JP2021144899A - リチウム硫黄固体電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池特性が向上したリチウム硫黄固体電池を提供する。【解決手段】硫黄正極11と、リチウム負極12と、固体電解質13と、を備え、前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、前記リチウム負極と前記固体電解質との間に、硝酸イオン及び亜硝酸イオンのうち少なくとも一方を含む電解液又は電解質ゲル15を有する、リチウム硫黄固体電池1。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム硫黄固体電池に関する。
近年、電子機器や電気自動車等の電源として、従来のリチウムイオン二次電池よりも大きなエネルギー密度を有する二次電池の開発が望まれている。硫黄の理論容量密度は極めて高く、硫黄を正極の構成材料とするリチウム硫黄固体電池は、次世代の二次電池として期待されている。例えば、特許文献1には、固体電解質を備えたリチウム硫黄固体電池が開示されており、特許文献2には、その充電方法が提案されている。
特許第6578496号公報 特開2019−140029号公報
リチウム硫黄固体電池には、界面抵抗の低減や、充放電を繰り返したときの耐久性(サイクル特性)の向上等が望まれている。
本発明は、電池特性が向上したリチウム硫黄固体電池を提供する。
[1] 硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、を備え、前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、前記リチウム負極と前記固体電解質との間に、硝酸イオン及び亜硝酸イオンのうち少なくとも一方を含む電解液又は電解質ゲルを有する、リチウム硫黄固体電池。
[2] 前記電解液又は前記電解質ゲルに含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンが全て、前記電解液又は前記電解質ゲルに含まれる硝酸リチウムに由来すると仮定したとき、前記電解液又は前記電解質ゲルの総質量に対する、前記硝酸リチウムの含有量が、1質量%以上50質量%以下である、[1]に記載のリチウム硫黄固体電池。
[3] 前記電解液又は前記電解質ゲルが硝酸リチウムを含む、[1]又は[2]に記載のリチウム硫黄固体電池。
[4] 前記電解液又は前記電解質ゲルがイオン液体を含む、[1]〜[3]の何れか一項に記載のリチウム硫黄固体電池。
[5] 前記リチウム負極と前記固体電解質との間に、リチウムイオン伝導層がさらに配置されており、前記リチウムイオン伝導層は前記電解液又は前記電解質ゲルを含有する、[1]〜[4]の何れか一項に記載のリチウム硫黄固体電池。
[6] 前記リチウム負極の前記固体電解質側の表面の少なくとも一部に、酸化リチウムの皮膜が形成されている、[1]〜[5]の何れか一項に記載のリチウム硫黄固体電池。
[7] 前記皮膜の厚さが、0.1μm以上である、[6]に記載のリチウム硫黄固体電池。
[8] 硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、を備え、前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、前記リチウム負極の前記固体電解質側の表面の少なくとも一部に、酸化リチウムの皮膜が形成されている、リチウム硫黄固体電池。
[9] 前記皮膜の厚さが、0.1μm以上である、[8]に記載のリチウム硫黄固体電池。
本発明のリチウム硫黄固体電池にあっては、電池特性が向上している。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池の一例を模式的に示す断面図である。 本実施形態のリチウム硫黄固体電池の他の例を模式的に示す断面図である。 実施例3の負極表面をSEMで観察した画像である。 比較例1の負極表面をSEMで観察した画像である。 実施例3の負極表面をEDXで分析した画像である。 実施例4の負極表面をEDXで分析した画像である。 リチウム負極を備えたハーフセルについて、電解液中の硝酸リチウム濃度と、界面抵抗値との関係を示した棒グラフである。 リチウム負極を備えたハーフセルについて、電解液中の硝酸リチウム濃度と、充放電が不能になるまでのサイクル数との関係を示した棒グラフである。
≪リチウム硫黄固体電池;第一態様≫
本発明の第一態様は、硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、を備え、
前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、
前記リチウム負極と前記固体電解質との間に、硝酸イオン及び亜硝酸イオンのうち少なくとも一方を含む電解液又は電解質ゲルを有する、リチウム硫黄固体電池である。
以下、図面を参照して、リチウム硫黄固体電池の一実施形形態を説明する。各図は、説明の便宜上、部分的に拡大したり、縮小したりしている場合がある。
また、以下の説明では、特に明記しない限り、電解液は電解質ゲル(溶媒と電解質とを含むゲル状の電解質)であってもよい。
[積層構造]
図1に示すリチウム硫黄固体電池1は、硫黄正極11と、リチウム負極12と、固体電解質13と、リチウムイオン伝導層14とを備え、図示の順序で厚さ方向に積層されている。リチウムイオン伝導層14には、電解液15の一部又は全部が含浸されている。
図1では便宜上、リチウムイオン伝導層14の両面に電解液15の層の存在を描いているが、電解液15は必ずしも層を形成している必要はなく、リチウムイオン伝導層14の表面に染み出した状態であればよい。したがって、固体電解質13の第2面13bとリチウムイオン伝導層14の第1面14aは、電解液15の層を介在して互いに接触しなくてもよいし、電解液15の層を介在せずに互いに接触していてもよい。同様に、リチウムイオン伝導層14の第2面14bと、リチウム負極12の第1面12aは、互いに接触してもよいし、接触しなくてもよい。
リチウム硫黄固体電池1の積層構造は、容器中に収納されて電解液15が保持されていることが好ましい。硫黄正極11及びリチウム負極12には、図示しない外部回路への接続端子が設けられている。
[硫黄正極11]
硫黄正極11は、硫黄を含有し、正極として機能するものであれば特に限定されず、公知のリチウム硫黄固体電池の硫黄正極を適用することができる。好ましい硫黄正極として、例えば、空隙部を多数有する導電性シートを備え、前記空隙部は、前記導電性シートの外部に対して開口しており、前記導電性シートは、前記空隙部に、硫黄及び電解液を含有したものが挙げられる。
導電性シートとしは、例えば、カーボンフェルト、カーボンクロス等が挙げられる。
導電性シートの厚さは、例えば、50μm〜30000μmとすることができる。硫黄正極の厚さも同様とすることができる。
前記空隙部には、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等の炭素材料が導電助剤として含まれていてもよい。
前記空隙部には、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム等のバインダーが含まれていてもよい。
[リチウム負極12]
リチウム負極12は、リチウムを含有し、負極として機能するものであれば特に制限されず、公知のリチウム硫黄固体電池のリチウム負極を適用することができる。リチウム負極としては、金属リチウムからなる負極が好ましく、金属リチウムからなる平坦面又は曲面を有する負極がより好ましく、リチウム箔がさらに好ましい。
リチウム負極の厚さは、例えば、10μm〜2000μmとすることができ、100μm〜1000μmが好ましい。
[固体電解質13]
固体電解質13は、公知のリチウム硫黄固体電池の固体電解質を適用することができる。
固体電解質13は、結晶性材料、アモルファス材料及びガラス材料のいずれであってもよい。固体電解質13の構成材料として、例えば、硫化物を含まない酸化物系材料、少なくとも硫化物を含む硫化物系材料が挙げられる。
酸化物系材料としては、例えば、LiLaZr12(略称:LLZ)、Li2.9PO3.30.46(略称:LIPON)、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、50LiSiO・50LiBO、Li3.6Si0.60.4、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO等が挙げられる。LLZには、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ビスマス等の元素の1種以上がドープされていてもよい。
硫化物系材料としては、例えば、Li10GeP12(略称:LGPS)、Li3.25Ge0.250.75、30LiS・26B・44LiI、63LiS・36SiS・1LiPO、57LiS・38SiS・5LiSiO、70LiS・30P(略称:LISPS)、50LiS・50GeS、Li11、Li3.250.95等が挙げられる。
固体電解質13の構成材料は、大気中における安定性が高く、緻密性が高い固体電解質を作製できる点から、酸化物系材料であることが好ましい。
固体電解質13の構成材料の種類は1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
固体電解質13の厚さは、例えば、10μm〜1200μmとすることができる。
[リチウムイオン伝導層14]
リチウムイオン伝導層14の本体部は、第1面14aから第2面14bまで到達する空隙部(図示略)を多数有しており、空隙部には電解液15の一部又は全部が含浸されている。したがって、リチウムイオン伝導層14を介して、リチウム負極12と固体電解質13との間で、リチウムイオンを含む電解液の移動が可能である。
リチウムイオン伝導層14の本体部としては、例えば、多孔質体、又は、繊維状の材料が集合して層を構成してなる繊維集合体等が挙げられる。
本体部の具体的な構成材料は、従来のリチウム硫黄固体電池で使用されているものが適用でき、例えば、合成樹脂、ガラス、紙類等が挙げられる。合成樹脂としてはポリイミドが好ましい。前記構成材料は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
リチウムイオン伝導層14の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることができる。
リチウムイオン伝導層14を構成する本体部は1層でもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。
複数層からなるリチウムイオン伝導層14の厚さは、複数層の合計の厚さを意味する。
リチウムイオン伝導層14に含まれる電解液15の含有量は、特に限定されない。例えば、リチウムイオン伝導層14の本体部が有する空隙の体積の80〜120%程度の量が目安として挙げられる。
[電解液15]
電解液15は、溶媒と、硝酸イオン(NO )及び亜硝酸イオン(NO )のうち少なくとも一方と、リチウムイオン(Li)と、を含む。これらのイオンはカウンターイオンとともに塩として含まれていてもよい。亜硝酸イオンは酸化剤の存在下で硝酸イオンになり得る。
硝酸イオン及び亜硝酸イオンのカウンターカチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属に分類されるものが挙げられる。硝酸塩としては、硝酸リチウムが好ましい。
電解液15に含まれる硝酸塩、亜硝酸塩の種類はそれぞれ、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
電解液15に硝酸イオン(NO )及び亜硝酸イオン(NO )のうち少なくとも一方が含まれると、本態様のリチウム硫黄固体電池の電池特性を向上させることができる。ここで、電池特性とは、電池の界面抵抗の低減、充放電を繰り返すサイクル特性(耐久性)の向上、負極表面における金属リチウムの局所的な析出(リチウムデンドライトの伸長)の抑制、等が挙げられる。
これらの電池特性が向上するメカニズムの詳細は未解明であるが、後述する実施例で示すように、電解液に硝酸イオン等が含まれると、この電解液に接触するリチウム負極の表面に酸素原子を含む皮膜が形成される。この皮膜の化学組成は酸化リチウムが主体であると考えられ、この酸化リチウム皮膜の形成が電池特性の向上に寄与していると推測される。
リチウム負極の表面に酸化リチウムの皮膜が形成されているか否かの確認は、リチウム負極の表面をX線光電子分光法(XPS)やエネルギー分散型X線分析(EDX、EDS)で分析し、その表面に酸素原子が広く分布しているか否かを確認することで行えばよい。前記皮膜は、XPS等で分析したときにリチウム負極の表面が露出しない程度に緻密な膜であってもよいし、リチウム負極の表面の一部が露出している程度に粗い膜であってもよい。
電解液15に含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンの含有量の増加に伴って、上記電池特性がより一層向上する。具体的には、上記含有量の増加に伴って、負極表面に形成される酸化リチウム皮膜が厚くなり(酸素原子の分布が濃くなり)、電池の界面抵抗が低くなり、サイクル特性が向上し、金属リチウムの析出が抑制される。したがって、電解液15に含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンの含有量は重要である。
電解液15に実際に硝酸リチウムが含まれるか否かとは無関係に、電解液15に含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンが、全て電解液15に含まれた硝酸リチウムに由来すると仮定する。この仮定において、電解液15に含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンの含有量は、電解液15に含まれる硝酸リチウムの含有量に換算して考えることができる。なぜならば、硝酸リチウムの含有量の高低は、硝酸イオン及び亜硝酸イオンの高低と正の相関を示すからである。
このように電解液15中の硝酸イオン及び亜硝酸イオンの量を硝酸リチウムの量に換算したとき、電解液15に含まれる硝酸リチウムの含有量は、電解液15の総質量に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。
後述する実施例で示すように、電解液15に実際に含まれる硝酸リチウムの含有量が増える程、本態様のリチウム硫黄固体電池の電池特性を向上させることができる。20質量%以上を超えると、さらに電池特性が向上すると考えられる。このため、硝酸リチウムの含有量の上限値を定めることは難しいが、例えば、30質量%、40質量%、50質量%、70質量%が上限値の目安として挙げられる。
電解液15に含まれる実際の硝酸リチウムの濃度が、例えば20質量%以上になると、電解液15の粘度が上昇して、ゲル状の電解液(電解質ゲル)になることがある。電解質ゲルとなった場合においても、電池特性は充分に高められる。ここで「ゲル状」は「ペースト状」と言い換えてもよい。
電解液15に含まれるリチウムイオンは、電気化学反応の主体であり、その含有量は、従来のリチウム硫黄固体電池における含有量と同様でもよいし、より高い濃度であってもよい。従来のリチウム硫黄固体電池では、例えば、グライム−リチウム塩錯体からなる溶媒和イオン液体がリチウムイオンの移動媒体(キャリア)となっている。
電解液15に硝酸リチウムを含有させた場合、硝酸リチウムは硝酸イオンの供給源であるとともに、リチウムイオンの供給源でもあり得る。
電解液15に含まれる溶媒は、硝酸イオン及び亜硝酸イオンのうち少なくとも一方とリチウムイオンを溶解又は分散可能なものであれば特に制限されず、イオン液体を含むことが好ましい。
電解液15がイオン液体を含むことにより、リチウム硫黄固体電池1の電池特性がより向上する。電解液15が含むイオン液体は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
イオン液体としては、従来のリチウム硫黄固体電池に使用されるイオン液体が適用でき、硝酸イオン及び亜硝酸イオンのうち少なくとも一方とリチウムイオンを溶解又は分散可能なものが好ましい。種々のイオン液体のなかでも、電池特性を向上させることができ、硝酸イオン又は亜硝酸イオンを溶解又は分散可能であることから、グライム−リチウム塩錯体からなる溶媒和イオン液体であることが好ましい。
グライム−リチウム塩錯体におけるリチウム塩としては、例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SOF)、略称:LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SOCF、略称:LiTFSI)等が挙げられる。
グライム−リチウム塩錯体におけるグライムとしては、例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル(略称:トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(略称:テトラグライム)等が挙げられる。
好ましいグライム−リチウム塩錯体としては、例えば、トリグライム−LiFSI錯体、テトラグライム−LiFSI錯体、トリグライム−LiTFSI錯体、テトラグライム−LiTFSI錯体等が挙げられる。
<その他の実施形態>
図1のリチウム硫黄固体電池1のリチウムイオン伝導層14は任意の構成であり、省略が可能である。本態様のリチウム硫黄固体電池は、例えば、図2に示す積層構造を有していてもよい。図2における図1と同じ構成要素には、図1と同じ符号を付けている。
リチウム硫黄固体電池2の電解液15は、図示しない容器によって固体電解質13とリチウム負極12の間に保持されている。
<リチウム硫黄固体電池の製造方法>
本態様のリチウム硫黄固体電池は、電解液中に硝酸イオン及び亜硝酸イオンのうち少なくとも一方を含有させる点を除いて、公知のリチウム硫黄固体電池と同様に製造することができる。
電解液中に硝酸イオン及び亜硝酸イオンのうち少なくとも一方が含有されていれば、この電解液に接触するリチウム負極の表面には、酸化リチウムの皮膜が形成され得る。この皮膜は、電解液との接触で自然に起きる化学反応、及び、充放電に伴って起きる電気化学反応のうち少なくとも一方により、形成される。
電解液の調製方法としては、例えば、溶媒に、所望の量の硝酸塩又は亜硝酸塩を加えて、常法により混合する方法が挙げられる。溶媒が前述のグライム−リチウム塩錯体である場合には他のリチウム塩を添加しなくてもよい。前記硝酸塩として硝酸リチウムを用いれば、硝酸イオンとリチウムイオンの両方を添加できるので好ましい。
≪リチウム硫黄固体電池;第二態様≫
本発明の第二態様は、硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、を備え、
前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、
前記リチウム負極の前記固体電解質側の表面の少なくとも一部に、酸化リチウムの皮膜が形成されている、リチウム硫黄固体電池である。
上述の第一態様で説明したように、リチウム負極の表面に酸化リチウムの皮膜を形成することができる。酸化リチウム皮膜の形成により、上述した電池特性の向上が得られる。
本態様のリチウム硫黄固体電池においては、リチウム負極の表面に酸化リチウム皮膜が形成されていればよく、電解液中に硝酸イオン及び亜硝酸イオンのうち少なくとも一方が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
酸化リチウム皮膜による電池特性の向上をより確実に得るために、前記皮膜の厚さは、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、200nm以上がさらに好ましい。
酸化リチウム皮膜が厚くなり過ぎると、リチウム負極の表面におけるリチウムイオンの吸収・放出の電気化学が妨げられる可能性があるので、前記皮膜の厚さは1μm以下が好ましく、800nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましい。
酸化リチウム皮膜の厚さは、例えば、電子顕微鏡や実体顕微鏡の断面観察等の方法で測定することができる。
第二態様のリチウム硫黄固体電池の構成は、リチウム負極の表面に酸化リチウムの皮膜が形成されていること以外は、公知のリチウム硫黄固体電池の構成と同様とすることができる。
第二態様のリチウム硫黄固体電池の製造方法においては、第一態様のように硝酸イオン又は亜硝酸イオンを含む電解液との接触によりリチウム負極の表面に酸化リチウム皮膜を形成してもよいし、他の方法により酸化リチウム皮膜を形成してもよい。他の方法としては、例えば、硝酸や亜硝酸をリチウム負極の表面に塗布し、酸化リチウム皮膜を形成した後、このリチウム負極を用いて、リチウム硫黄固体電池を組み立てる方法が挙げられる。
以下、実施例を説明するが、本発明は実施例だけに限定されるものではない。
<ハーフセルの製造>
[実施例1]
電解液の調製は次のように行った。LiTFSIの1gとテトラグライムの0.774gを混合して溶媒和イオン液体1.774gを得て、これに硝酸リチウム0.01774gを添加し、均一に溶解させて電解液を得た。電解液中のLiTFSI:テトラグライムのモル比は1:1とした。電解液中の硝酸リチウムの濃度は、電解液の総質量に対して、1質量%とした。
上記で得た電解液80μLをポリイミド製シート(直径17mm、厚さ30μm)からなる本体部に充分に含浸させて、リチウムイオン伝導層を得た。
リチウム負極(金属リチウム箔、直径15mm、厚さ600μm)と、上記の電解液を含むリチウムイオン伝導層と、リチウム箔からなるリチウム正極(直径15mm、厚さ600μm)と、をこの順に、これらの厚さ方向において同心状に積層し、コイン型のハーフセルを製造した。
[実施例2]
電解液中の硝酸リチウムの濃度を3質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コイン型のハーフセルを製造した。
[実施例3]
電解液中の硝酸リチウムの濃度を5質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コイン型のハーフセルを製造した。
[実施例4]
電解液中の硝酸リチウムの濃度を10質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コイン型のハーフセルを製造した。
[実施例5]
電解液中の硝酸リチウムの濃度を20質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コイン型のハーフセルを製造した。
[比較例1]
電解液中の硝酸リチウムの濃度を0質量%に変更した(硝酸リチウムを含有させなかった)こと以外は、実施例1と同様にして、コイン型のハーフセルを製造した。
<負極の表面状態の観察>
実施例3〜4、比較例1で製造したハーフセルを使用し、100℃の温度条件下で、電流密度を1mA/cmとして通電した。具体的には、充電及び放電の条件は、電位−2.0〜2.0V、6Cとして、充放電が不可能になるまで充放電のサイクルを繰り返した。
次いで、ハーフセルから負極を取り出し、そのリチウムイオン伝導層側に配置されていた表面について、走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子社製)を用いて観察した。このとき取得した、倍率が500倍の画像を、図3〜図4に示す。図3が実施例3、図4が比較例1における負極表面の画像である。
上記画像から明らかなように、硝酸リチウムを含まない電解液を用いた比較例1においては、リチウム負極の電解液に接触した表面が荒れた粗面であるのに対して、硝酸リチウムを含む電解液を用いた実施例3においては、リチウム負極の電解液に接触した表面が比較的滑らかな平滑面であった。
比較例1の負極表面の荒れは、負極製造時の加工や、充放電に伴う負極表面におけるリチウムイオンの脱離・吸着によって生じた、通常の形態である。
一方、実施例3の負極表面の平滑さは、負極表面に酸化リチウムの皮膜が形成されたことを示す形態である。
実施例の負極表面に酸化リチウムの皮膜が形成されたことを確認するために、実施例3〜4の負極表面をエネルギー分散型X線分析(EDX、EDS)により分析した。この分析画像を図5〜図6に示す。図示の白い輝点が酸素原子の存在を表しており、負極表面の全体に酸素原子の存在が確認された。また、実施例3と実施例4の分析画像を比較すると、硝酸リチウム濃度の高い実施例4の負極表面において酸素原子が色濃く観察された。
なお、図示しないが、比較例1のリチウム負極の表面を同様にEDXで分析したところ、酸素原子の明確な分布は確認されなかった。
以上の観察結果から、硝酸リチウムを電解液に含むハーフセルのリチウム負極の表面には、電解液中の硝酸リチウム濃度に応じた厚さで、酸素を含有する酸化リチウムの皮膜が形成されたことが確認された。
<界面抵抗値の評価>
実施例1〜5、比較例1で製造したハーフセルを使用し、100℃の温度条件下で、電流密度を1mA/cmとして通電した。具体的には、充電及び放電の条件は、電位−2.0〜2.0V、6Cとした。1回目の充放電サイクルの際の負極における界面抵抗値(Ω)を測定した結果のグラフを図7に示す。
測定結果から、電解液に添加した硝酸リチウムの濃度に応じて、界面抵抗値が低減していることが確認された。
<サイクル特性の評価>
実施例1〜5、比較例1で製造したハーフセルを使用し、100℃の温度条件下で、放電レート6C、充電レート6Cの充放電を1サイクルとして、充放電サイクルを繰り返し行い、充電又は放電が不能になるまでのサイクルを計測した。その結果のグラフを図8に示す。
測定結果から、電解液に添加した硝酸リチウムの濃度に応じて、サイクル数が増加していることが確認された。
サイクル試験を終了した各ハーフセルから負極を取り出し、そのリチウムイオン伝導層側に配置されていた表面をSEMで観察したところ、金属リチウムが析出して形成されたと考えられるデンドライト様の小片が確認された。この結果から、各ハーフセルで計測されたサイクル数は、デンドライトの形成による電池の短絡が生じるまでの充放電の回数であることが確認された。
以上の結果を次にまとめる。
(1)硝酸リチウムを電解液に含むハーフセルの負極表面には、酸化リチウムの皮膜が形成された。その皮膜の厚さは、電解液中の硝酸リチウム濃度の増加に伴って、厚くなった。
(2)硝酸リチウムを電解液に含むハーフセルの界面抵抗値が、電解液中の硝酸リチウム濃度の増加に伴って、低減した。
(3)硝酸リチウムを電解液に含むハーフセルのサイクル特性(耐久性)が、電解液中の硝酸リチウム濃度の増加に伴って、向上した。
(4)硝酸リチウムを電解液に含むハーフセルにあっては、充放電を繰り返した際に、負極表面に金属イオンが析出してデンドライトが形成されることが抑制されていた。この抑制力は、電解液中の硝酸リチウム濃度の増加に伴って、向上した。
これらの結果から、本発明のリチウム硫黄固体電池にあっては、電解液又は電解質ゲル中に硝酸イオン又は亜硝酸イオンを含むことにより、電池特性が向上していることが明らかである。
なお、二次電池の試験においてハーフセルを使用することは一般的であり、上記で製造したハーフセルを用いた試験の結果は、本発明に係るリチウム硫黄固体電池を用いた試験においても同様に得られる結果である。
本発明は、リチウム硫黄固体電池の分野全般で利用可能である。
1,2…リチウム硫黄固体電池、11…硫黄正極、12…リチウム負極、
13…固体電解質、14…リチウムイオン伝導層、15…電解液又は電解質ゲル

Claims (9)

  1. 硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、を備え、
    前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、
    前記リチウム負極と前記固体電解質との間に、硝酸イオン及び亜硝酸イオンのうち少なくとも一方を含む電解液又は電解質ゲルを有する、リチウム硫黄固体電池。
  2. 前記電解液又は前記電解質ゲルに含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンが全て、前記電解液又は前記電解質ゲルに含まれる硝酸リチウムに由来すると仮定したとき、前記電解液又は前記電解質ゲルの総質量に対する、前記硝酸リチウムの含有量が、1質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載のリチウム硫黄固体電池。
  3. 前記電解液又は前記電解質ゲルが硝酸リチウムを含む、請求項1又は2に記載のリチウム硫黄固体電池。
  4. 前記電解液又は前記電解質ゲルがイオン液体を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載のリチウム硫黄固体電池。
  5. 前記リチウム負極と前記固体電解質との間に、リチウムイオン伝導層がさらに配置されており、前記リチウムイオン伝導層は前記電解液又は前記電解質ゲルを含有する、請求項1〜4の何れか一項に記載のリチウム硫黄固体電池。
  6. 前記リチウム負極の前記固体電解質側の表面の少なくとも一部に、酸化リチウムの皮膜が形成されている、請求項1〜5の何れか一項に記載のリチウム硫黄固体電池。
  7. 前記皮膜の厚さが、0.1μm以上である、請求項6に記載のリチウム硫黄固体電池。
  8. 硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、を備え、
    前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、
    前記リチウム負極の前記固体電解質側の表面の少なくとも一部に、酸化リチウムの皮膜が形成されている、リチウム硫黄固体電池。
  9. 前記皮膜の厚さが、0.1μm以上である、請求項8に記載のリチウム硫黄固体電池。
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