JP2021143324A - 共役ジエン系重合体組成物、及びタイヤ - Google Patents

共役ジエン系重合体組成物、及びタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤにした場合の転がり抵抗性、湿潤路面でのグリップ性能、及び耐摩耗性に優れた共役ジエン系重合体組成物を提供する。【解決手段】ガラス転移温度が−20℃以上の共役ジエン系重合体(A)10〜90質量部と、ガラス転移温度が−25℃以下の共役ジエン系重合体(B)10〜90質量部と、を、含有し、前記共役ジエン系重合体(A)は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による絶対分子量が40×104以上5000×104以下であり、前記粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が8以上である、共役ジエン系重合体組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、共役ジエン系重合組成物、及びタイヤに関する。
従来から、自動車に対する低燃費化要求が高まっており、自動車用タイヤ、特に地面と接するタイヤトレッドに用いられる材料の改良が求められている。
近年、転がり抵抗が小さい、すなわち低ヒステリシスロス性を有する材料の開発が求められてきている。
また、タイヤを軽量化するため、トレッド部の厚みを減らす必要があり、耐摩耗性の高い材料も求められている。一方でタイヤトレッド用に用いられる材料は、安全性の観点から、ウェットスキッド抵抗性に優れることと、実用上十分な破壊特性を有していることが要求される。
上述したような要求に応えるゴム材料として、例えば、ゴム状重合体と、カーボンブラック、シリカ等の補強性充填剤とを含むゴム組成物が挙げられる。
シリカを補強性充填剤として用いることにより、ゴム組成物において、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスが向上することが既に知られている。
また、運動性の高いゴム状重合体の分子末端部に、シリカとの親和性又は反応性を有する官能基を導入することによって、ゴム組成物中におけるシリカの分散性を改良して、さらには、シリカ粒子との結合でゴム状重合体の分子末端部の運動性を低減して、ヒステリシスロスを低減化しつつ、耐摩耗性、破壊強度を改良する試みがなされている。例えば、アミノ基を含有するアルコキシシラン類を共役ジエン系重合体活性末端に反応させて得られる変性共役ジエン系重合体とシリカとの組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
一方において、タイヤの転がり抵抗をさらに低下させるために、トレッド部分でヒステリシスロスを低下させようとすると、湿潤路面でのグリップ性能が低下してしまうことが知られている。
かかる点に鑑み、特定の変性共役ジエン系重合体、シリカ系無機充填剤、及びタッキファイヤー、すなわち熱可塑性樹脂を含む変性共役ゴム組成物が、低転がり特性と湿潤路面でのグリップ性能に優れることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2005−290355号公報 特開平11−189616号公報 特開2003−171418号公報 特開2018−28018号公報
しかしながら、熱可塑性樹脂はシリカ系無機充填剤との親和性が低いことから、前記特許文献4に記載されている熱可塑性樹脂を含有させた変性共役ゴム組成物においては、シリカ系無機充填剤の分散性が悪化するためヒステリシスロスが上昇してしまい、かかる観点においてはタイヤの転がり抵抗の悪化を招来し、さらにはシリカ系無機充填剤の界面補強効果が低下するため耐摩耗性が悪化してしまうという問題点を有している。
そこで本発明においては、転がり抵抗性、湿潤路面でのグリップ性能、及び耐摩耗性に優れたタイヤが得られる共役ジエン系重合体組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために鋭意研究検討した結果、ガラス転移温度が異なる二種類の共役ジエン系重合体(A)、及び共役ジエン系重合体(B)を含有する共役ジエン系重合体組成物であって、共役ジエン系重合体(A)は絶対分子量が所定の範囲であり、分岐度(Bn)が所定範囲であるものとした共役ジエン系重合体組成物が、タイヤにした場合に転がり抵抗性、湿潤路面でのグリップ性能、及び耐摩耗性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
ガラス転移温度が−20℃以上の共役ジエン系重合体(A)10〜90質量部と、
ガラス転移温度が−25℃以下の共役ジエン系重合体(B)10〜90質量部と、
を、含有し、
前記共役ジエン系重合体(A)は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による絶対分子量が40×104以上5000×104以下であり、前記粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が8以上である、
共役ジエン系重合体組成物。
〔2〕
前記共役ジエン系重合体(B)のガラス転移温度が−55℃以下である、前記〔1〕に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔3〕
前記共役ジエン系重合体(A)及び(B)の合計量100質量部に対して、熱可塑性樹脂を0.5質量部以上30質量部以下、含有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔4〕
前記共役ジエン系重合体(A)及び/又は前記共役ジエン系重合体(B)が変性されている、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔5〕
前記共役ジエン系重合体(A)の変性率が60質量%以上である、前記〔4〕に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔6〕
前記共役ジエン系重合体(A)及び(B)の合計量を100質量部に対し、前記熱可塑性樹脂の含有量が0.5質量部以上10質量部以下である、前記〔3〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔7〕
前記共役ジエン系重合体(A)が、3分岐以上の星形高分子構造を有する共役ジエン系重合体であって、少なくとも一つの星形構造の分岐鎖に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分で重合体鎖が分岐している、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔8〕
前記共役ジエン系重合体(A)の前記アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分が、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位であって、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有し、前記共役ジエン系重合体(A)の少なくとも一端が、カップリング剤によりカップリングされている、前記〔7〕に記載の共役ジエン系重合体組成物。
Figure 2021143324
Figure 2021143324
(式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
1は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
(式(2)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。
aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
〔9〕
前記式(1)中、R1が水素原子であり、m=0である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する共役ジエン系重合体(A)を含む、前記〔8〕に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔10〕
前記式(2)中、m=0であり、かつb=0である、前記式(2)で表される化合物に基づく単量体単位を有する共役ジエン系重合体(A)を含む、前記〔8〕に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔11〕
前記式(1)中、R1が水素原子であり、m=0であり、l=0である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する共役ジエン系重合体(A)を含む、前記〔8〕、又は〔9〕に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔12〕
前記式(2)中、m=0、l=0、a=0、b=0である、前記式(2)で表される化合物に基づく単量体単位を有する共役ジエン系重合体(A)を含む、前記〔8〕又は〔10〕に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔13〕
前記式(1)中、R1は水素原子であり、l=0であり、n=3である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する共役ジエン系重合体(A)を含む、前記〔8〕、〔9〕、及び〔11〕のいずれか一に記載の共役ジエン系重合体組成物。
〔14〕
前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の共役ジエン系重合体組成物を含有する、タイヤ。
本発明によれば、タイヤにした場合の転がり抵抗性、湿潤路面でのグリップ性能、及び耐摩耗性に優れた共役ジエン系重合体組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施することができる。
〔共役ジエン系重合体組成物〕
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、
ガラス転移温度が−20℃以上の共役ジエン系重合体(A)10〜90質量部と、
ガラス転移温度が−25℃以下の共役ジエン系重合体(B)10〜90質量部と、
を含有する。
前記共役ジエン系重合体(A)は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による絶対分子量が40×104以上5000×104以下であり、前記粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が8以上である。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物によれば、転がり抵抗性、湿潤路面でのグリップ性能、及び耐摩耗性に優れるゴム組成物が得られる。
(共役ジエン系重合体(A))
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物に含まれる共役ジエン系重合体(A)は、ガラス転移温度が−20℃以上であり、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による絶対分子量が40×104以上5000×104以下であり、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が8以上である。
共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン系化合物を単量体単位として含み、芳香族ビニル化合物を含んでいてもよく、さらに、その他の単量体単位を含んでもよいが、芳香族ビニル化合物と共役ジエン系化合物を主成分とし、これらの比率が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
タイヤトレッド用のゴム成分としては、芳香族ビニル化合物と共役ジエン系化合物以外の成分を含まないことが一般的である。
また、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、湿潤路面でのグリップ性能向上の観点から、共役ジエン系重合体組成物の全質量を基準(100質量部)として、共役ジエン系重合体(A)を10〜90質量部含む。
耐摩耗性向上の観点から、共役ジエン系重合体(A)は20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。また転がり抵抗性低減の観点から、80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましい。
<共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度>
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物に含まれる共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度は、−20℃以上である。
当該ガラス転移温度は、共役ジエン系重合体(A)のミクロ構造の調整、すなわち前記共役ジエン系重合体(A)中の芳香族ビニル化合物の量や、共役ジエン系化合物中のビニル結合量を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
具体的には、共役ジエン系重合体(A)が芳香族ビニル化合物と共役ジエン系化合物との共重合体である場合において、芳香族ビニル化合物の量を増やす、もしくは共役ジエン系化合物中のビニル結合量を増やすことで、ガラス転移温度を向上させることができる。
共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度を−20℃以上とする方法は、特に限定されないが、例えば、芳香族ビニル化合物の量を30〜45質量%、共役ジエン系化合物中のビニル結合量を10〜70質量%とすることで、ガラス転移温度を上記範囲にすることができる。ガラス転移温度が上記の範囲にあるとき、より一層グリップ性能が向上する傾向にある。
ガラス転移温度については、ISO22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度の上限は特に限定されないが、0℃以下が好ましい。この範囲にあるとき、転がり抵抗性がより一層すぐれる傾向にある。
<共役ジエン系重合体(A)の絶対分子量>
共役ジエン系重合体(A)は、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の耐摩耗性、及び破壊特性の観点から、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定により求められる絶対分子量の値が40×104以上5000×104以下である。
一般的に、分岐構造を有する重合体は、同一の分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にある。よって重合体の分子の大きさでふるい分ける、標準ポリスチレン試料との相対比較法であるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により求められるポリスチレン換算分子量では、分岐構造を有する重合体の分子量が過少に評価される傾向にある。
一方、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法により測定される絶対分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により求められるポリスチレン換算分子量と比較すると、光散乱法により分子の大きさを直接観測し、分子量(絶対分子量)を測定するため、高分子の構造やカラム充填剤との相互作用の影響を受けない。よって、共役ジエン系重合体の分岐構造などのポリマー構造に影響されることなく、分子量を正確に測定できる。
共役ジエン系重合体(A)の絶対分子量は、40×104以上であり、好ましくは50×104以上であり、より好ましくは60×104以上であり、さらに好ましくは80×104以上であり、さらにより好ましくは100×104以上である。
また、共役ジエン系重合体(A)の絶対分子量は、5000×104以下であり、好ましくは4500×104以下であり、より好ましくは4000×104以下であり、さらに好ましくは3500×104以下であり、さらにより好ましくは3000×104以下である。
共役ジエン系重合体(A)の絶対分子量が40×104以上であることで、加硫物としたときにおける耐摩耗性に優れる傾向にある。また、絶対分子量が5000×104以下であることで、加硫物とする際の加工性及び充填剤の分散性に優れ、ウェットグリップ性能に優れる。
共役ジエン系重合体(A)の絶対分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、共役ジエン系重合体(A)の絶対分子量は、重合開始剤の添加量、分岐化剤の官能基数、分岐化剤の添加量、分岐化剤の添加のタイミング、及びカップリング剤、変性剤の添加量を調整することにより、上記数値範囲に制御できる。
<共役ジエン系重合体(A)の分岐度>
共役ジエン系重合体(A)は、加工性、ウェットグリップ性能の観点から、分岐度(Bn)が8以上である。
当該分岐度(Bn)が8以上であるとは、共役ジエン系重合体(A)が、実質的に最長の高分子主鎖に対して側鎖の高分子鎖が8本以上であることを意味する。
共役ジエン系重合体(A)の分岐度(Bn)は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法により測定される収縮因子(g’)を用いて、g’=6Bn/[(Bn+1)(Bn+2)]と定義される。
一般的に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にある。
収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。すなわち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。
この収縮因子に対して本実施形態では、分子の大きさの指標として固有粘度を用い、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=−3.883M0.771の関係式に従うものとする。前記式中、Mは絶対分子量である。
しかしながら、収縮因子(g’)は分子の大きさの減少率を表現しているもので、重合体の分岐構造を正確に表現しているものではない。
そこで当該共役ジエン系重合体(A)の各絶対分子量のときの収縮因子(g’)の値を用いて共役ジエン系重合体(A)の分岐度(Bn)を算出する。算出された「分岐度(Bn)」は、最長の主鎖構造に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数を正確に表現するものである。
算出された分岐度(Bn)は、共役ジエン系重合体(A)の分岐構造を表現する指標となる。例えば、一般的な4分岐星形高分子(中央部に、4本の重合体鎖が接続)の場合、最長の高分岐主鎖構造に対して高分子鎖の腕が2本結合しており、分岐度(Bn)は2と評価される。
一般的な8分岐星形高分子の場合、最長の高分岐主鎖構造に対して高分子鎖の腕が6本結合しており、分岐度(Bn)は6と評価される。
共役ジエン系重合体(A)は、分岐度(Bn)が8以上であるが、かかる場合、星形高分子構造として10分岐した星形高分子構造と同様の分岐を有する共役ジエン系重合体であることを意味する。
ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体とが直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度(Bn)」は、最長の主鎖構造に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。
分岐度(Bn)が8以上であることにより、共役ジエン系重合体(A)は、加硫物としたときにおける加工性とウェットグリップ性能に優れる。
一般に絶対分子量が上昇すると加工性が悪化する傾向にあり、直鎖状の高分子構造で絶対分子量を上昇させた場合、加硫物の粘度が大幅に上昇し、加工性が大幅に悪化する。そのため、重合体中に多数の官能基を導入し、充填剤として配合されるシリカとの親和性及び/又は反応性向上を図っていても、混練工程でシリカを十分に重合体中に分散させられない。その結果として、導入された官能基の機能が発揮されず、本来期待できるはずの官能基導入によるウェットグリップ性能の向上という効果が発揮されないことになってしまう。
一方、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物においては、共役ジエン系重合体(A)が分岐度(Bn)を8以上であるものに特定したことにより、絶対分子量の上昇に伴う加硫物の粘度の上昇が大幅に抑制されるので、混練工程においてシリカ等と十分に混合するようになり、共役ジエン系重合体(A)の周りにシリカを分散させることが可能となる。その結果、共役ジエン系重合体(A)の分子量を大きく設定することで耐摩耗性の向上が可能になり、かつ、十分な混練によってシリカを共役ジエン系重合体(A)の周りに分散させ、官能基が作用及び/又は反応することが可能になったことで実用上十分なウェットグリップ性能を有するものとすることが可能になる。
共役ジエン系重合体(A)の分岐度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
共役ジエン系重合体(A)の分岐度(Bn)は8以上であり、好ましくは10以上であり、より好ましくは12以上であり、さらに好ましくは15以上である。
共役ジエン系重合体(A)の分岐度(Bn)が、前記範囲であることにより、加硫物とする際の加工性に優れる傾向にある。
また、分岐度(Bn)の上限値は特に限定されず、検出限界値以上であってもよいが、好ましくは84以下であり、より好ましくは80以下であり、さらに好ましくは64以下であり、さらにより好ましくは57以下である。
分岐度(Bn)が84以下であることにより、加硫物とする際の耐摩耗性に優れる傾向にある。
共役ジエン系重合体(A)の分岐度は、分岐化剤の添加量と末端変性剤の添加量を組み合わせて調整することにより、8以上に制御することができる。具体的には、分岐度は、分岐化剤の官能基数、分岐化剤の添加量、分岐化剤の添加のタイミング及び変性剤やカップリング剤の添加量を調整することにより制御することができる。より具体的には、後述する(共役ジエン系重合体(A)の製造方法)に示す。
<共役ジエン系重合体(A)の変性率>
共役ジエン系重合体(A)は低燃費性能向上の観点から、所定の変性剤、例えば窒素含有変性剤によって変性されていることが好ましく、共役ジエン系重合体の総量に対して変性率が60質量%以上であることが好ましい。
本明細書中、「変性率」は、共役ジエン系重合体の総量に対する変性剤による官能基、例えば窒素含有官能基を有する共役ジエン系重合体の質量比率を表す。
例えば、窒素含有変性剤を終末端に反応させた場合、当該窒素含有変性剤による窒素含有官能基を有する共役ジエン系重合体の、共役ジエン系重合体の総量に対する質量比率は、変性率として表される。
他方、窒素を含有する分岐化剤によって、重合体を分岐させた場合も、生成する共役ジエン系重合体に窒素含有官能基を有することになるので、この分岐した重合体も変性率の算出の際、カウントされることになる。
すなわち、本明細書中、共役ジエン系重合体が特に、変性された「変性共役ジエン系重合体」である場合は、窒素含有官能基を有する変性剤による変性重合体及び/又は窒素含有官能基を有する分岐化剤による分岐化重合体の合計の質量比率が、変性率である。
共役ジエン系重合体(A)の変性率は、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは82質量%以上である。
変性率を60質量%以上とすることにより、加硫物としたときに低燃費性能により優れる傾向にある。
なお、本明細書中、特に断りがない限り、「共役ジエン系重合体」には、変性した(官能基を含有する)変性共役ジエン系重合体も含まれるものとする。
変性率は、官能基含有の変性成分と非変性成分を分離できるクロマトグラフィーによって測定することができる。
このクロマトグラフィーを用いた方法としては、特定官能基を吸着するシリカ等の極性物質を充填剤としたゲル浸透クロマトグラフィー用のカラムを使用し、非吸着成分の内部標準を比較に用いて定量する方法が挙げられる。
より具体的には、変性率は、試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系ゲルカラムで測定したクロマトグラムとシリカ系カラムで測定したクロマトグラムとの差分から、シリカカラムへの吸着量を測定することにより得られる。さらに具体的には、変性率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
共役ジエン系重合体(A)において、変性率は、重合開始剤として所定の化合物を選択すること、重合単量体として所定の化合物を選択すること、変性剤の添加量を調整すること、及び反応方法を調整するによって制御することができ、これにより60質量%以上に制御することができる。
例えば、重合開始剤として、後述する分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を用いて重合する方法、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する単量体を共重合する方法、後述する構造式の変性剤を用いる方法を組み合わせ、重合条件を制御することによって、上記変性率とすることができる。
<共役ジエン系重合体(A)の構造>
共役ジエン系重合体(A)は、加工性と耐摩耗性バランスの観点から、3分岐以上の星形高分子構造を有する共役ジエン系重合体であって、少なくとも一つの星形構造の分岐鎖に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において、さらに重合体鎖が分岐している、すなわち主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合体であることが好ましい。
本明細書でいう「星形高分子構造」とは、1つの中心分岐点から高分子鎖(腕)が複数結合している構造を言う。
また、ここでいう一つの中心分岐点は、「カップリング剤由来の原子を含有する置換基」又は「変性剤由来の窒素原子を含有する置換基」を有している。
本明細書でいう「主鎖分岐構造」とは、高分子鎖がアルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分で分岐点を形成し、さらにその分岐点から高分子鎖(腕)が伸長している構造をいう。
共役ジエン系重合体(A)は、分岐度Bnの向上の観点から、好ましくは、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分によって構成される主鎖分岐点は4分岐点以上であり、反応工程で変性剤によって形成される星形高分子構造由来の分岐構造は、3分岐以上であることが好ましく、4分岐以上であることがより好ましく、8分岐以上であることがさらに好ましい。
なお、星型構造になるカップリング剤によって変性する場合と、分岐化剤を重合体中に導入する場合のいずれも分岐度Bnが大きくなるが、カップリング剤によって高分子鎖全体を分岐させる方が分岐度Bnへの寄与が大きい。
重合体の設計において、分岐度Bnは、カップリング剤の選択と、分岐化剤の種類の選択や量の設定とによって制御可能であるが、寄与率も勘案することで分岐度Bnの制御が容易になりやすい。
<主鎖分岐構造>
前記主鎖分岐構造は、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分における分岐点であり、2分岐点以上であり、3分岐点以上であることが好ましく、4分岐点以上であることがより好ましい。
また、主鎖分岐構造を形成する分岐点は、少なくとも2つ以上の高分子鎖を有していることが好ましく、より好ましくは主鎖ではない高分子鎖を3つ以上有しており、さらに好ましくは主鎖ではない高分子鎖を4つ以上有している。
特にアルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体からなる主鎖分岐構造においては、29Si−NMRにてシグナル検出を行うと、−45ppm〜−65ppmの範囲、さらに限定的には、−50ppm〜−60ppmの範囲に主鎖分岐構造由来のピークが検出される。
<星形高分子構造>
共役ジエン系重合体(A)は、星形高分子構造を有していることが好ましく、星形高分子構造由来の分岐が3分岐以上であることが好ましく、4分岐以上であることがより好ましく、6分岐以上であることがさらに好ましく、8分岐以上であることがさらにより好ましい。
共役ジエン系重合体(A)として、3分岐以上の星形高分子構造を有する共役ジエン系重合体であって、少なくとも一つの星形構造の分岐鎖に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において更なる主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合を得るための方法に関して、前記「星形高分子構造」は、変性剤の官能基数、変性剤の添加量を調整することによって形成でき、「主鎖分岐構造」は、分岐化剤の官能基数、分岐化剤の添加量、分岐化剤の添加のタイミングを調整することによって制御することができる。
3分岐以上の星形高分子構造を有する共役ジエン系重合体であって、少なくとも一つの星形構造の分岐鎖にアルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において更なる主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合を得るためには、例えば、有機リチウム系化合物を重合開始剤として用い、重合を行い、重合中又は重合後にさらに特定の分岐点を与える分岐化剤を添加し、重合を継続した後に特定の分岐率を与える変性剤を用いて変性する方法が挙げられる。
このような重合条件の制御手段は、後述する実施例中の製造方法に記載する。
<主鎖分岐構造の詳細構造>
共役ジエン系重合体(A)は、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分が、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位であって、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有し、共役ジエン系重合体の少なくとも一端がカップリング剤を用いてカップリングされている共役ジエン系重合体であることが好ましく、共役ジエン系重合体の少なくとも一端が窒素原子含有基で変性されているものであることがより好ましい。
Figure 2021143324
Figure 2021143324
(式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
1は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
(式(2)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。
(m+n+l)は、3を示す。
aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3の整数を示す。)
共役ジエン系重合体(A)は、上述した式(1)のR1が水素原子であり、m=0である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有するものであることが好ましい。
これにより、分岐度が向上し、耐摩耗性と加工性の向上の効果が得られる。
また、共役ジエン系重合体(A)は、前記式(2)中、m=0であり、かつb=0である、前記式(2)で表される化合物に基づく単量体単位を有するものであることが好ましい。
これにより、耐摩耗性と加工性の向上効果が得られる。
また、共役ジエン系重合体(A)は、上述した式(1)のR1が水素原子であり、m=0あり、l=0である、式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有するものであることが好ましい。
これにより、分岐度が向上し、耐摩耗性及び加工性の向上の効果が得られる。
また、共役ジエン系重合体(A)は、前記式(2)中、m=0、l=0、a=0、b=0である、前記式(2)で表される化合物に基づく単量体単位を有する、共役ジエン系重合体であることが好ましい。
これにより、耐摩耗性と加工性向上の効果が得られる。
また、共役ジエン系重合体(A)は、前記式(1)中、R1が水素原子であり、l=0であり、n=3である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する、共役ジエン系重合体であることが好ましい。
これにより、変性率と分岐度が向上し、省燃費性能、耐摩耗性、加工性向上の効果が得られる。
<分岐化剤>
共役ジエン系重合体(A)は、主鎖分岐構造を構築する際に、分岐化剤として、下記式(1)又は式(2)で表される分岐化剤を用いることが好ましい。
Figure 2021143324
Figure 2021143324
(式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
1は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。
(m+n+l)は、3を示す。
(式(2)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。
(m+n+l)は、3を示す。
aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
共役ジエン系重合体(A)の主鎖分岐構造を構築する際に使用される分岐化剤は、重合の継続性と分岐度向上の観点から、式(1)のR1が水素原子であり、m=0の化合物であることが好ましい。
また、共役ジエン系重合体(A)の主鎖分岐構造を構築する際に使用される分岐化剤は、分岐度向上の観点から、式(2)中、m=0であり、かつb=0の化合物であることが好ましい。
また、共役ジエン系重合体(A)の主鎖分岐構造を構築する際に使用される分岐化剤は、重合の継続性、変性率と分岐度向上の観点から、式(1)のR1が水素原子であり、m=0であり、l=0の化合物であることがより好ましい。
また、共役ジエン系重合体(A)の主鎖分岐構造を構築する際に使用される分岐化剤は、変性率と分岐度向上の観点から、前記式(2)中、m=0、l=0、a=0、b=0の化合物であることがさらに好ましい。
また、共役ジエン系重合体(A)の主鎖分岐構造を構築する際に使用される分岐化剤は、重合の継続性、変性率と分岐度向上の観点から、前記式(1)中のR1は水素原子であり、l=0であり、n=3の化合物であることがより好ましい。
前記式(1)で表される分岐化剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(2−ビニルフェニル)シランが挙げられる。
また、前記(1)で表される分岐化剤としては、トリメトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリメトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリエトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(3−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(2−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(2−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(2−ビニルフェニル)シランが挙げられる。
これらの中では、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(4−ビニルフェニル)シランが好ましく、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、がより好ましい。
前記式(2)で表される分岐化剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジエチルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジプロピルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジメチルエトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジエチルエトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジプロピルエトキシシリル)フェニル)エチレンが挙げられる。
これらの中では、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレンが好ましく、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、がより好ましい。
(共役ジエン系重合体(A)の製造方法)
共役ジエン系重合体(A)の製造方法は、
有機リチウム系化合物の存在下、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、上述した各種の分岐化剤のうちの少なくともいずれかを用いて主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合体を得る重合・分岐工程と、共役ジエン系重合体を、カップリング剤を用いてカップリングを行う工程及び/又は窒素原子含有基を有する変性剤により変性させる反応工程と、を有する。
変性された共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン系重合体は、単一の共役ジエン化合物の単独重合体、異なる種類の共役ジエン化合物の重合体すなわち共重合体、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体のいずれであってもよい。
<重合・分岐工程>
共役ジエン系重合体(A)の製造方法における重合・分岐工程は、有機リチウム系化合物、例えば有機モノリチウム化合物を重合開始剤とし、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、分岐化剤を添加することで、主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合体を得る。
重合工程においては、リビングアニオン重合反応による成長反応による重合を行うことが好ましく、これにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができる。その後、分岐化剤を用いた分岐工程でも主鎖分岐化を適切に制御でき、主鎖分岐化した後の活性末端に対して重合を継続させることで、高変性率の、変性された共役ジエン系重合体を得ることができる傾向にある。
[重合開始剤]
重合開始剤としては、有機リチウム系化合物を用い、少なくとも有機モノリチウム化合物を用いることが好ましい。
有機モノリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、低分子化合物、可溶化したオリゴマーの有機モノリチウム化合物が挙げられる。
また、有機モノリチウム化合物としては、その有機基とそのリチウムの結合様式において、例えば、炭素−リチウム結合を有する化合物、窒素−リチウム結合を有する化合物、及び錫−リチウム結合を有する化合物が挙げられる。
重合開始剤としての有機モノリチウム化合物の使用量は、目標とする共役ジエン系重合体の分子量によって決めることが好ましい。
重合開始剤の使用量に対する、共役ジエン化合物等の単量体の使用量が、目標とする共役ジエン系重合体の重合度に関係する。すなわち、数平均分子量及び/又は重量平均分子量に関係する傾向にある。
したがって、共役ジエン系重合体の分子量を増大させるためには、重合開始剤を減らす方向に調整するとよく、分子量を低下させるためには、重合開始剤量を増やす方向に調整するとよい。
有機モノリチウム化合物は、共役ジエン系重合体へ窒素原子を導入する一つの方法として用いる、という観点から、好ましくは、置換アミノ基を有するアルキルリチウム化合物、又はジアルキルアミノリチウムである。
この場合、重合開始末端にアミノ基からなる窒素原子を有する、共役ジエン系重合体が得られる。
置換アミノ基とは、活性水素を有しない、又は、活性水素を保護した構造の、アミノ基である。
活性水素を有しないアミノ基を有するアルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−ジメチルアミノプロピルリチウム、3−ジエチルアミノプロピルリチウム、4−(メチルプロピルアミノ)ブチルリチウム、及び4−ヘキサメチレンイミノブチルリチウムが挙げられる。
活性水素を保護した構造のアミノ基を有するアルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−ビストリメチルシリルアミノプロピルリチウム、及び4−トリメチルシリルメチルアミノブチルリチウムが挙げられる。
ジアルキルアミノリチウムとしては、以下のものに限定されないが、例えば、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジ−n−ヘキシルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウム−ジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムモルホリド、1−リチオアザシクロオクタン、6−リチオ−1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、及び1−リチオ−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンが挙げられる。
これらの置換アミノ基を有する有機モノリチウム化合物は、重合可能な単量体、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、スチレン等の単量体を少量反応させて、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンに可溶化したオリゴマーの有機モノリチウム化合物として用いることもできる。
有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する共役ジエン系重合体が得られる。
前記アルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。
アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。
これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、他の有機金属化合物と併用してもよい。
前記他の有機金属化合物としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、他のアルカリ金属化合物、その他有機金属化合物が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、及び有機ストロンチウム化合物が挙げられる。また、アルカリ土類金属のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、及びアミドの化合物も挙げられる。
有機マグネシウム化合物としては、例えば、ジブチルマグネシウム、及びエチルブチルマグネシウムが挙げられる。その他有機金属化合物としては、例えば、有機アルミニウム化合物が挙げられる。
重合工程において、重合反応様式としては、以下のものに限定されないが、例えば、回分式(「バッチ式」ともいう。)、連続式の重合反応様式が挙げられる。
連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。連続式の反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。連続式においては、好ましくは、連続的に単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤が反応器にフィードされ、該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、連続的に重合体溶液が排出される。
回分式の反応器は、例えば、攪拌機付の槽型のものが用いられる。回分式においては、好ましくは、単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤がフィードされ、必要により単量体が重合中に連続的又は断続的に追加され、当該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、重合終了後に重合体溶液が排出される。
共役ジエン系重合体(A)の製造方法において、高い割合で活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るには、重合体を連続的に排出し、短時間で次の反応に供することが可能な、連続式が好ましい。
共役ジエン系重合体の重合工程は、不活性溶媒中で重合することが好ましい。
不活性溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な炭化水素系溶媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。
重合反応に供する前に、不純物であるアレン類、及びアセチレン類を有機金属化合物で処理することで、高濃度の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる傾向にあり、高い変性率の変性された共役ジエン系重合体が得られる傾向にあるため好ましい。
重合工程においては、極性化合物(本明細書において極性物質と記載する場合もある。)を添加してもよい。これにより、芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、極性化合物は、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる傾向にある。また、重合反応の促進等にも効果がある傾向にある。
極性化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−tert−アミラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。
これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、重合開始剤1モルに対して、0.01モル以上100モル以下であることが好ましい。
このような極性化合物(ビニル化剤)は、共役ジエン系重合体の共役ジエン部分のミクロ構造の調整剤として、所望のビニル結合量に応じて、適量用いることができる。
多くの極性化合物は、同時に共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル化合物の分布の調整やスチレンブロック量の調整剤として用いることができる傾向にある。
共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをランダム化する方法としては、例えば、特開昭59−140211号公報に記載されているように、スチレンの全量と1,3−ブタジエンの一部とで共重合反応を開始させ、共重合反応の途中で残りの1,3−ブタジエンを断続的に添加する方法を用いてもよい。
重合工程における重合温度は、リビングアニオン重合が進行する温度であることが好ましく、生産性の観点から、0℃以上であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。このような範囲にあることで、重合終了後の活性末端に対する変性剤の反応量を充分に確保することができる傾向にある。さらにより好ましくは50℃以上100℃以下である。
共役ジエン系重合体(A)の製造方法において、主鎖分岐構造を形成する分岐工程の、分岐化剤の添加量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、重合開始剤1モルに対して、0.03モル以上0.5モル以下であることが好ましく、0.05モル以上0.4モル以下であることがより好ましく、0.01モル以上0.25モル以下であることがさらに好ましい。
分岐化剤は、目的とする共役ジエン系重合体(A)の共役ジエン部分の主鎖分岐構造の分岐点数に応じて、量を選択することができる。
分岐工程における、分岐化剤を添加するタイミングは、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、共役ジエン系重合体(A)の絶対分子量の向上と変性率向上の観点から、重合開始剤添加後、原料転化率が20%以上であるタイミングが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、65%以上であることがさらにより好ましく、75%以上であることがよりさらに好ましい。
また、分岐化剤を添加後、さらに所望の原料を追添加して、分岐化後に重合工程を継続してもよく、前記記載の内容を繰り返してもよい。
追加するモノマーは、特に限定されないが、共役ジエン系重合体の変性率向上の観点から、重合工程で使用される共役ジエン系単量体総量、例えばブタジエン総量の5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましく、20%以上であることがさらにより好ましく、25%以上であることがよりさらに好ましい。
共役ジエン系重合体(A)の製造方法における、重合・分岐工程で得られる、変性反応工程前の共役ジエン系重合体は、110℃で測定されるムーニー粘度が10以上150以下であることが好ましく、より好ましくは15以上140以下であり、さらに好ましくは20以上130以下である。
この範囲であると、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は加工性及び耐摩耗性に優れる傾向にある。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を構成する共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン系重合体を含む重合体であり、共役ジエンモノマー、芳香族ビニルモノマー、及び分岐化剤との重合体であってもよいし、共役ジエンモノマー、芳香族ビニルモノマー、分岐化剤及びこれら以外のモノマーとの共重合体であってもよい。
例えば、共役ジエンモノマーがブタジエン又はイソプレンで、これと芳香族ビニル部分を含む分岐化剤とを重合させた場合、重合鎖はいわゆるポリブタジエン又はポリイソプレンで、分岐部分に芳香族ビニル由来の構造を含むポリマーとなる。このような構造を有することで、ポリマー鎖の1本当たりの直線性が向上、及び加硫後の架橋密度の向上が可能で、ポリマーの耐摩耗性の向上という効果を奏する。そのため、タイヤ、樹脂改質、自動車の内装・外装品、防振ゴム、履物などの用途に好適である。
共役ジエン系重合体をタイヤのトレッド用途に供する場合、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーと分岐化剤との共重合体が好適であり、この用途の共重合体において結合共役ジエン量は40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、55質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
また、共役ジエン系重合体(A)中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットグリップ性能とのバランス、耐摩耗性、及び破壊特性により優れる傾向にある。
ここで、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定する。
共役ジエン系重合体(A)において、共役ジエン化合物に由来する共役ジエン単量体単位中のビニル結合量は、特に限定されないが、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、20モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。
ビニル結合量が上記範囲であると、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットグリップ性能のバランス、耐摩耗性、及び破壊強度により優れる傾向にある。
ここで、共役ジエン系重合体(A)がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
共役ジエン系重合体(A)のミクロ構造については、共役ジエン系重合体(A)中の各結合量が上述した数値範囲にあり、さらに、共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度が−20℃以上の範囲にあるときに、低燃費性とウェットグリップ性能のバランスに、より一層優れた加硫物を得ることができる傾向にある。
ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
共役ジエン系重合体(A)が、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体である場合、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックの数が、少ないか又はないものであることが好ましい。より具体的には、共役ジエン系重合体(A)がブタジエン−スチレン共重合体の場合、Kolthoffの方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により共重合体を分解し、メタノールに不溶なポリスチレン量を分析する公知の方法において、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックが、共役ジエン系重合体の総量に対して、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。
共役ジエン系重合体(A)が、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体である場合、省燃費性能向上の観点から、芳香族ビニル単位が単独で存在する割合が多い方が好ましい。
具体的には、共役ジエン系重合体(A)が、ブタジエン−スチレン共重合体の場合、田中らの方法(Polymer,22,1721(1981))として知られているオゾン分解による方法で、前記共役ジエン系重合体を分解し、GPCによりスチレン連鎖分布を分析した場合、全結合スチレン量に対し、単離スチレン量が40質量%以上であり、スチレンの連鎖が8個以上の連鎖スチレン構造が5.0質量%以下であることが好ましい。
この場合、得られる加硫ゴムにおいて、ヒステリシスロスが効果的に低減化できる。
<反応工程>
共役ジエン系重合体(A)の製造方法においては、上述した重合・分岐工程を経て得られた共役ジエン系重合体の活性末端に対して、カップリング剤、例えば3官能以上の反応性化合物を用いてカップリングを行う工程及び/又は窒素原子含有基を有する変性剤(好ましくは、窒素原子含有基を有するカップリング剤)を用いて変性させる工程を実施する。
以下、カップリングを行う工程及び/又は変性させる工程を、反応工程という。
反応工程においては、共役ジエン系重合体の活性末端の一端に対してカップリング剤又は窒素原子含有基を有する変性剤で反応させ、カップリング又は変性された共役ジエン系重合体を得る。
[カップリング剤]
共役ジエン系重合体(A)の製造方法の、反応工程で用いられるカップリング剤は、3官能以上の反応性化合物であればいかなる構造のものでもよいが、好ましくは、珪素原子を有する3官能以上の反応性化合物であり、少なくとも4個の珪素含有官能基を有していることがより好ましい。さらに好ましいカップリング剤は、少なくとも1の珪素原子が、炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成する化合物である。このようなカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
[変性剤]
変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリプロポキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−メチル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、ペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シラン、3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−トリメトキシシリルプロパン、1−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキサン、1−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキサン、3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキシル−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]エーテル、(3−トリメトキシシリルプロピル)ホスフェイト、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]ホスフェイト、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)ホスフェイト、及びトリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]ホスフェイトが挙げられる。
変性剤としては、下記一般式(A)〜(C)のいずれかで表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 2021143324
(式(A)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R5は、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、R6は、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。
mは、1又は2の整数を示し、nは、2又は3の整数を示し、(m+n)は、4以上の整数を示す。複数存在する場合のR1〜R4は、各々独立している。)
Figure 2021143324
(式(B)中、R1〜R6は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R7〜R9は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。
m、n、及びlは、各々独立して、1〜3の整数を示し、(m+n+l)は、4以上の整数を示す。複数存在する場合のR1〜R6は、各々独立している。)
Figure 2021143324
(式(C)中、R12〜R14は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15〜R18、及びR20は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20のアルキル基又はトリアルキルシリル基を示す。
mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示す。
それぞれ複数存在する場合のR12〜R22、m、及びpは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。
iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、4〜10の整数である。
Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、珪素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を表す。)
前記式(A)で表される変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び2−エトキシ−2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが挙げられる。
これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、mが2、nが3を示すものが好ましい。具体的には、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが好ましい。
前記式(A)で表される変性剤を、重合体活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0℃以上120℃以下で、30秒以上反応させることが好ましい。
前記式(A)で表される変性剤の化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、重合開始剤のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加モル数の0.6倍以上3.0倍以下となる範囲であることが好ましく、0.8倍以上2.5倍以下となる範囲であることがより好ましく、0.8倍以上2.0倍以下となる範囲であることがさらに好ましい。得られる変性された共役ジエン系重合体が十分な変性率及び分子量と分岐構造を得る観点から、0.6倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得ることが好ましいことに加え、変性剤コストの観点から、3.0倍以下とすることが好ましい。
より具体的な重合開始剤のモル数は、変性剤のモル数に対して、好ましくは3.0倍モル以上、より好ましくは4.0倍モル以上である。
前記式(B)で表される変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリメトキシシリルエチル)アミン、及びトリス(4−トリメトキシシリルブチル)アミンが挙げられる。
これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、n、m、及びlが全て3を示すものであることが好ましい。好ましい具体例としては、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、及びトリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンが挙げられる。
前記式(B)で表される変性剤を、重合体活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0℃以上120℃以下で、30秒以上反応させることが好ましい。
前記式(B)で表される変性剤の化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、上述した重合開始剤を構成するリチウムのモル数の0.6倍以上3.0倍以下となる範囲であることが好ましく、0.8倍以上2.5倍以下となる範囲であることがより好ましく、0.8倍以上2.0倍以下となる範囲であることがさらに好ましい。変性された共役ジエン系重合体において十分な変性率及び分子量と分岐構造とを得る観点から、0.6倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得ることが好ましいことに加え、変性剤コストの観点から、3.0倍以下とすることが好ましい。
より具体的な重合開始剤のモル数は、変性剤のモル数に対して、好ましくは4.0倍モル以上、より好ましくは5.0倍モル以上である。
前記式(C)において、Aは、好ましくは下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される。
Figure 2021143324
(式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB1は、各々独立している。)
Figure 2021143324
(式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。)
Figure 2021143324
(式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB4は、各々独立している。)
Figure 2021143324
(式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB5は、各々独立している。)
前記式(C)において、Aが式(II)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−エトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
また、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
また、テトラキス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが挙げられる。
また、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、及びペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミンが挙げられる。
前記式(C)において、Aが式(III)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、N1,N1’−(プロパン−1,3−ジイル)ビス(N1−メチル−N3,N3−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミン)、及びN1−(3−(ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N1−メチル−N3−(3−(メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
前記式(C)において、Aが式(IV)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、(3−トリメトキシシリル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、及びビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(1−メトキシ−2−メチル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シランが挙げられる。
前記式(C)において、Aが式(V)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロパン、及び3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−トリメトキシシリルプロパンが挙げられる。
前記式(C)において、Aは、好ましくは式(II)又は式(III)で表され、kは0を示す。
このような変性剤は、入手が容易である傾向にあり、また、共役ジエン系重合体(A)を含有する本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を加硫物としたときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能がより優れるものとなる傾向にある。
このような変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、及びビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
前記式(C)において、Aが、より好ましくは式(II)又は式(III)で表され、kは0を示し、式(II)又は式(III)において、aは2〜10の整数を示す。
これにより、加硫したときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能がより優れるものとなる傾向にある。
このような変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びN1−(3−(ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N1−メチル−N3−(3−(メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
変性剤としての前記式(C)で表される化合物の添加量は、共役ジエン系重合体のモル数対変性剤のモル数が、所望の化学量論的比率となるように、共役ジエン系重合体に変性剤を反応させるよう調整することができ、これにより所望の星形高分岐構造が達成される傾向にある。
具体的な共役ジエン系重合体のモル数は、変性剤のモル数に対して、好ましくは5.0倍モル以上、より好ましくは6.0倍モル以上である。
この場合、式(C)において、変性剤の官能基数((m−1)×i+p×j+k)は、5〜10の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。
共役ジエン系重合体(A)の製造工程においては、上述した反応工程後、又は反応工程前に、縮合促進剤の存在下で縮合反応させる縮合反応工程を行ってもよい。
共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン部が水素化されたものであってもよい。
共役ジエン系重合体(A)の共役ジエン部を水素化する方法は、特に限定されず、公知の方法が利用できる。
好適な水素化の方法としては、触媒の存在下、重合体溶液に気体状水素を吹き込む方法で水素化する方法が挙げられる。
触媒としては、例えば、貴金属を多孔質無機物質に担持させた触媒等の不均一系触媒;ニッケル、コバルト等の塩を可溶化し有機アルミニウム等と反応させた触媒、チタノセン等のメタロセンを用いた触媒等の均一系触媒が挙げられる。これら中でも、マイルドな水素化条件を選択できる観点から、チタノセン触媒が好ましい。
また、芳香族基の水素化は、貴金属の担持触媒を用いることによって行うことができる。
水素化触媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、(1)Ni,Pt,Pd,Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni,Co,Fe,Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti,Ru,Rh,Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等が挙げられる。さらに、水素化触媒として、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報、特開平8−109219号公報に記載された公知の水素化触媒も挙げられる。好ましい水素化触媒としては、チタノセン化合物と還元性有機金属化合物との反応混合物が挙げられる。
共役ジエン系重合体(A)の製造方法においては、反応工程の後、重合体溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。
失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。
中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9〜11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガスが挙げられる。
共役ジエン系重合体(A)は、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。
ゴム用安定剤としては、以下のものに限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
<伸展共役ジエン系重合体>
共役ジエン系重合体(A)は、上述した製造工程により得られた共役ジエン系重合体に、伸展油、液状ゴム、及び樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含有させることにより、伸展共役ジエン系重合体としてもよい。
なお、伸展共役ジエン系重合体には、オイルを含有させた油展共役ジエン系重合体のみならず、オイル以外の液状ポリブタジエンや各種の樹脂を含有させたものも含まれる。
これにより、共役ジエン系重合体の加工性をより改善することができる。
伸展油を共役ジエン系重合体に添加する方法としては、以下の方法に限定されないが、伸展油を共役ジエン系重合体溶液に加え、混合して、伸展重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。
伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェット性能の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。
液状ゴムとしては、以下のものに限定されないが、例えば、液状ポリブタジエン、液状スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。
樹脂としては、以下のものに限定されないが、例えば、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、ロジン誘導体(桐油樹脂を含む)、トール油、トール油の誘導体、ロジンエステル樹脂、天然及び合成のテルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、混合脂肪族/芳香族炭化水素樹脂、クマリン−インデン樹脂、フェノール樹脂、p−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、モノオレフィンのオリゴマー、ジオレフィンのオリゴマー、水素化芳香族炭化水素樹脂、環式脂肪族炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、炭化水素樹脂、水素化桐油樹脂、水素化油樹脂、水素化油樹脂と単官能又は多官能アルコールとのエステル等が挙げられる。
これら樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。水素化する場合、不飽和基を全て水添してもよいし、一部、残してもよい。
伸展油、液状ゴム、及び樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかの添加量は、特に限定されないが、共役ジエン系重合体100質量部に対し、1〜60質量部が好ましく、5〜60質量部がより好ましく、10〜37.5質量部がさらに好ましい。
<脱溶媒工程>
共役ジエン系重合体(A)を、重合体溶液から取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、共役ジエン系重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して、共役ジエン系重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法が挙げられる。
(共役ジエン系重合体組成物の組成)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、上述したガラス転移温度が−20℃以上の共役ジエン系重合体(A)10〜90質量部と、後述するガラス転移温度が−25℃以下の変性共役ジエン系重合体(B)10〜90質量部を含有し、さらに、共役ジエン系重合体(A)及び(B)の合計量100質量部に対して熱可塑性樹脂を0.5質量部以上30質量部含有することが好ましい。
(共役ジエン系重合体(B))
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、上述した共役ジエン系重合体(A)10〜90質量部と、ガラス転移温度が−25℃以下である共役ジエン系重合体(B)を10〜90質量部含む。
共役ジエン系重合体(B)を含有することで、加硫物とした際の耐摩耗性に優れる傾向にある。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、耐摩耗性向上の観点から、共役ジエン系重合体(B)のガラス転移温度は−35℃以下が好ましく、−45℃以下がより好ましく、−55℃以下がさらに好ましい。
共役ジエン系重合体(B)のガラス転移温度を制御する手法は特に限定されないが、例えば、−35℃以下とする場合には、芳香族ビニル化合物量を5〜30質量%、共役ジエン系重合体中のビニル化合物の量を10〜70質量%とすることで、ガラス転移温度を上記範囲に制御することができ、−55℃以下としたい場合は、芳香族ビニル化合物量を5〜20質量%、共役ジエン系重合体中のビニル化合物の量を10〜40質量%とすることで、ガラス転移温度を上記範囲に制御することができる。
ガラス転移温度については、ISO22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、転がり抵抗性低減の観点から、共役ジエン系重合体(B)は20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。
また湿潤路面でのグリップ性能向上の観点から、80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましい。
共役ジエン系重合体(B)のガラス転移温度の下限は、特に限定されないが、−90℃以上が好ましい。ガラス転移温度を−90℃以上とすることで、ウェットグリップ性能に優れる傾向にある。
共役ジエン系重合体(B)の原料となる共役ジエン化合物は、重合可能な共役ジエン系化合物であれば特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらは1種のみを単独で用いても2種以上を併用してもよい。
共役ジエン系化合物(B)中に、アレン類、アセチレン類等が不純物として含有されていると、重合体末端の変性反応を阻害するおそれがある。そのため、これらの不純物の含有量濃度(質量)の合計は、300ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることが更に好ましい場合がある。
アレン類としては、例えばプロパジエン、1,2−ブタジエン等が挙げられる。アセチレン類としては、例えばエチルアセチレン、ビニルアセチレン等が挙げられる。
共役ジエン系重合体(B)は、上記共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体であってもよい。
芳香族ビニル化合物は共役ジエン化合物と共重合可能な単量体であればよく、特に限定されないが、例えば、スチレン、m又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらの中でも工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
共役ジエン系重合体(B)が共重合体である場合、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
ランダム共重合体としては、例えば、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体等が挙げられる。共重合体中の各単量体の組成分布は特に限定されないが、例えば統計的なランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、組成分布に勾配があるテーパー(勾配)ランダム共重合体等が挙げられる。共役ジエンの結合様式、すなわち1,4−結合や1,2−結合等の組成は、分子鎖によって均一であってもよいし、異なっていてもよい。
ブロック共重合体としては、例えば、ブロックが2個からなる2型ブロック共重合体、3個からなる3型ブロック共重合体、4個からなる4型ブロック共重合体等が挙げられる。ここでスチレン等の芳香族ビニル化合物からなるブロックをSで表し、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン系化合物からなるブロック及び/又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン系化合物と共重合体からなるブロックをBで表すと、S−B2型ブロック共重合体、S−B−S3型ブロック共重合体、S−B−S−B4型ブロック共重合体等で表される。
上式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ブロックBが芳香族ビニル化合物と共役ジエン系化合物との共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニル化合物は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ブロックBに、芳香族ビニル化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。さらには、ブロックBに、芳香族ビニル化合物含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は同一でもよいし、異なっていてもよい。
共役ジエン系化合物を重合、又は共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物とを重合する際の重合開始剤は、アニオン重合開始剤であれば特に制限されないが、安定性や取扱い性の観点からアルミニウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属のアルキル化合物が好ましく、中でも重合効率の観点から有機リチウムが特に好ましい。
重合開始剤として用いる有機リチウムとしては、低分子化合物又は可溶化したオリゴマーの有機リチウムが挙げられ、また、有機基とリチウムの結合様式においては、炭素−リチウム結合を含む化合物、窒素−リチウム結合を含む化合物、錫−リチウム結合を含む化合物等が挙げられる。
炭素−リチウム結合を有する有機リチウムとしては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等が挙げられる。
窒素−リチウム結合を含む有機リチウムとしては、例えば、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジ−n−ヘキシルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムモルホリド等が挙げられる。
有機リチウムとしては、上記のモノ有機リチウムだけでなく、多官能有機リチウムを使用して、又は、モノ有機リチウムと多官能有機リチウムを併用して重合させることもできる。
多官能有機リチウムとしては、例えば、1,4−ジリチオブタン、sec−ブチルリチウムとジイソプロペニルベンゼンの反応物、1,3,5−トリリチオベンゼン、n−ブチルリチウムと1,3−ブタジエン及びジビニルベンゼンの反応物、n−ブチルリチウムとポリアセチレン化合物の反応物等が挙げられる。さらに、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機リチウムも使用することもできる。有機リチウムとしては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。
有機リチウムは1種を単独で用いても2種以上の混合物として用いてもよい。
実際に有機リチウムを重合開始剤として用いる場合は、取扱い性及び重合溶液への分散性を向上させるために、炭化水素溶剤に希釈して溶液にしたものを用いることが好ましい。
炭化水素溶剤としては、例えば、C4〜C8の炭化水素溶剤やトルエン、キシレン等が挙げられ、環式でもよく、不飽和結合や分岐構造を含んでいてもよい。沸点や蒸気圧が製造工程上取り扱いやすいことから、C5〜C6の炭化水素溶剤が好ましく、具体的にはペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンが好ましく用いられる。
有機リチウムを上記炭化水素溶剤に希釈した時の濃度は、重合開始効率とモノマーとの均一混合性の観点から0.01〜1質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%〜0.8質量%である。
共役ジエン系化合物の重合反応は、溶媒中で行うことが好ましい。
溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の非環式脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びこれらのうち2種以上の混合物からなる炭化水素等が挙げられる。
重合反応に供する前に、共役ジエン系化合物中の不純物であるアレン類やアセチレン類を有機金属化合物で処理すると、高濃度の活性末端を有する重合体が得られる傾向にある。したがって、重合反応後に変性反応を行う場合等には高い変性率が達成される傾向にあるため、上述した処理を行うことが好ましい。
共役ジエン系化合物の重合反応においては、極性化合物を添加してもよい。
極性化合物は、芳香族ビニル化合物を共役ジエン系化合物とランダムに共重合させるために用いることができ、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる。また、極性化合物を用いると重合速度の改善等にも効果がある。
極性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラート、ナトリウム−t−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができる。通常、重合開始剤1モルに対して0.01〜100モルであることが好ましい。このような極性化合物(ビニル化剤)は、共役ジエン系重合体(B)の共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤として、所望のビニル結合量に応じて、適量用いることができる。
多くの極性化合物は、共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル化合物の分布の調整剤、及びスチレンブロック量の調整剤として用いることができる。
共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物とをランダム化する方法としては、例えば、特開昭59−140211号公報に記載されているような、共重合の途中に1,3−ブタジエンの一部を断続的に添加する方法を用いてもよい。
重合温度は重合が進行する温度であれば、特に限定されないが、生産性の観点から、0℃以上であることが好ましく、重合中の失活を抑制する観点から、120℃以下であることが好ましい。
また、共役ジエン系重合体(B)のコールドフローを防止する観点から、分岐をコントロールするためのジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル化合物を用いてもよい。
加硫物性の観点からは、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を構成する共役ジエン系重合体(B)は、グリシジル基又はアルコキシシリル基等、シリカと相互作用を持つ官能基を有する化合物等の変性剤で変性されていることが好ましい。
変性剤としては特に限定されないが、下記一般式(A)〜(D)のいずれかで表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 2021143324
(式(A)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R5は、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、R6は、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。
mは、1又は2の整数を示し、nは、2又は3の整数を示し、(m+n)は、4以上の整数を示す。複数存在する場合のR1〜R4は、各々独立している。)
Figure 2021143324
(式(B)中、R1〜R6は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R7〜R9は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。
m、n、及びlは、各々独立して、1〜3の整数を示し、(m+n+l)は、4以上の整数を示す。複数存在する場合のR1〜R6は、各々独立している。)
Figure 2021143324
(式(C)中、R12〜R14は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15〜R18、及びR20は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20のアルキル基又はトリアルキルシリル基を示す。
mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示す。
それぞれ複数存在する場合のR12〜R22、m、及びpは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。
iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、4〜10の整数である。
Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、珪素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を表す。)
Figure 2021143324
(式(D)中、R2及びR3は、それぞれ独立して炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、R4は、炭素数1〜20のアルカンジイル基であり、A2は、基「*−C(R1)=N−」、又は基「*−N=C(R1)−」(ただし、R1は水素原子又はヒドロカルビル基であり、「*」はR5に結合する結合手であることを示す。)である。
5は、炭素数1〜20のm価のヒドロカルビル基、又は窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも一種の原子を有し、かつ活性水素を有さない炭素数1〜20のm価の基である。
nは1〜3の整数であり、mは2〜10の整数である。式(D)中、複数のR2、R3、R4、A2は、同一でも異なっていてもよい。)
前記式(A)で表される変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び2−エトキシ,2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが挙げられる。
これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、mが2、nが3を示すものが好ましい。具体的には、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが好ましい。
前記式(A)で表される変性剤を、重合体活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0℃以上120℃以下で、30秒以上反応させることが好ましい。
前記式(A)で表される変性剤の化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数は、重合開始剤のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加モル数の0.6倍以上3.0倍以下となる範囲であることが好ましく、0.8倍以上2.5倍以下となる範囲であることがより好ましく、0.8倍以上2.0倍以下となる範囲であることがさらに好ましい。得られる変性された共役ジエン系重合体(B)が十分な変性率及び分子量と分岐構造を得る観点から、0.6倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得ることが好ましいことに加え、変性剤コストの観点から、3.0倍以下とすることが好ましい。
より具体的な重合開始剤のモル数は、変性剤のモル数に対して、好ましくは3.0倍モル以上、より好ましくは4.0倍モル以上である。
前記式(B)で表される変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリメトキシシリルエチル)アミン、及びトリス(4−トリメトキシシリルブチル)アミンが挙げられる。
これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、n、m、及びlが全て3を示すものであることが好ましい。好ましい具体例としては、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、及びトリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンが挙げられる。
前記式(B)で表される変性剤を、重合体活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0℃以上120℃以下で、30秒以上反応させることが好ましい。
前記式(B)で表される変性剤の化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数は、上述した重合開始剤を構成するリチウムのモル数の0.6倍以上3.0倍以下となる範囲であることが好ましく、0.8倍以上2.5倍以下となる範囲であることがより好ましく、0.8倍以上2.0倍以下となる範囲であることがさらに好ましい。変性された共役ジエン系重合体(B)において十分な変性率及び分子量と分岐構造とを得る観点から、0.6倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得ることが好ましいことに加え、変性剤コストの観点から、3.0倍以下とすることが好ましい。
より具体的な重合開始剤のモル数は、変性剤のモル数に対して、好ましくは4.0倍モル以上、より好ましくは5.0倍モル以上である。
前記式(C)において、Aは、好ましくは下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される。
Figure 2021143324
(式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB1は、各々独立している。)
Figure 2021143324
(式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。)
Figure 2021143324
(式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB4は、各々独立している。)
Figure 2021143324
(式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB5は、各々独立している。)
前記式(C)において、Aが式(II)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−エトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
また、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
また、テトラキス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが挙げられる。
また、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが挙げられる。
また、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、及びペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミンが挙げられる。
前記式(C)において、Aが式(III)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、N1,N1’−(プロパン−1,3−ジイル)ビス(N1−メチル−N3,N3−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミン)、及びN1−(3−(ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N1−メチル−N3−(3−(メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
前記式(C)において、Aが式(IV)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、(3−トリメトキシシリル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、及びビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(1−メトキシ−2−メチル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シランが挙げられる。
前記式(C)において、Aが式(V)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロパン、及び3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−トリメトキシシリルプロパンが挙げられる。
前記式(C)において、Aは、好ましくは式(II)又は式(III)で表され、kは、0を示す。
上述した式(C)で表される変性剤は、入手が容易である傾向にあり、また、共役ジエン系重合体(B)を含有する本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を加硫物としたときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能がより優れるものとなる傾向にある。
特に好ましい変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、及びビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
前記式(C)において、Aが、より好ましくは式(II)又は式(III)で表され、kは、0を示し、式(II)又は式(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
これにより、加硫したときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能がより優れるものとなる傾向にある。
このような変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びN1−(3−(ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N1−メチル−N3−(3−(メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
変性剤としての前記式(C)で表される化合物の添加量は、変性前の共役ジエン系重合体のモル数対変性剤のモル数が、所望の化学量論的比率となるように、共役ジエン系重合体に変性剤を反応させるよう調整することができ、これにより所望の星形高分岐構造が達成される傾向にある。
具体的な共役ジエン系重合体のモル数は、変性剤のモル数に対して、好ましくは5.0倍モル以上、より好ましくは6.0倍モル以上であることが好ましい。
この場合、式(C)において、変性剤の官能基数((m−1)×i+p×j+k)は、5〜10の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。
前記式(D)において、R2、R3のヒドロカルビル基は、例えば炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基等が挙げられる。
4のヒドロカルビレン基としては、例えば炭素数1〜20のアルカンジイル基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基等が挙げられる。R4は、好ましくは直鎖状である。
2が有するR1については、上記の「特定イミノ基」における説明が適用される。nは、シリカ分散性の改善効果が高い観点で、2又は3が好ましく、3がより好ましい。
5のm価のヒドロカルビル基としては、炭素数1〜20の鎖状炭化水素、炭素数3〜20の脂環式炭化水素又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素からm個の水素原子を取り除いた基等が挙げられる。得られる加硫ゴムの耐摩耗性の改善効果が高い観点で、好ましくは、芳香族炭化水素の環部分からm個の水素原子を取り除いた基(芳香族環基)である。当該芳香族炭化水素としては、例えば、下記式(D−2)で表される環構造、当該環構造が2個以上連結してなる多環構造(例えばビフェニル基等)が挙げられる。
Figure 2021143324
(式(D−2)中、rは0〜5の整数である。)
前記式(D)中、R5が、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも一種の原子を有し、かつ活性水素を有さない炭素数1〜20のm価の基である場合の好ましい具体例としては、m価の複素環基、3級アミン構造を有するm価の基等が挙げられる。
複素環基は、共役系であることが好ましく、例えばピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、ナフタリジン、フラン、チオフェン等の単環若しくは縮合環、又は当該単環若しくは縮合環が複数個連結してなる構造の環部分からm個の水素原子を取り除いた基等が挙げられる。
mは2〜10の整数である。
mは、ゴム組成物の加工性の観点から、2〜6が好ましい。
なお、本明細書において「活性水素」とは、炭素原子以外の原子に結合した水素原子をいい、好ましくはポリメチレンの炭素−水素結合よりも結合エネルギーが低いものを指す。
前記式(D)で表される変性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、下記式(M−1)〜式(M−23)で表される化合物等が挙げられる。
なおこれらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、式(M−11)中のR7は水素原子又はアルキル基を表す。
<変性工程で用いる化合物[M]:式(M−1)〜式(M−23)>
Figure 2021143324
Figure 2021143324
Figure 2021143324
Figure 2021143324
前記式(M−1)〜(M−23)中、Etはエチル基であり、Meはメチル基である。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物に用いる共役ジエン系重合体(B)は、特に限定されないが、スチレンブタジエン共重合体が好ましく、必要に応じて市販品を使用することもできる。
市販品は特に限定されないが、例えば、旭化成社製の商品名「タフデン1834」(ガラス転移温度−73℃)、旭化成社製の商品名「アサプレンY031」(ガラス転移温度−25℃)、トリンゼオ社製の商品名「SLR3402」(ガラス転移温度−60℃)、トリンゼオ社製の商品名「SLR4602」(ガラス転移温度−30℃)、JSR社製の商品名「HPR840」(ガラス転移温度−60℃)、JSR社製の商品名「HPR350」(ガラス転移温度−34℃)、JSR社製の商品名「HPR355」(ガラス転移温度−25℃)、JSR社製の商品名「HPR850」(ガラス転移温度−25℃)、ZSエラストマー社製の商品名「NS612」(ガラス転移温度−60℃)、ZSエラストマー社製の商品名「NS616」(ガラス転移温度−25℃)が挙げられる。
ウェットグリップ性能をより高める観点から旭化成社製の商品名「アサプレンY031」(ガラス転移温度−25℃)、又はJSR社製の商品名「HPR350」(ガラス転移温度−34℃)が好ましく、耐摩耗性をさらに向上させる観点から、トリンゼオ社製の商品名「SLR3402」(ガラス転移温度−60℃)、又はJSR社製の商品名「HPR840」(ガラス転移温度−60℃)が好ましい。
(熱可塑性樹脂)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、上述した共役ジエン系重合体(A)及び(B)の合計量100質量部に対して、熱可塑性樹脂を0.5質量部以上30質量部以下、含有することが好ましい。
熱可塑性樹脂を0.5質量部以上含有することで、湿潤路面でのグリップ性能に優れる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物に用いる熱可塑性樹脂は、軟化点を有し、加熱により軟化する点で、上述した共役ジエン系重合体(A)、及び(B)と明確に区別できる。また、熱可塑性樹脂は、一般的にガラス転移温度が室温以上であり、充填剤であるシリカと結合性を持たないことから、加硫物としたときの耐摩耗性に劣る傾向にある。耐摩耗性に優れる観点から、熱可塑性樹脂の含有量は10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物に用いる熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、ロジン誘導体(桐油樹脂を含む)、トール油、トール油の誘導体、ロジンエステル樹脂、天然及び合成のテルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、混合脂肪族/芳香族炭化水素樹脂、クマリン−インデン樹脂、フェノール樹脂、p−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、モノオレフィンのオリゴマー、ジオレフィンのオリゴマー、水素化芳香族炭化水素樹脂、環式脂肪族炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、炭化水素樹脂、水素化桐油樹脂、水素化油樹脂、水素化油樹脂と単官能又は多官能アルコールとのエステル等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、1種類で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。水素化する場合、不飽和基を全て水添してもよいし、一部、残してもよい。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、熱可塑性樹脂0.5〜30質量部と、ガラス転移温度が−20℃以上の共役ジエン系重合体(A)10〜90質量部と、ガラス転移温度が−25℃以下の共役ジエン系重合体(B)10〜90質量部を含有することが好ましい形態である。上記比率による本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、タイヤにした場合の転がり抵抗性、湿潤路面でのグリップ性能、及び耐摩耗性に優れる。
(共役ジエン系重合体(A)、(B)以外のゴム状重合体)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、共役ジエン系重合体(A)、(B)以外のゴム状重合体(以下、単に「ゴム状重合体」という。)を、含有してもよい。このようなゴム状重合体としては、以下のものに限定されないが、例えば、共役ジエン系重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物が挙げられ、その他として非ジエン系重合体、天然ゴムが挙げられる。
ゴム状重合体としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタジエンゴム又はその水素添加物、イソプレンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加物が挙げられる。
非ジエン系重合体としては、以下のものに限定されないが、例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴムが挙げられる。
天然ゴムとしては、以下のものに限定されないが、例えば、スモークドシートであるRSS3〜5号、SMR、エポキシ化天然ゴムが挙げられる。
上述した各種ゴム状重合体は、水酸基、アミノ基等の極性を有する官能基を付与した変性ゴムであってもよい。タイヤ用に用いる場合、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、及びブチルゴムが好ましく用いられる。
ゴム状重合体の重量平均分子量は、樹脂組成物の各種性能と加工特性とのバランスの観点から、2000以上2000000以下であることが好ましく、5000以上1500000以下であることがより好ましい。また、低分子量のゴム状重合体、いわゆる液状ゴムを用いることもできる。
これらのゴム状重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を上述のゴム状重合体を含む組成物とする場合において、ゴム状重合体に対する上述の共役ジエン系重合体(A)及び(B)の合計の含有比率(質量比)は、(上述の変性共役ジエン系重合体(A)及び(B)の合計/ゴム状重合体)として、10/90以上100/0以下が好ましく、20/80以上90/10以下がより好ましく、50/50以上80/20以下がさらに好ましい。
(シリカ系無機充填剤)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、シリカ系無機充填剤を含むことが好ましい。
転がり抵抗性を発現する観点、加工性、耐カット性、及び耐疲労性を実用的に十分なものとする観点から、シリカ系無機充填剤の配合量は、共役ジエン系重合体(A)、共役ジエン系重合体(B)、および前記ゴム状重合体の合計量を100質量部として、0.5〜300質量部であることが好ましく、5〜200質量部であることがより好ましく、20〜100質量部であることがさらに好ましい。
シリカ系無機充填剤は、特に限定されず、例えば、公知のものを用いることができる。
シリカ系無機充填剤としては、具体的には、SiO2又はSi3Alを構成単位として含む固体粒子が好ましく、SiO2又はSi3Alを構成単位の主成分とすることがより好ましい。ここで、「主成分とする」とは、シリカ系無機充填剤中に対象成分を50質量%以上含有することをいう。シリカ系無機充填剤は、SiO2又はSi3Alを好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有する。
シリカ系無機充填剤として、より具体的には、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質等が挙げられる。
また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤や、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も用いることができる。
これらの中でも、強度や耐摩耗性等の観点から、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。シリカとしては、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ等が挙げられる。これらの中でも、湿式シリカが好ましい。
上記乾式シリカとしては、例えば、精製された四塩化珪素を高温の炎の中で反応させて得られ、湿式に比べて純度が高く粒子が微細で水分が極めて低いものが挙げられ、一般に、シリコーンゴムの充填剤、樹脂の増粘剤、補強剤、あるいは粉体の流動化剤、セラミックスの原料として広く用いられる。
上記湿式シリカとしては、例えば、珪砂を原料とする珪酸ソーダを原料として、その水溶液を中和してシリカを析出し、ろ過・乾燥して得られる、外観上はふわふわとした軽い白色の粉末が挙げられ、一般に、合成ゴムの補強充填剤、農薬等液体の粉末化と固結防止、軽量紙の印刷インクの裏抜け防止、塗料、インクの増粘・たれ止め、断熱材、研磨剤に用いられる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物において、より優れた転がり抵抗特性を得る観点から、シリカ系無機充填剤のBET吸着法で求められる窒素吸着比表面積は、100〜300m2/gであることが好ましく、170〜250m2/gであることがより好ましい。
(カーボンブラック)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、前記共役ジエン系重合体(A)、共役ジエン系重合体(B)、及び前記ゴム状重合体の合計量を100質量部として、シリカ系無機充填剤の他に、更にカーボンブラックを0.5〜100質量部含有することが引張特性等の補強の観点で好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが使用できる。これらの中でも、押し出し成形性の観点、及び転がり抵抗特性の観点から、窒素吸着比表面積が50m2/g以上であり、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100g以上であるカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの配合量は、転がり抵抗特性、押し出し加工性点、及び耐カット性のバランスの観点から、前記共役ジエン系重合体(A)、共役ジエン系重合体(B)及び前記ゴム状重合体の合計量を100質量部として、3〜100質量部がより好ましく、5〜50質量部がさらに好ましい。
(金属酸化物、金属水酸化物)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、シリカ系無機充填剤やカーボンブラック以外に、金属酸化物や金属水酸化物を含有してもよい。
金属酸化物とは、化学式MxOy(Mは金属原子を表し、x及びyは、各々独立に、1〜6の整数を表す)を構成単位の主成分とする固体粒子のことをいい、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を挙げることができる。また、金属酸化物と金属酸化物以外の無機充填剤の混合物も用いることができる。金属水酸化物としては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物に含まれるゴム成分の種類や含有比率を同定する手法は特に限定されないが、NMRを用いることで同定することができる。
例えば既報(JSR TECHNICAL REVIEW No.126/2019)には、固体13C−NMRを用いることで、共役ジエン系重合体組成物中に含まれるスチレンユニット、1,2−ビニル、1,4−ビニル、1,4−シス結合、イソプレンユニットの比率を定量的に算出することができる。
(シランカップリング剤)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤は、ゴム成分、ゴム状重合体及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、それぞれの間の相互作用を緊密にする機能を有している。一般的には、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。
シランカップリング剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、エトキシ(3−メルカプトプロピル)ビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シラン[エボニック デグサ社製:Si363]、Momentive社製のNXT−Z30,NXT−Z45,NXTZ60,NXTシランなどのメルカプト基を含有するシランカップリング剤、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、等が挙げられる。中でも、補強効果の高さの観点から、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、エトキシ(3−メルカプトプロピル)ビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シラン[エボニック デグサ社製:Si363]、Momentive社製のNXT−Z30,NXT−Z45,NXTZ60,NXTシランなどのメルカプト基を含有するシランカップリング剤、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィドが好ましい。これらのシランカップリング剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
シランカップリング剤の配合量は、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれの間の相互作用を緊密にする効果を一層顕著なものにする観点から、前記共役ジエン系重合体(A)、共役ジエン系重合体(B)、及び前記ゴム状重合体の合計量を100質量部として、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。
(ゴム用軟化剤)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物には、加工性の改良を図るために、ゴム用軟化剤を含有させてもよい。
ゴム用軟化剤としては、例えば、鉱物油系ゴム用軟化剤、及び、液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。
上記鉱物油系ゴム用軟化剤は、プロセスオイル又はエクステンダーオイルとも呼ばれ、ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されている。また、上記鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体とともに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共重合体との親和性がよい傾向にあるため好ましい。
ゴム用軟化剤の配合量は、前記共役ジエン系重合体(A)、共役ジエン系重合体(B)、及び前記ゴム状重合体の合計量を100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、10〜90質量部がより好ましく、30〜90質量部がさらに好ましい。
ゴム用軟化剤の配合量を上記数値範囲とすることにより、ブリードアウトの発生を抑制でき、共役ジエン系重合体組成物表面にベタツキが生じることを防止できる。
〔共役ジエン系重合体組成物の製造方法〕
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、上述した共役ジエン系重合体(A)、(B)、必要に応じて上述した熱可塑性樹脂、その他のゴム状重合体、シリカ系無機充填剤、カーボンブラックやその他の充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤等の添加剤等の、構成材料を混合することにより得られる。
混合方法については、以下のものに限定されないが、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法が挙げられる。
これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。
また、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の構成材料を一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、加硫剤により加硫処理を施した加硫組成物としてもよい。加硫剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物が挙げられる。
硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。
加硫剤の含有量は、前記共役ジエン系重合体(A)、共役ジエン系重合体(B)、及び前記ゴム状重合体の合計量を100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましい。加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は、120℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは140℃以上180℃以下である。
加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤、加硫助剤を用いてもよい。
加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、以下のものに限定されないが、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系の加硫促進剤が挙げられる。
また、加硫助剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、亜鉛華、ステアリン酸が挙げられる。
加硫促進剤の含有量は、前記共役ジエン系重合体(A)、共役ジエン系重合体(B)及び前記ゴム状重合体の合計量を100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましい。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物には、本実施形態の目的を損なわない範囲内で、上述した以外のその他の軟化剤、充填剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、及び滑剤等の各種添加剤を用いてもよい。
その他の軟化剤としては、公知の軟化剤を用いることができる。
その他の充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウムが挙げられる。
上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
〔タイヤ〕
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、タイヤ用ゴム組成物として好適に用いられる。すなわち、本実施形態のタイヤは、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を用いてなる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、以下のものに限定されないが、例えば、省燃費タイヤ、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤ等の各種タイヤ:トレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ各部位への利用が可能である。
特に、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、加硫物としたときに低ヒステリシスロス性とウェット性能とのバランス、及び耐摩耗性に優れているので、省燃費タイヤ、高性能タイヤのトレッド用として、より好適に用いられる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
以下の実施例及び比較例においては、変性後の共役ジエン系重合体を「変性共役ジエン系重合体」と記載する。
未変性である場合には、「未変性の共役ジエン系重合体」と記載する。
さらに、変性及び未変性のものの総称として「共役ジエン系重合体」と記載する場合もある。
(物性1)結合スチレン量
変性共役ジエン系重合体又は未変性の共役ジエン系重合体(試料19)を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとした。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料である変性共役ジエン系重合体又は未変性の共役ジエン系重合体(試料19)100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所社製の分光光度計「UV−2450」)。
(物性2)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)
変性共役ジエン系重合体又は未変性の共役ジエン系重合体(試料19)を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。
溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2−ビニル結合量(mol%)を求めた(日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
(物性3)分子量
測定条件1:未変性の共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)とを求めた。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定した。
上記の測定条件1で測定した各種試料の中で、分子量分布(Mw/Mn)の値が1.6未満であった試料は、改めて下記の測定条件2により測定した。測定条件1で測定し、その分子量分布の値が1.6以上であった試料に対しては、測定条件1で測定した結果を表1〜表3に示す。
測定条件2:未変性の共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線に基づいて重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH−H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。
オーブン温度40℃、THF流量0.6mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いた。測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液20μLをGPC測定装置に注入して測定した。
測定条件1で測定し、その分子量分布の値が1.6未満であった試料に対しては、測定条件2で測定した結果を表1〜表3に示す。
(物性4)収縮因子(g’)
変性共役ジエン系重合体又は未変性の共役ジエン系重合体(試料19)を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用した。光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定を実施し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器の測定結果から絶対分子量を求め、RI検出器と粘度検出器の測定結果から固有粘度を求めた。
直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。Mは絶対分子量である。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。
測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
(物性5)重合体ムーニー粘度
未変性の共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した。
測定温度は、未変性の共役ジエン系重合体を試料とする場合には110℃とし、変性共役ジエン系重合体を試料とする場合には100℃とした。
まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とした。
(物性6)ガラス転移温度(Tg)
変性共役ジエン系重合体又は未変性の共役ジエン系重合体(試料19)を試料として、ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、−100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とした。
(物性7)変性率
変性共役ジエン系重合体を試料として、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した塩基性重合体成分が吸着する特性を応用することにより、測定した。
試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求めた。
具体的には、以下に示すとおりである。
また、上記の(物性3)の測定条件1で測定し、その分子量分布の値が1.6以上であった試料に対しては下記の測定条件3で測定し、その測定値を採用した。上記(物性3)の測定条件1で測定し、その分子量分布の値が1.6未満であった試料に対しては下記の測定条件4で測定し、その測定値を採用した。その測定結果を表1〜表3に示す。
試料溶液の調製:試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とした。
測定条件3:ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:
東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
測定条件4:ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:
東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液20μLを装置に注入して測定した。
カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH−H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量0.6mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製 HLC8020)を用いて測定しクロマトグラムを得た。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、商品名「Zorbax PSM−1000S」、「PSM−300S」、「PSM−60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用した。
変性率の計算方法:ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
(物性8)分岐度(Bn)
変性共役ジエン系重合体又は未変性の共役ジエン系重合体(試料19)を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用した。光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定した。標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器の結果から絶対分子量Mを求め、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度[η]を求めた。
直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。
その後、得られた収縮因子(g’)を用いてg’=6Bn/[(Bn+1)(Bn+2)]と定義される分岐度(Bn)を算出した。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。
測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
(物性9)GPC−光散乱法測定による分子量(絶対分子量)
変性共役ジエン系重合体又は未変性の共役ジエン系重合体(試料19)を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC−光散乱測定装置を使用して、クロマトグラムを測定し、溶液粘度及び光散乱法に基づいて重量平均分子量(Mw−i)を求めた(「絶対分子量」ともいう。)。
溶離液はテトラヒドロフランとトリエチルアミンの混合溶液(THF in TEA:トリエチルアミン5mLをテトラヒドロフラン1Lに混合させ調製した。)を使用した。
カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn HHR−H」と、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel G6000HHR」、「TSKgel G5000HHR」、「TSKgel G4000HHR」とを接続して使用した。
オーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、GPC−光散乱測定装置(マルバーン社製の商品名「Viscotek TDAmax」)を用いた。
測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液200μLをGPC測定装置に注入して測定した。
〔共役ジエン系重合体〕
(変性共役ジエン系重合体(試料1))
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として2基連結した。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを17.0g/分、スチレンを11.4g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合した。この混合溶液を、反応器の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.103mmol/分で添加、混合した後、反応器の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.075mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.143mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給し70℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。重合が十分に安定したところで、2基目の反応器の底部より、分岐化剤としてトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)を0.0190mmol/分の速度で添加し、さらに重合反応と分岐化反応が安定したところで、変性剤添加前の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT: dibutylhydroxytoluene)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。その他の物性も併せて表1に示す。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、変性剤として、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「A」と略す。)を0.0360mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、変性反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液に変性剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。変性反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了した。酸化防止剤と同時に、重合体100gに対してオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が37.5gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、変性共役ジエン系重合体(試料1)を得た。試料1の物性を表1に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料2))
変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0250mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2)を得た。試料2の物性を表1に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料3))
変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「C」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料3)を得た。試料3の物性を表1に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料4))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−2」と略す。)に変え、その添加量を0.0350mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料5)を得た。試料4の物性を表1に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料5))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−2」と略す。)に変え、その添加量を0.0350mmol/分に変え、変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0250mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料5)を得た。試料5の物性を表1に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料6))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−2」と略す。)に変え、その添加量を0.0350mmol/分に変え、変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「C」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料6)を得た。試料6の物性を表1に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料7))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン(表中、「BS−3」と略す。)に変え、その添加量を0.0120mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料7)を得た。試料7の物性を表1に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料8))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン(表中、「BS−3」と略す。)に変え、その添加量を0.0120mmol/分に変え、変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0250mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料8)を得た。試料8の物性を表1に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料9))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン(表中、「BS−3」と略す。)に変え、その添加量を0.0120mmol/分に変え、変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「C」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料9)を得た。試料9の物性を表1に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料10))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン(表中、「BS−4」と略す。)に変え、その添加量を0.0210mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料10)を得た。試料10の物性を表2に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料11))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン(表中、「BS−4」と略す。)に変え、その添加量を0.0210mmol/分に変え、変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0250mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料11)を得た。試料11の物性を表2に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料12))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン(表中、「BS−4」と略す。)に変え、その添加量を0.0210mmol/分に変え、変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「C」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料12)を得た。試料12の物性を表2に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料13))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからトリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−5」と略す。)に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料13)を得た。試料13の物性を表2に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料14))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからトリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−5」と略す。)に変え、変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0250mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料14)を得た。試料14の物性を表2に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料15))
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからトリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−5」と略す。)に変え、変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「C」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料15)を得た。試料15の物性を表2に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料16))
分岐化剤の添加量を0.025mmоl/分に変え、変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「C」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料16)を得た。試料16の物性を表2に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料17))
変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「C」と略す。)に変え、その添加量を0.0110mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料17)を得た。試料17の物性を表2に示す。
(共役ジエン系重合体(試料18))
変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからカップリング剤としてのテトラエトキシシラン(表中、「D」と略す。)に変え、その添加量を0.0250mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、共役ジエン系重合体(試料18)を得た。試料18の物性を表2に示す。
(共役ジエン系重合体(試料19))
変性剤を添加しない以外は、(試料1)と同様にして、未変性の共役ジエン系重合体(試料19)を得た。試料19の物性を表2に示す。
なお、表2中、結合スチレン量、ビニル結合量、ガラス転移温度、分岐度、絶対分子量については、変性共役ジエン系重合体の欄に記載した。
(変性共役ジエン系重合体(試料20))
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として2基連結した。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを18.6g/分、スチレンを10.0g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応器の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.103mmol/分で添加、混合した後、反応器の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.081mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.143mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給し70℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。重合が十分に安定したところで、変性剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。その他の物性も併せて表3に示す。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、変性剤として、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「A」と略す。)を0.0360mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、変性反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液に変性剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。変性反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了した。酸化防止剤と同時に、重合体100gに対してオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が37.5gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、変性共役ジエン系重合体(試料20)を得た。試料20の物性を表3に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料21))
変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0250mmol/分に変えた以外は、(試料20)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料21)を得た。試料21の物性を表3に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料22))
変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「C」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変えた以外は、(試料20)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料22)を得た。試料22の物性を表3に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料23))
極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの添加量を0.098mmol/分の速度に変え、重合開始剤としてn−ブチルリチウムの添加量を0.188mmol/分の速度に変え、分岐化剤としてトリメトキシ(4-ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)の添加量を0.0350mmol/分に変え、変性剤である2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンの添加量を0.0510mmol/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料23)を得た。試料23の物性を表3に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料24))
1,3−ブタジエンの添加量を18.6g/分、スチレンの添加量を10.0g/分に変えた以外は、(試料1)と同様にして変性共役ジエン系重合体(試料24)を得た。試料24の物性を表3に示す。
(変性共役ジエン系重合体(試料25))
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付のオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め水分等の不純物を除去した1,3−ブタジエン720gとスチレン80g、シクロヘキサン5kgを加え、次いで極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを1.90mmоl添加し、n−ブチルリチウムを2.5mmolを加えて、52℃にて重合を開始した。重合は断熱重合で実施し、最高温度は70℃に達した。最高温度に達した時点からさらに5分間重合させた後、得られた反応溶液、すなわち共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とからなる共役ジエン系重合体を含むポリマー溶液をサンプリングし、溶媒を除去して分析を行った。
次いでサンプリングした後の重合溶液に、変性剤として化合物M−1(上記<変性工程で用いる化合物>中、(M−1)に示す化合物)を1.3mmolを含むシクロヘキサン溶液を加えて、15分間かけて反応させた後、得られたポリマー溶液に酸化防止剤(BHT)2gを添加し、その後、溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体(試料25)を得た。
試料25の結合スチレン量は10質量%、ビニル結合量は30mоl%、ガラス転移温度は−60℃であった。
Figure 2021143324
Figure 2021143324
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〔実施例1〜19〕、及び〔比較例1〜5〕
以下に示す配合に従い、それぞれの原料ゴムを含有する共役ジエン系重合体組成物を得た。
原料ゴム:100質量部(上記表1〜3に示す共役ジエン系重合体(試料1〜24)50質量部と変性共役ジエン系重合体(トリンゼオ社製の商品名「SLR3402」、ガラス転移温度:−60℃)50質量部)
シリカ(エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」窒素吸着比表面積170m2/g):50.0質量部
カーボンブラック(東海カーボン社製の商品名「シーストKH(N339)」):5.0質量部
シランカップリング剤(エボニック デグサ社製の商品名「Si75」、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド):6.0質量部
S−RAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」):36質量部
熱可塑性樹脂(JXTG社製の商品名「ネオポリマー120」):8質量部
亜鉛華:2.5質量部
ステアリン酸:1.0質量部
老化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
硫黄:2.2質量部
加硫促進剤1(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
加硫促進剤2(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
〔実施例20〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして共役ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(試料1):50質量部
変性共役ジエン系重合体(試料25、ガラス転移温度:−60℃):50質量部
〔実施例21〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして共役ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(試料1):20質量部
変性共役ジエン系重合体(トリンゼオ社製の商品名「SLR3402」、ガラス転移温度:−60℃):80質量部
〔実施例22〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして共役ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(試料1):80質量部
変性共役ジエン系重合体(トリンゼオ社製の商品名「SLR3402」、ガラス転移温度:−60℃):20質量部
〔実施例23〕
熱可塑性樹脂およびオイルを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして共役ジエン系重合体組成物を得た。
熱可塑性樹脂(JXTG社製の商品名「ネオポリマー120」):15質量部
S−RAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」):27質量部
〔実施例24〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして共役ジエン系ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(試料1):50質量部
共役ジエン系重合体(旭化成社製の商品名「タフデン1834」、ガラス転移温度:−73℃):50質量部
〔実施例25〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして共役ジエン系重合体組成物を得た。
共役ジエン系重合体(試料19):50質量部
共役ジエン系重合体(旭化成社製の商品名「タフデン1834」、ガラス転移温度:−73℃):50質量部
〔比較例6〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして変性共役ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(試料1):5質量部
変性共役ジエン系重合体(トリンゼオ社製の商品名「SLR3402」、ガラス転移温度:−60℃):95質量部
〔比較例7〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして変性共役ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(試料1):95質量部
変性共役ジエン系重合体(トリンゼオ社製の商品名「SLR3402」、ガラス転移温度:−60℃):5質量部
〔比較例8〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして変性共役ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(トリンゼオ社製の商品名「SLR3402」、ガラス転移温度:−60℃):100質量部
〔比較例9〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして変性共役ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(試料1):100質量部
〔実施例26〕
熱可塑性樹脂およびオイルを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして変性共役ジエン系重合体組成物を得た。
熱可塑性樹脂(JXTG社製の商品名「ネオポリマー120」):35質量部
S−RAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」):7質量部
〔実施例27〕
熱可塑性樹脂を添加せず、オイルを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして変性共役ジエン系重合体組成物を得た。
S−RAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」):42質量部
〔実施例28〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして変性共役ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(試料1):80質量部
変性共役ジエン系重合体(JSR社製の商品名「HPR350」、ガラス転移温度:−34℃):20質量部
〔実施例29〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして変性共役ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(試料1):20質量部
変性共役ジエン系重合体(JSR社製の商品名「HPR350」、ガラス転移温度:−34℃):30質量部
〔比較例10〕
原料ゴムを以下に示す配合に変えた以外は、実施例1と同様にして変性共役ジエン系重合体組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(JSR社製の商品名「HPR350」、ガラス転移温度:−34℃):30質量部
上記した材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30〜50rpmの条件で、原料ゴム、充填剤(シリカ1、シリカ2、カーボンブラック)、シランカップリング剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は155〜160℃で各ゴム組成物(配合物)を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混練機の温度制御により、配合物の排出温度を155〜160℃に調整した。冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1、2を加えて混練した。その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。加硫前のゴム組成物、及び加硫後のゴム組成物の特性を評価した。具体的には、下記の方法により評価した。その結果を、表4〜表8に示す。
〔特性の評価〕
(評価1)配合物ムーニー粘度
上記で得た第二段の混練後、かつ、第三段の混練前の配合物を試料として、ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1に準拠して、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。比較例1の結果を100として指数化した。指数が小さいほど加工性が良好であることを示す。
(評価2)粘弾性パラメータ
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。各々の測定値は、比較例1のゴム組成物に対する結果を100として指数化した。
0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェット性能の指標とした。指数が大きいほどウェット性能が良好であることを示す。また、50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費性の指標とした。指数が小さいほど省燃費性が良好であり、転がり抵抗性に優れていることを示す。
(評価3)引張強度
JIS K6251の引張試験法に準拠し、引張強度を測定し、比較例1の結果を100として指数化した。指数が大きいほど引張強度が良好であり、破壊強度に優れることを示す。
(評価4)耐摩耗性
アクロン摩耗試験機(安田精機製作所社製)を使用し、JIS K6264−2に準拠して、荷重44.4N、1000回転の摩耗量を測定し、比較例1の結果を100として指数化した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
Figure 2021143324
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Figure 2021143324
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表4〜表8に示す通り、実施例1〜29は、比較例1〜10と比較して、加硫物とする際の配合物ムーニー粘度が低く良好な加工性を示し、加硫物としたときにおける転がり抵抗特性、湿潤路面でのグリップ性能および耐摩耗性に優れることが確認された。
本発明に係る共役ジエン系重合体組成物は、タイヤトレッド、自動車の内装及び外装品、防振ゴム、ベルト、履物、発泡体、各種工業用品用途等の分野において産業上の利用可能性がある。

Claims (14)

  1. ガラス転移温度が−20℃以上の共役ジエン系重合体(A)10〜90質量部と、
    ガラス転移温度が−25℃以下の共役ジエン系重合体(B)10〜90質量部と、
    を、含有し、
    前記共役ジエン系重合体(A)は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による絶対分子量が40×104以上5000×104以下であり、前記粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が8以上である、
    共役ジエン系重合体組成物。
  2. 前記共役ジエン系重合体(B)のガラス転移温度が−55℃以下である、
    請求項1に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  3. 前記共役ジエン系重合体(A)及び(B)の合計量100質量部に対して、熱可塑性樹脂を0.5質量部以上30質量部以下、含有する、
    請求項1又は2に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  4. 前記共役ジエン系重合体(A)及び/又は前記共役ジエン系重合体(B)が変性されている、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  5. 前記共役ジエン系重合体(A)の変性率が60質量%以上である、
    請求項4に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  6. 前記共役ジエン系重合体(A)及び(B)の合計量を100質量部に対し、前記熱可塑性樹脂の含有量が0.5質量部以上10質量部以下である、
    請求項3乃至5のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  7. 前記共役ジエン系重合体(A)が、3分岐以上の星形高分子構造を有する共役ジエン系重合体であって、少なくとも一つの星形構造の分岐鎖に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分で重合体鎖が分岐している、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  8. 前記共役ジエン系重合体(A)の前記アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分が、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位であって、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有し、
    前記共役ジエン系重合体(A)の少なくとも一端が、カップリング剤によりカップリングされている、
    請求項7に記載の共役ジエン系重合体組成物。
    Figure 2021143324
    Figure 2021143324
    (式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
    2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
    複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
    1は、独立したハロゲン原子を表す。
    mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
    (式(2)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
    2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
    mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。
    aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
  9. 前記式(1)中、R1が水素原子であり、m=0である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する共役ジエン系重合体(A)を含む、
    請求項8に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  10. 前記式(2)中、m=0であり、かつb=0である、前記式(2)で表される化合物に基づく単量体単位を有する共役ジエン系重合体(A)を含む、
    請求項8に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  11. 前記式(1)中、R1が水素原子であり、m=0であり、l=0である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する共役ジエン系重合体(A)を含む、
    請求項8又は9に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  12. 前記式(2)中、m=0、l=0、a=0、b=0である、前記式(2)で表される化合物に基づく単量体単位を有する共役ジエン系重合体(A)を含む、
    請求項8又は10に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  13. 前記式(1)中、R1は水素原子であり、l=0であり、n=3である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する共役ジエン系重合体(A)を含む、
    請求項8、9、及び11のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体組成物を含有する、タイヤ。
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