JP2021148238A - 制御バルブ - Google Patents

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Abstract

【課題】シール筒部材での液体の流出流量を減少させることなく、弁体の周壁部の軸方向に沿う方向の幅をより狭め、制御バルブ全体の小型化を図ることができる制御バルブを提供する。【解決手段】制御バルブは、ケーシング、弁体22、第1のシール筒部材37A及び第2のシール筒部材37Bを備える。弁体22は、ケーシングの内部に回転可能に配置され、周壁部44の軸方向に離間した位置に第1弁孔47Aと第2弁孔47Bが形成されている。第1のシール筒部材は、一端部が流出口に連通し、他端部が弁体22の第1弁孔によって開閉される。第2のシール筒部材は、一端部が流出口に連通し、他端部が弁体22の第2弁孔によって開閉される。第2のシール筒部材は、第1のシール筒部材よりも内部通路が小断面に形成されている。第2のシール筒部材の軸方向の他端部側の外周面は、弁体22の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されている。【選択図】図9

Description

本発明は、車両用冷却水の流路切換等に用いられる制御バルブに関するものである。
冷却水を用いてエンジンを冷却する冷却システムでは、ラジエータとエンジンの間を循環するラジエータ流路とは別に、ラジエータをバイパスするバイパス流路や空調空気を加熱する空調流路等が併設されることがある。この種の冷却システムでは、流路の分岐部に制御バルブが介装され、その制御バルブによって適宜流路が切り換えられるようになっている。制御バルブとしては、周壁部(円筒壁)を有する弁体がケーシング内に回転可能に配置され、弁体の回転位置に応じて任意の流路が開閉されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の制御バルブは、ケーシングに、冷却液等の液体が流入する流入口と、その流入した液体を外部に吐出するための設定数の流出口が設けられている。弁体の周壁部には、内外を連通する弁孔が複数の流出口と対応して複数形成されている。また、ケーシングの各流出口には、円筒状のシール筒部材の一端部側が摺動自在に保持されている。各シール筒部材の他端部側には、弁体の周壁部の外周面に摺動自在に当接する弁摺接面が設けられている。各シール筒部材の弁摺接面は、弁体の対応する弁孔の回転経路とラップする位置において周壁部の外周面に摺接する。各シール筒部材は、弁体上の対応する弁孔によって開閉される。
弁体は、シール筒部材が対応する弁孔と連通する回転位置にあるときには、周壁部の内側領域から対応する流出口への液体の流出を許容し、シール筒部材が対応する弁孔と連通しない回転位置にあるときには、周壁部の内側領域から対応する流出口への液体の流出を遮断する。なお、弁体は、電動モータ等のアクチュエータによって回転位置を操作される。
また、特許文献1に記載の制御バルブは、弁体の周壁部上に、ケーシング側の三つの流出口に対応して三種類の弁孔が形成されている。三種類の弁孔のうちの二種類の弁孔は、少なくとも一部が弁体の軸方向に沿う方向で相互にラップするように周壁部上に形成されている。特許文献1に記載の制御バルブは、この構成により、弁体の周壁部の軸方向の短縮化が図られている。
特開2018−123887号公報
特許文献1に記載の制御バルブは、二種類の弁孔を、弁体の軸方向で相互にラップするように弁体の周壁部に形成することにより、弁体の周壁部の軸方向に沿う方向の幅を狭めることができる。しかし、現在、弁体の周壁部の軸長をさらに短縮し、制御バルブ全体をさらに小型化することが望まれている。
この対策として、弁孔の軸方向幅(弁体の軸方向に沿う方向の幅)を狭めることも検討されているが、狭めた弁孔の軸方向幅に合わせてシール筒部材の内外径を小さくすると、シール筒部材での液体の流出流量(最大流出流量)が減少してしまう。このため、シール筒部材での液体の流出流量を充分に確保したうえで、弁体の周壁部の軸長を短縮するのには限界がある。
そこで本発明は、シール筒部材での液体の流出流量を減少させることなく、弁体の周壁部の軸方向に沿う方向の幅をより狭め、制御バルブ全体の小型化を図ることができる制御バルブを提供しようとするものである。
本発明の一形態の制御バルブは、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る制御バルブは、外部から液体が流入する流入口、及び、内部に流入した液体を外部に流出させる複数の流出口を有するケーシングと、前記ケーシングの内部に回転可能に配置され、周壁部の軸方向に離間した位置に第1弁孔と第2弁孔とが形成された弁体と、軸方向の一端部が一の前記流出口に連通し、軸方向の他端部が前記周壁部の外周面に当接して前記第1弁孔によって開閉される第1のシール筒部材と、軸方向の一端部が他の前記流出口に連通し、軸方向の他端部が前記周壁部の外周面に当接して前記第2弁孔によって開閉される第2のシール筒部材と、を備え、前記第2のシール筒部材は、前記第1のシール筒部材よりも内部通路が小断面に形成され、前記第2のシール筒部材の軸方向の他端部側の外周面は、前記弁体の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されていることを特徴とする。
本形態の制御バルブは、第2のシール筒部材の軸方向の他端部側の外周面が、弁体の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されているため、第2のシール筒部材での液体の流出流量を確保したうえで、第2弁孔の軸方向幅(弁体の軸方向に沿う方向の幅)を狭めることができる。
また、第1のシール筒部材や第2のシール筒部材の軸方向の他端部側の弁体(周壁部)との摺接面は、弁体の周壁部の外周面の形状に沿って突出高さが連続的に変化し、その突出高さは、弁体の周方向に沿う方向の端部位置でほぼ最大となる。このため、シール筒部材の軸方向の他端部側の外周面を、弁体の軸方向に沿う方向を短軸とする(弁体の周方向に沿う方向を長軸とする)長円形状にすると、シール筒部材の上記突出高さがほぼ最大となる位置に作用する液圧による曲げモーメントが増大する。しかし、本形態の制御バルブは、内部通路がより小断面である第2のシール筒部材側に上記の長円形状が設けられているため、上記突出高さがほぼ最大となる位置に作用する液圧による曲げモーメントの増大を抑制することができる。したがって、本形態の制御バルブを採用した場合には、ケーシング内の液圧によるシール筒部材の不要な変形を抑制しつつ、制御バルブ全体の小型化を図ることができる。
前記第2のシール筒部材は、前記一端部側に位置され、他の前記流出口に連通する第1筒部と、前記他端部側に位置され、軸方向の端面が前記周壁部の外周面に摺接可能で、かつ、内側の通路断面が前記第1筒部よりも大きい第2筒部と、を有し、前記第2筒部の外周面が、前記弁体の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されるようにしても良い。
この場合、第2のシール筒部材での液体の最大流出流量(最大圧力損失)は、内側の通路断面の小さい第1筒部によって決まる。このため、第2のシール筒部材の第2筒部の内周面を外周面とともに長円形状に形成しても、液体の最大流出流量に大きく影響を及ぼすことがない。
前記第1筒部は、外周面が真円形状に形成され、前記流出口と前記第1筒部の外周面の間には、シール部材が介装されるようにしても良い。
この場合、第1筒部の外周面が真円形状に形成されているため、第2筒部の外周面が長円形状であっても、流出口と第1筒部の間をシール部材によって容易に、かつ、均一に密閉することができる。
前記第2のシール筒部材は、前記第1筒部の外径が前記第2筒部の外径よりも小さく形成されるとともに、前記第1筒部の外周面と前記第2筒部の外周面の間に段差面が設けられ、前記段差面は、前記ケーシングの内部の液体の圧力を受けて前記第2のシール筒部材を前記弁体の側に付勢する付勢用受圧面を構成し、前記付勢用受圧面の面積S1と前記第2のシール筒部材の前記弁体との摺接面の面積S2とは、式(1),(2)を満たすように設定されるようにしても良い。
S1<S2≦S1/k …(1)
α≦k<1 …(2)
k:弁摺接面と弁体の間の微少隙間を流れる液体の圧力減少定数。
α:液体の物性によって決まる圧力減少定数の下限値。
上記の構成により、第2のシール筒部材の付勢用受圧面の面積S1は、第2のシール筒部材の弁体との摺接面の面積S2に圧力減少定数kを乗じた値以上の面積となる。この結果、ケーシング内の液体の圧力が、付勢用受圧面と、弁体との摺接面の外側の周域部とに作用すると、付勢用受圧面を通して第2のシール筒部材に作用する液圧による弁体方向の押し付け力が、摺接面と弁体の間の微少隙間から液体が漏れ出るときに第2のシール筒部材に作用する弁体からの浮き上がり力以上の力となる。このため、第2のシール筒部材の摺接面を弁体の外面に当接させた状態に維持することができる。
また、第2のシール筒部材の付勢用受圧面の面積S1が摺接面の面積S2よりも小さいため、ケーシング内の液体の圧力が大きくなっても第2のシール筒部材が過剰な力で弁体に押し付けられるのを抑制される。
本構成では、第2のシール筒部材に作用する液体による弁体方向の押し付け力が、第2のシール筒部材に作用する浮き上がり力を下回らない範囲で、摺接面の面積が付勢用受圧面の面積よりも大きく設定されている。したがって、本構成を採用した場合には、弁体に対する第2のシール筒部材の過剰な力での押し付けを抑制しつつ、良好なシール性を確保することができる。
また、本構成では、第2のシール筒部材の第2筒部の外周面が、弁体の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されているため、第2のシール筒部材の付勢用受圧面は、弁体の周方向に沿う方向の端部付近が第2のシール筒部材の軸心位置から最も離間することになる。このため、第2筒部の弁摺接面のうちの、弁体方向の突出高さの高い領域に液圧による大きな曲げモーメントが作用することになる。しかし、付勢用受圧面のうちの、弁体の周方向に沿う方向の端部付近の面積が最も大きくなるため、その部分で受ける液圧による弁体方向の押し付け力によって弁摺接面付近の変形を抑制することができる。
上述の制御バルブは、第2のシール筒部材の内部通路が第1のシール筒部材の内部通路よりも小断面に形成され、第2のシール筒部材の軸方向の他端部側の外周面が弁体の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されている。このため、上述の制御バルブを採用した場合には、シール筒部材での液体の流出流量を減少させることなく、弁体の周壁部の軸方向に沿う方向の幅を狭め、制御バルブ全体の小型化を図ることができる。
また、上述の制御バルブは、内部通路が小断面である第2のシール筒部材側に上記の長円形状が設けられているため、ケーシング内の液圧によるシール筒部材の不要な変形を抑制しつつ、制御バルブ全体の小型化を図ることができる。
実施形態の冷却システムのブロック図。 実施形態の制御バルブの斜視図。 実施形態の制御バルブの分解斜視図。 実施形態の制御バルブの図2のIV−IV線に沿う断面図。 実施形態の制御バルブの図4のV−V線に沿う断面図。 図5のVI部の拡大図。 実施形態のシール筒部材の縦断面図。 実施形態の弁体とシール筒部材を示す斜視図。 実施形態の弁体の周壁部の一部の展開図と、シール筒部材を軸方向から見た図を重ね合わせて示した図。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、冷却液を用いてエンジンを冷却する冷却システムに、本実施形態の制御バルブを採用した場合について説明する。
[冷却システム]
図1は、冷却システム1のブロック図である。
図1に示すように、冷却システム1は、車両駆動源に少なくともエンジンを具備する車両に搭載される。なお、車両としては、エンジンのみを有する車両の他、ハイブリッド車両やプラグインハイブリッド車両等であっても構わない。
冷却システム1は、エンジン2(ENG)、ウォータポンプ3(W/P)、ラジエータ4(RAD)、ヒータコア6(HTR)、EGRクーラ7(EGR)及び制御バルブ8(EWV)が各種流路10〜14により接続されて構成されている。
ウォータポンプ3、エンジン2及び制御バルブ8は、メイン流路10上で上流から下流にかけて順に接続されている。メイン流路10では、ウォータポンプ3の動作により冷却液(液体)がエンジン2及び制御バルブ8を順に通過する。
メイン流路10には、ラジエータ流路11、バイパス流路12、空調流路13及びEGR流路14がそれぞれ接続されている。これらラジエータ流路11、バイパス流路12、空調流路13及びEGR流路14は、メイン流路10のうちウォータポンプ3の上流部分と制御バルブ8とを接続している。
ラジエータ流路11には、ラジエータ4が接続されている。ラジエータ流路11では、ラジエータ4において、冷却液と外気との熱交換が行われる。バイパス流路12は、制御バルブ8を通過した冷却液を、ラジエータ4(ラジエータ流路11)を迂回してウォータポンプ3の上流部分に戻す。
空調流路13には、ヒータコア6が接続されている。ヒータコア6は、例えば空調装置のダクト(不図示)内に設けられている。空調流路13では、ヒータコア6において、冷却液とダクト内を流通する空調空気との熱交換が行われる。
EGR流路14には、EGRクーラ7が接続されている。EGR流路14では、EGRクーラ7において、冷却液とEGRガスとの熱交換が行われる。
上述した冷却システム1では、メイン流路10においてエンジン2を通過した冷却液が、制御バルブ8内に流入した後、制御バルブ8の動作によって各種流路11〜13に選択的に分配される。
[制御バルブ]
図2は、制御バルブ8の斜視図であり、図3は、制御バルブ8の分解斜視図である。図4は、図2のIV−IV線に沿う制御バルブ8の断面図であり、図5は、図4のV−V線に沿う制御バルブ8の断面図である。
これらの図に示すように、制御バルブ8は、ケーシング21と、弁体22と、駆動ユニット23と、を主に備えている。
[ケーシング]
ケーシング21は、有底筒状のケーシング本体25と、ケーシング本体25の開口側の端部に取り付けられる端部カバー26と、を有している。ケーシング21の内部には、弁体22が回転可能に収容されている。ケーシング21のうちの、弁体22の回転中心軸線と合致する軸線をケーシング21の軸線O1と言う。また、以下の説明では、ケーシング21の軸線O1に沿う方向を単にケース軸方向と言う。また、ケース軸方向において、ケーシング本体25のケース周壁31に対してケーシング本体25の底壁部32に向かう方向をケース軸方向の一端側と言い、ケーシング本体25のケース周壁31に対して端部カバー26に向かう方向をケース軸方向の他端側と言う。さらに、ケーシング21の軸線O1に直交する方向をケース径方向と言う。
ケーシング本体25は、樹脂材料によって外面形状が略直方体状に形成されている。ケース周壁31のケース軸方向の他端側の端部には、複数の取付片33が延設されている。制御バルブ8は、取付片33を介して図示しないエンジンブロック等に固定される。
ケーシング21の端部カバー26は、円環状のフレーム枠26aの軸心位置にボス部26cが配置されている。ボス部26cは、複数のスポーク部26bによってフレーム枠26aに支持されている。ボス部26cには、有底円筒状の滑り軸受16が取り付けられている。端部カバー26のうちの、フレーム枠26aと、ボス部26cと、隣接するスポーク部26bとに囲まれた開口部分は、ケーシング21の内部に冷却液を流入させる流入口17とされている。流入口17は、冷却システム1のメイン流路10(図1参照)のエンジン2の下流側に接続されている。端部カバー26は、ケーシング本体25と同様に樹脂材料によって形成されている。
ケース周壁31の一面を成す壁には、ケース径方向の外側に膨出するラジエータポート41(図4参照)が形成されている。ラジエータポート41には、図示しないフェール開口とラジエータ流出口60(流出口)がケース軸方向と直交する方向に並んで形成されている。フェール開口とラジエータ流出口60は、ラジエータポート41を貫通して形成されている。また、フェール開口とラジエータ流出口60とは、ケース周壁31の一面を成す壁のうちの、ケース軸方向の他端側に偏った位置に形成されている。
ラジエータポート41の開口端面には、ラジエータジョイント42が接続されている。ラジエータジョイント42は、ラジエータ流出口60とラジエータ流路11(図1参照)の上流端部との間を接続している。
また、ラジエータ流出口60には、シール機構36が設けられている。シール機構36は、シール筒部材37と、付勢部材38と、シール部材39,40と、を備えている。シール筒部材37は、軸方向の一端部がラジエータ流出口60内(ラジエータ流出口60の下流側)に連通するとともに、軸方向の他端部が、後述する弁体22によって開閉される。シール機構36については、後に詳述する。
フェール開口には、サーモスタット61が配置されている。サーモスタット61は、ケーシング21内を流れる冷却液の温度に応じてフェール開口を開閉する。フェール開口は、ラジエータジョイント42(ラジエータ流路11)に連通している。サーモスタット61は、ケーシング21内を流れる冷却液の温度が規定の温度よりも高まったときに、フェール開口を開いてケーシング21内の冷却液をラジエータ流路11に流出させる。
ケース周壁31のケース軸方向の一端側の端部近傍には、サーモスタット61の収容部に隣接してEGRポート62が形成されている。EGRポート62は、ケース周壁31にケース径方向の外側に膨出して形成されている。EGRポート62には、サーモスタット61の収容部内のサーモスタット61よりも上流側部分に連通するEGR流出口63が形成されている。EGRポート62の開口端面には、EGRジョイント52が接続されている。EGRジョイント52は、EGR流出口63とEGR流路14(図1参照)の上流端部との間を接続している。
ケース周壁31のラジエータポート41の形成される壁と対向する側の壁には、ケース径方向の外側に膨出するバイパスポート64が形成されている。バイパスポート64には、バイパスポート64をケース径方向に貫通するバイパス流出口65(流出口)が形成されている。バイパス流出口65は、ケーシング21の軸線O1を間に挟んで、ラジエータ流出口60と対向する位置に形成されている。また、バイパス流出口65は、ラジエータ流出口60と同様にケース周壁31のケース軸方向の他端側に偏った位置に形成されている。
バイパスポート64の開口端面には、バイパスジョイント66が接続されている。バイパスジョイント66は、バイパス流出口65とバイパス流路12(図1参照)の上流端部とを接続している。バイパス流出口65には、ラジエータ流出口60に設けられるものと同様のシール機構36が設けられている。このシール機構36のシール筒部材37は、軸方向の一端部がバイパス流出口65内(バイパス流出口65の下流側)に連通するとともに、軸方向の他端部が弁体22によって開閉される。
ケース周壁31のうちの、ラジエータポート41の形成される壁の一側に隣接する壁には、ケース径方向の外側に膨出する空調ポート67(図2,図3参照)が形成されている。空調ポート67には、空調ポート67をケース径方向に貫通する空調流出口68が形成されている。空調ポート67の開口端面には、空調ジョイント69が接続されている。空調ジョイント69は、空調流出口68と空調流路13(図1参照)の上流端部とを接続している。空調流出口68には、ラジエータ流出口60やバイパス流出口65に設けられるものと同様のシール機構36が設けられている。このシール機構36のシール筒部材37は、軸方向の一端部が空調流出口68内(空調流出口68の下流側)に連通するとともに、軸方向の他端部が弁体22によって開閉される。
[駆動ユニット]
駆動ユニット23は、ケーシング本体25の底壁部32に取り付けられている。図4に示すように、底壁部32は、ケース周壁31のケース軸方向の一端側の端面を閉塞する底壁本体32aと、底壁本体32aの外周縁部からケース軸方向の一端側に突出する囲み壁32bと、を有している。駆動ユニット23は、一部が囲み壁32bの内側に収容され、その状態で底壁部32にボルト締結等によって固定されている。
駆動ユニット23は、モータや減速機構、制御基板等から成るユニット本体23Aと、ユニット本体23Aを収容するユニットケース23Bと、を備えている。ユニット本体23Aの出力軸23Aaは、ユニットケース23Bを貫通して外部に突出している。出力軸23Aaには、別体の駆動軸27が一体に連結されている。駆動軸27は、同軸に連結された樹脂製の第1軸27Aと、金属製の第2軸27Bと、によって構成されている。駆動軸27は、ケーシング21の底壁本体32aに形成された軸孔28を貫通し、後述する弁体22の軸心部に連結されている。駆動軸27は、ケーシング21の軸線O1と同軸に配置される。
ケーシング21の底壁本体32aは、ケース周壁31内に臨む側の肉厚が、周縁部から中心領域(軸孔28の形成される領域)に向かって増大している。軸孔28は、底壁本体32aの肉厚の最も厚い部分をケース軸方向に貫通するように形成されている。軸孔28の内部には、駆動軸27(第1軸27A)の外周面を摺動自在に支持するための円筒状の滑り軸受29が保持されている。また、軸孔28の弁体22側の端縁には、軸孔28の他の部位の内周面よりも内径の大きい拡径溝30が形成されている。拡径溝30の内部には、駆動軸27(第2軸27B)の外周面に摺動自在に密接して、ケーシング本体25の内部から駆動ユニット23側への冷却液の漏出を防止するシールリング35が取り付けられている。また、駆動軸27の第2軸27Bのケース軸方向の他端側部分は、滑り軸受16を介して端部カバー26のボス部26cに回転自在に支持されている。
[弁体]
弁体22は、ケーシング21の内部に回転可能に配置されている。弁体22は、円筒形状の周壁部44と、周壁部44のケース軸方向の一端側から径方向内側に向かって延設された接続フランジ部45と、接続フランジ部45の径方向内側の端部に連設された略筒状の連結筒部46と、を備えている。これらの周壁部44、接続フランジ部45、及び、連結筒部46は、樹脂材料によって一体に形成されている。連結筒部46は、駆動軸27(第2軸27B)に一体に連結されている。周壁部44には、上述した各流出口(バイパス流出口65、ラジエータ流出口60及び空調流出口68)と連通可能な弁孔47,47A,47Bが形成されている。各弁孔47,47A,47Bは、周壁部44をケース径方向に貫通している。
バイパス流出口65と連通可能な弁孔47は、周壁部44のケース軸方向の他端側の領域に複数(例えば、二つ)形成されている。ラジエータ流出口60に連通可能な弁孔47Aは、周壁部44のケース軸方向の他端側の領域に複数(例えば、二つ)形成されている。バイパス流出口65に連通可能な弁孔47と、ラジエータ流出口60に連通可能な弁孔47Aとは、周壁部44の周上の軸方向でほぼ重なる領域に形成されている。各弁孔47,47Aの形状は、真円形状や長円形状、矩形形状等任意であるが、周壁部44の軸方向に沿う方向の幅は、ラジエータ流出口60に連通可能な弁孔47Aの方が弁孔47よりも広く設定されている。
空調流出口68に連通可能な弁孔47Bは、周壁部44のケース軸方向の一端側の領域に一つのみ形成されている。この弁孔47Bは、周壁部44の周方向に沿って長孔形状に形成されている。弁孔47Bは、周壁部44上の残余の弁孔47,47Aと軸方向で重ならない領域(軸方向に離間した領域)に形成されている。弁孔47Bは、弁体22が所定の回動範囲にあるときに、弁体22の周壁部44の内側空間と空調流出口68とを連通させる。また、弁孔47Bは、周壁部44の軸方向に沿う方向の幅が、弁孔47Aよりも狭く設定されている。
なお、本実施形態では、ラジエータ流出口60に連通可能な弁孔47Aが第1弁孔を構成し、空調流出口68に連通可能な弁孔47Bが第2弁孔を構成している。
[シール機構]
つづいて、各流出口(バイパス流出口65、ラジエータ流出口60、空調流出口68)に設けられるシール機構36とその周域部の構造について説明する。なお、各流出口に配置されるシール機構36は、同様の基本構造とされているため、以下では、バイパス流出口65のシール機構36とその周域部の構造について詳細に説明し、ラジエータ流出口60と空調流出口68のシール機構36とその周辺部の構造については説明を省略する。
図6は、図5のVI部を拡大して示した図である。以下の説明では、バイパス流出口65の軸線O2(図5参照)に沿う方向をポート軸方向と呼ぶことがある。この場合、ポート軸方向において、バイパスポート64に対して軸線O1(図5参照)に向かう側を内側といい、バイパスポート64に対して軸線O1から離間する側を外側という。また、軸線O2と直交する方向をポート径方向といい、軸線O2回りの方向をポート周方向という場合がある。
図6に示すように、バイパスポート64に形成されるバイパス流出口65は、ケーシング21の内面に隣接する小径孔65aと、小径孔65aのポート軸方向外側に連設される中径孔65bと、中径孔65bのポート軸方向外側に連設される大径孔65cと、を有している。
バイパスジョイント66は、軸線O2と同軸に配置されたジョイント筒部53と、ジョイント筒部53からポート径方向外側に張り出すジョイントフランジ部54と、を有している。ジョイントフランジ部54は、バイパスポート64の膨出方向の端面に重ねられ、ボルト締結等によってバイパスポート64に固定されている。また、ジョイント筒部53は、バイパス流出口65の大径孔65cに嵌合される大径部53aと、バイパス流出口65の中径孔65bに嵌合される小径部53bと、バイパス流出口65の大径孔65cとの間で環状のシール収容部58を形成する中径部53cと、を有している。
また、ジョイント筒部53の内周面には、ポート軸方向の内側の端部まで連続する拡径溝55が形成されている。拡径溝55のポート軸方向の外側の端部には、段差部55aが設けられている。
バイパスポート64のバイパス流出口65とバイパスジョイント66で囲まれた部分には、シール機構36が配置されている。シール機構36は、シール筒部材37と、付勢部材38と、シール部材39,40と、を有している。シール筒部材37は、その一部がバイパス流出口65の小径孔65a内に挿入されている。
図7は、シール筒部材37の縦断面図である。
シール筒部材37は、図5〜図7に示すように、軸線O2と同軸に延びる周壁を有している。シール筒部材37の周壁は、ポート軸方向の外側に向かうに従い外径が段状に縮径する多段筒状に形成されている。具体的には、シール筒部材37の周壁は、ポート軸方向の外側(軸方向の一端部側)に位置され、バイパス流出口65の下流側に連通する第1筒部56と、ポート軸方向の内側(軸方向の他端部側)に位置され、第1筒部56よりも内径及び外径が大きい第2筒部57と、を有している。図7に示すように、第1筒部56の内径寸法をR1、第2筒部57の内径寸法をR2、第1筒部56の外径寸法をR3、第2筒部57の外径寸法をR4とすると、第1筒部56と第2筒部57の内径と外径は、R1<R2、R3<R4を満たすように設定されている。
また、第1筒部56と第2筒部57の内周面は、シール筒部材37のポート軸方向の外側端(一端部)と内側端(他端部)とを連通する内部通路90を構成している。
シール筒部材37は、図6に示すように、大径の第2筒部57がバイパス流出口65の小径孔65aの内周面に摺動可能に挿入されている。第2筒部57におけるポート軸方向の内側の端面は、弁体22の周壁部44の外周面に摺動自在に当接する環状の弁摺接面59(摺接面)を構成している。なお、本実施形態において、弁摺接面59は、周壁部44の外周面の形状に沿った連続した湾曲面とされている。
第1筒部56の外周面は、第2筒部57の外周面に対して段差面49を介して連なっている。シール筒部材37の第1筒部56の外周面と、バイパス流出口65の中径孔65bの内周面の間には、シール筒部材37の段差面49と、バイパスジョイント66の小径部53bの端面とに挟まれた隙間Q1が形成されている。この隙間Q1には、XパッキンやYパッキン等の環状のシール部材39が介装されている。シール部材39は、シール筒部材37の第1筒部56の外周面と、バイパス流出口65の中径孔65bの内周面とに摺動可能に密接している。
なお、隙間Q1内のシール部材39を挟んでポート軸方向の内側の空間部には、バイパス流出口65の小径孔65aとシール筒部材37の第2筒部57の間の隙間を通してケーシング21内の冷却液の液圧が導入される。段差面49は、ポート軸方向におけるシール筒部材37の弁摺接面59と相反する向きに形成されている。段差面49は、ケーシング21内の冷却液の液圧を受けてポート軸方向の内側に押圧される受圧面を構成している。
また、バイパス流出口65の大径孔65cとバイパスジョイント66の中径部53cの間には、両者の間を液密に密閉するためのOリング等の環状のシール部材40が介装されている。
付勢部材38は、シール筒部材37の第1筒部56の軸方向の端面と、バイパスジョイント66の段差部55aとの間に介在している。付勢部材38は、例えばウェーブスプリング等によって構成される。付勢部材38は、シール筒部材37をポート軸方向の内側に向けて(弁体22の周壁部44に向けて)付勢している。
ここで、シール筒部材37において、段差面49の面積S1と、弁摺接面59の面積S2とは、以下の式(1),(2)を満たすように設定されている。
S1<S2≦S1/k …(1)
α≦k<1 …(2)
k:弁摺接面59と弁体22の周壁部44との間の微少隙間を流れる冷却液の圧力減少定数
α:冷却液の物性によって決まる圧力減少定数の下限値
なお、段差面49の面積S1と弁摺接面59の面積S2は、ポート軸方向に投影したときの面積を意味する。
式(2)におけるαは、冷却液の種類や、使用環境(例えば、温度)等によって決まる圧力減少定数の標準値である。例えば、通常使用条件下において、水の場合にはα=1/2となる。使用する冷却液の物性が変化した場合には、α=1/3等に変化する。
また、式(2)における圧力減少定数kは、弁摺接面59がポート径方向の外側端縁から内側端縁にかけて均一に周壁部44に接しているときには、圧力減少定数の標準値であるα(例えば、1/2)となる。但し、シール筒部材37の製造誤差や組付け誤差等によって、弁摺接面59の外周部分と周壁部44との間の隙間が弁摺接面59の内周部分に対して僅かに増大することがある。この場合、式(2)における圧力減少定数kは、次第にk=1に近づくことになる。
本実施形態では、シール筒部材37の弁摺接面59と周壁部44の外周面との間に、摺動を許容するための微小な隙間があることを前提として、段差面49と弁摺接面59の各面積S1,S2の関係が式(1),(2)によって決められている。
すなわち、シール筒部材37の段差面49には、上述したようにケーシング21内の冷却液の圧力がそのまま作用する。一方で、弁摺接面59には、ケーシング21内の冷却液の圧力がそのまま作用しない。具体的には、冷却液の圧力は、弁摺接面59と周壁部44の間の微小な隙間を冷却液がポート径方向の外側端縁から内側端縁に向かって流れるときに圧力減少を伴いつつ作用する。このとき、冷却液の圧力は、ポート径方向の内側に向かって漸減しつつ、シール筒部材37をポート軸方向の外側に押し上げようとする。
その結果、シール筒部材37の段差面49には、段差面49の面積S1にケーシング21内の圧力Pを乗じた力がそのまま作用する。一方、シール筒部材37の弁摺接面59には、弁摺接面59の面積S2にケーシング21内の圧力Pと圧力減少定数kとを乗じた力が作用する。
本実施形態の制御バルブ8は、式(1)からも明らかなようにk×S2≦S1が成り立つように面積S1,S2が設定されている。このため、P×k×S2≦P×S1の関係も成り立つ。
したがって、シール筒部材37の段差面49に作用する押し付け方向の力F1(F1=P×S1)は、シール筒部材37の弁摺接面59に作用する浮き上がり方向の力F2(F2=P×k×S2)以上に大きくなる。よって、本実施形態の制御バルブ8においては、ケーシング21内の冷却液の圧力の関係のみによっても、シール筒部材37と周壁部44との間をシールすることができる。
一方、本実施形態では、上述したようにシール筒部材37の段差面49の面積S1が弁摺接面59の面積S2よりも小さい。そのため、ケーシング21内の冷却液の圧力が大きくなっても、シール筒部材37の弁摺接面59が過剰な力で周壁部44に押し付けられるのを抑制できる。したがって、本実施形態の制御バルブ8を採用した場合には、弁体22を回転駆動する駆動ユニット23の大型化及び高出力化を回避することができる上、シール筒部材37や駆動部のブッシュ類の早期摩耗を抑制できる。
このように、本実施形態では、シール筒部材37に作用するポート軸方向の内側への押し付け力が、シール筒部材37に作用するポート軸方向の外側への浮き上がり力を下回らない範囲で、弁摺接面59の面積S2が段差面49の面積S1よりも大きく設定されている。そのため、周壁部44に対するシール筒部材37の過剰な力での押し付けを抑制しつつ、シール筒部材37と周壁部44との間をシールできる。
ここで、ラジエータ流出口60に配置されるシール筒部材37と、バイパス流出口65に配置されるシール筒部材37と、空調流出口68に配置されるシール筒部材37とは、流出側で必要とされる冷却液の流量(必要流量)の相違から、各部の寸法が異なっている。各流出口で必要とされる必要流量は、空調流出口68、バイパス流出口65、ラジエータ流出口60の順で次第に大きくなっている。第1筒部56の内外径R1,R3と第2筒部57の内外径R2,R4は、いずれも空調流出口68に配置されるシール筒部材37、バイパス流出口65に配置されるシール筒部材37、ラジエータ流出口60に配置されるシール筒部材37の順に次第に大きくなっている。
なお、本実施形態では、ラジエータ流出口60に配置されるシール筒部材37が第1のシール筒部材37Aを構成し、空調流出口68に配置されるシール筒部材37が第2のシール筒部材37Bを構成している。第1のシール筒部材37Aの第2筒部57側の端部は、弁体22の弁孔47A(第1弁孔)によって開閉され、第2のシール筒部材37Bの第2筒部57側の端部は、弁体の弁孔47B(第2孔)によって開閉される。
図8は、弁体22と、弁体22の周壁部44の周域に配置される各シール筒部材37を示す斜視図である。また、図9は、弁体22の周壁部44の一部の展開図と、周壁部44上の弁孔47A,47Bを開閉する各シール筒部材37(37A,37B)を当該部材の軸方向から見た図とを重ね合わせた図である。なお、図9では、弁体22の周壁部44が仮想線で示されている。また、各シール筒部材37(37A,37B)は、弁体22に当接する側(軸方向の他端部側)から見た状態として描かれている。
図8,図9中の上方側に位置される第2のシール筒部材37Bは、前述のように第1筒部56と第2筒部57の内外径が、第1のシール筒部材37Aの内外径よりも小さく設定されている。第2のシール筒部材37Bの第1筒部56は、内周面と外周面がいずれも真円形状に形成されている。これに対し、第2のシール筒部材37Bの第2筒部57は、内周面と外周面がいずれも長円形状に形成されている。第2筒部57の内周面と外周面の長円形状は、弁体22の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状されている。即ち、図9に示す第2筒部57の外周面は、弁体22の軸方向に沿う方向の外径寸法R4Sが最も短く、弁体22の周方向に沿う方向の外径寸法R4Lが最も長くなる長円形状に形成されている。また、第2筒部57の内周面は外周面と同様の長円形状に形成されている。
ここで、第2のシール筒部材37Bは、第2筒部57の内周面の短軸方向の寸法が第1筒部56の内径R1以上に大きい寸法に設定されている。このため、第2のシール筒部材37Bの内部通路90は、第1筒部56の内周部分の断面が最も小さく、その断面の大きさによって冷却液の流出流量(最大流出流量)が決定される。
なお、第1のシール筒部材37Aやその他のシール筒部材37も同様に第1筒部56の内周部分の断面が最も小さくなっており、第1筒部56の内周部分の断面の大きさによって冷却液の流出流量(最大流出流量)が決定される。
図8,図9中の下方側に位置される第1のシール筒部材37Aは、第1筒部56の内周面と外周面が第2のシール筒部材37Bと同様に真円形状に形成されている。また、第1のシール筒部材37Aの第2筒部57の内周面と外周面は、真円形状であっても楕円形状であっても良い。
[制御バルブの動作]
次に、上述した制御バルブ8の動作について説明する。
図1に示すように、メイン流路10において、ウォータポンプ3により送出される冷却液は、エンジン2で熱交換された後、制御バルブ8に向けて流通する。メイン流路10においてエンジン2を通過した冷却液は、流入口17を通して制御バルブ8のケーシング21内に流入する。
制御バルブ8のケーシング21内に流入した冷却液のうち、一部の冷却液はEGR流出口63内に流入する。EGR流出口63内に流入した冷却液は、EGRジョイント52を通ってEGR流路14内に供給される。EGR流路14内に供給された冷却液は、EGRクーラ7において、冷却液とEGRガスとの熱交換が行われた後、メイン流路10に戻される。
一方、制御バルブ8のケーシング21内に流入した冷却液のうち、EGR流出口63内に流入しなかった冷却液は、ケーシング21内の弁体22の回転位置に応じて、弁体22によって開かれているいずれかの流出口(ラジエータ流出口60、バイパス流出口65、空調流出口68)を通して各流路11〜13に分配される。
制御バルブ8において、弁孔と流出口との連通パターンを切り替えるには、駆動ユニット23によって弁体22を軸線O1回りに回転させる。そして、設定したい連通パターンに対応する位置で弁体22の回転を停止させることで、弁体22の停止位置に応じた連通パターンで弁孔と流出口とが連通する。
[実施形態の効果]
以上のように、本実施形態の制御バルブ8は、第2のシール筒部材37Bの内部通路90が第1のシール筒部材37Aの内部通路90よりも小断面に形成され、第2のシール筒部材37Bの弁体22側の外周面が弁体22の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されている。このため、第2のシール筒部材37Bでの冷却液の流出流量を確保したうえで、第2のシール筒部材37Bの端部を開閉する弁孔47B(第2弁孔)の軸方向幅(弁体22の軸方向に沿う方向の幅)を狭めることができる。したがって、本実施形態の制御バルブ8を採用した場合には、第2のシール筒部材37Bでの冷却液の流出流量を減少させることなく、弁体22の周壁部44の軸方向に沿う方向の幅を狭め、制御バルブ8全体の小型化を図ることができる。
また、本実施形態の制御バルブ8は、内部通路90の断面の小さい第2のシール筒部材37Bの側の端部の外周面が、弁体22の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されている。このため、内部通路90の断面の大きい第1のシール筒部材37Aの側の端部の外周面を同様の長円形状にする場合に比較して、弁摺接面59の弁体22方向に最も突出した部分が液圧による曲げモーメントを受けて変形するのを抑制することができる。即ち、内部通路90の断面の大きい第1のシール筒部材37Aは、内外径がともに大型化するため、弁摺接面59の弁体22方向に最も突出した部分(弁体22の周方向に沿う方向の端部)とシール筒部材の軸心位置との離間距離が長くなる。このため、弁摺接面59の弁体22方向に最も突出した部分に作用する液圧による曲げモーメントが大きくなる。これに対し、本実施形態の制御バルブ8は、内部通路90の断面の小さい第2のシール筒部材37Bの外周面に上記の長円形状が設けられているため、弁摺接面59の弁体22方向に最も突出した部分に作用する液圧による曲げモーメントを小さくすることができる。
したがって、本実施形態の制御バルブ8を採用した場合には、ケーシング21内の液圧によるシール筒部材37の不要な変形を抑制しつつ、制御バルブ8全体の小型化を図ることができる。
さらに、本実施形態の制御バルブ8は、第2のシール筒部材37Bが、第1筒部56と、第1筒部56よりも通路断面が大きく、端面が弁体22の周壁部44に摺接する第2筒部57と、を有し、第2筒部57の外周面が、弁体22の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されている。この場合、第2のシール筒部材37Bでの冷却液の最大流出流量(最大圧力損失)が、通路断面の小さい第1筒部56によって決まるため、第2のシール筒部材37Bの第2筒部57の内周面を外周面とともに長円形状に形成しても、液体の最大流出流量に大きく影響を及ぼすことがない。したがって、本構成を採用した場合には、第2のシール筒部材37Bの弁体22側の外周面の形状変更の自由度が高まる。
また、本実施形態の制御バルブ8では、第2のシール筒部材37Bの第1筒部56の外周面が真円形状に形成され、空調流出口68と第1筒部の外周面の間にシール部材39が介装されている。この場合、第1筒部56の外周面が真円形状に形成されているため、第2筒部57の外周面が長円形状であっても、空調流出口68と第1筒56部の間をシール部材39によって容易に、かつ、均一に密閉することができる。
さらに、本実施形態の制御バルブ8は、シール筒部材37の第1筒部56の外周面と第2筒部57の外周面の間に段差面49が設けられ、その段差面49が、ケーシング21の内部の冷却液の圧力を受けてシール筒部材37を弁体22の側に付勢する付勢用受圧面を構成している。そして、付勢用受圧面の面積S1とシール筒部材37の弁摺接面59の面積S2とが、上記の式(1),(2)を満たすように設定されている。このため、付勢用受圧面(段差面49)を通してシール筒部材37に作用する冷却液の押し付け力は、弁摺接面59と弁体22の隙間から冷却液が漏れ出るときに、シール筒部材37に作用する浮き上がり力以上に大きな力となる。また、シール筒部材37の付勢用受圧面(段差面49)の面積S1が弁摺接面59の面積S2よりも小さいため、ケーシング21内の冷却液の圧力が大きくなってもシール筒部材37が過剰な力で弁体22に押し付けられるのを抑制することができる。
したがって、本実施形態の制御バルブ8を採用した場合には、弁体22に対するシール筒部材37の過剰な力での押し付けを抑制しつつ、良好なシール性を確保することができる。
また、本実施形態の制御バルブ8では、第2のシール筒部材37Bの第2筒部57の外周面が、弁体22の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されているため、第2のシール筒部材37Bの付勢用受圧面(段差面49)は、弁体22の周方向に沿う方向の端部付近が第2のシール筒部材37Bの軸心位置から最も離間することになる。このため、第2筒部57の弁摺接面59のうちの、弁体方向の突出高さの高い領域に液圧による大きな曲げモーメントが作用することになる。しかし、本実施形態の制御バルブ8は、付勢用受圧面(段差面49)のうちの、弁体22の周方向に沿う方向の端部付近の面積が最も大きくなるため、その部分で受ける液圧による弁体22方向の押し付け力によって弁摺接面59付近の変形を抑制することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、第2のシール筒部材37Bの第2筒部57の外周面のみが、弁体22の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されているが、第1のシール筒部材37Aの外周面も同様に、弁体22の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成しても良い。
また、上記の実施形態では、シール筒部材が第1筒部と第2筒部を持つ段付き円筒状のものを採用しているが、シール筒部材は段差部のない筒状形状であっても良い。
8…制御バルブ
17…流入口
21…ケーシング
22…弁体
37A…第1のシール筒部材
37B…第2のシール筒部材
44…周壁部
47A…弁孔(第1弁孔)
47B…弁孔(第2弁孔)
49…段差面
56…第1筒部
57…第2筒部
59…弁摺接面(摺接面)
60…ラジエータ流出口(流出口)
65…バイパス流出口(流出口)
68…空調流出口(流出口)
S1…付勢用受圧面の面積
S2…摺接面の面積

Claims (4)

  1. 外部から液体が流入する流入口、及び、内部に流入した液体を外部に流出させる複数の流出口を有するケーシングと、
    前記ケーシングの内部に回転可能に配置され、周壁部の軸方向に離間した位置に第1弁孔と第2弁孔とが形成された弁体と、
    軸方向の一端部が一の前記流出口に連通し、軸方向の他端部が前記周壁部の外周面に当接して前記第1弁孔によって開閉される第1のシール筒部材と、
    軸方向の一端部が他の前記流出口に連通し、軸方向の他端部が前記周壁部の外周面に当接して前記第2弁孔によって開閉される第2のシール筒部材と、を備え、
    前記第2のシール筒部材は、前記第1のシール筒部材よりも内部通路が小断面に形成され、
    前記第2のシール筒部材の軸方向の他端部側の外周面は、前記弁体の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されていることを特徴とする制御バルブ。
  2. 前記第2のシール筒部材は、
    前記一端部側に位置され、他の前記流出口に連通する第1筒部と、
    前記他端部側に位置され、軸方向の端面が前記周壁部の外周面に摺接可能で、かつ、内側の通路断面が前記第1筒部よりも大きい第2筒部と、を有し、
    前記第2筒部の外周面が、前記弁体の軸方向に沿う方向を短軸とする長円形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御バルブ。
  3. 前記第1筒部は、外周面が真円形状に形成され、
    前記流出口と前記第1筒部の外周面の間には、シール部材が介装されていることを特徴とする請求項2に記載の制御バルブ。
  4. 前記第2のシール筒部材は、前記第1筒部の外径が前記第2筒部の外径よりも小さく形成されるとともに、前記第1筒部の外周面と前記第2筒部の外周面の間に段差面が設けられ、
    前記段差面は、前記ケーシングの内部の液体の圧力を受けて前記第2のシール筒部材を前記弁体の側に付勢する付勢用受圧面を構成し、
    前記付勢用受圧面の面積S1と前記第2のシール筒部材の前記弁体との摺接面の面積S2とは、式(1),(2)を満たすように設定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の制御バルブ。
    S1<S2≦S1/k …(1)
    α≦k<1 …(2)
    k:弁摺接面と弁体の間の微少隙間を流れる液体の圧力減少定数。
    α:液体の物性によって決まる圧力減少定数の下限値。
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