JP2021143376A - レーザー光吸収率に優れる銅合金及びその製造方法 - Google Patents

レーザー光吸収率に優れる銅合金及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、レーザー加工などの用途として望ましいレーザー光吸収率に優れる銅合金とその製造方法の提供を目的とする。【解決手段】本発明のレーザー光吸収率に優れる銅合金粉末は、SもしくはZrを0.01質量%以上1.0質量%以下含有し、残部不可避不純物とCuからなる銅合金中に、Cu1.96S、Cu2Sの何れか一方あるいは両方もしくはCu5Zrからなる金属間化合物が複数分散されている組織を有していることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、レーザーを用いたプロセスに好適なレーザー光吸収率に優れる銅合金及びその製造方法に関する。
近年、ファイバーレーザーの普及および高性能化により、ファイバーレーザーを用いた溶接や切断などの加工プロセスの技術開発がなされている。
銅及び銅合金は、高熱伝導性によるエネルギー拡散が大きいこと、ファイバーレーザーで用いられる、近赤外波長域でのレーザー光の吸収率の低さに起因し、レーザーを用いた溶融が困難、もしくは低効率となってしまう問題があった。
そのため、例えば、以下の特許文献1に記載のように、表面酸化被膜やめっきを用いたレーザー光吸収率の向上手法が既知の技術として知られている。
特開昭63−303693公報
しかしながら、先の特許文献1に記載されている技術によると、酸化皮膜の形成により造形物中の酸素量が増加し、それに伴い熱伝導率が低下する問題がある。
また、めっき処理によるレーザー吸収率では、溶融時のめっき成分との合金化によって、母材の銅の熱伝導率等の特性が低下する問題がある。
本発明は前記の問題に鑑み創案されたものであり、その目的は、レーザー加工に好適であり、レーザー光の吸収率を向上させた銅合金とその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するためには、ファイバーレーザーの中心波長である1064nmに対応する1.2eV程度のバンドギャップを有する金属間化合物を表面に析出させることが有用と考えられる。
そこで本発明者は種々の検討の結果、Cu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrからなる金属間化合物を銅合金表面に分散させるならば、レーザー光の吸収率の高い銅合金を提供できることを見出した。
(1)本発明に係る一形態のレーザー光吸収率に優れる銅合金は、SもしくはZrを0.01質量%以上1.0質量%以下含有し、残部不可避不純物とCuからなる銅合金中に、Cu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrからなる金属間化合物が複数分散されている組織を有していることを特徴とする。
Cu1.96S、CuS、CuZrで示される金属間化合物は、純銅単体のバンドギャップに対して小さい、1.2eV程度のバンドギャップを有すると考えられる。このため、これらの金属間化合物を銅合金表面に分散させるならば、レーザー光の吸収率の高い銅合金を提供でき、レーザー加工用に好適な銅合金を提供できる。
(2)本発明に係る一形態のレーザー光吸収率に優れる銅合金は、SもしくはZrを0.01質量%以上1.0質量%以下含有していることが好ましい。
(3)本発明の一形態に係るレーザー光吸収率に優れる銅合金の製造方法は、Cu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrからなる金属間化合物が表面に複数分散されているレーザー光の吸収率に優れた銅合金の製造方法であり、SもしくはZrを含む銅合金の溶湯を凝固させて得られたインゴットや箔に対し、300℃以上600℃以下の条件で熱処理することを特徴とする。
(4)本発明に係る一形態のレーザー光吸収率に優れる銅合金の製造方法は、前記銅合金がSもしくはZrを0.01質量%以上1.0質量%以下含有していることが好ましい。
本発明の一形態に係る銅合金によれば、ファイバーレーザーの中心波長である1064nmでのレーザー光の吸収率に優れるため、ファイバーレーザーを用いた溶融が可能となり、レーザー加工向けの銅合金として好適に用いることができる。
また、本発明の一形態に係る銅合金は、表面の酸化被膜やめっきが不要のため、酸化被膜やめっきを必要としていた従来の銅合金に比べ、酸素などの不純物の影響を最小限に抑えることができる。このため、本発明の一形態に係る銅合金を用いることで、加工後の銅合金中の酸素量を増やすことがなく、熱伝導率低下を引き起こすことのない銅合金部材を製造することが可能となる。
図1は第1実施形態に係る銅合金板材の接合例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。 図2は実施例1において製造した銅合金の熱処理後の金属組織を示す拡大写真である。 図3は図2に示す金属組織の成分マッピング分析結果である。 図4は比較例1において製造した銅合金の熱処理前の金属組織を示す拡大写真である。 図5は実施例1において製造した銅合金の熱処理前後におけるX線回折パターンを示すグラフである。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る銅合金の組成は特に制限されるものではないが、SとZrの1種または2種を0.01質量%以上1.0質量%以下含有し、残部不可避不純物とCuからなる銅合金を主として用いることができる。また、本実施形態の銅合金は、金属組織中にCu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrの組成式で示される金属間化合物を複数含んでいる必要がある。また、前記銅合金は以下に説明するガス成分を除く不可避不純物元素を含んでいても良い。
SまたはZrの含有量が0.01質量%未満の場合、目的とする金属間化合物の析出量が少なくなるか金属間化合物の析出が見られなくなり、1064nm帯域の光吸収率が向上しない。SまたはZrの含有量が1.0質量%を超える場合、光吸収率の向上があまり見られない一方で、コスト増加の一因となるため、産業利用上好ましくない。
(不可避不純物元素)
不可避不純物については、その濃度を低くすることで電気伝導率や熱伝導率の特性が向上することになる。一方、不可避不純物の濃度を必要以上に低減しようとすると、製造プロセスが複雑となって製造コストが大幅に上昇してしまう。そこで、本実施形態では、ガス成分(C,N、O)を除く不可避不純物の濃度を総計で5質量ppm以上50質量ppm以下の範囲内に、ガス成分(C,N,O)の濃度を総計で10質量ppm以上10000質量ppm以下の範囲内に設定する。
ガス成分(C,N、O)を除く不可避不純物の濃度を総計で5質量ppm以上50質量ppm以下の範囲内に、ガス成分(C,N,O)の濃度を総計で10質量ppm以上10000質量ppm以下の範囲内とするために、原料としては、純度99〜99.9999質量%の高純度銅や無酸素銅(C10100,C10200)を用いることができる。
なお、製造コストの上昇を確実に抑制するためには、ガス成分(C,N、O)を除く不可避不純物の下限を10質量ppm以上とすることが好ましく、15質量ppm以上とすることがさらに好ましい。一方、電気伝導率や熱伝導率を確実に向上させるためには、ガス成分(C,N、O)を除く不可避不純物の上限を45質量ppm以下とすることが好ましく、40質量ppm以下とすることがさらに好ましい。
ここで、本実施形態におけるガス成分(C,N,O)を除く不可避不純物は、Fe,Ni,As,Ag,Sn,Sb,Pb,Bi,P,Li,Be,F,Na,Mg,Al,Si,Cl,K,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Nb,Co,Zn,Ga,Ge,Br,Rb,Sr,Y,Mo,Ru,Pd,Cd,In,I,Cs,Ba,希土類元素,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Hg,Tl,Th、Uのうち、1種または2種以上である。
「金属間化合物」
金属間化合物は、Cu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrであり、後述する真空鋳造法により銅合金を形成し、この銅合金に対し300〜800℃で熱処理を施して析出させた微粒子状の析出物である。熱処理温度については300〜600℃であることがより好ましい。
後述する真空鋳造法により溶湯から急冷して製造した銅合金においては、銅合金素地中に過飽和に固溶させたSやZrが含まれており、この銅合金に熱処理を施すことでCuとSもしくはZrの金属間化合物を複数析出させることができ、目的のレーザー光吸収率に優れた銅合金を得ることができる。
Cu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrで示される金属間化合物は、ファイバーレーザーの中心波長である1064nmに対応する1.2eV程度のバンドギャップを有すると考えられる。このため、通常、2eV程度であるとされるCuのバンドギャップに対し、より低エネルギーで遷移可能な上述の金属間化合物の析出分散により金属間化合物がエネルギー吸収を担うため、ファイバーレーザーのレーザー光に対し、銅合金としての吸収率が向上するものと考えられる。
図1(A)は一例として、上述の銅合金により形成された短冊板状の板材1、2をレーザー溶接により接合した接合体3を示す平面図であり、図1(B)は接合体3の側面図である。
この例の接合体3は、板材1、2の長さ方向端部どうしを所定幅にわたり重ね合わせ、重ね合わせ部5を形成している。この重ね合わせ部5の中央に板材1、2の幅方向に沿うようにファイバーレーザーを所定長さに渡り照射して照射部分を加熱溶融し、溶接部6が形成されている。この溶接部6により板材1、2が接合され、接合体3が形成される。
図1(A)、(B)に示す板材1、2は上述の銅合金により形成され、ファイバーレーザーの吸収率が高いため、ファイバーレーザーを照射した部分を容易に加熱溶融することができる。このため、レーザー溶接により接合体3を作成する場合に効率良く溶接が可能となる。
以上説明のように、上述の銅合金は優れたレーザー溶接性を有する。このため、板材1、2に限らず、レザー溶接がなされる種々の形状の部材を上述の銅合金から形成することでレーザー溶接性に優れた部材を提供できる。
「銅合金の製造方法」
本実施形態の銅合金の製造方法は、一例として、真空中において純度99.99質量%以上99.9999質量%未満の高純度銅及びCu−SもしくはCu−Zrの母合金を原料として用い、後述する表1に記載の組成となるように調整する。例えば、SもしくはZrを0.01質量%以上1.0質量%以下含有し、残部不可避不純物とCuからなる銅合金となるように調整する。
また、SもしくはZrについては、純度99質量%以上のSもしくはZrと純度99.9質量%の純銅とから各々の元素の母合金を作成し、その母合金を用いて調整することができる。溶解して得た銅合金溶湯を坩堝中で凝固させることによって銅合金を得ることが出来る。
なお、本実施形態においては、真空鋳造を用いた例を説明したが、銅合金の製造方法については、この他、砂型鋳造法、精密鋳造法、連続鋳造法などによって、銅合金を製造してもよい。
上述の方法により得られた銅合金を必要に応じて圧延加工や切断加工などの形状加工を加えた後に、雰囲気加熱炉を用い、300℃以上、800℃以下の温度条件、より好ましくは400℃以上、600℃以下の温度条件で10分以上120分以下程度、例えば60分程度加熱後冷却する熱処理を施す。
この熱処理によって、銅合金の金属組織中にCu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrからなる金属間化合物を析出させることができる。これらの金属間化合物は、1μm程度以下の粒径を有する微細な粒子状の析出物であり、銅合金の結晶粒内あるいは結晶粒界にランダムに複数析出する。
前述の銅合金であるならば、中心波長1064nmのファイバーレーザーに対するレーザー光の吸収率が高いので、ファイバーレーザー光の照射により銅合金を効率良く発熱させて溶接や切断加工を実施できる。
このため、前述の銅合金を用いて積層造形を行うならば、密度が高く、気孔が少なく、硬度の高い積層造形物を製造することができる。また、前述の銅合金を用いてレーザー溶接性に優れた部材を提供できる。
純度(99.999)質量%の高純度銅に必要量のCu−S合金もしくはCu−Zr合金を添加して真空溶解炉に投入し、銅合金溶湯を作製するとともに、この銅合金溶湯を凝固させることによって銅合金のインゴットを得た。得られた銅合金インゴットを50mm×200mm×厚さ0.5mmの板状に加工した。その後、表1に示す熱処理条件(加熱温度:℃、加熱時間:時間)にてそれぞれの銅合金板を熱処理し、金属間化合物を析出させた銅合金板を得た。
得られた銅合金板について、SもしくはZr含有量、析出物相の同定、析出物相の分散状態、1064nm波長光に対する吸収率、の測定結果を表1に示す。S含有量、析出物相の同定、析出物相の分散状態、1064nm波長光に対する吸収率を以下に説明する方法で測定した。
「S含有量」
HORIBA(株式会社堀場製作所)製 EMIA−810W(管状炉燃焼−赤外吸収法)を用いて銅合金板中のS濃度を測定した。
「Zr含有量」
日本ジャーレルアッシュ製誘導結合プラズマ発行分析装置 ICAP−88を用いて、銅合金板中のZr濃度を測定した。
「析出物の同定」
析出物の同定は、X線回折装置により回折パターンを測定し、各例の銅合金板中の析出物の同定を行い、Cu−S系もしくはCu−Zr系金属間化合物が形成されていることを確認した。
「析出物の分散状態」
銅合金板の断面をSEMにより撮影し、断面写真を画像解析ソフトウェアWinROOFを用いて析出物を特定し、析出物の面積率の算出行った。
その際、SEM−EDSを用いて、撮影された析出物がSもしくはZrを含有している相であることを合わせて確認し、解析を実施した。
「1064nm波長光に対する吸収率」
株式会社日立ハイテクサイエンス社製の「紫外可視近赤外分光光度計U−4100」を用いて各例の銅合金板の光吸収率を測定した。
ファイバーレーザーの中心波長である1064nmにおける全反射率を測定し、光吸収率=(1−全反射率)の関係式から、光吸収率(%)を算出した。
以上の結果を表1に示す。
次に、熱処理済みの銅合金板(実施例1〜実施例5と比較例3、比較例4)と熱処理を行っていない銅合金板(比較例1、比較例2)を用い、溶接性の評価を実施した。
溶接性の評価には、幅50mm×長さ200mm×厚さ0.5mmの銅合金板(銅合金シート)2枚を50mm×50mmの範囲で重ね合わせて固定した後、400Wファイバーレーザーを用いて幅0.5mm×長さ30mmの重ね合わせ溶接を行った。
得られたシート接合体について、10Nの引張荷重を加えた時の剥離の有無について評価を実施した。
以上の測定結果をまとめて以下の表1に記載する。
Figure 2021143376
表1に結果を示すように、実施例1〜5は、SまたはZrを含む銅合金の表面に、Cu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrからなる金属間化合物が複数分散されている組織を有しているので、近赤外領域での高い光吸収率を得ることが出来、レーザー溶接後の剥離も見られない。
実施例1〜5の銅合金中には、断面観察からの解析の結果、金属間化合物が断面面積率で3.0%以上(3.0〜15.6%)分散していることが確認された。表1において、N.D.は、Not Detectedを意味する。
実施例1〜5の銅合金は、SもしくはZrを0.01質量%以上1.0質量%以下含有し、残部不可避不純物とCuからなる銅合金中に、Cu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrからなる金属間化合物が複数分散されている組織を有している銅合金である。
また、これらの銅合金は、前記金属間化合物が3.0%以上、16%以下の面積分率で分散していることが分かる。
更に、これらの銅合金は、中心波長1064nmの光の吸収率が15〜26%の優れた値を示した。このため、実施例1〜実施例7のシート接合体はレーザー溶接が充分になされており、剥離を生じない接合体であった。
図2は、実施例2の銅合金板(500℃で1時間熱処理)の金属組織拡大写真を示す。
図2に示すように結晶粒内あるいは結晶粒界に粒径1μm以下の複数の粒子状金属間化合物が析出していることを確認できた。図2の右下に表示した縮尺は5μmである。
これらに対し比較例1および比較例2の銅合金は、SあるいはZrを含有しているが、熱処理を施していないために金属間化合物の析出が見られない。このため、比較例1および比較例2の銅合金は光吸収率が低く、溶接性も不十分であった。
比較例3および比較例4の銅合金は、銅合金に含まれるSあるいはZrの添加濃度が0.01%以下と低いため、熱処理を実施しても金属間化合物の析出がみられない。
このため、同様に光吸収率が低く、溶接性も不十分であった。
また、図4は図2に示す銅合金の金属組織に対し、熱処理以前の銅合金の金属組織を示す組織写真である。
図2と図4を対比して明らかなように、熱処理後の試料には、微細な金属間化合物が複数析出していることがわかる。なお、図2に示す写真と同じ倍率で同じ位置を元素分析したところ、析出物部分のS濃度が極めて高いことが判明した。
図3は図2に示す銅合金の金属組織において金属間化合物が複数析出している領域を元素分析した結果を示す。図3の左側の図に示す金属組織の色の濃い粒子状の部分に対応するように、図3の右側の図に示すSの分析結果において発色の薄い部分が対応している。
図3の右側の図に示す発色の薄い部分はSの濃度が高い部分を示す。このため、図2に示す円形状の部分は、Cu−S系金属間化合物であると想定できる。
次に、表1に示す実施例1の試料に関し、X線回折装置による回折パターンを求めた結果を図5に示す。
図5に示す回折パターンにおいて、44degree前後と50degree前後に存在する鋭い大きなピークは銅由来のパターンである。
その他、図5における27degree前後、33degree前後、39degree前後、45degree前後に存在する小さなピークは、Cu1.96Sに由来するピークである。
このため、銅合金の表面に析出している析出物はCu1.96Sなる組成の金属間化合物であることが分かった。
なお、同様の手法により、実施例2の銅合金について、X線回折装置による回折パターンを求めた結果、CuSなる組成の金属間化合物によるピークを確認できた。CuSなる組成の金属間化合物は回折パターンに、25degree前後、27degree前後、29degree前後、31degree前後、33degree前後、35degree前後、37degree前後、38degree前後、41degree前後、47degree前後、49degree前後のピークを有する。
また、実施例6の銅合金においてX線回折装置による回折パターンを求めた結果、CuZrなる組成の金属間化合物によるピークを確認できた。CuZrなる組成の金属間化合物は回折パターンに、36.9degree前後、46.7degree前後、のピークを有する。
以上の対比から、レーザー加工用途として、Cu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrからなる金属間化合物が複数分散されている組織を有している銅合金であれば、高い光吸収率とそれに伴う良好な溶接性を得られることが分かった。
1、2…板材、3…接合体、5…重ね合わせ部、6…溶接部。

Claims (4)

  1. SもしくはZrを0.01質量%以上1.0質量%以下含有し、残部不可避不純物とCuからなる銅合金中に、Cu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrからなる金属間化合物が複数分散されている組織を有していることを特徴とするレーザー光吸収率に優れる銅合金。
  2. 前記銅合金断面中に複数分散している金属間化合物が、3.0%以上、16%以下の面積分率で分散していることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光吸収率に優れる銅合金。
  3. SもしくはZrを0.01質量%以上1.0質量%以下含有し、残部不可避不純物とCuからなる銅合金中に、Cu1.96S、CuSの何れか一方あるいは両方もしくはCuZrからなる金属間化合物が複数分散されている組織を有するレーザー光吸収率に優れる銅合金の製造方法であり、SもしくはZrを含む銅合金溶湯を凝固させて得られた銅合金に対し、300℃以上800℃以下の条件で熱処理することを特徴とするレーザー光吸収率に優れる銅合金の製造方法。
  4. 前記銅合金断面中に複数分散している金属間化合物が、3.0%以上、16%以下の面積分率で分散していることを特徴とする請求項3に記載のレーザー光吸収率に優れる銅合金の製造方法。
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