JP2004223813A - ウォームホイールの製造用成形型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂材製の歯部を有するウォームホイール10を製造するための成形型20における少なくとも前記歯部の歯形を成形する部分20a′が電気鋳造されている。
【選択図】図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂材製の歯部を有するウォームホイールを射出成形等により型成形するための成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、操舵補助力発生用モータの回転を、ウォームと、このウォームに噛み合うウォームホイールを介して舵角が変化するように車輪に伝達する電動パワーステアリング装置において、そのウォームホイールの歯部を合成樹脂材製とすることで軽量化と騒音低減が図られている。
【0003】
従来、ウォームホイールの歯部は合成樹脂材をホブ加工することで成形されていた。しかし、ホブ加工を行うと多量のバリが発生するため、そのバリの除去作業に膨大な工数が必要とされていた。
【0004】
そこで、ウォームホイールを型成形することが考えられる。従来、ウォームホイールの成形型は一般的に放電加工により製造されていた(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−071633号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ウォームホイールの歯部を構成する各歯は、歯すじ方向における両端間においては両端位置よりも歯厚が薄く歯丈が大きい。そのため、型成形されたウォームホイールを成形型から型抜きする際に歯部を弾性変形させる必要がある。そのような弾性変形に基づく弾力により、型抜きの際に歯部と成形型との間に摩擦力が作用して離型性が低下し、ウォームホイールの歯形が本来の形状から崩れてしまうという問題がある。特に成形型を放電加工により製造した場合、表面粗さは所謂放電目が生じるために通常は1.0Ra以上になり、型抜きの際の摩擦力が増大して離型性が低下する。そこで、離型性を向上するために放電加工された成形型の表面を研磨仕上げすることが行われいるが、研磨により成形型の寸法が変動するためにウォームホイールの歯部の成形誤差が増大する。
【0007】
また、成形型をウォームホイールの回転周方向において並列する多数の部材から構成し、各部材をウォームホイールの径方向に沿ってスライドさせることで型抜きすることが考えられている。しかし、そのような多数の部材から構成される成形型は構造が非常に複雑になって製造コストが増大し、また各部材の間にスライドのためのクリアランスが必要になることからウォームホイールの歯部の成形誤差が増大する。
【0008】
本発明は上記問題を解決することのできるウォームホイールの製造用成形型を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、合成樹脂材製の歯部を有するウォームホイールを製造するための成形型において、その成形型における少なくとも前記歯部の歯形を成形する部分が電気鋳造されていることを特徴とする。
本発明の成形型によれば、ウォームホイールの合成樹脂材製歯部を成形する部分を電気鋳造された単一部材から構成できるので、その表面粗さを小さくできる。これにより、型成形されたウォームホイールを成形型から型抜きする際の歯部と成形型との間の摩擦力を小さくし、離型性を向上できる。よって、その型抜き時にウォームホイールの歯部が弾性変形しても歯形が本来の形状から崩れるのを防止でき、しかも成形型を研磨仕上げする必要がないので歯部を高精度に成形できる。
【0010】
前記ウォームホイールの歯部における各歯面は、その両端近傍部の間においては噛み合い対象のウォームの歯の凸曲面状の歯面に沿う凹曲面とされ、両端近傍部においては両端に向かうに従い前記ウォームの歯の凸曲面状の歯面から離間する面とされているのが好ましい。また、前記ウォームホイールの歯部における各歯底は、両端近傍部の間においては中央に向かうに従い歯丈が大きくなるように凹む凹曲面とされ、その両端近傍部においては中央に向かうに従い歯丈が大きくなることのない面とされているのが好ましい。これにより、型成形されたウォームホイールを成形型から型抜きする際、歯部の弾性変形量を少なくして離型性をより向上できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1、図2に示す電動パワーステアリング装置Pは、ステアリングホイールHの操舵によるステアリングシャフトSの回転を、ステアリングギヤ(図示省略)を介して車輪に舵角が変化するように伝達する。そのステアリングギヤは、ステアリングシャフトSの回転を車輪に舵角が変化するように伝達できれば限定されず、公知のものを用いることができ、例えばステアリングシャフトSに連結されたピニオンに噛み合うラックの動きをタイロッドやナックルアーム等を介して車輪に伝達するラックピニオン式ステアリングギヤを採用できる。ステアリングシャフトSにより伝達される操舵トルクを検出するトルクセンサ1が設けられている。トルクセンサ1は、本実施形態では公知の構成のものであり、センサハウジング2と、ステアリングシャフトSに一体化される入力シャフト3と、入力シャフト3にトーションバー8を介して同軸心かつ弾性的に相対回転可能に連結される出力シャフト4と、磁気回路を構成する磁束発生用コイル7とを備え、操舵トルクによる両シャフト3、4の弾性的な相対回転量に応じて磁気回路における磁気抵抗が変化することに基づき、コイル7の出力から操舵トルクを検出する。
【0012】
ステアリングシャフトSの一部を構成する入出力シャフト3、4は、センサハウジング2によりベアリング6a、6bを介して支持される。センサハウジング2に操舵補助力発生用モータMが取り付けられている。出力シャフト4に金属製スリーブ9を介して合成樹脂材製のウォームホイール10が同行回転するように一体化されている。ウォームホイール10に噛み合うウォーム11が操舵補助力発生用モータMにより駆動される。モータMはトルクセンサ1により検出された操舵トルクに応じて図外制御装置により制御される。モータMの回転がウォーム11、ウォームホイール10、ステアリングシャフトSを介して車輪に舵角が変化するように伝達されることで、操舵トルクに応じた操舵補助力が付与される。
【0013】
図3に示すように、ウォームホイール10は円環状のホイールボディ10Bと、ホイールボディ10Bの外周において並列する複数の歯10Aにより構成される歯部とを有し、各歯10Aがウォーム11の歯11Aに噛み合う。図4に示すように、ウォームホイール10の各歯10Aの歯面10aは、ウォーム11の歯11Aの凸曲面状の歯面に沿う凹曲面とされている。図5に示すように、ウォームホイール10の歯部における歯底10bは、中央に向かうに従い凹む凹曲面とされている。これにより、ウォームホイール10の各歯10Aは、歯すじ方向における両端間においては両端位置よりも歯厚が薄く歯丈が大きい。
【0014】
ウォームホイール10は射出成形により型成形される。その型成形に際しては、図6に示すように成形型20を構成する可動型20aと固定型20bの間に上記スリーブ9をインサートしておくことで、成形されるウォームホイール10をスリーブ9に一体化させる。ウォームホイール10の歯部の歯形は可動型20aにおいて成形され、可動型20aにおける歯形の成形部分20a′は電気鋳造されている。すなわち、その歯形の成形部分20a′は図7に示すように環状とされ、ウォームホイール10の母型上に金属を電着させることで形成された後に、可動型20aの残りの部分に例えばボルト等により取り付けられる。成形型20内で成形されたウォームホイール10は、型開き後に可動型20aから離型される。なお、電気鋳造自体は従来公知の方法により行えば良い。また、成形型20においては、歯形の成形部分20a′を電気鋳造する以外のゲートやランナーや製品エジェクター等の他の構成は特に限定されず、公知の構成を採用できる。
【0015】
上記実施形態の成形型20によれば、ウォームホイール10の合成樹脂材製歯部を成形する歯形成形部分20a′は電気鋳造された単一部材から構成できるので表面粗さを小さくできる。これにより、型成形されたウォームホイール10を成形型20から型抜きする際の歯部と成形型20との間の摩擦力を小さくし、離型性を向上できる。よって、その型抜き時にウォームホイール10の歯部が弾性変形しても歯形が本来の形状から崩れるのを防止でき、しかも成形型20を研磨仕上げする必要がないので歯部を高精度に成形できる。
【0016】
図8、図9は本発明の変形例に係るウォームホイール110を示す。本変形例においては、ウォームホイール110の歯部における各歯面110aは、その両端近傍部110a′の間においては上記実施形態と同様に噛み合い対象のウォーム11の歯11Aの凸曲面状の歯面に沿う凹曲面とされているが、その両端近傍部110a′においては両端に向かうに従いウォーム11の歯11Aの凸曲面状の歯面から離間する平坦面とされている。なお、図8において2点鎖線で上記実施形態における歯面10aの両端近傍部を示す。また、ウォームホイール110の歯部における各歯底110bは、その両端近傍部110b′の間においては上記実施形態と同様に中央に向かうに従い歯丈が大きくなるように凹む凹曲面とされているが、その両端近傍部110b′においては中央に向かうに従い歯丈が大きくなることのない平坦面とされている。なお、図9において2点鎖線で上記実施形態における歯底10bの両端近傍部を示す。この変形例のウォームホイール110も上記実施形態と同様に射出成形により型成形され、その型成形における歯形の成形部分が電気鋳造される。この変形例によれば、型成形されたウォームホイール110を成形型から型抜きする際、ウォームホイール110の歯部の弾性変形量を少なくでき、歯形の成形部分が電気鋳造されると相まって離型性を向上できる。なお、両端近傍部110a′、110b′は曲面でもよい。また、両端近傍部110a′、110b′の歯すじ方向寸法は、ウォームホイール110とウォーム11との円滑な噛み合いを阻害しない範囲で大きくする程に離型性を向上できる。
【0017】
本発明は上記実施形態や変形例に限定されない。例えば、上記実施形態においてはウォームホイール全体を合成樹脂材製としたが、少なくとも歯部が合成樹脂材製であればよい。また、上記実施形態ではウォームホイールの成形型において歯部の歯形を成形する部分のみが電気鋳造されているが、それ以外の部分を電気鋳造してもよく、少なくとも歯部を成形する部分が電気鋳造されていればよい。また、ウォームホイールの歯部は、その歯面が噛み合い対象のウォームの歯の凸曲面状の歯面に沿う凹曲面を有するものであればよい。さらに、電動パワーステアリング装置以外において使用されるウォームホイールの製造用成形型にも本発明を適用できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、ウォームホイールの合成樹脂材製歯部を高精度に成形できる低コストの成形型を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置の縦断面図
【図2】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置の横断面図
【図3】本発明の実施形態のウォームホイールとウォームの側面図
【図4】本発明の実施形態のウォームホイールの歯面形状を示す部分展開図
【図5】本発明の実施形態のウォームホイールの歯面形状を示す断面図
【図6】本発明の実施形態のウォームホイールの製造用成形型における要部の断面構成説明図
【図7】本発明の実施形態のウォームホイールの製造用成形型における歯形の成形部分の平面図
【図8】本発明の変形例のウォームホイールの歯面形状を示す部分展開図
【図9】本発明の変形例のウォームホイールの歯面形状を示す断面図
【符号の説明】
10、110 ウォームホイール
10A、110A 歯(歯部)
10a、110a 歯面
110b 歯底
11 ウォーム
11A 歯(歯部)
20 成形型
20a′ 歯形の成形部分
Claims (3)
- 合成樹脂材製の歯部を有するウォームホイールを製造するための成形型において、
その成形型における少なくとも前記歯部の歯形を成形する部分が電気鋳造されていることを特徴とするウォームホイールの製造用成形型。 - 前記ウォームホイールの歯部における各歯面は、両端近傍部の間においては噛み合い対象のウォームの歯の凸曲面状の歯面に沿う凹曲面とされ、その両端近傍部においては両端に向かうに従い前記ウォームの歯の凸曲面状の歯面から離間する面とされている請求項1に記載のウォームホイールの製造用成形型。
- 前記ウォームホイールの歯部における各歯底は、両端近傍部の間においては中央に向かうに従い歯丈が大きくなるように凹む凹曲面とされ、その両端近傍部においては中央に向かうに従い歯丈が大きくなることのない面とされている請求項1または2に記載のウォームホイールの製造用成形型。
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- 2003-01-21 JP JP2003012669A patent/JP2004223813A/ja active Pending
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