本発明に係る液体微細化装置は、吸込口より吸い込んだ室内の空気に微細化された水を含ませて吹出口より吹き出す液体微細化装置であって、鉛直方向下方に揚水口を有し、回転軸の回転に伴って揚水口より揚水した水を遠心方向に放出する筒状の揚水管と、揚水管の鉛直方向下方に設けられ、揚水口より揚水される水を貯水する貯水部と、貯水部の底面において水を排水する排水口と、液体微細化装置における水の微細化動作を制御する制御部とを備える。この際、揚水管は、微細化動作の際に、回転によって揚水管の内部における貯水部の水に渦を発生させ、その渦中心において揚水口と排水口との間を連通する空隙を形成して貯水部の水を止水している。そして、制御部は、微細化動作の際中に、微細化動作を停止すると判定した場合には、貯水部の水を止水することが可能な第一回転数にて揚水管を回転させて揚水管の回転の停止を所定期間遅延させる。
こうした構成によれば、制御部は、加湿運転(水の微細化動作)の際中に、微細化動作を停止すると判定した場合であっても、貯水部の水を止水することが可能な第一回転数にて揚水管を回転させて揚水管の回転停止を遅延させているので、貯水部の水の排水を抑制させることができる。このため、制御部は、加湿運転の要判定と不要判定(目標湿度を上回る状態と下回る状態)とを繰り返すような状況でも貯水部の水を確実に止水させ、水の排水量を削減させることができる。つまり、加湿運転における加湿量のフィードバック制御を行う場合において、水の使用量を削減することが可能な液体微細化装置とすることができる。
また、本発明に係る液体微細化装置では、制御部は、室内の空気の湿度と室内の空気の目標湿度とに関する湿度情報を用いて微細化動作における加湿量を特定する出力能力値を算出し、算出した出力能力値が基準値以下となった場合に、微細化動作を停止すると判定する。これにより、屋内の空気の湿度が目標湿度に近づかない場合には、湿度情報を用いて出力能力値を上昇させるなど、家屋の気密性などの性能に依存せず目標湿度を達成するように液体微細化装置の制御を行うことができる。
また、本発明に係る液体微細化装置では、制御部は、所定期間の際中に、出力能力値が基準値を超えた場合には、第一回転数よりも回転数よりも多い第二回転数にて揚水管を回転させることが好ましい。これにより、液体微細化装置は、加湿運転に必要な水の微細化動作を遅滞なく再開させることができる。
また、本発明に係る液体微細化装置では、制御部は、所定期間の際中に、貯水部の貯水量が貯水下限に達した場合には、揚水管の回転を停止させることが好ましい。これにより、液体微細化装置は、所定期間の際中における貯水部への不必要な給水が抑制されるので、水の使用量をさらに削減することができる。
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
まず、図1を参照して、本実施の形態1に係る液体微細化装置1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る液体微細化装置の内部構成を示す概略断面図である。
液体微細化装置1は、図1に示すように、空気を吸い込む吸込口2と、吸込口2より吸い込まれた空気を吹き出す吹出口3とを備えている。吸込口2と吹出口3とは、液体微細化装置1の側面にそれぞれ設けられている。
液体微細化装置1内には、図1に示すように、吸込口2から吹出口3に至る風路4〜風路6が形成されている。また、液体微細化装置1は、その風路4〜風路6内に設けられた液体微細化室7を備えており、吸込口2と液体微細化室7と吹出口3とが連通している。
液体微細化室7は、液体微細化装置1の主要部であり、水の微細化を行うところである。液体微細化装置1では、図1に示すように、吸込口2から取り込んだ空気が、風路4を経由して液体微細化室7へ送られる。そして、液体微細化装置1は、風路4を通る空気に、液体微細化室7にて微細化された水を含ませて、その水を含んだ空気を、風路5、風路6の順に経由して吹出口3より吹き出すように構成されている。ここで、風路5は、水を含んだ空気を、液体微細化室7の鉛直方向下方に流れる向きから、その外周において鉛直方向上方に流れる向きに変わるように構成されている。風路6は、風路5において鉛直方向上方に流れた空気が吹出口3に向かうように構成されている。
液体微細化室7には、上方及び下方が開口された筒状の衝突壁8が設けられている。衝突壁8は、液体微細化室7内に固定されている。また、液体微細化室7には、衝突壁8に囲まれた内側に、回転しながら水を汲み上げる(揚水する)筒状の揚水管9が備えられている。揚水管9は、逆円錐形の中空構造となっており、下方に円形状の揚水口9aを備えるとともに、揚水管9の上方であって逆円錐形の天面中心に、鉛直方向に向けて配置された回転軸10が固定されている。回転軸10が、液体微細化室7の外面に備えられた回転モータ11と接続されることで、回転モータ11の回転運動が回転軸10を通じて揚水管9に伝導され、揚水管9が回転する。
揚水管9は、逆円錐形の天面側に、揚水管9の外面から外側に突出するように形成された複数の回転板12を備えている。複数の回転板12は、上下で隣接する回転板12との間に、回転軸10の軸方向に所定間隔を設けて、揚水管9の外面から外側に突出するように形成されている。回転板12は、揚水管9とともに回転するため、回転軸10と同軸の水平な円盤形状が好ましい。なお、回転板12の枚数は、目標とする性能あるいは揚水管9の寸法に合わせて適宜設定されるものである。
また、揚水管9の壁面には、揚水管9の壁面を貫通する複数の開口13が設けられている。複数の開口13のそれぞれは、揚水管9の内部と、揚水管9の外面から外側に突出するように形成された回転板12の上面とを連通する位置に設けられている。
液体微細化室7の下部には、揚水管9の鉛直方向下方に、揚水管9が揚水口9aより揚水する水を貯水する貯水部14が設けられている。貯水部14の深さは、揚水管9の下部の一部、例えば揚水管9の円錐高さの三分の一から百分の一程度の長さが浸るような深さに設計されている。この深さは、必要な揚水量に合わせて設計できる。また、貯水部14の底面は、揚水口9aに向けてすり鉢状に形成されている。
貯水部14への水の供給は、給水部(図示せず)により行われる。給水部には、給水管(図示せず)が接続されており、例えば水道から給水弁22(図3参照)を通じて、給水管により直接給水される。
また、液体微細化装置1には、貯水部14の水位を検知する満水検知部17a及び渇水検知部17bが設けられている。満水検知部17a及び渇水検知部17bは、いずれもフロートスイッチを有して構成されている。
満水検知部17aのフロートスイッチは、貯水部14内の水が一定の水位(満水状態)に達していない場合はオフとなり、貯水部14内の水が一定の水位(満水状態)に達した場合にオンとなる。つまり、満水検知部17aは、フロートスイッチによって貯水部14の水が満水状態か否かを検知する。
渇水検知部17bのフロートスイッチは、貯水部14内の水が一定の水位(渇水状態)に達していない場合はオフとなり、貯水部14内の水が一定の水位(渇水状態)に達した場合にオンとなる。つまり、渇水検知部17bは、フロートスイッチによって貯水部14の水が渇水状態か否かを検知する。
そして、満水検知部17a及び渇水検知部17bは、それぞれのフロートスイッチのオンまたはオフに関する情報を加湿制御部30(図3参照)に出力する。詳細は後述するが、加湿制御部30は、渇水検知部17bのフロートスイッチがオフとなった場合に、給水部より貯水部14への水が供給を開始するように制御し、満水検知部17aのフロートスイッチがオンとなった場合に、給水部から貯水部14への水の供給を停止するように制御する。
貯水部14の底面には、排水管15が接続されている。排水管15が接続される位置に設けられた円形状の排水口(図示せず)は、すり鉢状に形成された貯水部14の底面の最も低い位置に設けられている。排水管15による止水及び排水は、揚水管9の回転によって実現される。即ち、排水管15と揚水管9とで、貯水部14の止水機構及び揚水機構を構成する。詳細は後述する。
また、衝突壁8の側方(遠心方向における衝突壁8と貯水部14との間の空間)には、液体微細化室7の内外を隔てるように配置され、微細化された水滴の一部を捕集する円筒状のエリミネータ16が設けられている。また、エリミネータ16は、空気が流通可能な多孔体で構成されている。エリミネータ16は、所定の間隔で配置されたエリミネータ保持部16aの上方において支持されるように固定されている。エリミネータ保持部16aは、隣接するエリミネータ保持部16aとの間に風路5の一部を構成している。そして、エリミネータ16は、風路5内に配置され、エリミネータ16内を流通することによって、液体微細化室7を通過する空気に含められた水のうち水滴を捕集する。これにより、風路5を流れた空気は、気化された水のみが含まれるようになる。
また、貯水部14の外側には、貯水部14の底部全面に亘って水受け部18が設けられている。水受け部18は、例えば、装置に異常が生じて水漏れが発生した際に、装置から漏れた水を一時的に溜めることができる。そして、水受け部18には、内部に溜めた水を外部に排水するための排水管(図示せず)が接続されている。
さらに、液体微細化装置1には、加湿制御部30が設けられている。加湿制御部30は、液体微細化装置1の回転モータ11の回転動作及び給水弁22(図3参照)を制御することで、加湿処理における加湿動作(微細化動作)及び排水動作を制御する。
なお、液体微細化装置1は、加湿制御部30を備えず、熱交換気装置60を制御する制御部60a(図3参照)によって加湿動作及び排水動作が制御される構成であってもよい。
次に、図1を参照して、液体微細化装置1における加湿(水の微細化)の動作原理を説明する。
まず、外部からの空気の送風(吸込口2からの空気の吸い込み)が開始される。そして、貯水部14に水がない状態で、回転モータ11により回転軸10を第一回転数R1(例えば、2000rpm)で回転させ、それに合わせて揚水管9を回転させる。そして、給水部から貯水部14に水を供給する。この際、貯水部14では、揚水管9の回転によって生じる遠心力により、貯水部14に供給された水が揚水管9によって汲み上げられるとともに、貯水部14に供給された水は排水口から排水されることなく止水される。その結果、給水部から供給される水が貯水部14に貯水されていく。そして、貯水部14の満水後、給水部から貯水部14への水の供給を停止する。
続いて、回転モータ11により回転軸10を第二回転数R2で回転させ、それに合わせて揚水管9を回転させると、その回転によって生じる遠心力により、貯水部14に貯水された水が揚水管9によって汲み上げられる。ここで、回転モータ11(揚水管9)の第二回転数R2は、空気への加湿量に応じて、2000rpm〜4000rpmの間に設定される。揚水管9は、逆円錐形の中空構造となっているため、回転によって汲み上げられた水は、揚水管9の内壁を伝って上部へ揚水される。そして、揚水された水は、揚水管9の開口13から回転板12を伝って遠心方向に放出され、水滴として飛散する。
回転板12から飛散した水滴は、衝突壁8に囲まれた空間(液体微細化室7)を飛翔し、衝突壁8に衝突し、微細化される。一方、液体微細化室7を通過する空気は、衝突壁8によって破砕(微細化)された水滴を含みながら下方から衝突壁8の外部へ移動する。そして、水滴を含んだ空気は、エリミネータ16を通過する。これにより、液体微細化装置1は、吸込口2より吸い込んだ空気に対して加湿を行い、吹出口3より加湿された空気を吹き出すことができる。
なお、微細化される液体は水以外でもよく、例えば、殺菌性あるいは消臭性を備えた次亜塩素酸水等の液体であってもよい。微細化された次亜塩素酸水を液体微細化装置1の吸込口2より吸い込まれた空気に含ませ、その空気を吹出口3より吹き出すことで、液体微細化装置1が置かれた空間の殺菌あるいは消臭を行うことができる。
次いで、排水管15と揚水管9とによる貯水部14の止水機構及び排水機構について説明する。
液体微細化装置1では、加湿動作が開始され、回転モータ11(揚水管9)が第二回転数R2(例えば、3000rpm)で回転されると、その回転の遠心力によって、揚水管9の内部で貯水部14の水に渦が発生する。そして、揚水管9は、その回転によって発生する渦中心において、揚水口9aと排水管15の排水口との間を連通する空隙を形成する。これにより、空隙が排水口を塞ぐ状態となり、貯水部14の水が排水管15の排水口に流れ込むのが抑制される。つまり、液体微細化装置1では、加湿動作中(回転モータ11が第二回転数R2で回転動作中)に、貯水部14の水が排水管15(排水口)から排水されることを抑制することができる。
一方、回転モータ11(揚水管9)の回転が停止されると、渦とともに空隙がなくなり、排水管15の排水口に貯水部14の水が流れ込む。つまり、液体微細化装置1では、加湿動作(回転モータ11の回転動作)を停止することにより、貯水部14の水を排水管15(排水口)から排水することができる。
このように、液体微細化装置1は、排水管15に排水弁を用いなくても、加湿動作中は、貯水部14の水が排水管15の排水口から排水されることを抑制(止水)でき、加湿動作の停止後は、貯水部14の水を排水管15(排水口)から排水できる。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る液体微細化装置1を備えた熱交換気装置60について説明する。図2は、液体微細化装置1を備えた熱交換気装置60の概略斜視図である。
図2に示すように、熱交換気装置60は、液体微細化装置1と、湿度回収部65と、送風機67とを備えて構成される。熱交換気装置60は、外気吸込口63から吸い込んだ外気(湿度回収部65を通過して湿度が回収された空気)を、接続ダクト66を介して液体微細化装置1の吸込口2(図1参照)に送風する。液体微細化装置1は、吸込口2から吸い込んだ空気に対して加湿処理を行い、加湿した空気を吹出口3(図1参照)から吹き出し、給気口64を介して室内に供給する。
熱交換気装置60は、箱型の本体ケース50を有し、例えば、床に置かれた状態で使用される。本体ケース50の天面(液体微細化装置1が搭載される面)には、内気吸込口61と、排気口62と、外気吸込口63と、給気口64とが設けられている。また、本体ケース50の天面には、液体微細化装置1が設置されている。そして、本体ケース50の内部には、湿度回収部65と、送風機67とが設けられている。
内気吸込口61は、建物内の空気(内気)を熱交換気装置60の内部に吸い込む吸込口である。具体的には、内気吸込口61は、建物内の各空間の天井面または壁面まで延在するダクト(図示せず)を介して内気を吸い込む室内排気口と連通して接続される。
排気口62は、内気を熱交換気装置60から屋外に送風する吐出口である。具体的には、排気口62は、建物外壁面まで延在するダクト(図示せず)を介して内気を吹き出す室外排気口と連通して接続される。
外気吸込口63は、建物外の空気(外気)を熱交換気装置60の内部に吸い込む吸込口である。具体的には、外気吸込口63は、建物外壁面まで延在するダクト(図示せず)を介して外気を吸い込む室外給気口と連通して接続される。
給気口64は、外気を熱交換気装置60から液体微細化装置1を介して室内に送風する吐出口である。具体的には、給気口64は、建物内の各空間の天井面または壁面まで延在するダクト(図示せず)を介して外気を吹き出す室内給気口と連通して接続される。なお、熱交換気装置60と液体微細化装置1の吸込口2とは、接続ダクト66を介して接続されている。
湿度回収部65は、本体ケース50内において、送風機67の上流側に位置して設けられている。湿度回収部65は、送風機67が動作することにより吸い込まれ、熱交換気装置60の内部(特に、給気風路)を通過する空気の湿度を回収(交換)する湿度回収(湿度交換)の機能を有している。湿度回収部65は、例えば、全熱交換素子または、デシカント式あるいはヒートポンプ式の熱交換器などである。
給気風路は、特に図示していないが、新鮮な室外の空気(外気)を、外気吸込口63から吸い込み、湿度回収部65、送風機67、接続ダクト66、及び液体微細化装置1の順に通過させて、給気口64から室内に供給する風路である。
送風機67は、外気吸込口63から給気口64へと外気を送風するための装置である。送風機67は、送風することによって、湿度回収部65の内部に外気を流通させる。送風機67としては、例えば、クロスフローファンあるいはブロアファンが挙げられる。なお、送風機67は、熱交換気装置60を制御する制御部60a(図3参照)からの制御信号に基づいて、送風動作を実行するように構成されている。
また、熱交換気装置60には、給排水配管51が設けられている。そして、液体微細化装置1への水の供給及び排水は、給排水配管51によって行われる。具体的には、給排水配管51の一端は、液体微細化装置1の給水管と排水管15(図1参照)とそれぞれ接続されている。また、給排水配管51の他端は、住宅あるいは施設の給水設備と排水設備とにそれぞれ接続されている。
さらに、熱交換気装置60は、送風機67の送風動作の制御を行う制御部60a(図3参照)を有している。また、制御部60aは、液体微細化装置1の加湿制御部30と電気的に接続され、加湿制御部30からの制御信号を受けて、送風機67と液体微細化装置1とを連動させて制御するように構成されている。
以上のように、熱交換気装置60では、換気の際に屋外へ排出する水分を室内に給気する空気に回収しつつ、さらに湿度回収部65で水分を回収しきれなかった場合には、液体微細化装置1を通過させる際に補填もしくはそれ以上に上乗せすることができるので、室内を加湿および快適な湿度範囲に維持させることができる。
次に、図3を参照して、液体微細化装置1の加湿制御部30について説明する。図3は、液体微細化装置1における加湿制御部30の構成を示すブロック図である。図4は、液体微細化装置1における加湿制御部30で行う処理に用いられる出力能力値と回転出力値との関係を示す図である。なお、図4では、液体微細化装置1(回転モータ11)における回転出力値(回転数)の制御範囲を0rpm〜4000rpmとし、出力能力値の範囲を0〜4000として相関関係を示している。
図3に示すように、加湿制御部30は、入力部30aと、記憶部30bと、計時部30cと、処理部30dと、出力部30eとを備える。
入力部30aは、操作パネル31からの運転開始指示または運転停止指示に関する第一情報と、温湿度センサ32からの室内空気の温度と湿度に関する第二情報と、温度センサ33からの室外空気の温度に関する第三情報と、満水検知部17aからのフロートスイッチのオンまたはオフに関する第四情報と、渇水検知部17bからのフロートスイッチのオンまたはオフに関する第五情報とを受け付ける。入力部30aは、受け付けた第一情報〜第五情報を処理部30dに出力する。
ここで、操作パネル31は、ユーザが液体微細化装置1及び熱交換気装置60に関するユーザ入力情報(例えば、風量、設定湿度、吹き出し温度、等)を入力する端末であり、無線または有線により加湿制御部30と通信可能に接続されている。また、温湿度センサ32は、内気吸込口61(図2参照)から取り込まれた直後の室内空気の温度と湿度を感知するセンサである。また、温度センサ33は、外気吸込口63(図2参照)から取り込まれた直後の室外空気の温度を感知するセンサである。
記憶部30bは、ユーザ入力情報に対応する設定情報に関する第六情報を記憶する。また、記憶部30bは、第七情報として、過去の湿度情報、過去の出力能力値、及び計算用パラメータを記憶するとともに、処理部30dから出力される現在の屋内湿度情報、現在の出力能力値を受け付けて記憶する。さらに、記憶部30bは、図4に示す出力能力値と回転出力値との相関関係に関する情報も第八情報として記憶する。記憶した各情報(第六情報〜第八情報)は、処理部30dからの要求に応じて、記憶部30bから処理部30dに出力される。
計時部30cは、現在時刻に関する第九情報を処理部30dに出力する。
処理部30dは、入力部30aからの第一情報〜第五情報と、記憶部30bからの第六情報〜第八情報と、計時部30cからの第九情報とを受け付ける。処理部30dは、受け付けた第一情報〜第九情報を用いて、加湿設定に基づく加湿動作に関する制御情報を特定する。
具体的には、処理部30dは、まず、受け付けた各情報をもとに出力能力値の算出を行う。なお、更新の際に用いる計算式としては、例えば、以下の式(1)に示す速度型PID(Proportional Integral Differential)制御式を用いることができる。
R=R+Kp*[(ΔX0−ΔX1)
+(1/Ti)*ΔX0+Td*{(ΔX0−ΔX1)−(ΔX1−ΔX2)}]
・・・式(1)
ただし、Rは出力能力値であり、Kp、Ti、TdはPIDパラメータであり、ΔX0、ΔX1、ΔX2は、それぞれ現在、1回前、2回前の「目標湿度−屋内湿度」に基づく値である。なお、目標湿度は、第六情報に含まれる設定湿度に相当する。
続いて、処理部30dは、記憶部30bに記憶された基準値と算出された出力能力値との間で大小関係の判定を行う。そして、処理部30dは、出力能力値が基準値を超える場合に、加湿動作「要」判定とし、基準値を超える出力能力値に対応する回転出力値(図4に示す第一回転出力値)を特定する。一方、処理部30dは、出力能力値が基準値以下である場合に、加湿動作「不要」判定とし、基準値以下の出力能力値に対応する回転出力値(図4に示す第二回転出力値)を特定する。ここで、基準値は、液体微細化装置1において加湿動作(水の微細化動作)時に設定可能な最少回転数(第一回転数R1に相当)に対応して規定される値である。
ここで、第一回転出力値は、図4に示す通り、出力能力値をそのまま回転出力値とした値である。一方、第二回転出力値は、出力能力値に関係なく、液体微細化装置1において貯水部14の水を止水することが可能な回転数(第一回転数R1あるいは後述する第三回転数R3)を回転出力値とした値である。なお、第一回転数R1または第三回転数R3は、請求項の「第一回転数」に相当する。
そして、処理部30dは、特定した回転出力値を含む加湿設定に基づく加湿動作に関する制御情報を特定する。
最後に、処理部30dは、特定した制御情報を出力部30eに出力する。
出力部30eは、処理部30dからの制御情報を受け付ける。出力部30eは、熱交換気装置60(制御部60a、送風機67)と、回転モータ11と、給水弁22と電気的に接続される。そして、出力部30eは、受け付けた制御情報に基づいて、送風機67の送風動作と、液体微細化室7での加湿動作(回転モータ11の回転動作)と、給水弁22の開閉動作とを制御する信号(制御信号)を出力する。
そして、熱交換気装置60(制御部60a、送風機67)は、出力部30eからの信号を受け付け、制御部60aは、受け付けた信号に基づいて送風機67の制御を実行する。また、回転モータ11と給水弁22とは、出力部30eからの信号をそれぞれ受け付け、受け付けた信号に基づいてそれぞれの制御を実行する。
以上のようにして、加湿制御部30は、加湿処理における加湿動作の制御を実行させる。
次に、図5及び図6を参照して、液体微細化装置1による加湿動作における処理手順について説明する。図5は、液体微細化装置1による加湿運転処理の手順を示すフローチャートである。図6は、液体微細化装置1による水の微細化処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下では、送風機67が、制御部60aからの制御信号ではなく、加湿制御部30からの制御信号によって送風動作を実行しているものとして説明する。
図5に示すように、加湿制御部30に液体微細化装置1の加湿処理の運転開始に関する制御信号が入力されると、まず、加湿制御部30は、送風機67を作動させ、送風機67からの送風を開始させる(ステップS01)。これにより、液体微細化装置1(液体微細化室7)内に空気が流通するようになる。そして、加湿制御部30は、温湿度センサ32からの室内空気の温度と湿度に関する第二情報及びユーザ入力情報に対応する設定情報に関する第八情報に基づいて、液体微細化装置1の加湿量を特定する出力能力値を算出する(ステップS02)。
そして、加湿制御部30は、算出された出力能力値と、予め設定された所定値(基準値)との間で大小関係の判定を行う(ステップS03)。その結果、出力能力値が基準値を超える場合(ステップS03のYes)には、加湿制御部30は、加湿処理「要」と判定し、出力能力値に対応する第一回転出力値を特定する(ステップS04)。そして、加湿制御部30は、水の微細化処理を実行する(ステップS05)。一方、加湿制御部30は、出力能力値が基準値以下である場合(ステップS03のNo)には、加湿処理「不要」と判定し、後述するステップS10以降の処理を実行する。
水の微細化処理では、図6に示すように、加湿制御部30は、渇水検知部17bからのフロートスイッチのオンまたはオフに関する第五情報に基づいて、貯水部14の水位が渇水状態であるか否かを判定する(ステップS21)。その結果、貯水部14の水位が渇水状態でない場合(ステップS21のNo)には、加湿制御部30は、後述するステップS26の処理を実行する。一方、貯水部14の水位が渇水状態である場合(ステップS21のYes)には、加湿制御部30は、貯水部14への給水を開始するため、回転モータ11を第一回転数R1(例えば、2000rpm)で回転させる(ステップS22)。そして、加湿制御部30は、給水部の給水弁22を開弁させ、貯水部14への水の供給を開始させる(ステップS23)。
続いて、加湿制御部30は、満水検知部17aからのフロートスイッチのオンまたはオフに関する第四情報に基づいて、貯水部14の水位が満水状態であるか否かを判定する(ステップS24)。その結果、貯水部14の水位が満水状態でない場合(ステップS24のNo)には、加湿制御部30は、貯水部14への水の供給をそのまま継続させる(ステップS24に戻る)。一方、貯水部14の水が満水状態である場合(ステップS24のYes)には、加湿制御部30は、給水弁22を閉弁させ、貯水部14への水の供給を停止させる(ステップS25)。
そして、回転モータ11を第二回転数R2で回転させ、加湿設定に基づいた加湿動作(加湿運転)を開始させる(ステップS26)。ここで、第二回転数R2は、ステップS04で特定された回転数(第一回転出力値)である。第二回転数R2としては、出力能力値が基準値を超える場合には、第一回転数R1より大きな回転数(例えば、2000〜4000rpmの範囲の任意の回転数)が設定される。図5に戻る。
水の微細化処理(ステップS05)が終了して加湿処理が開始されると、ステップS26での回転モータ11の作動時点を開始時間として計時される時間が所定時間(第一時間T1)を経過したか否かの判定を行う(ステップS06)。その結果、第一時間T1が経過していない場合(ステップS06のNo)には、加湿制御部30は、水の微細化動作をそのまま継続させる(ステップS06に戻る)。一方、第一時間T1が経過した場合(ステップS06のYes)には、加湿制御部30は、水の微細化動作をそのまま継続させた状態で、次のステップ(ステップS07)に進む。ここで、第一時間T1は、加湿のフィードバック制御のための間隔時間であり、例えば、5分に設定される。
ステップS07では、加湿制御部30は、液体微細化装置1の加湿処理の運転停止に関する制御信号が入力されているか否かを判定する。その結果、加湿処理の運転停止に関する制御信号が入力されていない場合(ステップS07のNo)には、加湿制御部30は、ステップS02に戻り、液体微細化装置1の加湿量を特定する出力能力値の計算を再び行う。一方、加湿処理の運転停止に関する制御信号が入力されている場合(ステップS07のYes)には、加湿制御部30は、回転モータ11を停止させる(ステップS08)とともに、送風機67を停止させる(ステップS09)。そして、加湿制御部30は、液体微細化装置1の加湿処理の運転を終了させる。これにより、液体微細化装置1は、操作パネル31からの運転開始指示待ちの状態となる。
上述した通り、加湿制御部30は、出力能力値が基準値以下である場合(ステップS03のNo)には、ステップS10以降の処理を実行する。
ステップS10では、加湿制御部30は、回転モータ11が停止しているか否かを判定する。その結果、回転モータ11が停止している場合(ステップS11のYes)には、ステップS02に戻り、液体微細化装置1の加湿量を特定する出力能力値の計算を再び行う。一方、回転モータ11が回転動作している場合(ステップS11のNo)には、加湿制御部30は、出力能力値に対応する第二回転出力値を特定する(ステップS11)。そして、加湿制御部30は、回転モータ11を第三回転数R3で回転させ、少なくとも止水機構が機能する状態とする(ステップS12)。ここで、第三回転数R3は、ステップS04で特定された回転数(第二回転出力値)である。第三回転数R3としては、例えば、液体微細化装置1において貯水部14の水を止水することが可能な回転数(第一回転数R1と同じ回転数)が設定される。なお、回転モータ11が第三回転数R3で既に回転している場合には、第三回転数R3を維持する。
そして、ステップS12での回転モータ11の作動時点または作動維持時点を開始時間として計時される時間が、所定時間(第二時間T2)を経過したか否かの判定を行う(ステップS13)。その結果、第二時間T2が経過していない場合(ステップS13のNo)には、加湿制御部30は、第三回転数R3での回転によって止水状態をそのまま継続させる(ステップS13に戻る)。一方、第二時間T2が経過した場合(ステップS13のYes)には、加湿制御部30は、次のステップ(ステップS14)に進む。ここで、第二時間T2は、加湿のフィードバック制御のための間隔時間であり、例えば、5分に設定される。
次に、ステップS12での回転モータ11の作動時点を開始時間として計時される時間が、所定時間(第三時間T3)を経過したか否かの判断を行う(ステップS14)。その結果、第三時間T3が経過していない場合(ステップS14のNo)には、加湿制御部30は、回転モータ11を第三回転数R3で回転させた状態でステップS02に戻り、液体微細化装置1の加湿量を特定する出力能力値の計算を再び行う。一方、第三時間T3が経過した場合(ステップS14のYes)には、加湿制御部30は、回転モータ11を停止させる(ステップS15)。これにより、貯水部14の水の排水が開始される。そして、加湿制御部30は、ステップS02に戻り、液体微細化装置1の加湿量を特定する出力能力値の計算を再び行う。ここで、第三時間T3は、例えば、2時間に設定される。また、第三時間T3は、請求項の「所定期間」に相当する。
以上のようにして、熱交換気装置60では、液体微細化装置1による加湿処理(水の微細化動作)における各処理が実行される。
以上、実施の形態1に係る液体微細化装置1によれば、以下の効果を享受することができる。
(1)液体微細化装置1では、加湿制御部30は、加湿運転(水の微細化動作)の際中に、微細化動作を停止すると判定した場合には、貯水部14の水を止水することが可能な回転数(第三回転数R3)にて揚水管9を所定期間(第三時間T3)回転させるように制御した。こうした構成によれば、加湿制御部30は、加湿運転(水の微細化動作)の際中に、微細化動作を停止すると判定した場合であっても、貯水部14の水を止水することが可能な回転数にて揚水管9を回転させて揚水管9の回転停止を遅延させているので、貯水部14の水の排水を抑制させることができる。このため、加湿制御部30は、加湿運転の要判定と不要判定(目標湿度を上回る状態と下回る状態)とを繰り返すような状況でも貯水部14の水を確実に止水させ、水の排水量を削減させることができる。つまり、加湿運転における加湿量のフィードバック制御を行う場合において、水の使用量を削減することが可能な液体微細化装置1とすることができる。
(2)液体微細化装置1では、加湿制御部30は、室内の空気の湿度と室内の空気の目標湿度とに関する湿度情報を用いて水の微細化動作における加湿量を特定する出力能力値を算出し、算出した出力能力値が基準値以下となった場合に、水の微細化動作を停止すると判定するようにした。これにより、屋内の空気の湿度が目標湿度に近づかない場合には、湿度情報を用いて出力能力値を上昇させるなど、家屋の気密性などの性能に依存せず目標湿度を達成するように液体微細化装置1の制御を行うことができる。
(3)液体微細化装置1では、加湿制御部30は、所定期間(第三時間T3)の際中に、出力能力値が基準値を超えた場合には、第三回転数(=第一回転数)よりも回転数よりも多い第二回転数にて揚水管9を回転させるようにした。これにより、液体微細化装置1は、加湿運転に必要な水の微細化動作を遅滞なく再開させることができる。
(4)液体微細化装置1では、加湿制御部30は、出力能力値と基準値との大小関係の比較による加湿要否に関する判定を所定期間(第一時間T1または第二時間T2)ごとに行うように制御した。これにより、加湿動作における加湿量のフィードバック制御を行う場合、加湿量の調整が所定期間ごとに行われるので、何らかの要因(例えば、浴室利用)によって吸込口2より吸い込む空気の湿度が急激に変化しても、目標湿度に向けた加湿量の調整を効果的に行うことができる。
(5)液体微細化装置1では、加湿制御部30は、算出した出力能力値が基準値以下となっていると判定した状態が、第三時間T3継続した場合に、揚水管9(回転モータ11)の回転を停止させるように制御した。これにより、加湿処理「不要」と判定される状況が第三時間T3継続した場合には、回転モータ11が停止され、吸込口2より吸い込んだ空気への加湿が停止される。つまり、加湿が停止されてから加湿が再開されるまでの期間において、第三回転数R3(2000rpm)での回転による加湿によって消費される水量(加湿量)分の水の使用量を削減することができる。
(6)熱交換気装置60では、湿度回収部65を、液体微細化装置1及び湿度回収部65を通過する空気の流れにおいて、液体微細化装置1より上流側に配置した。つまり、液体微細化装置1では、湿度回収部65は、湿度回収部65により湿度を回収された空気を吸込口2に流入させるように配置される。これにより、湿度回収部65で湿度回収された後の空気が液体微細化装置1(吸込口2)に流入するので、より適切に室内の湿度コントロールすることができる。また、湿度回収部65と液体微細化装置1の2箇所で湿度制御を行うことで、湿度回収部65あるいは液体微細化装置1にヒータ等を設置していない場合でも、十分な加湿量を確保することができる。また、加湿量を確保するためのヒータが不要になることで、省エネルギーを実現できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
本実施の形態に係る液体微細化装置1では、加湿制御部30は、算出した出力能力値が基準値以下となっていると判定した場合に、揚水管9(回転モータ11)の回転停止を所定期間(第三時間T3)遅延させるように制御した。これに対して、加湿制御部30は、この所定期間(第三時間T3)の際中に、貯水部14の貯水量が貯水下限に達した場合(渇水検知部17bのフロートスイッチがオフとなった場合)には、揚水管9(回転モータ11)の回転を直ちに停止させるようにしてもよい。このようにすることで、液体微細化装置1は、所定期間(第三時間T3)の際中における貯水部14への不必要な給水が抑制されるので、水の使用量をさらに削減することができる。
また、本実施の形態に係る液体微細化装置1では、加湿制御部30は、算出した出力能力値が基準値以下となっていると判定した場合に、貯水部14の水を止水することが可能な回転数(第三回転数R3)にて揚水管9を回転させるように制御した。これに対して、加湿制御部30は、貯水部14の水を止水することが可能な回転数(第三回転数R3)よりも少ない回転数(回転を停止した場合の排水速度よりも排水速度を遅くする回転数)にて揚水管9を回転させるように制御してもよい。このようにすることで、液体微細化装置1は、貯水部14の水を止水している間の不必要な加湿を抑制しつつ、貯水部14の水の排水速度を遅延させ、水の使用量も削減することができる。
また、本実施の形態に係る熱交換気装置60では、湿度回収部65は、湿度だけでなく温度を回収(交換)する機能を有するように構成してもよい。具体的には、湿度回収部65を全熱交換素子とするとともに、本体ケース50の内部に排気送風機を設け、排気風路を構成する。排気風路は、排気送風機によって内気吸込口61から室内空気を吸い込み、湿度回収部65を通って排気口62から外部に排気する風路である。この際、湿度回収部65は、排気風路と給気風路が交わる位置に配置される。そして、湿度回収部65は、排気風路を通過する空気と給気風路を通過する空気との間で熱交換とともに湿度交換を行う。これにより、より快適な空気を室内に供給することが可能となる。
また、本実施の形態に係る熱交換気装置60では、湿度回収部65によって湿度回収された後の空気が液体微細化装置1を流通しないように、液体微細化装置1をバイパスして室内に供給されるように構成してもよい。これにより、液体微細化装置1は運転せず、熱交換気のみで運転するような場合に、湿度回収された後の空気を効率よく室内に供給することができる。また、液体微細化装置1に起因した圧力損失の上昇が抑制されるので、年間を通じての省エネルギーでの運転も実現することができる。
また、本実施の形態に係る熱交換気装置60では、送風機67からの送風停止を、送風機67の運転を停止することによって行ったが、これに限らない。例えば、上記したバイパスへの切り替えによって液体微細化装置1への送風がなされないようにしてもよい。これにより、室内への給気を実行しつつ、独立した状態で乾燥処理における乾燥動作を実行することができる。