JP2021172722A - 液状共役ジエン系ゴム、ブレンドポリマー、伸展共役ジエン系ゴム、及びブレンドポリマーの製造方法 - Google Patents

液状共役ジエン系ゴム、ブレンドポリマー、伸展共役ジエン系ゴム、及びブレンドポリマーの製造方法 Download PDF

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Daigo Matsuoka
章友 菊地
Akitomo Kikuchi
啓史 佐藤
Hiroshi Sato
栄治 笹谷
Eiji Sasaya
幸夫 山浦
Yukio Yamaura
祥文 荒木
Yoshifumi Araki
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Abstract

【課題】加硫物を製造する際に添加することで加工性を改善し、加硫物の加工性と耐摩耗性のバランスを向上させることができる液状共役ジエン系ゴムを得る。【解決手段】GPCによるポリスチレン換算数平均分子量が7500以上50000以下であり、分子量分布が1.5以上2.0以下である、液状共役ジエン系ゴム。【選択図】なし

Description

本発明は、液状共役ジエン系ゴム、ブレンドポリマー、伸展共役ジエン系ゴム、及びブレンドポリマーの製造方法に関する。
従来から、自動車に対する低燃費化要求が高まっており、自動車用タイヤ、特に地面と接するタイヤトレッドに用いられる材料の改良が求められている。
また、近年、転がり抵抗が小さい、すなわち低ヒステリシスロス性を有する材料の開発が求められてきている。
さらに、タイヤを軽量化するため、タイヤのトレッド部の厚みを減らす必要があり、当該トレッド部に用いられる材料として、耐摩耗性の高い材料が求められている。
一方で、タイヤトレッド用に用いられる材料は、安全性の観点から、ウェットスキッド抵抗性に優れることと、実用上十分な破壊特性を有していることが要求されている。
上述したような要求に応えるゴム材料として、例えば、ゴム状重合体と、カーボンブラック、シリカ等の補強性充填剤とを含むゴム材料が挙げられる。
シリカを含むゴム材料を用いると、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス向上を図ることができる。
シリカを配合したゴム材料によりタイヤを製造する場合、高分子量体の芳香族ビニル−共役ジエン系ゴム(スチレンブタジエンゴム(以下、SBRと記載する場合がある等)を主成分とするゴム組成物を用いることが一般的である。
ところで、高分子量体のSBRを用いてタイヤを製造する場合、高分子量体のSBRを用いたゴム組成物は粘度が高いため、搬送性や加工性が悪化することが知られている。したがって高分子量体のSBRを使用する場合は、ゴム組成物の粘度を下げるべく、標準的な低分子伸展油で芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを伸展することが一般的に行われている。
典型的な伸展油(又は軟化剤)としては、例えば、DAE(留出物芳香族系抽出物)、TDAE(処理留出物芳香族系抽出物)、MES(軽度抽出溶媒和物)、RAE(残留物芳香族系抽出物)、及びナフテン系油のような鉱油及び処理鉱油が挙げられる。
しかしながら、標準的な上記低分子伸展油で芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを伸展することに伴う欠点が存在する。
前記欠点としては、具体的には、機械的特性、特に、モジュラス、硬度対ハンドリング性能(60℃におけるG’)の利点が低下し、摩耗減量が増加し、高温における反発弾性が低下する(これは、転がり抵抗の低下に相当する)現象が知られている。
上記のような、低分子伸展油で芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを伸展することに伴う欠点に鑑みて、ゴムの加工性を向上させつつ機械特性や転がり抵抗を向上することを目的として、前記低分子伸展油を液状共役ジエン系ゴムに代替する試みがなされている。
例えば、低分子伸展油の代わりに液状ポリブタジエンを添加することでモジュラスの向上や転がり抵抗の改善を図った技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特表2018−507303号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、DIN摩耗試験における耐摩耗性評価において改善が見られず、特に、特許文献1中の実施例2では、耐摩耗性が悪化してしまう、という結果も確認されている。
そこで本発明においては、低分子伸展油と同等以上の加工性改善効果を有し、加硫物の加工性と耐摩耗性のバランスを向上させることができる液状共役ジエン系ゴム、当該液状共役ジエン系ゴムを含有するブレンドポリマー、伸展共役ジエン系ゴムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために鋭意研究検討した結果、GPCにより測定される数平均分子量と分子量分布が所定の範囲である液状共役ジエン系ゴムが、低分子伸展油と同等以上の加工性改善効果を有し、加硫物の耐摩耗性を向上することができ、加硫物の加工性と耐摩耗性のバランスを向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
〔1〕
GPCによるポリスチレン換算数平均分子量が7500以上50000以下であり、分子量分布が1.5以上2.0以下である、液状共役ジエン系ゴム。
〔2〕
(A)高分子共役ジエン系ゴムを、80質量%〜97質量%、
(B)液状共役ジエン系ゴムを、3質量%〜20質量%、
含有する、ブレンドポリマーであって、
前記(A)高分子共役ジエン系ゴムのポリスチレン換算重量平均分子量が400,000以上であり、
前記(B)液状共役ジエン系ゴムが、前記〔1〕に記載の液状共役ジエン系ゴムである、
ブレンドポリマー。
〔3〕
前記(B)液状共役ジエン系ゴムが、非変性であるか、又は、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シランスルフィド基、アミノ基、シロキサン基、有機ケイ素基、フタロシアニン基、スルホニル基、及びアミノ基含有アルコキシシリル基、からなる群より選択される少なくとも一つの基で鎖末端が官能基化されている、前記〔2〕に記載のブレンドポリマー。
〔4〕
前記(A)高分子共役ジエン系ゴムの鎖末端が、窒素元素を含む官能基で変性されている、前記〔2〕又は〔3〕に記載のブレンドポリマー。
〔5〕
前記(B)液状共役ジエン系ゴムが、
下記式(i)〜(iii)で表される態様により、鎖末端が官能基化されている、前記〔2〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のブレンドポリマー。
Figure 2021172722
Figure 2021172722
Figure 2021172722
(式(i)〜(iii)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、それぞれ独立して、C1〜C16のアルキル基、C1〜C16のアルキルアリール基、及び水素からなる群より選択されるいずれかである。
8はC1〜C16のアルキル基又は、C1〜C16のアルキルアリール基のいずれかである。
9は、ハロゲン元素である。
a、cは、それぞれ0、1、2、3からなる群より選択されるいずれの整数であり、bは1〜3の整数であり、a+b+c=3である。
式(i)〜式(iii)中のPは、前記(B)液状共役ジエン系ゴムのポリマー部分を表す。)
〔6〕
粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による、前記(A)高分子共役ジエン系ゴムの分岐度(Bn)が8以上である、前記〔2〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のブレンドポリマー。
〔7〕
前記(A)高分子共役ジエン系ゴムの変性率が60%以上である、前記〔2〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のブレンドポリマー。
〔8〕
前記(A)高分子共役ジエン系ゴムが、3分岐以上の星形高分子構造を有する高分子共役ジエン系ゴムであって、少なくとも一つの星形構造の分岐鎖に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において、更なる主鎖分岐構造を有する、前記〔2〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のブレンドポリマー。
〔9〕
前記アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分が、
下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位であって、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有しており、
前記(A)高分子共役ジエン系ゴムの少なくとも一端が、カップリング剤を用いてカップリングされている、前記〔8〕に記載のブレンドポリマー。
Figure 2021172722
Figure 2021172722
(式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
1は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
(式(2)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。
aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(a+b+c)は、3を示す。)
〔10〕
前記式(1)中、R1が水素原子であり、m=0であり、l=0であり、n=3である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する、前記(A)高分子共役ジエン系ゴムを含む、前記〔9〕に記載のブレンドポリマー。
〔11〕
前記〔2〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のブレンドポリマー100質量部に対し、プロセスオイル25質量部以下を含む、伸展共役ジエン系ゴム。
〔12〕
前記〔2〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のブレンドポリマーの製造方法であって、
2系列の重合ラインを用い、各ラインでそれぞれ(A)高分子共役ジエン系ゴム溶液、(B)液状共役ジエン系ゴム溶液を重合した後に、2種類の重合溶液をブレンドし、脱溶剤する工程を有するブレンドポリマーの製造方法。
本発明によれば、加硫物を製造する際に添加することで加工性を改善し、加硫物の加工性と耐摩耗性のバランスを向上させることができる液状共役ジエン系ゴムが得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施することができる。
〔液状共役ジエン系ゴム〕
本実施形態の液状ジエン系ゴムはGPCによる数平均分子量が7500以上50000以下であり、分子量分布が1.5以上2.0以下である。
上記のようにGPCにより分析される数平均分子量、分子量分布を特定した液状共役ジエン系ゴムを添加した加硫物は、加硫物とする際の加工性と加硫物の耐摩耗性のバランスに優れたものとなる。
本実施形態の液状共役ジエン系ゴムは、少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られ、必要に応じて共役ジエン化合物とビニル置換芳香族化合物との両方を共重合して得られる。
また、本実施形態の液状共役ジエン系ゴムの「液状」とは、25℃、1気圧の環境下で流動性のある状態を意味する。
共役ジエン化合物としては、重合可能な単量体であれば特に限定されないが、1分子当り4〜12の炭素原子を含む共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは4〜8の炭素原子を含む共役ジエン化合物である。
このような共役ジエン化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル置換芳香族化合物としては、共役ジエン化合物と共重合可能な単量体であれば特に限定されないが、モノビニル芳香族化合物が好ましい。モノビニル芳香族化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。
これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(SBRの場合の好ましい実施形態)
本実施形態の液状共役ジエン系ゴムが、ブタジエン−スチレンランダム共重合体(SBR)である場合、結合スチレン量は0質量%より多く50質量%以下が好ましく、ビニル結合量は10mоl%〜75mоl%が好ましい。
前記範囲であれば、後述する本実施形態のブレンドポリマーを構成する(A)高分子共役ジエン系ゴムとマクロな領域で相溶することができ、加硫物の耐摩耗性と引張強度向上を図ることができる傾向にある。
特に、結合スチレン量が0質量%より多く20質量%以下であり、ビニル結合量が18mоl%〜40mоl%である場合、液状共役ジエン系ゴムのガラス転移温度が、一般的な低分子伸展油であるTDAE(処理留出物芳香族系抽出物)のガラス転移温度よりも低くなる。なお、TDAEのガラス転移温度は−47℃である。
タイヤ用のゴム組成物においては、当該ゴム組成物のガラス転移温度が低いほど耐摩耗性や省燃費性能に優れていることが広く知られている。したがって上述の範囲内の液状共役ジエン系ゴムと(A)高分子共役ジエン系ゴムとのブレンドポリマーの加硫物はガラス転移温度が低くなり、耐摩耗性に優れているのみならず、省燃費性能にも優れている。
なお、結合スチレン量は、全単量体成分中のスチレンの質量%であり、ビニル結合量は、ブタジエン成分中のビニル結合成分のmоl%である。
(ポリブタジエンの場合の好ましい実施形態)
ガラス転移温度の低い加硫物を得たい場合、本実施形態の液状共役ジエン系ゴムはポリブタジエンであることが好ましい。さらに好ましくは、ビニル結合量が10mоl%〜40mоl%の液状ポリブタジエンが好ましい。
上記のような液状ポリブタジエンを加硫物に添加することで、TDAE(処理留出物芳香族系抽出物)に代表される低分子伸展油で伸展した場合よりも、加硫物のガラス転移温度が低くなり、当該加硫物を用いることにより、氷上ブレーキ性能に優れた冬用タイヤ加硫物を得ることができる。
(液状共役ジエン系ゴムの数平均分子量)
本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。
数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の液状共役ジエン系ゴムは、数平均分子量が7500以上50000以下である。
数平均分子量の下限値に関しては、好ましくは10000以上であり、より好ましくは20000以上である。
本実施形態の液状共役ジエン系ゴムの数平均分子量が7500以上であることにより、加硫物に添加した際に、加硫物の転がり抵抗が優れる。数平均分子量が7500未満場合、加硫物中のポリマー鎖末端数増加によるヒステリシスロスが増加し、転がり抵抗悪化につながる傾向にある。
同じく転がり抵抗の観点から、本実施形態の液状共役ジエン系ゴムは、数平均分子量が10000以上であることが好ましい。
さらに耐摩耗性の観点から、本実施形態の液状共役ジエン系ゴムは、数平均分子量が20000以上であることが好ましい。液状共役ジエン系ゴムの数平均分子量が20000以上の場合、高分子共役ジエン系ゴム(A)との十分に絡み合うことができ、加硫物の耐摩耗性を向上させることができる。
本実施形態の液状共役ジエン系ゴムは、数平均分子量が50000以下であり、好ましくは40000以下であり、より好ましくは25000以下である。
本実施形態の液状共役ジエン系ゴムの数平均分子量が50000以下であり、かつ下記で述べる分子量分布の範囲内の場合、加硫物に添加した際に低分子伸展油と同程度の伸展効果を得ることができる。そして、低分子伸展油では得られない耐摩耗性の向上という効果が得られる。好ましくは40000以下にすることで、低分子伸展油以上の伸展効果が得られ、加硫物添加した際に加工性改善に強く寄与することができる。
より好ましくは、25000以下にすることで、加硫物に添加した場合の加工性はさらに向上し、加硫物中で補強材を十分に分散させることができる。その結果として、加硫物は省燃費性能にも優れたものとなる。
上記の加工性とは、後述の方法で分析ができる加硫物ムーニー粘度の値で議論することができる。
本実施形態の液状共役ジエン系ゴムの数平均分子量は、液状共役ジエン系ゴムの重合工程において、モノマーの添加量、重合温度、重合時間等を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
(分子量分布)
本実施形態の液状共役ジエン系重合体は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布Mw/Mnが1.5以上2.0以下である。
液状共役ジエン系重合体の分子量分布が2.0以下の場合、後述する本実施形態のブレンドポリマーの加硫物の加工性は、本実施形態の液状共役ジエン系ゴムの数平均分子量に依存する傾向にある。
具体的には、本実施形態の液状共役ジエン系ゴムの数平均分子量の低下に伴い、加硫物の加工性は改善する傾向にある。
つまり、本実施形態の液状共役ジエン系重合体の分子量分布が2.0以下であると、数平均分子量(以下、所定の数平均分子量と記載する場合がある)が同じであれば重量平均分子量が異なっていても、同等の加工性改善効果を示す。これは、分子量分布が1.5以上2.0以下で表される分子量分布の広い液状共役ジエン系ゴムには、前記所定の数平均分子量で表される分子量以下の分子量を示す低分子ゴムが存在しており、この低分子ゴムが加工性改善に寄与しているためである。
一方で、液状共役ジエン系重合体の分子量分布が2.0を超える場合、重量平均分子量が加工性に強く影響する傾向にある。
加硫物の耐摩耗性は、加硫物の加工性と液状共役ジエン系ゴムの重量平均分子量に影響される。加硫物の加工性が悪い場合、加硫物中で補強材が十分に分散されず加硫物中において強度ムラが生じる。この強度ムラが摩耗起因点となり、タイヤの摩耗につながる傾向にある。また絡み合い点間分子量の観点、すなわち液状共役ジエン系ゴム分子の、他の分子との絡み合い易さの観点から液状共役ジエン系ゴムの重量平均分子量は大きい方が、加硫物の耐摩耗性に良い効果を与えることが確認されている。
従って加硫物の耐摩耗性の観点から、本実施形態の液状共役ジエン系ゴムの重量平均分子量を上げるべく分子量分布は1.5以上であり、好ましくは1.6以上であり、より好ましくは1.7以上である。
上限値に関しては、加工性の観点から、2.0以下である。
また分子量分布が広がるに従い、重合体全体の数平均分子量以下の分子量を有する低分子ポリマーの存在比率が増える。この低分子ポリマーは運動性が高く、加硫物のヒステリシスロスに繋がるため、転がり抵抗の悪化を引き起こす。したがって省燃費性能の観点から、液状共役ジエン系ゴムの分子量分布は好ましくは1.9以下、より好ましくは1.8以下である。
重合体の分子量分布の制御方法に関しては、一般的には重合温度を高温化することで連鎖移動が起こり、分子量分布が広くなることが知られている。反対に重合温度を低温化することで連鎖移動反応が抑制され分子量分布を狭くすることが可能である。本実施形態の液状共役ジエン系ゴムにおいても、分子量分布の制御方法として重合温度の制御は有効である。
また重合プロセスの調整によっても分子量分布を制御できることが広く知られており、バッチプロセスによる溶液重合方法で製造した共役ジエン系ゴムは非常に狭い分子量分布を示すことができる。ここで記載される狭い分子量分布とは1.0〜1.4のことを指す。対して連続重合プロセスによる溶液重合法で製造した共役ジエン系ゴムはバッチプロセスに対して広い分子量分布を有することが知られており、本実施態様の液状共役ジエン系ゴムを得るために有用なプロセスである。
〔ブレンドポリマー〕
本実施形態のブレンドポリマーは、
(A)高分子共役ジエン系ゴムを、80質量%〜97質量%、
(B)液状共役ジエン系ゴムを、3質量%〜20質量%、
含有する。
前記(A)高分子共役ジエン系ゴムのポリスチレン換算重量平均分子量が400,000以上である。
(B)液状共役ジエン系ゴムは、上述した本実施形態の液状共役ジエン系ゴムである。
(高分子共役ジエン系ゴム)
本実施形態のブレンドポリマーに含まれる(A)高分子共役ジエン系ゴムのポリスチレン換算重量平均分子量は、400,000以上であり、好ましくは500,000以上であり、より好ましくは600,000以上であり、さらに好ましくは800,000以上であり、さらにより好ましくは1,000,000以上である。
(A)高分子共役ジエン系ゴムのポリスチレン換算重量平均分子量は、5,000,000以下であることが好ましく、より好ましくは4,000,000以下であり、さらに好ましくは4,000,000以下であり、さらにより好ましくは2,000,000以下である。
(A)高分子共役ジエン系ゴムのポリスチレン換算重量平均分子量が400,000以上であることで、加硫物としたときにおける転がり抵抗性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れるものとなる。また、ポリスチレン換算分子量が5,000,000以下であることで、加硫物とする際の充填剤の分散性に優れ、実用上十分な破壊特性が得られる。
(A)高分子共役ジエン系ゴムのポリスチレン換算重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、(A)高分子共役ジエン系ゴムの重量平均分子量は、重合開始剤の添加量、分岐化剤の官能基数、分岐化剤の添加量、分岐化剤の添加のタイミング、及びカップリング剤、変性剤の添加量を調整することにより、上記数値範囲に制御できる。
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られ、必要に応じて共役ジエン化合物とビニル置換芳香族化合物との両方を共重合して得られる。
共役ジエン化合物としては、重合可能な単量体であれば特に限定されないが、1分子当り4〜12の炭素原子を含む共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは4〜8の炭素原子を含む共役ジエン化合物である。
このような共役ジエン化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル置換芳香族化合物としては、共役ジエン化合物と共重合可能な単量体であれば特に限定されないが、モノビニル芳香族化合物が好ましい。モノビニル芳香族化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
((A)高分子共役ジエン系ゴムがSBRである場合の好ましい実施形態)
(A)高分子共役ジエン系共重合体が、ブタジエン−スチレンランダム共重合体(SBR)である場合、結合スチレン量は5質量%〜50質量%が好ましく、ビニル結合量は10mоl%〜75mоl%が好ましい。この範囲であれば、タイヤ用の他、あらゆる用途に適合しうるSBRが工業的に得られる。
特に、結合スチレン量が25質量%〜45質量%であり、ビニル結合量が18mоl%〜45mоl%である場合、省燃費性能とウェットスキッド性能のバランスに優れたゴム組成物が得られる。
また、結合スチレン量が18質量%〜28質量であり、ビニル結合量が45mоl%〜65mоl%である場合、天然ゴムと配合したゴム組成物において、強度が優れるタイヤ用ゴム組成物が得られる。
なお、結合スチレン量は、全単量体成分中のスチレンの質量%であり、ビニル結合量は、ブタジエン成分中のビニル結合成分のmоl%である。
(ブレンドポリマーの製造方法)
本実施形態のブレンドポリマーは、上述した本実施形態の(B)液状共役ジエン系ゴムと、上述した(A)高分子共役ジエン系ゴムが均一にブレンドされた組成物であり、そのブレンドの方法は限定されない。
(A)高分子共役ジエン系ゴムと(B)液状共役ジエン系ゴムを、充填剤と共にミキサーで混練りする際には、(B)液状共役ジエン系ゴムが十分に分散するまではミキサーのトルクが高すぎて混練りが困難になる場合がある。
一方において、予め(A)高分子共役ジエン系ゴムと(B)液状共役ジエン系ゴムを溶液状態でブレンドした後に脱溶剤工程を経て、ベール成型をすることで、(B)液状共役ジエン系ゴムが(A)高分子共役ジエン系ゴムに十分に分散されたブレンドポリマーを得ることができる。
上述のようなブレンドポリマーは、充填剤とのミキシング工程でトルクが必要以上に上がりにくく加工性が良好であるため、ミキシング工程での(B)液状共役ジエンゴムとのブレンドよりも好ましい。
(ブレンドポリマーにおける(A)成分と(B)成分の比率)
(A)高分子共役ジエン系ゴムと(B)液状共役ジエン系ゴムとの混合比率は、(A)高分子共役ジエン系ゴムが80質量%〜97質量%、(B)液状共役ジエン系ゴムが3質量%〜20質量%であるものとする。
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、好ましくは85〜95質量%であり、より好ましくは90〜95質量%である。(B)液状共役ジエン系ゴムは、好ましくは3〜10質量%であり、より好ましくは5〜10質量%である。
(A)高分子共役ジエン系ゴムの割合が80質量%以上であると、加硫物としたときにおける転がり抵抗性とウェットスキッド抵抗性とのバランス、及び耐摩耗性に優れる。
(A)高分子共役ジエン系ゴムの割合が97質量%以下であると、充填剤と共に加硫物とする際に、良好な加工性が得られる。
(B)液状共役ジエン系ゴムの割合が3質量%以上であると、加硫物にする際の加工性に優れ、20質量%以下であると(B)成分由来のポリマー鎖末端数増加による配合物中でのエネルギーロスの発生を防止できる。かかるエネルギーロスの発生を防止することにより、加硫物をタイヤにした際の転がり抵抗の悪化を防止できる。
((B)液状共役ジエン系ゴムの変性)
本実施形態のブレンドポリマーを構成する(B)液状共役ジエン系ゴムは、非変性であっても、鎖末端が官能基化されていてもよい。
鎖末端が官能基化されている場合、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シランスルフィド基、アミノ基、シロキサン基、有機ケイ素基、フタロシアニン基、スルホニル基、及びアミノ基含有アルコキシシリル基からなる群より選択される少なくとも一つの基で鎖末端が、所定の官能基化剤により官能基化されているものとする。
本明細書中に記載する官能基化とは、炭素又は水素以外の元素を含む化合物でポリマー鎖を修飾することを指す。
官能基化剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリプロポキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−メチル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、ペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シラン、3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−トリメトキシシリルプロパン、1−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキサン、1−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキサン、3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキシル−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]エーテル、(3−トリメトキシシリルプロピル)ホスフェイト、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]ホスフェイト、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)ホスフェイト、及びトリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]ホスフェイト、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−2−ピロリドン、N−メチルスクシンイミド、1−ブチル−2−ピロリドン、1−シクロヘキシル−2−ピロリドン、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジヒドロ−2,5−フランジオン、2,2−ジメチルこはく酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリメトキシメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジメトキジメチルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシヂメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシジエチルシラン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシデカン等、が挙げられる。
前記(B)液状共役ジエン系ゴムの官能基化剤としては、下記一般式(iv)、(v)、(vi)のいずれかで表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 2021172722
Figure 2021172722
Figure 2021172722
1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8は、それぞれ独立していており、C1〜C16のアルキル基、C1〜C16のアルキルアリール基、及び水素からなる群より選択されるいずれかである。
9はハロゲン元素である。
a、bはそれぞれ0、1及び3から選択される整数である。
cは、0〜4の整数である。a+b+c=4である。
上記(iv)〜(vi)の官能基化剤を用いることにより、それぞれ、下記式(i)〜(iii)の(B)液状共役ジエン系ゴムを製造できる。
Figure 2021172722
Figure 2021172722
Figure 2021172722
(式(i)〜(iii)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、それぞれ独立して、C1〜C16のアルキル基、C1〜C16のアルキルアリール基、及び水素からなる群より選択されるいずれかである。
8はC1〜C16のアルキル基又は、C1〜C16のアルキルアリール基のいずれかである。
9は、ハロゲン元素である。
a、cは、それぞれ0、1、2、3からなる群より選択されるいずれの整数であり、bは1〜3の整数であり、a+b+c=3である。
式(i)〜式(iii)中のPは、前記(B)液状共役ジエン系ゴムのポリマー部分を表す。)
前記(iv)〜(vi)で表される官能基化剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−2−ピロリドン、N−メチルスクシンイミド、1−ブチル−2−ピロリドン、1−シクロヘキシル−2−ピロリドン、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジヒドロ−2,5−フランジオン、2,2−ジメチルこはく酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリメトキシメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジメトキジメチルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシヂメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシジエチルシラン等が挙げられる。
本実施形態のブレンドポリマーを構成する(b)液状共役ジエン系ゴムの製造工程において、前記式(iv)〜(vi)で表される官能基化剤を、重合活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0℃以上120℃以下で、30秒以上反応させることが好ましい。
前記式(iv)〜(vi)で表される官能基化剤のモル数が、重合開始剤のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加モル数の0.6倍以上1.0倍以下となる範囲であることが好ましく、0.8倍以上1.0倍以下となる範囲であることがより好ましい。得られる官能基化された(B)液状共役ジエン系ゴムが、官能基化の前後で分子量が増加し、本実施形態の液状共役ジエン系ゴムにおける特定の数平均分子量の範囲外になることを防ぐために、0.6倍以上とすることが好ましく、官能基化剤のコストの観点から、1.0倍以下とすることが好ましい。
((A)高分子共役ジエン系ゴムの変性)
本実施形態のブレンドポリマーを構成する(A)高分子共役ジエン系ゴムは、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シランスルフィド基、アミノ基、シロキサン基、有機ケイ素基、フタロシアニン基、スルホニル基、及びアミノ基含有アルコキシシリル基からなる群より選択される少なくとも一つの基で鎖末端が官能基化されていてもよい。特にアミノ基含有アルコキシシリル化合物で変性することが低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスの観点から好ましい。
また、(A)高分子共役ジエン系ゴムは、加硫物の補強材の分散性向上の観点から、鎖末端が、窒素原子を含む官能基で変性されていることが好ましい。
(A)高分子共役ジエン系ゴムの変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、1,3,5−トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、N−(メトキシカルボニルエチル)−N,N−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(エトキシカルボニルエチル)−N,N−ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−(メトキシカルボニルプロピル)−N,N−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(エトキシカルボニルプロピル)−N,N−ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン等が挙げられる。
変性剤は、好ましくは窒素とケイ素含有官能基を有し、そのケイ素含有官能基は、アルコキシシリル基又はシラノール基を有することがさらに好ましい。
変性剤が有するアルコキシシリル基は、例えば、共役ジエン系重合体が有する活性末端と反応して、アルコキシリチウムが解離し、共役ジエン系重合体鎖の末端と変性剤残基のケイ素との結合を形成する傾向にある。変性剤1分子が有するSiORの総数から、反応により減じたSiOR数を差し引いた値が、変性剤残基が有するアルコキシシリル基の数となる。また、変性剤が有するアザシラサイクル基は、>N−Li結合及び共役ジエン系重合体末端と変性剤残基のケイ素との結合を形成する。なお、>N−Li結合は、仕上げ時の水等により容易に>NH及びLiOHとなる傾向にある。また、変性剤において、未反応で残存したアルコキシシリル基は仕上げ時の水等により容易にシラノール(Si−OH基)となる傾向にある。
前記変性剤が、窒素原子とケイ素原子が直接結合している構造を有している場合、変性反応後のポリマーを水と接触させると以下の反応が生じる傾向にあるため、溶媒分離後のポリマーが所望の分岐度にならないことがある。その際には、水を使用しない方法で仕上げることが好ましい。
((RO)−Si−D23−N+H2O→3(RO)−Si(OH)−D2)+NH3
(上記式中、Dは、ジエン系重合体を示し、Rは、単結合又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
変性工程において、1個のケイ素原子に対し3個のアルコキシ基を有する変性剤を用いる場合、すなわちトリアルコキシシラン基1モルに対し、3モルの共役ジエン系重合体の活性末端を反応させる場合、2モルまでの共役ジエン系重合体との反応は起こるが、1モルのアルコキシ基は未反応で残存する傾向にある。これは、1モルの共役ジエン系重合体が、反応せずに未反応の重合体として残存することから確かめられる。なお、アルコキシシ基は多く反応させることにより、仕上げ時、貯蔵時に縮合反応を起こすことに起因して重合体粘度が大きく変わることを抑制できる傾向にある。好ましくは、1つの珪素原子当たり1個のアルコキシシリル基を有する変性剤を用いる。
前記変性剤としては、下記一般式(VI)に示す化合物が好ましい。
Figure 2021172722
式(VI)中、R12〜R14は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R15〜R18、及びR20は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表し、R19及びR22は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R21は、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のトリアルキルシリル基を表す。
mは、1〜3の整数を表し、pは、1又は2を表す。
複数存在する場合のR12〜R22、m、及びpは、各々独立している。
iは、0〜6の整数を表し、jは0〜6の整数を表し、kは0〜6の整数を表し、(i+j+k)は1〜10の整数を表す。
Aは、単結合、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、珪素原子、硫黄原子、リン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を表す。
Aが表す炭化水素基としては、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を含む。活性水素を有しない有機基は、共役ジエン系重合体が有する活性末端を不活性化させる有機基である。その有機基としては、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)の活性水素を有する官能基がない、有機基である。なお、(i+j+k)が1の場合は、Aは無いものとしてよい。
前記式(VI)において、Aは下記一般式(II)〜(V)のいずれかを表すものであることが好ましい。
Figure 2021172722
式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、aは、1〜10の整数を表し、B1は、複数存在する場合には、各々独立している。
Figure 2021172722
式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を表し、aは、1〜10の整数を表し、B2及びB3は、それぞれ複数存在する場合には、各々独立している。
Figure 2021172722
式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、aは、1〜10の整数を表し、B4は、複数存在する場合は、各々独立している。
Figure 2021172722
式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、aは、1〜10の整数を表し、B5は、複数存在する場合は、各々独立している。
前記式(VI)において、Aが下記一般式(II)〜(V)のいずれかを表すものであることにより、より優れた性能を有する(A)高分子共役ジエン系ゴムを得ることができる傾向にある。
式(VI)において、Aが式(II)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(トリメトキシシリル)アミン、トリス(トリエトキシシリル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−エトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、及びペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミンが挙げられる。
式(VI)においてAが式(III)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、N1,N1’−(プロパン−1,3−ジイル)ビス(N1−メチル−N3,N3−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミン)、及びN1−(3−(ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N1−メチル−N3−(3−(メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
式(VI)においてAが式(IV)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、(3−トリメトキシシリル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、及びビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(1−メトキシ−2−メチル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シランが挙げられる。
式(VI)においてAが式(V)で表される場合の変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロパン、及び3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−トリメトキシシリルプロパンが挙げられる。
式(VI)において、Aは、好ましくは式(II)又は式(III)で表され、kは、0を示す。このような変性剤は、入手が容易である傾向にあり、また、(A)高分子共役ジエン系ゴムを用いたブレンドポリマーを加硫物としたときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能がより優れるものとなる傾向にある。このような変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、及びビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
式(VI)において、Aが、より好ましくは式(II)又は式(III)で表され、kは、0を示し、式(II)又は式(III)において、aは、2〜10の整数を示す。これにより、加硫したときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能がより優れるものとなる傾向にある。このような変性剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びN1−(3−(ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N1−メチル−N3−(3−(メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
変性剤としての式(VI)で表される化合物の添加量は、(A)高分子共役ジエン系ゴムの変性前の共役ジエン系重合体のモル数対変性剤のモル数が、所望の化学量論的比率で反応させるよう調整することができ、そのことにより所望の分岐度が達成される傾向にある。
具体的な共役ジエン系重合体のモル数は、変性剤のモル数に対して、好ましくは5.0倍モル以上、より好ましくは6.0倍モル以上であることが好ましい。この場合、式(VI)において、変性の官能基数((m−1)×i+p×j+k)は、5〜10の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。
本実施形態のブレンドポリマーを構成する(A)高分子共役ジエン系ゴムは、加工性、転がり抵抗性とのバランス、耐摩耗性、及び破壊特性の観点から、共役ジエン系重合体の総量に対して変性率が60質量%以上であることが好ましい。
本明細書中、「変性率」は、(A)高分子共役ジエン系ゴムの総量に対する窒素含有官能基を有する高分子共役ジエン系ゴムの質量比率を表す。
例えば、窒素含有変性剤を終末端に反応させた場合、当該窒素含有変性剤による窒素含有官能基を有する高分子共役ジエン系ゴムの、高分子共役ジエン系ゴムの総量に対する質量比率は、変性率として表される。
他方、窒素を含有する分岐化剤によって、重合体を分岐させた場合も、生成する高分子共役ジエン系ゴムに窒素含有官能基を有することになるので、この分岐した重合体も変性率の算出の際、カウントされることになる。
すなわち、本明細書中、高分子共役ジエン系ゴムが特に、変性された「変性高分子共役ジエン系ゴム」である場合は、窒素含有官能基を有する変性剤によるカップリング重合体及び/又は窒素含有官能基を有する分岐化剤による分岐化重合体の合計の質量比率が、変性率である。
前記変性率は、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは75質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは82質量%以上である。
変性率を60質量%以上とすることにより、省燃費性能とウェットスキッド性能のバランスに優れた加硫物を得ることができる傾向にある。
変性率は、官能基含有の変性成分と非変性成分を分離できるクロマトグラフィーによって測定することができる。
このクロマトグラフィーを用いた方法としては、特定官能基を吸着するシリカ等の極性物質を充填剤としたゲル浸透クロマトグラフィー用のカラムを使用し、非吸着成分の内部標準を比較に用いて定量する方法が挙げられる。
より具体的には、変性率は、(A)高分子共役ジエン系ゴム及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系ゲルカラムで測定したクロマトグラムとシリカ系カラムで測定したクロマトグラムとの差分から、シリカカラムへの吸着量を測定することにより得られる。さらに具体的には、変性率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
(A)高分子共役ジエン系ゴムの変性率は、変性剤の添加量及び反応方法を調整するによって制御することができ、これにより60質量%以上に制御することができる。
例えば、重合開始剤として、後述する分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を用いて重合する方法、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する単量体を共重合する方法、後述する構造式の変性剤を用いる方法を組み合わせ、重合条件を制御することによって、上記変性率とすることができる。
((A)高分子共役ジエン系ゴムの分岐度)
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、加工性、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス、耐摩耗性、及び破壊特性の観点から、分岐度(Bn)が8以上であることが好ましい。
当該分岐度(Bn)が8以上であるとは、(A)高分子共役ジエン系ゴムが、実質的に最長の高分子主鎖に対して側鎖の高分子鎖が8本以上であることを意味する。
共役ジエン系重合体の分岐度(Bn)は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法により測定される収縮因子(g’)を用いて、g'=6Bn/[(Bn+1)(Bn+2)]と定義される。
一般的に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にある。
収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。すなわち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。
この収縮因子に対して(A)高分子共役ジエン系ゴムにおいては、分子の大きさの指標として固有粘度を用いたとき、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=−3.883M0.771の関係式に従うものとする。前記式中、Mは絶対分子量である。
しかしながら、収縮因子(g’)は分子の大きさの減少率を表現しているもので、重合体の分岐構造を正確に表現しているものではない。
そこで当該(A)高分子共役ジエン系ゴムの各絶対分子量のときの収縮因子(g’)の値を用いて(A)高分子共役ジエン系ゴムの分岐度(Bn)を算出する。算出された「分岐度(Bn)」は、最長の主鎖構造に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数を正確に表現するものである。
算出された分岐度(Bn)は、(A)高分子共役ジエン系ゴムの分岐構造を表現する指標となる。例えば、一般的な4分岐星形高分子(中央部に、4本の重合体鎖が接続)の場合、最長の高分岐主鎖構造に対して高分子鎖の腕が2本結合しており、分岐度(Bn)は2と評価される。
8分岐星形高分子の場合、最長の高分岐主鎖構造に対して高分子鎖の腕が6本結合しており、分岐度(Bn)は6と評価される。
本実施形態のブレンドポリマーに含まれる(A)高分子共役ジエン系ゴムは、好ましくは分岐度(Bn)が8以上であるが、かかる場合、星形高分子構造として10分岐した星形高分子構造と同様の分岐を有する高分子共役ジエン系ゴムであることを意味する。
ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体とが直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度(Bn)」は、最長の主鎖構造に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。
分岐度(Bn)が8以上であることにより、(A)高分子共役ジエン系ゴムは、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れる。
一般に絶対分子量が上昇すると加工性が悪化する傾向にあり、直鎖状の高分子構造で絶対分子量を上昇させた場合、加硫物の粘度が大幅に上昇し、加工性が大幅に悪化する。そのため、重合体中に多数の官能基を導入し、充填剤として配合されるシリカとの親和性及び/又は反応性向上を図っていても、混練工程でシリカを十分に重合体中に分散させることができなくなる。その結果として、導入された官能基の機能が発揮されず、本来期待できるはずの官能基導入による低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性の向上という効果が発揮されない傾向にある。
一方、(A)高分子共役ジエン系ゴムの分岐度(Bn)を8以上とすることにより、分子量の上昇に伴う加硫物の粘度の上昇が大幅に抑制されるので、混練工程においてシリカ等と十分に混合するようになり、共役ジエン系重合体の周りにシリカを分散させることが可能となる。その結果、(A)高分子共役ジエン系ゴムの分子量の大きく設定することで耐摩耗性及び破壊特性の向上が可能になり、かつ、十分な混練によってシリカを重合体周りに分散させ、官能基が作用及び/又は反応することが可能になったことで実用上十分な低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性を有するものとすることが可能になる。
なお、(A)高分子共役ジエン系ゴムの分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(A)高分子共役ジエン系ゴムの分岐度(Bn)は8以上であることが好ましく、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは12以上であり、さらにより好ましくは15以上である。
分岐度(Bn)がこの範囲である(A)高分子共役ジエン系ゴムは、分子量の割に加硫物とする際の加工性に優れる傾向にある。
また、分岐度(Bn)の上限値は特に限定されず、検出限界値以上であってもよいが、好ましくは84以下であり、より好ましくは80以下であり、さらに好ましくは64以下であり、さらにより好ましくは57以下である。
84以下であることで加硫物とする際の耐摩耗性に優れる傾向にある。
(A)高分子共役ジエン系ゴムの分岐度は、分岐化剤の添加量と末端変性剤の添加量の組み合わせにより、8以上に制御することができる。具体的には、分岐度の制御は、分岐化剤の官能基数、分岐化剤の添加量、分岐化剤の添加のタイミング及び変性剤の添加量により制御することができる。より具体的には後述に記載の〔高分子共役ジエン系ゴムの製造方法〕に示す。
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、加工性と省燃費性能のバランスの観点から、3分岐以上の星形高分子構造を有する共役ジエン系重合体であって、少なくとも一つの星形構造の分岐鎖に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において、更なる主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合体であることが好ましい。
本明細書でいう「星形高分子構造」とは、1つの中心分岐点から高分子鎖(腕)が複数結合している構造を言う。
また、ここでいう一つの中心分岐点は、「カップリング剤由来の原子を含有する置換基」又は「変性剤由来の窒素原子を含有する置換基」を有している。
本明細書でいう「主鎖分岐構造」とは、高分子鎖がアルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分で分岐点を形成し、さらにその分岐点から高分子鎖(腕)が伸長している構造をいう。
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、分岐数Bnの向上の観点から、好ましくは、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分によって構成される主鎖分岐点が2分岐点以上であり、反応工程で変性剤によって形成される星形高分子構造由来の分岐構造は、3分岐以上であることが好ましく、4分岐以上であることがより好ましく、8分岐以上であることがさらに好ましい。
なお、星型構造になるカップリング剤によって変性する場合と、分岐化剤を重合体中に導入する場合のいずれも分岐数Bnが大きくなるが、カップリング剤によって高分子鎖全体を分岐させる方が分岐数Bnへの寄与が大きい。
重合体の設計において、分岐数Bnは、カップリング剤の選択と、分岐化剤の種類の選択や量の設定とによって制御可能であるが、寄与率も勘案することで分岐数Bnの制御が容易になりやすい。
(主鎖分岐構造)
前記主鎖分岐構造は、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分における分岐点であり、2分岐点以上であり、3分岐点以上であることが好ましく、4分岐点以上であることがより好ましい。
また、主鎖分岐構造を形成する分岐点は、少なくとも2つ以上の高分子鎖を有していることが好ましく、より好ましくは主鎖ではない高分子鎖を3つ以上有しており、さらに好ましくは主鎖ではない高分子鎖を4つ以上有している。
特にアルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体からなる主鎖分岐構造においては、29Si−NMRにてシグナル検出を行うと、−45ppm〜−65ppmの範囲、さらに限定的には、−50ppm〜−60ppmの範囲に主鎖分岐構造由来のピークが検出される。
<星形高分子構造>
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、星形高分子構造を有していることが好ましく、星形高分子構造由来の分岐が3分岐以上であることが好ましく、4分岐以上であることがより好ましく、6分岐以上であることがさらに好ましく、8分岐以上であることがさらにより好ましい。
(A)高分子共役ジエン系ゴムとして、3分岐以上の星形高分子構造を有する共役ジエン系重合体であって、少なくとも一つの星形構造の分岐鎖に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において更なる主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合を得るための方法に関して、前記「星形高分子構造」は、変性剤の官能基数、変性剤の添加量を調整することによって形成でき、「主鎖分岐構造」は、分岐化剤の官能基数、分岐化剤の添加量、分岐化剤の添加のタイミングを調整することによって制御することができる。
3分岐以上の星形高分子構造を有する共役ジエン系重合体であって、少なくとも一つの星形構造の分岐鎖にアルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において更なる主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合を得るためには、例えば、有機リチウム系化合物を重合開始剤として用い、重合を行い、重合中又は重合後にさらに特定の分岐点を与える分岐化剤を添加し、重合を継続した後に特定の分岐率を与える変性剤を用いて変性する方法が挙げられる。
このような重合条件の制御手段は、後述する実施例中の製造方法に記載する。
(主鎖分岐構造の詳細構造)
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、前記アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分が、下記式(1)又は(2)で表される化合物(以下、分岐化剤、と記載する場合がある。)に基づく単量体単位であって、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有しており、(A)高分子共役ジエン系ゴムの少なくとも一端がカップリング剤を用いてカップリングされていることが好ましく、(A)高分子共役ジエン系ゴムの少なくとも一端が窒素原子含有基で変性されているものであることがより好ましい。
Figure 2021172722
Figure 2021172722
(式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
1は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
(式(2)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。
(m+n+l)は、3を示す。
aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3の整数を示す。)
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、上述した式(1)のR1が水素原子であり、m=0である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有するものであることが好ましい。
これにより、分岐数が向上し、高分子量体共役ジエン系ゴムの加工性が向上する。また分岐反応により、高分子量共役ジエン系ゴムがより高分子量化することで、補強材などの配合物と混練りする際に十分なシェアがかかり、補強材を配合物中に微分散させることが可能になる。その結果、省燃費性能に優れた加硫物を得ることができる。
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、前記式(2)中、m=0であり、かつb=0である、前記式(2)で表される化合物に基づく単量体単位を有する、変性高分子共役ジエン系ゴムであることが好ましい。
これにより、加工性と省燃費性能の向上効果が得られる。
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、上述した式(1)のR1が水素原子であり、m=0あり、l=0である、式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有するものであることが好ましい。
これにより、分岐度が向上し、加工性と省燃費性能の向上の効果が得られる。
また、(A)高分子共役ジエン系ゴムは、前記式(2)中、m=0、l=0、a=0、b=0である、前記式(2)で表される化合物に基づく単量体単位を有する、高分子共役ジエン系ゴムであることが好ましい。
これにより、加工性と省燃費性能の向上効果が得られる。
また、(A)高分子共役ジエン系ゴムは、さらに好ましくは、前記式(1)中、R1が水素原子であり、m=0であり、l=0であり、n=3である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する、高分子共役ジエン系ゴムであることが好ましい。
これにより、変性率と分岐度が向上し省燃費性能、加工性向上の効果が得られる。
前記式(1)で表される分岐化剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリメトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリエトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(3−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(2−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(2−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(2−ビニルフェニル)シランが挙げられる。
これらの中では、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラントリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(4−ビニルフェニル)シランが好ましく、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラントリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、がより好ましい。
前記式(2)で表される分岐化剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジエチルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジプロピルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジメチルエトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジエチルエトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジプロピルエトキシシリル)フェニル)エチレンが挙げられる。
これらの中では、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレンが好ましく、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、がより好ましい。
((A)高分子共役ジエン系ゴムの製造方法)
(A)高分子共役ジエン系ゴムの製造方法は、有機リチウム化合物の存在下、少なくとも一つの共役ジエン系化合物を重合する工程を有する。また必要に応じて上述した各種の分岐化剤のうち少なくとも一つを用いて主鎖分岐構造を有するゴムを得る分岐工程を実施することが好ましい。これらを併せて、重合・分岐工程と記載する。
また、ポリマー鎖末端に官能基化剤を添加し、鎖末端官能基化を施す官能基化工程を経てもよい。また官能基化工程においては、窒素元素を有する変性剤で高分子共役ジエン系ゴムの鎖末端を官能基化した、変性工程を実施することが好ましい。
変性された(A)高分子共役ジエン系ゴムを構成する共役ジエン系ゴムは、単一の共役ジエン化合物の単独重合体、異なる種類の共役ジエン化合物の重合体すなわち共重合体、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体のいずれであってもよい。
<重合・分岐工程>
(A)高分子共役ジエン系ゴムの製造方法における重合・分岐工程は、有機リチウム系化合物、例えば有機モノリチウム化合物を重合開始剤とし、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、分岐化剤を添加することで、主鎖分岐構造を有する高分子共役ジエン系ゴムを得る。
重合工程においては、リビングアニオン重合反応による成長反応による重合を行うことが好ましく、これにより、活性末端を有する共役ジエン系ゴムを得ることができる。その後、分岐化剤を用いた分岐工程でも主鎖分岐化を適切に制御でき、主鎖分岐化した後の活性末端に対して重合を継続させることで、高変性率の、変性された高分子共役ジエン系ゴムを得ることができる傾向にある。
<重合開始剤>
重合開始剤としては、有機リチウム系化合物を用い、少なくとも有機モノリチウム化合物を用いることが好ましい。
有機モノリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、低分子化合物、可溶化したオリゴマーの有機モノリチウム化合物が挙げられる。
また、有機モノリチウム化合物としては、その有機基とそのリチウムの結合様式において、例えば、炭素−リチウム結合を有する化合物、窒素−リチウム結合を有する化合物、及び錫−リチウム結合を有する化合物が挙げられる。
重合開始剤としての有機モノリチウム化合物の使用量は、目標とする(A)高分子共役ジエン系ゴムの分子量によって決めることが好ましい。
重合開始剤の使用量に対する、共役ジエン化合物等の単量体の使用量が、目標とする(A)高分子共役ジエン系ゴムの重合度に関係する。すなわち、数平均分子量及び/又は重量平均分子量に関係する傾向にある。
したがって、(A)高分子共役ジエン系ゴムの分子量を増大させるためには、重合開始剤を減らす方向に調整するとよく、分子量を低下させるためには、重合開始剤量を増やす方向に調整するとよい。
有機モノリチウム化合物は、(A)高分子共役ジエン系ゴムへ窒素原子を導入する一つの手法で用いられるという観点から、好ましくは、置換アミノ基を有するアルキルリチウム化合物、又はジアルキルアミノリチウムである。
この場合、重合開始末端にアミノ基からなる窒素原子を有する、(A)高分子共役ジエン系ゴムが得られる。
置換アミノ基とは、活性水素を有しない、又は、活性水素を保護した構造の、アミノ基である。
活性水素を有しないアミノ基を有するアルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−ジメチルアミノプロピルリチウム、3−ジエチルアミノプロピルリチウム、4−(メチルプロピルアミノ)ブチルリチウム、及び4−ヘキサメチレンイミノブチルリチウムが挙げられる。
活性水素を保護した構造のアミノ基を有するアルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−ビストリメチルシリルアミノプロピルリチウム、及び4−トリメチルシリルメチルアミノブチルリチウムが挙げられる。
ジアルキルアミノリチウムとしては、以下のものに限定されないが、例えば、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジ−n−ヘキシルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウム−ジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムモルホリド、1−リチオアザシクロオクタン、6−リチオ−1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、及び1−リチオ−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンが挙げられる。
これらの置換アミノ基を有する有機モノリチウム化合物は、重合可能な単量体、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、スチレン等の単量体を少量反応させて、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンに可溶化したオリゴマーの有機モノリチウム化合物として用いることもできる。
有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、共役ジエン系重合体が得られる。
前記アルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。
アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。
これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、他の有機金属化合物と併用してもよい。
前記他の有機金属化合物としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、他のアルカリ金属化合物、その他有機金属化合物が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、及び有機ストロンチウム化合物が挙げられる。また、アルカリ土類金属のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、及びアミドの化合物も挙げられる。
有機マグネシウム化合物としては、例えば、ジブチルマグネシウム、及びエチルブチルマグネシウムが挙げられる。その他有機金属化合物としては、例えば、有機アルミニウム化合物が挙げられる。
重合工程において、重合反応様式としては、以下のものに限定されないが、例えば、回分式(「バッチ式」ともいう。)、連続式の重合反応様式が挙げられる。
連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。連続式の反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。連続式においては、好ましくは、連続的に単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤が反応器にフィードされ、該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、連続的に重合体溶液が排出される。
回分式の反応器は、例えば、攪拌機付の槽型のものが用いられる。回分式においては、好ましくは、単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤がフィードされ、必要により単量体が重合中に連続的又は断続的に追加され、当該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、重合終了後に重合体溶液が排出される。
本実施形態のブレンドポリマーを構成する(A)高分子共役ジエン系ゴムの製造方法において、高い割合で活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るには、重合工程において、重合体を連続的に排出し、短時間で次の反応に供することが可能な、連続式が好ましい。
(A)高分子共役ジエン系ゴムの重合工程は、不活性溶媒中で重合することが好ましい。
不活性溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な炭化水素系溶媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。
重合反応に供する前に、不純物であるアレン類、及びアセチレン類を有機金属化合物で処理することで、高濃度の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる傾向にあり、高い変性率の変性された高分子共役ジエン系ゴムが得られる傾向にあるため好ましい。
<極性化合物>
重合工程においては、極性化合物を添加してもよい。これにより、芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、極性化合物は、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる傾向にある。また、重合反応の促進等にも効果がある傾向にある。
極性化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−tert−アミラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。
これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、重合開始剤1モルに対して、0.01モル以上100モル以下であることが好ましい。
このような極性化合物(ビニル化剤)は、高分子共役ジエン系ゴムの共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤として、所望のビニル結合量に応じて、適量用いることができる。
多くの極性化合物は、同時に共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル化合物の分布の調整やスチレンブロック量の調整剤として用いることができる傾向にある。
共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをランダム化する方法としては、例えば、特開昭59−140211号公報に記載されているように、スチレンの全量と1,3−ブタジエンの一部とで共重合反応を開始させ、共重合反応の途中で残りの1,3−ブタジエンを断続的に添加する方法を用いてもよい。
重合工程における重合温度は、リビングアニオン重合が進行する温度であることが好ましく、生産性の観点から、0℃以上であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。このような範囲にあることで、重合終了後の活性末端に対する変性剤の反応量を充分に確保することができる傾向にある。さらにより好ましくは50℃以上100℃以下である。
本実施形態のブレンドポリマーに含まれる(A)高分子共役ジエン系ゴムの製造方法において、主鎖分岐構造を形成する分岐工程の、分岐化剤の添加量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、重合開始剤1モルに対して、0.03モル以上0.5モル以下であることが好ましく、0.05モル以上0.4モル以下であることがより好ましく、0.01モル以上0.25モル以下であることがさらに好ましい。
分岐化剤は、目的とする(A)高分子共役ジエン系ゴムの共役ジエン部分の主鎖分岐構造の分岐点数に応じて、適量用いることができる。
分岐工程における、分岐化剤を添加するタイミングは、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、共役ジエン系重合体の絶対分子量の向上と変性率向上の観点から、重合開始剤添加後、原料転化率が20%以上であるタイミングが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、65%以上であることがさらにより好ましく、75%以上であることがよりさらに好ましい。
また、分岐化剤を添加後、さらに所望の原料を追添加して、分岐化後に重合工程を継続してもよく、前記記載の内容を繰り返してもよい。
追加するモノマーは、特に限定されないが、(A)高分子共役ジエン系ゴムの変性率向上の観点から、重合工程で使用される共役ジエン系単量体総量、例えばブタジエン総量の5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましく、20%以上であることがさらにより好ましく、25%以上であることがよりさらに好ましい。
(A)高分子共役ジエン系ゴムの製造方法における、重合・分岐工程で得られる、変性反応工程前の共役ジエン系重合体は、110℃で測定されるムーニー粘度が10以上150以下であることが好ましく、より好ましくは15以上140以下であり、さらに好ましくは20以上130以下である。
この範囲であると、(A)高分子共役ジエン系ゴムは加工性及び省燃費性能に優れる傾向にある。
(A)高分子共役ジエン系ゴムは、共役ジエンモノマーと分岐化剤との重合体であってもよいし、共役ジエンモノマー、分岐化剤、及びこれら以外のモノマーとの共重合体であってもよい。
例えば、共役ジエンモノマーがブタジエン又はイソプレンで、これと芳香族ビニル部分を含む分岐化剤とを重合させた場合、重合鎖はいわゆるポリブタジエン又はポリイソプレンで、分岐部分に芳香族ビニル由来の構造を含むポリマーとなる。このような構造を有することで、ポリマー鎖の1本当たりの直線性が向上し、加硫後の架橋密度の向上が可能となり、ポリマーの耐摩耗性の向上という効果を奏する。そのため、タイヤ、樹脂改質、自動車の内装・外装品、防振ゴム、履物等の用途に好適である。
(A)高分子共役ジエン系ゴムをタイヤのトレッド用途に供する場合、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーと分岐化剤との共重合体が好適であり、この用途の共重合体において結合共役ジエン量は40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、55質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
(A)高分子共役ジエン系ゴム中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス、及び耐摩耗性、破壊特性により優れる傾向にある。
ここで、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定する。
(A)高分子共役ジエン系ゴムにおいて、共役ジエン結合単位中のビニル結合量は、特に限定されないが、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、20モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。
ビニル結合量が上記範囲であると、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランス、耐摩耗性、及び破壊強度により優れる傾向にある。
ここで、(A)高分子共役ジエン系ゴムがブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
(A)高分子共役ジエン系ゴムのミクロ構造については、(A)高分子共役ジエン系ゴム中の各結合量が上述した数値範囲にあり、さらに、ガラス転移温度が−70℃以上−15℃以下の範囲にあるときに、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスに、より一層優れた加硫物を得ることができる傾向にある。
ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
(A)高分子共役ジエン系ゴムが、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体である場合、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックの数が、少ないか又はないものであることが好ましい。より具体的には、共役ジエン系重合体がブタジエン−スチレン共重合体の場合、Kolthoffの方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により共重合体を分解し、メタノールに不溶なポリスチレン量を分析する公知の方法において、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックが、共役ジエン系重合体の総量に対して、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。
(A)高分子共役ジエン系ゴムが、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体である場合、省燃費性能向上の観点から、芳香族ビニル単位が単独で存在する割合が多い方が好ましい。
具体的には、高分子共役ジエン系重合体が、ブタジエン−スチレン共重合体の場合、田中らの方法(Polymer,22,1721(1981))として知られているオゾン分解による方法で重合体を分解し、GPCによりスチレン連鎖分布を分析した場合、全結合スチレン量に対し、単離スチレン量が40質量%以上であり、スチレンの連鎖が8個以上の連鎖スチレン構造が5.0質量%以下であることが好ましい。
この場合、得られる加硫ゴムが特に低いヒステリシスロスである優れた性能となる。
<官能基化工程>
(A)高分子共役ジエン系ゴムの製造方法においては、上述した重合・分岐化工程を経て得られた高分子共役ジエン系ゴムの成長末端に対して、官能基化剤を用いて官能基化反応を行うことができる。
以下、官能基化工程では、3官能以上の官能基化剤であるカップリング剤、窒素元素を有する化合物である変性剤を用いることができる。
<カップリング剤>
高分子共役ジエン系ゴムの製造方法で用いられるカップリング剤は、3官能以上の反応性化合物であればいかなる構造のものでもよいが、好ましくは、珪素原子を有する3官能以上の反応性化合物であり、少なくとも4個の珪素含有官能基を有していることがより好ましい。さらに好ましいカップリング剤は、少なくとも1の珪素原子が、炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成する化合物である。このようなカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
<変性剤>
高分子共役ジエン系ゴムの製造方法で用いられる変性剤は、窒素原子を有する化合物であればいかなる構造のものでもよいが、好ましくは3官能以上の反応性化合物である。さらに好ましい変性剤は、珪素原子及び窒素原子を有する3官能以上の反応性化合物であり、このような変性剤としては、例えば、N,N−ジメチルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上述した官能基化工程後、又は官能基化工程前に、縮合促進剤の存在下で縮合反応させる縮合反応工程を行ってもよい。
(A)高分子共役ジエン系は、共役ジエン部が水素化されたものであってもよい。
共役ジエン系重合体の共役ジエン部を水素化する方法は、特に限定されず、公知の方法が利用できる。
好適な水素化の方法としては、触媒の存在下、重合体溶液に気体状水素を吹き込む方法で水素化する方法が挙げられる。
触媒としては、例えば、貴金属を多孔質無機物質に担持させた触媒等の不均一系触媒;ニッケル、コバルト等の塩を可溶化し有機アルミニウム等と反応させた触媒、チタノセン等のメタロセンを用いた触媒等の均一系触媒が挙げられる。これら中でも、マイルドな水素化条件を選択できる観点から、チタノセン触媒が好ましい。
また、芳香族基の水素化は、貴金属の担持触媒を用いることによって行うことができる。
水素化触媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、(1)Ni,Pt,Pd,Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni,Co,Fe,Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti,Ru,Rh,Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等が挙げられる。さらに、水素化触媒として、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報、特開平8−109219号公報に記載された公知の水素化触媒も挙げられる。好ましい水素化触媒としては、チタノセン化合物と還元性有機金属化合物との反応混合物が挙げられる。
(A)高分子共役ジエン系の製造方法においては、官能基化工程の後、重合体溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。
失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。
中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9〜11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガスが挙げられる。
(A)高分子共役ジエン系は、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。
ゴム用安定剤としては、以下のものに限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
((B)液状共役ジエン系ゴムの製造方法)
(B)液状共役ジエン系ゴムは、上述の(A)高分子共役ジエン系ゴムと同様の重合工程及び必要に応じて官能基化行程を経ることで製造することができる。
つまり本実施形態の(B)液状共役ジエン系ゴム製造する場合、(A)高分子共役ジエン系ゴムと同様の製造方法に従い、本実施形態の(B)成分の数平均分子量である7500〜50000の要件に合わせて重合開始剤の添加量を調整することで達成することができる。
(B)液状共役ジエン系ゴムの開始末端へのアミノ基の導入や、水素化も(A)高分子共役ジエン系ゴムの製造方法に準じることができる。
本実施形態の(B)液状共役ジエン系ゴムは、分子量分布が1.5以上2.0である。かかる分子量分布は、重合温度と反応器内での液状共役ジエン系ゴム重合体の滞留時間を調整することで達成される。
重合温度を高く設定した場合は、低い重合温度に比べ得られる(B)液状ゴム共役ジエン系ゴムの重量平均分子量は大きくなる。一方で、(B)液状共役ジエン系ゴムの数平均分子量は添加する重合開始剤の量にのみ依存する。したがって、重合開始剤の量を同等にした場合、高温で重合することで分子量分布がより広い液状共役ジエン系ゴムを得ることができる。
モノマーのポリマーへの転化率は、重合温度に合わせて反応器内の液状共役ジエン系ゴム重合体の滞留時間を変更することで調整することができる。
〔ブレンドポリマーの製造方法〕
本実施形態のブレンドポリマーは、上述したように、(A)高分子共役ジエン系ゴムと(B)液状共役ジエン系ゴムを加硫物とする際のミキサーで混練りし調合するのに先立って、予めブレンドされていることが好ましい。
予め(A)高分子共役ジエン系ゴムと(B)液状共役ジエン系ゴムをブレンドする製造方法として、2系列の重合ラインを用い、それぞれ(A)高分子共役ジエン系ゴム溶液、(B)液状共役ジエン系ゴム溶液を製造し、これらの2種類の重合溶液をミキサー等でブレンドするパラレル重合製法を実施し、その後、脱溶剤する方法が好ましい。
ブレンドするする工程は特に限定されないが、一例として、それぞれの系列で重合が完了した後にインラインミキサーを通して配管内でブレンドする方法がある。インラインミキサーでブレンドすることで、連続した重合作業と連続したブレンド作業を行えるため優れた生産速度でブレンドポリマーを製造することができる。
(高分子共役ジエン系ゴムと液状共役ジエン系ゴムのブレンド比率の算出)
本実施形態のブレンドポリマー中の、(A)高分子共役ジエン系ゴムと(B)液状共役ジエン系ゴムのブレンド比率の算出には、GPCを使用することが好ましい。RI検出器(Refractive Index Detector)で検出されるGPC曲線において、(A)高分子共役ジエン系ゴム由来のピークと(B)低分子共役ジエン系ゴム由来のピークの面積比がポリマーブレンド比率である。
ここで述べる(A)高分子共役ジエン系由来のピークは、ブレンドポリマーをGPC分析した際の溶出曲線を微分した値が初めて0を示してから2回目に0を示すまでのピークと定義する。一方で、(B)液状共役ジエン系由来のピークは、ブレンドポリマーをGPC分析した際の溶出曲線を微分した値が2回目に0を示してから、4回目に0を示すまでのピークと定義する。
〔伸展共役ジエン系ゴム〕
本実施形態の伸展共役ジエン系ゴムは、上述した本実施形態のブレンドポリマーと、プロセスオイルとを含有する。
前記プロセスオイルとしては、伸展油が挙げられる。
なお、伸展共役ジエン系ゴムには、プロセスオイル以外の各種の樹脂を含有させてもよい。
これにより、ブレンドポリマーの加工性をより改善することができる。
伸展油をブレンドポリマーに添加する方法としては、以下の方法に限定されないが、伸展油をブレンドポリマー溶液に加え、混合して、伸展共役ジエン系ゴム溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。
伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。
樹脂としては、以下のものに限定されないが、例えば、芳香族系石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、テルペン系樹脂、ロジン誘導体(桐油樹脂を含む)、トール油、トール油の誘導体、ロジンエステル樹脂、天然及び合成のテルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、混合脂肪族芳香族炭化水素樹脂、クマリン−インデン樹脂、フェノール樹脂、p−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、モノオレフィンのオリゴマー、ジオレフィンのオリゴマー、芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、水素化芳香族炭化水素樹脂、環式脂肪族炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、炭化水素樹脂、水素化桐油樹脂、水素化油樹脂、水素化油樹脂と単官能又は多官能アルコールとのエステル等が挙げられる。
これら樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。水素化する場合、不飽和基を全て水添してもよいし、一部、残してもよい。
本実施形態の伸展共役ジエン系ゴムは、加硫物とした際の耐摩耗性の観点から、ブレンドポリマー100質量部に対し、プロセスオイルを25質量部以下含有するものであることが好ましく、より好ましくは20質量部以下であり、さらに好ましくは10質量部以下である。
伸展共役ジエン系ゴム中のプロセスオイルを25質量部以下にすることで、加硫物中のプロセスオイルの割合を減らすことができ、加硫物の耐摩耗性を向上することができる。
また、同じく加硫物の耐摩耗性の観点から、ブレンドポリマー100質量部に対し、プロセスオイルは、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
(脱溶媒工程)
本実施形態の伸展共役ジエン系ゴムを、重合体溶液から取得する場合、公知の方法を用いることができる。その方法として、まず、上述したように、プロセスオイルとしての伸展油をブレンドポリマー溶液に加え、混合して、伸展共役ジエン系ゴム溶液としたものを脱溶媒する。
例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、伸展共役ジエン系ゴムを濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して、伸展共役ジエン系ゴムを取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法が挙げられる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態について詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
〔1,3−ブタジエンの精製〕
(A)高分子共役ジエン系ゴム、及び(B)液状共役ジエン系ゴムの重合に用いる1,3−ブタジエンを、下記工程により精製した。
(水洗工程)
循環水量1m3/hr、更新(メイクアップ)水量0.1m3/hrの条件で運転した。
1,3−ブタジエンと洗浄水とを、スタティックミキサー((株)ノリタケカンパニーリミテッド社製のスタティックミキサーN60シリーズ)を使用して混合し、その後、デカンターに移送し、当該デカンターで1,3−ブタジエン相と水相とを分離した。
なお、液温度30℃、デカンター圧力1.0MPaGの条件で運転した。
デカンターでの1,3−ブタジエン相の滞留時間は30分間であった。
前記デカンターで分離した水相を、脱1,3−ブタジエン槽へ導入し、スチームと混合して89℃に加熱し、同時に、全圧を0.01MPaGとして、1,3−ブタジエンを水相から分離した。
(脱酸素剤による酸素除去工程)
続いて、脱酸素剤として、ダイクリーンF−504(栗田工業製)の10%水溶液を使用し、循環流速:1m3/hrで、前記(水洗工程)後の1,3−ブタジエンと前記脱酸素剤の水溶液とをスタティックミキサーを使用して混合し、液液抽出を行った。その後、デカンターに移動し、当該デカンターで、1,3−ブタジエン相と水相とを分離した。
デカンターでの1,3−ブタジエン相の滞留時間は30分間であった。なお、液温度30℃、デカンター圧力1.0MPaGの条件で運転した。
(重合禁止剤除去工程)
さらに続いて、10%苛性ソーダ水溶液を、循環流速:1m3/hrで、ポールリング入り充填塔を使用して、前記(脱酸素剤による酸素除去工程)後の1,3−ブタジエンと混合し、液液抽出を行い、さらに他のデカンターに移送し、当該他のデカンターで、1,3−ブタジエン相と水相とを分離した。
当該他のデカンターでの1,3−ブタジエン相の滞留時間は60分間であった。なお、重合禁止剤除去工程においては、液温度30℃、デカンター圧力1.0MPaGの条件で運転した。
(脱水塔工程)
前記他のデカンターで分離した1,3−ブタジエン相に、混合ヘキサンを加えて、1,3−ブタジエン濃度:50質量%として、脱水塔へ供給した。
脱水塔においてトップ(塔頂)から、留出した1,3−ブタジエンと水の共沸混合物を冷却、凝縮させた後、デカンターに移送し、当該デカンターで1,3−ブタジエン相と水相とを分離した。
水相は除去し、1,3−ブタジエン相は、脱水塔の塔入り口に戻し、連続的に脱水塔工程を行った。
脱水塔のボトム(塔底)から脱水された1,3−ブタジエンとへキサンとの混合液を取り出した。
(吸着工程)
前記1,3−ブタジエンとヘキサンとの混合液を、活性アルミナ入り500Lのデシカントドライヤー((株)日立製作所製 竪型円筒槽)を通過させ、1,3−ブタジエン中の微量の残余不純物を吸着除去し、精製した1,3−ブタジエンを得た。
〔スチレンの精製〕
(A)高分子共役ジエン系ゴム、(B)液状共役ジエン系ゴムの重合に用いるスチレンを、下記工程により精製した。
3mmφ×3mmの円柱型に成形したγ−アルミナを、濃度0.6%の塩化パラジウム水溶液に含浸させ、100℃で1昼夜乾燥させた。
次いで、その乾燥物を水素気流下で400℃の温度で16時間還元処理して組成がPd(0.3%)/γ−Al23の水素添加触媒を得た。
得られた水素添加触媒2000gを管型反応器に充填し、この触媒の温度を80℃に保ちながら、粗スチレンを8時間循環させることにより、精製したスチレンを得た。
〔ノルマルヘキサンの精製〕
(A)高分子共役ジエン系ゴム、(B)液状共役ジエン系ゴムの重合に用いるノルマルヘキサンを、下記工程により精製した。
モレキュラーシーブ13−X(ユニオン昭和)2000gを管型反応器に充填し、粗ノルマルヘキサンを室温で24時間循環させることにより、精製したノルマルヘキサンを得た。
<(物性3)分子量>
(A)高分子共役ジエン系ゴム、(B)液状共役ジエン系ゴム、及びブレンドポリマーを試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、を求めた。
溶離液はTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定した。
<(物性4)重合体ムーニー粘度>
(A)高分子共役ジエン系ゴム、(B)液状共役ジエン系ゴム、及びブレンドポリマーを試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300に準拠し、L形ローターを用いて、重合体ムーニー粘度を測定した。
測定温度は、100℃とした。
まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とした。
<(物性5)高分子共役ジエン系ゴムの総量に対する変性率>
(A)高分子共役ジエン系ゴムを測定用試料として、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した塩基性重合体成分が吸着する特性を応用することにより、クロマトグラムを測定した。
前記測定用試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む測定用試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求めた。
具体的には、以下に示すとおりである。
測定用試料溶液の調製:
前記測定用試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHF(テトラヒドロフラン)に溶解させて、測定用試料溶液とした。
ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:
東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、測定用試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:
東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、測定用試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、商品名「Zorbax PSM−1000S」、「PSM−300S」、「PSM−60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用した。
変性率の計算方法:
ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(質量%)を求めた。
変性率(質量%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(上記式において、P1+P2=P3+P4=100とする。)
<(物性6)ガラス転移温度(Tg)>
(A)高分子共役ジエン系ゴム及び(B)液状共役ジエン系ゴムを試料として、ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、−100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とした。
<(物性7)収縮因子(g’)>
(A)高分子共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用した。光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定を実施し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器の結果から絶対分子量を求め、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求めた。
直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。なお、式中、Mは絶対分子量を表す。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りテトラヒドロフラン(THF)を使用した。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。
測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
<(物性8)分岐度(Bn)>
(A)高分子共役ジエン系ゴムを試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用した。光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定した。標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器の結果から絶対分子量を求め、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求めた。
直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。なお、式中、Mは絶対分子量を表す。
その後、得られた収縮因子(g’)を用いてg’=6Bn/[(Bn+1)(Bn+2)]と定義される分岐度(Bn)を算出した。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。
測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
〔高分子共役ジエン系ゴム〕
((試料1)高分子共役ジエン系ゴム1)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として2基連結した。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを18.6g/分、スチレンを10.0g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.103mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.081mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.143mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給し70℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。重合が十分に安定したところで、2基目の反応基の底部より、分岐化剤としてトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)を0.0190mmol/分の速度で添加し、重合反応と分岐化反応を進行させた。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、変性剤として、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「A」と略す。)を0.0360mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、変性反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液に変性剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。変性反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、スタティックミキサーで混合することで変性反応を終了した。得られた高分子共役ジエン系ゴム溶液1を試料溶液1と称する。試料溶液1は内容量300Lのブレンドタンクに連続的に供給した。ブレンドタンクより試料溶液1を一部わけ取り、溶媒をスチームストリッピングで除去することで高分子共役ジエン系ゴム1(試料1)を得た。(試料1)の物性を、下記〔表1〕に示す。
((試料2)高分子共役ジエン系ゴム2)
重合開始剤添加量を0.300mmоl/分に、極性物質添加量を0.0548mmоl/分に、分岐化剤添加量を0.0399mmоl/分に、変性剤の添加量を0.0755mmоl/分に変更した以外は、前記(試料1)と同様にして、高分子共役ジエン系ゴム溶液2(試料溶液2)及び高分子共役ジエン系ゴム2(試料2)を得た。(試料2)の物性を下記〔表1〕に示す。
((試料3)高分子共役ジエン系ゴム3)
重合開始剤添加量を0.121mmоl/分に、極性物質添加量を0.0680mmоl/分に、分岐化剤添加量を0mmоl/分に、変性剤の添加量を0.0755mmоl/分に変更した以外は、前記(試料1)と同様にして、 分岐化剤の添加されていない高分子共役ジエン系ゴム溶液3(試料溶液3)、及び高分子共役ジエン系ゴム3(試料3)を得た。(試料3)の物性を下記〔表1〕に示す。
Figure 2021172722
〔液状共役ジエン系ゴム〕
((試料4)液状共役ジエン系ゴム4)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として1基用いた。以下、低分子共役ジエン系ゴムを重合するための全ての重合反応器及びブレンドタンクは、前述の高分子共役ジエン系ゴムの重合器とは異なるものを用いる。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを32.8g/分、スチレンを5.7g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.134mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを4.362mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを15.4mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する反応器の底部へ供給し、反応器内温を75℃に保持した。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、変性剤として、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(表中、「B」と略す。)を12.32mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、変性反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液に変性剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は73℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。変性反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、スタティックミキサーで混合することで変性反応を終了した。得られた低分子共役ジエン系ゴム溶液4を試料溶液4と称する。試料溶液4は内容量300Lのブレンドタンクに連続的に供給した。ブレンドタンクより試料溶液4を一部わけ取り、溶液を70℃の真空乾燥機で1時間乾燥することにより、液状共役ジエン系ゴム4(試料4)を得た。(試料4)の物性を、下記〔表2〕に示す。
((試料5)液状共役ジエン系ゴム5)
重合開始剤添加量を9.62mmоl/分に、極性物質添加量を1.454mmоl/分に、変性剤の添加量を7,696mmоl/分に変更した以外は、前記(試料4)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液5(試料溶液5)、及び液状共役ジエン系ゴム5(試料5)を得た。(試料5)の物性を、下記〔表2〕に示す。
((試料6)液状共役ジエン系ゴム6)
極性物質添加量を1.210mmоl/分に、反応機温度を84℃に変更した以外は、前記(試料5)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液6(試料溶液6)、及び液状共役ジエン系ゴム6(試料6)を得た。(試料6)の物性を、下記〔表2〕に示す。
((試料7)液状共役ジエン系ゴム7)
極性物質添加量を1.080mmоl/分に、反応機温度を98℃に変更した以外は、前記(試料6)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液7(試料溶液7)、及び液状共役ジエン系ゴム7(試料7)を得た。(試料7)の物性を、下記〔表2〕に示す。
((試料8)液状共役ジエン系ゴム8)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、及び出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として1基用いた。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを867.0g、スチレンを153.0g、n−ヘキサンを5.78kg、極性物質50.49mmolを入り口から反応基に供給した。続けて反応器の内温を60℃にした後に、重合開始剤のn−ブチルリチウムを126.2mmol、攪拌機で激しく混合する反応器へ供給した。重合の進行とともに反応器内の内温は上昇し、重合完結時は82℃までの内温上昇を観測した。
重合完結後、激しく攪拌している反応器に、変性剤として、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(表中、「B」と略す。)を50.49mmol添加し、変性反応を行った。変性反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように反応器へ添加し、撹拌機で混合することで変性反応を終了した。得られた低分子共役ジエン系ゴム溶液8を試料溶液8と称する。試料溶液8を一部わけ取り、溶液を70℃の真空乾燥機で1時間乾燥することにより、液状共役ジエン系ゴム8(試料8)を得た。(試料8)の物性を、下記〔表3〕に示す。
((試料9)液状共役ジエン系ゴム9)
重合開始剤添加量を3.86mmоl/分に、極性物質添加量を0.583mmоl/分に、変性剤の添加量を3.088mmоl/分に変更した以外は、前記(試料4)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液9(試料溶液9)、及び液状共役ジエン系ゴム9(試料9)を得た。(試料9)の物性を、下記〔表2〕に示す。
((試料10)液状共役ジエン系ゴム10)
重合開始剤添加量を1.93mmоl/分に、極性物質添加量を0.254mmоl/分に、変性剤の添加量を1.541mmоl/分に変更した以外は、前記(試料4)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液10(試料溶液10)、及び液状共役ジエン系ゴム10(試料10)を得た。(試料10)の物性を、下記〔表2〕に示す。
((試料11)液状共役ジエン系ゴム11)
変性剤の種類をテトラエトキシシラン(表中、「C」と略す。)に変更した以外は、前記(試料10)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液11(試料溶液11)、及び液状共役ジエン系ゴム11(試料11)を得た。(試料11)の物性を、下記〔表2〕に示す。
((試料12)液状共役ジエン系ゴム12)
変性剤の種類を1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(表中、「D」と略す。)に変更した以外は、前記(試料10)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液12(試料溶液12)、及び液状共役ジエン系ゴム12(試料12)を得た。(試料12)の物性を、下記〔表2〕に示す。
((試料13)液状共役ジエン系ゴム13)
変性剤を添加しないということ以外は、前記(試料10)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液13(試料溶液13)、及び液状共役ジエン系ゴム13(試料13)を得た。(試料13)の物性を、下記〔表2〕に示す。
((試料14)液状共役ジエン系ゴム14)
極性物質添加量を0.221mmоl/分に、反応機温度を84℃に変更した以外は、前記(試料10)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液14(試料溶液14)、及び液状共役ジエン系ゴム14(試料14)を得た。(試料14)の物性を、下記〔表2〕に示す。
((試料15)液状共役ジエン系ゴム15)
極性物質添加量を0.209mmоl/分に、反応機温度を98℃に変更した以外は、前記(試料10)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液15(試料溶液15)及び液状共役ジエン系ゴム15(試料15)を得た。(試料15)の物性を下記〔表2〕に示す。
((試料16)液状共役ジエン系ゴム16)
重合開始剤添加量を24.2mmоlに、極性物質添加量を9.69mmоlに変更し、さらに変性剤を添加しないこと以外は、前記(試料8)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液16(試料溶液16)、及び液状共役ジエン系ゴム16(試料16)を得た。(試料16)の物性を、下記〔表3〕に示す。
((試料17)液状共役ジエン系ゴム17)
変性剤Bを19.36mmоl添加したこと以外は、前記(試料16)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液17(試料溶液17)、及び液状共役ジエン系ゴム17(試料17)を得た。(試料17)の物性を、下記〔表3〕に示す。
((試料18)液状共役ジエン系ゴム18)
重合開始剤添加量を1.28mmоl/分に、極性物質添加量を0.183mmоl/分に、変性剤の添加量を1.026mmоl/分に変更した以外は、前記(試料4)と同様にして、液状共役ジエン系ゴム溶液18(試料溶液18)、及び液状共役ジエン系ゴム18(試料18)を得た。(試料18)の物性を、下記〔表2〕に示す。
Figure 2021172722
Figure 2021172722
〔ブレンドポリマーの調製〕
上述のようにして作製した各試料溶液を用いて、ブレンドポリマーを調製した。
(ブレンドポリマー1(実施例1))
それぞれのブレンドタンクより、(試料溶液1)と(試料溶液5)を、試料1が95質量%、(試料5)が5質量%の比になるように、連続的にスタティックミキサーに供給した。
同時に、ブレンドポリマー100gあたり20gのオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)もスタティックミキサーに連続して供給し混合した。
スチームストリッピングにより溶媒を除去して、ブレンドポリマー(ブレンドポリマー1)を得た。ブレンドポリマー1の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー2(実施例2))
(試料溶液1)と(試料溶液6)を用いて、前記ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー2を得た。ブレンドポリマー2の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー3(実施例3))
(試料溶液1)と(試料溶液10)を用いて、前記ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー3を得た。ブレンドポリマー3の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー4(実施例4))
(試料溶液1)と(試料溶液14)を用いて、前記ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー4を得た。ブレンドポリマー4の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー5(実施例5))
(試料溶液1)と(試料溶液9)を用いて、前記ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー5を得た。ブレンドポリマー5の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー6(実施例6))
それぞれのブレンドタンクより、(試料溶液1)と(試料溶液5)を、前記(試料1)が82質量%、(試料5)が12質量%という比になるように連続的にスタティックミキサーに供給した。同時に、ブレンドポリマー100gあたり20gのオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)もスタティックミキサーに連続して供給し混合した。
スチームストリッピングにより溶媒を除去して、ブレンドポリマー(ブレンドポリマー6)を得た。ブレンドポリマー6の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー7(実施例7))
それぞれのブレンドタンクより、(試料溶液1)と(試料溶液5)を、前記(試料1)が98質量%、(試料5)が2質量%という比になるように連続的にスタティックミキサーに供給した。同時に、ブレンドポリマー100gあたり20gのオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)もスタティックミキサーに連続して供給し混合した。
スチームストリッピングにより溶媒を除去して、ブレンドポリマー(ブレンドポリマー6)を得た。ブレンドポリマー7の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー8(実施例8))
それぞれのブレンドタンクより、(試料溶液1)と(試料溶液5)を、前記(試料1)が78質量%、(試料5)が22質量%という比になるように連続的にスタティックミキサーに供給した。同時に、ブレンドポリマー100gあたり20gのオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)もスタティックミキサーに連続して供給し混合した。
スチームストリッピングにより溶媒を除去して、ブレンドポリマー(ブレンドポリマー8)を得た。ブレンドポリマー8の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー9(実施例9))
それぞれのブレンドタンクより、(試料溶液2)と(試料溶液5)を、前記(試料1)が95質量%、(試料5)が5質量%という比になるように連続的にスタティックミキサーに供給した。同時に、ブレンドポリマー100gあたり10gのオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)もスタティックミキサーに連続して供給し混合した。
スチームストリッピングにより溶媒を除去して、ブレンドポリマー(ブレンドポリマー9)を得た。ブレンドポリマー9の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー10(実施例10))
(試料溶液1)と(試料溶液11)を用いて、ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー10を得た。ブレンドポリマー10の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー11(実施例11))
(試料溶液1)と(試料溶液12)を用いて、ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー11を得た。ブレンドポリマー11の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー12(実施例12))
(試料溶液1)と(試料溶液13)を用いて、ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー12を得た。ブレンドポリマー12の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー13(実施例13))
それぞれのブレンドタンクより、(試料溶液3)と(試料溶液10)を、前記(試料1)が95質量%、(試料5)が5質量%という比になるように連続的にスタティックミキサーに供給した。同時に、ブレンドポリマー100gあたり15gのオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)もスタティックミキサーに連続して供給し混合した。
スチームストリッピングにより溶媒を除去して、ブレンドポリマー(ブレンドポリマー13)を得た。ブレンドポリマー13の組成比を、下記〔表4〕に示す。
(ブレンドポリマー14(比較例1))
(試料溶液1)と(試料溶液8)を用いて、ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー14を得た。ブレンドポリマー14の組成比を、下記〔表5〕に示す。
(ブレンドポリマー15(比較例2))
(試料溶液1)と(試料溶液4)を用いて、ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー15を得た。ブレンドポリマー15の組成比を、下記〔表5〕に示す。
(ブレンドポリマー16(比較例3))
(試料溶液1)と(試料溶液18)を用いて、ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー15を得た。ブレンドポリマー15の組成比を、下記〔表5〕に示す。
(ブレンドポリマー17(比較例4))
(試料溶液1)と(試料溶液7)を用いて、ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー17を得た。ブレンドポリマー17の組成比を、下記〔表5〕に示す。
(ブレンドポリマー18(比較例5))
(試料溶液1)と(試料溶液15)を用いて、ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー18を得た。ブレンドポリマー18の組成比を、下記〔表5〕に示す。
(ブレンドポリマー19(比較例6))
(試料溶液1)と(試料溶液17)を用いて、ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー19を得た。ブレンドポリマー19の組成比を、下記〔表5〕に示す。
(ブレンドポリマー20(比較例7))
(試料溶液1)と(試料溶液16)を用いて、ブレンドポリマー1と同様の手法でブレンドポリマー20を得た。ブレンドポリマー20の組成比を、下記〔表5〕に示す。
(ブレンドポリマー21(比較例8))
(試料溶液1)とJOMOプロセスNC140を、試料1が95質量%、JOMOプロセスNC140が5質量%という比になるように連続的にスタティックミキサーに供給した。同時に、上記の(試料1)とオイルのブレンド物100gあたり15gのオイルも追加でスタティックミキサーに連続して供給し混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、ブレンドポリマー(ブレンドポリマー21)を得た。ブレンドポリマー21の組成比を、下記〔表5〕に示す。
Figure 2021172722
Figure 2021172722
〔実施例14〜26、及び比較例9〜16〕
上述のようにして調製したブレンドポリマー1〜21を原料ゴムとして、以下に示す配合に従い、それぞれの原料ゴムを含有するゴム組成物を得た。
ブレンドポリマー(試料1〜21):100質量部(オイル抜き)
シリカ1(エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」窒素吸着比表面積170m2/g):50.0質量部
シリカ2(ローディア社製の商品名「Zeosil Premium 200MP」窒素吸着比表面積220m2/g):25.0質量部
カーボンブラック(東海カーボン社製の商品名「シーストKH(N339)」):5.0質量部
シランカップリング剤(エボニック デグサ社製の商品名「Si75」、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド):6.0質量部
S−RAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」):37.5質量部
亜鉛華:2.5質量部
ステアリン酸:1.0質量部
老化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
硫黄:2.2質量部
加硫促進剤1(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
加硫促進剤2(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
合計:239.4質量部
上記した材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30〜50rpmの条件で、原料ゴム(試料1〜21)、充填剤(シリカ1、シリカ2、カーボンブラック)、シランカップリング剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。
このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は155〜160℃で各ゴム組成物(配合物)を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155〜160℃に調整した。冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1、2を加えて混練した。その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。加硫前のゴム組成物、及び加硫後のゴム組成物を評価した。具体的には、下記の方法により評価した。その結果を、表6、表7に示す。
(評価1)配合物ムーニー粘度
上記で得た第二段の混練後、かつ、第三段の混練前の配合物を試料として、ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1に準拠して、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。
比較例9の結果を100として指数化した。指数が大きいほど加工性が良好であることを示す。
(評価2)粘弾性パラメータ
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。
測定値は、比較例9のゴム組成物に対する結果を100として指数化した。50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費性の指標とした。
比較例9の結果を100として指数化した。指数が大きいほど省燃費性が良好であることを示す。
(評価3)耐摩耗性
アクロン摩耗試験機(安田精機製作所社製)を使用し、JIS K6264−2に準拠して、荷重44.4N、1000回転の摩耗量を測定し、比較例9の結果を100として指数化した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
Figure 2021172722
Figure 2021172722
表6〜表7に示す通り、実施例14〜26は、比較例9〜16と比較して、加硫物としたときにおける代表的なタイヤ物性値のバランスに優れていることが確認できた。
特に、加工性と耐摩耗性のバランスに優れていることが確認された。
本実施例では加工性と耐摩耗性の物性値の指数の合計値が高い加硫物がバランスの良い優れた加硫物と定義している。
本発明の液状共役ジエン系ゴムを用いたブレンドポリマーは、タイヤトレッド、自動車の内装・外装品、防振ゴム、ベルト、履物、発泡体、各種工業用品用途の材料等として、産業上の利用可能性がある。

Claims (12)

  1. GPCによるポリスチレン換算数平均分子量が7500以上50000以下であり、分子量分布が1.5以上2.0以下である、液状共役ジエン系ゴム。
  2. (A)高分子共役ジエン系ゴムを、80質量%〜97質量%、
    (B)液状共役ジエン系ゴムを、3質量%〜20質量%、
    含有する、ブレンドポリマーであって、
    前記(A)高分子共役ジエン系ゴムのポリスチレン換算重量平均分子量が400,000以上であり、
    前記(B)液状共役ジエン系ゴムが、請求項1に記載の液状共役ジエン系ゴムである、
    ブレンドポリマー。
  3. 前記(B)液状共役ジエン系ゴムが、非変性であるか、又は、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シランスルフィド基、アミノ基、シロキサン基、有機ケイ素基、フタロシアニン基、スルホニル基、及びアミノ基含有アルコキシシリル基、からなる群より選択される少なくとも一つの基で鎖末端が官能基化されている、
    請求項2に記載のブレンドポリマー。
  4. 前記(A)高分子共役ジエン系ゴムの鎖末端が、窒素元素を含む官能基で変性されている、請求項2又は3に記載のブレンドポリマー。
  5. 前記(B)液状共役ジエン系ゴムが、
    下記式(i)〜(iii)で表される態様により、鎖末端が官能基化されている、請求項2乃至4のいずれか一項に記載のブレンドポリマー。
    Figure 2021172722
    Figure 2021172722
    Figure 2021172722
    (式(i)〜(iii)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、それぞれ独立して、C1〜C16のアルキル基、C1〜C16のアルキルアリール基、及び水素からなる群より選択されるいずれかである。
    8はC1〜C16のアルキル基又は、C1〜C16のアルキルアリール基のいずれかである。
    9は、ハロゲン元素である。
    a、cは、それぞれ0、1、2、3からなる群より選択されるいずれの整数であり、bは1〜3の整数であり、a+b+c=3である。
    式(i)〜式(iii)中のPは、前記(B)液状共役ジエン系ゴムのポリマー部分を表す。)
  6. 粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による、前記(A)高分子共役ジエン系ゴムの分岐度(Bn)が8以上である、
    請求項2乃至5のいずれか一項に記載のブレンドポリマー。
  7. 前記(A)高分子共役ジエン系ゴムの変性率が60%以上である、請求項2乃至6のいずれか一項に記載のブレンドポリマー。
  8. 前記(A)高分子共役ジエン系ゴムが、3分岐以上の星形高分子構造を有する高分子共役ジエン系ゴムであって、少なくとも一つの星形構造の分岐鎖に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において、更なる主鎖分岐構造を有する、
    請求項2乃至7のいずれか一項に記載のブレンドポリマー。
  9. 前記アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分が、
    下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位であって、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有しており、
    前記(A)高分子共役ジエン系ゴムの少なくとも一端が、カップリング剤を用いてカップリングされている、
    請求項8に記載のブレンドポリマー。
    Figure 2021172722
    Figure 2021172722
    (式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
    2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
    複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
    1は、独立したハロゲン原子を表す。
    mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
    (式(2)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
    2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
    mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。
    aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(a+b+c)は、3を示す。)
  10. 前記式(1)中、R1が水素原子であり、m=0であり、l=0であり、n=3である、前記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する、前記(A)高分子共役ジエン系ゴムを含む、請求項9に記載のブレンドポリマー。
  11. 請求項2乃至10のいずれか一項に記載のブレンドポリマー100質量部に対し、プロセスオイル25質量部以下を含む、伸展共役ジエン系ゴム。
  12. 請求項2乃至11のいずれか一項に記載のブレンドポリマーの製造方法であって、
    2系列の重合ラインを用い、各ラインでそれぞれ(A)高分子共役ジエン系ゴム溶液、(B)液状共役ジエン系ゴム溶液を重合した後に、2種類の重合溶液をブレンドし、脱溶剤する工程を有するブレンドポリマーの製造方法。
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