JP2021137439A - ヘッダー - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理流体を浄化する浄化機器に用いられるヘッダーにおいて、浄化機器内の気体の排出性能を飛躍的に向上させ、浄化機器内に残存した気体による被処理流体の偏流や、被処理流体と浄化担体の接触面積減少による浄化低能の低下や、血液の活性化を防ぐことを目的とするヘッダーを提供する。【解決手段】被処理流体を浄化する浄化機器に用いられるヘッダー200であって、筒状の側部と、筒状の側部の軸線方向の一方の開口を狭めて形成され、筒状の側部の軸線方向に沿った貫通孔を有する蓋部と、貫通孔と被処理流体の供給/排出口204とを連通する筒状のポート部205と、を備え、筒状のポート部の内面にフィルタ101が設けられ、フィルタが被処理流体を通液する開口部を備えてなる、ヘッダー。【選択図】図1
Description
本発明は、被処理流体を浄化する浄化機器に用いられるヘッダーに関する。
従来、被処理流体中の除去対象物質を選択的に除去する浄化機器が知られている。浄化機器の構成は、被処理流体中の除去対象物質を選択的に除去するための浄化担体と、その浄化担体を収容するための本体と、被処理流体を浄化機器に供給、または浄化機器から排出するためのヘッダーと、浄化担体を浄化機器内に留め、浄化機器外へ漏出させないための多数の微細な開口部を有するフィルタからなる。フィルタの開口部の開口径は上記目的から、被処理流体は通液するが浄化担体は通さない大きさに設定される。
浄化担体の形態としては、複数個のビーズや、複数本の繊維からなる糸束、あるいは編地などが用いられる。このような浄化担体を備えた浄化機器の浄化性能向上の手段として、浄化担体の単位体積当たりの表面積を増やす方法があり、例えば、浄化担体がビーズの場合には粒径を小さく、繊維の場合には繊維径を小さくすることで達成できる。
ここで、浄化担体の大きさ(ビーズであれば粒径、繊維であれば繊維径)が小さくなるにつれ、浄化担体の漏出防止の点でフィルタの開口部の開口径を小さくする必要がある。フィルタの開口部の開口径が小さくなると、フィルタの開口部に発生する表面張力の影響が大きくなるため、空気等の気体がフィルタを通過する際に必要となる圧力が高くなり、フィルタに気体がトラップされやすくなる。
フィルタに気体がトラップされることで、浄化機器内の被処理流体の流れに偏りが生じる可能性がある。また、フィルタでトラップされた気体が浄化担体部に溜まると、気体により浄化担体の被処理流体との接触面積が低下し、浄化性能が低下する恐れがある。また、被処理流体が血液の場合には、血液が気体に接触することで、血液が活性化するリスクがある。これらの点から、浄化機器内の気体は浄化機器外に効率よく排出されることが望まれている。
浄化機器外への気体の排出性能の向上については、例えば、特許文献1には、吸着体と、両端が開放端であるケーシングとを有し、前記ケーシングの内部に吸着体が収容され、前記ケーシング両端の一方が血液流入側端部、他方が血液流出端部であり、前記ケーシングの血液流入側端部および/もしくは血液流出側端部にフィルタが配置され、前記フィルタは以下(1)〜(3)の要件を満たす血液浄化カラムが開示されている。
(1)その開口率が5%以上、80%以下
(2)その目開きの相当直径が1μm以上、5000μm以下
(3)その目開きの相当直径の前記吸着体の間隙の平均円相当直径に対する比率が45%以上
また例えば、気体の浄化機器外への排出性については示唆されていないが、浄化機器内にフィルタが配置された機器として、特許文献2には、カラム内に吸着粒子を保持するために設けられたフィルタの、血液が通過する際の抵抗を、該フィルタの部分ごとに変えることにより、カラム内流路断面に広く血液が行き渡るようになされた血液浄化用カラムが開示されている。
(1)その開口率が5%以上、80%以下
(2)その目開きの相当直径が1μm以上、5000μm以下
(3)その目開きの相当直径の前記吸着体の間隙の平均円相当直径に対する比率が45%以上
また例えば、気体の浄化機器外への排出性については示唆されていないが、浄化機器内にフィルタが配置された機器として、特許文献2には、カラム内に吸着粒子を保持するために設けられたフィルタの、血液が通過する際の抵抗を、該フィルタの部分ごとに変えることにより、カラム内流路断面に広く血液が行き渡るようになされた血液浄化用カラムが開示されている。
しかしながら、上記従来の技術には次のような問題点があった。
すなわち、上記(1)〜(3)の要件を満たすフィルタを浄化機器内に配置することで浄化機器内に発生した気体の排出性能の向上が期待されるが、本体(特許文献1におけるケーシング)の端部にフィルタが配置されるためにフィルタの面積が大きくなる。よって、フィルタを通過する処理流体の流速が低速になりやすく、フィルタを気体が通過するための圧力が得られないため、気体を浄化機器外に排出しきれない懸念がある。また、フィルタの径方向において流速差が生じやすく、低流速となる位置では気体が排出しきれない懸念がある。
また、フィルタの部分毎の処理流体が通過する際の流路抵抗を変えた場合、流路抵抗が高い部分、すなわち、フィルタの開口径が小さい部分で気体の排出性が悪化することから、気体の排出性の点からは好ましくない。
本発明の目的は、被処理流体を浄化する浄化機器に用いられるヘッダーにおいて、浄化機器内の気体の排出性能を飛躍的に向上させ、浄化機器内に残存した気体による被処理流体の偏流や、被処理流体と浄化担体の接触面積減少による浄化低能の低下や、血液の活性化を防ぐことを目的とするヘッダーを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
すなわち、被処理流体を浄化する浄化機器に用いられるヘッダーであって、
筒状の側部と、
前記筒状の側部の軸線方向の一方の開口を狭めて形成され、前記筒状の側部の軸線方向に沿った貫通孔を有する蓋部と、
前記貫通孔と前記被処理流体の供給/排出口とを連通する筒状のポート部と、を備え、
前記筒状のポート部の内面にフィルタが設けられ、前記フィルタが前記被処理流体を通液する開口部を備えてなる、ヘッダーである。
すなわち、被処理流体を浄化する浄化機器に用いられるヘッダーであって、
筒状の側部と、
前記筒状の側部の軸線方向の一方の開口を狭めて形成され、前記筒状の側部の軸線方向に沿った貫通孔を有する蓋部と、
前記貫通孔と前記被処理流体の供給/排出口とを連通する筒状のポート部と、を備え、
前記筒状のポート部の内面にフィルタが設けられ、前記フィルタが前記被処理流体を通液する開口部を備えてなる、ヘッダーである。
本発明のヘッダーによれば、ポート部内面に処理流体が通液可能なフィルタが設けられているため、浄化機器の本体端部にフィルタが設けられた場合に比べフィルタを通過する際の被処理流体の流速が上昇し、気体がフィルタを通過するための圧力を得やすくなる。これにより製造時や使用前に行う洗浄や気液置換操作時、また使用中に浄化機器内に発生する気体を効率よく浄化機器外に排出でき、浄化機器内に気体が残存することによる処理流体の偏流などによる性能低下や、血液浄化に適用した場合には、血液の凝固リスクを軽減することができる。
本発明における浄化とは、浄化担体の特性を利用し、ろ過や拡散、吸着作用により、被処理流体中から目的の物質を除去することをいう。例えば、本発明のヘッダーを血液浄化用途に適用する場合、除去対象物質はサイトカインやエンドトキシン、β2−ミクログロブリン、白血球などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
図4は従来の浄化機器300を例示している。本図に示す通り、従来の浄化機器300では浄化担体102が浄化機器300外に漏出するのを防ぐために、本体103の開口端部の両端に支持体207に固定されたフィルタ101を配置し、さらにその長手方向外側に従来のヘッダー400を備えるというものであった。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るヘッダーを備えた浄化機器の例示であるが、下記の好ましい態様、例示はこの場合に限られるものではない。図1において、浄化機器100は、筒状、好ましくは円筒形状の本体103と本体103の両側の開口端部に設けられたヘッダー200、およびその内部に収容された浄化担体102からなる。また、ヘッダー200のポート部205には被処理流体を浄化機器100に供給、または浄化機器100から排出する配管が接続される。ポート部205は本体103内に向かって開口しており、好適には、本体103の筒形状の軸線と同軸に配置される。
本体103の形状としては、円筒形状、楕円筒形状、または角筒形状が用いられるが、本体103の生産性や機能、目的、ユーザービリティーなどの観点から、適宣選択される。
ヘッダー200の側部201の形状は、本体103の開口端部形状に合わせて適宣設計することで、本体103とヘッダー200との接合が容易となるため好ましい。
本体103とヘッダー200との接合(接合部104)の手段は、液密、および気密性を備えておればよく、例えば、ねじや超音波溶着などによる融着、接着剤を用いた接着、またそれらの組み合わせを用いることができる。また、液密、および気密性を達成するために、接合部104にはOリングなどの弾性体を配置してもよい。
これら本体103およびヘッダー200の材質としては、樹脂や金属を用いることができる。本発明のヘッダーを血液浄化に用いる場合には、ディスポーザブル性の点で樹脂であることが好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などが好適である。
また、浄化機器内に収容されている浄化担体102は、複数本の繊維からなる糸束や、細かく裁断された複数本の短繊維、不織布、複数個のビーズ、またはそれらを組み合わせて用いることができるが、その材質や形態は用途や目的に合わせて選択される。
ここで、図2の例示をもとに本発明に係るヘッダーについて詳述する。ヘッダー200は筒状の側部201と、側部201の軸線206方向の一方の開口を狭めており、当該軸線方向に沿った貫通孔を有する蓋部202と、蓋部202に設けられており、蓋部202の貫通孔203と被処理流体の供給/排出口204とを連通する筒状のポート部205からなる。ポート部205の内面には被処理流体を通液する開口部が備えられたフィルタ101が設けられる。
フィルタ101の形態としては、多孔体、多孔質体いずれでもよいが、孔が均一に空いている多孔質体が好ましく用いられ、メッシュ、不織布などが挙げられる。中でも、血液浄化に用いる場合には、開口径、いわゆる目開きが均一であるため血球成分の付着が少ないこと、フィルタからの溶出物が発生しにくい等の点からメッシュが好適に用いられる。
材質は特に限定されるものではないが、材質としては樹脂やアルミニウムやステンレスなどの金属、絹などの天然材料、セラミック、またそれらを組み合わせて用いることができる。樹脂の例としては、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、もしくはそれらの混合物などが挙げられる。中でも生産時のコストや成形のし易さ、滅菌処理への耐久性といった観点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂が好適に用いることができ、さらに好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン6 、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート、およびそれらの誘導体である。
フィルタの厚みとしては、厚くなりすぎるとフィルタを通過する際の圧力損失が高くなる。一方で薄くなりすぎるとフィルタの強度が不足し、浄化担体を浄化機器内に安定して保持することが困難となる。以上のことから、フィルタの厚みの上限としては3000μm以下が好ましく、より好ましくは900μm以下となる。フィルタの厚みの下限としては0.1μm以上が好ましく、より好ましくは40μm以上となる。
また、フィルタの開口率は5%以上、80%以下が好ましい。フィルタの開口率の測定方法としては、フィルタを浄化機器に設置した際に被処理流体がフィルタを流れる向きと同方向から光学顕微鏡で観察し、5mm四方に囲まれた範囲を任意に観察し、その範囲に含まれるフィルタを構成する構造体の占める面積をAmm2とすると、以下の式で表すことができる。
開口率(%)=(25−A)/25×100
これを対象となるフィルタ1枚について任意の5箇所の5mm四方範囲を選んで測定し、その平均値を求める。尚、算出した開口率は、小数点以下第1位を四捨五入する。
開口率(%)=(25−A)/25×100
これを対象となるフィルタ1枚について任意の5箇所の5mm四方範囲を選んで測定し、その平均値を求める。尚、算出した開口率は、小数点以下第1位を四捨五入する。
開口率が高すぎるとフィルタの強度が不足し、浄化担体を浄化機器内に安定して保持することが困難となる。一方で低すぎると浄化機器内の被処理流体通液時の圧力損失の増大や、フィルタが目詰まりした際に浄化機器内圧の上昇を引き起こしやすくなる。以上のことから、開口率の上限としては80%以下であり、好ましくは70%以下、より好ましくは66%以下となる。一方、下限としては5%以上であり、好ましくは16%以上、より好ましくは21%以上となる。
また、フィルタにおいて、局所的な気体の排出性の悪化を防ぐ目的で、フィルタ全体で均一な開口部をもつことが好ましい。ここで、フィルタ全体で均一な開口部をもつ、とは、開口率が一定でない場合に、フィルタ全体にわたり、いずれの任意の5mm四方範囲を選択したとしても、開口率の値の変動幅がその平均値の±30%以下、より好ましくは±18%以下、さらに好ましくは±10%以下に含まれるフィルタのことを言う。
また、フィルタの開口部の開口径は、被処理流体は通すが、浄化担体102は通さない大きさであればよい。具体的には、浄化担体が繊維形態の場合、繊維外径よりも小さい開口径であり、浄化担体がビーズの場合、粒径よりも小さい開口径に設定されればよい。これにより、浄化担体102は被処理流体の流れに乗って浄化機器100の外へ流れでないように保持される。
また、ポート部205の内面でのフィルタ101の設置角度は、ヘッダー200の軸線206の角度を0度とすると、10度以上、90度以下の範囲で配置することができる。設置角度が小さい場合にはポート部205の長さが長くなり、圧力損失の増大やヘッダーの生産性低下、ポート部の強度低下を招く恐れがあるため、より好ましくは30度以上、90度以下である。
このようなフィルタ101はポート部205との一体成形物、または、別工程で製作したフィルタ101を接着や接合工程を経てポート部に設けることができる。前記一体成形物の製作方法としては、例えば同一素材で一度にフィルタを備えたヘッダーを成形する。または、予め製作しておいたフィルタを成形金型内に配置し、ヘッダーを前記成形金型で成形するインサート成形と呼ばれる成形手法などが挙げられる。部品点数の削減、組み立て工数の削減によるコストダウンと機器構成の簡略化の点で、フィルタはポート部との一体成形物であることが好ましい。
また、図3にはヘッダーの別形態を例示している。本態様では、フィルタ101と支持体207からなるフィルタ部材をポート部の内面に設けている。フィルタ101と支持体207のアセンブリは、一体成形や、フィルタ101と支持体207とを別々に製作し、接着や接合工程を経て実施することができるが、部品点数の削減、組み立て工数の削減によるコストダウンと機器構成の簡略化の点で、一体成形で製作することが好ましい。
次に、図1の態様における被処理流体のフローの視点から、本発明に係るヘッダーについて説明する。浄化機器100に矢印で示す方向に被処理流体が流入した場合、上側が供給側となり、下側が排出側となる。供給側のポート205から浄化機器100内に供給された被処理流体は、供給側のフィルタ101を通過し、径方向に広がりながら浄化担体102の収容領域に流入する。被処理流体は浄化担体102に接触しつつ排出側に向けて流れ、径方向に集束された状態で排出側のフィルタ101を通過して、排出側のポート205から浄化機器100の外に排出される。図1の態様では浄化機器100の上側を供給側としているが、下側を供給側、上側を排出側としてもよく、その場合には、被処理流体の流れ方向は浄化機器100の下から上方向となる。本態様では供給、および排出側の両方にフィルタを備えたヘッダーを配しているが、どちらか一方のみを本発明のフィルタを備えたヘッダーとすることもできる。例えば、供給側を本発明のフィルタを備えたヘッダーとし、排出側を従来ポート部にフィルタを備えないヘッダー、または、その逆とすることができるが、気体には被処理流体の流れ方向、および重力と比重の関係から上方向への大きく2つの力が作用するため、本発明のヘッダーを排出側、かつ通液方向の上側に備えることが気体の効率的な排出の点で好ましい。
図4の従来の浄化機器300における被処理流体のフローについても説明する。従来の浄化機器300に矢印で示す方向に被処理流体が供給された場合、上側が供給側となり、下側が排出側となる。ポート205から供給された被処理流体は、供給側の従来のヘッダー400内の空間で径方向に広がった状態でフィルタ101を通過して、浄化担体102の収容領域に流入する。次いで、被処理流体は浄化担体102に接触しつつ排出側に向けて流れ、排出側のフィルタ101を通過した後、排出側の従来のヘッダー400に流入し、ポート205で径方向に集束されて浄化機器300外に排出される。
さて、浄化機器内には製造時に気体が含まれている場合や、使用前の気液置換や洗浄などの準備段階において気体が残る場合、また、使用中においても被処理流体とともに気体が混入する場合がある。例えば、気体への重力の影響に対し、被処理流体から受ける力が勝っている場合には、上記従来の浄化機器における被処理流体のフローに従い気体が被処理流体とともに浄化機器300内に混入すると、供給側のフィルタ101の長手方向上面部に、また、浄化担体102の収容領域に存在する気体は排出側のフィルタ101の長手方向上面部に気体の一部または全部がトラップされる。
気体がフィルタ101にトラップされる原因は、フィルタの素材と被処理流体および気体の表面張力、フィルタ開口部の開口径、および気体に作用する圧力のバランスにより、気体がフィルタ101を通過できないことにある。上記バランスを打ち破り、気体がフィルタ101を通過させるためには、a)フィルタの材質を変更する、b)フィルタ開口部の開口径を大きくする、c)気体に作用する圧力を大きくする、ことが挙げられる。ただし、a)およびb)については、浄化機器の製品要求上対応することが難しい場合が多い。また、c)については、すなわち通液流量を上げ、フィルタ101を通過する被処理流体の流速を速くすることで気体に作用する圧力を増し、気体がフィルタ101を通過する原動力とするということであるが、浄化機器への被処理流体の通液流量は、目的、用途により任意に設定できない場合が多い。例えば、浄化機器300が血液浄化に用いられる場合、被処理流体は血液となり、血液の循環量を増やすと患者の負担増となってしまう。また、従来の態様では、フィルタを本体端部に設けているために被処理流体のフィルタの通液面積が大きく、該部での流速を上げることができない。
そこで本発明では、ポートの内面にフィルタを設けることで上記課題を解決した。一般的に流路内の流速は、流路内の通液流量を通液方向に直角方向となる流路断面の断面積で割ることで求められる。すなわち流路断面積に反比例して流速が速くなる。本発明におけるポート部内面の断面積をAp(本発明においては貫通孔の面積をポート部内面の断面積とする)、従来の浄化機器でフィルタが設けられていた本体の開口端部の断面積Ahとすると、浄化カラムの構造からAp<Ahとなり、本発明においてフィルタ通過時の流速が速くなる。
上記した各面積の比であるAh/Apが増大するにしたがい前記各部での流速差が増大し、気体に作用する圧力を大きくなることで気体の排出性能の優位性が高まる。一方で、前記比が大きすぎる場合、浄化機器内での被処理流体の流れに偏りが生じたり、ポート部から径方向に離れた位置での被処理流体が滞留したりする恐れがある。したがって、Ah/Apは1.5以上、30.0以下が好ましい。より好ましくは5.5以上、25.0以下、さらに好ましくは11.0以上、22.0以下、である。
[実施例1]
材料をポリカーボネートとし、射出成形により円筒状のヘッダーを得た。ヘッダーの供給/排出口の直径は3.5mm、貫通孔の直径は4.4mm、ポート部の長さは15.1mm、側部内径は66.1mmとした。同じく材料をポリカーボネートとし、射出成形により円筒状の本体を得た。本体の長手方向の長さは55mm、開口端部の内径を66.1mmとした。上記本体の両側の開口端部にヘッダーを超音波溶着により接合した。さらに、両方のヘッダーの供給/排出口にフィルタを接着固定した。取り付けたフィルタの形態はメッシュであり、材質はポリエチレンテレフタレート、開口率:46%、開口径は96μm、厚さは70μmである。本実施例においては、気体の排出性能への浄化担体の外乱影響を排するため、浄化担体は収容していない。得られた浄化担体を含まない浄化機器を用いて、以下に示す方法で、気体排出性能測定を行った。結果を表1に示す。
材料をポリカーボネートとし、射出成形により円筒状のヘッダーを得た。ヘッダーの供給/排出口の直径は3.5mm、貫通孔の直径は4.4mm、ポート部の長さは15.1mm、側部内径は66.1mmとした。同じく材料をポリカーボネートとし、射出成形により円筒状の本体を得た。本体の長手方向の長さは55mm、開口端部の内径を66.1mmとした。上記本体の両側の開口端部にヘッダーを超音波溶着により接合した。さらに、両方のヘッダーの供給/排出口にフィルタを接着固定した。取り付けたフィルタの形態はメッシュであり、材質はポリエチレンテレフタレート、開口率:46%、開口径は96μm、厚さは70μmである。本実施例においては、気体の排出性能への浄化担体の外乱影響を排するため、浄化担体は収容していない。得られた浄化担体を含まない浄化機器を用いて、以下に示す方法で、気体排出性能測定を行った。結果を表1に示す。
<気体排出性能測定方法>
まず、浄化機器の長手方向が鉛直になるよう固定し、下側のヘッダーのポートに塩化ビニル製の供給配管を、上側のヘッダーのポートに塩化ビニル製の排出配管をそれぞれ接続し、次いで、供給配管にチュービングポンプを接続する。次に各配管の端部を純水の入った容器に入れ、通液流量を200ml/minとしてポンプを運転し、供給配管と浄化機器の中を純水で満たした後に、ポンプを停止する。次いで、各配管のポート部の近傍を鉗子で挟み、浄化機器内に空気が入らないよう各配管をポート部から外しつつ、代わりにポート部に栓を取り付ける。この浄化機器内が純水で満たされた状態の重量を電子天秤EK−1200i(製品名、AND社製)を用いて気体注入前重量を測定する。その後、浄化機器内に空気が入らないよう各ポートから栓を取り外し、配管を再接続し、ポンプを通液流量200ml/minで再運転する。ポンプを運転した状態で、供給配管の浄化機器から300mm位置に設けられたアクセスポートからシリンジを用い空気を10ml注入し、1分間通液を継続した後、ポンプを停止する。上記の気体注入前重量測定時と同様の手順で各配管を浄化機器から取り外し、栓を取り付けた後に、浄化機器の重量を再測定した。この測定重量を気体注入後重量する。そして、気体注入前重量から気体注入後重量を引いた重量を残気体重量とした。
まず、浄化機器の長手方向が鉛直になるよう固定し、下側のヘッダーのポートに塩化ビニル製の供給配管を、上側のヘッダーのポートに塩化ビニル製の排出配管をそれぞれ接続し、次いで、供給配管にチュービングポンプを接続する。次に各配管の端部を純水の入った容器に入れ、通液流量を200ml/minとしてポンプを運転し、供給配管と浄化機器の中を純水で満たした後に、ポンプを停止する。次いで、各配管のポート部の近傍を鉗子で挟み、浄化機器内に空気が入らないよう各配管をポート部から外しつつ、代わりにポート部に栓を取り付ける。この浄化機器内が純水で満たされた状態の重量を電子天秤EK−1200i(製品名、AND社製)を用いて気体注入前重量を測定する。その後、浄化機器内に空気が入らないよう各ポートから栓を取り外し、配管を再接続し、ポンプを通液流量200ml/minで再運転する。ポンプを運転した状態で、供給配管の浄化機器から300mm位置に設けられたアクセスポートからシリンジを用い空気を10ml注入し、1分間通液を継続した後、ポンプを停止する。上記の気体注入前重量測定時と同様の手順で各配管を浄化機器から取り外し、栓を取り付けた後に、浄化機器の重量を再測定した。この測定重量を気体注入後重量する。そして、気体注入前重量から気体注入後重量を引いた重量を残気体重量とした。
[比較例1]
実施例1と同様のヘッダーと円筒状の本体と、次いで新たにフィルタとABS樹脂のインサート成形により成形し、フィルタの外周にABS樹脂の支持体を一体化したフィルタ部材を得た。フィルタ部材の支持体は円筒形状であり、外周径はヘッダー側部内径と同じ66.1mmとし、支持体の内周径は61.4mm、厚みは1.1mmとした。フィルタ(材質:ポリエチレンテレフタレート、開口率:46%、開口:96μm、厚さ、70μm)は支持体の内周面を覆うように設置した。得られた円筒状の本体の両端にフィルタ部材を接着した状態で、円筒状の本体の両端とヘッダーとを超音波溶着にて接合し、浄化機器を作製し、実施例1と同様に気体排出性能測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様のヘッダーと円筒状の本体と、次いで新たにフィルタとABS樹脂のインサート成形により成形し、フィルタの外周にABS樹脂の支持体を一体化したフィルタ部材を得た。フィルタ部材の支持体は円筒形状であり、外周径はヘッダー側部内径と同じ66.1mmとし、支持体の内周径は61.4mm、厚みは1.1mmとした。フィルタ(材質:ポリエチレンテレフタレート、開口率:46%、開口:96μm、厚さ、70μm)は支持体の内周面を覆うように設置した。得られた円筒状の本体の両端にフィルタ部材を接着した状態で、円筒状の本体の両端とヘッダーとを超音波溶着にて接合し、浄化機器を作製し、実施例1と同様に気体排出性能測定を行った。結果を表1に示す。
上記の実施例、比較例の結果から、ポート部の内面にフィルタを設けることで、飛躍的に気体排出性能が向上することがわかる。これは、実施例1の場合、ポート部にフィルタを設けることで該部の流速が速くなり、高い圧力で気体を押し出すことが出来たためだと考えられる。
本発明のヘッダーは、水処理、精製、血液浄化などの浄化機器に用いることが出来る。
100 浄化機器
101 フィルタ
102 浄化担体
103 本体
104 結合部
200 ヘッダー
201 側部
202 蓋部
203 貫通孔
204 供給/排出口
205 ポート部
206 軸線
207 支持体
300 従来の浄化機器
400 従来のヘッダー
101 フィルタ
102 浄化担体
103 本体
104 結合部
200 ヘッダー
201 側部
202 蓋部
203 貫通孔
204 供給/排出口
205 ポート部
206 軸線
207 支持体
300 従来の浄化機器
400 従来のヘッダー
Claims (4)
- 被処理流体を浄化する浄化機器に用いられるヘッダーであって、
筒状の側部と、
前記筒状の側部の軸線方向の一方の開口を狭めて形成され、前記筒状の側部の軸線方向に沿った貫通孔を有する蓋部と、
前記貫通孔と前記被処理流体の供給/排出口とを連通する筒状のポート部と、を備え、
前記筒状のポート部の内面にフィルタが設けられ、前記フィルタが前記被処理流体を通液する開口部を備えてなる、ヘッダー。 - 前記フィルタの開口部の開口径が、前記浄化機器に収容される浄化担体の外径よりも小さいものである、請求項1に記載のヘッダー。
- 前記フィルタが、前記筒状のポート部との一体成形物である、請求項1または2に記載のヘッダー。
- 前記浄化機器が血液浄化用である、請求項1〜3のいずれかに記載のヘッダー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020039510A JP2021137439A (ja) | 2020-03-09 | 2020-03-09 | ヘッダー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020039510A JP2021137439A (ja) | 2020-03-09 | 2020-03-09 | ヘッダー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021137439A true JP2021137439A (ja) | 2021-09-16 |
Family
ID=77667053
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020039510A Pending JP2021137439A (ja) | 2020-03-09 | 2020-03-09 | ヘッダー |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021137439A (ja) |
-
2020
- 2020-03-09 JP JP2020039510A patent/JP2021137439A/ja active Pending
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