JP2021142883A - 車両制御システム - Google Patents
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Abstract
Description
出力トルク制御の精度が低下することによっては必要とされるトルクダウン量に対し実際のトルクダウン量の過不足が生じることになるが、トルクダウン量が過剰である場合には車両が加速せず、トルクダウン量が少ないとスリップから復帰しない等の問題が生じ、結果として走破性の悪化を招く虞がある。
全ての車輪がスリップ状態となった場合に一部車輪駆動状態に切り替えることで、非駆動状態に切り替えられた車輪、すなわち従動輪に切り替えられた車輪は、スリップ状態が解消される。
カーブ路の走行時に全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替えを行うと、車両挙動の変化によりオーバーステア状態又はアンダーステア状態に陥る虞がある。このため、上記のようにカーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合には一部車輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
カーブ路の走行時に全輪駆動状態から前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えを行うと、オーバーステア状態、アンダーステア状態に陥り易くなる。このため、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合には前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
すなわち、アンダーステア、オーバーステアの発生に係る履歴情報に基づき、現在位置がアンダーステア発生場所に該当すると判定した場合には、アンダーステア傾向を打ち消すべく後輪駆動状態への切り替えを行い、現在位置がオーバーステア発生場所に該当すると判定した場合には、オーバーステア傾向を打ち消すべく前輪駆動状態への切り替えを行う。
これにより、アンダーステア、オーバーステアの原因が不明である場合に後輪駆動状態、前輪駆動状態への切り替えを行ってしまうことで、例えばアンダーステア傾向やオーバーステア傾向が緩和されずに逆に強めてしまう等の不適切な制御となってしまうことの防止を図ることが可能となる。
加速中は後輪側に加重偏重するため、仮に前輪駆動状態でカーブ路に進入しようとすると前輪が横滑りし易くなりカーブ路を曲がりきれなくなる虞がある(つまりアンダーステア傾向となる)。このため、上記のように加速中である場合は後輪駆動状態に切り替える。また、減速中は前輪側に加重偏重するため、仮に後輪駆動状態でカーブ路に進入しようとすると後輪が横滑りし易くなり舵角に対して曲がり過ぎてしまう虞がある(つまりオーバーステア傾向となる)。このため、上記のように減速中は前輪駆動状態に切り替える。
[1-1.車輪の駆動系及び車両制御システムの構成]
図1は、本発明に係る実施形態としての車両制御システム1が搭載される車両における車輪の駆動系の構成概要を示している。
なお、本例では、前輪、後輪としてそれぞれ二つの車輪Wを有する四輪車に本発明を適用する場合を例示する。
図示のように実施形態における車両には、左前輪としての車輪W1、右前輪としての車輪W2、左後輪としての車輪W3、及び右後輪としての車輪W4と、駆動源50と、センターディファレンシャル51とが設けられる。また、車輪W1、W2、W3、W4には、車輪Wの回転速度である車輪回転速を検出する車輪回転速センサ11a−1、11a−2、11a−3、11a−4が設けられている。
駆動源50からの駆動力は、センターディファレンシャル51を介して前輪としての車輪W1、W2、後輪としての車輪W3、W4に伝達可能とされる。
センターディファレンシャル51は、例えば油圧制御タイプのセンターディファレンシャルとされ、内部の特定箇所の油圧が上昇/下降されることで、前輪側へのトルク配分、後輪側へのトルク配分が変化する。
本例の車両は、このようなセンターディファレンシャル51によって、車輪W1、W2、W3、W4の全てを駆動する状態である全輪駆動状態と、一部の車輪Wのみを駆動する状態である一部車輪駆動状態との切り替えを行うことが可能とされている。具体的に本例では、一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪のみが駆動される状態である前輪駆動状態への切り替え、及び後輪のみが駆動される状態である後輪駆動状態への切り替えが可能とされている。
撮像部21は、自車両の進行方向(本例では前方)を撮像した撮像画像データを得る。本例における撮像部21には、二つのカメラ部が設けられており、各カメラ部は、それぞれカメラ光学系とCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子とを備えている。各カメラ部では、カメラ光学系により撮像素子の撮像面に被写体像が結像されて受光光量に応じた電気信号が画素単位で得られる。各カメラ部は、いわゆるステレオ撮像法による測距が可能となるように設置されている。各カメラ部で得られた電気信号は、A/D変換や所定の補正処理が施され、画素単位で所定階調による輝度値を表すデジタル画像信号(撮像画像データ)として画像処理部22に供給される。
具体的に、画像処理部22は、ステレオ撮像により得られた各撮像画像データに基づく各種の画像処理を実行し、自車両の前方の立体物データや白線データ等の前方情報を認識し、これら認識情報等に基づいて自車走行路を推定する。さらに、画像処理部22は、認識した立体物データ等に基づいて自車走行路上の先行車両の検出を行う。
また、画像処理部22は、先行車両の中で、特に先行車速ssが所定値以下(例えば、4Km/h以下)で且つ加速していないものは、略停止状態の先行車両として認識する。
画像処理部22は、上記の先行車情報を例えば撮像画像データのフレームごとに算出し、算出した先行車情報を逐次、記憶する。また、画像処理部22は、上記のように白線データや側壁データ等に基づいて推定した自車走行路の情報についても逐次記憶する。
ACCでは、センサ・操作子類11に設けられた所定の操作子による操作入力に基づいて、目標車速Stと目標車間距離Dtがセットされる。なお、本例において、運転者は操作により例えば「長」、「中」、「短」の三つの車間距離モードから任意の車間距離モードを選択可能とされ、制御部23は、例えば、自車速jsに応じて、選択されたモード毎に異なる目標車間距離Dtを設定する。
なお、以下「目標車速St」については「セット車速St」と表記する。
ここで、目標駆動力は、例えば加速側であれば正の値、減速側であれば負の値として算出される等、加速側と減速側とで極性の異なる値として算出される。
要求ブレーキ液圧は、目標駆動力を実現するために要求されるブレーキ液圧である。
ここで、動きセンサ11dとして、本例では、3軸の加速度センサやヨーレートセンサが設けられている。
また、図示は省略したが、センサ・操作子類11は、他のセンサとして、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサや、エンジンへの吸入空気量を検出する吸入空気量センサ、吸気通路に介装されてエンジンの各気筒に供給する吸入空気量を調整するスロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサ、エンジン温度を示す冷却水温を検出する水温センサ、車外の気温を検出する外気温センサ、自車走行路の勾配を検出する勾配センサ等も有する。
また、センサ・操作子類11が有する操作子としては、車両制御システム1の起動/停止を指示するためのスタートスイッチや、前述したACC関連の操作を行うための操作子などがある。
これら車輪速度と車体速度は、共に車体の速度を示す指標値であり、「車輪速度」は、車輪回転速と車輪Wの外径とに基づいて算出される値である。この車輪速度は、車輪Wがスリップ状態(空転状態)となった場合には、実際の車体の速度に対して比較的大きな差が生じるものとなる。換言すれば、車輪Wがスリップ状態でない場合に、実際の車体の速度を正しく示す値となる。
「車体速度」は、同様に車輪回転速を用いて算出される値であるが、車輪回転速以外の例えば加速度情報やアクセル開度情報、変速比情報、舵角情報などの各種情報を併用して、車輪Wがスリップ状態となった際における実際の車体の速度との差が生じ難くなるように算出される値である。なお、このような各種の情報を用いた車体速度の算出手法については、従来より種々の手法が提案されており、公知の手法を用いればよい。また、車体速度の算出に用いる各種情報については、上記で例示した情報に限定されるものではなく、例示した一部の情報のみを用いてもよいし、例示していない情報が併用されてもよい。
HEV制御ユニット3は、制御部23から入力した要求駆動力に基づいて、エンジンに要求される駆動力であるエンジン要求駆動力と、モータに要求される駆動力であるモータ要求駆動力とを算出し、エンジン要求駆動力をエンジン制御ユニット4に、モータ要求駆動力をモータ制御ユニット5にそれぞれ指示する。
本例のHEV制御ユニット3は、このようなトルク配分の制御によって、車輪Wの駆動状態について、全輪駆動状態、前輪駆動状態、後輪駆動状態の三者間での切り替えを行うことが可能とされるが、本実施形態としての駆動輪の切り替え制御については後述する。
エンジン制御ユニット4は、エンジン要求駆動力に基づき、燃料噴射タイミング、燃料噴射パルス幅、スロットル開度等の制御を行って、エンジン出力を制御する。また、エンジン制御ユニット4は、エンジンの始動/停止の制御を行うことが可能とされる。
モータ制御ユニット5は、モータ要求駆動力に基づき、MG10を力行回転させるべき場合はモータ駆動部8に対する指示を行ってMG10を力行回転させ、MG10を回生回転させるべき場合にはモータ駆動部8に対する指示を行ってMG10を回生回転させる。
ここで、前述のように全輪駆動状態において全車輪がスリップ状態となったときは、車輪回転速に基づいた車体速度の推定精度が低下するため、車輪Wの出力トルク制御の精度が低下してしまう。このように出力トルク制御の精度が低下することによっては必要とされるトルクダウン量に対し実際のトルクダウン量の過不足が生じることになるが、トルクダウン量が過剰である場合には車両が加速せず、トルクダウン量が少ないとスリップから復帰しない等の問題が生じ、走破性の悪化を招く虞がある。
すなわち、全輪駆動状態において、全ての車輪Wがスリップ状態であると判定した場合に、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替える制御を行うものである。具体的に本例では、全輪駆動状態から、前輪駆動状態、又は後輪駆動状態の何れかの駆動状態に切り替える制御を行う。
従って、全ての車輪Wがスリップ状態となる車両走行環境下において、車体速度の推定精度の向上を図ることができ、車輪Wの出力トルク制御の精度向上を図ることができる。その結果、全ての車輪Wがスリップ状態となる車両走行環境下において、走破性の向上を図ることができる。
ここで言う「カーブ路への進入直前段階」とは、車両の現在位置からカーブ路の開始位置までの距離が所定距離以内である状態、又は、カーブ路の開始位置までの到達予想時間が所定時間以内である状態を意味する。
これにより、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えに伴い、カーブ路走行時の車両がオーバーステア状態又はアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
図3は、上記により説明した第一実施形態としての駆動輪切り替え制御を実現するために実行すべき具体的な処理手順の例を示したフローチャートである。
ここで、本例において、該駆動輪切り替え制御の実行主体はHEV制御ユニット3である。HEV制御ユニット3は、図3に示す処理を、例えば内蔵するROM等の記憶装置に記憶されたプログラムに基づいて実行する。
なお、図3に示す処理は、全輪駆動状態において、例えば所定の周期で繰り返し実行される。
車輪Wがスリップ状態であるか否かの判定は、上述したスリップ率に基づいて行う。具体的には、例えばスリップ率が負極性側の所定閾値を下回ったことに応じて、スリップ状態であるとの判定結果を得る。例えばこのようなスリップ率に基づくスリップ判定を車輪Wごとに行い、全ての車輪Wについてスリップ状態であると判定した場合に、全車輪がスリップ状態であるとの判定結果を得る。
ステップS101において、全車輪スリップではないと判定した場合、HEV制御ユニット3は図3に示す一連の処理を終える。すなわち、この場合は全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り換えは行われない。
ステップS103において、カーブ路への進入直前段階であると判定した場合、HEV制御ユニット3は図3に示す一連の処理を終える(つまり一部車輪駆動状態への切り換えは行われない)。
上述のように本例では、一部車輪駆動状態として前輪駆動状態、後輪駆動状態の何れかへの切り替えを行うことが可能とされるが、第一実施形態においては、これら前輪駆動状態、後輪駆動状態のうち何れか任意の状態への切り替えを行えばよい。
そこで、これを対策するとした場合には、一部車輪駆動状態において、従動輪としての車輪Wに対してトルクを出力する制御を行う。具体的には、例えば一部車輪駆動状態への切り替え後、所定時間が経過する等の所定条件の成立に応じて、スリップが発生しない程度の十分低いトルク(所定値以下のトルク)を従動輪としての車輪Wに出力する制御を行う。
これにより、全車輪のスリップ状態が解消された以降の全輪駆動状態において、従動輪であった車輪Wのトルクが期待されるトルクに到達するまでの時間の短縮化を図ることができ、運転操作に対する応答性の向上を図ることができる。
続いて、第二実施形態について説明する。
第二実施形態は、アンダーステアやオーバーステアの発生場所に係る履歴情報に基づき、前輪駆動状態への切り替え、後輪駆動状態への切り替えの何れを実行するかについての選択を行うものである。
なお、第二実施形態において、車両の駆動系の構成や車両制御システム1のハードウエア構成については第一実施形態の場合と同様となるため重複説明は避ける。
アンダーステア発生場所は、アンダーステアの発生位置を含む場所であり、オーバーステア発生場所は、オーバーステアの発生位置を含む場所である。
本例において、アンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所は、例えば図示のように、発生位置Peを中心した半径rで表される範囲Aeとして定義される場所であるとする。
本例では、このようなアンダー/オーバーステア履歴情報Isの構築処理は、例えばHEV制御ユニット3が行う。
具体的に、第二実施形態において、HEV制御ユニット3は、全車輪スリップ状態と判定した場合において、図5Aに例示するように現在位置(図中「Pn」で表す)がアンダーステア発生場所(図中「Ae」で表す)に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行う。
一方、HEV制御ユニット3は、全車輪スリップ状態と判定した場合において、図5Bに例示するように現在位置(Pn)がオーバーステア発生場所(Ae)に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行う。
これにより、全車輪がスリップ状態となった場合の一部車輪駆動状態への切り替えにより車体速度の推定精度向上を図りながら、カーブ路走行時の車両がオーバーステア状態又はアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
後輪偏重駆動状態とは、前輪と後輪のトルク配分として後輪側に対するトルク配分が偏重している駆動状態を意味し、前輪偏重駆動状態とは、逆に前輪側に対するトルク配分が偏重している駆動状態を意味する。
従って、この場合におけるHEV制御ユニット3は、全車輪スリップ状態となった場合において、現在位置がアンダーステア発生場所に該当する場合には、該当するアンダーステア発生場所情報のフラグの有無を判定し、フラグが付されている場合には、後輪偏重駆動状態でのアンダーステア発生場所であるとして、全輪駆動状態から後輪駆動状態への切り替え制御を行わないようにする。
また、HEV制御ユニット3は、現在位置がオーバーステア発生場所に該当する場合には、該当するオーバーステア発生場所情報のフラグの有無を判定し、フラグが付されている場合には、前輪偏重駆動状態でのオーバーステア発生場所であるとして、全輪駆動状態から前輪駆動状態への切り替え制御を行わないようにする。
なお以下の説明において、既に説明済みとなった処理と同様となる処理については同一符号を付して説明を省略する。
先ず、HEV制御ユニット3はステップS201で、スリップ状態の待機処理を行う。すなわち、車輪Wがスリップ状態となることを待機する処理である。なお、ステップS201の処理は、全ての車輪Wがスリップ状態となることを待機する処理としてもよいし、一部の車輪Wがスリップ状態となることを待機する処理としてもよい。
ここで、ステップS201の処理は省略されてもよい。
前輪偏重駆動状態でなければ、HEV制御ユニット3はステップS205に進んでオーバーステア発生場所情報を追加する処理、すなわち、アンダー/オーバーステア履歴情報Isに追加する処理を行い、図6に示す一連の処理を終える。
一方、前輪偏重駆動状態であれば、HEV制御ユニット3はステップS206に進み、フラグ付きオーバーステア発生場所情報を追加する処理を行い、図6に示す一連の処理を終える。
後輪偏重駆動状態でなければ、HEV制御ユニット3はステップS208に進んでアンダーステア発生場所情報を追加する処理を行い、図6に示す一連の処理を終える。
一方、後輪偏重駆動状態であれば、HEV制御ユニット3はステップS209に進み、フラグ付きアンダーステア発生場所情報を追加する処理を行い、図6に示す一連の処理を終える。
先ず、図中のステップS101、S102の処理としては図3の場合と同様となるため説明を省略する。
この場合のHEV制御ユニット3は、ステップS102でカーブ路を走行中でないと判定したことに応じ、ステップS301で現在位置がアンダーステア又はオーバーステア発生場所に該当するか否かを判定する。この判定処理は、アンダー/オーバーステア履歴情報Isに基づき行うものであり、アンダー/オーバーステア履歴情報Isに格納されたアンダーステア発生場所情報、オーバーステア発生場所情報のうち、発生場所Aeに現在位置を含むものがあれば、現在位置がアンダーステア又はオーバーステア発生場所に該当するとの判定結果を得る。
すなわち、全車輪スリップ状態となった場合において、カーブ路を走行中でなく、且つアンダーステアやオーバーステアの発生が予測されない場合には、前輪駆動状態又は後輪駆動状態のうち任意の駆動状態への切り替えを行えばよい。
フラグ付きアンダーステア発生場所でなかった場合、すなわち、後輪偏重駆動状態でのアンダーステア発生場所でなかった場合、HEV制御ユニット3はステップS305に進んで後輪駆動状態に切り替える処理を行い、図7に示す一連の処理を終える。
これにより、現在位置がアンダーステア発生場所に該当する場合であっても、該アンダーステア発生場所が後輪偏重駆動状態でのアンダーステア発生場所であった場合には、後輪駆動状態への切り替えは行われない。
フラグ付きアンダーステア発生場所でなかった場合、すなわち、前輪偏重駆動状態でのオーバーステア発生場所でなかった場合、HEV制御ユニット3はステップS307に進んで前輪駆動状態に切り替える処理を行い、図7に示す一連の処理を終える。
これにより、現在位置がオーバーステア発生場所に該当する場合であっても、該オーバーステア発生場所が前輪偏重駆動状態でのオーバーステア発生場所であった場合には、後輪駆動状態への切り替えは行われない。
その場合、アンダー/オーバーステア履歴情報Isの構築は、自車両、及び他車両それぞれがアンダーステア、オーバーステアの発生に応じてアンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所の情報を所定のサーバ装置にアップロードすることで行う。全車輪スリップ状態と判定された場合において、現在位置がアンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所に該当するか否かを判定するにあたっては、このようにサーバ装置に構築されたアンダー/オーバーステア履歴情報Isを参照する。或いは、サーバ装置より予めアンダー/オーバーステア履歴情報Isを取得しておき、該取得したアンダー/オーバーステア履歴情報Isを参照することも考えられる。
第三実施形態は、全輪駆動状態において全車輪スリップ状態であると判定した場合において、カーブ路への進入直前段階であった場合に、車両が加速中か減速中かに応じて後輪駆動状態への切り替えを行うか、前輪駆動状態への切り替えを行うかを選択するものである。
一方、図8Bに示すように後輪駆動状態で減速しながらカーブ路を曲がる状況を考えると、減速中においては前輪側に加重偏重するため、後輪が横滑りし易くなり、舵角に対して曲がり過ぎてしまう虞がある(つまりオーバーステア傾向となる)。
これにより、カーブ路進入直前段階において加速中である場合に前輪駆動状態に切り替えが行われてしまい、図8Aのようなアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。また、カーブ路進入直前段階において減速中である場合に後輪駆動状態に切り替えが行われてしまい、図8Bのようなオーバーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
図中、ステップS101、S102、S103の処理については、図3の場合と同様となるため説明を省略する。
例えば、加速中、且つ舵角に対しあまりヨーレートや横加速度が出てない場合は、アンダーステア傾向に至ることが予想されるため、後輪駆動状態に切り替えを行い、また、減速中、且つ舵角に対しヨーレートや横加速度が出過ぎている場合は、オーバーステア傾向に至ることが予想されるため、前輪駆動状態に切り替えを行うといったことが考えられる。
なお、実施形態としては上記で例示した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例を採り得るものである。
例えば上記では、全輪駆動状態から前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能とされた車両の例として、センターディファレンシャル51としてのトルク配分機構により前輪側、後輪側へのトルク配分を行う車両を挙げたが、ディスコネクト機構によって全輪駆動状態から前輪駆動状態への切り替え、又は全輪駆動状態から後輪駆動状態への切り替えを行う車両にも本発明は好適に適用できる。
また、本発明は、前輪の駆動を担当するフロントモータと、後輪の駆動を担当するリアモータとを備えたEV車両にも好適に適用できる。
さらに、本発明は、全ての車輪Wにモータを備えたインホイールモータ搭載車両に対しても好適に適用できる。なおこの場合、一部車輪駆動状態としては、一つ或いは三つなど奇数個の車輪Wのみを駆動する状態が含まれ得る。
上記のように実施形態としての車両制御システム(同1)は、複数の車輪(同W)を有し、全ての車輪を駆動する状態である全輪駆動状態と、一部の車輪のみを駆動する状態である一部車輪駆動状態との切り替えが可能とされた車両における車両制御システムであって、車輪ごとに車輪回転速を検出する車輪回転速検出部(車輪回転速センサ部11a)と、全輪駆動状態において、全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合に、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替える制御を行う制御部(HEV制御ユニット3)と、を備えるものである。
全ての車輪がスリップ状態となった場合に一部車輪駆動状態に切り替えることで、非駆動状態に切り替えられた車輪、すなわち従動輪に切り替えられた車輪は、スリップ状態が解消される。
従って、全ての車輪がスリップ状態となる車両走行環境下において、車体速度の推定精度の向上を図ることができ、車輪の出力トルク制御の精度向上を図ることができるため、走破性の向上を図ることができる。
カーブ路の走行時に全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替えを行うと、車両挙動の変化によりオーバーステア状態又はアンダーステア状態に陥る虞がある。このため、上記のようにカーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合には一部車輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
これにより、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えに伴い、カーブ路走行時の車両がオーバーステア状態又はアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
カーブ路の走行時に全輪駆動状態から前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えを行うと、オーバーステア状態、アンダーステア状態に陥り易くなる。このため、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合には前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
これにより、全輪駆動状態から前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えに伴い、カーブ路走行時の車両がオーバーステア状態又はアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
すなわち、第二実施形態で説明したように、アンダーステア、オーバーステアの発生に係る履歴情報に基づき、現在位置がアンダーステア発生場所に該当すると判定した場合には、アンダーステア傾向を打ち消すべく後輪駆動状態への切り替えを行い、現在位置がオーバーステア発生場所に該当すると判定した場合には、オーバーステア傾向を打ち消すべく前輪駆動状態への切り替えを行う。
これにより、全車輪がスリップ状態となった場合の一部車輪駆動状態への切り替えにより車体速度の推定精度向上を図りながら、カーブ路走行時の車両がオーバーステア状態又はアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
これにより、アンダーステア、オーバーステアの原因が不明である場合に後輪駆動状態、前輪駆動状態への切り替えを行ってしまうことで、例えばアンダーステア傾向やオーバーステア傾向が緩和されずに逆に強めてしまう等の不適切な制御となってしまうことの防止を図ることが可能となる。
従って、制御の信頼性を高めることができる。
加速中は後輪側に加重偏重するため、仮に前輪駆動状態でカーブ路に進入しようとすると前輪が横滑りし易くなりカーブ路を曲がりきれなくなる虞がある(つまりアンダーステア傾向となる)。このため、上記のように加速中である場合は後輪駆動状態に切り替える。また、減速中は前輪側に加重偏重するため、仮に後輪駆動状態でカーブ路に進入しようとすると後輪が横滑りし易くなり舵角に対して曲がり過ぎてしまう虞がある(つまりオーバーステア傾向となる)。このため、上記のように減速中は前輪駆動状態に切り替える。
従って、車両の挙動を適切に制御することができる。
50 駆動源
51 センターディファレンシャル
1 車両制御システム
2 運転支援制御ユニット
21 撮像部
22 画像処理部
23 制御部
3 HEV制御ユニット
4 エンジン制御ユニット
5 モータ制御ユニット
6 ブレーキ制御ユニット
7 エンジン関連アクチュエータ
8 モータ駆動部
9 ブレーキ関連アクチュエータ
10 ディファレンシャル駆動部
11 センサ・操作子類
11a 車輪回転速センサ部
11a−1、11a−2、11a−3、11a−4 車輪回転速センサ
11b アクセル開度センサ
11c ブレーキ操作量センサ
11d 動きセンサ
11e 位置センサ
11f 舵角センサ
12 バス
Claims (6)
- 複数の車輪を有し、全ての前記車輪を駆動する状態である全輪駆動状態と、一部の前記車輪のみを駆動する状態である一部車輪駆動状態との切り替えが可能とされた車両における車両制御システムであって、
前記車輪ごとに車輪回転速を検出する車輪回転速検出部と、
全輪駆動状態において、全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合に、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替える制御を行う制御部と、を備える
車両制御システム。 - 前記制御部は、
全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、一部車輪駆動状態に切り替える制御を行わない
請求項1に記載の車両制御システム。 - 前記車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、
前記制御部は、
カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、前輪駆動状態又は後輪駆動状態に切り替える制御を行わない
請求項2に記載の車両制御システム。 - 前記車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、
前記制御部は、
全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、アンダーステアの発生位置を含む場所であるアンダーステア発生場所を示す情報とオーバーステアの発生位置を含む場所であるオーバーステア発生場所を示す情報とが履歴されたアンダー/オーバーステア履歴情報に基づき、現在位置が前記オーバーステア発生場所に該当するか、前記アンダーステア発生場所に該当するかを判定し、
現在位置が前記アンダーステア発生場所に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行い、
現在位置が前記オーバーステア発生場所に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行う
請求項1に記載の車両制御システム。 - 前記アンダー/オーバーステア履歴情報において、前記アンダーステア発生場所を示す情報には後輪偏重駆動状態でのアンダーステアであったか否かを示す識別情報が対応づけられ、前記オーバーステア発生場所を示す情報には前輪偏重駆動状態でのオーバーステアであったか否かを示す識別情報が対応づけられており、
前記制御部は、
現在位置が後輪偏重駆動状態でのアンダーステアの発生場所であると判定した場合は、全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行わず、
現在位置が前輪偏重駆動状態でのオーバーステアの発生場所であると判定した場合は、全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行わない
請求項4に記載の車両制御システム。 - 前記車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、
前記制御部は、
全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、カーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、加速中であるか、減速中であるかを判定し、
加速中であると判定した場合は全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行い、
減速中であると判定した場合は全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行う
請求項1に記載の車両制御システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020042898A JP2021142883A (ja) | 2020-03-12 | 2020-03-12 | 車両制御システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020042898A JP2021142883A (ja) | 2020-03-12 | 2020-03-12 | 車両制御システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021142883A true JP2021142883A (ja) | 2021-09-24 |
Family
ID=77765772
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2020042898A Pending JP2021142883A (ja) | 2020-03-12 | 2020-03-12 | 車両制御システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021142883A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11607953B2 (en) * | 2020-08-24 | 2023-03-21 | Subaru Corporation | Vehicle control system |
-
2020
- 2020-03-12 JP JP2020042898A patent/JP2021142883A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11607953B2 (en) * | 2020-08-24 | 2023-03-21 | Subaru Corporation | Vehicle control system |
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