JP2024067683A - アルミニウム合金及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自然時効が抑制されたアルミニウム合金及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、Si、Mg、Mn、Fe及び不可避不純物を含むAl-Si系アルミニウム合金であって、Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物を含むAl-Si系アルミニウム合金に関し、さらに、鋳造時の合金溶湯の冷却工程の制御により当該Al-Si系アルミニウム合金を製造する方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金及びその製造方法に関する。
自動車部品を軽量化することで、燃費を向上させ、消費電力を低減することができる。したがって、従来使用されていた鉄系材料をアルミニウム材料又はアルミニウム合金に置き換える検討がなされている。
例えば、特許文献1には、全体を100質量%としたときに、3.5質量%~7.5質量%のケイ素(Si)と、0.45質量%~0.8質量%のマグネシウム(Mg)と、0.05質量%~0.35質量%のクロム(Cr)と、を含み残部がアルミニウム(Al)と不可避不純物とからなることを特徴とする鋳造性及び加工性に優れた高強度アルミニウム合金が記載されている。
特許文献2には、Al-Mg-Si系アルミニウム合金からなり、昇温速度20℃/分の示差走査熱量分析曲線において、150~230℃の温度範囲に1.0~5.0mW/gの高さaの吸熱ピークと、230~270℃の温度範囲に2つ以上の発熱ピークとを有し、当該発熱ピークの低温側のピーク高さbと高温側のピーク高さbの比b/bが0.80以下であることを特徴とするアルミニウム合金板が記載されている。
特開2010-18875号公報 特開2017-14541号公報
従来技術では、鋳造後のアルミニウム合金に対し、溶体化熱処理及び/又は時効熱処理の追加の熱処理を施す。当該熱処理により、アルミニウム合金中にMg-Si系の析出物が析出される。当該析出物は、部品に必要な硬さを供したり、自然時効を抑制したりする。したがって、従来技術では、析出物によりアルミニウム合金の硬さを上げることで、高強度化をはかっている。
一方で、前記熱処理工程には、部品に対して熱処理歪による変形を与え得ること、熱エネルギー消費のためコストが高くなり高CO排出量につながり得ること、という課題がある。
したがって、本発明は、自然時効が抑制されたアルミニウム合金を提供することを課題とする。さらに、本発明は、鋳造後に熱処理工程を行わなくても十分な硬さを有するアルミニウム合金を製造できるアルミニウム合金の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。その結果、本発明者らは、Si、Mg、マンガン(Mn)、鉄(Fe)を含むアルミニウム合金材料の製造において、鋳造時の合金溶湯の冷却工程を制御することにより、自然時効が抑制され、十分な硬さを有するアルミニウム合金を製造できることを見出し、本発明を完成した。本発明のアルミニウム合金では、鋳造時の合金溶湯の冷却工程の制御により、Al-Si-Fe-Mn系化合物が優先的に析出され、従来析出していたMg-Si系化合物の析出が抑制されていると考えられる。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)Si、Mg、Mn、Fe及び不可避不純物を含むAl-Si系アルミニウム合金であって、Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物を含むAl-Si系アルミニウム合金。
(2)Al-Si系アルミニウム合金をEPMAマッピングにより80μm×80μmの視野で観察したときに、Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物では、Mg、Mn及びFeについて、MgのK-α50%以上の強度の部位とMnのK-α10%~20%の強度の部位とFeのK-α5%~14%の強度の部位とが一致しており、Mn及びFeについて、MnのK-α80%以上の強度の部位とFeのK-α44%以上の強度の部位とが一致している、(1)に記載のAl-Si系アルミニウム合金。
(3)(i)Si、Mg、Mn、Fe及び不可避不純物を含むAl-Si系アルミニウム合金の原料を準備する原料準備工程、
(ii)(i)の原料準備工程で準備した原料を加熱して合金溶湯を調製する溶湯調製工程、
(iii)(ii)の溶湯調製工程で調製した合金溶湯を鋳型に注湯する注湯工程、及び
(iv)(iii)の注湯工程で注湯した合金溶湯を冷却して凝固させる冷却工程
を含み、
(iv)の冷却工程は、合金溶湯の温度が510℃~470℃になったときに、合金溶湯を当該温度範囲で20分間~40分間保持する凝固保持工程を含む、
Al-Si系アルミニウム合金の製造方法。
本発明によって、自然時効が抑制されたアルミニウム合金が提供される。さらに、本発明によって、鋳造後に熱処理工程を行わなくても十分な硬さを有するアルミニウム合金を製造できるアルミニウム合金の製造方法が提供される。
比較例1及び2並びに実施例1及び2のAl-Si系アルミニウム合金の鋳造後及び強制時効後のビッカース硬さを示すグラフである。 実施例1のAl-Si系アルミニウム合金のEPMAマッピング(80μm×80μm)を示す図である。 比較例1のAl-Si系アルミニウム合金のEPMAマッピング(80μm×80μm)を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。なお、本発明のアルミニウム合金及びその製造方法は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。また、本発明において、「数値(下限)~数値(上限)」の表現は、下限及び上限を含む範囲を示す。
本発明は、Si、Mg、Mn、Fe及び不可避不純物を含むAl-Si系アルミニウム合金であって、Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物を含むAl-Si系アルミニウム合金に関する。
Siの含有量は、限定されない。Siの含有量は、金属として、Al-Si系アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.1質量%~15質量%、一実施形態では4質量%~12質量%である。ここで、Siの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。
Mgの含有量は、限定されない。Mgの含有量は、金属として、Al-Si系アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.01質量%~1質量%、一実施形態では0.1質量%~1質量%である。ここで、Mgの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。
Mnの含有量は、限定されない。Mnの含有量は、金属として、Al-Si系アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.01質量%~1質量%、一実施形態では0.1質量%~1質量%である。ここで、Mnの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。
Feの含有量は、限定されない。Feの含有量は、金属として、Al-Si系アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.01質量%~1質量%、一実施形態では0.1質量%~1質量%である。ここで、Feの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。
本発明のAl-Si系アルミニウム合金は、さらに、他の改質合金元素、例えば銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、銀(Ag)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、スカンジウム(Sc)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、バナジウム(V)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、タンタル(Ta)、金(Au)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、ヒ素(As)、セレン(Se)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、水銀(Hg)、ビスマス(Bi)、及びトリウム(Th)からなる群から選択される一種以上の金属(その他金属)を適宜含んでもよい。
その他金属のそれぞれの含有量は、限定されない。その他金属のそれぞれの含有量は、金属として、Al-Si系アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.0001質量%~0.1質量%、一実施形態では0.001質量%~0.05質量%である。その他金属全ての含有量は、金属として、Al-Si系アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.01質量%~1質量%、一実施形態では0.03質量%~0.1質量%、別の一実施形態では0.04質量%~0.06質量%である。なお、その他金属の含有量は、当該技術分野において公知の方法により測定することができ、合金元素により異なるが、例えばICP発光分光分析法により測定することができる。
本発明のAl-Si系アルミニウム合金における前記金属以外の残部は、アルミニウム(Al)及び不可避的不純物からなる。
ここで、不可避的不純物としては、リン(P)、硫黄(S)が挙げられる。リン(P)、硫黄(S)の含有量は、限定されない。リン(P)、硫黄(S)のそれぞれの含有量は、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.01質量%以下である。なお、リン(P)、硫黄(S)の含有量は、当該技術分野において公知の方法により測定することができ、測定する元素により異なるが、例えばICP発光分光分析法により測定することができる。
本発明のAl-Si系アルミニウム合金において、Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物は、Al-Si系アルミニウム合金のEPMAマッピングにより同定することができる。Al-Si系アルミニウム合金のEPMAマッピングにおいて、Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物は、以下の(i)及び(ii)の特徴を有する。
(i)Al-Si系アルミニウム合金をEPMAマッピングにより80μm×80μmの視野で観察したときに、Mg、Mn及びFeについて、MgのK-α50%以上の強度の部位とMnのK-α10%以上、一実施形態では10%~20%の強度の部位とFeのK-α5%以上、一実施形態では5%~14%の強度の部位とが一致する。
(ii)Al-Si系アルミニウム合金をEPMAマッピングにより80μm×80μmの視野で観察したときに、Mn及びFeについて、MnのK-α50%以上、一実施形態では80%以上の強度の部位とFeのK-α25%以上、一実施形態では44%以上の強度の部位とが一致する。
ここで、80μm×80μmの視野中のある特定部位における各種金属のK-αの強度(%)は、例えばMgの場合、80μm×80μmの視野全体のMgからのK-α線を100%としたときの、当該視野中のある特定部位におけるMgからのK-α線の割合(%)を示す。
なお、Al-Si系アルミニウム合金中のAl-Si-Mg-Fe-Mn系化合物においてSiが存在することもまた、Mg、Mn及びFe同様に、EPMAにより確認することができる。
Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物の形状は、限定されない。Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物の形状は、例えば球状、多角形状、塊状などである。
Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物の平均粒径は、限定されない。Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物の平均粒径は、TEM写真における100個の粒子の円相当径の平均として、通常30nm~300nm、一実施形態では50nm~100nmである。
本発明のAl-Si系アルミニウム合金のビッカース硬さは、限定されない。本発明のAl-Si系アルミニウム合金のビッカース硬さは、通常40HV~100HV、一実施形態では50HV~60HVである。
本発明のAl-Si系アルミニウム合金の強制時効後のビッカース硬さは、限定されない。本発明のAl-Si系アルミニウム合金の強制時効(210℃×90分)後のビッカース硬さは、通常50HV~120HV、一実施形態では50HV~60HVである。
つまり、本発明のAl-Si系アルミニウム合金では、強制時効前後でのビッカース硬さの変化は、{|強制時効後のビッカース硬さ-強制時効前のビッカース硬さ|/強制時効前のビッカース硬さ}×100として、通常4%以下、一実施形態では2%以下である。
ここで、本発明のAl-Si系アルミニウム合金のビッカース硬さは、ビッカース硬さ試験により測定することができる。
したがって、本発明のAl-Si系アルミニウム合金は、自然時効が抑制されている。さらに、本発明のAl-Si系アルミニウム合金には、鋳造後の各種熱処理を施さなくてもよい。
本発明のAl-Si系アルミニウム合金は、Al-Si系アルミニウム合金鋳物である。鋳物とは、鋳造により製造される成型物を指す。したがって、鋳物には、低圧鋳造、重力鋳造、ダイカスト鋳造などにより製造される成型物が含まれる。
本発明におけるアルミニウム合金は、鋳造により成型されることによって、鉄系材料を代替する軽量な材料、例えば、自動車ボデー部品などに使用することができる。
本発明のAl-Si系アルミニウム合金は、以下で詳細を説明する(i)~(iv)の工程により製造することができる。
(i)原料準備工程
(i)の工程では、Al-Si系アルミニウム合金の原料は、限定されない。Al-Si系アルミニウム合金の原料としては、各種金属の、純金属、化合物、合金などが挙げられる。アルミニウムの原料としては、アルミニウム地金や、アルミニウムスクラップを使用することができる。さらに、Al-Si系アルミニウム合金の原料としては、粉末などの状態、溶湯の状態、鋳物(例えば、アルミニウム合金インゴット)の状態のものが含まれる。なお、基本的に融点の高い金属は、他の添加元素との母合金で添加することができ、融点の低い金属は、純金属で添加することができる。
Al-Si系アルミニウム合金の原料の組成は、製造後に得られるAl-Si系アルミニウム合金中の各種金属が前記で説明した範囲の含有量になるよう調整される。したがって、Al-Si系アルミニウム合金の原料の組成は、製造中に揮発などにより喪失されるものを原料として使用しない限り、Al-Si系アルミニウム合金の組成と同じになる。
(ii)溶湯調製工程
(ii)の工程では、合金溶湯は、例えば、Al-Si系アルミニウム合金の原料を、溶解炉、例えばアーク溶解炉において、液相の生じる温度、通常680℃~1200℃、一実施形態では1000℃~1200℃に加熱することにより調製することができる。
(ii)の工程において、Al-Si系アルミニウム合金の原料であるアルミニウム及び各種金属の添加順序、添加方法、添加温度、添加時間、混合方法などは、限定されない。(ii)の工程では、合金溶湯は、各金属が均一になるように調製される。
例えば、本発明の(ii)の工程では、アルミニウムを680℃に加熱して調製したアルミニウム溶湯に、各種金属を添加し、その後、溶湯温度を合金系が溶融する温度、例えば1000℃まで上昇させて合金溶湯を調製する。
(iii)注湯工程
(iii)の工程では、鋳型は、限定されない。鋳型としては、当該技術分野で公知の鋳型を使用することができる。
(iv)冷却工程
(iv)の工程では、合金溶湯を冷却することで凝固させる。(iv)の工程は、凝固保持工程を含む。凝固保持工程では、凝固の過程で、合金溶湯の温度が、凝固が始まる510℃~470℃、一実施形態では500℃~480℃になったら、当該範囲の温度で、20分間~40分間、一実施形態では30分間保持する。
なお、(iv)の工程では、合金溶湯の冷却速度は、限定されない。合金溶湯の冷却速度は、例えば通常50℃/sec~200℃/sec、一実施形態では80℃/sec~120℃/secである。
(iv)の工程において、合金溶湯を前記特定の温度範囲において前記特定の時間保持することにより、合金溶湯中にAl-Si-Mg-Fe-Mn系化合物が優先的に析出され、一方でMgSiの析出が抑制される。MgSiは、自然時効を起こし得るため、MgSiの析出が抑制される結果、(iv)の工程後に得られるAl-Si系アルミニウム合金では、自然時効が抑制される。したがって、本発明の製造方法により得られるAl-Si系アルミニウム合金は、時効による硬さ変化を抑制することができる。
本発明のAl-Si系アルミニウム合金の製造方法は、(iv)の冷却工程における凝固保持工程以外は、当該技術分野で公知の鋳造であってよい。
ここで、鋳造とは、高温で溶解した金属(合金含む)溶湯を、砂や金属などで作った鋳型の空洞部分(キャビティー)に流し込み、冷やして固めることである。
鋳造としては、例えば、連続鋳造法、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)、ホットトップ鋳造法などの通常の溶解鋳造法、又はダイカスト鋳造法が挙げられる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
I.サンプル調製及び硬さ測定
(i)表1に記載する化学成分を含むアルミニウム合金の原料を準備した。
(ii)(i)の原料準備工程で準備した原料を700℃まで加熱して合金溶湯を調製した。
(iii)(ii)の溶湯調製工程で調製した合金溶湯を鋳型に注湯した。
(iv)(iii)の注湯工程で注湯した合金溶湯を、合金溶湯の温度が、520℃(比較例1)、500℃(実施例1)、480℃(実施例2)、又は460℃(比較例2)になるまで冷却し、合金溶湯の温度が各温度に到達したら、当該各温度を30分間保持した。
(v)(iv)の凝固保持工程の後、鋳型を250℃まで冷却し、鋳型からAl-Si系アルミニウム合金を取り出し、さらに、25℃まで空冷した。
なお、従来のAl-Si系アルミニウム合金として、前記(i)~(v)の工程のうちの、(iv)及び(v)の冷却工程を、「(iii)の注湯工程で注湯した合金溶湯を400℃まで冷却し、鋳型からAl-Si系アルミニウム合金を取り出し、さらに、25℃まで空冷した。」に変更して、従来のAl-Si系アルミニウム合金(比較例3)を製造した。
Figure 2024067683000002
得られた各Al-Si系アルミニウム合金について、ビッカース硬さを測定した。
Al-Si系アルミニウム合金における自然時効の有無は、強制時効により確認することができる。したがって、続いて、ビッカース硬さを測定した各Al-Si系アルミニウム合金を210℃で90分間の熱処理(強制時効)に供した。
得られた強制時効後の各Al-Si系アルミニウム合金について、再度ビッカース硬さを測定した。結果を表2及び図1に示す。
Figure 2024067683000003
表2及び図1より、冷却工程の間に、510℃~470℃、特に500℃~480℃で、20分間~40分間、特に30分間の保持を行ったAl-Si系アルミニウム合金は、強制時効前後でのビッカース硬さの変化が抑制されることがわかった。したがって、このようにして製造されたAl-Si系アルミニウム合金は、自然時効が抑制されることがわかった。
II.サンプルのEPMA分析
実施例1及び比較例1のAl-Si系アルミニウム合金を、EPMAにより分析した。
図2に実施例1のAl-Si系アルミニウム合金のEPMAマッピング(80μm×80μm)を示す。図3に、比較例1のAl-Si系アルミニウム合金のEPMAマッピング(80μm×80μm)を示す。
図2より、実施例1のAl-Si系アルミニウム合金では、Si、Mg、Mn、及びFeのK-α線のピーク位置がほぼ一致しており、Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物が析出していることがわかった。具体的には、Mg、Mn及びFeのEPMAマッピングでは、80μm×80μmの視野において、MgのK-α50%以上の強度の部位とMnのK-α10%以上、特に10%~20%の強度の部位とFeのK-α5%以上、特に5%~14%の強度の部位とが一致していた。また、Mn及びFeのEPMAマッピングでは、80μm×80μmの視野において、MnのK-α50%以上、特に80%以上の強度の部位とFeのK-α25%以上、特に44%以上の強度の部位とが一致していた。
一方で、図3より、比較例1のAl-Si系アルミニウム合金では、Si、Mg、Mn、及びFeのK-α線のピーク位置が一致しておらず、Fe-Mn-Si系化合物とMgSi化合物の両方が析出していることがわかった。
MgSi化合物は、熱処理(時効処理)によって、安定的に硬さを上昇させ、Al-Si系アルミニウム合金に対して、抑制された自然時効、さらには、アルミニウム合金の特性として必要な硬さを付与する。言い換えれば、アルミニウム合金中にMgSi化合物が存在する場合、熱処理を施さないと自然時効が発生し、硬さの上昇が生じてしまう。本発明のAl-Si系アルミニウム合金では、析出物がAl-Si-Mg-Fe-Mn系化合物である。つまり、本発明のAl-Si系アルミニウム合金では、200℃以下の環境下においてMgSi化合物の析出が抑制されているため、MgSi化合物による自然時効、すなわち硬さの上昇が生じない。したがって、本発明のAl-Si系アルミニウム合金は、追加の熱処理、例えば溶体化熱処理及び/又は時効熱処理を必要とせず、その結果、熱処理歪による影響を抑制し、さらには熱エネルギー消費によるコスト及びCO排出量の上昇を抑制することができる。

Claims (3)

  1. Si、Mg、Mn、Fe及び不可避不純物を含むAl-Si系アルミニウム合金であって、Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物を含むAl-Si系アルミニウム合金。
  2. Al-Si系アルミニウム合金をEPMAマッピングにより80μm×80μmの視野で観察したときに、Al-Si-Mg-Fe-Mn系化合物では、Mg、Mn及びFeについて、MgのK-α50%以上の強度の部位とMnのK-α10%~20%の強度の部位とFeのK-α5%~14%の強度の部位とが一致しており、Mn及びFeについて、MnのK-α80%以上の強度の部位とFeのK-α44%以上の強度の部位とが一致している、請求項1に記載のAl-Si系アルミニウム合金。
  3. (i)Si、Mg、Mn、Fe及び不可避不純物を含むAl-Si系アルミニウム合金の原料を準備する原料準備工程、
    (ii)(i)の原料準備工程で準備した原料を加熱して合金溶湯を調製する溶湯調製工程、
    (iii)(ii)の溶湯調製工程で調製した合金溶湯を鋳型に注湯する注湯工程、及び
    (iv)(iii)の注湯工程で注湯した合金溶湯を冷却して凝固させる冷却工程
    を含み、
    (iv)の冷却工程は、合金溶湯の温度が510℃~470℃になったときに、合金溶湯を当該温度範囲で20分間~40分間保持する凝固保持工程を含む、
    Al-Si系アルミニウム合金の製造方法。
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