JP2021142883A - 車両制御システム - Google Patents

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哉太 鈴木
達寛 久保
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Abstract

【課題】全車輪がスリップ状態となる車両走行環境下における走破性の向上を図る。【解決手段】本発明に係る車両制御システムは、複数の車輪を有し、全ての車輪を駆動する状態である全輪駆動状態と、一部の車輪のみを駆動する状態である一部車輪駆動状態との切り替えが可能とされた車両における車両制御システムであって、車輪ごとに車輪回転速を検出する車輪回転速検出部と、全輪駆動状態において、全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合に、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替える制御を行う制御部とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、駆動輪の切り替え機能を有する車両における車両制御システムに関するものであり、特には、全輪駆動状態において全車輪がスリップ状態となった場合における制御技術に関する。
車輪の全てを駆動する状態である全輪駆動状態と、一部の車輪のみを駆動する状態である一部車輪駆動状態との切り替えが可能とされた車両が存在する。例えば、四輪車において、四輪駆動状態と二輪駆動状態との切り替えが可能とされた車両等を挙げることができる。
なお、関連する従来技術については下記特許文献1−4を挙げることができる。
特開2009−166706号公報 特開2004−131007号公報 特開2007−22161号公報 特開平4−95532公報
一般的に全輪駆動状態での走行時には雪上路等の悪路に対する走破性が高まるものとされているが、走行路の状態や運転操作の態様等によっては全輪駆動状態においても全車輪がスリップするような状況に陥ることもあり得る。
ここで、車両としては、各車輪について検出した車輪回転速に基づいて車体の速度である車体速度を推定するものがある。そして、四輪駆動車等、全車輪を駆動可能な全輪駆動車には、このように車輪回転速から推定した車体速度に基づいて、前輪側、後輪側それぞれの出力トルクを制御するものがある。
上記のように車輪回転速から推定した車体速度に基づき前後車輪の出力トルク制御を行う車両において、仮に、上記のように全車輪がスリップ状態となったときは、車体速度の推定精度が低下することに伴い、出力トルク制御の精度が低下してしまう。
出力トルク制御の精度が低下することによっては必要とされるトルクダウン量に対し実際のトルクダウン量の過不足が生じることになるが、トルクダウン量が過剰である場合には車両が加速せず、トルクダウン量が少ないとスリップから復帰しない等の問題が生じ、結果として走破性の悪化を招く虞がある。
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、全車輪がスリップ状態となる車両走行環境下における走破性の向上を図ることを目的とする。
本発明に係る車両制御システムは、複数の車輪を有し、全ての前記車輪を駆動する状態である全輪駆動状態と、一部の前記車輪のみを駆動する状態である一部車輪駆動状態との切り替えが可能とされた車両における車両制御システムであって、前記車輪ごとに車輪回転速を検出する車輪回転速検出部と、全輪駆動状態において、全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合に、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替える制御を行う制御部と、を備えるものである。
全ての車輪がスリップ状態となった場合に一部車輪駆動状態に切り替えることで、非駆動状態に切り替えられた車輪、すなわち従動輪に切り替えられた車輪は、スリップ状態が解消される。
上記した本発明に係る車両制御システムにおいては、前記制御部は、全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、一部車輪駆動状態に切り替える制御を行わない構成とすることが可能である。
カーブ路の走行時に全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替えを行うと、車両挙動の変化によりオーバーステア状態又はアンダーステア状態に陥る虞がある。このため、上記のようにカーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合には一部車輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
上記した本発明に係る車両制御システムにおいては、前記車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、前記制御部は、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、前輪駆動状態又は後輪駆動状態に切り替える制御を行わない構成とすることが可能である。
カーブ路の走行時に全輪駆動状態から前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えを行うと、オーバーステア状態、アンダーステア状態に陥り易くなる。このため、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合には前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
上記した本発明に係る車両制御システムにおいては、前記車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、前記制御部は、全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、アンダーステアの発生位置を含む場所であるアンダーステア発生場所を示す情報とオーバーステアの発生位置を含む場所であるオーバーステア発生場所を示す情報とが履歴されたアンダー/オーバーステア履歴情報に基づき、現在位置が前記オーバーステア発生場所に該当するか、前記アンダーステア発生場所に該当するかを判定し、現在位置が前記アンダーステア発生場所に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行い、現在位置が前記オーバーステア発生場所に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行う構成とすることが可能である。
すなわち、アンダーステア、オーバーステアの発生に係る履歴情報に基づき、現在位置がアンダーステア発生場所に該当すると判定した場合には、アンダーステア傾向を打ち消すべく後輪駆動状態への切り替えを行い、現在位置がオーバーステア発生場所に該当すると判定した場合には、オーバーステア傾向を打ち消すべく前輪駆動状態への切り替えを行う。
上記した本発明に係る車両制御システムにおいては、前記アンダー/オーバーステア履歴情報において、前記アンダーステア発生場所を示す情報には後輪偏重駆動状態でのアンダーステアであったか否かを示す識別情報が対応づけられ、前記オーバーステア発生場所を示す情報には前輪偏重駆動状態でのオーバーステアであったか否かを示す識別情報が対応づけられており、前記制御部は、現在位置が後輪偏重駆動状態でのアンダーステアの発生場所であると判定した場合は、全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行わず、現在位置が前輪偏重駆動状態でのオーバーステアの発生場所であると判定した場合は、全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行わない構成とすることが可能である。
これにより、アンダーステア、オーバーステアの原因が不明である場合に後輪駆動状態、前輪駆動状態への切り替えを行ってしまうことで、例えばアンダーステア傾向やオーバーステア傾向が緩和されずに逆に強めてしまう等の不適切な制御となってしまうことの防止を図ることが可能となる。
上記した本発明に係る車両制御システムにおいては、前記車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、前記制御部は、全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、カーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、加速中であるか、減速中であるかを判定し、加速中であると判定した場合は全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行い、減速中であると判定した場合は全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行う構成とすることが可能である。
加速中は後輪側に加重偏重するため、仮に前輪駆動状態でカーブ路に進入しようとすると前輪が横滑りし易くなりカーブ路を曲がりきれなくなる虞がある(つまりアンダーステア傾向となる)。このため、上記のように加速中である場合は後輪駆動状態に切り替える。また、減速中は前輪側に加重偏重するため、仮に後輪駆動状態でカーブ路に進入しようとすると後輪が横滑りし易くなり舵角に対して曲がり過ぎてしまう虞がある(つまりオーバーステア傾向となる)。このため、上記のように減速中は前輪駆動状態に切り替える。
本発明によれば、全車輪がスリップ状態となる車両走行環境下における走破性の向上を図ることができる。
本発明に係る実施形態としての車両制御システムが搭載される車両における車輪の駆動系の構成概要を示した図である。 実施形態としての車両制御システムの構成概要を示したブロック図である。 第一実施形態としての駆動輪切り替え制御を実現するために実行すべき具体的な処理手順の例を示したフローチャートである。 アンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所の説明図である。 第二実施形態としての駆動輪切り替え制御の説明図である。 アンダー/オーバーステア履歴情報の構築に係る処理のフローチャートである。 第二実施形態としての駆動輪切り替え制御処理を示したフローチャートである。 第三実施形態としての駆動輪切り替え制御についての説明図である。 第三実施形態としての駆動輪切り替え制御を実現するために実行すべき具体的な処理手順の例を示したフローチャートである。
<1.第一実施形態>
[1-1.車輪の駆動系及び車両制御システムの構成]
図1は、本発明に係る実施形態としての車両制御システム1が搭載される車両における車輪の駆動系の構成概要を示している。
なお、本例では、前輪、後輪としてそれぞれ二つの車輪Wを有する四輪車に本発明を適用する場合を例示する。
図示のように実施形態における車両には、左前輪としての車輪W1、右前輪としての車輪W2、左後輪としての車輪W3、及び右後輪としての車輪W4と、駆動源50と、センターディファレンシャル51とが設けられる。また、車輪W1、W2、W3、W4には、車輪Wの回転速度である車輪回転速を検出する車輪回転速センサ11a−1、11a−2、11a−3、11a−4が設けられている。
駆動源50は、車輪Wの駆動源であり、例えばエンジン(内燃機関)やモータ等で構成することができる。
駆動源50からの駆動力は、センターディファレンシャル51を介して前輪としての車輪W1、W2、後輪としての車輪W3、W4に伝達可能とされる。
センターディファレンシャル51は、例えば油圧制御タイプのセンターディファレンシャルとされ、内部の特定箇所の油圧が上昇/下降されることで、前輪側へのトルク配分、後輪側へのトルク配分が変化する。
本例の車両は、このようなセンターディファレンシャル51によって、車輪W1、W2、W3、W4の全てを駆動する状態である全輪駆動状態と、一部の車輪Wのみを駆動する状態である一部車輪駆動状態との切り替えを行うことが可能とされている。具体的に本例では、一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪のみが駆動される状態である前輪駆動状態への切り替え、及び後輪のみが駆動される状態である後輪駆動状態への切り替えが可能とされている。
図2は、図1に示す車両に搭載された実施形態としての車両制御システム1の構成概要を示したブロック図である。なお、図1では、車両制御システム1の構成のうち主に本発明に係る要部の構成のみを抽出して示している。実施形態では、図1に示した車両がハイブリッド車両(Hybrid Electric Vehicle:HEV)である場合に対応した車両制御システム1の構成例を示している。ハイブリッド車両の場合、駆動源50としてはエンジン及びモータ(モータ・ジェネレータ)が設けられる。
図2に示すように、車両制御システム1は、運転支援制御ユニット2、HEV制御ユニット3、エンジン制御ユニット4、モータ制御ユニット5、ブレーキ制御ユニット6、エンジン関連アクチュエータ7、モータ駆動部8、ブレーキ関連アクチュエータ9、ディファレンシャル駆動部10、センサ・操作子類11、及びバス12を備えている。
運転支援制御ユニット2は、撮像部21、画像処理部22、及び制御部23を有し、運転支援のための各種の制御処理(以下「運転支援制御処理」と表記)を実行する。
撮像部21は、自車両の進行方向(本例では前方)を撮像した撮像画像データを得る。本例における撮像部21には、二つのカメラ部が設けられており、各カメラ部は、それぞれカメラ光学系とCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子とを備えている。各カメラ部では、カメラ光学系により撮像素子の撮像面に被写体像が結像されて受光光量に応じた電気信号が画素単位で得られる。各カメラ部は、いわゆるステレオ撮像法による測距が可能となるように設置されている。各カメラ部で得られた電気信号は、A/D変換や所定の補正処理が施され、画素単位で所定階調による輝度値を表すデジタル画像信号(撮像画像データ)として画像処理部22に供給される。
画像処理部22は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ、或いはDSP(Digital Signal Processor)を有して構成され、撮像部21で得られた撮像画像データに基づき、車外環境の認識に係る所定の画像処理を実行する。
具体的に、画像処理部22は、ステレオ撮像により得られた各撮像画像データに基づく各種の画像処理を実行し、自車両の前方の立体物データや白線データ等の前方情報を認識し、これら認識情報等に基づいて自車走行路を推定する。さらに、画像処理部22は、認識した立体物データ等に基づいて自車走行路上の先行車両の検出を行う。
具体的に、画像処理部22は、ステレオ撮像された各撮像画像データに基づく処理として例えば以下のような処理を行う。先ず、各撮像画像データとしての撮像画像対に対し、対応する位置のずれ量(視差)から三角測量の原理によって距離情報を生成する。そして、距離情報に対して公知のグルーピング処理を行い、グルーピング処理した距離情報を予め記憶しておいた三次元的な道路形状データや立体物データ等と比較することにより、白線データ、道路に沿って存在するガードレール、縁石等の側壁データ、車両等の立体物データ等を抽出する。さらに、画像処理部22は、白線データや側壁データ等に基づいて自車走行路を推定し、自車走行路上に存在する立体物であって、自車両と略同じ方向に所定の速度(例えば、0Km/h以上)で移動するものを先行車両として抽出(検出)する。そして、先行車両を検出した場合には、その先行車情報として、車間距離cd(=自車両との車間距離)、相対速度ds(=車間距離cdの変化割合)、先行車速ss(相対速度ds+自車速js)などを算出する。なお、自車速jsは、後述する「車体速度」に相当する。
また、画像処理部22は、先行車両の中で、特に先行車速ssが所定値以下(例えば、4Km/h以下)で且つ加速していないものは、略停止状態の先行車両として認識する。
画像処理部22は、上記の先行車情報を例えば撮像画像データのフレームごとに算出し、算出した先行車情報を逐次、記憶する。また、画像処理部22は、上記のように白線データや側壁データ等に基づいて推定した自車走行路の情報についても逐次記憶する。
制御部23は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータを有して構成され、画像処理部22による画像処理の結果や、センサ・操作子類11で得られる検出情報、操作入力情報等に基づき、運転支援制御処理を実行する。
ここで、制御部23は、同じくマイクロコンピュータを有して構成されたHEV制御ユニット3、エンジン制御ユニット4、モータ制御ユニット5、及びブレーキ制御ユニット6のそれぞれとバス12を介して接続されており、これら各制御ユニットとの間で相互にデータ通信を行うことが可能とされる。制御部23は、上記の各制御ユニットのうち必要な制御ユニットに対して指示を行って運転支援に係る動作を実行させる。
制御部23は、運転支援制御処理の一つとして、例えばオートクルーズ制御を行う。すなわち、指定された走行条件を満たすように自車両の速度の制御を行う。特に、本例の制御部23は、オートクルーズ制御として、ACC(Adaptive Cruise Control:車間距離制御付クルーズコントロール)を実現するための処理を行う。
ACCでは、センサ・操作子類11に設けられた所定の操作子による操作入力に基づいて、目標車速Stと目標車間距離Dtがセットされる。なお、本例において、運転者は操作により例えば「長」、「中」、「短」の三つの車間距離モードから任意の車間距離モードを選択可能とされ、制御部23は、例えば、自車速jsに応じて、選択されたモード毎に異なる目標車間距離Dtを設定する。
なお、以下「目標車速St」については「セット車速St」と表記する。
制御部23は、ACC中において、先行車両が検出されていない場合には自車速jsをセット車速Stに収束させる定速走行制御を行う。また、制御部23は、定速走行制御中に先行車両を認識した場合には、当該先行車両との車間距離cdを目標車間距離Dtに収束させる追従走行制御を行う。
制御部23は、ACC中において、上記のような定速走行制御、追従走行制御を実現するための目標駆動力を算出する。また、制御部23は、ACC中以外の状態(車両の加減速を運転者のアクセル操作やブレーキ操作に基づき制御する状態)では、運転者によるアクセル操作やブレーキ操作に基づいて目標駆動力の算出を行う。
ここで、目標駆動力は、例えば加速側であれば正の値、減速側であれば負の値として算出される等、加速側と減速側とで極性の異なる値として算出される。
本例の制御部23は、算出した目標駆動力に基づいて、要求駆動力と要求ブレーキ液圧とを算出する。要求駆動力は、目標駆動力を実現するために要求される車両の駆動力であり、車輪の駆動源としてエンジンとモータとを有する本例の車両の場合には、エンジンとモータの総合の駆動力として算出される。
要求ブレーキ液圧は、目標駆動力を実現するために要求されるブレーキ液圧である。
ここで、HEVの場合には、車両の制動手段としてディスクブレーキ等によるブレーキ機構以外に、モータ(モータ・ジェネレータ)の回生を利用した回生ブレーキがある。従って、車両の減速時には、算出された目標駆動力に応じた減速状態が実現されるように、要求ブレーキ液圧のみでなく要求駆動力の算出が行われる。
センサ・操作子類11は、自車両に設けられた各種のセンサや操作子を包括的に表している。センサ・操作子類11が有する車輪回転速センサ部11aは、図1に示した車輪回転速センサ11a−1〜11a−4を包括的に表したものである。また、センサ・操作子類11が有するセンサとしては、アクセルペダルの踏込み量からアクセル開度を検出するアクセル開度センサ11b、ブレーキペダルの操作量(踏み込み量)を検出するブレーキ操作量センサ11c、及び、例えば加速度センサや角速度センサ等を有し自車両の動きを検出する動きセンサ11d、GPSセンサ等の現在位置を検出するセンサである位置センサ11e、操舵輪(本例では前輪)の舵角を検出する舵角センサ11fがある。
ここで、動きセンサ11dとして、本例では、3軸の加速度センサやヨーレートセンサが設けられている。
また、図示は省略したが、センサ・操作子類11は、他のセンサとして、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサや、エンジンへの吸入空気量を検出する吸入空気量センサ、吸気通路に介装されてエンジンの各気筒に供給する吸入空気量を調整するスロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサ、エンジン温度を示す冷却水温を検出する水温センサ、車外の気温を検出する外気温センサ、自車走行路の勾配を検出する勾配センサ等も有する。
また、センサ・操作子類11が有する操作子としては、車両制御システム1の起動/停止を指示するためのスタートスイッチや、前述したACC関連の操作を行うための操作子などがある。
ここで、図示による説明は省略するが、本例の車両制御システム1においては、車輪回転速センサ部11aで検出される各車輪Wの車輪回転速に基づいて、「車輪速度」と「車体速度」とが算出される。
これら車輪速度と車体速度は、共に車体の速度を示す指標値であり、「車輪速度」は、車輪回転速と車輪Wの外径とに基づいて算出される値である。この車輪速度は、車輪Wがスリップ状態(空転状態)となった場合には、実際の車体の速度に対して比較的大きな差が生じるものとなる。換言すれば、車輪Wがスリップ状態でない場合に、実際の車体の速度を正しく示す値となる。
「車体速度」は、同様に車輪回転速を用いて算出される値であるが、車輪回転速以外の例えば加速度情報やアクセル開度情報、変速比情報、舵角情報などの各種情報を併用して、車輪Wがスリップ状態となった際における実際の車体の速度との差が生じ難くなるように算出される値である。なお、このような各種の情報を用いた車体速度の算出手法については、従来より種々の手法が提案されており、公知の手法を用いればよい。また、車体速度の算出に用いる各種情報については、上記で例示した情報に限定されるものではなく、例示した一部の情報のみを用いてもよいし、例示していない情報が併用されてもよい。
なお、車輪速度、車体速度の算出主体は、運転支援制御ユニット2、HEV制御ユニット3、エンジン制御ユニット4、モータ制御ユニット5、ブレーキ制御ユニット6の何れであってもよく、また、これらの制御ユニット以外の不図示の制御ユニットが算出主体であってもよい。
HEV制御ユニット3は、運転支援制御ユニット2における制御部23が算出した要求駆動力に基づき、エンジン制御ユニット4とモータ制御ユニット5に対する指示を行って車両の動作をコントロールする。
HEV制御ユニット3は、制御部23から入力した要求駆動力に基づいて、エンジンに要求される駆動力であるエンジン要求駆動力と、モータに要求される駆動力であるモータ要求駆動力とを算出し、エンジン要求駆動力をエンジン制御ユニット4に、モータ要求駆動力をモータ制御ユニット5にそれぞれ指示する。
また、本例のHEV制御ユニット3は、ディファレンシャル駆動部10に対する指示を行って、センターディファレンシャル51による前輪、後輪へのトルク配分を制御する。ディファレンシャル駆動部10は、センターディファレンシャル51の油圧制御を行うための各種のアクチュエータを含んで構成され、HEV制御ユニット3は該アクチュエータの駆動制御を行うことでトルク配分を制御する。
本例のHEV制御ユニット3は、このようなトルク配分の制御によって、車輪Wの駆動状態について、全輪駆動状態、前輪駆動状態、後輪駆動状態の三者間での切り替えを行うことが可能とされるが、本実施形態としての駆動輪の切り替え制御については後述する。
エンジン制御ユニット4は、HEV制御ユニット3から指示されるエンジン要求駆動力に基づき、エンジン関連アクチュエータ7として設けられた各種アクチュエータを制御する。エンジン関連アクチュエータ7としては、例えばスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータや燃料噴射を行うインジェクタ等のエンジン駆動に係る各種のアクチュエータが設けられる。
エンジン制御ユニット4は、エンジン要求駆動力に基づき、燃料噴射タイミング、燃料噴射パルス幅、スロットル開度等の制御を行って、エンジン出力を制御する。また、エンジン制御ユニット4は、エンジンの始動/停止の制御を行うことが可能とされる。
モータ制御ユニット5は、HEV制御ユニット3から指示されるモータ要求駆動力に基づきモータ駆動部8を制御することで、MG10の動作制御を行う。モータ駆動部8は、MG10の駆動回路を有する電気回路部として構成されている。
モータ制御ユニット5は、モータ要求駆動力に基づき、MG10を力行回転させるべき場合はモータ駆動部8に対する指示を行ってMG10を力行回転させ、MG10を回生回転させるべき場合にはモータ駆動部8に対する指示を行ってMG10を回生回転させる。
ブレーキ制御ユニット6は、センサ・操作子類11に設けられた所定のセンサからの検出信号や操作子による操作入力情報等に基づき、ブレーキ関連アクチュエータ9として設けられた各種のアクチュエータを制御する。ブレーキ関連アクチュエータ9としては、例えば、ブレーキブースタからマスターシリンダへの出力液圧やブレーキ液配管内の液圧をコントロールするための液圧制御アクチュエータ等、ブレーキ関連の各種のアクチュエータが設けられる。ブレーキ制御ユニット6は、上述した車輪速度と車体速度とに基づいて算出される車輪Wのスリップ率に基づき、上記の液圧制御アクチュエータにより液圧を加減圧させることで、所謂ABS(Antilock Brake System)制御を実現する。またブレーキ制御ユニット6は、運転支援制御ユニット2の制御部23から指示される要求ブレーキ液圧に基づいて、上記の液圧制御アクチュエータを制御してブレーキの制御を行う。
なお確認のため述べておくと、上記のスリップ率は、「(車体速度−車輪速度)/車体速度×100%」として計算される値であり、スリップ率=0は、車輪Wが全くスリップしていない状態を表し、スリップ率=100は車輪Wがロック状態であることを表す。スリップ率が負極性の値となる場合は、車輪速度>車体速度の場合であり、車輪Wが空転状態(スリップ状態)であることを表す。
[1-2.第一実施形態としての駆動輪切り替え制御]
ここで、前述のように全輪駆動状態において全車輪がスリップ状態となったときは、車輪回転速に基づいた車体速度の推定精度が低下するため、車輪Wの出力トルク制御の精度が低下してしまう。このように出力トルク制御の精度が低下することによっては必要とされるトルクダウン量に対し実際のトルクダウン量の過不足が生じることになるが、トルクダウン量が過剰である場合には車両が加速せず、トルクダウン量が少ないとスリップから復帰しない等の問題が生じ、走破性の悪化を招く虞がある。
そこで、本実施形態では、全車輪がスリップ状態となる車両走行環境下における走破性の向上を図るべく、次のような駆動輪切り替え制御を行う。
すなわち、全輪駆動状態において、全ての車輪Wがスリップ状態であると判定した場合に、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替える制御を行うものである。具体的に本例では、全輪駆動状態から、前輪駆動状態、又は後輪駆動状態の何れかの駆動状態に切り替える制御を行う。
全ての車輪Wがスリップ状態となった場合に一部車輪駆動状態に切り替えることで、非駆動状態に切り替えられた車輪W、すなわち従動輪に切り替えられた車輪Wは、スリップ状態が解消される。
従って、全ての車輪Wがスリップ状態となる車両走行環境下において、車体速度の推定精度の向上を図ることができ、車輪Wの出力トルク制御の精度向上を図ることができる。その結果、全ての車輪Wがスリップ状態となる車両走行環境下において、走破性の向上を図ることができる。
ここで、本例では、上記のような全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えは、全車輪がスリップ状態であると判定された全ての場合について行うものとはせず、所定の条件が成立する場合には、一部車輪駆動状態への切り替えを行わない。具体的に、全車輪がスリップ状態であると判定された場合において、カーブ路を走行中であった場合や、カーブ路への進入直前段階であった場合には、一部車輪駆動状態への切り替えを行わない。
ここで言う「カーブ路への進入直前段階」とは、車両の現在位置からカーブ路の開始位置までの距離が所定距離以内である状態、又は、カーブ路の開始位置までの到達予想時間が所定時間以内である状態を意味する。
カーブ路の走行時に全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替えを行うと、車両挙動の変化によりオーバーステア状態又はアンダーステア状態に陥る虞がある。このため、上記のようにカーブ路を走行中や、カーブ路への進入直前段階であると判定した場合には、一部車輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
これにより、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えに伴い、カーブ路走行時の車両がオーバーステア状態又はアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
[1-3.処理手順]
図3は、上記により説明した第一実施形態としての駆動輪切り替え制御を実現するために実行すべき具体的な処理手順の例を示したフローチャートである。
ここで、本例において、該駆動輪切り替え制御の実行主体はHEV制御ユニット3である。HEV制御ユニット3は、図3に示す処理を、例えば内蔵するROM等の記憶装置に記憶されたプログラムに基づいて実行する。
なお、図3に示す処理は、全輪駆動状態において、例えば所定の周期で繰り返し実行される。
先ず、HEV制御ユニット3はステップS101で、全車輪スリップか否かを判定する。すなわち、全ての車輪Wがスリップ状態であるか否かを判定する。
車輪Wがスリップ状態であるか否かの判定は、上述したスリップ率に基づいて行う。具体的には、例えばスリップ率が負極性側の所定閾値を下回ったことに応じて、スリップ状態であるとの判定結果を得る。例えばこのようなスリップ率に基づくスリップ判定を車輪Wごとに行い、全ての車輪Wについてスリップ状態であると判定した場合に、全車輪がスリップ状態であるとの判定結果を得る。
ステップS101において、全車輪スリップではないと判定した場合、HEV制御ユニット3は図3に示す一連の処理を終える。すなわち、この場合は全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り換えは行われない。
一方、ステップS101において全車輪スリップと判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS102でカーブ路を走行中であるか否かを判定する。カーブ路を走行中であるか否かは、例えば動きセンサ11dで検出されるヨーレートや横加速度に基づいて判定することができる。或いは、カーブ路を走行中であるか否かは、画像処理部22による車外環境の認識結果(例えば、前述した自車進行路の情報等)に基づき判定したり、位置センサ11eが検出する現在位置と地図情報とに基づいて判定したりすることも可能である。
ステップS102において、カーブ路を走行中であると判定した場合、HEV制御ユニット3は図3に示す一連の処理を終える。これにより、全車輪がスリップ状態となっても、カーブ路を走行中であった場合は全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り換えが行われない。
また、ステップS102において、カーブ路を走行中でないと判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS103でカーブ路への進入直前段階か否かを判定する。カーブ路への進入直前段階であるか否かの判定は、例えば、画像処理部22による車外環境の認識結果、特には前述した自車進行路の情報に基づき行うことができる。或いは、該判定は、位置センサ11eが検出する現在位置と地図情報とに基づいて行うこともできる。
ステップS103において、カーブ路への進入直前段階であると判定した場合、HEV制御ユニット3は図3に示す一連の処理を終える(つまり一部車輪駆動状態への切り換えは行われない)。
一方、ステップS103でカーブ路への進入直前段階ではないと判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS104に進んで全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替える制御を行い、図3に示す一連の処理を終える。
上述のように本例では、一部車輪駆動状態として前輪駆動状態、後輪駆動状態の何れかへの切り替えを行うことが可能とされるが、第一実施形態においては、これら前輪駆動状態、後輪駆動状態のうち何れか任意の状態への切り替えを行えばよい。
なお、上記では、一部車輪駆動状態への切り替え除外条件、すなわち、全車輪がスリップ状態であると判定された場合であっても一部車輪駆動状態への切り替えを行わない条件として、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であるとの条件を課すものとしたが、該切り替え除外条件としては、カーブ路を走行中、カーブ路への進入直前段階の何れか一方の条件のみとしてもよい。
ここで、本実施形態では、全車輪スリップ状態となり全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えを行った後においては、全車輪のスリップ状態が解消されたことを条件に、一部車輪駆動状態から全輪駆動状態への切り替えを行うが、この際には、駆動輪と従動輪との間でトルク出力までの時間に乖離が生じてしまう。
そこで、これを対策するとした場合には、一部車輪駆動状態において、従動輪としての車輪Wに対してトルクを出力する制御を行う。具体的には、例えば一部車輪駆動状態への切り替え後、所定時間が経過する等の所定条件の成立に応じて、スリップが発生しない程度の十分低いトルク(所定値以下のトルク)を従動輪としての車輪Wに出力する制御を行う。
これにより、全車輪のスリップ状態が解消された以降の全輪駆動状態において、従動輪であった車輪Wのトルクが期待されるトルクに到達するまでの時間の短縮化を図ることができ、運転操作に対する応答性の向上を図ることができる。
<2.第二実施形態>
続いて、第二実施形態について説明する。
第二実施形態は、アンダーステアやオーバーステアの発生場所に係る履歴情報に基づき、前輪駆動状態への切り替え、後輪駆動状態への切り替えの何れを実行するかについての選択を行うものである。
なお、第二実施形態において、車両の駆動系の構成や車両制御システム1のハードウエア構成については第一実施形態の場合と同様となるため重複説明は避ける。
第二実施形態では、全車輪スリップ状態となった場合の駆動輪切り替え制御において、アンダーステア発生場所を示す情報とオーバーステア発生場所を示す情報とが履歴されたアンダー/オーバーステア履歴情報Isを用いる。
図4は、アンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所の説明図である。
アンダーステア発生場所は、アンダーステアの発生位置を含む場所であり、オーバーステア発生場所は、オーバーステアの発生位置を含む場所である。
本例において、アンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所は、例えば図示のように、発生位置Peを中心した半径rで表される範囲Aeとして定義される場所であるとする。
第二実施形態の車両制御システム1においては、アンダーステア、オーバーステアが発生するごとに、その発生位置を基準としたアンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所の情報が所定の記憶装置に蓄積され、アンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所の情報が履歴されたアンダー/オーバーステア履歴情報Isが構築される。
本例では、このようなアンダー/オーバーステア履歴情報Isの構築処理は、例えばHEV制御ユニット3が行う。
具体的に、HEV制御ユニット3は、アンダーステア、オーバーステアそれぞれについて、発生有無の判定処理を行う。アンダーステア、オーバーステアが発生したか否かは、例えば舵角とヨーレートとに基づき判定することができる。舵角に対してヨーレートが小さい場合(例えば所定値以下の場合)にはアンダーステア状態と判定することができ、舵角に対しヨーレートが大きい場合(例えば所定値以上の場合)にはオーバーステア状態と判定することができる。
アンダーステアが発生したと判定した場合、HEV制御ユニット3は、現在位置を発生位置Peとしたアンダーステア発生場所の情報をアンダー/オーバーステア履歴情報Isに追加する処理を行う。一方、オーバーステアが発生したと判定した場合、HEV制御ユニット3は、現在位置を発生位置Peとしたオーバーステア発生場所の情報をアンダー/オーバーステア履歴情報Isに追加する処理を行う。
このように構築されるアンダー/オーバーステア履歴情報Isに基づき、前輪駆動状態への切り替え、後輪駆動状態への切り替えの何れを実行するかについての選択が行われる。
具体的に、第二実施形態において、HEV制御ユニット3は、全車輪スリップ状態と判定した場合において、図5Aに例示するように現在位置(図中「Pn」で表す)がアンダーステア発生場所(図中「Ae」で表す)に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行う。
一方、HEV制御ユニット3は、全車輪スリップ状態と判定した場合において、図5Bに例示するように現在位置(Pn)がオーバーステア発生場所(Ae)に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行う。
このように、現在位置がアンダーステア発生場所に該当すると判定した場合には、アンダーステア傾向を打ち消すべく、後輪駆動状態への切り替えが行われる。また、現在位置がオーバーステア発生場所に該当すると判定した場合には、オーバーステア傾向を打ち消すべく前輪駆動状態への切り替えが行われる。
これにより、全車輪がスリップ状態となった場合の一部車輪駆動状態への切り替えにより車体速度の推定精度向上を図りながら、カーブ路走行時の車両がオーバーステア状態又はアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
ここで、第二実施形態では、現在位置がアンダーステア発生場所に該当する場合であっても、該アンダーステア発生場所が、後輪偏重駆動状態でのアンダーステア発生場所であった場合には、全輪駆動状態から後輪駆動状態への切り替えを行わず、また、現在位置がオーバーステア発生場所に該当する場合であっても、該オーバーステア発生場所が、前輪偏重駆動状態でのオーバーステア発生場所であった場合には、全輪駆動状態から前輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
後輪偏重駆動状態とは、前輪と後輪のトルク配分として後輪側に対するトルク配分が偏重している駆動状態を意味し、前輪偏重駆動状態とは、逆に前輪側に対するトルク配分が偏重している駆動状態を意味する。
この場合、アンダー/オーバーステア履歴情報Isにおけるアンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所の情報には、それぞれ、後輪偏重駆動状態でのアンダーステア発生場所であるか否か、前輪偏重駆動状態でのオーバーステア発生場所であるか否かの識別情報を付すようにしておく。すなわち、HEV制御ユニット3は、アンダー/オーバーステア履歴情報Isの構築において、アンダーステアが発生した場合は、その時点での車輪駆動状態が後輪偏重駆動状態か否かを判定し、後輪偏重駆動状態であればその旨を表すフラグ情報を付したアンダーステア発生場所情報をアンダー/オーバーステア履歴情報Isに追加する。一方、HEV制御ユニット3は、オーバーステアが発生した場合は、その時点での車輪駆動状態が前輪偏重駆動状態か否かを判定し、前輪偏重駆動状態であればその旨を表すフラグ情報を付したオーバーステア発生場所情報をアンダー/オーバーステア履歴情報Isに追加する。
このように本例のアンダー/オーバーステア履歴情報Isにおいては、アンダーステア発生場所情報として、後輪偏重駆動状態でのアンダーステア発生場所である場合にその旨を示すフラグ情報が付され、またオーバーステア発生場所情報としては、前輪偏重駆動状態でのオーバーステア発生場所である場合にその旨を示すフラグ情報が付される。
従って、この場合におけるHEV制御ユニット3は、全車輪スリップ状態となった場合において、現在位置がアンダーステア発生場所に該当する場合には、該当するアンダーステア発生場所情報のフラグの有無を判定し、フラグが付されている場合には、後輪偏重駆動状態でのアンダーステア発生場所であるとして、全輪駆動状態から後輪駆動状態への切り替え制御を行わないようにする。
また、HEV制御ユニット3は、現在位置がオーバーステア発生場所に該当する場合には、該当するオーバーステア発生場所情報のフラグの有無を判定し、フラグが付されている場合には、前輪偏重駆動状態でのオーバーステア発生場所であるとして、全輪駆動状態から前輪駆動状態への切り替え制御を行わないようにする。
なお、第一実施形態では、全車輪スリップ状態と判定された場合であっても、カーブ路を走行中の場合には一部車輪駆動状態への切り替えを行わないようにしたが、第二実施形態においても、同様にカーブ路を走行中の場合には一部車輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
図6及び図7のフローチャートを参照し、上記により説明した第二実施形態としての駆動輪切り替え制御を実現するための具体的な処理手順の例を説明する。
なお以下の説明において、既に説明済みとなった処理と同様となる処理については同一符号を付して説明を省略する。
図6は、アンダー/オーバーステア履歴情報Isの構築に係る処理のフローチャートである。
先ず、HEV制御ユニット3はステップS201で、スリップ状態の待機処理を行う。すなわち、車輪Wがスリップ状態となることを待機する処理である。なお、ステップS201の処理は、全ての車輪Wがスリップ状態となることを待機する処理としてもよいし、一部の車輪Wがスリップ状態となることを待機する処理としてもよい。
ここで、ステップS201の処理は省略されてもよい。
ステップS201でスリップ状態であると判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS202で、オーバーステアを経験(検出)したか否かを判定し、オーバーステアを経験していないと判定した場合は、ステップS203でアンダーステアを経験したか否かを判定する。ステップS203でアンダーステアを経験していないと判定した場合、HEV制御ユニット3は図6に示す一連の処理を終える。すなわち、オーバーステア、アンダーステアの何れも発生していない場合には、オーバーステア発生場所情報、アンダーステア発生場所情報の追加処理は行われない。
ステップS202において、オーバーステアを経験したと判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS204に進み、前輪偏重駆動状態か否かを判定する。
前輪偏重駆動状態でなければ、HEV制御ユニット3はステップS205に進んでオーバーステア発生場所情報を追加する処理、すなわち、アンダー/オーバーステア履歴情報Isに追加する処理を行い、図6に示す一連の処理を終える。
一方、前輪偏重駆動状態であれば、HEV制御ユニット3はステップS206に進み、フラグ付きオーバーステア発生場所情報を追加する処理を行い、図6に示す一連の処理を終える。
また、HEV制御ユニット3は、ステップS203でアンダーステアを経験したと判定した場合には、ステップS207に進んで後輪偏重駆動状態か否かを判定する。
後輪偏重駆動状態でなければ、HEV制御ユニット3はステップS208に進んでアンダーステア発生場所情報を追加する処理を行い、図6に示す一連の処理を終える。
一方、後輪偏重駆動状態であれば、HEV制御ユニット3はステップS209に進み、フラグ付きアンダーステア発生場所情報を追加する処理を行い、図6に示す一連の処理を終える。
図7は、第二実施形態としての駆動輪切り替え制御処理を示したフローチャートである。
先ず、図中のステップS101、S102の処理としては図3の場合と同様となるため説明を省略する。
この場合のHEV制御ユニット3は、ステップS102でカーブ路を走行中でないと判定したことに応じ、ステップS301で現在位置がアンダーステア又はオーバーステア発生場所に該当するか否かを判定する。この判定処理は、アンダー/オーバーステア履歴情報Isに基づき行うものであり、アンダー/オーバーステア履歴情報Isに格納されたアンダーステア発生場所情報、オーバーステア発生場所情報のうち、発生場所Aeに現在位置を含むものがあれば、現在位置がアンダーステア又はオーバーステア発生場所に該当するとの判定結果を得る。
ステップS301において、現在位置がアンダーステア又はオーバーステア発生場所に該当しないと判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS302に進み、前輪又は後輪駆動に切り替える処理を行い、図7に示す一連の処理を終える。
すなわち、全車輪スリップ状態となった場合において、カーブ路を走行中でなく、且つアンダーステアやオーバーステアの発生が予測されない場合には、前輪駆動状態又は後輪駆動状態のうち任意の駆動状態への切り替えを行えばよい。
一方、ステップS301において、現在位置がアンダーステア又はオーバーステア発生場所に該当すると判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS303に進み、アンダーステア発生場所か否かを判定する。すなわち、ステップS301で発生場所Aeが現在位置を含むとされた発生場所情報がアンダーステア発生場所情報であったか否かを判定する。
アンダーステア発生場所であると判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS304に進み、フラグ付きアンダーステア発生場所であるか否かを判定する。すなわち、ステップS301で発生場所Aeが現在位置を含むとされたアンダーステア発生場所情報が、フラグ付きのアンダーステア発生場所情報であるか否かを判定する。
フラグ付きアンダーステア発生場所でなかった場合、すなわち、後輪偏重駆動状態でのアンダーステア発生場所でなかった場合、HEV制御ユニット3はステップS305に進んで後輪駆動状態に切り替える処理を行い、図7に示す一連の処理を終える。
一方、ステップS304でフラグ付きアンダーステア発生場所であった場合、HEV制御ユニット3は図7に示す一連の処理を終える。
これにより、現在位置がアンダーステア発生場所に該当する場合であっても、該アンダーステア発生場所が後輪偏重駆動状態でのアンダーステア発生場所であった場合には、後輪駆動状態への切り替えは行われない。
また、ステップS303において、アンダーステア発生場所でないと判定した場合(つまり現在位置がオーバーステア発生場所である場合)、HEV制御ユニット3はステップS306でフラグ付きオーバーステア発生場所であるか否かを判定する。
フラグ付きアンダーステア発生場所でなかった場合、すなわち、前輪偏重駆動状態でのオーバーステア発生場所でなかった場合、HEV制御ユニット3はステップS307に進んで前輪駆動状態に切り替える処理を行い、図7に示す一連の処理を終える。
一方、ステップS306でフラグ付きオーバーステア発生場所であった場合、HEV制御ユニット3は図7に示す一連の処理を終える。
これにより、現在位置がオーバーステア発生場所に該当する場合であっても、該オーバーステア発生場所が前輪偏重駆動状態でのオーバーステア発生場所であった場合には、後輪駆動状態への切り替えは行われない。
なお、上記説明では、アンダー/オーバーステア履歴情報Isが自車両の経験情報のみを蓄積した(つまり自車両が経験したアンダー/オーバーステア情報のみを蓄積した)情報とされる場合を例示したが、アンダー/オーバーステア履歴情報Isは他車両の経験情報を含む情報とすることもできる。
その場合、アンダー/オーバーステア履歴情報Isの構築は、自車両、及び他車両それぞれがアンダーステア、オーバーステアの発生に応じてアンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所の情報を所定のサーバ装置にアップロードすることで行う。全車輪スリップ状態と判定された場合において、現在位置がアンダーステア発生場所、オーバーステア発生場所に該当するか否かを判定するにあたっては、このようにサーバ装置に構築されたアンダー/オーバーステア履歴情報Isを参照する。或いは、サーバ装置より予めアンダー/オーバーステア履歴情報Isを取得しておき、該取得したアンダー/オーバーステア履歴情報Isを参照することも考えられる。
<3.第三実施形態>
第三実施形態は、全輪駆動状態において全車輪スリップ状態であると判定した場合において、カーブ路への進入直前段階であった場合に、車両が加速中か減速中かに応じて後輪駆動状態への切り替えを行うか、前輪駆動状態への切り替えを行うかを選択するものである。
図8Aに示すように、前輪駆動状態で加速しながらカーブ路を曲がる状況を考える。加速中においては、後輪側に加重偏重するため、前輪が横滑りし易くなる。前輪が横滑りすることで、カーブ路を曲がりきれなくなる虞がある(つまりアンダーステア傾向となる)。
一方、図8Bに示すように後輪駆動状態で減速しながらカーブ路を曲がる状況を考えると、減速中においては前輪側に加重偏重するため、後輪が横滑りし易くなり、舵角に対して曲がり過ぎてしまう虞がある(つまりオーバーステア傾向となる)。
これらの点を考慮し、第三実施形態では、全車輪スリップ状態であり且つカーブ路への進入直前段階であった場合において、車両が加速中であれば後輪駆動状態への切り替えを行い、減速中であれば前輪駆動状態への切り替えを行う。
これにより、カーブ路進入直前段階において加速中である場合に前輪駆動状態に切り替えが行われてしまい、図8Aのようなアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。また、カーブ路進入直前段階において減速中である場合に後輪駆動状態に切り替えが行われてしまい、図8Bのようなオーバーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
なお、第三実施形態においても、第一、第二実施形態の場合と同様に、全車輪スリップ状態と判定された場合であっても、カーブ路を走行中の場合には一部車輪駆動状態への切り替えを行わない。
図9は、第三実施形態としての駆動輪切り替え制御を実現するための具体的な処理手順の例を示したフローチャートである。
図中、ステップS101、S102、S103の処理については、図3の場合と同様となるため説明を省略する。
この場合のHEV制御ユニット3は、ステップS103でカーブ路への進入直前段階ではないと判定した場合には、ステップS401に進んで前輪又は後輪駆動に切り替える処理を行い、図9に示す一連の処理を終える。すなわち、全車輪スリップ状態となった場合において、カーブ路を走行中でなく、且つカーブ路への進入直前段階でない場合には、前輪駆動状態又は後輪駆動状態のうち任意の駆動状態への切り替えを行えばよい。
一方、ステップS103においてカーブ路への進入直前段階であると判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS402に進んで加速中か否かを判定する。加速中であれば、HEV制御ユニット3はステップS403に進んで後輪駆動に切り替える処理を行い、図9に示す一連の処理を終える。
また、HEV制御ユニット3は、ステップS402で加速中でないと判定した場合は、ステップS404で減速中か否かを判定する。減速中でないと判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS401に処理を進める。すなわち、加速中、減速中の何れにも該当しない場合は、前輪駆動状態又は後輪駆動状態のうち任意の駆動状態への切り替えを行えばよい。
一方、ステップS404において減速中と判定した場合、HEV制御ユニット3はステップS405に進んで前輪駆動に切り替える処理を行い、図9に示す一連の処理を終える。
なお、第三実施形態において、カーブ路進入直前段階であった場合における後輪駆動への切り替え/前輪駆動への切り替えの選択は、加速中、減速中か否かの判定情報のみでなく、舵角やヨーレート、横加速度との関係を考慮して行うこともできる。
例えば、加速中、且つ舵角に対しあまりヨーレートや横加速度が出てない場合は、アンダーステア傾向に至ることが予想されるため、後輪駆動状態に切り替えを行い、また、減速中、且つ舵角に対しヨーレートや横加速度が出過ぎている場合は、オーバーステア傾向に至ることが予想されるため、前輪駆動状態に切り替えを行うといったことが考えられる。
<4.変形例>
なお、実施形態としては上記で例示した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例を採り得るものである。
例えば上記では、全輪駆動状態から前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能とされた車両の例として、センターディファレンシャル51としてのトルク配分機構により前輪側、後輪側へのトルク配分を行う車両を挙げたが、ディスコネクト機構によって全輪駆動状態から前輪駆動状態への切り替え、又は全輪駆動状態から後輪駆動状態への切り替えを行う車両にも本発明は好適に適用できる。
また、本発明は、前輪の駆動を担当するフロントモータと、後輪の駆動を担当するリアモータとを備えたEV車両にも好適に適用できる。
さらに、本発明は、全ての車輪Wにモータを備えたインホイールモータ搭載車両に対しても好適に適用できる。なおこの場合、一部車輪駆動状態としては、一つ或いは三つなど奇数個の車輪Wのみを駆動する状態が含まれ得る。
また、上記では、図3、図6、図7、図9等で例示した駆動輪切り替えに係る処理をHEV制御ユニット3が実行する例を挙げたが、これらの処理の一部又は全てをHEV制御ユニット3以外の他の制御ユニットが実行するようにしてもよい。また、これらの処理を複数の制御ユニットが分担して行う構成も考えられる。
また、上記では、本発明をHEVに適用する場合を例示したが、本発明はEVやエンジン車両(車輪Wの駆動源としてエンジンのみを備えた車両)に対しても好適に適用することができる。
<5.実施の形態のまとめ>
上記のように実施形態としての車両制御システム(同1)は、複数の車輪(同W)を有し、全ての車輪を駆動する状態である全輪駆動状態と、一部の車輪のみを駆動する状態である一部車輪駆動状態との切り替えが可能とされた車両における車両制御システムであって、車輪ごとに車輪回転速を検出する車輪回転速検出部(車輪回転速センサ部11a)と、全輪駆動状態において、全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合に、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替える制御を行う制御部(HEV制御ユニット3)と、を備えるものである。
全ての車輪がスリップ状態となった場合に一部車輪駆動状態に切り替えることで、非駆動状態に切り替えられた車輪、すなわち従動輪に切り替えられた車輪は、スリップ状態が解消される。
従って、全ての車輪がスリップ状態となる車両走行環境下において、車体速度の推定精度の向上を図ることができ、車輪の出力トルク制御の精度向上を図ることができるため、走破性の向上を図ることができる。
また、実施形態としての車両制御システムにおいては、制御部は、全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、一部車輪駆動状態に切り替える制御を行わない。
カーブ路の走行時に全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替えを行うと、車両挙動の変化によりオーバーステア状態又はアンダーステア状態に陥る虞がある。このため、上記のようにカーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合には一部車輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
これにより、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えに伴い、カーブ路走行時の車両がオーバーステア状態又はアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
さらに、実施形態としての車両制御システムにおいては、車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、制御部は、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、前輪駆動状態又は後輪駆動状態に切り替える制御を行わない。
カーブ路の走行時に全輪駆動状態から前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えを行うと、オーバーステア状態、アンダーステア状態に陥り易くなる。このため、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合には前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えを行わないようにする。
これにより、全輪駆動状態から前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えに伴い、カーブ路走行時の車両がオーバーステア状態又はアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
さらにまた、実施形態としての車両制御システムにおいては、車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、制御部は、全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、アンダーステアの発生位置を含む場所であるアンダーステア発生場所を示す情報とオーバーステアの発生位置を含む場所であるオーバーステア発生場所を示す情報とが履歴されたアンダー/オーバーステア履歴情報(同Is)に基づき、現在位置がオーバーステア発生場所に該当するか、アンダーステア発生場所に該当するかを判定し、現在位置がアンダーステア発生場所に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行い、現在位置がオーバーステア発生場所に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行っている。
すなわち、第二実施形態で説明したように、アンダーステア、オーバーステアの発生に係る履歴情報に基づき、現在位置がアンダーステア発生場所に該当すると判定した場合には、アンダーステア傾向を打ち消すべく後輪駆動状態への切り替えを行い、現在位置がオーバーステア発生場所に該当すると判定した場合には、オーバーステア傾向を打ち消すべく前輪駆動状態への切り替えを行う。
これにより、全車輪がスリップ状態となった場合の一部車輪駆動状態への切り替えにより車体速度の推定精度向上を図りながら、カーブ路走行時の車両がオーバーステア状態又はアンダーステア状態となってしまうことの防止を図ることができる。
また、実施形態としての車両制御システムにおいては、アンダー/オーバーステア履歴情報において、アンダーステア発生場所を示す情報には後輪偏重駆動状態でのアンダーステアであったか否かを示す識別情報が対応づけられ、オーバーステア発生場所を示す情報には前輪偏重駆動状態でのオーバーステアであったか否かを示す識別情報が対応づけられており、制御部は、現在位置が後輪偏重駆動状態でのアンダーステアの発生場所であると判定した場合は、全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行わず、現在位置が前輪偏重駆動状態でのオーバーステアの発生場所であると判定した場合は、全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行わない。
これにより、アンダーステア、オーバーステアの原因が不明である場合に後輪駆動状態、前輪駆動状態への切り替えを行ってしまうことで、例えばアンダーステア傾向やオーバーステア傾向が緩和されずに逆に強めてしまう等の不適切な制御となってしまうことの防止を図ることが可能となる。
従って、制御の信頼性を高めることができる。
さらに、実施形態としての車両制御システムにおいては、車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、制御部は、全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、カーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、加速中であるか、減速中であるかを判定し、加速中であると判定した場合は全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行い、減速中であると判定した場合は全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行っている(第三実施形態を参照)。
加速中は後輪側に加重偏重するため、仮に前輪駆動状態でカーブ路に進入しようとすると前輪が横滑りし易くなりカーブ路を曲がりきれなくなる虞がある(つまりアンダーステア傾向となる)。このため、上記のように加速中である場合は後輪駆動状態に切り替える。また、減速中は前輪側に加重偏重するため、仮に後輪駆動状態でカーブ路に進入しようとすると後輪が横滑りし易くなり舵角に対して曲がり過ぎてしまう虞がある(つまりオーバーステア傾向となる)。このため、上記のように減速中は前輪駆動状態に切り替える。
従って、車両の挙動を適切に制御することができる。
W1、W2、W3、W4 車輪
50 駆動源
51 センターディファレンシャル
1 車両制御システム
2 運転支援制御ユニット
21 撮像部
22 画像処理部
23 制御部
3 HEV制御ユニット
4 エンジン制御ユニット
5 モータ制御ユニット
6 ブレーキ制御ユニット
7 エンジン関連アクチュエータ
8 モータ駆動部
9 ブレーキ関連アクチュエータ
10 ディファレンシャル駆動部
11 センサ・操作子類
11a 車輪回転速センサ部
11a−1、11a−2、11a−3、11a−4 車輪回転速センサ
11b アクセル開度センサ
11c ブレーキ操作量センサ
11d 動きセンサ
11e 位置センサ
11f 舵角センサ
12 バス

Claims (6)

  1. 複数の車輪を有し、全ての前記車輪を駆動する状態である全輪駆動状態と、一部の前記車輪のみを駆動する状態である一部車輪駆動状態との切り替えが可能とされた車両における車両制御システムであって、
    前記車輪ごとに車輪回転速を検出する車輪回転速検出部と、
    全輪駆動状態において、全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合に、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態に切り替える制御を行う制御部と、を備える
    車両制御システム。
  2. 前記制御部は、
    全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、一部車輪駆動状態に切り替える制御を行わない
    請求項1に記載の車両制御システム。
  3. 前記車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、
    前記制御部は、
    カーブ路を走行中、又はカーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、前輪駆動状態又は後輪駆動状態に切り替える制御を行わない
    請求項2に記載の車両制御システム。
  4. 前記車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、
    前記制御部は、
    全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、アンダーステアの発生位置を含む場所であるアンダーステア発生場所を示す情報とオーバーステアの発生位置を含む場所であるオーバーステア発生場所を示す情報とが履歴されたアンダー/オーバーステア履歴情報に基づき、現在位置が前記オーバーステア発生場所に該当するか、前記アンダーステア発生場所に該当するかを判定し、
    現在位置が前記アンダーステア発生場所に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行い、
    現在位置が前記オーバーステア発生場所に該当すると判定した場合は、全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行う
    請求項1に記載の車両制御システム。
  5. 前記アンダー/オーバーステア履歴情報において、前記アンダーステア発生場所を示す情報には後輪偏重駆動状態でのアンダーステアであったか否かを示す識別情報が対応づけられ、前記オーバーステア発生場所を示す情報には前輪偏重駆動状態でのオーバーステアであったか否かを示す識別情報が対応づけられており、
    前記制御部は、
    現在位置が後輪偏重駆動状態でのアンダーステアの発生場所であると判定した場合は、全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行わず、
    現在位置が前輪偏重駆動状態でのオーバーステアの発生場所であると判定した場合は、全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行わない
    請求項4に記載の車両制御システム。
  6. 前記車両は、全輪駆動状態から一部車輪駆動状態への切り替えとして、前輪駆動状態又は後輪駆動状態への切り替えが可能な車両とされ、
    前記制御部は、
    全輪駆動状態において全ての車輪がスリップ状態であると判定した場合において、カーブ路への進入直前段階であると判定した場合は、加速中であるか、減速中であるかを判定し、
    加速中であると判定した場合は全輪駆動状態から後輪駆動状態に切り替える制御を行い、
    減速中であると判定した場合は全輪駆動状態から前輪駆動状態に切り替える制御を行う
    請求項1に記載の車両制御システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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