JP2021147555A - 難燃性樹脂組成物、並びに電線及びケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃剤として水酸化マグネシウムを用いながら、耐炭酸ガス白化性に優れ、成形加工性及び機械的特性にも優れる難燃性樹脂組成物を提供する。【解決手段】樹脂成分と金属水和物とを含有する難燃性樹脂組成物であって、前記金属水和物が、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含む、脂肪酸処理された金属水和物とリン酸エステル処理された金属水和物との組み合わせを含み、前記樹脂成分の総量100質量%中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれる少なくとも1種のベース樹脂と、極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂及び極性基含有三元共重合体を含む相溶化剤とを合計で90質量%以上含み、前記ベース樹脂及び前記相溶化剤の合計100質量部に対し、前記金属水和物を120〜250質量部含む、難燃性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物、並びにそれを用いた電線及びケーブルに関する。本発明は、詳しくは、難燃剤として水酸化マグネシウムを用いながら、耐炭酸ガス白化性に優れ、成形加工性及び機械的特性にも優れる難燃性樹脂組成物、並びに該組成物を用いた電線及びケーブルに関する。
従来、電線又はケーブル用被覆材などの難燃性材料として、ポリ塩化ビニル樹脂組成物が使用されている。しかし、ポリ塩化ビニル樹脂組成物は、火災時や廃棄焼却時に燃焼すると有毒なハロゲン含有ガスを生じるという欠点がある。ポリ塩化ビニルのかかる欠点を克服するため、ポリオレフィン系樹脂に水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム等の金属水和物を配合した樹脂組成物(ノンハロゲン難燃性材料)が提案されている。
特許文献1には、このようなノンハロゲン難燃性ポリエチレン樹脂において、高温高湿環境下でも機械的特性を維持できることを目的として、115℃(摂氏)を超える融点を有する無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンを含み、更に33〜99.5質量%の割合でエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体を含むカップリング剤(相溶化剤)を用いることが開示されている。
一方、電線又はケーブル用難燃性材料に求められる難燃グレードとしては、建物の構造の違い等により、欧州や米国等で日本国内よりも高い難燃性が要求されている。欧州では、ケーブル等の難燃規格として欧州建設資材規制(CPR:Construction Products Regulation)を取り入れており、米国では、例えば、ビル等で複数階の床を貫通する垂直布設に要求される難燃性の判別に、UL1666規格に基づくライザー試験が行われている。
ノンハロゲン難燃性ポリエチレン樹脂において、難燃性を向上させるためには、一般的に、金属水和物等のフィラーの含有量を増やす必要がある。
特許文献2には、金属水酸化物を高充填しても、優れた耐水性を得ることを目的として、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の粒子を脂肪酸系材料で表面処理し、これをポリオレフィン系樹脂に添加してなる難燃性樹脂組成物において、金属水酸化物の粒子の表面が一部露出するように、脂肪酸系材料を、金属水酸化物に対し0.3〜1.5質量%の範囲で添加した難燃性樹脂組成物が開示されている。
しかし、水酸化マグネシウムは、空気中の炭酸ガスと水分に反応して塩基性炭酸マグネシウムに化学変化していくことがあり、この現象は「炭酸ガス白化」と呼ばれている。難燃剤として水酸化マグネシウムを含有する難燃性樹脂組成物を用いて製造された電線及びケーブル等は、この炭酸ガス白化が生じやすいという問題がある。炭酸ガス白化現象が起きると、析出物(炭酸マグネシウム)による外観の変化とともに重量増加が起こる。また、水酸化マグネシウムが炭酸マグネシウムに変化することで、難燃性が低下する場合もある。
特許文献3は、難燃性樹脂組成物中の水酸化マグネシウムの耐炭酸ガス白化性を強めることを目的として、脂肪族アミンで表面処理され、その表面処理量が0.5〜5.0質量%である表面処理水酸化マグネシウムを用いることを提案している。
国際公開第2013/107971号 特開2012−102307号公報 特開2006−111678号公報
また、ノンハロゲン難燃性ポリエチレン樹脂において、難燃性を向上させるために金属水和物の含有量を増やすと、押出成形時における流動性が不足して成形加工性を確保することが難しくなり、また、切断時引張強さ等の機械的特性も確保することが難しくなる。
難燃剤として水酸化マグネシウムを用いた従来の難燃性樹脂組成物は、耐炭酸ガス白化性に優れ、且つ、成形加工時の流動性、及び切断時引張強さ等の機械的特性も確保された材料として十分なものとは必ずしも言えない。
本発明では、上記従来技術の問題点に鑑み、難燃剤として水酸化マグネシウムを用いながら、耐炭酸ガス白化性に優れ、成形加工性及び機械的特性にも優れる難燃性樹脂組成物、並びに当該難燃性樹脂組成物を用いた電線及びケーブルを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、樹脂成分に金属水和物を混合した難燃性樹脂組成物において、金属水和物として、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含む、脂肪酸処理された金属水和物とリン酸エステル処理された金属水和物との組み合わせを用い、金属水和物の割合を、ベース樹脂及び相溶化剤の合計100質量部に対して120〜250質量部とし、更に、樹脂成分の90質量%以上を、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれる少なくとも1種のベース樹脂、並びに、極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂及び極性基含有三元共重合体を含む相溶化剤とすると、多量の水酸化マグネシウムを含有するにも関わらず炭酸ガス白化が抑制され、更に、電線及びケーブル用被覆材としての成形加工性、機械的特性及び難燃性に優れた難燃性樹脂組成物が得られることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1の発明によれば、樹脂成分及び金属水和物を含有する難燃性樹脂組成物であって、
上記金属水和物が、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含む、脂肪酸処理された金属水和物とリン酸エステル処理された金属水和物との組み合わせを含み、
上記樹脂成分の総量100質量%中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれる少なくとも1種のベース樹脂と、極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂及び極性基含有三元共重合体を含む相溶化剤とを合計で90質量%以上含み、
上記ベース樹脂及び上記相溶化剤の合計100質量部に対し、上記金属水和物を120〜250質量部含む、難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、脂肪酸両性金属塩を更に含有し、上記ベース樹脂及び上記相溶化剤の合計100質量部に対し、上記脂肪酸両性金属塩を0.001〜5質量部含む、難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、上記相溶化剤の総量100質量%中に、上記極性基含有三元共重合体を10〜60質量%含む、難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂が、無水マレイン酸で変性された直鎖状低密度ポリエチレンを含む、難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、上記極性基含有三元共重合体が、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体を含む、難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、上記金属水和物が、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムを含む、難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、上記脂肪酸処理された金属水和物及び上記リン酸エステル処理された金属水和物の合計100質量%中に、上記リン酸エステル処理された金属水和物を40〜90質量%含む、難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、上記脂肪酸処理された金属水和物における脂肪酸の処理量が、脂肪酸処理前の金属水和物100質量%に対し、0.2〜1.5質量%である、難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明において、脂肪酸両性金属塩を更に含有し、上記脂肪酸両性金属塩がステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を含む、難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明の難燃性樹脂組成物を用いた電線又はケーブルが提供される。
本発明によれば、難燃剤として水酸化マグネシウムを用いながら、耐炭酸ガス白化性に優れ、成形加工性及び機械的特性にも優れる難燃性樹脂組成物、及び当該難燃性樹脂組成物を用いた電線及びケーブルを提供することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、樹脂成分と金属水和物とを含有する難燃性樹脂組成物であって、
上記金属水和物が、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含む、脂肪酸処理された金属水和物とリン酸エステル処理された金属水和物との組み合わせを含み、
上記樹脂成分の総量100質量%中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれる少なくとも1種のベース樹脂と、極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂及び極性基含有三元共重合体を含む相溶化剤とを合計で90質量%以上含み、
上記ベース樹脂及び上記相溶化剤の合計100質量部に対し、上記金属水和物を120〜250質量部含むことを特徴とする。
本発明の難燃性樹脂組成物に含まれる上記各成分の役割は、主に、ベース樹脂が、耐摩耗性等の耐久性及び強度を確保し、難燃剤である金属水和物が、難燃性を付与し、相溶化剤が、ベース樹脂と金属水和物との相溶性を向上して、樹脂組成物の流動性及び可撓性を確保する。
特許文献2、3に記載されるように、難燃剤としての水酸化マグネシウムを表面処理して用いることは従来行われている。しかし、本発明者は、ベース樹脂及び相溶化剤の合計100質量部に対して120〜250質量部の量で金属水和物を含有させ、且つ水酸化マグネシウムの炭酸ガス白化を十分に抑制できる処理量で金属水和物を表面処理すると、表面処理剤の影響で、樹脂組成物の流動性が上昇して押出成形に適した成形加工性が得られなくなったり、樹脂組成物の切断時引張強さ及び切断時伸び等の機械的特性が悪化したりする場合があることを知見した。
これに対し、本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃剤として、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含む、脂肪酸処理された金属水和物とリン酸エステル処理された金属水和物との組み合わせを含み、更に、相溶化剤として、極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂と、極性基含有三元共重合体との組み合わせを含み、且つ、樹脂成分中のベース樹脂及び相溶化剤の合計含有量が上記特定量であることにより、上述した量で金属水和物を含有させ、水酸化マグネシウムを用いながら、耐炭酸ガス白化性に優れ、且つ、成形加工性、並びに切断時引張強さ及び切断時伸び等の機械的特性のバランスにも優れ、難燃性に優れる。
本発明では、脂肪酸処理した金属水和物と、リン酸エステル処理した金属水和物とを組み合わせて用いる。そのため、金属水和物の表面処理を脂肪酸処理又はリン酸エステル処理のいずれか一方のみとする場合に比べると、表面処理量の合計に対する脂肪酸処理量及びリン酸エステル処理量は、いずれも低減される。そのため、本発明の難燃性樹脂組成物においては、金属水和物として用いられる水酸化マグネシウムの変質による炭酸ガス白化を抑制しながら、脂肪酸に起因する樹脂組成物の流動性の上昇による成形加工性の悪化、及びリン酸エステルに起因する切断時伸び等の機械的特性の悪化を抑制することができると考えられる。
更に、本発明の難燃性樹脂組成物は、相溶化剤として、極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂と、極性基含有三元共重合体とを組み合わせて含み、且つ、樹脂成分中のベース樹脂及び相溶化剤の合計含有量が上記特定量以上であることにより、上述した量で金属水和物を含有しても、成形加工性及び切断時伸び等の機械的特性の悪化が抑制される。相溶化剤としての極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂、及び極性基含有三元共重合体は、それぞれベース樹脂と金属水和物との相溶性を向上するが、相溶機構が異なると推定される。極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系主鎖を有し、側鎖に極性基が結合している。そのため、極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂は、側鎖の極性基が金属水和物側に向き、主鎖が、ベース樹脂中に入り込むアンカー効果を有することにより、ベース樹脂と金属水和物との相溶性を向上すると推定される。一方、極性基含有三元共重合体においては、分子鎖中にランダムに存在する極性基が金属水和物側に向いて、極性基含有三元共重合体が金属水和物を覆うような配置となる結果、ベース樹脂に対する濡れ性が良くなり、ベース樹脂と金属水和物との相溶性を向上すると推定される。本発明の難燃性樹脂組成物においては、これらの相溶化剤を併用し、各相溶化剤による異なる相溶機構が組み合わさることにより、成形加工性及び切断時伸び等の機械的特性のバランスを取ることが可能になると推定される。
また、本発明の難燃性樹脂組成物においては、相溶化剤として含有される極性基含有三元共重合体によっても、水酸化マグネシウムの変質による炭酸ガス白化が抑制される。上述したように、難燃性樹脂組成物中の極性基含有三元共重合体は、金属水和物を覆うような配置になると推定される。本発明の難燃性樹脂組成物においては、脂肪酸処理又はリン酸エステルされた水酸化マグネシウムが更に極性基含有三元共重合体で覆われることによって、水酸化マグネシウムの変質が顕著に抑制されると推定される。
また、特許文献3に記載される脂肪族アミンで表面処理された水酸化マグネシウムは、市販品としては一般的ではないのに対し、本発明で使用される脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムは、表面処理された状態の製品が市販されており、容易に入手することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物を押出成形して得られる成形体は、電線及びケーブルの被覆用材料等として優れた難燃性、強度及び耐久性を有し、耐炭酸ガス白化性にも優れる。また、本発明の難燃性樹脂組成物はハロゲンフリーであるため、火災時や廃棄焼却時に燃焼しても有毒なハロゲン含有ガスを生じることのない優れた成形製品を経済的に有利に提供することが可能である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、”x〜y”という範囲を示す表記は、特に断りが無い限り、当該範囲にxとyが入るものとする。
1.樹脂成分
本発明に使用される樹脂成分は、本発明の難燃性樹脂組成物の成形体を形作るためのマトリックス成分であり、典型的にはポリマーである熱可塑性樹脂であり、熱可塑性エラストマーを含む。
本発明の難燃性樹脂組成物は、樹脂成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれる少なくとも1種のベース樹脂と、相溶化剤とを含み、本発明の特性を損なわない範囲で、ベース樹脂及び相溶化剤とは異なるその他の樹脂成分を更に含有していても良い。
1−1.ベース樹脂
本発明の難燃性樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれる少なくとも1種のベース樹脂を含有する。
本発明に使用するベース樹脂は、メルトフローレイト(MFR)が、0.1g/10分を超え、15g/10分以下であることが好ましく、より好ましくは0.1g/10分を超え、5g/10分以下である。
ベース樹脂のMFRがこの範囲内にあると、本発明の難燃性樹脂組成物は、電線又はケーブルを製造する際の加工特性に優れる点から好ましい。一方、ベース樹脂のMFRが0.1g/10分以下では、高速押出成形時に流動性が不足し、成形品に外観不良などの問題が生じる恐れがある。ベース樹脂のMFRが15g/10分より大きいと、引裂強度や切断時引張強さ等の機械的強度が向上されにくく、また成形時の溶融張力が不足して樹脂切れや外観不良の原因となる場合がある。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂のMFRは、JIS K7210−1(2014)「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方−第1部:標準的試験方法」に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件でMFRを測定したときの値をいう。
熱可塑性樹脂のMFRは、例えば、重合時の温度及び圧力等の調整により制御できる。
本発明に使用するエチレン−酢酸ビニル共重合体は、当該共重合体の全構成単位100質量%中、酢酸ビニルコモノマー単位を5〜30質量%含むものが好ましく、15〜30質量%含むものが更に好ましい。酢酸ビニルコモノマー単位の含有量が上記範囲内にあると、電線又はケーブルとしての難燃性を確保しやすい。
なお、本発明において、共重合体中の各構成単位の含有量は、共重合体を合成する際の原料の仕込み量から求められる量であっても良い。
本発明に使用するエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、エチレンと、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種との共重合体であれば特に限定はされず、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体、及び、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体等のエチレン−メタクリル酸エステル共重合体が挙げられる。中でも、エチレン−アクリル酸エステル共重合体が好ましく、エチレンと、アルキル基の炭素数が1〜4であるアクリル酸アルキルエステルとの共重合体がより好ましく、エチレン−アクリル酸エチル共重合体が特に好ましい。
これらのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
本発明に使用するエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、当該共重合体の全構成単位100質量%中、(メタ)アクリル酸エステルコモノマー単位を5〜30質量%含むものが好ましく、15〜30質量%含むものが更に好ましい。(メタ)アクリル酸エステルコモノマー単位の含有量が上記範囲内にあると、電線又はケーブルとしての難燃性を確保しやすい。
上記ベース樹脂の含有量、すなわちエチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の合計含有量は、樹脂成分100質量%中、60〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、例えば、チューブラー反応器、オートクレープ反応器等を使用して、高圧ラジカル重合法により製造してもよいし、或いは、中低圧法で、金属錯体を触媒とし、イオン重合によって製造してもよい。
1−2.相溶化剤
本発明において、相溶化剤は、上記ベース樹脂と後述の金属水和物との相溶性を向上する熱可塑性樹脂であり、極性基を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記相溶化剤が有する極性基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、グリシジル基、カルボニル基、アミノ基及びトリクロロシリル基から選ばれる少なくとも1種の極性基であることが、ベース樹脂であるエチレン−酢酸ビニル共重合体と金属水和物との相溶効果が高い点から好ましい。中でも、カルボキシル基及びカルボン酸無水物基から選ばれる少なくとも1種の極性基であることがより好ましい。
本発明に使用する相溶化剤は、少なくとも、極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂、及び極性基含有三元共重合体(極性基含有ターポリマー)を含む。
極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂、及び極性基含有三元共重合体は、上述したように、いずれもベース樹脂及び必要に応じて含有される熱可塑性エラストマーなどのその他の樹脂成分と良好な相溶性を有し、これらの樹脂成分と金属水和物との相溶性を向上する相溶効果に優れる。
<極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂>
極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂としては、例えば、(i)不飽和カルボン酸又はその誘導体、(ii)エポキシ基含有化合物、(iii)ヒドロキシル基含有化合物、(iv)アミノ基含有化合物、(v)有機シラン化合物、(vi)有機チタネート化合物などの極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。
なお、上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂は、典型的には、単独重合体又はエチレン−α−オレフィン共重合体であるポリオレフィン系樹脂を上記極性基含有化合物で変性した樹脂である。
(i)不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸などの不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などのα,β−不飽和ジカルボン酸及びこれらの酸無水物、及びこれらの金属塩などが挙げられるが、特に好ましいものとしては無水マレイン酸を挙げることができる。
(ii)エポキシ基含有化合物としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル及びα−クロロアリル、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸などのグリシジルエステル類又はビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類、p−グリシジルスチレンなどが挙げられるが、特に好ましいものとしてはメタクリル酸グリシジル、及びアリルグリシジルエーテルを挙げることができる。
(iii)ヒドロキシル基含有化合物としては、例えば、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(iv)アミノ基含有化合物としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの3級アミノ基含有化合物などが挙げられる。
(v)有機シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙げられる。
(vi)有機チタネート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタネート、チタンラクテートアンモニウムなどが挙げられる。
これらの中でも、(i)不飽和カルボン酸又はその誘導体が好ましく、特に、無水マレイン酸が好ましい。
上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂において、変性に用いるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物等を用いることができる。中でも、ベース樹脂と金属水和物との相溶効果に優れる点から、密度が0.87g/cm以上0.97g/cm以下のエチレン単独重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれる少なくとも1種が好ましく、密度が0.87g/cm以上0.97g/cm以下のエチレン−α−オレフィン共重合体がより好ましい。
上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂としては、中でも、上記極性基含有化合物で変性された直鎖状低密度ポリエチレンが、該ポリオレフィン系樹脂と金属水和物との相溶性に優れ、軟質樹脂の可撓性を損なわずに耐熱性を維持し、燃焼時の炭化層の形成を促し難燃性を向上し、機械的強度の向上が望めることから好ましい。更に、(i)不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましく、無水マレイン酸で変性された直鎖状低密度ポリエチレンが特に好ましい。
上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂中の極性基含有化合物に由来する構成単位の含有量は、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜8.0質量%の範囲で選択される。上記含有量が0.05質量%未満では、ベース樹脂と金属水和物との相溶効果が不足するおそれがある。また、10質量%を超える場合は、ポリオレフィン系樹脂を変性させる際に分解又は架橋反応が併発するおそれがある。
上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、成形方法に応じて適宜調整され、特に限定はされないが、本発明の難燃性樹脂組成物の成形加工性及び耐久性の両立の観点から、0.01〜20g/10分であることが好ましく、0.02〜10g/10分であることがより好ましく、0.05〜5g/10分であることがより更に好ましい。
上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂の含有量は、特に限定はされないが、耐熱性及び成形加工性の観点から、相溶化剤の総量100質量%中に、上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂を40〜90質量%の割合で含むことが好ましく、50〜80質量%の割合で含むことがより好ましい。
また、上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂の含有量は、ベース樹脂及び相溶化剤の合計100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量部、更に好ましくは5〜18質量部である。上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂を含有することにより、ベース樹脂と金属水和物との相溶効果が向上し、該難燃性樹脂組成物の切断時伸び等の機械的特性が向上する。上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂の上記含有量が1質量部未満では、相溶効果が十分に発揮されない場合があり、30質量部を超える場合には、難燃性樹脂組成物が硬くなり、可撓性や柔軟性が失われる場合があり、電線又はケーブルをドラムに巻く際の作業性の低下などの弊害が生じる可能性、また、物性の長期持続性が低下する可能性がある。
上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリオレフィン系樹脂を、極性基含有化合物及び有機過酸化物の存在下で加熱及び混合し、グラフト変性させることにより得られる。また、極性基含有化合物に由来する構成単位の含有量が上記範囲内となるようにポリオレフィン系樹脂を変性したものが好ましく用いられる。
<極性基含有三元共重合体(極性基含有ターポリマー)>
本発明において相溶化剤として使用する極性基含有三元共重合体は、極性基含有構成単位を含む三元共重合体である。
上記極性基含有三元共重合体において、極性基含有構成単位が含む極性基は、中でも、酸性基が好ましく、カルボキシル基及びカルボン酸無水物基から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
上記極性基含有三元共重合体としては、中でも、酸性基含有コモノマーと、酸エステル基含有コモノマーと、エチレンとの三元共重合体が好ましい。より具体的には例えば、ラジカル重合性酸コモノマーと、アクリル酸エステルコモノマー、メタクリル酸エステルコモノマー及びカルボン酸ビニルエステルコモノマーから選択される1種のコモノマーと、エチレンとの三元共重合体を好ましく用いることができる。
上記ラジカル重合性酸コモノマーとしては、具体的には例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸及びこれらの酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸等が挙げられ、中でも無水マレイン酸が好ましい。
上記アクリル酸エステルコモノマーとしては、具体的には例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等が挙げられ、中でもアクリル酸メチルが好ましい。
上記メタクリル酸エステルコモノマーとしては、具体的には例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、中でもメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが好ましい。
上記カルボン酸ビニルエステルコモノマーとしては、具体的には例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられ、中でも酢酸ビニルが好ましい。
上記極性基含有三元共重合体の具体例としては、例えば、エチレン−アクリル酸−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸−酢酸ビニル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。中でも、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体が好ましく、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体がより好ましく、エチレン−アクリル酸アルキルエステル−無水マレイン酸三元共重合体がより更に好ましく、エチレン−アクリル酸メチル−無水マレイン酸三元共重合体が特に好ましい。
上記極性基含有三元共重合体において、上記コモノマーの含有量は、三元共重合体中の極性基含有構成単位、すなわち極性基含有コモノマーに由来する構成単位の含有量が5〜40質量%となるように調整することが好ましい。極性基含有構成単位の含有量が5質量%未満では、金属水和物との接着性が不十分となるおそれがあり、40質量%を超えると耐久性が低下する傾向がある。
また、上記極性基含有三元共重合体においては、酸性基含有コモノマーに由来する構成単位の含有量が、0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましい。
上記極性基含有三元共重合体のメルトフローレイト(MFR)は、成形方法に応じて適宜調整され、特に限定はされないが、0.01〜100g/10分であることが好ましく、0.02〜80g/10分であることがより好ましく、0.05〜50g/10分であることがより更に好ましい。上記極性基含有三元共重合体のMFRが0.01g/10分未満では、流動性が低くなって成形が難しくなるおそれがあり、100g/10分を超えると、耐衝撃性又は耐久性が低下するおそれがある。
上記極性基含有三元共重合体の含有量は、特に限定はされないが、耐熱性及び成形加工性の観点から、相溶化剤の総量100質量%中に、上記極性基含有三元共重合体を10〜60質量%の割合で含むことが好ましく、20〜50質量%の割合で含むことがより好ましい。
また、上記極性基含有三元共重合体の含有量は、ベース樹脂及び相溶化剤の合計100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量部、更に好ましくは3〜10質量部である。上記極性基含有三元共重合体の上記含有量が1質量部未満では、相溶効果が十分に発揮されず、また、切断時伸び等の機械的特性が低下する場合があり、30質量部を超える場合においては、相溶効果が行き過ぎて、材料が硬くなり、可撓性や柔軟性が失われ、電線又はケーブルをドラムに巻く際の作業性の低下などの弊害が生じる可能性がある。
上記極性基含有三元共重合体は、例えば、チューブラー反応器、オートクレープ反応器等を使用して、高圧ラジカル重合法等により製造してもよいし、或いは、中低圧法で、金属錯体を触媒とし、イオン重合によって製造してもよい。
<その他の相溶化剤>
上記相溶化剤は、本発明の特性を損なわない範囲で、上記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂、及び上記極性基含有三元共重合体以外のその他の相溶化剤を更に含有していても良い。その他の相溶化剤としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体を挙げることができる。
上記相溶化剤が上記その他の相溶化剤を含有する場合、上記その他の相溶化剤の含有量は、耐熱性の低下を抑制する点から、相溶化剤の総量100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において、相溶化剤の合計量は、樹脂成分100質量%中、5〜30質量%であることが好ましく、7〜25質量%であることがより好ましい。
1−3.その他の樹脂成分
本発明に使用する樹脂成分は、樹脂成分の総量100質量%中において、10質量%以下の割合で、上記ベース樹脂及び上記相溶化剤以外のその他の樹脂成分を更に含有していても良い。例えば、本発明の難燃性樹脂組成物において、金属水和物を多量に含有させながら、柔軟性を保持するために、その他の樹脂成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体以外の非変性ポリオレフィン系樹脂、及び熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも1種を含有することができる。
上記非変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等の各種ポリエチレン系樹脂等を挙げることができる。
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPR)及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等を挙げることができる。
上記樹脂成分に含まれる上記その他の樹脂成分の含有量は、樹脂成分の総量100質量%中、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがより更に好ましい。
2.金属水和物
本発明の難燃性樹脂組成物は、金属水和物として、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含む、脂肪酸処理された金属水和物とリン酸エステル処理された金属水和物との組み合わせを含む。当該脂肪酸処理された金属水和物とリン酸エステル処理された金属水和物との組み合わせは、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムを含むことが、炭酸ガス白化を抑制する効果が増大することから好ましいが、脂肪酸処理された水酸化マグネシウムと、リン酸エステル処理された水酸化マグネシウム以外の金属水和物との組み合わせであってもよいし、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム以外の金属水和物と、リン酸エステル処理された水酸化マグネシウムとの組み合わせであってもよい。また、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムを含み、更に、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム以外の金属水和物及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウム以外の金属水和物の少なくとも一方を含んでいてもよい。
水酸化マグネシウムとしては、樹脂組成物の難燃剤として一般的に使用される水酸化マグネシウムを用いることができ、例えば、海水等から得られる塩化マグネシウムをアルカリ処理して得られる水酸化マグネシウム、及び、炭酸マグネシウム鉱石(マグネサイト)を焼成、水和して得られる水酸化マグネシウム等を用いることができる。
水酸化マグネシウム以外の金属水和物としては、金属元素と、水酸基又は結晶水の少なくともいずれかとを有する化合物であれば特に限定はされず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの金属水酸化物、及び水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウムなどの珪酸塩の水和物などが挙げられる。中でも、水酸化アルミニウムが好ましい。
脂肪酸処理された金属水和物は、例えば、脂肪酸又はその塩で金属水和物の粒子を表面処理することにより得られる。表面処理方法としては、例えば、湿式法、乾式法等の公知の方法を用いることができ、特に限定はされないが、湿式法が好ましい。
表面処理剤として用いる脂肪酸又はその塩としては、金属水和物の表面処理剤として従来用いられているものの中から適宜選択することができ、特に限定はされない。
脂肪酸としては、例えば、炭素数8以上の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸を挙げることができ、好ましくは炭素数10〜22の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸である。炭素数8以上の飽和脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられ、炭素数8以上の不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸等が挙げられる。中でも、好ましくは、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘン酸及びリノール酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、ステアリン酸及びオレイン酸から選ばれる少なくとも1種である。
脂肪酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、及びカルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩が好ましく用いられ、アルカリ金属塩がより好ましい。
脂肪酸及びその塩は、それぞれ1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
脂肪酸処理された金属水和物における脂肪酸の処理量は、脂肪酸処理前の金属水和物100質量%に対し、通常0.2〜3.5質量%であるが、下限としては、好ましくは0.3質量%以上であり、上限としては、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。脂肪酸の処理量が上記範囲内であることにより、良好な機械的特性等が得られやすい。
なお、脂肪酸の処理量は、例えばエーテル抽出量等により測定することができる。
また、本発明において使用される金属水和物の全量100質量%中、脂肪酸の処理量が1質量%超過である金属水和物の含有割合は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。これにより、難燃性樹脂組成物における耐炭酸ガス白化性を向上する効果と、流動性の上昇を抑制する効果とをバランスよく得られる。
脂肪酸処理された水酸化マグネシウムとしては、市販品を用いてもよい。脂肪酸処理された水酸化マグネシウムの市販品としては、例えば、協和化学工業社製の商品名キスマ5A、キスマ5AL及びキスマ5B等、神島化学工業社製の商品名マグシーズN−6、マグシーズN−4、マグシーズLN−6及びマグシーズBN−6等を挙げることができる。
リン酸エステル処理された金属水和物は、例えば、リン酸エステル又はその塩で金属水和物の粒子を表面処理することにより得られる。表面処理方法としては、例えば、脂肪酸処理における表面処理方法と同様の方法を挙げることができる。
表面処理剤として用いるリン酸エステル又はその塩としては、金属水和物の表面処理剤として従来用いられているものの中から適宜選択することができ、特に限定はされない。
リン酸エステルは、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル又はリン酸トリエステルのいずれであってもよく、これらの混合物であってもよい。リン酸エステルとしては、例えば、炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルリン酸エステル及びアルケニルリン酸エステルを挙げることができる。アルキルリン酸エステル及びアルケニルリン酸エステルにおいて、アルキル基の炭素数及びアルケニル基の炭素数は、10〜22であってもよい。アルキル基の炭素数が8以上のアルキルリン酸エステルとしては、例えば、ステアリルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、パルミチルリン酸エステル等が挙げられる。アルケニル基の炭素数が8以上のアルケニルリン酸エステルとしては、例えば、オレイルリン酸エステル、パルミトレイルリン酸エステル等が挙げられる。
リン酸エステルの塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、及びジエタノールアミン塩等のジアルコールアミン塩が好ましく用いられる。
リン酸エステル及びその塩は、それぞれ1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
リン酸エステル処理された金属水和物におけるリン酸エステルの処理量は、リン酸エステル処理前の金属水和物100質量%に対し、好ましくは0.1〜4質量%であり、より好ましくは1.5〜3.5質量%である。
なお、リン酸エステルの処理量は、例えばICP発光分光分析等により測定することができる。
リン酸エステル処理された水酸化マグネシウムとしては、市販品を用いてもよい。リン酸エステル処理された水酸化マグネシウムの市販品としては、例えば、協和化学工業社製の商品名キスマ5J(リン酸エステル処理量:2.7質量%)等を挙げることができる。
本発明においては、脂肪酸処理された金属水和物及びリン酸エステル処理された金属水和物の合計100質量%中に、リン酸エステル処理された金属水和物を40〜90質量%含むことが好ましく、50〜90質量%含むことがより好ましい。これにより、難燃性樹脂組成物において、耐炭酸ガス白化性と、成形加工性及び機械的特性とのバランスが良好になる。
本発明の難燃性樹脂組成物において、脂肪酸処理された金属水和物及びリン酸エステル処理された金属水和物の組み合わせが、水酸化マグネシウム以外の金属水和物を脂肪酸処理又はリン酸エステル処理したものを含む場合は、炭酸ガス白化を抑制する効果が増大する点から、脂肪酸処理された金属水和物及びリン酸エステル処理された金属水和物の合計100質量%中、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムの合計含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。中でも、脂肪酸処理された金属水和物及びリン酸エステル処理された金属水和物の組み合わせが、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムからなることが特に好ましい。
本発明に使用される金属水和物は、本発明の特性を損なわない範囲で、必要に応じて、脂肪酸処理された金属水和物及びリン酸エステル処理された金属水和物とは異なるその他の金属水和物を含有していてもよい。その他の金属水和物としては、脂肪酸処理及びリン酸エステル処理とは異なるその他の表面処理がされた金属水和物、及び表面処理されていない未処理の金属水和物を挙げることができる。
金属水和物が上記その他の金属水和物を含有する場合、上記その他の金属水和物の含有量は、本発明の特性を損なわない範囲で調整されればよく、特に限定はされないが、金属水和物の合計100質量%中、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下であり、上記その他の金属水和物を含有しないことが最も好ましい。
また、本発明に使用される金属水和物の平均粒径は、特に限定はされないが、難燃性樹脂組成物の難燃性、成形加工性及び機械的特性に優れる点から、好ましくは0.1〜5.0μmであり、より好ましくは0.5〜2.0μmである。
本発明の難燃性樹脂組成物において、上記金属水和物の含有量は、ベース樹脂及び相溶化剤の合計100質量部に対して120〜250質量部であれば良いが、好ましくは170〜230質量部であり、より好ましくは180〜220質量部である。金属水和物の含有量が120質量部未満では、難燃性が不十分となり、250質量部を超える場合には材料が脆化し、硬くなり、製品の可撓性や機械的強度が低下する可能性がある。なお、金属水和物の含有量は、金属水和物の仕込み量から求められる量であっても良い。
3.その他の成分
本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じ、本発明の特性を損なわない範囲で、上記樹脂成分及び上記金属水和物以外のその他の成分を更に含有していても良い。
本発明の難燃性樹脂組成物は、脂肪酸両性金属塩を更に含有することが、耐炭酸ガス白化性を向上する点から好ましい。本発明の難燃性樹脂組成物が含有する脂肪酸両性金属塩は、上記金属水和物の表面処理剤として用いられる脂肪酸又はその塩とは別に添加されるものである。
脂肪酸両性金属塩に用いられる両性金属としては、好ましくは亜鉛及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは亜鉛である。
脂肪酸両性金属塩に用いられる脂肪酸としては、炭素数8以上の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸を挙げることができ、好ましくは炭素数10〜22の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数10〜22の飽和脂肪酸である。炭素数8以上の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸としては、例えば、上述した金属水和物の表面処理剤として用いられるものと同様のものを挙げることができる。中でも、難燃性樹脂組成物の耐炭酸ガス白化性を向上し、難燃性及び機械的特性の悪化を抑制する効果が高い点から、脂肪酸両性金属塩の脂肪酸は、好ましくは、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘン酸及びリノール酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、ステアリン酸及びオレイン酸から選ばれる少なくとも1種である。
脂肪酸両性金属塩としては、中でも、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を好適に用いることができ、ステアリン酸亜鉛をより好適に用いることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物が脂肪酸両性金属塩を含有する場合は、ベース樹脂及び相溶化剤の合計100質量部に対し、脂肪酸両性金属塩を0.001〜5質量部含むことが好ましく、0.5〜2質量部含むことがより好ましい。脂肪酸両性金属塩の含有量が、上記下限値以上であることにより、難燃性樹脂組成物の耐炭酸ガス白化性を向上することができ、上記上限値以下であることにより、難燃性樹脂組成物の流動性の上昇を抑制することができる。
上記その他の成分としては、上記脂肪酸両性金属塩の他に、例えば、難燃助剤、安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、加工性改良剤、充填剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、白化防止剤、気泡防止剤、造核剤、着色剤、滑剤、プロセスオイル、シリコーンオイル、カーボンブラック等の各種添加剤及び補助資材を挙げることができる。
難燃助剤としては、例えば、赤リン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、リン酸カルシウム、酸化ジルコン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、二硫化モリブデン、粘土、ケイソウ土、カオリナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、タルク、シリカ、ホワイトカーボン、ゼオライト、ハイドロマグネサイト、有機ベントナイトなどを挙げることができる。上記難燃助剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記難燃助剤の含有量は、上記金属水和物100質量部に対して50質量部以下とすることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、更にシリコーンオイルを含有していてもよい。シリコーンオイルを含有することにより、難燃性樹脂組成物を混練する際に高トルク下で発生するスクリュー鳴き(スクリュー回転に伴う甲高い異音)を抑制し、それにより、難燃性樹脂組成物及び混練機へのダメージを抑制することができ、また、難燃助剤としての役割もあることから難燃性の低下を抑制することができる。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、及びこれらのシリコーンオイルに有機基を導入した変性シリコーンオイルが好適である。
本発明の難燃性樹脂組成物がシリコーンオイルを含有する場合は、ベース樹脂及び相溶化剤の合計100質量部に対し、シリコーンオイルの含有量が0.1〜5質量部であることが好ましい。シリコーンオイルの上記含有量が0.1質量部未満では、シリコーンオイルによる効果が得られ難く、5質量部を超えると、加工性に問題が生じる場合がある。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、例えば有機過酸化物、シラン系架橋剤等の架橋剤、又は架橋助剤を添加することにより架橋させることができる。また、本発明の難燃性樹脂組成物は、電離性放射線を照射するなどにより架橋させることもできる。
4.難燃性樹脂組成物の特性
本発明の難燃性樹脂組成物は、ハイロードメルトフローレイト(HLMFR)が、5.0g/10分以上であることが好ましく、7.0g/10分以上であることがより好ましく、一方、50.0g/10分以下であることが好ましく、40.0g/10分以下であることがより好ましく、35.0g/10分以下であることが更に好ましい。
難燃性樹脂組成物のHLMFRが上記範囲内にあると、電線又はケーブルを製造する際の成形加工性に優れる点から好ましい。一方、難燃性樹脂組成物のHLMFRが5.0g/10分未満では、高速押出成形時に流動性が不足し、成形品に外観不良などの問題が生じる恐れがあり、また商用レベルで現実的なラインスピードの維持が難しくなる可能性がある。難燃性樹脂組成物のHLMFRが50.0g/10分より大きいと、機械的特性が不足するおそれがあり、また成形時の溶融張力が不足して樹脂切れや外観不良の原因となる場合がある。
なお、本発明において樹脂組成物のHLMFRは、JIS K7210−1(2014)「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方−第1部:標準的試験方法」に準拠して、190℃、211.8N(21.6kg)荷重の条件でMFRを測定したときの値をいう。
樹脂組成物のHLMFRは、例えば、樹脂組成物に含まれる各重合体のMFR及び含有量、並びに金属水和物の表面処理剤の種類及び処理量等により調整することができる。
5.難燃性樹脂組成物の製造方法
本発明の難燃性樹脂組成物は、例えば、上記のベース樹脂、相溶化剤及び金属水和物に加え、必要に応じて上記その他の成分を上述の含有量で任意の順序にて配合して、一軸押出機、二軸押出機、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、コニーダー、ニーダー・ルーダーなど通常の混練機を用いて混練、造粒することによって製造することができる。この場合、各成分の分散を良好にすることができる混練、造粒方法を選択することが好ましく、特にバンバリーミキサー、コニーダー、ニーダー・ルーダー、二軸押出機を用いて、混練、造粒することが経済性等の面から好ましい。
6.用途
本発明の難燃性樹脂組成物は、例えば、電線、又は、電力ケーブル、光ファイバーケーブル等のケーブルに用いることができる。本発明の難燃性樹脂組成物を用いた電線又はケーブルとしては、例えば、本発明の難燃性樹脂組成物を含有する層、典型的には、本発明の難燃性樹脂組成物からなる層を有する電線又はケーブルを挙げることができる。具体的には、例えば、絶縁層又はシース層が、本発明の難燃性樹脂組成物を含有する電線又はケーブルを挙げることができる。また、内部半導電層又は外部半導電層の被覆層、或いは所望により、銅、アルミニウム、鉛などの外部金属遮蔽層、アルミニウムテープを巻回した遮水層などの通例の電線又はケーブルにおいて設けられる被覆層が、本発明の難燃性樹脂組成物を含有する電線又はケーブルを挙げることもできる。
なお、本発明の難燃性樹脂組成物を用いた電線又はケーブルの製造方法は、一般的な方法でよく、本発明の難燃性樹脂組成物は、有機過酸化物やシラン架橋などにより架橋し、或いは非架橋状態若しくは発泡させて使用してもよいし、熱可塑性樹脂や金属箔、不織布、織布などの他の基材と積層して用いてもよく、特に限定されるものではない。
以下において、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明し、本発明の卓越性と本発明の構成における優位性を実証するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用した測定方法は、以下の通りである。
(1)HLMFR
混練により得られた難燃性樹脂組成物について、JIS K7210−1(2014)「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方−第1部:標準的試験方法」に準拠して、190℃、211.8N(21.6kg)荷重の条件でHLMFR(ハイロードメルトフローレイト)を測定した。
(2)切断時引張強さ及び切断時伸び
切断時引張強さ及び切断時伸びの測定は、JIS K6251に基づき、試験速度200mm/分で実施した。試験片は、混練により得られた難燃性樹脂組成物を厚さ1mmのシート状にプレス成形した後、得られたシートからJIS K6251 3号試験片(標線間距離20mm)を打ち抜くことにより得た。
JIS C3667(2008)「定格電圧1kV〜30kVの押出絶縁電力ケーブル及びその附属品−定格電圧0.6/1kVのケーブル」及びIEC 60502−1のSTコンパウンドシース(ハロゲンフリー)における機械的特性の試験要求事項に基づき、切断時引張強さが9.0MPa以上、且つ切断時伸びが125%以上の場合を合格とした。なお、切断時引張強さは10.0MPa以上であることがより好ましい。
(3)難燃性
JIS K7201−1(1999)に準拠して酸素指数(OI)を測定した。酸素指数が大きいほど難燃性に優れる。酸素指数は40%(体積分率)以上であることが望ましい。
なお、酸素指数の測定に用いた試験片は、混練により得られた難燃性樹脂組成物を厚さ3mmのシート状にプレス成形した後、得られたシートから3mm厚×6.5mm幅×150mm長さの棒状試験片を打ち抜くことにより得た。
(4)耐炭酸ガス白化性
<炭酸マグネシウム析出による重量増加率>
混練により得られた難燃性樹脂組成物を厚さ1mmのシート状にプレス成形した後、得られたシートから1mm厚×60mm×60mmの形状に打ち抜くことにより試験片を得た。
炭酸ガス暴露試験では、まず、内径約85mm×深さ約12.7mmのシャーレ中に、上記試験片を敷き、純水約40mLを張った。ガス導入ライン及び排気ラインを備えた密閉容器内に、試験片及び純水が入ったシャーレを置いて、容器内を炭酸ガス(二酸化炭素)で満たした。その後、50mL/分の流速で炭酸ガスを流し続け、常圧で容器内を常に100%炭酸ガスの状態にした。なお、容器内は室温とした。この状態を14日間続けることにより炭酸ガス暴露試験を行った。14日間の炭酸ガス暴露試験終了後、シャーレを取り出し、80℃のオーブンでシャーレ内の水分を蒸発させて重量を測定した。
炭酸ガス暴露試験前の試験片の重量Wsと、炭酸ガス暴露試験前の試験片及びシャーレの総重量w1と、炭酸ガス暴露試験後の試験片及びシャーレの総重量w2から、下記式(1)により、14日間の炭酸ガス暴露試験による重量増加率を算出した。なお、炭酸ガス暴露試験前の試験片及びシャーレの総重量w1は、試験開始前に予め測定した試験片の重量とシャーレの重量の総和とした。当該重量増加率を炭酸マグネシウム析出による重量増加率とし、下記評価基準により評価した。
式(1)
重量増加率(%)={(w2−w1)/Ws}×100
(重量増加率の評価基準)
◎:重量増加率が5%未満
○:重量増加率が5%以上10%未満
×:重量増加率が10%以上
<外観白化>
上記重量増加率の測定において、14日間の炭酸ガス暴露試験終了後、水分を蒸発させた後のシャーレ及び試験片を観察し、下記評価基準により外観白化を評価した。
(外観白化の評価基準)
◎:試験片及びシャーレの表面に析出物がほぼ観察されない
○:試験片及びシャーレの表面の一部に白い析出物が観察される
×:試験片及びシャーレの表面全体が白く覆われている
(5)総合評価
難燃性樹脂組成物について、以下の数値基準に従い総合評価を行った。
成形加工性として、上記HLMFRが5.0〜50.0g/10分であり、機械的特性として、上記切断時引張強さが9MPa以上、且つ上記切断時伸びが125%以上であり、難燃性として、上記酸素指数が40%以上であり、耐炭酸ガス白化性として、上記重量増加率の評価結果が◎又は○、且つ上記外観白化の評価結果が◎又は○であるものを、総合評価の「○」とし、当該「○」に該当しないものを「×」とした。
(実施例1)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン社製、製品名:ノバテックEVA、グレード:LV640)(MFR:2g/10分、酢酸ビニル含有量:25質量%)78質量部、無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、製品名:アドテックス、グレード:L6100M)(MFR:1.1g/10分、無水マレイン酸含有量:1.0質量%)15質量部、エチレン−アクリル酸メチル−無水マレイン酸三元共重合体(日本ポリエチレン社製、製品名:レクスパールET、グレード:230X)(MFR:8g/10分、無水マレイン酸含有量:1.0質量%、アクリル酸メチル含有量:12質量%)7質量部、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、製品名:キスマ5AL、平均粒径0.9μm、脂肪酸:ステアリン酸、脂肪酸処理量:1.0質量%)90質量部、リン酸エステル処理された水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、製品名:キスマ5J、平均粒径0.9μm、リン酸エステル処理量:2.7質量%)90質量部、シリコーンオイル(信越化学工業社製、長鎖アルキル変性型非反応性シリコーンオイル、製品名:KF4917)2質量部、酸化防止剤(BASF社製、製品名:Irganox1010)0.2質量部を混練して、実施例1の難燃性樹脂組成物を製造した。表1に、実施例1の難燃性樹脂組成物の組成及び評価結果を示す。
(実施例2〜9、比較例1〜8)
実施例1と同様の方法で、表1に示す組成の実施例2〜9の難燃性樹脂組成物、及び表2に示す組成の比較例1〜8の難燃性樹脂組成物を製造した。実施例2〜9及び比較例1〜8の難燃性樹脂組成物についても、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 2021147555
Figure 2021147555
なお、表1及び表2中の各略号は以下の通りである。
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン社製、製品名:ノバテックEVA、グレード:LV640)(MFR:2g/10分、酢酸ビニル含有量:25質量%)
EEA:エチレン−アクリル酸エチル共重合体(日本ポリエチレン社製、製品名:レクスパール、グレード:A4200)(MFR:5g/10分、アクリル酸エチル含有量:20質量%)
MAH−g−LL:無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、製品名:アドテックス、グレード:L6100M)(MFR:1.1g/10分、無水マレイン酸含有量:1.0質量%)
Terpolymer:エチレン−アクリル酸メチル−無水マレイン酸三元共重合体(日本ポリエチレン社製、製品名:レクスパールET、グレード:230X)(MFR:8g/10分、無水マレイン酸含有量:1.0質量%、アクリル酸メチル含有量:12質量%)
2.5質量%脂肪酸処理MDH:脂肪酸処理された水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、製品名:マグシーズN−6、平均粒径1.1μm、脂肪酸:ステアリン酸、脂肪酸処理量:2.5質量%)
1.0質量%脂肪酸処理MDH:脂肪酸処理された水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、製品名:キスマ5AL、平均粒径0.9μm、脂肪酸:ステアリン酸、脂肪酸処理量:1.0質量%)
0.7質量%脂肪酸処理MDH:脂肪酸処理された水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、製品名:マグシーズLN−6、平均粒径1.1μm、脂肪酸:ステアリン酸、脂肪酸処理量:0.7質量%)
0.3質量%脂肪酸処理MDH:脂肪酸処理された水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、製品名:BN−6、平均粒径1.0μm脂肪酸:ステアリン酸、脂肪酸処理量:0.3質量%)
未処理MDH:表面処理されていない水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、製品名:マグシーズX−6、平均粒径1.0μm)
リン酸エステル処理MDH:リン酸エステル処理された水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、製品名:キスマ5J、平均粒径0.9μm、リン酸エステル処理量:2.7質量%)
ZnSt:ステアリン酸亜鉛(日東化成工業社製、製品名:ZnSt)
AlSt:ステアリン酸アルミニウム(日東化成工業社製、製品名:AlSt(103))
各実施例及び各比較例における炭酸ガス暴露試験後の炭酸マグネシウム析出による重量増加率と外観白化の評価結果から、重量増加率が6.4%以下の場合は外観白化の評価結果が◎又は○となり、重量増加率が21.2%以上の場合は外観白化の評価結果が×となり、重量増加率が6.4%超過21.2%未満の範囲においては、外観白化の評価結果が○となる場合と×となる場合があることが示された。これらの結果から、炭酸マグネシウム析出による重量増加が十分に抑制されると、外観白化も抑制されることが明らかにされた。
実施例1〜9の難燃性樹脂組成物は、本発明の要件を満たしているため、14日間の炭酸ガス暴露試験後において、炭酸マグネシウム析出による重量増加率が十分に低く、外観白化が抑制されており、耐炭酸ガス白化性に優れていた。また、実施例1〜9の難燃性樹脂組成物は、HLMFRの値が好ましい範囲内にあって成形加工性に優れており、切断時引張強さ及び切断時伸びの値も好ましい範囲内にあって機械的特性にも優れており、更に、酸素指数が大きく、難燃性にも優れていた。
また、脂肪酸両性金属塩の有無のみが異なる実施例5、6及び7を比較すると、脂肪酸両性金属塩を含有する実施例5及び6は、実施例7に比べ、14日間の炭酸ガス暴露試験後において、炭酸マグネシウム析出による重量増加率が低く、耐炭酸ガス白化性が向上していた。これにより、本発明の難燃性樹脂組成物は、更に脂肪酸両性金属塩を含有することにより、耐炭酸ガス白化性が更に向上することが明らかにされた。
また、リン酸エステル処理された金属水和物の含有割合が40〜90質量%である実施例1〜4と、90質量%超過である実施例9とを比較すると、実施例1〜4は、14日間の炭酸ガス暴露試験後において、重量増加率が十分に小さく、外観白化が抑制されていることに加えて、実施例9に比べて、HLMFR、切断時引張強さ及び切断時伸びが大きく、成形加工性及び機械的特性が向上していた。これにより、本発明の難燃性樹脂組成物は、脂肪酸処理された金属水和物及びリン酸エステル処理された金属水和物の合計100質量%中のリン酸エステル処理された金属水和物の含有割合が40〜90質量%であると、耐炭酸ガス白化性と、成形加工性及び機械的特性とのバランスがより良好になることが明らかにされた。
比較例1の難燃性樹脂組成物は、相溶化剤として、極性基含有三元共重合体を含まず、且つ、金属水和物として、表面処理されていない水酸化マグネシウムのみを用いたため、14日間の炭酸ガス暴露試験後において、重量増加率が大きく、試験片の表面全体に外観白化が生じ、耐炭酸ガス白化性が劣っていた。また。比較例1の難燃性樹脂組成物は、HLMFRが小さく、成形加工性にも劣っていた。
比較例2、7の難燃性樹脂組成物は、相溶化剤として、極性基含有三元共重合体を含まず、且つ、金属水和物として、リン酸エステル処理された金属水和物を用いず、脂肪酸処理された水酸化マグネシウムのみを用いたため、14日間の炭酸ガス暴露試験後において、重量増加率が大きく、試験片の表面全体に外観白化が生じ、耐炭酸ガス白化性が劣っていた。比較例2の難燃性樹脂組成物は、HLMFRが小さく、成形加工性にも劣っていた。比較例2において成形加工性が劣っていたのは、相溶化剤の含有量が少なく、金属水和物の含有量が多かったためと推定される。
比較例3、4の難燃性樹脂組成物は、金属水和物として、リン酸エステル処理された金属水和物を用いず、脂肪酸処理された水酸化マグネシウムのみを用いたが、脂肪酸処理量が0.7質量%の水酸化マグネシウムを用いた比較例3では、14日間の炭酸ガス暴露試験後において、重量増加率が大きく、試験片の表面全体に外観白化が生じ、耐炭酸ガス白化性が劣っていた。一方、脂肪酸処理量が2.5質量%の水酸化マグネシウムのみを用いた比較例4では、HLMFRが大きく、成形加工性が劣っていた。これにより、金属水和物として脂肪酸処理された水酸化マグネシウムのみを用いる場合は、耐炭酸ガス白化性と成形加工性の両立が困難であることが明らかにされた。
比較例5の難燃性樹脂組成物は、金属水和物として、脂肪酸処理された金属水和物を用いず、リン酸エステル処理された水酸化マグネシウムのみを用いたため、切断時伸びが小さく、機械的特性に劣っていた。
比較例6の難燃性樹脂組成物は、金属水和物として、脂肪酸処理された金属水和物を用いず、表面処理されていない未処理の水酸化マグネシウムとリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムとを組み合わせて用いたため、切断時伸びが小さく、機械的特性に劣っており、また、14日間の炭酸ガス暴露試験後において、重量増加率が大きかった。比較例6の難燃性樹脂組成物は、外観白化の評価結果は〇であったが、重量増加率が11.8%と高いことから、樹脂組成物中の水酸化マグネシウムが炭酸マグネシウムに移行しやすいと考えられ、実際のケーブル等に適用した場合に、多湿下で難燃性が低下しやすいと推定される。
比較例8の難燃性樹脂組成物は、金属水和物として、表面処理されていない水酸化マグネシウムのみを用いたため、14日間の炭酸ガス暴露試験後において、重量増加率が大きく、試験片の表面全体に外観白化が生じ、耐炭酸ガス白化性が劣っていた。また、比較例8の難燃性樹脂組成物は、切断時伸びが小さく、機械的特性にも劣っていた。
以上のように、本発明の難燃性樹脂組成物は、耐炭酸ガス白化性に優れ、更に、成形加工性及び切断時引張強さ等の機械的特性にも優れた、電線又はケーブル用の成形製品を経済的に有利に提供することが可能である難燃性樹脂組成物であることが明らかにされた。そのような望ましい特性を有する成形製品を経済的に有利に提供することのできる本発明の難燃性樹脂組成物、並びに当該難燃性樹脂組成物を用いた電線及びケーブルの工業的価値は極めて大きい。

Claims (10)

  1. 樹脂成分及び金属水和物を含有する難燃性樹脂組成物であって、
    前記金属水和物が、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含む、脂肪酸処理された金属水和物とリン酸エステル処理された金属水和物との組み合わせを含み、
    前記樹脂成分の総量100質量%中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれる少なくとも1種のベース樹脂と、極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂及び極性基含有三元共重合体を含む相溶化剤とを合計で90質量%以上含み、
    前記ベース樹脂及び前記相溶化剤の合計100質量部に対し、前記金属水和物を120〜250質量部含む、難燃性樹脂組成物。
  2. 脂肪酸両性金属塩を更に含有し、前記ベース樹脂及び前記相溶化剤の合計100質量部に対し、前記脂肪酸両性金属塩を0.001〜5質量部含む、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記相溶化剤の総量100質量%中に、前記極性基含有三元共重合体を10〜60質量%含む、請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記極性基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂が、無水マレイン酸で変性された直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記極性基含有三元共重合体が、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 前記金属水和物が、脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及びリン酸エステル処理された水酸化マグネシウムを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 前記脂肪酸処理された金属水和物及び前記リン酸エステル処理された金属水和物の合計100質量%中に、前記リン酸エステル処理された金属水和物を40〜90質量%含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 前記脂肪酸処理された金属水和物における脂肪酸の処理量が、脂肪酸処理前の金属水和物100質量%に対し、0.2〜1.5質量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 脂肪酸両性金属塩を更に含有し、前記脂肪酸両性金属塩がステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を用いた電線又はケーブル。
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