JP2021143713A - 絶縁転がり軸受 - Google Patents

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覚 福澤
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Abstract

【課題】電食を防止するとともに、支持軸と軌道輪との間に隙間が生じることを防止できる絶縁転がり軸受を提供する。【解決手段】副軸受21は、内輪22および外輪23と、この内・外輪間に介在する複数の玉24と、内輪22の内周部に嵌合された絶縁ブッシュ28とを備え、絶縁ブッシュ28は、略円筒状の金属基材28aと、金属基材28aの内周面に形成された射出成形層である樹脂層28bとを有し、金属基材28a側を内輪22の内周部に接触させて嵌合されている。【選択図】図2

Description

本発明は、絶縁転がり軸受に関し、特に冷媒圧縮機に使用される絶縁転がり軸受に関する。
容積形の冷媒圧縮機は、冷凍空調機器用の圧縮機として様々な分野で広く活用されている。近年、エネルギーの削減に向けた関心が高まり、種々の産業において効率向上が求められている。特に、住環境に密接した空気調和機においては、世論の注目度が高いことから、より低コスト化、高効率化を達成できる信頼性の高い製品の開発が求められており、インバータを用いて電動機を駆動する可変速運転が増加し、従来の一定速型の冷媒圧縮機に比べて高効率化が進んでいる。
上記インバータを用いた冷媒圧縮機では、従来の一定速型の冷媒圧縮機に比べて、高負荷時の駆動電流(インバータからモータへの入力電流)がより多くなる。そのため、電動機と一体に回転するクランク軸に発生する電圧(軸電圧)が増大する傾向になっている。この軸電圧の増大に伴って、クランク軸を支持する転がり軸受の内輪と外輪との間の電位差が大きくなり、その結果、転がり軸受に流れる電流の増大が引き起こされる。この電流は、転がり軸受の内輪、外輪の両軌道面と転動体の転動面に電食と呼ばれる腐食を発生させ、冷媒圧縮機の信頼性を低下させる。
このような電食の発生を防止するようにした従来の冷媒圧縮機として、特許文献1記載の冷媒圧縮機が知られている。この冷媒圧縮機では、クランク軸における駆動部よりも反圧縮機構部側の副軸部を回転支持する副軸受とクランク軸との間に絶縁材で構成された絶縁スリーブが設けられている。これにより、軸受の電食を防止し、安価な構造で、軸受電食や給油量不足による軸受損傷を抑制して冷媒圧縮機の信頼性向上を図っている。
また、その他の電食対策を施した転がり軸受として、導電性グリースが充填された転がり軸受(特許文献2参照)や、軌道輪に直接絶縁被膜を形成した転がり軸受(特許文献3参照)などが知られている。
特開2018−40261号公報 特開2004−263836号公報 特開2002−295483号公報
上記特許文献1記載の冷媒圧縮機では、絶縁スリーブが、圧入などの手段で内輪の内径側に嵌め込まれている。しかし、絶縁スリーブとクランク軸、および絶縁スリーブと内輪とがそれぞれ相対回転するため、絶縁スリーブに摩耗が発生しやすい。その結果、クランク軸と内輪との間に隙間が生じ、圧縮機全体の振動や異音の原因となる懸念がある。
また、冷媒圧縮機において、転がり軸受は、冷凍機油と冷媒が混合された液冷媒中で使用されるため、上記特許文献2記載の転がり軸受では、導電性グリースが溶出して電食防止効果が低下するという懸念がある。
また、上記特許文献3記載の転がり軸受は、外輪または内輪の反軌道面に合成樹脂からなる絶縁被膜を射出成形で形成している。射出成形は高圧で溶融樹脂を射出するとともに、冷却、固化により樹脂が収縮するため、高精度に形成された軌道面の形状が劣化するおそれがある。このため、絶縁被膜を形成する側の軌道輪の厚みを厚くする必要があり、装置の小型化などが困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電食を防止するとともに、支持軸と内輪との間に隙間が生じることを防止できる絶縁転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の絶縁転がり軸受は、内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、上記内輪の内周部に嵌合された絶縁ブッシュとを備えた絶縁転がり軸受であって、上記絶縁ブッシュは、略円筒状の金属基材と、該金属基材の内周面に形成された射出成形層である樹脂層とを有し、上記絶縁ブッシュは、上記金属基材側を上記内輪の内周部に接触させて嵌合されていることを特徴とする。
上記金属基材の上記樹脂層との接合面には、上記樹脂層の密着力を高くする化学表面処理が施されていることを特徴とする。
上記化学表面処理は、上記接合面に微細凹凸形状が形成される処理、または、上記接合面に上記樹脂層と化学反応する接合膜が形成される処理であることを特徴とする。
上記樹脂層のベース樹脂がポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)系樹脂、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、またはテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)樹脂であることを特徴とする。
上記絶縁転がり軸受は、冷媒圧縮機に使用され、該冷媒圧縮機の電動機によって回転駆動されるシャフトを回転支持する軸受であることを特徴とする。また、上記冷媒圧縮機は、スクロール式の冷媒圧縮機であることを特徴とする。
本発明の絶縁転がり軸受は、内輪および外輪と、転動体と、内輪の内周部に嵌合された絶縁ブッシュとを備え、該絶縁ブッシュは、金属基材と該金属基材の内周面に形成された射出成形層である樹脂層とを有し、該金属基材を内輪の内周部に接触させて嵌合される。この場合、絶縁ブッシュにおいて、内輪の反軌道面と接触する面が金属となり、非接触面が樹脂層となるので、軸電流が支持軸を介して軸受本体部に流れることを遮断でき、電食を防止できる。また、樹脂層が射出成形層であるので、樹脂層が金属基材の表面の粗さに食い込んで、接合面積が増大し、樹脂層と金属基材との密着強さを確保することができる。軸受本体部と絶縁ブッシュが嵌合一体構造になることで、絶縁ブッシュが軸受本体部や支持軸に対して相対回転(摺動)することを防止でき、絶縁ブッシュの摩耗を防止できる。その結果、軸受本体部と支持軸との間に隙間が生じることを防止でき、例えば冷媒圧縮機などに使用した場合でも圧縮機全体の振動や異音の発生を防ぐことができる。
また、本発明の絶縁転がり軸受は、内輪の反軌道輪に直接、射出成形層が形成される構成でなく、内輪とは別部材である金属基材に射出成形層が形成されるので、内輪(軌道輪)の寸法精度を維持することができ、また、軌道輪の厚みを厚くする必要がなく、装置の小型化が可能となる。さらには、導電性グリースを充填している転がり軸受を使用することなく、安価な構造で、軸受電食や給油量不足による軸受損傷を抑制して、冷媒圧縮機の信頼性向上を図ることができる。
金属基材の樹脂層との接合面には、樹脂層の密着力を高くする化学表面処理、より具体的には、微細凹凸形状が形成される処理、または、樹脂層と化学反応する接合膜が形成される処理が施されるので、樹脂層と金属基材の密着強さが向上し、高負荷で使用しても、樹脂層が金属基材から剥離することを防止できる。
樹脂層のベース樹脂がPPS樹脂、PEK系樹脂、PFA樹脂、FEP樹脂、またはETFE樹脂であるので、耐熱性や耐薬品性に優れる。
本発明の絶縁転がり軸受を用いた冷媒圧縮機の一例を示す断面図である。 図1の絶縁転がり軸受の拡大断面図である。 本発明の絶縁転がり軸受の絶縁ブッシュの一例を示す斜視図である。 本発明の絶縁転がり軸受の絶縁ブッシュの他の例を示す斜視図である。
本発明の絶縁転がり軸受を備える冷媒圧縮機を図1に基づいて説明する。図1は冷媒圧縮機の断面図である。なお、図1には、冷媒圧縮機として、容積形のスクロール圧縮機を示すが、本発明の絶縁転がり軸受が適用される冷媒圧縮機は、スクロール方式に限定されず、ロータリ方式、レシプロ方式、スクリュー方式などの他の圧縮方式の容積形圧縮機にも適用できる。また、横型の冷媒圧縮機でも縦型の冷媒圧縮機でも適用できる。
図1に示すように、圧縮機1は、固定スクロール2と、センターハウジング3と、モータハウジング4によってハウジングが構成されている。センターハウジング3およびモータハウジング4には、回転軸である鉄製のシャフト5が主軸受18および副軸受21を介して回転可能に支持されている。シャフト5には、バランスウェイト6が取り付けられており、シャフト5およびバランスウェイト6によって回転部材が構成されている。
センターハウジング3は、転がり軸受で構成された主軸受18を設置する軸受支持部3aと、この軸受支持部3aよりも外径方向に延び、固定スクロール2を固定する支持部3bを有する。主軸受18は、軸受支持部3aの中央に形成された貫通孔に嵌入されている。
固定スクロール2は、基板2aと、この基板2aから垂直に立設したスクロールラップ2bを備える。また、固定スクロール2の外周部には吸入口2cが設けられている。可動スクロール7は、基板7aと、この基板7aから垂直に立設したスクロールラップ7bを備え、中心には吐出口7dが設けられている。また、基板7aの反スクロールラップ側の中央にはボス部7cが垂直に突出するように設けられ、このボス部7c内にはすべり軸受で構成された旋回軸受8が圧入されている。
固定スクロール2と可動スクロール7を噛み合わせることにより圧縮室10が形成され、可動スクロール7が旋回運動することにより、その容積が減少する圧縮動作が行われる。可動スクロール7の旋回運動に伴って、冷凍サイクルの冷媒ガスが吸入管(図示省略)および吸入口2cを介して圧縮室10へ導入される。
圧縮室10に吸込まれた冷媒ガスは、圧縮行程を経て、吐出口7dから吐出室13に吐出され、その後、流体流路(図示省略)からモータ室14側に流れる。モータ室14側に流れた圧縮冷媒ガスは吐出管(図示省略)から冷凍サイクルに流出する。
モータハウジング4の内周面には固定子であるステータ11が固定されており、シャフト5の外周面にはステータ11と相対する位置に回転子であるロータ12が固定されている。ステータ11およびロータ12は電動機を構成し、ステータ11への通電によりロータ12およびシャフト5が一体回転する。
シャフト5は、主軸受18で回転支持される主軸部5aと、副軸受21に回転支持される副軸部5bと、主軸部5aの端部に設けられ可動スクロール7の旋回軸受8に支持される偏心軸部5cなどで構成される。主軸部5aと副軸部5bとは同一軸心上に形成され、偏心軸部5cは主軸部5aに対して偏心して設けられる。また、偏心軸部5cは、スリーブ9を介して旋回軸受8に回転自在に支持されている。旋回軸受8の内周面が、偏心軸部5cの外周面との摺接面となる。
図1の15は、可動スクロール7の基板7aに対向するセンターハウジング3の溝に設けられたシールリングである。このシールリング15を挟んで外側は吸入圧に近い圧力値を有した低圧室16となる。空間17は、調整弁による調圧や、主軸受18および旋回軸受8と、シャフト5との僅かな隙間を介した高圧領域(モータ室14や吐出室13)からの冷媒ガスの漏洩により、該高圧領域よりも低圧であるとともに低圧室16よりも高圧な中間圧状態に維持される。可動スクロール7の背面に高圧領域よりも圧力が低い領域(空間17)が設けられることにより、可動スクロール7の背面に加わる圧力によって可動スクロール7に生じる固定スクロール2側への荷重は軽減される。そのため、可動スクロール7のスムーズな公転が得られるとともに、可動スクロール7の機械的損失が低減される。
主軸受18は、転がり軸受である玉軸受により構成され、シャフト5の電動機よりも圧縮機構部側に配設されている。なお、主軸受18にころ軸受を用いてもよい。副軸受21は、転がり軸受である玉軸受により構成され、電動機よりも反圧縮機構部側に配設されている。
副軸受21は、モータハウジング4の軸受支持部4a内に設けられている。具体的には、軸受支持部4aは、電動機側に副軸受21を挿入するための開口部4bを有しており、この開口部4bから副軸受21が挿入される。なお、開口部4bを覆うカバーが備えられていてもよい。
次に、図2を用いて図1に示す副軸受21である絶縁転がり軸受を説明する。図2に示すように、副軸受21は、軌道輪である内輪22および外輪23と、この内・外輪間に介在する複数の玉(転動体)24とを有する軸受本体部と、内輪22の内周部に嵌合された絶縁ブッシュ28とを備える。玉24は、保持器25によって一定間隔に整列して保持されている。玉24周囲の軸受空間にはグリース27が充填されており、シール部材26によって軸受空間が密封されている。内輪22と外輪23と玉24は、SUJ2などの軸受鋼で形成されている。
図2において、内輪22の反軌道側である内周部には、この内周部と接触する外径面側が金属基材28aで、その反対面の内径面側が樹脂層28bからなる絶縁ブッシュ28が圧入嵌合されている。内輪22と絶縁ブッシュ28は、圧入嵌合により一体化されており、接着剤などにより接着されていない。絶縁ブッシュ28が圧入嵌合され、さらに、絶縁ブッシュ28の軸孔にシャフト5が挿入されることで、シャフト5、絶縁ブッシュ28、および内輪22は一体回転可能となる。シャフト5の回転時において、樹脂層28bはシャフト5の外周面に対し摺動せずに接触する。また、図2のように、樹脂層28bが、内輪22および金属基材28aとシャフト5との間に介在することで、軸電流がシャフト5を介して軸受本体部に流れることを遮断できる。
図3は、絶縁ブッシュの一例を示す斜視図である。図3に示すように、絶縁ブッシュ28は、略円筒状部材であり、略円筒状の金属基材28aと、該金属基材28aの内周面に形成された射出成形層である樹脂層28bとを有する。絶縁ブッシュ28は、金属基材28aを射出成形金型内に配置し、これに所定の合成樹脂を射出成形するインサート成形を行うことで得られる。このインサート成形によって、金属基材28aと樹脂層28bとが強固に一体化された絶縁ブッシュ28になる。
金属基材および樹脂層の厚さは、特に限定されないが、金属基材の厚さの方が樹脂層の厚さよりも大きいことが好ましい。金属基材の厚さは、好ましくは0.5mm〜5mmであり、より好ましくは1mm〜3mmである。樹脂層の厚さは、薄くすることで使用時の負荷による歪みを小さくできることから、0.1mm〜2mmが好ましく、0.1mm〜1mmがより好ましく、0.1mm〜0.5mmがさらに好ましい。
金属基材の材料としては、強度の面から溶製金属が好ましく、鉄系、アルミニウム系、銅系の溶製金属がより好ましい。鉄系としては、一般構造用炭素鋼(SS400など)、機械構造用炭素鋼(S45Cなど)、ステンレス鋼(SUS303、SUS316など)などが使用できる。また、これらの鉄系に、亜鉛、ニッケル、銅などのめっきを施してもよい。
アルミニウム系としてはA1050、A1100などや、A2017、A2024、A5056、A6061などのアルミニウム合金が使用できる。特に加工性に優れることから、A2017、A2024が好ましい。
銅系としてはC1100などや、C3604などの銅合金が使用できる。特に加工性および環境性の観点から、鉛0.1%以下およびカドミウム0.0075%以下のC6801、C6802などが好ましい。
金属基材を射出成形金型に入れ、合成樹脂を射出成形する工程において、金属基材を金型内に収容および取り出すためには、金型と金属基材の外周部との間に微小なクリアランスが必要である。しかし、合成樹脂を射出成形すると、金属基材の内周部に射出成形圧力が加わるため、金属基材の外周部側にクリアランスがあると金属基材は外側に膨張する。この際、金属の引っ張り破断伸びが小さいと、射出成形によって金属基材が破断する可能性がある。そのため、金属基材の材料は、引っ張り破断伸びが5%以上の溶製金属であることがより好ましい。一方、引っ張り破断伸びが5%に満たない、アルミニウム合金ダイカストや、アルミニウム合金鋳物、銅合金鋳物は場合によっては適さない。
金属基材における樹脂層との接合面は、金属基材と樹脂層との密着強度を高くするために、ショットブラスト、タンブラー、機械加工などにより、凹凸形状などに荒らすことが好ましい。その際の表面粗さはRa4μm以上が好ましい。
特に、金属基材と樹脂層との密着性を高めるには、金属基材の樹脂層との接合面に、化学表面処理を施すことが好ましい。化学表面処理としては、(1)接合面に微細凹凸形状が形成される処理、または、(2)接合面に樹脂層と化学反応する接合膜が形成される処理、を施すことが好ましい。
接合面を微細凹凸形状とすることで、真の接合面積が増大し、樹脂層と金属基材との密着強さが一層向上する。また、接合面において樹脂層と化学反応する接合膜を介在させることで、樹脂層と金属基材との密着強さが一層向上する。
微細凹凸形状となる表面粗化処理としては、酸性溶液処理(硫酸、硝酸、塩酸など、もしくは他の溶液との混合)、アルカリ性溶液処理(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど、もしくは他の溶液との混合)により、金属基材の内周面を溶かす方法が挙げられる。微細凹凸形状は、濃度、処理時間、後処理などによって異なるが、アンカー効果による密着性を高めるためには、凹ピッチが数nm〜数十μmの微細な凹凸にすることが好ましい。また、一般的な酸性溶液処理、アルカリ性溶液処理以外に、特殊なメック社製アマルファ処理、大成プラス社製NMT処理などが例示できる。
樹脂層を射出成形で形成する際には、樹脂材が高速で流し込まれるため、該樹脂材が、せん断力により凹ピッチが数nm〜数十μmである上記微細凹凸形状にも深く入り込むことができる。これにより、金属基材と樹脂層との密着強度が確保できる。また、化学表面処理により形成された上記微細凹凸形状は、機械的に単純に荒らした形状とは異なり、多孔質のような複雑な立体構造となっているため、アンカー効果を発揮しやすく、強固な密着が可能となる。
樹脂層と化学反応する接合膜が形成される表面処理としては、トリアジンジチオール誘導体、s−トリアジン化合物などの溶液への浸漬処理が挙げられる。これら表面処理は、処理した金属基材を金型に入れ射出成形する際に、熱と圧力により樹脂材と反応し、樹脂層と金属基材との密着性が高まる。このような表面処理としては、例えば、東亜電化社製TRI処理などが例示できる。
化学表面処理のうち、メック社製アマルファ処理、大成プラス社製NMT処理、東亜電化社製TRI処理などの特殊表面処理は、アルミニウム、銅に適している。このため、これらの処理を施す場合は、少なくとも金属基材の内周面がアルミニウムまたは銅であることが好ましい。
金属基材と樹脂層とのせん断接着強さは、2MPa以上であることが好ましい。この範囲であれば、使用に際して充分な密着強さを得ることができ、高負荷で使用しても、樹脂層が金属基材から剥離することはない。更に安全率を高めるためには、4MPa以上が好ましい。物理固定、機械的な粗面化処理、化学的な粗面化処理などの密着性向上手段は、上記せん断接着強さを確保できるよう、適宜選択して組み合わせて用いることが好ましい。
絶縁ブッシュにおける樹脂層は、射出成形可能な合成樹脂をベース樹脂とするものである。合成樹脂としては、耐熱性に優れた合成樹脂であることが好ましい。このような合成樹脂としては、例えば、PEK系樹脂、ポリアセタール樹脂、PPS樹脂、射出成形可能な熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、射出成形可能なフッ素樹脂などが挙げられる。これらの各合成樹脂は単独で使用してもよく、2種類以上混合したポリマーアロイであってもよい。特に、耐薬品性と耐熱性に優れることから、PPS樹脂、PEK系樹脂、PFA樹脂、FEP樹脂、またはETFE樹脂が好ましい。なお、PEK系樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂などが挙げられる。
また、樹脂層には、添加剤を適宜配合することができる。添加剤としては、耐クリープ性を向上できることから、例えばガラス繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化チタンウィスカなどの非導電性の補強材を配合することが好ましい。
具体的な樹脂層の形態として、ベース樹脂にPPS樹脂を用い、添加剤としてガラス繊維を用いることが好ましい。該ガラス繊維は、樹脂層全体の10質量%〜30質量%含むことがより好ましい。
図3の絶縁ブッシュは、例えば、以下の方法で得ることができる。まず、金属パイプ材から肉厚1mmの円筒体(金属基材)を切削し、その円筒体の内周面に化学表面処理を施す。その後、円筒体を金型に入れ、射出成形によって円筒体の内周面に樹脂層を形成する。射出成形により所定厚さの樹脂層を形成することが好ましいが、上述したとおり、金型と金属基材との間にはクリアランスが設けられている。そのため、金属基材に対する樹脂層の厚さが不均一になる場合がある。そのような場合は、旋盤にて樹脂層を切削して金属基材と同軸に加工することで、均一な厚さの樹脂層が得られる。
得られた絶縁ブッシュを、転がり軸受の内輪の内周部に圧入することで、図2の絶縁転がり軸受が得られる。なお、絶縁ブッシュと内輪との圧入代は、例えば10μm〜60μmであり、好ましくは20μm〜50μmである。圧入代が10μmより少ないと、シャフトの回転に伴い、内輪と絶縁ブッシュとが相対的に回転するおそれがある。また、圧入代が60μmより多いと、内輪の軌道面の真円度が悪くなるおそれがある。
絶縁ブッシュの他の例を図4に示す。図4に示す絶縁ブッシュ28’は、フランジ付き円筒状の金属基材28aの内周面に樹脂層28bを設けたものである。絶縁ブッシュ28’が内輪の内周部に嵌合される場合、フランジ部は内輪の幅面と嵌合され、該幅面に金属基材28aが接触する。絶縁ブッシュ28’の構成では、例えば射出成形の観点から、フランジ部の位置にゲートを設けることで、ゲートカット後のゲート痕(凸部)がシャフトとの接触面に突出することを防止できる。
上記図1〜図2では、本発明の絶縁転がり軸受として玉軸受を示したが、円すいころ軸受、円筒ころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受などにも適用できる。
冷媒圧縮機の構成は、図1の構成に限らない。例えば、図1のシャフト5の端部に油溜りに接続された給油ポンプを設けるとともに、シャフト5内に軸方向に貫通するように油通路を形成してもよい。この構成によれば、油溜りの油(冷凍機油)を給油ポンプを介して、油通路に供給することで、旋回軸受や、主軸受、副軸受を潤滑させることができる。
本発明の絶縁転がり軸受は、電食を防止するとともに、支持軸と内輪との間に隙間が生じることを防止できる電食防止軸受として広く利用することができる。
1 圧縮機
2 固定スクロール
3 センターハウジング
4 モータハウジング
5 シャフト
6 バランスウェイト
7 可動スクロール
8 旋回軸受
9 スリーブ
10 圧縮室
11 ステータ
12 ロータ
13 吐出室
14 モータ室
15 シールリング
16 低圧室
17 空間
18 主軸受
21 副軸受(絶縁転がり軸受)
22 内輪
23 外輪
24 玉
25 保持器
26 シール部材
27 グリース
28 絶縁ブッシュ

Claims (6)

  1. 内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、前記内輪の内周部に嵌合された絶縁ブッシュとを備えた絶縁転がり軸受であって、
    前記絶縁ブッシュは、略円筒状の金属基材と、該金属基材の内周面に形成された射出成形層である樹脂層とを有し、前記絶縁ブッシュは、前記金属基材側を前記内輪の内周部に接触させて嵌合されていることを特徴とする絶縁転がり軸受。
  2. 前記金属基材の前記樹脂層との接合面には、前記樹脂層の密着力を高くする化学表面処理が施されていることを特徴とする請求項1記載の絶縁転がり軸受。
  3. 前記化学表面処理は、前記接合面に微細凹凸形状が形成される処理、または、前記接合面に前記樹脂層と化学反応する接合膜が形成される処理であることを特徴とする請求項2記載の絶縁転がり軸受。
  4. 前記樹脂層のベース樹脂がポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、またはテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の絶縁転がり軸受。
  5. 前記絶縁転がり軸受は、冷媒圧縮機に使用され、該冷媒圧縮機の電動機によって回転駆動されるシャフトを回転支持する軸受であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の絶縁転がり軸受。
  6. 前記冷媒圧縮機は、スクロール式の冷媒圧縮機であることを特徴とする請求項5記載の絶縁転がり軸受。
JP2020042655A 2019-09-30 2020-03-12 絶縁転がり軸受 Pending JP2021143713A (ja)

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