JP2021142742A - 樹脂成形用型 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウォームホイールの歯面に凹部を形成するなじみ工程を省略可能な樹脂成形用型の提供。【解決手段】ウォーム減速機の樹脂製のウォームホイールを成形する樹脂成形用型であって、円周上に所定の間隔で並んで配置される複数の歯形成部110を有し、歯形成部110は、歯面を形成する歯面形成面130の一部に凸部140を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、樹脂製のウォームホイールを形成する樹脂成形用型に関する。
従来、静音性や潤滑性の向上、軽量化などのために、樹脂製のウォームホイールを備えたウォーム減速機が存在している。
特許文献1には、樹脂製のウォームホイールの歯面のうち金属製のウォームシャフトと当接する箇所に凹部を形成することにより、バックラッシュによる歯打ち音を抑制して静音性を高める技術が記載されている。
しかしながら、ウォームホイールの歯面に凹部を形成するためには、樹脂製のウォームホイールを金属製のウォームシャフトに噛み合わせた状態で回転駆動させて歯面に凹部を形成するなじみ工程が必要となる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、凹部を形成するためのなじみ工程を省略することができる樹脂成形用型の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の1つである樹脂成形用型は、ウォーム減速機の樹脂製のウォームホイールを成形する樹脂成形用型であって、円周上に所定の間隔で並んで配置される複数の歯形成部を有し、前記歯形成部は、歯面を形成する歯面形成面の一部に凸部を備える。
本樹脂成形用型を用いて製造された樹脂製のウォームホイールを備えたウォーム減速機は、なじみ工程を経ることなくバックラッシュによる歯打ち音の低減を図ることができる。
以下に、本発明に係る樹脂成形用型の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の位置関係、および接続状態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として説明する場合があるが、請求項に記載されていない構成要素については、その請求項に係る発明に関しては任意の構成要素であるとして説明している。また、図面は、本発明を説明するために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
(実施の形態1)
図1は、樹脂製のウォームホイール220を備えたウォーム減速機200の内部を示す図である。同図に示すように、ウォーム減速機200は、トルクが入力されるウォームシャフト210と、ウォームホイール220と、ハウジング230と、第一軸受241と、第二軸受242とを備えている。またウォーム減速機200は、バックラッシュを抑制するためにウォームシャフト210を傾動させウォームホイール220に押しつける付勢部材250を備えている。
図1は、樹脂製のウォームホイール220を備えたウォーム減速機200の内部を示す図である。同図に示すように、ウォーム減速機200は、トルクが入力されるウォームシャフト210と、ウォームホイール220と、ハウジング230と、第一軸受241と、第二軸受242とを備えている。またウォーム減速機200は、バックラッシュを抑制するためにウォームシャフト210を傾動させウォームホイール220に押しつける付勢部材250を備えている。
ハウジング230は、ウォームシャフト210、およびウォームホイール220を収容する構造部材である。
ウォームシャフト210は、金属製であり、第一軸受241、および第二軸受242によってハウジング230に回転可能に保持されている。また、ウォームシャフト210は、第二軸受242を中心として傾動可能に保持されており、付勢部材250の付勢力により、第一軸受241を介してウォームホイール220側に押しつけられている。これによりバックラッシュが抑制される。
ウォームホイール220は、樹脂製であり、ハウジング230に回転可能に保持され、ウォームシャフト210の回転を減速して出力する。例えば、ウォームホイール220は、ステアリング装置が備えるステアリングシャフトに連結され、ウォームシャフト210に入力された電動モータ300のトルクを増幅してステアリングシャフトにアシストトルクを付与する。
第一軸受241は、ハウジング230の内側においてウォームシャフト210の入力とは逆側の端部を保持する。第一軸受241は、ハウジング230に対しウォームホイール220に向かう方向(図中Zー方向)に往復動可能に保持されており、ウォームシャフト210の他端部を保持する第二軸受242に対しウォームシャフト210を傾動させることができるものとなっている。
図2は、樹脂成形用型を単純化して示す斜視図である。樹脂成形用型100は、ウォーム減速機200の樹脂製のウォームホイール220を成形するいわゆる金型であって、歯形成部110を備えている。本実施の形態1の場合、樹脂成形用型100は、内部に形成したキャビティ部101に、溶融樹脂を注入して射出成形される射出成形体の製造に用いる金型であり、キャビティ部101を封止する平板状の封止部材190を備えている。樹脂成形用型100は、シャフトを挿通する貫通孔を形成する孔形成部120を備えている。樹脂成形用型100を用いて樹脂製のウォームホイール220を成形する製造装置は、特に限定されるものではないが、射出成形装置を例示することができる。
歯形成部110は、円周上に等しい間隔で並んで配置され放射方向外側に向かって窪む部分である。歯形成部110の形状は、成形対象であるウォームホイール220の歯の形状に対応する。例えば、成形対象であるウォームホイール220が基準円筒上で所定のねじれ角を有するつるまき線の歯すじを有する歯を備えている場合、歯形成部110の形状は、当該歯の形状に対応した形状となる。
歯形成部110は、成形対象であるウォームホイール220の歯の歯面を形成する歯面形成面130を備えている。歯形成部110は、径方向外側に窪む部分であり、歯面形成面130は、周方向に相互に対向する第一形成面131と第二形成面132との一対の形成面を備えている。なお、歯面形成面130は、成形対象の歯の形状に対応してねじれた曲面になる場合がある。
歯面形成面130には、歯面形成面130から周方向に突出する凸部140が一体に設けられている。歯面形成面130は、第一形成面131と第二形成面132とを備えており、第一形成面131には第一凸部141が設けられ、第二形成面132には第二凸部142が設けられている。なお、凸部140の突出量は微小であるため、図2に図示はできないが、符合を付している。
図3は、樹脂成形用型100の内方から径方向外側に向かって臨む歯形成部110の1つを展開状態で示す図である。凸部140は、歯面形成面130の全体によって形成される滑らかな面から突出する部分であり、歯面形成面130の一部の領域に存在している。なお図3中において凸部140と滑らかな面との境界を実線により模式的に表しているが、歯面形成面130と凸部140とは滑らかに繋がっている。凸部140が設けられる領域は、樹脂成形用型100により製造されたウォームホイール220がウォームシャフト210と最大面圧で接触する領域に対応している。歯面形成面130を基準とする凸部140の最大突出高さは、特に限定されるものではないが100μm以下である。
本実施の形態1の場合、樹脂成形用型100により製造されたウォームホイール220が適用されるウォーム減速機200は、ウォームホイール220を時計回り、および反時計回りの両方に駆動させるものであるため、第一形成面131に第一凸部141が設けられ、第二形成面132に第二凸部142が設けられている。また、歯面形成面130である第一形成面131、および第二形成面132にそれぞれ設けられる第一凸部141、および第二凸部142の最大突出位置である第一最大突出位置143、および第二最大突出位置144は、形成されるウォームホイール220の軸方向において異なる位置に設定されている。本実施の形態1の場合、第一最大突出位置143、および第二最大突出位置144は、軸方向において形成されるウォームホイール220の中央面149を挟んで相互に逆側に配置されている。
上記の樹脂成形用型100を用いて射出成形などによりウォームホイール220を成形すれば、図4に示すように、歯面に第一凹部221、および第二凹部222を全ての歯に対して設けることができる。これにより、ウォームシャフト210とウォームホイール220を所定時間駆動させる馴染み工程を省略することが可能となる。
また、樹脂成形用型100により成形されるウォームホイール220を備えるウォーム減速機200は、バックラッシュを抑制するためにウォームシャフト210をウォームホイール220に押しつける付勢部材250を備えている。このようなウォーム減速機200に対応するため、樹脂成形用型100は、ウォームシャフト210とウォームホイール220とが噛合う理想の噛合い位置(設計値)からのずれを考慮して第一凸部141と第二凸部142の位置が設定されている。これにより、付勢部材250により押しつけられたウォームシャフト210の回転方向に従い時計回り、および反時計回りの両方に回転するウォームホイール220とウォームシャフト210との歯当たりを良好とすることができる。
(実施の形態2)
続いて、樹脂成形用型100の他の実施の形態について説明する。なお、前記実施の形態1と同様の作用や機能、同様の形状や機構や構造を有するもの(部分)には同じ符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下では実施の形態1と異なる点を中心に説明し、同じ内容については説明を省略する場合がある。
続いて、樹脂成形用型100の他の実施の形態について説明する。なお、前記実施の形態1と同様の作用や機能、同様の形状や機構や構造を有するもの(部分)には同じ符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下では実施の形態1と異なる点を中心に説明し、同じ内容については説明を省略する場合がある。
実施の形態2に係る樹脂成形用型100は、実施の形態1と同様であり、概略形状は図2に示すものと同様である。
図5は、樹脂成形用型100の内方から径方向外側に向かって臨む歯形成部110の1つを展開状態で示す図である。実施の形態2の場合、凸部140は、歯面形成面130の全体によって形成される滑らかな面から突出する部分であり、歯面形成面130の一部の領域に存在している。なお図5中においても境界を示す実線を記載しているが、歯面形成面130と凸部140とは滑らかに繋がっている。凸部140が設けられる領域は、樹脂成形用型100により製造されたウォームホイール220が右ねじのウォームシャフト210と最大面圧で接触する領域に対応し、かつ左ねじのウォームシャフト210と最大面圧で接触する領域に対応している。
実施の形態2の場合、樹脂成形用型100により製造されたウォームホイール220が適用されるウォーム減速機200は、右ねじのウォームシャフト210、および左ねじのウォームシャフト210のいずれかによりウォームホイール220を時計回り、および反時計回りの両方に駆動させるものであるため、第一形成面131に第一凸部141、および第三凸部153が設けられ、第二形成面132に第二凸部142、および第四凸部154が設けられている。第一凸部141と第三凸部153とは第一共通部151(図5中左側の破線で囲まれた部分)において重なっており、一つの凸部140を形成している。同様に、第二凸部142と第四凸部154とは第二共通部152(図5中右側の破線で囲まれた部分)において重なっており、一つの凸部140を形成している。
また、歯面形成面130である第一形成面131に設けられる第一凸部141は、第一凸部141において最大突出位置である第一最大突出位置143を備え、第三凸部153は、第三凸部153において最大突出位置である第三最大突出位置155を備えている。つまり第一形成面131側の凸部140は、第一最大突出位置143、および第三最大突出位置155の二つのピークを歯幅に対応する方向に並んで備えている。同様に、第二形成面132に設けられる第二凸部142は、第二凸部142において最大突出位置である第二最大突出位置144を備え、第四凸部154は、第四凸部154において最大突出位置である第四最大突出位置145を備えている。つまり第二形成面132側の凸部140は、第二最大突出位置144、および第四最大突出位置156の二つのピークを歯幅に対応する方向に並んで備えている。
本実施の形態2の場合、第一凸部141、および第三凸部153は、軸方向において形成されるウォームホイール220の中央面149、またはこれに沿う面を基準に面対称に配置されている。第二凸部142、および第四凸部154は、軸方向において形成されるウォームホイール220の中央面149、またはこれに沿う面を基準に面対称に配置されている。第一最大突出位置143、および第三最大突出位置155は、軸方向において形成されるウォームホイール220の中央面149を挟んで相互に逆側に配置されている。第二最大突出位置144、および第四最大突出位置156は、軸方向において形成されるウォームホイール220の中央面149を挟んで相互に逆側に配置されている。
実施の形態2の樹脂成形用型100を用いて射出成形などによりウォームホイール220を成形すれば、図6に示すように、歯面に第一凹部221と第三凹部223とが交差した形状の凹部、および第二凹部222と第四凹部224とが交差した形状の凹部を全ての歯に対して設けることができる。これにより、右ねじのウォームシャフト210、および左ねじのウォームシャフト210の両方に対応した、ウォームホイール220を製造することが出来る。従って、右ねじのウォームシャフト210を用いる場合も、左ねじのウォームシャフト210を用いる場合も、いずれの場合もウォームホイール220を所定時間駆動させる馴染み工程を省略することが可能となる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
例えば、第一最大突出位置143、および第二最大突出位置144が設けられる位置は、軸方向(歯筋の方向)において異なる場合を説明したが、歯元から歯先方向において第一最大突出位置143、および第二最大突出位置144の位置が異なるように第一凸部141、および第二凸部142を設定してもかまわない。
また、図1〜図6は、ねじれ角を備えないウォームホイール220、およびこれに対応する樹脂成形用型100を例示しているが、樹脂成形用型100は、所定のねじれ角を備えたウォームホイール220に対応するものでもかまわない。
また、樹脂成形用型100は、平板状の封止部材190を備える場合ばかりでなく、任意の部分で分割されてもよく、中子などが配置されてもかまわない。
また、第一形成面131において凸部140の内側に凸になっている部分は鋭利な先端ではなく、丸められていても構わない。当該丸められた部分に対応するウォームホイールの凹部はウォームシャフトによる面圧がかからない場合もある。
ウォーム減速機の樹脂製のウォームホイールの成形に適用できる。
100…樹脂成形用型、101…キャビティ部、110…歯形成部、120…孔形成部、130…歯面形成面、131…第一形成面、132…第二形成面、140…凸部、141…第一凸部、142…第二凸部、143…第一最大突出位置、144…第二最大突出位置、149…中央面、151…第一共通部、152…第二共通部、153…第三凸部、154…第四凸部、155…第三最大突出位置、156…第四最大突出位置、190…封止部材、200…ウォーム減速機、210…ウォームシャフト、220…ウォームホイール、221…第一凹部、222…第二凹部、230…ハウジング、241…第一軸受、242…第二軸受、250…付勢部材、300…電動モータ
Claims (5)
- ウォーム減速機の樹脂製のウォームホイールを成形する樹脂成形用型であって、
円周上に所定の間隔で並んで配置される複数の歯形成部を有し、
前記歯形成部は、
歯面を形成する歯面形成面の一部に凸部を備える
樹脂成形用型。 - 前記歯形成部は、
前記歯面形成面として相互に対向する第一形成面、および第二形成面を備え、
前記第一形成面には前記凸部として第一凸部が設けられ、
前記第二形成面には前記凸部として第二凸部が設けられ、
前記第一形成面における前記第一凸部の最大突出位置は、前記第二形成面における前記第二凸部の最大突出位置と異なる
請求項1に記載の樹脂成形用型。 - 前記歯形成部は、
第一歯面形成面に前記凸部として第一凸部、および第三凸部が設けられ、
第一凸部、および第三凸部は、形成されるウォームホイールの中央面、またはこれに沿う面を基準に対称に配置される
請求項1または2に記載の樹脂成形用型。 - 前記歯形成部は、
第二歯面形成面に前記凸部として第二凸部、および第四凸部が設けられ、
第二凸部、および第四凸部は、形成されるウォームホイールの中央面、またはこれに沿う面を基準に対称に配置される
請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂成形用型。 - 前記凸部は、歯幅に対応する方向に並んだ二つのピークを備える
請求項3または4に記載の樹脂成形用型。
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