JP2021000684A - セラミックス工具 - Google Patents

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Nobuyoshi Araki
信良 荒木
淳 茂木
Jun Mogi
淳 茂木
祐介 勝
Yusuke Katsu
祐介 勝
利明 倉橋
Toshiaki Kurahashi
利明 倉橋
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Abstract

【課題】耐摩耗性が改善されたセラミックス工具を提供する。【解決手段】少なくとも、アルミナと、炭化タングステンと、を含有するセラミックス焼結体から構成されたセラミックス工具1である。炭化タングステンの結晶粒子11の内部に炭化二タングステンの結晶構造17が確認されることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、セラミックス工具に関する。
近年、各種製造現場では種々の製造工程において、加工の高速化・効率化が求められている。このような加工現場では耐熱性の高いセラミックス工具が用いられている。特に、難削材である耐熱合金の加工現場では高硬度で高熱伝導なAl−WC系の材料からなるセラミックス工具が用いられている(特許文献1参照)。
国際公開第2015/019391号公報
しかし、従来のAl−WC系の材料からなるセラミックス工具は、格子サイズが異なるセラミックス同士が複合化しているので、WC粒子に歪みが生じ、結果として工具としての耐摩耗性が必ずしも満足できるものではなかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性が改善されたセラミックス工具を提供することを目的とする。本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕少なくとも、アルミナと、炭化タングステンと、を含有するセラミックス焼結体から構成されたセラミックス工具であって、
前記炭化タングステンの結晶粒子の内部に炭化二タングステンの結晶構造が確認されることを特徴とする、セラミックス工具。
〔2〕前記炭化タングステンの結晶粒子と、前記アルミナの結晶粒子と、の粒界に、周期表3族(ランタノイド含む)、チタン、ジルコニウム、及びハフニウムより選択される少なくとも1種の元素が存在していることを特徴とする、〔1〕に記載のセラミックス工具。
〔3〕前記炭化タングステンの含有量が、前記セラミックス焼結体全体の20体積%〜98体積%であることを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載のセラミックス工具。
〔4〕前記セラミックス焼結体を基材とし、該基材の表面には、チタン、ジルコニウム、及びアルミニウムの炭化物、窒化物、酸化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物、及び炭窒酸化物より選択される少なくとも1種の化合物からなる表面被覆層が形成されていることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のセラミックス工具。
本発明のセラミックス工具は、炭化タングステンの結晶粒子の内部に炭化二タングステンの結晶構造が確認される構成とすることで、WC粒子の歪が緩和され、結果として耐摩耗性が改善される。
炭化タングステンの結晶粒子と、アルミナの結晶粒子と、の粒界に、所定の元素が存在している場合には、粒界が強化され、耐摩耗性が向上する。
炭化タングステンの含有量が、セラミックス焼結体全体の20体積%〜98体積%である場合には、耐摩耗性が向上する。
セラミックス焼結体の基材の表面に、特定の表面被覆層が形成されている場合には、さらに耐摩耗性が向上する。
セラミックス工具の一例の斜視図である。 セラミックス工具を構成するセラミックス焼結体の一例における典型的な構造を示す説明図である。 セラミックス工具を構成するセラミックス焼結体の一例における結晶粒界を示す説明図である。 セラミックス工具の一例を示す断面図である。 従来のセラミックス工具を構成するセラミックス焼結体における粒界を示す説明図(HAADF−STEM像)である。 実施例8のセラミックス焼結体における炭化タングステンの結晶粒子の内部のHAADF−STEM像である(設定倍率:×10M(□21.483nm))。 図6の破線の円で囲まれた領域についての原子配列シミュレーション(W原子)である。 比較例2のセラミックス焼結体における炭化タングステンの結晶粒子の内部のHAADF−STEM像である(設定倍率:×10M(□21.483nm))。
以下、本発明を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「〜」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10〜20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10〜20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.セラミックス工具1
(1)セラミックス工具1の構成
セラミックス工具1は、少なくとも、アルミナ(Al)と、炭化タングステン(WC)と、を含有するセラミックス焼結体から構成されている。炭化タングステンの結晶粒子11の内部には、炭化二タングステン(WC)の結晶構造17が確認される。
なお、セラミックス工具1の形状は特に限定されない。
図2は、セラミックス焼結体における典型的な構造を示す説明図である。図2では、セラミックス焼結体が、炭化タングステンの結晶粒子11(点描が表示されている粒子)と、アルミナの結晶粒子13(点描が表示されている粒子以外の粒子)と、を備えている様子が示されている。ただし、図2は、セラミックス焼結体における構造を概念的に示したものであり、実際のセラミックス焼結体の構造を正確に示したものではない。なお、ここでは、後述のように、特定元素の一例としてのジルコニウム(Zr)が、炭化タングステンの結晶粒子11と、アルミナの結晶粒子13と、の粒界21に、存在する場合を例に挙げて説明する。
図2では、炭化タングステンの結晶粒子11の内部に炭化二タングステンの結晶構造17が確認される様子が模式的に表されている。炭化二タングステンの結晶構造17は、例えば、セラミックス焼結体のTEM解析により得られるHAADF−STEM(High−angle Annular Dark Field Scanning TEM)像を用いて確認できる。
内部に炭化二タングステンの結晶構造17が確認される炭化タングステンの結晶粒子11は、WCを内包した炭化タングステン粉末(セラミックス焼結体の原料粉末)に由来する。WCを内包した炭化タングステン粉末を調製する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法が好適に用いられる。
すなわち、炭化二タングステン粉末(WC)を原料として、その表面を還元して炭化タングステン(WC)とすることで、WCを内包した炭化タングステン粉末が調製される。
(2)炭化タングステンの結晶粒子11とアルミナの結晶粒子13との粒界21
セラミックス工具1では、炭化タングステンの結晶粒子11と、アルミナの結晶粒子13と、の粒界に、周期表3族(ランタノイド含む)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びハフニウム(Hf)より選択される少なくとも1種の元素(以下、「特定元素」ともいう)が存在していることが好ましい。
ここでは、特定元素の一例としてのジルコニウム(Zr)が、炭化タングステンの結晶粒子11と、アルミナの結晶粒子13と、の粒界21に、存在する場合を例に挙げて説明する。
図3は、図2の円形の破線で囲まれた領域に相当する部分を示している。図3は、炭化タングステンの結晶粒子11と、アルミナの結晶粒子13と、の粒界21(Al−WC粒界)を示す説明図である。図3の左図に示す画像は、走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope、STEM)で観察した画像である。図3の右上図に示す画像は、左図に示す画像の四角で囲まれた領域の拡大画像である。図3の右下図に示すグラフは、粒界21の周辺におけるジルコニウム(Zr)元素の濃度をエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X−ray Spectrometer、EDS)で測定したグラフである。
図3の右下図に示すグラフの横軸は、粒界21を横切る直線上の位置として、炭化タングステンの結晶粒子11における位置A1から、粒界21上の位置A2を経て、アルミナの結晶粒子13における位置A3までの各位置を示している。位置A1から位置A3までの距離は、約50nm(ナノメートル)である。このグラフの縦軸は、ジルコニウム元素の濃度を示す。このグラフからは、炭化タングステンの結晶粒子11とアルミナの結晶粒子13とが隣接する粒界21に、ジルコニウム(Zr)が分布していることが分かる。
ここでは、元素の一例としてのジルコニウム(Zr)の場合について説明したが、その他の元素(周期表3族(ランタノイド含む)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf))の場合でも、同様に粒界21に存在することが好ましい。
炭化タングステンの結晶粒子11と、アルミナの結晶粒子13と、の粒界21に、特定元素が存在している場合には、以下の作用効果を奏する。すなわち、粒界21に分布する特定元素によって、粒界21における結晶粒子間の結合力が向上する。その結果、セラミックス焼結体の機械特性が向上し、セラミックス工具1の耐摩耗性が向上する。
なお、特定元素を上記の粒界21に分布させるには、セラミックス焼結体の製造時において、各成分をビーズミル粉砕等の手法でよく分散させればよい。例えば、微細なジルコニア粉末やジルコニウム塩溶液をジルコニア原料として用いると、ジルコニウム元素が効果的に粒界に分布する。その他、ジルコニア原料のみを先に粉砕する分散混合処理や、粉砕メディアにジルコニア製のものを用いることも効果的である。
また、焼成時の昇温速度及び保持時間を最適化することで、特定元素の移動(拡散)を促進することができる。
(3)各成分の平均粒径は、特に限定されない。各成分の平均粒径は、それぞれ、1.0μm以下としてもよく、0.7μm以下としてもよい。
なお、本明細書における「平均粒径」は、鏡面研磨したセラミックス焼結体をエッチング処理し、これをSEM観察した画像を基に行うインターセプト法で測定した値である。
(4)セラミックス焼結体に含まれる成分、及び各成分の含有量
セラミックス焼結体は、少なくとも、アルミナと、炭化タングステンと、を含有している。
各成分の含有量について説明する。以下の含有量は、セラミックス焼結体(セラミックス工具1)の全体を100体積%としたときの量である。
炭化タングステンの含有量は、特に限定されない。炭化タングステンの含有量は、硬度や焼結性の観点から、20体積%〜98体積%が好ましい。
アルミナの含有量は、特に限定されない。アルミナの含有量は、硬度や焼結性の観点から、1体積%〜80体積%が好ましい。
(5)表面被覆層6
セラミックス工具1は、図4に示されるように、セラミックス焼結体を基材2とし、基材2の表面に、チタン、ジルコニウム、及びアルミニウムの炭化物、窒化物、酸化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物、及び炭窒酸化物より選択される少なくとも1種の化合物からなる表面被覆層6が形成されていてもよい。
表面被覆層6が形成されると、セラミックス工具1の表面硬度が増加すると共に、被加工物との反応・溶着による摩耗進行が抑制される。その結果、セラミックス工具1の耐摩耗性が向上する。
チタン、ジルコニウム、及びアルミニウムの炭化物、窒化物、酸化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物、及び炭窒酸化物より選択される少なくとも1種の化合物としては、特に限定されないが、TiN、TiAlN、TiAlCrN、AlCrNが好適な例として挙げられる。
表面被覆層6の厚みは、特に限定されない。表面被覆層6の厚みは、耐摩耗性の観点から、0.02μm〜30μmが好ましい。
2.セラミックス工具1の製造方法
セラミックス工具1の製造方法の一例を以下に示す。
(1)原料
C粉末を原料として、その表面を還元して炭化タングステン(WC)とすることで、WCを内包した炭化タングステン粉末を調製することができる。例えば、WC粉末とカーボン粉末を乾式混合し、Ar又はHe加圧雰囲気中にて1700℃で加熱処理することにより、WC粉末の表面を還元して、WCを内包した炭化タングステン粉末が調製できる。
セラミックス焼結体の原料には、WCを内包した炭化タングステン粉末、アルミナ粉末(Al)を少なくとも用いる。原料には、これらの原料の他に、ジルコニア粉末(ZrO)、イットリア粉末(Y)、チタニア粉末(TiO)、ハフニア粉末(HfO)、及び酸化イッテルビウム粉末(Yb)から選択される1種以上を用いることができる。
炭化タングステン粉末の粒径は特に限定されない。例えば、平均粒径0.7μm程度の炭化タングステン粉末を用いることができる。炭化タングステン粉末の平均粒径は0.7μm未満であってもよいし、0.7μm超過であってもよい。
アルミナ粉末の粒径は特に限定されない。例えば、平均粒径0.5μm程度のアルミナ粉末を用いることができる。原料のアルミナ粉末の平均粒径は0.5μm未満であってもよいし、0.5μm超過であってもよい。
その他の原料粉末の粒径は特に限定されない。例えば、平均粒径0.7μm程度のジルコニア粉末、イットリア粉末、チタニア粉末、ハフニア粉末、酸化イッテルビウム粉末を用いることができる。その他の原料粉末の平均粒径は0.7μm未満であってもよいし、0.7μm超過であってもよい。ジルコニア粉末は、イットリアによる部分安定化ジルコニア粉末に限らず、ジルコニアを含有する他の粉末であってもよい。
なお、各粉末の平均粒径は、いずれもレーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定した値である。
(2)配合(調合)及び混合
各粉末を秤量して配合し、溶媒と必要に応じて分散剤を加えて混合および粉砕を行う。このようにしてスラリーを調製する。混合及び粉砕を行う時間は、特に限定されない。
なお、炭化タングステン粉末以外の原料と溶媒を混合した後に、炭化タングステン粉末を加えて更に混合することが好ましい。
溶媒としては、特に限定されず、例えば、エタノール、アセトン等を用いることができる。溶媒の量は、特に限定されず、適宜調整可能である。
分散剤としては、特に限定されず、例えば、フローレンG−700(共栄社化学株式会社製)、SNディスパーサント9228(サンノプコ株式会社製)、マリアリムAKM−0531(日油株式会社製)、カオーセラ8000(花王株式会社製)等を用いることができる。分散剤の量は、特に限定されない。分散剤の量は、全ての原料粉末の質量(100質量部)に対して、好ましくは、0.01質量部〜4.0質量部である。
(3)乾燥及び造粒
スラリーを調製した後、スラリーから混合粉末を調製する。スラリーから得られる混合粉末には、アルミナ、炭化タングステン等の各粒子が混在する。スラリーを湯煎しつつ脱気することにより、スラリー中から溶媒を除去した後、溶媒を除去した粉体をふるいに通し、振動乾燥機によって乾燥することによって、乾燥した混合粉末を調製する。
(4)焼成
混合粉末を調製した後、ホットプレスによって混合粉末からセラミックス焼結体を作製する。ホットプレスにおいては、カーボン製の型(カーボン冶具)に混合粉末を充填し、その混合粉末を一軸加圧しながら加熱する。これによって、混合粉末が焼結したセラミックス焼結体を得る。
ホットプレスにおける条件は特に限定されない。例えば、以下の条件が用いられる。
・焼成温度:1700℃〜1900℃
・焼成時間:1時間〜5時間
・圧力:30MPa〜50MPa(メガパスカル)
・雰囲気ガス:アルゴン(Ar)
(5)セラミックス工具1の製造
セラミックス焼結体は、切削、研削、及び研磨の少なくとも1つの加工法によって形状や表面の仕上げを行って、セラミックス工具1とすることができる。もちろん、セラミックス焼結体をそのままセラミックス工具1として用いてもよい。
3.耐摩耗性が優れる推測理由
ここで、本開示のセラミックス工具1が、耐摩耗性の点で優れることについて、推測される理由を説明する。
図5には、従来のセラミックス工具を構成するセラミックス焼結体における炭化タングステンの結晶粒子12とアルミナの結晶粒子14の粒界22(Al−WC粒界)が示されている。この粒界22では、格子サイズが異なるセラミックス同士が複合化しているので、すなわち、炭化タングステンの結晶粒子12とアルミナの結晶粒子14が複合化しているので、炭化タングステンの結晶粒子12に歪みが生じている。図5の符号31は、粒子の歪みによる滑りを示している。
このように、従来のセラミックス工具では、炭化タングステンの結晶粒子12に歪みが生じ、結果として工具としての耐摩耗性が必ずしも満足できるものではなかった。
これに対して、本開示のセラミックス工具1では、炭化タングステンの結晶粒子11の内部に、炭化二タングステン(WC)の結晶構造17が確認される。炭化タングステン(WC)と炭化二タングステン(WC)とは結晶構造が異なる。この結晶構造の違いがあることによって、炭化タングステンの結晶粒子12とアルミナの結晶粒子14との格子サイズの違いによって生じる炭化タングステンの結晶粒子12の歪みが、緩和されると考えられる。このため、炭化タングステンの結晶粒子11とアルミナの結晶粒子13との格子サイズ差が、従来よりも小さくなり、炭化タングステンの結晶粒子11の歪みが解消されるもの考えられる。その結果、本開示のセラミックス工具1が、耐摩耗性の点で従来のものよりも優れると推測される。
以下の実験では、実施例1〜20、比較例1〜7の各セラミックス焼結体を作製し、これらの各セラミックス焼結体を加工して、実施例1〜20、比較例1〜7の各セラミックス切削工具とした。
1.セラミックス焼結体の作製
(1)原料粉末
以下に示す原料粉末を用いた。
(1.1)アルミナ粉末(Al
平均粒径0.5μm程度のアルミナ粉末(Al)を用いた。
(1.2)WCを内包する炭化タングステン粉末(WC)
実施例1〜20では、WCを内包する炭化タングステン粉末(WC)を用いた。このWCを内包する炭化タングステン粉末は、次のようにして調製した。すなわち、平均粒径0.7μm程度の炭化二タングステン粉末(WC)とカーボン粉末(10nm程度)を乾式混合し、Ar又はHe加圧雰囲気中にて1700℃で加熱処理(3時間)することにより、WC粉末の表面を還元することで、WCを内包する炭化タングステン粉末を調製した。得られた粉末は、XRDにより表層にWCのピークが存在しないことを確認した。WCを内包する炭化タングステン粉末は、遠心分離により単離した。このWCを内包する炭化タングステン粉末は、平均粒径が0.7μm程度であった。
(1.3)WCを内包しない炭化タングステン粉末(WC)
比較例1〜4では、WCを内包しない炭化タングステン粉末(WC)を用いた。この炭化タングステン粉末(WC)は、従来から用いられている炭化タングステン粉末(WC)である。
(1.4)炭化二タングステン粉末(WC)
比較例5〜7では、平均粒径0.7μm程度の炭化二タングステン粉末(WC)を用いた。
(1.5)ジルコニア粉末(ZrO
平均粒径0.7μm程度のジルコニア粉末(ZrO)を用いた。
(1.6)イットリア粉末(Y
平均粒径0.7μm程度のイットリア粉末(Y)を用いた。
(1.7)チタニア粉末(TiO
平均粒径0.7μm程度のチタニア粉末(TiO)を用いた。
(1.8)ハフニア粉末(HfO
平均粒径0.7μm程度のハフニア粉末(HfO)を用いた。
(1.9)酸化イッテルビウム粉末(Yb
平均粒径0.7μm程度の酸化イッテルビウム粉末(Yb)を用いた。
(1.10)
なお、上記(1.2)〜(1.4)で説明した、WCを内包する炭化タングステン粉末(WC)、WCを内包しない炭化タングステン粉末(WC)、炭化二タングステン粉末(WC)を総称して「タングステン(W)を含む粉末」ともいう。
(2)配合(調合)
各実施例及び比較例のセラミックス焼結体に用いた原料粉末の配合を表1に示す。
(3)混合
樹脂ポットにジルコニア球石とエタノールを投入し、更に、タングステン(W)を含む粉末以外の粉末を投入した。すなわち、樹脂ポットにアルミナ粉末とジルコニア球石とエタノールを投入し、更に、表1に組成に応じて、ジルコニア粉末(ZrO)、イットリア粉末(Y)、チタニア粉末(TiO)、ハフニア粉末(HfO)、酸化イッテルビウム粉末(Yb)を投入した。この時、分散剤を用いた。次に、樹脂ポットを30時間回転させた後、タングステン(W)を含む粉末を投入して更に30時間回転させた。
(4)乾燥及び造粒
得られたスラリーをふるい通し(目開き25μm)させ、振動乾燥機によって乾燥させた。得られた粉をふるい通し(目開き250μm)させ、乾燥混合粉末を得た。
(5)焼成
乾燥混合粉末をカーボン冶具に投入し、表1の焼成温度にてホットプレス焼成した。焼成時間は2時間、圧力は30MPa、雰囲気ガスはアルゴン(Ar)とした。
なお、セラミックス焼結体の作製方法は、原料粉末の配合が相違すること、焼成温度が相違することを除いては、全ての実施例及び比較例で共通している。
2.TEM解析
(1)試料調製
セラミックス焼結体を超音波加工によりφ3mmディスクに加工した後、中心部分をディンプル加工、及びイオンミリング加工を行うことで薄片観察試料を得た。
(2)観察
観察はCsコレクター付属の走査型透過電子顕微鏡(JEM−2400FCS)を用い、炭化タングステンの結晶粒子を電子線照射軸に対し(001)方位に調整した。加速電圧120kVで、炭化タングステンの結晶粒子の内部のHAADF−STEM像を取得した。
(3)解析
結晶構造データベース(CIF)を用い、WC、WCの(001)面をpngの画像ファイルへ変換した。
得られたHAADF−STEM像と、WC、WC画像とを重ね合わせることで、炭化タングステンの結晶粒子中のWCの結晶構造を確認した。
(4)結果
図6に、実施例8のセラミックス焼結体における炭化タングステンの結晶粒子の内部のHAADF−STEM像を示す。破線の円で囲まれた領域には、周囲よりも明るい部分Lが存在している。
図7は、図6の中央部について、解析により得られた原子配列シミュレーション(W原子)である。
図6の明るい部分Lについて、HAADF−STEM像と、WC、WC画像とを重ね合わせたところ、HAADF−STEM像とWC画像とが一致したことにより、WCの結晶構造が確認できた。また、明るい部分Lの周囲は、HAADF−STEM像とWC画像とが一致したことにより、WCの結晶構造であることがわかった。このように、実施例8では、炭化タングステンの結晶粒子中にWCの結晶構造が確認できた。
なお、ここでは、実施例8のセラミックス焼結体を例として説明したが、他の実施例でも同様である。
図8に、比較例2のセラミックス焼結体における炭化タングステンの結晶粒子の内部のHAADF−STEM像を示す。この図8では、WC画像と一致する部分が存在せず、内部にWCの結晶構造が存在しないことが分かった。また、図8の右上側とWC画像とが一致し、このWC画像を僅かにずらしたものが図8の左下側と一致した。このことから、炭化タングステンの結晶粒子に歪みが生じていることが分かった。図8においては左上から右下に向かう直線状の境界線を挟んで明るさが異なっている。この境界線が滑りの位置であると考えられた。
3.セラミックス切削工具の作製
実施例1〜20及び比較例1〜7のセラミックス焼結体を、工具形状(RCGX120700T01020)に加工した。
なお、表1には、上述のようにセラミックス焼結体の原料粉末の組成(配合)が示されているが、この組成は焼成後にも変化しないから、各セラミックス焼結体の組成と同等である。そして、焼成後の各セラミックス焼結体を機械加工して、セラミックス切削工具としているのであるから、結局、原料粉末の組成はセラミックス切削工具の組成と同等である。
4.切削試験
(1)試験方法
各セラミックス切削工具を用いて、切削試験を行った。試験条件は下記の通りである。
・被削材:耐熱合金インコネル718
・切削速度:250m/min
・切込み量:1.0mm
・送り量:0.2mm/回転
・切削環境:冷却水あり
・評価:5pass(200m/pass)後の摩耗量(VB摩耗量、クレータ摩耗量)
(2)試験結果
試験結果を表1に示す。炭化タングステンの結晶粒子中にWCの結晶構造が確認される実施例1〜20のセラミックス切削工具は、良好な耐摩耗性を示した。一方、炭化タングステンの結晶粒子中にWCの結晶構造が確認されない比較例1〜4のセラミックス切削工具の耐摩耗性は、実施例1〜20のセラミックス切削工具に比べて低かった。
また、WCを内包する炭化タングステンが45体積%(vol%)である、実施例8、実施例14〜18、実施例20の結果を比較すると、以下のこと分かる。すなわち、炭化タングステンの結晶粒子と、アルミナの結晶粒子と、の粒界に、ジルコニウム、イットリウム(周期表3族元素)、チタン、ハフニウム、及びイッテルビウム(周期表3族元素)より選択される元素が存在している実施例8、実施例14〜18では、これらの元素が存在しない実施例20よりも、更に良好な耐摩耗性を示すことが確認できる。
また、WCを内包する炭化タングステンが15体積%(vol%)である実施例19と、WCを内包する炭化タングステンが20〜98体積%(vol%)である実施例1〜18の結果を比較すると、以下のこと分かる。すなわち、WCを内包する炭化タングステンが20〜98体積%(vol%)である実施例1〜18では、この範囲以外の実施例19よりも、良好な耐摩耗性を示すことが確認できる。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。例えば、セラミックス工具1は摩擦撹拌接合用工具であって
もよい。摩擦撹拌接合用工具を用いた摩擦撹拌接合の具体的な態様は特に限定されない。摩擦撹拌接合は、例えば次のように行われる。摩擦撹拌接合用工具の突起部(プローブ部)を回転させながら被接合部材に押し込み、摩擦熱によって被接合部材の一部を軟化させる。そして、軟化した部分を突起部によって撹拌して被接合部材同士を接合する。
1 …セラミックス工具
2 …基材
6 …表面被覆層
11…炭化タングステンの結晶粒子
12…炭化タングステンの結晶粒子
13…アルミナの結晶粒子
14…アルミナの結晶粒子
17…炭化二タングステンの結晶構造
21…粒界
22…粒界
L …明るい部分

Claims (4)

  1. 少なくとも、アルミナと、炭化タングステンと、を含有するセラミックス焼結体から構成されたセラミックス工具であって、
    前記炭化タングステンの結晶粒子の内部に炭化二タングステンの結晶構造が確認されることを特徴とする、セラミックス工具。
  2. 前記炭化タングステンの結晶粒子と、前記アルミナの結晶粒子と、の粒界に、周期表3族(ランタノイド含む)、チタン、ジルコニウム、及びハフニウムより選択される少なくとも1種の元素が存在していることを特徴とする、請求項1に記載のセラミックス工具。
  3. 前記炭化タングステンの含有量が、前記セラミックス焼結体全体の20体積%〜98体積%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセラミックス工具。
  4. 前記セラミックス焼結体を基材とし、該基材の表面には、チタン、ジルコニウム、及びアルミニウムの炭化物、窒化物、酸化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物、及び炭窒酸化物より選択される少なくとも1種の化合物からなる表面被覆層が形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックス工具。
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