JP2021143300A - 硬化物の製造方法 - Google Patents

硬化物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021143300A
JP2021143300A JP2020043576A JP2020043576A JP2021143300A JP 2021143300 A JP2021143300 A JP 2021143300A JP 2020043576 A JP2020043576 A JP 2020043576A JP 2020043576 A JP2020043576 A JP 2020043576A JP 2021143300 A JP2021143300 A JP 2021143300A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
composition
cured product
group
active energy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020043576A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7385830B2 (ja
Inventor
奨 今井
Susumu Imai
奨 今井
章世 矢野
Akiyo Yano
章世 矢野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2020043576A priority Critical patent/JP7385830B2/ja
Publication of JP2021143300A publication Critical patent/JP2021143300A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7385830B2 publication Critical patent/JP7385830B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

【課題】ラジカル重合性化合物を含む組成物に活性エネルギー線を照射することのみで、一定以上の厚みを有する硬化物が得られる硬化物の製造方法を提供する。また、ラジカル重合性化合物を含む組成物の一部分に活性エネルギー線を照射することで、前記組成物における前記活性エネルギー線の未照射部分を十分に硬化できる、硬化物の製造方法を提供する。【解決手段】ラジカル重合性化合物と下記一般式(1)で表される化合物を含む組成物に活性エネルギー線を照射する工程(I)を含み、前記硬化物の厚みが500μm超である硬化物の製造方法。また、ラジカル重合性化合物と下記一般式(1)で表される化合物を含む組成物の一部分に活性エネルギー線を照射する工程(I´)、及び前記工程(I´)により生じた重合熱により、前記組成物における前記活性エネルギー線が照射されていない部分を熱重合する工程(II)を含む硬化物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化物の製造方法に関する。
光重合開始剤とラジカル重合性化合物を含む光重合性組成物は、光硬化によって短時間で硬化することができ、また、フォトマスクやレーザー照射によってパターン形成することができるという利点をもつ。しかしながら光が到達しづらい厚膜の成形体の深部においては硬化が不十分になるという問題がある。
この問題を解決する方法として、特許文献1では、光硬化性組成物を厚膜シート状に成形した後、シートの両面から光照射することで厚膜の内部まで硬化する方法が提案されている。また、特許文献2では、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用し、光照射によって光重合開始剤から生成したラジカルが重合反応を起こし、その反応熱によって熱重合開始剤からラジカルを生成させ、深部まで硬化させる方法が提案されている。
特開2015−163684号公報 特開2017−8132号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、硬化方法が煩雑であり、かつ硬化できる膜厚が10mm以下に限られていた。また、特許文献2の方法では、深部(光の未照射部分)において光励起されなかった光重合開始剤は、未反応のまま硬化物中に残存することになり、高温高湿環境下では当該開始剤のブリードアウトや、硬化物の白化や黄変を引き起こす懸念があった。
本発明の第1の目的は、上記の実情を鑑みてなされたものであり、ラジカル重合性化合物を含む組成物に活性エネルギー線を照射することのみで、一定以上の厚みを有する硬化物が得られる硬化物の製造方法を提供するものである。
また、本発明の第2の目的は、上記の実情を鑑みてなされたものであり、ラジカル重合性化合物を含む組成物の一部分に活性エネルギー線を照射することで、前記組成物における前記活性エネルギー線の未照射部分を十分に硬化できる、硬化物の製造方法を提供するものである。
本発明は、硬化物の製造方法であって、ラジカル重合性化合物と下記一般式(1)で表されるチオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを含む組成物に活性エネルギー線を照射する工程(I)を含み、前記硬化物の厚みが500μm超であることを特徴とする硬化物の製造方法に関する。
Figure 2021143300
(式(1)中、R、R、RおよびRは独立してメチル基またはエチル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を表し、Rは独立した置換基であって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または塩素原子を表し、nは0から2の整数を表す。)
また、本発明は、硬化物の製造方法であって、ラジカル重合性化合物と前記一般式(1)で表されるチオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを含む組成物の一部分に活性エネルギー線を照射する工程(I´)、及び前記工程(I´)により生じた重合熱により、前記組成物における前記活性エネルギー線が照射されていない部分を熱重合する工程(II)を含むことを特徴とする硬化物の製造方法に関する。
本発明の硬化物の製造方法における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。ただし、本発明は、この作用メカニズムに限定されるものではない。
本発明の第1の硬化物の製造方法は、ラジカル重合性化合物と一般式(1)で表されるチオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを含む組成物に活性エネルギー線を照射する工程(I)を含み、前記硬化物の厚みが500μm超である。また、本発明の第2の硬化物の製造方法は、ラジカル重合性化合物と一般式(1)で表されるチオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを含む組成物の一部分に活性エネルギー線を照射する工程(I´)、及び前記工程(I´)により生じた重合熱により、前記組成物における前記活性エネルギー線が照射されていない部分を熱重合する工程(II)を含む。前記組成物は、当該組成物の表面に活性エネルギー線を照射することによって、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドが励起されてラジカルを発生するため、重合反応が開始する。さらに、当該製造方法は、当該重合反応の重合熱の拡散によって、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドのペルオキシ基の分解が促進されることにより、外部から加熱を行うことなく、組成物の硬化反応を継続できるため、一定以上の厚さを有する硬化物が得られ、また、組成物の硬化反応を深部(活性エネルギーの未照射部分)に至るまで十分に硬化できる。よって、本発明の硬化物中には、未反応の前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドが残存しないことが期待できる。
本発明の組成物は、ラジカル重合性化合物と一般式(1)で表されるチオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを含有する。
<ラジカル重合性化合物>
前記ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を好ましく用いることができる。ラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、イタコン酸エステル類桂皮酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、N−置換マレイミド類、N−ビニル化合物類、不飽和ニトリル類、オレフィン類等が挙げられる。これらの中でも、反応性が高い(メタ)アクリル酸エステル類を含むことが好ましい。ラジカル重合性化合物は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステル類は、単官能化合物および多官能化合物を使用することができる。単官能化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2―エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と脂環族アルコールとのエステル化合物;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、水酸基末端ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、水酸基末端ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有するモノマー等;メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等の鎖状または環状のエーテル結合を有するモノマー等;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の窒素原子を有するモノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー;リン酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル等のリン原子を有するモノマー;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のケイ素原子を有するモノマー;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有するモノマー;(メタ)アクリル酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、マレイン酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有するモノマー等が挙げられる。
前記多官能化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル)フルオレン等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;ビス(4−(メタ)アクリロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィド、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸ジルコニウム、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。
なお、前記組成物は、前記ラジカル重合性化合物から得られた共重合体を加えることができる。
<チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシド>
前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドは、下記一般式(1)で表される。前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドは、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2021143300
(式(1)中、R、R、RおよびRは独立してメチル基またはエチル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を表し、Rは独立した置換基であって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または塩素原子を表し、nは0から2の整数を表す。)
前記一般式(1)中、R、R、RおよびRは独立してメチル基またはエチル基を表す。R、R、RおよびRは、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの分解温度が高いため、重合性組成物の保存安定性が高くなる観点から、メチル基が好ましい。
前記一般式(1)中、Rは、炭素数が1〜6のアルキル基、またはフェニル基である。前記アルキル基は、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、フェニル基が挙げられる。これらの中でも、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの合成が容易である観点から、メチル基、エチル基、プロピル基であることが好ましい。前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの分解温度が高いため、重合性組成物の保存安定性が高くなり、さらにランプの光に対する感度が高い点から、メチル基、エチル基であることがより好ましい。
前記一般式(1)中、チオキサントンに対するジアルキルペルオキシドの置換位置は、特に限定されないが、ランプの光に対する感度が高い点から、チオキサントン骨格の2位、3位、または4位に置換されていることが好ましく、合成が容易である観点から、チオキサントン骨格の2位または3位に置換されていることがより好ましい。
前記一般式(1)中、Rは独立した置換基であって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または塩素原子を表す。使用するランプの発光波長に対して、これら置換基にかかるプッシュ・プル効果より、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの光の吸収特性を調整することができ、ランプの光を効率よく吸収することができる。
前記一般式(1)中、nは0から2の整数を表す。前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの合成が容易である観点から、nは0から1の整数が好ましく、0がより好ましい。
前記一般式(1)中、nが1から2の整数の場合、前記Rの置換位置は、特に限定されないが、ランプの光に対する感度が高い点から、チオキサントン骨格の6位または7位に置換されていることが好ましく、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの合成が容易である観点から、チオキサントン骨格の7位に置換されていることがより好ましい。
前記Rの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基などのアルコキシ基;塩素原子などが挙げられる。ランプの光に対する感度が高い点から、メトキシ基、エトキシ基であることがより好ましい。
以下に、本発明のチオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2021143300
前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドとしては、好ましくは化合物1から化合物9が挙げられ、より好ましくは化合物1、化合物2、化合物3、化合物7、化合物8が挙げられる。
<チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの製造方法>
前記一般式(1)で表されるチオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの製造方法は、例えば、下記反応式のように、イソアルキル基置換チオキサントン誘導体を、金属錯体の存在下、ヒドロペルオキシドを反応させる工程(以下、工程(A)とも称す)を含む方法が挙げられる。なお、反応後には、余剰の原料などを減圧留去(除去)する工程や、精製工程を含んでも良い。
Figure 2021143300
(上記反応式において、R、R、R、R、R、Rおよびnは前記一般式(1)と同じである。)
前記工程(A)において、前記イソアルキル基置換チオキサントン誘導体は、市販品を利用できる。なお、市販品がない場合、例えば、J.Chem.Soc.99,645(1911)に記載のように、2,2’−ジチオ二安息香酸を芳香族化合物と硫酸中で反応させることにより合成することができる。
前記工程(A)において、ヒドロペルオキシドは、イソアルキル基置換チオキサントン誘導体1.0モルに対して、目的物の収率性を高める観点から、0.8モル以上反応させることが好ましく、1.0モル以上反応させることがより好ましく、そして、10.0モル以下反応させることが好ましく、6.0モル以下反応させることがより好ましい。なお、ヒドロペルオキシドは、市販品を利用でき、市販品がない場合、特開昭58−72557号公報などに記載の公知の合成法に準じて合成することができる。
前記工程(A)において、金属錯体は、第4および第5周期の遷移金属の中から選ばれる金属の金属錯体を用いることができる。金属錯体の金属としては、例えば、銅、コバルト、マンガン、鉄、クロム、亜鉛などであり、配位子としては、例えば、臭素、塩素などのハロゲン、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸などの鉱酸、ギ酸、酢酸、ナフテン酸、オクテン酸、グルコン酸などの有機酸、シアン、アセチルアセトナートなどが挙げられる。金属錯体は、ヒドロペルオキシド1.0モルに対して、目的物の収率性を高める観点から、0.0001モル以上使用することが好ましく、0.001モル以上使用することがより好ましく、そして、1.0モル以下使用することが好ましく、0.1モル以下使用することがより好ましい。
前記工程(A)において、反応温度は、目的物の収率性を高める観点から、0℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、そして、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。反応時間は、原料や反応温度などによって異なるので一概には決定できないが、通常、目的物の収率性を高める観点から、1時間から60時間が好ましい。
前記工程(A)において、有機溶媒を使用することが好ましく、有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどを使用することができる。前記有機溶媒は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。前記有機溶媒の使用量は、通常、原料の合計量100質量部に対して50〜1000質量部程度である。有機溶媒は工程(A)の後に留去することで、チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを取り出してもよく、取り扱い性の向上や熱分解時の危険性を低減させるため、チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを有機溶媒の希釈品として使用してもよい。
前記工程(A)は、常圧、加圧、減圧下の何れの条件化でも実施できるが、窒素などの不活性ガス雰囲気で実施することが好ましい。
前記精製工程としては、余剰の原料や副生物を除去するために、例えば、イオン交換水や、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性水溶液、亜硫酸ナトリウム水溶液などの塩基性水溶液や、塩酸や硫酸などの酸性水溶液を用いて洗浄し、目的物を精製する工程が挙げられる。
以下、本発明の組成物の配合量等について説明する。
前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.01から20質量部であることが好ましく、0.02から10質量部であることがより好ましく、0.05から5質量部であることがさらに好ましい。前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.01質量部未満では硬化反応が進行しないため好ましくない。また、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、20質量部より多い場合、ラジカル重合性化合物への溶解度が飽和に達し、組成物の成膜時に前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの結晶が析出し、皮膜表面の荒れが問題になる場合や、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの分解残渣の増加により、硬化物の塗膜の強度が低下する場合があるため、好ましくない。
また、前記組成物には、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシド以外にも、他の重合開始剤を用いることで、組成物の表面硬化性、深部硬化性、透明性等を改良することができる。他の重合開始剤の選択に当たっては、ラジカル重合性化合物、その他添加剤の種類、硬化物の膜厚等が考慮される。
<その他の成分>
前記組成物には、コーティング剤や塗料、印刷インキ、感光性印刷版、接着剤、カラーレジストやブラックレジスト等の各種フォトレジスト等の用途で一般的に使用されている添加剤を配合できる。添加剤としては、例えば、増感剤(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジブトキシアントラセン、クマリン、ケトクマリン、アクリジンオレンジ、カンファーキノン等)、重合禁止剤(p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン等)、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、接着促進剤、可塑剤、エポキシ化合物、チオール化合物、エチレン性不飽和結合を有する樹脂、飽和樹脂、着色染料、蛍光染料、顔料(黄色顔料、青色顔料、赤色顔料、白色顔料、黒色顔料等)、炭素系材料(炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル等)、金属酸化物(酸化チタン、酸化イリジウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ等)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、金属(アルミニウム、銀、銅等)、窒化物(窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等)、無機化合物(シリカ、ガラス粉末、層状粘度鉱物、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等)、無機充填剤(硫酸バリウム、チタン酸バリウム、ケイ酸ジルコニウム等)、分散剤、難燃剤等が挙げられる。添加剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記添加剤は使用目的に応じて適宜選択され、特に制限されるものではないが、顔料、炭素系材料、金属酸化物、金属水酸化物、窒化物、無機化合物、無機充填剤が好ましく、黒色顔料、カーボンブラック、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、シリカがより好ましい。
前記添加剤の含有量は、使用目的に応じて適宜選択され、特に制限されるものではないが、通常、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、500質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましい。
前記組成物には、粘度や塗装性、硬化膜の平滑性の改良のため、更に溶媒を加えることもできる。溶媒は、前記ラジカル重合性化合物、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシド、前記その他の成分を、溶解または分散することができるものであり、乾燥温度において揮発する溶媒であれば、特に制限されるものではない。
前記溶媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒、カルビトール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、ラクトン系溶媒、不飽和炭化水素系溶媒、セロソルブアセテート系溶媒、カルビトールアセテート系溶媒やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。溶媒は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記溶媒を使用する場合、前記溶媒の使用量は、前記組成物の固形分100質量部に対して、10から1000質量部であることが好ましく、20から500質量部であることがより好ましい。
<組成物の調製方法>
前記組成物を調製する場合には、収納容器内に前記ラジカル重合性化合物、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシド、必要に応じて、前記その他の成分を投入し、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、2本ロールミル、3本ロールミル等を用いて、常法に従って溶解または分散させればよい。また、必要に応じて、メッシュまたはメンブレンフィルター等を通してもろ過してもよい。
なお、前記組成物の調製において、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドは、組成物に最初から添加しておいてもよいが、組成物を比較的長時間保存する場合には、使用直前に前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを、ラジカル重合性化合物を含む組成物中に溶解または分散させることが好ましい。
<硬化物の製造方法>
本発明の第1の硬化物の製造方法は、前記ラジカル重合性化合物と前記一般式(1)で表されるチオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを含む組成物に活性エネルギー線を照射する工程(I)を含み、前記硬化物の厚みが500μm超である。また、本発明の第2の硬化物の製造方法は、ラジカル重合性化合物と一般式(1)で表されるチオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを含む組成物の一部分に活性エネルギー線を照射する工程(I´)、及び前記工程(I´)により生じた重合熱により、前記組成物における前記活性エネルギー線が照射されていない部分を熱重合する工程(II)を含む。
前記組成物は、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを含むため、活性エネルギー線を照射することによって、固体状の硬化物が形成できる。よって、前記組成物およびその硬化物の形状は、何ら制限されるものではなく、例えば、シート状、板状、バルク状(塊状)などが挙げられる。前記組成物は、例えば、スピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法、スリットコート法、ドクターブレードコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法等の種々の塗布方法で基板に塗布してもよく、また、深さのある容器に注型してもよい。また、前記基板及び容器は、例えば、ガラス、シリコンウエハ、金属、プラスチック等のフィルムやシート、および立体形状の成形品等が挙げられ、基板及び容器の形状が制限されることは無い。
前記活性エネルギー線は、電子線、紫外線、可視光線、放射線等の活性エネルギー線が挙げられる。
活性エネルギー線は、活性エネルギー線の波長が250から450nmの光を含むことが好ましく、硬化を迅速に行うことができる観点から、350から410nmの光を含むことがより好ましく、375から405nmの光を含むことがさらに好ましい。
前記活性エネルギー線の照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線無電極ランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、太陽光、YAGレーザー等の固体レーザー、半導体レーザー、アルゴンレーザー等のガスレーザー等を使用することができる。なお、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの吸収が少ない可視光から赤外光の光を用いる場合には、前記添加剤として、その光を吸収する増感剤を使用することにより硬化を行なうことができる。
前記活性エネルギー線の露光量は、前記組成物が、活性エネルギー線を照射することにより開始する重合反応の重合熱の拡散によって、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドのペルオキシ基の分解が促進されることにより硬化できる露光量に適宜設定すべきであり、活性エネルギー線の波長や強度、前記組成物の成分に応じて適宜設定すべきである。一例として、UV−A領域での露光量は、10から10,000mJ/cmであることが好ましく、30から9,000mJ/cmであることがより好ましい。また、前記組成物に遮光成分を含有する場合は、UV−A領域での露光量は、100から500,000mJ/cmであることが好ましく、1,000から200,000mJ/cmであることがより好ましい。
本発明の第1の硬化物の製造方法において、前記硬化物の厚みは、500μm超である。当該厚みは、前記硬化物の形状により、その厚さや長さを示すものであり、例えば、前記硬化物の形状が、シート状の場合、その膜厚を示し、また、バルク状の場合、その厚さや長さを示す。前記硬化物の厚みは、前記組成物が、活性エネルギー線を照射することにより開始する重合反応の重合熱の拡散によって、前記チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドのペルオキシ基の分解が促進されることにより硬化できる範囲であれば、その上限値に何ら制限されるものではないが、例えば、上限値として、例えば、500mm以下、300mm以下が例示できる。また、前記組成物の活性エネルギー線の届かない部分を硬化できる利点を活かす観点から、前記硬化物の厚みは、下限値として、例えば、600μm以上、800μm以上が例示できる。
なお、本発明の第1および第2の硬化物の製造方法には、必要に応じ、加熱する工程を含むことができる。
本発明の第1および第2の硬化物の製造方法、および得られる硬化物は、ハードコート剤、光ディスク用コート剤、光ファイバー用コート剤、モバイル端末用塗料、家電用塗料、化粧品容器用塗料、光学素子用内面反射防止塗料、高・低屈折率コート剤、遮熱コート剤、放熱コート剤、防曇剤等の塗料・コーティング剤;オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、スクリーン印刷インキ、インクジェット印刷インキ、導電性インキ、絶縁性インキ、導光板用インキ等の印刷インキ;感光性印刷版;ナノインプリント材料;3Dプリンター用樹脂;ホログラフィー記録材料;歯科用材料;導波路用材料;レンズシート用ブラックストライプ;コンデンサ用グリーンシートおよび電極材料;FPD用接着剤、HDD用接着剤、光ピックアップ用接着剤、イメージセンサー用接着剤、有機EL用シール剤、タッチパネル用OCA、タッチパネル用OCR等の接着剤・シール剤;カラーレジスト、ブラックレジスト、カラーフィルター用保護膜、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、額縁レジスト、TFT配線用フォトレジスト、層間絶縁膜等のFPD用レジスト;液状ソルダーレジスト、ドライフィルムレジスト等のプリント基板用レジスト;半導体レジスト、バッファーコート膜等の半導体用材料等の各種用途に使用でき、その用途に特に制限は無い。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
(1)チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドの合成
[合成例1:化合物1の合成]
200mL四つ口フラスコに、ベンゼン30mL、2−イソプロピルチオキサントン6.10g(24.0mmol)、塩化銅(I)0.0238g(0.24mmol)を入れ、室温下で撹拌した。69質量%tert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液15.7g(120mmol)を徐々に加えた。窒素気流下で65℃に加温し、60時間反応させた。反応液を冷却し、酢酸エチル20mLを添加した後に、水相を分液した。油相を5質量%塩酸、5質量%水酸化ナトリウム水溶液、イオン交換水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、油相を減圧下で濃縮し、粗体を得た。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=5/1)で精製し、2.55g(収率31%)の化合物1を得た。得られた化合物1のEI−MSおよびH−NMRによる分析結果を表1に示す。
[合成例2:化合物2の合成]
本発明の化合物2は、合成例1に記載の69質量%tert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液を、85質量%tert−アミルヒドロペルオキシドに変更したこと以外は、合成例1に記載の方法に準じて合成した。得られた化合物2のEI−MSおよびH−NMRによる分析結果を表1に示す。
[合成例3:化合物3の合成]
本発明の化合物3は、合成例1に記載の69質量%tert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液を、90質量%tert−ヘキシルヒドロペルオキシドに変更したこと以外は、合成例1に記載の方法に準じて合成した。得られた化合物3のEI−MSおよびH−NMRによる分析結果を表1に示す。
Figure 2021143300
<実施例1>
<組成物の調製>
トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業製)を100質量部、光重合開始剤として化合物1を0.2質量部混合、攪拌し、組成物を得た。
<実施例2〜4および比較例1〜2>
表2に示す光重合開始剤に変更した以外は、実施例1と同様の方法で組成物を調製した。比較例1〜2では、公知の光重合開始剤として、化合物R1(フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IGM製))を使用した。
<硬化物の製造>
試験管(直径10mm、高さ90mm)内に、上記の方法で調製した組成物を高さ50mmとなるよう充填した。試験管上部以外をアルミホイルで遮光し、表2に示す波長のLED光源で、表2で示す積算光量を照射し、硬化物を製造した。硬化物(硬化層)の形成は試験管から硬化物を取り出して確認し、硬化物(硬化層)の厚み(mm)を計測した。
Figure 2021143300
<実施例5>
<組成物の調製>
トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業製)を100質量部、黒色顔料として3,7−ビス(2−オキソ−1H−インドール−3(2H)−イリデン)ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジフラン−2,6−(3H、7H)−ジオンを1質量部、光重合開始剤として化合物1を0.2質量部混合、攪拌し、組成物を得た。
<比較例3>
光重合開始剤を、公知の光重合開始剤として、化合物R1(フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IGM製))に変更した以外は、実施例5と同様の方法で組成物を調製した。
<黒色硬化物の製造>
試験管(直径10mm、高さ90mm)内に、上記の方法で調製した組成物を高さ50mmとなるよう充填した。試験管上部以外をアルミホイルで遮光し、試験管上部から385nmLED光源を用いて270mW/cmで30秒間(=8100mJ/cm)照射し、硬化物を製造した。硬化物(硬化層)の形成は試験管から硬化物を取り出して確認し、硬化物(硬化層)の厚み(mm)を計測した。
Figure 2021143300
<実施例6>
<組成物の調製>
トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業製)を100質量部、フィラーとしてコロイダルシリカ(扶桑化学工業製)を60質量部、光重合開始剤として化合物1を1質量部混合、攪拌し、組成物を得た。
<実施例7>
フィラーを水酸化アルミニウム(林化成製)に変更し、フィラーの添加量を50質量部に変更した以外は、実施例6と同様の方法で組成物を調製した。
<実施例8>
フィラーをアルミナ(電気化学工業株式会社製)に変更し、フィラーの添加量を50質量部に変更した以外は、実施例6と同様の方法で組成物を調製した。
<実施例9>
フィラーを窒化アルミニウム(東洋アルミニウム製)に変更し、フィラーの添加量を70質量部に変更した以外は、実施例6と同様の方法で組成物を調製した。
<比較例4>
光重合開始剤を、公知の光重合開始剤として、化合物R1(フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IGM製))に変更した以外は、実施例6と同様の方法で組成物を調製した。
<フィラー配合硬化物の製造>
試験管(直径10mm、高さ90mm)内に、上記の方法で調製した組成物を高さ50mmとなるよう充填した。試験管上部以外をアルミホイルで遮光し、試験管上部から385nmLED光源を用いて650mW/cmで90秒間(=58500mJ/cm)照射し、硬化物を製造した。硬化物(硬化層)の形成は試験管から硬化物を取り出して確認し、硬化物(硬化層)の厚み(mm)を計測した。
Figure 2021143300
各実施例の組成物は、活性エネルギー線の照射により、目視での観察において、組成物の上部に硬化物(硬化層)の形成が確認され、活性エネルギー線の照射後も、当該硬化層の界面が徐々に下方に下がることが確認できた。また、試験管から硬化物を取り出して硬化物(硬化層)の厚み(mm)を計測し、厚みが50mmであることが確認できた。よって、各実施例の組成物は、活性エネルギー線を照射する工程のみで、一定以上の厚さを有する硬化物が得られることが明らかである。
また、比較例の組成物は、活性エネルギー線の照射後では、硬化層の界面が変化しなかった。よって、各実施例の組成物は、ラジカル重合性化合物を含む組成物の一部分に活性エネルギー線を照射することで、前記組成物における前記活性エネルギー線の未照射部分を十分に硬化できることが明らかである。

Claims (2)

  1. 硬化物の製造方法であって、
    ラジカル重合性化合物と下記一般式(1)で表されるチオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシドを含む組成物に活性エネルギー線を照射する工程(I)を含み、
    前記硬化物の厚みが500μm超であることを特徴とする硬化物の製造方法。
    Figure 2021143300
    (式(1)中、R、R、RおよびRは独立してメチル基またはエチル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を表し、Rは独立した置換基であって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または塩素原子を表し、nは0から2の整数を表す。)
  2. 硬化物の製造方法であって、
    ラジカル重合性化合物と下記一般式(1)で表されるチオキサントン基を有するジアルキルペルオキシドを含む組成物の一部分に活性エネルギー線を照射する工程(I´)、及び前記工程(I´)により生じた重合熱により、前記組成物における前記活性エネルギー線が照射されていない部分を熱重合する工程(II)を含むことを特徴とする硬化物の製造方法。
    Figure 2021143300
    (式(1)中、R、R、RおよびRは独立してメチル基またはエチル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を表し、Rは独立した置換基であって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または塩素原子を表し、nは0から2の整数を表す。)
JP2020043576A 2020-03-13 2020-03-13 硬化物の製造方法 Active JP7385830B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020043576A JP7385830B2 (ja) 2020-03-13 2020-03-13 硬化物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020043576A JP7385830B2 (ja) 2020-03-13 2020-03-13 硬化物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021143300A true JP2021143300A (ja) 2021-09-24
JP7385830B2 JP7385830B2 (ja) 2023-11-24

Family

ID=77765959

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020043576A Active JP7385830B2 (ja) 2020-03-13 2020-03-13 硬化物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7385830B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7382010B2 (ja) 2020-03-19 2023-11-16 日油株式会社 重合開始剤混合物、重合性組成物、硬化物、および硬化物の製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015059160A (ja) 2013-09-18 2015-03-30 新中村化学工業株式会社 アクリレート系共重合体及びそれを含む樹脂組成物、並びに受容層付き基板
JP6298758B2 (ja) 2014-12-18 2018-03-20 クラレノリタケデンタル株式会社 歯科用硬化性組成物
JP6995309B2 (ja) 2017-08-31 2022-01-14 学校法人東京理科大学 ペルオキシエステル基を有するチオキサントン誘導体を含有する重合性組成物およびその硬化物、当該硬化物の製造方法
JP6923130B2 (ja) 2017-08-31 2021-08-18 学校法人東京理科大学 ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体、該化合物を含有する重合性組成物およびその硬化物、当該硬化物の製造方法
JP7421169B2 (ja) 2018-09-26 2024-01-24 日油株式会社 チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシド、該化合物を含有する重合性組成物
JP2021074882A (ja) 2019-11-05 2021-05-20 日油株式会社 積層体の製造方法および積層体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7382010B2 (ja) 2020-03-19 2023-11-16 日油株式会社 重合開始剤混合物、重合性組成物、硬化物、および硬化物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7385830B2 (ja) 2023-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6923130B2 (ja) ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体、該化合物を含有する重合性組成物およびその硬化物、当該硬化物の製造方法
JP7021668B2 (ja) トリアジンペルオキシド誘導体、該化合物を含有する重合性組成物
JP6995309B2 (ja) ペルオキシエステル基を有するチオキサントン誘導体を含有する重合性組成物およびその硬化物、当該硬化物の製造方法
JP6970922B2 (ja) ペルオキシシンナメート誘導体、該化合物を含有する重合性組成物およびその硬化物、並びに当該硬化物の製造方法
JP7031605B2 (ja) ペルオキシシンナメート誘導体、該化合物を含有する重合性組成物
JP7421169B2 (ja) チオキサントン骨格を有するジアルキルペルオキシド、該化合物を含有する重合性組成物
JP7385830B2 (ja) 硬化物の製造方法
JP7300108B2 (ja) 硬化物の製造方法
JP7382010B2 (ja) 重合開始剤混合物、重合性組成物、硬化物、および硬化物の製造方法
JP7371554B2 (ja) ビスオキシムエステル系光重合開始剤、重合性組成物、ならびに硬化物およびその製造方法
JP2020152776A (ja) 光重合性組成物、およびその硬化物
JP2024093292A (ja) 硬化物の製造方法
JP2024093323A (ja) 硬化物の製造方法
WO2023190161A1 (ja) 重合開始剤、重合性組成物及び硬化物、並びにチオキサントン骨格を有するヒドロペルオキシド
WO2023054225A1 (ja) トリアジンペルオキシド誘導体及びその製造方法、重合性組成物、並びに硬化物及びその製造方法
JP7354891B2 (ja) 光硬化型インク
JP2022069041A (ja) 重合開始剤混合物、重合性組成物、硬化物、及び硬化物の製造方法
JP2022092141A (ja) 重合性組成物、硬化物、及び硬化物の製造方法
JP2022097777A (ja) 重合性組成物、硬化物、及び硬化物の製造方法
JP2023119202A (ja) 酸素阻害低減剤、重合性組成物、硬化物、及び硬化物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230926

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231013

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231026

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7385830

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150