JP2021139773A - 内燃機関の設計方法 - Google Patents

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賢健 和田
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博 山口
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Abstract

【課題】直噴式の内燃機関について、設計に要する時間および工数を削減可能な設計方法を提供する。【解決手段】燃焼室内にインジェクタにより燃料を直接噴射する直噴式の内燃機関の設計方法であって、前記内燃機関の燃焼特性の目標値である目標燃焼特性を取得する目標燃焼特性取得ステップと、前記燃焼室内に生成される空気と燃料との混合気における当量比分布に対する前記燃焼特性の感度を定量化した燃焼特性感度関数に基づいて、前記目標燃焼特性を達成可能な前記当量比分布の目標値である目標当量比分布を算出する目標当量比分布算出ステップと、前記目標当量比分布を達成するために前記インジェクタの設計パラメータに求められる要件であるインジェクタ要件を算出するインジェクタ要件算出ステップと、を含む。【選択図】 図3

Description

本発明は、内燃機関の設計方法に関する。
特許文献1に、内燃機関の燃焼室へ燃料を直接噴射する直噴式の内燃機関が開示されている。この内燃機関では、内燃機関の膨張行程中に点火と燃料噴射を行う場合に、燃焼速度の低下を抑制して燃焼安定性を向上させる目的で、燃料を噴射する第1噴孔および第2噴孔が設定されている。具体的には、燃料の点火に伴って生じる火炎核が第1噴孔からの一対の燃料噴霧の間に引き込まれた後に、この火炎核に第2噴孔からの燃料噴霧が到達するように、各噴孔の位置、孔径、個数、噴射の向き等が設定されている。
特開2017−166379号公報
内燃機関を設計するに際しては、燃焼安定性の他にも、排気に含まれるエミッション量などの考慮すべき特性がある。特許文献1では、燃焼安定性を確保するために、各噴孔からの噴霧と点火プラグとの位置関係やペネトレーション等を考慮して、各噴孔の位置、孔径、個数、噴射の向き等が設定されるが、内燃機関が排出する排気におけるエミッションの低減については考慮していない。このため、燃焼安定性に基づいて設計した内燃機関の実機運転によりデータを取得し、試行を繰り返すことにより、エミッション量についても最適化する手順が必要となり、少なからず時間と工数とを要する。
上記の課題に鑑み、本発明は、直噴式の内燃機関について、設計に要する時間および工数を削減可能な設計方法を提供することを目的とする。
本発明者は、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射することにより、燃焼室内に生成される空気と燃料との混合気における当量比分布に着目した。そして、内燃機関の設計に関わる各種パラメータを当量比分布に紐付けできることを見出し、下記の内燃機関の設計方法を発明するに至った。
本発明は、燃焼室内にインジェクタにより燃料を直接噴射する直噴式の内燃機関の設計方法として、第1〜第3の設計方法を提供する。第1の設計方法は、前記内燃機関の燃焼特性の目標値である目標燃焼特性を取得する目標燃焼特性取得ステップと、前記燃焼室内に生成される空気と燃料との混合気における当量比分布に対する前記燃焼特性の感度を定量化した燃焼特性感度関数に基づいて、前記目標燃焼特性を達成可能な前記当量比分布の目標値である目標当量比分布を算出する目標当量比分布算出ステップと、前記目標当量比分布を達成するために前記インジェクタの設計パラメータに求められる要件であるインジェクタ要件を算出するインジェクタ要件算出ステップと、を含む。
上記の第1の設計方法によれば、燃焼特性感度関数に基づいて、目標当量比分布算出ステップにおいて目標当量比分布を算出する。この燃焼特性感度関数は、当量比分布に対する燃焼特性の感度を定量化したものであるため、取得した目標燃焼特性に基づいて燃焼特性感度関数を参照することにより、目標燃焼特性を達成可能な当量比分布を算出できる。すなわち、燃焼特性感度関数を用いることにより、多様な目標燃焼特性を当量比分布に紐付して目標当量比分布というパラメータに収束させることができる。このため、目標当量比分布が達成可能となるようにインジェクタ要件を算出し、算出したインジェクタ要件に基づいて内燃機関を設計することにより、多様な目標燃焼特性が包括的に達成可能となるように内燃機関を設計できる。その結果、多様な目標燃焼特性を達成するために実行される実機での試行回数を削減でき、内燃機関の設計に要する時間および工数を削減できる。
本発明に係る第2の設計方法は、前記内燃機関の燃焼特性の目標値である目標燃焼特性を取得する目標燃焼特性取得ステップと、前記燃焼室内に生成される空気と燃料との混合気における当量比分布に対する前記燃焼室内に噴射された燃料の噴霧特性の感度を定量化した噴霧特性感度関数を燃焼シミュレーションにより作成する噴霧特性感度関数作成ステップと、前記噴霧特性感度関数に基づいて、前記目標燃焼特性を達成可能な前記当量比分布の目標値である目標当量比分布を達成するために前記インジェクタの設計パラメータに求められる要件であるインジェクタ要件を算出するインジェクタ要件算出ステップと、を含む。
上記の第2の設計方法によれば、噴霧特性感度関数作成ステップにおいて作成された噴霧特性感度関数に基づいて、インジェクタ要件算出ステップにおいてインジェクタ要件を算出する。この噴霧特性感度関数は、当量比分布に対する噴霧特性の感度を定量化したものであり、燃焼シミュレーションにより作成される。噴霧特性は、インジェクタの設計パラメータに依存して変化するものであるため、噴霧特性感度関数を参照することにより、目標当量比分布を達成するためのインジェクタ要件を算出できる。このため、算出したインジェクタ要件に基づいて内燃機関を設計することにより、目標当量比分布を達成でき、ひいては、目標燃焼特性を達成できる。燃焼シミュレーションにより作成された噴霧特性感度関数を用いることにより、多様なインジェクタの設計パラメータを変更して実行される実機での試行回数を削減でき、内燃機関の設計に要する時間および工数を削減できる。
本発明に係る第3の設計方法は、前記内燃機関の燃焼特性の目標値である目標燃焼特性を取得する目標燃焼特性取得ステップと、前記燃焼室内に生成される空気と燃料との混合気における当量比分布に対する前記燃焼特性の感度を定量化した燃焼特性感度関数に基づいて、前記目標燃焼特性を達成可能な前記当量比分布の目標値である目標当量比分布を算出する目標当量比分布算出ステップと、前記当量比分布に対する前記燃焼室内に噴射された燃料の噴霧特性の感度を定量化した噴霧特性感度関数を燃焼シミュレーションにより作成する噴霧特性感度関数作成ステップと、前記噴霧特性感度関数に基づいて、前記目標当量比分布を達成するために前記インジェクタの設計パラメータに求められる要件であるインジェクタ要件を算出するインジェクタ要件算出ステップと、を含む。
上記の第3の設計方法によれば、目標当量比分布算出ステップにおいては、燃焼特性感度関数に基づいて、目標燃焼特性を達成可能な目標当量比分布を算出する。そして、インジェクタ要件算出ステップにおいては、噴霧特性感度関数作成ステップにおいて作成された噴霧特性感度関数に基づいて、目標当量比分布算出ステップで算出した目標当量比分布を達成可能なインジェクタ要件を算出する。すなわち、当量比分布を介して燃焼特性と噴霧特性とを紐付けすることにより、目標燃焼特性を達成可能なインジェクタ要件を算出できる。このため、算出したインジェクタ要件に基づいて内燃機関を設計することにより、多様な目標燃焼特性が包括的に達成可能となるように内燃機関を設計できる。また、燃焼シミュレーションにより作成された噴霧特性感度関数を用いることにより、多様なインジェクタの設計パラメータを変更して実行される実機での試行回数を削減でき、内燃機関の設計に要する時間および工数を削減できる。
エンジン制御システムの概要図。 内燃機関の設計システムを示すブロック図。 内燃機関の設計処理を示すフローチャート。 PNと、燃料温度および当量比分布との関係を示す図。 燃焼室内における当量比分布の一例を示す図。 当量比分布に対する着火性の感度を示す感度関数。 当量比分布に対するNOx量の感度を示す感度関数。 当量比分布に対するPN量の感度を示す感度関数。 各燃焼特性について、当量比分布とアシスト量との関係を示す図。 各燃焼特性と、当量比分布とSMDとの関係を示す図。 各燃焼特性と、当量比分布と噴射の初速との関係を示す図。 インジェクタ特性と、SMDおよび噴射の初速との関係を示す図。 目標Φ分布と、インジェクタ特性との関係を示す図。
本実施形態に係る内燃機関の設計方法は、例えば、図1に示す直噴式の多気筒4サイクルガソリンエンジンであるエンジン10の設計に適用され、図2に示す設計システムにより実現することができる。
図1に示すエンジン制御システムは、エンジン10と、制御装置としてのECU40とを備えている。エンジン10は、4つの気筒を備える4気筒エンジンである。なお、図1では、1つの気筒のみを図示し、他の気筒については図示を省略している。
エンジン10は、気筒が設けられたエンジン本体20を備えている。このうち、燃焼室21は、気筒において、シリンダ内壁とピストン22の上面(頂部)とにより区画形成される空間である。
エンジン本体20の上部に位置するシリンダヘッドには、燃焼室21毎に点火プラグ29が設けられている。点火プラグ29には、図示しない点火コイル等を通じて、所望とする点火時期において点火パルスが印加される。この点火パルスの印加により、各点火プラグ29の対向電極間に点火火花が発生する。
エンジン本体20には燃焼室21毎に燃料噴射弁としてのインジェクタ30が設けられている。インジェクタ30は、シリンダヘッドにおいて、点火プラグ29の近傍に配置されており、かつ燃焼室21の上側から下側に向けて燃料を燃焼室21内に直接噴射するセンター噴射式のインジェクタである。インジェクタ30は、電磁駆動式であり、不図示の駆動回路を通じて、所望とする噴射時期において駆動パルスが印加される。この駆動パルスの印加により、インジェクタ30が開弁状態となり、燃料が噴射される。
インジェクタ30は、燃料配管24を介して燃料タンク25に接続されている。燃料タンク25内の燃料は、低圧ポンプ26により汲み上げられた後、高圧ポンプ27により加圧される。高圧ポンプ27の駆動を制御することで、燃料に加圧される圧力を可変設定することが可能となる。高圧ポンプ27により高圧化された高圧燃料は、デリバリパイプ28に圧送され、デリバリパイプ28から各気筒のインジェクタ30に供給される。また、デリバリパイプ28には、インジェクタ30に供給される燃料の圧力を燃圧Pfとして検出する燃圧センサ35が設けられている。
エンジン本体20の吸気ポート及び排気ポートには、それぞれ図示しないカム軸の回転に応じて開閉動作する吸気弁18及び排気弁19が設けられている。吸気弁18の開動作により吸気通路11を流れる吸入空気が燃焼室21内に導入される。また、排気弁19の開動作により燃焼後の排気が排気通路33に排出される。吸気弁18及び排気弁19それぞれには、吸気弁18及び排気弁19の開閉タイミングを可変とする可変動弁機構18A,19Aが設けられている。可変動弁機構18A,19Aは、エンジン10のクランク軸と吸排気の各カム軸との相対回転位相を調整するものであり、所定の基準位置に対して進角側及び遅角側への位相調整が可能となっている。
エンジン本体20には、エンジン10の運転時に所定クランク角ごとに矩形状のクランク角信号を出力するクランク角度センサ34が設けられている。ECU40は、クランク角信号に基づいて、出力軸23の回転速度を回転速度NEとして検出することができる。
吸気通路11には、吸入空気量を検出するためのエアフロメータ12が設けられている。エアフロメータ12の下流側には、DCモータ等のスロットルアクチュエータ13によって開度調節されるスロットルバルブ14が設けられている。スロットルバルブ14の下流側にはサージタンク15が設けられている。また、サージタンク15には、エンジン10の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド17が接続されており、吸気マニホールド17において各気筒の吸気ポートに接続されている。排気通路33には、排ガス中のCO,HC,NOx等を浄化するための三元触媒等の触媒31が設けられている。
上述した各種センサの出力は、ECU40に入力される。ECU40は、CPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを備え、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じたインジェクタ30の燃料噴射量の制御、点火プラグ29の点火時期の可変設定、及び高圧ポンプ27による燃料圧力の可変制御を行う。
図2に示す設計システム53は、入力部51と、出力部52とに接続されている。入力部51は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等で構成されるユーザインタフェース等により構成されていてもよい。出力部52は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷機により構成されていてもよい。
設計システム53は、周知のパーソナルコンピュータと同様に、各種演算処理を行うCPUと、プログラム等を記憶するROMと、プログラム実行時に作業領域として使用されるRAMと、各種プログラム・データを記憶するハードディスク装置等により構成されている。設計システム53は、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、エンジン10に例示される内燃機関の設計方法を実行可能に構成されている。
本発明者は、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射することにより、燃焼室内に生成される空気と燃料との混合気における当量比Φを、その数値範囲と、面積率とにおいて可視化した当量比分布(Φ分布)を、内燃機関の設計に関わる各種パラメータに紐づけすることを着想した。例えば、内燃機関の燃焼特性(排気中のエミッション量や燃料の着火性等)の目標値(目標燃焼特性)を達成可能なΦ分布を、目標Φ分布として、Φの数値範囲(目標Φ範囲)と、その面積率(目標Φ面積)とにより表現して設計に利用することにより、設計に要する時間および工数を削減できることを見出した。
なお、Φは、エンジン10の燃焼室21内に生成される空気と燃料との混合気における当量比を意味する。Φは、理論空燃比Aと実空燃比Fとの比であり、Φ=A/Fにより算出できる。また、Φ分布は、点火プラグ29が設置されている燃焼室21を頭頂部から見た状態で可視化されることが好ましく、例えば、Φの数値範囲に対応して色が変化した状態で表示されてもよい。
燃焼室21内のΦ分布は、エンジン10を実際に駆動して計測することができる。具体的には、燃焼室21内に燃料を噴射して点火し、火炎面のラジカル発光を分光分析することにより、計測できる。Φ分布は、例えば、燃料の噴射量や燃圧を変更することにより変化する。このため、実機での試行により、燃料の噴射量や燃圧を変更することによりΦ分布を変化させて計測し、併せてエミッション量や着火性等の燃焼特性を検出することにより、Φ分布と、燃焼特性との関係を計測により求めることができる。
なお、設計システム53が設計対象とする内燃機関は、燃焼室内にインジェクタにより燃料を直接噴射する直噴式の内燃機関であればよく、図1に示すエンジン10の具体的構成に限定されない。例えば、インジェクタと点火プラグとの位置関係は、点火プラグの周囲のΦ分布を設計可能な位置関係であればよい。エンジン10は、燃焼室21の上面に配置されたインジェクタ30から燃料を噴射するセンター直噴式であるが、燃焼室21の側面にインジェクタが配置されたサイド直噴式であってもよい。
設計システム53は、算出部60と、データベース(DB)部70とを備えている。DB部70は、燃焼特性/Φ分布DB71と、Φ分布/噴霧特性DB72と、噴霧特性/インジェクタ要件DB73と、インジェクタ要件/インジェクタ諸元DB74とを備えている。
燃焼特性/Φ分布DB71には、燃焼特性とΦ分布との関係がデータベースとして記憶されている。燃焼特性/Φ分布DB71は、Φ分布に対する燃焼特性の感度を定量化した燃焼特性感度関数faがデータベースとして記憶されている。燃焼特性としては、エンジン10が排出する排気に含まれるエミッション量や、エンジン10における燃料の着火性を例示できる。エミッション量とは、排気に含まれる環境有害物質等の量であり、例えば、排気に含まれる窒素酸化物量(NOx量)や、粒子状物質(PM)の個数である固体粒子数(PN量)を例示できる。
より具体的には、燃焼特性/Φ分布DB71には、各燃焼特性について、目標燃焼特性を達成するために要求される目標Φ範囲および目標Φ面積が燃焼特性感度関数faとして記憶されている。すなわち、目標Φ分布は、目標Φ範囲および目標Φ面積という2種のパラメータによって表現されている。燃焼特性感度関数faは、実機による試行によって予め求められ、燃焼特性/Φ分布DB71にデータベースとして記憶されている。
Φ分布/噴霧特性DB72には、噴霧特性とΦ分布との関係がデータベースとして記憶されている。Φ分布/噴霧特性DB72には、Φ分布に対する噴霧特性の感度を定量化した噴霧特性感度関数fbがデータベースとして記憶されている。なお、噴霧特性とは、噴霧の物理量であり、例えば、着火時の燃料アシスト量、噴霧の初速、噴霧のザウタミーン径(Sauter mean diameter:SMD)等を例示できる。
噴霧特性感度関数fbは、実機による試行によって求めることも可能だが、噴霧特性に基づいて、CFD(Computational Fluid Dynamics)等の燃焼シミュレーションを実行することによって求めることも可能である。噴霧特性に基づいて、燃焼シミュレーションを実行することによっても、燃焼室内に生成される空気と燃料との混合気における当量比Φを、その数値範囲と、面積率とにおいて可視化した当量比分布(Φ分布)を作成できる。
噴霧特性/インジェクタ特性DB73には、噴霧特性とインジェクタ特性との関係がデータベースとして記憶されている。より具体的には、噴霧特性とインジェクタ特性との関係がマップや数式として記憶されている。なお、インジェクタ特性とは、インジェクタの設計パラメータであり、インジェクタ要件とは、目標噴霧特性を達成するためにインジェクタの設計パラメータに求められる要件である。インジェクタ特性としては、噴射量の増減、噴孔出口における燃圧、噴射率等を例示できる。
インジェクタ特性/インジェクタ諸元DB74には、インジェクタ特性とインジェクタ諸元との関係がデータベースとして記憶されている。より具体的には、インジェクタ特性とインジェクタ諸元との関係がマップや数式として記憶されている。インジェクタ諸元としては、噴射する燃料の燃圧、噴孔の孔径やテーパ角等を例示できる。
算出部60は、目標燃焼特性取得部61と、エンジン諸元取得部62と、目標Φ分布算出部63と、感度関数作成部64と、インジェクタ要件算出部65と、インジェクタ諸元設定部66とを備えている。
目標燃焼特性取得部61は、エンジン10の各種の燃焼特性の目標値である目標燃焼特性を取得する。目標燃焼特性は、例えば、入力部51として機能するユーザインタフェースから入力されてもよい。例えば、排気中のNOx量やPN量の上限値により規定された目標PN量や目標NOx量を目標燃焼特性として取得できる。また、均質燃焼により定義した着火要件を目標燃焼特性として取得できる。
エンジン諸元取得部62は、エンジン10の諸元を取得する。エンジン諸元は、例えば、入力部51として機能するユーザインタフェースから入力されてもよい。
目標Φ分布算出部63は、燃焼特性/Φ分布DB71から燃焼特性感度関数faを取得し、この燃焼特性感度関数faに基づいて、目標Φ分布を算出する。目標Φ分布とは、目標燃焼特性を達成可能なΦ分布の目標値である。
具体的には、目標Φ分布算出部63は、燃焼特性感度関数faから、目標燃焼特性を達成可能な目標Φ分布を決定する。より具体的には、目標Φ分布として、目標Φ範囲および目標Φ面積を決定する。目標Φ範囲は、目標燃焼特性を達成するために充足すべきΦの数値範囲として設定されてもよいし、回避すべきΦの数値範囲として設定されてもよい。
例えば、燃焼特性として着火性を考慮する場合、燃焼特性感度関数faから、充足すべき目標Φ範囲としてΦ>Φfを取得できる。Φ>Φfという目標Φ範囲は、均質燃焼を仮定して定義された着火要件である。そして、エンジン10の実機における着火時のばらつきを考慮して設定された目標Φ面積としてSf≧S1を取得する。すなわち、着火性を確保できるΦ分布の要件として、Φの数値範囲がΦ>Φfである領域の面積率SfについてSf≧S1であるという要件を算出できる。
感度関数作成部64は、CFD等の燃焼シミュレーションにより、Φ分布に対する噴霧特性の感度を定量化した噴霧特性感度関数fbを作成する。具体的には、目標値を設定した燃焼特性に影響する噴霧特性を抽出し、抽出した噴霧特性に基づいて燃焼室21内について燃焼シミュレーションを実行することにより、噴霧特性に対応するΦ分布を作成する。燃焼シミュレーションを用いる場合にも、エンジン10を実際に駆動して計測した場合と同様に、数値範囲と、面積率とにおいて可視化した当量比分布(Φ分布)を得ることができる。そして、燃焼シミュレーションにより算出されたΦ分布に基づいて、Φ分布に対する噴霧特性の感度を定量化することにより、噴霧特性感度関数fbを作成できる。感度関数作成部64により作成された噴霧特性感度関数fbは、Φ分布/噴霧特性DB72に記憶される。
インジェクタ要件算出部65は、目標燃焼特性に影響する噴霧特性を抽出し、抽出した噴霧特性について、Φ分布/噴霧特性DB72から噴霧特性感度関数fbを取得する。さらに、インジェクタ要件算出部65は、噴霧特性/インジェクタ特性DB73から、噴霧特性とインジェクタ特性との関係を示すマップや数式等を読み出す。そして、取得した噴霧特性感度関数fbと、読み出した噴霧特性とインジェクタ特性との関係を示すマップ等に基づいて、目標Φ分布を達成可能なインジェクタ要件を算出する。
インジェクタ諸元設定部66は、インジェクタ特性/インジェクタ諸元DB74から、インジェクタ特性とインジェクタ諸元との関係を示すマップや数式等を読み出し、算出したインジェクタ要件を達成できるように、インジェクタ諸元を設定する。
図3に、図2に示す設計システム53が実行する内燃機関の設計処理のフローチャートを示す。
ステップS101では、目標燃焼特性取得ステップを実行する。具体的には、目標燃焼特性として、エミッションおよび着火性の目標値を取得するとともに、エンジン諸元を取得する。その後、ステップS102に進む。
ステップS102では、目標Φ分布算出ステップを実行する。具体的には、燃焼特性感度関数faを読み出し、ステップS101で取得したエミッションおよび着火性の目標値に基づいて、燃焼特性感度関数faから目標Φ分布を算出する。目標Φ分布は、目標Φ範囲および目標Φ面積として算出される。
燃焼特性感度関数faは、実機による試行に基づいて得られるΦ分布と、燃焼特性とΦとの関係とに基づいて作成され、予めデータベースとして設計システム53に記憶されている。なお、燃焼特性とΦとの関係は、予め理論的または実験的に求められ、設計システム53に記憶されている。例えば、燃焼特性の一例である排気中のNOx量とΦとの関係については、各NOxの生成機構を示す化学反応式における量論比から理論的に算出できる。より具体的には、プロンプトNOx生成機構に基づいて、Φna<Φ<Φnbにおいて、許容量を超えるNOx量が生成することを理論的に導くことができる。
また、例えば、燃焼特性の一例である排気中のPN量とΦとの関係については、図4に示す関係を実験的に得ることができる。燃料の燃焼温度を横軸とし、Φの値を縦軸とする図4において、斜線領域において、許容量を超えるPNが発生することが実験により予め求められている。図4に示す斜線領域におけるΦの値の下限値をΦpと設定すれば、Φ>Φpの範囲では、PN量が許容量を超える。
図5に、燃焼室21内のΦ分布の一例を示す。図5に示すΦ分布は、エンジン10の燃焼室21内に燃料を噴射して点火し、火炎面のラジカル発光を分光分析することにより計測されたものである。図5に示すように、燃焼室21を頭頂部から見た状態で可視化され、Φの数値範囲によって区画された領域A0〜A4が表示されたΦ分布を作成できる。領域A0〜A4の各領域の面積率は、全領域の面積に対する各領域の面積の割合によって表すことができる。なお、図5では、Φ分布はΦの数値範囲ごとに区画されているが、Φの数値の変化に対応して色が変化した状態でΦ分布が表示されてもよい。
図5において、領域A0は、Φの数値範囲がΦ>Φpの領域であり、領域A1は、Φの数値範囲がΦnb≦Φ≦Φpの領域であり、領域A2は、Φの数値範囲がΦna<Φ<Φnbの領域であり、領域A3は、Φの数値範囲がΦf<Φ≦Φnaの領域であり、領域A4は、Φの数値範囲がΦ≦Φfの領域である。各領域のΦの値は、A0が最も大きく,A4が最も小さい。
領域A0は、PN量が増大するPN発生ゾーンであり、PN量の目標値を達成するために回避すべきΦの数値範囲の領域である。領域A0の面積率Spが小さいほどPN量を抑制できる。領域A2は、NOx量が増大するNOx発生ゾーンであり、NOx量の目標値を達成するために回避すべきΦの数値範囲の領域である。領域A2の面積率Snが小さいほどNOx量を抑制できる。領域A0〜A3を含む領域は、着火性を確保できる着火安定ゾーンであり、着火性の目標値を達成するために充足すべきΦの数値範囲の領域である。領域A0〜A3の面積率Sfが大きいほど着火性が向上する。なお、図5においては、ΦnbとΦpとが近接した値となり領域A1が非常に小さくなる等により、領域A1が隣接する領域と明確に区別できない場合がある。このため、領域A1は、PN発生ゾーンでもNOx発生ゾーンでもない領域であるが、PN発生ゾーン等と同様に、回避すべきΦの数値範囲の領域として取り扱ってもよい。例えば、領域A0の面積と領域A1の面積との合計が、PN量について設定された目標面積率の条件を満たすように設計を進めてもよい。
図5に示すような燃焼室21内のΦ分布に基づいて、図6〜8に示すような、目標Φ範囲となる面積率に対する各燃焼特性(着火性、排気中のNOx量、排気中のPN量)の感度を定量化した燃焼特性感度関数faが作成され、設計システム53に記憶されている。
ステップS102では、図6〜8に示す燃焼特性感度関数faに基づいて、着火性、NOx量、PN量についての目標値(目標燃焼特性)を満たすための目標Φ分布を取得する。図6の縦軸は着火が悪化する頻度を示しており、着火性の目標値を達成するために充足すべき目標Φ範囲の面積率Sfが増加するほど、着火の悪化率は減少する。図7の縦軸は排気中のNOx量を示しており、NOx量の目標値を達成するために回避すべき目標Φ範囲となる面積率Snが減少するほど、NOx量は減少する。図8の縦軸は排気中のPN量を示しており、PN量の目標値を達成するために回避すべき目標Φ範囲となる面積率Spが減少するほど、PN量は減少する。
図6〜8において、目標Φ範囲は、斜線で示す範囲に相当する。図6に示す着火性については、充足すべき目標Φ範囲:Φ>Φfについて、目標面積率:Sf≧S1と算出できる。図7に示す排気中のNOx量については、回避すべき目標Φ範囲:Φna<Φ<Φnbについて、目標面積率:Sn≦S2と算出できる。図8に示す排気中のPN量については、回避すべき目標Φ範囲:Φ>Φpについて、目標面積率:Sp≦S3と算出できる。その後、ステップS103に進む。
ステップS103では、噴霧特性感度関数作成ステップを実行する。具体的には、ステップS101で取得した目標燃焼特性に影響する噴霧特性を抽出し、抽出した噴霧特性について、エンジン諸元に基づいて、CFD等の燃焼シミュレーションを実行し、燃焼室21内に燃料を噴射して点火した際のΦ分布を算出する。燃焼シミュレーションにより算出することにより、図5と同様に、Φの数値範囲と面積率とを可視化したΦ分布を作成できる。ステップS103では、燃焼シミュレーションにより作成したΦ分布に基づいて、Φ分布に対する噴霧特性の感度を定量化した噴霧特性感度関数fbを作成する。
噴霧特性感度関数fbの一例として、それぞれ図9〜11に、Φ分布に対する各噴霧特性の感度を定量化した感度関数を示す。図9〜11の縦軸は、燃焼特性(着火性、NOx量、PN量)について目標Φ範囲となる面積率を示し、横軸は、各噴霧特性(アシスト量、SMD、噴霧の初速)を示す。
図9に示すように、着火性について目標Φ範囲となる面積率は、アシスト量の増加に対して対数関数的に変化し、アシスト量が大きくなるほど面積率の増加量が減少する。また、NOx量およびPN量については、目標Φ範囲となる面積率は、アシスト量の増加に対して略比例して増加する。
図10に示すように、着火性およびNOx量については、目標Φ範囲となる面積率は、SMDの変化に対して殆ど増減しない。PN量については、目標Φ範囲となる面積率は、SMDが大きくなるほど、これに略比例して増加する。
図11に示すように、着火性およびNOx量については、目標Φ範囲となる面積率は、噴霧の初速の変化に対して殆ど増減しない。PN量については、目標Φ範囲となる面積率は、噴霧の初速が速くなるほど、これに略比例して減少する。これらの噴霧特性感度関数fbは、設計システム53にデータベースとして記憶される。ステップS103の後、ステップS104に進む。
ステップS104では、インジェクタ要件算出ステップを実行する。具体的には、まず、ステップS103で抽出した噴霧特性について、その噴霧特性とインジェクタ特性(インジェクタの設計パラメータ)との関係を示すマップを読み出し、このマップの関係に基づいて、噴霧特性感度関数fbにおける噴霧特性をインジェクタ特性に置き換える。これにより、インジェクタ特性と目標Φ分布との関係を求めることができ、この関係に基づいて、目標Φ分布を達成可能なインジェクタ特性であるインジェクタ要件を算出できる。
図12に、抽出した噴霧特性とインジェクタ特性との関係を示す図を例示する。図12の縦軸および横軸に示す噴霧初速とSMDは、いずれも噴霧特性に相当する。図12に示す点P1〜P3は、インジェクタの噴孔出口燃圧(インジェクタ特性の一例である)を相違させて実験により得られた値であり、噴孔出口燃圧は、P1、P2,P3の順に高い。図12に示す実線は、噴孔出口燃圧に依存して、噴霧初速とSMDが変化することを示している。具体的には、噴孔出口燃圧が高いほど、噴霧初速は速くなり、SMDは小さくなる。そして、噴孔出口燃圧が低いほど、噴霧初速は遅くなり、SMDは大きくなる。
図12に例示されるような噴霧特性とインジェクタ特性との関係は、マップ化されて、設計システム53にデータベースとして記憶されている。ステップS104では、図12に示すような噴霧特性とインジェクタ特性との関係を示すマップをデータベースから読み出し、図9〜11に示すようなΦ分布と噴霧特性との関係に基づいて、図13に例示されるようなインジェクタ要件と目標Φ分布との関係を求める。
図13に示す図は、燃料のアシスト量を横軸とし、噴孔出口燃圧を縦軸として、各燃焼特性の目標値を達成可能な領域Rを示したものである。図9に示す燃料のアシスト量は、そのままインジェクタ特性としてのアシスト量に置き換えられている。図10,11に示す2つの噴霧特性としての噴霧の初速およびSMDは、図12に示す関係に基づいて、1つのインジェクタ特性としての噴孔出口燃圧に置き換えられている。
L1は、着火性に基づいて設定された目標Φ分布を規定する着火性制約線である。着火性制約線L1よりもアシスト量が多い領域(着火性制約線L1の右側の領域)において、着火性の目標値に基づいて設定された目標Φ分布(目標Φ範囲:Φ>Φfかつ目標面積率:Sf≧S1)を達成できる。
L2は、排気中のNOx量に基づいて設定された目標Φ分布を規定するNOx量制約線である。NOx量制約線L2よりもアシスト量が少ない領域(NOx量制約線L2の左側の領域)において、NOx量の目標値に基づいて設定された目標Φ分布(目標Φ範囲:Φna<Φ<Φnbかつ目標面積率:Sn≦S2)を達成できる。
L3は、排気中のPN量に基づいて設定された目標Φ分布を規定するPN量制約線である。PN量制約線L3よりも噴孔出口燃圧が高い領域(PN量制約線L3の上側の領域)において、PN量の目標値に基づいて設定された目標Φ分布(目標Φ範囲:Φ>Φpかつ目標面積率:Sp≦S3)を達成できる。
領域Rは、L1〜L3により囲まれた斜線領域である。領域Rにおいては、着火性、NOx量およびPN量についての各目標値に基づいて設定された目標Φ分布を達成することができる。ステップS104では、図13に斜線で示す領域Rの範囲内で、インジェクタ要件を設定する。これによって、着火性、NOx量およびPN量についての各目標値を達成できるようにインジェクタ要件を設定できる。ステップS104の後、ステップS105に進む。
ステップS105では、インジェクタ諸元設定ステップを実行する。具体的には、インジェクタ特性とインジェクタ諸元との関係を示すマップを読み出し、このマップに基づいて、算出したインジェクタ要件を達成できるように、インジェクタ諸元を設定する。例えば、インジェクタ特性としての噴孔出口燃圧は、噴射する燃料の燃圧、噴孔径、噴孔形状(テーパ角等)等のインジェクタ諸元に置き換えることができる。より具体的には、噴射する燃料の燃圧を高くし、噴孔径を小さくし、噴孔のテーパ角を広角化することにより、噴孔出口燃圧を高くすることができる。逆に、噴射する燃料の燃圧を低くし、噴孔径を大きくし、噴孔のテーパ角を狭角化することにより、噴孔出口燃圧を低くすることができる。また、インジェクタ特性としてのアシスト噴射量は、噴射する燃料の噴射量に置き換えることができる。設定したインジェクタ諸元は、出力部52に出力される。ステップS105の後、図3に示す一連の処理を終了する。
上記のとおり、本実施形態によれば、ステップS102において燃焼特性感度関数faに基づいて目標燃焼特性をΦ分布に紐付して目標Φ分布を設定する。そして、ステップS104において、ステップS103で燃焼シミュレーションにより算出した噴霧特性感度関数fbに基づいて、目標Φ分布を達成するためにインジェクタ特性に求められる要件であるインジェクタ要件を算出する。このため、ステップS105において、ステップS104で算出したインジェクタ要件を満たすように、インジェクタ諸元を設定することにより、目標燃焼特性を達成できる範囲でインジェクタ諸元を設定できる。目標燃焼特性が複数であっても、燃焼特性感度関数faおよび噴霧特性感度関数fbを用いてΦ分布と紐づけすることにより、一連の処理により各目標燃焼特性を達成可能なインジェクタ諸元を設定できる。このため、特定の目標燃焼特性を達成できるようにエンジン10を設計した後で、他の目標燃焼特性を達成できるように実機で試行を繰り返す必要がなく、エンジン10の設計に要する時間および工数を削減できる。さらに、噴霧特性感度関数fbは、燃焼シミュレーションにより作成されるため、噴霧特性感度関数fbを作成するために実機で計測を行う必要がなく、設計のための費用や工数、時間を削減できる。
なお、設計システム53は、入力部51から入力された目標燃焼特性に基づいて、目標Φ分布を設定した後に設計処理を終了する設計方法を実行可能に構成されていてもよい。この設計方法では、ステップS101〜S103の各処理を実行した後、設定した目標Φ分布を出力部52に出力し、処理を終了する。
また、設計システム53は、目標燃焼特性に基づく目標Φ分布の設定処理を実行しないで、入力部51から入力された目標Φ分布に基づいて、インジェクタ諸元を設定する設計方法を実行可能に構成されていてもよい。この場合、ステップS104よりも前のステップで、目標Φ分布を取得する目標Φ分布取得ステップを実行した後、ステップS104の処理に移行する。目標Φ分布取得ステップは、ステップS101のタイミングで実行してもよいし、ステップS103とステップS104との間となるタイミングで実行してもよい。さらには、設計システム53は、入力部51により上記の3種の設計方法を選択可能に構成されていてもよい。
上記の各実施形態によれば、下記の効果を得ることができる。
設計システム53は、燃焼室21内にインジェクタ30により燃料を直接噴射する直噴式の内燃機関であるエンジン10を設計する第1の設計方法を実行可能に構成されている。この設計方法は、目標燃焼特性取得ステップと、目標Φ分布算出ステップと、インジェクタ要件算出ステップと、を含む。目標燃焼特性取得ステップでは、エンジン10の燃焼特性の目標値である目標燃焼特性を取得する。目標Φ分布算出ステップでは、Φ分布に対して燃焼特性の感度を定量化した燃焼特性感度関数faに基づいて、目標燃焼特性を達成可能なΦ分布の目標値である目標Φ分布を算出する。インジェクタ要件算出ステップでは、目標Φ分布を達成するためにインジェクタの設計パラメータに求められる要件であるインジェクタ要件を算出する。なお、エンジン10の燃焼室21内に生成される空気と燃料との混合気におけるΦ分布である。
上記の第1の設計方法によれば、燃焼特性感度関数faを用いることにより、例えばエミッション量および着火性というような多様な目標燃焼特性をΦ分布に紐付けして目標Φ分布というパラメータに収束させることができる。このため、目標Φ分布を達成できるようにインジェクタ要件を算出し、算出したインジェクタ要件に基づいてエンジン10を設計することにより、多様な目標燃焼特性が包括的に達成可能となるようにエンジン10を設計できる。すなわち、一連の設計処理によって、エミッション量と着火性との双方を達成可能なエンジン10を設計できる。その結果、目標燃焼特性を達成するための実機での試行を削減でき、エンジン10の設計に要する時間および工数を削減できる。
なお、燃焼特性は、特に限定されないが、エンジン10が排出する排気に含まれるエミッション量と、エンジン10における燃料の着火性とを含むことが好ましい。少ない工数で、エミッション量と着火性との双方について良好な性能となるエンジン10を設計できる。
設計システム53は、また、目標燃焼特性取得ステップと、噴霧特性感度関数作成ステップと、インジェクタ要件算出ステップとを含むエンジン10の第2の設計方法を実行可能に構成されている。噴霧特性感度関数作成ステップでは、Φ分布に対する噴霧特性の感度を定量化した噴霧特性感度関数fbを燃焼シミュレーションにより作成する。インジェクタ要件算出ステップでは、噴霧特性感度関数fbに基づいて、目標Φ分布を達成可能なインジェクタ特性であるインジェクタ要件を算出する。
上記の第2の設計方法によれば、噴霧特性感度関数fbを用いることにより、Φ分布を多様な噴霧特性に紐付することができ、ひいては、インジェクタ特性に紐付することができる。すなわち、噴霧特性感度関数fbを用いることにより、目標Φ分布を達成できるようなインジェクタ要件を算出できる。そして、算出したインジェクタ要件に基づいてエンジン10を設計することにより、目標Φ分布が達成可能となるようにエンジン10を設計できる。また、燃焼シミュレーションにより作成された噴霧特性感度関数を用いることにより、多様なインジェクタの設計パラメータを変更して実行される実機での試行回数を削減できる。その結果、目標Φ分布を達成するための実機での試行を削減でき、エンジン10の設計に要する時間および工数を削減できる。
設計システム53は、また、目標燃焼特性取得ステップと、目標Φ分布算出ステップと、噴霧特性感度関数作成ステップと、インジェクタ要件算出ステップと、を含むエンジン10の第3の設計方法を実行可能に構成されている。上記の第3の設計方法によれば、Φ分布を介して燃焼特性と噴霧特性とを紐付けすることにより、目標燃焼特性を達成可能なインジェクタ要件を算出できる。このため、算出したインジェクタ要件に基づいてエンジン10を設計することにより、多様な目標燃焼特性が包括的に達成可能となるようにエンジン10を設計できる。また、燃焼シミュレーションにより作成された噴霧特性感度関数を用いることにより、多様なインジェクタの設計パラメータを変更して実行される実機での試行回数を削減できる。その結果、実機での試行を削減でき、エンジン10の設計に要する時間および工数を削減できる。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
10…エンジン、21…燃焼室、30…インジェクタ

Claims (4)

  1. 燃焼室(21)内にインジェクタ(30)により燃料を直接噴射する直噴式の内燃機関(10)の設計方法であって、
    前記内燃機関の燃焼特性の目標値である目標燃焼特性を取得する目標燃焼特性取得ステップ(S101)と、
    前記燃焼室内に生成される空気と燃料との混合気における当量比分布に対する前記燃焼特性の感度を定量化した燃焼特性感度関数に基づいて、前記目標燃焼特性を達成可能な前記当量比分布の目標値である目標当量比分布を算出する目標当量比分布算出ステップ(S102)と、
    前記目標当量比分布を達成するために前記インジェクタの設計パラメータに求められる要件であるインジェクタ要件を算出するインジェクタ要件算出ステップ(S104)と、を含む内燃機関の設計方法。
  2. 燃焼室内にインジェクタにより燃料を直接噴射する直噴式の内燃機関の設計方法であって、
    前記内燃機関の燃焼特性の目標値である目標燃焼特性を取得する目標燃焼特性取得ステップ(S101)と、
    前記燃焼室内に生成される空気と燃料との混合気における当量比分布に対する前記燃焼室内に噴射された燃料の噴霧特性の感度を定量化した噴霧特性感度関数を燃焼シミュレーションにより作成する噴霧特性感度関数作成ステップ(S103)と、
    前記噴霧特性感度関数に基づいて、前記目標燃焼特性を達成可能な前記当量比分布の目標値である目標当量比分布を達成するために前記インジェクタの設計パラメータに求められる要件であるインジェクタ要件を算出するインジェクタ要件算出ステップ(S104)と、を含む内燃機関の設計方法。
  3. 燃焼室内にインジェクタにより燃料を直接噴射する直噴式の内燃機関の設計方法であって、
    前記内燃機関の燃焼特性の目標値である目標燃焼特性を取得する目標燃焼特性取得ステップ(S101)と、
    前記燃焼室内に生成される空気と燃料との混合気における当量比分布に対する前記燃焼特性の感度を定量化したに基づいて、前記目標燃焼特性を達成可能な前記当量比分布の目標値である目標当量比分布を算出する目標当量比分布算出ステップ(S102)と、
    前記当量比分布に対する前記燃焼室内に噴射された燃料の噴霧特性の感度を定量化した噴霧特性感度関数を燃焼シミュレーションにより作成する噴霧特性感度関数作成ステップ(S103)と、
    前記噴霧特性感度関数に基づいて、前記目標当量比分布を達成するために前記インジェクタの設計パラメータに求められる要件であるインジェクタ要件を算出するインジェクタ要件算出ステップ(S104)と、を含む内燃機関の設計方法。
  4. 前記燃焼特性は、前記内燃機関が排出する排気に含まれるエミッション量と、前記内燃機関における燃料の着火性とを含む請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の設計方法。
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