−0.73…(2) - 前記窒化ガリウム系半導体層の前記第1面上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記窒化ガリウム系半導体層の前記第1面側に設けられ、前記ゲート絶縁膜の下方に位置するp型領域と、
前記窒化ガリウム系半導体層の前記第1面側に設けられ、前記p型領域に隣接するn型のソース領域と、を有し、
前記n型領域は、前記p型領域を挟んで前記ソース領域と向かい合う、請求項7に記載の窒化物半導体装置。 - 前記窒化ガリウム系半導体層は、GaN層である、請求項7又は8に記載の窒化物半導体装置。
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