JP2021147274A - セラミックス焼結体、及び切削工具 - Google Patents

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淳 茂木
Jun Mogi
淳 茂木
信良 荒木
Nobuyoshi Araki
信良 荒木
光生 池田
Mitsuo Ikeda
光生 池田
悠太 飯田
Yuta IIDA
悠太 飯田
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Abstract

【課題】セラミックス焼結体の耐久性を高める。【解決手段】酸素及びアルミニウムを含有する第1結晶粒子11と、炭素及びタングステンを含有する第2結晶粒子12と、を備えるセラミックス焼結体1である。第1結晶粒子11は、第2結晶粒子12に隣接し、酸素、アルミニウム及びタングステンを含んでなるタングステン含有部21を有している。【選択図】図1

Description

本開示は、セラミックス焼結体、及び切削工具に関する。
近年、航空機産業の市場拡大に伴い、各種部品の加工に対する高能率化が求められている。一方で、昨今の環境意識の高まりから、二酸化炭素の排出低減を目的にエンジンの熱効率向上が必要になっている。そのため、ニッケル系耐熱合金やチタン合金などの部品の高温特性が高められ、切削工具による加工が難しくなっている。このような合金の切削加工では、耐反応性に優れる酸化アルミニウムと、機械的特性に優れる炭化タングステンを含むセラミック組成物から構成される切削工具が用いられている。例えば、特許文献1に開示されるセラミック組成物は、酸化アルミニウムと炭化タングステンとの粒界にジルコニウムなどの元素が存在している。
国際公開第2018/056275号公報
特許文献1に開示されるセラミック組成物は、耐久性を向上させることを目的に作製されている。しかしながら、上述したような需要の高まりにより、セラミックス焼結体のさらなる耐久性の向上が求められている。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、セラミックス焼結体の耐久性を高めることを目的とする。本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕酸素(O)及びアルミニウム(Al)を含有する第1結晶粒子と、
炭素(C)及びタングステン(W)を含有する第2結晶粒子と、を備えるセラミックス焼結体であって、
前記第1結晶粒子は、前記第2結晶粒子に隣接し、酸素(O)、アルミニウム(Al)及びタングステン(W)を含んでなるタングステン含有部を有しているセラミックス焼結体。
〔2〕隣接する前記第1結晶粒子と前記第2結晶粒子との結晶粒界、及び隣接する前記第1結晶粒子同士の結晶粒界の少なくとも一方に、アクチノイドを除く周期表3族の元素及び周期表4族の元素のうちの少なくとも1つが存在している、〔1〕に記載のセラミックス焼結体。
〔3〕前記タングステン含有部は、前記第1結晶粒子と前記第2結晶粒子との隣接方向における長さが30nm以上である、〔1〕又は〔2〕に記載のセラミックス焼結体。
〔4〕〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のセラミックス焼結体から構成されている、切削工具。
〔5〕〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のセラミックス焼結体を基材とし、該基材の表面には被覆層が形成されている、切削工具。
本開示のセラミックス焼結体は、酸素(O)及びアルミニウム(Al)を含有する第1結晶粒子において、第2結晶粒子に隣接するタングステン含有部が酸素(O)、アルミニウム(Al)及びタングステン(W)を含んでいるため、第1結晶粒子と第2結晶粒子との間の粒子間結合力が向上する。これにより、セラミックス焼結体の耐欠損性を高めることができる。したがって、セラミックス焼結体の耐久性が向上する。
隣接する第1結晶粒子と第2結晶粒子との結晶粒界、及び隣接する第1結晶粒子同士の結晶粒界の少なくとも一方に、アクチノイドを除く周期表3族の元素及び周期表4族の元素のうちの少なくとも1つが存在している場合には、第1結晶粒子と第2結晶粒子との間の粒子間結合力を向上させることができる。これにより、セラミックス焼結体の耐久性をより高めることができる。
第1部分が、第1結晶粒子と第2結晶粒子との隣接方向における長さが30nm以上である場合には、セラミックス焼結体の耐欠損性をより高めることができる。
本発明のセラミックス焼結体を切削工具に供することで、耐欠損性に優れた切削工具を提供できる。
本発明のセラミックス焼結体を基材とし、被覆層が形成されている場合には、表面を硬質化するとともに表面における基材の酸化を抑制できるため、切削工具の耐摩耗性を向上できる。
セラミックス焼結体の断面TEM画像の一部を拡大して模式的に示した図である。 切削工具の一例の斜視図である。
以下、更に詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「〜」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10〜20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10〜20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.セラミックス焼結体1
(1)セラミックス焼結体1の構成
セラミックス焼結体1は、図1に示すように、第1結晶粒子11と、第2結晶粒子12と、を備えている。図1は、セラミックス焼結体1のTEM(Transmission Electron Microscope,透過型電子顕微鏡)により得られた断面TEM画像を模式的に示した図である。但し、図1は、セラミックス焼結体1の断面TEM画像を概念的に示したものであり、実際の断面TEM画像を正確に示したものではない。図2は、第1結晶粒子11と第2結晶粒子12との界面の一部を示している。この断面TEM画像では、第1結晶粒子11、第2結晶粒子12が存在する様子が示されている。
第1結晶粒子11は、酸素(O)及びアルミニウム(Al)を含有する。第1結晶粒子11は、例えばアルミナ(Al)を含んでいる。第2結晶粒子12は、炭素(C)及びタングステン(W)を含有する。第2結晶粒子12は、例えば炭化タングステン(WC)を含んでいる。
第1結晶粒子11は、第1部分21と、第2部分22と、を有している。第1部分21は、第2結晶粒子12に隣接し、酸素(O)、アルミニウム(Al)及びタングステン(W)を含んでなる。第1部分21は、第1結晶粒子11のうちタングステンを含有する部分であるから、タングステン含有部21ともいえる。このような第1結晶粒子11は、セラミックス焼結体1の原料である炭化タングステン粉末を、遊星型ボールミルにて予備粉砕されることによって得られる。後述する理由((2.2.4)の説明)により、タングステンが炭化タングステンからアルミナ粒子中に拡散すると考えられる。なお、遊星型ボールミル粉砕とは、自転する粉砕ポットをターンテーブルで公転させることにより、粉砕ポット内の被粉砕物に対して強烈な遠心力を与えながら、被粉砕物を粉砕する方法である。第2部分22は、第1部分21よりも第2結晶粒子12から遠方に存在している。第2部分22は、酸素(O)及びアルミニウム(Al)を含有し、タングステン(W)を含有しない。
第1結晶粒子11は、第2結晶粒子12に隣接する第1部分21にタングステンが含まれているため、第1結晶粒子11と第2結晶粒子12との間の粒子間結合力が向上する。粒子間結合が向上する理由は、第1結晶粒子11内へタングステン元素が拡散することにより、タングステン元素が第1結晶粒子11の第1部分21と第2結晶粒子12との格子定数の差異を緩和するためである。これにより、セラミックス焼結体1の耐欠損性を高めることができる。特に、セラミックス焼結体1は、高温での粒子間結合力が向上し、高温特性が良好で切削熱で軟化しにくく削りにくいエンジン部材などの切削加工を可能とする。すなわち、高温特性の良好なタングステン元素が第1結晶粒子11内に拡散することにより、従来の周期表3族の元素及び周期表4族の元素を用いた拡散機構よりも高温での粒子間結合力が向上する。なお、ここでいう周期表は、「無機化学命名法−IUPAC1990年勧告−」G.J.Leich編、山崎一雄訳・著、1993年3月26日発行、株式会社東京化学同人発行の第43頁に記載された表I−3.2の「周期表の族の指定」による。周期表の3族元素として、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイドを挙げることができる。ランタノイドとして、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)を挙げることができる。周期表の4族元素として、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)を挙げることができる。
第1部分21は、第1結晶粒子11と第2結晶粒子12との隣接方向における長さが2nm以上であることが好ましい。すなわち、第1結晶粒子11と第2結晶粒子12との結晶粒界Gから第1結晶粒子11側に向かって2nm以上に亘ってタングステン(W)元素が存在している(結晶粒界Gから拡散する深さが2nm以上である)ことが好ましい。さらに言い換えれば、第1結晶粒子11と第2結晶粒子12との結晶粒界Gから最も離れたタングステンが、第1結晶粒子11と第2結晶粒子12との結晶粒界Gから2nm以上離れた位置にあることが好ましい。また、第1部分21は、第1結晶粒子11と第2結晶粒子12との隣接方向における長さが30nm以上であることがより好ましい。このようにすると、タングステン元素が第1結晶粒子11の第1部分21と第2結晶粒子12との格子定数の差異を十分に緩和する。また、第1部分21は、第1結晶粒子11と第2結晶粒子12との隣接方向における長さが50nm以下であることが好ましい。このように、第1部分21の結晶粒界Gからの長さを50nm以下とすることで、焼結温度を高め過ぎたり、焼成時間を長くし過ぎたりすることがなく、結晶粒子の過度な粗大化を防ぐことができる。これにより、セラミックス焼結体1の耐欠損性を効果的に高めることができる。
隣接する第1結晶粒子11と第2結晶粒子12との結晶粒界Gに、アクチノイドを除く周期表3族の元素及び周期表4族の元素のうちの少なくとも1つが存在していることが好ましい。周期表3族の元素、周期表4族の元素は、上記の例を挙げることができる。このように、周期表3族の元素、周期表4族の元素が第1結晶粒子11と第2結晶粒子12の結晶粒界Gに存在することで、第1結晶粒子11と第2結晶粒子12の粒子間結合力が向上し、セラミックス焼結体1の耐欠損性をより高めることができる。
隣接する第1結晶粒子11同士の結晶粒界に、アクチノイドを除く周期表3族の元素及び周期表4族の元素のうちの少なくとも1つが存在していることが好ましい。周期表3族の元素、周期表4族の元素は、上記の例を挙げることができる。このように、周期表3族の元素、周期表4族の元素が第1結晶粒子11同士の結晶粒界に存在することで、第1結晶粒子11同士の粒子間結合力が向上し、セラミックス焼結体1の耐欠損性をより高めることができる。
(2)セラミックス焼結体1の製造方法
セラミックス焼結体1の製造方法は特に限定されない。セラミックス焼結体1の製造方法の一例を以下に示す。
(2.1)原料
原料として次の原料粉末を使用する。
・炭化タングステン粉末(WC粉末)
・アルミナ粉末(Al粉末)
・カーボンブラック(C)
・ジルコニア粉末(ZrO粉末)
・イットリア粉末(Y粉末)
・イットリビア粉末(Yb粉末)
・チタニア粉末(TiO粉末)
(2.2)混合乾燥粉末の作製
(2.2.1)炭化タングステン粉末、アルミナ粉末、カーボンブラック、ジルコニア粉末、イットリア粉末、イットリビア粉末、およびチタニア粉末を用意する。
(2.2.2)炭化タングステン粉末を遊星型ボールミルにて予備粉砕する。
(2.2.3)予備粉砕した炭化タングステン粉末と、その他の原料粉末を表1に記載の配合となるように秤量して原料粉末とした。なお、表1において、カーボンブラックの粉末量は、原料粉末全体の外割になっている。得られた原料粉末をボールミルに投入して、混合粉砕しスラリーを得る。
(2.2.4)得られたスラリーを振動乾燥機にて乾燥させ、混合乾燥粉末を得る。
なお、以上の混合乾燥粉末の作製方法の狙いは、以下の通りである。炭化タングステン粉末を遊星型ボールミルにて強粉砕すると、粒径サイズが小さくなるとともに表面エネルギーが大きくなる。さらに、乾式で粉砕することにより、表面エネルギーが高まった炭化タングステン粒子の表面と空気中の酸素とがメカノケミカル反応を起こし、炭化タングステン粒子の表面が酸化される。この炭化タングステン粉末を上記の条件でボールミルにて粉砕混合し、得られた混合粉を焼成すると、炭化タングステン粒子の表面の酸化物(WOx)がカーボンにより還元されてタングステンが生じ、このタングステンがアルミナ粒子中に拡散する。
(2.3)焼成
得られた混合乾燥粉末をカーボン冶具に投入し、所定温度でホットプレス焼成する。このようにして、セラミックス焼結体1が作製される。セラミックス焼結体1は、切削、研削、及び研磨の少なくとも1つの加工法によって形状や表面の仕上げを行ってもよい。
(3)切削工具の用途
図1に示す切削工具30は、セラミックス焼結体1から構成されている。切削工具30は、例えば、円柱形である。切削工具30は、例えば、底面の直径が12.7mm、高さが7.94mmである。切削工具30は、従来公知の様々な切削工具に適用することができる。切削工具として、旋削加工用又はフライス加工用刃先交換型チップ(切削インサート、スローアウェイチップ)、エンドミルを好適に例示できる。なお、切削工具30は、広義の切削工具であり、旋削加工、フライス加工などを行う工具全般を言う。
(4)表面の被覆層
切削工具30は、セラミックス焼結体1を基材として、基材の表面に被覆層が形成されていてもよい。被覆層が形成されると、切削工具30の表面硬度が増加すると共に、被加工物との反応・溶着による摩耗進行が抑制される。その結果、切削工具30の耐摩耗性が向上する。
被覆層の成分は特に限定されない。被覆層は、チタン、ジルコニウム、及びアルミニウムの炭化物、窒化物、酸化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物、及び炭窒酸化物より選択される少なくとも1種の化合物から形成されていることが好ましい。チタン、ジルコニウム、及びアルミニウムの炭化物、窒化物、酸化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物、及び炭窒酸化物より選択される少なくとも1種の化合物としては、特に限定されないが、Al、TiN、TiCN、TiAlN、TiAlVNが好適な例として挙げられる。
被覆層の厚みは、特に限定されない。被覆層の厚みは、耐摩耗性の観点から、0.02μm以上30μm以下が好ましい。
1 セラミックス焼結体の作製
1.1 実施例1〜16のセラミックス焼結体
(1)原料
原料として次の原料粉末を使用した。
・炭化タングステン粉末(WC粉末):平均粒径1.5μm
・アルミナ粉末(Al粉末):平均粒径0.5μm
・カーボンブラック(C):平均粒径0.1μm
・ジルコニア粉末(ZrO粉末):平均粒径0.3μm
・イットリア粉末(Y粉末):平均粒径0.3μm
・イットリビア粉末(Yb粉末):平均粒径0.3μm
・チタニア粉末(TiO粉末):平均粒径0.3μm
(2)混合乾燥粉末の作製
(2.1)炭化タングステン粉末、アルミナ粉末、カーボンブラック、ジルコニア粉末、イットリア粉末、イットリビア粉末、およびチタニア粉末を用意した。
(2.2)炭化タングステン粉末を遊星型ボールミルにて予備粉砕する。炭化タングステン粉末を、直径が10mmの超硬製の球石とともにステンレス鋼(SUS)製のポットに投入して、乾式で粉砕する。粉砕時間は5時間である。遊星型ボールミルの公転速度は200rpmであり、自転速度は250rpmである。
(2.3)予備粉砕した炭化タングステン粉末と、その他の原料粉末を表1に記載の配合となるように秤量して原料粉末とした。なお、表1において、カーボンブラックの粉末量は、原料粉末全体の外割になっている。得られた原料粉末をボールミルに投入して、混合粉砕しスラリーを得る。原料粉末を、超硬製の球石およびエタノールとともにステンレス鋼(SUS)製のポットに投入して、湿式で粉砕する。粉砕時間は60時間である。
(2.2.4)得られたスラリーを振動乾燥機にて乾燥させ、混合乾燥粉末を得る。
(2.3)焼成
得られた混合乾燥粉末を専用のカーボン冶具に投入し、所定温度でホットプレス焼成する。圧力は30MPa、雰囲気ガスはアルゴン(Ar)、ガス圧は1気圧とした。なお、焼成方法は、還元雰囲気であれば、放電プラズマ焼成(SPS)法や、ガス圧焼成(GPS)法、熱間等方圧加圧(HIP)法などを用いてもよい。このようにして、セラミックス焼結体1が作製される。セラミックス焼結体1は、切削、研削、及び研磨の少なくとも1つの加工法によって形状や表面の仕上げを行ってもよい。
Figure 2021147274
1.2 比較例1〜3のセラミックス焼結体
比較例1〜3のセラミックス焼結体は、実施例1〜16のセラミックス焼結体に準じて作製した。具体的には、炭化タングステン粉末を遊星型ボールミルにて予備粉砕する工程を省略して作製した。また、原料粉末の配合時に、カーボンブラックを用いなかった。
2.タングステンの測定
各セラミックス焼結体に対して、イオンミリング法により観察試験片を取得した。得られた試験片に対して、第1結晶粒子(アルミナ(Al)粒子)と第2結晶粒子(炭化タングステン(WC)粒子)との間の粒界をTEMで観察し、第2結晶粒子から第1結晶粒子へのタングステン元素の拡散の有無を調べた。具体的には、第2結晶粒子から第1結晶粒子へのタングステン元素の拡散距離を調べた。
3.切削試験
(1)試験方法
各セラミックス焼結体から構成される各切削工具を用いて、切削試験を行って耐摩耗性及び耐欠損性を評価した。各試験条件について説明する。
(1.1)試験条件1
試験条件1は、下記の通りである。
・工具形状:RNGN120700
・被削材:ニッケル基耐熱合金(Rene104)
・切削速度:200m/min
・切込み量:1.0mm
・送り量:0.1〜0.25mm/rev.
・切削環境:Wet
送り量は、0.1mm/rev.から1パス毎に0.02mm/rev.ずつ増加させる。
なお、被削材のRene104は、粉末冶金法で作製されており、Inconel718と比べて耐熱性が高い。そのため、非常に加工しにくい難削材として知られている。
切削工具の寿命の判定基準は、横逃げ部の摩耗量が0.3mm以上に達したとき、または欠損が生じたときである。
(1.2)試験条件2
試験条件2は、下記の通りである。
・工具形状:RNGN120700
・被削材:ニッケル基耐熱合金(Rene104)
・切削速度:250〜500m/min
・切込み量:1.0mm
・送り量:0.1mm/rev.
・切削環境:Wet
切削速度は、250m/minから1パス毎に50m/minずつ増加させる。
切削工具の寿命の判定基準は、横逃げ部の摩耗量が0.3mm以上(摩耗条件)に達したとき、または欠損が生じたときである。
(2)試験結果
表1に試験結果を併記し、これについて検討する。
実施例1〜16の切削工具は、下記第1要件を満たしている。これに対して比較例1〜3の切削工具は、第1要件を満たしていない。試験条件1において、実施例1〜16の切削工具は、送り量が0.16〜0.26mm/rev.で摩耗条件または欠損に至っており、比較例1〜3の切削工具は、0.1mm/rev.で欠損に至っている。また、試験条件2において、実施例1〜16の切削工具は、切削速度が300〜450m/minで摩耗条件または欠損に至っており、比較例1〜3の切削工具は、200m/minで欠損に至っている。そのため、実施例1〜16の切削工具は、比較例1〜3の切削工具と比較して耐欠損性が高かった。よって、第1要件を満たすことで耐欠損性が向上することが確認された。
〔第1要件〕:炭化タングステン粉末が遊星型ボールミルにて予備粉砕される。
次に、実施例1〜16の切削工具を比較検討する。実施例1〜15の切削工具はいずれも第1要件に加えて下記第2要件も満たしていた。他方、実施例16の切削工具は第2要件を満たしていない。試験条件1において、実施例1〜15の切削工具は、送り量が0.2〜0.26mm/rev.で摩耗条件または欠損に至っており、実施例16の切削工具は、0.16mm/rev.で欠損に至っている。また、試験条件2において、実施例1〜15の切削工具は、切削速度が400〜450m/minで摩耗条件または欠損に至っており、実施例16の切削工具は、300m/minで欠損に至っている。そのため、実施例1〜15の切削工具は、実施例16の切削工具と比較して耐欠損性が高かった。よって、第1要件に加えて第2要件を満たすことで耐欠損性がより向上することが確認された。
〔第2要件〕:切削工具にジルコニウム、イットリウム、イッテルビウム、チタンのうちのいずれかが含まれる。すなわち、隣接する第1結晶粒子(アルミナ粒子)と第2結晶粒子(炭化タングステン粒子)との結晶粒界、及び隣接する第1結晶粒子同士の結晶粒界の少なくとも一方に、アクチノイドを除く周期表3族の元素及び周期表4族の元素のうちの少なくとも1つが存在している。
次に、実施例1〜16の切削工具を比較検討する。実施例7,8の切削工具はいずれも第1要件に加えて下記第3要件も満たしていた。他方、実施例1〜6,9〜16の切削工具は第3要件を満たしていない。試験条件1において、実施例7,8の切削工具は、送り量が0.26mm/rev.で摩耗条件に至っており(欠損に至っていない)、実施例1〜6,9〜16の切削工具は、0.16〜0.24mm/rev.で欠損に至っている。そのため、実施例7,8の切削工具は、実施例1〜6,9〜16の切削工具と比較して耐欠損性が高かった。よって、第1要件に加えて第3要件を満たすことで耐欠損性がより向上することが確認された。
〔第3要件〕:第2結晶粒子(炭化タングステン粒子)から第1結晶粒子(アルミナ粒子)へのタングステン元素の拡散距離が30nm以上である。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。例えば、本願発明が奏する効果が顕著に失われない程度であれば、可否不可避を問わずに不純物を含み得る。
1 …セラミックス焼結体
11 …第1結晶粒子
12 …第2結晶粒子
21 …第1部分(タングステン含有部)
22 …第2部分
30 …切削工具
G …第1結晶粒子と第2結晶粒子との結晶粒界

Claims (5)

  1. 酸素(O)及びアルミニウム(Al)を含有する第1結晶粒子と、
    炭素(C)及びタングステン(W)を含有する第2結晶粒子と、を備えるセラミックス焼結体であって、
    前記第1結晶粒子は、前記第2結晶粒子に隣接し、酸素(O)、アルミニウム(Al)及びタングステン(W)を含んでなるタングステン含有部を有しているセラミックス焼結体。
  2. 隣接する前記第1結晶粒子と前記第2結晶粒子との結晶粒界、及び隣接する前記第1結晶粒子同士の結晶粒界の少なくとも一方に、アクチノイドを除く周期表3族の元素及び周期表4族の元素のうちの少なくとも1つが存在している、請求項1に記載のセラミックス焼結体。
  3. 前記タングステン含有部は、前記第1結晶粒子と前記第2結晶粒子との隣接方向における長さが30nm以上である、請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のセラミックス焼結体から構成されている、切削工具。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のセラミックス焼結体を基材とし、該基材の表面には被覆層が形成されている、切削工具。
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