JP2021138797A - コーティング剤及びコーティング方法 - Google Patents

コーティング剤及びコーティング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021138797A
JP2021138797A JP2020035110A JP2020035110A JP2021138797A JP 2021138797 A JP2021138797 A JP 2021138797A JP 2020035110 A JP2020035110 A JP 2020035110A JP 2020035110 A JP2020035110 A JP 2020035110A JP 2021138797 A JP2021138797 A JP 2021138797A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating agent
water
base material
mass
silica
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020035110A
Other languages
English (en)
Inventor
幹夫 梶原
Mikio Kajiwara
幹夫 梶原
知以 樋口
Tomoji Higuchi
知以 樋口
誠 原田
Makoto Harada
誠 原田
輝政 山本
Terumasa Yamamoto
輝政 山本
英彦 南
Hidehiko MINAMI
英彦 南
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoei Sangyo Co Ltd
Asahi Etic Co Ltd
Original Assignee
Hoei Sangyo Co Ltd
Asahi Etic Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoei Sangyo Co Ltd, Asahi Etic Co Ltd filed Critical Hoei Sangyo Co Ltd
Priority to JP2020035110A priority Critical patent/JP2021138797A/ja
Publication of JP2021138797A publication Critical patent/JP2021138797A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】下地材に塗布されるコーティング剤において、良好な透明性を確保しつつ、防汚機能の持続性を高めること。【解決手段】本発明の一態様としてのコーティング剤は、シリカと、水溶性高分子と、水溶性アルコールと、シロキサンと、アクリル樹脂と、水とを含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、下地材に塗布されるコーティング剤及び当該コーティング剤を下地材に塗布するコーティング方法に関する。
建築物や看板等の表面に防汚機能を付与する方法として、下地材等の塗膜表面をコーティング剤によって親水化する技術が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術によれば、下地材の表面を親水化させることによって、下地材の表面に付着した雨水等の水が下地材の表面に濡れ拡がりやすくなる。これにより、下地材の表面に付着した自動車の排気ガスや煤煙等の汚染物質を流去するというものである。
特開2018−119067号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたようなコーティング剤では、防汚機能の持続性、すなわち、コーティング剤の耐久性において依然として改良の余地があった。また、看板のように、下地材の塗膜に色がある場合には、塗膜の発色を妨げない透明性が要求される。
しかし、コーティング剤の耐久性と透明性との間には、二律背反の関係があり、コーティング剤の透明性と耐久性とを両立させることは、困難性が高かった。
そこで、本発明は、下地材に塗布されるコーティング剤において、良好な透明性を確保しつつ、防汚機能の持続性を高めることを目的とする。
本発明の一態様としてのコーティング剤は、下地材に塗布されるコーティング剤であって、シリカと、水溶性高分子と、水溶性アルコールと、シロキサンと、アクリル樹脂と、水と、を含有する。
この態様によれば、水へのシリカの分散性が高められるため、シリカによって生じるコーティング剤の濁りを抑えることができ、良好な透明性を確保することができる。
また、この態様によれば、下地材に塗布されたコーティング剤から水が揮発する際に、シリカ、シロキサン及びアクリル樹脂が反応することにより、下地材とコーティング剤との間には、シロキサン結合(Si−O−Si−)及びシラノール基(Si−OH)を有する構造が形成される。
この構造において、シラノール基に水分子が捕捉されることよって、コーティング剤の表面に水分子がナノオーダの薄膜を形成することができるため、コーティング剤の表面が極めて高い親水性を呈する。このため、コーティング剤の表面に付着した水がコーティング剤の表面に濡れ拡がりやすくなる。
これにより、雨水等の水分子がコーティング剤の表面とコーティング剤に付着した汚れとの間に侵入し、汚れを洗い流すことができる。
したがって、下地材に塗布されるコーティング剤において、防汚機能の持続性を高めることができる。
図1は、コーティング剤の反応を説明する模式図である。 図2は、下地材の表面に形成される構造を説明する模式図である。 図3は、接触角を説明するための模式図である。 図4は、コーティング剤の表面において、汚れが流される様子を説明する模式図である。 図5は、L*a*b*色差式表色系を説明する模式図である。
[コーティング剤]
本発明の実施形態に係るコーティング剤について説明する。
本実施形態に係るコーティング剤は、シリカと、水溶性高分子と、水溶性アルコールと、シロキサンと、アクリル樹脂と、水とを含有し、下地材に塗布されることにより、下地材に煤煙等による汚れに対する防汚機能を付与するものである。
本実施形態に係るコーティング剤は、下地材に塗布された状態において、コーティング剤に水が接触した際におけるコーティング剤と水との接触角を10°以下にすることができる。
また、本実施形態に係るコーティング剤は、可視光領域の検出光に対するヘーズ値(濁り度)が0〜1.0であることが好ましい。また、ヘーズ値は、より好ましくは、0〜0.5である。本実施形態に係るコーティング剤は、上述のヘーズ値によって表される良好な透明性を有するため、下地材に色が含まれている場合でも、下地材の発色に影響を与えることがない。
なお、本実施形態に係るコーティング剤は、店舗、給油スタンドに設置される看板等の下地材によく使用されるウレタン樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料等の下地材に対しても有用である。
<シリカ>
本実施形態において、シリカとしては、無定型シリカ粒子が水中に分散されたコロイダルシリカを使用することができる。コロイダルシリカのpHは、9.0〜10.0であることが好ましい。pHが9.0未満では、シリカの安定性が悪くなり、凝集し易くなる。また、これにより透明性が悪くなる。
また、シリカは、一次粒子の粒径が10nm〜20nmであることが好ましい。シリカの一次粒子の粒径が上記範囲を外れると、コーティング剤の表面において良好な親水性が得られないことがある。
なお、シリカが二次凝集している場合には、ロールミル、ビーズミル等を用いて粉砕して用いることが好ましい。
これらのなかでは、水に対する分散性が良好であることから、非晶質シリカを用いることが好ましい。
また、非晶質シリカは、当該コーティング剤の全質量比で3質量%以上5質量%以下含まれる。
非晶質シリカが当該コーティング剤の全質量比で3質量%未満であると、コーティング剤の下地材への密着性が低下し、コーティング剤による親水性付与効果の持続性が低下する。また、非晶質シリカが当該コーティング剤の全質量比で5質量%超であると、水に分散しにくくなるため、コーティング剤の透明性が低下する。このため、下地材が色のある塗膜の場合には不適合となる。このため、非晶質シリカの含有量は、上記範囲とすることが好ましい。また、上記観点から、非晶質シリカは、当該コーティング剤の全質量比で3質量%以上4質量%以下とすることがより好ましい。
<水溶性高分子>
水溶性高分子として、天然高分子及び合成高分子が使用可能である。天然高分子としては、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、コーンスターチ等の植物系天然高分子、キサンタンガム等の微生物系高分子、ヒアルロン酸ナトリウム等の動物系天然高分子を用いることができる。
また、合成高分子として、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等を用いることができる。
また、水溶性高分子は、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の半合成高分子であってもよい。
<水溶性アルコール>
本実施形態において、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール等の水溶性を有する低級アルコールを使用することができる。これらの水溶性アルコールのなかでは、シロキサン及びアクリル樹脂の混合物を溶解する観点から、エタノールを用いることが好ましい。
本実施形態においては、エタノールは、コーティング剤の全質量比で1質量%以上2質量%以下含まれる。
エタノールの含有量がコーティング剤の全質量比で1質量%未満であると、シロキサン及びアクリル樹脂を水に分散させることが困難となる。また、エタノールの含有量がコーティング材の全質量比で2質量%超であると、エタノールが過剰となり、調製作業における作業性が低下する。また、後述するコーティング剤と下地材との間における−Si−O−Si−OH構造の形成が十分に行われず、コーティング剤の密着性を高めることが難しくなる。このため、エタノールの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
<シロキサン>
シロキサンは、有機ケイ素化合物(オルガノポリシロキサン)であり、ケイ素(Si)と酸素(O)とが交互に結合した構造を有する。一般式は、R3SiO−(R2SiO)n−SiR3で表される。
このようなシロキサンは、シリカ及びアクリル樹脂等と反応することにより、下地材とコーティング剤との間に、シロキサン結合(−Si−O−Si)と、シラノール基(−Si−OH)とを有する−Si−O−Si−OH構造が形成される。
下地材とコーティング剤との間にシロキサン結合が形成されることにより、コーティング剤と下地材との密着性が高められる。また、コーティング剤の表面に形成されるシラノール基により、コーティング剤の表面に水分子(H2O)が捕捉されてナノオーダの水膜が形成される。
コーティング剤と下地材との間における、−Si−O−Si−OH構造の形成が促進される観点から、シロキサンとして、ポリジメチルシロキサンを使用することが好ましい。
<アクリル樹脂>
アクリル樹脂は、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体であり、透明性の高い非晶質の合成樹脂である。本実施形態においては、汎用のアクリル樹脂を適宜用いることができる。
なお、水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量(単位:mg)であり、原料中の水酸基数を示す。
本実施形態においては、上述したシロキサン及びアクリル樹脂は、シロキサンとアクリル樹脂の混合物として使用することができ、シロキサン及びアクリル樹脂の混合物の含有量は、コーティング剤の全質量比で1.9質量%以上2質量%未満であることが好ましい。
シロキサン及びアクリル樹脂の混合物がコーティング剤の全質量比で2質量%以上含まれると、コーティング剤と下地材との間における、−Si−O−Si−OH構造の形成が十分に行われず、コーティング剤の密着性を高めることが難しくなる。
コーティング剤と下地材との間における、Si−O−Si−OH構造を形成可能になる観点から、シロキサン及びアクリル樹脂の混合物は、コーティング剤の全質量比で1.9質量%以上含まれることが好ましい。
[作用効果]
図1は、コーティング剤の反応を説明する模式図である。また、図2は、下地材の表面に形成される構造を説明する模式図である。
本実施形態に係るコーティング剤によれば、図1に示すように、コーティング剤を下地材に塗布した直後には、コーティング剤に含まれる水が介在することによって、シリカは、下地材の表面において密集していない状態(「疎」の状態)で存在する。しかし、水が揮発するとともに、下地材の表面に凝集し、コーティング剤に含まれるシロキサン及びアクリル樹脂とともに反応することにより、図2に示すように、下地材の表面にシロキサン結合(−Si−O−Si)と、シラノール基(−Si−OH)とを有する−Si−O−Si−OH構造が形成される。
下地材とコーティング剤との間においては、シロキサン結合が形成されるため、下地材とコーティング剤とが強固に密着する。また、コーティング剤の表面においては、シラノール基により水分子(H2O)が保持されて、ナノオーダの水膜が形成される。このため、コーティング剤の表面は、極めて高い親水性を呈することができる。
一般的に、固体表面と、固体表面に滴下した液滴との間において、液滴の接する角度を「接触角(ぬれ性)」と呼ぶ。図3は、接触角を説明するための模式図である。
接触角は、90°を境に90°以下を親水性、90°超を撥水性と分類することができる。さらに、接触角10°以下のものを超親水性と分類できる。また、150°以上のものを超撥水性と分類することができる。
本実施形態に係るコーティング剤は、下地材に塗布された状態において、コーティング剤と水との接触角が10°以下である超親水性に該当する良好な親水性を呈する。したがって、本実施形態に係るコーティング剤を下地材に塗布することにより、下地材に良好な親水性を付与することができる。
図4は、コーティング剤の表面において、汚れが流される様子を説明する模式図である。本実施形態に係るコーティング剤の表面は、超親水性となっているため、コーティング剤の表面に付着した水は、コーティング剤の表面において拡がりやすい。これにより、水がコーティング剤の表面とコーティング剤に付着した汚れとの間に侵入し、汚れを洗い流すことができる。
また、下地材とコーティング剤との間には、シロキサン結合(−Si−O−Si)が形成されているため、下地材とコーティング剤との間の密着性が高められる。
本実施形態に係るコーティング剤では、非晶質シリカの含有量を当該コーティング剤の全質量比で3質量%以上4質量%以下と、高い配合量比に設定しても透明性を保持することができる。
本実施形態に係るコーティング剤は、可視光領域の検出光に対するヘーズ値(濁り度)が0〜1.0であり、より好ましくは、0〜0.5である。
本実施形態に係るコーティング剤は、このような良好な透明性を有することにより、下地材に色が含まれていても、下地材の発色に影響を与えない。なお、下地材としては、店舗、給油スタンドに設置される看板等の下地材によく使用されるウレタン樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料等に対しても有用である。
以上のように、本実施形態に係るコーティング剤によれば、良好な透明性を確保しつつ、防汚機能の持続性を高めることができる。
本発明の実施形態に係るコーティング剤の供試体を調製し、これらの供試体に対して各種測定を行い、供試体の特性を評価した。以下、コーティング剤の供試体の評価方法について説明する。
[評価方法]
<透過性の測定>
透過性の測定について説明する。
(1)試験体作製
60×60×2mmのガラス板を水洗し、水跡がなくなるまで、ガラス板の表面をエタノールにて拭き取し、続いて、ガラス板を室温にて乾燥させた。
乾燥後のガラス板の表面に、シリカ量を調製した各供試体の15g/m2をガーゼで均一に塗布した。
塗布後、室温にて24時間以上養生し、透過性測定用の試験体とした。シリカの量は、コーティング剤の全質量に対するシリカの質量を変えて、1質量%(供試体1),3質量%(供試体2),4質量%(供試体3)、5質量%(供試体4),7質量%(供試体5),10質量%(供試体6)とした。なお、透過性測定用の試験体作製に用いた供試体において、シリカ以外の含有量は、以下のとおりとした。
水溶性高分子…1質量%未満
水溶性アルコール(エタノール)…2質量%
ポリジメチルシロキサンとアクリル樹脂の混合物…2質量%未満
水…残部
(2)透過性試験方法
赤外分光光度計 JASCO社製 製品名V670 を用いて、まず、ガラス板のみのヘーズ値(濁り度)を測定した。
続いて、同じガラス板に、上述(1)の要領にて、シリカ量の異なる供試体を塗布し、同様にしてヘーズ値(濁り度)を測定した。
測定波長域は、380nm〜700nmとし、この範囲のなかで最も可視光に近い、650nmと550nmにおけるヘーズ値を測定した。
また、目視観察により、供試体の外観を次の4段階に分類した。
A:透明、B:ごく僅かに濁る(下地材の発色に遜色を与えないレベル)、C:少し濁る(下地材の発色に遜色を与えるレベル)、D:濁る
<耐候性試験>
次に、耐候性試験について説明する。
本実施形態に係るコーティング剤の代表的な供試体と、従来のコーティング剤のそれぞれについて耐候性試験を行った。
(1)耐候性試験用の供試体の作製
耐候性測定用のコーティング剤の供試体7を以下のとおり調製した。
コロイダルシリカ(非晶質シリカ、平均粒径10〜20nm、pH=9.2)…3.2質量%
水溶性高分子…1質量%未満
水溶性アルコール(エタノール)…2質量%
ポリジメチルシロキサンとアクリル樹脂の混合物…2質量%未満
水…残部
(2)耐候性試験用の試験体の作製
ユタカパネル株式会社製 下地アルミニウム板(70×150×0.8)に、日本ペイント株式会社製 ニッペ ファインウレタンU100(カラー:コスモブルー)を塗布したものを試験用の下地材とし、ファインウレタンU100の上から供試体7としてのコーティング剤を塗布して試験体とした。
(3)比較用の試験体
また、耐候性測定のための比較用の供試体8として、シリカを2質量%含有した市販品(ロックフィールド株式会社製 製品名:アクアフレンド)を用いた。これを、下地アルミニウム板に下地材として塗布された日本ペイント株式会社製 製品名:ファインウレタンU100の上に塗布し、比較用の試験体とした。
(4)接触角の測定
供試体の表面に水を滴下し、滴下後3秒後に接触角を測定した。なお、滴下量は、3μLとした。接触角の測定には、FIBRO SYSTEM株式会社製 接触角計を使用した。
(5)耐候性の測定
耐候性の測定には、スガ試験機株式会社製 スーパーキセノンウェザーメーター SX75を使用した。
接触角測定の結果から、水との接触角が10°以下になるシリカ含有量の範囲から1点(3.2質量%)を選択して供試体を作製した。また、接触角測定の結果から、水との接触角が10°を超えるシリカ含有量の範囲から1点(2.0質量%)を選択して供試体を作製した。
そして、これら両者の耐候性測定を行った。耐候性測定では、実際の製品品質の基準に則って、約10年間に亘って、コーティング剤が所定の親水性(本測定では、接触角30°以下とした)を維持できることを基準とした。
また、上記耐候性試験機においては、暴露期間1年間=250時間に換算できるため、試験時間を2500時間(10年相当)に設定した。
<耐候性試験後における色差及び光沢の測定>
次に、耐候性試験前後における下地材の色差の変化の測定について説明する。
(1)色差測定用の試験体
色差測定用の試験体として上述した供試体7を用いた。耐候性試験の際と同様に、ユタカパネル株式会社製 下地アルミニウム板(70×150×0.8)に、日本ペイント株式会社製 ニッペ ファインウレタンU100(カラー:コスモブルー)を塗布したものを試験用の下地材とし、ファインウレタンU100の上から供試体7としてのコーティング剤を塗布して試験体とした。
色差測定で用いた下地材は、下地アルミニウム板への下地処理(シンナー拭き)を行った後、下地アルミニウム板へ下塗りとして刷毛塗りにてファインウレタンU100を塗布し、続いて、上塗りとして刷毛塗りにて再度ファインウレタンU100を重ねて塗布した。
続いて、上塗り後、供試体7のコーティング剤を塗布しないもの(試験体A)、拭き取り塗布したもの(試験体B)、スプレー吹き付けを行ったもの(試験体C)を用意した。
なお、スプレー吹きつけには、アネスト岩田株式会社製 スプレーガンW200を使用した。
下地アルミニウム板へのファインウレタンU100及び供試体7の塗布条件及び塗布量は、以下のとおりである。
Figure 2021138797
(2)色差測定
色差の測定に、コニカミノルタ株式会社製 色彩色差計CR400を用いた。
試験体A,B,Cのそれぞれについて、耐候性の測定にて使用したスガ試験機株式会社製 スーパーキセノンウェザーメーター SX75を用いて耐候性試験を行った。上記耐候性試験を行い、500時間経過後に色差を測定した。また、別の試験体を用意して、750時間経過後に色差を測定した。
(3)表面光沢測定
表面光沢の測定には、コニカミノルタ株式会社製 光沢計GM268Plusを用いた。
試験体A,B,Cのそれぞれについて、耐候性試験を行い、750時間経過後及び2200時間経過後の表面光沢を測定した。表面光沢は、上記測定器を用いて、60°光沢を測定した。
[評価結果]
<透過性及び接触角の測定結果>
供試体の透過性の測定結果及び水との接触角の測定結果を第1表に示す。接触角測定の結果、10°以下が達成された供試体をP(Pass)、10°を超えた供試体をF(Fail)で表した。
Figure 2021138797
第1表の結果から、シリカの含有量が、3〜5質量%であり、水溶性高分子が1質量%未満、水溶性アルコール(エタノール)が2質量%、ポリジメチルシロキサンとアクリル樹脂の混合物が2質量%未満、水が残部含まれるコーティング剤は、ヘーズ値が650nm、550nmのいずれにおいても良好な値を示し、下地材の発色に遜色を与えないレベルであり、実用に供することがわかった。
また、第1表の結果から、シリカの含有量が、3質量%以上であれば、水との接触角が10°以下となる超親水性を呈するが、シリカ含有量が5質量%を超えると、ヘーズ値が悪化することがわかった。
なお、供試体1では、シリカ含有量は少量(1質量%)であっても、水溶性高分子、エタノール、ポリジメチルシロキサンとアクリル樹脂の混合物等との配合バランスによってシリカの分散が悪くなり、白濁が起こったことが考えられる。
<耐候性の測定結果>
供試体の耐候性の測定結果を第2表に示す。
Figure 2021138797
第2表の結果から、シリカの含有量が適正範囲である3.2質量%に調製された供試体7は、塗布後、すなわち、耐候性試験開始時(0h)において、接触角が7.7°の超親水性を呈することがわかった。また、供試体7は、2200時間経過後においても、良好な親水性とされる接触角30°を下回る接触角22.7°を保持することができる。したがって、本実施形態に係る供試体は、下地材に塗布された当初に超親水性を発現し、長期間に亘って、良好な親水性を維持できることがわかった。これは、製品性能としては、10年間経過した後も、接触角30°以下の良好な親水性を維持できることを意味している。
一方、シリカの含有量が2質量%である供試体8のコーティング剤は、下地材に塗布された当初(耐候性試験開始時)において、接触角が11.4°であった。供試体8のコーティング剤は、一般的には良好な親水性を呈するが、超親水性にはならない。また、供試体7の半分の経過時間で、既に接触角が20.5°と測定されていることから、2200時間経過後には、供試体7の結果から大幅に乖離し、接触角が30°を上回ることが想定される。これは、製品性能としては、10年間経過する前に接触角30°を超えてしまうことになる。このような場合には、時間経過とともに防汚効果の低下が進行し、10年間経過する前に必要な防汚効果が失われてしまう。
以上のように、本実施形態に係るコーティング剤によれば、下地材に塗布された当初に超親水性を発現し、長期間に亘って、良好な親水性を維持できるため、防汚機能の持続性を高めることができる。また、良好な透明性を確保できるため、上記防汚機能を備えながらも、下地材の発色に遜色を与えることがない。
<耐候性試験前後における色差の測定結果>
供試体の色差の測定結果を第3表に示す。
ここで用いられる各数値は、CIE(国際照明委員会)によって定められた「CIE1976 L*a*b*色差式表色系」に基づく。
図5は、L*a*b*色差式表色系を説明する模式図である。図5に示されるL*軸は、明るさを表す明度軸であり、0〜100の値で表される。L*が0に近いと黒、100に近いと白を表す。a*軸は、緑〜赤の色相を表し、マイナス側で緑、プラス側で赤を表す。b*軸は、青〜黄の色相を表し、マイナス側で青、プラス側で黄を表す。a*軸及びb*軸の値が大きくなる程、強い色(彩度が高い)であることを表す。
L*値と、a*値と、b*値のバランスで色彩を表現することができる。また、L*値、a*値及びb*値から以下の式により、色差ΔEを求めることができる。
色差:ΔE=√((ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2
Figure 2021138797
供試体の光沢の測定結果を第4表に示す。
Figure 2021138797
第3表の結果によれば、時間の経過とともに、コーティング剤が塗布された試験体B,Cよりも、試験体Aの方が色差(ΔE)が大きくなっており、色差の低下が進んでいることがわかる。また、第4表の結果によれば、コーティング剤が塗布されていない試験体Aでは、耐熱性試験による光沢の低下の進行が、コーティング剤が塗布された試験体B,Cに比べて著しく早いことがわかる。
このように、第3表、第4表の結果によれば、コーティング剤を塗布した試験体の方が、塗布しない試験体よりも、長期間経過後も色差及び光沢の双方の低下の進行が抑えられていることがわかる。なお、色差測定では、1200時間を超えると、下地材が劣化し始め、コーティング剤を介した色差が正しく測定できなくなるため、1200時間までの結果を表した。
これにより、本実施形態に係るコーティング剤によれば、良好な透明性を確保しつつ、防汚機能の持続性を高めるという効果に加えて、長期間に亘って下地材の発色性を良好に保持することができ、また、長期間経過による下地材の退色を防止することができる。

Claims (8)

  1. 下地材に塗布されるコーティング剤であって、
    シリカと、
    水溶性高分子と、
    水溶性アルコールと、
    シロキサンと、
    アクリル樹脂と、
    水と、を含有する、
    コーティング剤。
  2. 請求項1に記載のコーティング剤であって、
    前記シリカは、非晶質シリカであり、前記非晶質シリカが前記コーティング剤の全質量比で3質量%以上5質量%以下含まれる、
    コーティング剤。
  3. 請求項2に記載のコーティング剤であって、
    前記シリカは、非晶質シリカであり、前記非晶質シリカが前記コーティング剤の全質量比で3質量%以上4質量%以下含まれる、
    コーティング剤。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のコーティング剤であって、
    前記水溶性アルコールがエタノールであり、
    前記エタノールが前記コーティング剤の全質量比で1質量%以上2質量%以下含まれる、コーティング剤。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のコーティング剤であって、
    前記シロキサンと前記アクリル樹脂の混合物が前記コーティング剤の全質量比で2質量%未満含まれる、
    コーティング剤。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のコーティング剤であって、
    前記シロキサンがポリジメチルシロキサンである、
    コーティング剤。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のコーティング剤であって、
    前記下地材に前記コーティング剤が塗布された際、前記コーティング剤と前記コーティング剤に接触した水との接触角が10度以下である、コーティング剤。
  8. 下地材に対して、
    シリカと、水溶性高分子と、水溶性アルコールと、シロキサンと、アクリル樹脂と、水とを含有するコーティング剤を塗布し、
    前記下地材に親水性を付与するコーティング方法。
JP2020035110A 2020-03-02 2020-03-02 コーティング剤及びコーティング方法 Pending JP2021138797A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020035110A JP2021138797A (ja) 2020-03-02 2020-03-02 コーティング剤及びコーティング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020035110A JP2021138797A (ja) 2020-03-02 2020-03-02 コーティング剤及びコーティング方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021138797A true JP2021138797A (ja) 2021-09-16

Family

ID=77667950

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020035110A Pending JP2021138797A (ja) 2020-03-02 2020-03-02 コーティング剤及びコーティング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021138797A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20220078195A (ko) * 2020-12-03 2022-06-10 인천대학교 산학협력단 소수성 폴리머와 마이크로/나노 파우더를 이용한 아이스포빅 표면 구현방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20220078195A (ko) * 2020-12-03 2022-06-10 인천대학교 산학협력단 소수성 폴리머와 마이크로/나노 파우더를 이용한 아이스포빅 표면 구현방법
KR102489091B1 (ko) 2020-12-03 2023-01-13 인천대학교 산학협력단 소수성 폴리머와 마이크로/나노 파우더를 이용한 아이스포빅 표면 구현방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104797641B (zh) 具有增强的耐久性的纳米二氧化硅涂层组件
CN102239222B (zh) 用于增强亲水性的二氧化硅涂层
CN102119203B (zh) 用于增强亲水性/透射率的针状二氧化硅涂层
CN104769023B (zh) 用于阻碍露珠形成的纳米二氧化硅涂层
JP2009526727A (ja) 反射防止被覆ガラスプレート
CN105246985B (zh) 交联聚(乙烯醇)和二氧化硅纳米颗粒多层涂层以及方法
EP0974560A1 (en) Antireflection glass plate, process for producing the same, and antireflection coating composition
US20080094714A1 (en) Mirror and hydrophilic composite film having photo catalyst activity
JP2012117025A (ja) 防曇性膜被覆物品
CN105246984A (zh) 聚(乙烯醇)和二氧化硅纳米粒子多层涂层及方法
Yang et al. Study of a super-non-wetting self-cleaning solar reflective blue-grey paint coating with luminescence
JP2016102218A (ja) コーティング材
CN105086560A (zh) 热反射性、仿石效果涂层体系
JP2021138797A (ja) コーティング剤及びコーティング方法
JP2003342526A (ja) 自己浄化性水性塗料組成物、及び自己浄化性部材
CN108473759A (zh) 组合物、制备组合物的方法以及制品
JP2000144116A (ja) 超撥水性被膜
CN108137944A (zh) 室温固化高度耐久的含纳米粒子的抗反射涂层
WO2022270472A1 (ja) 親水性コーティング用組成物及び親水性コーティングを含む構造体
JP6991627B1 (ja) 親水性コーティング用組成物及び親水性コーティングを含む構造体
JP2000144052A (ja) 親水性被膜
JP2000144122A (ja) コーティング液組成物および該組成物を用いた被膜 の形成方法
KR102281843B1 (ko) 나노 무기조성물 및 이의 제조방법
JP2003117479A (ja) 表面親水性シート
JPS62148535A (ja) 防曇性物品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230301

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20230316

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20230316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231205