JP2021143109A - セメント用混和材の製造方法及びセメント用混和材の製造装置、並びに、石炭灰中の未燃炭素の分離方法 - Google Patents

セメント用混和材の製造方法及びセメント用混和材の製造装置、並びに、石炭灰中の未燃炭素の分離方法 Download PDF

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謙介 金井
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Abstract

【課題】石炭灰中の未燃炭素量が低減されることによりコンクリートの外観不良を抑制できるセメント用混和材を得る。【解決手段】石炭灰と捕集剤とを混合する工程と、前記石炭灰及び前記捕集剤の混合物と水とを混合し、懸濁液を得る工程と、前記懸濁液から、前記石炭灰及び未燃炭素Aを含む沈殿物と、前記捕集剤及び前記未燃炭素Aに比べて多孔質の未燃炭素Bを含む上澄み液とを分離し、前記沈殿物をセメント用混和材として回収する工程と、を含むセメント用混和材の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、セメント用混和材の製造方法及びセメント用混和材の製造装置、並びに、石炭灰中の未燃炭素の分離方法に関する。
石炭火力発電所等の微粉炭焚きボイラ等から発生する石炭灰は、ケイ酸またはアルミノケイ酸の結晶質及び非晶質を主成分とし、生成過程において気流中で急冷されることに起因してその粒子形状は球状を呈する割合が高いことが知られている。このような球状粒子をコンクリートに添加した場合には、ボールベアリング効果によってコンクリート流動性が改善されるため、ハンドリング性が改善される。また、所定の流動性を確保するために必要な混練水量が低減することができるので、コンクリートの耐久性が向上することも知られている。更に、石炭灰は、セメントが水和したときに生成する水酸化カルシウムと反応(ポゾラン)し、長期的にケイ酸カルシウム水和物を生成して、コンクリート組織を緻密化することでもコンクリートの耐久性向上に寄与する。このような理由から、石炭灰をコンクリート用の混和材として利用することが検討されている。
一方で、石炭火力発電所では、低NOx対策として酸素濃度をコントロールして還元状態で燃料管理することが一般に行われる。このため、石炭中の炭素粒子が十分に燃焼せず、石炭灰中に未燃炭素が残存する。石炭灰中の未燃炭素は、空気連行剤(AE剤)などの混和剤を吸着するなど、コンクリート製造時に悪影響を及ぼすことが知られている。また、石炭灰中に未燃炭素が多く含まれていると、コンクリートの混練時にコンクリート表面や型枠付近に不均一に析出し、黒色の斑点やスジとして見えるので、景観上の問題になっている。このため、石炭灰から未燃炭素を除去する工程を行う必要がある。
未燃炭素の除去方法として、種々の手法が提案されている。例えば特許文献1のように、石炭火力発電所から排出されたフライアッシュを燃焼させて、未燃炭素量が1重量%以下まで灰化させる改質方法が知られている。
一方、石炭灰中の未燃炭素量を除去する別の方法として、石炭灰を含む水スラリーに捕集剤として石油類を混合することにより、未燃炭素分を浮上物として石炭灰から分離除去する方法が知られている(例えば特許文献2)。
特開平11−011999号公報 特開2019−131434号公報
未燃炭素を燃焼除去させる手法では、燃焼設備を別途設ける必要があった。更に、未燃炭素の燃焼のためのエネルギーが必要であるので、生産性が非常に悪いという問題があった。特許文献1には、セメントクリンカ製造設備に石炭灰中の未燃炭素を燃焼除去させる改質手段を付属させることが提案されている。しかしながら、このような構成ではフライアッシュがロータリーキルン内で飛散してしまい、適切な量の石炭灰をクリンカに添加することができないという問題があった。また、キルン内壁に石炭灰が付着し、装置運転に支障が出る恐れがあった。
また、特許文献2の方法では、未燃炭素の除去が不十分であり、コンクリート表面の外観不良の問題を解決するには至らなかった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、石炭灰中の未燃炭素量が低減されることによりコンクリートの外観不良を抑制することができるセメント用混和材の製造方法、及び該セメント用混和材を製造するための製造装置、並びに、石炭灰中の未燃炭素の分離方法を提供することを目的とする。
石炭灰中には、粗大な未燃炭素と、微細な未燃炭素とが含まれる(陳勇 他、「微粉炭燃焼フライアッシュ中の炭素分の性状」、日本エネルギー学会誌、第73巻第8号(1994)、P.748−752)。粗大な未燃炭素は、不定形であり多孔質であるのに対し、微細な未燃炭素は塊状で孔が少なく、結晶性の高いものである。つまり、粗大な未燃炭素は多孔質であるために密度は低いのに対し、微細な未燃炭素は、相対的に密度が高いと言える。
本発明者らが検討した結果、石炭灰中に含まれる微細な未燃炭素は、コンクリートの成分であるセメントや砂との密度差が少ないために、混合した際に均一に分散しやすく外観不良が発生しにくいのに対し、粗大な未燃炭素は、セメントや砂との密度差も大きく疎水性であるために、混合した際に混ざりにくく、更に水とともにコンクリート表面に浮上しやすいことが判明した。すなわち、粗大でポーラスな未燃炭素が、外観不良の原因となることが分かった。そして、本発明者らは、石炭灰から粗大な未燃炭素を効率良く除去することにより、コンクリートの外観不良の発生を抑制できる手法を見出し、本発明に至った。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の<1>〜<5>を提供する。
<1>石炭灰と捕集剤とを混合する工程と、前記石炭灰及び前記捕集剤の混合物と水とを混合し、懸濁液を得る工程と、前記懸濁液から、前記石炭灰及び未燃炭素Aを含む沈殿物と、前記捕集剤及び未燃炭素Bを含む上澄み液とを分離し、前記沈殿物をセメント用混和材として回収する工程と、を含むセメント用混和材の製造方法。
<2>前記捕集剤の添加量が、石炭灰100質量部に対して0.2質量部以上4.9質量部以下である、<1>に記載のセメント混和物の製造方法。
<3>石炭灰と捕集剤とを混合する混合手段と、前記石炭灰及び前記捕集剤の混合物と水とを混合し、懸濁液を生成する懸濁化手段と、前記懸濁液から、前記石炭灰及び未燃炭素Aを含む沈殿物と、前記捕集剤及び未燃炭素Bを含む上澄み液とを分離する第1分離手段と、前記沈殿物をセメント用混和材として回収する混和材回収手段と、を含むセメント用混和材の製造装置。
<4>前記上澄み液から前記捕集剤及び前記未燃炭素Bと、前記水とを分離する第2分離手段と、分離された前記捕集剤及び前記未燃炭素Bを回収する捕集剤回収手段と、を更に備える<3>に記載のセメント用混和材の製造装置。
<5>石炭灰と捕集剤とを混合する工程と、前記石炭灰と前記捕集剤との混合物と水とを混合し、懸濁液を得る工程と、前記懸濁液から、前記石炭灰及び未燃炭素Aを含む沈殿物と、前記捕集剤及び未燃炭素Bを含む上澄み液とを分離する工程と、を含む石炭灰中の未燃炭素の分離方法。
本発明に依れば、石炭灰から多孔質の未燃炭素が分離除去されたセメント用混和材を得ることができる。このセメント用混和材を用いることにより、コンクリートとしたときの外観不良を抑制することができる。
本発明のセメント用混和材の製造装置の構成を説明する概略図である。 実施例5のセメント用混和材から作製したモルタルの外観写真である。 実施例6のセメント用混和材から作製したモルタルの外観写真である。 処理が施されていない石炭灰を用いて作製したモルタルの外観写真である。
以下、本発明のセメント用混和材の製造方法、及び、石炭灰中の未燃炭素の分離方法について、詳細に説明する。なお、本明細書中の「AA〜BB」との数値範囲の表記は、「AA以上BB以下」であることを意味する。
[セメント用混和材の製造方法]
本発明のセメント用混和材の製造方法は、石炭灰と捕集剤とを混合する工程と、前記石炭灰及び前記捕集剤の混合物と水とを混合し、懸濁液を得る工程と、前記懸濁液から、前記石炭灰及び未燃炭素Aを含む沈殿物と、前記捕集剤及び前記未燃炭素Aに比べて多孔質の未燃炭素Bを含む上澄み液とを分離し、前記沈殿物をセメント用混和材として回収する工程と、を含む。
[石炭灰中の未燃炭素の分離方法]
本発明の石炭灰中の未燃炭素の分離方法は、石炭灰と捕集剤とを混合する工程と、前記石炭灰及び前記捕集剤の混合物と水とを混合し、懸濁液を得る工程と、前記懸濁液から、前記石炭灰及び未燃炭素Aを含む沈殿物と、前記捕集剤及び未燃炭素Bを含む上澄み液とを分離する工程と、を含む。
<石炭灰>
本発明の処理対象とされる石炭灰は、石炭火力発電所等から排出された石炭灰である。具体的に、石炭灰は未燃炭素を0.5〜10質量%含有する。
石炭灰には、緻密な未燃炭素(未燃炭素A)と、未燃炭素Aに比べて多孔質の未燃炭素(未燃炭素B)とが含まれる。例えば、未燃炭素Aの粒径は0.1μm〜25μm程度であり、未燃炭素Bの粒径は25μm〜70μm程度である。すなわち、未燃炭素Bは、未燃炭素Aよりも粗大である。また、例えば、未燃炭素Aの密度(見かけ密度)は1.2〜2.2g/cm程度であり、未燃炭素Bの密度(見かけ密度)は0.7〜1.0g/cm程度である。
<捕集剤>
本発明における捕集剤は、未燃炭素との親和性が高く(すなわち疎水性であり)、水よりも比重が小さいものであることが好ましい。捕集剤としては、灯油、軽油、重油(特にA重油)、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。特に、捕集剤は、灯油、軽油、重油の中から選択されることが好ましい。
以下、本発明のセメント混和材の製造方法及び石炭灰中の未燃炭素の分離方法を詳細に説明する。
<混合工程>
まず、石炭灰(必要に応じて、所定の粉砕度合いに粉砕された石炭灰)に捕集剤を添加し、石炭灰と捕集剤とを混合する。これにより、石炭灰中の未燃炭素に捕集剤が吸着する。特に、捕集剤は、多孔質となっているため疎水性が比較的高い未燃炭素Bに吸着しやすい。捕集剤は、未燃炭素Bの表面に吸着するだけでなく、内部にも浸透して吸着する。このため、未燃炭素Bの比重は、未燃炭素Aの比重よりも低くなる。
本発明において、捕集剤の添加量は、石炭灰100質量部に対して0.2質量部以上4.9質量部以下であることが好ましい。捕集剤の添加量が0.2質量部以上であることにより、十分な量の捕集剤が未燃炭素Bに吸着するため、未燃炭素Bを効率良く除去することができる。この結果、コンクリートとしたときに、黒色の斑点、筋などが見られるといった外眼不良の発生を抑制することができる。捕集剤の添加量は、1.0質量部以上であることが好ましく、1.5質量部以上であることがより好ましい。
一方、石炭灰に対する捕集剤の添加量が多くなると、未燃炭素Bに対して過剰に捕集剤が含まれることになる。過剰の捕集剤は、石炭灰に吸着する場合がある。捕集剤が吸着した石炭灰の量が増加すると、後述する分離工程で上澄み液にも石炭灰の一部が移行し、石炭灰の回収率が下がる恐れがある。捕集剤の添加量を4.9質量部以下とすることにより、高い回収率で石炭灰を得ることができる。捕集剤の添加量は、4.5質量部以下であることが好ましく、4.0質量部以下であることがより好ましい。
混合手段としては特に限定されず、攪拌、振とうなど、公知の方法を採用することができる。また、混合時間は、石炭灰と捕集剤とが十分に混ざり合えば、制限されない。
<懸濁工程>
次いで、混合工程で得られた石炭灰及び捕集剤の混合物と、水とを混合する。混合の順番に特に制限はなく、混合物に対して水を添加しても良いし、水中に混合物を投入して添加しても良い。懸濁工程により、未燃炭素が石炭灰から分離し、水中に石炭灰と未燃炭素とが分散された懸濁液が得られる。
混合物と水との割合は、懸濁液の粘度、後述する分離工程での操作容易性、最終的に廃棄する水の量などを考慮して設定することが好ましい。例えば、混合物と水との質量比(混合物/水)は、1/4〜1/100の範囲が好ましい。
混合方法としては特に限定されず、攪拌、水中ポンプによる循環などの公知の方法を採用することができる。
<分離工程>
分離工程では、懸濁液から沈殿物と上澄み液とを分離する。沈殿物には、石炭灰の他、比重が比較的高い未燃炭素Aが含まれる。一方、上澄み液には、水と、捕集剤が吸着し比重が小さくなった未燃炭素Bが含まれる。分離工程により、コンクリートとしたときに外観不良の原因となる多孔質の未燃炭素Bを、石炭灰から分離除去することができる。
分離方法としては、自然沈降による分離、遠心分離などの公知の固液分離を採用することができる。特に、セメント用混和材の製造の効率化の観点から、遠心分離を採用することが好ましい。遠心分離の方法としては、具体的に、遠心沈降、遠心脱水、デカンタが挙げられる。
[回収工程]
分離工程により得られた沈殿物は、セメント用混和材として回収される。得られたセメント用混和材は、セメントミル等に投入され、セメントクリンカ、石膏等とともに混合されて、セメントが製造される。セメントの製造に供されるまえに、回収されたセメント用混和材は貯蔵されても良い。セメント用混和材は、脱水ケーキの状態で貯蔵されても良く、乾燥された状態で貯蔵されても良い。
得られたセメント用混和材中の未燃炭素量は、処理前の未燃炭素の総量、未燃炭素A及び未燃炭素Bの割合にもよるが、0.3〜4.5質量%に低減されたものとなる。セメント用混和材に含まれる未燃炭素は、主として未燃炭素Aである。すなわち、本発明によれば、石炭灰からコンクリートの外観不良の原因となる未燃炭素Bを選択的に分離除去しながら、外観に影響のない未燃炭素Aが石炭灰に残留することを許容する。
[セメント用混和材の製造装置]
本発明のセメント用混和材の製造装置は、石炭灰と捕集剤とを混合する混合手段と、前記石炭灰及び前記捕集剤の混合物と水とを混合し、懸濁液を生成する懸濁化手段と、前記懸濁液から、前記石炭灰及び未燃炭素Aを含む沈殿物と、前記捕集剤及び前記未燃炭素に比べて多孔質の未燃炭素Bを含む上澄み液とを分離する第1分離手段と、前記沈殿物をセメント用混和材として回収する混和材回収手段と、を含む。
以下、本発明のセメント混和材の製造装置の一例を、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るセメント用混和材の製造装置の構成を説明する概略図である。セメント用混和材製造装置(以下、単に「製造装置」と称する)10は、混合手段20、懸濁化手段30、分離手段(第1分離手段)40、及び、混和材回収手段50を備える。
石炭火力発電所から排出された石炭灰が、石炭灰サイロ12内に貯蔵されている。捕集剤が、タンク14内に貯蔵されている。石炭灰サイロ12から石炭灰が搬送手段16(例えばベルトコンベア)上に排出される。更に、搬送手段16上の石炭灰に、タンク14から捕集剤が添加される。捕集剤の添加方法としては特に限定されず、散布、滴下などの公知の手段を採用することができる。
石炭灰及び捕集剤は、搬送手段16により混合手段20に搬送される。混合手段20は、例えばミキサ、振とう撹拌機、ホモジナイザである。混合手段20において、石炭灰及び捕集剤が混合され、捕集剤が主として石炭灰中の未燃炭素Bに吸着する。
なお、本発明では、石炭灰サイロ14及びタンク14を混合手段20と直接連結し、原料石炭灰及び捕集剤が直接混合手段20に投入される構成としても良い。
石炭灰及び捕集剤の混合物は混合手段20から排出され、懸濁化手段30に投入される。懸濁化手段30は、例えばミキサ、振とう撹拌機である。懸濁化手段30において、混合物と水とが混合され、懸濁液が生成する。
懸濁液は懸濁化手段30から排出され、分離手段40に搬送される。分離手段40は、例えば、デカンタ型遠心分離機などの固液分離装置である。分離手段40により、懸濁液は、上澄み液と沈殿物(脱水ケーキ)とに分離される。上澄み液には、主として水、捕集剤、及び未燃炭素(主に未燃炭素B)が含まれる。沈殿物には、主として石炭灰及び未燃炭素(未燃炭素A)が含まれる。
石炭灰を含む沈殿物は、分離手段40から排出され、セメント用混和材として混和材回収手段50に回収される。回収されたセメント用混和材は、混和材回収手段50で貯蔵されることが好ましい。混和材回収手段50は、例えばサイロ、タンク、屋内ヤードである。
回収された石炭灰は、混和材回収手段50からセメントミルなどに搬送され、セメントの製造に供される。
分離手段40から排出された石炭灰を含む沈殿物は、水等が含まれる脱水ケーキである。そこで、分離手段40と混和材回収手段50との間に乾燥手段(不図示)を設け、脱水ケーキから水分等を除去し、乾燥した石炭灰として混和材回収手段50で回収されても良い。乾燥手段としては、例えば一般に汚泥乾燥に使用可能なドラム式乾燥機,ディスク式乾燥機が挙げられる。
分離手段40で生成した上澄み液は、沈殿物とは別に分離手段40から排出される。排出された上澄み液は、分離手段(第2分離手段)42に搬送される。分離手段42は、水簸などを採用することができる。分離装置42により、上澄み液は、水と、捕集剤が吸着した未燃炭素Bとに分離される。
なお、分離手段40として3相分離型のデカンタ型遠心分離装置を用いる場合には、懸濁液から、沈殿物(脱水ケーキ)の分離と同時に、捕集剤が吸着した未燃炭素Bを含む上澄み液と、未燃炭素Bを含まない水とを分離することが可能である。
分離された未燃炭素Bは、未燃炭素回収手段60に回収される。同時に、回収された未燃炭素Bは、未燃炭素回収手段60で貯蔵されることが好ましい。未燃炭素回収手段60は、例えばタンクである。
回収された未燃炭素Bは、燃料として利用されることが好ましい。例えば、回収された捕集剤は、クリンカ焼成のためのロータリーキルン、予熱設備などの燃焼設備に供給される。このような構成とすることにより、製造設備10で発生する廃棄物を有効利用することができる。
また、分離された水は、水回収手段62に回収され、貯蔵されることが好ましい。水回収手段62は、例えばタンクである。回収された水は、石炭灰及び捕集剤の混合物と混合するための水として、懸濁化手段30に搬送されることが好ましい。このように、製造装置10内で水を循環させることにより、セメント用混和材の製造で発生する廃棄物を減量することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
1.セメント用混和材の製造
<実施例1〜8>
石炭火力発電所から入手した石炭灰(未燃炭素量:6.2%)を容器に入れた。この石炭灰に、ケロシン(関東化学(株)製)を表1に示す割合(石炭灰100質量部に対する割合)で添加し、均一になるまで攪拌により混合した。上記混合物に対し、蒸留水(石炭灰の質量に対して50倍)を添加し、約5分間攪拌し、懸濁液を得た。
攪拌後の懸濁液を、遠心分離装置を用いて4000rpm、10分間の条件で処理し、上澄み液と沈殿物とに分離した。分離した上澄み液及び沈殿物をそれぞれ、150℃24時間の条件で乾燥し、固形分を得た。沈殿物から得た固形分を、実施例1〜8のセメント用混和材とした。
<比較例1>
実施例1〜8と同じ石炭灰を蒸留水(石炭灰の質量に対して50倍)に添加し、約5分間攪拌して懸濁液を得た。実施例1〜8と同じ条件で、懸濁液から上澄み液及び沈殿物を分離し、乾燥させて固形分を得た。沈殿物から得た固形分を、比較例1のセメント用混和材とした。
<比較例2〜3>
実施例1〜8と同じ石炭灰を蒸留水(石炭灰の質量に対して50倍)に添加し、約5分間攪拌した。その後、ケロシン(関東化学(株)製)を表1に示す割合(石炭灰100質量部に対する割合)で添加し、更に約5分間攪拌し、懸濁液を得た。
実施例1〜8と同じ条件で、得られた懸濁液を上澄み液と沈殿物とに分離し、乾燥させて固形分を得た。沈殿物から得た固形分を、比較例2〜3のセメント用混和材とした。
<比較例4>
実施例1〜8と同じ石炭灰を蒸留水(石炭灰の質量に対して50倍)に添加し、約5分間攪拌して懸濁液を得た。
得られた懸濁液を1時間静置し、上澄み液と沈殿物とに分離させ、それぞれ採取した。分離後の上澄み液及び沈殿物をそれぞれ、120℃24時間の条件で乾燥し、固形分を得た。沈殿物から得た固形分を、比較例4のセメント用混和材とした。
<比較例5〜6>
実施例1〜8と同じ石炭灰を蒸留水(石炭灰の質量に対して50倍)に添加し、約5分間攪拌した。その後、ケロシン(関東化学(株)製)を表1に示す割合(石炭灰100質量部に対する割合)で添加し、更に約5分間攪拌し、懸濁液を得た。
得られた懸濁液を1時間静置し、上澄み液と沈殿物とに分離させ、それぞれ採取した。分離後の上澄み液及び沈殿物をそれぞれ、150℃24時間の条件で乾燥し、固形分を得た。沈殿物から得た固形分を、比較例5〜6のセメント用混和材とした。
2.評価方法
2−1.分離割合
実施例及び比較例について、上澄み液及び沈殿物から得た固形分の質量を測定した。全固形分に対する上澄み液から得た固形分の質量割合、及び、全固形分に対する沈殿物から得た固形分の質量割合を算出した。全固形分は、上澄み液から得た固形分と沈殿物から得た固形分の和とした。各質量割合を、表1に「分離割合」として示す。
2−2.未燃炭素量
上澄み液及び沈殿物の固形分について、それぞれ下記条件で熱重量分析測定(TG−DTA)を行った。300℃〜1000℃の間の減量分を、未燃炭素の質量とした。表1に、上澄み液及び沈殿物から得た各固形分中の未燃炭素の含有率を示す。
同様の条件で、処理前の石炭灰(原料石炭灰)中の未燃炭素の含有率も測定した。
<TG−DTA分析条件>
装置:リガク社製 Thermo plus EVO II
分析試料重量:40mg
パージガス:空気、200ml/min
測定温度:40℃〜1000℃
昇温速度:10℃/min
上澄み液中の固形分の重量割合(表1の分離割合)と、上澄み液中の未燃炭素の含有率とから、次式により未燃炭素の除去率を算出した。表1に、各実施例及び比較例の未燃炭素の除去率を示す。
除去率(%)={(上澄み液中の固形分の重量割合)×(上澄み液中の未燃炭素の含有率)}/(処理前の石炭灰中の未燃炭素の含有率)
2−3.外観評価
実施例及び比較例の各セメント用混和材、普通ポルトランドセメントクリンカ(住友大阪セメント(株)製)、石膏、石灰石を配合し、ブレーン比表面積値が3300cm/gの範囲となるようにボールミルで粉砕して、セメント組成物を作製した。セメント用混和材は、上記の粉砕したセメント組成物に対して内割で20質量%となるように配合した。
上記した混合材を含むセメント組成物は,JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して得られたセメント組成物からモルタルを混錬し、モルタル供試体形成型に型詰め機にて成形し、表面ならしをする直前の状態を目視観察し、下記基準に従って評価した。
<評価基準>
A:表面に未燃炭素に由来する黒色の斑点、筋などが観察されなかった。
B:未燃炭素に由来する黒色の斑点、筋などが確認されたが、観察領域に対して黒色領域の面積割合は8%未満だった。
C:未燃炭素に由来する黒色の斑点、筋などが確認され、観察領域に対して黒色領域の面積割合は8%以上だった。
3.結果
Figure 2021143109
比較例2〜3、5〜6は、石炭灰及び水のスラリーに対して灯油(捕集剤)を添加した例である。灯油の添加量が多くなっても、灯油を添加していない比較例1及び比較例4と未燃炭素の除去率に変化はなかった。特に、遠心分離を行った比較例2,3の未燃炭素量除去率が非常に低いことから、スラリーに対して捕集剤を添加しても、未燃炭素の除去に効果がないことが分かる。これは、多孔質の未燃炭素Bへの捕集剤の吸着が水によって阻害されて吸着量が低くなったことと、未燃炭素Bの内部に水が浸透し、未燃炭素の比重が上昇して石炭灰との密度差が小さくなったことにより、未燃炭素の分離効率が低下したためと推測される。
これに対し、石炭灰と灯油を混合してから水を添加してスラリーを作製した実施例1〜8は、比較例に対して未燃炭素の除去率が大幅に上昇した。また、実施例1〜8では、沈殿物の分離割合及び沈殿物中の未燃炭素量も、比較例に対して明らかに低下した。このように、石炭灰と灯油(捕集剤)とを先に混合してから水を添加することにより、未燃炭素の除去率を格段に向上させることができることは明らかである。
ここで、実施例1〜5の間で比較すると、灯油添加量を増やすことにより未燃炭素の除去率が高くなるが、沈殿物中の未燃炭素含有量は3%程度が限度となっている。また、特に灯油添加量が0.2〜4.9質量部の実施例2〜5で、モルタルとしたときの外観が良好となった。このことから、灯油(捕集剤)によって未燃炭素Bが選択的に除去されていることが理解できる。
上記結果が得られた理由としては、先に石炭灰と灯油(捕集剤)とを混合することにより、未燃炭素と灯油との接触効率が高まり、未燃炭素Bへの灯油の吸着量が増大したこと、及び、多孔質の未燃炭素B内に灯油が含浸し、その後の水の浸透が阻害されたため、灯油の吸着により未燃炭素Bの比重が低下し、石炭灰との密度差が生じたことによって分離効率が向上したためと推測される。
実施例6〜8は、未燃炭素の除去率は高いものの、灯油添加量が高くなるほど、沈殿物の分離割合が低下する傾向があった。つまり、回収できるセメント用混和材の量が低下する傾向が見られた。これは、灯油(捕集剤)の量が過剰であるために、未燃炭素だけでなく石炭灰にも灯油が吸着して、分離した際に上澄み液にも石炭灰の一部が移行したためと考えられる。
これに対し、実施例2〜5(灯油添加量:0.2〜4.9質量部)は、分離した後の沈殿物の割合が特に高く、かつ、沈殿物中の未燃炭素含有率が低かった。実施例2〜5では、効率良く未燃炭素Bが除去されたセメント用混和材が得られ、かつ、石炭灰の回収率が高かったと言える。
図2に、実施例5のセメント用混和材から作製したモルタルの外観写真を示す。図3に、実施例6のセメント用混和材から作製したモルタルの外観写真を示す。図4に、処理を施していない石炭灰(原料石炭灰)をセメント用混和材として用いたモルタルの外観写真を示す。
各モルタルは、項目2−3に記載の工程で作製した。
図2に示す実施例5のモルタルでは、未燃炭素の表面への析出は確認できなかった。図3に示す実施例6のモルタルは、未燃炭素の析出による斑点、スジが確認できたものの、析出割合が少なく、色も薄かったため、外観上問題ない範囲であった。
一方、処理されていない石炭灰を用いた場合は、図4に示すように濃い黒色の斑点、スジが多数確認できた。
10 セメント用混和材製造装置
20 混合手段
30 懸濁化手段
40 分離手段
50 混和材回収手段

Claims (5)

  1. 石炭灰と捕集剤とを混合する工程と、
    前記石炭灰及び前記捕集剤の混合物と水とを混合し、懸濁液を得る工程と、
    前記懸濁液から、前記石炭灰及び未燃炭素Aを含む沈殿物と、前記捕集剤及び未燃炭素Bを含む上澄み液とを分離し、前記沈殿物をセメント用混和材として回収する工程と、
    を含むセメント用混和材の製造方法。
  2. 前記捕集剤の添加量が、石炭灰100質量部に対して0.2質量部以上4.9質量部以下である、請求項1に記載のセメント混和物の製造方法。
  3. 石炭灰と捕集剤とを混合する混合手段と、
    前記石炭灰及び前記捕集剤の混合物と水とを混合し、懸濁液を生成する懸濁化手段と、
    前記懸濁液から、前記石炭灰及び未燃炭素Aを含む沈殿物と、前記捕集剤及び未燃炭素Bを含む上澄み液とを分離する第1分離手段と、
    前記沈殿物をセメント用混和材として回収する混和材回収手段と、
    を含むセメント用混和材の製造装置。
  4. 前記上澄み液から前記捕集剤及び前記未燃炭素Bと、前記水とを分離する第2分離手段と、
    分離された前記捕集剤及び前記未燃炭素Bを回収する捕集剤回収手段と、を更に備える請求項3に記載のセメント用混和材の製造装置。
  5. 石炭灰と捕集剤とを混合する工程と、
    前記石炭灰と前記捕集剤との混合物と水とを混合し、懸濁液を得る工程と、
    前記懸濁液から、前記石炭灰及び未燃炭素Aを含む沈殿物と、前記捕集剤及び未燃炭素Bを含む上澄み液とを分離する工程と、
    を含む石炭灰中の未燃炭素の分離方法。
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